週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

良貨は悪貨を凌駕する~正しい情報を持つ者こそ「ノブレス・オブリージュ」の精神を

まただ。東北地方を襲った大地震を巡り、差別的な発言やデマ、不確実な情報がSNSなどで飛び交った。災害時にデマが流れやすいのは、人々に不安があるためだ。悪意の投稿は言語道断だが、悪意はなくても事実と異なる情報が拡散されることもありうる。一方、これから始まるワクチン接種においても、誤った情報に基づく誤解や副反応への恐れから接種を避ける人の増加や、偽情報に振り回され詐欺などの犯罪に巻き込まれる被害者の増加が懸念されるところだ。正しい情報が一部の偽情報に埋没してしまえば社会全体の利益が著しく損なわれる。受け手のリテラシーが問われている状況とはいえ、メディアも、科学的根拠を基に正確な情報を丁寧かつ冷静に報じてほしい。そして何より、正しい情報を持つ者こそ、発信力を磨き、高め、継続して声をあげていくべきだ。(芳賀)

Clubhouseの利用拡大、マナーとルールはこれから

音声SNS「Clubhouse」の利用が、国内で急速に広がっている。「音声版ツイッター」とも呼ばれており、文字ではなく音声でやり取りし、招待制の部屋で独り言や会話で交流を楽しめる。もちろん注意も必要だ。少人数の会話を楽しんでいたつもりが、いきなりカンファレンスのような人数に膨れ上がることもある。特に業務上知り得た機密情報など、オフレコだからと放言するのは危ない。また、アカウントのなりすまし、名誉棄損に相当する発言、違法薬物取引の犯罪行為など、他のSNSで起きていることはClubhouseでも起き得る。利用者間の会話や本人に関するデータが知らないうちに第三者に利用される可能性もあるだろう。会話を楽しめる有用なコミュニケーションツールの一つである一方、まだマナーとルールが定まらないなか、まずは慎重に注意深く利用したほうがよさそうだ。(佐藤)

東京オリ・パラ組織委員会会長辞任とダイバーシティ(多様性)

会長辞任と後任選びが迷走している。この機に多様性に理解を深めるべきだ。筆者の立場は女性や外国人の社会進出には賛成だ。周囲の優秀なビジネスパーソンが、たまたま女性であることも多い。ビジネスに必要な多様性は単に「違う」ことではなく「能力や経験の多様性」だ。タスク型の多様性は、革新的な知の成果を生み出す。一方、性別、国籍、年齢など属性だけに注目するデモグラフィー型の多様性は、組織にマイナスの影響を及ぼす場合がある。知らぬ間に認知バイアスグループが軋轢を生み、パフォーマンスを低下させるからだ。多様性を重視するグーグルですら、バイアスが存在し、「無意識の偏見」と呼び、その解消の為大学教授との共同研究による研修を徹底する。何のために多様性を進めるのか、どのような認知バイアスを解消するのかを理解すべきだ。(伊藤)

森会長辞任の意味するもの

森喜朗・東京五輪組織委員会会長が辞任した。森氏の舌禍事件は首相就任以前からあり驚くに値しない。同氏が古い体質と来場者への“サービス精神”を発揮しがちなことは再三指摘されたが、過去の“舌禍”が不問だったのは周りが許容したからだ。その意味では今回は“グローバルな空気の読み”が欠落し「今度ばかりは」となった。「女性が入ると会議が長くなる」との発言は、男女の視点が異なり、相互納得のために議論を重ねるのは当然であることからここは言葉足らずが否めない。さて、東京オリ・パラはどうなるか。元々誘致不正の疑惑もあり、新型コロナ禍でどこの国なら開催可能だというのか。東京五輪後の総選挙も噂もあるが、五輪の政治利用は許されない。中国が2022年冬季五輪開催に前のめりで、そのために東京五輪開催を後押しするなら筋違いである。(石原)

福島県沖地震、今後1週間は最大限の警戒を

福島県沖で13日に発生したM7.3の地震。東日本大震災から10年を目の前にしつつ、少し緩んでいた我々の脳裏に鋭い警告を促すかのようだった。政府地震調査委の平田直委員長は「東日本大震災の余震の可能性が高い」としながら、「震源がもう少し浅く、地震の規模がもう少し大きければ津波はもっと大きくなった」と警鐘を鳴らす。東日本大震災の直前にも、今回と同様の前震があった。3月9日11時45分には三陸沖の深さ8kmを震源としたM7.3の地震が発生。最大震度5弱、岩手県で最大60cmの津波を観測した。10日6時24分にも、三陸沖で深さ9kmを震源としたM6.8の地震が発生している。少なくとも今後一週間は最大限の注意を払いたい。もう一つ、低気圧の動向も気になるところだ。地震が発生した場所は地盤が緩む。被災地は雨による土砂災害にも最大限の警戒をして欲しい。(大越)

■政府の地震調査委「高い津波の可能性あった」

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