危機管理トピックス
サイバー空間を巡る脅威に対応するため喫緊に取り組むべき事項/特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等/景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組
更新日:2025年6月2日 新着26記事

【新着トピックス】
【もくじ】―――――――――――――――――――――――――
- 財務省東北財務局 いわき信用組合に対する行政処分について
- 内閣官房 令和7年版 水循環白書
- サイバーセキュリティ戦略本部 第43回会合(令和7年5月29日)
- 首相官邸 農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議(第22回)
- 農林水産省 令和6年度 食料・農業・農村白書(令和7年5月30日公表)
- 消費者庁 「令和6年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組」の公表について
- 厚生労働省 令和6年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します~暑さ指数(WBGT)の把握、労働衛生教育の実施、発症時・緊急時の措置を徹底~
- 総務省 デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会 デジタル空間における情報流通に係る制度ワーキンググループ(第9回)配付資料
- 観光庁 「令和6年度観光の状況 令和7年度観光施策」(観光白書)について
金融庁
- オンラインカジノは、あなたの身を滅ぼします
- 証券監督者国際機構(IOSCO)による最終報告書「オンライン模倣取引慣行:コピー取引、ミラー取引、ソーシャル取引」の公表について
- 証券監督者国際機構(IOSCO)による「オンラインハーム対応とプラットフォーム事業者の役割に関するステートメント」の公表について
- 「貸金業利用者に関する調査・研究」調査結果の公表について
- 「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第30回)議事次第
警察庁
- サポート詐欺被疑者の検挙に関するインド共和国との共同捜査について
- 特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等(令和6年・確定値)について(広報資料)
内閣府
- 孤独・孤立対策に関する施策の推進を図るための重点計画(孤独・孤立対策重点計画)
- 第6回経済財政諮問会議
国民生活センター
- 18歳・19歳の消費生活相談の状況-2024年度-
- 高齢者サポートサービスの契約トラブルに注意
経済産業省
- 2025年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)
- 「経済安全保障に関する産業・技術基盤強化アクションプラン再改訂版」を公表しました
- 価値創造経営小委員会の中間報告を公表します
国土交通省
- 令和7年版「首都圏白書」をとりまとめました(令和6年度首都圏整備に関する年次報告)
- 「令和6年度交通の動向」及び「令和7年度交通施策」(交通政策白書)について
- 6月は、「不正改造車を排除する運動」の強化月間です!~車の不正改造は、事故や環境悪化を引き起こす犯罪です~
~NEW~
財務省東北財務局 いわき信用組合に対する行政処分について
- 東北財務局は、本日、いわき信用組合(本店:福島県いわき市)に対し、協同組合による金融事業に関する法律(昭和24年法律第183号)第6条第1項において準用する銀行法(昭和56年法律第59号)第26条第1項の規定に基づき、下記のとおり業務改善命令を発出した。
- 業務改善命令の内容
- 健全かつ適切な業務運営を確保し、組合員等の信頼を回復するため、以下の観点から、経営管理態勢・法令等遵守態勢等を確立・強化すること。
- 一連の不祥事件の発生、経営陣による長期に亘る隠蔽及び当局への事実と異なる報告に関する経営責任の明確化(責任追及を含む)
- 理事会及び監事による経営監視・牽制が適切に機能する経営管理態勢の確立(第三者により検証する態勢の整備を含む)
- 全組合的な法令等遵守態勢の確立(コンプライアンス意識が欠如した企業風土の改善を含む役職員の法令等遵守意識の醸成・徹底)
- 内部管理態勢の確立(融資管理態勢の確立、厳正な事務処理の徹底及び相互牽制態勢の確立)
- 内部監査態勢の改善・強化による監査機能の実効性の確保
- 公的資金の活用に係る特定震災特例経営強化計画について上記1を踏まえて見直すこと。
- 承諾を得ずに開設された口座の名義人などに対する丁寧な説明を行うこと。
- 一連の不祥事件について、第三者委員会の調査報告書を踏まえつつ、更なる事実関係の精査及び真相究明を徹底して行うこと。
- 上記1、3及び4に係る業務改善計画並びに上記2に係る見直し後の特定震災特例経営強化計画を令和7年6月30日(月曜日)までに提出し、直ちに実行すること(計画に修正があった場合は都度提出すること)。
- 上記5の改善計画について、当該計画の実施完了までの間、3か月毎の進捗及び改善状況を翌月末までに報告すること(初回報告基準日を令和7年9月末とする)。
- 健全かつ適切な業務運営を確保し、組合員等の信頼を回復するため、以下の観点から、経営管理態勢・法令等遵守態勢等を確立・強化すること。
- 処分の理由
- 一連の不祥事件について、協同組合による金融事業に関する法律第6条第1項において準用する銀行法第24条第1項の規定に基づき求めた報告を検証したところ、経営管理態勢・法令等遵守態勢等について、以下のような重大な問題点が認められたため。
- 一連の不祥事件の発生、経営陣による長期に亘る隠蔽及び当局への事実と異なる報告
- 前会長を始めとする旧経営陣が、業況不芳の大口与信先に大口信用供与等規制を逃れて信用供与を続け、ランクダウンを回避することを企図し、事業実態のない企業を通じた迂回融資や必ずしも名義人の承諾を得ずに開設した複数の口座を通じた融資(以下、「不正融資」という。)を実行した。さらに、その発覚を免れるため、現役員を含め、秘密裏にこれらの融資の管理を行う役員を歴代引き継ぎ、自己査定抽出基準に抵触しないように不正融資実行金額を設定するなどして、長期間に亘り隠蔽を続けてきた。
- 元職員による多額の横領事件について、前会長を始めとする旧経営陣は、元職員への懲戒処分等を行わないまま通常どおり勤務させるなど不祥事件の発生を抑止するために必要な対応をとらず、その結果、元職員による更なる横領事件を招いた。さらに、前会長を始めとする旧経営陣は、横領による損失を不正融資等により補填し、こうした事実を長期に亘り隠蔽していた。
- 元職員による現金の横領事件について、前会長は支店長から不祥事件が発生した事実が本部に報告され、その事実を認識していたにも関わらず、当該事実を隠蔽していた。
- 当組合は、経営陣による長期に亘る不祥事件の隠蔽が発覚したことを深く反省し、第三者委員会を設置した上で厳正に対処するとしているものの、事実や法令等遵守よりも上意下達を絶対としてきた当組合の企業風土を背景に、前会長を始めとする旧経営陣及び一部の現理事が結託して、組合の現金の流用によって横領による損失を補填した事実を隠蔽し、意図的に当局に報告していなかったほか、実際には実施していない余罪調査を実施したものとして事実と異なる報告を当局に行った。
- 経営管理態勢の不備
- 長期に亘り理事長・会長を務めてきた前会長が、理事の人選及び任命の専権を有しているなど、組合内で絶対的な存在となっていた。
- このため、理事会は、経営に対する監督機能を発揮すべきところ、前会長に異議を唱えることが出来ていないほか、監事においても業務執行に関して警鐘を発しておらず、経営の監視や牽制機能が発揮されていないなど、およそガバナンスが機能していない。
- 法令等遵守態勢の不備
- 事実や法令等遵守よりも上意下達を絶対としてきた当組合の企業風土を背景に、事実と異なる余罪調査の状況を当局に報告するなど、コンプライアンス意識が組織全体で欠如している。
- コンプライアンス委員会においても、事務的な報告が中心となっており、コンプライアンス意識を改善するなどといった議論が出来ていないほか、本来は組織全体の法令等遵守の模範となるべき経営陣がコンプライアンス意識を欠き、職員への啓蒙活動も不十分であるため、組織全体に遵法精神が根付いていない。
- 内部管理態勢の不備
- 支店長・融資担当者は、経営陣の指示を無批判に受け入れ、不正融資の実行に際して必要な印鑑証明書の添付を省略するなど、規程違反の事務処理を平然と行っている。
- また、管理職ではない元職員単独による不正融資の実行に際しても、正規の手続きによらない融資実行であったにもかかわらず、検証者や管理職において、融資決裁から実行に至るいずれの過程においても不正を看過しているなど、内部牽制が形骸化している。
- このように、厳正な事務処理の徹底に向けた相互牽制態勢が確立されていない。
- 内部監査態勢の不備
- 監査部は、今回の不祥事件の手口となった融資事務に関して、監査の対象から除外しているほか、本来は抜き打ちで実施すべき扱いに反し、毎年、同時期に同店舗を監査しているがために、実態として予告に近い形となっているなど、監査機能が全く発揮されていない。
- 一連の不祥事件の発生、経営陣による長期に亘る隠蔽及び当局への事実と異なる報告
- 一連の不祥事件について、協同組合による金融事業に関する法律第6条第1項において準用する銀行法第24条第1項の規定に基づき求めた報告を検証したところ、経営管理態勢・法令等遵守態勢等について、以下のような重大な問題点が認められたため。
~NEW~
内閣官房 令和7年版 水循環白書
▼ 概要
- 特集 水循環施策の今後の展望 ~新たな「水循環基本計画」の閣議決定について~
- 代替性・多重性等による安定した水供給の確保
- 水インフラの耐震化、早期復旧を実現する災害復旧手法の構築 持続可能な上下水道への再構築
- 非常時における地下水等の代替水源としての有効活用
- 災害対応上有効と認められる新技術の活用推進
- 施設等再編や官民連携による上下水道一体での最適で
- 地域の実情を踏まえた広域化や分散型システムの検討
- 上下水道一体のウォーターPPPを始めとした官民連携やDX導入等による事業の効率化・高度化を図ることで基盤強化を推進
- 2050年カーボンニュートラル等に向けた地球温暖化対策の推進
- 流域一体でのカーボンニュートラルに向けた取組の推進
- 官民連携による水力発電の最大化、上下水道施設等施設配置の最適化による省エネルギー化
- 渇水対策や治水対策などの適応策の推進
- 健全な水循環に向けた流域総合水管理の展開
- あらゆる関係者による、AIやデジタル技術などを活用した流域総合水管理を、各流域の特性を踏まえつつ、全国へ展開
- 地方公共団体等における流域総合水管理を踏まえた流域水循環計画策定の推進
- 代替性・多重性等による安定した水供給の確保
- 流域連携の推進等-流域の総合的かつ一体的な管理の枠組み-
- 流域マネジメントの基本方針等を定める「流域水循環計画」は全国で84計画まで増加。
- 地方公共団体等からの依頼に基づき、有識者を派遣して流域水循環計画の作成等に関して助言等を行う水循環アドバイザー制度において、令和6年度は14の地方公共団体への支援を実施。
- 地下水の適正な保全及び利用
- 令和6年能登半島地震では水道施設が被災し水の確保が課題となる一方、被災地では地下水等の代替水源が活用され、重要性を再認識。
- 「地下水データベース」の運用及び普及を推進するとともに、令和6年能登半島地震における経験も踏まえ、防災井戸等の防災情報等を追加するなど、内容を充実。
- 「災害時における地下水等活用推進に向けた有識者会議」を開催し、令和7年3月に「災害時地下水利用ガイドライン~災害用井戸・湧水の活用に向けて~」を策定。地方公共団体向け説明会も開催。
- 貯留・涵養機能の維持及び向上
- 森林、河川、農地、都市等における水の貯留・涵養機能の維持及び向上を推進。
- グリーンインフラに取り組む経済的なメリット等を示した「グリーンインフラの事業・投資のすゝめ」を令和6年9月に公表するなど、貯留・涵養機能の維持及び向上に資する取組を推進。
- 水の適正かつ有効な利用の促進等(安全で良質な水の確保等)
- PFOS、PFOA等について、内閣府食品安全委員会における食品健康影響評価等を踏まえた水道水の暫定目標値の取扱いの検討、健康影響等に関する調査・研究等を推進。
- 水道事業者等に対し、水道水におけるPFOS及びPFOAについて、水質基準に準じた検査等の実施に努めるよう要請。
- 水道水においてPFOS及びPFOAが暫定目標値を超えて検出された場合等に水道事業者等が取ったこれまでの対応事例について「水道事業者等によるこれまでのPFOS及びPFOA対応事例について」として公表するとともに、水道事業者等において濃度低減化措置等の適切な対応を講ずるよう要請。
- 健全な水循環に関する教育・人材育成の推進等
- 小学校向け学習教材に加え、中学校での活用を念頭に、副読本等の学習教材を作成し、教育現場での水循環に関する教育を推進
- さらに、水循環に関する普及啓発を目的とするパネル・映像展示セット「めぐる水を考えよう!」による巡回展示に取り組み、令和6年度は15か所で実施。
- 水循環に関する普及啓発活動の推進
- 水循環基本法では、8月1日を「水の日」として定め、令和6年度は、地方公共団体等の協力の下に、「水を考えるつどい」、全日本中学生水の作文コンクール、水資源功績者表彰などのほか「水の日」にふさわしい事業を304件実施。
- 全国の施設を「水」を連想させる青色の光で彩る「ブルーライトアップ」の取組に、令和6年度は171施設が参加。
- 民間団体等の自発的な活動を促進するための措置
- 企業による水循環に資する取組の更なる促進を図るため、令和6年7月に「水循環企業登録・認証制度」を創設。
- 令和6年10月には健全な水循環に資する取組を積極的に実施している89社を「水循環ACTIVE企業」として認証、取組に関心のある10社を「水循環CHALLENGE企業」として登録。
- 令和7年1月には登録・認証した企業等を対象に「水循環企業連携フェア」を、約330名参加の下、開催。
- 水循環施策の策定及び実施に必要な調査の実施
- 日本の気候変動に関する観測結果や将来予測における最新の情報を取りまとめた「日本の気候変動2025―大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書―」を令和7年3月に公表。
- 本報告書では、極端な気象現象(100年に1回の極端な大雨等)の頻度や強度の将来予測に関する情報等を新たに提供。
- 科学技術の振興
- 水に関する様々な側面からの科学的な知見を不断に獲得していくことが必要不可欠であり、流域の水循環、地下水、雨水、気候変動に係る調査研究などを実施。
- 強靱で持続可能な上下水道システムの構築を図るため、分散型システムやダウンサイジング可能な技術の実証事業を推進。
~NEW~
サイバーセキュリティ戦略本部 第43回会合(令和7年5月29日)
▼ サイバー空間を巡る脅威に対応するため喫緊に取り組むべき事項
- サイバーセキュリティに係る新たな司令塔機能の確立
- 内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、「国家安全保障戦略」において、サイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する新たな組織(以下「新組織」)に発展的に改組することとされているところ、サイバーセキュリティ基本法等に基づくサイバーセキュリティの確保に係る総合調整も含め、その役割を拡充し、我が国のサイバーセキュリティに係る官民の対応力を結集し、主導する司令塔の役割を担うこととなる。
- 近年、大きな脅威となっている、国や重要インフラ等に対するサイバー攻撃キャンペーンに対しては、安全保障上の影響度を考慮しつつ、サイバー脅威に関する全ての利用可能な情報による付加価値の高い分析を行うとともに、攻撃に関する技術・背景情報等に係る同盟国・同志国等との情報協力や攻撃者の特定等の国際連携、及び官民双方向の情報共有等の官民連携を強力に進め、悪用された脆弱性や攻撃手法に係る迅速かつ効果的な情報提供・注意喚起等、被害の未然防止・拡大防止を含めた対応を行うとともに、将来の脅威に備える必要がある。
- このため、政府の司令塔として対応を主導する新組織を中心に、関係府省庁や公的関係機関(国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)等)、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)、一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3)等の民間団体、民間事業者等が連携し、AI等の先端技術の活用を含め、高度な情報収集・分析能力を担う体制・基盤・人材等を総合的に整備する。
- 巧妙化・高度化するサイバー攻撃に対する官民の対策・連携強化
- 新たな官民連携エコシステムの実現
- サイバー攻撃の巧妙化・高度化や、社会全体へのDXの浸透により、官のみ・民のみでサイバーセキュリティを確保することは極めて困難であり、官民が各々で保有する情報を、双方向かつ迅速に共有し、連携することが不可欠であるところ、既存の枠組みも踏まえつつ、新たな官民連携のエコシステムの実現を図る必要がある。
- その求心力となる官民双方向の情報共有を推進するため、新組織を中心に官民連携基盤の整備を進め、機微度等に応じセキュリティ・クリアランス制度を踏まえ、適切な情報保全・管理に基づき、提供先・内容・目的等に応じて、関係機関等と連携し、情報共有の起点となる、政府から有益な情報を積極的に提供するとともに、インシデントに係る各種報告について、民間の負担を軽減するため、ランサムウェア攻撃等の類型から、順次、様式の統一を実施し、報告先の一元化についても、必要な制度改正等を行う。
- また、官民連携の前提となる認識共有・信頼関係の醸成を図るため、サイバー脅威の動向や対応の方向性等につき、個別毎や分野横断的に、実務者層からマネジメント層まで、平素より複層的に官民間での対話を継続的に実施するほか、関係機関等との連携による対処支援・相談等に係る機能の提供や、民間における対策強化に向けたリスクアセスメントの実施支援など、2025年日本国際博覧会等の大規模国際イベントにおける官民連携の成果等を活かした取組についても、新たな官民連携のエコシステムの要素として発展的に実施していく。
- 政府機関等のセキュリティ対策水準の一層の向上及び実効性の確保
- 我が国の国民生活及び経済活動の基盤全体の水準の向上を図る観点から、先ずは政府機関等のセキュリティ対策水準の一層の向上を進め、重要インフラ等の対策水準の向上を主導する必要がある。
- 新組織は、公的部門等が同対策について範となるよう、政府機関等の横断的な監視体制について、政府全体のシステム整備やデータ活用の方針等を踏まえ、関連技術の実証も含め、公的関係機関(NICT及びIPA)と連携し、強化・高度化を進める。加えて、新たな評価手法の導入による監査の高度化・重点化を進め、その結果を踏まえた注意喚起・是正要求及び必要に応じた基準等の見直しを行うことにより、セキュリティ対策水準の向上及び実効性の確保を図る。
- また、政府機関等において、より実効性のあるセキュリティ確保に向け、IoT製品に関するセキュリティ要件適合評価制度9を調達の選定基準に含める。
- 地方公共団体・医療機関等のセキュリティ対策向上
- 重要インフラ等のうち、地方公共団体については、来年度より、地方自治法に基づき、サイバーセキュリティを確保するための方針の策定が義務付けられるところ、当該方針に基づく対策を着実に推進するため、単独での対策が困難な小規模自治体も念頭に、自治体情報セキュリティクラウドの推進や、デジタル人材の確保・育成に対する支援等を実施するとともに、地方公共団体のサイバーセキュリティ対策の強化のための更なる取組を進める。
- また、医療機関等については、インシデント発生による診療等への影響を最小限とするため、ガイドラインに係る周知啓発や、復旧に向けた初動対応支援等を実施するとともに、攻撃の侵入経路となり得る外部ネットワーク接続点の管理支援を進める。
- 政府機関・重要インフラ等を通じた横断的な対策の強化
- サイバー攻撃による影響は、サイバー空間内にとどまらず、官民・分野の境界を越えて、横断的に影響が波及する事態が想定されるところ、政府機関・重要インフラ等を通じ、横断的に対策の強化を図る必要がある。
- このため、政府機関・重要インフラ等について、高度な侵入・潜伏能力を備えた攻撃を検知するため、システムの状況から侵害の痕跡を探索する「脅威ハンティング」の実施拡大に向けた支援を行っているが、令和8年夏を目処に官民の行動計画の基本方針を定め、支援の加速を図る。
- また、インシデント対処等における実践的対応力を強化するため、対処において必要となる資機材の充実強化を推進し、国際連携も考慮しつつ、初動対処や情報共有等の目的や規模に応じた演習を体系的に実施するとともに、その有効性についても適宜検証を行う。加えて、対処を担う要員について、公的関係機関(NICT及びIPA)による演習プログラムの強化・活用等により、能力構築を進める。
- その上で、技術・脅威の動向、国民生活への影響や、基幹インフラ制度等との整合性や政府機関等に共通的に必要とされる対策を勘案しつつ、分野毎の特性を踏まえ、重要インフラ事業者等が分野横断的に実施すべき対策に係る国の施策について検討を進め、令和8年度に新たな基準を策定する。
- セキュアバイデザイン・セキュアバイデフォルト原則の実装推進
- 社会全体へのDXの浸透により、あらゆる場面で導入・利用されるソフトウェアやIoT製品のセキュリティ確保につき、ユーザ企業等による対応には限界があることから、セキュアバイデザイン・セキュアバイデフォルト原則に基づき、製品ベンダ等によるサイバーセキュリティ確保を強化する必要がある。
- このことから、国際的な動向等にも留意しつつ、IoT製品等のセキュリティ対策等の達成状況を可視化する取組17、ソフトウェアの透明性確保と安全なソフトウェア開発実践に関する取組、及び一定の社会インフラの機能としてソフトウェアの開発・供給・運用を行っている事業者について、顧客との関係で果たすべき責務等を策定する取組を推進し、普及・浸透を図る。
- 中小企業を含めたサプライチェーン全体のレジリエンス強化
- サプライチェーンの一部に対するサイバー攻撃が、全体に影響を及ぼしうる状況を踏まえ、中小企業等を含めたサプライチェーン全体のレジリエンス強化に向けて、対応力に応じたセキュリティ対策の実装拡大を図る必要がある。
- このため、サイバーセキュリティ対策に係る意識向上に向けて、民間団体・ボランティアや金融機関等と協力し、基本的なサイバーセキュリティ対策等に係る情報・ノウハウ・支援等について、効果的な周知啓発を進める。
- また、リスクに応じた対策水準の提示や、対策サービスパッケージの提供、専門家への相談等の中小企業向けの支援を推進するとともに、取引先への対策の支援・要請に係る関係法令の適用関係の明確化に向けて、今年度中に事例を公表することを目指す。
- 新たな官民連携エコシステムの実現
- サイバーセキュリティを支える人的・技術的基盤の強化)
- 官民を通じたサイバーセキュリティ人材の確保・育成
- 様々な領域において、マネジメントから実務まで、サイバーセキュリティに関して求められる役割・スキルが多様化しているところ、それを担う人材の育成・確保が、官民を通じて急務となっている。
- サイバー攻撃対応を担う関係政府機関等における高度人材の確保に向けて、積極的な民間人材の活用や、高度人材の育成のため高度演習環境の構築を進める。また、新組織においては、民間人材を受け入れ、業務や研修等を通じ、官民で知識・ノウハウの共有を図る枠組みを構築する。
- さらに、我が国全体として効率的・効果的にサイバーセキュリティ人材の育成・確保を図る観点から、官民を通じ、処遇等を含めた実態把握や、キャリアパス設計等を進めるため、求められる役割・スキル等を整理した官民共通の「人材フレームワーク」策定に向けた議論を開始し、年度内に結論を得る。
- また、我が国のサイバーセキュリティ人材の底上げに向け、初等中等教育段階におけるセキュリティ教育や、高等教育機関向け「モデルカリキュラム」におけるサイバーセキュリティに関する内容の充実を図るとともに、若年層を中心に、国際的に通用する高度人材を育成・発掘するため、公的関係機関(NICT及びIPA)や民間団体における取組を推進するとともに、国際的なセキュリティ技術競技会の国内開催等、我が国のプレゼンス向上にもつながる場の提供を行う。
- 我が国の対応能力を支える技術・産業育成及び先進技術への対応
- サイバーセキュリティ産業振興戦略等を踏まえ、脅威に関する情報収集・分析に不可欠であり、我が国の対応能力の基礎となるサイバーセキュリティ関連技術について、官のニーズを踏まえた研究開発・開発支援・実証の実施・拡充及びそれらを通じた技術情報(マルウェア、脆弱性、管理ログ等の一次データ)等の提供や、マッチングやスタートアップ支援等を通じた政府機関等による積極的な活用等により、国内産業の育成及び早期の社会実装を推進し、官民双方の分析力・開発力を向上させ、国産技術を核とした、新たな技術・サービスを生み出すエコシステムの形成を図る。
- AI・量子技術等の先端技術について、サイバーセキュリティに及ぼす影響等、我が国のサイバー対応能力強化の観点から、国際的な動向等を踏まえつつ、早急に対応を進める必要がある。
- AIについて、安全性の確保に向けて、AIセーフティ・インスティテュート(AISI)等と連携し、国際的な動向も踏まえ、開発・運用に係るガイドラインの策定や、海外機関と連携したAIに対する攻撃に係る研究開発等、サイバーセキュリティの確保に係る取組とともに、AIを活用したサイバー攻撃情報の分析の精緻化・迅速化等を推進する。
- また、政府機関等において、生成AIの調達・利活用に係るガイドラインを踏まえ、AI利活用の推進とリスク管理の両立を図る。
- 量子技術については、その進展に伴い、現在広く使われている公開鍵暗号の危殆化が懸念されているところ。そのため、諸外国や暗号技術検討会(CRYPTREC)における検討状況を踏まえ、多岐にわたる課題に対応するための関係省庁による検討体制を立ち上げ、政府機関等における耐量子計算機暗号(PQC)への移行の方向性について、次期サイバーセキュリティ戦略に盛り込む。
- 官民を通じたサイバーセキュリティ人材の確保・育成
- 緊密な国際連携を通じた我が国のプレゼンス強化
- 国境を越えるサイバー攻撃への対応には、緊密な国際連携が不可欠であるところ、これまでのサイバー分野における対処及びルール整備に関する国際社会への貢献を発展させ、我が国の一層のプレゼンス向上を図るとともに、国際連携による対応の実効性を一層向上させる必要がある。
- サイバーセキュリティに係る国際的なルール整備に関し、諸外国との制度的な差異も認識しつつ、共同原則の策定やパートナーシップの構築等を視野に、二国間、多国間関係を強化し進展させる。
- さらに、国際社会における日本のプレゼンスの向上に向け、特に、アジア太平洋地域においてサイバーセキュリティ分野を主導する観点から、同盟国・同志国と連携しつつ、国際場裡で日本の取組や経験を積極的に発信する機会を増やす。
- また、ASEAN、太平洋島嶼国等の対応能力の底上げが必要な国や地域に対し、日本の技術や強みを活かした能力構築プログラムの提供を通じ、独自の協力関係の構築・強化を進める。
~NEW~
首相官邸 農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議(第22回)
▼ 資料1 輸出拡大等による「海外から稼ぐ力」の強化に向けた施策の展開方向
- 米国の関税措置による農林水産物・食品の輸出への影響と対応
- 「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」に基づき、政府一体となって対応
- 注文のキャンセルの連絡があったという声や、景気悪化による販売量への悪影響を懸念する声などがある
- 随時影響を把握・分析するとともに、影響を受ける事業者による販路開拓等の取組を補助金により優先支援
- 輸出構造の強靭化
- 世界の通商環境が不透明化する中で、輸出構造を強靭化することの重要性が高まっている
- このため、農林水産業・食品産業の生産性向上及びブランド化等による高付加価値化を進める
- 未開拓の有望エリアや非日系市場などの新市場を開拓し、輸出先を多角化
- 農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略の改訂
- 新たな食料・農業・農村基本計画では、輸出拡大を加速するとともに、食品産業の海外展開、インバウンドによる食関連消費の拡大の連携による相乗効果を通じた「海外から稼ぐ力」の強化に向けた目標を設定
- これらの目標の達成に向けて施策の具体化を図るべく、輸出拡大実行戦略を改訂
- 戦略では、2030年5兆円目標の達成に向け、特に日本の強みが生かせる輸出重点品目(31品目)を選定するとともに、輸出重点品目ごとの目標、さらに品目ごとに国・地域別目標、輸出産地数、課題と対応方向を策定
- 戦略では、2030年5兆円目標の達成に向け、その内訳となる輸出重点品目ごとの目標、さらに品目ごとに国・地域別目標、輸出産地数、課題と対応方向を策定
- 戦略的サプライチェーンの構築、輸出産地育成、輸出解禁等の協議、高付加価値化等の方策を品目ごとに明確化
- 国内から現地まで一貫してつなぐ戦略的なサプライチェーンの構築
- 2030年5兆円目標に向け、新たな食料・農業・農村基本計画に掲げる「初動5年間での農業の構造転換の集中的な推進」として、マーケットインの発想で大規模に安定的・継続的な輸出に取り組む産地の拡大・発展を強力に進め、これらの産地が農林水産物の輸出の大宗を占める構造を構築
- そのため、大規模な輸出産地の更なる発展に向けた、新たなサプライチェーン構築に向けたモデル的な取組を支援し、GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)による情報発信・伴走支援によりその横展開を推進
- 輸出解禁等に向けた協議(実行計画の推進)
- 輸出解禁の協議等について、生産者等の要望を収集し、輸出拡大見込みの情報を踏まえて優先順位を付けて「実行計画」を作成。担当大臣やスケジュールを明記して、毎年フォローアップ・改定しながら着実に推進
- 今後、輸出に関する課題に加えて、新たに、食品産業の海外展開など「海外から稼ぐ力」の強化に向けた課題についても「実行計画」に追加
- 優良品種の保護・活用と育成・普及に向けた法制度の検討
- 我が国果樹等の優良品種について、海外における無断栽培を抑止しつつ海外からの稼ぎにつなげていくため、(1)我が国品種の競争環境を守るための厳格な管理を推進するとともに、(2)輸出に寄与する戦略的な海外ライセンスを推進
- こうした管理と海外ライセンスの推進に向け、対応可能なものから着手。優良品種の厳格管理の実効性を高めつつ、競争力の高い新品種の育成・普及も推進するための法制度の検討を行う
- ブランド化等による高付加価値化
- 地理的表示(GI)産品は、地域に根差した特性を有する我が国ならではの産品
- GI法施行後10年を迎え、国内軸足のGI普及から、インバウンド増加等を効果的に活用した、海外への普及・ブランド化へと取組を発展させ、食関連消費の拡大、輸出拡大を図る。また、GI制度による名称・ブランド保護を通じた輸出環境の整備に向け、制度のあり方も含め検討を進める
- 日本食・食文化の魅力を対外的に効果的に伝え、ブランド価値向上につなげるため、
- 日本の食の魅力を高めるコンテンツ(食・旅の番組)の海外での配信拡大や、日本のアニメと食の組み合わせによる日本食・食文化の海外発信を促進
- 「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録も追い風とした日本産酒類のPRを推進
- 食品産業の海外展開に向けた施策の方向
- 食品産業の海外展開に際し、現地のニーズを踏まえた、きめ細やかなサポートを実施すべく、農水省、経産省、ジェトロ等が連携し、海外市場の特徴や事業ステージに応じた国内外での伴走支援体制を構築
- 特に、海外現地において、「輸出支援プラットフォーム」の発展等により、法務・税務等に通じた海外現地専門家の配置や日系食品企業のネットワーク化を推進
- インバウンドによる食関連消費の拡大に向けた施策の方向
- 地域の魅力ある食材や歴史・文化をひとつのストーリーとしてインバウンドに訴求する地域づくりを推進しつつ、海外への日本食プロモーション、バイヤー招へい等の輸出施策を連動
- 農水省、観光庁、国税庁、内閣官房(地方創生)等の相互連携の下、訪日外国人の旅マエ・旅ナカ・旅アトに効果的にアプローチし、輸出拡大とインバウンド消費の好循環を形成
- 輸出拡大実行戦略のフォローアップ
- 毎月、輸出額の実績を公表し、半期ごとに、品目ごとの増減要因を分析し公表
- 基本計画・実行戦略に掲げた輸出重点品目ごとの目標、KPIや施策について、進捗状況を毎年フォローアップ
- フォローアップ結果を踏まえ、不断に施策を改善し、輸出関係閣僚会議に報告・公表
~NEW~
農林水産省 令和6年度 食料・農業・農村白書(令和7年5月30日公表)
▼ 概要版
- スマート農業技術活用促進法が施行・取組が始動
- 農業支援サービスの取組が人手不足に悩む生産現場で広がり。農業支援サービス事業体の育成やスマート農業技術の研究開発を推進するとともにスマート農業教育を充実
- 2024年の農林水産物・食品の輸出額は1兆5,071億円で初の1.5兆円超え
- 海外の規制・ニーズに対応した生産・流通体系の転換による輸出産地の形成を推進
- 取組の手本となる「フラッグシップ輸出産地」を全国で認定
- 農林水産省の全補助事業等において環境負荷低減の「クロスコンプライアンス」を導入
- 環境負荷低減の取組の「見える化」を推進
- みどり戦略学生チャレンジにより、若い世代の環境に配慮した取組を推進
- 女性の基幹的農業従事者数は減少傾向であるものの、女性の経営参画は、農業経営にプラスであり、引き続き重要な担い手
- 農福連携に取り組む主体数は大きく増加。新たな農福連携等推進ビジョンを決定
- 奥能登地域での2024年の営農再開面積は2023年の水稲作付面積の約8割となったが、地震からの復旧・復興の途上であった9月に豪雨災害が発生したことから、地震・豪雨からの復旧・復興を一体的に推進
- 世界の穀物生産量、消費量は前年度に比べ増加。中期的には需要の伸びは鈍化の見込み
- 主要穀物の生産量は、小麦・米・大豆は前年度より増加する見通し
- 主要穀物の国際価格は、おおむねロシアによるウクライナ侵略前の水準まで低下
- 2023年度の総合食料自給率は、供給熱量ベースで38%、生産額ベースで61%
- 主食用米の生産量は前年産に比べ増加。米粉用米、飼料用米については減少。小麦の収穫量は減少、大豆の収穫量は増加、牛肉の生産量は増加
- 肥料原料となる資源は世界に遍在し、主要な肥料原料の大部分は特定国からの輸入に依存
- 農薬製剤は大部分を、農薬原体は相当量を国内で生産しており輸入先も分散
- 穀物・果樹の種苗はほぼ全量を国内生産。野菜種子は、我が国の種苗会社が世界各国で生産
- 飼料自給率は27%。飼料穀物のほとんどは輸入に依存しており、配合飼料メーカー等が需要量の約1か月分を備蓄
- 農産物の輸入額は前年に比べ5.4%増加
- 輸入相手国の多様化に向け、輸入相手国との政府間対話の活用、官民での情報共有等を推進
- 食料供給困難事態対策法が公布。兆候の段階から政府対策本部の下で政府一体となった対策を実施する体制を構築。また、供給確保対策の対象となる食料と資材をあらかじめ指定
- 不測時に備え官民による総合的な備蓄を推進
- 国際会議において、農業の生産性向上と持続可能性の両立を実現すべきことを各国に呼び掛け
- ウクライナをはじめとした各国との協力を推進
- 農業総産出額は、近年では9兆円前後で推移
- 主業経営体1経営体当たりの農業所得は前年に比べ増加し404万円
- 農地面積は減少傾向で推移。農地の総権利移動の面積は横ばい傾向で推移
- 農地バンクや基盤整備を活用し、目標地図に位置付けられた受け手への集積・集約化を推進
- 農業経営体数は減少傾向で推移、基幹的農業従事者数は約20年間で半減
- 担い手の育成・確保を推進するとともに多様な農業者による農地の保全活動等を支援
- 食の外部化・簡便化が進展。新たな需要に対応し国内外の市場を獲得していくため、需要構造等の変化に対応した生産供給体制の構築を推進
- 収入保険の加入者は着実に拡大。効率的かつ安定的な農業経営の育成に向け、引き続き収入保険や経営安定対策による支援を実施
- 肥料や飼料等、輸入依存度の高い農業生産資材について、国内生産・利用拡大を推進
- 物価高騰対策として、重点支援地方交付金により地域の実情に応じた取組を支援
- 認定農業者制度を通じた経営発展を後押し
- 農業法人の経営基盤強化を図るため、経営管理能力の向上、労働環境の整備等を推進
- 65歳以上の基幹的農業従事者数は全体の71.7%
- 集落営農数は前年に比べ減少。法人化が進展し、連携・合併に取り組む経営体が出現
- 50a以上の区画に整備済みの水田面積は12.3%、汎用化済み面積は47.7%
- 農業生産基盤整備に加え、農業水利施設の戦略的な保全管理、防災・減災対策を推進
- 農林水産・食品分野の課題の解決に向けた研究開発を推進。スタートアップの取組も拡大し、産学官連携等によりイノベーションを創出。農業の展開におけるデジタル変革を推進
- 農林水産物・食品の付加価値向上に向けて知的財産の保護・活用を推進
- 食料安全保障の強化に向け、高い生産性を持った新品種の育成・導入を促
- 高病原性鳥インフルエンザは14道県51事例、豚熱は24都県で97事例が発生
- 発生予防・まん延防止に向け、飼養衛生管理の強化等を推進
- 農林水産物・食品の輸出額は1兆5,071億円で初の1.5兆円超え。産地育成や需要拡大等を推進
- 日本の強みを最大限発揮し、マーケットイン、マーケットメイクの観点から、輸出に取り組む産地・事業者等を支援するとともに政府一体で輸入規制の撤廃・緩和の働き掛けを実施
- 輸出促進施策と併せ、食品産業の海外展開及びインバウンドによる食関連消費の拡大に向けて施策を推進し、「海外から稼ぐ力」を強化
- 食品産業の国内生産額は近年横ばい傾向で推移。生産性の向上や産地との連携強化等を支援
- 経済的・物理的な食品アクセスの確保に向けた対応が必要。関係省庁・地方公共団体等が連携して食品アクセスの確保に向けた対応を推進
- 国際的な動向等に対応した食品の安全確保と消費者の信頼の確保に向けた取組を推進
- ライフスタイルの変化に伴い、食の外部化・簡便化が進展
- 米の相対取引価格は前年産より上昇し、野菜の小売価格は平年に比べ上昇
- 国産農産物の消費拡大に向けた対応、食育や地産地消の取組を推進
- 農業由来の温室効果ガス排出削減や気候変動の影響に適応するための対策を推進
- 農林水産省生物多様性戦略に基づき、農林水産分野における生物多様性保全の取組を推進
- 有機農業の取組面積は拡大傾向で推移。有機農業を生産、消費の両面で推進
- 2024年8月に公表した「環境保全型農業直接支払交付金の最終評価」では、温室効果ガス削減や生物多様性保全において効果を確認
- 環境や人権に配慮した持続可能な食品産業への転換を推進
- 食品ロスの発生量は過去最少に。引き続き事業系食品ロスの削減に向けた取組を推進
- 過疎地域の人口減少は、高齢化により自然減が都市への人口流出による社会減を上回る状況
- 地域住民が主体となって農業集落の自立的な発展を目指す取組が各地で展開
- 所得の向上と雇用の創出を図る「経済面」の取組と、生活の利便性の確保を図る「生活面」の取組を推進
- 人口減少・高齢化等により、人材確保が困難となるおそれがある中、持続的な体制を確保しつつ、農業者その他の農村との関わりを持つ者による農地の保全に資する共同活動を促進
- 農山漁村の地域資源をフル活用する地域資源活用価値創出の取組や、バイオマス・再生可能エネルギーの利活用による農山漁村の持続的発展や循環型社会の形成に向けた取組を推進
- 2023年度における農泊地域の延べ宿泊者数は794万人泊。観光立国推進基本計画の目標を達
- 中山間地域は我が国の食料生産を担うとともに多面的機能の発揮においても重要
- 中山間地域等直接支払制度では、協定間の連携と共同活動の活性化に向けた支援が重要
- 野生鳥獣による農作物被害額は前年度に比べ増加
- ICTの更なる活用等による一層の効率的な対策やジビエの利活用拡大を推進
- 農業体験や都市農業、農泊等を通じ、農村関係人口の創出・拡大を推進
- 東日本大震災からの農地・農業用施設等の復旧を推進。96%の農地で営農再開が可能に
- 原子力被災12市町村の農業産出額は被災前の約5割。農業法人等の参入や産地創出を促進
- 2024年に発生した主な自然災害による農林水産関係被害額は5,811億円
- 農業水利施設等の防災・減災対策、災害への備えとして農業保険への加入や農業版BCPの策定、食品の家庭備蓄の定着等を推進
~NEW~
消費者庁 「令和6年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組」の公表について
- 消費者庁は、景品表示法違反被疑事件について調査を行い、違反する事実があると認められたときは、措置命令の名宛人となるべき者に対し、予定される措置命令の内容等を通知し、弁明書及び証拠書類等を提出する機会を付与し、弁明の内容等を踏まえて措置命令を行っている。
- また、措置命令を行うに足る事実が認められなかった場合であっても、景品表示法に違反するおそれがあるときは、関係事業者に対し、是正措置を採るよう指導している。
- さらに、消費者庁は、景品表示法第5条第1号又は第2号の規定に違反する事実があると認められたときは、所定の要件に従い、課徴金納付命令の名宛人となるべき者に対し、措置命令の場合と同様に弁明の機会を付与し、弁明の内容等を踏まえて課徴金納付命令を行っている。
- このほか、確約手続に係る通知を受けた事業者から申請された確約計画を消費者庁が認定するという景品表示法に基づく行政処分がある。
- 令和6年度における調査件数は、前年度から繰越した34件、年度内に新規に着手した403件の合計437件である。同年度における処理件数は、措置命令が26件、確約計画の認定が1件、課徴金納付命令が7件、指導が339件のほか、都道府県による処理が適当として都道府県に移送したものが5件、公正競争規約により処理することが適当として当該公正競争規約を運用している公正取引協議会等に移送して同協議会等が処理したものが1件などの合計382件である。
- 令和6年度に処理したもののうち、公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等が行った調査の結果を踏まえて消費者庁が措置命令を行ったものは5件(北海道事務所、近畿中国四国事務所、近畿中国四国事務所中国支所、内閣府沖縄総合事務局)、指導を行ったものは12件である。
- 令和6年度においては、7名の事業者に対して7件の課徴金納付命令を行い、19億2696万円の課徴金の納付を命じた。なお、規模基準(景品表示法第8条第1項ただし書の規定に基づき、課徴金額が150万円未満となる場合には、課徴金を賦課しないこととされている。)等により、消費者庁が措置命令を行った案件のうち、過去3年度の間に課徴金を賦課しないこととされた案件の合計は64件である
- 令和6年度においては、インターネット上の食品の虚偽・誇大広告の監視を行い、健康増進法第65条第1項(誇大表示の禁止)の規定に違反するおそれのある519事業者に対して、表示の改善指導を行った。
- 令和6年度に措置命令及び確約計画の認定を行った事件は、全て表示事件であり、その件数は計27件である。
- 令和6年度において消費者庁により指導が行われた事例としては、例えば、(1)優良誤認表示について、景品表示法の考え方の周知啓発・法令遵守の方針等の明確化・不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応を行っておらず、自社ウェブサイトにおいて、表示の根拠となる情報を確認していなかった事例、(2)有利誤認表示について、商品パッケージにおいて、表示の根拠となる情報を確認していなかった事例、(3)景品事件について、景品表示法の考え方の周知啓発・法令遵守の方針等の明確化・景品類の提供等を管理するための担当者等を定めること・不当な景品類の提供等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応を行っておらず、違法とならない景品類の価額の最高額・総額・種類・提供の方法等を確認していなかった事例がある。
- 都道府県知事には、景品表示法第38条第11項及び不当景品類及び不当表示防止法施行令第23条の規定に基づき、措置命令権限と調査権限が委任されており、都道府県知事は、自らの判断と責任によって景品表示法を運用することができる。最近の都道府県知事による措置命令件数は、表11のとおりである。令和6年度においては、3都府県において4件の措置命令が行われている。
- 確約手続の導入等を内容とする「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律(令和5年法律第29号)(以下「改正法」という。)」は、令和5年5月17日に成立し、令和6年10月1日から施行された。改正法の施行に当たり、消費者庁はパブリック・コメントを実施する等の必要な手続を経た上で、内閣府令・運用基準等の整備を行った。具体的には、確約手続の申請書の様式などの各種申請手続を定めた内閣府令の新設並びに確約手続の対象となる事案及び確約認定の基準等の考え方を示した運用基準の新設、課徴金の割増規定や推計規定など課徴金制度の見直し等を踏まえた「不当景品類及び不当表示防止法施行規則」及び「不当景品類及び不当表示防止法第8条(課徴金納付命令の基本的な要件)に関する考え方」の改正等である。加えて、令和6年9月に、改正法の内容について事業者等に向けた説明会を東京都、大阪府及び愛知県で実施したほか、解説動画を消費者庁ウェブサイトに掲載した。
- 一般消費者に商品・サービスを提供する事業者は、広告等において、商品等の内容の優良性又は取引条件の有利性を訴求するために「売上1」、「安さ第1位」等と強調する表示を行うことがある。このような表示は「No.1表示」と呼ばれ、合理的な根拠に基づかず、事実と異なる場合には、実際のもの又は競争事業者のものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認され、景品表示法における不当表示として問題となる。
- 消費者庁は、消費者を誤認させるような不当な1表示を防止する観点から、No.1表示に関する実態調査を実施し、同年9月26日、調査結果を取りまとめた「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表した。本報告書においては、No.1表示のうち「顧客満足度」や「コスパが良いと思う」といった第三者の主観的な評価を指標とするものや、これと類似する「医師の○%が推奨」といった表示について、どのような場合に景品表示法上の不当表示として問題となるかといった同法に関する考え方を示している。
- 広告であるにもかかわらず広告であることを隠す、いわゆるステルスマーケティングについて、令和5年3月28日に景品表示法第5条第3号に基づく不当表示として新たに指定し(「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(いわゆるステルスマーケティング告示))、同年10月1日から施行しているところ、消費者庁は、令和6年10月、施行後の執行実績や消費者庁に寄せられることの多かった質問等を踏まえ、同告示の考え方を具体的に示した「ステルスマーケティングに関するQ&A」を公表した。
- 公正競争規約(以下「規約」という。令和7年3月31日現在103件〔景品37件、表示66件〕)は、景品表示法第36条の規定により、消費者庁長官及び公正取引委員会の認定を受けて事業者又は事業者団体が設定する景品類の提供又は表示に関する自主的なルールである。
- 令和6年度においては、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)の規定内容を反映させるもの、ステルスマーケティング告示に係る規定の新設等、65件の規約の変更を認定した。
- 都道府県等における景品表示法の執行力の強化に向けて、公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等と協力して北海道・東北地区、関東甲信越地区、中部地区、近畿地区、中国地区、四国地区、九州・沖縄地区の各ブロックの都道府県等との連絡会議(景品表示法ブロック会議)を順次開催し、都道府県等(及び公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等)の景品表示法担当職員向けに研修を実施した。
- 消費者庁は、公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等と共に、景品表示法違反行為の未然防止の観点から、事業者等がこれから行う商品・サービスに関する表示の方法や景品類の提供の方法について、事前に相談に応じている。景品表示法に関して消費者庁及び公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等が受け付けた相談件数は、表13のとおりであり、令和6年度においては、16,000件(前年度17,244件)の相談を受け付けた。具体的な相談内容としては、表示規制に関するものとして、1表示に関する相談、効果・性能に関する相談、ステルスマーケティングに関する相談、二重価格表示に関する相談があったほか、景品規制に関するものとして、「取引に付随する」との考え方に関する相談、値引きに関する相談、景品類の価額の考え方に関する相談、経済上の利益の考え方に関する相談等があった。
- 消費者庁及び公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等は、景品表示法の普及・啓発及び同法違反行為の未然防止のために、消費者団体、地方公共団体、事業者団体や広告関係の団体が主催する景品表示法に関する講習会、研修会等に職員を講師として派遣している。令和6年度においては、消費者団体、地方公共団体、事業者団体等が全国各地で開催する講習会等に、計170回(受講者数は合計約1.3万人)講師を派遣した。また、景品表示法の概要等を取りまとめたパンフレットを消費者団体、地方公共団体、事業者団体等に対し配布しているところ、令和6年度においては、約3,800部配布した。
~NEW~
厚生労働省 令和6年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します~暑さ指数(WBGT)の把握、労働衛生教育の実施、発症時・緊急時の措置を徹底~
- 厚生労働省では、令和6年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を取りまとめましたので、公表します(別添1参照)。
- 令和6年における職場での熱中症※1による死傷者(死亡・休業4日以上)は、1,257人(前年比151人・約14%増)であり、全体の約4割が建設業と製造業で発生しています。
- また、熱中症による死亡者数は31人(前年と同数)であり、建設業(10人)や製造業(5人)で多く発生しています。死亡災害の多くの事例では、重篤化した状態で発見されるケース、医療機関に搬送しないケースなど、初期対応の放置、対応の遅れが見られました。
- それぞれの作業場で、6月1日より施行される労働安全衛生規則(第612条の2)に基づき、
- (1)熱中症のおそれがある作業者を早期に発見するための体制整備
- (2)熱中症の重篤化を防止するための措置手順の作成
- (3) (1)、(2)の体制や手順の関係作業者への周知
- を行っていただき、熱中症の重篤化の防止等のための対策を取っていただくとともに、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を踏まえ、(1)暑さ指数(WBGT)の把握とその値に応じた熱中症予防対策を適切に実施すること、(2)作業を管理する者及び労働者に対してあらかじめ労働衛生教育を行うこと、(3)糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有する者に対して医師等の意見を踏まえた配慮をおこなうこと、について重点的に取り組んでください。
- ※1 熱中症とは
- 高温多湿な環境下において、体内の水分と塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻したりするなどして、発症する障害の総称。めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐(おうと)・倦怠(けんたい)感・虚脱感、意識障害・痙攣(けいれん)・手足の運動障害、高体温などの症状が現れる。
- ※2 暑さ指数(WBGT)とは
- 気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数。
▼ 別添1
- 職場での熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数(以下合わせて「死傷者数」という。)は、2024年に1,257人と、死傷者数について統計を取り始めた2005年以降、最多となっている。うち、死亡者数は31人と、死亡災害について統計を取り始めた1989年以降、当時、観測史上1位の猛暑であった平成22年の47人に次いで多くなっている。
- 2024年の死傷者数1,257人について、業種別でみると、製造業が235人、建設業が228人の順で多くなっている。死亡者数については、31人のうち建設業が10人と最も多く発生しており、次いで、製造業が5人となっている。また、2020年以降の5年間に発生した熱中症の死傷者数について、業種別でみると、死傷者数、死亡者数ともに建設業、製造業の順で多く発生しており、年によって、製造業と建設業の順番は入れ替わることがあるが、いずれの年もこの2業種で死傷者数は約4割、死亡者数は約5割から6割程度を占めている。
- 2024年の死傷者数1,257人について、月別の発生状況でみると、約8割が7月、8月の2ヶ月間に集中している。特に死亡者数については、31人のうち、1人を除き、7月又は8月に集中している。また、2020年以降の5年間に発生した熱中症の死傷者数について、月別の発生状況でみると、死傷災害については2024年と同様の傾向があり、約8割が7月、8月の2ヶ月間に集中している。死亡者数についても2022年は6月に10人の方が亡くなっているが、これを除けば、いずれの年も7月又は8月に集中している。
- 2024年の死傷者数1,257人について、時間帯別の発生状況についてみると、午前中や午後3時前後の被災者数が多くなってことが窺えるが、いずれの時間帯でも発生している。死亡災害についても同様にいずれの時間帯でも発生している。また、2020年以降の5年間に発生した熱中症の死傷者数について、時間帯別の発生状況についてみると、死傷災害、死亡災害ともに2024年と同様の傾向となっている。なお、気温が下がった17時台や18時台以降に死亡に至るケースが少なからずみられるが、これらには、日中には重篤な症状はみられなかったにもかかわらず、作業終了後や帰宅後に体調が悪化した事案が含まれている。
- 2024年の死傷者数1,257人について、年齢別の発生状況についてみると、死傷者数、死亡者数ともにいずれの年齢層においても発生しており、死傷者数については、50歳代以上で全体の約56%を占めており、死亡者数については全体の約67%を占めている。また、2020年以降の5年間に発生した熱中症の死傷者数について、年齢別の発生状況についてみると、2024年度同様の傾向がみられ、死傷者数については、50歳代以上で全体の約52%を占めており、死亡者数については、全体の約61%を占めているなど、一般に高齢者は、身体機能の低下等の影響により、加齢により熱中症を発症するリスクが高いことから、死亡災害に至る割合が高くなっていることが考えられる。
~NEW~
総務省 デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会 デジタル空間における情報流通に係る制度ワーキンググループ(第9回)配付資料
▼ 資料9-1警察庁ご発表資料
- SNSアカウント登録におけるSMS認証の課題
- SNSのアカウント登録に際して、SMS認証を用いている事業者は現にあるところ、不正に取得した携帯電話番号、本人確認がなされていないSMS機能付きデータ通信専用SIMの電話番号、海外の電話番号が認証に用いられていたり、SMS認証代行業者を利用して登録がなされている実態があり、SMS認証による「本人確認」では、真の利用者の特定に課題がある。
- SMS認証に用いられている電話番号
- 不正に取得した電話番号
- 本人確認書類の券面の偽変造による不正契約等により携帯電話をだまし取る詐欺や、自己名義の携帯電話を他人に譲渡するなどの携帯電話不正利用防止法違反行為により不正に取得した電話番号を使用して、SMS認証が行われている実態。
- 課題
- 本人確認記書類が偽変造されていた場合、真の利用者(被疑者)の特定は困難
- 匿名性の高いSNSを利用して譲渡が行われていた場合、真の利用者(被疑者)の特定は困難
- SMS機能付きデータ通信専用SIM
- SNS型投資・ロマンス詐欺に利用されたSNSアカウントに紐付けられた電話番号の中には、SMS機能付きデータ通信専用SIMの電話番号が用いられている実態があり、本人確認がなされていないものを確認。
- 課題
- 本人確認を実施していない事業者については、本人確認記録がないため、利用者(被疑者)の特定は困難
- 海外電話番号
- SNS型投資・ロマンス詐欺に利用されたSNSのアカウントに紐付けられた電話番号を対象にした調査(調査期間R6年4~9月)では、把握できた電話番号1,485件のうち956件(約64%)が海外電話番号を用いてSMS認証が行われている実態。
- 課題
- 利用者の特定のためには、海外電話番号を管理する海外事業者に照会をする必要があるが、回答を得られるまでの期間や回答が得られるかについて課題あり。
- SMS認証代行業者の番号
- アカウント登録時、真の利用者(被疑者)に自己が管理する電話番号と認証コードを提供し、真の利用者が本人確認(SMS認証)をすり抜けることを可能にさせる「SMS認証代行」が存在。
- 課題
- SMS認証代行業者を特定出来たとしても、真の利用者(被疑者)の特定は困難
- SMS認証代行業者の特定すら困難な場合あり
- 不正に取得した電話番号
- 今後の検討に対する警察としての要望
- SNSアカウントの登録時にSMS認証を実施したとしても、不正な方法で取得された携帯電話番号の利用や本人確認が不要なSMS機能付きデータ通信専用SIMの利用等により、SNSアカウントに紐付く携帯電話番号の真の利用者にたどりつくことは困難なのが実態であり、匿名・流動型犯罪グループは、こうした手法によりその匿名性を担保。
- SNSアカウントの本人確認の厳格化のみで全てが解決するわけではないが、アカウント開設時に公的個人認証を求めたり、本人確認を行った国内電話番号の登録を求めたりすることや、SMS機能付きデータ通信専用SIM契約時の本人確認義務付けに関して検討を進めるなどの対策を行う必要があるのではないか。
~NEW~
観光庁 「令和6年度観光の状況 令和7年度観光施策」(観光白書)について
▼ 概要版
- 2023年の「外国人旅行者受入数ランキング」において、日本(2,510万人)は世界15位(アジアで2位)。世界観光機関(UN Tourism)によると、2024年の国際観光客数は14億4,500万人(前年比10.7%増、2019年比1.3%減)となり、コロナ前の2019年水準まで回復。
- 2024年の訪日外国人旅行者数は、3,687万人(2019年比15.6%増)と過去最高。2024年の国籍・地域別内訳をみると、韓国が最も多く、次いで中国、台湾、米国、香港の順。
- 2024年の訪日外国人旅行消費額は8兆1,257億円(2019年比68.8%増)と過去最高。2024年の国籍・地域別内訳をみると、中国が最も大きく、次いで台湾、韓国、米国、香港の順。
- 2024年の日本人の国内延べ旅行者数は5.4億万人(2019年比8.2%減)とコロナ前の9割程度に回復。2024年の日本人国内旅行消費額は25.1兆円(2019年比14.5%増)と過去最高。2024年の出国日本人数は1,301万人(2019年比35.2%減)となった。2024年の日本国内における旅行消費額は、34.3兆円(2019年比22.8%増)
- 2024年の延べ宿泊者数は6億5,028万人泊(2019年比9.1%増)と過去最高。このうち日本人延べ宿泊者数は4億8,668万人泊(2019年比1.3%増)。外国人延べ宿泊者数は1億6,360万人泊(2019年比41.5%増)と過去最高。2024年の客室稼働率は60.5%であり回復傾向。
- 観光需要が回復する一方、観光関連産業における人材不足や生産性の低さ等、供給面の課題が顕在化。
- 2024年の日本人国内旅行消費額は約25兆円であり、国内旅行消費額全体(約34兆円)の7割超。地方部延べ宿泊者数の日本人割合は約9割であり、特に地方部の旅行需要は日本人が下支え。旅行単価は物価上昇等により増加傾向にあるが、日本人国内延べ旅行者数や旅行経験率は長期的に伸び悩み。今後は更に人口減少・少子高齢化が進む中、国内交流の拡大に一層取り組む必要
- 全体の7割弱を占める観光目的の国内旅行者数は堅調に推移しているが、帰省や出張等目的の回復は緩やか。観光目的の国内旅行をみると、家族・親族での旅行が約半数。友人との旅行は減少傾向にあり一人旅が増加傾向。観光目的の国内宿泊旅行の宿泊数は1~2泊が約9割を占め、短期の旅行が大半。域内や近隣地域等からの旅行が多く、特に北海道、関東、九州への宿泊旅行では、域内居住者が約半数。
- 国内宿泊旅行経験率は、若年層ほど高く堅調に回復。経験率の低い高齢層の増加は、国内旅行市場全体を押し下げ。年間旅行回数の変化をみると、全体では旅行に行かない層と多く行く層がともに増加し、旅行実施が二極化。10~20代は実施傾向が高まり、70代では下がっている。宿泊旅行実施の主なハードルは、20~60代では休暇がとれないことや家計制約、70代以上では健康上の理由等。10~50代の約6割が主に休日に旅行しており、旅行需要の平準化も課題。
- 仕事より余暇を重視する割合が増加傾向。自由時間が増えた場合にしたいことは「旅行」が約6割とトップ。旅行は「時間とお金に余裕がある時にするもの」との回答が最多。「最も大切な趣味」は20代、60~70代で高い。どの年代も温泉やグルメ目的等の旅行志向が高いが、若年層は他の年代と比べ、趣味のイベント参加、アウトドアの他、現地の人との交流や地域貢献等の旅行意欲が高い。高齢層は温泉や自然、家族の親睦等を志向。
- 人口減少下での国内交流の拡大に向けては、新たなニーズを踏まえた帰省に近い感覚の旅等の潜在需要の顕在化の他、休暇取得など旅行実施のハードルを下げる取組等により、一人当たり旅行回数の増加や滞在長期化を図る必要。観光庁では、何度も地域に通う旅、帰る旅やワーケーション・ブレジャー等の普及促進、ユニバーサルツーリズムの推進等を通じ、新たな交流市場の開拓や国内旅行需要の平準化に取り組んでいる。
- 若者が地域との関わりを求める傾向や、近年の働き方の変化等を踏まえ、従来の観光旅行とは異なる新たな旅のスタイルとして何度も地域に通う旅、帰る旅を推進。各事例では、旅マエ・ナカ・アトの継続的なアプローチや地域課題にともに取り組む「仲間」としての旅行者の受入れ、旅行費用を抑える仕組等により旅行者と地域の持続的な関係を構築し、地域の関係人口を増加。地域の人手不足の課題にも貢献。
- 休暇取得や同行者との休暇調整にハードルがある現役世代の旅行需要を喚起するには、ワーケーション・ブレジャーの推進が有効。日向市では、参加企業のニーズを踏まえ、官民連携で企業向け研修型ワーケーションに取り組んでおり、(株)キッチハイクは、子供が自然体験等をしながら家族でワーケーションができるプログラムを提供することで、参加者の満足度向上と地域活性化の双方を実現。
- 休暇取得にハードルがあり、休日等に旅行が偏る傾向がある現役世代が旅行しやすい環境づくりとして、休暇取得・休暇分散化が重要。愛知県では、平日に家族での時間が過ごせるよう学校休業日を設定する等、休暇取得・休暇分散化を促進。また、少子高齢化が進展する中、高齢者・障害者等が安心して旅行できる環境を整備するため、ユニバーサルツーリズムの推進にも一層取り組む必要。伊勢志摩では、個々の状況に応じた旅行プランの提案等によりバリアフリー観光を推進。
~NEW~
金融庁 オンラインカジノは、あなたの身を滅ぼします
▼ 金融事業者への要請 オンラインカジノに係る賭博事犯防止等について(令和7年5月14日)
- オンラインカジノについては、海外で合法的に運営されている場合でも、日本国内から接続して賭博を行うことは犯罪となり、賭博罪等で検挙されるおそれがあります。
- 警察においては、オンラインカジノに係る賭博事犯について取締りや広報啓発を推進しているところですが、オンラインカジノの利用を防止していくためには、国内においてオンラインカジノに係る為替取引が行われないための対応も必要であると考えております。
- つきましては、傘下会員に対して、
- 日本国内でオンラインカジノに接続して賭博を行うことは犯罪であることについて利用者へ注意喚起すること
- オンラインカジノにおける賭博等の犯罪行為を含む法令違反行為や公序良俗に反する行為のための決済等のサービス利用を禁止している旨を利用規約等で明らかにすること
- 利用者が国内外のオンラインカジノで決済を行おうとしていることを把握した場合に当該決済を停止すること
など、オンラインカジノに係る賭博事犯の発生を防止するための取組みを実施いただくよう周知方宜しくお願いいたします。
▼ (参考) 警察庁ウェブサイト「オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です!」
~NEW~
金融庁 証券監督者国際機構(IOSCO)による最終報告書「オンライン模倣取引慣行:コピー取引、ミラー取引、ソーシャル取引」の公表について
- 証券監督者国際機構(IOSCO)は、令和7年(2025年)5月19日、最終報告書「オンライン模倣取引慣行:コピー取引、ミラー取引、ソーシャル取引」(原題:Online Imitative Trading Practices: Copy Trading, Mirror Trading & Social Trading)を公表しました。
▼ プレス・リリース(Google翻訳)
- IOSCO、フィンフルエンサー、オンライン模倣取引慣行、デジタルエンゲージメント慣行に関する最終報告書を公表
- これらの報告書は、オンライン詐欺に対処し、安全な投資を促進し、国際的な協力を強化するための包括的な個人投資家オンライン安全戦略の第3弾を成すものです。
- IOSCOは本日、個人投資家オンライン安全ロードマップ(以下「ロードマップ」)の第3弾の一環として、フィンフルエンサー、オンライン模倣取引慣行、デジタルエンゲージメント慣行に関する最終報告書を公表しました。
- 2024年11月に開始されたこの戦略的イニシアチブは、デジタルマーケティングとソーシャルメディアが個人金融市場を再構築する中で、世界中の個人投資家を詐欺、過剰なリスクテイク、および誤情報から保護することを目的としています。これは、5つの活動の波によって表されています。
- メディアリリース
- IOSCOの報告書は、オンライン模倣取引戦略とフィンフルエンサーの活動との関連性が拡大していることを明らかにしており、プラットフォームが個人投資家の行動に影響を与えるために用いるデジタルエンゲージメント手法やゲーミフィケーション手法によって、状況はさらに複雑化しています。
- これらの技術革新は新たな機会を生み出す一方で、認可・規制された金融アドバイスの提供と一般的な金融情報の提供の境界を曖昧にし、個人投資家にとってさらなるリスクを生み出す可能性があります。
- フィンフルエンサー最終報告書は、フィンフルエンサーを取り巻く状況の変化、それに伴う潜在的な利益とリスク、そして各国における現在の規制対応について考察しています。
- 特に、登録投資アドバイス専門家に求められる専門的資格や監督を受けずに個人投資家に影響を与える未登録の個人に関して、規制の適用範囲における潜在的なギャップを特定し、証券規制当局、市場仲介業者、そしてフィンフルエンサー自身にとって、より透明性と説明責任のある環境の促進を目的とした一連のグッドプラクティスを提案しています。
- オンライン模倣取引慣行に関する最終報告書(コピー取引、ミラー取引、ソーシャル取引)は、模倣取引慣行に関連する規制上の側面、利点、およびリスク、特に個人投資家への影響について検証しています。報告書は、これらの戦略の自動化された性質により投資家が損害を被る可能性を強調しています。
- 個人投資家は、特に積極的な監視や介入なしに取引を自動的に模倣している場合、投資の影響を十分に理解していない可能性があります。そのため、個人投資家は、自身の財務状況(損失負担能力を含む)や投資目的(リスク許容度を含む)に合致しない戦略を模倣し、特にリードトレーダーがハイリスク戦略に従事したり、関連するリスクとコストについて適切な開示を行わなかったりする場合、大きな損失につながる可能性があります。
- 最終報告書はまた、投資家がオンライン模倣取引戦略に関連するリスクを理解するための手段として、投資家教育を促進することの重要性を強調しています。デジタルエンゲージメント慣行(DEP)に関する最終報告書は、市場仲介業者が用いるDEPの様々な種類と適用例を検証し、その潜在的なメリットと関連するリスクの両方に焦点を当てています。また、特に個人投資家の行動と意思決定への影響に関して、規制上の課題とギャップも特定しています。
- 最終報告書は、投資助言や推奨を行う際に使用されるDEPが、個人投資家の利益よりも市場仲介業者の利益を優先しないよう確保することの重要性を強調しています。また、投資家保護と市場の健全性を促進するため、明確、正確、かつ包括的な情報開示を推奨しています。
- これら3つの報告書はすべて、金融インフルエンサーの活動、オンライン上の模倣行為、そしてDEPといった、変化するリテール市場の状況から生じる可能性のある個人投資家への潜在的リスクを管理する上で、規制当局が考慮すべきグッドプラクティスを特定しています。
- ベルギー金融サービス・市場庁の議長も務めるIOSCO理事会議長のジャン=ポール・セルヴェ氏は、次のように述べています。「これらの最終報告書の公表は、急速にデジタル化が進む世界において個人投資家を保護するというIOSCOの使命において、重要な節目となります。
- 金融インフルエンサーによるプロモーションから、ゲーム化されたアプリや模倣コンテンツに至るまで、これらの報告書は、倫理的行動と効果的な監督に関する世界的に整合した期待を示しています。これらは、公共の利益に資するイノベーションを促進し、テクノロジーが金融市場における信頼を損なうのではなく、高めることを確実にするというIOSCOのコミットメントを反映しています。」
- IOSCOでこの作業を監督する任務を負っている個人投資家調整グループの議長、ダービル・ローランド氏は次のように付け加えました。「金融市場のデジタル変革は、個人投資家が金融商品やサービスと関わる方法を一変させました。3つの報告書に概説されているグッドプラクティスは、IOSCOメンバーに、イノベーションのメリットを維持しながら課題に対処するための枠組みを提供します。」
~NEW~
金融庁 証券監督者国際機構(IOSCO)による「オンラインハーム対応とプラットフォーム事業者の役割に関するステートメント」の公表について
- 証券監督者国際機構(IOSCO)は、令和7年(2025年)5月21日、「オンラインハーム対応とプラットフォーム事業者の役割に関するステートメント」(原題:IOSCO’S STATEMENT ON COMBATTING ONLINE HARM AND THE ROLE OF PLATFORM PROVIDERS)を公表しました。
▼ IOSCOによるオンライン被害対策とプラットフォームプロバイダーの役割に関する声明(グーグル翻訳)
- 個人投資家の資本市場への参加は増加しており、この傾向は、モバイルアプリ、ソーシャルメディア、プラットフォームプロバイダー1のオンラインプラットフォームを用いた金融商品やサービスの宣伝・購入を含むデジタル化によって加速しています。
- デジタル化によるアクセス性の向上は、資本基盤の拡大、競争の激化、コスト削減をもたらしましたが、同時に新たなリスクも生み出しています。個人投資家は、オンラインの有料広告やユーザー生成コンテンツを通じて仕掛けられた投資詐欺によって、多額の損失を被っています。
- 規制当局とプラットフォームプロバイダーは、これらのリスクから生じる潜在的な投資家の損害を軽減するための戦略的な立場にあります。IOSCOは、現在の脅威を懸念しており、プラットフォームプロバイダーに対し、現地法に準拠し、投資家への金銭的損害のリスクを軽減するための取り組みを強化するよう求めています。これは、プラットフォームプロバイダーが提供するサービスに対する公衆の信頼を脅かすものでもあります。
- 協力することで、個人投資家を支援し、市場の健全性を維持し、特にオンライン上の損害が国境を越える性質を持つことを踏まえ、世界規模で金銭的損害を防止することができます。
- これらの取り組みを促進するため、IOSCOは2025年3月にIOSCO国際証券・商品取引アラートネットワーク(I-SCAN)を立ち上げました。これは、投資サービスを提供したり、違法な金融活動に従事したりする無認可企業のグローバルデータベースです。プラットフォームプロバイダーは、I-SCANに自動的に接続し、プラットフォームから違法な投資オファーをブロック、警告、または排除することで、投資家の保護において重要な役割を果たす機会を得ています。
- IOSCOは、一部の法域において、一部のプラットフォームプロバイダーが個人投資家を標的とする悪質な行為者による自社製品およびサービスの不正利用を阻止するための現在の取り組みを歓迎し、強く支持しますが、具体的な成果を達成するには、継続的な改善が必要です。IOSCOは、一部の法域で現在使用されている、金融不正行為を含むオンライン被害の阻止に役立つ以下の対策を特定しており、プラットフォームプロバイダーに対し、現地法に準拠した形でこれらの対策の導入を検討することを推奨しています。
- 無許可の提供に関するデューデリジェンス:I-SCANの使用を含むデューデリジェンスを実施し、プラットフォーム上で有料コンテンツを宣伝しようとする事業者が、対象となる法域で法的に事業を営む権限を有し、規制当局による投資家への警告の対象となっていないことを確認する。
- ユーザーのコンプライアンス:プラットフォームのポリシーに違反する投資詐欺コンテンツや広告を監視し、迅速に削除することにより、適用される利用規約を厳格に施行する。
- 内部プロセス:詐欺を検出するための適切な社内規則、ポリシー、プロセス、ツールを策定し、定期的に更新する。
- 法的要件:プラットフォームプロバイダー企業が事業を展開する法域における適用されるすべての現地法および規制を熟知し、遵守することを確保する。
- 規制当局との直接的な連携:特定された詐欺行為の報告を含む、効果的な情報共有を可能にするため、金融規制当局および政府当局との積極的なコミュニケーションチャネルを確立する。各国の規制当局との連携は、オンライン金融不正行為に対抗するための、地域特有のカスタマイズされた戦略を策定するのに役立ちます。
- したがって、IOSCOは本日、プラットフォームプロバイダーに対し、オンライン上の危害に対抗し、サービスが詐欺行為に悪用されるのを阻止するための緊急の取り組みに参加するよう呼びかけています。
~NEW~
金融庁 「貸金業利用者に関する調査・研究」調査結果の公表について
▼ (別添)貸金業利用者に関する調査・研究
- 貸金業利用者の状況
- 3年以内借入申込者のうち、「希望通りの金額で借入れができた」人は40.3%で、「希望金額を下回ることがあった」人が12.0%、「借入できないことがあった」人は47.7%となっている。職業別では、「個人事業主」「経営者・役員」において、「借入できないことがあった」人の回答割合が高くなっている
- 希望通りの借入れができなかったときの主な対応の上位3項目は、「支出を控えた・諦めた」が47.2%、「親類・友人等からの援助を受けた・借入れを行なった」が24.0%、「預貯金等の自分の財産を取り崩した・資産を売却した」が18.2%、となっている。
- 3年以内借入経験者のうち、消費者金融利用者の借入目的の上位は、「生活費の不足を補うため」が45.9%、「クレジットカード、ネットショッピングにおける後払い決済等の利用代金を支払う資金の不足を補うため」が19.9%、「欲しいものがあったが手元のお金が足りなかったため」が13.3%となっている。職業別では「個人事業主」、「派遣・契約社員」で、「生活費の不足を補うため」の回答割合が高くなっている。
- 3年以内借入経験者のうち、消費者金融利用者の借入目的の上位は、「生活費の不足を補うため」が45.9%、「クレジットカード、ネットショッピングにおける後払い決済等の利用代金を支払う資金の不足を補うため」が19.9%、「欲しいものがあったが手元のお金が足りなかったため」が13.3%となっている。職業別では「個人事業主」、「派遣・契約社員」で、「生活費の不足を補うため」の回答割合が高くなっている。
- 3年以内借入経験者かつ現在借入残高がある者で、借入残高が収入の1/3を超える者の割合は18.4%となっている。年収別でみると、年収が低いほど借入残高が年収の1/3を超える者の割合が高い傾向が見られる。職業別に見ると、「学生」、「個人事業主」、「パート・アルバイト・フリーター」で割合が高くなっている。(回答数30以上)また、消費者金融に借入残高がある者に絞ると、借入残高が年収の1/3を超える者の割合は29.6%となっている。
- 借入残高が年収の1/3を超える者(3年以内借入経験者、かつ現在借入残高あり)の職業は全体に比べ「個人事業主」「パート・アルバイト・フリーター」の割合が高い。借入残高が年収の1/3を超える者(3年以内借入経験者、かつ現在消費者金融に借入残高あり)の消費者金融借入目的は、「生活費不足を補うため」の割合が、最も高くなっている。
- 複数借入経験者の状況
- 3年以内借入経験者のうち、同時に2件以上の借入経験がある人の回答割合は51.0%であった。借入残高が年収の1/3を超える者は、「2件以上・計」の回答割合が7割と高い。職業別に見ると、「経営者・役員」「個人事業主」「派遣・契約社員」で、「2件以上・計」の回答割合が高くなっている。(回答数30人以上)
- 同時に複数の借入れをした理由は、全体では「生活費(水道光熱費を含む)不足を補うため」が55.5%で最も高い。借入残高別に見ても、回答傾向に大きな差は見られない
- 債務の返済期間は、同時に複数の借入経験のある者全体では、「1年以上~5年未満」が最も高く41.8%。借入残高が年収の1/3を超える者については、「5年以上」が54.6%と最も高い。
- 「(1件でも)返済が滞っている」の回答割合は、同時に複数の借入れのある者で18.1%、同時に複数の借入れのない者で9.1%となっている。返済が滞っている者に対しその理由を質問したところ、同時に複数の借入れのある者・ない者いずれも、「収入が借入時点から減少したから」「借入後に想定していたよりも支出が増えてしまったから」が上位。
- 無登録業者(ヤミ金融)の利用状況
- 無登録業者(ヤミ金融)の利用経験は、3年以内借入経験者で13.4%、3年以内借入経験者以外では0.3%となっている。借入残高別に見ると、借入残高が年収の1/3を超える者で26.8%、年収の1/3以下の者が11.9%となっている。職業別に見ると、「学生」、「専門職」、「経営者・役員」での回答割合が高くなっている。(回答数30以上)
- 無登録業者(ヤミ金融)の利用理由は、「借入れが限度額に達して、正規の金融機関から断られたため」が26.8%、「手続きが簡単であったため」が24.0%と、上位に挙がる。無登録業者(ヤミ金融)との接触のきっかけは、「インターネットの広告を見て問い合わせた」が33.5%で最も高い。
- 無登録業者(ヤミ金融)利用経験者の借入元本は、「10万円以下」が59.7%となっている。無登録業者(ヤミ金融)利用経験者の返済総額は、「10万円以下」が42.1%、「11万円~30万円」が20.5%となっている。
- 事業資金の借入状況
- 事業者における事業資金の借入先の上位3位は、「銀行」が45.6%、「公的金融機関」が31.8%、「信用金庫・信用組合」が28.0%の順。「貸金業者」を事業資金として利用経験のある事業者は7.3%、「ファクタリング業者」は2.1%となっている。
- 事業資金の借入目的について、借入先別に見ると、「銀行」は、「設備資金に充てるため」、「つなぎ資金(短期の運転資金)に充てるため」がそれぞれ4割。「信用金庫・信用組合」は、「つなぎ資金(短期の運転資金)に充てるため」が5割と最も高い。
- 事業資金として金融機関等を利用したことのある/利用意向がある事業主は、事業資金借入れ検討時の優先事項では、「金利の安さ」が43.4%で回答割合が最も高い。次いで、「希望金額が借りられるか」が23.6%、「信用できる事業者かどうか」が20.0%、「入金までの速さ」が12.7%と続く。
- キャッシュレス決済のための借入状況
- キャッシュレス決済の支払いのために、借入れ・資金調達等のサービスを利用したことがある人は、3年以内借入経験者全体で52.0%と半数以上に上る。借入残高別では、借入残高が年収の1/3を超える者では、58.4%と最も高い。
- キャッシュレス決済の支払いのために借入れ・資金調達等のサービスを利用した人に対し、1回の平均的な借入金額を質問したところ「1万円以上~5万円未満」と回答した者の割合が35.8%で最も高い。現在の借入残高は、「1万円未満」が25.3%と最も高く、「1万円以上~5万円未満」、「5万円以上10万円未満」がそれぞれ2割弱と続く。
- ギャンブル等を目的とした借入状況
- 3年以内借入経験者のうち、「ギャンブルを目的とした借入経験あり」の割合は22.4%。ギャンブル等を目的とした借入れについて、1回の平均的な借入金額は「1万円以上~5万円未満」が32.6%と最も高い。次いで、「5万円以上~10万円未満」が25.0%で続く。同借入れにおける、現在の借入残高は「1万円未満」が26.8%で最も高く、次いで「10万円以上~50万円未満」が19.7%となっている。
- ギャンブル等や遊びのための借入れや、ギャンブル等にのめりこんでしまうことについての相談経験者は、ギャンブル等を目的とした借入経験者の52.9%。相談した先としては「家族・親類・友人」が最も高く、40.9%。相談しない理由としては「相談する必要性を感じなかったから」が最も高く、51.9%となっている。
- セーフティネットの状況
- 3年以内借入経験者におけるセーフティネットの認知は、「法テラス、国民生活センターの相談窓口」が61.0%で最も高く、「弁護士会、司法書士会の相談窓口」が58.6%の僅差で続く。なお、「財務局や地方自治体が設置している多重債務専門の相談窓口」に対する、全体の認知率は19.9%である。借入残高が年収の1/3を超える者の認知も「法テラス、国民生活センターの相談窓口」が68.4%で最も高く、「弁護士会、司法書士会の相談窓口」が上位2位。また詳細認知は、「弁護士会、司法書士会の相談窓口」が23.7%で最も高い。
- 「財務局や地方自治体が設置している多重債務専門の相談窓口」の認知経路は、全体では「地方自治体の広報誌を見た」が35.6%で最も高い。【3年以内借入経験者】では、全体に比べ「SNSの投稿を見た」、「コンビニ・スーパーマーケット・ATM等に設置されているカードを見た」が特に高い。
- 家計や借入れの悩みの相談先は、「家族・親類・友人」が最も高く、全体で21.0%となっている。「悩みはあったが誰にも相談しなかった」人は、全体で8.2%。その理由は「相談する必要性を感じなかったから」が32.6%で最も高い。
- 家計や借入れの悩みの相談先の満足度について、「満足計」では「家族・親類・友人」が84.1%で最も高い。(回答数30以上)
- 貸付自粛制度の状況
- 貸付自粛制度の認知率(「詳細な内容について知っていた」+「聞いたことはあるが詳細な内容は知らなかった」計)は全体で12.8%。本制度の認知経路は<人・公的機関からの紹介>では「家族・親類・友人」が25.0%で最も高く、次いで「銀行や消費者金融等の金融機関」が23.8%で続く。<自分で調べた・掲示物を見た>では、「市区町村」を通じての認知が18.0%で最も高い。
- 貸付自粛制度の認知者中で、同制度の利用経験者は20.6%となっている。同制度の利用者において、撤回経験については、「撤回したことはない」が42.0%と最も高く、「撤回したことはあるが、撤回後に借入れは行っていない」が34.8%となっている。
- 貸付自粛制度の利用理由は、「遊ぶため(ギャンブル等以外)の借入金が膨らんでいたから」が40.6%と最も高く、「借入れし過ぎてしまうことを防ぎたいと思ったから」が40.2%で続く。対して、同制度の非利用者において、利用しない理由は「自分で借入れを制御できると思ったから」が16.2%で最も高い
~NEW~
金融庁 「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第30回)議事次第
▼ 資料2 コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム2024のフォローアップと今後の方向性について(案)
- 稼ぐ力の向上
- 引き続き、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた企業の取組や、企業と投資家の対話促進を後押しすることとしてはどうか。
- 持続的な成長の実現に向けた経営資源の最適な配分の実現のため、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識した取締役会の実効的な監督や更なる開示が促進されるよう、以下の点にも留意しつつ、コーポレートガバナンス・コードの見直し等を検討することとしてはどうか。
- 経営資源の配分先には、設備投資・研究開発投資・地方拠点の整備等・スタートアップ等を含む成長投資、人的資本や知的財産への投資等、様々な投資先が考えられ、これらの多様な投資機会があることを認識することが重要である。このうち、知的財産等の無形資産への投資については、コーポレートガバナンス・コードと整合的な取組の促進に向け、引き続き関係機関との連携や事例の共有を進める。また、人的資本への投資に関する開示を充実させる観点から、有価証券報告書における従業員給与・報酬に関する記載事項を集約するとともに、新たに企業戦略と関連付けた人材戦略や従業員給与・報酬の決定に関する方針、従業員給与の平均額の前年比増減率等の開示を求める。
- 上記の経営資源の配分に関し、現状の資源配分が適切かを不断に検証しているか、例えば現預金を必要以上に積み増していないか(cash hoarding問題)の検証・説明責任の明確化を検討する。
- 情報開示の充実・投資家との対話促進
- 建設的な対話の更なる促進のためのスチュワードシップ活動の質の向上や投資家との目線の合った情報開示の充実に向け、企業と投資家の議論の場を設け、「スチュワードシップ活動の実態に関する調査」で共有する事例を更に充実させる等、取組事例の収集・共有を継続することとしてはどうか。
- 総会前開示に係る要請を受けた企業の対応状況を有価証券報告書レビューによりフォローアップするとともに、上場企業の総会前開示の取組を更に促すべく、コーポレートガバナンス・コードの見直し等を検討することとしてはどうか。
- 企業による株主総会前の適切な情報提供の取組が容易となるよう、株主総会資料の書面交付の不要化・電子化を含めた株主総会に係る法制面の整理等の推進策について、関係省庁(法務省・経済産業省)との連携を進めることが考えられるか。
- あわせて、投資判断への有用性と企業負担のバランスに配慮する観点から、有価証券報告書の記載事項の整理(スリム化含む)を検討することとしてはどうか。
- 取締役会等の機能強化
- 独立社外取締役の果たすべき役割や取締役会事務局(コーポレートセクレタリー)の機能強化について、企業の担当者や様々な関係者が実務上の課題やそれへの対応を議論・共有する場として、「コーポレートガバナンス実践コンソーシアム(仮)」を立ち上げ、「取締役会の機能強化の取組みに関する事例集」で共有する事例を更に充実させることとしてはどうか。
- 市場環境上の課題の解決
- 政策保有株式
- 引き続き、政策保有株式の開示(株式の保有目的変更を含む)に関する課題や開示例等を分析・公表することとしてはどうか。
- 政策保有株式を売らせないように圧力をかけている事例が見られることについては、上記の有価証券報告書レビューの記載も踏まえ、引き続き、コーポレートガバナンス・コードの趣旨に照らした実務となるよう、対応を検討することとしてはどうか。
- 大量保有報告制度
- 違反行為への抑止力を高める観点から、大量保有報告制度違反の課徴金額の水準引上げを検討することとしてはどうか。
- 企業と投資家の建設的な対話を促進する観点からは、市場及び証券取引の公正性を高めることが重要である。今般の内閣府令改正で、大量保有報告書を適切に提出せずに公開買付を開始するような事例を防止すべく、公開買付届出書の記載事項を見直し、「大量保有報告書等の提出状況」の記載欄を新設したことも踏まえ、引き続き必要な施策を検討・実施することとしてはどうか。
- 親子上場等
- 東証において、グループ経営や少数株主保護に関する検討・開示を推進する。また、上場子会社や持分法適用関連会社の独立社外取締役の独立性確保等、少数株主保護の観点から必要な上場制度の整備についても、検討を行うこととしてはどうか。
- 政策保有株式
- サステナビリティを意識した経営
- サステナビリティを意識した経営に関する取組については、「コーポレートガバナンス実践コンソーシアム(仮)」において引き続き事例を収集し、関係者間で共有し底上げをはかることとしてはどうか。
- 諸外国におけるサステナビリティ情報開示の導入の動向に留意しつつ、国際的な比較可能性を確保したサステナビリティ開示・保証制度のあり方について、議論を深める。特に、サステナビリティ情報は、各企業が自社にとって重要と考える情報を判断し、開示するものとされている上に、見積り情報や定性的な情報が多く含まれるという点で不確実性がある。このため、企業は、虚偽記載等の責任を問われることへの懸念から、情報開示に消極的になる可能性がある。こうした情報の特性を踏まえた上で、虚偽記載等の責任の範囲を明確化し、その責任を問われるリスクの低減を図ることは、企業の積極的な情報開示を促すことになるものと考えられる。このため、サステナビリティ情報を含む非財務情報の虚偽記載等に対する責任のあり方の検討(セーフハーバー・ルールの整備)を行うこととしてはどうか。
- サステナビリティ開示に関し、ISSBにおいて新たにリサーチプロジェクトが始まる人的資本の分野につき、投資家のニーズを充足した基準開発に貢献すべく、国内の関係者と連携しながら、国際的な議論への参画や意見発信等を進めることが考えられるか。
~NEW~
警察庁 サポート詐欺被疑者の検挙に関するインド共和国との共同捜査について
- 日本人を標的としたサポート詐欺について、インド共和国・中央捜査局(CBI)と共同捜査を進めてきたところ、この度、CBIが、日本人被害者にかかるサポート詐欺に関係する被疑者6人を検挙しました。
- 日本警察は、日本サイバー犯罪対策センター(JC3)及びMicrosoft社から提供された情報を端緒とし、暗号資産追跡等の捜査を通じて入手した情報を提供するなど、CBIと緊密に連携し、被疑者の検挙に貢献しています。
▼ サポート詐欺被疑者の検挙に関するインド共和国との共同捜査について
- プレス・リリースの概要
- これまでインド共和国・中央捜査局(通称「CBI」)に対し、日本人を標的としたサポート詐欺の被害状況等について情報共有を行い、国際共同捜査を進めてきたところ、この度、CBIが日本人被害者にかかるサポート詐欺に関係する6人の被疑者を検挙し、プレス・リリースを行ったもの。
- 日本警察等の貢献
- 本件については、日本サイバー犯罪対策センター(「JC3」)とMicrosoft社から独自に分析した結果の共有を受けるなど、全面的な協力を得たものである。当該分析を端緒とし、サイバー特別捜査部による暗号資産追跡の結果判明したインド人らの人定情報や、警視庁において入手した捜査情報を提供するなど、CBIと緊密な連携を行ったことで、今回の検挙につなげることができた。
- 世界的な規模で、かつ、国境を越えて実行される事案の捜査に当たっては、こうした外国捜査機関等との連携が不可欠であるところ、引き続き、日本人を標的とした特殊詐欺やサイバー関連事犯から国民を守るため外国捜査機関等との連携を推進し、実態解明と厳正な取締りに努める
~NEW~
警察庁 特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等(令和6年・確定値)について(広報資料)
- 認知状況
- 特殊詐欺
- 令和6年の特殊詐欺の認知件数(以下1(1)において「総認知件数」という。)は21,043件(+2,005件、+10.5%)、被害額(以下1(1)において「被害総額」という。)は717.6億円(+265.0億円、+58.6%)と、前年に比べて総認知件数、被害総額ともに増加。
- 被害は大都市圏に集中しており、認知件数は東京都3,494件(+576件)、大阪府2,644件(-12件)、神奈川県1,999件(-26件)、埼玉県1,586件(+250件)、愛知県1,469件(+112件)、兵庫県1,445件(+221件)及び千葉県944件(-366件)で、総認知件数に占めるこれら7都府県の合計認知件数の割合は64.5%(-2.8ポイント)。
- 1日当たりの被害額は1億9,605万円(+7,206万円、+58.1%)。
- 既遂1件当たりの被害額は349.7万円(+105.9万円、+43.5%)。
- オレオレ詐欺、預貯金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗(以下3類型を合わせて「オレオレ型特殊詐欺」という。)の認知件数は10,413件(+1,487件、+16.7%)、被害額は501.0億円(+299.2億円、+148.3%)で、総認知件数に占める割合は49.5%(+2.6ポイント)。
- オレオレ詐欺は、認知件数6,752件(+2,797件、+70.7%)、被害額457.2億円(+323.7億円、+242.5%)と、認知件数、被害額ともに増加し、総認知件数に占める割合は32.1%(+11.3ポイント)、被害総額に占める割合は63.7%(+34.2ポイント)。
- 形態(文言)別では、「その他の名目」の認知件数が4,261件(+3,243件、+318.6%)と大幅に増加しており、警察官等をかたり、捜査(優先調査)名目で現金等をだまし取る手口による被害が顕著。
- 預貯金詐欺は、認知件数2,276件(-478件、-17.4%)、被害額25.5億円(-12.9億円、-33.7%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は10.8%(-3.6ポイント)。
- キャッシュカード詐欺盗は、認知件数1,385件(-832件、-37.5%)、被害額18.2億円(-11.6億円、-38.9%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は6.6%(-5.1ポイント)。
- 架空料金請求詐欺は、認知件数5,716件(+518件、+10.0%)、被害額133.8億円(-6.5億円、-4.7%)と、認知件数は増加、被害額は減少し、総認知件数に占める割合は27.2%(-0.1ポイント)。パソコンのウイルス除去をサポートするなどの名目で電子マネー等をだまし取る「サポート名目」は、認知件数1,524件(-645件、-29.7%)と減少し、被害額は10.0億円で、架空料金
- 請求詐欺の認知件数に占める割合は26.7%(-15.1ポイント)。「その他の名目」は、認知件数2,342件(+1,375件、+142.2%)と増加しており、副業を名目とした手口による被害が顕著。
- 還付金詐欺は、認知件数4,070件(-115件、-2.7%)、被害額63.7億円(+12.4億円、+24.1%)と、認知件数は減少したものの、被害額は増加し、総認知件数に占める割合は19.3%(-2.6ポイント)。
- 振込型の認知件数は11,060件(+4,564件、+70.3%)、被害額421.6億円(+226.3億円、+115.9%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は52.6%(+18.4ポイント)。被害総額に占める割合は58.7%(+15.6ポイント)。
- 被害額が500万円以上の振込型(認知件数1,673件、被害額307.7億円)におけるインターネットバンキング利用の認知件数は1,020件、被害額は210.3億円で、被害額500万円以上の振込型全体に占める割合は、認知件数が61.0%、被害額は68.3%。
- キャッシュカード手交型の認知件数は2,430件(-605件、-19.9%)、被害額は32.4億円(-15.4億円、-32.2%)と、いずれも減少。また、キャッシュカード窃取型の認知件数は1,385件(-832件、-37.5%)、被害額は17.9億円(-11.9億円、-40.0%)と、いずれも減少。両交付形態を合わせた認知件数の総認知件数に占める割合は18.1%(-9.5ポイント)。
- 現金手交型の認知件数は3,247件(-174件、-5.1%)、被害額は145.5億円(+44.1億円、+43.5%)と、認知件数は減少したものの、被害額は増加し、総認知件数に占める割合は15.4%(-2.5ポイント)。
- 現金送付型の認知件数は424件(-14件、-3.2%)、被害額は44.9億円(-4.6億円、-9.4%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は2.0%(-0.3ポイント)。
- 電子マネー型の認知件数は2,305件(-1,065件、-31.6%)、被害額は17.4億円(-4.0億円、-18.7%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は11.0%(-6.7ポイント)。
- 高齢者(65歳以上)被害の認知件数は13,738件(-1,157件、-7.8%)で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合は65.4%(-13.0ポイント)。65歳以上の高齢女性の被害認知件数は9,274件で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合は44.1%(-12.0ポイント)。
- 被害者を欺罔する手段として犯行の最初に用いられたツールは、電話79.0%、メール・メッセージ10.0%、ポップアップ表示8.8%、はがき・封書等2.2%と、電話による欺罔が8割近くを占めている。主な手口別では、オレオレ型特殊詐欺及び還付金詐欺では電話が99%を超える。架空料金請求詐欺では電話が35.7%、ポップアップ表示が31.1%、メール・メッセージが28.0%。
- 警察が把握した、電話の相手方に対して、住所や氏名、資産、利用金融機関等を探るなどの特殊詐欺が疑われる電話(予兆電話)の件数は193,475件(+61,067件、+46.7%)で、月平均は16,122件(+5,133件、+46.7%)と増加。都道府県別では、東京都が35,715件と最も多く、次いで埼玉県17,561件、愛知県13,016件、大阪府11,838件、千葉県10,993件、兵庫県9,004件、神奈川県7,698件の順となっており、予兆電話の総件数に占めるこれら7都府県の合計件数の割合は54.7%。
- SNS型投資・ロマンス詐欺
- 令和6年のSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数(以下1(2)において「総認知件数」という。)は10,237件(+6,391件、+166.2%)、被害額は1,271.9億円(+816.8億円、+179.4%)と、前年に比べて認知件数、被害額ともに著しく増加。
- 都道府県別の認知件数では、大阪府が1,024件(+605件)と最も多く、次いで兵庫県914件(+529件)、東京都877件(+538件)、愛知県675件(+405件)、福岡県664件(+477件)、神奈川県538件(+350件)、広島県346件(+218件)の順で、総認知件数に占めるこれら7都府県の合計認知件数の割合は49.2%(-0.6ポイント)となっており、特殊詐欺に比べると大都市圏に集中していない。
- 1日当たりの被害額は3億4,752万円(+2億2,282万円、+178.7%)。
- 既遂1件当たりの被害額は1,242.7万円(+59.2万円、+5.0%)。
- 令和6年のSNS型投資詐欺の認知件数は6,413件(+4,142件、+182.4%)、被害額は871.1億円(+593.2億円、+213.4%)と認知件数、被害額ともに前年から大きく増加しており、特に被害額については前年の約3倍に上る。
- 被害額の分布は、500万円以下が3,207件(+2,076件、+183.6%)、1千万円以下が1,081件(+685件、+173.0%)、2千万円以下が984件(+613件、+165.2%)、5千万円以下が796件(+514件、+182.3%)、1億円以下が253件(+188件、+289.2%)、1億円超が92件(+66件、+253.8%)。
- 500万円以下の件数の割合が全体の50.0%を占めるが、500万円超の合計被害額が812.3億円と、全体の被害額の93.3%を占めており、被害の高額化が顕著。
- 既遂1件当たりの被害額は1,358.5万円(+134.8万円、+11.0%)。
- 被害金の主たる交付形態は、振込が5,526件(86.2%)、暗号資産が762件(11.9%)と振込が9割近くを占めている。振込のうち、インターネットバンキング利用の認知件数は3,527件、被害額は562.8億円で、振込全体に占める割合は、認知件数が63.8%、被害額が73.7%。
- 被害者の性別は、男性が3,561人、女性が2,847人と、男性が女性を11.1%上回っている。被害者の年齢層は、男性、女性ともに40代~70代が多数を占め、幅広い年代に被害が及んでいる。
- 当初接触ツールは、インスタグラムが1,481件(23.1%)、LINEが1,120件(17.5%)、フェイスブックが997件(15.5%)と、これらのツールで全体の半数以上を占める。男性では、フェイスブックが678件(19.0%)、LINEが647件(18.2%)、インスタグラムが597件(16.8%)、女性では、インスタグラムが883件(31.0%)、LINEが472件(16.6%)、フェイスブックが317件(11.1%)と、男女ともにこれらのツールが半数以上を占める。TikTokが6月以降増加している傾向。被害時の連絡ツールは、LINEが5,829件(90.9%)で9割を占める。
- 当初の接触手段は、バナー等広告が2,901件(45.2%)、ダイレクトメッセージが2,133件(33.3%)と、これらが全体の8割近くを占める。バナー等広告のツール別内訳は、インスタグラムが787件(27.1%)、フェイスブックが474件(16.3%)、投資のサイトが416件(14.3%)と、これらのツールが半数以上を占める。ダイレクトメッセージのツール別内訳は、インスタグラムが544件(25.5%)、フェイスブックが440件(20.6%)、LINEが314件(14.7%)と、これらのツールが半数以上を占める。投資家や著名人になりすました「偽広告」等を含むバナー等広告については、令和6年4月まで急増したものの、同年5月以降減少に転じており、同年7月以降はダイレクトメッセージがバナー等広告を上回っている。
- 被疑者が詐称した身分(地域)は、日本(国内)が5,042件(78.6%)。被疑者が詐称した職業は、投資家が2,204件(34.4%)、その他著名人767件(12.0%)、会社員330件(5.1%)。
- SNS型ロマンス詐欺
- 令和6年のSNS型ロマンス詐欺の認知件数は3,824件(+2,249件、+142.8%)、被害額は400.9億円(+223.6億円、+126.1%)と、認知件数、被害額ともに前年から大きく増加しており、前年の約2倍に上る。
- 金銭等の要求名目のうち、「投資名目」の認知件数は2,797件(73.1%)、被害額は344.1億円(85.8%)と、認知件数、被害額ともに全体の7割以上を占める。
- 被害額の分布は、500万円以下が2,055件(+1,239件、+151.8%)、1千万円以下が666件(+375件、+28.9%)、2千万円以下が591件(+352件、+147.3%)、5千万円以下は380件(+215件、+130.3%)、1億円以下は95件(+45件、+90.0%)、1億円超が37件(+23件、+164.3%)。500万円以下の件数の割合が53.7%を占めるが、500万円超の合計被害額が364.7億円と、全体の被害額の91.0%を占めており、被害の高額化が顕著。既遂1件当たりの被害額は1,048.5万円(-77.0万円、-6.8%)
- 被害金の主たる交付形態は、振込が2,823件(73.8%)、暗号資産が786件(20.6%)と振込が7割以上を占める。振込のうち、インターネットバンキング利用の認知件数は1,428件、被害額は213.3億円で、振込の全体に占める割合は認知件数が50.6%、被害額が68.7%。
- 被害者の性別は、男性が2,415人、女性が1,409人と、男性が女性を26.3%上回っている。被害者の年齢層は、男女ともに、40代~60代が多数を占め、幅広い年代に被害が及んでいる。
- 当初接触ツールは、マッチングアプリが1,311件(34.3%)、インスタグラムが854件(22.3%)、フェイスブックが783件(20.5%)とこれらのツールで全体の8割近くを占める。男性の上位では、マッチングアプリが843件(34.9%)、フェイスブックが549件(22.7%)、インスタグラムが401件(16.6%)、女性の上位では、マッチングアプリが468件(33.2%)、インスタグラムが453件(32.2%)、フェイスブックが234件(16.6%)と、男女ともにこれらのツールで7割以上を占める。被害時の連絡ツールは、LINEが3,609件(94.4%)で9割以上を占める。
- 当初の接触手段は、ダイレクトメッセージが最多となっており、3,322件(86.9%)と全体の8割以上を占めている。ダイレクトメッセージのツール別内訳は、マッチングアプリが1,067件(32.1%)、インスタグラムが814件(24.5%)、フェイスブックが718件(21.6%)と、これらのツールが全体の8割近くを占める。
- 被疑者が詐称した身分(地域)は、日本(国内)が2,066件(54.0%)とSNS型ロマンス詐欺の認知件数の半数を占める一方、東アジア、日本(国外)、北米等の海外の地域も認められる。被疑者が詐称した職業は、投資家434件(11.3%)、会社員420件(11.0%)、会社役員264件(6.9%)のほか、芸術・芸能関係や医療関係等様々なものがみられる。
- 特殊詐欺
- 検挙状況
- 特殊詐欺
- 令和6年の特殊詐欺の検挙件数は6,576件(-636件、-8.8%)、検挙人員(以下「総検挙人員」という。)は2,274人(-181人、-7.4%)と、いずれも減少。
- 手口別では、オレオレ詐欺の検挙件数は1,776件(-350件、-16.5%)、検挙人員は902人(-71人、-7.3%)と、いずれも減少。架空料金請求詐欺の検挙件数は533件(+199件、+59.6%)、検挙人員は281人(+109人、+63.4%)と、いずれも増加。
- 中枢被疑者の検挙人員は50人(+1人、+2.0%)で、総検挙人員に占める割合は2.2%(+0.2ポイント)。
- 受け子や出し子、それらの見張り役の検挙人員は1,651人(-205人、-11.0%)で、総検挙人員に占める割合は72.6%(-3.0ポイント)。
- このほか、特殊詐欺に由来する犯罪収益を隠匿又は収受した組織的犯罪処罰法違反で687件(+331件、+93.0%)、254人(+127人、+100.0%)を検挙。
- また、預貯金口座や携帯電話の不正な売買等の特殊詐欺を助長する犯罪で5,029件(+1,166件、+30.2%)、3,523人(+705人、+25.0%)を検挙。
- 暴力団構成員等の検挙人員は435人(-4人、-0.9%)で、総検挙人員に占める割合は19.1%(+1.2ポイント)。暴力団構成員等の検挙人員のうち、中枢被疑者は19人(-7人、-26.9%)であり、出し子・受け子等の指示役は15人(-4人、-21.1%)、リクルーターは53人(-21人、-28.4%)。また、中枢被疑者の検挙人員(50人)に占める暴力団構成員等の割合は38.0%(-15.1ポイント)と、依然として暴力団が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与している実態がうかがわれる。このほか、現金回収・運搬役として33人(-9人、-21.4%)、道具調達役として8人(+2人、+33.3%)を検挙。
- 少年の検挙人員は416人(-15人、-3.5%)で、総検挙人員に占める割合は18.3%(+0.7ポイント)。少年の検挙人員のうち、受け子は286人(-24人、-7.7%)で少年の検挙人員の68.8%(-3.2ポイント)を占める。また、受け子の検挙人員(1,379人)に占める少年の割合は20.7%(+0.9ポイント)と、受け子の5人に1人が少年。
- 外国人の検挙人員は130人(+8人、+6.6%)で、総検挙人員に占める割合は5.7%(+0.7ポイント)。外国人の検挙人員のうち、受け子は72人(+6人、+9.1%)、出し子26人(-3人、-10.3%)で、外国人の検挙人員に占める割合は、それぞれ55.4%、20.0%を占める。国籍別では、中国39人(30.0%)、ベトナム32人(24.6%)、韓国18人(13.8%)、マレーシア13人(10.0%)、ペルー7人(5.4%)、フィリピン7人(5.4%)、ブラジル6人(4.6%)、タイ3人(2.3%)、その他5人(3.8%)。
- 令和6年中に特殊詐欺の受け子等として検挙した被疑者2,191人のうち、受け子等になった経緯は、SNSから応募が949人(調査対象全体の43.3%)で、4割を占めている。
- SNS型投資・ロマンス詐欺
- 令和6年のSNS型投資・ロマンス詐欺の検挙件数は263件、検挙人員は129人(出し子37人、受け子17人、単独犯26人、リクルーター2人、現金回収・運搬役2人、道具調達14人、出し子・受け子・見張りの指示役3人、出し子・受け子の見張り役1人、打ち子6人、その他21人。
- 手口別では、SNS型投資詐欺の検挙件数は130件、検挙人員は58人で、SNS型ロマンス詐欺の検挙件数は133件、検挙人員は71人。
- 検挙人員のうち、暴力団構成員等は6人(リクルーター1人、出し子3人、受け子1人、道具調達1人)、少年は1人(受け子)、外国人は28人(受け子8人、出し子8人、現金回収・運搬役1人、道具調達3人、出し子・受け子・見張りの指示役3人、出し子・受け子の見張り役1人、その他4人)。外国人の国籍別では、中国18人、ナイジェリア2人、ベトナム3人、フィリピン2人、カンボジア1人、マレーシア1人、韓国1人。
- 犯行グループが欺罔電話をかけたり、架空の人物になりすましてメール等を送信したりする架け場等の犯行拠点について、令和6年中、国内では29箇所を摘発(+14箇所)。また、海外拠点を外国当局が摘発し、日本に移送等して検挙した人数については、同年中50人(-19人)となっている。
- 特殊詐欺
- 対策の取組状況
- 犯人からの電話を直接受けないための対策
- 依然として国際電話番号を利用した特殊詐欺が多発している状況を受け、国際電話番号からの着信を受けないための対策として、国際電話の利用休止申請の周知・支援を実施
- 押収名簿を活用した注意喚起
- 特殊詐欺等の捜査過程で押収した名簿を活用し、同名簿に載っていた人に電話するなどして注意喚起する取組を推進。
- 金融機関やコンビニエンスストア等と連携した被害の未然阻止
- 金融機関の窓口において高齢者が高額の払戻しを認知した際に警察に通報するよう促したり、コンビニエンスストアにおいて高額又は大量の電子マネー購入希望者等に対する声掛けを働き掛けたりするなど、金融機関やコンビニエンスストア等との連携による特殊詐欺予防対策を強化。この結果、関係事業者において、19,967件(-2,379件、-10.6%)、91.9億円(+20.2億円、+28.2%)の被害を阻止(阻止率49.4%、-5.2ポイント)。
- 金融機関と連携し、一定年数以上にわたってATMでの振込実績がない高齢者のATM振込限度額をゼロ円又は極めて少額とする取組(ATM振込制限、令和6年12月末現在、47都道府県、414金融機関)及び高齢者のATM引出限度額を少額とする取組(ATM引出制限、令和6年12月末現在、43都道府県、281金融機関)を推進。
- 被害者が携帯電話等で指示を受けながらATMを操作し、現金を振り込まされる還付金詐欺の予防対策として、金融機関やコンビニエンスストアその他の関係機関・団体と連携し、携帯電話を使用しながらATMを利用する者への注意喚起を推進。
- コンビニエンスストアの店舗ごとに担当警察官を指定し、担当警察官による店舗への定期的な立ち寄りや防犯訓練等を通じ、店舗と連携して詐欺が疑われる客への声掛け等を行い、被害の未然防止を推進(令和6年12月末現在、41都道府県警察、約24,400店舗において担当警察官を指定)。
- 電子マネー型への対策として、電子マネー発行事業者に対する働き掛けを行い、事業者において、不正な方法によって入手された電子マネーの検知及び利用を停止する等の対策を推進。
- 犯行に利用されたSNSアカウントの利用停止等
- 令和6年9月から、警察からLINEヤフー株式会社(以下「LY社」という。)に対して、警察が認知したSNS型投資・ロマンス詐欺及び特殊詐欺において犯行に利用されたLINEアカウントの利用停止や削除等を促すための情報提供を行う仕組みの運用を開始。同月から同年12月末までに、LY社に情報提供したアカウントは5,446件であった(SNS型投資・ロマンス詐欺2,884件、特殊詐欺2,562件)。
- 令和6年10月から、警察からMeta Platforms,Inc(以下「Meta社」という。)に対して、警察が認知したSNS型投資・ロマンス詐欺及び特殊詐欺において犯行に利用されたFacebookアカウント及びInstagramアカウントの削除等を促すための情報提供を行う仕組みの運用を開始。同月から同年12月末までに、Meta社に情報提供したアカウントは148件であった(SNS型投資・ロマンス詐欺134件、特殊詐欺14件)。
- マッチングアプリ事業者に対する要請
- SNS型投資・ロマンス詐欺において、マッチングアプリアカウントが悪用されていることを踏まえ、令和6年9月、デジタル庁と連名で、一般社団法人恋愛・結婚マッチングアプリ協会(旧名称:一般社団法人結婚・婚活応援プロジェクト)等に対して、より厳密な本人確認を実施するなどのため、マッチングアプリアカウントの本人確認における選択肢の1つにマイナンバーカードを用いた公的個人認証サービスを追加することについて、これらの団体に参画しているマッチングアプリ事業者に対して周知等を要請。
- 金融機関と連携した被害拡大防止及び検挙対策
- 令和6年8月、金融庁と連携し、一般社団法人全国銀行協会等に対して、法人口座を含む預貯金口座の不正利用等防止に向けた対策の一層の強化として警察への情報提供・連携の強化等を要請。これを踏まえて、特殊詐欺等の被疑者検挙に向けた捜査、被害拡大防止の措置を迅速に講じるための対策として、金融機関が預貯金口座の取引モニタリングにより詐欺のおそれが高い取引を検知した場合の都道府県警察への迅速な情報提供を依頼するなどの取組を一層推進。
- 預貯金口座の不正利用防止対策の強化等
- 令和6年12月、金融庁等を通じて、金融機関に対し、帰国する在留外国人から不正に譲渡された預貯金口座の悪用を防止するため、在留期間が満了した外国人の預貯金口座からの現金出金及び他口座への振込が行われる場合には、在留期間の更新等の有無を確認し、確認できるまでは現金出金等が行われないように制限措置を講じるよう要請。
- 犯行に利用された電話番号の利用停止等
- 主要な電気通信事業者に対し、犯行に利用された固定電話番号等の利用停止及び新たな固定電話番号の提供拒否を要請する取組を推進。令和6年中は固定電話番号1,307件、050IP電話番号2,106件が利用停止され、新たな固定電話番号等の提供拒否要請を14件実施。
- 悪質な電話転送サービス事業者が保有する「在庫番号」を一括利用停止する仕組みにより、令和6年中は新規番号の提供拒否対象契約者等が保有する固定電話番号等の利用停止等要請を10事業者に行い、在庫番号10,126番号を利用停止。
- 犯行に利用された携帯電話(仮想移動体通信事業者(MVNO)が提供する携帯電話を含む。)について、携帯電話事業者に対して役務提供拒否に係る情報提供を推進(1,009件の情報提供を実施)。
- 犯行に利用された電話番号に対して、繰り返し電話して警告メッセージを流すことで、その番号の電話を事実上使用できなくする「警告電話事業」を推進。
- 総務省が携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律施行規則の改正により、令和6年4月から050アプリ電話についても同法に基づく役務提供契約締結時の本人確認を義務化。
- SNS事業者における照会対応の強化
- 国内対応窓口を設置しているSNS事業者に対し、捜査の迅速化の観点から、照会対応体制の拡充等を要請した結果、被害者との連絡ツールとして利用されていたSNSを運用するSNS事業者との間で、より迅速・合理的な照会方法について合意し、令和6年12月から運用を開始。
- 国際捜査の徹底・外国当局等との更なる連携
- 国境を越える組織的詐欺と闘う国際的な機運の高まりも踏まえ、国際会議等の場を通じ、東南アジア諸国等の外国捜査機関等との間で、効果的な予防対策や拠点摘発、被疑者の引渡しに係る捜査協力の在り方等について積極的に情報交換や議論を行うなど、国際連携を強化。
- 犯人からの電話を直接受けないための対策
- 今後の取組
- 特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺に深く関与している匿名・流動型犯罪グループや暴力団の実態解明と、あらゆる刑罰法令を駆使した戦略的な取締りを推進。
- 特殊詐欺連合捜査班(TAIT)を活用し、全国警察が一体となった迅速かつ効果的な捜査を推進。
- 海外拠点に関連する情報の一層の収集及び集約を行うとともに、外国当局との国際捜査共助を推進し、海外拠点の積極的な摘発を推進。
- 「国民を詐欺から守るための総合対策」及び「いわゆる「闇バイト」による強盗事件等から国民の生命・財産を守るための緊急対策」を統合する形で、令和7年4月22日に犯罪対策閣僚会議において決定された「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」を踏まえ、複雑化・巧妙化する詐欺等への対策として、一層踏み込んだ対策を迅速かつ的確に講じ、関係機関・団体等とも連携しながら、引き続き、被害防止及び取締りの両面で、各種施策を強力に推進
~NEW~
内閣府 孤独・孤立対策に関する施策の推進を図るための重点計画(孤独・孤立対策重点計画)
▼ 孤独・孤立対策に関する施策の推進を図るための重点計画のポイント
- 令和6年4月に孤独・孤立対策推進法(令和5年法律第45号)施行、同年6月に法に基づく重点計画を策定。
- 法施行後1年間、内閣府において孤独・孤立対策担当大臣を中心に、地方公共団体・NPO等の支援や孤独・孤立の予防を目指した取組等を重点的に推進。また、有識者会議や官民連携プラットフォームにおいても議論を重ねてきた。
- 本部の下の孤独・孤立対策推進会議において、関係府省庁の取組状況を確認し、地方公共団体、地域協議会、関係機関等(NPO等)の意見を聴取した上で、重点計画の改定案を推進本部において審議。
- (1)現行計画の重点取組事項を着実に推進しつつ、(2)現在直面している課題・中長期的な課題等に的確に対応するため、重点計画を改定(孤独・孤立対策推進本部決定)
- 令和6年計画の「特に重点を置いて取り組むべき事項」→取組を強化し、引き続き重点的に推進。
- 地方公共団体への伴走支援やNPO等の取組支援等について、交付金等も活用しつつ、現場の工夫や課題も含めた横展開の取組を推進。
- 「つながりサポーター」の更なる普及を始め、孤独・孤立状態の予防を目指した取組を強化。
- 目標設定の好事例横展開などを通じ、重点計画に定める施策のエビデンスに基づく評価・検証を通じた取組を推進。
- 現在直面している課題・中長期的な課題等→新たに重点取組事項に盛り込み、関係府省連携して対策を推進。
- 小中高生の自殺者数が過去最多
- 令和6年は529人と過去最多。
- 女子中高生についてみると、女子中学生・女子高校生ともに増加している現状
- 児童館やフリースペース、こども食堂といった家庭でも学校でもない多様な居場所づくり、子ども・若者の悩みを地域で受け止め、伴走支援を行う体制の構築、地域で教育や福祉等に携わる方の「顔の見える関係」づくりなど、こども・若者の孤独・孤立状態の予防に向けた取組の推進
- 将来の単身世帯・単身高齢世帯の増加見込み
- 孤独・孤立リスクを抱える方も増加見込み
- 単身世帯数が今後増加し、2050年度44.3%(推計)
- 孤立死者数の推計:約2万2千人
- 孤立死WGが令和6年の推計を公表。
- 「警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者」のうち、生前に社会的に孤立していたことが強く推認される「死後8日以上」を経過していたもの。
- 関係府省庁・地方公共団体との密接な連携の下、現役世代を含めた単身者等の孤独・孤立状態の予防や社会とのつながりを失い孤立死に至ることを予防する観点からの「居場所・つながりづくり」等、中長期的視野に立った孤独・孤立状態の予防のための取組の推進。
- 小中高生の自殺者数が過去最多
- 特に重点を置いて取り組むべき事項
- 地方公共団体及びNPO等への支援
- 連携の基盤となる地方版官民連携プラットフォームや孤独・孤立対策地域協議会の立ち上げ段階や設置後の伴走支援、設置の促進。
- 交付金等を活用した支援に加え、活動事例の周知・横展開や、地方公共団体における取組の工夫や課題の把握・整理を行い、地域の実情に応じた対策が実施されるよう支援。
- 孤独・孤立状態の予防を目指した取組強化
- 悩みや困りごとが深刻化・複雑化する前に対応する、孤独・孤立状態の予防の観点が重要。
- 「孤独・孤立に至っても支援を求める声を上げやすい・声をかけやすい社会」の実現に向けた普及・啓発活動の実施。
- 身の回りの人に関心をもち、できる範囲で困っている人をサポートする一般市民「つながりサポーター」の普及。
- 家庭でも学校でもない多様な居場所づくり、こども・若者への伴走支援、教育や福祉等に携わる方の顔の見える関係づくり等の推進。
- 単身者等の孤独・孤立状態の予防や社会とのつながりを失い孤立死に至ることを予防する観点からの居場所・つながりづくり等の実施。
- 重点計画に定める施策のエビデンスに基づく評価・検証を通じた取組の推進
- 地方公共団体及びNPO等への支援
~NEW~
内閣府 第6回経済財政諮問会議
▼ 資料1 人材希少社会における社会保障・教育政策の強化(有識者議員提出資料)
- 人口減少が加速していく我が国が、将来にわたり発展するには、一人一人の能力を最大限に生かせる社会の構築が欠かせない。このことは、現下の国際秩序の変化の中で求められる、外部環境変化に強い経済構造のベースともなる。その実現に向け、社会保障と教育という国民一人一人へと届く政策をEBPMに基づき強化し、全国各地で、こどもが未来を支える人材として育ち、社会に出ては年齢・性別を問わず能力を発揮し、老後も安心して医療・介護が受けられる地域社会の構築が重要。
- 同時に、これらの政策には持続性が求められる。投入可能な資源が限られる中、全体最適を図りつつ、安定財源を確保する必要がある。特に、現在拡充しつつある少子化対策の財源について、改革工程における医療・介護の歳出改革を充てるという枠組みの維持が大前提であり、さらに、医療・介護・保育・福祉等の公定価格の引上げについて的確な対応を行っていくには、DX・省力化投資の実装や制度改正、応能負担等の改革を通じた保険料負担の抑制努力の継続が一層重要となる。
- 以下、メリハリの効いたワイズスペンディングを徹底すべく、骨太方針に向けて提言する。
- 全世代型社会保障の構築
- 国民の共感が得られる効果的な少子化対策の推進:
- 少子化トレンドの反転やこどもが健やかに育つ社会の実現を目指し、こども未来戦略に基づき大規模な予算が投入されることを踏まえ、それらが出生率やこどものウェルビーイングに関する指標等に与える効果の検証と、その検証結果に基づく政策の見直しを徹底すべき。
- 少子化対策の拡充に伴い、実質的な負担が生じないよう、毎年の歳出改革を着実に積み重ねるとともに、政策の全体像や費用負担の見える化を徹底し、政策に対する国民の共感が得られるようにすべき。
- 医療・介護分野の生産性向上と成長産業化(HX):
- AIによる問診やケアプラン作成、カメラ・センサーといった介護機器の導入等の省力化投資や、標準型電子カルテ導入等の医療・介護DXの実装により生産性向上に結び付くよう、インセンティブの活用等を図るべき。併せて、生産性向上には、行政文書や手続きの簡素化を通じた事務負担の軽減も重要。
- 予防・健康づくりの強化に向け、PHRの活用や更なるスイッチOTC化等により、セルフケア・セルフメディケーションを推進すべき。公的データベースを含む保健データの二次利用促進、治験・臨床試験体制の整備、ヘルスケアスタートアップの伴走支援強化、保険制度の持続性を維持しつつ真にイノベーションを高める薬価制度の見直し等、創薬力強化を推進すべき。
- 医療・介護一体での体制整備とエッセンシャルワーカーの処遇改善:
- 地域医療構想の下、限りある医療資源を最適化・効率化しながら、在宅医療・介護との連携を支える医療機関の明確化や必要な病床機能確保等をデータ分析に基づき推進すべき。
- 介護の提供体制は、生産年齢人口が減少する中、都市部等における急激な需要増への対応とともに、過疎化による需要密度低下がサービス維持の障害となることも見据え、移動支援サービスとの連携や利用者理解に基づく集住の在り方も含めて検討し、地域毎の需給に基づく地域包括ケアシステムの深化を図るべき
- 公定価格について、保険料負担の抑制努力を継続しつつ、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、また、医療・介護・保育等それぞれの現場の実態に即して働きに見合った対価が支払われるよう、きめ細かく対応する必要がある。医療法人における職種別給与情報の開示義務化の検討や、運用が開始された介護事業者データベースに基づく分析結果の公表など、経営情報の更なる見える化を実行し、経営形態やサービス内容等に応じたメリハリある措置を講ずべき。
- 給付と負担のバランス確保と社会変化に即した保険制度の見直し:
- 給付の不断の見直しに加え、所得・資産に即した応能負担の強化が必要。その検討や要支援世帯の把握・分析等に資するよう、所得・資産・世帯構成等の行政情報が一元管理される、データの相互利用基盤の整備について課題を詳細に検討すべき。また、長年の課題である介護の給付と負担の見直しも、応能負担の考え方等の下、年内に確実に結論を得るべき。
- 高額負担のリスクへの備えである高額療養費制度の再検討が予定されているが、その際には、例えば薬剤自己負担の見直し等、小さなリスクへの自助の考え方に基づく保険給付の在り方を併せて検討することも選択肢としながら、必要な改革効果を確保すべき。
- 世界最高水準の健康寿命を誇る我が国の高齢者は、更なる健康寿命の延伸や労働参加率の上昇が継続しており、これらはウェルビーイングの向上や生涯活躍社会の構築を前進させる重要な変化。その中で、一人当たり医療費が上昇する年齢もより高齢期にシフトしている。これまでの健康寿命の延伸に伴う高齢者医療費の変化に着目して、後期高齢者医療制度導入から15年以上が経過する中、高齢者医療制度の在り方を検討すべき。
- 国民の共感が得られる効果的な少子化対策の推進:
- 国・地方の競争力・持続可能性を高める教育改革・研究開発力の強化
- 公教育の再生・強化:
- 求められる能力・人材像が変化する中で、個別最適・協働的な学びの充実や教職員の働き方改革について、質の向上に係る効果を測定し、進捗を管理しながら着実に推進すべき。いわゆる「教育無償化」については、「全ての若い世代に対して多様で質の高い教育を実現するとともに、経済的事情による教育格差を是正する」という目的が実現されるよう、高校教育の質的向上に向けた指針の策定や授業料便乗値上げの防止策等に取り組むとともに、安定的な財源を確保すべき。
- 高等教育機関の機能強化:
- 各機関における教育・研究開発力の「質」に係る適切な評価指標の設定に加え、国全体でのKPI、KGIも設定した上で、国際卓越研究大学制度や地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)等の施策を着実に推進するとともに、再編・統合、縮小、撤退等、人口やこどもの数を意識した規模の適正化に向けた取組も進めるべき。
- 人口・産業構造の変化に伴うアドバンスト・エッセンシャルワーカーの需要の高まりや、学習・就労意欲のある高齢者の拡大等が見込まれる中で、地域ごとに人材育成計画を立て、その実情に即して地方大学・高専等の役割を明確化し、産業人材育成やリカレント教育・リスキリング等を推進し、新たな活躍の場や付加価値の創造につなげるべき。
- 知のグローバル化が進展する中で、海外での研さん機会の拡大を含む教育・研究の国際化を促進し、学力・研究開発力を強化すべき。研究者の処遇を含む研究開発環境を改善し、海外への恒常的な頭脳流出を防ぐとともに、上記の事業や特区制度を含む既存施策の活用・見直しに加え、昨今の国際情勢の変化も踏まえた新たな取組を戦略的に組み合わせるなど、海外の高度人材の獲得を抜本的に強化し、国際頭脳循環における拠点となることを目指すべき。
- 公教育の再生・強化:
- 全世代型社会保障の構築
▼ 資料3 マクロ経済運営について(有識者議員提出資料)
- 世界経済の先行きについての不透明感が高まっている。最大の下振れリスクである米国の関税措置による実体経済・金融資本市場への影響に加えて、自国第一主義や権威主義的国家の台頭、ロシアによるウクライナ侵略や東アジアを含めたグローバルな地政学リスクの高まりなど、我が国が長年にわたり恩恵を受けてきた自由貿易体制をはじめとしたこれまでの国際秩序が変化しつつあり、不確実性が高まっている。
- こうした環境の中で、足下の物価高、恒常的な人手不足等の課題に直面する日本経済は、適切なマクロ経済運営の下、不確実性の高まりにひるむことなく、賃上げや投資拡大の流れを止めないように取り組み、成長と分配の好循環を実現するとともに、国際環境の変化に対応できる経済構造に転換していく必要がある。こうした問題意識の下、以下、提言する。
- 関税措置を踏まえたマクロ経済運営
- 国際機関や民間機関は、米国の関税措置が我が国の成長率を押し下げるとの見通しを示している。関税措置が、貿易への直接的な影響だけでなく、家計や企業のマインド悪化等を通じて消費や投資を下振れさせるリスクを注視しながら、経済財政諮問会議において、マクロ経済の観点から課題を総合的に分析しつつ、今後の政策運営について継続的に議論すべき。
- 不確実性が高まることで、企業が設備投資を手控える懸念があり、緩和的な金融環境の下で、政府として省力化投資などの投資拡大を計画的に促進すべき。更に、2030年度に135兆円、2040年度に200兆円の民間設備投資を目指して、官民で投資拡大に取り組むべき。
- 米国関税措置に加え、食料品を中心とした物価上昇の継続の中で消費マインドが悪化している。財源の裏付けのない減税政策よりも、経済全体のパイを拡大する中で賃上げモメンタムを定着させることが重要であり、生産性向上・成長力強化を図るべき。物価高対策については、コメを安定した価格で供給するための対策など、物価・経済の状況に応じて必要な対策に焦点を当てて実施すべき。
- 米国で株式・債券・通貨のトリプル安となる局面が生じた。足下で、我が国の超長期国債の金利が上昇しているが、市場において長期的な財政の持続可能性への疑念が高まり、不測の金利上昇を招くことのないよう、2%の物価目標を安定的に実現しつつ、経済再生と財政健全化を両立させることが重要。
- 経済構造の在り方の検討
- 米国の関税措置などの保護主義的な動きや地政学上又は金融資本市場における不確実性の高まりなどの国際秩序の変化は、我が国の経済財政運営にとっての大きなパラダイム・シフトである。このパラダイム・シフトに際して、ピンチをチャンスに変えるためにも、世界の中で我が国のプレゼンスを高めるようにすることが重要。
- 外部環境変化に強い経済構造への転換など、変化しつつある国際秩序の下での我が国の経済構造の在り方、取るべき戦略・対応策について、経済財政諮問会議で議論を深めるべき。
- 成長と分配の好循環拡大、人手不足経済の下での質の高い雇用の創出
- 成長と分配の好循環を拡大する上で、物価上昇を上回る賃上げの普及・定着がカギを握る。今後5年間で、日本経済全体で年1%程度の実質賃金上昇(持続的・安定的な物価上昇の下で、これを1%程度上回る賃金上昇)がノルムとして定着するように取り組むべき。
- 中小企業等が継続的に賃上げできる環境を整備するため、生産性向上、価格転嫁等について賃金向上推進5か年計画を強力に実行することが重要。こうした取組によって最低賃金引上げを後押しし、2020年代に全国平均1500円という高い目標の達成に向け、たゆまぬ努力を継続し、官民で、最大限の取組を5年間で集中的に実施すべき。また、最低賃金の地域差是正に向けて、昨年大幅に引き上げた徳島県等の取組・状況を丁寧に分析し、必要な支援を検討すべき。
- 政府部門においても、公的制度の閾値・基準値の点検、医療・介護等の公定価格における的確な対応、官公需における賃上げ原資を確保できる価格転嫁の徹底に取り組むべき。また、地方公務員の兼業・副業の弾力化や会計年度任用職員の在り方の見直しを推進すべき。
- 関税措置による経済の下押しによって一時的に需給が緩和することがあっても、生産年齢人口の減少に伴う人手不足は今後も継続する見込み。特に、日本経済の約8割を占める非製造業は、需要が高まる中で人手不足感が極めて強い。非正規比率も高い小売・飲食・宿泊を中心に、デジタル・AI・ロボット等も活用してアドバンスト・エッセンシャルワーカーの育成を通じて労働生産性を高めるとともに、観光需要の平準化など需要面の取組とあわせて、今後の成長の源泉としていくべき。
- 人手不足傾向が続く中では、生産性を向上させ、雇用の質を高めることが重要。国際的な環境変化などに対応した産業構造の変革を進める上でも、リスキリングなど「人への投資」促進によるスキルアップ、雇用のマッチング機能の強化等により、質の高い雇用への労働移動の円滑化を重視した雇用政策とすべき。また、生産性とエンゲージメントの向上に資する多様で柔軟な働き方の実現に向け、労働基準法制の見直しを検討すべき
- 関税措置を踏まえたマクロ経済運営
~NEW~
国民生活センター 18歳・19歳の消費生活相談の状況-2024年度-
- 2022年4月1日の成年年齢引下げから3年が経過しました。以下では契約当事者が18歳・19歳の消費生活相談の状況をまとめました。
- 2024年度の18歳・19歳の相談件数は、2023年度と比較してやや減少。
- 商品・役務等別でみると、2023年度の傾向と大きな変化はなく、引き続き「美(び)」(「脱毛エステ」「医療サービス」など)や「金(かね)」(「他の内職・副業」など)に関する相談が多く寄せられている。
- 年度別相談件数:2020年度は11,387件、2021年度は8,536件、2022年度は10,027件、2023年度は9,784件、2024年度は8,962件です。
▼ [報告書本文]18歳・19歳の消費生活相談の状況-2024年度-
~NEW~
国民生活センター 高齢者サポートサービスの契約トラブルに注意
- 内容
- 折込チラシを見て、高齢者の生活支援などをしてくれる事業者と契約をした。サービス内容は身元保証、生活支援、葬送支援で、代金は約190万円だった。勧誘時に「190万円以外にお金はいらない」と言われていたので、ここからサービス代金が支払われるという認識だった。ところが、サービスを利用するとその都度代金を請求される。解約したいと言うと、半分しか返せないと言われた。(80歳代)
- ひとこと助言
- 家族や親族に代わって高齢者の身元保証、日常生活の支援、死後事務などを行う「高齢者等終身サポートサービス」は、事業者によって提供されるサービスの内容や料金体系などが様々です。契約をする前に、サービス内容や支払総額、解約条件等をよく確認しましょう。
- 契約内容等がよく理解できなければその場で判断せず、周囲の人に相談するなどして、十分に検討しましょう。国の「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」のチェックリストなども参考にするとよいでしょう。
- 自治体が高齢者を支援するサービスを実施している場合もあるため、まずはお住まいの地域のサービスについて調べてみましょう。
- 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
~NEW~
経済産業省 2025年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)
▼ 2025年版ものづくり白書(概要)
- 近年、世界各国で産業政策の展開が加速し、その目的も多様化。欧州ドラギレポートの発表や米国トランプ政権の施策転換等、世界各国の経済産業政策では、産業競争力と脱炭素、経済安全保障といった要素とを複合的に捉える動きが進む。事業環境の不確実性が高まる中、製造事業者は脱炭素、経済安全保障を複合的に考慮した中長期的な成長投資を行うことが重要。
- DXは、産業競争力の強化に向けて製造事業者の稼ぐ力の向上やGXの推進等に資する重要な取組。
- 経済安全保障に関する我が国製造事業者の理解度について、「聞いたことがない」と回答した事業者は約6%にとどまる一方、「聞いたことはあるが、具体的なイメージが分からない」との事業者が約7割と最も多い。また、「経済安全保障」、脱炭素といった「環境適合」、「DX」の各取組状況を確認したところ、経済安全保障に関して、「行っていない」との回答が約6割と、他に比して取組がなされていないことが分かった。→経済安全保障という言葉の認知度は一定程度あるが、具体的な取組は未だ浸透していない。
- 製造事業者がリスク分析を実施する際、意識しているサプライチェーンの範囲について、自社を起点として川上・川下側ともに、直接の取引先及び2、3社先までの把握にとどまっている事業者が9割強と大宗を占める。
- 取組を実施していない理由として、「自社の経営において必要性を感じない」、「何をすべきかわからない」との回答が多い反面、実施している事業者は、安定的な「事業の継続」を中心にその効果を感じている。製造事業者の持続的な成長の実現に向けて、まずは自社にとっての経済安全保障への対応の必要性を理解することが必要。その上で、自社に適した社内体制や実施プロセスを確立させながら、中長期的な目線で主体的に取り組むことが求められる。政府としても、取組の好事例の発信や官民対話を通して、理解促進に取り組んでいく必要がある。
- 製造業における正社員へOFF-JTを実施した事業所の割合は新型コロナウイルス感染症拡大前の水準を超えている。一方で、正社員以外は、コロナ以前の水準に戻っていない。製造業におけるOFF-JTの事業所規模別実施状況をみると、企業規模が大きいほど実施率が高く、企業規模により差が大きい。従業の自己啓発に対する支援を行っている事業所の割合は80.7%であり、「受講料などの金銭的援助」が最も多い。事業所の規模別でみると、大規模事業所の方が支援を行っている割合が高くなっており、「教育訓練機関、通信教育等に関する情報提供」などの差が特に大きくなっている。
- デジタル技術の導入のきっかけは、従業員規模が小さい企業は、経営者・役員の発案の割合が最も高く、従業員規模が大きい企業は、社内からの要望(経営者、役員以外)の割合が最も高い。また、従業数301人以上の企業では、様々な導入の契機がうかがえる。デジタル技術の導入に際しては、約6割の企業が社内人材の活用・育成により人材確保を行っており、約2.5割が新たな人材確保を行わず導入部署の既存人材のみで対応している
- デジタル等の成長分野を中心とした人材育成
- 数理・データサイエンス・AI教育の推進
- 数理・データサイエンス・AI教育に関するモデルカリキュラムや教材等をコンソーシアム活動を通じて全国へ普及・展開させるとともに、大学院教育におけるダブルメジャーの学位プログラム構築等を推進。
- 半導体人材の育成等
- 半導体産業の将来を担う人材の育成・確保に向けて、各地域の産官学連携コンソーシアムによる取組や、学部転換基金の活用、産学協働の実践的な教育体制を構築する事業を実施。
- マイスター・ハイスクール(次世代地域産業人材育成刷新事業)
- 専門高校においては、最先端の職業人材育成システムを構築し、全国各地で地域特性を踏まえた取組を加速。
- リカレント教育によるエコシステムの構築に向けた取組
- 大学等が地域や産業界と連携し、経営者を含む地域や産業界の人材育成ニーズを踏まえたリカレントプログラムの開発。
- 数理・データサイエンス・AI教育の推進
- ものづくり人材を育む教育・文化芸術基盤の充実
- 我が国の競争力を支えるものづくりの次世代を担う人材を育成するため、ものづくりへの関心・素養を高める小学校、中学校、高等学校における特色ある取組の実施や、大学における工学系教育改革、高等専門学校における人材育成など、ものづくりに関する教育の一層の充実が必要。
- 大学における工学関係学科、高等専門学校、専門高校(工業に関する学科)、専修学校においては、我が国のものづくりを支える高度な技術者などを多数輩出している。
- 大学(工学系)の人材育成
- 成長分野への学部転換等の改革のための基金による機動的かつ継続的な支援。
- 加えて、低所得世帯の学生等を対象に授業料等減免と給付型奨学金の支給を行う「高等教育の修学支援新制度」の対象について、2024年度から私立理工農系等の学生等の中間所得世帯に拡充。
- 専門高校(工業に関する学科)の人材育成の状況
- 地域や産業界との連携・交流を通じた実践的な学習活動を行っており、地域産業を担う専門的職業人を育成。
- 大学(工学系)の人材育成
- Society5.0実現のための研究開発
- Society5.0の実現に向け、第6期科学技術・イノベーション基本計画に基づき、総合知やエビデンスを活用しつつ、バックキャストにより政策を立案し、イノベーションの創出により社会変革を進めていく。
- 最先端の大型研究施設の整備・活用の推進
- 大型放射光施設(SPring-8)、X線自由電子レーザー施設(SACLA)、3GeV高輝度放射光施設(NanoTerasu)、スーパーコンピュータ「富岳」、大強度陽子加速器施設(JーPARC)
- 未来社会の実現に向けた先端研究の抜本的強化
- 次世代の人工知能、マテリアル革新力強化、量子技術イノベーション、環境・エネルギー分野における研究開発の推進など未来社会の鍵となる先端的研究開発を推進
- 産学官連携を活用した研究開発の推進
- 民間企業との共同研究による大学等の研究費受入額、および1件当たりの受入額が1,000万円以上の共同研究に係る研究費受入額ともに、着実に増加。また、2023年度の大学などにおける特許権実施等件数は2万4,870件であり、産学連携活動は着実に進展している。
- 最先端の大型研究施設の整備・活用の推進
- Society5.0の実現に向け、第6期科学技術・イノベーション基本計画に基づき、総合知やエビデンスを活用しつつ、バックキャストにより政策を立案し、イノベーションの創出により社会変革を進めていく。
- 近年、世界各国で産業政策の展開が加速し、産業競争力・脱炭素・経済安全保障の3要素を複合的に捉える動きが進む。事業環境の不確実性が高まる中、製造事業者は脱炭素、経済安全保障を複合的に考慮した中長期的な成長投資を行うことが重要。→産業競争力の強化に向けて、DXは製造事業者の稼ぐ力の向上やGXの推進等に資する重要な取組。
- 経済安全保障については、製造事業者の6割が未対応で、事業リスクの把握・分析、社内理解の確保等に課題。先行する取組事業者では、中長期的にはコストよりも効果を評価する者が多く、社内理解の促進を全社的に進める事例も存在。経済安全保障の更なる推進に向けて、政府としても一層の官民対話・理解促進に取り組んでいく。
- 製造業の業況は、大企業では改善傾向が続いたものの、2025年3月調査で悪化と転じた。一方で、中小企業は、足元では徐々に改善が見られる。2024年の営業利益は、回復に転じ20兆円台に到達した。
- 事業環境に影響を及ぼす社会情勢の変化として、2024年度も引き続き「原材料価格(資源価格)の高騰」、「エネルギー価格の高騰」に加え「労働力不足」を挙げる事業者が多い。直近3年間で実施した企業行動では、約9割の事業者が「価格転嫁」、約8割の事業者が「賃上げ(従業への還元)」、また半数以上の事業者が「人材確保」、「設備投資」を挙げている。
- 中長期的には、経済安全保障リスクに対応しないことによって損なう収益の方が、取組にかかるコストを上回ると考えている製造事業者の割合が増加する。
- 製造業の就業者数は、2023年は1,055万人、2024年は1,046万人とわずかに減少した。中小企業における産業別従業員数過不足DIをみると、製造業は、2020年に新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を受け過剰に転じたが、それ以降不足に転じ、2024年はマイナス18.2と、同感染症の感染が拡大する以前(2019年)と同じ水準になっている。2002年からみると、若年就業者数は減少し、高齢就業者数は増加しているが、近年はほぼ横ばいで推移。
- 製造業における計画的なOJT及びOFF-JTを実施した事業所の割合は、正社員は新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前の水準を超えている。一方で、正社員以外は感染拡大以前の水準に戻っていない。全産業と比べると正社員はやや高いが、正社員以外は低くなっている。製造業における自己啓発を行った労働者の割合は、正社員が4割前後、正社員以外が2割未満で概ね横ばいで推移している。全産業と比べてやや低い値となっている。製造業における人材育成の問題は、6割以上の事業所が「指導する人材が不足している」となっている。
- 人生100年時代に対応するため、社会人の学び直しなど生涯現役社会の実現に向けた取組が必要。社会人向けの実践的な教育プログラムの充実や学習環境の整備に取り組む。
- 我が国の女性研究者の割合は年々増加傾向にあるものの、先進諸国と比較すると依然として低い水準。女性がものづくりや理数系分野への関心を高めることができるような取組や、女性研究者などが自らの力を最大限に発揮できるような環境整備を実施。
- 文化財の持続可能な保存・継承体制の構築を図るための5か年計画(2022年度~2026年度)として、「文化財の匠プロジェクト」を推進。2022年12月には、本プロジェクトについて、文化財修理に不可欠な原材料のリスト化や支援の充実、中堅・若手技術者等の意欲を高めるような表彰制度の創設、国指定文化財の長期的な修理需要予測調査の推進などについて新たに位置づける改正を実施。
- Society5.0の実現に向け、第6期科学技術・イノベーション基本計画に基づき、総合知やエビデンスを活用しつつ、バックキャストにより政策を立案し、イノベーションの創出により社会変革を進めていく。
- 最先端の大型研究施設の整備・活用の推進
- 大型放射光施設(SPring-8)
- X線自由電子レーザー施設(SACLA)
- 3GeV高輝度放射光施設(NanoTerasu)
- スーパーコンピュータ「富岳」
- 大強度陽子加速器施設(JーPARC)
- 最先端の大型研究施設の整備・活用の推進
- 次世代の人工知能、マテリアル革新力強化、量子技術イノベーション、環境・エネルギー分野における研究開発の推進など未来社会の鍵となる先端的研究開発を推進
- 「博士人材活躍プラン~博士をとろう~」等を踏まえて、博士後期課程学生の処遇向上とキャリアパス確保を一体的に実施する大学に対して「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」により支援。また、「国家戦略分野の若手研究者及び博士後期課程学生の育成(BOOST)」により、次世代AI分野(AI分野及びAI分野における新興・融合領域)における、次代を担う若手研究者と博士後期課程学生に対して支援。
- 先進的な理数系教育を実施する高等学校などを「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定
- 対等な協力関係の下で、戦略的に重要な対象国・地域、分野における国際共同研究(SICORP)と、政府開発援助(ODA)との連携により、開発途上国のニーズに基づいた、環境・エネルギー分野、防災分野、生物資源分野、感染症分野における地球規模課題の解決につながる国際共同研究(SATREPS)を推進。
- 府省や産学官の垣根を越えて基礎研究から社会実装まで一貫して推進。SIP第3期では、我が国が目指す将来像(Society5.0)の実現に向けた14課題について、プログラムディレクターのもとで、府省連携・産学官連携により、5つの視点(技術、制度、事業、社会的受容性、人材)から必要な取組を推進する。
- CSTIの司令塔機能を生かし、各省庁施策のイノベーション化に向けた重点課題を設定し、2024年度は各省庁から提案された課題により社会課題解決や新事業創出等の各省庁の取組を推進する。
- 民間企業との共同研究による大学等の研究費受入額、および1件当たりの受入額が1,000万円以上の共同研究に係る研究費受入額ともに、着実に増加している。また、2023年度の大学などにおける特許権実施等件数は2万4,870件であり、産学連携活動は着実に進展している。
~NEW~
経済産業省 「経済安全保障に関する産業・技術基盤強化アクションプラン再改訂版」を公表しました
- 国際情勢や技術革新の歴史の転換期にある中、我が国の経済安全保障政策を強化すべく、経済安全保障に関する産業・技術基盤強化アクションプランを再改訂しました。
- 2024年5月に本アクションプランを改訂して以降、僅か1年の間に我が国を取り巻く経済安全保障環境は大きく変化し、一層厳しさを増しています。大国による技術競争は、生成AIや量子等の先端技術から、鉄鋼や造船等の伝統的な製造業まで、産業・技術基盤全体に射程が広がりつつあります。さらに、宇宙や海洋などの次世代の戦略領域の競争も激しさを増すとともに、産業・技術基盤を支えるエネルギーの重要性も高まっています。このような中、我が国の経済安全保障に関する自律性、不可欠性を確保するための取組を、より一層強化していく必要があります。加えて、足元の歴史的なパラダイムシフトを、我が国の産業・技術基盤の新たな飛躍の機会に変え、「世界にとってかけがえのない日本」を実現するため、関係省庁と連携しながら、官民で本アクションプランの実現に着実に取り組みます。
▼ 経済安全保障に関する産業・技術基盤強化 アクションプラン(再改訂)
~NEW~
経済産業省 価値創造経営小委員会の中間報告を公表します
- 経済産業省では、産業構造審議会経済産業政策新機軸部会の下に価値創造経営小委員会を設置し、「企業の成長戦略を中心とする社会システム・政策体系」の構築に向けて、企業の成長戦略の構築・実行の支障となる社会システムの課題とその解決のための政策検討の方向性について議論を行ってきました。
- 今般、小委員会のこれまでの議論をとりまとめ、中間報告として公表します。
- 背景・問題意識
- 足下、我が国でもデフレ脱却に向けた歩みが着実に進み、国内外の原材料費や人件費の高騰に伴って、コストカット型経営のみでは、企業の持続的な収益拡大は期待できなくなっています。また、GXやDXといった不確実性の高い成長領域で主導権を握るためのグローバルな投資競争が激しくなる中で、企業には、新たな市場を切り拓く成長戦略の策定と実行が不可欠になっています。こうした中で、我が国の上場企業は、売上や利益、株主還元等を着実に伸ばす一方で、人材、研究開発、設備といった中長期の収益拡大に繋がる大胆な成長投資には十分に踏み切れていないとの指摘も存在します。
- 企業の多くが成長戦略を実行できない背景には、企業自身の努力のみならず、社会システムにおける様々な課題が企業のリスクテイクを阻んでいるからではないかという問題意識の下、本小委員会では、企業がリスクをとって持続的な成長を目指していく「攻めの経営」、すなわち、中長期目線の成長戦略によって成長期待を集め、事業ポートフォリオを最適化した上で、積極的な成長投資を実践する経営に踏み出せるよう、「企業の成長戦略を中心とする社会システム・政策体系」の構築に向けて、企業の成長戦略の構築・実行の支障となる社会システムの課題とその解決のための政策検討の方向性について議論を行いました。
- ※なお、本小委員会では、我が国の上場企業を念頭に議論を行いました。
- 概要
- 本中間報告では、「企業の成長戦略を中心とする社会システム」の実現に向けた政策検討の方向性を整理するにあたり、資本収益性(ROE等)と成長期待(PBR等)の2軸で上場企業全体を企業群(1)~(4)の4つの象限に分類した上で、企業が資本収益性や成長期待のより高いポジションへ移行しようとする際に優先順位が高いと思われる有効な企業の打ち手と、その打ち手の実行の支障となる社会システムの課題を「価値創造マップ」として整理しました。
- 例えば、企業群(1)(成長期待低・資本収益性低)から企業群(2)(成長期待低・資本収益性高)への移行においては、コア・コンピタンスを起点とした既存事業の収益力強化や事業・資産の組み替え等の構造改革等が優先順位の高い打ち手となり、その際に、事業再編手法の多様化や企業間連携の迅速化等が課題となります。また、企業群(3)(成長期待高・資本収益性低)が企業群(4)(成長期待高・資本収益性高)へと成長し、さらには、企業群(4)(成長期待高・資本収益性高)が更なる成長を続けるには、成長投資を継続・加速させ、株主還元に優先させることが有効な打ち手となり、大規模かつリスクの高い投資等の資金調達や、大学・スタートアップと連携した研究開発等が課題となります。
- 加えて、全経路共通の課題として、コーポレートガバナンスの実質化、企業と投資家の価値協創関係の構築に向けた株主還元・株主総会・議決権行使・開示、長期性のリスクマネーを供給するアセットオーナーの多様化等を取り上げました。
- 最後に、「打ち手の実行の支障となる社会システムの課題」を解決するための政策検討の方向性を整理しました。今回整理された課題や政策検討の方向性を踏まえ、経済産業省としては、今後、国内投資環境の整備等も含め、「企業の成長戦略を中心とする社会システム」を構築する上で必要な施策を具体化・実行・検証していきます。
~NEW~
国土交通省 令和7年版「首都圏白書」をとりまとめました(令和6年度首都圏整備に関する年次報告)
▼ 令和7年版首都圏白書について
- 土地に関する動向
- 地価公示は、全国全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇幅が拡大。三大都市圏でも上昇幅が拡大。
- 地方四市では上昇幅がやや縮小したが、その他の地域では概ね拡大傾向が継続。
- 土地取引件数は、ほぼ横ばいで推移。
- アンケート調査では、日常的に利用されていない土地について、「管理が行き届いていない」が「管理が行き届いている」を少し上回る4割強。
- 海外投資家による不動産投資額の割合は、国内投資額全体の約17%でほぼ横ばい。
- オフィスビルの賃料は上昇傾向にあり、空室率は下落。
- 土地白書(民間投資を活かした地域の活性化
- 地域経済・産業を活性化する土地利用
- 官民連携による新たな交流拠点の形成
- 新幹線開業を機に、観光客向けの物販や飲食店だけでなく、地域住民向けの公設民営の書店やカフェ、子育て支援施設等の設置により、駅前に新たな地域の交流拠点を形成
- 設計と運営の一体公募により、市と民間事業者、指定管理者が連携して、資金スキームを含めた持続可能な運営環境を構築
- 開業1年で当初見込んでいた年間40万人を上回る年間70万人の来場者を記録(令和5年9月)
- LRT整備や駅前開発等を通じた沿線投資の拡大
- バスや自家用車への依存により発生していた慢性的な渋滞を解消するため、鉄道駅と工業団地を結ぶLRTを整備。主要停留場には、乗換施設を設置し、LRTとバスや自転車等の様々な交通との接続を図るなど、公共交通と自動車が共存する社会への転換を指向
- 宇都宮駅東口において、LRT駅に直結した交流広場を中心に、ホールや商業施設等を整備して、にぎわいを創出
- 沿線の工業団地等において新たな投資が拡大
- 官民連携による新たな交流拠点の形成
- 地域の風土を活かした新たな土地利用
- 田園風景を活かした宿泊施設等の整備
- 地域にある「田んぼ」の風景に価値を見出し、ホテルとキッズドーム(屋内型遊戯・教育施設)を整備
- バイオテクノロジーの研究施設が集積する鶴岡サイエンスパーク内において、地域住民と観光客の双方が活用できる空間を創出し、持続可能な地域の実現を推進
- もともと観光地ではなかった田園地帯に、現在では宿泊客だけでも年間約6万人が滞在
- 温泉街全体の面的再生
- 廃業旅館の跡地や河川、道路等の公共施設を幅広く活用し、温泉街全体を面的に再生
- 市・地元企業・投資家・外部専門家等が地域一体でプロジェクトに参画
- 長門市を訪れる観光客数は、令和5年の観光客数は約200万人であり、前年から2.4%増加
- 田園風景を活かした宿泊施設等の整備
- 地域経済・産業を活性化する土地利用
~NEW~
国土交通省 「令和6年度交通の動向」及び「令和7年度交通施策」(交通政策白書)について
▼ 令和7年版交通政策白書について(参考資料)
- 交通の動向
- 旅客輸送
- <国内>コロナ禍によって大幅に減少した旅客輸送量は、各交通モードとも2022年度比で増加。多くのモードにおいて、コロナ禍以前の水準には達していない状況。
- <国際>コロナ禍で落ち込んでいた航空旅客は、2023年度も前年度比で大きく増加しているが、コロナ禍以前の水準には達していない状況。
- 貨物輸送
- <国内>2023年度は内航海運以外はほぼ横ばいであるが、内航海運は2022年度比で減少。全モードにおいて、コロナ禍以前の水準には達していない状況。
- <国際>中国経済の停滞等の影響から、外航海運、国際航空貨物とも、2022年(度)比でいずれも減少。
- 旅客輸送
- 「交通空白」の解消に向けた地域交通のリ・デザインの全面展開
- 現状認識・課題等
- 人口減少や高齢化等が進行する中、日常サービスを支える地域交通の役割の重要性は増加。一方で、減便・廃止、運転者の不足により危機的な状況
- 訪日外国人旅行者数はコロナ禍前を超えたものの、訪問先は三大都市圏に偏在しており、更なる地方誘客が必要。一方で、地方部においては二次交通の確保が課題
- 鉄道・バス、公共・日本版ライドシェア等の新しい移動手段など、あらゆる移動手段を総動員しながら、「交通空白」を解消し、「地域の足」及び「観光の足」の確保を強力に進めることが必要
- 対応の方向性・取組等
- 2024年7月に「国土交通省「交通空白」解消本部」を設置、課題を抱える自治体への直接訪問等の伴走支援や関係業界との橋渡し等を精力的に推進
- 同年11月に「「交通空白」解消・官民連携プラットフォーム」を設置、官民関係者の幅広い連携をもとに、全国各地の課題解決に取り組む体制を整備
- 2025年度から2027年度までを「交通空白解消・集中対策期間」と定め、自治体や交通事業者に対する伴走支援や、パイロット・プロジェクトの推進、民間の技術やサービスの導入、財政面での支援など、あらゆるツールを総動員し、「交通空白」の解消に向けた地域交通のリ・デザインの全面展開を推進
- 現状認識・課題等
- 空港の機能強化・受入環境整備
- 現状認識・課題等
- 政府目標である2030年訪日外国人旅行者数6,000万人の達成に向けては、成田国際空港をはじめとする全国の空港の機能強化の推進が必要
- また、各空港におけるグランドハンドリングや保安検査をはじめとする空港業務の体制強化が必要不可欠
- 対応の方向性・取組等
- 2025年3月、利用者数2,400万人、発着回数は滑走路1本では国内第1位の福岡空港の第2滑走路が供用開始
- 更なる処理能力の向上に向けては、進入方式の高度化が必要であり、今後の需要動向を踏まえ、地元の理解を得た上で増枠を検討
- 空港ごとの合同説明会の開催や共用休憩室の整備等の人材確保や処遇改善等に向けた取組を官民一体となって推進
- 空港業務の省力化・自動化に向け、空港の制限区域内における自動運転レベル4実現に向けた取組を推進するなど空港業務のDX化を推進
- 現状認識・課題等
- クルーズ再興に向けた訪日クルーズ本格回復への取組
- 現状認識・課題等
- 新型コロナウイルスの影響で停止した外国クルーズ船の寄港を、2023年から本格的に再開。2024年度は、受入施設の整備や受入促進、港湾周辺の魅力向上等を図る取組を推進
- 結果、訪日クルーズ旅客数は回復途上も、外国クルーズ船の寄港回数は、コロナ前の水準まで回復。また、寄港する港湾数は、コロナ前よりも4割程度増加
- 一方、クルーズ船の船型や寄港地が多様化する中、二次交通の確保等、旅客を円滑かつ安全に受け入れるための環境整備が課題
- 対応の方向性・取組等
- 港湾施設の改良や二次交通利用のピークシフトに資する取組とともに、多様なクルーズ船が寄港する地域等の二次交通対応強化を目的とした協議体設立・活用を後押しする等の新たな取り組みを推進
- 現状認識・課題等
- 物流の革新や持続的成長に向けた取組
- 現状認識・課題等
- 「2024問題」に対応するため、「物流革新に向けた政策パッケージ」等に基づき、抜本的・総合的な対策を実施
- 関係者による取組が成果を上げていることなどにより、懸念された物流の深刻な停滞は発生せず
- 一方、2030年度には、ドライバーの担い手不足が深刻化するなどにより、更なる輸送力不足が見込まれることから、物流の効率化や人材確保の一層の取組強化が必要
- 物流危機への対応や温室効果ガス削減等に向け、新たな物流形態として、道路空間を活用した「自動物流道路」の社会実装に向けた検討の必要性も位置づけ
- 対応の方向性・取組等
- 更なる物流の革新と持続的成長に向けて「2030年度に向けた政府の中長期計画」及び2025年4月施行の改正物流法等に基づき、物流事業者、荷主企業・消費者、経済社会の連携・協力のもと、新たなモーダルシフトの推進、多重取引構造の是正、地域と連携した物流拠点の整備等の取組を推進
- 2025年3月の「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」での総理指示を受け、2030年度までの期間を物流革新の「集中改革期間」と位置付け、中長期計画の見直しを反映した「総合物流施策大綱」の策定に向けて検討を開始
- 2024年7月に「自動物流道路」の社会実装に向けた検討に係る中間とりまとめを実施。2027年度までの社会実験の実施、2030年代半ばまでの第1期区間での運用開始等に向け、事業スキーム・社会実験の実施方針を含め、2025年夏頃の最終とりまとめに向けた取り組みを推進
- 現状認識・課題等
- 交通部門における防災対策強化の取組
- 現状認識・課題等
- 令和6年能登半島地震では、半島における山がちな地形特性や地盤隆起等による被災特性がある中、支援物資輸送等の活動を行うTECーFORCEの活動期間や規模が増大
- 南海トラフ地震等の大規模災害に立ち向かうためにも、より迅速な災害対応を図るため、被災自治体支援に資するTEC-FORCE等の対応力の強化が必要
- 対応の方向性・取組等
- 能登半島地震での対応等も踏まえ、啓開体制の確保や災害支援体制・機能の充実・強化等、今後の防災対策強化の取組を2024年12月に「防災立国推進閣僚会議」にて公表
- 交通部門における災害対応力強化のため、国による空港の工事代行制度や、応急復旧に係る港湾の応急公用負担制度の創設、道路啓開計画の法定化等を含めた、関係法の改正案を2025年通常国会に提出・法制化
- 現状認識・課題等
- 国土交通分野のデータ整備・活用・オープンデータ化プロジェクト(Project LINKS)
- 現状認識・課題等
- 人口減少・少子高齢化に対応し、防災、交通等多様な分野における官民の生産性の向上に向け、政策やビジネスにおけるデータ活用や新サービス創出等を進めることが必要
- 幅広い施策・制度・手続を所管する国土交通省には膨大な行政情報が蓄積されるも、十分活用されず、宝の持ち腐れ状態
- これら行政情報を「データ」として整備し、官民が利用可能な基礎的な情報として提供するとともに、行政内での活用環境を整備する取組が必要。その際、ユースケースの開発も同時に行っていくことが重要
- 対応の方向性・取組等
- 行政情報を生成AI(LLM)技術を用いて、機械処理・二次利用可能な「データ」として再構築し、官民が利用可能な基礎的な情報を提供するとともに、オープンデータを利用したビジネス創出(オープン・イノベーション)や政策立案におけるデータ活用(EBPM)を促進する取り組みを「Project LINKS」として推進
- 具体的な取組として、2024年度は、無人航空機の飛行特性・事故分析等の先導領域のユースケースを展開(小規模なPoC(実証実験)10件程度)、プロジェクトの有用性を実証
- 2025年度は取組を拡充し、20件程度のユースケースの実証に取組み、社会実装に向けた課題検証を予定。社会実装に向け段階的に取組を推進
- 現状認識・課題等
~NEW~
国土交通省 6月は、「不正改造車を排除する運動」の強化月間です!~車の不正改造は、事故や環境悪化を引き起こす犯罪です~
- 国土交通省では『不正改造車を排除する運動』として、関係省庁・団体と連携し、不正改造を「しない」・「させない」ための啓発活動を行っております。その一環として、各地方運輸局等が定める「強化月間」が6月から始まり、街頭検査の実施など、安全・安心な車社会形成のための徹底した取組みを行います。
- 不正改造を「しない」・「させない」ための啓発活動
- ポスター及びチラシ(別紙3~5)等の貼付、配布及びSNS等への掲載等により、積極的に広報を実施。
- 全国のバス事業者の協力(別紙6)による、バス車両前面への広報横断幕の掲示。
- タイヤ等の不正改造や点検整備未実施が大きな事故に繋がることの周知(別紙7)。
- 不正改造車を排除するための街頭検査の実施
- 警察機関、独立行政法人自動車技術総合機構、軽自動車検査協会等と連携した街頭検査を全国各地で実施し、違反車両に対して整備命令を発令。
- 不正改造車に関する情報収集等
- 運輸支局等に「不正改造車・迷惑黒煙情報提供窓口」(別紙8)を設置し、通報があった情報をもとに、不正改造車ユーザーへ改善・報告を求める。
- 不正改造を「しない」・「させない」ための啓発活動