30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

暴力団の「自壊」はさらに進んでいる~その先を見据えよ

六代目山口組が分裂して10年が経過した。暴力団自体の弱体化が進み、抗争終結宣言を行ってもなお、特定抗争指定の解除も難しい「八方塞がり」の状況にある。いまや暴力団が暴力団たるゆえんの本来の活動や振る舞いができず、その存在意義が問われている。暴力団の「生き残り」をかけた戦いは、不確定要素が以前より大きくなる中、暴力団が暴力団であろうとすればするほど、表面的にも表象的にも内面的にも今の形態のままでは生き残れない状況を自ら作り出し、「自壊」を早めることになる。そして、暴力団の「自壊」が行き着く先は結局「任侠団体」だ。一方、存在感を増すトクリュウら周辺は文字通り「反社会的な集団」として、暴力団との距離感を時代とともに変えながら、「自律」「規律」のない、任侠団体から遠い「外道」に近づいていくのではないか。(芳賀)

無罪推定の働かない人権後進国日本の現状を憂う

サントリーの新浪会長が辞任した。捜査中のため、今後の推移を見守る必要があるが、ガサ入れで薬物は見つからず、尿検査でも陰性という現時点の状態では、無罪推定を前提とすれば、黒を前提とした報道やコメントには違和感を覚える。確かに、CBDサプリには大麻成分THCが含有することがあるが、国内でも一定基準値以下の含有は許容され、大手製薬会社からも販売されている。サプリを扱う会社の会長として注記を読み購入したと思われ、軽率であることは否めないが、単に海外製、CBDサプリという理由で批判するのは無理がある。フジテレビの案件以降、ビジネスと人権がクローズアップされる中、無罪推定すら働かない現状を憂うしかない。福岡県警の強制捜査が適正だったのかの検証も現時点では見られない。お題目ではない、人権保護対策が必要だ。(西尾)

▼新浪氏の自宅を麻薬取締法違反容疑で家宅捜索 違法薬物は見つからず(朝日新聞)

変わらない日本の政治状況

予測されたシナリオの一つとはいえ、石破首相の辞任表明が波紋を広げている。後任が誰になるのか、連立の有無や組み合わせも含めて、暫くの間メディアを賑わす。米国との関税交渉が一段落したとの理由も無理がある。交渉関係各国でトップが辞任したとの話は一切聞かないからだ。今後は、いつものように政策論議ではなく政局報道一色になる。直近の参院選では政策論議は戦わされたものの全く深まらず、国民が最も重視している物価高騰の解消も未だ見えず、“責任論”だけ声高に叫ばれた。それ以上に、国民的合意が取れていない段階で「アフリカ・ホームタウン計画」などで大量の移民受け入れ構想をSNSの偽情報の所為にしたり、リサイクルや不法投棄の問題が解決していない太陽光パネル拡張を進めるなど肝心な“政策”の議論は相変わらず回避されていく。(石原)

LINEヤフーが「9.1防災の日 #災害に備える 2025」開設

LINEヤフーは9月1日の「防災の日」に合わせ、特設サイト「9.1防災の日 #災害に備える 2025」を開設した。特設サイトの検索窓に「ハザードマップ」と入力すると自宅や職場などの周辺の浸水や土砂災害、津波の災害リスクを確認できる。同社が8月に行ったアンケートによると、直近1年以内にハザードマップ確認を実施した人は16.6%にとどまり、実際に行動に結びついていない実態が浮き彫りになったという。特設サイトでは豪雨や洪水などの水害を想定し、自宅や職場から実際に避難場所まで歩く状況をスマートフォン上で疑似体験できる「スマホ避難シミュレーション」や、地震、津波、大雨・台風など災害種別ごとに、事前の備えややるべき行動、情報収集方法をわかりやすく整理した「スマホ防災」などのコンテンツを閲覧することができる。ご家族でぜひ見てほしい。(大越)

▼「9.1防災の日 #災害に備える 2025」特設サイト

抜け漏れなくハラスメント相談のヒアリングをするなら…

ハラスメントのヒアリングでは何を聞けばよいか?漏れがないよう、マニュアルやチェックリストを作ったり、ヒアリングシートに項目を網羅した記入欄を設けたりと、工夫は様々ある。だが全てのケースに共通で、「これさえ聞けば完璧」と言える項目リストを作るのは難しい。パワハラと指導は「言ったか、やったか」の事実確認だけでなく、その時の状況やそれまでの流れをあわせ見て、その言動の妥当性を判別する必要がある。臨機応変に状況を掘り下げ、必要十分な情報を得たいなら、映画監督になったつもりで、頭の中でそのシーンを映像化しようと試みればよい。誰と誰が、どこで、どんな位置関係で、どんな気持ちから、どんな表情で、どんな言動をどの程度とったのか、そこに至るまでのストーリーは…と、映像がくっきり見えるまで聞けば、十分なはずだ。(吉原)

個人情報の取扱いにおける事故等の主な原因はヒューマンエラー

8月29日、JIPDECが「2024年度 個人情報の取扱いにおける事故報告集計結果」を公表した。事象分類別では、「誤配達・誤交付」(3,172件:41.4%)、「誤送信」(2,250件:29.4%)の順に多く、原因別では「作業・操作ミス」(4,324件)、「手順・ルール違反作業、操作」(3,633件)「確認不足」(3,280件)の順に多かった。一方、IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2025」では、ビジネスメール詐欺に関する手口として、ディープフェイクによる映像や音声のなりすまし(ビデオ会議上でCFOになりすました人物によって約37.5 億円が詐取された事件)、生成AIによる大量の詐欺メール送信のように、先進技術を悪用したものが紹介されていた。ミスをするのも、騙されるのも人間だ。フールプルーフ(Fool Proof:人間が操作を間違えたとしても、それをカバーできような仕組み)に基づく対策をお薦めする。(安藤(未))

▼一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)「2024年度 個人情報の取扱いにおける事故報告集計結果」(2025年8月29日公表)
▼独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2025」(最終更新日:2025年7月24日)

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