週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

ロシアによるウクライナ侵攻~事業者にしかできないこともある

ロシアがウクライナに侵攻した。ロシア当局は、意に沿わないメディアの報道を規制し、反戦機運の高まりを押さえ込もうと躍起だ。一方、ウクライナもデジタル・プラットフォーマー(DPF)に、ロシアでのサービスを停止するよう働き掛けを強める。それに対し、ロシアでサービスを提供する楽天は、「自由で安全なコミュニケーションを妨げることにつながり、偽情報と戦うための重要な通信手段を排除してしまう」「多くの民間人の命が危険にさらされている世界の歴史の重要な局面で、社会を力づけるためにわれわれが取るべき最善の行動は、言論の自由や通信の自由などを守ることだ」(百野副社長)と主張する。今まさにDPFの倫理観や社会的責任が問われている。「自分たちは受動的にユーザーの言論を仲介する存在にすぎない」と嘯いた時代もまた終焉を迎える。(芳賀)

「専門家の活用」はお題目では意味がない

厚生労働省は、2月7日、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(案)」を公表した。カスタマーハラスメントが社会問題となる中、ガイドラインが示されたことは、一歩前進だ。ただ、内容的には、定義や行為類型の精査が甘くカスタマーハラスメントを拾いきれていないこと、特定の労働組合の類型別対応要領の紹介にとどまり、その実効性や合理性が担保されていないこと等、現場対応のマニュアルとしては使いにくい。現場では、現実に対応を断って良いのか(根拠)、どのような状況になったら断ってよいのか(基準)、どのように断ったら良いのか(方法)、断ったことで自分は不利益を受けないのか(フォローアップ)を具体的に知りたいのであり、「警察や弁護士と連携する」では対応できない。現場に精通した専門的知見が不足しているのは残念だ。(西尾)

ウクライナへのサイバー攻撃、日本も警戒を

ロシアのウクライナ侵攻により欧米諸国が経済制裁を科すなど緊張が高まるなか、トレンドマイクロ社によると今年に入ってからサイバー空間でも、ロシアからウクライナへの攻撃が本格化しているという。今年1月13~14日にかけてウクライナ政府機関の約70に及ぶWebサイト改ざんやシステム破壊を伴うサイバー攻撃が確認されたほか、2月15日と23日にはウクライナ政府機関や銀行へのDDoS攻撃がウクライナ政府から公表されている。明らかに、ウクライナのインフラ活動を妨害するのが目的と考えられる。2013年頃から活動しているとみられるロシアのGamaredonグループの攻撃は、2020年3月に日本へも「流れ弾」とみられる攻撃の着弾を観測している。直接的な関係は不明だが、日本では2月に入りEmotetの脅威が多くの企業を襲った。サイバー空間においても今後十分な警戒が必要だ。(大越)

▼ウクライナ危機とサイバー攻撃(トレンドマイクロセキュリティブログ)

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