週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

暴力団離脱者支援の意味をあらためて考えたい

暴力団離脱者を雇用した際に支給金が出る福岡県の雇用給付金制度を活用し、元組員を受け入れる意向を示した「協賛企業」が増えているほか、この「福岡方式」が各地に拡がりを見せているという。暴力団離脱者支援は、社会全体で考えていくべき問題だ。「反社会的勢力」として排除した人間が、「元暴アウトロー」として社会不安を増大させる「負の連鎖」は誰のためにもならない構図だ。薬物依存やテロ、再犯防止、ジェンダー差別への対策などと同じ文脈で、「誰一人取り残されない社会の実現」に向け、「社会的包摂」によって更生を支援していくべきだろう。本人の更生に向けた強い意思が大前提だが、「社会的包摂」が機能するためには、企業や社会、行政が、その目指すべきゴールを共有し、それぞれ相応のリスクを負担していく発想への転換が求められる。(芳賀)

▼読売新聞 「元組員受け入れの意向示した「協賛企業」377社に…企業給付金で広がる支援の輪」

経済対策として、ワクチンの有効活用を指向すべき

緊急事態宣言再延長も視野に入ってきたが、ここまで自粛要請等が継続すると、企業等も生き残りの為に経済活動を行わざるを得ない。現状65歳以上の高齢者からワクチン接種が始められているが、感染症対策と経済の両立を考えるならば、若い世代、ビジネス世代からワクチン接種を進めるべきだ。インド型の変異株は若者でも重篤化するのであれば、人口構成比を考えても若い世代が亡くなる事態を防がなければ、国力は先細りになる。動きが活発な若い世代の行動抑制を長期間継続するのは無理だし、部活や学校のイベント中止は子どもの将来に影響する。経済対策の観点からも、ビジネス世代も含め早期にワクチンを打って、感染リスクを低減させつつ、経済・社会活動を継続していかなければ、終息後の経済回復も厳しくなる。コロナ「政策」禍を続けてはならない。(西尾)

コストカットは、ビジネスリスクを高める。コロナ禍では特に注意

経済活動の自粛・縮小が長引く中、企業のコスト削減は加速する。しかし、コロナ禍でリスク対策費用を削減することは、逆に「リスク」を高める。飲食店の営業自粛で反社は資金獲得が極めて難しくなっており、間接コストを削減して脇が甘くなった企業を狙って資金源化しようと動き出す。企業側も収益を上げようと美味しい話(餌)の誘惑に乗りやすい。企業内でも各種プロセスが簡略化されて事故やトラブルのリスクを高める他、収入減により不正やコンプライアンス違反に手を染める従業員も出てくる。在宅勤務でのコミュニケーション不足等でストレスも溜まり、種々の問題も発生する。ITシステムに依存せざるを得ない状況を狙いサイバー攻撃も活発化する。リスク対策は、企業としての「感染予防対策」だ。感染症対策同様、継続的な資金投入が重要となる。(西尾)

事業承継、後継者不在率調査 新型コロナ影響も追い打ちに 東京商工リサーチ分析

同社の分析では中小企業の「後継者不在率」は57.5%と前年より1.9ポイント上昇し。後継者が見つからない中、新型コロナによって事業の先行きに不安を感じ、会社を続ける意欲を失ってしまう経営者が増えている。通常、事業承継は準備も含めると3年以上を要する。一方経営者は後継者選びを先延ばしし易い。いざとなると分身ともいえる会社を手放すことに躊躇する心理もあろう。相続財産が少ない場合は、総じて相続人も財産が少なく「争族」に発展する。従業員への継承やM&Aも選択肢だ。経営者に決心を促すには、セカンドライフや夢を考えてもらうことが有効だろう。また、事業承継はあらたなスタートであり、事業のポジショニングの見直しにより経営が改善する例も多い。後継者は環境の変化を捉え、自社の強みを理解し、不断の経営改善・革新が必要だ。(伊藤)

避難場所に行くことだけが避難ではない

災害対策基本法が改正され、5月20日から避難情報が変わった。警戒レベル5が「災害発生情報」から「緊急安全確保」に。レベル4では「避難勧告」がなくなり、「避難指示」に一本化された。レベル3では「避難準備・高齢者等避難開始」が「高齢者等避難」に修正されるなど、単に状況を説明するものではなく、その時にとるべき行動を情報化したものといえるだろう。BCPにこれらの情報を組み入れている企業は、早期の修正が必要だ。では避難とは何だろうか。避難とは「難」を「避ける」ことであり、近くの小中学校や公民館にいくことだけではない。風水害であればハザードマップを参照し、安全な地域のホテルや知人・親せき宅に行くことも立派な避難行動だ。避難場所での密集が懸念されるなか、まず自らの避難はどうあるべきか、日ごろから考えておきたい。(大越)

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