週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

タリバンによる暫定政権樹立が突き付けた課題

現地では、支援機関や治安部隊のもつ生体認証情報DBが追跡に悪用される危険性が指摘されている。以前から問題視されてきたが、テロ対策や国境管理における生体認証技術の犯罪インフラ化阻止を巡る議論が急務だ。さらに、ネット上のアフガン人に関する個人情報の削除や非公開化の対応もまったなしであり、すでにFBは自分のアカウントを簡単な操作でロックできる機能を新たに公開した。また、暫定政権には国連の制裁対象となっている人物が入閣した。FBはタリバンをテロ集団に指定し、同社プラットフォーム上での利用を禁止、タリバンを支持するコンテンツの削除方針を示すも、SNS事業者の対応は分かれている。明確な判断基準がない中、なし崩し的に国際的に受容されつつある実態とテロ組織の排除、犯罪インフラ化の阻止との間で難しい対応が迫られている。(芳賀)

今こそロスの撲滅に踏み出すべきだ

経済環境の変化により、失業率が高止まりしている。失業率と犯罪率は正の相関関係にある。小売業が、販管費の削減により利益の改善を目指すうえで、万引きなどの窃盗の増加は逆風だ。一方、店舗では自店のロスの要因を把握していないこともしばしばである。要因を把握できていないロスを「万引き」に分類する傾向が強い。そのような不明ロスが損失の大きな要因となっているが、経営者の一部はそのことを見逃している。ロスの要因が曖昧では、対策の効果は薄い。つまり、ロスの要因と対策にミスマッチが起きていることが問題なのだ。店舗で気づいていない、放置されたロスの要因を掘り起こすには専門家の知見が有用だ。知見は、経験と理論の融合から生まれる。見えていないロスの要因を把握し、最適な対策を打つことでロスを大きく減らすことができる。(伊藤)

160年伝えられてきた災害の教訓

長崎県太田尾町山川河内地区は、古くから30世帯ほどを維持してきた山間部の小集落だ。この地には「念仏講まんじゅう」という少し変わった風習がある。年に一度、集落内でまんじゅうを配りあうだけのその風習は、1860年の万延元年の水害でなくなった集落の32人を供養するもので、以降160年以上の長きにわたり続けられてきた。集落の人は山の斜面を指さし、「江戸時代にはあそこら辺が崩れたんだ」とまるで昨日のことのように教えてくれるという。1982年の長崎大水害では長崎市内の死者・行方不明者299人のうち、およそ9割に当たる262人が土砂崩れやがけ崩れが原因だったが、この集落では1人の犠牲者も怪我人も出さなかった。実は教訓の重要性は現在のコロナ禍にも通じる。今の教訓をどのように次世代に伝えていくのか、私たちは真剣に考えなければいけない。(大越)

▼(参考文献)年中行事から考える災害展示/川島 秀一:『人類学研究所 研究論集』第4号(2017)

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