30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

そのナラティブをポジティブなものに~「社会的包摂」こそ本質的なテロ対策だ

「ローンオフェンダー」の犯行は予兆がつかみにくく、その行動をいかに早く察知できるか、あるいは行動を抑止するために、武器を持たせることなく、そのナラティブをいかに書き換えるか(行動をあきらめさせるか)が重要だ。海外の研究によれば、反人工中絶や反性的少数者の立場からの犯行など動機・目的も多様化し、レイシズム(人種主義)やヘイトクライム(憎悪犯罪)との境界も曖昧になっている。さらに暴力で何かを達成しようとするのではなく、「暴力そのものが目的化した」事件も多発する。もはや伝統的な「政治的な動機」というテロ要素に厳密には当てはまらない「広義のテロ」への変質が顕著だ。一方、彼らは事前に犯行を示唆することも多く、孤立ゆえに「つながり」を求めている可能性が指摘される。「社会的包摂」こそが本質的な対策となる。(芳賀)

千日の旱魃に1日の洪水

故事に「千日の旱魃(かんばつ)に1日の洪水」という。千日の日照りと1日の洪水は同じくらいの災難をもたらすという意味だ。7月初めから日本各地を襲う水害は、人々の暮らしに大きな被害を与えている。消防庁の発表によると、6月29日から7月10日まで降り注いだ大雨は九州北部を中心に13人の犠牲者を出し、住家被害は全国で3000棟以上にのぼった。7月15日からの大雨は本日(7月18日午前9時)時点で犠牲者1名、住家被害は500棟以上と発表されているが、事態の全容はまだつかめていない。お隣の韓国では、冠水したトンネルで車15台が水没して8人が死亡するなど、全国で35人が亡くなった。「今年も水害は必ず発生する」と予告はしてみたものの、実際に発生すると暗澹たる気持ちになる。今はただ現地の速やかな復旧と避難した方の安全を願うばかりだ。(大越)

コミュニケーションの嬉しさを知ることが活性化につながる?

出張帰りの飛行機内にて。羽田に着き、順々に人が降りていく中、機長のアナウンスが流れた。利用やスムーズな運航への協力のお礼に加え、「降りた直後の窓で、よろしければ振り返ってみてください。操縦席より機長が手を振ってお見送りしています」と!乗客は初めて聞くアナウンスにザワザワ。CAさんも「機長も喜びますので、ぜひ」と笑顔で促す。わくわくしながら降りた乗客はほぼ全員が振り返り、笑顔で大きく手を振り返した。乗客が気付いていなかっただけで、機長はいつも手を振っていたのかもしれない。やはり挨拶は返ってきた方が嬉しいだろう。そしていつの間にかお見送りされていたことに気付いた乗客も、挨拶を返せたことがなんだかとても嬉しい。こんな嬉しい双方向性を感じられれば、コミュニケーションは自然と活性化するのではなかろうか。(吉原)

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