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教えて!緊急事態対応ってどんなことしているの? ~緊急事態対応座談会

2021.09.30
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当社の緊急事態対応(企業不祥事発生時の対応支援)について、実務者であるコンサルタント(総合研究部研究員)らによる座談会が開かれました。
その“緊急事態対応”という業務がいかなるものか、さまざまな企業の対策本部などの緊迫した現場を経験したコンサルタントが現場のリアルと本音を語る座談会の内容を一部紹介いたします。

打ち合わせの様子

参加者

研究員:A執行役員、B部長、C支社長、D部長代理、E主任研究員
MC:F研究員

1.緊急事態対応とは?

 C:企業において、不祥事、事故、トラブルが起こった場合に、なるべく傷が浅く事業が継続できるよう、初動から収束までサポートしていくことです。

 D:手元の記録によると、当社で初めて本格的な緊急事態対応を手掛けたのは、2003年に起こった事案となります。

2.緊急事態対応でのお仕事は?

 D:不祥事を起こした企業が行う不祥事の発覚から公表、お詫び対応、補償問題対応、収束までの一連の対応を指します。

大きく二つに分かれます。一つ目は対策本部の運営の支援で、具体的にはリリース文作成、QA作成、収束までのシナリオ作成などを行います。二つ目は、お詫び対応・補償問題交渉の実務サポートとなります。

 A:その不祥事の収束に向けた対応方針の策定と事案全体のリスク分析を行い、解決の方向性と手順を示すことが大事です。どのタイミングで社会に公表するか、行政対応、お客様対応をどのように進めるかなど、収束に向けた全体設計から実務的なノウハウまで助言しつつ、併せて文書案の作成等の実務支援まで一気通貫で行います。

3.これまで対応した緊急事態対応は?

 A:複数のメーカー様の品質偽装によるリコール、情報漏えい、従業員の逮捕案件では、マスコミ対応のお手伝い、行政対応のお手伝いや、調査委員会のお手伝いなどです。また、アスベスト除去工事及び処分に絡む法令違反事案などもあり多種多様です。

 B:思い出深い緊急事態対応としては、外食産業のお店における異物混入です。まさに対策本部に入り緊張感がありました。調理の過程で異物が料理に混入し、そのまま提供してしまったという事案です。当時は、衛生上の大問題として緊急事態ならではの「待ったなし」の緊張感と難しさを体験しました。

 C:私が思い出す事案としては、食品の自主回収案件で、社告を出す・出さないの判断や仮に出す場合に、どこに出すかといった判断そのものを会長、社長、役員何名かの方々に求められたときは驚きました。企業様にこのような経験がなく、かなり切羽詰まった状況だったのでしょう。

 A:印象的なものとしては、役員の人事について意見を求められ、アドバイスさせていただいたことですね。その後、役員人事を確認していると、私のアドバイスした通りに異動がなされていました。役員の処分(例:役員賞与何%何か月減額等)や社長の引責に関するご質問は多いですが、引責も見据えたそのプロセスとなる役員人事(シナリオ)まで相談されるというのは珍しいと思います。

MC:専門家として期待され、さまざまな見解を求められる場合もありますね。しかも、時間的に切迫していたり、情報が不足していたり、場面はいろいろで難しいですよね。

 B:対策本部はさまざまな立場の管理職が入られるので、利害関係による衝突がありますよね。我々としては、会社のダメージが最小限になるように、立ち直るようにするのにどうするのかという視点で説得していくこととなります。

 A:再発防止として、過去に例のない防止策を提案して、採用されたことがありますね。お客様の会長が、長期的な視野でなすべきことをしていったという感じです。この再発防止策は、その後、他社(当社の会員企業ではない)が真似をしたので、当社が先例を作ったという意義は大きいですね。

 E:以前、ある会社様で、製品から発火するという事故がありましたが、PL上問題ないことから、大事にする必要はないと言われました。古い体質の会社は隠そうとすることもあります。それでも、当社としては正しい方向に導くことが重要ですし、理解が得られなければ手を引く(支援をストップする)というのが、当社ならではの良いところだと思います。

 A:当社の強みというか、良いところとしてお客様に寄り添うところですね。もちろん正しい対応・開示が前提ですが。昔、情報開示を翌朝に行うことになったので、夜通し、当社がお客様のところで開示文章の作成をしましたよ。その時は、さすがにお客様も驚いていましたね。そこから、朝一で取締役会を開催してもらい、情報開示しました。また、文章を作成した後も問合せ対応のために常駐した結果、36時間程度連続して支援をさせていただきました。個人的に、そのような長時間の支援は、久々でした。

 C:Ⅾさんにお聞きしたいのですけど、不祥事が発覚すると必ずと言っていいほど、他の不祥事も発覚すると思うんですよね。対応する我々もそうですが、お客様も「またか」と思っていると思いますが、どうモチベーションをあげていきますか?

 Ⅾ:またかまたかと次々と問題が明るみになるのは、不祥事対応では当たり前だと思います。そのような経験を相当数経験しています。ですから、私としては、別の問題が明るみになることを前提に仕事をすることとし、たとえ、次々と問題が発覚したからといって特別なことに感じません。

 E:同じですね。悪いことは連続して起き、しかも早朝に起きることが多いです。ですから、広報だと朝1時間前に会社行くようにしてくださいとも申し上げます。

 A:むしろ、連続して起きてくれた方がやりやすい。しばらくしてから発覚するほうが困るんですよ。2回、ヘビーな対応をしなくてはならないので。連続して起きてくれれば、それらをまとめて公表して対応すればよいのです。

 Ⅾ:お客様の従業員さんのフォローは、ある企業様は、朝礼で他社の話や休暇中などの話をして、少しでもほっとしてもらうように工夫されていました。対策本部の現場では、経営陣が社員に伝えた事案対策概要の公表予定日に、諸事情で公表ができず、何度も延期になることがあります。社員の気持ちは「遅れるならそのことを知らせろ!確実な日を通知しろよ!」などと騒動が起きてしまうこともあります。声をかけてこのような摩擦を防ぐのも私たちの役割です。

 A:私はある企業様でアドバイスしたのですが、最終的には、当社のRM(リスクマネージャー:クライアント様に派遣する事案対応のエキスパート、クライアント様に代わって直接事案対応もする)が最後の砦として大活躍してくれたものの、そこに至るまでの過程で、顧客対応している先方の従業員さんが、クレームを言われて病んでしまう人もおられました。相当な規模のコールセンターを立ち上げ、社内でスタッフをかき集めていますので、クレーム対応に慣れていない従業員さんも少なくありません。特に不祥事系の場合は、一方的にお客様から叱られ、罵詈雑言を浴びせられる、こちらとしてはひたすら謝罪という構図になりますので、対応に慣れていない従業員さんのメンタルが持ちません。だから、いつでも対応を相談・依頼できる当社RMとは別に、従業員向けのメンタルカウンセラーを常駐させるように助言しました。あと、お客様の応援のメッセージや良かった出来事を共有するようにもしてもらいました。最近はカスハラが注目されるようになり、ようやく担当者のメンタルケアが重要視されてきましたが、当社としては既に当時から、クライアント企業様ご担当者のメンタルケアは重要視していました。

MC:ところで、当社として、コンサルティングのやりがいというのは何でしょうか。

 E:やりがいですか?このメンバーの共通認識と思いますが、正しい道筋をお客様に示し、お客様が呼応してSPNを信頼し、示した道筋通り対応してくださることですかね。

 B:MCさんも対策本部に長く入っていましたね?

MC:やはり、不祥事が起きますと、従業員の皆さんに対して、「謝罪してきてください」などとか言う必要が出てきますね。それって、従業員さんからすると負荷だったり、嫌なことだったりします。結果として、嫌なことを「やってください」と我々はアドバイスすることとなるので、従業員さんからすると当社は面倒なことをやれという会社だと嫌われてしまいます。それでも、最終的に嫌っていたであろうと思われる従業員さんらから感謝されますと、非常にやりがいを感じますね。

 B:外部のコンサルが入ることで色々なコンフリクト・衝突が発生するけれども、外部が入ったことによるクライアント様との化学反応みたいなものが生まれ、最終的に一体となって収束させた瞬間は、やはりやりがいを感じますよね。

 C:やはり感謝していただいたときですね。

 A:一番は「大事(おおごと)」にならなかったことです。これは我々が示した道筋が正しかったということでもあるので。事案によっては、記者会見をしなければいけない状況になること自体が、危機管理の失敗ということもありますので。勿論、善後策として、その対策も当社は抜かりなく行いますが。

4.最後に

 A:何かありましたら、いつでも声をかけてください。当社はトータルサポートできるのが強みです。一例としまして、大規模な情報漏洩案件では、緊急事態対応も、クレーム対応も、必要に応じて施設等の警備や役員の警護も、その後の研修や株主総会対策、内部通報窓口の支援まで、当社以外にこれらを全てできる会社はありません。だから、当社内でもその意識で、ワンチームで対応していきます。

 B:企業不祥事はなくならないので、ニッチではあるけれども、緊急事態対応は残り続けるだろうと思います。その意味で、当社の存在意義は大きいように思います。

 C:全社的に取り組む業務だと考えていますので、全社員一丸となって緊急事態対応に取り組みたいと思います。

 Ⅾ:緊急事態対応能力を更に磨き、更にお客様に頼られる社員になるよう努めます。

 E:緊急事態対応は早ければ早いほどスムーズになりますので。当社は炎上してからの対応が多いのですが、早い段階で、ご相談して頂けると幸いです。

MC:皆さん、本日はありがとうございました。「緊急事態対応とは何か」、「緊急事態対応あるある」など盛りだくさんの内容をお伺いすることができました。
私もどんどん場数を踏んで、プロの緊急事態対応コンサルタントとして頑張ります。

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