週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

コロナ禍における特殊詐欺被害防止に必要なこと

特殊詐欺グループが、コロナ禍における不安や混乱につけ込み、「コロナ」「マスク」「消毒液」「給付金」「助成金」「補助金」「支援金」などのキーワードを随所に散りばめながらだましの確率を高めている。社会経済情勢に応じて手口を変え、だます確率を高める「狡猾さ」が際立つ。さらに、コロナ禍の生活苦から、SNSの闇バイト募集などで受け子や出し子のリクルートが容易になっているという。こうした構図が犯罪の活発化、凶暴化を助長しており極めて残念だ。そもそも被害者は、だましの電話を受けた時点にすでに冷静な判断ができなくなっている者も多く、ましてやコロナ禍の不安や混乱の状況下では、よりだまされやすい状況に置かれている。家族や関係者は、これまで以上に高齢者の状況に十分な注意を払うべきだ。今、「お節介」こそ求められている。(芳賀)

行動様式だけでなく、健康面でもリスク状況は変わる!!

緊急事態宣言が解除され徐々に日常が戻りつつある。しかし、熱中症警戒情報が出され外気温も上昇する中、ソーシャルディスタンスも取れている炎天下、あるいは飛沫感染リスクもない状況でも、ほとんどの人がマスクを着用している。マスクの予防効果は証明されていないが、日本特有の「空気」なのか、気休めなのか。咳「エチケット」としてTPOに合わせてマスクを着用すべきだが、強制的雰囲気は違う。今は、新型コロナウイルスに熱中症という新たな敵を加えた第二ステージなのだ。リスク因子が増えれば、両者のリスクを比較しながら対応を変えていく「賢さ」こそが危機管理だ。熱中症も命に関わる軽視できないリスクがあることを看過すべきではない。自粛警察が跋扈し、マスク着用を強制する「マスクハラスメント」が発生しないか国民の良識を注視したい。(西尾)

マイナンバー、口座情報と紐づけへ

自民党は、マイナンバーと公的給付を受けるための預貯金口座の情報をひも付けして、政府が管理できるようにする法案をまとめた。新型コロナウイルス対策を巡る国民一律10万円給付では、マイナンバーカードを使ったオンライン申請や、振込口座の確認作業が混乱し、給付に遅れが生じている。マイナンバーは利用範囲を税と社会保障、災害のうちの特定範囲に限定しそれ以外の利用を禁止した経緯があり、現状、口座に直結しないのは「あえて不便」にした結果だ。コロナ禍の長期化や大規模災害に備え、行政手続きの仕組みなどを見直す必要があるが、根強いプライバシー侵害や資産監視強化への不安を払拭できるかが焦点となる。今一度、信頼に足る情報保護態勢の条件は整っているのかを問い直し、何のための制度なのか正しく理解できる丁寧な説明が求められる。(佐藤)

改正道路交通法成立、「あおり運転」を「妨害運転罪」として6月30日施行見通し

「あおり運転」を「妨害運転罪」として新たに規定する改正道路交通法が成立した。飲酒運転と同程度の罰則を初めて設けた。「あおり運転」の摘発は、1万5065件(2019年、前年比2040件増)と悪質な運転が後を絶たないことが背景にある。その対象は、不必要な急ブレーキや車間距離の不保持など10項目を定めた。なかでも幅寄せや蛇行運転、高速道路での低走行と駐停車は、悪意を伴う「危害」にもなり得る。急な進路変更、左側からの追い越しはこれまでも道交法違反だが、今後は妨害運転罪に問われる可能性がある。先を急いだ営業車のこのような危険な運転も散見される。法改正による社内への啓発は当然だが、違反すると3年以下の懲役または50万円以下の罰金、一発免許取り消しになる重みと共に、安全はなによりも優先することをシンプルかつ明確に伝えるべきだ。(伊藤)

次亜塩素酸水と熊本地震

新型コロナ対策に次亜塩素酸水が効くのか効かないのか、ネット上で毀誉褒貶が激しい。筆者が初めて次亜塩素酸水の名前を聞いたのは2016年の熊本地震の時だ。南阿蘇中学校にできた避難所で男女25人が下痢や吐き気などの症状を訴え、一部からノロウイルスが確認された。当時の対策として行われたのが居住区の徹底清掃や手指消毒とともに、次亜塩素酸水によるトイレの徹底消毒だった。次亜塩素酸水は比較的安価で手に入り、他の消毒液と違い経口吸入しても問題がないということで、その後の避難所の感染症対策マニュアルには必ず登場する「馴染み」の物資になった。一部ネットを見ると「次亜塩素酸ナトリウム水」など類似製品の混同も見られる。安易にネットで大量注文せず、専門家の指示を仰ぎながらの購買が必要だろう。(大越)

参考:熊本地震避難所における感染性胃腸炎流行と感染対策(感染症学雑誌第91巻第5号)

感染者数の増減発表に一喜一憂するな(1)

毎日都道府県別に感染者数が発表されているが、PCR検査・抗体検査ともに約1億3千万人弱の全国民に行き届くわけはないので、一喜一憂する必要はない。ここのところ東京の感染者数が若干増えていることをもって、危機の長期化とそれに伴う恐怖と不安が煽られている感がある。実際、厚労省の統計グラフを見ても4月中旬から5月初旬に掛けてがピークで、その後明らかに減少傾向を続けている。累計感染者数も1万7千人強のうち、退院者数がすでに1万5千人超で、死者数は千人を切っている。中部大学武田邦彦教授が再三指摘されているように、通常流行する病気では、季節性のインフルエンザでも発表されるのは、感染者数ではなく患者数なのである。また、3密回避も外出すれば、屋内に入らない限りは、少なくとも“密閉”ではなく、3密は満たさないのだ。(石原)

感染者数の増減発表に一喜一憂するな(2)

前掲の武田教授によれば、そもそも基本的にウイルスは空気中には存在し(生きられ)ないのだから空気感染はあり得ないという。だからウイルスは宿主を必要とするわけだ。そうなると、マスクやソーシャルディスタンスの意味も変わってくるため強要すべきものではなくなる。むしろ、それによる差別や経済的損失の方が圧倒的に巨大なリスクなのである。第二波に備えることも声高に叫ばれるが、ウイルスは感染の波を繰り返すたびに弱毒化していくという。つまり、人間にとってのWithコロナではなく、ウイルスのとってのWithヒューマンともいうべきもので、それが彼らの生存戦略である。第二波、第三波と強毒化していくならば、宿主を失うことになるからだ。つまり、備えるべきは新たな強毒性のウイルスに対する体制であって、そのために教訓を生かすべきなのだ。(石原)

感染者数の増減発表に一喜一憂するな(3)

コロナ禍を利用した社会的分断や強制的同一化を推進しようとする傾向が世界的に見られる。今回米国で起きた、黒人男性が警官の拘束下で死亡した事件とそれに対する暴動もその文脈で捉える必要がある。社会的分断と貧富の格差の拡大は以前から続いているもので、今回都市封鎖がそれを助長した。現在米国内では、昼間と夜の暴動が全く異なる様相を示している。昼は非暴力的なデモでしかなく、実際、今回の被害者ジョージ・フロイドさんの弟テレンスさんは暴力反対を訴えている。一方、夜はまさに暴動・略奪である。これを先導しているのが、トランプ大統領がテロ組織に指定したアンティファ(アンチ・ファシズム)だ。名称・理念と行為は明らかに乖離している。さらに問題の本質は、誰がアンティファに指示を与え、資金的援助をしているのかということだ。(石原)

感染者数の増減発表に一喜一憂するな(4)

再度、翻って日本を見ると、あれだけパチンコ店の店名公表が騒がれたにもかかわらず、ホストクラブやキャバクラについては、そういう話は出てこない。どちらが良いとも言い切れないが、一貫性のなさは否めない。もともと国内の政局は、モリカケから、桜を見る会と続き、種苗法改正や検察法改正問題、さらにスーパーシティ法案などドサクサ紛れの法案成立などが続いた上に、アベノマスクの失態、給付金のマイナンバーひも付け、電子マネーの推進、専門家会議の議事録は取らず、そして今回は国の持続化給付金事業の不透明さと連続している。一体何をしようとしているのか、政府への疑念は尽きない。新聞には、是非独自の深堀した調査報道で真実を明らかにしてほしいし、テレビは偏った専門家だけでなく、見解の異なる専門家同士による議論を見せてほしい。(石原)

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