危機管理トピックス

サイバー空間をめぐる脅威の情勢等(警察庁)/ODA白書(外務省)/第2回 大麻等の薬物対策のあり方(厚労省)

2021.03.15
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更新日:2021年3月15日 新着22記事

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【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 証券監督者国際機構(IOSCO)が国際的なサステナビリティ開示基準の緊急性に係るプレス・リリースを公表
  • 「ソーシャルボンド検討会議」(第1回)議事次第
警察庁
  • 令和2年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
  • 【令和2年度】生活様式の変化等に伴うサイバー空間の新たな脅威に対処するための官民連携の更なる推進
内閣官房
  • 孤独・孤立対策に関する連絡調整会議 配布資料
  • 「デジタル社会形成基本法案」「デジタル庁設置法案」「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」が閣議決定・国会提出されました。
消費者庁
  • 「保険を使って無料で修理します」と勧誘を受けた時にトラブルに遭わないためのポイント
  • 「世界消費者権利デー」を迎えるに当たって
  • 社会への扉 ―12のクイズで学ぶ自立した消費者―(高校生(若年者)向け消費者教育教材 生徒用教材・教師用解説書)
厚生労働省
  • 第2回 大麻等の薬物対策のあり方検討会
  • 第105回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)
経済産業省
  • プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が閣議決定されました
  • 「スマートストア実現に向けた電子タグ(RFID)実装へのアプローチ」が策定されました
  • 第2回 健康投資ワーキンググループ
国土交通省
  • 西武建設(株)、西武造園(株)による技術検定の実務経験不備について
  • 航空法等の一部を改正する法律案を閣議決定~航空ネットワークの確保と航空保安対策、ドローンの更なる利活用を推進!~
  • 「保安検査に関する有識者会議」に係る中間とりまとめを公表

~NEW~
総務省 株式会社東北新社メディアサービスに対する「放送法第93条第1項の認定」の取消しに当たっての聴聞の開催
▼別紙
  • 不利益処分の原因となる事実
    • 総務省は、株式会社東北新社メディアサービスの放送法(昭和25年法律第132号)第93条第1項による認定(平成29年10月14日付けで株式会社東北新社から認定基幹放送事業者の地位を承継。認定番号BS第125号。)について、株式会社東北新社が放送法第93条第1項の認定を受けるために申請書を提出した日(平成28年10月17日)から株式会社東北新社メディアサービスが当該認定基幹放送事業者の地位を承継した日の前日(平成29年10月13日)までの期間において、株式会社東北新社が放送法第93条第1項第7号ニに規定する外国人等が議決権の五分の一以上を占めるものに該当しないことの確認を行った。
    • 同社から令和3年3月9日に総務省に提出された平成28年3月31日時点、平成28年9月30日時点、平成29年3月31日時点、平成29年9月30日時点、平成30年3月31日時点における株主名簿等について総務省において精査したところ、同社はいずれの株主名簿により計算された外国人等の議決権の割合についても、放送法第93条第1項第7号ニに規定する外国人等が議決権の五分の一以上を占めるものに該当していたにもかかわらず、平成28年10月17日に放送法第93条第1項の認定を受けるために提出した申請書において欠格事由の有無を「無」と記載していたことが判明した。これは、本来認定を受けることができない申請であった。
  • 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
    • 株式会社東北新社メディアサービスの認定(平成29年10月14日付けで株式会社東北新社から認定基幹放送事業者の地位を承継。認定番号BS第125号。)を総務大臣の職権により取り消す。(放送法第93条第1項第7号ニ)

~NEW~
外務省 2020年版開発協力白書の公表
▼開発協力白書・ODA白書 2020年
  • 巻頭言
    • 新型コロナの感染拡大はグローバルな危機であり、これに対応するためには、国際的な連携や協力、特に、医療体制が脆弱な開発途上国への支援が不可欠です。日本は、保健・医療システムの脆弱な国に対し、1,700億円を超える保健・医療分野での支援を実施するとともに、アジア太平洋地域を中心とする途上国の経済活動を支えるため、2年間で最大5,000億円の新型コロナ危機対応緊急支援円借款を創設するなど、二国間及び国際機関を通じた医療機材の供与や能力構築支援を、かつてないスピードで実施しています。
    • また、日本は、「誰の健康も取り残さない」との考えの下、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成を目指しています。途上国を含めたワクチン・治療薬等への公平なアクセスの確保を全面的に支援するため、COVAXファシリティへのいち早い拠出や、特許プールを通じた治療薬の供給の促進などに取り組んでいます。こうした日本の支援は、世界各国から高く評価され、感謝の言葉を頂いています。
    • 今回の白書の副題は「未来へ向かう、コロナ時代の国際協力」としました。各国と連携してコロナ危機を克服し、保健・医療システムの強化や感染症に強い環境整備を通じて、これまで以上に強靱な社会、そして、よりよい未来を共に創っていこう、という思いを込めています。
    • 我々がそのためにすべきことは、感染症対策にとどまりません。2020年は、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた取組を加速化するための「行動の10年」の最初の年でした。日本は「人間の安全保障」の理念に立脚し、積極的かつ戦略的なODAの活用を通じて、SDGs達成をはじめとする地球規模課題への取組を加速していきます。また、日本は、パリ協定が目指す脱炭素社会を実現するため、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」の実現に向け、本年のCOP26を含め、各国と連携しつつ、国際社会の取組をリードしていきます。
    • 日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、世界の活力の中核であるインド太平洋地域において、法の支配に基づく自由で開かれた秩序を構築するため、日本は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組を推進してきました。この考え方は、今や多くの国が共有、そして支持しています。ODAは「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組における重要なツールです。戦略的に活用しつつ、米国、豪州、インド、ASEAN、欧州、さらには中東・アフリカ等と、インド洋と太平洋にまたがる連結性強化の実現に向けた質の高いインフラ整備や海上法執行能力支援等を推進します。こうした取組を通じ、各国との連携や協力を進めていきます。
  • コロナ禍で活かされる日本の支援
    • 日本は、従来から、人間の安全保障の理念に基づき、SDGsの達成に向けて、保健、水・衛生、教育、ジェンダーなど様々な分野の支援を実施してきました。このような日本の支援は、今回のパンデミックにおいても、開発途上国の人々のために大きく貢献しています。
    • 特に、保健・医療分野においては、戦後、日本自身がマラリアをはじめとした感染症の撲滅を実現した経験を持っており、平均寿命を世界最高水準に引き上げたその知見を、世界中の国々と共有してきた実績があります。ODAが開始されて65年以上、日本は、保健・医療分野において幅広い支援を実施し、国際保健分野において主導的役割を果たしてきており、その取組が多くの国で評価されています。日本自身の経験に基づいたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進、マラリア予防のための蚊帳の活用、手洗いの励行、母子手帳の普及、上下水道の整備などはその一例です。
    • 途上国におけるコロナ対策においては、これまで日本の支援で建設された医療施設・上水道施設、供与された医療関連機材が稼働しているだけではなく、日本が地道に積み重ねた技術支援・能力構築支援により、研修を受けた各国の医療従事者・公衆衛生の専門家などが、最前線で活躍しています。
    • また、保健・医療分野、水衛生分野での支援に加え、ロックダウンで学校に通えない子供たちのための情報通信技術(ICT)支援を通じた遠隔教育の導入や、産業人材育成支援を通じた途上国国内での医療用マスク、ガウン、ゴーグルなどの個人防護具生産支援など、これまでの日本の支援がパンデミック収束に向けた取組の中で活かされています。
  • ウィズ・コロナの日本の開発協力
    • 今般の新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、日本が世界各地で実施している政府開発援助(ODA)の事業も少なからず影響を受けました。
    • 2020年3月以降、新型コロナの感染拡大のため、開発途上国から、JICA海外協力隊・専門家、開発コンサルタント、開発協力に携わる企業、一部のNGO関係者、開発コンサルタントなどが日本に一時帰国することとなりました。
    • 日本から海外への渡航が制限される中、また、途上国においても、協力の現場に足を運ぶことが難しくなっている中、様々な工夫を凝らして、日本からのプロジェクトの継続・協力の方法を模索しました。
    • 1965年に発足し、半世紀以上の実績を有する国民参加型事業であるJICA海外協力隊(JICAボランティア)事業においても、パンデミックの影響が見られました。上記のとおり、JICA海外協力隊については、派遣中の隊員全員が3月中旬より順次一時帰国し、4月以降に派遣を予定していた隊(2019年度3次隊)についても派遣を見合わせました。これら隊員については、11月末以降、ベトナムをはじめ受入れ体制が整った派遣先から渡航を再開しましたが、2020年12月1日現在、577名が派遣又は再派遣に向けて国内にて待機中です。
    • 待機中の隊員は、自らの技能・経験を活かした国内の課題への貢献、または遠隔での隊員活動の継続、再赴任に備えた自己研けん鑽などに取り組んでいます。待機隊員による国内課題への貢献活動の具体例としては、農家支援、助産師・看護師・保健師等の医療資格をもつ隊員による外国語対応も含めた対応、外国にルーツを持つ子女教育のサポート等があります。このうち農家支援の一例として、「嬬キャベ海外協力隊」があります。これは、JICAと特定非営利活動法人自然塾寺子屋の連携により、2020年5月から11月にかけて、一時帰国中の隊員が、外国人技能実習生の来日が中断し、深刻な人手不足となった群馬県嬬恋村にて支援を行ったものです。また、参加した隊員は、外国人技能実習生と農家とのコミュニケーションや文化習慣の違いによる様々な問題を改善する方法についての提案も行いました。
    • JICA専門家の多くも一時帰国を余儀なくされましたが、国内待機中には、遠隔で現地のカウンターパートと連絡をとりながら、業務を遂行しました。2020年6月以降、JICA職員、専門家等は、現地の状況等を踏まえつつ活動していた国々に戻っています。また、途上国から来日していたJICA研修員は、パンデミックによりフライトが欠航になるなどして帰国が困難となりました。JICAはこれら研修員等に対して、帰国までのサポートを行ってきています。
    • また、新たに来日を予定していた短期研修員に対しては、オンラインでの研修に切り替える等、ウィズ・コロナの中でも研修が受講できるような工夫を行っています。なお、長期研修員等については、10月から順次受入れを再開しています。
    • このほか、コロナ禍において日本の国際協力NGOが団体の基盤・能力強化や経営戦略見直しを行うための情報集約を目的として、令和2年度NGO研究会「新型コロナウイルス感染症拡大に対する日本の国際協力NGOの対応戦略」を実施しています。

~NEW~
復興庁 「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針の変更について[令和3年3月9日閣議決定]
▼「「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針」改定の概要
  • 令和元年12月に閣議決定した「「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針」について、東日本大震災復興基本法第3条に基づき、名称を「第2期復興・創生期間以降における東日本大震災からの復興の基本方針」とした上で、所要の改正を行う。
  • 地震・津波被災地域
    1. 被災者支援(心のケア、コミュニティ形成、子どもへの支援等)
      • 被災者が直面する課題は様々であり、社会情勢も変化する中、引き続き、事業の進捗に応じた支援を継続。
    2. 住まいとまちの復興
      • 災害公営住宅の家賃低廉化・特別家賃低減事業
        • 復興交付金廃止に伴い、別の補助事業により支援。補助率嵩上げと特別家賃低減事業を災害公営住宅の管理開始後10年間継続。
      • 沿岸被災地の造成宅地及び移転元地等の活用
        • 造成宅地や移転元地等の活用について、計画から活用まで、地域の個別課題にきめ細かく対応して支援。これにより、政府全体の施策の総合的な活用を図り、被災地方公共団体の取組を後押し。
    3. 産業・生業の再生
      • 東日本大震災事業者再生支援機構等による支援
        • 販路開拓等の課題解決に向けたサービス提供を強化し、第1期復興・創生期間の終了までに支援決定した事業者の再生を支援。
          ※原子力災害による被害を受けた事業者についても支援
      • 水産業の支援
        • 被災地の中核産業である水産業について、漁場のがれき撤去等による水揚げ回復、水産加工業における販路回復・開拓、加工原料の転換等の取組を引き続き支援。
    4. 地方創生との連携強化
      • 人口減少等の中長期的な課題に対応するため、地方創生等の政府全体の施策の総合的な活用が重要。復興の取組と地方創生施策の連携の充実・強化。
        ※避難指示解除地域の復興・再生に向けても連携
  • 原子力災害被災地域
    1. 事故収束(廃炉・汚染水対策)
      • ALPS処理水について、先送りできない課題であり、政府として責任を持って、風評対策も含め、適切なタイミングで結論。
    2. 帰還・移住等の促進、生活再建等
      1. 避難指示解除地域における移住等の促進
        • 帰還促進と併せ、移住・定住の促進、交流人口・関係人口の拡大等のため、交付金により地方公共団体や移住・起業する個人を支援。
      2. 避難指示解除等区域の復興に資するインフラ整備
        • 社会資本整備総合交付金(復興枠)による総合的・一体的な社会資本整備の支援を継続。
      3. 帰還困難区域の避難指示解除に向けた取組
        • 特定復興再生拠点区域について、目標期間内の避難指示解除に向け、進捗管理を行いつつ、引き続き整備。同拠点区域外について、各地方公共団体の課題・要望等を丁寧に伺いながら方針の検討を加速化。
    3. 国際教育研究拠点の整備
      • 福島の創造的復興に不可欠な研究及び人材育成、産業競争力強化や世界にも共通する課題解決に貢献する観点から、「創造的復興の中核拠点」として新設。復興推進会議決定に基づき推進。
    4. 営農再開の加速化
      • 福島特措法による特例措置等を活用した農地の利用集積、生産・加工等が一体となった高付加価値生産を展開する産地の創出を支援。
    5. 風評払拭・リスクコミュニケーションの推進
      • 被災地全体の農林水産や観光等における風評払拭に向け、引き続き国内外への情報発信を推進。食品等に関する出荷規制等について、知見やデータの蓄積を踏まえ、科学的・合理的な見地から検証。検証結果等について、分かりやすく情報発信。
        ※福島県のみならず規制の残る地域全体を対象
  • 事業規模と財源組織
    • 平成23年度から令和7年度までの15年間における復旧・復興事業の規模と財源は、32.9兆円程度。
  • 組織
    • 復興庁の設置期間は令和13年3月31日まで延長。
    • 岩手・宮城の復興局の位置を釜石市・石巻市に変更。
    • 復興庁に知見活用の担当組織を設け、関係機関と知見共有。

~NEW~
内閣府男女共同参画局 すべての女性が輝く社会づくり本部(第10回)・男女共同参画推進本部(第20回)合同会議 議事次第
▼資料 女性活躍・男女共同参画の推進について
  • 世界経済フォーラム(ダボス会議)が公表。男性に対する女性の割合(女性の数値/男性の数値)を示しており、0が完全不平等、1が完全平等。
  • 日本は153か国中121位。「教育」と「健康」の値は世界トップクラスだが、「政治」と「経済」の値が低い。
  • 第5次男女共同参画基本計画(令和2年12月25日閣議決定)における施策の推進に関する記載(抜粋)
    • Ⅳ 推進体制の整備・強化
      <施策の基本的方向と具体的な取組>
    • 2 男女共同参画の視点を取り込んだ政策の企画立案及び実施等の推進
      • (2)具体的な取組
        • 男女共同参画会議において、5次計画の進捗状況を毎年度の予算編成等を通じて検証する。また、5次計画の実効性を高めるために集中的に議論すべき課題や新たな課題について調査審議を行う。加えて、5次計画の成果目標の達成状況について、EBPMの観点を踏まえ、中間年にフォローアップ及び点検・評価を実施する。その結果も参照しながら、必要に応じ内閣総理大臣及び関係各大臣に対して意見を述べるなど、更なる取組を促す。【内閣府、関係府省】
        • 男女共同参画会議の意見を踏まえ、毎年6月を目途に女性活躍加速のための重点方針を決定し、各府省の概算要求に反映させる。【内閣官房、内閣府、全府省】

~NEW~
国民生活センター 偽警告表示 プリペイド型電子マネーで支払わせる手口に注意
  • 内容
    • 突然、警告がパソコン画面いっぱいに表示された。慌てて表示された連絡先に電話すると「パソコンが汚染されており、緊急を要する。電話を切らずにプリペイド型電子マネーで2万円を支払え」と指示された。すぐにコンビニで2万円分購入し、番号を伝えたが「番号が間違っている。再度2万円分購入してきて」と言われ、再度購入し番号を伝えた。翌日「さらに2万円支払えば4万円返金する」と意味の分からないことを言われた。(60歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • プリペイド型電子マネー(以下「電子マネー」という。)での支払いを指示する詐欺的な手口として「パソコンやスマートフォンに突然偽の警告画面を表示して慌てさせ連絡させる」というものが出てきています。
    • カード番号だけで利用できる電子マネーは、番号を一度相手に伝えてしまうとお金を取り戻すことは非常に困難です。絶対に番号を伝えてはいけません。
    • セキュリティ対策には、あらかじめ信頼できるセキュリティソフトをインストールしておく等の対応を行い、見慣れない警告画面の指示に従ってはいけません。
    • 対処に困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等(消費者ホットライン188)や、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の情報セキュリティ安心相談窓口に相談したり、IPAのホームページを参考にしたりしましょう。

~NEW~
金融庁 証券監督者国際機構(IOSCO)が国際的なサステナビリティ開示基準の緊急性に係るプレス・リリースを公表
▼IOSCO は、国際的に一貫性があり、比較可能で信頼性の高いサステナビリティ開示基準の緊急性を認識し、IFRS 財団の下でのサステナビリティ基準審議会における優先順位とビジョンを公表(仮訳)
  • IOSCOは本日代表理事会を開き、サステナブルファイナンス・タスクフォース(STF)による過去1年間の進捗状況について議論した。IOSCOは、サステナビリティ報告の一貫性、比較可能性、信頼性を向上させることが急務であり、当該報告が気候変動に関連するリスクと機会に最初に焦点を当て、その後、他のサステナビリティの問題にも拡大していくことになると認識している。
  • 2020年4月に報告書「サステナブルファイナンス及び証券当局とIOSCOの役割」を公表して以来、STFは、発行体のサステナビリティ開示、資産運用会社の開示及び投資家保護、並びにESGデータ及び格付け提供者の役割に関する作業を進めてきた。特に、発行体の開示については、サステナビリティ関連情報に対する投資家の需要が現在適切に満たされていないとIOSCOは見ている。例えば、企業は、異なるフレームワークを参照し、サステナビリティ関連情報を選択して報告していることが多い。
  • 金融市場は、投資判断に重要な財務結果やその他の情報の完全かつ正確で適時な開示に依存しているため、STFは、サステナビリティに関する開示の一貫性、比較可能性及び信頼性を向上させるための取組を継続していく。IOSCO代表理事会は、その目的に沿って、企業や資産運用会社によるサステナビリティ関連情報の開示の改善のために3つの優先事項を特定した。
    1. 国際的に一貫した基準の奨励。サステナビリティに関する幅広いトピックをカバーし、既存の原則、フレームワーク及びガイダンスを活用しながら、サステナビリティに関連した開示のための共通の国際基準について、各国の法域を超えた国際的に一貫した適用に向けた進展を促す。
    2. 比較可能な指標及び定性情報の促進。企業のサステナビリティ関連の開示において、業界特有の定量的な指標、及び定性情報の標準化をより重視することを促進する。
    3. 開示アプローチ全体の協調。企業のステークホルダーへの依存度や外部環境を含めた企業価値創造に焦点を当てたサステナビリティ関連情報の開示の国際的な一貫性を促進するとともに、より広範なサステナビリティの影響に関する投資家の情報ニーズを調整するメカニズムを支援し、現在の会計基準のフレームワークとのより緊密な統合及び企業開示の独立した保証を促進する。
  • このため、IOSCO代表理事会は、IFRS財団評議員会及びその他のステークホルダーと協力して、これらの優先事項を推進することにコミットする。IOSCOのIFRS財団評議員会との対話では、以下の目的に焦点を当てる。
    1. 強固なガバナンスを持つサステナビリティ基準審議会(SSB)の設置
      • IOSCOは、IFRS財団の構造の下でのSSBの設立に向けた作業の次の段階を示す2021年2月2日のIFRS財団の発表を歓迎する。IFRS財団評議員会は、「サステナビリティ報告における国際的な一貫性と比較可能性を向上させることが急務となっている」と指摘し、IFRS財団がこの分野で役割を果たすべきであるとの明確なフィードバックを受けたと報告した。IOSCOは、FRS財団評議員会が今後数ヶ月の間に提案書を作成していく中で、IFRS財団評議員会と協力していくことを期待している。
      • IOSCOは、IFRS財団評議員会が既存のガバナンス構造の下で国際会計基準審議会(IASB)と並んだSSBを設立するための計画を策定する際、IFRS財団評議員会と協力して、以下のようなサステナビリティ報告基準を設定するための効果的なシステム構築を提供することを視野に入れている。
        1. 各国の法域を超えて、サステナビリティ関連情報の開示義務化に向けた一貫性のある比較可能なアプローチのベースラインとして機能するよう、市場の十分な受容性を要求する。
        2. 既存の会計報告基準との互換性があり、作成者間のサステナビリティ関連情報の開示のガバナンスを促進する。
        3. 監査および保証の枠組みを開発するための基礎を形成する。
          • IOSCOは、IFRS財団評議員会による最終的な提案を評価することを期待しており、特に、当該提案の判断基準については、IOSCOが提案されたSSB及びSSBで策定される基準を将来的にエンドースすることを検討する際の重要な要素である。IOSCOは、証券監督当局の国際機関として、発行体のサステナビリティに関連する報告要件をクロスボーダーで使用するためにSSBが発行した基準を評価し、参加当局や関連当局が国や地域レベルでサステナビリティに関連する開示要件を設定する際に当該基準を検討するよう奨励する点で、重要な役割を果たすことになるだろう。IOSCOは、IASBによる国際会計基準設定の承認と監督においても同様の役割を果たしている。
          • IFRS財団のモニタリング・ボードの議長を務めるIOSCOの役割を考えると、私たちはまた、関連するガバナンスの取り決めを監視する上で主導的な役割を果たすことにコミットしている。
    2. 既存の取組の強化IOSCOは、既存のサステナビリティ関連の報告枠組みの内容を活用することをSSBに奨励する。
      • IFRS財団は、既存のサステナビリティ基準設定主体の取組を踏まえることによって、投資家に対してサステナビリティに関連する財務報告のための共通の国際基準の開発について、ランニングスタートを得られるだろう。
      • 加えて、IOSCOは、主要なサステナビリティ報告組織(以下「アライアンス」という。)と連携し、アライアンスの原則、フレームワーク及びガイダンスの組み合わせ、将来のサステナビリティ関連開示のための国際的な共通の基準の基礎を模索することを歓迎する。アライアンスは、気候関連財務開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づく気候変動に関連する情報の開示アプローチのプロトタイプを公表し、IFRS財団の財務報告基準の形式と構造を採用した。
      • IOSCOは、これらの努力を歓迎し、SSBが気候変動に関連する報告基準を策定するための潜在的な基礎として、当該プロトタイプをさらに検討することを奨励する。より一般的には、IOSCOは、IFRS財団のランニングスタートを可能とする技術的見解及び提言を引き続き提供する、企業価値報告に焦点を当てた主要な取組を奨励する。
      • 気候変動問題の緊急性を考えれば、IOSCOは、まずは「気候変動第一」のアプローチを支持する。しかし、IFRS財団は、環境、社会及びガバナンス(ESG)問題を含む他のサステナビリティのトピックをカバーする基準の開発も早急に進めるべきである。
    3. 「ビルディング・ブロック」アプローチの奨励
      • IOSCOは、国際的なサステナビリティ報告システムを構築するための「ビルディング・ブロック」アプローチを推奨する。これにより、企業価値の創造に重要なサステナビリティ関連情報の一貫性及び比較可能なベースラインを提供すると同時に、より広範なサステナビリティの影響を捉えた報告要求事項の調整のための柔軟性を提供することになる。
      • IOSCOは、SSBが決定する企業価値に焦点を当てた基準と、より広範なサステナビリティに関連する基準との間の継続的な国際的な調整を支援することを目的としている。また、より広範なサステナビリティ情報の開示要求事項に関する国際的な一貫性を促進することを支援する。この目的のため、IOSCOは、IFRS財団、アライアンス及びその他の関連するステークホルダーと協力して、追加的な調整メカニズムを確立する。
      • このような調整を促進するために、IOSCOは、IFRS財団の組織内にマルチステークホルダー専門家協議委員会を設置することを検討する用意がある。この委員会は、SSBが企業価値の創造に重要となりうるサステナビリティに関するトピックを特定することを支援すると同時に、より広範なサステナビリティの影響に関する投資家の情報ニーズを調整するためのメカニズムを支援し、法域固有の報告基準における一貫性を補完的に調整、促進することも可能となる。
  • IOSCOは、これらの取組が共同して、透明性の高い基準設定の構造及び強固で包括的なガバナンス構造の中で、資本市場が必要とする内容を提供する高品質で国際的な開示基準の開発に寄与することを確信している。
  • AshleyAlderIOSCO議長兼香港証券取引委員会(SFC)長官は、次のように述べている。「市場のニーズを満たす形でサステナビリティ報告を改善することが急務となっている。IOSCOは、20年前にIFRS財務報告基準をエンドースした時と同様に、IFRS財団の下でサステナビリティ基準設定のためのシステム構築をエンドースすることで、高品質なサステナビリティ開示基準の市場受け入れを支える唯一の立場にあると考えている。」
  • ErikThedéenIOSCOサステナブルファイナンス・タスクフォース議長兼スウェーデン金融庁長官は次のように述べている。「IOSCOは、サステナビリティに関する幅広いトピックをカバーする明確な道筋を持ちながらも、『気候第一主義』を支持する現実的なアプローチを提案しており、法域固有の要求事項との相互運用性を支援するメカニズムを確立しながら、企業価値に関連した中核的な情報の国際的な一貫性を促進することを目的としている。」

~NEW~
金融庁 「ソーシャルボンド検討会議」(第1回)議事次第
▼資料2 事務局説明資料
  • ソーシャルボンドとは
    • ソーシャルボンドとは、調達資金の全てが、新規又は既存の適格なソーシャルプロジェクト(社会的課題への対処・軽減、ポジティブな社会的成果の達成を目指すプロジェクト)の一部又は全部の初期投資又はリファイナンスのみに充当される債券(国際資本市場協会(ICMA)ソーシャルボンド原則)
    • 主に資本市場関係者が参加する国際的な業界団体である国際資本市場協会(ICMA)は、ソーシャルボンド発行に係る透明性、情報開示及び報告を向上・促進する観点から、「ソーシャルボンド原則」(Social Bond Principles)を策定(2017年策定、2018年・2020年改訂)
    • 何がソーシャルプロジェクトであるかについて、同原則では、「事業区分」と「対象となる人々」の例示をそれぞれ記載し、両者を組み合わせて判断していくアプローチをとっている。
  • (参考)グリーンボンド
    • グリーンボンドとは、調達資金の全てが、新規又は既存の適格なグリーンプロジェクトの一部又は全部の初期投資又はリファイナンスのみに充当される債券(ICMAグリーンボンド原則)
    • ICMAでは、グリーンボンド発行の原則として「グリーンボンド原則」(Green Bond Principles)を策定(2014年策定、2015年・2016年・2017年・2018年改訂)
    • また、我が国では、環境省において、ICMA原則の内 容との整合性に配慮した「グリーンボンドガイドライン」を策定(2017年策定、2020年改訂)
  • (参考)サステナビリティボンド
    • サステナビリティボンドとは、調達資金の全てが、新規又は既存の適格なグリーンプロジェクト及びソーシャルプロジェクト双方への初期投資又はリファイナンスのみに充当される債券(ICMAサステナビリティボンドガイドライン)
    • ICMAでは、サステナビリティボンド発行のガイドラインとして「サステナビリティボンドガイドライン」(Sustainability Bond Guidelines)を策定(2018年策定)
  • いわゆるSDGs債(注)の発行は近年増加傾向(グリーンボンドの発行が大宗)新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2020年にソーシャルボンドの発行が急拡大
  • 国際的な動向と同様、国内でもSDGs債の発行は増加傾向。これまでグリーンボンドとほぼ同水準で推移していたソーシャルボンドの発行は、2020年にグリーンボンドを上回って急拡大
  • グリーンボンドと比較して、ソーシャルボンドの発行における社債の割合(約3割)は低く、財投機関債等の割合(約6割)が高い状況
  • ICMAソーシャルボンド原則では、以下の4つの核となる要素に適合している債券をソーシャルボンドとし、原則内では「すべき」(should)と「奨励・望ましい」(recommend/encourage)を使い分けて規定
    1. 調達資金の使途:調達資金はソーシャルプロジェクトのみに充当し、発行体はその旨、法定書類等で明示する。
    2. プロジェクトの評価と選定のプロセス発行体は、目指す社会的な目標、適格プロジェクトの選定プロセス、適格性のクライテリアを定め、投資家に伝える。
    3. 調達資金の管理発行体は、調達資金を適切に管理・追跡する。
    4. レポーティングプロジェクトのリスト、概要、資金充当状況及び期待される効果に係るレポーティングを行う。
  • ICMAソーシャルボンド原則では、ソーシャルプロジェクトの事業区分を以下のように例示。ただし、これらに限られるものではないとしている。
    1. 手ごろな価格の基本的インフラ設備(例:クリーンな飲料水、下水道、衛生設備、輸送機関、エネルギー)
    2. 必要不可欠なサービスへのアクセス(例:健康、教育及び職業訓練、健康管理、資金調達と金融サービス)
    3. 手ごろな価格の住宅
    4. 中小企業向け資金供給及びマイクロファイナンスによる潜在的効果を通じ、社会経済的な危機に起因する失業の防止又は軽減するために設計されたプログラムと雇用創出
    5. 食糧の安全保障と持続可能な食糧システム(例:食糧必要要件を満たす、安全で栄養価の高い十分な食品への物理的、社会的、経済的なアクセス、回復力ある農業慣行、フードロスと廃棄物の削減、小規模生産者の生産性向上)
    6. 社会経済的向上とエンパワーメント(例:資産、サービス、リソース及び機会への公平なアクセスとコントロール。所得格差の縮小を含む、市場と社会への公平な参加と統合)
  • この他、ICMA「Guidance Handbook 2020」ではCOVID-19に係るソーシャルプロジェクトとして以下を例示・ヘルスケアのサービス及び機器の供給の容量・性能を高めるための関連支出・医学研究・影響を受けた中小企業の雇用創出を支援するローン
  • ICMAソーシャルボンド原則では、ソーシャルプロジェクトの対象とする人々を以下のように例示。ただし、これらに限られるものではないとしている
    1. 貧困ライン以下で暮らしている人々
    2. 排除され、あるいは社会から取り残されている人々、あるいはコミュニティ
    3. 障がい者
    4. 移民・難民
    5. 十分な教育を受けていない人々
    6. 十分な行政サービスを受けられない人々
    7. 失業者
    8. 女性及び/又は性的及びジェンダーマイノリティ
    9. 高齢者と脆弱な若者
    10. 自然災害の罹災者を含むその他の弱者グループ
  • ICMAソーシャルボンド原則(4つの要素:調達資金の使途)
    • 調達資金の使途
      • ソーシャルプロジェクトは対象となる人々又は社会の幸福を脅かす等の社会的課題への対処や軽減を目指すもの、あるいは、対象となる人々又は社会へのポジティブな社会的成果の達成を求めるもの
      • 対象となる人々の定義は地域の文脈によって異なる(対象となる人々は一般の大衆を想定する場合もある)。
      • ソーシャルプロジェクトの事業区分・ソーシャルプロジェクトが対象とする人々を例示
      • 「すべき」:調達資金が明確なソーシャルプロジェクトのために充当され、法的書類に適切に記載されるべき。ソーシャルプロジェクトは社会的便益を有し、その効果は発行体によって評価され、可能な場合には定量的に評価されるべき
      • 「奨励・望ましい」:調達資金をリファイナンスに使う場合、初期投資とリファイナンスの比率を示し、必要に応じて、どの投資又はプロジェクトポートフォリオがリファイナンスの対象になるかを明らかにすることを奨励。また、リファイナンスの対象となるソーシャルプロジェクトの対象期間(ルックバック期間)を示すことを奨励
    • プロジェクトの評価と選定のプロセス
      • 「すべき」:発行体は以下の点を投資家に対して明確に伝えるべき・社会的な目標・対象となるプロジェクトが前述の適格なソーシャルプロジェクトの事業区分に含まれると発行体が判断するプロセス・関連する適格性についてのクライテリア(プロジェクトが有する潜在的に重大な社会的、環境的リスクを特定し、制御するために適用される排除クライテリアやその他のプロセスを含む)
      • 「奨励・望ましい」:発行体は、上記情報を、社会面での持続可能性に関する発行体の包括的な目的、戦略、政策及び/又はプロセスの文脈の中に位置づけることが望ましい。プロジェクトの選定にあたり参照する社会的基準又は認証も情報開示することを奨励。外部評価によって補完されることを奨励
    • 調達資金の管理
      • 「すべき」:ソーシャルボンドによって、調達される資金は、サブアカウントでの管理、サブポートフォリオでの管理、その他の適切な方法で追跡し、発行体の内部プロセスの中で証明されるべき。調達資金の残高は適格なソーシャルプロジェクトへの充当額と一致するよう、定期的に調整されるべき。未充当資金の残高について、想定される一時的な運用方法を投資家に知らせるべき
      • 「奨励・望ましい」:調達資金の内部追跡管理方法、資金の充当状況について検証するため、監査人または第三者機関の活用によって補完することを奨励
    • レポーティング
      • 「すべき」:発行体は資金使途に関する最新の情報を容易に入手可能な形で開示すべき(全ての調達資金が充当されるまで年一度は更新。重要な事象が生じた場合は随時開示すべき)。開示には各プロジェクトのリスト、プロジェクトの概要、充当された資金の額及び期待される効果等が含まれるべき(ただし、守秘義務契約やプロジェクトの数が多すぎる等の理由がある場合には、総合的又はポートフォリオ単位(一定の事業区分への充当割合等)での開示を奨励)
      • 「奨励・望ましい」:定性的なパフォーマンス指標、可能な場合には定量的パフォーマンス指標(受益者の数等)を前提となる主要な方法論や仮定の開示と併せて使用することを奨励。実現した効果をモニタリングできる場合、モニタリングした効果を定期的な報告に含めることを奨励
  • 外部評価「奨励・望ましい」
    • 原則の4つの要素に適合していることを確認するため、外部評価を付与する機関を任命することを奨励
    • 外部評価はソーシャルボンドの発行にあたってのフレームワークやレポーティング等に関してコンサルタント等からアドバイスを得る業務とは別の独立した評価とされ、評価の範囲は様々あり得るとされる(フレームワーク、プログラム、個々の発行、裏付けとなる資産及び/又は手続き等)
    • 外部評価について大きく分けて次の4つの形態を提示
      • セカンド・パーティー・オピニオン(原則の4つの柱への適合性の査定)
      • 検証(一定のクライテリアに照らした独立した検証)
      • 認証(一般的に認知された外部の社会的基準又は分類表示への適合性に係る認証)
  • ソーシャルボンドスコアリング/格付け
    • 環境省グリーンボンド・ガイドラインでは、ICMAグリーンボンド原則に沿いつつ、例示・解説など、日本の発行体等に資すると思われる情報を追記
    • ソーシャルボンドについては、EU域内で規準策定等の議論はあるが、主要な国/地域ではガイドラインは策定されておらず、現状、ICMAソーシャルボンド原則のみが主要な指針となっている状況
    • 国内民間事業者のソーシャルボンド発行は少しずつ始まってきた段階で今後大きく増加することが期待されるところ、経済界等から国内における実務的なガイドラインの早期策定の要望が寄せられた
  • ガイドライン策定に向けての論点
    • ICMAソーシャルボンド原則では、ソーシャルボンドの調達資金の使途となるソーシャルプロジェクトについて、「社会的課題への対処・軽減、ポジティブな社会的成果の達成を目指す」としているが、本ガイドラインにおいてもソーシャルプロジェクトについて同様に考えることでよいか。
    • ICMAソーシャルボンド原則では、ソーシャルプロジェクトの6つの事業区分を例示しているが、本ガイドラインでは、ソーシャルボンドの調達資金の使途となるソーシャルプロジェクトをどのように示すべきか。課題先進国とも言われるわが国における社会的課題を踏まえたソーシャルプロジェクトとしてどのようなものが考えられるか。
    • ICMAソーシャルボンド原則では、ソーシャルプロジェクトの対象とする人々を例示しているが、本ガイドラインでは、ソーシャルプロジェクトの対象とする人々をどのように示すべきか。また、同原則では、一般の大衆に影響を与える社会的課題もあることから、対象は一般の大衆となり得るとしているが、この点、どのように考えるべきか。
    • その他、ICMAソーシャルボンド原則の「1.調達資金の使途」に関連し、本ガイドラインに取り入れるにあたり、特段考慮を要する事項は考えられるか。

~NEW~
警察庁 令和2年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うテレワークの実施やキャッシュレス決済の普及などサイバー空間が日常生活を含む様々な活動を営む場となりつつある中、新たなサイバー犯罪やサイバー攻撃が国内外において発生している状況にあり、サイバー空間における脅威は、極めて深刻な情勢。
  • 社会のデジタル化の進展に伴う脅威
    • 国内において、防衛関連企業電気通信事業者等に対する攻撃、国外において、新型コロナウイルス感染症のワクチン開発に関連する攻撃が発生。
    • ランサムウェアによる二重恐喝(ダブルエクストーション)、スマートフォン決済サービスに係る不正振替事犯等が発生。
    • 新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー犯罪が疑われる事案として、詐欺や不審メール・不審サイト等887件を都道府県警察からの報告により把握。
  • サイバー空間の脅威情勢
    • 警察庁が国内で検知したサイバー空間における探索行為等とみられるアクセスの件数は増加傾向。
    • インターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数・被害額は被害が急増した前年と比べて減少しているものの、発生件数は引き続き高い水準。
    • 警察によるサイバー犯罪の検挙件数は、前年と比べて増加し、過去最多を更新。
    • 警察庁が国内で検知した、サイバー空間における探索行為等とみられるアクセスの件数についても増加の一途を辿っている。Miraiボットに関連した多数のアクセスが引き続き観測されているほか、インターネットに接続されている機器やサービスのぜい弱性の有無を把握するための広範囲のポートに対するアクセスが多数行われるなど、サイバー攻撃の準備行為とみられる活動が広がりを見せている状況がうかがわれる。
  • 同年中のサイバー犯罪については警察による検挙件数が過去最多となった。また、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数・被害額は、下半期に被害が急増した前年と比べて、被害額は大幅に減少したものの、発生件数はやや減少したにとどまり引き続き高水準で推移している。これらの被害の多くは、前年から継続しているSMSや電子メールを用いて金融機関を装ったフィッシングサイトへ誘導する手口によるものと考えられる。このほか、特異な事案として、いわゆる「SMS認証代行」が確認されている「SMS認証代行」は、サイバー空間における本人確認の手段として広く用いられるSMS認証の信頼性を貶める悪質な行為であるとともに、特殊詐欺等に必要な犯行ツールを提供する犯罪インフラにもなっている。
  • 新型コロナウイルスの感染防止のため、各組織においてテレワークの導入が進む中、事業所と比較してセキュリティが確保されていない自宅等のテレワーク環境や、テレワーク用のソフトウェアのぜい弱性等を狙ったサイバー攻撃が発生している。警察庁のリアルタイム検知ネットワークシステムにおける観測においても、リモートデスクトップサービスを標的とした広範な宛先ポートに対するアクセスの増加が認められており、このようなテレワーク関連の既知のぜい弱性の悪用を企図していると思われる攻撃は今後も継続して実行される可能性がある。
  • また、事業所の拠点間や関連企業との間のシステムの連携が進む中、セキュリティ対策が不十分である事業所(支店、海外拠点等)や関連取引先企業等のシステムを経由した攻撃も複数確認されている状況にある。また、12月に発表された米国の大手ITインフラ管理ソフトウェア会社に係る攻撃では、当該事業者の製品に係るアップデートファイルに不正なコードが埋め込まれ、当該アップデートを行った顧客全体にぜい弱性が拡散するなど、影響がこれまでになく広がっており、各種サプライチェーンリスクへの対応は重要な課題となっている。
  • さらに、ランサムウェアによる被害の深刻化・手口の悪質化も全世界的に問題となっている。従来のランサムウェアによる被害は、重要データ等を暗号化し、復号の対価として金銭を要求するものが一般的であったが、最近の事例ではデータの暗号化のみならず窃取を敢行し、対価を支払わなければ当該データを公開するという二重恐喝(ダブルエクストーション)を行うより悪質なケースも認められている。また、犯行に用いられるランサムウェアやそれらを用いた二重恐喝の手法そのものが闇サイト上で商品として販売されるなど、これらのより悪質な手口の拡散も見られる。6月には、国内においても、産業制御型システムに影響を及ぼすランサムウェアが確認されている。
  • 国民の間での利用が広がるキャッシュレス決済においては、国内の事業者が提供するスマートフォン決済サービスにおいて、金融機関に開設された口座情報が不正に入手・連携され、不正なチャージが行われる事案が発生した。キャッシュレス決済の普及に伴い新たなサービスも次々と生まれているところ、これらのサービスにおいては利用者の利便性の観点に加えてセキュリティの確保や不正利用の防止の観点も十分に踏まえつつ、発生し得る脅威に応じて対策を講じる必要がある。
  • 近年、急速に被害が広がっているEmotetについても、パスワード付きzipファイルを利用した新たな拡散の手口が認められた。このようなパスワード付きzipファイルなどのファイルは、メール配信経路におけるマルウェア検知をすり抜けてしまうことからメールの受信前に駆除できないおそれが高く、同種の手法によるマルウェア被害拡大の可能性が引き続き懸念される。
  • このほか、新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー犯罪が疑われる事案として、マスク不足に便乗した詐欺サイトや偽の給付金の申請サイトなどが確認されているところ、今後も、国民の不安感などの社会情勢に乗じた新型コロナウイルス感染症の感染状況やワクチン関連の情報を騙る不審メールや不審サイト、詐欺事案などが横行する可能性がある。
  • 新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー犯罪が疑われる事案として、令和2年中に都道府県警察から警察庁に報告のあった件数は887件であった。その内訳としては、詐欺が446件で全体の50.3%と最も多く、次いで不審メール・不審サイトが135件で全体の15.2%を占めている。
  • 検知したアクセスの宛先ポートに着目すると、ポート番号1024以上のポートへのアクセス件数が増加し続けており、アクセス件数増加の大きな要因となっている。1024以上のポートは、主としてIoT機器が標準設定で使用するポート番号であることから、多くがIoT機器に対するサイバー攻撃やぜい弱性を有するIoT機器の探索行為であるとみられる。
  • また、単一の送信元からの広範な宛先ポートに対するアクセスは、近年増加傾向にある。1日に100個以上の宛先ポートに対してアクセスを行った送信元IPアドレス数の推移は、平成28年から30年上半期にかけて同水準で推移していたが、30年下半期から増加傾向となり、令和2年下半期に急増した。また、令和2年における送信元IPアドレス数は、1日当たり135.5個で、前年の59.1個と比較して、76.4個(129.3%)増加した。
  • 広範な宛先ポートに対するアクセスの増加の要因は、インターネットに接続されている機器やそれらが行っているサービス、さらに、そのぜい弱性の有無を網羅的かつ短期間に把握しようとする組織等が増加しているためと考えられる。
  • 令和2年にサイバーインテリジェンス情報共有ネットワークを通じて把握した標的型メール攻撃の件数は4,119件であった。これらには、「ばらまき型」攻撃の割合は全体の95%・送信先メールアドレスがインターネット上で公開されていないものが全体の75%・送信元メールアドレスが偽装されていると考えられるものが全体の97%などの特徴があった
  • 令和2年におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害は、発生件数1,734件、被害額約11億3,300万円で、前年と比べて発生件数、被害額ともに減少した。
  • 令和2年は、被害が急増した前年と比べて、被害額は大幅に減少したものの、発生件数はやや減少と引き続き高水準で推移しており、被害の多くは、前年から継続しているSMSや電子メールを用いて金融機関を装ったフィッシングサイトへ誘導する手口によるものと考えられる。
  • フィッシングサイトへの誘導には金融機関を装ったSMS等のほか宅配事業者や通信販売事業者からの荷物の配達連絡を装ったSMSによって、金融機関を装ったフィッシングサイトへ誘導するものも確認されている。また、当該SMSからの誘導により、不正なアプリを携帯電話機等の端末にインストールさせ、当該アプリによって表示される偽の警告メッセージからフィッシングサイトへ誘導する手口も確認されている
  • 一次送金先として把握した2,181口座のうち、名義人の国籍は日本が37.8%と最も多く、次いでベトナムが17.9%、中国が2.4%であった。従来の手口である預貯金口座への不正送金のほか、暗号資産や電子マネーの購入、プリペイカードへのチャージ等の手口が確認されている。
  • サイバー犯罪の検挙件数は増加傾向にあり、令和2年における検挙件数は9,875件と、前年と比べて増加した。
  • 令和2年における不正アクセス禁止法違反の検挙件数は609件と、前年と比べて減少した。検挙件数のうち、576件が識別符号窃用型で全体の94.6%を占めている。識別符号窃用型の不正アクセス行為に係る手口では、フィッシングサイトにより入手したものが172件と最も多く、全体の29.9%を占めており、次いで言葉巧みに利用権者から聞き出したもの又はのぞき見たものが115件で全体の20.0%を占めている。識別符号窃用型の不正アクセス行為に係る被疑者が不正に利用したサービスは、社員・会員用等の専用サイトが174件と最も多く、全体の30.2%を占めており、次いでオンラインゲーム・コミュニティサイトが88件で全体の15.3%を占めている。

~NEW~
警察庁 【令和2年度】生活様式の変化等に伴うサイバー空間の新たな脅威に対処するための官民連携の更なる推進
▼報告書 本編
  • 日本のキャッシュレス化は、海外と比べて遅れていると指摘されており、政府は、令和元年に26.8%であったキャッシュレス決済比率を、令和7年までに4割程度とすることを目標に掲げている。一般に、キャッシュレス決済サービスにおいては、アカウントの乗っ取り、アカウントと銀行口座の不正な連携、クレジットカードの不正な登録、不正なアカウントの作成等の不正利用が確認されており、事業者ごとに不正利用の防止対策が講じられているが、安全性と利便性のバランスをとる必要があるほか、事業者だけでは対処が難しい課題もあり、官民が連携した取組の強化が求められている。
  • コロナ禍により急速にテレワークが普及しているが、テレワークには、例えば、Windowsに標準装備されているリモートデスクトップとよばれる機能が活用されている。リモートデスクトップ機能により、外部から職場のパソコンに接続し、ファイルの編集やアプリケーションの起動が可能となるが、機能が攻撃者に悪用されれば、情報流出等の深刻な被害につながることとなる
  • コロナ禍の前より確認されていたフィッシングやマルウェア攻撃についても、その犯行手口等は悪質化しており、その被害も深刻化している実態があることから、官民が連携した対策が急務となっている
  • ランサムウェアは平成18年頃から存在し、PGPCoderとよばれるランサムウェアが、その例であるといわれており、パソコンのデスクトップ画像を変更して、脅迫文を表示させ、利用者に読むよう指示する手口が使われたが、この手口は、現在のランサムウェアでも踏襲されている。
  • その6年後に登場したCryptoLockerとよばれるランサムウェアは、身代金の支払いに暗号資産(仮想通貨)であるビットコインを要求し、暗号資産が身代金の取扱いに悪用される事例を作った。ビットコインが悪用された理由は、一つは、送金プロセスの中で、当事者の身元を匿名化できる性質を利用し、受取主である犯行グループの身元特定を困難にするためである。もう一つは、ビットコインが社会で普及し、より身代金の回収が容易になったためと考えられる。これ以後、ランサムウェアでは暗号資産を要求する手口が模倣されるようになった。
  • 平成26年には、CTB-Lockerとよばれるランサムウェアが登場し、ランサムウェアの生成技術がなくても、アフィリエイトプログラムへの参加により、誰でも収益を上げることが可能になった。アフィリエイトとは、ランサムウェアの生成や実行の基盤を提供して、実行役の参加者を募集する仕組みのことをいう。参加者はこのプログラムに参加して、実行基盤からランサムウェアをダウンロードし、被害者に送りつけてマルウェアに感染させ、身代金の支払いに応じさせた場合には、その実行役には身代金の7~8割程度を分配し、CTBLockerの提供元には身代金の2~3割程度が入る仕組みになっている。これにより、実行役は、ランサムウェアに関するITの詳細な知識がなくても、例えばメールで相手方をマルウェアに感染させることによって、収益を上げることができるようになった。
  • 平成27年には、GandCrabとよばれるランサムウェアが登場し、感染パソコンの一覧や暗号化ファイルの数などの進捗状況を一元管理できるようになり、実行役の管理コストが効率化された。こうした仕組みはRaaS(Ransomware-asa-Service)とよばれているが、RaaSの特徴として、アフィリエイトと同様、このシステムの提供元が身代金の2~3割程度を徴収する仕組みになっており、ランサムウェアの実行行為を可視化することにより、ゲーム性を高め、実行役を攻撃に加担、熱中しやすいように仕向けている。
  • 令和元年には、Mazeを名乗るサイバー犯罪グループによって二重恐喝(ダブルエクストーション)とよばれる手口が登場した。従来型のランサムウェアは、暗号化されたファイルの復号鍵や復号ソフトの購入を強要していたが、現在主流となっている二重恐喝は、ファイルを暗号化する前に盗み出したファイルをランサムウェアグループ自らが運営する暴露サイトを通じて漏出させると脅迫して、このための支払いも暗号化の復号の身代金に加えて要求する手口である。
  • 今後、第5世代移動通信システム(5G)の進展により、IoT(InternetofThings)機器の更なる普及が見込まれるところであるが、IoT機器もサイバー空間の脅威にさらされている。Miraiによる攻撃の最近の傾向の一つとして、攻撃の高度化が挙げられる。初期のMiraiは、基本的には機器を再起動するとマルウェアが消えたが、最近は持続感染型のIoTマルウェアが増えてきている。これにより、マルウェアが組織のネットワークに侵入したのちに長期の活動が容易になるなど、Miraiによる脅威は深刻さを増している。
  • サイバー攻撃の中には、国家が犯罪集団を支援するなど、国家の関与が疑われるものがあり、その被害やリスクが深刻化している。令和2年7月、米国、英国及びカナダは、新型コロナウイルス感染症に関連する研究及びワクチン開発に関連して、APT29(CozyBear,TheDukes)とよばれるサイバー攻撃集団が研究情報及び知的財産を窃取しようとしているとして、注意喚起を行った。APT29は、ロシアの諜報機関に属する集団であることが確実視されており、政府機関、医療機関等を標的としてサイバー攻撃を行っているとされる。さらに、同年12月、米国の大手ITインフラ管理ソフトウェア会社の顧客に密かにサイバー攻撃が仕掛けられ、同社のソフトウェアを利用していた米国の政府機関のメールがサイバー攻撃集団に傍受された可能性が判明したが、この攻撃について、FBI16等の米国の政府機関は、ロシアによるものとしている。このように、国家の関与が疑われるサイバー攻撃の被害が深刻化しており、諸外国との連携強化はもちろんのこと、官民が連携した対策が急務となっている。
  • サイバー空間が、重要な社会経済活動を営む公共空間へと変貌を遂げつつある一方で、令和2年9月に警察庁が実施したアンケート調査によると、回答者の75.3%がサイバー犯罪に不安を感じると回答するなど、サイバー空間に対する国民の不安感は払拭されていない状況にある。こうした目下の厳しい脅威情勢や今後の我が国に到来するデジタル社会の実現に適切に対処していくためには、サイバー空間に、公共空間として実空間と変わらぬ安全・安心が確保されることが必要である。すなわち、全国民が、心置きなくデジタル社会におけるあらゆる活動に参画し、個々の能力を創造的かつ最大限に発揮するとともに、生活の利便性向上や個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を通じて、ゆとりと豊かさを実感できるようになることが求められており、こうした誰もが安心して参画できる空間を実現するため、今後のサイバーセキュリティにおける新たな基本理念に、「公共空間としての安全性確保」を据えることが必要である。
  • サイバー空間に、公共空間としての安全性を確保するためには、犯罪対策の観点からだけでは十分なアプローチが難しく、警察においても国家安全保障の観点からのアプローチを強化する必要に迫られている。また、こうした国家の関与は一見して明らかなものではなく、高度な分析を通じて明らかとなるものであり、警察においては、犯罪対策と安全保障を一体として捉え、包括的な対策を講じていくことが求められている。
  • サイバー空間においても、実空間の公衆衛生に対応するサイバー・ハイジーン(Cyber Hygiene)とよばれる考え方があり、例えば、ソフトウェアに適切にパッチが適用されているかを確認する、定期的にデータのバックアップを取得するといった基本的な行動に平時から取り組むことをいう。欧州ネットワーク・情報セキュリティ機関(ENISA)では、サイバー・ハイジーンを、個人の公衆衛生にならい、組織のネットワーク環境が最適な状態を維持できるよう、単純な日常業務、良好な習慣及び定期的な確認を組織的に行うことと定義し、これにより、被害や被害拡大を最小限に抑えることができるとしている
  • 社会において、サイバーセキュリティを担う取組主体は多岐にわたる。サイバー空間を構築している各種インフラ事業者、多様なサービスを提供する事業者、専門的な研究・教育を担う学術研究機関、サイバー犯罪やサイバー攻撃の取締り、抑止等に取り組む警察など、産学官の各主体がそれぞれの強みを活かして対策に取り組んでいる。また、サイバー空間に参加する各個人も、その脅威から自らを守るための主体的な取組が求められるという意味では、サイバーセキュリティを担う重要な取組主体である。サイバーセキュリティは、こうした様々な取組主体による地道な活動の積み重ねから構築されるものであり、サイバー空間に、公共空間としての安全性を確保するためには、各主体がサイバー・ハイジーンを実践することが重要である。
  • 昨今、サイバー空間をめぐる脅威の特徴として、攻撃者の優位性や抑止の困難性ばかりが強調され、こうした認識の下、現状の対策においては、被害者側のリテラシー不足が殊更に課題として取り上げられ、どうしても犯行主体への対策の観点が欠けてしまう傾向にある。参加主体の更なる拡大が予想される今後のサイバー空間に、実空間と同様の法の支配を実現するため、あらためて法治国家として犯罪の行為者に帰責する健全な社会認識の必要性が確認されるとともに、警察における犯人の事後追跡可能性の向上やアトリビューションの強化・活用に取り組むことが必要である。
  • サイバー空間における警察の事後追跡を困難にし、犯罪行為を容易にする、いわば犯罪インフラを提供する悪質な事業者の存在が確認されている。SMS認証は、ID・パスワードによる認証と併用することにより、認証の安全性を高める方法として広く使用されており、SMS認証代行は、それ自体がサイバー空間における本人確認の信頼性を貶める悪質な行為であり、特殊詐欺等に必要な犯行ツールを提供する犯罪インフラにもなっている。各種サービスにおけるセキュリティ対策の一環として、海外からのアクセスを遮断する取組があるが、こうしたアクセス制限の回避を目的で日本に設置された中継サーバが利用されるケースが確認されている。中継サーバ事業者が運営するサービスの中には、ログをあえて残さないなど、犯罪インフラと化しているものがある。このように、犯罪インフラを業として提供する事業者が後を絶たず、サイバー犯罪を容易にしている実態を踏まえ、警察においては、官民の情報を活用しながら、こうした悪質な事業者の摘発を強化していくべきである。
  • キャッシュレス決済サービスのように、サイバー空間では、複数のサービスを連携させることにより利用者に新たな価値を提供するものが増えてきており、この場合には、法規制により求められている最低限の安全確保措置だけでは十分ではない場合も考えられる。こうしたサービスを提供する民間事業者は、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策におけるリスクベース・アプローチにならい、それぞれ連携して、自らが提供しているサービスに係るリスクを適切に評価し、必要な自主規制やモニタリング等の措置を検討・実施することが期待されており、官民が連携してこうした取組が促進されるよう働きかけていくべきである。
  • プロボノ活動とは、ボランティア活動の一種で、ボランティア活動の中でも特に、普段は専門家として稼働している人が、その専門スキルや経験を活かして行うものをいう。サイバー空間には、自らの専門的な知識や経験、技能を活かして社会貢献のために無償又は無償に近い形で活動を行っている技術者が数多く存在する。こうした技術者のプロボノ活動を支援するための取組を、官民が連携して推進していくべきである。
  • 警察では、捜査活動により犯罪の全体像を解明する中で、その具体的な方法・手口を把握し、各種システム・事業の脆弱性やリスクを知り得る場合がある。犯罪に悪用されるリスクの高いインフラ、技術など、警察捜査の過程で判明した情報を官民で情報共有することについては、サイバーセキュリティの確保の観点から高い公益性が認められるところであり、警察として積極的に情報発信を行うとともに、民間事業者に対して積極的な働きかけをしていくべきである。こうした取組により、国民一般に攻撃者のイメージを持たせ、適切に危機感を共有するとともに、行為者に帰責する健全な社会認識を醸成していくことが期待できる。
  • まず、サイバー空間の基盤となるプラットフォームへの対策である。サイバー空間で提供されるサービスについて脅威が確認された場合、当該サービスだけに着目しがちであるが、実効的な安全対策を講じるためには、当該サービスだけではなく、プラットフォームにも着目することが重要である。例えば、キャッシュレス決済サービスの不正利用について、当該サービスは、クレジットカード、電子マネー、デビットカード、スマートフォン等を使った支払いにより、現金を使用せずに支払いができるサービスであるが、当該サービスだけで完結する仕組みではなく、スマートフォン等のプラットフォームの利用を前提としているものである。こうしたプラットフォームにおける最も重要な課題の一つが、本人確認の信頼性の確保であり、その在り方について具体的な検討が必要である。
  • SMS認証はあくまでも電話番号に対応した携帯電話を所持していることのみを保証するものであり、当該携帯電話を所持している者の身元を保証するものではない。よって、携帯電話の契約時に厳格な本人確認がなされていなければ、第三者を騙ることが可能であり、SMS認証が信頼性のある本人確認の方法足り得るには、携帯電話を契約する際に公的身分証を用いた本人確認が徹底されていることが前提となっている。この点、携帯電話の契約時の本人確認義務は、携帯電話不正利用防止において携帯音声通信役務を提供する場合に限定されており、音声通信機能を有さないデータSIM契約は、SMS機能を有するものについても本人確認の義務付けの対象外となっている。
  • ハードウェア対策が求められるもう一つの課題は、サプライチェーンリスクである。米国の治安情報機関等において、通信機器メーカーが製品の製造段階でサイバーセキュリティを脅かす細工をすることや配送途中で製品を抜き取った上で当該製品に細工をすることが技術的に可能であり、こうしたサプライチェーンリスクへの対応の必要性が指摘されている。我が国においても、官民が連携してサプライチェーンリスクを洗い出し、必要な対策を講じていくべきである。

~NEW~
内閣官房 孤独・孤立対策に関する連絡調整会議 配布資料
▼資料2 ソーシャルメディアの活用に関するタスクフォースについて
  • 孤独・孤立は私たちすべてに共通するものである。孤独・孤立に悩み、その思いを誰かに伝え、また、解決策を求めようとする人々に対して、適切な支援があることを知らせ、つなげていくことが重要である。ソーシャルメディアは、人々のネットワークを広げ、情報の行き来を活発にする機能を有し、この孤独・孤立の問題や自殺防止対策に対応していく観点からも重要な役割が期待される。
  • これまで指摘されているソーシャルメディア利用に関する問題点を踏まえつつ、孤独・孤立の問題や自殺防止対策に対応していく観点から、効果的な方策を提示するため、ソーシャルメディア関係者及び行政側によりタスクフォースを編成して共同して作業を行う。必要に応じアドバイザーより意見を聴取する。
  • タスクフォースにおいては、これまで指摘されているソーシャルメディア利用に関する問題点を踏まえつつ、ソーシャルメディアの利用者に対する適切な情報提供支援方策、相談体制の充実と連携強化、事業者とNPO法人との連携推進等について検討を行う。
  • タスクフォースの検討の結果、結論に至ったものなどについては、構成員の共同名で公表する。
▼資料3 孤独・孤立の実態把握に関するタスクフォースについて
  • 孤独・孤立に悩んでいる人、不安に思っている人に寄り添う支援を実施するためには、「孤独」「孤立」をどのように捉えるのか基本的な考え方を整理した上で、客観・主観(意識)の両面から実態を把握し、各行政分野において対象を明らかにして関連施策のPDCAを確立することが不可欠である。
  • このため、孤独・孤立をめぐる問題や社会調査に関して学識経験を有する者、各行政分野において孤独・孤立の把握に資する統計・データを作成している関係府省等で構成するタスクフォースを編成する。
  • タスクフォースにおいては、「孤独」「孤立」をどのように捉えるのか考え方を整理した上で、孤独・孤立に係る実態把握の現状と課題の洗出し、今後の取組等について検討を行う。
  • タスクフォースでの検討の成果は、今後取りまとめる孤独・孤立対策に反映させる。
▼資料4 孤独・孤立関係団体の連携支援に関するタスクフォースについて
  • 今般、全省庁一体となって取り組むこととなった「孤独・孤立対策」については、NPOをはじめ民間団体が地域等において様々な活動を行っている。また、行政も様々な施策を通じて支援を行っている。孤独・孤立への支援を必要とする人々に、必要かつ適切な支援が効果的に届くようにするためには、支援を実施している団体が、手続きの簡素化など、より活動しやすくなるようにするとともに、様々な活動・支援の一層の連携が必要である。
  • このため、内閣官房(孤独・孤立対策担当室)を中心に、NPO等民間団体の支援策を講じる関係省庁で構成するタスクフォースを編成する。
  • タスクフォースでの検討に当たっては、必要に応じて学識経験者、NPO等の団体との意見交換等を行い、連携支援の取組を深化させていく。
  • タスクフォースでの検討の成果は、NPO等の民間団体との連携の下、今後の孤独・孤立対策に反映させる。

~NEW~
内閣官房 「デジタル社会形成基本法案」「デジタル庁設置法案」「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」が閣議決定・国会提出されました。
▼新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案の概要
  1. 改正の趣旨
    • 現下の新型コロナウイルス感染症に係る対策の推進を図るため、「まん延防止等重点措置」を創設し、営業時間の変更の要請、要請に応じない場合の命令等を規定し、併せて事業者及び地方公共団体等に対する支援を規定するとともに、新型コロナウイルス感染症を感染症法において新型インフルエンザ等感染症と位置付け、所要の措置を講ずることができることとし、併せて宿泊療養及び自宅療養の要請について法律上の根拠を設ける等の措置を講ずる。
  2. 改正の概要
    1. 新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部改正
      1. 特定の地域において、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあるまん延を防止するため、「まん延防止等重点措置」を創設し、営業時間の変更等の要請、要請に応じない場合の命令、命令に違反した場合の過料を規定する。
      2. 緊急事態宣言中に開設できることとされている「臨時の医療施設」について、政府対策本部が設置された段階から開設できることとする。
      3. 緊急事態宣言中の施設の使用制限等の要請に応じない場合の命令、命令に違反した場合の過料を規定する。
      4. 事業者及び地方公共団体に対する支援
        • 国及び地方公共団体は、事業者に対する支援に必要な財政上の措置、医療機関及び医療関係者に対する支援等を講ずるものとする。
        • 国は、地方公共団体の施策を支援するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。
      5. 差別の防止に係る国及び地方公共団体の責務規定を設ける。
      6. 新型インフルエンザ等対策推進会議を内閣に置くこととする。
    2. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部改正
      1. 新型コロナウイルス感染症を「新型インフルエンザ等感染症」として位置付け、同感染症に係る措置を講ずることができることとする。
      2. 国や地方自治体間の情報連携
        • 保健所設置市・区から都道府県知事への発生届の報告・積極的疫学調査結果の関係自治体への通報を義務化し、電磁的方法の活用を規定する。
      3. 宿泊療養・自宅療養の法的位置付け
        • 新型インフルエンザ等感染症・新感染症のうち厚生労働大臣が定めるものについて、宿泊療養・自宅療養の協力要請規定を新設する。また、検疫法上も、宿泊療養・自宅待機その他の感染防止に必要な協力要請を規定することとする。
      4. 入院勧告・措置の見直し
        • 新型インフルエンザ等感染症・新感染症のうち厚生労働大臣が定めるものについて、入院勧告・措置の対象を限定することを明示する。
        • 入院措置に応じない場合又は入院先から逃げた場合に罰則を科することとする。
      5. 積極的疫学調査の実効性確保のため、新型インフルエンザ等感染症の患者等が質問に対して正当な理由がなく答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又は正当な理由がなく調査を拒み、妨げ若しくは忌避した場合に罰則を科することとする。
      6. 緊急時、医療関係者・検査機関に協力を求められること、正当な理由なく応じなかったときは勧告、公表できることを規定する。 等
    3. 施行期日
      1. 公布の日から起算して10日を経過した日(ただし、1(6)は令和3年4月1日)
▼デジタル社会形成基本法案の概要
  1. 趣旨
    • デジタル社会の形成が、我が国の国際競争力の強化及び国民の利便性の向上に資するとともに、急速な少子高齢化の進展への対応その他の我が国が直面する課題を解決する上で極めて重要であることに鑑み、デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進し、もって我が国経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現に寄与するため、デジタル社会の形成に関し、基本理念及び施策の策定に係る基本方針、国、地方公共団体及び事業者の責務、デジタル庁の設置並びに重点計画の作成について定める。
  2. 概要
    1. デジタル社会
      • 「デジタル社会」を、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信するとともに、先端的な技術をはじめとする情報通信技術を用いて電磁的記録として記録された多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会と定義する。
    2. 基本理念
      • デジタル社会の形成に関し、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現、国民が安全で安心して暮らせる社会の実現、利用の機会等の格差の是正、個人及び法人の権利利益の保護等の基本理念を規定する。
    3. 国、地方公共団体及び事業者の責務
      • デジタル社会の形成に関し、国、地方公共団体及び事業者の責務等を規定する。
    4. 施策の策定に係る基本方針
      • デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、多様な主体による情報の円滑な流通の確保(データの標準化等)、アクセシビリティの確保、人材の育成、生産性や国民生活の利便性の向上、国民による国及び地方公共団体が保有する情報の活用、公的基礎情報データベース(ベース・レジストリ)の整備、サイバーセキュリティの確保、個人情報の保護等のために必要な措置が講じられるべき旨を規定する。
    5. デジタル庁の設置等
      • 別に法律で定めるところにより内閣にデジタル庁を設置し、政府がデジタル社会の形成に関する重点計画を作成する。
    6. 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法の廃止等
      • 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)を廃止するほか、関係法律の規定の整備を行う。
    7. 施行期日
      • 令和3年9月1日
▼デジタル庁設置法案の概要
  1. 趣旨
    • デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進するため、デジタル社会の形成に関する内閣の事務を内閣官房と共に助けるとともに、デジタル社会の形成に関する行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図ることを任務とするデジタル庁を設置することとし、その所掌事務及び組織に関する事項を定める。
  2. 概要
    1. 内閣にデジタル庁を設置
    2. デジタル庁の所掌事務
      1. 内閣補助事務
        • デジタル社会の形成のための施策に関する基本的な方針に関する企画立案・総合調整
      2. 分担管理事務
        • デジタル社会の形成に関する重点計画の作成及び推進
        • 個人を識別する番号に関する総合的・基本的な政策の企画立案等
        • マイナンバー・マイナンバーカード・法人番号の利用に関すること並びに情報提供ネットワークシステムの設置及び管理
        • 情報通信技術を利用した本人確認に関する総合的・基本的な政策の企画立案等
        • 商業登記電子証明(情報通信技術を利用した本人確認の観点から行うもの)、電子署名、公的個人認証(検証者に関すること)、電子委任状に関する事務
        • データの標準化、外部連携機能、公的基礎情報データベース(ベース・レジストリ)に係る総合的・基本的な政策の企画立案等
        • 国・地方公共団体・準公共部門の民間事業者の情報システムの整備・管理に関する基本的な方針の作成及び推進
        • 国が行う情報システムの整備・管理に関する事業の統括監理、予算の一括計上及び当該事業の全部または一部を自ら執行すること
      3. デジタル庁の組織
        1. デジタル庁の長及び主任の大臣は内閣総理大臣。
        2. 内閣総理大臣を助け、デジタル庁の事務を統括するデジタル大臣を置き、2(1)の事務を円滑に遂行するため、関係行政機関の長に対する勧告権等を規定。
        3. 副大臣一人及び大臣政務官一人に加え、デジタル大臣に進言等を行い、かつ、庁務を整理し、各部局等の事務を監督する内閣任免の特別職として、デジタル監を置く。
        4. 全国務大臣等を議員とする、デジタル社会の形成のための施策の実施の推進等をつかさどるデジタル社会推進会議を設置。
      4. 施行期日等
        1. 施行期日:令和3年9月1日
        2. 一定期間後の見直し、関係法律の改正について規定。
▼デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案の概要
  • 趣旨
    • デジタル社会形成基本法に基づきデジタル社会の形成に関する施策を実施するため、個人情報の保護に関する法律、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の関係法律について所要の整備を行う。
  • 概要
    • 個人情報保護制度の見直し(個人情報保護法の改正等)
      • 個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法の3本の法律を1本の法律に統合するとともに、地方公共団体の個人情報保護制度についても統合後の法律において全国的な共通ルールを規定し、全体の所管を個人情報保護委員会に一元化。
      • 医療分野・学術分野の規制を統一するため、国公立の病院、大学等には原則として民間の病院、大学等と同等の規律を適用。
      • 学術研究分野を含めたGDPR(EU一般データ保護規則)の十分性認定への対応を目指し、学術研究に係る適用除外規定について、一律の適用除外ではなく、義務ごとの例外規定として精緻化。
      • 個人情報の定義等を国・民間・地方で統一するとともに、行政機関等での匿名加工情報の取扱いに関する規律を明確化。施行日:公布から1年以内(地方公共団体関係は公布から2年以内)
    • マイナンバーを活用した情報連携の拡大等による行政手続の効率化(マイナンバー法等の改正)
      • 国家資格に関する事務等におけるマイナンバーの利用及び情報連携を可能とする。
      • 従業員本人の同意があった場合における転職時等の使用者間での特定個人情報の提供を可能とする。 施行日:公布日((1)のうち国家資格関係事務以外(健康増進事業、高等学校等就学支援金、知的障害者など))、公布から4年以内((1)のうち国家資格関係事務関連)、令和3年9月1日(3)
    • マイナンバーカードの利便性の抜本的向上、発行・運営体制の抜本的強化(郵便局事務取扱法、公的個人認証法、住民基本台帳法、マイナンバー法、J-LIS法等の改正)
      • <マイナンバーカードの利便性の抜本的向上>
      • 住所地市区町村が指定した郵便局において、公的個人認証サービスの電子証明書の発行・更新等を可能とする。
      • 公的個人認証サービスにおいて、本人同意に基づき、基本4情報(氏名、生年月日、性別及び住所)の提供を可能とする。
      • マイナンバーカード所持者について、電子証明書のスマートフォン(移動端末設備)への搭載を可能とする。
      • マイナンバーカード所持者の転出届に関する情報を、転入地に事前通知する制度を設ける。等 施行日:公布日(1)、公布から2年以内((1)以外)
    • <マイナンバーカードの発行・運営体制の抜本的強化>
      • 地方公共団体情報システム機構(J-LIS)による個人番号カード関係事務について、国による目標設定、計画認可、財源措置等の規定を整備。
      • J-LISの代表者会議の委員に国の選定した者を追加するとともに、理事長及び監事の任免に国の認可を必要とする等、国によるガバナンスを強化。
      • 電子証明書の発行に係る市町村の事務を法定受託事務化。等 施行日:令和3年9月1日

~NEW~
消費者庁 「保険を使って無料で修理します」と勧誘を受けた時にトラブルに遭わないためのポイント
  • まずはご自身で損害保険会社・代理店へ連絡を!
    • 保険金の請求は、ご自身で簡便に行うことができます。
    • 壊れた原因・物が保険の補償対象になるかご自身で確認しましょう。うその理由で保険金請求をすると詐欺に該当する場合があり、トラブルに巻き込まれる可能性があります。
    • 消費生活相談事例:保険金申請代行業者が訪問し、台風や大雨で被害を受けたことにして保険金を請求できると勧誘され契約したが、問題はないか。
  • 修理等の依頼時は契約内容をしっかり確認
    • 修理をキャンセルした時の違約金や保険申請サポート費用等の名目で、高額な請求を受ける可能性があります。
    • 消費生活相談事例:火災保険で雨どいの修理ができると来訪した業者に保険金請求を依頼した。その後、修理をしないと伝えたら30%の違約金を請求された。

~NEW~
消費者庁 「世界消費者権利デー」を迎えるに当たって
  • 世界消費者権利デーは、1962年3月15日に、米国のケネディ大統領によって消費者の権利(安全への権利、情報を与えられる権利、選択をする権利、意見を聴かれる権利)が初めて明確化されたことを記念し、消費者の権利を促進するために国際消費者機構(CI: Consumers International)が提唱している世界的な記念日です。
  • 今年の世界消費者権利デーのテーマは、「プラスチック汚染問題への取組(Tackling Plastic Pollution)」です。
  • 我が国では2030年までにワンウェイ(通常一度使用した後にその役目を終える)プラスチックを累積で25%排出抑制するなどの目標を掲げて施策を講じています。去る3月9日には、国内におけるプラスチックの資源循環を一層促進するための法律案を閣議決定し、国会に提出したところです。また、昨年7月にプラスチック製買物袋が有料化されるなど、消費者の身近なところでの取組も進められています。
  • 一方、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い新たな生活様式の実践が求められる中で、不織布マスクやテイクアウト・デリバリーの容器にもプラスチックが用いられており、家庭からのプラスチックごみ排出量の増加が懸念されています。
  • 2015年9月に国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発目標」(SDGs:Sustainable Development Goals)の12番目の目標には、「つくる責任、つかう責任」が掲げられています。また、国際消費者機構は冒頭に紹介した消費者の4つの権利に追加する形で「消費者の8つの権利と5つの責任」を提唱していますが、その責任の中には「環境への配慮責任」が含まれています。プラスチック汚染問題においても、消費者一人一人が消費と社会のつながりを「自分ごと」として捉え、未来を変えるための行動が求められているといえるでしょう。とりわけ、消費者の身近に寄り添い、その声を代弁することを使命とする消費者団体は、こうした普遍の目標に向かって取り組む上で欠かすことのできない存在として大きな期待が寄せられています。
  • プラスチック汚染問題を始め、消費者を取り巻く社会課題を解決するには、消費者と事業者が共通の目標の実現に向けて、互いの強みをいかして協力して取り組むことが重要です。消費者庁では、消費活動自体を「未来への投資」と考え、こうした消費者と事業者との「協働」の枠組みを構築するための取組を進めています。
  • 特に、食品ロスの削減を最重要課題の一つと位置付け、この一年間で、「食品ロスの削減の推進に関する法律」に基づく基本方針の策定や、賞味期限の愛称に選ばれた「おいしいめやす」の普及等に取り組んできました。しかし、現状は必ずしも十分とはいえません。引き続き、関係省庁と連携して、制度的な課題の検証を含め、国、地方公共団体、事業者、消費者等の多様な主体による食品ロスの削減に取り組んでまいります。
  • 持続可能な社会の実現に加え、消費者は、新型コロナウイルス感染症の拡大や、消費生活のデジタル化など、様々な新しい課題に直面しており、消費者庁はこうした新しいタイプの消費者問題にも迅速に対応しています。
  • 新型コロナウイルスのワクチン接種をかたる詐欺やコロナに効くと称する不当表示など、悪質商法による消費者被害の防止に引き続き万全を期してまいります。
  • また、デジタル分野における新たな消費者トラブルを抑止すると同時に、消費者のデジタルサービス等に係る利便性向上を強力に推進します。今国会において、取引デジタルプラットフォームにおける消費者の安全・安心の確保のための新しい法律案、ネット通販における詐欺的な定期購入商法対策等のための特定商取引法や預託法等の改正法案を提出しました。また、SNSの活用や全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)改革など、消費者行政のデジタル化を進めてまいります。
  • このほか、来年4月の成年年齢18歳への引下げを見据えた消費者教育の充実、孤独・孤立に陥りやすい高齢者や障害者の見守りを含む地方消費者行政の基盤強化、消費者ホットライン「188」(いやや)の周知・広報、所管法令の厳正な執行、消費者契約法の見直しに向けた検討等にも全力で取り組みます。
  • 今後も消費者を取り巻く環境の変化に伴って生じる様々な課題に対し、消費者行政の司令塔として、関係省庁と連携し、スピード感を持って対応してまいります。
  • 世界消費者権利デーが、全てのステークホルダーが共に消費者を取り巻く課題について思いをはせる機会となることを願い、ここにメッセージを発信いたします。

~NEW~
消費者庁 社会への扉 ―12のクイズで学ぶ自立した消費者―(高校生(若年者)向け消費者教育教材 生徒用教材・教師用解説書)
▼生徒用教材「社会への扉―12のクイズで学ぶ自立した消費者―」
  • 店で買い物をするとき、契約が成立するのはいつ?
    • 店員が「はい、かしこまりました」と言ったとき。
    • ライフステージと契約:消費者と事業者とが、お互いに契約内容(商品の内容・価格・引き渡し時期等)について合意をすれば契約は成立する。つまり、口約束でも契約は成立する。契約書や印鑑・サインは証拠を残すためのもの。
  • 店で商品を買ったが、使う前に不要になった。解約できる?
    • 解約できない。
    • 契約は「法的な責任が生じる約束」なので拘束力がある
  • 17歳の高校生が、保護者に内緒で10万円の化粧品セットを契約した。この契約は取り消せる?
    • 未成年者取消しができる。
    • 社会経験の少ない未成年者が法定代理人(親権者などの保護者)の同意を得ずに契約した場合、契約を取り消すことができる。
    • 未成年者取消しは、未成年者自身からでも、法定代理人からでもできる。
    • 取消しにより、未成年者は受け取った商品があれば事業者に返品し、支払った代金があれば返金される。ただし、小遣いの範囲の少額な契約、結婚をしている者、成人であると積極的にウソをついたり、法定代理人の同意があるとウソをついたりした場合等は、未成年者取消しができない。
  • 街で呼び止められ、展示会場に行ったら勧誘され、断れなくて10万円の絵画を契約してしまった。この契約をクーリング・オフすることはできる?
    • 契約してから8日間であれば、クーリング・オフできる。
    • 「契約は守らなければならない」のが原則だが、消費者トラブルになりやすい取引については、契約をやめることができる特別な制度としてクーリング・オフがある(特定商取引法)。理由は関係ない
    • クーリング・オフをすると、消費者は受け取った商品を事業者に返品し、支払った代金は全額返金される。
  • ネットショップでTシャツを買ったけれど似合わない。クーリング・オフできる?
    • クーリング・オフできない。
    • ネットショッピングは法律上のクーリング・オフ制度はない。
    • ただし、ネットショップ独自に、返品の可否や、その条件についてのルールを定めている。
    • 返品のルール(利用規約)を、注文前に必ず確認しよう
  • 買い物をした後日に代金を支払うことになるのはどれ?
    • クレジットカードで買う。
    • カード会社が代金を立て替えて販売店に支払う。消費者は先に商品を手に入れて、支払期日までに一括または分割でカード会社に支払う。
    • 支払期日までに、お金を用意しておく必要がある。
  • クレジットカードの支払方法で、1つ1つの商品の残高が分かりにくいのは?
    • リボルビング払い(リボ払い)
    • リボ払いは、月々の支払を一定額または残高に対する一定の割合に抑えられるが、支払期間が長くなりがちなので、手数料がかさみ、その結果支払総額も増える。
    • リボ払いは定期的な支払が続き、残高が分かりにくくなる。
  • 自動車教習所へ通うため金融機関から20万を年利(金利)17%で借りた。毎月5,000円ずつ返済した場合の返済総額は?
    • 約29万円(60か月(5年)で完済(返済が終了)する。)
    • 金融機関からお金を借りたら利息を付けて返す。利息=借りた金額(元金)×年利(金利)×借入期間
    • 月々決まった金額を返済した後の残金に対して、また利息が付くので、少額ずつ返済する場合は返済期間が長くなり返済額の合計は高くなる。
    • 奨学金制度(返済が必要な貸与型)、住宅ローンも借金であることは同じ。
    • 借りる前に、金融機関が提示する返済計画表を確認し、目的の実現後の返済計画を具体的に考えてみよう。
  • 「必ずもうかる投資」ってあるの?
    • 「必ずもうかる投資」はない。
    • 金融商品の中には、元本保証があるものと元本保証がないものがある。
    • 一般的に高収益であるほどリスクも高くなる。また、元本以上の損失が発生する可能性のある仕組みの金融商品もある。
    • 多様な金融商品が出回っているが、仕組みやリスクをよく理解できない場合は、絶対に手を出さない。
    • リスクをよく理解し、認識した上で投資をすることも、選択肢の一つ。
  • 製品による事故が発生したとき損害賠償を求めることができる?
    • 欠陥による損害であれば、治療費なども含め、広く損害賠償を求めることができる。
  • 消費者トラブルにあったとき、あなたならどうする?
    • 消費生活センターや事業者(お客様相談室)に相談する。

~NEW~
厚生労働省 第2回 大麻等の薬物対策のあり方検討会
▼資料1
  • 大麻事犯全体の検挙人員及び30歳未満の検挙人員は、6年連続で増加し、いずれも過去最多を更新。大麻事犯の検挙人員のうち、30歳未満の占める割合は57%
  • 大麻事犯における20歳未満の検挙人員は、5年連続で増加。30歳未満の検挙人員のうち20歳未満が占める割合は23.5%
  • 【薬物使用に関する全国住民調査】 ・大麻の生涯経験率は、調査開始から現在までの間で過去最高を記録 ・前回調査と比べ、大麻は生涯経験率及び生涯経験者数の推計値が増加 ・覚醒剤、コカイン及び危険ドラッグの生涯経験率はほぼ横ばい
  • SNSを介した違法薬物の密売が疑われる事例
    • 大麻等の違法薬物の密売は、インターネット密売サイトによるもののほか、ツイッター等のSNSを介して行われている。
    • 密売サイトやSNSにおいて、「大麻」は「野菜」、「覚醒剤」は「アイス」など、所謂隠語で表記されるほか、それら違法薬物を示す絵文字を使用して密売されている場合もある。
  • 大麻の健康に対する悪影響(WHO文献)
    • 大麻使用の短期的な悪影響
      • 意識障害、認知障害、知覚障害、情緒あるいは行動障害、精神生理学的機能障害を伴う陶酔
      • パニック発作、幻覚、嘔吐(初めて使用した人の中では稀)
      • 車の運転における障害、交通事故による怪我のリスクの高まり(1.3~2.0倍)
      • 年齢の若い大麻使用者に冠動脈疾患を引き起こす可能性
      • 妊娠中に母親が大麻を吸引する場合、胎児に現れる悪影響
    • 定期的な大麻使用による長期的な心理社会的影響
      • 依存(リスクは使用経験のある人10人に1人、青少年の使用者の6人に1人、毎日使用する人 の3人に1人)
      • 成人よりも青少年により深刻で持続的なマイナスの結果
      • 青少年期の大麻使用と若年成人の精神病的症状や統合失調症の発症リスクの間に用量反応関係
      • 学校中退、認識機能障害、その他の薬物の違法使用、抑鬱症状、自殺念慮・自殺行動のリスクの高まり(青少年期や成人後の若い時期に毎日大麻を使用する場合)
    • 定期的な大麻使用によるその他の長期的な心理社会的影響
      • 慢性・急性の気管支炎、気管の内壁細胞の損傷
      • 若い大麻使用者に心筋梗塞、脳卒中
      • 煙草と共に使用する場合は、がんやその他の呼吸器系疾患のリスクの高まり
      • 精巣がん(関連性については更なる調査が必要)
  • 現在、アメリカは、国としては医療目的及び嗜好目的での大麻使用のいずれも認めていないものの、医療目的での大麻使用については36州及び4つの地域、嗜好目的での大麻使用については15州及び3つの地域において合法化(令和2年11月現在)している。アメリカの疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、ホームページ上で「大麻の使用は身体と脳に幅広い健康影響を与える可能性がある」旨述べ、健康に係る9項目について、大麻使用が及ぼす影響を記載している。
  • 大麻合法化による影響
    • 米国は、国としては嗜好目的での大麻使用を認めていないものの、2012年のコロラド州、ワシントン州を皮切りに、2020年11月までに15州及びワシントンC、グアム、北マリアナ諸島の3つの地域において、嗜好目的での大麻使用を認める法案が可決された。これらの州及び地域の一部において、下記のような有害事象の発生が報告されている。
      1. 交通事故
        • 交通事故発生率(コロラド州、ワシントン州、オレゴン州) 2012年から2016年まで、嗜好品大麻を認めていない州と比較して5.2%高い。 ※コロラド州、ワシントン州及びオレゴン州における発生率との比較による。
        • 交通事故死亡者(コロラド州) 2012年:全交通事故死亡者数472人 うち大麻成分陽性者65人 2019年:全交通事故死亡者数596人 うち大麻成分陽性者127人
        • 生命に関わる重大な交通事故の増加
      2. 救急搬送(コロラド州)
        • 大麻摂取による救急搬送数 2012年:110件 2018年:265件 2.5倍
        • 0~8歳の大麻の誤摂取等による救急搬送数 2012年:16件 2018年:89件 5.5倍
        • 大麻摂取による健康被害の増加
      3. 大麻の違法栽培・違法販売の増加(コロラド州)
        • 正規店では大麻に高額な税金がかけられているため、安価に購入できる違法販売の需要が増加。
        • 大麻の違法販売を目的とする犯罪の摘発数 2012年:32件 2017年:124件 4倍増
        • 違法栽培による大麻の押収量 2012年:46,662株 2017年:80,826株 1.5倍増
        • 大麻関連犯罪の増加
      4. コロラド州では、これらに加え、 青少年の検挙数の増加、公共の場での違法な大麻使用の増加 等が報告されている
  • 大麻使用と精神障害との関連について
    • 2016年2月17日、米国医師会雑誌の精神分野専門雑誌「JAMA Psychiatry」において、大麻使用と精神障害の関連性を示す論文が発表された。
    • 同論文では2度の調査が行われており、1度目の調査で大麻を使用した経験があると回答した者について、3年後に行われた2度目の調査における精神障害の発生との関連を調査している。
    • 調査の結果、大麻使用経験のある者が使用障害(ある物質の使用により問題が生じているにもかかわらず、その使用を続ける行動パターンがみられるもの)を発症するリスクは、大麻使用経験がない者に比べ、アルコールが2.7倍、大麻が9.5倍、大麻以外の薬物が2.6倍、ニコチンが1.7倍であったことから、同論文では「大麻の使用は、いくつかの物質使用障害のリスクの増加と関連している」と結論づけている。
    • 2019年2月13日、米国医師会雑誌の精神分野専門雑誌「JAMA Psychiatry」において、青年期における大麻使用と若年成人期におけるうつ病、不安神経症及び自殺傾向との関連性を示す論文が発表された。
    • 同論文では23,317人からなる11の研究について分析を行い、青年期に大麻使用経験のある者が若年成人期にうつ病等の疾患を発症するリスクは、大麻使用経験がない者に比べ、うつ病が1.37倍、自殺企図が3.46倍であったと報告している。
    • また、推定人口寄与危険度(7.2%)、米国の18歳から34歳の若年成人期の人口(約7,087万人)、うつ病発生率 (8.1%)から、大麻使用が原因でうつ病になった若年成人は約41万人に達するとし、「大麻を使用する青年の高い有病率は、大麻に起因するうつ病と自殺傾向を発症する可能性のある多数の若者を生み出す」と結論づけている
  • 大麻使用と依存症や精神病の発症との関連について
    • 2019年10月~12月の間に薬物依存症専門医療機関において、通院または入院により治療を受けたICD-10(大麻使用による精神等行動の障害)に該当する成人患者(N=71)を対象に行った調査票を使用した調査により、大麻の使用と、依存症や精神病の発症との関連について、臨床医学的家族歴、大麻の使用期間・頻度、使用する大麻製品、併存精神障害や並行して使用した他の精神作用物質の影響について検討を行った。
    • 単変量解析及び多変量解析の結果、依存症の発症に重要な因子として、大麻の使用期間(多変量解析によるオッズ比:1.094[95%信頼区間:1.014-1.180])、乾燥大麻以外の高濃度THC製品(大麻樹脂等)の使用(多変量解析によるオッズ比:6.850[95%信頼区間:1.866-25.145])であることが明らかとなった。
    • 今回の解析の結果からは、残遺性・遅発性精神病性障害の発症に関連した因子は確認されなかった
    • 今回の解析結果から、長期間の大麻の使用や高濃度THC含有製品の使用が大麻による依存症の発症に関連している可能性が考えられた。今回の解析の結果からは、残遺性・遅発性精神病性障害の発症には特定されていない未知の因子が関連している可能性が考えられた。
  • 大麻による精神障害の影響 :年以内に主たる薬物(臨床的に最も関連が深いと思われる薬物)の使用がある症例のうち、大麻関連精神疾患の特徴として、以下のような点が認められた。→ 大麻使用の影響には個人差がある可能性が高いことが判明した。
    • 20~30代の占める割合が高い (大麻:70.3%、覚醒剤:42.3%、睡眠薬・抗不安薬:38.5%、市販薬:50.5%、危険ドラッグ:78.6%)
    • 比較的就労している者が多く、比較的高卒以上の学歴を有している者が多い (有職率 大麻:45.3%、覚醒剤:31.4%、睡眠薬・抗不安薬:14.3%、市販薬:33.3%、危険ドラッグ:21.4%)(高卒以上の学歴保有率 大麻:62.5%、覚醒剤:40.0%、睡眠薬・抗不安薬:65.3%、市販薬:64.8%、危険ドラッグ 64.3%)
    • 薬物使用に関する診断(ICD-10分類F1下位診断)において、 「有害な使用」(1)に該当する者が比較的多く、「依存症症候群」(F1x.2)に該当する者が比較的少ない (F1x.1/F1x.2該当率 大麻:25.0%/60.9%、覚醒剤:13.3%/71.5%、睡眠薬・抗不安薬:23.9%/76.4%、 市販薬:23.8%/79.0%、危険ドラッグ:21.4%/64.3%)
    • 精神作用物質使用による精神及び行動の障害以外に併存する精神障害の傾向として、統合失調症(F2)と 心理的発達の障害(F8)に該当する者が多い (F2/F8該当率 大麻:12.5%/10.9%、覚醒剤:10.0%/3.8%、睡眠薬・抗不安薬:5.2%/6.4%、市販薬:5.7%/8.6%、 危険ドラッグ:28.6%/7.1%)
  • 薬物事犯者に関する特別調査について(結果)
    • 薬物がその乱用者の身体・精神に与える影響は大きい。我が国においては、いわゆる「ダメ。ゼッタイ。」普及運動等の取組を通じて、国民一人一人の薬物乱用問題に関する認識を高める努力を行っている。しかしながら、近年検挙人員が急増している大麻に代表されるように、インターネット等では、薬物乱用が心身に与える影響を矮小化する言説が流布している。未成年者を含む若年層が、そのような言説を安易に信じ、薬物の影響を誤解して使用を開始している可能性は否定できない。大麻は、ゲートウェイドラッグといわれ、使用者がより効果の強い薬物の使用に移行していくおそれが高い薬物である。特別調査でも、対象者(覚醒剤取締法違反の入所受刑者のうち覚醒剤の自己使用経験がある者)の約半数が大麻使用の経験を有し、そのうちの約半分は、20歳未満で大麻の使用を開始したという結果がある。
▼資料3 薬物使用の疫学:大麻を中心に
  • 大麻経験者数の推計(2019年)推計値:対象者のサンプリング方法(層化二段無作為抽出)に基づき、15~64歳の人口に当てはめた場合に統計的に算出される値。点推計値および95%信頼区間を示した。
    1. 生涯経験者数:約160万人(119~202万人)※これまでの人生で少なくとも1回以上の使用経験がある者。
    2. 過去1年経験者数:約9万人(1.5~17万人)※より現在の乱用状況を反映。国際比較で使われている指標。
  • 18歳以前に大麻を使い始めた人は、成人してから使い始めた人に比べ、薬物依存と診断されるリスクが約5倍~7倍高い
  • 若年期(17歳以前)に大麻を使っていない人が、28~30歳時点で大麻依存症と診断されるリスクを基準(1)とした場合、大麻の使用頻度が上がるにつれ、依存症のリスクが上昇する
  • 大麻に関するエビデンスの情報発信
    1. 大麻に関する信頼性の高いエビデンスを国民(特に健康影響を受けやすい10代)が受け取りやすい表現・デザイン・方法で伝えていく。
      • 例えば、10代の若者、大麻使用者の意見・価値観を取り入れることが重要(当事者性)
      • 例えば、大麻の健康影響ばかりを強調するのではなく、医療分野での活用についても触れるなど
    2. 紙媒体の配布などこれまでの方法ではなく、10代がメッセージをより受け取りやすい方法を検討する(訴求性)
      • 例えば、メディアの種類は、テレビ・ラジオよりもインターネットの方が訴求力があるかもしれない
      • 例えば、10代に影響力のある有名人がSNS上でツイートする、人気Youtuberとコラボするなど
  • 大麻使用者に対する支援の課題(問題提起)
    1. 大麻使用者(事犯者)の薬物依存の重症度、大麻使用の背景にある問題性、再犯との関係性などが十分に研究されていない
    2. 医療機関(病院、保健機関)や司法機関(刑務所、少年院、保護観察所)で実施されている薬物依存関連プログラムの多くは、覚醒剤使用者を想定したものであり、大麻使用者に必ずしもフィットしていない可能性があり、検討が必要。
      • 特に、大麻使用の健康影響を受けやすい未成年者に対する予防・支援を充実させていくことが必要。

~NEW~
厚生労働省 第105回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)
▼資料2:「精神障害者である短時間労働者の雇用に関する実態調査~雇用率算定方法の特例が適用される労働者を中心として~」に係る中間報告
  • 300人未満規模の企業数:300人以上規模の企業数=6:4(2017~2020年)(同期間中、障害のある労働者を雇用する企業全体では、300人未満規模の企業が約8割を占める)。精神障害のある労働者を雇用する企業=障害のある労働者を雇用する全企業の約3割を占める。(2017~2020年)
  • 製造業(6,316件)、医療・福祉(5,588件)、卸売・小売業(3,887件)が6割を占める。2017~2020年にかけて、各産業の占める割合に大きな変化はなし。この傾向は障害のある労働者を雇用する全企業と同様(2017~2020年)
  • 当該企業は、精神障害のある労働者を雇用する企業全体の約2割を占める。特例措置対象者を雇用していない企業と比較すると、特例措置対象者を雇用する企業には、1,000人以上規模の企業の割合が高いという特徴がある(2018~2020年)(特例措置対象者を雇用していない企業の場合、1,000人以上規模の企業は11~13%)
  • 特例措置適用者を雇用する企業=(1)医療・福祉(1,587件)(2)卸売・小売業(1,011件)(3)製造業(707件)(2018-2020年にかけて各産業が占める割合に大きな変化はなし)精神障害のある労働者を雇用する企業全体=(1)製造業、(2)医療・福祉、(3)卸売・小売業。短時間労働者を雇用する企業の約半数は医療・福祉である一方、製造業はフルタイム労働者のみを雇用する企業の割合が高いという背景から、上のような違いが生じると推測される
  • 分析対象=2018年に精神障害のある労働者を雇用していた全事業主(N=21,146)。雇用率が達成されるオッズ(確率)は医療・福祉の事業主が最も高く、2番目が特例措置対象者を雇用する事業主。(労働者数、産業が同様である場合)特例措置対象者を雇用する事業主は、そうでない事業主より雇用率を達成するオッズ(確率)が179%高いこの結果は、(労働者数、産業が同様である場合)特例措置対象者を雇用する事業主はそうでない事業主より雇用率が達成しやすかったことを示している
  • 従業員規模が大きな事業所は、特例措置制度を認識したうえで、積極的に活用する傾向がある。1000人以上の事業所は、8割弱(76.7%)が認識しており、6割(60.0%)が認識したうえで活用していた。45人以下の事業所も半数以上(57.5%)が認識していたが、認識したうえで活用に至ったのは2割に満たなかった(17.8%)。
  • 分析は、無回答を除外したうえで、回答を積極的回答(よく当てはまる+やや当てはまる)・中立的回答(どちらとも言えない)・消極的回答(あまり当てはまらない+全く当てはまらない)の3つに分けて行った。積極的回答が多い項目(A)は、「雇用率達成のしやすさ」「定着の見通しの立てやすさ」「無理のない労働時間」であった。回答が分かれる項目(B)と中立的・消極的回答が多くなる項目(C)がある。
  • 事業所調査のまとめ
    • 雇入れ等にあたって、4割程度の事業所が「特例措置制度を考慮した」と回答した。
    • 特例措置制度活用のメリット・デメリットを聞いたところ、「雇用率達成のしやすさ」「定着の見通しの立てやすさ」「無理のない労働時間」でメリットを感じる事業所が半数を超え、「雇用率達成のしやすさ」では7割を超えた。
    • 約9割の事業所が、今後の精神障害者の雇用について積極的な姿勢を示した。
    • 今後は、従業員規模や産業分類といった事業所の属性による精神障害のある短時間労働者の雇用方略の違いや、各事業所が実施している雇用管理や配慮事項などとの関係を含め分析を深める必要がある。
  • 主な障害の状況は、統合失調症が146人(41.2%)、気分障害(うつ病・そううつ病)が86人(24.3%)発達障害が72人(20.3%)高次脳機能障害が12人(3.4%)てんかんが8人(2.3%)。重複障害があると回答している実人数は91人(25.7%)
  • 入社年齢は、障害の多様さ、中途入職者の多さを反映し、広い年代に分布。入社前に手帳を所持している者は312人(88.1%)。入社3年までの者という要件をみたしている者が大半。入社前に手帳を所持している312人のうち、手帳の取得が入社前1年を超えない者が64人(20.5%)、1年を超える者が248人(79.5%)
  • 勤務する事業所は、特例子会社を含む一般事業主が、252件(71.2%)A型事業所のある事業主が102件(28.8%)。産業分類は、対象者の属している事業主の産業について、2018年障害者雇用状況調査に基づき明らかにした上で、日本産業分類の大分類に従って分類。医療・福祉が172人(48.6%)次いで卸売・小売業が68人(19.2%)製造業が26人(7.3%)。事業所の4分の1がA型事業所のある事業主であることが、医療・福祉を押し上げている要因の一つになっている。
  • 職務と労働時間については「とても満足」「やや満足」を合わせて、それぞれ、297人と274人で、ともに70%を超えているが、賃金については他に比較して204人(57.6%)と低く、「とても満足」が低い傾向が見られた。
  • 働きがいについて、「とても感じる」「やや感じる」を合わせて286人(80.8%)となっている。
  • 就業継続については、「今の職場で働き続けたい」が215人(60.7%)「続けるのは難しい」が25人(7.1%)一方で、「今のところわからない」が96人(27.1%)と将来に対する見通しのつけにくさがうかがえる。
  • 「フルタイムに移行したい」が80人(22.6%)「現状ではフルタイムへの移行は難しい」が118人(33.3%)「短時間勤務をこのまま続けたい」89人(25.1%)と回答が分散し、労働時間を伸ばすことの難しさがうかがえる。

~NEW~
経済産業省 プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が閣議決定されました
▼法律案概要
  • 本日、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が閣議決定されました。本法律案は、現在開会中である、第204回通常国会に提出される予定です。
    • 本法律案の趣旨
      • 海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化等への対応を契機として、国内におけるプラスチック資源循環を一層促進する重要性が高まっています。これを踏まえ、プラスチック使用製品の設計から廃棄物処理に至るまでのライフサイクル全般であらゆる主体におけるプラスチック資源循環の取組を促進するための措置を講じます。
    • 本法律案の概要
      1. プラスチック使用製品設計指針
        • 製造事業者等が製品設計等において努めるべき措置に関する指針を策定するとともに、当該指針に適合する設計を主務大臣が認定し、当該設計に基づき製造されたプラスチック使用製品の調達や使用を促進します。
      2. 特定プラスチック使用製品の使用の合理化
        • 特定プラスチック使用製品(商品販売やサービスの提供に付随して消費者に無償で提供されるプラスチック使用製品)の提供事業者がプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制のために取り組むべき措置に関する判断の基準を策定し、使用の合理化を求める措置を講じます。
      3. 市町村の分別収集・再商品化
        • 容器包装再商品化法の仕組みを活用したプラスチック使用製品廃棄物の再商品化等により、市町村及び再商品化事業者による効率的な再商品化を可能とする仕組みを導入します。
      4. 製造・販売事業者等による自主回収及び再資源化
        • 自ら製造・販売したプラスチック使用製品が使用済となったものについて、製造事業者等の自主回収・再資源化事業計画を国が認定することで廃棄物処理法の規定による許可を受けずに再資源化を実施できる仕組みを構築します。
      5. 排出事業者の排出抑制及び再資源化等
        • 排出事業者が排出の抑制や再資源化等の促進のために取り組むべき判断基準を策定するとともに、排出事業者等の再資源化事業計画を国が認定することで廃棄物処理法の規定による許可を受けずに再資源化を実施できる仕組みを構築します。

~NEW~
経済産業省 「スマートストア実現に向けた電子タグ(RFID)実装へのアプローチ」が策定されました
  • 経済産業省と日本チェーンドラッグストア協会による「ドラッグストアスマート化宣言」に基づく「スマートストア実現に向けた電子タグ(RFID)実装へのアプローチ」が、経済産業省の委託事業「令和2年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(サプライチェーン各層でのRFID導入コスト及び効果検証事業)」の実施状況を踏まえ、同協会により策定されました。
  • 背景・概要
    • 流通業においては、少子高齢化による深刻な人手不足やそれに伴う人件費の高騰、消費者ニーズの多様化が進行してきました。また、消費財のサプライチェーン内には多くの事業者が存在しており、全体最適が図られにくく、食品ロスや返品が発生する一因となっているとも言われています。
    • こうした状況を踏まえ、経済産業省は、平成30年3月に日本チェーンドラッグストア協会(現:一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会)と「ドラッグストアスマート化宣言」(※1)を策定し、RFID等を活用したサプライチェーンの効率化を推進してきました。
    • 令和2年度は、「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(サプライチェーン各層でのRFID導入コスト及び効果検証事業)」(受託事業者:三菱UFJリサーチコンサルティング株式会社)において、同協会と連携しながら、サプライチェーン全体にRFIDを導入した際の製・配・販各層における導入コスト及び効率化の効果を検証・数値化しました。
    • この効果検証を踏まえ、同協会はRFID実装に向けて、「スマートストア実現に向けた電子タグ(RFID)実装へのアプローチ」(※2)を策定しました。
    • 引き続き同協会と連携しながら、RFID等のIoT技術を活用しつつ、サプライチェーンの効率化・生産性向上を目指していきます。
▼スマートストア実現に向けた電子タグ(RFID)実装へのアプローチ(日本チェーンドラッグストア協会ホームページ)

~NEW~
経済産業省 第2回 健康投資ワーキンググループ
▼資料4 事務局説明資料(健康経営拡大に向けたアプローチ)
  • 初回である2014年度の健康経営度調査の時点と比較すると、2020年度の健康経営度調査では企業による社外への情報開示が大きく進展。
  • 投資家との対話においても話題になることが増えている。特にホワイト500においては、健康経営を企業の成長戦略に位置づけるなど、具体的な内容で投資家と個別に対話を行っている。
  • 健康経営の推進にあたっては、従業員への発信により理解を促進することも重要。経年での変化を見ると、トップによる伝達や従業員からの意見聴取等が増加している。
  • 現在、採用市場においては、ハローワーク求人票の自由記載欄で多くの企業が「健康経営」をアピールしている。
  • 厚生労働省では、女性活躍推進法に基づき各企業が策定した行動計画や自社の女性の活躍に関する状況について公表する場として、2016年2月に「女性の活躍推進企業データベース」を開設。2021年2月末現在、13,000を超える企業がデータベースに情報を登録。
  • 健康経営度調査に回答した企業に対して結果サマリー(フィードバックシート)を送付。各社が今後の健康経営を改善する際に参考となるよう細分化し、また経年変化が分かるような内容としている。
  • 健康経営度調査票のうち開示する項目は、例えば(1)経営層のコミットメント、(2)健康経営の推進に関する全体的な効果検証、(3)健康課題に対する今後の対応方針としてはどうか。
  • 健康経営に係る情報開示は、取組状況やパフォーマンスを単に比較可能なデータとして公表するだけでなく、各社の経営戦略のストーリーに健康経営を位置付け、健康経営を通じてどのような経営課題を解決したいのかを語ることがより重要。経済産業省によるデータセットの開示だけでは、経営戦略のストーリーまで読み取ることができないため、企業による積極的な開示が必要。
  • 一部の企業においては、健康経営の個別施策の効果について、プレゼンティーイズムやワークエンゲイジメントの改善等に関する分析を行い、外部に発信している。
  • 健康経営に取り組むことにより、従業員の健康増進・モチベーション向上等を通じて、業務パフォーマンスや企業全体の業績の向上につながっていくことが重要。業務パフォーマンスについては、各社で様々な効果検証を行っていても開示には至っていないケースが多い。比較可能な指標での開示を促していってはどうか。
  • 健康経営と、従業員の業務パフォーマンスについての分析が発信されることで、健康経営の価値が様々なステークホルダーに伝わり評価されていくことが重要。
  • 健康経営のパフォーマンスについて、現状、他社との比較可能な共通指標が確立していない。今後、情報開示が進展し、開示情報を利用するステークホルダーの分析が進む中で、定まってくることが期待される。
  • 企業等における健康経営の取組をさらに促進することを目的に、「健康投資管理会計 実践ハンドブック」を作成し、2021年3月末に公開する予定。ハンドブックでは、健康投資管理会計ガイドラインに沿って管理会計を作成する際の、具体的な留意点等をQ&A形式で解説。
  • 健康経営優良法人認定制度は、他の労働・人材・ダイバーシティ関係の企業認定制度と比較すると、認定件数が多い。
  • 健康経営優良法人認定制度について、2022年度以降に次のような再構築を検討してはどうか。
    1. 健康経営優良法人(大規模法人部門)
      • 現行の健康経営度調査に基づく評価の仕組みを維持。
      • ホワイト500の申請を希望する企業については、開示を強化するとともに、(○×評価ではなく)自由記述に基づく評価を増やす(各企業の健康経営施策の実施の「数」ではなく、「質」を評価できるように)。
      • 併せて、調査票全体の簡略化を通じて、ホワイト500の申請を行わない企業の回答負担軽減にも取り組む。
    2. 健康経営優良法人(中小規模法人部門)
      • 現行の申請の内容・手続きを継承する形で、民間団体が審査・認定を実施(実施主体となる業界団体や中小企業団体等については、中立性や審査体制などをチェックした上で国が認定)。
      • 引き続き「健康経営優良法人」ロゴを使用。ブライト500も維持(各団体で審査した上位案件を国・日本健康会議で集計・認定)。
      • 実施主体としての業界団体が、業界単位での健康経営の普及をリードすることが期待できる。(ブライト500を目指さない企業については、より簡素な申請・認定にすることもオプション)
      • また、実施主体が一定の要件を満たす民間企業(例えば銀行や保険会社)をパートナーと認定することで、こうした民間企業による事業活動を通じた中小企業への健康経営の働きかけが期待できる。
  • 健康経営度調査における「取引先の考慮」の設問への回答について、2014年度においては全回答企業のうち6割以上が「特に考慮・把握していない」を選択していたが、2020年度においては健康経営の実施状況や認定取得状況を把握する企業が増加している。
  • 自治体における、健康経営や健康づくりに取り組む企業等の認定・表彰制度等を調査したところ、件数が増加している状況があることから、引き続き国からの情報提供を通じてこうした取組を促進していく。
  • 従業員の健康増進に係る企業の取組に対し、インセンティブを付与する自治体、金融機関等が増加している。企業自らによる健康経営のパフォーマンスの発信のほか、経済産業省による各種情報発信により、こうした取組が自発的に拡大していくことを後押しする。
  • 健康経営の拡大に向けた論点(今回の論点提示)
    1. 情報開示の促進
      • 回答企業の情報開示が大きく進展していることを踏まえ、女性活躍DBに倣い、経済産業省HPでの公表を検討してはどうか。
      • 具体的には、来年度調査から、フィードバックシート等の開示をホワイト500認定の要件としてはどうか。
      • 試行的に本年度のホワイト500企業に、フィードバックシートの開示意思を確認してはどうか。
    2. パフォーマンスの評価・分析
      • 健康経営の取組を通じて、従業員の健康増進・モチベーション向上等を通じて、企業業績・企業価値の向上につなげることが重要。
      • そのためのPDCAに取り組む企業が増加しており、この流れを後押しするため、パフォーマンス指標を今後整理していってはどうか。
    3. 持続的な発展(優良法人制度の再構築)
      • 健康経営への取組を更に拡大するため、民間団体による健康経営優良法人の審査・認定を可能とする仕組みを構築してはどうか。
      • パートナーとしての民間企業による健康経営の働きかけを可能とする仕組みとしてはどうか。

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国土交通省 西武建設(株)、西武造園(株)による技術検定の実務経験不備について
  • 西武建設(株)、西武造園(株)及びその子会社(※)において、社員の一部が建設業法に基づく施工管理技士の資格を不正に取得していた疑義が内部調査により発覚した事案について、令和2年6月12日に、国土交通省より、資格の不正取得者の特定、不正取得者が技術者として配置された工事物件の所有者等に対する丁寧な説明、物件調査の迅速な実施及び報告、原因の究明及び再発防止策の検討について、第三者の有識者の参画を得て実施し、改めて報告するよう指示しておりましたところ、本日、下記の報告がありました。
    1. 第三者委員会報告書の概要
      • 社員82名が所定の実務経験を充足せずに技術検定を受検し施工管理技士の資格を取得していた。
        • 西武建設(株):42名 技術系職員 17名、事務系職員 25名
        • 西武造園(株)等:40名 技術系職員 33名、事務系職員 7名
      • 不正取得であったため資格要件を満たさない社員を、監理技術者として3件の工事に配置していた。また、営業所専任技術者として6営業所に配置していた。
      • 西武建設(株)においては2002年から2008年の間に、経営事項審査の評点へのこだわり等を背景に、会社が事務系職員に対して資格取得を指示、推奨していた。
      • 該当する社員が配置技術者となった工事の品質の確認について、第三者評価機関による調査を実施し、品質に問題がないことを確認した。
      • 第三者委員会報告書については、同社ホームページを参照してください。
    2. 国土交通省における対応
      1. 西武建設(株)、西武造園(株)への指示
        • 今回のような事態を招いたことを真摯に受け止め、再発防止策を速やかに実行に移すとともに、二度とこのような事態を起こさないよう強く求めました。
      2. 合格の取消、受検禁止措置及び監督処分
        • 不正の手段によって技術検定を受け合格した事実が明らかとなった合格者に対して、建設業法施行令(昭和31年政令第273号)第40条の規定に基づき、当該合格の取消、3年以内の期間を定めて技術検定の受検を禁止する手続きを行います。また、同社に対する監督処分について厳正に対処してまいります。さらに、監督処分にあわせて直轄工事等の指名停止についても厳正に対処してまいります。
      3. 再発防止対策の実施
        • 「技術検定不正受検防止対策検討会」提言(令和2年11月10日)を踏まえ、実務経験の確認方法の改善、虚偽申請の抑止等にかかる再発防止に向けた取り組みを継続して進めてまいります。

~NEW~
国土交通省 航空法等の一部を改正する法律案を閣議決定~航空ネットワークの確保と航空保安対策、ドローンの更なる利活用を推進!~
▼概要
  • 本日、[1]コロナ禍のような航空運送事業に甚大な影響を及ぼす事態下における航空ネットワークの確保、[2]保安検査の受検義務付けなど航空保安対策の確実な実施、[3]ドローンなどの無人航空機の「有人地帯上空での補助者なし目視外飛行」(レベル4飛行)を実現するための制度整備等を主な内容とする「航空法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
  • 本法律案は大きく3つの改正内容からなり、それぞれの背景及び概要は次のとおりです。
    1. 航空ネットワーク確保のための航空運送事業基盤強化方針の策定等
      • 背景
        • コロナ禍により航空会社や空港会社は甚大な影響が長期化しており、安全で安定的な航空ネットワークを維持・確保していくためには、国と航空会社等が連携をとって航空運送事業の基盤強化を図っていくことが必要。
      • 改正概要
        • 世界的規模の感染症の流行等により航空運送事業に甚大な影響が発生し、航空ネットワークの確保に支障を来すおそれがあると認められる場合、国土交通大臣は、利用者利便の確保等の観点から、「航空運送事業基盤強化方針」を策定し、航空会社等への支援を実施。
        • 航空会社は、同方針に沿って、「航空運送事業基盤強化計画」を策定し、実施状況を定期的に国へ報告。
        • 特に、令和3年度に行う予定の大規模な空港使用料の減免についても、同方針に盛り込み、航空会社から設備投資の実施状況を国へ報告。
    2. 保安検査の受検義務付けなど航空保安対策の確実な実施
      1. 背景
        • 航空機への搭乗前に行われている保安検査や預入手荷物検査について、現在、法的な位置付けが明確でない。
        • 検査の確実な実施等のため関係者の連携強化や国のリーダーシップの強化が急務。
        • コロナ禍からの航空需要の回復や将来の増大、国際的なイベントの実施等を見据え、保安検査の現場における量的質的向上が急務。
      2. 改正概要
        • 航空保安対策を強化するため、旅客等に対し保安検査や預入手荷物検査の受検を法律上義務付けるとともに、保安職員が職務遂行のための指示を出す権限を明確化。
        • ハイジャックやテロ等を防止するため、国土交通大臣が「危害行為防止基本方針」を策定し、航空会社、空港会社等の関係者の役割の明確化や連携強化を図り、国が航空保安対策全体をマネジメント。
      3. 無人航空機のレベル4飛行の実現等
        • 背景
          • ドローンなどの無人航空機に関し、2022年度を目途に、「有人地帯上空での補助者なし目視外飛行」、いわゆる「レベル4飛行」を実現することが政府目標となっており、都市部上空での荷物輸送など無人航空機の更なる利活用が期待されている。
        • 改正概要
          • 無人航空機の飛行の安全を厳格に担保するため、国土交通大臣が機体の安全性を認証する制度(機体認証制度)及び操縦者の技能を証明する制度(技能証明制度)を創設。
          • 技能証明を有する者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合、国の許可・承認を受けた上でレベル4飛行を可能とするとともに、これまで国の許可・承認を必要としていた飛行について手続きを合理化。
          • 無人航空機を飛行させる者に対し、事故(人の死傷、物件の損壊、航空機との衝突・接触等)発生時の国への報告を義務付けるとともに、運輸安全委員会が調査対象とする航空事故に無人航空機に係る事故のうち重大なものを追加。

~NEW~
国土交通省 「保安検査に関する有識者会議」に係る中間とりまとめを公表
▼保安検査に関する有識者会議中間とりまとめ(概要)
  • 国土交通省は、今後の航空需要の回復、将来の航空需要の増大や国際的なイベントの実施等を見据え、有識者や実務者からなる「保安検査に関する有識者会議」において、航空保安の向上に関する検討を進め、この度、中間取りまとめを行いました。
  • 保安検査は、航空機の乗客乗員の安全を確保する上で必要不可欠なものですが、持込制限品の未検出事案等のトラブルの発生や、その背景として、保安検査に対する旅客の認識不足、検査員の人手不足、契約手続きに関する複雑な業界構造等の多くの課題が存在しています。
  • これらの課題の解決のため、国土交通省航空局では、航空分野、セキュリティ分野、法律分野、利用者分野、労働者分野に関する有識者や、航空会社、空港会社、検査会社等の実務者からなる「保安検査に関する有識者会議」を開催し、保安検査に関する制度的な見直しを含めた方策について検討を重ねてきました。
  • この度、第5回保安検査に関する有識者会議を書面による持ち回りにて開催し、これまで議論してきた(1)保安検査の位置付け、(2)保安検査の役割分担・連携、(3)保安検査の量的・質的向上等の3つの論点に関する課題解決に向けた方策について中間取りまとめを行いました。
  • 中間とりまとめにおける課題解決の主な方向性
    • 保安検査の位置付け
      • 保安検査の法律上の根拠の明確化(旅客等に対し保安検査の受検を義務付け(未受検の場合には罰則)、預入手荷物検査の義務付け)
      • 保安関係職員に対する業務妨害への対応の検討
    • 保安検査の役割分担・連携
      • 国はハイジャック・テロ等の防止に関する「基本方針」を策定(国の役割の明確化(主体的に全体をマネジメント、課題の検討・関係者との調整を主導)、航空会社、空港会社等関係者の役割の明確化、連携、保安検査等の実施体制強化、検査能力向上 等 )
      • 関係者の役割分担、連携強化について継続的に検討
    • 保安検査の量的・質的向上等
      • 国による検査会社への指導・監督の強化
      • 更なる先進機器の導入推進や検査員の労働環境の改善(財源の充実を含む必要な対応策を継続的に検討)

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