週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

暴力団対策法30年(2)~令和3年における組織犯罪の情勢

1992年3月の暴力団対策法施行から30年が経過した。この間、全国の暴力団構成員(準構成員含む)は30年前の91,000人から24,100人と3分の1以下にまで減少した。だが、正確にカウントできていない数字に惑わされてはいけない。今や警察に把握される組員数を減らそうとしている実態があり、警察は相当数を把握できていないはずだ。また、数字上は特殊詐欺への関与が深まる一方だが、実際のところ、そこに関わる若い衆を組織は切りにかかっている。もともと御法度のうえ、暴力団対策法上の使用者責任を負いかねないからだ。さらに、暴力団離脱者支援の最大の課題は受け皿だが、協賛企業の確保に苦労している一方で、出所者など偽装離脱者に会社を経営させて、組織に入りたい若者などを雇用する実態もあるという。数字として表れない部分にこそ本当のリアルがある。(芳賀)

丸パクリは危険~厚労省「カスハラ対策マニュアル」活用時の留意点

厚生労働省の「カスタマーハラスメント企業マニュアル」(以下、「マニュアル」)については、安全配慮義務等の観点から、カスタマ―ハラスメント(以下、カスハラ)対策について、現場対応要領にとどまらず、組織体制整備までの全体像についてガイドラインを示した点は評価できる。この点は踏襲して欲しい。ただ、細部については、参考にしていく上で注意が必要な点がいくつかある。一つ目は、クレームと悪質クレームに分け、悪質クレームを「カスハラ」と位置付けてしまっているため、カスハラに該当する範囲が広すぎる懸念がある点だ。お客様がごねたり、少し過剰な要求をしてきたりしたからといって、すぐにカスハラになるわけではない。「ハラスメント」の本質を踏まえて、定義や行為類型を精査する必要がある。範囲を広げ過ぎればCSが後退する。(西尾)

BCPにも「災害ケースマネジメント」を

誰一人取り残さない災害対応を目指し、近年注目されている考え方が「災害ケースマネジメント」だ。従来の政府の考え方では、住居の全壊・半壊という単一の根拠のみで支援する内容が変わり、被災者の経済状況や家庭環境、要介護者の有無など個別の状況や相談に対応することが難しかった。東日本大震災や熊本地震などで徐々に注目されるようになり、2016年の鳥取県中部地震では全国で初めて、「鳥取県防災及び危機管理に関する基本条例」において、災害ケースマネジメントに係る体制構築や被災者の生活復興支援を行う旨を明記した。内閣府ではこうした地方公共団体における取組の広がりを踏まえ2021年5月、防災基本計画において「個別避難計画の作成」が市町村の努力義務となった。企業のBCPにおいても、従業員を誰一人取り残さない取り組みが望まれるだろう。(大越)

▼災害ケースマネジメントに関する取組事例集(令和4年3月)

社内周知における「正確さ」と「わかりやすさ」のバランス

育児介護休業法の改正で、この4月から育休を取得しやすい雇用環境の整備や、これから育休の対象となる人へ制度を個別に知らせ、育休取得の意向を確認することが義務となった。10月からは産後パパ育休や分割取得等にも対応が必要となる。法改正の趣旨に異論はないが、複雑なルールが悩ましい。2010年のパパ・ママ育休プラス制度施行時、条文の意味がわからず、何度も読み返したことを思い出す。これを周知し、育休取得を推進しろと?だったらわかりやすい制度にしてくれ!と、当時中堅企業の人事担当だった私はどれほど嘆いたことか。正確さを優先すれば、条文通りの説明がベストだが、社員には伝わらない。わかりやすさを優先すると、正確さが多少犠牲になる。自社内での適切な制度活用を目指し、正確さとわかりやすさのバランスのとれた説明を考えたい。(吉原)

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