30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

人権尊重とはそんなに軽いものなのか

宝塚歌劇団の問題では、行き過ぎた上下関係や理不尽な慣習が蔓延る閉鎖的な組織風土が明るみになった。批判を受け始まった再調査でも更なる「闇」が炙り出される可能性がある。本件は明白な人権侵害だが、広告主やメディア等は旧ジャニーズ事務所の性加害問題を放置した過去と同じく沈黙し、調査要求や組織風土改善に向けた影響力の行使も不十分なままだ。こうした態度も「人権尊重のガイドライン」等に照らせば真に責任あるものとは言えない。また、羽生選手の離婚の背景に誹謗中傷やメディア等によるストーカー行為などがあるという。さらにその後の報道やSNS上のコメントも追い打ちをかける。事実なら、人権侵害を謳うものが「制限のない幸せ」を奪う深刻な人権侵害を犯す矛盾をどう説明するのか。「人間が人間らしく生きる権利」の実現を心から願う。(芳賀)

知らないうちに迫る薬物の脅威

筆者が暮らす東京都小金井市は人口12万7千人程度。東京のほぼ中央に位置する、平均的な自治体だ。小金井公園など江戸時代からある大型の公園もあり、治安も良いため新婚ファミリーには人気の地域でもある。そんな小金井市で、11月4日に事件は起こった。筆者の家から徒歩15分ほどの場所に位置し、休日は子供たちでにぎわう武蔵野公園で開催されていた祭りの最中、40代の男性が配ったグミを食べた10~50代の男女6人が体調不良を訴えて病院に緊急搬送された。警視庁は大麻類似の成分が含まれていた可能性があるとみて捜査に乗り出している。正直なところ小金井市は薬物とは無縁だと思っていただけに、衝撃は大きい。知らないうちに、薬物の脅威は我々にも迫っている。「今まで大丈夫だったから」は通用しなくなってきていると考えたほうが良いのだろう。(大越)

いつの間にか偏見が入り込むリスクに注意!

事例検討や面談のロールプレイングを含む研修を度々実施する。いずれも人物設定を念入りに行うのだが、「悪質なクラッシャー上司」を想定した人が「本当は熱心な指導を行う良い人」に、「有能だが、大きなストレスで一時的にメンタルが不安定になっている人」を想定した人が「同じような相談を繰り返す問題社員」に受け取られることがある。意図通りに受け取る人と真逆の人が混在するため、議論が難しくなるのだが…この受取り方の違いにこそ、根本的な問題がありそうだ。事例ではその人物の典型的な言動を示すが、背景には想像の余地が多くある。人によって想像する背景が異なるため、人物像がブレるのだろう。研修用の架空の人物だからこうなるのか?いや現実も、社内の「よく知らない人」を扱うだろう。偏見が人物像をゆがめるリスクに注意が必要だ。(吉原)

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