週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

これ以上犯罪者の跋扈を許してはならない~「令和2年の犯罪情勢」から

コロナ禍の影響等により認知件数等が大きく減少したが、「推移からは必ずしも捉えられない情勢」やコロナ禍に伴う「社会の態様の変化の影響等」から「犯罪情勢は依然として厳しい状況にある」とする。さらに、被害が高水準で推移する「特殊詐欺やサイバー犯罪のように、被害者と対面することなく犯行に及ぶ匿名性の高い非対面型犯罪」では、「対策に応じて絶えず犯行手口が変化するものも多く、また、痕跡が残りにくい形での犯行を容易に反復することが可能となっていることから、被害が拡大する危険性も高くなっている」、「ストーカーやDV、児童虐待のように家族等私的な関係の中で発生することが多い犯罪に対しては、その性質上犯行が潜在化しやすい傾向にあることを踏まえ」た対策が必要だとした。手口の高度化や潜在化、多様化への対応が急務だ。(芳賀)

PPAP、廃止の方向へいくか

日立製作所がPPAPを全面禁止するという報道を受け、「PPAP全面禁止」というワードがTwitterでトレンド入りした。昨年、中央省庁でセキュリティ面や利便性の点から利用を廃止する表明がなされ、それに呼応して企業でも脱PPAPの動きが広がっている。そもそもPPAPとは「Password付きZIPファイルを送る、Passwordを送る、Aん号化(暗号化)Protocol」の略。対策として機能するのは、「十分長くて複雑なパスワード」を、「メール以外の経路で伝達する」ことが前提であり、形だけの運用では意味がない。従前より実施してきたことだが、「誤送信対策」と「ファイル送信手段の安全管理措置」を切り離して検討しなければならない。PPAPを実施しておけば安全と盲目的に実施され続け、省みられない時期が長く続いたが、問題の本質を理解のうえ利用手法やポリシーの見直しが推進されること期待したい。(佐藤)

コンプライアンスだけに頼らない仕組みづくりで食品ロス削減を次のステップへ

今年は124年ぶりに2月2日が節分の日となった。「恵方巻の大量廃棄問題」を調査しているジャーナリストの井出氏によると、124店舗を業種別に調べた恵方巻の完売率は、コンビニ78%、スーパー96%、百貨店は100%だったという。コロナ禍の影響で製造量を調整した面もあろう。2019年10月に「食品ロス削減推進法」が施行され、今シーズンは農水省から大手の事業者などに食品ロス削減の呼びかけを行ったことに呼応した形だ。それでも売れ残った商品の一部はリサイクルセンターに回されるが、多くは「事業系廃棄物」として税金を使って焼却処分される。事業者や消費者に食品ロス削減を啓蒙することで、その意識は高まりつつある。一方で、善意やコンプライアンスだけに頼ることなく、リサイクルするより税金投入によって捨てる方が得をする仕組みも改めるべきだ。(伊藤)

浸水危険エリアの建築物が許可制に

政府は2日、浸水被害防止区域を創設するなどの水害対策関連法案を盛り込んだ流域治水関連法案を閣議決定した。これまで必要のなかった中小河川でのハザードマップの作成が義務化されるほか、浸水危険エリアに高齢者福祉施設や住宅などを建設する場合は、十分な対策を施したうえで許可制となった。20年8月には、不動産取引で住宅購入や賃貸する物件が浸水エリアにある場合は、説明義務が不動産業者に課せられた。今回の関連法案ではさらに一歩踏み込んだ形だ。毎年のように水害が発生する近年、令和2年7月豪雨では熊本県の特別養護老人ホーム千寿園が水没し、入所者14人が犠牲となった。高齢者福祉施設は、費用を抑えつつ広い面積を求めるため土砂災害危険区域など危険な場所に建設される場合があった。安全安心な街づくりは、まだまだ始まったばかりだ。(大越)

▼特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案(国土交通省)

実効的な内部通報制度は「組織の姿勢」がつくる

京都市職員に対する懲戒処分の妥当性をめぐる訴訟で、処分の取消しが確定した。この職員は、児童養護施設長が性的虐待をしている旨の相談が放置されていることを問題視し、被害者に関する情報を持ち出したうえ、市の外部窓口に通報した。これに対し、市は機密情報の閲覧・持ち出しを服務規律違反であるとして3日間の停職処分にしたという構図だ。市の人事部長は処分の取消しを受け、「残念。今後も規律違反をした職員は厳正に処分していく」旨コメントした。これは、「通報すると人事上不利益になることもあります。処分に納得できないなら争ってください」という意味にもとれる。法改正を控えるなか、自ら内部通報窓口利用のハードルを上げ、制度を形骸化させるような発信をすることは問題だ。組織にとって、相談しやすい環境を整えることは急務だ。(福田)

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