30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

暴力団対策法30年~暴力団対策を根本から見直す時期だ

暴力団対策法はこの30年間で大きな役割を果たしてきたが、最近の暴力団の変質や周辺者(反社会的勢力)の拡大や存在の多様化・不透明化、手口の巧妙化・多様化が急激に進む中、「制度疲労」的な綻びを見せ始めている。「半グレ」に暴力団対策法が適用できない状況や指定暴力団分裂時の取扱い、「貧困暴力団」と化した暴力団の「強固な内部統制」の緩み、暴力団事務所のバーチャル化、そもそも地域性を勘案して「条例」レベルにとどめた全国各地の暴力団排除条例との関係の整理、暴力団離脱者の取扱い、潜在化する暴力団と反社会的勢力に「どこまで規制をかけるべきか」、そして、最も本質的な問題である「暴力団を合法組織と認めてよいのか」といった課題など、今、改正を検討しておくべき理由が数多くある。暴排条例10年とあわせ多角的な検討が急務だ。(芳賀)

もし災害の一日前に戻れるとしたら、何をしますか

「もし災害の一日前に戻れるとしたら、あなたは何をしますか」。被災から一定期間が経過した被災者の方々に本音の話を聞こうと内閣府防災が中心となって始めたのが「一日前プロジェクト」だ。HPでは「家族と連絡が取れず、とても不安だった」といった身近な話から、「防災倉庫の鍵が勝手に外されて、中身は空っぽになっていた」「震災をきっかけに家族会議をひんぱんにするようになった」など、被災した方ならではの生々しい声が分かりやすい言葉で綴られている。もちろん「一日前プロジェクト」は企業でも簡単にワークショップなどに取り入れることができる。従業員に被災者の言葉を読んでもらい「今日が一日前だったらどうしますか?」と問いかけてみればよい。もうすぐ3月11日。ちょっとしたアイデアで、社内啓発を仕掛けてみてはいかがだろうか。(大越)

▼一日前プロジェクト(内閣府防災)

溶けないティッシュに思う、「ダメ!」の理由

先日、こぼれた目薬をティッシュで拭き、ひとまず上着のポケットへ。それをすっかり忘れ、そのまま洗濯機で洗ってしまった。洗濯ネットには入っていたものの、ティッシュはポケットから半分以上はみ出した状態で発見され、大惨事(?)を覚悟してよく見ると…全くそのままの形状。溶けてもいないし破れてもいない。思い出したのは、公共のトイレでよく見かける「備付の紙以外は流さないでください」、そしてティシュ箱の「水洗トイレに流さないでください」の文字。やわらかく、溶けるような肌触りだが、ティッシュは溶けない。トイレットペーパーとは別のものと実感した。ダメなことはわかっている。しかし少しくらいなら…の誘惑もわかる。それでもダメなものはダメであり、そこにははっきり理由がある。大麻や覚醒剤も、理由があって「ダメ」なのだ。(吉原)

相次ぐ工場火災や爆発に願う、現場重視の経営

工場の火災や爆発が相次いでいる。詳細な原因は様々であろうが、もう随分前から、ベテランの定年退職による影響が懸念され、経費削減のしわ寄せも現場に行きがちだと聞く。メーカーがモノを作れなくなったら、何で収益を得るのだろう?経営者がいくら素晴らしい経営計画を描いても、現場が付いてこなければ、ただの「絵に描いた餅」だ。必要な資源を配分せず、鞭で脅して働かせても、収穫できるのは痩せた少量のもち米のみ、描いたとおりの餅ができるはずがない。肥料は多すぎてもいけないし、必要なタイミングで必要なケアをするには、きめ細かな観察と、真剣に向き合う姿勢が重要だ。朝ドラの「あんこのおまじない」を思い出してしまった。「小豆の声を聴け。時計に頼るな。目を離すな。何をして欲しいか小豆が教えてくれる。」そう、現場の声を聴け!(吉原)

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