週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

AIと倫理~Meaningful Human Control

そもそも人工知能(AI)は間違いを起こすことが想定されている技術だ。学習データの偏りなどに起因して、差別など予期せぬ振る舞いをすることがあることは知られている。一方で世界は、AIの倫理的な問題に直面している。ロシアによる生物化学兵器の投入が懸念されるが、AIは既に既存の化学兵器よりも毒性の強い物質を設計、監視リストに載っていない危険物質を使った全く新しい生物化学兵器が生まれるおそれさえある段階だ。専門家は「悪意を持った強権的指導者が率いるような国が一国でも国際規範を無視するだけで、こうした毒物は作れる。すでにそのような計画が動き出していても驚くには当たらない」と警鐘を鳴らす。AIが自ら倫理的な行動を選択するわけではないが、倫理的に正しくあるべきだ。だが、残念なことに間違いを起こすのは人間の方なのだ。(芳賀)

▼Financial Times The dark side of using AI to design drugs

日向灘沖における地震発生確率を80%に上方修正

政府の地震調査委員会は3月25日、日向灘と南西諸島海溝周辺で今後30年以内に起きる可能性がある地震の長期評価を報告した。マグニチュード7クラスの規模の地震について、日向灘での発生確率を80%、沖縄・与那国島周辺は90%以上と上方修正した。両地域とも、発生確率は「不明」であるがM8程度の地震が起きる恐れがあることも示した。前回の長期評価の公表は2004年で、2011年の東日本大震災の発生を受けて18年ぶりに見直した。日向灘に隣接した東海から九州沖の南海トラフでは、今後30年以内にM8~9級の巨大地震が70~80%の確率で発生すると考えられている。また、南西諸島海溝周辺では、M7・4の地震で約30メートルの大津波が先島諸島を襲った1771年の「八重山地震津波」のように、地震の規模から想定される以上の大津波が発生する可能性も指摘している。(大越)

▼日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価(第二版)(地震調査研究推進本部)

パワハラ防止対策は、「形だけ」ではいけない

2022年4月、中小企業にもパワハラ防止対策が義務化される。慌てている企業もあるようだが、形だけの体制なら既にできていることが多い。パワハラはいけないこと、懲戒の対象となることは、ひな型通りに就業規則を作っていれば記載があるだろう。セクハラ等の相談窓口は既にあるはずで、それをパワハラにも広げればよい。だがセクハラやマタハラは他人事と捉える人も多いもの。故に相談は少なく、いざ発生しても相談のしづらさから泣き寝入りする人もいる。しかしパワハラという言葉はすっかり世に定着し、指導と紙一重の領域もある。自分事と捉える人が多ければ相談も増える可能性がある。いざ相談が入った時、プライバシーへの配慮や適正な調査ができるか?より良い職場づくりにつなげられるか?今一度、形だけではないハラスメント防止体制を考えたい。(吉原)

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