週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

「しなやかさ」を獲得せよ~最善は次の不適応となりかねない

アフターコロナでは、過去と異なる「ニューノーマル」の中で、人や企業のあり様が大きく変容する。一方、コロナ禍は、社会の今後のあり様を、暴力的な破壊力によって短期間で決定付けてしまったとも言える。例えば、経産省の直近の報告書は「世界人口のピークアウト(規模の経済を追う時代の終焉)、資源・環境制約の高まり、デジタル経済へのトランスフォーメーション、地政学・保護主義的リスクの高まり、レジリエンス(自然災害、感染症等への対応)」が今後「避けられない世界的潮流」だと指摘する。コロナ禍の前後でこのトレンドは変わらないが、そこにウイルスとの共存が加味されることになる。重要なことは、パラダイムシフトを経験した私たちが「しなやかさ」を獲得できているかだ。今の最適解は不変でもないし普遍でもないと自覚すべきだろう。(芳賀)

過激化するSNSを使った誹謗中傷は、公開するのも一手

SNSでの誹謗中傷が原因で尊い命が絶たれた。私自身は番組を見ておらず、経緯の詳細は把握していないが、本件に限らず、SNSを使った誹謗中傷や罵詈雑言は酷くなるばかりである。実際は、インターネット上に痕跡を残しているため追跡できるにも関わらず、「匿名」と思い込んで誹謗中傷をする人たちは、情報リテラシーの低さに気付くべきだ。一方的な誹謗中傷に対する対応方法は、法的手段以外にもある。あまりに過激なものが続く場合、内容をそのまま公開することだ。いわば公開裁判方式だ。自分の書いた言葉が公開されるとなれば書く方も慎重になるし、公開すれば、行き過ぎた過激な表現それ自体に対して、別のネットユーザーから批判が寄せられるため、書いた本人が今度は批判にさらされることになる。毒には毒を持って制するのも危機管理の一つの方法だ。(西尾)

フェイスシールドの「誤用」に注意!

新しい災害が発生するたびに新たなツールが注目されるが、そのたびにメディアなどを通じて誤った使用法が広まってしまうことがある。今回でいえば「フェイスシールド」もその1つ。透明のアクリル板で顔を覆う同製品は、職業感染制御研究会の資料によるとPPE(個人用防護具)上の分類で「目の防護具」にあたる。そのため、フェイスシールドをしてもマスクの着用は必須だ。利点はゴーグルに比べて通気性がいいことと、眼鏡を着用しても顔面を保護できることだが、一方で下部からの防御が弱くなり、かつ単回使用型(使い捨て)の製品である。メディアではフェイスシールド着用の飲み会を紹介したり、手話翻訳者の方に着用させていたりするにも関わらず、マスク着用については無頓着になっている傾向がある。企業としては、正しい着用方法を従業員に伝えたい。(大越)

参考:「個人用防護具の手引きとカタログ集」(職業感染制御研究会)

今こそコロナ禍からの「学び」を体系化し、新しい「標準」を!

今日は6月1日。一気に通勤電車が混み始めた。昨日と今日でウイルスの脅威がどれほど変化しただろう?現状はさほど変わらないにも関わらず、行動様式は元に戻ってしまったのか?私たちはこのコロナ禍によって「在宅でできる仕事」もあることを知り、在宅で働くための知恵や工夫を積み上げたはずだ。会議室に空きがなくても、誰かが会社にいなくても会議はできる。上司と部下の1on1ミーティングも、オンラインならこまめにできる。せっかく「できる」と知ったことを「6月1日だから」と元に戻すのは、何とも惜しい。ウイルスの脅威はまだなくなったわけではない。新しい「普通」を生きるはずが、以前の「普通」に舞い戻れば、第2波には打ち勝てない。コロナ禍で得た知恵と工夫を無駄にせず、新しい「標準化」につなげた企業こそが生き残れるのだ。(吉原)

緊急事態対応から働き方改革へ ~アフターコロナの「在宅勤務」で重要なこと

当社が行った在宅勤務アンケートでは、7割以上の回答者がアフターコロナにおいて在宅勤務を継続したほうが良いと答えた。一旦変化した働き方は、戻すのではなく進化させる方が建設的だ。企業が従業員に求める最たることは「健康で生産性高く働き、利益に貢献する」ことではないだろうか。その達成手段の一つが在宅勤務であれば、会社は活用することが望ましい。ポイントは「見える化」「個人」「許容」と考える。在宅勤務を認める業務、対象者、目標と成果の指標、リスク、その他「空気を読む」ことで成立していた多くは「見える化」が必要だ。コミュニケーションの適正量や業務目標などは「個人」ごとに十分すり合わせる必要がある。労働時間管理は必要だが、会社は監視するのではなく、所定時間内の配分などは個人にある程度任せる「許容」も必要だ。(加倉井)

参考:新型コロナウイルス感染症の影響による「在宅勤務(テレワーク)」に関するアンケート【速報版】

言葉の凶器は組織をも揺るがす SNS研修の重要性

人気リアリティーショーの出演者がネットでのバッシングを苦に自死したことが話題だ。ネット上での誹謗中傷は、損害賠償請求の対象になるうえ、名誉毀損・侮辱などの刑事罰にもあたりうる問題だ。企業としては、従業員が私用アカウントから問題投稿をし、過去投稿から勤務先を特定されるリスクを軽視できない。また標的とされるのは有名人に限らず、組織内でも同様の問題が発生し得ることを認識すべきだ。社内チャットでの特定個人への攻撃が常態化すれば、今回のような最悪の結果を招きかねない。コロナ禍でストレスを抱える今、リスクはより高まっている。コンプラ研修を先送りにしている企業は特に要注意だ。注意喚起の有無は、問題投稿を行った従業員に対する懲戒処分の可否をも左右し得る。企業は研修を実施する等、改めて事前対策を講じるべきだ。(福田)

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