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「やくざもコロナ対策本格化!新たなシノギに要注意!―反社チエックの形骸化(意識含む)が大きな落とし穴に」~危機管理おやじのつぶやき(コロナ対応3)[執筆:代表取締役社長 熊谷信孝]

2020.05.19
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暴力団等の反社会的勢力については、ご存じのように暴力団排除条例(暴排条例)・暴力団対策法(暴対法)を駆使した警察の取り締まり強化等で、従来のみかじめ料等の資金獲得活動(シノキ)が厳しくなり、暴排条例等の対象とはならない「準暴力団・半グレ」等を利用したみかじめ料の徴収や、半グレ自身に風俗店等を経営させて上納金をかすめ取ったり、覚せい剤・大麻・危険ドラッグ等の違法薬物等の従来からのシノギ(薬物の売買については、売る方と買う方がお互い違法性を有し、認識・自覚することで摘発されるリスクを軽減できるものとされています)に加え、特殊詐欺と言われる一般人も巻き込んだ詐欺からのシノギに力を入れるようになりました。それに対して「半グレ」を準暴力団とカテゴライズして取り締まり等を強化する、有名芸能人の薬物使用等による摘発を強化する等、警察や厚生労働省地方厚生局麻薬取締部(いわゆる麻取<マトリ>)もまた取り締まり強化で対応しています。

そのような中でのコロナ禍で、高齢化や元々基礎疾患(入れ墨や薬物の濫用等の影響で肝臓等に持病を持つ者が多い)等を持っているうえ、六代目山口組と神戸山口組の特定抗争指定暴力団への指定により(概ね)5人以上の集合が禁じられるなど、「3密」状態で行われる会合や密談も出来なくなるなど、今後の組織維持と運営に苦慮しているのは、ある意味で一般会社と似たところもあります。大きく違うのは、自分のシノキで生計を立てること、上部団体への上納をしなければならないこと、コンプライアンスを考慮することなくシノギの手段を考え実行出来る、ということです。

以下、コロナ禍、そして今後のやくざのシノギとその対策について、あくまでも危機管理おやじが考えるものについて、いくつかお話します。

(1)現在行っている特殊詐欺の継続(今後、変化していくことも考えられる)

警察当局の取り締まり強化が行われていても、特殊詐欺による被害が後を絶たない中、今回のコロナ対策として行われる各種助成金等に関わる申請等に関連して、預金口座情報を取得しての詐欺や、申請業者になりすました助成金不正受給詐欺、助成金申請のアドバイスと称して高額手数料をかすめ取る詐欺等が考えられるところ、その実行犯等については、実行内容によってグループ分けや役割分担をして、捜査の手が自分達に及ばないこの手法を継続してシノギとしていくことが考えられる。コロナ禍で収入が減り困窮している高齢者や若年層に限らない幅広い年齢層(しかも男女問わず)在宅者をターゲットとしてインターネット等で勧誘して取り込んでいくだろう。

コロナ禍で緊急事態宣言や今後の経営等に不安を持っているこの時期だからこそ、取引先や関係者等の会社との「接点」に対する厳格なチェック意識が欠如している脆弱性をうまく悪用した、インターネットを使った取り込み詐欺、対応スビートが求められている各種助成金申請等の申請先に対するチェックの脆弱性(形骸化)を悪用した申請詐欺などが活発化するものではないかと考えられる。

企業は、このような暴力団等の反社会的勢力の手口(あるいはその変化)をとらえて、更なる厳格な取引先チェックとして、「属性要件」だけでなく、反社会的勢力が起こしやすい一般事件等を含めた「行為要件」について、インターネットなどによる風評チェックや記事検索等、その手法を拡げて、この時期たからこそ手を緩めることなく継続していくこと、さらには、在宅勤務の社員がインターネット等での巧妙な誘いに巻き込まれて、犯罪の共犯者とならないよう、あらためて注意喚起や研修等の対策が必要ではないだろうか。

(2)インターネットでの違法薬物等の販売

インターネットによる違法薬物等の販売は、以前からも行われているが、外出自粛や深夜の飲食店の休業等で人目を避けて「ブツ」を受け取るのが難しいことから、インターネット経由で宅配するところ、その配達も業者ではなく、デリバリー風の一般人を利用して特殊詐欺の受け子役の様に自分達に足がつかないように工夫することも考えられる。薬物の場合は、売る方も買う方も罪に問われることから、買う方から警察に通報されるリスクが少ないという点や、「シャブ(覚せい剤)」と聞くと初めての人は抵抗感があるものの、以前流行したような「ハーブ」のように名称や電子たばこのカートリッジ商品として販売すれば、常習者はもちろん初めての人であっても抵抗感が薄れ、購入しやすくなることを使って、「シノギ化」することも容易ではないだろうか。

これもやはり、インターネットを使った勧誘であり、常習者だけでなく新規顧客を得るため、違法薬物であることを秘して(隠語を使うなどして)インターネット上で販売したり、配達役の一般人の友達、知人関係を通じて拡大させて行くことも考えられる。アフター・コロナにおいても、働き方改革として、在宅勤務が増えてくれば、社用PCや私用PC、スマポで安易に購入してしまい、個人情報も悪用されることも考えられる。いかにそのような手口や誘惑に負けないようにすべきか、このような視点からも、あらためての注意喚起とコンプライアンス意識の啓蒙・教育が必要となってくるだろう。

(3)インターネット賭博

バカラ、ルーレット、スロット賭博などの摘発は、最近でも相次いで報道されていますが、今までのような「箱もの」(リアルな空間)として、マンションや事務所を改造して利用するのではなく、ガサ入れ(家宅捜索)のリスクと家賃等の支払いを避けるためも、ネット空間を使った賭博(インターネット賭博、ネットカジノ等)にシフトしていく動きが加速することが考えられる。また、各種スポーツも無観客でのテレビ放映やインターネット配信が当分続くことが予想される中、インターネット上での野球賭博等の「スポーツ賭博」や公営ギャンブルである競馬、競輪、競艇等をインターネット使った「ノミ屋」など、アナログな昔気質の「やくざ」というよりは、「半グレ」やその関係者がデジタル技術を使って、「現ナマ(現金)」ではなく、「デジタル決済」化を進めることが考えられる。利用者にとっても、自宅から気軽に参加できることから今までのような罪悪感等がなく、ましてや外出自粛でのストレス発散と一角千金も狙えるとなれば、利用者の増加や投入金額の増加も見込め、まさに良いシノギになるはずだ。

(4)闇金ビジネスと個人情報の違法取得

国からの助成金や支援金融資の遅れなどに窮した個人や中小企業等に対しての違法な融資、いわゆる「闇金ビジネス」の再開もまた考えられるところだ。各種支援融資の実行までのつなぎ融資として勧誘を行い、借りる側も低金利(無利子含む)等で申請後に支援金融資が受けられるので、それを返済原資として、少々高い金利でも、苦しい目下の状況をしのぐ手段として手を出しやすいところに目を付けたものだ。

また、急激に増加した在宅勤務者に対して、会社や顧客等の個人情報を含む各種情報を横流しするように高額の報酬で誘い込み、その情報を基に特殊詐欺、カード偽装等で利用してシノギをすることも考えられる。

日本は今、世界から多くのサイバー攻撃を受けており、各種情報セキュリティー対策が講じられていると思われるところ、在宅勤務におけるネット環境や情報管理についての物理的な対策とこれら犯罪の手口の周知をふまえた教育・研修等の意識面からの対策の両面が必要となる。

(5)性ビジネス

外出自粛(時間制限含む)や深夜の風俗店等については、いきなり元の状態に戻るには相当の期間が必要であり、その間のビジネスとしてアダルトサイトの配信、自宅や家庭事情等で在宅出来ずにホテル等で仕事をしている人へのデリヘルなどの性ビジネスについても、違法薬物と同じく買う方から警察や知り合いに相談しにくいという構図もあり、後ろに手が回りにくい(摘発されにくい)ビジネスであり、インターネットに案内だけ出しておけば、客は自然に寄ってくるので手間も掛からず、割のよいシノギだと言える。

(6)闇サイト等での強盗等

半グレを利用した金塊強奪事件を覚えている方も多いと思われるが、半グレを使って闇サイトで強盗等の実行犯を集めて強盗等や窃盗などの犯行に及ぶケースも増えている。さらには国内で仕事を失ったり、生活に窮している足のつきにくい不良外国人を使った犯行によるシノギにも注意する必要があるだろう。

宅配ビジネスが急増している中、配達を装って玄関を開けさせて犯行に及ぶケースもあり、自宅周辺における不審者等の動向等にも十分に注意する必要もある。

暴力団等の反社会的勢力は、この他にも、様々な形でシノギのネタを模索していること、このような異常な、混乱した時期に乗じて企業や個人をターゲットにしてくることを厳しく認識していただきたいと思います。だからこそ、これまで以上に厳寒な顧客管理を徹底していくこと、社員への研修・教育の重要性を再認識していただくことをお願いしたいと思います。このコロナ禍が落ち着いた時に、反社問題で企業や皆さんの社員が事件・事故等に巻き込まれるなどしてダメージを被ることのないよう、今まさに注意が必要なのです。

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