週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

組織犯罪と戦うために~組織犯罪情勢とAML/CFTガイドラインFAQを読み解く

暴力団構成員等の減少が止まらない。だが、構成員の減少幅だけ大きく縮小した点が気になる。準暴力団を「近年、繁華街・歓楽街等において暴行、傷害等を敢行するとともに、違法な資金獲得活動を行っている実態がみられるほか、暴力団との関係を深め、犯罪行為の態様を悪質化・巧妙化している状況がうかがえる」と指摘するも肝心の実態について具体的な数字がない点も気になる。一方、「大麻乱用者の実態」からは、若者が「誘われて」薬物に手を出す状況、知人・SNS等から誤った情報を入手している実態など「環境整備の重要性」が浮き彫りになった。さらに、来日外国人犯罪ではベトナム人の脅威が想像以上に顕著だ。片やAML/CFTの実務は、反社リスク対策と一体のものとして捉え、深化・厳格化させていくこと、リスクの変化に敏感であることの重要性を痛感する。(芳賀)

〈参考〉
▼暴排トピックス2021年4月号:組織犯罪と戦うために~組織犯罪情勢とAML/CFTガイドラインFAQを読み解く

IPA、ニューノーマルにおけるテレワークとIT業務委託のセキュリティ実態調査

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、「ニューノーマルにおけるテレワークとIT業務委託のセキュリティ実態調査結果(最終報告)」を公開した。本報告書によると、テレワークにおいて、通常会社が許可していないアプリケーションやサービスの業務利用を「やむを得ず」認めた状態のままになっている組織が一定数存在するとしている。業務委託契約においても同様で、委託先でのBYODやテレワークでの業務環境の実態はあまり把握されていない。特に委託・再委託先での運用の不備や例外の放置は、多くの重要な情報が危険に晒される可能性があり、注意を払いたい。今すぐパートナーと脅威に対する共通の認識を持つとともに、事前のリスク評価の徹底とサプライチェーン全体を巻き込んだセキュリティレベルの引き上げと強化を重要課題として位置づけてほしい。(佐藤)

〈参考〉
▼独立行政法人情報処理推進機構「ニューノーマルにおけるテレワークとITサプライチェーンのセキュリティ実態調査」

日本人がまだ知らない「気候安全保障」リスク

「気候安全保障(Climate Security)」という言葉をご存じだろうか。欧米諸国では近年よく聞かれる概念だが、日本ではなじみのない言葉なのでご紹介したい。国立環境研究所社会環境システム研究センター長の亀山康子氏は、気候安全保障について昨年発表した論文で、以下4つの類型に分類している。(1)長期的かつ不可逆的な地球規模変化、(2)個人への短期的かつ突発的なリスク、(3)紛争や暴力の根源的要素、(4)軍事力や防衛力への影響。気候変動が国家の紛争や軍事力に影響するという部分は私たち日本人には想像が難しいが、飲料水を求めてアフリカからの難民が欧州に流れ込んだり、海面上昇の影響を受けた島国の人々がオーストラリアなどに押し寄せていたりするなど、海外では深刻な影響が出始めている。気候安全保障はすでに防災ではなく、国家の安全保障問題なのだ。(大越)

〈参考〉
▼気候安全保障とはなにか~まだ知らない気候変動のリスクに気づく~(国立研究開発法人 国立環境研究所)

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