暴排トピックス

企業と反社会的勢力の接点(事例)

アバター 取締役副社長 主席研究員 芳賀恒人

2015.02.12
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1.企業と反社会的勢力の接点(事例)

暴力団排除(暴排)の取組みのベースにあるのは、役職員一人ひとりの「暴排意識」と「リスクセンス」です。組織と反社会的勢力の接点は必ず「人」であって、(悪意の有無に関係なく)貴社の「役員」や「従業員」がそこに介在していることは否定できない事実なのです。

したがって、その接点たる役職員は、その「暴排意識」や「リスクセンス」の持ちようによって、反社会的勢力が組織に侵入するのを防ぐ「防波堤」になる一方で、(営業最優先といった誤ったリスク認識などによって)組織内に反社会的勢力を招き入れてしまう「仲介者」になってしまいかねません。

企業が暴排の取組みレベルをあげていこうとするならば、まずは、役職員一人ひとりの意識の底上げを図ることが極めて重要です。さらに、組織も「不都合な現実」を直視して、従来の延長線上の慣例や慣行に縛られることなく、役職員一人ひとりの意識レベルや社会の要請レベル、反社会的勢力の手口の巧妙化・洗練化・高度化の実態を的確に捉え、これまで以上に厳しく取組んでいく必要があります。それが、正に、この問題が待ったなしの「有事」であるということなのです。

今回の暴排トピックスでは、反社会的勢力と組織の接点について具体的にご理解頂くために、代表的な事例を取り上げます。これらの事例は、筆者がセミナー等で取り上げているものですが、是非、貴社の社内研修等の教材として有効にご活用頂き、役職員一人ひとりが正に「防波堤」にも「仲介者」にもなり得る現実を通して、意識レベルの底上げに役立てて頂きたいと思います。

1) 業務ミスにつけ込まれた事例

最も典型的な事例は、「スタッフの対応ミスがきっかけで暴力団に特別なサービスを続けるようになってしまった」といったものです。相手に脅されて、あるいは、一度応じてしまったことに負い目を感じて、といった形で暴力団等の要求に応じ続けてしまうケースです。彼らからの要求は、どんどんエスカレートし、際限なく長期化、拡大することによって、関係解消が時間の経過とともに難易度を増すことになります。

そもそも、このような事態に陥らないためには、(不当要求には応じない、上司に相談するといった)決められたルールを順守すること、例外的な対応を行わないこと(例外的な対応を行うのであれば、「組織的な対応」とすべき)が大原則となるのは言うまでもありません。

それでもなお、不当な要求等が続き、例外的な対応を続けたり、可能な限りお断りする努力をしても、組織として受忍範囲を超えるのであれば、たとえ、反社会的勢力に対する特別の利益の供与という「不祥事」(不都合な現実)が発覚するとしても、その負の連鎖をできる限り早い段階で断ち切るしかありません。

政府指針(企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針)に「反社会的勢力による不当要求が、事業活動上の不祥事や従業員の不祥事を理由とする場合であっても、事案を隠ぺいするための裏取引を絶対に行わない」とあるのは、正に、このような状況を指しており、あわせて、そのダメージをコントロールするためには、スピードと(批判を受忍する)誠実さ・謙虚さが求められます。

つまり、業務ミスを公にしたくないという隠ぺい意識(誤った企業防衛意識)に付け込んでくるのが反社会的勢力であり、公になった場合のリスクや対応も想定しつつ、逆に反社会的勢力から「公にしたくないなら要求を呑め」という悪質な脅迫の手口を公にしながら、不当な要求等に屈せず、自らのミスを潔く認めて改善・再発防止に取り組む、個人・組織の誠実さ・謙虚さが求められるということです。

また、人間は追い込まれると弱いものです。どんなに「不当要求には応じない」「組織として対応する」ことを周知徹底していても、反社会的勢力と対峙する従業員が不当要求に応じてしまう(またはそのような状況に追い込まれてしまう)ことは、企業としてはリスクとしてあらかじめ想定しておくべきです。むしろ、重要なことは、当該従業員が不当要求に応じた事実を速やかに組織に報告し、組織としての対応に移行できるかどうかです。

「不当要求には応じない」と理解しているがゆえに、(不本意ながら)応じてしまった従業員は(保身や負い目もあって)組織に相談せず、隠ぺいしてしまう可能性が高くなります(つまり、その後の対応が一層困難になります)。「万が一、不当要求に応じてしまったとしても、その後は組織として対応する。速やかに事実関係を報告すること」といった点まで徹底することで、組織との信頼関係が強固となり、組織的かつ毅然とした対応が可能となるのです。

組織的な対応へ速やかに移行し、警察や弁護士といった外部専門家と連携することにより、民事や刑事の両面から事態を沈静化させることができますので、役職員に対しては、徒らに隠ぺいに走ることなく、毅然と反社会的勢力の不当要求等を拒絶することが重要と周知徹底していくことが肝要となります。

2) 暴力団に借りをつくってしまった事例

【事例】

お客様の不当要求が厳しく対応に苦慮していたところ、依頼をしたわけでもないのに別のお客様が上手くとりなしてくれた。そのことで借りが出来てしまい、過剰なサービスを提供せざるを得なくなってしまった。

このような場合、両者が裏で連携していることも多く、同様のケースとして、街宣活動や総会屋への対応に苦慮する企業に、別の関係者が接近してくるケースなどがあります。

重要なことは、助けてもらったお礼としての対応と取引の開始は別次元の話と区別すること、特に後者については組織として決められたルール通りに反社チェック等の審査を行い、総合的に取引可否を判断することです。また、それが不当な要求や強要にあたる場合は、前項同様、民事と刑事の両面から粛々と対応を進めればよいということになります。

3) 趣味などを通じてプライベートで接近された事例

このような事例では、特に、役員や支店長といった権限のある立場の役職者や、金融機関や上場企業の社員等については、ターゲットとなりやすいこと、また、場合によっては、事前に下調べをしたり、素性を把握したうえで接近してくるケースもあるため注意が必要です。

企業としては、「役職員のプライベートの問題だから深く立ち入れない」というのではなく、プライベートでの交友関係についても積極的に関心をもって注意深く監視していく姿勢すら求められます。

例えば、大阪府暴排条例における「暴力団密接関係者」の定義では、役員だけでなく、支店長や部長、課長といった管理職レベルが具体的に列挙され、それらの役職者が暴力団等と密接な関係を有していることが明らかになれば、公共事業から排除される可能性が示されています(その場合、社名も公表されることになり、企業存続の問題にまで発展しかねません)。本人は仕方ない(問題ない)と思っても、社会的に非難されるべき関係が疑われるような私的な会合への参加ですら、会社自体のレピュテーションや信用の棄損につながる可能性があると認識する必要があります。

▼ 大阪府暴力団排除条例施行規則

また、そもそも、反社会的勢力はその広い人脈を通じて活動範囲を拡げる行動様式があることから、プライベートでの反社会的勢力との接点が、(本人の悪意の有無を問わず)企業と反社会的勢力との接点になりうるとの認識が必要です。

したがって、経営層や経営に影響を及ぼす権限を有する幹部をはじめ役職員に対しては、暴排意識をしっかりもってもらうためにも、定期的に誓約書を取り付ける、コンプライアンス研修を行うといった継続的な取組みが必要です。

なお、最近では、「社内暴排」の観点から、役職員の反社チェックや社内規定への暴排条項の盛り込みなどの取組みが進められています。「暴力団関係者か」「暴力団関係者と関係があるか」は、企業内の秩序を維持する事項であり、企業が自ら調査・確認を行うことはその範囲で許容されるものと考えられますが、一方で、その実施には慎重な配慮も求められることは言うまでもありません。

4) 相手が反社会的勢力だと知らずに取引していた事例

取引を通じた事例としては、相手がそうだと知らずに関係を持ってしまっていたというケースが現実的には多いと思われます。反社チェックの限界にも起因する問題でもありますが、入口のチェックをきちんとするだけでなく、中間管理における既存の取引先等に関する端緒情報の把握などのモニタリングが欠かせません。

【事例】

開発案件に絡み、住民対策の一環として住民代表から紹介された取引先の社長が脱税で暴力団員とともに逮捕された。管理部門としては全く把握していなかったが、地元では以前から噂があったらしいことが分かった。

「地元では以前から噂があったらしい」ということから、現地の社員は以前から(噂として)把握していた可能性があります。現地サイドとしては、噂レベルのものをわざわざ会社に報告する必要はないだろうといった程度の認識で、会社(管理部門)としても既存取引先等に対する監視レベルが不十分だったのではないかと推測されます。このような場合、会社(管理部門)が、組織として本当に「知らなかった」としても、「現場には見えていたリスク」に何らの対策も講じてこなかった不作為である以上、それを「知らなかった」と対外的に説明することは難しいということになります。

したがって、現地の端緒情報が速やかに組織として認知される仕組みの整備(業務上の報告ラインや内部通報窓口等が機能していることが極めて重要となります)や、「怪しいとの情報は速やかに報告し組織で共有すべきだ」とする社内ルールの策定と周知徹底が必要だと言えます。

5) 相手の関係先が反社会的勢力だった事例

東京都や福岡県の暴排条例で明示されている、いわゆる「関連契約からの暴力団排除」の問題も重要です。

これは、例えば、「完成品メーカーに部品を納入している部品メーカーが納品の際に起用している運送会社が反社会的勢力であることが判明した場合、完成品メーカーとしては、部品メーカーに対して、当該運送会社との関係を遮断するよう要請するとともに、もし部品メーカーがその関係を遮断しないのであれば、そもそもの部品の購入契約自体を解除する」といった考え方です。

これは、業務委託先と再委託先との関係に置き換えても同じ(数次にわたる下請け構造がある場合も同様)です。今年は個人情報保護法が改正され、委託先管理の厳格化が大きなポイントとなると思われますが、「自社が関与する商流について、自らの責任において、商流全体の健全性を担保する」という意味で、反社会的勢力排除と同じ文脈で捉えられます。

本コラムの主要なテーマのひとつである「AML(アンチ・マネー・ローンダリング)」の取組みにおける「KYCC(Know Your Customer’s Customer)」の考え方が正にこの「関連契約からの暴力団排除」と同じであり、自らが関係する取引やその密接関係者の拡がり等についても、自らの資金が「真の受益者」たる反社会的勢力やマネー・ローンダリング実行者に向けて流れ込み、その活動や犯罪を助長することのないよう、常に監視の目を光らせておく必要があります。

先のメガバンクによる暴力団融資問題において、グローバルに展開している海外の金融機関が、当該メガバンクとの取引停止を現実的に検討していましたが、それは、「国際犯罪組織」と位置付けられている暴力団の資金が当該メガバンクを経由して自らに流れ込むこと(それにより、犯罪収益のマネー・ローンダリングを助長するリスクがあること)を懸念していたためと言われています。

このように、自らが関与する商流の中で知らず知らずのうちに関係者と位置付けられ、結果的に反社会的勢力を利することにならないよう、取引先の関係先にまで気を配る(さらには、そのような関連契約から暴力団等を排除するとの観点から暴排条項等を整備する)といった取組みが今後の実務においては欠かせません。

6) 相手がいつの間にか反社会的勢力になっていた事例

【事例】

新規取引開始時に反社チェックを実施し問題がないため取引を開始したところ、半年後に同社の役員が一斉に入れ替わっていたことが分かった。その後も取引を続けていたが、最近、クレームが多いし、管理者や社員の流出も激しいようだ。そこで、あらためて調査したところ、既に、暴力団関係者に会社を乗っ取られていたことが判明した。

昨年の金融庁の監督指針や金融検査マニュアルの改定の主眼は、正に、「事後検証(中間管理)」のプロセスの充実であり、既に取引を開始している相手方についても適切にモニタリングすべきという点にあります。「入口」においては問題のなかった先でも、いつの間にか反社会的勢力化する(経営等を支配される、影響力を行使される)ことは珍しいことではなく、上場企業ですら例外ではありません。

しかしながら、経営を支配されたり、経営に深く関与されるなどして、当該企業が反社会的勢力化する際には、外形的にも何らかの変化(兆候)が認められることが多いのも事実です。

「役員が一斉に退任」「社員の流出」「業務品質の急激な低下」「業務内容の急な変更」などは明らかに異常な兆候として見逃してはならない変化(端緒情報)です。反社チェックにおける「日常業務における端緒情報の把握」とは、正にその変化を、現場で接している社員らが「疑わしい」と感じ取ることが大前提となります(それがなければ、組織的な認知・判断・排除といったその後の対応が難しくなります)。そして、「疑わしい」と感じ取るためには、相手を日頃からよく観察していることが求められます。このあたりは、従来から行っている与信管理や広い意味での取引先管理(モニタリング)に共通する視点であり、「中間管理」におけるモニタリングとは、あらためて新しいことを始めるのではなく、従来から行われてきた取組みに新しい視点を導入し、より充実させることだと言えます。

7) 暴力団関係企業に10億5,000万円余りの不正融資した事案(特別背任で逮捕)

地方銀行の関西の支店で、10億5000万円余りを暴力団関係者に不正に融資した結果、最終的に回収不能になった約9億5,000万円の損害を銀行に与えたとして、特別背任罪に問われた元支店長が有罪判決を受けたという実例があります。判決理由で「元支店長は、金品をもらったり、ゴルフ接待を受けたりするため、無担保で不正融資を続けた」、融資を受けた元暴力団員については「うその決算書類を銀行側に提出し悪質」と指摘されています。

反社会的勢力のアプローチは、本事例のように、銀行であれば支店長レベル、企業であれば役員や管理職レベルに対して行われます。理由は、「権限があるから」に尽きます。彼らが一般人を籠絡することは何の造作もないことであり、個人の感じる負い目を、自らに有利なように利用していくのが典型的な手口です。ある意味、個人の弱さを反社会的勢力に巧みに突かれたものであり、組織がそれを食い止めることは難しいのも事実です。しかしながら、反社会的勢力が当該個人を「接点」として、何らかの資金や利益を得るためには、当該個人が会社のルールを逸脱する局面が必ず存在します。つまり、当該個人の逸脱した行為(本事例では無担保で不正融資を行った行為)をけん制できない(未然に防止できない)組織的な脆弱性が突かれていることに他ならず、結局は、個人の問題であるとともに組織の問題でもあると認識しなければなりません。

また、反社会的勢力は、役員レベルと良好な友人関係を構築し、その役員経由で取引を持ちかけることも多いものです。役員には悪気がないにしても、従業員が役員から取引検討を指示された場合、社内におけるルールが全て例外処理と化し、形式的な審査、甘い審査に堕してしまうことは容易に想像できます。また、役員だけでなく、有力な取引先や株主、経営に近いところにいる顧問や相談役などに置き換えても同様です。こうしたアプローチにより、組織内部のけん制機能が無力化されることすら、反社会的勢力は熟知して利用しているのが実態です。

2.最近のトピックス

1) 全銀協と警察庁データベースの接続

全国銀行協会(全銀協)が、各行が預金保険機構を通じて警察庁が持っている情報を照会できる仕組みを、早ければ2016年度から導入するとの報道がありました。また、報道によれば、住宅ローンやカードローンなどで新規の融資を受ける個人の情報が照会の対象であること、預金保険機構が警察庁や各行と専用回線を敷いて中継、費用は預金保険料を原資とすること、などとされています。現在、警察庁の暴力団情報データベースと直接接続できている先としては日本証券業協会がありますが、これにより、証券・銀行の金融取引からの暴力団排除が加速することを期待したいと思います。

ただ、注意しなければならないことは、これで万全ということではないということです。既に金融庁は、昨年の監督指針改正におけるパブコメで回答(NO 38)していますが、「警察庁データベースとの接続のみをもって、「反社会的勢力との関係を遮断するための取組みの実効性を確保する体制」や「適切な事後検証を行うための態勢」が構築されたと判断するものではありません。また、警察との連携体制の構築にあたっては、監督指針案のとおり「平素より、警察とのパイプを強化し、組織的な連絡体制と問題発生時の協力体制を構築すること」が特に重要と考えます。」としています。

▼ 金融庁「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」(平成26年6月4日)

警察庁データベースとの接続が実現しても、口座取引や融資取引、業務委託、あるいは、既存取引先のモニタリングなど、銀行など金融機関における多岐に渡る取引形態に応じた反社チェックの全てに本データベースが利用できるわけではありませんし、今後もその可能性は高くないと考えられます(本スキームにおいては、警察の実務的な負担も相当大きいと考えられるためです)。したがって、これまで通り、自行のデータベースを充実させながら、本スキームを含む複数のデータベースを重層的に利用することによって、データベースの限界を乗り越える(粗い網の目を狭めて精度を上げる)といった考え方を採る必要があります。

さらに、警察から提供される情報は、おそらく現役の構成員情報など限定的なものであり、反社会的勢力を広くカバーしたものとはならないと考えられます。前述した金融庁のコメント(NO 1)においても、「反社会的勢力はその形態が多様であり、社会情勢等に応じて変化し得るため、あらかじめ限定的に基準を設けることはその性質上妥当でないと考えます。本ガイドラインを参考に、各事業者において実態を踏まえて判断する必要があります。」とされており、各行としては、あくまで重要なリスク情報のひとつとして参照していくことになります。

また、新規取引時のチェックに本データベースが利用されることは、すなわち、暴力団員が自らの名前で、直接新規のローンを組む、口座を開設する、といったことが今後なくなること(偽名・借名・なりすましをはじめ、真の受益者の隠匿等が行われること)も容易に想像されます。したがって、金融機関は、「入口」における反社チェックの難易度が上がることに対応すべく、「本人確認の厳格化」や「KYCCの観点からの幅広いチェック」に取り組まざるを得なくなります。言い換えれば、データベースに安住し過度に依存すればするほど、入口で相手を見抜くことは困難となり、そのような脇の甘さが反社会的勢力に利用されることとなります。

警察庁データベースとの接続は、入口における反社チェックの精度の向上に資する一方で、見極めの難易度をも高めてしまう「諸刃の刃」であって、金融機関に更なる実務の深化と覚悟を求めるものであることを認識する必要があります。

2) 各種犯罪統計から

①警察庁「犯罪統計資料」(平成26年1~12月)

▼ 警察庁「犯罪統計資料(平成26年1~12月分【確定値】)

本資料によれば、刑法犯全体では、認知件数1,212,163件(前年比▲7.8%)、検挙件数370,568件(▲6.0%)、検挙人員251,115人(▲4.3%)、うち少年48,361人(▲14.4%)と全体的に減少傾向にあることが読み取れます。

また、粗暴犯の認知件数は前年比▲1.0%との結果となっていますが、その内訳をみると、「暴行」(前年比+2.6%)、「脅迫」(+8.3%)、「恐喝」(▲16.0%)など罪種によって傾向にバラつきがあることが分かります。また、その中で、刑法犯全体の74%を占める「窃盗犯」が、前年比▲8.6%と大きく減少していることが、刑法犯全体に影響していることも窺えます。

一方、知能犯については、前年比+6.7%となりましたが、知能犯の90%以上を占める「詐欺」が前年比+8.4%と増加していることが大きく影響していると言えます。

また、特別法犯では、「関税法」(前年比+76.5%)、「著作権法」(+10.6%)、「商標法」(+24.8%)、「覚せい剤取締法」(+0.4%)などが増加している点が目立ちますが、とりわけ「薬事法」(+341.4%)が急増しており、危険ドラッグの集中取り締まりの成果が読み取れます。さらに、来日外国人の犯罪としては、刑法犯・特別法犯全体で15,419件(前年比▲1.3%)、国別では中国、ブラジル、韓国の順となっています。

暴力団による犯罪については、刑法犯全体の認知件数が26,883件と前年比▲10.2%となっており、全体的な減少傾向と比べても顕著に減少していることが分かります。内訳をみても、「脅迫」(+6.3%)が増えた以外は、「恐喝」(▲3.3%)、「窃盗」(▲14.4%)、「詐欺」(▲8.3%)などとなっており、減少幅から見る限り、暴力団員数の減少が大きく影響しているものと推察されます。また、暴力団排除条例での検挙が9名あったほか、覚せい剤取締法違反による検挙人数が8,665人と、全体(15,134人)の半数以上(57.2%)を占めています(ただし、前年比▲14.1%と大きく減少している点も注目されます)。

②警察庁「平成26年の特殊詐欺認知・検挙状況等について」 

▼ 警察庁「平成26年の特殊詐欺認知・検挙状況等について」

これまでもお伝えしてきているように、特殊詐欺については、認知件数、被害額ともに前年を大幅に上回り、特に、被害額は559.4億円と初めて500億円を超え、過去最悪を更新する結果となりました。また、その被害額の大きさは、平成26年における全財産犯の現金被害額(約1,130億円)の49.5%を占めるという事実からも実感されます。

また、被害額が過去最悪を更新する一方で、検挙人員も1,990人(前年比+216人、+12.2%)で平成22年以来の最多を更新しており、そのうち、「だまされた振り作戦」による受け子等の検挙が851人(前年比+71人、+9.1%)であることはひとつの成果だと言えると思います。

また、特に問題となっている高齢者(65歳以上)が被害を受けた特殊詐欺の件数については、10,540件(+1,246件、+13.4%)と大幅に増加しており、その割合も78.8%と前年から1.3ポイント増加するなど深刻さは増しています。なお、高齢者の被害者の割合は、平成23年は62.7%でしたが、平成24年には68.8%、平成25年は77.5%と年々深刻になっており、特にオレオレ詐欺型ではその傾向がより顕著で、平成23年は被害者4656人のうち高齢者は3,368人(72・3%)でしたが、昨年は5,559人のうち高齢者は5,118人(92・1%)と9割を超えるところまできています。

また、これまでもご紹介してきた通り、現金送付型の被害が、認知件数(既遂)は2,872件(+1,050件、+57.6%)、被害額は約212.1億円(+81.1億円、+61.9%)と急増しています。なお、警察庁では、現金送付型の被害の特徴およびその背景要因として、以下をあげています。

  • 1件当たりの被害金額が約738万円と、振込型約226万円、手交型約507万円と比べて極めて高額
  • 都道府県別に見ると、中国・四国地方等の首都圏から離れた県において、送付型事案による被害額の割合が高い
  • 振込型のように1日当たりのATM利用限度額による制限を受けない
  • 手交型のように受け子が被害者宅を訪問するなどの地理的な制約がない

一方、警察庁は、特殊詐欺の被害金送付先として悪用された住所を警察庁ウェブサイトで公表、郵便・宅配事業者に提供するといった取組みの結果、被害金の配達を阻止し、被害者に返金したケースが897件、約19億7,000万円の被害を未然に防止したということです。

③警視庁「特殊詐欺の被害状況(平成26年12月末)」

警視庁管内の数字についても警視庁から公表されていますので、ご紹介いたします。

▼ 警視庁「特殊詐欺の被害状況(平成26年12月末)」

振り込め詐欺の認知件数は2,139件(前年比▲11.0%)、被害額は64億1140万円(▲11.7%)であり、前述の全国の数値と比較すれば、警視庁管内だけで、認知件数で全国の19.0%、被害額で17.1%を占めていることになります(東京都の人口の集中度を大きく上回っている点が注目されます)。なお、振り込め詐欺以外の認知件数172件(▲4.0%)、被害額15億8990万円(▲8.8%)とあわせれば、5年ぶりに減少する結果となりました。

これは、警視庁が取組む組織的な詐欺グループ中枢を壊滅するためのアジト摘発強化などが功を奏しているとも言えます(全国のアジト摘発は41件のうち7割以上が警視庁)。最近でも、振り込め詐欺のアジト用にマンションを仲介して詐欺に協力したとして、警視庁が詐欺容疑で不動産会社代表を逮捕したという事案もありました。

また、報道によれば、検挙人数のほぼ半数が暴力団関係者であり、検挙者のうち、「受け子」が60%と最も多く、うその電話をかける「かけ子」が18%、「指示役」が6%だということです。

一方で、架空請求詐欺(認知件数前年比+64.7%)、融資保証金詐欺(+27.7%)、還付金等詐欺(+12.7%)などは急増しており、全国的な傾向とほぼ同じと言えます。また、被害額でみれば、オレオレ詐欺が42億1650万円ながら前年比▲22.9%となった一方で、架空請求詐欺が17億7160万円と前年比108.6%に上った点にも注意が必要です。

特殊詐欺を防ぐために、現在、金融機関をはじめ様々な取組みがなされているところですが、報道によれば、警視庁は4月から、退職した元警察官の女性を金融機関に派遣する取り組みを始めるということです。架け子からの電話を真実だと頑なに思い込んでいる高齢者を(詐欺だと)説得することに行員が大変苦労している現状をふまえれば、大変よい取組みだと思われます。また、そのような厳しい目が光るということで、店頭におけるその他犯罪の抑止にもつながることも期待されます。

④通信傍受の状況

前回の本コラムでも、特殊詐欺への対応のひとつとして、「通信傍受」の対象犯罪を拡大する動きがあることをご紹介いたしました。通信傍受法は、組織犯罪の首謀者の摘発を目的に、「薬物」「銃器」「集団密航」「組織的殺人」の4分野に限り、捜査機関が裁判所の令状に基づき、電話やメールを傍受することを認めているものですが、全国の警察による実施状況が公表されています。

▼ 警察庁「通信傍受法第29条に基づく平成26年における通信傍受に関する国会への報告について」

それによると、平成26年に、通信傍受法に基づき傍受を実施した事件は10件で、逮捕者は計72人に上ったということです。また、この10件のうち薬物の密売・栽培に絡む事件が7件で逮捕者のすべてを占めています。さらに、傍受した通話は計13,778回で、すべて携帯電話(PHSを含む)だったということです。なお、通信傍受が組織犯罪である暴力団の犯罪の摘発に有効に活用された事例としては、最近では、工藤会の最高幹部ら15名が逮捕された事案があげられます。

3) 福岡県の暴力団情勢

平成26年12月末の全国の暴力団情勢については、まだ公表されていませんが、一足早く、福岡県警が福岡県内の暴力団情勢を公表しています。

▼ 福岡県警「福岡県内の暴力団情勢」

それによれば、福岡県内の暴力団構成員等の総数は、平成26年12月末現在約2,530人(前年同期比▲180人、▲6.6%)で、うち、暴力団構成員は約1,560人(▲170人、▲9.8%)、準構成員等は約970人(▲10人、▲1.0%)となっています。ちなみに、福岡県の暴力団員数のピークは平成19年で、総数は3,750人と現在の1.5倍に上ります。特に、暴力団構成員は当時2,490人でしたので、37.3%も減少したことになります。

また、工藤会の構成員は490人(▲50人)、準構成員300人(▲20人)の合計790人(▲70人、▲8.1%)で福岡県の暴力団員数の31.2%を占めています。一方、福岡県内における山口組については、構成員は290人(▲30人)、準構成員240人(▲10人)、合計530人(▲40人)と全体の20.9%を占める勢力となっています。

工藤会の幹部が昨年相次いで逮捕され、離脱者が急増しているとされていますが、統計資料ではその影響はまだ完全には反映されていないように思われます。

さて、その工藤会は暴力団対策法上の「特定危険指定暴力団」に指定されていますが、福岡県公安委員会は、現在、北九州市内にある組事務所1カ所に対し、暴力団対策法に基づく使用制限命令を検討しており、命令が出されれば、昨年11月の本部事務所など4カ所に続き、5カ所目となります。この使用制限命令によって、事務所の維持管理以外での組員の集合や立ち入り等が禁止され、活動が大きく制限されることになります。
また、福岡県が平成24年8月に標章を使った暴力団排除活動を始めてから、北九州市内などでは暴力団員の立ち入り禁止をうたう暴排標章を掲示した飲食店の関係者らが狙われる事件が相次ぎましたが、これについても工藤会系幹部が新たに逮捕されるなどの動きもみられています。

4) 企業とテロ対策

過激派「イスラム国」を名乗る組織による人質事件は、海外の日本人や企業が重大なテロの対象となりうる危険性をあらためて示したと言えます。今回の事件を機に、テロ対策においては、国家レベルの危機管理の重要性が認識されたものの、企業がどう取組んでいくべきかについては、まだまだ暗中模索の状態にあるのも事実です。

外務省は、海外に渡航、出張、滞在する邦人向けに各国・地域の情勢を分析して渡航情報を出していますが、法的な強制力はありません。しかしながら、企業としては、これらの情報を参考にしながら、行き先や必要性の判断を慎重に行っていくことが求められます。また、外務省では、新たに在外邦人の安全確保強化のための方策を打ち出していますので、その内容についても企業は最低限押さえておく必要があります。

▼ 外務省「在外邦人の安全対策強化のために直ちにとりかかるべき施策の公表」

  • 携帯電話のSMS(ショートメッセージサービス)による在留邦人への緊急一斉通報システムの運用開始(SMSの返信により邦人安否確認作業の大幅な効率化も期待)
  • 「たびレジ」の利便性向上・広報強化(短期渡航者のための登録システムである「たびレジ」の普及・活用)
  • 海外安全ホームページのスマートフォン対応
  • 日本人学校の警備強化(警備員の増員や、監視カメラ等の警備機器に関する支援の充実)
  • 在留邦人向け安全対策セミナーの実施

一方、テロの舞台は、中東など危険情報が発せられている地域等に限られません。海外では、インターネットなどで過激思想の影響を受けた国内出身者(ホームグロウン・テロリスト)の犯行が多発しており、アメリカのボストンマラソンやカナダなどで発生した事件は記憶に新しく、日本での発生可能性もゼロではありません。報道によれば、日本の警察当局は、影響を受けて過激化した個人によるテロを警戒しており、爆発物の原料などを扱う民間事業者とも連携し、不審者情報収集を一段と強化しているとのことです。組織的な攻撃の端緒を掴むことでさえ困難なところ、過激化した個人によるテロの事前察知は輪をかけて容易ではないといった現実があります。

また、国内では、四方を海で囲まれた日本の地理的状況からみれば、空港や港湾における入国審査(水際)においてテロリストの入国をいかに防ぐかが重要ですし、原発や交通網、電力・ガスなど重要インフラ施設の警備や出入りする者(内部関係者も含む)の身元調査などの徹底、サイバーテロへの対策などが重要となります。

そして、テロの対象が必ずしもそれらに限られない(どこで発生するか分からない)こともふまえれば、企業においても、「不審者の施設への侵入防止対策や警備体制の強化」「社員に対する通退勤時や営業活動・出張時における行動基準(テロの対象となりやすい施設等の注意喚起等)の徹底」「社員や取引先の(テロ資金供与対策の一環として、世界各国の制裁リスト等に該当がないかといった)チェックの強化」などの取組みは、今後検討していく必要があると思われます。

関連して、休眠会社やペーパーカンパニーがテロ組織にも悪用されている現実があり、フランスの週刊誌テロ事件においても、容疑者の兄弟がイエメンを拠点とするイスラム過激派組織から、ペーパーカンパニーの口座を通じて資金提供を受けていたと報道されています。日本でも、法人登記はされているものの、実際には企業活動をしていない休眠会社が国内に約88,000社あったことから、法務省が先月「みなし解散」手続きを行っていますが、今後は毎年実施することとしていますので、テロ資金供与対策としても有効だと言えます。

また、テロ組織やマフィアなどの犯罪集団による国際的な組織犯罪に対応するため、一定の犯罪について謀議をした段階で罪に問える「共謀罪」創設を柱とする組織犯罪処罰法改正案については、今国会への提出も見送られるようです。2020年東京五輪に向けたテロ対策の一環として整備しておくべきテーマであるにもかかわらず、法の拡大解釈による不法逮捕や人権侵害につながりかねないとの批判から現状では国民の理解を得にくく、過去3回廃案になった経緯や、今国会では集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案の審議が控えているためとされています。

以前も指摘した通り、国連が2000年に採択した「国際組織犯罪防止条約」については、日本も署名したものの共謀罪がないため批准が遅れているほか、AMLの観点から言えば、FATF(金融作業部会)の日本に対する異例の声明の中でも「同条約の締結に必要な国内担保法の整備」が明確に要請されています。

このような国際的な要請が高まる中、犯罪収益移転防止法を再度改定することになったとしても、同条約に必要な法整備が遅れれば、日本はAMLに重大な欠陥がある「非協力国」として国際金融取引に制限が課せられる可能性も否定できない状況が続きます。

5) 忘れられる権利

本コラムでも重大な関心をもって取り上げている「忘れられる権利」ですが、最近の動向を確認しておきます。

まず、昨年11月に、EU加盟国当局及び欧州委員会からなる諮問機関「第29条作業部会」は、主要検索事業者からのヒアリング等を踏まえて法的検討を行い、グーグルスペイン社事件の先行判決の解釈指針と加盟国当局の対応指針を示したガイドラインを発表しています。

▼ 総務省「個人情報・利用者情報等の取扱いに関するWG(第1回)」の資料7「ICTサービスにおける個人情報・利用者情報等の取扱いに関する課題(事務局)」から

  • 検索事業者は「データ管理者」(現行指令第2条)と見なされ、その結果、データ主体(個人)による「違法情報の消去を求める権利」(同12条)に服する (ただし、「知る権利」との利益衡量を行う)。。
  • 検索事業者により削除を拒否された個人に対する加盟国当局の対応について、共通の基準となる考え方として、人名に基づく検索結果か、公共人か、未成年者か、検索結果は正確か、検索結果は、データ主体に関連しているか、センシティブ情報か、検索結果は最新の情報か、偏見が生じているか、リスクを生じているか、データ公開の意図は何か、リンク元サイトに報道目的があるか、リンク元サイトに公開の義務があるか、刑事犯罪に関連しているか、などを列挙。

一方で、こうした「忘れられる権利」の適用範囲についてグーグルと欧州連合(EU)の個人情報保護規制当局との間で意見が対立している状況は変わらず、EU規制当局が全世界で検索結果の削除を求めているのに対し、グーグルは判決に従い欧州のウェブサイトに限定して個人情報の削除に応じるとしています。

また、米グーグルが指名した諮問委員会(ドイツ元法相やウィキペディアの創始者などグーグルの指名した専門家のほか、グーグルの最高法務責任者と会長など10数名のメンバーから構成されている委員会)も、判決の適用範囲を欧州に限定する方向に傾いているとの報道も最近ありました。同諮問委員会による報告書については、この2月中にも発表される見通しということであり、その内容が注目されます。

6) その他

①山口組100周年

今年1月25日、神戸市東灘区の山口組総本部で創設100周年を記念する行事を兼ねて新年会が開催されています。

また、この時期、話題になるのが山口組の組指針ですが、平成27年は「自戒奉世」(世の人に迷惑をかけないように自分を戒めて、世のため人のため奉仕する)を掲げています。100周年を迎え、任侠道という「道を極める者(極道)」としての原点回帰の宣言とも言えますが、今や若者や高齢者、生活保護受給者など「社会的弱者」を食い物にする「道を外れた者(外道)」がその実態であり、暴力団の存在意義が問われる中、生き残りをかけて、構成員に対しては有言実行を徹底して頂きたいものです。ちなみに、昨年(平成26年)の組指針は「窮すれば通ず」(行き詰まって困窮したときかえって活路が見つかる)、平成25年は「上善水の如し」(さまざまな形へと変化できる柔軟性を備えさらに進化する)であり、暴排の機運が高まる社会に適応しようともがく彼らの危機感が滲み出ていると言えます。

②組事務所撤去訴訟(広島)

広島市内のマンションに指定暴力団共政会系の組事務所があるため生活が脅かされたとして、住民に委託された公益財団法人「暴力追放広島県民会議」(広島市)が暴力団側に事務所の使用差し止めを求めた訴訟で、広島地裁で和解が成立したということです。

本事案は、平成24年10月30日施行の改正暴力団対策法に基づき代理訴訟を起こすことができる「適格都道府県センター」に同県民会議が認定され、昨年2月に全国で初めて提訴した事例となりました。

▼ 政府広報オンライン「不当要求などの規制・取締りをより強化!改正暴力団対策法」

③イタリア犯罪組織の一斉摘発

イタリア司法当局が、武器の不法所持や恐喝、マネー・ローンダリングなどの疑いで、南部のカラブリア州を拠点とする犯罪組織「ンドランゲタ」の一斉摘発を行っています。報道によれば、160人以上の逮捕状を取り、うち110人の身柄を拘束したとのことです。この組織は、イタリア四大犯罪組織の一つであり、現在ではイタリア最大の勢力に拡大しています。なお、昨年、ローマ法王(フランシスコ法王)は、ンドランゲタの拠点であるカラブリア州を訪問した際に、「ンドランゲタは悪をたたえ、善を軽蔑する」と指弾し「悪の道を進む者は神との交わりがなく、破門される」と述べています。

3.最近の暴排条例による勧告事例・暴対法に基づく中止命令ほか

1) 福島県の勧告事例

福島県暴排条例で禁止されている、幼稚園の近くに暴力団事務所を開設したとして、指定暴力団松葉会系組長が逮捕されています。事務所の開設や運営で逮捕者が出るのは、2011年7月の福島県暴排条例施行以降で初めてとなります。

2) 愛媛県の勧告事例

暴力団員が飲食店などを経営する38の事業者から「みかじめ料」を受け取っていたとして、愛媛県公安委員会は、愛媛県暴排条例に基づき、違反行為をやめるよう指定暴力団山口組系の暴力団員の男2人と38の事業者に対して一斉に勧告しています。報道によれば、暴力団員が受け取ったみかじめ料は少なくとも1,000万円にのぼるとみられています。

3) 愛知県の逮捕事例

風俗店経営者から用心棒代を受け取っていたとして、愛知県暴排条例違反の疑いで、指定暴力団山口組平井一家傘下組織組長ら暴力団員3人が逮捕されています。また、3人に用心棒代を支払っていたとして同条例違反の疑いで、風俗店経営者も逮捕されています。愛知県暴排条例は事業者と暴力団の用心棒代の受け渡しを禁じ、条例で定めた特別区域内で違反した場合は、支払った側と受け取った側双方に罰則を科しています。

4) 大阪府の勧告事例

指定暴力団稲川会系幹部に、約3年半にわたり8,400万円を渡し、マンションの無償提供やホテル代を肩代わりするなどの利益供与をしたとして、大阪府公安委員会は、府内の医療関係の団体幹部の男性に対し、大阪府暴排条例に基づき利益供与をやめるよう勧告しています。また、組幹部についても、用心棒代を受け取らないよう勧告するとともに、暴力団対策法に基づく防止命令も出したということです。

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