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【イベントレポート】SPクラブ危機管理セミナー「緊急事態対応の勘所~行政等のステークホルダーへの対応」を開催しました

2022.03.03
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2022年2月22日に開催された本セミナーでは、当社の豊富な緊急事態対応支援の実績に基づき、前回の危機管理広報に引続き、行政等の重要なステークホルダーへの対応の勘所について、事例を交えて解説しました。

SPクラブ危機管理セミナー「緊急事態対応の勘所~行政等のステークホルダーへの対応」

セミナー概要

講師:総合研究部 主席研究員 西尾 晋

0.緊急事態対応の要諦と流れ~振り返り
1.事例でみる重要な関係先との事前調整の重要性
2.なぜ、事前の報告・相談が重要か
3.緊急事態対応の流れ~重要な関係先との事前調整含めて
4.まとめ

講演

0.緊急事態対応の要諦と流れ~振り返り

第1回のセミナーで解説した通り、緊急事態対応は社会からの信頼を得るために実施するものであり、信頼の基礎は適切な情報開示と活動です。

発生事態への対応としては①早期発見と事態の適正評価、②被害の極小化(2次被害防止)、③連携・連動による信頼回復行動の3つを迅速に行うことが求められます。消費者視点で、関係者(社会)に適切かつ迅速な情報提供(謝罪、説明)などの諸対応を行うことが、緊急事態における危機管理のセオリーなのです。

1. 事例でみる重要な関係先との事前調整の重要性

大手冷凍食品メーカーの回収事案を取り上げ、緊急事態対応における関係先への対応について解説しました。

この事案は、冷凍食品から高濃度の農薬が検出され、健康被害も発生し、640万個にわたる大型の食品回収事案に発展した事案です。この事例を時系列に紐解くことで、以下のような危機管理対応における教訓を学ぶことができます。

●健康被害の有無は、客観的・科学的・専門的な基準で判断することが大切
この事案においてメーカーは、健康被害の可能性があるにも関わらず保健所に相談することなく「健康被害はない」と自社で判断し発表しましたが、後日、自社の調査結果が誤っていることが判明しました。悪い方に情報が修正されてしまっては、企業の信頼はさらに低下してしまいます。健康被害の可能性があるものについては自社のみで判断とすることなくあらかじめ保健所等に相談し、客観的な基準で判断することが大切です。

●関係先への対応を誤ると関係先に大きな迷惑をかける事態に

この事案においてメーカーは、開催した記者発表における記者からの要請により、問題の商品の購入店リストを勝手に報道関係者に配布してしまいました。購入店側としては、事前の連絡もなくいきなり報道関係者が殺到してしまうことになり多大な迷惑がかかってしまいました。このような状況においては、例えば開示前に連絡するなど、取引先と事前に調整しておくことが欠かせません。

2. なぜ、事前の報告・相談が重要か

緊急事態発生時には、個人情報漏洩事案であれば個人情報保護委員会へ、食品異物混入であれば保健所へ、というように関係する行政機関への相談と報告が重要です。

ではなぜ、この相談や報告は重要なのでしょうか。それは、事前に相談・報告を行うことで行政機関が開示後の準備や対策に着手できるようにし、行政機関と企業との認識の食い違いを避け、さらなる信頼低下につながるような事態を避けるためです。

行政の公表する情報と企業が公表する情報が食い違っていた場合、企業への信頼は低下します。また、関係する行政機関に事前に相談を済ませてから事案を公表する場合と、行政機関がその事案を報道で知る場合を比べると、後者の場合は行政機関の怒りを買い関係悪化につながる上に、開示内容の食い違いから企業側が嘘や隠ぺいを疑われ、炎上の原因になりかねません。

特に、法令違反に関わる可能性のある事案については「法令違反か、違反でないか」によって大きく状況が変わります。公表後に法令違反であることが判明したり、開示内容の大きな訂正が生じたりするのは危機対応としては最悪のパターンです。こうした状況を回避するためにも事前の関係機関への相談は欠かせません。

3. 緊急事態対応の流れ~重要な関係先との事前調整含めて

緊急事態対応における「クライシスマネジメント」とは、組織としての「信頼回復行動」です。冒頭でも取り上げた通り信頼の基礎は適切な情報開示と行動であり、これには組織的活動と説明スキル、必要な関係者とのコミュニケーションが重要です。

緊急事態対応における「クライシスコミュニケーション」とは、報道関係者への対応や記者会見のみを意味する言葉ではありません。「クライシスコミュニケーション」とは、信頼回復に向けた情報開示活動全般の総称であり、自社に課されている説明責任を果たすことです。信頼回復を目的とする以上、自社のミスを過小評価するなどの言い逃れは禁物であり、消費者視点、社会的責任の視点が不可欠です。事例でも取り上げたように、報道関係者の対応にただ従うだけでは不十分であり、監督官庁や関係する行政機関をはじめ、取引先などの関係者とのコミュニケーションが欠かせません。

また、緊急事態対応においてはコールセンターも重要な役割を担っています。コールセンターは電話を受ける窓口機能の他、情報収集機能や動向把握機能も備えています。消費者の要望や企業における対応の課題を抽出したり、事案の推移や収束状況を把握することで適切な開示を行う指標としたりすることもできるため、コールセンターを活用することが有効です。当社では、苦情対応をはじめとする窓口対応の専門家である「リスクマネージャー」の派遣も行っています。

4. まとめ

緊急事態対応においては、重要な関係者を洗い出し、「誰に対して、何を、いつやるか、具体的な手段・内容は?」を検討することが重要です。「関係者」といっても直接の当事者、従業員、取引先、一般消費者、報道関係者など様々です。こうした関係者のレベル感を見極めて、自社の対応人員の人選等も含め対応していく必要があり、この検討や対応は時間との勝負です。そして、こうした一連の対応にあたっては部門ごとにバラバラに対応するのではなく会社として、組織的に対応することが必須となります。

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