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危機管理トピックス

令和7年 犯罪収益移転危険度調査書/食品表示の適正化に向けた年末一斉取締り/価格交渉促進月間フォローアップ調査結果

2025.12.01
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更新日:2025年12月1日 新着22記事

危機管理トピックスサムネイル
【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」(第6回)議事次第
  • 事業者支援の促進及び金融の円滑化について
  • 口座売買の抑止に係る官民一体・業界横断的な広報について
内閣府
  • 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料
  • 総合科学技術・イノベーション会議(第80回)議事次第
消費者庁
  • 訪問購入業者【 KUROFUNE&Co株式会社 】に対する行政処分について
  • 株式会社ツルハグループマーチャンダイジングに対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 食品表示の適正化に向けた年末一斉取締りについて
国民生活センター
  • 抱っこひも 正しく装着して事故を防ぎましょう!
  • ガラス繊維強化プラスチックによるけがに注意!
経済産業省
  • 中部電力株式会社に対して電気事業法に基づく報告を求めました
  • 石油流通業界に対し、法令遵守のための指示を行いました
  • 価格交渉促進月間(2025年9月)フォローアップ調査の結果を公表します
  • 「JIS規格の総ざらいレビュー」を実施します
国土交通省
  • 不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果を公表~三大都市圏及び地方四市の短期売買や国外居住者による取得状況~
  • 必要としている方がいます!~「高齢者障害者等用施設等の適正利用推進キャンペーン」を実施します~
  • 航空法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令等を公布します~滑走路の更なる安全の確保に向けて~
  • 不動産価格指数(令和7年8月・令和7年第2四半期分)を公表~不動産価格指数、住宅は前月比0.3%増加、商業用は前期比0.2%増加~
  • 法人取引量指数 令和7年8月分を公表(試験運用)~全国において、前月比3.8%減少~

~NEW~
警察庁 令和7年 犯罪収益移転危険度調査書
  • 令和7年犯罪収益移転危険度調査書の概要
  1. 危険度調査の方法等
    • 調査書は、犯罪収益移転防止法第3条第3項に基づき、毎年公表しているものである。平成26年に公表した「犯罪による収益の移転の危険性の程度に関する評価書」の内容を踏まえ、国家公安委員会が平成27年以降、毎年継続して公表しているものであり、特定事業者におけるリスクベース・アプローチに当たって、その前提となるものとして位置付けられている。調査書における危険度調査は、FATFのリスク評価に関するガイダンスを参照した上で、我が国の独自の方法で実施している。
  2. 我が国の環境
    1. 地理的・社会的・経済的環境
      • 我が国は島国であり、他国との間での人の往来や物流は、海空港を経由して行われている。総人口は少子化の進行に伴い長期的な減少傾向にある一方で、在留外国人の数は増加傾向にある。また、我が国は高度に発達した金融セクターを有しており、全国に展開された金融機関の店舗やATM網を通じて、金融サービスへのアクセスが広く確保されている。現金流通残高は他国に比較して依然として高い水準にあるが、キャッシュレス決済の比率は堅調に上昇している。
    2. 犯罪情勢
      • 令和6年の刑法犯のうち、財産犯の被害額は約4,021億円に上り、平成元年以降で最も高かった平成14年当時の水準を超えた。特に詐欺による被害額が約3,075億円に達し、深刻な状況が続いている。特殊詐欺の被害額は8億円、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は1,271.9億円で、いずれも過去最高を記録した。サイバー空間をめぐる脅威については、フィッシング報告件数が令和6年に約172万件に上り、依然として増加傾向が続いているほか、クレジットカード不正利用による被害額は約555億円で過去最多となるなどの状況が見受けられた。また、ランサムウェアによる被害が依然として高水準で推移し、令和6年には、北朝鮮を背景とするサイバー攻撃グループにより、国内の暗号資産交換業者から約482億円相当の暗号資産が窃取される事案等が確認された。
  3. マネー・ローンダリング事犯等の分析等
    1. 主体
      • 我が国における主なマネー・ローンダリングの主体として、「匿名・流動型犯罪グループ」、「暴力団」及び「来日外国人犯罪グループ」を挙げている。特に、SNS等を通じた募集等により犯罪の実行者が流動化し、中核的人物が匿名化されている匿名・流動型犯罪グループが獲得した犯罪収益についてのマネー・ローンダリングの多様な手口がみられる。匿名・流動型犯罪グループによる資金獲得活動は、特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺、組織的窃盗、繁華街・歓楽街での資金獲得活動、オンライン上で行われる賭博事犯等多岐にわたる。また、犯罪によって獲得した資金を新たな資金獲得活動に充てるなど、その収益を還流させながら、組織の中核部分が利益を得ている構造がみられる。さらに、これらの資金の一部が暴力団に流れているとみられる事例や、暴力団の構成員が匿名・流動型犯罪グループの首領やメンバーとして関与する事例も確認されている。
    2. 前提犯罪等
      • 令和6年のマネー・ローンダリング事犯の検挙事件数は、組織的犯罪処罰法違反及び麻薬特例法違反の合計で1,283件であり、警察による取締りの強化等により増加傾向にある。過去3年間の前提犯罪別検挙事件数の合計では、詐欺と電子計算機使用詐欺が全体の約5割を占め、特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺等を背景とした検挙が増加している。
    3. マネー・ローンダリングに悪用された主な取引等
      • 過去3年間の合計では、預金取扱金融機関が取り扱う商品・サービスが、マネー・ローンダリングに悪用された取引の約6割を占めている。近年はクレジットカードの悪用が増加しているほか、前払式支払手段、暗号資産、資金移動サービス等の悪用もみられる。
    4. 疑わしい取引の届出
      • 我が国全体のマネー・ローンダリング等対策への意識の向上等を背景として、増加傾向にある。令和6年の疑わしい取引の届出の警察庁に対する年間通知件数は約85万件となった。
  4. 取引形態、国・地域及び顧客属性の危険度
    1. 危険度の高い取引形態
      1. 非対面取引
        • 取引の相手方や本人確認書類を直接確認できないため、対面取引と比較して、本人確認書類の偽造や改ざん等を通じた本人特定事項の偽装等による架空名義又は他人名義の口座の開設等が容易となる。また、取引時確認手続の完了後に、契約者以外の第三者が取引を行うおそれもある。実際に、特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺において、インターネットバンキングによる振り込みが被害金の交付手段の一つとなっているほか、偽造書類による口座の開設事例も確認されている。
      2. 現金取引
        • 匿名性が高いことに加え、捜査機関等による資金移転の追跡が困難となりやすく、マネー・ローンダリング等に悪用されやすい。キャッシュレス比率の上昇により現金の利用は減少傾向にあるが、依然として現金取引が悪用される事例がみられる。
      3. 外国との取引
        • 国内の取引と比較して捜査機関等による資金移転の追跡が困難となりやすく、近年では暗号資産を含む多様な手段で外国への資金移転が行われている。「匿名・流動型犯罪グループ」による外国への資金移転も確認されている。
    2. 危険度の高い国・地域
      • FATF声明を踏まえ、犯罪収益移転防止法及び犯収法施行令では、イラン及び北朝鮮を犯罪収益の移転防止に関する制度の整備が十分に行われていないと認められる国・地域として規定している。
      • また、ミャンマーとの取引は、犯収法規則における「犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案して犯罪による収益の移転の危険性の程度が高いと認められるもの」に該当する。
    3. 危険度の高い顧客属性
      1. 暴力団
        • 財産的利益の獲得を目的として、集団的又は常習的に犯罪を実行する、我が国における代表的な犯罪組織である。
      2. 非居住者・外国の重要な公的地位を有する者
        • 本人特定事項等を確認する顧客管理措置が制約的であり、顧客管理が困難である。
      3. 法人(実質的支配者が不透明な法人等)
        • 法人は、取引上の信頼性が高く、法人名義口座であれば多額の資金移動が可能であるといった特性がある。この特性を悪用し、実体のない法人の設立や休眠法人の買収等を通じて、法人名義口座を第三者が支配し、これを用いて、特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺、オンラインカジノの運営等によって得た犯罪収益を隠匿・移転する事例がある。
    4. 商品・サービスの危険度
      • 特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺、サイバー事案等に係る犯罪情勢、マネー・ローンダリングの主体や前提犯罪で悪用された商品・サービス、高リスクとされる非対面取引・現金取引・外国との取引といった取引形態、各業態の規模や各商品・サービスの脆弱性等を総合的に勘案すると、預金取扱金融機関が取り扱う商品・サービス、暗号資産、資金移動サービス及び電子決済手段は、他の業態よりも相対的に危険度が高い取引と認められる。
    5. 危険度の低い取引
      • 取引の危険度を低下させる要因には、資金の原資が明らかであること等が挙げられる。また、危険度の低い取引の種別には、金銭信託等における一定の取引等が挙げられる。
    6. テロ資金供与に関する危険度
      • 我が国におけるテロ資金供与リスクは他国と比較して相対的に低いと評価される。これまで国内において、国際連合安全保障理事会が指定するテロリストによるテロ行為は確認されていない。一方、国内で資金が収集され、国外に送金される可能性は排除できず、特に、イスラム過激派等との関係が疑われる者との取引は、テロ資金供与の危険度が高いと認められる。
▼ 概要版
  • 主な変更点
    • 現下の犯罪情勢等に鑑み、匿名・流動型犯罪グループの記載順を見直し。資金獲得犯罪に関する記載を更新
    • オンラインカジノに関するトピックを追加
    • マネー・ローンダリングを専門に請け負う犯罪グループによる法人や法人名義の預貯金口座等の悪用事例を分析
    • 非対面取引の記載の更新、インターネットバンキングに関するトピックの追加
    • 外国との取引の記載の更新、貿易を利用したマネー・ローンダリングや東南アジアを拠点とする詐欺の脅威等に関するトピックの追加
    • テロ資金供与に関する危険度を章立て
  • 犯罪情勢等【トピック】オンラインカジノの実態、特徴等
    • 国内からオンラインカジノが利用されている実情や、オンラインカジノの仕組みを利用してマネー・ローンダリングが行われている実態あり。
    • 警察庁では、オンラインカジノの利用実態やサイトの情報を把握するため民間事業者に業務委託し、令和7年3月「オンラインカジノの実態把握のための調査研究の業務委託報告書」を公表
      1. 国内からの利用が確認されたオンラインカジノサイト
        • 調査対象のサイトは、外国で取得されたライセンスに基づき運営
        • キュラソー島でのライセンスが、対象40サイト中過半数を占める。
      2. オンラインカジノへの入金方法
        • 入金方法には多様な選択肢あり。クレジットカードや電子的な決済サービス等があり、入金が即時反映される点が特徴。暗号資産も広く採用されている。
      3. オンラインカジノに関連する収益構造の例
        • 決済代行・収納代行業者を自称する業者(常習賭博や組織的処罰法違反で検挙された事例もある)の口座を通じ、オンラインカジノサイト運営会社に資金が流れている。
      4. オンラインカジノをめぐる資金の流れのイメージ
        • 決済代行・収納代行業者を自称する業者の複数の法人名義口座を経由し、最終的に外国にある口座に資金が移転される例もある。
  • 匿名・流動型犯罪グループ
    • 現下の犯罪情勢や健全な経済活動に与えている影響等に鑑み、主体の記載順を見直し、「匿名・流動型犯罪グループ」を冒頭に配置。資金獲得犯罪に関する記載を更新
      1. 特徴
        • 中核部分の匿名化と犯罪実行者の流動化
        • 多様な資金獲得活動と犯罪収益の還流
        • 暴力団と何らかの関係を持つ場合があるところ、両者の間で結節点の役割を果たす者も存在する。
      2. 資金獲得犯罪
        • 匿名・流動型犯罪グループが様々な事案に関与し、多様な資金獲得活動を行う。
        • 組織的な強盗等
        • 特殊詐欺
        • SNS型投資・ロマンス詐欺
        • 組織的窃盗・盗品流通事犯
        • 悪質ホストクラブ事犯や風俗関係事犯
        • オンライン上で行われる賭博事犯
        • インターネットバンキングに係る不正送金事犯等
        • 悪質なリフォーム業者等による特定商取引等事犯
      3. マネー・ローンダリング事犯の手口
        • 匿名・流動型犯罪グループが特殊詐欺によって獲得した犯罪収益についてマネー・ローンダリングを行う場合、資金の流れのイメージは、下図(省略)のとおりである。
        • 資金は最終的に、首謀者等の中核的人物の下に至る。
        • 中核的人物が外国の拠点に所在している場合もみられる。
        • 外国送金、暗号資産、キャッシュ・クーリエ等の手段による犯罪収益の外国への移転の実態もあり。
  • 前提犯罪、マネー・ローンダリングに悪用された主な取引等
    1. 預貯金口座の悪用を助長する犯罪への対策
      • マネー・ローンダリング事犯では、架空・他人名義口座が主要な犯罪インフラとなっている。警察は、預貯金口座の悪用を助長する犯罪を積極的に取り締まっている。
      • 被疑者の国籍等は日本が最も多く、続いてベトナム、中国が多い。
      • 帰国する在留外国人から不正に譲渡された口座を悪用する手口あり。
      • 口座を譲渡する方法以外に、他人に口座情報を伝え、自分の口座に振り込まれた資金を指定された別の口座に振り込む手口もある。
      • 譲渡された口座数は検挙件数を大きく上回ることがうかがわれる。
      • 警察は、特殊詐欺等の被害を認知した場合、口座を管理する金融機関に口座凍結依頼を実施。この凍結口座に対し、虚偽内容の支払督促や公正証書を基に裁判所に債権差押えの申立てを行い、強制執行により資金を引き出した事案あり。債権差押えの申立を行った法人代表者らが詐欺及び公正証書原本不実記載・同行使の罪で起訴されている。
    2. マネー・ローンダリング事犯の前提犯罪別の検挙事件数
      • 詐欺と電子計算機使用詐欺で全体の約5割を占める。
      • 特殊詐欺等の発生が増加しており、同犯罪を前提犯罪とするマネー・ローンダリング事犯の検挙件数が増加
    3. マネー・ローンダリングに悪用された主な取引等
      • 預金取扱金融機関が取り扱う商品・サービス(内国為替取引・預金取引)が約6割
      • 現金取引の悪用事例としては、盗品等の犯罪収益を買取業者に売却して現金化する手段が多くを占める。
      • クレジットカードが悪用される手口の多くが不正利用に起因
  • 疑わしい取引の届出
    • 疑わしい取引の届出は、マネー・ローンダリング等対策への意識の向上や、特定事業者におけるモニタリング体制の高度化等を背景として増加傾向にある。
    • 宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱業者、郵便物受取サービス業者といった非金融分野の特定事業者については、届出件数自体は増加しているものの、全体に占める割合は依然として低い。
    • 疑いを抱いた理由を具体的に記載し、取引明細等の資料が添付された届出は、分析・捜査の参考として有用。質の高い届出と考えられる。
    • 国家公安委員会・警察庁では、疑わしい取引に関する情報の集約、整理及び分析を行い、マネー・ローンダリング事犯等の捜査等に資すると判断されるものを都道府県警察とそれ以外の捜査機関等に対して提供
    • 捜査等において、疑わしい取引に関する情報が幅広く活用されている。
    • 疑わしい取引に関する情報は、マネー・ローンダリング事犯の捜査等に有効活用されている。都道府県警察が実際に疑わしい取引の届出を端緒として検挙した事件例(17事件)、その他の捜査機関等が疑わしい取引の届出を活用した事件例(5事件)について記載
      1. 詐欺事件
        • 届け出た業態 預金取扱金融機関、暗号資産交換業者
        • 対象口座 日本人名義口座及び同名義人の親族名義口座
        • 届出理由 預金取扱金融機関
        • 一定期間取引のない口座に、突如多数の法人や個人からの振り込みあり
          • 法人からの振り込みを含む多数回の振り込みがあり、その後多数の口座へインターネット送金又はATMから現金出金
          • 銀行アプリに従来と異なる外国語でのログイン情報あり、譲渡口座の機能確認と疑う操作
        • 届出理由 暗号資産交換業者
          • 他の金融機関から、対象口座が不正取引に利用されているとの報告あり
        • 捜査結果 口座名義人が第三者に利用させる目的で口座を開設し、複数の口座を当該第三者へ有償譲渡していたことが判明し、同名義人を検挙
      2. 賭博事件(オンラインカジノ)
        • 届け出た業態 預金取扱金融機関、暗号資産交換業者
        • 対象口座 日本人名義口座
        • 届出理由 預金取扱金融機関
          • IPアドレス及び取引相手の口座からオンラインカジノ利用者と判断
          • 銀行アプリに名義・住居が異なる他口座と同一のIPアドレスからの利用があり、口座の第三者利用の疑いあり
        • 届出理由 暗号資産交換業者
          • 短期間で頻繁に暗号資産の受領や現金入金があり、暗号資産を売買した上、登録口座への現金出金や外部の同一アドレスに宛てた暗号資産の移転を行っていた。受領した暗号資産の一部は、一度も売買することなく外部アドレス宛てに移転しており不自然
        • 捜査結果 口座名義人がオンラインカジノを通じた賭博を行っていた事実が判明し、同人を検挙
  • 非対面取引
    1. マネー・ローンダリング等に悪用される固有の危険性
      • インターネット等を通じた非対面取引が急速に拡大
      • 容貌、言動等を通じて本人の同一性等を確認することが困難
      • 取引時確認の精度は対面に比べ低下しやすい傾向
      • 非対面環境では、預貯金口座やアカウントが第三者に譲渡や貸与され、契約主体とは異なる者が取引を実行していたとしても、特定事業者は容易にはその事実を把握できない。
    2. 事業者の措置
      • 取引時確認の完了後、第三者による不正取引の可能性を踏まえた継続的なモニタリングを実施
      • (対応例)
        • ログイン時のIPアドレス、アクセス元所在地、ブラウザ言語、端末情報等の整合性の確認
        • 顧客の電話番号、メールアドレス等の登録情報の確認
        • 24時間365日の取引モニタリング
        • 登録済みの連絡先情報や振込限度額等の変更の検知
        • 異常なログイン頻度や不自然な資金移動等の兆候に着目した取引のモニタリング
    3. 法令上の措置
      • 非対面での本人特定事項の確認方法のうち、本人確認書類の偽変造等によるなりすまし等のリスクが高い方法を廃止 → 犯収法規則の一部改正 令和7年6月公布・令和9年4月施行予定
      • 対面においても偽変造された本人確認書類が悪用されている実態あり → 対面での本人特定事項の確認方法について、ICチップ及び写真付きの本人確認書類の提示を受けるとともにICチップ情報を読み取る方法を原則とする犯収法規則の関係規定の改正を検討
  • 【トピック】IBを悪用した不正送金、特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺
    1. 特殊詐欺
      • 令和6年中、被害額が500万円以上の振込型(認知件数1,673件、被害額307.7億円)の調査
      • IB利用の割合:認知件数の約6割、被害額の約7割 認知件数・被害額共に増加傾向
      • 被害者が被害前にIB機能設定済みの口座利用が約7割
      • 被疑者の指示で被害者がIB口座の開設やIB機能を追加で設定するケース、被疑者が被害者名義で開設するケースがみられる。
    2. SNS型投資・ロマンス詐欺
      • 令和6年中、振込型(認知件数8,349件、被害額1,074.3億円)の調査
      • IB利用の割合:認知件数の約6割、被害額の約7割
    3. IBの利用限度額は非対面で変更可能
    4. 連日にわたる振り込みにより被害の高額化がみられる。
    5. 特定事業者のリスク低減措置
      • IBの初期利用限度額を適切に設定
      • 利用申込みの際や利用限度額引上げ時の利用者への確認や注意喚起
  • 外国との取引
    1. マネー・ローンダリング等に悪用される固有の危険性
      • 外国との取引は、国内の取引に比べて、資金移転の追跡を困難とする性質を有する。
      • IT技術の発展によって決済手段や外国に資金を移転する方法は多様化
      • 銀行の外国為替取引に加え、資金移動業者を通じた外国送金・暗号資産等を用いた即時性の高い資金移転方法も利用されている。
    2. マネー・ローンダリングの手口
      • 国内外の金融機関等を悪用し(外国送金等)、送金目的や受取目的を偽る。
      • 正規の貿易(物品の輸出入等)を装う。
      • 実際に資金移動をすることなく、国内外への実質的な送金・支払を請け負う(地下銀行)。
      • キャッシュ・クーリエ(現金の輸送)
      • 暗号資産の移転を悪用
  • 【トピック】貿易を利用したマネー・ローンダリングの分析
    • 特殊詐欺の被害金が、被疑者らが管理する複数の銀行口座を経由した後、中古車販売業者に中古自動車の対価として入金されていた事例
    • 特徴
      • 高額な被害金が短時間に複数の銀行口座を経由し、中古自動車販売業者に振り込まれる。
      • 特殊詐欺の被害から同事業者への入金まで約30分で行われた事例がある。
      • 主に外国人名義の銀行口座が利用。特にベトナム国籍の割合が比較的高い。既に帰国した者の銀行口座が利用された事例もある。
      • 中古自動車販売業者への入金時、名義を別の外国人名・数字の羅列等に変更することも多くみられる。
  • 【トピック】東南アジアを拠点とする国際的な詐欺及びマネー・ローンダリングの脅威等について
    • UNODCが令和7年4月に公表した報告書を紹介
    • 東南アジアに存在する詐欺拠点が、人身取引や強制労働、暗号資産、地下銀行等を組み合わせた構造の下、400億米ドル規模に上る巨額のマネー・ローンダリング拠点として機能している実態を明らかにしている。
    • 東南アジアのオンライン犯罪産業が拡大するにつれ、拠点となる専用のビジネスパークが開発されている。
    • 特徴として機動性がある。法執行や紛争を含む外部要因によって、事業と労働者は国内または国境を越えて移動する。
  • 【トピック】法人を利用してマネー・ローンダリングを行う犯行グループに係る分析
    • 法人の悪用に係るマネー・ローンダリング事例では、以下のような例が確認されている。
    • 実体のない法人を新たに設立して法人名義の口座を取得し、短期間で資金の入出金を行う。
    • 休眠法人や法人口座を買い取って利用する。
    • 合法的な事業を営む法人の収益に犯罪収益を混在させる。
    • 決済代行・収納代行業者を通じて資金の移転を請け負う。
    • 還流していた資金には、特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺、オンラインカジノの利用に関する犯罪収益あり
    • 法人の設立や口座の管理が実際には別人によって行われていることや、法人の活動内容や資金の流れが不明確であることがリスク要因となり得る。
    • 近年、他の犯罪グループが実行した特殊詐欺等による犯罪収益のマネー・ローンダリングを請け負う犯罪グループの存在が明らかとなっている。これら犯罪グループが利用している法人、口座、取引の特徴等を分析している。
      1. 口座に係る分析結果
        • 1法人に対して複数の銀行で口座開設(指南役あり)
      2. 送金取引に係る分析結果
        • 犯罪収益が入金される口座(1次口座)の資金を、早期に別の口座(2次口座)に移転。更に複数の中継口座(3次口座)を経由し、最終的に外国送金を行う口座(4次口座)に移転させる。
        • 暗号資産交換業者の金融機関口座への送金やATMでの現金出金を行っているものもある。
        • RPAを活用し、送金処理を自動化する例もある。
        • 3,000万円未満の外国送金を繰り返す。
  • 危険度を高める要因 暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産
    1. 暗号資産を悪用したマネー・ローンダリング
      • 被害者からだまし取った金銭を暗号資産に交換し、別ウォレットに移転させた上で現金化した事例(法人名義口座の悪用)
    2. 相対屋(あいたいや)を通じた暗号資産の現金化のイメージ
      • 相対屋:証券取引所等の市場を通さずに、売手と買手が当事者同士で価格や売買数量等を決めて行う取引を行う者
      • 犯罪収益である現金を暗号資産に交換して複数の暗号資産ウォレットを経由させた上、相対屋を通じて現金化した事例
  • 宅地建物取引業者が取り扱う不動産
    1. 宅地建物取引業者を利用したマネー・ローンダリング
      • 犯罪収益を原資として、親族・知人・第三者名義で宅地・建物を購入した事例
    2. 特殊詐欺の被害金が銀行口座を介して宅地建物取引業者に送金された事例
      • 特殊詐欺の被害金が、不正に開設された銀行口座を介して被害金が宅地建物取引業者に送金され、その後、不動産に換えられた疑いのある事例
  • 危険度の低減措置
    1. 預金取扱金融機関が取り扱う商品・サービス
      • 令和6年8月、預貯金口座の不正利用等防止に向け、業界団体等に対し各種対策を要請
      • 犯罪の手口が巧妙化・多様化し、インターネットバンキングの悪用ともあいまって、特殊詐欺等の詐取金が暗号資産交換業者や資金移動業者の金融機関口座宛に送金される事例が発生している状況に鑑み、令和7年9月に前回の要請の内容を含め、次のような対策を要請
        1. 口座開設時における不正防止及び実態把握の強化
        2. 利用者側のアクセス環境や取引の金額・頻度等の妥当性に着目した多層的な検知
        3. 不正の用途や犯行の手口に着目した検知シナリオ・敷居値の充実・精緻化
        4. 検知及びその後の顧客への確認、出金停止・凍結・解約等の措置の迅速化
        5. インターネットバンキングに係る対策の強化
          • 利用申込みの際の確認・注意喚起
          • 初期利用限度額の適切な設定
          • 利用開始後及び利用限度額引上げ時の確認・注意喚起
        6. 振込名義変更による暗号資産交換業者及び資金移動業者への送金停止等
        7. 不正等の端緒・実態の把握に資する金融機関間での情報共有
        8. 警察への情報提供・連携の強化
          • 警察庁は金融機関28行と「情報連携協定書」締結(令和7年9月末時点)
          • 44の都道府県警察が515の金融機関と連携
          • 令和6年6月に策定された「国民を詐欺から守るための総合対策」のうち「犯罪者のツールを奪うための対策」の一つとして、令和6年12月、金融機関を所管する関係省庁に対して、在留期間が満了した外国人名義の預貯金口座の悪用を防止するための以下の具体的措置が各金融機関において行われるよう、通知文書を発出
            • 在留期間が満了した外国人名義の口座から現金出金や他口座への振り込みが行われる場合には、当該口座の名義人本人が口座を使用しているか、取引時確認を実施
            • 在留期間満了日の翌日以降、上記の確認がなされるまでは、当該口座からの現金出金及び他口座への振り込みを制限
    2. 金融商品取引業者等及び商品先物取引業者が取り扱う有価証券の取次ぎ等
      • オンライン証券口座への不正アクセスを受け、令和7年7月、金融業界全体に不正アクセス及び不正取引への対策強化を要請
    3. 資金移動業者が取り扱う資金移動サービス
      • 令和7年9月、金融機関に対し、振込名義変更による資金移動業者の金融機関口座宛ての送金停止等、対策の強化を要請
    4. 暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産
      • 令和7年9月、金融機関に対し、振込名義変更による暗号資産交換業者の金融機関口座宛ての送金停止等、対策の強化を要請
  • テロ資金供与に関する危険度
    • テロ資金供与に関する危険度について、記載の明確化を図る観点から、独立した章として整理
    • 脅威:ISIL、AQ等のイスラム過激派をはじめとするテロ組織、テロ資金供与関係者等
    • 脆弱性:テロ資金の合法・非合法な出所及び供与手段
      1. テロ資金供与の特性
        1. 資金の出所の多様性と偽装性
          • テロ組織による支配地域内の取引等に対する課税等のほか、企業等による合法的な取引を装って得られる。
        2. 少額・断片的な取引形態による検知困難性
          • 事業者等が日常的に取り扱う多数の取引の中に紛れてしまう危険性がある。
        3. 送金先・経由地の特徴
          • 供与先としてイラク・シリア・ソマリア等が挙げられるほか、トルコ等の周辺国を経由する例がある。
        4. 暗号資産の利用
          • 暗号資産の寄付を呼び掛ける実態がある。
        5. SNS等の利用
          • SNS等の利用増加、寄附を呼び掛ける動画が用いられる。
        6. 伝統的な手法
          • ハワラのほか、現金を直接受け渡す
      2. 疑わしい取引の届出【届出にあたっての主な留意点】
        • 顧客の属性 資産凍結対象者の氏名、生年月日等と照合
        • 取引国・地域 取引先がテロ組織が活動する国等又は周辺国等か。
        • 取引形態 送金理由が寄附等であっても、活動実態が不透明な団体や個人を送金先としていないか。
      3. 危険度の評価
        • 我が国においては、テロ資金供与に関する法令上の措置等が整備されており、他国と比較してテロ資金供与リスクは相対的に低いと評価
        • 一方、以下の懸念が存在することを認識する必要あり
          • イスラム過激派等が外国人コミュニティに潜伏し悪用
          • 外国人戦闘員による資金調達
          • 紛争地域に渡航する者
          • 国内団体・企業等による合法的な取引の偽装
          • 特定事業者の監視を免れて商品・サービスを悪用
  • 【トピック】非営利団体のテロ資金供与への悪用リスク
    • 我が国の非営利団体に関する実態や制度的な対応について法人類型ごとに分析を行いリスク評価を実施
    • NPO法人、公益法人、社会福祉法人、医療法人、学校法人、宗教法人、その他の団体
    • 我が国においては、非営利団体がテロ資金供与に悪用されたとして摘発された事例は確認されておらず、外国で活動する非営利団体の割合も限定的であること等から、総合的に見て、現時点におけるテロ資金供与に関するリスクは低いと評価
  • その他、本文から
    • 近年、不法滞在外国人グループ等により、組織的な金属盗や自動車盗、大量万引きが実行され、盗品が外国へ不正に輸出されるなどの事案が発生しており、治安上の課題となっている。令和6年中におけるこれらの認知件数については、太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗が7,054件(前年比+1,693件、+31.6%)、自動車盗が6,080件(同+318件、+5.5%)、衣料品店やドラッグストアにおける大量万引きが981件(同-246件、-20.0%)となっている。検挙件数については、太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗が868件(前年比+552件、+174.7%)、自動車盗が2,683件(同+221件、+9.0%)、衣料品店やドラッグストアにおける大量万引きが281件(同-24件、-7.9%)となっている。
      • インターネットバンキングに係る不正送金事犯の状況
        • 令和6年におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数は4,369件、被害額は86.9億円に上っており、その手口の約9割がフィッシングによるものと考えられる。令和6年のインターネットバンキングに係る不正送金事犯には、次のような特徴がみられた。
        • ボイスフィッシング(音声通話を利用したフィッシング)による法人名義口座の不正送金被害が急増
        • フィッシング以外の手口としては、マルウェア感染を契機とする事例、SIMスワップによって本人確認を突破する手口を確認
        • 被害額のうち、32.1億円が暗号資産交換業者への送金に利用
    • 令和5事務年度における金地金密輸による処分(検察官への告発又は税関長による通告処分)の件数は102件であり、前事務年度と比べて18%の減少となった。一方で、脱税額は約3億6,000万円に上り、前事務年度の約2.1倍に増加している。平成30年に金密輸に対する罰則が大幅に引き上げられて以降、金密輸による処分件数及び脱税額は共に減少傾向にあったが、金価格の上昇に加え、新型コロナウイルス感染症対策として実施されていた水際措置が終了し、訪日外国人旅客数が急増したこと等を背景として、令和4事務年度には再び増加傾向に転じている。さらに、令和5事務年度には脱税額が大幅に増加していることから、今後の動向についても注視が必要な状況にある。
    • 近年、外国で運営されるオンラインカジノサイトへの国内からのアクセス数の増加が指摘されている。国内の賭客が自宅や違法な賭博店等のパソコン等からオンラインカジノサイトにアクセスして賭博を行う状況がうかがわれ、実際、オンラインカジノを通じて行われるものをはじめとするオンライン上で行われる賭博事犯が検挙されている。
      • オンラインカジノをめぐっては、決済代行・収納代行業者を自称する業者の口座を通じ、賭客からオンラインカジノサイト運営会社に資金が流れており、また、アフィリエイターが報酬を得てオンラインカジノの広告・宣伝を行う収益構造がみられる。また、決済代行・収納代行業者を自称する業者の口座を通じた資金の流れについては、複数の法人名義口座を経由し、最終的に外国にある口座に資金が移転される例も認められる。
      • オンラインカジノは、運営する者、利用する者のほか、決済手段に関与する者、宣伝・誘引する者等、様々な形で関与する者が存在し、決済手段に関しても、クレジットカード決済、暗号資産、銀行送金等、様々な手段が用いられる。スマートフォン等からアクセスして賭博を行う「無店舗型」のオンラインカジノについては、アクセス数の大幅な増加及びこれに伴う依存症の問題が指摘されているほか、我が国の資産の外国への流出、マネー・ローンダリングへの悪用等が懸念されている。また、オンラインカジノに係る賭博事犯には、実質的な運営者として、又はその背後で、暴力団や匿名・流動型犯罪グループが関与しているケースもみられる。
    • 暴力団構成員等が関与した主なマネー・ローンダリング事犯は、次のとおりである。
      • 元暴力団構成員が、インターネットバンキングへの不正アクセスを行い、第三者の口座から被疑者が管理する架空・他人名義口座に不正送金した上、現金を払い出した。
      • 暴力団構成員が、ヤミ金融の返済口座として、他の債務者に開設させた口座及び親族名義の口座を利用した。
      • 元暴力団構成員が、共犯者に指南して架空の事業資金借入名目で金融機関から融資を受けて金銭をだまし取り、親族名義及び知人名義の口座を利用した。
      • 暴力団構成員が、違法賭博を主催した上で、同人が管理する親族名義の口座に、利用客からの賭金を振り込ませた。
      • 暴力団構成員が、窃盗により得た物品を、虚偽の氏名等を申告するなどして他人になりすまして買取業者に売却して現金化した。
      • 暴力団構成員が、風俗営業の無許可営業により、客のクレジットカード決済を用いて得た売上金を、クレジットカード決済代行事業者から当該暴力団構成員が管理する架空・他人名義口座に振り込ませた。
      • 暴力団構成員が、違法賭博事犯や売春事犯、風俗営業の無許可営業等により得た犯罪収益と知りながら、いわゆるみかじめ料等の名目で現金を受領した。
      • 暴力団構成員が、特殊詐欺により架空・他人名義口座に振り込ませた現金を払い出した上、自己名義の口座に預け入れ、更に同口座から同人らが管理する別の口座に送金した
    • 令和4年から令和6年までの来日外国人によるマネー・ローンダリング事犯の検挙状況を分析すると、以下が認められた。
      • 国籍等別では、中国及びベトナムが多く、特に中国が検挙件数全体の半数以上を占めていること
      • 前提犯罪別では、詐欺が最も多く、次いで窃盗、電子計算機使用詐欺の順となっており、取引等別では、内国為替取引が最も多く、次いでクレジットカードが多いこと
      • 来日外国人に使用された口座をみると、架空・他人名義口座が約7割を占めていること
      • 中国人の検挙事件数を前提犯罪別にみると、詐欺が41.2%と最も多く、次いで窃盗が37.4%、電子計算機使用詐欺が12.6%の順となっており、悪用された取引等別にみると、クレジットカードが23.6%と最も多く、次いで内国為替取引が11.8%と多いこと
      • ベトナム人の検挙事件数を前提犯罪別にみると、詐欺が36.4%と最も多く、次いで窃盗が20.3%、電子計算機使用詐欺が14.4%の順となっており、悪用された取引等別にみると、内国為替取引が39.7%と最も多く、次いでクレジットカードが11.1%と多いこと
    • 我が国の薬物事犯については、次の特徴が挙げられる。
      • 押収量及び密輸入押収量(図表40参照)をみると、薬物の密輸・密売が依然として多額の犯罪収益を生み出している。
      • 令和6年中の覚醒剤の密輸入事犯の検挙件数は101件であり、前年から減少している。
      • 薬物事犯別営利犯検挙状況(図表41参照)をみると、営利目的の覚醒剤事犯における検挙人員のうち、暴力団構成員等の割合は約4割、外国人の割合は約2割であり、暴力団や外国人犯罪組織等の関与がうかがわれる。
      • 薬物の密輸・密売により得られた犯罪収益が、法制度や金融取引の仕組みが異なる国の間で移転されているおそれがある。
      • 令和6年中における麻薬特例法に基づく起訴前の没収保全命令の発出件数は27件であり、対象となった財産には、総額約2,391万円の金銭債権等のほか、外国通貨が含まれている。過去には、自動車、土地、建物等が対象となっており、犯罪収益が現金から他の資産形態へ変換される実態がみられた。
      • 令和4年から令和6年までの3年間に検挙されたマネー・ローンダリング事犯の事例及び疑わしい取引として届出が行われた情報を分析した結果は次のとおりである。
        • 内国為替取引が1,128件、預金取引が89件で、預金取扱金融機関が取り扱う商品・サービスがマネー・ローンダリングに悪用された取引等の約6割を占めている。
        • 迅速かつ確実な資金移動が可能な内国為替取引を通じて、架空・他人名義口座に犯罪収益を振り込ませる事例が大幅に増加している中、実体のない又は実態が不透明な法人名義の口座を悪用する事例も増加傾向にある。
        • 内国為替取引により口座に入金された犯罪収益が現金化されるほか、暗号資産に交換されるなどして、その後の追跡が困難になることが多い。
        • 現金取引の悪用事例については、盗品等の犯罪収益を買取業者に売却して現金化する手段が多くを占めている。
        • クレジットカードがマネー・ローンダリングに悪用された件数は、全体で3番目に多く、高い水準で推移している。クレジットカードがマネー・ローンダリングに悪用される手口の多くがなりすまし等によるクレジットカードの不正利用に起因したものである。
        • 前払式支払手段、暗号資産及び資金移動サービスの悪用も依然として確認されていることに加え、令和6年からは電子決済手段の悪用が確認されるなど、決済手段の多様化を受けて新たな商品・サービスが悪用される実態が認められる。
        • このほか、マネー・ローンダリングの手口では、特定事業者の商品・サービスを利用せずに行われる手段も多く認められる。特定事業者の商品・サービスを介さない事例は次のとおりである。
          • 特殊詐欺や窃盗の犯罪収益をコインロッカー等に物理的に隠匿する。
          • 特殊詐欺等の犯罪収益である現金を受領した上で、更に他の者に引き渡す。
          • 犯罪収益を他人になりすまして郵送するほか、郵送された犯罪収益を空き部屋や宅配ボックスを利用した上、他人になりすまして受け取る。
      • APG Yearly Typologies Report 2024 について
        1. 法人の悪用の目的
          • 法人が悪用される目的は様々であり、次のようなものが挙げられる。
          • 犯罪に関与する者らが、犯罪行為から距離を置いているように見せ掛けること
          • 資産(重要な公的地位を有する者(PEPs: Politically Exposed Persons)が所有するものを含む。)の真の所有者を隠すこと
          • 多額の資金の移転について、正当な商取引上の理由を付けること
          • 犯罪収益を正当な資金と混ぜ合わせること
          • 犯罪収益を消費又は投資すること
          • 汚職、詐欺及び脱税を可能にすること
          • 賄賂や横領した公金を移転すること
          • 犯罪収益を使用して獲得した資産を保護すること
        2. 法人の悪用に関する近時の傾向
          • 多くのAPG参加国・地域から、共通して、電子メールや電話での詐欺、投資詐欺、ビジネスメールの不正アクセスを使用した詐欺(BEC:BusinessE-mailCompromise)等の詐欺や脱税といった犯罪の実行に法人が悪用されていることが報告されている。
          • また、法人の悪用がみられたその他の前提犯罪としては、窃盗、横領、贈収賄・汚職、証券・市場操作、密輸、薬物取引、わいせつ物の頒布等が報告されている。また、マネー・ローンダリング、特に貿易を利用したマネー・ローンダリング(TBML: Trade-Based Money-Laundering)に法人が悪用されていることが報告されている。
          • 法人の悪用の手法としては、シェルカンパニーの利用、ノミニーと呼ばれる名義上のみの取締役等の利用、事業用口座を用いた資金の移動・混合や貸付取引の設定が挙げられる。
        3. 実質的支配者(Beneficial Ownership)について
          • 実質的支配者を隠す目的は単純であり、資産や収益の真の所有者が、その資産や収益源に結び付かないようにすることである。実質的支配者を隠すことは、課税所得の不申告や、没収・追徴等の手続の阻害につながる。これは、全ての前提犯罪やマネー・ローンダリングに共通して当てはまる。
          • また、会社や信託を利用した複雑な法的構造は、多くの場合複数の法域にまたがっており、これは、租税犯罪やそれに関連するマネー・ローンダリングのスキームではよくみられる特徴である。例えば、違法漁業に使用される船舶や会社の実質的な支配者を不透明にするために、こうした法的構造が利用される。
          • 厚生労働省地方厚生局麻薬取締部の把握した最近の犯罪事例・傾向等
            • 薬物購入代金を電子ギフト券で支払わせ、当該ギフト券を買取業者へ売って現金化する事例がみられた。
            • 薬物密売等で得た犯罪収益を、日本に取引所がない暗号資産に換えていた。
            • 違法薬物の代金を振り込ませる際に、客に「ヘンサイ」という名前で振り込みさせるなどし、虚偽の原因(借金の返済)のための振り込みであるかのように仮装する行為がみられた。
            • 日本に密輸した薬物を密売して得た犯罪収益で自動車を購入して、本邦から輸出し、外国で自動車を売却して現金化していた。
            • SNSを利用した薬物密売事犯において、依然として代金振込先に借名口座の利用が多くみられる。
            • SNS上で個人間の商品売買を行う際、決済サービスを悪用し違法薬物を密売する事例があるが、一部の決済サービス事業者は任意で設定された電子マネーのアカウントに紐づけられた登録情報の回答を拒むケースがあり、マネー・ローンダリングに悪用されるリスクが懸念される。
            • 違法薬物の譲渡人が代金を受領するために、インターネットオークションサイトを利用して架空商品を出品して譲受人に落札させる方法で正規の取引を装い、代金(同サイト上で利用可能なポイント)を受領していた。
          • 架空の人物や他人へのなりすまし又は第三者利用の疑いのある取引に着目して届け出られた非対面取引に関する疑わしい取引の届出理由は、次のとおりである。
            • 名義人の異なる多数の口座が同一の端末(IPアドレス)から開設されており、なりすましによる口座開設の疑いがある。
            • 取引時確認の際に確認した本人確認書類の偽造が疑われる口座について、登録メールアドレスが過去に不審な取引をしていた個人と同じである。
            • 口座の開設直後に振込限度額を引き上げた上、ATMから複数回入金した後、証券会社口座に送金している。また、ATMに設置された防犯カメラにより撮影された画像を確認したところ、本人確認書類の顔写真とは異なる容貌の人物が操作しており、第三者利用が判明した。
            • 口座名義人は日本国籍であるにもかかわらず、取引アクセス時のブラウザの言語設定が外国語であり、IPアドレスのロケーションも届出住所とは異なる遠方を示しているなど、第三者利用の疑いがある。
            • 口座の開設以降、取引のない口座について、振込依頼人名を「数字+個人名」等に変更した当該口座への振込入金が多数あるほか、ATMを利用して現金出金や法人名義口座への振り込みを行っている。
            • 法人名義口座から個人名義口座に複数の振り込みがあった後、振込依頼人名を大手ECサイト名に変更して当該個人名義口座から資金移動業者へ送金しており、不自然な態様の取引である。
            • 資金移動サービスのアカウントにATMを利用して現金が入金された後、即座に遠方のATMで出金されており、第三者のアカウント利用の疑いがある。
          • 令和6年におけるインターネットバンキングに係る不正送金被害は、依然として高水準で推移している。インターネットバンキングに係る不正送金は、大きく分けて、(1)準備、(2)攻撃、(3)不正送金、(4)資金洗浄の4つの段階を踏んで行われる。関東管区警察局サイバー特別捜査部の分析によると、近年、各段階において手口の変化が見られ、被害件数増加の要因となっていると考えられている。
            1. 準備段階
              • 不正送金の受皿となる銀行口座や、暗号資産に換金するための暗号資産取引所のアカウントが、匿名性の高いメッセージアプリ等を介して不正に売買されており、入手が容易になっている。
            2. 攻撃段階
              • 令和元年頃からリアルタイム型フィッシングにより二段階認証を突破する手口が横行している。
            3. 不正送金段階
              • 一般家庭のインターネット回線や、第三者のモバイル通信を踏み台として悪用することで、通信元の隠蔽(匿名化)に加え、利用者による一般家庭からの正規のログインを偽っている事案が多数確認されている。例えば、外国で放送されているTV番組やインターネット配信の動画を視聴するためのIoT機器がマルウェアに感染しており、踏み台として使われるケースも確認している。
            4. 資金洗浄・現金化段階
              • いわゆる「出し子」がATMから現金を引き出すという従来の手口に代わり、暗号資産への換金による資金洗浄が主流となっている。不正送金の受け皿となる銀行口座や、暗号資産に換金するためのアカウントを売買により入手し、犯罪収益を、ATMからの現金出金のほか、暗号資産への換金によってマネー・ローンダリングする手口がみられている。
      • 特殊詐欺及びSNS型投資ロマンス詐欺におけるインターネットバンキングの利用実態
        1. 特殊詐欺
          • 令和6年中の、被害額が500万円以上の振込型(認知件数1,673件、被害額307.7億円)について、調査を実施したところ、結果概要は以下のとおりであった。
          • インターネットバンキング利用の割合が認知件数の約6割、被害額の約7割を占める。
          • インターネットバンキング利用の認知件数・被害額共に増加傾向。
          • 被害者が被害前にインターネットバンキング機能の設定を行った口座を利用したものが約7割に上る。
          • 被疑者の指示で被害者がインターネットバンキング口座を開設したり、インターネットバンキング機能を追加で設定したりするケースや、被疑者が被害者名義で同口座を開設するケースがみられる
        2. SNS型投資・ロマンス詐欺
          • 令和6年中、振込型(認知件数8,349件、被害額1,074.3億円)について、調査を実施したところ、インターネットバンキング利用の割合が認知件数の約6割、被害額の約7割を占めることが判明した。
          • 外国との取引が悪用された事例では、匿名・流動型犯罪グループや来日外国人犯罪グループ等の国内の犯行主体のみならず、国際犯罪組織の関与や外国の犯行拠点にいる首謀者の存在も認められている。手口としては、主に以下のものがみられる。
            1. 国内外の金融機関等を悪用し(外国送金等)、送金目的や受取目的を偽るもの
            2. 正規の貿易(物品の輸出入等)を装うもの
            3. 実際に資金移動をすることなく、国内外への実質的な送金・支払を請け負うもの(いわゆる地下銀行)
            4. キャッシュ・クーリエによるもの
            5. 暗号資産の移転を悪用するもの
              • 国内外の金融機関等を悪用し(外国送金等)、送金目的や受取目的を偽る手口のマネー・ローンダリング事犯では、以下において、正当な資金のように見せ掛け、真の資金の出所や資金の実態を隠匿しようとする実態がみられる。
                • 日本で行われた特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺による詐取金、オンラインカジノに係る賭金等の犯罪収益の送金
                • 外国で行われたBEC等の犯罪収益の受取
          • また、以下のような特徴がある。
            • 1回当たりの送金額を抑えて分割して送金しているとみられること
            • 実態のない役務提供(コンサルティング契約料、広告料、ソフトウェア使用料等)を送金又は受取の目的としていること
            • 受取人と送金人で送金の理由が異なること
            • 送金を受けた額のほとんど全額を現金で引き出すこと
            • 送金元から後日組戻し依頼がなされること
          • 令和6年の疑わしい取引の通知件数の上位5か国についての主な届出理由は次のとおり。
            • 中国
              • 届出の8割以上は、「経済合理性ない他国から多額送金」である。次いで、「経済合理性ない他国へ多額送金」、「虚偽情報提供海外送金」の順である。また、個人名義の口座からの送金が届出の9割以上を占めており、特に「経済合理性ない他国から多額送金」において多い。
            • 香港
              • 届出の主な理由は届出件数が多い順に、「経済合理性ない他国から多額送金」、「経済合理性ない他国へ多額送金」、「虚偽情報提供海外送金」であり、「虚偽情報提供海外送金」においては法人名義の口座からの送金が届出の7割以上と多い。
            • 米国
              • 届出の主な理由は届出件数が多い順に、「経済合理性ない他国から多額送金」、「経済合理性ない他国へ多額送金」、「虚偽情報提供海外送金」であった。
            • ベトナム
              • 届出の主な理由は届出件数が多い順に、「経済合理性ない他国から多額送金」、「真の受益者説明・資料提出拒否」、「経済合理性ない他国へ多額送金」である。また、中国に次いで個人名義の口座の割合が高く、「真の受益者説明・資料提出拒否」においては、大半が個人名義の口座からの送金である。
            • フィリピン
              • 届出の主な理由は届出件数が多い順に、「経済合理性ない他国から多額送金」、「虚偽情報提供海外送金」、「真の受益者説明・資料提出拒否」である。また、「真の受益者説明・資料提出拒否」においては、全て個人名義の口座からの送金である。
  • 【トピック】東南アジアを拠点とする国際的な詐欺及びマネー・ローンダリングの脅威等について
    • 国連薬物・犯罪事務所(UNODC)は、令和7年(2025年)4月に公表した報告書「Infection Point: Global
      • Implications of Scam Centres, Underground Banking and Illicit Online Marketplaces in Southeast Asia(分岐点:東南アジアに存在する詐欺センター、地下銀行及び違法オンラインマーケットプレイスがもたらす国際的影響)」で、東南アジアに存在する詐欺拠点が、人身取引や強制労働、暗号資産、地下銀行等を組み合わせた構造の下で、400 億米ドル規模に上る巨額のマネー・ローンダリング拠点として機能している実態を明らかにしている。報告書では、以下のように指摘している。
      • 東南アジア等の経済特区では、独立・散在する詐欺集団に代わり、サイバー技術等を有する大規模な詐欺集団が勢力を拡大。詐欺拠点を工業団地やカジノ、ホテル等を装って活動している。
      • 各国政府の危機意識が高まる中、犯罪組織は脆弱性の高い近隣地域に活動地域を拡大させており、年間数百億ドルの利益を生み出す数百の大規模な詐欺事件が発生している。東アジアと東南アジアの国々は令和5年(2023年)中にサイバー関連詐欺により推定最大370億米ドルを失っており、世界的にはより大きな推定損失が報告されている。
      • 東南アジアのオンライン犯罪産業が拡大するにつれ、拠点となる専用のビジネスパークが開発されている。カンボジア、フィリピン、ラオス、ミャンマー及びタイの主要拠点については、近年法執行機関による対応も行われている。
      • 東南アジアのオンライン犯罪産業の特徴は、その機動性にある。法執行や紛争を含む外部要因によって、事業と労働者は国内で、又は国境を越えて移動する(報告書では、メコン地域で認知又は報告されている詐欺センターの所在地を掲載)。
      • 詐欺拠点の建設といった物理的なインフラ整備にとどまらず、オンラインギャンブルプラットフォームやソフトウェアサービス、テレグラムベースの暗号化されたプラットフォーム等の犯罪インフラの整備も確認されている。
      • 特に、カンボジアをルーツとする最近Haowangと改名されたHuione Guaranteeは、ユーザー数及び取引量において世界最大級の違法オンライン・マーケットプレイスとして台頭し、東南アジアにおけるサイバー詐欺を推進する重要なインフラとなっている。同プラットフォームとそのベンダーが使用する暗号資産ウォレットは、過去4年間で少なくとも240億米ドルを受け取っており、更に60億米ドルが主に違法なオンラインギャンブル関連のテレグラムボットを経由しており、マネー・ローンダリングに悪用されている可能性がある。
      • 日本は、東南アジア地域のサイバー関連詐欺とオンラインギャンブル産業の拡大から深い影響を受けており、両者の間で資金が不正に出入りしている。
      • 近年、世界中の法執行機関が、アジアのマネー・ローンダリング組織と、南米の麻薬カルテル、イタリア・アイルランドのマフィアといった世界中の犯罪集団との間で、協力関係、パートナーシップ及び相乗効果が拡大していると指摘している。ミラー取引、国際的なマネー・ミュール、いわゆるモーターケイドのネットワーク(組織的なマネー・ミュールのネットワーク)、カジノ・ジャンケット、オンラインギャンブルを利用したもの等、中国やその他のアジアの犯罪ネットワークによるマネー・ローンダリング手法の多様化が進んでいる。
    • 法人固有の特性
      1. 構造上の特性
        • 自然人は、その有する財産を法人の財産とすることで、他の自然人の協力を得なくとも財産の帰属主体を変更することが可能。
        • 法人は、一般に、その財産に対する権利・支配関係が複雑であり、会社であれば、株主、取締役、執行役、更には債権者が存在するなど、会社財産に対して複数の者がそれぞれ異なる立場で権利等を有する。
      2. 取引上の特性
        • 法人格を有することで取引における信頼性を享受し得る。
        • 事業の名目で多額の財産の移動を頻繁に行うことができる。
        • 個人と比べて取引停止による影響が大きい。
      3. 会社形態別の特性
        • 法人設立に際して必要となる定款の作成について、株式会社の場合には公証人による認証が必要であるが、持分会社の場合は不要である。
        • 株式会社設立に際しては、実質的支配者の確認が必要であるが、持分会社設立に際しては不要である。
        • 株式会社は、設立手続等が厳格であり、一般的な信用が高く、株式の譲渡がしやすい。
        • 持分会社は、設立手続等が総じて簡易であって、維持コストが安価である。
      4. その他
        • いわゆる「住所貸し」といわれる事業上の住所や設備、通信手段及び管理上の住所を提供するレンタルオフィス・バーチャルオフィス事業者が存在し、その中には郵便物受取サービス、電話受付代行、電話転送サービス等の附帯サービスを提供している事業者もある。
        • 外国法人や非居住者に対して低い税率で金融サービスを提供する、いわゆるオフショア金融センターと呼ばれる国・地域があり、それらの国・地域は、金融規制が緩く、様々な投資スキームが組成しやすいといわれている。
        • プライバシー保護を目的として法人の役員や株主を第三者名義で登記できるノミニー制度が採用されている国・地域もある。
      5. マネー・ローンダリング等対策上の脆弱性
        • 財産を法人へ流入させれば、法人特有の複雑な権利・支配関係の下に当該財産を置くことになり、その帰属主体が不明確になり、犯罪収益の追跡が困難となる。
        • 合法的な事業収益に犯罪収益等を混在させることで、違法な収益の出所を不透明にすることができる。
        • レンタルオフィス等のサービスを利用することにより、実際には占有していない場所の住所や電話番号を自己のものとして外部に表示することができるほか、法人登記を用い、事業の信用、業務規模等に関し架空の又は誇張された外観を作出することが可能となる。
        • オフショア金融センターとされる国・地域において、実体のない法人が設立され、当該法人が犯罪収益の隠匿等に悪用される危険性がある。
    • 法人を悪用したマネー・ローンダリング事犯の国内での検挙事例等をみると、次の実態がみられた。
      1. 悪用された法人の形態
        • 実体のない法人を新たに設立し、短期間で資金の受入れ・送金に利用する。
        • 第三者が所有する既存の法人を取得し、代表者名義のみを変更して使用する。
        • 登記上の代表者と実質的管理者が異なり、いわゆる「名義貸し」をしている。
        • 正規に事業を営む法人が、第三者の依頼により、犯罪収益の送金及び入金に協力する。
      2. 法人の登記の特徴
        • 登記されている資本金の額が数万円から数十万円と少額である法人が多く確認されたが、最近では資本金が比較的高額である法人も利用されている。
        • 所在地や役員の登記変更が頻繁である。
        • 登記された事業目的が多数にわたり、かつそれぞれの関連が低い。
        • 現物を伴わないサービス業等、資金の流れの正当性を外形的に説明しやすい内容へ事業目的が変更されている。
      3. 設立形態の傾向
        • 合同会社は、株式会社に比べて設立が簡易であり、短期間で悪用される傾向がある。中には設立から数か月以内に悪用されている法人もあった。
        • 最近では、新規に株式会社を設立した上で、当該法人の口座を悪用するケースも多数確認されている。
        • 新規法人を設立するに当たっては、同一の司法書士法人に複数の法人設立を依頼しているケースもある。
        • 法人設立そのものが犯罪収益の移転手段の一部として活用されており、法人名義口座はいわゆるトンネル口座として悪用されるケースもある。
  • 【トピック】法人を利用してマネー・ローンダリングを行う犯行グループに係る分析
    1. 法人に係る分析結果
      • 以下に挙げた悪用された法人の特徴については、飽くまで一部の犯罪グループを対象にした分析結果であり、こうした特徴を持つ法人の大部分は、健全な事業活動を行っている。そのため、これらの特徴を持つからという理由だけで全ての法人が疑わしいわけではないという点を踏まえ対策を講じていくことが重要である。
        • 法人格では、株式会社の悪用が多数を占めた。
        • 住所地では、大都市圏が多く、また、法人の住所地は、被疑者や法人代表者の居住地等の属性に関連しているものと認められる。
        • 法人の住所地の建物種別では、集合住宅が最も多く、次に戸建て住宅となっており、住宅と比較してビルやレンタルオフィスは少ない。
        • 新規に設立された法人では、資本金の額は、200万円から300万円が最も多い。資本金は法人設立のための見せ金であり、法人設立後引き出している状況も認められた。
        • 一方、新規設立ではなく、既存の法人を悪用しているとみられる事例では、資本金が数千万円となる例もあった。
        • 登記簿上の目的欄の筆頭に、IT関連の内容(インターネットを用いた広告・宣伝・コンテンツの企画・設計・開発、ウェブサイトの制作等、アプリ・ソフトウェア等のシステム開発、RPA等)を記載している法人が最も多かった。そのほか、会社・経理の処理代行といった事務代行に関わるもの、知的財産権の保有・利用許諾及び管理といった知的財産権の保有に関わるもの、営業・マーケティング業務の代行や広告代理業といった営業やその代行に関わるもの、コンサルティング業務に関わるもの、建設業、清掃業、各種サービスの決済代行・収納代行といったものが認められた。
        • 業務目的数は、4から6個の記載があるものが多数を占めた。
        • 役員数は、1人(代表取締役と取締役を兼ねる者)である法人が最も多い。
        • 同一の代表者が複数の法人の代表となっているケースや、同一の住所地で法人が設立されているケースは少数であった。
    2. 口座開設の謝絶理由例
      • 本分析対象の犯罪グループは、1法人に対し複数の銀行での口座開設を行っていたが、銀行によっては口座開設を謝絶している実態も確認された。本分析により判明した口座開設の謝絶理由例は次のとおりである。
        • 法人設立後日が浅く、事業実態が不明。他行で法人名義の口座開設済みであり、口座開設の必要性が乏しい。
        • 法人設立後日が浅く、会社所在地がバーチャルオフィスに該当。申告のあった事業目的に不自然な点がある。
        • 法人設立後日が浅く、当該法人のウェブサイトが簡素な作りで、事業実態を十分に把握することができない。
        • 事業内容がイベント等の運営で、ウェブサイトに掲載されているが、法人設立後間がなく実績等が不明であることに加え、会社所在地と代表者の住所が同一オフィスビル内であることから、不審である。
        • 事業内容は防水工事であるが、アパートの1室が本社であり、資材置場がある様子が無い。
    3. 送金取引に係る分析結果
      • 犯罪収益のマネー・ローンダリングを請け負う犯罪グループにおいては、犯罪収益が入金される口座(1次口座)の資金を、早期に別の口座(2次口座)に移転させた後、更に複数の中継口座(3次口座)を経由し、最終的に外国送金を行う口座(4次口座)に移転させるといった特徴もみられた。また、その過程において、暗号資産交換業者の金融機関口座への送金やATMでの現金出金を行っているものもみられた。
    4. 1次口座に係る取引の中でみられた主な特徴
      • 「数字のみ」や「数字+個人名」から多数の振込入金(オンラインカジノの利用が疑われるもの)。
      • 振り込まれた資金が一定金額に達すると、ほとんど全額を同一法人名義の別金融機関の口座へ送金。
      • 1日に数回の送金を実施。
      • オンラインカジノの賭金とみられる振り込みのほか、詐欺事件等の犯罪収益とみられる振り込みも認められる。
      • RPAを活用して、送金処理を自動化する例もある。
    5. 2次口座に係る取引の中でみられた主な特徴
      • 同一法人名義の別金融機関口座からの多数回の振込入金。
      • 多数回の振り込みを合算して別法人名義の別金融機関口座に送金。
      • 送金金額は、多くがラウンド数字ではなく、一桁代まで数字が付された金額。
      • RPAを活用して、送金処理を自動化する例もある。
    6. 3次口座に係る取引の中でみられた主な特徴
      • 特定の法人名義口座から数百万円の振込入金後、即日、別法人名義の別金融機関口座へ同額を送金。
      • 特定の法人名義口座からの高額(数千万円)振込入金後、数千万円から数億円のまとまった金額を別法人名義口座に振り込み。
      • 外国送金用口座に送金する場合、別法人名義の別金融機関口座に3,000万円未満の送金。
      • 送金金額は、多くがラウンド数字ではなく、一桁代まで数字が付された金額。
    7. 暗号資産口座に係る取引の中でみられた主な特徴
      • 特定の法人名義口座からの数百万から数千万円の振込入金後、都度全額を暗号資産交換業者の金融機関口座へ送金。
    8. 外国送金
      • 主な取引目的:デジタルコンテンツ利用料、ウェブサイト管理費用、システムサービス関連費用、広告マーケティング料、市場調査費用、弁護士費用等の役務の提供に関するもの。
        • 主な取引相手先(国・地域):フィリピン、シンガポール、台湾、イギリス、ドイツ及び香港。
        • 取引の主な特徴(取引金額・頻度等)
        • 3,000万円未満の送金を繰り返す。
        • 原資は特定の法人名義口座からの振込入金であり、入金後、当日中又は3日程度以内に同額を外国送金。
        • 頻度は1日に1回、月に多くても10回程度で、同日中の複数回の送金はなし。
      • FATFでは、いわゆるステーブルコインのマネー・ローンダリング等上の脆弱性について、次のとおり指摘している。
        • 匿名性が高いこと、国境を越えて取引を行うことができること、瞬時に移転が可能で追跡が困難になること等、暗号資産と同様のマネー・ローンダリング等に悪用される脆弱性を有している。
        • 前記の脆弱性は、当該サービスが流通すればするほど高まるおそれがある。既存の暗号資産よりも価値が安定しているため、今後、社会の決済手段として広く流通する可能性がある。
        • 特にアンホステッド・ウォレットを利用したいわゆるP2P取引が容易に行われる場合、重大な脆弱性が生じる可能性がある。
        • 危険度を低減させるためには、その発行者や取引の仲介者は、金融機関や暗号資産交換業者と同様のマネー・ローンダリング等対策上の義務を負う必要がある。
        • 直ちに世界規模で利用可能となり、複数の国の法域にまたがって流通するため、マネー・ローンダリングリスクに適切に対処するためには、国際協力が不可欠である。
      • 暗号資産がマネー・ローンダリングに悪用された主な事例は、次のとおりである。
        • FX取引の勧誘でだまし取った資金の運用を装うために、無登録の暗号資産交換業者を通じて暗号資産を購入し、被疑者が管理する暗号資産ウォレットに移転させた後、金融機関口座を経由して現金化した。
        • 電子計算機使用詐欺によって得た暗号資産を、匿名での開設が可能な外国の暗号資産交換業者の暗号資産ウォレットに移転させた。
        • 暗号資産の取引を業とする法人の従業員に、当該法人名義の口座に振り込まれた詐欺等による犯罪収益で暗号資産を購入させ、自己の管理する暗号資産ウォレットに移転させた後、ほとんど同額の暗号資産を当該法人アカウントの暗号資産ウォレットに移転し、金融機関口座を経由して現金化させた。
        • 詐欺により得た犯罪収益で暗号資産を購入して複数の暗号資産ウォレットを経由させた後、同暗号資産を売却して現金化し、被疑者が管理する法人名義口座に入金させ、更に被疑者名義の口座に送金して払い戻し、現金を犯人グループに交付した。
        • 詐欺により得た犯罪収益を、被疑者が管理する暗号資産交換業者の金融機関口座に送金し、換金及び送金の自動化プログラムを用いて暗号資産に交換した上で、複数の暗号資産ウォレットを経由して被疑者が管理する暗号資産ウォレットに移転させた。
      • FATFや、エグモント・グループ等による指摘・分析結果を踏まえた、テロ資金供与の特性は、次のとおりである。
        1. 資金の出所の多様性と偽装性
          • テロ資金は、テロ組織によるその支配地域内の取引等に対する課税、薬物密売、詐欺、身代金目的誘拐等の犯罪行為又は外国人戦闘員に対する家族等からの金銭的支援により得られるほか、団体、企業等による合法的な取引を装って得られること。
        2. 少額・断片的な取引形態による検知困難性
          • テロ資金供与に関係する取引は、テロ組織の支配地域内に所在する金融機関への国際送金等により行われることもあるが、マネー・ローンダリングに関係する取引よりも少額であり得るため、事業者等が日常的に取り扱う多数の取引の中に紛れてしまう危険性があること。
        3. 送金先・経由地の特徴
          • テロ資金の供与先として、イラク、シリア、ソマリア等が挙げられるほか、それらの国へ直接送金せずに、トルコ等の周辺国を経由する例があること。
        4. 暗号資産の利用
          • ISIL-Kは、関連メディアである「ホラサンの声(Voice of Khurasan)」において、暗号資産の一種であるモネロによる資金提供を呼び掛け、実際に数万米ドル単位の資金を調達しており、資金調達の手段が従来の身代金目的誘拐等の犯罪行為から暗号資産を利用したISIL-K支援者からの寄附へと移行していること。
        5. SNS等の利用
          • テロ資金調達等において、SNS、クラウドファンディング及びモバイルアプリの利用が増加しており、併せて過激主義を助長したり、寄附を呼び掛けたりする動画が用いられること。
        6. 伝統的な手法
          • ISILは、ハワラのほか、現金を直接受け渡すといった伝統的な手法を広く利用し続けているとされ、移転の経路として各地の金融ハブを利用している
          • 我が国においては、以下のような特性を有する非営利団体について、テロ資金供与に悪用される危険度が相対的に高まると考えられる。
            • テロ行為が行われている地域やその周辺で活動している非営利団体
            • 相当量の資金を取り扱い、外国への送金や現地での現金取扱いを行っている非営利団体
          • 休眠状態にあるなど、法人としての実体が不明確な非営利団体これら団体が関与する金融取引については、我が国が国際金融市場の一翼を担っていることを踏まえ、国際機関による指摘等についても考慮する必要がある。
          • 一方で、我が国においては、非営利団体がテロ資金供与に悪用されたとして摘発された事例は確認されておらず、また、外国で活動する非営利団体の割合も限定的であること等から、総合的に見て、現時点におけるテロ資金供与に関するリスクは低いと評価される。
          • ただし、近年、国際的に非営利団体を悪用したテロ資金供与リスクに対する懸念が高まりつつあることから、我が国においても引き続き非営利団体に関するリスク評価の適切な見直しを行い、所轄庁等においては、危険度に応じたモニタリングの実施が求められる。あわせて、危険度の高い地域で活動する非営利団体については、その活動の健全性が確保されるよう、テロ資金供与に係る危険度とその対策に関するアウトリーチを継続的に実施することが重要であると考えられる

~NEW~
内閣官房 2026年春季労使交渉に向けた意見交換
▼ 資料1-1 総合経済対策における賃上げのための政府の取組
  • 物価上昇を上回る賃上げを全国に広げ、家計の実質所得を確保
    • 価格転嫁の徹底、省力化投資促進、重点支援地方交付金等により、企業の継続的・安定的な賃上げの環境整備
  • 現状
    • 春季労使交渉は、賃上げ率が2年連続で5%台で、約30年ぶりの高水準
  • 主な取組
    1. 賃上げに向けた中小企業等の稼ぐ力の強化
      • 生産性向上のための設備投資・省力化投資等の強化
      • 「100億企業」の創出支援
      • 「省力化投資促進プラン」の推進
      • 事業承継・M&Aの支援強化
      • 予兆管理や再生支援の強化
    2. 医療・介護等支援パッケージ
      • 令和8年度報酬改定の効果を前倒しし、医療・介護・障害福祉分野の現場で働く幅広い職種の方々の賃上げを支援
      • ICT機器等の導入等による生産性向上・職場環境改善の取組を支援
    3. 価格転嫁・取引適正化の推進
      • 取適法・振興法の厳正な執行
      • 「労務費転嫁指針」の改正
      • 官公需における物価上昇を踏まえた単価の見直し
    4. プッシュ型の伴走支援の強化
      • 積極的な働きかけによる気づきの提供と相談体制の強化
      • 生産性向上支援センター設置や自治体による支援モデル創出
    5. 重点支援地方交付金
      • 賃上げ促進税制を活用できない中小企業・小規模事業者を支援
      • 農林水産業等も支援
      • 業務改善助成金
      • 最低賃金引上げに対応する中小企業等が賃上げと設備投資等をする場合、最大600万円を支援
      • 賃上げの継続・定着に向けてあらゆる施策を総動員
▼ 資料2 基礎資料
  • 賃金
    • 2025年の春季労使交渉における賃上げ率は、33年ぶりの賃金上昇だった前年を上回る水準。賃上げ実施企業の割合も増加。
    • 一人当たりの名目賃金は、2021年度以降増加している一方で、実質賃⾦は、プラスが定着に至っていない。
  • 消費者物価
    • 我が国の消費者物価上昇率は2022年を機に上昇傾向に転じ、足元では、米国・ユーロ圏とほぼ同水準で推移。
    • 2024年度は、食料を始め幅広い項目で上昇。
    • 2025年10月では、しょうが、無菌包装米飯、米類等の価格が大きく上昇し、消費者物価全体を押上げ。
  • 物価の予想(期待インフレ率)
    • 政府及び日銀は、2026年度の消費者物価について、「物価安定の目標」の2%近辺の水準となると見込む。
    • 家計は、それよりも高い上昇率を見込む。
  • 企業業績
    • 2024年度の企業業績は、115兆円と過去最高を更新。
    • 足元で、企業利益の伸びは全体として鈍化。2025年度で見ると、減収が見込まれている(昨年同時期の調査よりはマイナス幅は若干小さい)。
    • 約4割の中小企業は、「防衛的な賃上げ」を実施したと回答。

~NEW~
厚生労働省 12月は「職場のハラスメント撲滅月間」です~職場におけるハラスメント対策シンポジウム開催~
  • 厚生労働省では、12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、ハラスメントのない職場づくりを推進するため、集中的な広報・啓発活動を実施します。
  • その一環として、「職場におけるハラスメント対策シンポジウム」をオンラインで開催します。令和7年6月に労働施策総合推進法等の一部改正法が公布され、カスタマーハラスメントを防止するために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主に義務付けられる(公布の日から起算して1年6月以内で政令で定める日から施行)ことを踏まえ、シンポジウムでは、業界団体や企業における取組事例などを紹介します。
  • また、厚生労働省では、ハラスメント防止対策の取組の参考としていただけるパンフレットや研修動画などを提供しています。詳細は▼ポータルサイト「あかるい職場応援団」をご覧ください。
  • 取組概要
    • 職場におけるハラスメント対策シンポジウム
      1. 日時
        • 令和7年12月10日(水)13時30分~15時15分(13:00オンライン画面スタート)
      2. 会場
        • オンライン配信
      3. 内容
        • 行政説明「改正労働施策総合推進法(カスタマーハラスメント対策)について」
        • 業界団体の取組事例紹介
          • 「空港グランドハンドリングにおけるカスタマーハラスメント対策について」
          • ご登壇者:佐藤 圭子氏(株式会社Kスカイ 東京空港支店 支店長)/白石 みゆき氏(株式会社JALスカイ大阪 安全・保安グループ グループ長)
        • パネルディスカッション
          • 「企業のカスタマーハラスメント対策の取組事例」
          • ご登壇者:尾城 晃子氏(株式会社イトーヨーカ堂 お客様相談部 総括マネージャー)/横尾 正和氏(イオン九州株式会社 総務部 部長)
      4. お申込み
      5. 広報・啓発
        • 事業主、人事労務担当者及び労働者等が職場におけるハラスメント防止の必要性及び関係法令の内容への理解を深められるよう、ポスターの配布・掲示、インターネット広告などを活用した広報・啓発を行います。

~NEW~
金融庁 金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」(第6回)議事次第
▼ 資料3 金融審議会 暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告(案)
  • 暗号資産に係るこれまでの法制度の整備について
    • 我が国では、マネー・ローンダリング・テロ資金供与対策に関する国際的要請や、国内における暗号資産と法定通貨の交換等を行う事業者の破綻を受け、2016年、資金決済に関する法律(以下「資金決済法」という。)等が改正され、世界に先駆けて暗号資産(当時は仮想通貨)に関する規制が導入された。これにより、暗号資産と法定通貨の交換等を行う事業者について登録制とするとともに、口座開設時における本人確認義務等のマネー・ローンダリング・テロ資金供与規制や、利用者への説明義務、利用者資産の分別管理義務等の利用者保護の枠組みが整備されることとなった(2017年4月施行)。
    • その後も、暗号資産交換業者(以下「交換業者」という。)の内部管理態勢の不備や、利用者から管理を受託した暗号資産や金銭の流出・流用事案の発生、過度な広告等が行われているなどの様々な問題が指摘されたことを踏まえ、2019年に資金決済法及び金融商品取引法(以下「金商法」という。)等の改正が行われた(2020年5月施行)。当該改正では、交換業者が取り扱う暗号資産を変更する場合の届出の時期を事後から事前に変更するほか、広告・勧誘規制の整備、利用者の暗号資産を原則としてコールドウォレット等で管理すること等が義務付けられた。また、暗号資産を用いた新たな取引や不公正な行為への対応として、暗号資産のデリバティブ取引に係る規制を整備するとともに、収益分配を受ける権利が付与されたICO(Initial Coin Offering)トークンについて金商法の規制対象となることを明確化し、暗号資産の不当な価格操作等を禁止する不公正取引規制等の整備も行われた。
    • さらに、2022年には、金融活動作業部会(Financial Action Task Force。以下「FATF」という。)。の勧告を受け、犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下「犯収法」という。)等が改正され(2023年6月施行)、利用者からの依頼を受けて暗号資産の移転を行う交換業者は、移転元と移転先の本人特定事項等を移転先が利用する交換業者に通知しなければならないという、いわゆるトラベルルールが導入されている。
    • 直近では、2025年6月に資金決済法を改正し、交換業者等の破綻時等の資産の国外流出防止のため、交換業者等に対する資産の国内保有命令の発出を可能とし、また、暗号資産等の売買・交換の媒介のみを業として行う新たな仲介業を創設するなどの規定が整備されることとなった(公布の日から起算して1年を超えない範囲内で施行予定)。
  • 暗号資産の投資対象化の進展を踏まえた今般の見直しについて
    • 暗号資産については、こうした利用者保護やマネー・ローンダリング対策等を図るための累次の制度整備を行ってきたところであるが、暗号資産を巡る技術の進展や環境の変化を踏まえ、金融庁は、暗号資産に関連する制度のあり方等について検証を行い、2025年4月10日にその結果をディスカッション・ペーパーとして公表した。その中では、国内外の利用者において暗号資産が投資対象と位置付けられており、詐欺的な投資勧誘等も行われている状況に鑑み、利用者保護のための更なる環境整備を行う必要性が指摘されている。その方向性についてはディスカッション・ペーパーに対して寄せられた意見でも概ね賛同があったところである。
  • 暗号資産の取引の現状
    • 暗号資産は、ブロックチェーン技術を基盤とし、インターネット上で移転できる財産的価値であり、取引等の検証方法や中央集権的管理者の有無、特定のプロジェクト等に関連したユーティリティの有無等に応じ、その種類や性質は多様である。
    • 現在、暗号資産については、資金決済法において、決済手段の観点から利用者との売買や暗号資産の管理等に関する規制が設けられている。一方、足下の暗号資産を巡る状況を見ると、例えば、国内の交換業者における口座開設数は延べ1,300万口座を超え、利用者預託金残高は5兆円以上に達している(いずれも2025年9月時点)。また、暗号資産保有者の約7割が年収700万円未満の所得層であり、個人口座の預かり資産額は8割以上が10万円未満であるなど、個人の利用者においても暗号資産の保有が身近なものとなってきている。
    • こうした中、決済手段としての利用も一部に見られるものの、以下のように、国内外で暗号資産の投資対象化が進展している。
      • 国内の個人向けアンケート調査によると、投資経験者のうち暗号資産の保有者の割合(7.3%)はFX取引や社債等よりも高くなっており、また、利用者の取引動機のほとんど(86.6%)は長期的な値上がりを期待したものとなっている。
      • 国際的にも、米国やカナダ等の多くの国・地域でビットコイン等の暗号資産の価格に連動するETF等が上場され、それらを通じた暗号資産への資金流入が続いている。
      • 米国では、長期投資を行う年金基金を含め、ビットコインETF等に投資する機関投資家が増加していることが指摘されており、分散投資の一環として暗号資産が位置付けられつつある。
      • 国内機関投資家においても、暗号資産を分散投資の機会と捉え、投資意欲が高まっているとの調査結果が公表されている。
    • 一方、足下では、金融庁「金融サービス利用者相談室」には月平均で350件以上の暗号資産に関する苦情相談等が寄せられており、その大半は詐欺的な暗号資産の投資勧誘や取引等に係るものとなっている。こうしたトラブルは、逆説的ではあるが、一般の個人の間において、暗号資産が投資対象として認識される状況が進展しているために生じているものと考えられる。これはまた、利用者の保護を図る必要性が増していることを示しているものと考えられる。
    • 加えて、組織的な詐欺等の犯罪収益の移転手段として暗号資産が利用されていることも指摘されており、交換業者がハッキングを受けて暗号資産が流出することによりテロ資金の供与につながる懸念も存在する。
  • 喫緊の課題
    • 国民が安心して暗号資産取引を行うには、その前提として適切に取引環境が整備され、利用者保護が図られる必要がある。暗号資産の投資対象化が進展している中で、以下のような暗号資産を巡る喫緊の課題が指摘されており、これまでも利用者保護の枠組みを整備してきたところであるが、利用者保護と取引環境整備の観点から更なる対応を行っていくべきである。
      1. 情報提供の充実
        • 暗号資産発行時に提供されるホワイトペーパー(説明資料)等の記載内容が不明確であったり、記載内容と実際のコードに差があることが多いとの指摘がある。また、こうした情報提供は自主規制の中であくまで交換業者に対して求められているものにとどまり、分かりやすく正確な情報提供が確保されておらず、各銘柄間の比較可能性が乏しいとの指摘もある。このため、利用者が暗号資産の機能や価値について正しい情報に基づき合理的に取引判断ができるよう、暗号資産に関する情報提供を強化する必要がある。
      2. 適正な取引の確保・無登録業者への対応
        • 近年、海外所在の事業者を含め、暗号資産交換業の登録を受けずに(無登録で)暗号資産取引への勧誘を行う者が現れているほか、金融庁にも詐欺的な勧誘に関する相談等が多数寄せられている状況にある。暗号資産については、匿名性が高く、不正な取引が行われた後の救済は難しいことや、犯罪行為者の資金源となることを防止すべきことを踏まえると、より厳格な規制により無登録業者による違法な勧誘等を抑止する必要がある。
        • また、暗号資産は伝統的な金融商品と比較すると、相当にボラティリティが高いこと等を踏まえると、個人のリスク許容度や経済的な余力に見合った取引が行われるようにする必要がある。
      3. 投資運用等に係る不適切行為への対応
        • 暗号資産取引についての投資セミナーや情報提供名目のオンラインサロン等も出現しており、中には利用者から金銭を詐取するなど悪質な行為が疑われるものもある。こうした状況を踏まえると、利用者保護を図る観点から、暗号資産の投資運用行為(アセットマネジメント)やアドバイス行為について適正な運営を確保する必要がある。
      4. 価格形成・取引の公正性の確保
        • 諸外国でビットコインETF等が上場され、国際的に個人や機関投資家による暗号資産投資が進んでいる状況を踏まえると、そうしたETF等の投資対象でもある暗号資産について、価格形成や取引の公正性を確保する必要性が高まっている。加えて、証券監督者国際機構(International Organization of Securities Commissions。以下「IOSCO」という。)より暗号資産に関しインサイダー取引も含めた詐欺・市場濫用犯罪への対応強化等が勧告されている。また、欧州や韓国ではインサイダー取引規制等に関する法制化が行われているほか、米国においては暗号資産を対象とするインサイダー取引への法執行事案が生じていることを踏まえると、我が国においてもインサイダー取引について対応強化の必要性が高まっている。
      5. セキュリティの確保
        • 交換業者がサイバー攻撃を受けて暗号資産が流出する事案は国内外で後を絶たない。近年の事案では、ソーシャルエンジニアリングが用いられるなど、手口が巧妙化しており、コールドウォレットであるから安全という状況ではなくなっている。攻撃者がテロ資金確保や兵器開発目的の国家であるケースも見られ、スタートアップを中心とした一般事業会社が単体で対処できる水準ではなく、政府による公助に加え、暗号資産業界横断的な情報共有・分析による共助が不可欠となっている。この前提の下、我が国の国富をテロ資金確保等を目的とした攻撃者の手に渡すことなく、また、国民の利益を損なうことのないよう、業界が適切なサイバーセキュリティ管理体制を確保することが求められる。この際、交換業者が利用者資産の流出リスクに関する適切なマネジメントと技術の進展等に応じた継続的見直しを行っていく必要があり、最低限度のサイバーセキュリティリスク管理態勢の確保だけでなく、各社がセキュリティの高度化に向けて切磋琢磨していくことを求めていくことが不可欠である。
  • 根拠法令の見直し
    1. 金商法の規制枠組みの活用
      • 上述の暗号資産を巡る喫緊の課題は、伝統的に金商法が対処してきた問題と親和性があると考えられる。
      • 例えば、金商法は、有価証券の発行者と投資者との情報の非対称性を解消するため、有価証券の募集・売出し等について発行者に対する開示規制を設けている。
      • また、投資者保護の観点から、有価証券等の売買の媒介・取次ぎ等や投資運用、投資アドバイスについて種々の業規制を設けるとともに、顧客から預託を受けた資産の適切な管理を義務付けている。その他にも、不公正取引規制を設け、公正で透明な市場の確保及び投資者保護を図っており、その規制の実効性を確保するため、刑事罰や課徴金制度が設けられているほか、証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」という。)による犯則調査等が行われるとともに、無登録業者に対する緊急差止命令といったエンフォースメントが設けられている。
      • 金商法は投資性の強い金融商品を幅広く対象とする横断的な投資者保護法制の構築を理念としているところ、暗号資産取引の多くが価格変動によるリターンを期待した取引であることは、金商法制定時に議論されていた、金商法の規制対象とすべき投資性の考え方とも整合的と考えられる。こうした金商法の規制枠組みを活用し、暗号資産を巡る喫緊の課題に対応することが適当と考えられる。
      • なお、暗号資産の他にも金やトレーディングカード等の投資性があり得る商品もあるものの、投資性があるものを全て金商法の規制対象とする必要はない。
      • 規制の適用には様々なコストがかかるが、当該コストを上回る便益が生じる場合に限り規制が正当化されるものであり、金商法の目的である「国民経済の健全な発展及び投資者の保護」の観点から規制を及ぼすべき必要性と相当性を踏まえて政策的に考えるべきである。
      • そうした観点から、暗号資産については、投資目的での取引の実態や投資者被害の発生状況、金商法以外での産業・資源政策等との関係等を総合勘案すると、政策的に金商法の規制を及ぼす必要性・相当性において、金やトレーディングカード等とは異なる面があるものと考えられる。
    2. 暗号資産の金商法における位置付け
      • 金商法上の有価証券は、配当や利息といった形で収益分配等を受ける法的な「権利」を表章するものが対象となっており、この点、暗号資産は一般に何らかの法的な権利を表章するものではなく、また、収益の配当や残余財産の分配等は行われない等、その性質は金商法上の有価証券とは異なるため、有価証券とは別の規制対象として金商法に位置付けることが適当である。
    3. 金商法で規制対象とする暗号資産の範囲
      • 金商法で規制対象とする暗号資産の範囲については、以下を踏まえ、現行法上の暗号資産とすることが適当である。
        • 資金決済法上の暗号資産に該当しないトークン(いわゆるNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン))は、利用の実態面に着目すると、何らかの財・サービスが提供されるものが多く、また、そうしたNFTの性質は様々であるため、一律の金融法制の対象とすることには慎重な検討を要する。
        • いわゆるステーブルコイン(デジタルマネー類似型)は、法定通貨の価値と連動した価格で発行され、発行価格と同額での償還を約するもの(及びこれに準ずるもの)を念頭に、資金決済法において電子決済手段として規制されており、広く送金・決済手段として用いられる可能性がある一方、投資対象として売買されることは現時点において想定しにくい。
    4. 資金決済法における暗号資産の規制
      • 金商法に基づく金融商品取引業(以下「金商業」という。)に関する規制内容は、資金決済法に基づく暗号資産交換業に関する規制に相当する規制が概ね整備されている。また、現行法に設けられている暗号資産の不正流出のリスクが大きい性質等を踏まえた安全管理措置等に関する特別の規制については、金商法に新たに同様の規制を設けることで、暗号資産に関し必要な規制は金商法において整備することが可能である。このため、規制の複雑化等を避ける観点からも、暗号資産に係る規制は資金決済法から削除することが適当であると考えられる。
      • なお、現状、資金決済法で規制されている暗号資産が投資目的で多く取引されているように、金商法で規制することとしたとしても、決済目的での利用が制限されるものではない。今般の規制見直しによって利用者保護のための規制やエンフォースメントが強化されることは、決済目的の利用者にとっても、より安心して取引を行うための環境整備となるものと考えられる。
  • 情報提供規制
    • 利用者が行う暗号資産の取引は、有価証券の取引と類似し、新規に暗号資産が販売される場合と、既に流通している暗号資産の売買等の場合がある。いずれの場合においても、利用者に対し取引判断等にとって必要な情報が提供されることが重要である。そうした観点から、以下に記載のとおり、利用者に対し新規販売時の情報提供及び継続的な情報提供が適切に行われる必要がある。
  • 業規制
    • 暗号資産には、セキュリティトークン(有価証券をトークン化したもの)と同様の流通性があることを踏まえ、暗号資産の売買等を業として行う場合、基本的に第一種金融商品取引業(以下「第一種金商業」という。)に適用される規制と同様の規制を適用すべきである。金商法では法令レベルで定められている規制が、現行法の下では自主規制で義務付けられているものもあるが、普遍性の高い規制については法令レベルに引き上げることが適当である。なお、暗号資産に関連する技術やビジネスは変化の速い分野であるため、法令と実態に即して柔軟に対応できる自主規制との適切な組み合わせにも留意する必要がある。また、(第一種金商業には相当する規定がなく)現行法に設けられている暗号資産の性質に応じた、例えば安全管理措置等の特別の規制については、金商法に新たに同様の規制を設けることが適当である。
  • 暗号資産取引に係るリテラシーの向上等
    • 利用者がリスクと商品性を十分に理解し、リスクを許容できる範囲で取引を行うことができるようにするため、交換業者に対し、(1)暗号資産の価格推移の実績や将来予測を殊更強調するなど、リスクを正しく認識することを妨げ、投機的な取引を誘引するような表示を禁止するとともに、(2)顧客がリスク負担能力の範囲内で取引を行うことを確保するための確認を行う体制の整備や、(3)自主規制規則に基づく取引開始基準や取引・保有限度額の設定等に係る運用の徹底等を求めることが適当である。
  • サイバーセキュリティに関する取組み
    1. サイバーセキュリティに関する取組みの基本的な方向性
      • 暗号資産に係るサイバーセキュリティ対策は、攻撃者が常に高度化することに加えて、技術革新により自身のシステム構成も動的に変化するため、法令では必要な体制の確保に係る義務を規定し、技術や運用の要件等については柔軟に環境変化に対応できるようにガイドライン等で定めることが適当である。暗号資産に係る利用者財産の保護は、特に、サイバーセキュリティの高度化を通じて得られるとの考えに立って、適切なセキュリティ投資の下で各社のリスクマネジメントのPDCAが実効的に行われることが重要である。交換業者におけるこうした投資を行うインセンティブ付けとフィージビリティに留意して法令・ガイドラインの規定は検討されるべきである。
    2. 業界の共助や金融庁における取組み
      • 金融庁では、これまで、交換業者を含めた金融業界全般に対して、「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」等のガイダンスの提供、モニタリングの実施や演習(Delta Wall)等、公助の取組みを進めており、こうした取組みについて今後も着実に実施していくことが重要である。
      • また、全世界で暗号資産の流出に繋がるサイバー事案が数多く発生しており、直近の事案では手口がより巧妙化しているため、交換業者等におけるサイバーセキュリティ体制の継続的な強化に向けた官民の対応が不可避となっている。
      • 個社が国家レベルの攻撃に日々さらされる中で、サイバーセキュリティ対応は、自助・共助・公助の組み合わせで対処すべき課題であり、特に業界共助の取組みの発展が不可欠であることから、JPCrypto-ISACをはじめとする情報共有機関が適切に機能することが期待される。当局としてもそうした取組みを後押ししていくべきである。
  • 市場開設規制
    • 金商法においては、有価証券又はデリバティブ取引に関する市場開設規制が設けられているが、金商法の規制対象である暗号資産デリバティブ取引(証拠金取引)について、一部の業者は利用者同士の注文のマッチング(板取引)を行っているものの、「金融商品市場」とまでは評価される状況にないと考えられるため、金融商品取引所の免許を求めていない状況にある。
    • 暗号資産(現物)取引においては、資金決済法上、市場開設規制はないが、交換業者の中には、顧客同士の注文のマッチング(板取引)を行う、いわゆる『取引所』を運営している交換業者も生じているところ、現行の暗号資産『取引所』について市場開設規制の対象とするか否かが論点となる。
    • この点、多数の当事者を相手方とする集団的な取引の場を提供する以上、価格形成や業務運営の公正性・中立性を確保するための適切な取引管理及びシステム整備は必要であるものの、個々の暗号資産『取引所』の価格形成機能は暗号資産の性質上限定的なものであり、金融商品取引所に係る免許制に基づく規制や金商業者に係る認可PTSの規制のような厳格な市場開設規制を課す必要性は低いと考えられる。
    • 他方、既存の金融商品取引所が暗号資産(現物)を上場することについては、暗号資産取引の場を顧客に提供するために、交換業者と同様に、オフチェーンで顧客の暗号資産を保管し、売買当事者間の口座で暗号資産を移転させる方式をとる場合、金融商品取引所がハッキング等により顧客資産の流出リスクを負うことになる。この場合、市場規模によっては、巨額のリスクを金融商品取引所が負うことになり、当該金融商品取引所による有価証券又はデリバティブ取引市場の運営に重大な影響が生じかねないため、現時点において、金融商品取引所による暗号資産(現物)の上場を可能とすることは慎重に考えるべきである。
  • 不公正取引規制
    • 暗号資産の不公正取引規制については、2019年の金商法改正により、上場有価証券等の不公正取引規制と同様に、不正行為の禁止に関する一般規制、風説の流布や偽計、相場操縦行為等の禁止規制が整備されている。他方、「内部者」の特定や、「顧客の取引判断に著しい影響を及ぼす未公表の重要事実」を予め特定することは困難な面があることを踏まえ、インサイダー取引を直接規制する規定は設けられていない。また、不公正取引に係る刑事罰は設けられているが、課徴金制度や証券監視委の犯則調査権限は整備されておらず、違反行為への抑止力が不十分との指摘がある。

~NEW~
金融庁 事業者支援の促進及び金融の円滑化について
▼ (別紙2)金融の円滑化に向けた取組及び事業者支援の徹底について
  • 足元では、物価高や人手不足等への対応といった従来の経営課題への対応に加え、米国の関税措置の影響も受け、依然として厳しい状況に置かれている事業者が数多く存在します。そのため、金融機関においては、より一層金融仲介機能を発揮し、資金需要の高まる年末、年度末に向けて、事業者の資金繰りに重大な支障が生じることのないように万全を期すとともに、事業者に寄り添いながら一歩先を見据えた経営支援を講じることが期待されます。
  • こうした中、政府においては、生活の安全保障・物価高への対応、危機管理投資・成長投資による強い経済の実現、防衛力と外交力の強化を柱とした「「強い経済」を実現する総合経済対策」を11月21日に閣議決定いたしました。また、金融庁においては、本年中に「地域金融力強化プラン」を策定し、地域における人口減少・少子高齢化その他の環境変化の中で、地域金融機関が地域経済に貢献する力(=「地域金融力」)を十分に発揮するための関連施策を今後強力に推し進めていく予定としています。
  • これらの一連の状況を踏まえ、今般、以下の事項について改めて要請いたしますので、貴機関、貴協会会員金融機関等の経営層は勿論のこと、現場の第一線の職員等まで周知・徹底をお願いいたします。
  1. 資金繰り支援、条件変更・借換えに係る対応
    • 近年、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進む一方で、物価高や人手不足に関連した倒産が増加傾向にあることに加え、米国の関税措置の影響により、取引先からの受注が減少したという声や資金繰りに支障を来したという声もこれまでに聞かれるなど、依然として厳しい状況に置かれている事業者も数多く存在する。
    • こうした状況にある中で、これから一層資金需要の高まる年末、年度末を迎えることを踏まえ、金融機関においては、事業者の資金繰りに重大な支障が生じることのないよう、以下の対応を徹底すること。
      • 事業者への資金繰り支援については、改めて、中小企業や小規模・零細企業、中小企業組合はもとより、中堅・大企業等も含めた事業者の業況を積極的に把握し、資金繰りの相談に丁寧かつ親身に対応するなど、引き続き、事業者に寄り添ったきめ細かな支援を徹底すること。融資判断に当たっては、それぞれの事業者の現下の決算状況・借入状況や条件変更の有無等のみで機械的・硬直的に判断せず、事業の特性、各種支援施策の実施見込み等も踏まえ、経営改善につながるよう、丁寧かつ親身に対応すること。各種補助金等の支給までの間に必要となる資金や、賃上げや生産性向上投資等の成長に要する資金等についても、柔軟な支援を講じること。こうした際、事業者の実情に応じて、「協調支援型特別保証」(プロパー融資を同時実行する場合等に保証料負担を低減)、「経営力強化保証」(認定経営革新等支援機関の支援がある場合に保証料負担を低減)、今後新たに措置する予定の「モニタリング保証」(金融機関等が定期的なモニタリングを実行する場合に保証料負担を低減)等の施策も活用すること。日本政策金融公庫等においては、事業者の実情に応じて、今後金利引下げを予定している「セーフティネット貸付(米国関税対策)」等の活用を促進すること。
      • 既往債務の条件変更や借換え等については、引き続き、申込みを断念させるような対応を取らないことは勿論のこと、事業者に寄り添った迅速かつ柔軟な対応を継続すること。また、金利見直しの協議に際しては、金融機関が顧客企業に十分に説明を行うことはもとより、事業者の実情を踏まえ、必要に応じて適切な返済計画のアドバイスを行うこと。こうした際、事業者の実情に応じて、経営改善・再生計画の策定を促す「経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)」(今後申込受付期限を延長予定)や小規模事業者向けの「小口零細企業保証」等の施策も活用すること。
  2. 「地域金融力強化プラン」を踏まえた対応
    • 地域における人口減少・少子高齢化その他の環境変化の中で地域の持続的な発展を実現するためには、その主たる担い手として期待される地域金融機関が地域経済に貢献する力(=「地域金融力」)を精力的に発揮していくとともに、適切な経営管理・業務運営を確保しつつ、その役割を十分に発揮できるための環境整備を併せて進めていくことが不可欠であり、こうした考え方の下、金融庁において、本年中に「地域金融力強化プラン」を策定予定である。
    • 金融機関においては、本プランの趣旨も踏まえ、支援機関とも連携しながら、地域の持続的な発展の実現や事業者の一層の成長に向けて引き続き取り組むこと。
  3. 個別の実情に応じた事業者支援
    • 令和6年の「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」(同年1月31日付改正、4月1日適用開始)の改正等も踏まえ、金融機関においては、事業者の抱える経営課題への対応を先送りせず、一歩先を見据えた早期の事業者支援に取り組むことが重要であり、引き続き、他の金融機関や中小企業活性化協議会、事業承継・引継ぎ支援センター、よろず支援拠点等の支援機関等といった関係者間での連携の下、個別の実情に応じたきめ細やかな事業者支援に取り組むこと。その際、事業者の実情に応じて、以下に一例として掲げるような事項も踏まえて対応すること。
    • なお、自身のメイン先である事業者に対しては勿論のこと、コロナ禍において実質無利子・無担保融資により新たに取引先となった事業者や残高メイン先でなくなるなど融資シェアが低下した事業者等に対しても支援がおろそかなものとならないよう、自身の経営資源の状況等を踏まえつつ、他の金融機関や支援機関等と早期から密接に連携しながら、メイン・非メイン先の別や、既存顧客・新規顧客の別、プロパー融資・信用保証付融資の別等にかかわらず、事業者に寄り添った継続的な伴走支援に努めること。
      • 「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」については、令和4年の策定から令和6年度までに計378件の活用実績が積み重なり、中小企業の事業再生等の現場に着実に浸透している。係る活用実績や足元の事業環境等も踏まえ、今後、「中小企業の事業再生等に関する研究会」において、地域経済の維持・成長のためにも事業再生が重要な役割を果たすという理念の下、本ガイドラインの実効性を一層強化するための検討を開始する予定である。こうしたことも踏まえながら、引き続き、本ガイドラインの趣旨・内容について、営業現場を含めた一層の浸透・定着を図りつつ、円滑な事業再生等に向けた主体的な支援に努めること。
      • 中小企業活性化協議会については、令和6年度の相談件数が8,761件、再チャレンジ支援完了件数が1,340件と、いずれも過去最大の実績となっており、中小企業における事業再生や再チャレンジ等のニーズが増加傾向であることが窺える。こうした中で、本年3月には、「経営者保証に関するガイドライン」に沿った債務整理を一層円滑に進めるための「再チャレンジ支援制度」を拡充した他、今後、「早期経営改善計画策定支援事業(Ⅴアップ事業)」については簡易デューデリジェンス費用や伴走支援費用等の補助対象への追加、「経営改善計画策定支援事業(405事業)」についてはスポンサー支援を図る場合におけるフィナンシャル・アドバイザー費用等の補助対象への追加をそれぞれ予定しているなど、一層の支援策の充実を図る予定である。引き続き、事業者の実情に応じてこうした施策も活用しつつ、自身のコンサルティング機能を発揮して、事業者の経営改善や事業再生、再チャレンジ支援に努めること。
      • M&A・事業承継支援については、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」(令和6年8月30日付改正、10月1日適用開始)や「中小M&Aガイドライン」(同年8月30日に第3版に改訂)等を踏まえ、M&A・事業承継ニーズに着実に応えるための支援態勢整備や、経営者保証の適切な取扱い等を推進している。引き続き、係る監督指針やガイドラインの趣旨・内容について、営業現場を含めた一層の浸透・定着を図るとともに、事業者の実情に応じて「事業承継・M&A補助金」等の施策も活用しつつ、予兆管理も含めた主体的なM&A・事業承継支援に努めること。
      • 事業者の賃上げを後押しする環境整備や成長投資の促進といった中小企業の「稼ぐ力」の強化については、引き続き、事業者の実情に応じて、プッシュ型での伴走支援や、売上高100億円を目指して「100億宣言」を行う中小企業の投資を支援する「成長加速化補助金」の活用等も通じて、意欲的な経営者による取組の支援に努めること。
  4. 経営者保証に依存しない融資
    • 経営者保証に依存しない融資の促進に向けて、令和4年12月23日付で政府より発出した要請文「個人保証に依存しない融資慣行の確立に向けた取組の促進」及び同日付で策定した「経営者保証改革プログラム」の趣旨・内容について、引き続き、営業現場を含めた一層の浸透・定着を図ること。
    • 加えて、「個人保証に依存しない融資慣行の確立に向けた取組の促進」や「経営者保証改革プログラム」に基づく取組が金融機関や事業者の着実な行動変容につながっていることを踏まえ、係る行動変容を一層拡大していくべく、今後、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」等を改正し、既存の個別保証契約についても経営者保証の必要性の説明・記録の対象に追加する予定であり、民間金融機関においては、既存の個別保証契約についても、自身の経営資源の状況や事業者とのリレーション強化による裨益等に照らし合わせて、事業者からの問い合わせや事業者に対する定期的な業況確認の機会等も活用しながら、今後改正予定の監督指針に沿った説明・記録を対応可能な範囲で行うこと。
    • また、信用保証付融資に関しては、信用保証協会と民間金融機関とが連携して、事業者のニーズに応じて、「事業者選択型経営者保証非提供制度」の活用を積極的に検討すること。
  5. 住宅ローン等
    • 住宅ローンやその他の個人ローンについて、丁寧な相談対応や顧客の状況、ニーズに応じた返済猶予等の条件変更の迅速かつ柔軟な対応を行い、生活・暮らしの支援に努めること。
  6. その他政策課題への対応
    • 自然災害等の影響により、住宅ローン等の既往債務の弁済が困難となった個人の生活や個人事業主の事業の再建に向けては、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の活用も含め、被災した個人や個人事業主に寄り添った支援に努めるとともに、事業者の資金繰り支援に際しては、「セーフティネット保証4号」等の信用保証制度や、日本政策金融公庫等による「令和6年能登半島地震特別貸付」、「能登半島地震復興支援ファンド」等の施策も活用しつつ、きめ細かい対応に努めること。係る支援対応に万全を期すべく、平時より、事業継続計画の点検や見直しをはじめ、災害時に向けた備えを着実に実施すること。
    • 令和8年1月1日に「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律(令和7年法律第41号)」が施行され、係る施行日以降に発注する「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(昭和31年法律第120号)の対象取引に関しては、手形払いが禁止されるとともに、支払期日を超える満期を設定した一括決済方式又は電子記録債権を使用した支払いは原則として支払遅延の禁止に該当することとなる。
    • こうしたことを踏まえながら、同法の適用対象とならない取引を含め、サプライチェーン全体での支払い手段の適正化の推進に向けて、手形等のサイトの短縮に取り組む事業者からの資金繰り支援の相談に丁寧かつ親身に応じるとともに、事業者の業況や資金需要等を勘案し、事業者に寄り添った柔軟かつきめ細かな資金繰り支援に努めること。

~NEW~
金融庁 口座売買の抑止に係る官民一体・業界横断的な広報について
  • 令和6年の特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害総額は過去最悪となっており、令和7年においても、引き続き増加傾向にあり、深刻な情勢が継続しています。こうした詐欺などの被害金の送金先として、不正に売買・譲渡・貸与された預貯金口座が悪用されています。
  • このような口座の悪用を止めるため、今般、銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫と金融庁・警察庁が連携し、口座の売買等が違法であることを国民の皆さまに周知するため、全国銀行協会が中心となり、官民一体・業界横断的な広報コンテンツを作成しました。
  • 口座の売買等を防ぐことが詐欺等の犯罪の被害防止、ひいては国全体の安心・安全を守ることにつながることから、金融庁においても、今般の広報コンテンツを積極的に発信してまいります。

~NEW~
内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状 【判断維持】
      • 景気は、米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられるものの、緩やかに回復している。
      • (先月の判断)景気は、米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられるものの、緩やかに回復している。
    2. 先行き
      • 先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意が必要である。加えて、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意する必要がある。
      • 政策の基本的態度
        • 政府は、「経済あっての財政」を基本とし、「責任ある積極財政」の考え方の下、戦略的に財政出動を行うことで「強い経済」を構築する。今の国民の暮らしを守る物価高対策を早急に講じるとともに、日本経済の強さを取り戻すため、生活の安全保障・物価高への対応、危機管理投資・成長投資による強い経済の実現、防衛力と外交力の強化を柱とする「「強い経済」を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~」(11月21日閣議決定)を取りまとめた。その裏付けとなる令和7年度補正予算の早期成立を図り、その成立後には、関連する施策を速やかに実行する。
        • 政府と日本銀行は、引き続き緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていく。
        • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢に応じて適切な金融政策運営を行うことにより、賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
  • GDPの動向とその内容
    • 本年7-9月期の実質GDPは、米国通商政策の影響等を受け、6四半期ぶりに前期比で減少した。ただし、四半期ごとの振れが均される前年同期比で基調的な動きを確認すると、個人消費や設備投資は底堅く、景気の緩やかな回復が続いている。
    • 米国通商政策の影響については、足下、米国向け財輸出に持ち直しの兆しがみられる。また、関税発動後、大きく引き下げられていた米国向け乗用車の輸出価格も、9月16日の関税率引下げもあり、足下反転の兆しがみられる。
  • 物価の基調と背景
    • 消費者物価(総合・コア)は、2022年4月以降、2%を上回る上昇率が続く。当初は輸入エネルギー価格上昇の影響が大きかったが、足下では米や原材料価格の上昇等を背景とした食料品価格の上昇寄与が大きい。一方、財物価の上昇に比べると、賃金の影響を比較的大きく受けるサービス物価の上昇率は1%台となっている。
    • 企業物価については、輸入物価に連動して上下することが多かったが、足下では輸入物価が下落傾向にある中、国内の需給要因を主因として上昇する傾向が見られる。その結果、国内で生産された財・サービスの集計価格であるGDPデフレーターは、内需を中心に上昇している。
    • 賃金を起点とする物価上昇圧力を示すユニット・レーバー・コストは、雇用者報酬(経済全体の賃金所得)の堅調な増加とともに、プラスを続けている。1人当たり賃金(所定内給与)についても2%程度の伸びとなっているが、依然として物価上昇には追いついていない。
    • 需給ギャップ(GDPギャップ)は、概ねゼロ近傍までマイナス幅が縮小してきたが、7-9月期は再びマイナスとなった。今後の課題は、需要の安定的な拡大とともに、経済の供給力(潜在成長率)を引き上げること。これが安定的な物価上昇と持続的な賃金上昇を両立させる土台となり、経済を再びデフレに戻さないためのカギになる。
  • 海外経済の動向
    • 米国経済について、43日間(10/1~11/12)の政府閉鎖によって景気は一時的に押し下げられたとみられるものの、今後は再開に伴う給与の遡及支給等が見込まれることから、その影響は均して見れば限定的とみられる。
    • ユーロ圏では、停滞が続いていた財輸出に回復がみられ、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる 。民間部門を中心に一国全体の投資が弱含んでいるドイツについて、財政ルールの変更を伴うインフラ投資の拡大等が決定され、企業の景況感は改善傾向。

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内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(第80回)議事次第
▼ 資料1 第7期科学技術・イノベーション基本計画の検討状況について
  • 第7期「科学技術・イノベーション基本計画」の方向性
    1. 科学の再興(基礎研究力の強化・人材育成)
      • 「我が国全体の研究活動の行動変革」、「世界をリードする研究大学群等の実現に向けた変革」、「大学・国研への投資の抜本的拡充」(様々な府省庁・民間からの基礎研究への投資)を推進。
        1. 新たな研究領域への挑戦の抜本的な拡充
        2. 戦略的な国際頭脳循環
          • 日本人研究者の海外派遣の拡大:3万人(5年間累計)
          • 世界トップレベルの魅力ある研究環境の構築
        3. 優れた科学技術人材の継続的な育成・輩出
          • 博士号取得者数の拡大:2万人
          • 研究支援人材の確保
        4. 時代に即した研究環境の構築
          • AI for Science による科学研究の革新
          • 研究設備の共用化の促進:30%
        5. 世界をリードする研究大学群の実現
          • 研究力強化に向けた経営戦略の構築・実践等、ガバナンス改革の推進
          • 「国際卓越研究大学制度」等を通じた研究大学群の形成
          • 基盤的経費の確保(運営費交付金の在り方の見直し等)
    2. 技術領域の戦略的重点化
      • 将来にわたって科学技術力を維持・強化するため、限られた政策資源を最大限活用する戦略的な支援を実施。
        1. 新興・基盤技術領域
          • 造船
          • 航空
          • デジタル・サイバーセキュリティ
          • 農業・林業・水産(フードテックを含む)
          • 資源・エネルギー安全保障・GX
          • 防災・国土強靱化
          • 創薬・医療
          • 製造・マテリアル(重要鉱物・部素材)
          • モビリティ・輸送・港湾ロジスティクス(物流)
          • 海洋
        2. 国家戦略技術領域
          • 研究開発から産業化までの一気通貫支援
          • 研究開発投資のインセンティブ重点化
          • AI・先端ロボット
          • 量子
          • 半導体・通信
          • バイオ・ヘルスケア
          • フュージョンエネルギー
          • 宇宙
        3. 国家安全保障との有機的連携
          • デュアルユース研究開発の推進
          • 関係府省間の連携体制の構築
          • 経済安全保障に係る技術力の強化
          • 研究セキュリティの確保・技術流出防止
        4. イノベーション・エコシステムの高度化
          • 産学連携の推進
          • スタートアップ・エコシステムの形成
          • 地域イノベーションの推進
          • 知財・標準化戦略の推進
        5. 戦略的科学技術外交の推進
          • 重要技術領域における同盟・同志国との連携強化
          • 新興技術の国際ルール形成
          • 国際的な頭脳循環ネットワークの形成(在外公館、大学、研究機関の連携強化)
          • 科学技術を通じた国際協力の推進
          • 上記取組に、外交ツールとして、ODA等も活用
        6. 推進体制・ガバナンスの改革
          • 政府研究開発投資、官民研究開発投資目標の設定
          • 基盤的経費の確保・研究大学のマネジメント改革
          • CSTIの司令塔機能の強化(重要技術領域の選定 等)

~NEW~
消費者庁 訪問購入業者【 KUROFUNE&Co株式会社 】に対する行政処分について
  • 消費者庁が特定商取引法に基づく行政処分を実施しましたので公表します。
  • 詳細
    • 消費者庁は、宝石、貴金属、時計、ブランドバッグ等の中古品を購入する訪問購入業者であるKUROFUNE&Co株式会社(本店所在地:千葉市美浜区)(以下「KUROFUNE&Co」といいます。)(注)に対し、令和7年11月26日、特定商取引法第58条の13第1項の規定に基づき、令和7年11月27日から令和8年8月26日までの9か月間、訪問購入に関する業務の一部(勧誘、申込受付及び契約締結)を停止するよう命じました。
    • (注)類似する名称の別会社と間違えないよう会社所在地なども確認してください。
    • あわせて、消費者庁は、KUROFUNE&Coに対し、特定商取引法第58条の12第1項の規定に基づき、法令遵守体制の整備その他の再発防止策を講ずることなどを指示しました。
    • また、消費者庁は、KUROFUNE&Coの代表取締役である栗原修(くりはら おさむ)に対し、特定商取引法第58条の13の2第1項の規定に基づき、令和7年11月27日から令和8年8月26日までの9か月間、前記業務停止命令により業務の停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含みます。)の禁止を命じました。

~NEW~
消費者庁 株式会社ツルハグループマーチャンダイジングに対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 消費者庁は、本日、株式会社ツルハグループマーチャンダイジングに対し、同社が供給する商品に係る表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第2号(有利誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行いました。
  • 対象表示
    • ア 表示の概要
      • 表示媒体
        • 「ツルハグループe-shop本店」と称する自社ウェブサイト(以下「自社ウェブサイト」という。)
      • 表示期間
        • 別表「表示期間」欄記載の期間
      • 表示内容(表示例:別紙)
        • 自社ウェブサイトにおいて、例えば、「【特売セール】 花王 ビオレu 泡ハンドソープ つめかえ用 (770mL) 詰め替え用 4回分 薬用 泡タイプ 【医薬部外品】」と称する商品について、遅くとも令和7年2月26日から同年6月7日までの間、「特別価格:498円(税込) 通常価格:612円(税込)」と表示するなど、本件79消費者庁は、本日、株式会社ツルハグループマーチャンダイジングに対し、同社が供給する商品に係る表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第2号(有利誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令(別添参照)を行いました。
        • 商品について、別表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、「通常価格」と称する価額(以下「通常価格」という。)は、自社ウェブサイトにおいて、本件79商品について通常販売している価格であり、実際の販売価格が当該通常販売している価格に比して安いかのように表示していた。
    • イ 実際
      • 通常価格は、自社ウェブサイトにおいて、本件79商品について最近相当期間にわたって販売された実績のないものであった。
  • 命令の概要
    • ア 前記(2)アの表示は、前記(2)イのとおりであって、それぞれ、本件79商品の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
    • イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
    • ウ 今後、同様の表示を行わないこと。

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消費者庁 食品表示の適正化に向けた年末一斉取締りについて
  • 消費者庁は、食品衛生の監視指導の強化が求められる年末において、食品の表示の適正化を図るため、都道府県等と連携し、食品表示法等の規定に基づき下記の取組を実施することとしましたので、お知らせいたします。
  1. 基本方針
    • 不適切な食品の表示に対しては、消費者庁が横断的に取締りを行いつつ、地方出先機関を有し、監視業務についてのノウハウを有する農林水産省及び財務省並びに都道府県・保健所等が相互に連携し、食品表示の関係法令の規定に基づき効果的・効率的な取締りの執行体制を確保しているところです。
    • このような体制の下、食品衛生の監視指導の強化が求められる年末においては、次のとおり、食品表示の重点事項について、取締り等を行うこととしました。
  2. 年末一斉取締りの実施について
    • 国及び都道府県等においては、食品衛生の監視指導の強化が求められる年末において、食中毒などの健康被害の発生を防止するため、従来から食品衛生の監視指導を強化してきたところです。例年どおり、この時期に合わせ、食品等の表示の信頼性を確保する観点から、食品表示の衛生・保健事項に係る取締りの強化を全国一斉に実施します(別紙)。
      1. 実施時期:令和7年12月1日から同月31日
      2. 食品表示の適正化等に向けた監視の重点事項
        • 食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合の食品の表示適正化
        • 特定原材料及び特定原材料に準ずるものの取扱い
        • 原産地及び原料原産地名表示の適正化
      3. 食品関連事業者等に対する啓発
        • 食品リコール(自主回収)に係る主な発生原因を踏まえた注意喚起
        • 遺伝子組換え食品に関する表示制度の周知啓発
        • その他

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国民生活センター 抱っこひも 正しく装着して事故を防ぎましょう!
  • 内容
    • 事例1
      • 保護者が抱っこひもで子どもを抱っこしていた。やや前かがみになって両手を洗っていたところ、脇の部分からすり抜けて落下した。装着した後にサイズの調整をしておらず、緩いと思っていた。(当事者:3カ月)
    • 事例2
      • 子どもを抱っこした状態で立っていた。抱っこひもをつけるためにひもを締めようとしたところ、子どもがのけぞり約1メートルの高さから落下した。大腿骨骨折。約3カ月間通院。(当事者:4カ月)
  • ひとことアドバイス
    • 抱っこひもは子どもを抱っこすることを補助する道具で、昔から活用されていますが、着用中や着脱途中に子どもが落下する事故が発生しています。特に月齢の低い0歳児が重篤なけがを負っています。
    • 抱っこひもを着用した状態で前かがみにならず、子どもを手で支えながら膝を曲げてしゃがむようにしましょう。また、抱っこひもを緩めて着用するなど誤った使い方も、落下の原因の一つとなります。
    • 着脱の際や着用姿勢を変える際に子どもが激しく動くなどすると、落下する危険性があるため、なるべく低い姿勢で行いましょう。おんぶなど子どもの状態が確認しにくい時は、できるだけ周囲の人に協力してもらいましょう。
    • 事故を未然に防ぐためにも、取扱説明書をよく読み、正しく装着して使いましょう。

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国民生活センター ガラス繊維強化プラスチックによるけがに注意!
  • ガラス繊維強化プラスチックが使用された商品から飛び出したガラス繊維を触ってけがをした等の相談が寄せられています。ガラス繊維強化プラスチックは、細いガラス繊維の束に樹脂をしみ込ませて成形したもので、傘の骨、園芸用ポール、テントの支柱など、軽量で弾性が求められる部位に用いられることがあります。ガラス繊維は細く肉眼では見えづらいため、露出した部分に触れると、けがをするおそれもあります。
  • こんな事故が起きています
    • 【事例1】傘による事故
      • 子どもが人とすれ違うときにぶつかり、グラスファイバー製の傘の親骨が折れて細かなガラス繊維が手に刺さった。特に子どもには危険な商品だと思う。(2022年10月受付、被害者属性不明)
    • 【事例2】園芸用品による事故
      • 園芸ポールに素手で触れたところ、粉状のガラス繊維が飛び散り、体中に刺さった。(2023年7月受付、80 歳代、女性)
    • 【事例3】玩具・遊具による事故
      • 中国の通信販売サイトで購入した屋根付き浮輪の支柱が折れて中から、グラスファイバーが出た。その部分に手で触れてしまい痛い。どうしたらよいか。(2024年6月受付、50歳代、女性)
    • 【事例4】アウトドア用品による事故
      • テントのグラスファイバー製の骨を組立て中、ガラスが指に刺さった。病院に行ったがまだ指先が痛い。(2023年8月受付、30歳代、女性)
  • 傘の骨を観察したところ・・・
    1. 断面の観察
      • 走査型電子顕微鏡を用いてガラス繊維強化プラスチックが使用されている長傘の親骨の断面を観察したところ、直径30μm前後のガラス繊維が、約5,000~10,000本束ねられて樹脂で固められており、樹脂表面付近にまでガラス繊維が出ている様子が観察されました。
    2. 曲げたり傷つけたりした場合
      • 傘の骨に力を加えてゆるやかに曲げる操作を繰り返したり、表面を傷つけたりすると、表面にひびが発生し、ガラス繊維の先端が表面に出てくることがありました。表面を傷つけた場合には、表面にあるガラス繊維が切断され、切断された端が露出しました。
  • 消費者へのアドバイス
    • ガラス繊維強化プラスチックは、表面からガラス繊維の先端が露出していることがあるため、不用意に素手で触らないなど取扱いには注意しましょう。
    • ガラス繊維が皮膚に刺さって痛みが続く場合は、医師の診察・処置を受けましょう。

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経済産業省 中部電力株式会社に対して電気事業法に基づく報告を求めました
  • 経済産業省は本日、中部電力株式会社(以下「中部電力」という。)に対して、浜岡原子力発電所の安全性向上対策工事における取引先との間の契約上の不適切事案について、電気事業法第106条第3項の規定に基づく報告を求めました。
  1. 概要
    • 中部電力において、浜岡原子力発電所の安全性向上対策工事の一部で、一部の取引先との間で長期間未精算になっている事案が判明し、また、社内規程に反し、これらの事実を取締役会等に対して長期に亘って報告を行っていなかった事案が発覚しました。
    • 上記を踏まえ、経済産業省は、本日、中部電力に対して、電気事業法第106条第3項の規定に基づき、本事案の概要、発生原因、再発防止策、他の類似事案の有無等について報告するよう求めました。
  2. 関連条文
    • 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)
    • 第百六条(報告の徴収)
      • 1・2 (略)
      • 3 経済産業大臣は、第一項の規定によるもののほか、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、小売電気事業者等、一般送配電事業者、送電事業者、配電事業者、特定送配電事業者、発電事業者又は特定卸供給事業者に対し、その業務又は経理の状況に関し報告又は資料の提出をさせることができる。

~NEW~
経済産業省 石油流通業界に対し、法令遵守のための指示を行いました
  • 本日、公正取引委員会から、長野県石油商業組合北信支部及び同支部の17社に対して、独占禁止法の規定に違反する行為が認められ、排除措置命令及び課徴金納付命令等が行われました。
  • このような違反行為が行われたことは、石油流通業界の信頼を損ない、公正かつ自由な競争を妨げるものであり、極めて遺憾です。
  • 資源エネルギー庁は、全国石油商業組合連合会に対し、今般の事案を真摯に受け止め、速やかに実効性のあるコンプライアンス強化策を取りまとめ、報告することを指示しました。加えて、強化策の実施を徹底するとともに、取組状況を定期的に報告するよう求めました。
  1. 独占禁止法の違反行為の概要
    • 本日付けで、公正取引委員会から、長野県石油商業組合北信支部及び同支部の17社に対して、独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号))の規定に違反し、特定揮発油の販売分野において競争を実質的に制限していたことから、長野県石油商業組合北信支部に排除措置命令が行われるとともに、同支部の17社に課徴金納付が命じられました。(以下当該認定及び命令に係る事案を「本事案」という。)
  2. 資源エネルギー庁からの指示
    • 長野県石油商業組合を含む全国組織である全国石油商業組合連合会に対し、本事案を真摯に受け止め、石油流通業界における法令遵守体制の強化に向けて、速やかに実効性のあるコンプライアンス強化策を取りまとめ、資源エネルギー庁に報告することを指示しました。加えて、都道府県石油組合及び事業者における強化策の実施を徹底するとともに、取組状況について定期的に報告するよう求めました。

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経済産業省 価格交渉促進月間(2025年9月)フォローアップ調査の結果を公表します
  • 中小企業庁では、毎年3月と9月の「価格交渉促進月間」に合わせ、受注側中小企業30万社に対し、価格交渉・価格転嫁・支払条件の状況について調査を実施しています。2025年9月時点の調査の結果、
  • 価格転嫁率は、前回から約1ポイント増の53.5%となりました。
  • コスト要素別の転嫁率は、原材料費55.0%、労務費50.0%、エネルギーコスト48.9%となり、労務費の転嫁率は初めて50%に到達しました。
  • 都道府県別の価格転嫁のランキングを初めて公表します。
  • 全体として改善傾向にはありますが、まだ道半ばであり、中小企業庁としては、引き続き粘り強く価格転嫁・取引適正化対策を継続していきます。
  1. 「価格交渉」、「価格転嫁」、「価格交渉促進月間」とは
    • 「価格転嫁」とは、モノやサービスを製造・提供する際にコストが膨らんだとき、その上昇分を価格に反映することです。そして、その「価格転嫁」に先立って行われるのが、発注者・受注者間で行われる「価格交渉」であり、この2つはクルマの両輪と言えます。
    • 価格の改定は、半期に一度、4月と10月に行う企業が比較的多いことから、中小企業庁では、その前月である3月と9月を、「価格交渉促進月間」と設定し、価格交渉・価格転嫁の促進のため、広報や講習会、フォローアップのための調査を行っています。
  2. 価格交渉促進月間フォローアップ調査の概要
    • 2025年9月の「価格交渉促進月間」において、中小企業の取引状況を正確に把握するため、30万社の中小企業にアンケート調査を実施しました。
      1. 調査概要
        • 配布先の企業数:30万社
        • 調査期間:2025年9月24日から11月7日
        • 回答企業数:69,988社(回答から抽出される発注側企業数は延べ86,538社)
      2. 主な調査項目
        • 主な発注企業との価格交渉・価格転嫁の実施状況
        • 業種別、都道府県別の価格転嫁率ランキング
        • 価格転嫁に関する発注企業による説明の状況
        • 該当取引における自社の取引階層と価格転嫁の実施状況
        • 取引代金の支払手段、支払期日等の状況、支払手数料の負担状況 など
  3. 結果
    • 結果の概要は、以下のとおりです。
    • 発注側企業から申し入れがあり、価格交渉が行われた割合は、前回から約3ポイント増の34.6%となり、価格交渉できる雰囲気が醸成されつつあります。
    • 価格転嫁率は53.5%となりました。コスト要素別の転嫁率は、原材料費55.0%、労務費50.0%、エネルギーコスト48.9%となり、労務費の転嫁率は初めて50%に到達しました。
    • 価格交渉が行われた企業のうち、7割超が「労務費についても価格交渉が実施された」と回答しました。
    • 価格交渉が行われたものの、コスト上昇分の全額の価格転嫁には至らなかった企業のうち、発注企業から価格転嫁について、「納得できる説明があった」と回答した企業は約6割でした。
    • 今回初めて、都道府県別の価格転嫁率のランキングを公表します。都道府県別では、上位の都道府県と下位の都道府県で価格転嫁率に10%以上の差が生じています。
    • サプライチェーンの段階と価格転嫁の関係については、引き続き、受注企業の取引階層が深くなるにつれて価格転嫁の割合が低くなる傾向がみられますが、1次請けの企業と4次請け以上の企業の転嫁率の差は僅かに縮小しています。
    • 官公需における価格転嫁率は、前回から微減し、52.1%となりました。民間企業同士の取引に限らず、官公需を含めた価格転嫁・取引適正化を徹底していきます。
    • 取引代金の支払については、支払期日が60日を超過している企業の割合が全体の7.2%、手形等の利用があり手形サイトが60日を超えている企業が6.1%となりました。また、支払手数料についても、「受注側が負担している」と回答した企業が約3割残存する結果となりました。
  4. 今後のスケジュール(予定)
    • 2026年1月中下旬:発注者ごとの価格交渉・価格転嫁・支払条件の評価を記載した「発注者リスト」の公表
    • 2026年2月以降:状況が芳しくない発注者に対し、「注意喚起」や事業所管大臣名での「指導・助言」
▼ 価格交渉促進月間(2025年9月)フォローアップ調査の結果

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経済産業省 「JIS規格の総ざらいレビュー」を実施します
  • 経済産業省は、(1)JIS規格の網羅的な調査・検証とそれを踏まえた公共調達等との連携強化、(2)既にニーズが把握できている案件等の先行対応、を内容とする「JIS規格の総ざらいレビュー」を実施します。
  • 公共調達を契機として、JIS規格に基づく安全性や信頼性が客観的に担保された製品やサービスをより一層浸透させることで、国民生活の安全・安心や製品等の質の確保を進めるとともに、企業にとってのビジネスチャンスの拡大にもつなげていきます。
  1. 背景
    1. 日本産業規格(JIS規格)は、産業標準化法(JIS法)に基づき制定される我が国の鉱工業品、データ、サービス等に関する国家規格であり、国内市場取引の基礎として、製品等の品質の担保やその仕様の統一など、広くその効果を発揮しています。
    2. 本年6月に策定された「新たな国際標準戦略」(知的財産戦略本部決定)では、JIS法に規定されているJISの尊重規定などを踏まえ、公共調達等における規格の活用状況を把握することが定められました。また、経済産業省/日本産業標準調査会により同月に発表された「新たな基準認証政策の展開-日本型標準加速化モデル2025-」(日本産業標準調査会基本政策部会)においても、公共調達等において規格を更に積極的に活用することを検討すべきとされています。
    3. これらを踏まえ、経済産業省では、約11,000件(2025年3月末時点)存在しているJIS規格の総ざらいレビューを実施し、それぞれのJIS規格の公共調達における活用状況等を網羅的に把握した上で、公共調達において活用することのできるJIS規格を特定し、具体的に対応を進めることとしており、内閣府知的財産戦略推進事務局としても、公共調達等での活用を支援していきます。
    4. (参考)「「強い経済」を実現する総合経済対策」(令和7年11月21日閣議決定)【抜粋】
      • 戦略的に重要な技術領域における認証関連設備の整備を進める。政策金融の活用可能性も検討しつつ、海外認証機関との連携強化等の後押しを通じた国内認証機関の強化とともに、JIS規格の総ざらいレビューを踏まえた公共調達との連携強化等による、標準・規格を活用した国内外市場の開拓・確保につなげる。
  2. 「JIS規格の総ざらいレビュー」の内容
    1. JIS規格の網羅的な調査・検証
      • 経済産業省では、JIS法に基づき、制定・確認・改正したJIS規格がなお適正であるかについて、5年に一度見直しを行い(年間約2,200件ずつ、5年間で一巡)、その見直しの結果を踏まえ、JIS規格の改正・廃止等の必要な措置を講じています。
      • 経済産業省では、本年度の見直しに関する調査から、公共調達を始めとするJIS規格の活用状況を網羅的に把握できるよう調査票を見直したところであり、この調査結果も活用しつつ、5年をかけて、全てのJIS規格の調査・検証を実施します。その上で、実態を踏まえたJIS規格の改廃と併せて、公共調達との連携を進める意義が見出せたJIS規格については、個別に対応を進めていきます。
    2. ニーズが把握できている案件等の先行対応
      • 上記1.の調査と並行して、産業界や消費者からニーズが寄せられるなど、既に公共調達において活用することが有効であると見込まれている以下の3つのJIS規格については、内閣府知的財産戦略推進事務局も協力し、各府省とも連携しつつ、先行して公共調達等との連携を進めます。また、追加的にニーズが把握できたJIS規格については、1.の調査・検証を待たず、順次、先行対応を進めていきます。
        1. ロボット関連
          • ロボット及びロボティックデバイス-生活支援ロボットの安全要求事項(JIS B 8445)
        2. 健康医療関連
          • 電子式湿球黒球温度(WBGT)指数計(JIS B 7922)
        3. サービス関連
          • 翻訳サービス-翻訳サービスの要求事項(JIS Y 17100)
  3. 公共調達等との連携の進め方
    • JIS規格と公共調達との連携にあたっては、競争性の確保等の調達ルールを遵守することを前提に、例えば、仕様において、
      • JIS規格への準拠を定める(自己適合宣言)、
      • JIS規格への準拠を定めることと併せて、第三者認証(JISマーク認証や業界自主認証等)を考慮要素とする、
      • JIS規格への準拠を定めることと併せて、将来的なJISマーク認証の取得を求める、
      • JISマーク認証の取得を要件とする、
    • 等の方法をとることが考えられます。
    • 具体的に、どのJIS規格においてどのように公共調達との連携を進めていくかについては、それぞれのJIS規格の活用状況や市場の実態、関連する調達ルール等も踏まえて、内閣府知的財産戦略推進事務局と経済産業省が連携して、各省の協力も得ながら、個別に検討し、整理していく予定です。
  4. 関連条文
    • JIS法第69条において、「国及び地方公共団体は、鉱工業に関する技術上の基準を定めるとき、その買い入れる鉱工業品に関する仕様を定めるときその他その事務を処理するに当たつて第2条第1項各号に掲げる事項に関し一定の基準を定めるときは、日本産業規格を尊重してこれをしなければならない。」と規定されている。
    • JIS法第17条において、「主務大臣は、第11条(前条において準用する場合を含む。)の規定により制定し、又は確認し、若しくは改正した産業標準がなお適正であるかどうかを、その制定又は確認若しくは改正の日から少なくとも5年を経過する日までに調査会の審議に付し、速やかに、これを確認し、又は必要があると認めるときは改正し、若しくは廃止しなければならない。」と規定されている。

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国土交通省 不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果を公表~三大都市圏及び地方四市の短期売買や国外居住者による取得状況~
  • 近年のマンションの取引実態を把握するため、三大都市圏及び地方四市の新築マンションにおける短期売買(購入後1年以内の売買)の状況、国外に住所がある者による取得の状況について調査を行いました。
  • また、都心6区の新築マンションにおける価格帯別の短期売買、取得の状況についても併せて分析しました。
  • 法務省から受領した不動産登記情報及び民間の価格データ情報を活用し、2018年1月から2025年6月までに保存登記(登記原因が売買である申請情報のうち、所有権の保存及び移転登記の情報)がなされた三大都市圏及び地方四市の新築マンション約55万戸を対象として調査を実施し、次のような結果が得られました。
  • 新築マンションの短期売買
    • 東京都を中心に神奈川県、大阪府、兵庫県の一部の地域で短期売買の割合が高く、また、増加する傾向が見られる。
    • 中心部に行くほど短期売買割合が高い又は増加の傾向が見られる。
    • その年にどのようなマンションが供給されたか等によって、短期売買の割合は大きく変動している。
    • 直近では、大規模マンション(注2)の方が、それ以外のマンションと比べて、短期売買割合が高く、数字も大幅に上昇している(東京23区の専有面積40m2以上物件)。
      • (参考)大規模マンション9.9%、大規模マンション以外3.3%(2024年上期)。
    • 直近では、国外に住所がある者による短期売買も増加の傾向が見られる(東京23区)。
    • 国外に住所のある者が2億円以上の高額物件を活発に短期売買している傾向は特に見られない。(都心6区)
      • 短期売買:2024年6月までの間に保存登記がなされたもののうち、保存登記から1年以内に移転登記がなされたもの
      • 大規模マンション:1棟あたりの保存登記数(登記原因が売買であるもの)が100件以上のもの
      • 都心6区:千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区
    • 国外に住所がある者による新築マンションの取得
      • 東京都を中心に大阪府、京都府の一部の地域で国外からの取得割合が高く、また、増加する傾向が見られる。
      • 中心部に行くほど国外からの取得割合が高い又は増加の傾向が見られる。
      • その年にどのようなマンションが供給されたか等によって、国外からの取得割合は大きく変動している。
      • 国外に住所がある者が2億円以上の高額物件を活発に購入している傾向は特に見られない(都心6区)。
    • 調査結果の詳細は別紙をご参照ください。
▼ 【別紙】不動産登記情報を活用した新築マンションの取引実態の調査・分析について

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国土交通省 必要としている方がいます!~「高齢者障害者等用施設等の適正利用推進キャンペーン」を実施します~
  • 国土交通省では、バリアフリートイレ、車椅子使用者用駐車施設等、旅客施設等のエレベーター、車両等の優先席等の施設や設備について、必要としている方が必要な時に利用できるよう、適正な利用の推進に向けたキャンペーンを実施し、「心のバリアフリー」を推進します。
  • 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」において、「高齢者障害者等用施設等の適正な利用の推進」が、国、地方公共団体、施設設置管理者等、国民の責務として規定されています。
  • 国土交通省では、高齢者障害者等用施設等の適正な利用の推進のためキャンペーンを実施し、「障害の社会モデル」の考え方を普及させ、「心のバリアフリー」を推進します。
    • 高齢者、障害者等:高齢者、全ての障害者(身体障害者のみならず知的障害者、精神障害者、及び発達障害者を含む。)及び妊産婦等、日常生活又は社会生活において身体の機能上の制限を受ける者は全て含まれます。
    • 高齢者障害者等用施設等:バリアフリートイレ、車椅子使用者用駐車施設、旅客施設等のエレベーター、車両等の優先席等を指します。
    • バリアフリートイレ:従来「多機能トイレ」や「多目的トイレ」と呼ばれていたものなど、高齢者や障害者等の利用に適正な配慮が必要なトイレを総称して「バリアフリートイレ」と表記しています。

~NEW~
国土交通省 航空法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令等を公布します~滑走路の更なる安全の確保に向けて~
  • 令和7年6月に公布された「航空法等の一部を改正する法律」の施行に際し、滑走路の安全確保等に関する省令等を制定します。
  1. 背景
    • 令和7年6月に、羽田空港航空機衝突事故を踏まえた航空の安全の確保に関する措置等を内容とする「航空法等の一部を改正する法律」(令和7年法律第55 号)が公布されました。これを踏まえ、滑走路の安全対策の強化に係る具体的措置やパイロットの技能発揮訓練(CRM訓練)に係る細目的事項を定める必要があります。
  2. 概要
    1. 航空法施行規則等の一部を改正する省令
      • 空港設置者が遵守すべき機能確保基準に滑走路安全に係る具体的措置を追加、技能発揮訓練に係る有効期間等の細目的事項を定める等の省令改正を行います。
    2. 滑走路の安全確保に関する指針
      • 滑走路の安全確保に関し、関係者が果たすべき役割や講ずべき措置に加え、これらの措置を講じるに当たり必要な連携体制等について定めた指針を定めます。
    3. 航空法に基づく登録訓練機関に関する省令(12月1日公布予定)
      • 技能発揮訓練を実施する登録訓練機関に係る登録手続き等の細目的事項を定める「登録訓練機関に関する省令」を制定します。
    4. スケジュール
      • 2.(1)及び(2)について
        1. 公布:令和7年11月27日(木)
        2. 施行:令和7年12月1日(月)※一部規定については経過措置あり
      • 2.(3)について
        • 公布・施行:令和7年12月1日(月)(予定)

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国土交通省 不動産価格指数(令和7年8月・令和7年第2四半期分)を公表~不動産価格指数、住宅は前月比0.3%増加、商業用は前期比0.2%増加~
  • 国土交通省は、今般、不動産価格指数(住宅及び商業用不動産)を公表しました。住宅総合の季節調整値は、前月比で0.3%増加、商業用不動産総合の季節調整値は前期比で0.2%増加となりました。
  • ポイント
    1. 不動産価格指数(住宅)(令和7年8月分・季節調整値)
      • 全国の住宅総合は144.3(前月比0.3%増)
      • 住宅地は119.9、戸建住宅は118.5、マンション(区分所有)は218.6(対前月比はそれぞれ、0.9%増、0.4%減、0.1%減)
    2. 不動産価格指数(商業用不動産)(令和7年第2四半期分・季節調整値)
      • 全国の商業用不動産総合は145.1(前期比0.2%増)
      • 店舗は161.8、オフィスは180.5、マンション・アパート(一棟)は172.0(対前期比はそれぞれ、1.9%減、7.7%増、0.5%増)
        • 2010年平均=100各数値は速報値であり、初回公表後3ヶ月間は改訂を行う。

~NEW~
国土交通省 法人取引量指数 令和7年8月分を公表(試験運用)~全国において、前月比3.8%減少~
  • 国土交通省は、登記データをもとに法人が取得した既存建物(住宅・非住宅)の移転登記量を加工・指数化した法人取引量指数を毎月発表しています。令和7年8月分(住宅・非住宅)については、前月比3.8%減少していることがわかりました。
  • ポイント
    • 令和7年8月分の同指数は、合計の季節調整値は272.3(前月比3.8%減)、住宅合計の季節調整値は298.1(前月比3.6%減)
    • 戸建住宅の季節調整値は346.7(前月比3.8%減)、マンションの季節調整値は255.2(前月比4.8%減)、非住宅の季節調整値は226.0(前月比3.8%減)(2010年平均=100)
  • 法人取引量指数の定義
    • 建物の売買を原因とした所有権移転登記戸数(登記データ)のうち、法人取得の住宅及び非住宅で、既存住宅取引又は既存非住宅取引ではないものを除いたものとする。
    • 既存住宅販売量指数と集計方法を統一し、比較出来るようにするため、マンションにおいて床面積30m2未満の数値を含んだものと除去したものを併用して公表する。※既存住宅販売量指数では、個人による床面積30m2未満のワンルームマンション取得が増大している現状に鑑み、マンションにおいて、上記のような場合分けをおこない、併用して公表している。
    • 各月の取引量における季節性を排除するため、月次指数において季節調整を行うこととする。

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