週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

厳格な顧客管理は新たなステージへ~AML/CFT・反社リスク対策のこれから

当社の実態調査から見えた企業の反社リスク対策と反社会的勢力の実態とのミスマッチ、FATF勧告で露呈したAML/CFTの底の浅い取組みレベルは、企業の顧客管理が「目の前の脅威」に真摯に向き合っていないことを如実に表している。例えば、商号と代表者のDBスクリーニングだけでは潜在化する反社会的勢力を捕捉することはまず無理だ。また、FATF勧告は「自らのマネロン・テロ資金供与リスクの理解がまだ限定的」「前提犯罪とマネロンとの関連性や、犯罪収益がどのように銀行システムに侵入するかについて、深く理解していない」「画一的な低減措置を適用し」など辛辣な指摘が並ぶ。「目の前の脅威」を正確に理解してはじめて対策に実効性が宿るのであり、知識や意識、リスクセンス、事例分析の蓄積がその理解を支える。高度な仕組みの整備以前にまずはそこからだ。(芳賀)

検査不正から車検制度を考える 「安全」はタダではない

トヨタ系列の車検不正は、必要項目を検査せず、数値も書き換えていた。競合を意識した45分車検サービスに整備士不足が追い打ちをかけ、現場が疲弊した末の不正だ。他方、神戸製鋼の検査不正では、強い現場が権限を持つあまり聖域化したが、トヨタの場合は人手不足に悩む現場とそんな実態とはおかまいなしに目標を押し付ける本社との乖離が背景にある。つまり、弱い現場へのしわ寄せだ。車検は安全など国の基準を満たしているかを定期的に検査する制度だ。検査不正は言語道断だが、本社や消費者の安全に対するコスト意識も疑問だ。自動車の性能や品質向上により、消費者からすると機能劣化の改善というより形式的認可という認識もあろう。だが、劣化は必ず起こる。自動運転装置などへの検査の高度化も待ったなしだ。安全に対するコストは必須なのである。(伊藤)

911のBCPにおける2つの教訓

2001年9月11日に発生した米国同時多発テロ事件から20年が経過した。アルカイダのメンバーにより4機の旅客機がハイジャックされ、自爆テロにより約3000人の命が失われた。一方で、BCPの重要性を世界に知らしめた事件でもあった。米国の大手証券会社は1機目の航空機が北棟に突っ込んだ7分後に災害対策本部が立ち上がり、約20分後には9000人の従業員をビルから避難させた。翌日にはCEO名義で事業を継続している旨のメッセージを顧客宛に配信している。北棟90階で勤務していた日系銀行の支店長は、階上に飛行機が突っ込んだのを確認するや既存のマニュアルを無視して全ての業務を中断し、即座に避難を開始。命からがら避難完了した10分後に北棟は数十秒で崩落した。こちらはリーダーの即時の判断が従業員の命を救った。2つの貴重な教訓を忘れないようにしたい。(大越)

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