30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

特殊詐欺対策は社会全体で~まずはその実態を深く知ることが重要だ

特殊詐欺が猛威を奮っている。特殊詐欺は長年蓄えた被害者の財産を短時間で奪うだけでなく、家族との信頼関係や生命にまで影響が及ぶことさえある、極めて悪質な犯罪で、絶対に許されるものではない。支援団体は「特殊詐欺は間接殺人」と非難し、「被害に遭うのは家族を思う優しさ、役に立ちたいという気持ちによるもの。悪いのは加害者で、被害者を責めてはいけない」、「特殊詐欺は日本の社会構造が生む犯罪で、解決策が見つからないのは日本国民の連帯責任だ」と訴える。また、時代を反映した新たな手口が次々と登場しているが、実はその手口の類型はそれほど多くはない。さらに、被害者は圧倒的に女性の高齢者が多いが、実態は異なる可能性もある。闇バイトの実態も含め、社会全体がこうした特殊詐欺に対する理解を深めることが対策の第一歩となる。(芳賀)

江東5区で「我が家の水害リスク診断書」配布

少し前の話で恐縮だが、東京都は7月21日、江東5区(墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区)と連携し、特に水害リスクが高いと思われる約48万世帯に対して「我が家の水害リスク診断書」を送付したと発表した。「荒川の洪水」「江戸川の洪水」「高潮」の3つのパターンで住民が暮らす家の水害リスクを診断。「浸水の深さ」「浸水継続期間」などを明記している。特に江戸川区ではマンションなどの高い物件も少ないため、ハザードマップに「(水害が発生したら)ここにいたらダメです」と区外避難を促したものを作成し話題となった。首都直下地震では揺れにより堤防の耐震化できていない部分が決壊し、大規模な水害が発生する「地震洪水」の可能性も指摘されている。住民だけでなく、江東5区に事業所のある企業の担当者も十分確認しておいてほしい。(大越)

真の加害者は「信頼」の陰に隠れている

仕事のできる「社長のお気に入り」が、若手を次々潰しても、大したお咎めも受けずに社内で力を持ち続けるのはなぜだろう。一見「親切な人」「立派な人」と親が信頼した人が、子に性被害をもたらすのはなぜだろう。悪質な加害者は、二面性を持つことが多いものだ。深く信頼しているからこそ、被害者の訴えを「そんなはずない」「お前の方が間違っている」と封じ、第二の加害者となって被害者をさらに傷付ける。しかし、加害者に騙され、信頼し、多くの経験を共有してきた第二の加害者もまた、加害者に裏切られた被害者ではないか。真の加害者の罪は深く、被害者は何度も繰り返し傷付けられる。自分は騙されずにいられるか?第二の加害者になっていないか?「自分は大丈夫」と過信し、被害者を責めて排除していれば、次に責められるのは自分かもしれない。(吉原)

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