HRリスクマネジメントトピックス

コンプライアンスやリスク管理に関するその時々のホットなテーマを、現場を知る
危機管理専門会社ならではの時流を先取りする鋭い視点から切り込み、提言するコラムです。

三匹(?)が語る!HRリスクマネジメント相談室(10)「相手を思いやれない若手社員をどう扱うべき?」(2019.7)

 職場におけるトラブルは複合的。社内の様々な関係者の協力を得て、複数の視点で捉えなければ、解決が難しい問題も多々あります。でもやっぱり最後は「人」!HRリスクマネジメントが重要です。

 職場における様々なトラブルを解決すべく、今、エス・ピー・ネットワークに生息する動物たちが立ち上がりました!初動対応や法的な責任、再発防止など、三匹それぞれの観点から熱く語ります。

【今月の三匹・プロフィール】

ワオキツネザルさん:
この春、九州から上京しSPNの森の仲間になりました。好奇心旺盛で、伸びしろだけはたくさんあります。色々なことに流されたり目移りしたりと落ち着きがないですが、長~いしましましっぽでバランスをとりつつ、落ち着きのある社会人目指して頑張ります!

リスちゃん:
お気に入りの木の実は秘密の場所に隠して、後でこっそり食べる。森の元気印としていつもニコニコしていますが、ふざけているわけではありませんよ。木の上からパトロールをしています。(暑いと休憩が増えるのはここだけの秘密…)

ネコさん:
猫なで声と鋭い爪をあわせ持ち、企業内での人事実務経験が豊富。社会保険労務士で、産業カウンセラー、実はキャリアコンサルタントでもある。暑い季節は、涼しいところでゴロゴロしたいニャー。

今月のご相談は、こちら。

営業事務暦20年、部内では、「お局さま」なんて呼ばれている立場の者です。

 今年も新人さんが配属され、少しずつ現場の仕事にも馴染んできたようなのですが、新人のAさんの言動が気になってしまいます。「イマドキの若い人は」なんて言いたくないのですが、「常識が違う」というか、「最低限のマナーを守れない」というか…「どうしたら相手のことを考えてもらえるのかしら?」と、私の方が悩んでしまうのです。

 先日、「暑気払い」と称して、部内の飲み会があったんです。その幹事を、Aさんが担当したのですが、Aさんは当たり前のように、ネット予約で何軒もお店を予約していました。上司と相談して、決まったらすぐキャンセルするのかな、と思っていたのですが、お店が決まってからも放っておいて、「今日まではキャンセル料がかからない」ギリギリの日に、やっとキャンセルの手続きをしているのを見てしまいました。キャンセルした中には、いつもB課長が懇意にしている店が含まれていたようです。お店の人から「ギリギリでのキャンセル」をそれとなく咎められたB課長が、Aさんに確認したところ、Aさんはあっさり「ギリギリでのキャンセル」を認めました。B課長は、「キャンセルすることがわかったら、すぐにキャンセルするのが当たり前だ!」と、Aさんを厳しく注意したのですが、Aさんは逆に怒り出し、自分の非を認めません。Aさんは、(1)キャンセル料がかからないうちにキャンセルしたのだから自分に非はない、(2)自分がキャンセルしたことがB課長に伝わったということは、お店が自分の個人情報を漏洩したということであり、お店にクレームを入れる!と言って、聞かないのです。

 私は、B課長の叱責はもっともだと思います。でも、じゃあAさんに明らかな非があるのかと言われると、よくわからなくなってしまいます。でも、キャンセルされたお店のことを思ったら、やっぱりAさんはおかしいと思うのです。

 上手く言えないのですが、これからも、同じようなことが続くような気がして、不安です。

【ワオキツネザルさん】

はじめまして!!ワオキツネザルです。初登場はとても緊張しますし、「イマドキの若い人は」という言葉を聞くと、なんだか自分までこれから叱られてしまうような気がして震えが止まりません。Aさんと同じ新人として、共感できる点もできない点もありますが、ワオキツネザルなりに今回の問題の解決に向けて考えてみたいと思います。

<「自分に非はない」というけれど>

 Aさんは「ギリギリでのキャンセル」に関して、「キャンセル料がかからないうちにキャンセルしたのだから自分に非はない」と言っています。それを聞くと、「たしかにそうかもな」と一瞬思ってしまいますが、「でも何かがおかしい」とも感じます。

 というのも、いくらキャンセル料が発生しないといっても、誰かに迷惑がかかっている可能性が大いにあるからです。行かないつもりのお店の予約をし続けていれば、他の人がそのお店の予約をしたい場合に、既に予約がいっぱいで予約ができなくなる可能性があります。そうなるとその人は他のお店を探さざるを得なくなり、「行きたいお店に行けない」ということになってしまいます。

 また、そうした事態が起きてしまうことは、お店にとっても迷惑でしょう。Aさんが早く予約をキャンセルしないせいで、そのお店は別のお客様の予約を受け付けることができなくなってしまうかもしれません。そうなると、来るはずだったお客さんが来ない、発生するはずだった売り上げが発生しないということになり、そのお店に迷惑がかかるでしょう。

 「そのための『キャンセル料』でしょう」といわれれば「たしかにそうですが」と思ってしまいます。しかし、それにしても、行かないと決まったのならそのお店の予約をキャンセルする「気遣い」や「マナー」はあった方がよいのではないでしょうか。

 「キャンセル料がかからないうちにキャンセルしたのだから」と言われると一瞬納得してしまいそうですが、今回のケースにおいてAさんは行かないと決まったお店を早めにキャンセルすべきだったと思います。

<「知らない」ことによるミスだから、「叱責」よりも「説明」を>

 ご相談にも「『イマドキの若い人は』なんて言いたくないのですが、『常識が違う』というか、『最低限のマナーを守れない』というか…『どうしたら相手のことを考えてもらえるのかしら?』」とありますが、イマドキの若手社員をどう指導したらよいのか、新入社員目線で考えてみます。

 新入社員がしてしまうミスの種類や原因にはいくつかあるかと思いますが、「気遣い」や「最低限のマナー」に関するミスの多くは、「そもそも知らない」ことによるものが多いのではないでしょうか。そして、そうしたミスは「本人は良かれと思ってやっているもの」や「悪気がなくやっているもの」です。

 そうしたミスを今後起こさないようにするためには、B課長のように厳しく叱責することは避けた方が良いでしょう。厳しい叱責には2つのリスクがあるからです。叱責する側もされる側も感情的になり、問題解決から遠ざかってしまうリスクと、叱責された側が萎縮してしまうリスクです。

 Aさんのように上司に叱責されてもひるまないようなタイプの社員を厳しく叱責してしまうと、叱責した側が反撃を受け、互いに感情的になってしまい、問題解決から遠のいてしまう可能性が高いです。これはまさに今回のケースですね。また、もしAさんが気弱な社員だった場合、B課長のように厳しく叱責してしまうと、萎縮してしまう恐れがあります。一度萎縮してしまうと、上司に対して言いたいことが言えなくなってしまったり、わからないことがあっても聞きづらくなってしまったり、ミスを恐れて何事にも挑戦しなくなったり、あるいは別のミスをしたときに隠ぺいしようとしたりする可能性もあります。

 叱責したらどちらに転ぶかは人によりますが、新人に望ましい行動をさせようというシチュエーションで厳しく叱責することは、思うような効果につながりにくいでしょう。

 では、気の遣えない新人を「なんとかする」にはどうしたらよいのでしょうか。それには、「叱責」よりも「説明」が有効であると思います。というのは、ワオキツネザル自身、何らかのミスをして注意されている最中に、「なぜ自分が怒られているのか、よくわからない」あるいは「たしかに悪いことをしたかもしれないが、それはここまで激しく怒られることなのだろうか」と思うことがたまにあるからです。年齢のせいにするのは良くないとは思うのですが、社会に出たばかりだとどうしても「知らないマナー」や「気づかない気遣い」が存在するので、適宜教えてほしい、と思ってしまうのが正直なところです。

<ワオキツネザル的な要望>

 色々なことを述べてきましたが、ワオキツネザル的には、Aさんの周りの先輩方には「イマドキの若者は…」なんて不満をもらしつつ、Aさんが何かでミスをする度に、しつこく注意し続けてほしいと思います。世代間で価値観に違いがあることは仕方のないことですし、それを説明して理解できた方がいいことは確かなのですが、限界もあります。前の段落では「叱責よりも説明を」などと申しておりましたが、「いくら説明を聞いたってわからないものはわからない」「いくら説明をしても伝わらないものは伝わらない」という状態もあるはずです。Aさんの周りの先輩方には、そうしたストレスを「イマドキの若者は」なんて小言で発散しつつ、Aさんを見捨てることなく指導してほしいです。

 気の遣えない新人に対しては、やや強引に「矯正」する必要も出てくるかもしれません。その際は、「社会というものはこういうものだから」、「つべこべ言わずにまず、そういう風にやってみなさい。後になったらわかるから」という説明も必要になってくるかと思われますし、新人の方もその説明を受け入れる必要が出てくるでしょう。ここを受け入れてもらうには、新人に「最初からすべてをわかろうとするとか、自分で納得したことしか実行しませんという姿勢は改めた方がいいかもしれないよ」と事前に伝えておくことが有効かもしれません。

 「説明したらわかり合えるはず」といった思い込みを捨てて、「(相手の言い分はよくわからないが)この状況を改善するためにはどうしたらよいだろうか」といったことを考えること「も」、問題解決の近道になるかもしれません。

【リスちゃん】

飲み会の幹事って、難しいですよね。色々な条件がありますし、ギリギリまで参加者が決まらないなんてこともよくあります。私も森の飲み会の幹事をすることがありますが、夜行性の動物さんたちとタイミングが合わず、結局バタバタしてしまうんですよね。

 今回、Aさんは、キャンセル料がかからないギリギリの日にキャンセルをしたとのことですので、ルールを破った訳ではありませんが、お店側が予約のキャンセルに敏感になってしまうのにも理由があるのです…。

<無断キャンセルの横行>

 近年、ネット予約のできるお店が増えて、電話などで直接やりとりをせずに簡単に予約が取れるようになりました。一方で、予約当日の無断キャンセルが相次いで発生し、話題になりました。経済産業省のレポート「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」(2018年11月1日)によると、飲食店の無断キャンセルは、飲食店の予約全体の1%弱を占め、飲食業界全体に与えている損害は、年間で約2,000億円とも言われているそうです。事例もいくつか載っていますので、参考にしてみてください。無断キャンセルの場合は、「キャンセル」の連絡がないため、予約席を解放するわけにもいかず、お店はもどかしい時間を過ごします。

 今回のご相談は無断キャンセルではありませんが、お店の立場で考えると、キャンセルされるまでは、予約客がお店に来るものだと思っていますよね。料理や飲み物の準備は当日だとしても、材料の仕入れや宴会用にシフトを調整するなど、数日前から準備をしているはずです。さらに、ワオキツネザルさんも言っていたように、予約されている間、その席は他の人が使用できませんので、売上が見込めないということにもなります。今回の場合で言うと、Aさんが早めにキャンセルしていれば、その後新しい予約が入ったかもしれません。お店側からすると、今さら…とがっかりしてしまうのです。

 最近では、これはマッサージ店でのお話ですが、競合店に対して偽名で予約を入れ、そのまま来店せずに業務を妨害したとして、40代の男が書類送検されたというニュースがありました。このように悪意があって無断キャンセルされる場合もあるんですね。お店は大きな痛手を受けますので、決して許されない行為だと思います。

<相手の立場で考えると…>

 相談者さんも仰っている通り、Aさんは、そのお店が決めているルールを破ったわけではありません。今回私が気になったポイントとしては、Aさんが、お店が決まった時点で他のお店をキャンセルしなかったのは何故なのか?ということです。後回しにすると忘れてしまい、そのまま無断キャンセルになってしまいそうな気がする…のは私が忘れっぽいからでしょうか。冗談はさておき、Aさんが他のお店をキャンセルしなかったのには、何か理由があったのでしょうか。お店を困らせようとしてやったのであれば言語道断ですが、相談者さんのお話を聞く限り、少なくともAさんに悪意があったようには感じられませんでした。そして、Aさんの「キャンセル料がかからないうちにキャンセルしたのだから自分に非はない」という主張も、間違ってはいません。ただ、先ほどご紹介したようなお店側の気持ちをAさんが考えていたら、早めにキャンセルする気になったかもしれませんので、Aさんにはお店側の視点を持って欲しいですね。

 相手の立場になって考えると異なる視点が生まれます。少し視点を変えるだけで、視野は広がるものです。ネット予約であっても、「お店」とのやりとりだとしても、対応している相手は自分と同じ人間です。便利な世の中になり、直接人とやりとりをしない場合も増えましたが、最後に対応するのは人ですよね。相手も人であるという視点も忘れてはいけない視点だと思います。

<Aさんの意見は?>

 さて、これまでお店側の気持ちになって考えるということをお話してきましたが、ここからは少し視点を変えましょう。皆さん、覚えていますか?前段で私が気になったポイント、「Aさんが、お店が決まった時点で他のお店をキャンセルしなかったのは何故なのか」については、謎のままなのです。次は、Aさんの立場になって考えてみましょう。

 Aさんは若い新人さんですので、飲み会の幹事に慣れていなかったのかもしれません。新卒の場合は、初めての幹事だった、なんてこともあり得ますね。いずれにせよ、Aさんは、自分なりに考えて行動したはずです。行けるお店がないなんてことにならないように、予備として予約したのでしょう。それを突然否定され、「こうするのが当たり前だ!」と厳しく注意されたら、嫌な気持ちになりますよね。

 Aさんには、お店の立場で考えるという視点が足りなかったと思いますが、B課長には、Aさんの立場で考えるという視点を持ってほしいと思います。なぜそのように行動したのか、まずはAさんの話を聞いて、おかしいところがあれば、なぜダメなのか、どうしたらよいのか、きちんと説明することが重要です。「こうするのが当たり前」と言うのであれば、事前にAさんにどういう手順で幹事をするのか、きちんと説明しておくべきでしょう。

 また相談者さんは、Aさんがネット予約で何軒もお店を予約しているのを見ているのですから、その時点でAさんに声をかけてあげてほしいですね。「上司と相談して、決まったらすぐキャンセルするのかな」というのは、あくまでも相談者さんの推測にすぎません。Aさんがどう考えているかは、Aさんに聞かなければわかりません。実際に、Aさんは相談者さんの予想と異なり、お店が決まってからも他のお店をキャンセルしていません。Aさんが、「お店が決まってからも放っておいた」というのも、相談者さんの主観ですよね。気になっていたのであれば、「お店は決まった?」、「決まったのなら、他のお店はキャンセルしたら?」など、一声かけるだけでよいのです。

 若手が言うとあまり説得力がないかもしれませんが、「イマドキの若い人は…」と思っていても、話を聞くと意外ときちんと考えていて、他の人が今まで気付かなかったことに気付く場合もあるんですよ。

<Aさんの個人情報は漏えいされたの?>

 「AさんがキャンセルしたことがB課長に伝わった」ことについて考えてみましょう。ネット予約の場合には、入力した情報のうち、どの情報がお店に伝わるのかもサイトによりますし、状況がよくわからないので確定的なことは言えないのですが、お店がB課長にAさんの個人情報を教えたのだとしたら、それは個人情報の漏えいになりそうです。一方で、Aさんが会社の名前やB課長の名前で予約した可能性もありますね。あくまで推測ですが、Aさんが会社の名前でお店を予約する→ギリギリにキャンセルをする→お店が会社名を見てB課長にギリギリのキャンセルをそれとなく咎める→B課長がキャンセルしたのはAさんではないかと推測→B課長がAさんに注意…このような流れも考えられるでしょう。いずれにしても、「お店が自分の個人情報を漏洩した」というのは、まだ事実かどうかわかりませんので、「お店にクレームを入れる!」と感情的に動くのは、少なくともお勧めできることではありません。Aさんも、B課長も、相談者さんも、まずは冷静に状況を確認しましょう。コミュニケーション不足から、話がこじれていってしまっているように思います。頭ごなしに否定され、Aさんも頭に血が上ってしまっているように見受けられます。このまま放置していたら、相談者さんの「これからも、同じようなことが続く」という不安も的中してしまいそうです。悪循環に陥る前に、「相手の立場で考える」をキーワードに、コミュニケーションの取り方を改めて考えてみてはいかがでしょうか。

【ネコさん】

ニャーン、ワオキツネザルさんもリスちゃんも、いい子ねぇ。お店や他のお客さま、それにAさんやB課長など、他の人の立場に立って考えられる動物さんたちには、安心して仕事を任せられます。ネコはゴロゴロしていても大丈夫そうね。(え?ダメ?はーい、働きますぅ。)

<事前準備は大事です!>

 ありがたいことに、SPNの森には、様々なお仕事が次から次へとやって来ます。それらをきちんとこなしていくためには、事前の準備や計画がとっても大事。ネコは心配性なので、「この時期はこの案件で忙しくなりそうだな」とか、「急に急ぎの案件が入ったから、ここで調整して」とか、常に先々のスケジュールを考えながら、今日やることを決めている…つもりです。(でも、なかなか思う通りにはいかないニャン。)

 ネコとしては、事前の「準備をしていなかった・足りなかった」ことで後悔することは多々ありますが、事前の「準備をして」後悔したことはありません!たとえその時は無駄になったとしても、すぐに別の機会で役に立つことは本当に多いものです。

 だからね。Aさんにも、事前の準備がどれくらい大切か、飲食店の皆さんもどれくらい事前に準備しているか、知っていただきたいな、と思ってしまいます。

 リスちゃんが紹介していた経済産業省のレポート「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」(2018年11月1日)をネコも読んでみました。それによると、「無断キャンセル」による損害に、通常の予約のうち1日前、2日前に生じるキャンセル分まで加えると、なんと年間の被害額は約1.6兆円にも及ぶと推計されています!

 このレポートをAさんに読んでもらうのも、一手かもしれませんね。「数字」で示すと、そのインパクトは大きいと思います。ネコは新入社員研修のお仕事もさせていただいておりますが、新人さんたちに、「会社の『経常利益』って、売上の何%くらいあると思う?」と聞くと、「30%前後」という答えが返ってくることが多いのです。その後、自社の決算資料や統計調査の結果などを見せると、みんなびっくり。会社が「利益」を生み出すことの苦労を、そんな「数字」から知っていただいたりしています。

<できる営業さんになって欲しいから…>

 相談者さんは「営業事務」の方のようですので、きっとAさんも営業系のお仕事でしょうね。営業系の部署は、お客様との窓口であり、「売上」を求められる部署であるはずです。ということは、Aさんにも近い将来、「売上目標」とか「ノルマ」が課されることになるでしょう。Aさん、売上をバンバン上げられるようになるでしょうか…?うーん、今のままだと、苦労しそうな予感がします。だって営業って、「お客様の立場」で考えることが大切ですよね。たとえ「契約違反」はしなくても、お客様の要望をうまく汲み取れなかったり、より良い提案ができなかったりしたら、少なくとも「優秀な営業さん」にはなれないような気がしますもの。マナーに違反しても犯罪にはならないけれど、一人前の社会人としては認めてもらいづらい…なんていうことも言えますよね。

 仕事で期待される成果を上げ、高く評価されたい!と思うならば、やっぱり「違反じゃなければOK」という考えでは、思うような評価にはつながらないと思うのです。「もっと素敵な社会人になるため」「もっと優秀な営業さんになるため」の工夫のひとつとして、「相手の立場で考えると、Aさんはもっと良くなるよ」とB課長がアドバイスしていたら、Aさんはもう少し素直に受け入れられたかもしれません。

 自分が非難されたり、「ダメなヤツだ」と烙印を押されたりすることは、Aさんにとっては非常に重大な問題のはず。これから「この職場にいられるだろうか」「みんなから責められるのではないだろうか」と思ったら、不安に取りつかれて、何とか自分の正しさを示そうと、必要以上に躍起になってしまったのかもしれません。相談者さん、ぜひ、B課長がうまく伝えられなかった、「Aさんにもっと素敵な社会人になってほしい」「もっと優秀な営業さんになってほしい」という思いを、Aさんに通訳してあげてください。

<Aさんをみんなで育てていくために>

 もうひとつ、職場のみなさんにお願いしたいのは、「Aさんをみんなで育てよう」という意識を持っていただきたい、ということです。新人さんの育成は、上司や役職者だけの仕事ではありません。お互いに役割分担しながら、「一貫した指導」をしていただきたいな、と思います。

 Aさんが明らかに「望ましくない行動」をしたら、みんなが「それはダメだよ」「こうした方がいいよ」と、同じ方向性のことを言えることが望ましいです。Aさんの行動に無関心な人、ダメだと思っても「いいよ、いいよ」と無責任に許してしまう人がいると、Aさんはその人とばかり付き合うようになり、「自分が正しい」という考えを強化して、ゆくゆくは「成果を上げられない人」になってしまう可能性があります。決して「人」は非難せず、「行動」だけを修正させるように動機付けるのがポイントです。ワオキツネザルさんが言うように、現時点で「納得」までは難しいのかもしれません。でも、「そう振る舞うこと」で周囲が笑顔になるならば、「考え」はともかく、「行動」は正しい方向性を保てると思うのです。

 また、指導の対象となるのが、Aさんだけでもいけません。例えば、会議室の予約。予定が変わったのに、予約をキャンセルしない人はいませんか?上司や先輩社員が、当たり前のように「他の人を気遣う姿」を見せることも、大切な指導です。もし「マナー違反」をした人がいたら、それが誰であっても、別の誰かがさっと諌めるのが当たり前でないと、Aさんは、「自分だけが叱られる」とふくれてしまいそうです。

全てはAさんを「デキる仲間」に育てるためです!みんなで少しずつ、頑張りましょう!

 「HRリスク」とは、職場における、「人」に関連するリスク全般のこと。組織の健全な運営や成長を阻害する全ての要因をさします。
職場トラブル解決とHRリスクの低減に向けて、エス・ピー・ネットワークの動物たちは今日も行く!

※このコーナーで扱って欲しい「お悩み」を、随時募集しております。

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