小売業における従業員を起因とするロス (2018.10)

2018/10/24 / 総合研究部 上級研究員/部長補佐 伊藤 岳洋 プリント

従業員を起因とするロス

 皆さま、こんにちは。
本コラムは、消費者向けビジネス、とりわけ小売や飲食を中心とした業種にフォーカスした経営リスクに注目して隔月でお届けしております。
 前回は、ロスのなかでも棚卸しに関係するものに主眼をおいて取り上げました。今回は、従業員を起因とするロスについて考えてみたいと思います。
 以前にも参照しましたが、小売業におけるロス対策および商品管理に関する世界的な調査の報告書『GRTB(Global Retail Theft Barometer)2013‐2014 日本語版 』を確認してみたいと思います。この報告書では、ロスの原因として「万引き」、「従業員による盗難」、「サプライヤーによる不正」、「管理上のミス・犯罪以外の原因」などを挙げています。このような原因によって、帳簿上の在庫と実在庫の差が発生することをロスとし、世界24か国のロス率とロス総額を示しています。
 日本のロス率は世界で2番目に低く0.97%であったものの、ロスの総額は約9,984億円であり、アメリカ、中国に次いで世界で3番目に高い結果でした。アメリカでは「従業員による盗難」が最も高く42.9%、次いで「万引き」が37.4%となっています。日本の場合、ロスの原因は、多いものから「万引き」が47.0%、「管理上のミス/犯罪以外のロス」が35.2%、「従業員による盗難」が9.2%という順になっています。アメリカほどではないにしろ、日本では、原因がわからないものも「万引き」として処理している傾向があり、「従業員による盗難」が正確な割合の数字として反映されていない可能性があるものの、業務上のミスと合わせると従業員を起因とするロスが相当に大きなロスの原因となっていることがわかります。さらに、被害額という視点では「従業員による盗難」は、「万引き」と並ぶ相当に大きなロスの原因となっていることがわかります。 さらに、被害額という視点では「従業員による盗難」は、「万引き」1件あたりの被害額の15倍におよぶという数字もあります。従業員はさまざまな手口で不正を行い、その結果、経済的損失に加えてモラルの低下をもたらします。これは、従業員は小売業にとっての最大の資産にもなり得るし、最大の敵になり得ることも示しています。
 多くの場合、従業員は店舗にある全ての資産にアクセスが可能です。現金の保管場所を知っており、オペレーションの関係からパスワードも一部の従業員には知らされていることも往々にしてあります。また、各種の合鍵を持つことも不可能ではありません。従業員は、これらに関するセキュリティを熟知しており、不正を働いた場合のリスクを把握できていると考えた方がよいでしょう。さらに、従業員は注意深い管理者と防犯に無関心な管理者の勤務している時間帯を容易に知ることもできます。つまり、従業員は不正が発覚するリスクを最小限に抑えて、確実に不正の果実を得ることができる存在と捉えることができます。
 具体的な不正の手口を見ていきましょう。もっとも発覚しにくく、被害額も大きい不正としては、商品の窃盗が挙げられます。多様な手口がありますが、店舗や倉庫に保管されている商品を持ち帰り、自ら使用したり、あるいは前回触れたようにフリマアプリやオークションサイトなどを通じて換金したりすることが代表的な犯行です。また、レジに関連しては、友人や家族と共謀してレジ登録をせずに商品を渡す(店の外に持ち出す)という手口があります。さらに手の込んだ犯行としては、ショッピングモールなどでは、従業員が近隣の店舗の従業員とお互いの商品を持ち出すことを黙認するというケースもあります。一方で、レジ登録を行っているからといって、安心はできません。レジ登録の際に、値引き登録や売価変更登録を悪用して、たとえば1,000円の商品を100円で販売することも可能です。精算をしているので現金不足は発生しませんが、差額の900円は、商品評価損として粗利益を低下させるというロスなります。もっとも、値引き登録や売価変更登録は、一般には厳密に管理する小売企業が多くなっており、発覚しやすい不正といえます。ただし、管理する側の責任者が値引き登録や売価変更の不正を行う場合は、見落とされたり、発覚が遅れたりするので、エリアマネージャーや店舗会計など本部側のチェックが重要になります。
 また、返品(返金)登録や精算中止操作も古典的な不正です。返品(返金)登録では、現金を着服する不正ですが、架空の返品を仕立てることは想定しておくべきです。責任者や他のスタッフが返品の現場で確認するというルールがない場合は、返品(返金)登録の記録が特定のスタッフに偏っていないか、頻度などもチェックする必要があります。精算中止操作も現金の着服の不正ですが、責任者不在の時間帯に犯行におよぶケースが多いのが特徴です。特にお会計がお釣りの発生しないちょうどの金額の場合、レシートを受け取らないお客様もいるため、(レシートを出力する段階の前で)クリアしてしまえば痕跡が残らないシステムになっている場合もあります。店舗にとっては商品を失い、従業員は現金を着服し、現金の過不足はシステム上では発生しないことになります。

 実際に顧客からの返品に関しては、小売企業によって若干の対応に差があるものの、平均的には現物(未使用)があれば、生鮮品でない限り対応しているのではないでしょうか。
アメリカ(*1)ほどではないにしろ、返品に対して寛大なサービス方針のため、返品詐欺に対しては必然的に脆弱です。一時期、化粧品など高単価な盗品を現金に換金するため、返品として店舗に持ち込む詐欺が蔓延しました。特に責任者が不在の時間帯を狙っての犯行が多く、そのような時間帯に勤務するスタッフは十分な教育や情報共有がされていない(たとえば24時間営業の早朝スタッフは責任者と顔を合わすことがほとんどない)ことから容易に騙し取られることになります。詐欺に対抗するには、必ず現物と自店の購入レシートの両方が揃っていなければ、返品をお断りする、または、責任者のいる時間帯へ誘導するなどの対応が必要です。もっとも、フリマアプリなどリユースの拡大により、盗品の換金もそのようなフリマアプリやリユースショップを通じて行われることが多くなったのは、先月号で述べたとおりです。その意味では、むしろ商品の窃盗のリスクがこれまで以上に高まっていると認識すべきです。
 従業員に起因するロスという点を維持しつつ、店舗商品に限らないビジネス上の不正に視野を広げてみましょう。小売企業では、特定の従業員は商品やサービスを提供する業者からの賄賂や裏金、過剰な接待などを受け取れる立場にあります。商品部のバイヤーや購買担当者、物流マネージャー、店舗の立地開発担当者、施設建設担当者などは契約の交渉を担当したり、承認したりする立場にあります。商品やサービスを納入する業者にとっては、特にチェーンストアは一旦選定されれば大量の納入が見込めるうえ、企業(商品・サービス)の知名度やブランド力の向上につながるため、不正を働きかけるには十分な動機が存在します。このように担当者と業者との癒着を防止するには、取引の透明性を担保するために競争入札にすることは有効です。また、商談などにはできる限り管理職と担当者、もしくは、複数の担当者が交渉に同席することで癒着を抑制できます。また 、業者からのどのような要求や条件についても文書で報告させるべきです。業者から従業員への接待や金品の供与も取引規定などで禁止して、業者との適切な距離感を保つなどのルールは整えた方がよいでしょう。さらに、担当者を定期・不定期に異動させる、強制的に長期連続休暇を取得させるなども不正の抑止(早期発見)として有効です。取引の期中にでは、求められている取引の慣行に沿ってない場合や通常使われていない銀行口座を通じた代金や手数料の支払いは不正の可能性があるので注意が必要です。そのような動きを察知できる監査システムの整備も必要といえます。
 もうひとつの不正の例は、勤務時間の不正です。従業員が遅刻または欠勤している他の従業員のためにタイムカードの打刻を代わりに行うものです。さらにいえば、規定の休憩時間よりも長い休憩を取ったり、会社の業務以外のことに時間を使ったりすることもロスにつながります。このような事態を防ぐには、規律を高く維持して、管理者と従業員の双方のコミュニケーションをよくし、管理者の積極的なリーダシップが有効です。従業員に対して店舗・会社の一員としての参画意識を常に引き出すようなマネジメントが求められます 。一方で、本人以外が勤怠打刻をできない生体認証を利用したタイムレコーダーの導入などシステム的な対策も有効です。指の静脈で本人を認証することでなりすましを防止するような技術がすでに実用化されています。
 従業員に店舗・会社の一員であることを感じさせる取り組みとして、小売企業は店舗で販売している商品の従業員割引を提供しているケースは少なくありません。割引は通常10%~20%程度で運用されているようです。この制度そのものは従業員にとって有益なものですが、不正という観点では注意が必要です。たとえば、割引で購入した商品を共犯者が定価での返品や割引価格を上回る価格での横流し、フリマアプリでの出品・換金などの不正が考えられます。また、チェーンストアにおいて特定の店舗が他の店舗より割引購入制度の利用が極端に低い場合は、商品を公然と盗んでいる可能性を疑う必要があるでしょう。したがって、割引制度の運用に関してはそのような視点での監視が重要です。
 次に機密情報について見ていきましょう。小売企業が所有している機密情報には、チェーン店であれば出店場所、個店の売り上げ、粗利益率、店舗損益に始まり、チェーン全体の損益に及びます。また、顧客リストや商品の使用履歴やカルテのような機微情報もあるかも知れません。これらの情報を従業員が故意か故意でないかにかかわらず、漏らした場合は、会社に深刻なダメージを与えることがあります。このような情報は、管理・保護を厳格に行う必要があります。機密情報へのアクセスを資格や役割によって制限したり、取り扱いを制限したりすべきです。機密文書であれば、セキュリティ対策が施された保管庫に管理する必要もあります。 不正競争防止法においては、秘密管理性、有用性、非公知性(公然と知られていないこと)という3つの要件を満たしている場合、営業秘密として保護されます。不正に営業秘密を流出させれば、不正競争防止法違反で逮捕・起訴され、損害賠償請求を受ける可能性があります。秘密として管理されていると認められるには、情報にアクセスできる者が制限されている、情報にアクセスした者が営業秘密であることを認識できるようにしていることが必要です。また、有用性の点では顧客リストも経営効率の改善に役立つものとして秘密として保護されます。そのような点からセキュリティ対策が施された保管庫に管理し、アクセスを制限する必要があるのです。また、個人情報や機微情報の保護や機密情報など守られるべき情報について、どのようなものが該当するのか、取り扱う場合はどのように管理するのかといった従業員への教育を定期・不定期で行うことは不可欠です。
 従業員に起因するロスについて見てまいりましたが、特に不正については被害額が大きくなったり、会社の社会的信用を毀損したりする場合があります。また、やっかいなことに管理側の事情に熟知していることから発覚しにくい特徴があります。したがって、従業員の不正は起き得るという前提で、不正をさせない対策や不正が発生した場合には早く見つける仕組みを導入して運用を徹底する必要があります。

注目トピックス

北海道胆振東部地震、サプライチェーンの脆さ露呈

 9月6日午前3時過ぎに北海道南西部で起きた最大震度7の地震は、道内全域が連鎖的に停電するブラックアウトを引き起こしました。厚真町にある北海道電力苫東厚真火力発電所が地震発生直後に運転を停止し、稼働中の他の発電所も連鎖的に止まりました。それは、発電量と消費量を常に一致させるという「同時同量の原則」を守る必要があるということによるものです。通常の状態では電気は貯めておくことができないうえ、送電線は光の速度で電気を運ぶため、発電と電力消費が同時同量でないと発電機に大きな負担がかかり、損傷してしまいます。そのような自体を避けるため、需給バランスが大きく崩れたとき、同系統の発電所を一斉に停止する仕組みが導入されており、先に述べたブラックアウトにつながってしまったものです。ただし、ほとんどの電力会社では系統を分散させたり、発電所の供給量を分散させたりして大事に至らないような対策を施しています。北海道電力の場合、苫東厚真火力発電所に供給能力を集中させ過ぎていた為、他の発電所でもバックアップできない事態に陥ってしまいました。北海道電力は、苫東厚真火力発電所の3基全てが破損することを想定しておらず、東日本大震災の教訓が活かされていなかったことになります。
 停電が長期化するなか、スーパーやドラッグストア、コンビニエンス・ストアなど小売チェーンは、早朝から生活に必要な物資の販売を行い、それを求める住民の長蛇の列ができたことはご存知のとおりです。北海道には、東北に進出していたり、グループの店舗があったりするチェーンが多いため、東日本大震災など災害時の営業経験からのノウハウが蓄積されていることもあって初動対応のスピードも早く適切だったといわれています。
 道内の停電がほぼ解消するのは地震発生から2日後の8日になってからことで、その後も節電の要請が19日まで続きました。このような広域停電の長期化による深刻な影響は、日配品や冷凍食品で顕著でした。地震前の在庫が停電によって商品価値を失って廃棄となり、空になった売り場を埋めようとする小売店からメーカーへの発注が大幅に増えました。一方、日配品のメーカーは製造を再開しても発酵に時間の掛かる納豆や漬物はすぐには出荷できません。こうした大量の発注に対応できない場合、メーカーは往々にして店舗あたりの数量を制限することがあります。入荷制限のある商品は、ひとりあたりの購入点数の制限につながります。このような需給バランスのギャップの解消には1週間以上を要した模様です。
 停電による流通の脆さ象徴したのは、高度にシステム化されたコンビニエンス・ストアです。地震から1週間が経過しても、主力カテゴリーのひとつである弁当が満足に揃わない状態となっていました。弁当はそれぞれの地域のメーカーが製造しても同じになるように規格が詳細に定められています。幕の内弁当などは、構成するおかずなどの食材が揃っていても、先に触れたように漬物がなければ規格を満たさないため供給することができないことになります。フランチャイズの根幹でもあるオーナーとの契約もあるので、供給を優先する柔軟かつ臨機応変な決定を阻んだのでしょう。
 そのような状況のなか、北海道が地盤のセコマはガスで炊いたご飯をおにぎりで提供したり、全店に常備していた非常用キットをガソリン車につなぎ発電してレジを動かしたりしました。アンテナショップや社員の育成を目的とした店舗以外のほとんどがオーナー店舗である大手コンビニエンス・ストアチェーンに対して、セコマは直営店比率が約7割を占めることも臨機応変な対応を可能にした面があります。また、自前の物流センターでは自家発電装置に加え、三週間分の燃料備蓄により輸送を継続できたといいます。ガソリンが逼迫して輸送に支障をきたした運送業者が多いなか、特筆に値します。生産、物流、販売の垂直統合は一つの回答ですが、重要なのは災害時の影響を想像する力と事前の準備といえます。

ローソン銀行10月15日開業

 ローソン銀行が15日に営業を開始しました。銀行の新規参入は7年ぶりで、流通系の銀行としてはセブン銀行、イオン銀行についで3行目です。同じコンビニエンス・ストアのセブン銀行の2001年の開業から17年遅れのスタートなります。先発のセブン銀行との現状での収益基盤の差は 大きいですが、どのようなビジネスモデルを構築できるかが成否の鍵となるでしょう。
 コンビニエンス・ストアが銀行機能を初めて持ったのが、約30年前の収納代行サービスです。それまで、収納代行サービスは銀行窓口の独壇場でした。煩雑な窓口業務に手を焼いた金融機関がセブンーイレブン・ジャパンに要請してシステムを開発しました。請求書に契約者や料金がわかるバーコードを印刷することで、コンビニエンス・ストアのレジでスキャンすることによって簡単に支払うことができるようになりました。コンビニエンス・ストアがまだ社会的な評判すら定着していない時代に社会的信用を伴う公共料金を扱うメリットは大きく、集客にもつながりました。その後、公共料金に限らず、民間の商品やサービスの決裁としての収納代行の取り扱いが飛躍的に増大したのは、ご存知のとおりです。コンビニエンス・ストアの手数料収入は年々拡大して、店舗損益では重要な収益源となっています。金融機関は、事務の軽減につながり喜んだものの、結果的には定期的に訪れる顧客を見限ったともいえます。
 コンビニエンス・ストアの歴史を振り返ると、イノベーションの歴史ともいえるでしょう。イノベーションとは、今あるもの同士を組み合わせて、革新的な新しい価値を生み出すこと といえます。将来性の乏しい酒屋などの中小小売店をフランチャイジーとして取り込み、一世を風靡しました。食の洋食化で防戦一方の米に関しては、すぐに食べられるおにぎりとして、価値を吹き込んで中食として定着させました。最近では、地域の食文化に根ざした食材や味付けでご当地グルメとして、需要を顕在化させました。住民票をマルチコピー機で受け取れるようにしたことも利用者にとっては、大きな価値をもたらしています。社会から重荷と受け取られるところでも、そこに付加価値を加えることで蘇らせたり、新しいサービスとして昇華させたりしてきたのではないでしょうか。
 ATMはどうでしょうか。既存の銀行にとって、ATMはお金を出し入れする箱であり、ATM網の拡充はむしろ経費が重く圧し掛かるサービスなので、拡充はコンビニエンス・ストアに任せるという意識だったのかも知れません。セブン銀行開業当初は、銀行業界も当局もATM主体の銀行経営に懐疑的だったといいます。それが、当局との約束の3年を経ずに黒字化したことは、24時間営業と拠点数の多さから新しい利便性を提供しニーズを掘り起こしたことによります。コンビニエンス・ストア自身の売り上げ入金はもとより、飲食店にとっては銀行の夜間金庫に代わるものになりました。タクシーの売り上げも夜間に小まめにATMに入金することで、手持ちの現金を少なくすることで強盗の被害を少なくさせることにつながっているといいます。このような売上金の入金も既存の銀行にとっては、真っ先に効率化の対象として切り捨てられている分野です 。ただし、偽造カードにより犯罪組織が一斉に現金18億円超を引き出したという犯罪事例からは、利便性を重視することによって「犯罪インフラ」として悪用されるリスクがあり、注意が必要です。
 一方で、ローソン銀行の参入によりセブン銀行も革新に磨きをかける必要があるでしょう。セブン銀行は、「ATMサービスを主体とした銀行」を掲げています。提携銀行は大手銀行、地銀、信用金庫に加え、「LINE Pay」にも対応します。さらに、ATMで、非接触型ICカードのSuicaやPASMOなど主要な交通系の電子マネーをチャージ(入金)できるようにするといいます。
 後発のローソン銀行は、Pontaカードとの連携を予定している模様です。開業時は、特定の時間帯にATMの入出金を利用することで、「からあげクン」半額クーポンをATMから出す販促を仕掛けました。今後はさらに、買い物、店舗、時間などのビックデータを活用する計画です。また、口座情報として、給与振込みがあれば、貸し出しの可能性が高まることも見越しています。これは即時審査というより、事前に誰にいくら貸し出せるのかわかるようになるものだといいます。どこの誰かなどの個人情報と預金額や給与振込み額などの口座情報に加えて、購買履歴情報などのビックデータを組み合わせると、与信についてもデータ化が可能ということになります。そうなると、面談や書類の提出をすることなくWeb上で申請を受けるだけでお金の貸し出しが簡単にできる可能性があります。このあたりのビックデータの利活用は、事業者の自主性に任せることなく、一定のルール化が必要ではないでしょうか 。少なくとも事業者は、ビックデータを活用するリスクを認識した対策を講ずる必要があります。個人情報の漏えいやプライバシー権を侵害する恐れを認識して、データの高度化など匿名処理を施さなければなりません。データの組み合わせ次第では意図しない個人の特定というリスクがあり、位置情報や購買履歴の利活用に関しては、たとえ合法であったとしても企業倫理が問われます。法規制よりも幅広く(位置情報や購買履歴も含めて)個人情報を認識すべきで、消費者の視点を忘れてはならないでしょう。合わせて法規制の改定動向を把握し、遅滞なく対応すべきことはいうまでもありません。
 さらに今後はキャッシュレス決済の波も読まなければならないでしょう。キャッシュレス化決済が日本より浸透している中国やアジア諸国などは、少なからず偽札が流通しており、安全な決済手段が必要だったこともキャッシュレス決済がこれらの国々に浸透した理由のひとつです。そうした支障のない日本では、支出管理が簡単にできる現金が好まれてきたため、キャッシュレス決済が進んでいないという事情があります。ただし、コンビニエンス・ストアでキャッシュレス決済が広がる動きがありあす。ファミリーマートは11月下旬から順次、NTTドコモや楽天などが提供するスマートフォンで決済できるサービスを導入します。ローソンも9月にスマートフォン決済を拡充させました。ファミリーマートはあらたに6種のスマートフォン決済を導入するといいます。「d払い」と「楽天ペイ」、「LINEペイ」のほか、「ペイペイ」、中国からの訪日者向けにはアリババやテンセントのスマートフォン決済も導入する予定です。セブンイレブンは、19年春を目処に独自のスマートフォン決済を始める計画です。これらの動きは、支払いの利便性を高めて集客力を高めたいという思惑からです。キャッシュレス決済が浸透すれば、店舗の省力化にもつながり、人手不足の解消に貢献します。また、最近増加している外国人従業員にとっても容易にオペレーションができます。一方、スーパーではセルフレジやセミセルフレジが浸透しつつあり、決済手段も電子マネーの利用が進んでいるといいます。こうした流れは、コンビニエンス・ストアのATMが単なる現金の出し入れだけに頼る収益モデルは早晩、行き詰まると予想され、前述のような多様なサービスを模索しているといえます。



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(*1) アメリカではチェーンストアのほとんどが、購入した商品について返品期限内であれば、理由を問われず、使用済みでも返品・返金に応じている。アメリカでは購入後のリスクも店舗側が負っている。「無条件返品」は100年以上の歴史があり、返品コストは利益に盛り込まれている。返品しない顧客が返品する顧客に対するコストを負担していることになる。全米小売業協会(NRF)の2017年のデータによると返品率は11%に達した。本文へ戻る


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