週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

ポストコロナにおけるプラットフォーマーのあり方が問われている

米通信品位法230条は、不適切な投稿があっても運営会社に法的責任は課さないことを定めているが、それが今日のインターネットの「インフラ化」に大きく寄与したと言われる。だが、コロナ禍とあいまってインターネットやSNS上のデマが世界を混乱させ、ネットリンチの過激化、過激テロ組織の勧誘や違法薬物売買、児童ポルノなど「犯罪インフラ化」もまた深刻な状況だ。中立性が求められているとはいえ、悪意の排除に向けた運営会社の厳格かつ自主的な取り組みも必要だろう。先日、米大統領令は、「人を欺くような、差別的な、あるいはネット企業のサービスの条件と矛盾する行為を巡っては、企業は免責が取り消されるべきだ」と規制強化を求めたが、本来は「表現の自由」と「社会の目線」のバランスの中で、事業者が自立的・自律的に取り組むべきものだろう。(芳賀)

BCP整備・強化は、事態の総括から始めよ!!

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が落ち着き、企業の危機管理の観点からは、第二波を見据えたBCP整備の機運が高まっている。しかし、今から一(いち)から感染症BCPを作成するのは非効率だ。すでに第一波を乗り切った今、BCP整備の観点から行うべき対策は、今回の新型コロナウイルスに対応してきた経緯や内容、判断基準、課題等を抽出・整理し、記録することだ。総括すれば、すでにその中にBCPのエッセンスは含まれている。その上で現行の体制やルールを見直し、課題への対応策を検討すれば、BCPの実効性も担保できる。ただし、過去の歴史を辿ると第二波は第一波以上に危険性が増しているケースもあり、衛生・健康管理対策は第一波以上に強化する必要がある。震災BCPでも同様だが、BCPの原石は自社の日々の業務の中にあることに気付くべきだ。(西尾)

「新型」感染症に臨む基本スタンス~BCPでも重要な視点

感染症対策は情報戦であり、正しい情報を取ることが重要だ。健康への影響に関しては往々にして「科学的根拠」が重視されるが、「新型」感染症・ウイルスに関しては、感染拡大期に相応の「科学的根拠」を求めることには無理がある。そもそも、科学的検証がなされておらず、実態が解明されていないから、「新型」なのである。科学的根拠が証明されるまでには、相当に膨大な母数の症例や研究が必要であり、相当な時間がかかる。どんな薬や治療が効くかわからないため、治療も対症療法でしかない。治療しなければ命に関わる以上、科学的根拠がなくても有効性がありそうなら、その薬や治療が試され、科学的根拠を判断するための症例になっていく。新型感染症には、科学的根拠不明を前提に既知の精度の高い情報を見極め、予防原則に従って対処する必要がある。(西尾)

パワハラ防止法、事業者が講ずべき措置

今回成立したパワハラ防止関連法案では、企業に相談窓口の設置などのほか、パワハラが発生した場合の迅速な対応も講ずる必要がある。事実関係を迅速かつ正確に把握し、加害があった場合は、被害者に対する配慮措置、加害者に対する懲戒などを含めた措置を行う。弊社の調査では、ハラスメントを受けたり見聞きしたりした人の約4割が誰にも相談していない。その理由は、「相談してもなにも変わらないと思った」がもっとも多く、約6割を占める。続いて「報復等不利益を懸念した」、「通報者が特定される懸念がある」など通報制度そのものや調査・是正措置への不信を示す理由が上位を占める。そのような企業風土がパワハラを温存する。制度不信は会社そのものへの不信といえる。パワハラは許さないという覚悟をトップが示すことでしか変革は動き出さない。(伊藤)

企業は新型コロナ接触確認アプリを積極活用してほしい(1)

厚労省は19日、新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」を公開した。プライバシーに配慮した設計で、アプリを利用するために個人情報を入力しなくてもいいところが最大の特徴。新型コロナに感染したアプリの利用者との接触が確認された場合、スマホに通知が届く。通知が届いてから初めて個人情報を入力するシステムだ。メリットは、登録している場合優先的に国からのサポートを受けられることだ。かつては医療崩壊が問題となり、検査以前に保健所などから「しばらく様子を見てください」と言われてしまうケースが多数見られたが、このアプリで「陽性者と接触があった」という通知を受けることにより、仮に無症状であったとしても保健所や病院での検査・優先的サポートを受けやすくなる。企業としては積極的に、会社貸与のスマホに導入を検討してほしい。(大越)

企業は新型コロナ接触確認アプリを積極活用してほしい(2)

もちろん毀誉褒貶もある。が、そのほとんどが政府のリリースの仕方のまずさによるものだ。まず、公開当初はダウンロードする場所さえも見つけることが困難だった。利用する際にも、勝手に日付が更新されてしまうなど様々なバグが発生しているなどのことから、接触確認アプリのベースとなるコードをオープンソースで開発し提供したCovid19Radar コミュニティに対して批判が出ている。ただし、Code for Japanの関治之氏も指摘しているように、このコミュニティは全くのボランティアベースのプログラマーの集まりであり、批判は的外れなものだ。最終的な品質に責任を負うのは、政府もしくは政府から委託を受けた事業者であるはずだ。現在新型コロナも小康状態を見せていることから、まずはパブリックベータ版を限られた人の間で公開し、きちんと検証することで容易に発見できたものだ。(大越)

企業は新型コロナ接触確認アプリを積極活用してほしい(3)

さらに、Google Playストアではダウンロードする時に「プレビュー版」と明記してあるが、Apple Storeでは「プレビュー版」が消えていた。ASではデモ版の公開をガイドラインで禁じているためだ。本来であれば公開を取りやめなければいけないのに「プレビュー版」を消して公開してしまったことが混乱に拍車をかけた。このような対応のまずさは、今回のアプリの公開に当たっての政府のスケジュールありきの対応が見え隠れする。東日本大震災以降、連綿と続くCode for Japanをはじめとするボランティアベースでの災害支援の芽を、今回のことでつぶしてはいけない。公助や共助の精神でボランタリーに頑張ってきたメンバーが責任追及の矢面に立つことがあってはいけないのだ。アプリは6割の国民が持たないと効果がないといわれる。企業もネットの噂に騙されず、積極活用してほしい。(大越)

公益通報者保護法改正で負担増 通報担当者にも保護を

同法の改正で内部通報担当者が正当な理由なく守秘義務に違反した場合、刑事罰(30万円以下の罰金)が科されることになる。通報内容の拡散防止や窓口信頼性向上には一定の効果が期待できる反面、ただでさえ精神的負担の重い担当者に対し、更にプレッシャーを与える構造となりかねない。また、少人数で通常業務と並行し通報に対応している実態をふまえれば、業務量の軽減も急務だろう。初回の通報などはどうしても通報者とのやりとりが多くなりがちで業務を圧迫する。未対応案件が滞留すれば、外部告発されるリスクも高まる。担当者の負担軽減に向けては、一次受け窓口の外注も有効だろう。ハラスメントなどの場合は通報者からある程度必要な情報を引き出してから社内に報告される運用にすれば、業務の効率化、窓口の信頼性向上の両面に寄与するはずだ。(福田)

※第三者内部通報窓口「リスクホットライン🄬」の詳細はこちら

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