HRリスクマネジメント トピックス

「社風は変えられる?」三匹(?)が語る!HRリスクマネジメント相談室(25)

2021.07.26
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考える数名の会社員

職場におけるトラブルは複合的。社内の様々な関係者の協力を得て、複数の視点で捉えなければ、解決が難しい問題も多々あります。でもやっぱり最後は「人」!HRリスクマネジメントが重要です。

職場における様々なトラブルを解決すべく、今、エス・ピー・ネットワークに生息する動物たちが立ち上がりました!三匹(いえ、今回は5匹!)が、チャットにて解決の道を探ります。

【今月の三匹・プロフィール】
みみずくさんのイラストみみずくさん(みみ):
SPNの森のお目付け役。愛らしいフォルムと裏腹に、猛禽類らしい鋭い目線で最新のリスクをチェック!さらに森の仲間たちの文章もチェック!夜行性?うーん、夜中に起き出して活動を始めるから、夜行性なのか早起きなのか…?


モモンガさんのイラストモモンガさん(モモ):
小さな皮膜で滑空する夜行性。社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー。SPNの森にも慣れて、そこそこ長い会社員経験をおなかの袋から取り出しながら実務の間を飛び回ります。


リスちゃんのイラストリスちゃん(リス):
森の中を駆け回り、皆さんのお困りごとに対応します。気が付けばこの森に来て4年が経っていました…。最近は巣穴での勤務も慣れてきました。変わらずご相談にお答えしていきますよ。


ペルシャ猫さんのイラストペルシャ猫さん(ペルシャ):
SPNの森にやってきた、ゆったりと過ごすことが好きな新参猫。ゆったりと過ごしたいが、過ごせなかった過去を持つ。社会保険労務士のほか財務会計の資格もあり、人事労務と財務会計分野の実務経験が長い。


ネコさんのイラストネコさん(ネコ):
当相談室の留守番ネコ。猫なで声と鋭い爪をあわせ持ち、企業内での人事実務経験が豊富。社会保険労務士で、産業カウンセラー&キャリアコンサルタント。実はいろいろな森を渡り歩いているニャ。

今月のご相談は、こちら。

この会社に中途入社して3年が経ちますが…いまだにこの会社の社風を好きになれません。

何というか…指示待ちで、自分から何かしようという雰囲気がないんですよね。トップダウンが染みついているのだと思います。社長の鶴の一声で何でも決まってしまうので、自分たちで考えても無駄だと思う人が多いのでしょう。

他の役員や管理職は、社長からの指示をそのまま部下に下ろします。現場の私たちには「非現実的な指示」でも、「社長の指示なんだから、やるしかない」と、現場と話し合う気もないようです。代案を出しても取り合ってもらえず、また、上からの指示に素直に従う人ばかりが管理職になるので、うるさく言えば自分の評価に響きます。結局、現場も「言われたとおりにやればいいや」「形だけ従っておけばいい」と、適当に仕事を流すようになっていきます。

社長ももうお年ですし、現場をほとんど見ていません。20~30年前の感覚で指示を出されるので、真面目に会社の将来を考えると不安でなりません。

中途採用者を中心に、会社の問題点を話し合ったり、有志で勉強会を開いたりと、草の根的な活動はしているものの…上が変わらない限り、どうにもならないのでしょうか。できる人は皆、退職してしまいます。

この「染みついた社風」って、変えられないものなのでしょうか?

さぁ、SPNの森の動物たち、この相談者さんにアドバイスを!

〈社風は変わらない?〉

ネコ:今回は社風に関するご相談ですね。でも、こんなのって「あるある」では?

ペルシャ:社風…。トップのキャラクターがモノを言う気がしますね…。前職では個々の事業所で独立採算制だったので、その事業所トップのキャラクターで左右される感じはありました。同じ会社なのに、こんなに違うのかと思うくらい、カラーが出ていましたよ。

ネコ:トップの人による、ということね。じゃあ、トップが変われば、社風も変わるのかな。

モモ:私も社風はトップに牽引されると思います。今回のディスカッションを機に思い出したことがあって…。小学生か中学生の頃、近くのファミレスの店員さんたちがすごくテキパキしていて、挨拶なども良かったんですが、しばらくして、同じ店員さんたちなのに、対応が全く違ってしまっていました。全体にダラダラしていて、不満そうというか…。どうしてだろう?とずっと疑問だったのですが、後で、店長が変わったことが分かりました。
小さな組織だとトップの影響は大きいんだな、と子供ながらに思ったものです。

ペルシャ:んん…でも、トップが変わっても、社風自体は変わらないこともありますね。

ネコ:おお?

ペルシャ:先ほどの話とは矛盾するかもしれませんが、長い歴史で積み上げられたものは、トップ一人でどうこうできないところがあって…。

リス:長く染みついた社風は、変えるのにとても時間と労力がかかると思います。
相談者さんの会社の場合は、トップダウンが染みついているとのことなので、仮にトップが変わったとしても、自分たちで何かをすることがない環境に慣れている人たちは指示待ちのままになってしまうのだろうか…と思いました。

モモ:あぁ。大きい会社だと、同質の人がトップになっていくので、社風が変わらないのかな、という気がします。

ペルシャ:同質性はありますね。どの事業部出身とかで。ここだけの話、前にいた森で、ある派閥の人たちは、自分から挨拶もろくにしないで、人から挨拶されても無視していることがありましたよ(苦笑)

ネコ:同じような人をまたトップに据えていたら、そりゃ変わらないよね。
でも、モモンガさんが言っていたファミレスの話では、トップが変わっただけで一気に「悪化」することはあったということ。「悪化」といえども、「変化」は「変化」。社風は変わる!それは間違いないな。

〈内部統制的には…〉

みみ:切り口を変えて、内部統制システムの観点から言えば、「経営者の内部統制に対する態度は、組織内のいずれの者よりも、統制環境に係る諸要因及びその他の内部統制の基本的要素に影響を与える組織の気風の決定に大きな影響力を持っているので、経営者の内部統制に対する役割と責任は制度的なものにおける責任論だけでなく、内部統制の構築に大きな影響力があると考えられる」ってことです。

ネコ:それはそうですね。

みみ:統制環境に大きな影響を与えるのが経営者であるのは間違いなく、サラリーマン社長であれば、これまでの統制環境の中で育っていますから、統制環境が基本的には維持されるってことですよね。特に大企業は。さらに、同質性の高い集団の中で異論を排除されて丸くなってしまった人たちには、社風を変える「勇気」も「実力」も、そもそも「考え」もしないのが現実だよね。

ペルシャ:そうですね、当社の内部通報制度の簡易診断でも経営トップの姿勢を重視していますし、これは内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)の審査基準でも必須項目ですよね。

みみ:そう。だからこそ、外部のフレッシュな人材、取締役の多様性が求められているという…。教科書的には。

モモ:新卒一括採用、生え抜きしかトップ層に行けない、という会社だと、同質集合体のまま、自社のルールが最優先されてしまい、間違いに気づけない…。
外部の有効活用というのは、大きい気がします。異質を受け入れないと、変われないということはあるのではないかと思います。トップでなくても、トップに物申せる、公正なスタンスの方を招聘できれば、健全化は図れるのではないでしょうか?

ペルシャ:そういえば、前にいた森だと、業種が異なる外部の会社からの出向者を受け入れていて、その人が出向元に戻るときに、「率直にこの会社をどう思ったかを発表してもらう会」が設けられました。例えば「この会社は、飲み会の場などで自分の部下の悪口を平然と言う人たちが多すぎる。部下の悪口を言うことは、自分が上司として部下を教育できていないと堂々と晒すことと同じだ」という発言は今でも印象に残っています。この発言は、幹部クラスたちをはじめ大勢の管理職たちが聞いていたので、耳が痛かったと思いますよ(苦笑)

ネコ:外から異質を受け入れる…。「人」を受け入れるばかりでなく、「考え」を受け入れるという手もありますね。トップの頭の中を変えられれば、社風も変えられるはず。

みみ:従業員の目線から見れば、例えば、怪しい取引を「する」か「やめる」かという重大な判断が、統制環境を左右すると昔から話しています。真実は細部に宿る。トップが変わって結論が変われば、社内の価値観は劇的に変わるはずですよね。

〈トップを変える?トップが変わる?そしてトップが変える!〉

ネコ:トップの頭の中をどうやって変えるか。従業員が皆「だんまり」だったら、変わるわけないと思うんですよね。

みみ:この会社は、トップ以外は「受け身」「考えるのを放棄」しているから、トップにはなれませんし、トップの考えを変えることもできませんね。サラリーマン的な発想では、後継者も出ないし、会社はマイナスになるだけ。トップ自身が「考え」を変えない限り、今すぐ社風を変える必要があるのなら、極論を言えば、トップを外部から招聘するしかないかなぁ。

ペルシャ:逆にトップが変えようとしても皆がスルーだったら変えられないでしょうし…。意識的に社風を変えようするなら、何らかのインセンティブも必要な気がします。

みみ:インセンティブとは?

ペルシャ:トップだけでは限界があるので、トップが変えたいと思っているなら、社員にも協力してもらう必要があると思います。前いた森だと、若手が完全に指示待ちの社風だったことに業を煮やした部長が、若手に強制的に企画・立案させるスキームを作っていました。ちゃんとやらないと部長に殺される勢いで(苦笑)

みみ:日本電産の永守さんがある上場企業を買収して、倒産寸前の会社を立て直す様子を側でみていたことがありますが、本当に1年でV字回復したんです。当然、最初はやめる人が続出して、不満も多かったし、給与水準だって劇的に変わったんです。でも、永守さんが徹底的に現場に入り込んで話し合って、半年後くらいから従業員が生き生きとしだしたので、本当に驚きました。
カリスマの例ですが。どう考えても、永守さん1人で伝統ある会社を1年で変えたとしかいいようがない事例でした。もちろん、大きいグループがバックにつくので、ビジネス上も順調に業績を伸ばしていったという背景はありますが。

ネコ:カリスマが1人いれば、大きく動かせるかもしれませんが、小さな風でも、ないよりマシと言うか。相談者さんのところも、草の根的にでも「話し合う人たち」がいる。これは、相談者さんが入社してからの話でしょ?だから、少なくとも小さな第一歩は踏み出せているということですよ。だから、歩みを止めなければ変われます!と断言したい。

リス:この会社のように、最初はおかしいと思ったことや変えようと思ったことを提案して改善しようとしたものの、ことごとく押し返されて諦めてしまう…という状況を目にしたことがあります。「何をやっても無駄だ」という雰囲気が漂っていましたね。
一方で、古くからの社風と中途入社の方などの新しい風がぶつかり合ってうまくいかず、会社としてどうにかしようと動く会社もありました。
大きな覚悟と労力が必要だったと思います。

モモ:具体的には、どのように変わっていくのでしょうか?

リス:残念ながらうまくいかずに退職されてしまう方もいましたが、最初はいろいろな立場の人(若手や中途、ベテランなど複数)を選出してプロジェクトチームのようなものを作って協力していこう、という流れから動き出しました。全体で同じ方向を向き、よりよくするためにはどうしたらよいか皆で考えるという感じです。複数の考え方がぶつかりあって、いたるところで問題や不満が増えていて、結果的に大きな問題に繋がってしまったりしていたので、その再発防止的な位置づけでした。

ペルシャ:教科書的な話で言うと、改革をするときにはトップが勝手にやるのではなく、現場のマネージャーを主体にすると、反発が和らぐそうです。
あ、そういえば、前の森では、法人全体でQC活動を推進していて、年1回最優秀賞とかを決めて表彰していました。QC活動を積極的にやっている職場は生き生きしていましたし、業績も良かったですね。社員の自主的な取り組みを応援する体制ができているかどうかで経営も左右されますし、今後生き残れるかも変わってくる気はします。

ネコ:やらされ感じゃなくて、やっている感。大事ですよ。「自分たちで何かを動かせた!」と思うと、一気に勢いがつきません?

ペルシャ:先ほど少し紹介した若手の企画立案スキームでは、私はそれに乗じてやりたいことやらせてもらえて楽しかったですが、「やらされてる感」が強い人たちは、結局部長が設定した期限までにやりませんでした(苦笑)

みみ:「受け身」から「主体性」「自立・自律」ですね。
先ほどの永守会長の話ですが、それを転換させる象徴が「トイレ掃除」だったという事例があります。

ネコ:トイレ掃除ですか?家でも会社でもトイレ掃除するのは、ちょっとイヤだなぁ。

みみ:その会社では、机の上や周辺の掃除を徹底し、役員がトイレ掃除を行い、それが管理職、一般社員に広がっていくと会社が変わり始めたそうです。トイレは、以前は外部の会社に任せていたそうですが、「自分の手で掃除するようになると、今後はきれいに使おうという気になってきたし、何事も我が事として感じるようになった」のだとか。こんな話が中堅幹部から出てきたら、頼もしいですね。
「一流企業と三流企業との差は製品の差ではなく、“社員の品質”の差である」、「汚い水の中では良い魚は育たないのと同様に、汚い工場からは決して良い製品を生み出すことはできない」永守会長の格言です。
私はちょうどこの頃、この会社を担当していて…最初は私も「嘘でしょ?」って半信半疑で、社員たちも文句タラタラだったんですが、そのうち早めに出社するようになり、本当に一生懸命掃除を始めるようになり、いつの間にか、無理無駄がなくなり…って感じでしたね。

ペルシャ:「トイレ掃除」を自分たちでやるようになると、社内のことだけでなく、例えば、社外に出ても「トイレ掃除」の仕事をする人をリスペクトしたり、見方が変わる気がしますね。

ネコ:「自分でやる」のが当たり前ではないって、そういうことなのね。常に「自分でやるのが当たり前」だったネコとしては、何を今さら?という感じですが…そうかー、そんな感覚の人が世の中にはいっぱいいるんだー。

モモ:なるほど、「自分事として捉える」ということが大事なんですね。

〈トップが変える以外に…社風は変えられる?〉

みみ:トップが社風を変えるっていうのは事実ですが、一方で、従業員が会社、社風を変えることは絶対にできるとも思っています。さて、この会社はどうすべきか…。

ネコ:小さな変化を、相談者さんに伝えて、モチベーションをキープしてもらいたいです。少ないながらも問題意識を持った人たちが集まったり、有志で勉強会が始まったりしているのでしょう?それだって以前はなかったのなら、「変化」ですよ。「少しずつでも、無駄じゃないよ、変化しているよ」ということを伝えたいニャー。
私、誰か一人でも「変えたい」と思っている限り、「社風は変えられる」と思っています。諦めたらゲームセットですが、諦めてさえいなければ道はある!

モモ:就業規則の研修を受けた際に、「就業規則は管理職一歩手前くらいの若手中堅社員が集まって検討すると良い。」「その層が一番、会社への問題意識や改善提案などの考えがあり、管理職ほど会社側に立っていないので、フラットに大事な情報が集まりやすい」と聞きました。社風の変革にもこの層の方がキーパーソンになるのではないかと思います。

ペルシャ:そういえば、外部の勉強会で紹介された好事例で、経営理念などを刷新するときに、従業員たちに考えさせるということをしたら、当然ですが自分たちで考えた理念が従業員に定着したそうです。経営理念は、この変化の激しい時代において、一人一人の指針になると思いますが、人に押し付けられた経営理念って忘れ去られてしまうので…定着させるためにも、自分たちで「考えさせる」取組みって大事ですね。

みみ:経営理念は、どんな組織でも間違ったことを言っていないはずなので、いかに「自分事」として捉えられるかが圧倒的に大事ですよね。だからこそ、経営理念を語り合う、自分の言葉に置き換えてみる、というのを実施してもらいたいところです。

モモ:自分たちで考えて、危機感を抱いたり、「変えなきゃ」という強い思いを持ったりすることは大事だな、と思いました。

ペルシャ:相談者さんの会社では、有志の人たちの活動について、トップに近しい協力者はいないのでしょうか?もし協力者がいれば、トップとの間の結節点になってくれるのでは?と思ったのですが…。

みみ:トップに何かを言える人間がいるかどうか、その人間が草の根的な従業員たちの考え方に共感してくれるかどうか。ハードルはそこそこ高いですけどね。

モモ:集団の力、というのはある気がします。少数では無力でも、トップが考えざるを得ないくらいの数が集まれば、変わるきっかけになるのではないでしょうか?その「数」を集めるのが難しい、という課題はありますが…。

ネコ:何かの会議体をジャックできると良いのですが。私は前の森では、安全衛生委員会を活用していました。会社には、何かしらの「従業員が発言する場」ってあるはずですよ。労働者代表はいるわけですし。
いきなりトップには行けないから、従業員同士で広げて、正式ルートで経営者の眼に触れるところへ出せばいいと思います。経営理念について考えるのも、なんなら若手向けの研修メニューに取り入れて、トップや幹部の前で発表してもらうとか。

リス:有志の方々の草の根活動を少しずつでも広げていければよいですが、広がる前に諦めて退職してしまうのはもったいないですよね。

ネコ:諦めたら終わりなの。だから支え合える仲間は大事。

みみ:トップダウンの会社って、そういうボトムアップの草の根的な集まりに拒否反応を示すか、入りこんで演説ぶつか、かき回すか、とかやりかねないですよね。管理職も怖くて協力したくてもできなさそうだし…。難しいですね。

ペルシャ:段階的なハードルとしては、①仲間が増えるか、②その活動を組織が阻害しないか(越権行為と言わないか)、③トップとの仲立ちをしてくれる人がいるか、④トップに届いて組織として動けるか、⑤その動きが目に見える成果となるか、⑥その成果が次につながるかといったところでしょうか。

ネコ:じわっとでも変わればいいな、と思うのですが。トップが「嫌な顔をする」のも1つの変化ですよ。
でも、本当に尊敬できるトップは、嫌な顔なんてしません。会社をひっくり返そうとしているのではなく、「もっと会社を良くしよう」という取り組みなのですから、嫌な顔をされる理由もないんです。ただ、トップにくっついてゴマばかりすっている、ろくでもない役職者あたりからは攻撃を食らいがちですが。

ペルシャ:トップに変に忖度してしまう人いますよね…。実際直接トップと話をしてみると案外ウェルカムだったりして…。

みみ:トップの取り巻きや管理職がトップしか見ていないのであれば、それらを経由しないでトップにあたる方がいいと思います。いかにダイレクトにトップに伝えるかを考えるべきでは?

モモ:この会社さんの規模が分からないので、何とも言えないのですが、大企業の場合、トップに近づくのは非常に困難な状況があります。一般社員がいきなりトップと話をするというのは、不可能に近いのでは…?

みみ:従業員の本音や実態(リアル)を集めてトップにぶつけるのは一つの方法かもね。従業員の本音が組織に染まりきって「受け身」の回答だけなら逆効果だけど。

リス:それならば、当社のような存在が第三者として入るのは有効だと思います。

ネコ:そう!

ペルシャ:当社の使われ方として、社内ではトップに言いにくいから、社外のSPNに言ってもらうというケースが多い気がしますね。

ネコ:内部通報制度も、よいツールとして使える気がします。ピラミッド型のマネジメントシステムには、バイパスルートが必要なものなのでは?

ペルシャ:前の森では、私にとってバイパスルートだった方がいましたね。本来は自分の直属の上司に相談するところを、上の方に直接相談していました。

〈見捨てられる会社…?〉

みみ:ワンマンなトップの会社では、内部通報制度もバイバスルートも形だけ、あるいはトラップだらけってことも多そうですよね。

ペルシャ:よくいう「経営層からの独立ルートが必要」ということですね。

モモ:一段、一段がトラップだらけだと、確かに、誰も何も言わなくなると思います。自分の身の安全の確保を最優先してしまう…というのは、大企業では特にありがちかと…。

みみ:トップ1人で会社は変わるけれど、草の根的な1人や数人では、会社を変えようと動くことさえこんなに難しいことなんだなと。

モモ:そう思うと、企業規模によって、対応方法は変えていく必要がある気がしてきました。戦略が必要だと思います。

ネコ:トラップだらけのワンマン経営会社なら、もうさっさと捨ててしまえばいいと思うのですが。みんなどうして辞めないのかな。

ペルシャ:それはそれで保身が働くのでは?私も最初の転職は勇気がいりましたよ。

ネコ:何回も辞めているからなぁ…。死んだ魚のような目をしてまで、生きていたくないな、と思ってしまう性質なので。
「できる人」にかわいがってもらうことが、発言権を得るための第一歩ではないかと。結局は、自分の仕事できっちり成果を上げるのが大事ですよね。

ペルシャ:それはありますね。私も前の森でバイパスルートになってくれた人から頼まれたことは「はい、喜んで!」ですぐ対応していたので、逆に私がお願いするとすぐ動いてくれました。貸し借りという言葉はあまり好きではないですが、結局貸し借りだったりすることもあります。

みみ:半沢直樹ならできそうだな。

ネコ:なろうよ、半沢直樹!…いや、半沢直樹までは無理でも、半分直樹くらいなら…。

モモ:黙って留まっていれば定年まで安泰な企業なら、あえて動くことはしない人が多いのではと思います。そこに、中高年層と未来に危機感を抱く若手層の溝ができ、若手の離職が進む傾向にもあるのかな、と思います。特に、待遇(お給料)が良ければなおさら。

リス:相談者さんの会社でいえば、黙って上の言うことを聞いていれば給料出るしなあ、ってことですかね。

ペルシャ:そうだと思います。その方が絶対楽ですよ。

モモ:そうですね、あとは会社が利益を出している間に、会社員として逃げ切れるかという残年数の計算によるかと。

みみ:不作為が蔓延する会社に未来はないよ。…若手が定着することが良いことなんだろうかと、ふと。

ネコ:潰れちゃえばいいんだよ、そんな会社。一緒に潰れちゃえよ、ぶら下がり社員も。ぶら下がらない人、どうにかしなきゃ!と思う人には、他の会社でがんがん働いてもらった方がいいよ。

みみ:未来がないなら、未来のある人こそ、転職すべきだな。

ペルシャ:考え方が膠着化するという意味では、若手がずっといて定年を迎えるより、いろんな会社を経験した人が出入りした方が新しい考えが入って活性化するかもしれません。

ネコ:中高年層には、残年数がどんどん延びていることに気付いてほしいな。70歳まで働くことを思ったら、50代だって「まだまだこれから」です。

ペルシャ:人生100年時代ですからね。

みみ:会社は、若手をどうしたいんだろう。

モモ:若手の離職が多い会社は、「うちには未来がないんだな」と経営層が自覚するべきだと思います。

ペルシャ:会社の方が冷静に見切りをつけられている可能性も考えるべきですよね。

みみ:会社は、50代以上をどうしたいんだろう。

ネコ:若手は、会社が「未来を学ぶ」ための教材として考えては?50代以上は、もっとしっかり活用すべきだと思います。

みみ:ただただ安泰に過ごしたい50代以上が多いのは、やはりどうなんだろう。

ネコ:50代なんて、まだ安泰じゃないのに。

ペルシャ:ただただ安泰に過ごしたい50代以上を見た若手は馬鹿馬鹿しく思えてしまうかもしれないですよね。

ネコ:いつまでたっても「転職は悪」みたいに扱われるのも、そろそろどうにかならないかな。

みみ:若手、中堅、ベテラン、高齢者。それぞれ会社とのかかわり方が違うから、会社に居続けることと同じくらい、転職が選択肢であるべきかもしれませんね。

ペルシャ:まだまだ日本はメンバーシップ型で、特定の会社のメンバーでいることが前提の社会なので、メンバーから外れることが悪になりがちなのでしょうね。それもいずれ変わっていくでしょうけど。

ネコ:キラキラした50代を見たいです。って、自分ももうすぐですが。

みみ:キラキラした50代…真っただ中です(笑)

ペルシャ:数十年後にはキラキラした100歳も登場するのでは?

ネコ:何歳であっても、会社は社員を「転職させない」ことに、それほど神経質にならなくて良いような気もします。巣立って行って、お客様やパートナーになって、よい関係性を続けられることもあるわけですし。最後までキラキラしながら死にたいです。

みみ:そういう世の中になるのなら、この会社の草の根的な人たちは、思い切った行動ができるはずだよね。ダメなら見切りをつければいい。このまま燻って、やりたいこと、変えたいことができないなら間違いなくミスマッチだし、キャリアにプラスにならないから。

ネコ:辞める前に、やっぱり何らかのアタックはして欲しいですが。ジタバタしたこともキャリアです。何もしないで「どうしようもない」と言っている人、キライ。
ただ、ジタバタしているときって、なかなか冷静に「変化」に気付くことができないものなんですよね。本当は少しずつ草の根的な動きが広がっているのに、「全然変わらない」「もうどうしようもない」って思い詰めて、メンタルを病んでしまったり、焦って転職してしまったりするのももったいないと思います。ネコは前の森で、最終出社日にあいさつに回っているときに、この「変化」に気付いてしまったんです。早く気付きたかった!と、悔しいやら、でもちょっと嬉しいやら、複雑な気持ちでした。だからこそ、相談者さんには「小さな変化」を見逃さないで!と言いたい。

モモ:年齢に関係なく、創造性や変化の発想を持てるかというのは重要ではないかと思います。
若くても、保守的な固定観念の人はいますが、どうしても高年齢層の方が固執的な考え方をする傾向はあるような気はします。会社も社員のキャリアプランを一本の線の延長で考えるのではなく、色々なステージを用意したり、他社との人財交換を行ったりなどの行き来できる仕組み作りをするのも一つかもしれませんね。(半沢直樹的出向のイメージではなく、ポジティブで気軽な人財交流をイメージしています。)
社風から離れてしまいましたが…。

みみ:会社で長いこと働かないと…的な価値観なら、この会社は若い人にとっては「耐える」しかない。

リス:その会社で働くにしても転職するにしても、選択肢がたくさんあるのはいいことだと思います。自分とは違う考え方を取り入れる(まずは知る)機会を作るのもよい気がします。

ペルシャ:本題のこの会社ですが、今コロナ禍で社会全体が転換期なので、それに乗じた改革をしていくことも模索してもよいかもしれません。外側の社会の変化によって会社を変えてみるとか。

ネコ:使えるものはなんでも使いましょう。

みみ:具体的には?

ペルシャ:たとえば、テレワークで社員の軸をつくる必要があるので、この際、理念とか軸を考え直しましょう…とか(苦笑)
なんにせよ、1つの方法だけで成功するとは思わないことですね。複数のアプローチが必要だと思います。

みみ:なるほどね。テレワークでコミュニケーションの問題や自立・自律の問題があるので、みんなでもう一度経営理念を考えてみようといった感じですかね。

ペルシャ:実際、外圧とか必要に迫られないとトップが動かないことがあるので、「この機に乗じて」精神は大事かと。

リス:外圧でいうと、「他社はやっています」も有効な気がします。

モモ:みなさん「他社」を気にされますよね。

ペルシャ:そうですね。ベンチマーク的に。

ネコ:他社と足並みをそろえるばかりじゃなくて、自社で走り抜けてもいいはずなのにね。
相談者さんにはもう少し踏ん張ってもらって、「モノ申せる」くらいの立場になってもらいたいなぁ。で、SPNにお声掛けいただければ。私たちが援軍になれる!

みみ:踏ん張るのが大変だよ。リアルマイニング®で、「内部通報はやめる覚悟をして通報するところ」って自由記述がありましたが、あながち嘘ではないってことかと…。

ネコ:1人辞めたことで、会社に何か変化を起こせるならば、それも無駄ではないということですよ。

ペルシャ:会社側がその通報内容を「どうせ辞める(辞めた)奴の話だし」としないことを願うばかりです…。

モモ:他の会社を経験して、また以前の会社に戻ることを歓迎している会社も増えているようですし、社風が固執的にならないためにも、人材流動性を上げることは国の政策レベルで必要な気がします。

みみ:人材流動性が高まるってことは、企業は人財の活用に本気で取り組まざるを得なくなるし、そうすれば風通しもよくなるだろうし、結果的に不祥事に強い会社になるってことですね。なんか、すごく腹落ちしました。

モモ:新卒にではなく、「中途社員にこそ選ばれる会社になる」という発想を持つことがこれからは重要ではないでしょうか。

ネコ:おー。それすごいね。みんなあまり力を入れていないところだ。

ペルシャ:一方で社員に見切りをつけられない会社にすることもセットで必要な気もします。

モモ:見切りをつけられないことも大事ですが、囲い込むよりも、「いったん外に出て(他社を見たり、起業したり)、成長してまた戻ってきてね~」と言えるくらいの会社だといいな、と思います。

ネコ:何にせよ、「何もしないで諦める」だけはイヤだな。相談者さん、一緒にジタバタするニャー!

「HRリスク」とは、職場における、「人」に関連するリスク全般のこと。組織の健全な運営や成長を阻害する全ての要因をさします。

職場トラブル解決とHRリスクの低減に向けて、エス・ピー・ネットワークの動物たちは今日も行く!

※このコーナーで扱って欲しい「お悩み」を、随時募集しております。

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