30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

不祥事発生のメカニズム~人づくりを疎かにした結果だ~日野自動車調査報告書から

特別調査委員会は、不正の真因として、「みんなでクルマをつくっていないこと」「世の中の変化に取り残されていること」「業務をマネジメントする仕組みが軽視されていたこと」を挙げた。とりわけ「日野では人材が固定化しやすく、セクショナリズムの傾向があることから、上司に逆らえないという雰囲気が醸成されやすく、その結果、パワーハラスメントが生まれやすくなっており、心理的安全性が確保されにくい組織となっているが、日野自身がそのことに気付いていないのではないか」、「こうした日野の体質が、部下や現場に対して無理を強い、不正に追い込む一因となっていた可能性は高いように思われる」との指摘は重い。不祥事に関わる人材を他ならぬ組織が作り出している現実。人づくりを疎かにした組織の再生は難しい。だが決して不可能ではない。(芳賀)

あらためて反社会的勢力とは何か

元首相銃撃事件に絡み、旧統一教会について公明党の北側副代表が同団体を「反社会的」と言及したことについて、政府の認識を記者団から問われ、木原官房副長官は、「政府として、反社会的勢力ということをあらかじめ限定的かつ統一的に定義することは困難」と述べた。言うまでもなく、「桜を見る会」問題に絡み、2019年12月に閣議決定された答弁書の内容をなぞったものだ。時代とともに姿形を変える反社会的勢力については、「関係をもつべきではない」との判断基準によって企業が個別に見極めていくべきものであり、実務的には正しい解釈だ。「信教の自由」の尊重は当然だが、「通常の宗教法人」と「違法行為を常習的・組織的に行っている反社会的な団体」とは区別すべきであり、企業が後者を「関係をもつべきではない」と見なすことも許容されるはずだ。(芳賀)

被害写真は「自分の思う3倍」撮っておこう

8月3日から続いた大雨。青森県、新潟県、宮城県、石川県、山形県などで深刻な被害が発生している。国交省によると、山形県の最上川など合わせて9県21水系45河川で氾濫が確認されたという。現地の一日も早い復興を願う。水害が発生するたびに毎回本稿で指摘しているが、水害で被災した住居などの再建は長丁場に渡る。まずはしっかり家を乾燥させ、消毒が必要になるからだ。これからの再建に備え、じっくりと体力を蓄えて欲しい。今後、片付けの前に必要になるのが、り災証明や保険の発行手続きに必要な写真の撮影だ。以前も指摘したように「自分が思う3倍」の写真を撮るように心がけて欲しい、写真は、被害の様相、特に水がどのくらいの高さまで浸水したかが重要になる。メジャーや自分の腰の高さなど、高さが分かるものと一緒に撮影するのがコツだ。(大越)

▼【緊急レポート】 従業員の家が水害で被災してしまったときに必ず伝えてほしい5つのポイント ~保険証、通帳は無くなっても大丈夫。被害写真は、自分が思う3倍は撮っておこう!~

再配置より前に、適切な備えを

国土交通省は7月15日、「国土形成計画(全国計画)中間とりまとめ」を公表した。「国土形成計画」とは、2005年に策定された国土形成計画法(元・国土総合開発法)に基づき、総合的かつ長期的な国土のあり方を示す計画で、これまで08年と15年の2回にわたり計画を作成してきた。今回の中間とりまとめは「コロナ禍による生活・経済の変化やデジタル推進などを踏まえた、令和時代の新し国土づくりの方向性を示す」ものとする。ポイントの一つに掲げられているのが、巨大災害対応だ。南海トラフ地震が発生すれば、首都圏や太平洋側の人口・産業集積地域に甚大な被害がもたらされる。カーボンニュートラルの実現と合わせ、被災エリアを考慮した産業再配置を謳っているが、誤解を恐れずにいえば日本中に安全な場所はない。再配置より前に、適切な備えが必要だ。(大越)

▼「国土形成計画(全国計画)中間とりまとめ」報道発表資料(国土交通省)

Windows8.1のサポート期限迫る

Windows8.1のサポート期限が2023年1月に迫っている。最近自宅の個人PCをやっとWindows10にアップグレードしたのだが、途中で失敗を繰り返し、3回目でようやく成功。更新が終わるまで放置した時間やセキュリティソフトの再インストール等も含めれば、ほぼ丸1日を要した。筆者を含め、PCを使うことに抵抗はないが、メンテナンスを面倒に感じる人は少なくないと思う。新しいPCを買っても、セットアップやデータ移行は必要であり、日常の用事はほぼスマホで事足りる今、そもそも自宅PCに何を求めるだろう。今の「スマホ世代」は、PCは学校で使った程度で、苦手意識を持つ人もいるらしい。使うことさえ慣れていない世代が、セットアップや定期的なメンテナンス、セキュリティリスクへの対応をスイスイできるのか…?若者に甘えず、自力でどうにかする力が必要かもしれない。(吉原)

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