週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

令和3年の犯罪情勢を最新の統計資料から読み解く

刑法犯全体の認知件数が戦後最小となった一方で、「拡大自殺」とも「思想なきテロ」とも評される無差別殺傷事件の多発から「体感治安」は最悪のレベルにある。数字だけでは分からない「公共の場の安全性」の確保が社会全体の課題だ。また、サイバー空間の公共空間化が加速する中、ランサムウエア攻撃など市民生活に大きな影響を及ぼす事案や不正アクセスによる情報流出、国家レベルのサイバー攻撃など、サイバー空間における脅威も極めて深刻なレベルにある。さらに「還付金詐欺」の被害も深刻だ。サイバー犯罪や還付金詐欺に共通するのは「非対面型」の犯行という点だが、対策に応じて絶えず手口が変化し、痕跡が残りにくい犯行を容易に反復できる点こそ脅威だ。摘発する側のデジタル化や手口等の変化への対応、国際連携など対応能力の向上が急がれる。(芳賀)

▼警察庁 令和3年の犯罪情勢について【暫定値】

▼警察庁 令和3年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について

▼警察庁 令和3年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について(速報版)

コロナ禍でも積極的に訓練を

政府と宮城県は2月11、12日の2日にわたり、東北電力女川原発の重大事故を想定した訓練を行った。女川原発での開催は初めて。三陸沖を震源とする最大震度6強の地震と大津波が発生し、運転中の女川2号機が緊急停止したと想定。県は災害対策本部会議を設置し、原発が非常用システムで冷却を試みている状況を説明した。女川町からの住民に対する状況付与はTwitterでも実施。「【訓練です】女川町災害対策本部からお知らせいたします。女川原子力発電所の事故の影響により、現在、発電所から5km以外の住民の方を対象に屋内退避を行っております」など、生々しい状況付与が続いた。本当であれば東日本大震災から10年目にあたる昨年実施する予定だったが、新型コロナの影響で延期された。災害はいつ発生するか分からない。コロナ禍でも積極的な訓練が必要だ。(大越)

▼2月12日の避難訓練中のTweet (女川町公式Twitter)

ダメなものをダメと言える職場は、雰囲気の良い職場(?)

「怒鳴り声が飛び交う職場」は、雰囲気の悪い職場の代表例だろう。しかし「昔は良かった」と懐かしまれる職場のエピソードに、「よく大きな声で怒鳴られた」が登場するのはなぜだろう。仕事をサボったり、してはいけないことをしたりすれば、必ず上司に怒鳴られる。一方で、怒鳴られて落ち込む人を、誰かがそっとフォローする。それが当たり前だった職場は、確かに雰囲気が良かったのかもしれない。心理的安全性が高いとは、奇抜なアイディアも躊躇せず言えるだけでなく、ダメなものをきちんとダメと言えることでもあるのだろう。「遠慮して叱れない」「おかしいと思っても言えない」職場は不正の温床となり、雰囲気の悪い職場の典型ともなる。パワハラと指導の違いを理解して、表面的な「仲良し」から脱却し、真摯に人と向き合える職場を目指したい。(吉原)

Back to Top