30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

犯罪組織にすべてを握られている実態を認識せよ

2023年5月、神奈川県警が押収した中国人犯罪グループの1台のパソコン(PC)から驚くべき量の個人情報のデータが見つかった。約1億件分のメールアドレス、うち約290万件が、このPC内に記録されていたID・パスワードと紐づけられていたうえ、漏えい先44社に登録されていた約1.7万件のクレジットカード情報も暗証番号や口座情報付きで保存されていたという。さらに、金融機関や大手ショッピングサイト、通販など偽サイトの「作り方」のマニュアルや、偽サイトへ誘導するための案内文のひな型、利用者のPCを感染させて個人情報を抜き取るためのコンピューターウイルスの作成法に関する記述まであったという。フィッシングは、カードの名義人本人が個人情報を入力していることが多く、情報が正確で、市場での価値も高い。今や誰でも攻撃者になれる状況なのだ。(芳賀)

災害対策現場の「思いやり」と「思い込み」

少し前の話だが、岸田文雄首相が「女性ならではの感性」発言で批判を浴びた。「女性ならでは」の反語は「男性ならでは」だが、当然「男性ならではの感性」などあるはずもなく、あるのはそれぞれの「個性」でしかない。とはいえ、防災の世界はまだまだ女性の参画が進んでいないのも事実だ。災害対策本部の訓練支援に行っても、女性が多く参加している企業はまだ少ない。特に帰宅困難者対策は避難所運営に近いため、「女性ならではの視点」ではなく「女性の視点」やLBGTQへの配慮は必須となる。反対に「若い男性社員だから力仕事をお願いする」「女性に食事手配をお願いする」というのもアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)なのかもしれない。自分の考えが「思いやり」なのか「思い込み」なのか。令和の時代にあった災害対策を模索することが必要だ。(大越)

目的を見失った電子化・効率化に注意!

出張申請・精算書を電子化するときのこと。人事は「労働時間を正しく把握し、給与計算用の勤怠データを正しく抽出したい。その期間が出張中で、上司が承認していることを明確に把握できるように」と、経理は「何にいくらかかったか、その費用はどこの負担とするかを明確にしてほしい。領収証との照合も必要。日当の金額に間違えが多いので、自動チェック機能がほしい」と要望した。出張申請・精算を承認するのは、各部署の管理職たち。彼らは書式やシステムには興味がなく、誰からも特別な要望は出なかった。結果、でき上がったシステムには、出張者が、何のために、どこへ、どの便で移動し、どこへ泊まるかを記載する欄がなかった…! 極端な例だが、何事も目的を見失ってはならないということ。会社として必要なことは、部分最適の総和ではないはずだ。(吉原)

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