30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

サプライチェーン・リスクを意識した取引先管理を

最近のコンプライアンス・リスク管理においては、「サプライチェーン・リスクマネジメント」の視点が重要で、もはや「点」(相手との関係)だけの対応・発想だけでは不十分であり、「線」(商流)や「面」(グローバルな相互連関性)での発想が求められている。直近では、日本生命が、ESGの観点から核兵器製造企業に対する自社の運用資金の投融資を禁止したし、金やスズなど鉱物資源の採掘等を資金源とする現地の武装勢力による人権侵害や環境破壊等に対し、「責任ある鉱物調達」が求められるなど、サプライチェーンから「人類の幸福・安心・安全を阻害する行為・商取引」を排除する流れが強まっている。これまで「コスト」や「合理性」の観点から「最適」を捉えてきたが、今後は常に「最適」を求めて「サプライチェーン」を再構築していく必要がある。(芳賀)

関東大震災における津波の記録映像

2023年9月1日は1923年に発生した関東大震災からちょうど100年にあたり、世間ではさまざまなところでメモリアルにちなんだ催しがなされている。関東大震災の興味深いところは日本人が近代化してから初めての都市型巨大地震であり、写真や文章による当時の記録が豊富に残っており、近年でも新たな発見が後を絶たないことだ。本稿を執筆している8月27日付朝日新聞の1面トップには、「100年前に静岡で撮影か フィルム発見」という見出しが躍った。見つかったのは13分30秒ほどの35ミリフィルム。静岡県旧伊東町(現伊東市)を襲った津波の跡が残されていた。関東大震災における津波の記録は非常に珍しいものだという。フィルムの映像は朝日新聞デジタルの巻頭大震災100年特設サイトに掲載されている。9月は防災月間。従業員への防災教育にも役立てていただきたい。(大越)

▼関東大震災の津波被害とみられる映像フィルム発見 「貴重な資料」(朝日新聞デジタル)

「働かせる自由」は制限すべき、では「働く自由」は…?

来年4月から裁量労働制の導入・更新には、適用される労働者本人の同意と、同意撤回の手続き等を定めることが、専門業務型・企画業務型共に必須となる。時間の縛りを緩めることで、メリハリをもって働ける、より良い成果に向け試行錯誤の余地ができるという点では、仕事にやりがいや楽しさを求める人には嬉しい制度のはずなのだが…どうも残業代削減のための制度と思われ、警戒する人もいるようだ。規制の強化は制度を悪用する会社の牽制には必要だろう。しかし制度の活用が充実した仕事につながるはずの人にまで、悪いイメージを植え付けては勿体ない。一見非効率に見える遠回りや遊び心が、独自技術や魅力ある製品につながることは多々あったはず。会社の「働かせる」自由は制限しても、労働者がのびのびと「働く」自由まで奪わないでほしいのだが…。(吉原)

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