暴排トピックス

企業と反社会的勢力の接点(事例と解消に向けた初期対応)

アバター 取締役副社長 主席研究員 芳賀恒人

2015.03.10
印刷

1.企業と反社会的勢力の接点(事例と解消に向けた初期対応)

 今回の暴排トピックスも、反社会的勢力と企業・組織の接点について、(前回の代表的な類型をふまえて)具体的な事例をご紹介いたします。さらには、この接点の解消に向けた具体的な応酬話法についても取り上げてみたいと思います。反社会的勢力に適切に対応するためには、彼らとの接点を具体的にイメージできていること、さらには、その初期対応について基本的な方針や対応要領をあらかじめ具体的に理解しておくことがまずもって重要となります。

 貴社においても、役職員一人ひとりが、正に「防波堤」にも「仲介者」にもなり得る「諸刃の刃」であることに強い危機感を持って、社内の役職員の意識レベルの向上にお取組みいただきたいと思います。

1) 不当要求に応じたことがきっかけとなった事例

A社(家具販売業)のB店の副店長が、商品を個人客Cに届けたところ、「今、金がないので、代金は後日払う」と言われた。本来、A社では、個人客への掛売りは認めていないものの、副店長は、Cの(暴力団風の)人相風体に負けて申し出を受け入れてしまった。まもなくCは暴力団員の身分を明かし、その後は、数年にわたり、代金支払いの延期、掛売りでの注文、仲間を連れてくる、その他様々な便宜の供与を要求し、最終的には未払代金と商品の不正な横流し等により数千万円に上る損害をA社に与えるに至った。実は、当該副店長はCらから手土産をもらうなど取り込まれてしまい、事案が顕在化しないよう、他の担当者には取扱いをさせない、店舗の販売管理システムを不正に操作するなどして隠ぺいを図っていた。A社としてもB店の同僚らからの内部通報により不正の端緒は掴んでいたが、暴力団への対応を躊躇し、数年にもわたって何ら対策を講じてこなかった。最終的に、このような事態が、新たに就任した社外監査役の知るところとなり、速やかに社内調査を実施。本人も事実関係を認めたため、最終的に賞罰手続きに基づき、同人を懲戒解雇のうえ刑事告訴した。また、これを契機として、不正に利用された販売管理システムをはじめ内部統制システムの改善に着手した。

 本事例の教訓として、以下のような点があげられると思いますが、個人の弱さをカバーするための組織的な対応の必要性や社風の醸成の重要性などが指摘できるものと思います。

  • 本来のルールの逸脱(小さな一つの対応の不備)から最終的に大きなロス(損害)が生じうること
  • 例外的な対応が反社会的勢力の侵入を招いてしまうこと
  • 不祥事を隠ぺいしたい気持ちを巧みに利用されてしまうこと
  • 現実の誘惑に応じた負い目から不祥事を続けるしかなかった個人の弱さを突かれること
  • 個人の過ちを止められず、結局は見て見ぬふりをしたという「不作為」を許す土壌・組織の脆弱性が突かれること など

 実は、A社においては、その後の全社的な調査で同様の事案が他の拠点でも数多く発覚しています。また、当社が知り得る範囲においても、少なくない企業において、同様の事案が数年にわたって行われ(引き継がれ)、放置されてきたという現実があります。したがって、このような事例は、決して「属人的な問題」「特殊な問題」、ましてや「当社には関係のない話」ではありません。

 何度もお話している通り、暴排の取組みにおいては、現場レベル(個々の役職員)の「暴排意識」や「リスクセンス」の自発的な発露が最も重要であり、厳格なコンプライアンス(あるいは、形式的コンプライアンス至上主義)に陥りがちな「やってはいけないことをやらない」という形での取組みであってはならないという点が重要です。自発性を抑え込み、あまりに厳格に規律し過ぎれば、「やってはいけないことをやってしまった」場合、厳罰が科せられることが分かっていますから、現場は「隠ぺいしよう」とする力が大きく働くことになります。

 役職員一人ひとりが暴力団等の反社会的勢力を「社会悪」として捉え、個人的に関係を持ちたくないと心から思っていること(=社会の常識)をベースとして、「やりたくない」と思って自発的に行動することが、反社会的勢力との接点を持たないための「防波堤」となるという意味であって、さらに組織も同じ方向を向くことが、暴排の取組みの実効性を高めることにつながります。

 そして、たとえ、その「防波堤」が、「知らなかった」「注意していたが気付かなかった」などによって一部崩れたとしても、組織全体で速やかに修復する(組織的対応)との企業姿勢が日頃から明確にされ、徹底されてさえいれば、また、初期段階における(悪質でない)過ちであればリカバリー可能だとする社風が醸成されていれば、「隠ぺいしよう」とする動機は生じ難いのではなないでしょうか。

 「やってはいけない」ことを徹底することはもちろん重要ですが、「やってしまったらすぐに報告・相談すること」「隠ぺいすること自体が悪質な過ちであること」「組織全体でカバーする態勢になっていること」といったところまで周知することが、巨視的・中長期的に見た場合の実効性の担保には重要なことだと言えます。

2) 日常業務における端緒の重要性が理解できる事例

D損保E支社のF代理店は、生命保険や自動車保険等の大口法人契約や個人の新規契約を多数獲得するなど活躍していた。数年前に隣県から引っ越してきたF代理店のG社長の人脈での契約が多いのだという。また、G社長は政治家との付き合いの深さも自慢であった。ただ、F代理店の損害率は全体的に高止まりの傾向があり、高級車の高額車両保険の付帯率が高い傾向や、有無責の判断の困難な目撃者のいない単独事故や盗難事故が散見される、提携先のH修理工場との支払い保険金額の協定にはトラブルが多い、生命保険契約では職業や年収と付保金額のアンバランスな契約が多いといった「顧客の筋があまりよくない、少し手のかかる代理店」であった。ある時、F代理店の自動車保険と火災保険の新規顧客が、契約してすぐに自動車の単独事故を起こし、更に1ヶ月後には自宅の全焼事故があったため、調査会社による調査を実施したところ、当該顧客が多額の借金を抱えていたことが判明した。ただし、事故内容に他に不都合なところはなく、F代理店からの強い要請もあり、D損保では、当該事案自体有責処理とした。後日、H修理工場の社長が「出資法違反」で暴力団組長とともに逮捕され、G社長も失踪する事態となった。Hの社長が経営に関与する消費者金融会社の債務者にG社長を通じて保険を付保させ、次々と保険金詐欺を敢行していたことがうかがわれた。

 本事例においては、保険会社が日常業務における数多くの端緒を見過ごしてきたことが分かります。営業優先の社風、代理店の発言力の大きさといった慣行等もあって、保険会社としての引受管理・保険金支払い時の判断の甘さが誘発されたものと推測されます。会社のルールを意図的に逸脱したとまで言えないものの、「筋の悪い顧客」が集中している状況、ルールの存在理由や保険のあるべき姿に立ち返れば極めて異常な状況であったと気付くべきであり、反社会的勢力排除の観点からのチェックが疎かになっていたこととあわせ、健全な社風のもと現場社員の意識レベルの向上の重要性を痛感させられます。

3) 契約解除における応酬話法の例

①新規取引における謝絶

 まず、一般的なB to Cの新規取引において、事前に反社チェックを行った結果、「NG」との判断をした相手方が来店した場面を考えてみます。当方としては、取引をお断りする意思を伝えることになりますが、「何で取引できないのか」などと言われ詰め寄られることが容易に想像できます。どのように対応すればよいでしょうか。

 結論としては、「あくまで、当社の総合的な判断によるものです。それ以外にお伝えできることはありません。」と回答することになります。その根拠としては、「締結するかどうか」「どのような相手と契約するか」「どのような契約内容にするか」「どういう方法で契約するか」はすべて当事者の自由意思で決められるという「契約自由の原則」があり、取引を断る理由についても、開示する義務はなく、単純に「契約の意思がない」としても差し支えありません。

 それでも相手が執拗に回答を迫ってくることが考えられますが、「何度聞かれても、回答は変わりません。」と同じ対応を繰り返すことで構いません(それでも相手が食い下がり、堂々巡りとなることも多いことは認識しておく必要があります)。

 そのうえで、ある程度このやり取りが続いたならば、「これ以上、お伝えすることはございません。ご理解いただき、お引き取りください。」と退店を促すようにします。何度も促しても退店いただけない場合については、「私どもの業務にも支障をきたしますので、お引き取りいただけますでしょうか。これ以上、私どものお願いをお聞きいただけないようであれば、警察に連絡・対応をお願いせざるを得ません」と警告したうえで、最終的に警察に連絡し、警察が臨場して対応しても退店しない場合は、不退去罪等として排除してもらいます。

 また、相手が威圧的な言動をしてくるような場合、交渉決裂により態度を豹変させるなど、ビジネス上の常識に照らして問題ある行為と判断できるような場合については、そもそもこのような事実が「関係を持つべきでない」と判断する根拠となりえますので、あわせて対応状況を記録する等証拠化しておくことも必要です。

 なお、相手方に契約が成立するであろうという合理的な期待を抱かせるような交渉の状況があれば、一方的に謝絶をすることで賠償責任が生じるケースもありえますので、反社チェックを含む取引可否の判断等は交渉が熟す前の早い段階で実施することが望ましいと言えます。

②既存取引における契約解除

 既存取引の契約解除は、警察相談をふまえたクロ認定を行ったうえで、弁護士に委任して契約解除通知を発送してもらうことが一般的な対応となります。ただ、現実には、そのような対応が可能な状況であっても、相手と直接対峙して伝えることが多いようですので、B to B取引における、このような場面での応酬話法の例を紹介したいと思います。

 まず、新規取引時と大きく異なり、契約解除・解約の場面では、「何で取引を解消するのか」と言われた場合は、その理由について回答することになります。ただし、その場合でも、「貴社と当社との間で締結している「●●取引契約第○条(注:暴排条項)」に該当すると当社で判断いたしました。本件については、既に、警察にも相談し、確認・指導を頂いたうえでの決定になります。」と、暴排条項に該当している事実と警察への照会結果に基づく事実のみを伝えます。相手の属性の詳細やどのように該当しているのかなど、事細かく相手に説明する必要もなく、暴排条項に違反している事実のみ伝えることで問題ありません。なお、警察に事前に照会し、回答を得た場合については、このような場面を想定して、相手方に照会結果を伝えて良いかについて、警察にあらかじめ了解を得ておくことが望ましいと言えます。

 さて、その結果、相手から、「そのような事実はない。したがって、契約解除には応じられない。」と言われた場合には、「あくまで、警察にも相談・確認した情報に基づき、当社が判断したものです。当社としては、それが事実でないことを貴社から明確にお示し頂けない限りは応じかねます。何卒、ご理解ください。」として、反論がある場合は、相手方に立証責任があることを明確に伝えます。

 それに対して、相手から、「訴えてやる」と言われた場合には、「当社としては、契約に基づき、当社としての決定をお伝えさせていただいておりますが、ご理解いただけないということであれば、誠に残念です。それに対して貴社がどのような対応をなされるかにつきましては、貴社がご判断されることですので、私どもから何ら申し上げることはございません」と対応します。

 基本的には、ここまでのやりとりを毅然として行うことになりますが、訪問・来訪等においては、警察に事前に連絡し、保護対策を要請しておくとともに、自社で可能な限りの警備の強化を図る必要があります。そのうえで、訪問・来訪等の当日については、以下のような対応の工夫が必要となります。(暴排トピックス2014年5月号も参照ください)。

  • 複数名で訪問・対応する
  • 可能であれば、オープンスペースでの面会を設定する
  • 警察と連携して、不測の事態における追加訪問要員を確保する
  • 訪問の場合など、相手方事務所付近にも要員(警備員なども含む)を配置し、不測の事態における警察への通報に備える
  • 対応時間をあらかじめ設定する(30分以内など)
  • あらかじめ話し合いの最終時刻を告知して対応する
  • あらかじめ設定した時間を経過した時点で外部から携帯電話に連絡を入れる
  • 対応の経緯を録音する(携帯電話を通話のままにして外部に中の状況をリアルタイムで把握することも検討できる)
  • 当日のQ&Aを事前に作成・確認し、必要最低限の会話にとどめるとともに、不明な点等はその場で無理に判断・回答せず、余裕を持った期日であらためて回答することでもよい

 さて、以降は実際にあった話ですが、相手から、「貴社が指摘した監査役の件は事実であり、また株主でもある。ただ、貴社から契約を解除されると当社としても経営が厳しくなるので、監査役はすぐに退任させる。それ以外に組関係者は当社の経営に関与していないので、それでよいか。」と持ちかけられたことがありました。

 これに対しては、「たとえ、監査役を退任させたとしても、現時点で契約に違反していることは事実ですので、当社としての結論に変わりはありません。」と回答することになります。相手方が事実を認めたわけですから、粛々と契約解除の手続きを進めることで何ら問題ありません(このケースでは、最終的に、合意解約書を取り交わし、暴排条項に基づく解除ではなく、合意による解約とすることで、後日、解約事由に関する争いがないように対応しています)。

 相手方からのこのような条件の提示は彼らの交渉術のひとつでもありますが、たとえ、監査役を退任したとしても、その後も株主といった立場もあることから経営に関与する、経営に影響を与えるといった可能性は否定できず(このような状態は、いわゆる共生者に該当します)、それが契約解除を行わない理由にはなり得ず、当初の姿勢を崩すべきではありません。

2.最近のトピックス

1) 各種犯罪統計から

①警察庁「平成26年中における生活経済事犯の検挙状況等について」

 ▼ 警察庁「平成26年中における生活経済事犯の検挙状況等について」

 平成26年中における生活経済事犯の検挙事件数は9,110件と、前年より11件減少し、検挙人員についても11,439人と、前年より75人減少しています。一方、知的財産権侵害事犯の検挙事件数は574件と前年より50件(9.5%)の増加、営業秘密侵害事犯の検挙件数は、前年5件から11件に倍増するなどの特徴的な傾向もあげられます。

 一方で、ヤミ金融事犯の検挙事件数は422件と、前年より81件(23.8%)増加しています。なお、無登録・高金利事犯に占める暴力団構成員等が関与するものの割合は19.9%となっています。

 このヤミ金融事犯については、相談件数や被害人員自体は減少傾向にあるものの、ヤミ金融事犯に用いられた口座を凍結するための金融機関への情報提供件数、携帯電話契約者確認の求め実施件数等、あるいは貸金業に関連した犯罪収益移転防止法違反や携帯電話不正利用防止法違反等、周辺の助長犯罪の検挙など増加していることが特徴です。

②警察庁「平成26年の薬物・銃器情勢(確定値)」

 ▼ 警察庁「平成26年の薬物・銃器情勢(確定値)」

 平成26年の薬物情勢の特徴としては、覚醒剤事犯の検挙件数・人員とも前年比でほぼ横ばいで、依然として1万人を超え、薬物事犯の83.5%を占めている点があげられます。また、暴力団構成員等の検挙人員が過半数を占め、同事犯への強い関与状況が続いていることや、20歳代以下の減少傾向、50歳以上の増加傾向、再犯者の構成比率の上昇も継続的な傾向です。また、覚醒剤密輸入事犯については、航空機利用の携帯密輸、いわゆる「運び屋」による高い構成比率が継続している一方で、仕出し国・地域については、中国、香港、タイの3カ国・地域で密輸事件全体の60.7%を占めるものの、合計28カ国・地域にわたるなど、多様化の傾向が見られます。

 また、とりわけ昨年注目を浴びた危険ドラッグに絡む事件では840人を摘発し、前年の4.8倍になったほか、自ら「使用」したことが原因とみられる死者は112人で、前年の9人から劇的に増加し過去最悪となっています。さらに、乱用者が起こした交通事故死者は4人、重軽傷者が131人のほか、乱用者については、20代(37.4%)と30代(32.3%)が多いといった傾向、危険ドラッグ乱用者の平均年齢(33.4歳)について、覚醒剤乱用者及び大麻乱用者と比較すると、覚醒剤乱用者の平均年齢41.7歳より低く、大麻乱用者の平均年齢31.9歳より高いといった傾向が見られるようです。

 なお、危険ドラッグ事犯のうち、暴力団構成員等に係る事犯が59件(構成比率8.4%)、66人(構成比率7.9%)であり、検挙人員に占める暴力団構成員等の比率は覚醒剤事犯や大麻事犯と比べると低くなっていますが、今後の動向には注意する必要があると考えます。

 危険ドラッグについては、取締りや規制の強化によってリアル店舗がほとんど消滅した一方で、ネット通販にシフトすることで摘発がより困難になっている現状があります。また、医薬品医療機器法(旧薬事法)改正から間がないため、違法だと認識していたことを示す証拠が十分に集まらず不起訴となる事案が多発しているとの報道もありました。しかしながら、だからこそ、「危険ドラッグは違法」という認識を広める意味で警察が検挙し続けることには大きな意義があり、使用者や販売者を根絶していくためには継続的な取組みが必要です。

③警察庁「平成27年1月の特殊詐欺認知・検挙状況等について」

 ▼ 警察庁「平成27年1月の特殊詐欺認知・検挙状況等について」

 残念ながら、認知件数は1,099件(前年同時期 757件)、被害総額は37億7,600万円(同32億3,560万円)と過去最悪を更新した昨年を上回るペースとなっています。そのうち振り込め詐欺の認知件数は1,010件(同572件)、被害総額は30億3,360万円(同16億1760万円)と大幅に増加しており、さらに振り込め詐欺のうち、特に架空請求詐欺において、認知件数321件(同112件)、被害総額15億3,080万円(同5億8,140万円)と劇的に増加している点が目立ちます。また、オレオレ詐欺における被害者像として、70歳以上が87.3%を占め、男女比では女性が79.4%と圧倒的に多数を占めているのが現状です。

 一方、特殊詐欺対策については、これまでも「預金小切手の活用」「元警察官の女性を金融機関に派遣」「高齢者の高額引出し時の警察への通報」「高齢者の電話帳からの削除」「通信傍受の対象拡大の動き」などを紹介してきましたが、最近の報道でも新たな取組みが見られましたので、いくつかご紹介しておきます。

◆匿名通報ダイヤル

警察庁は、これまで、「子どもや女性が被害に遭う犯罪」「暴力団犯罪」「地下銀行など犯罪インフラを構築する犯罪」「薬物・拳銃犯罪」が対象だったものを拡充し、特殊詐欺に関する情報を4月から「匿名通報ダイヤル」で受け付け、情報が捜査に役立てば、5,000円から100,000円の情報料を支払う取組み始めるとしています。

◆迷惑電話チェッカー

大分県警の取組みとして、過去に振り込め詐欺などで使われた番号約26,000件を「ブラックリスト」として蓄積、リストになくても、複数の人が不審電話の可能性があるとして着信「拒否」のボタンを押すとリストに反映されるといった仕組みにより、2か月間にこの迷惑電話チェッカーを設置した91世帯に計831件の不審電話があったものの、いずれの家庭も被害を免れ効果が確認されたとしています。

◆法的措置による被害回復

特殊詐欺被害に遭った女性の相談を受けて宮崎県警と弁護士が連携し、詐欺罪などで有罪が確定した詐欺グループの指示役の男の保釈保証金を差し押さえるなどして被害金の一部を回収したということです(ただし、まだ完済されていないことから、あらためて民事訴訟を起こすようです)。暴力団対策法の改定で認められた組長に対する使用者責任追及訴訟が、暴力団に資金的なダメージを与える有効な戦術となっているのと同様、実行グループに対し、徹底的な回収を仕掛けることによって「儲からない」との認識を植え付けることも有効だと考えられます。

④警察庁「平成26年中のインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況等について」

 ▼ 警察庁「平成26年中のインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況等について」

 平成26年中の発生件数及び被害額は、1,876件、約29億1000万円(平成25年は1,315件、約14億600万円)と急増しています。昨年の特徴としては、被害が多くの地方銀行や信用金庫・信用組合に拡大するとともに、法人名義口座に係る被害が拡大したこと、不正送金処理を自動で行うウイルスの利用等手口の悪質・巧妙化、資金移動業者を介して不法に国外送金する事犯が一昨年より減少したこと、不正送金先口座名義人の64パーセントが中国人といった点があげられています。

 また、平成26年上半期の不正送金阻止額・阻止率が、約1億4100万円・7.6%から、同下半期には、約3億3200万円・31.4%と大きく改善したことなども特筆すべき点と言えます。これは、警察が昨年後半に中継サーバー業者を摘発したほか、「出し子」と呼ばれる現金引き出し役の逮捕など、ネットバンキング不正送金事件を減少させるための取組みを徹底したことが功を奏し、被害額が目に見えて減少することにつながりました。

 ただし、地方銀行・信用金庫・信用組合が狙われている背景には、例えば、犯人グループが不正送金ウイルスを銀行ごとにカスタマイズしており、法人の利用者が多い銀行にカスタマイズするなどしてターゲット化している(法人の方が被害額が大きい、つまり犯人にとっては「より多くの現金を盗みやすい」)事情があり、これら金融機関の「対策の遅れ」が突かれていると言えます。これは、反社会的勢力が、官民挙げた規制の強化への対応として脇の甘い業界や企業を広くターゲット化するようになっている状況と同じ構図であり、業界全体のレベルを底上げする(弱い部分を作らない)必要に迫られていると言えます。

2) AML(アンチ・マネー・ローンダリング)/CTF(テロ資金供与対策)

①対テロサミット

 米政府が主催し、国連事務総長ら60以上の国・機関の代表が参加した「過激主義対策サミット」が開催され、行動計画を盛り込んだ共同声明が発表されています。

 報道によれば、デンマークやフランス、リビアなどで起きた一連のテロ攻撃を非難するとともに、過激主義に対抗するため調査・情報共有を進め地域社会の強化に取り組むこと、行動計画として、ソーシャルメディアなど戦略的な広報を用いて過激派のメッセージに対抗していくことなどが盛り込まれています。また、具体策としては、「国内での調査と情報共有の促進」「若者や女性の役割強化」「地域の警察との協力強化」「SNSを通じた宣伝戦に対抗」「刑務所での過激思想の拡散阻止」などがあげられています。

②FATF(金融作業部会)

 テロ組織の資金対策を担う日米欧などの金融活動作業部会(FATF)の全体会合が開催されました。今後、FATFが、世界の193か国・地域に対して、テロ資金の凍結などを掲げたガイドラインの履行状況に関する質問書を送り、各国・地域から回答を求めることになります。調査事項としては、主に、「テロ行為に対する資金供与を犯罪とみなしているか」「テロ資産が凍結できるか」「テロリストの指定が進んでいるか」の3項目が柱で、調査結果については10月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で報告されることになります。

 調査の結果、対策が不十分と認定されればその旨公表され、当該国・地域との金融取引はテロ資金と関係する可能性が高いと見なされることになります。日本については、昨年からテロ対策に本腰を入れ始めたように見受けられるとはいえ、現状では、法整備の遅れなどグローバル・スタンダードから見て不十分ではないかと強く危惧されるところです。

 ▼ FATF Action on Terrorist Finance

 また、FATFは、IS(イスラム国)の資金調達状況に関するレポートも公表しています。それによると、従来から指摘されている支配地域での銀行からの略奪や石油の密売、身代金目的の誘拐などに加え、ネットを通じて投資家から少しずつ資金を集める「クラウドファンディング」の手法を活用したり、仮装通貨「ビットコイン」を使用した取引、SNSやツイッターで寄付を募るなど、IT(情報技術)を最大限に活用している実態が窺われます。

 ▼ Financing of the Terrorist Organisation Islamic State in Iraq and the Levant

 ▼ Download the report Financing of the Terrorist Organisation Islamic State in Iraq and the Levant (ISIL)

③HSBC問題

 英大手銀行のHSBCがスイス子会社(HSBC Private Bank)を通じて多くの富豪の脱税や資産隠し、マネー・ローンダリング、武器や麻薬の売買などを手助けした疑いが明らかになり、同行も事実を認め謝罪しています。報道によれば、秘密口座や顧客名簿の中にはテロ組織や紛争当事者など犯罪組織のものも含まれていたとのことで、スイス当局が捜査に着手しています。

 ▼ ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)

 ▼ Banking Giant HSBC Sheltered Murky Cash Linked to Dictators and Arms Dealers

 同行を巡っては、2012年にもメキシコで犯罪組織のマネー・ローンダリングに利用された疑いや米国の経済制裁に反してイラン関連の取引をした疑いなど、AML態勢に不備があったとして、司法省など米当局に対し約20億ドル(当時のレートで約1600億円)の過去最大の罰金を支払うことで合意しています。その他にも、米議会の調査でHSBCが関わった北陸銀行経由のロシア人による「疑わしい」資金調達の可能性が指摘され、北陸銀行も調査を行い否定したことや、外国為替市場のレート操作問題で、昨年11月に6億1800万ドル相当の制裁金の支払いを米商品先物取引委員会(CFTC)と英金融行動監視機構(FCA)から課されたことも記憶に新しいところです。

 今回の問題では、同行CEOの資産隠しの疑いまで報じられるなど、同行の規範意識の低さに批判が集中していますが、一方で、今回のリーク情報が2007年時点のものであり、その間のAML/CTFの社会的要請の高まりや制裁金支払いなどを受けて、巨額のインフラ投資を行うなどして態勢強化を図ったほか、顧客基盤を7割減らすといった相応の取組みをしたとも言われており、現時点での同行の健全性を棄損しているものかどうか、今後の捜査の行方を注目したいと思います。

④北朝鮮企業との取引

 ミサイル部品などを運んでいたとして国連安全保障理事会から制裁を科された北朝鮮の貨物船運航会社(OCEAN MARITIME MANAGEMENT COMPANY、OMC社)と、日本人が代表を務める香港の企業が過去に密接な取引をしていたとの報道がありました。

 ▼ United Nations Security Council;Security Council Committee Designates Entity Subject to Measures Imposed by Resolution 1718 (2006)

 報道によれば、OMC社の船員を同社が雇用していたとのことですが、制裁リストに指定されたのは昨年の7月であり、制裁発動後も取引をしていたかどうか調査が続いているとのことです。

⑤日本の金融機関の口座開設拒否事例

 静岡県の男性が、自ら立ち上げた任意団体の名義で金融機関に口座を開設しようと相談したところ、職員から「イスラムという名前が入った団体では口座は開けない」と言われたと報道されています。

 金融機関の立場から言えば、前述の通り、口座の開設を認めるか否かについては、契約自由の原則に基づき、当該金融機関の主体的判断事項となります。IS(イスラム国)の問題が社会的に大きな関心事となっている中、CTF(テロ資金供与対策)の観点から、犯罪収益移転防止法上の実務に則り、事業内容や取引目的などが十分に確認できないことをもって「疑わしい」と判断したことについては、適切な対応と言えるのではないでしょうか。

 当該金融機関は、本件について、「電話における当金庫とまったく取引のないお客様からのお申し込みであったこと、また、その電話でのやり取りにおいて、お客様の口座開設の目的を十分に把握できなかったことから、当金庫として総合的に判断し、口座の開設をお断りした」と説明しており、一部報道にあるように「イスラムに対する偏見」から単純に拒否したものではないことを表明しています。

 ▼ 沼津信用金庫「昨日からの報道について」

本件の正確な事実関係は分かりませんのであくまで一般論としてお話しますが、一般的には、新規の口座開設を認めない場合は、その理由を相手方に伝えずに対応することが望ましいというのは既に述べた通りです。個別具体的に事前に相談されていたとしても、組織的な最終判断までは具体的な言及を避けつつ、例えば、

  • 事業内容や取引目的・実態や真の受益者等を確認したうえで「総合的に判断される」ことをあらかじめ明確に伝える
  • いったん申し込みを受け付けるも、最終的に「総合的な判断」から認めない
  • 逆に「疑わしい」とする根拠が現時点で十分でないとして、いったん口座開設を認めつつ、入出金の動きを継続監視する

といった対応、判断など様々に考えられるところです。

 いずれにせよ、本件については、決められた内部手続きに基づき冷静かつ客観的に、かつ主体的に判断されたものであり、過剰反応との批判や十分な事実関係に基づかない感情的な批判など「いわれのない風評」に晒されたことに対しても、毅然と適切に説明責任を果たしたものと評価したいと思います。

3) 犯罪インフラ

 特殊詐欺の被害状況については前述の通りですが、組織犯罪を助長する「犯罪インフラ」に関する最近の事件や動向等についてまとめてご紹介いたします。

①空き部屋の悪用とペーパーカンパニー・休眠会社

 集合住宅の「空き部屋」が、不正に購入した商品の受取場所に悪用された疑いがあるとして中国人らが逮捕された事案があり、同様の手口が最近増えているとの報道もありました。

 当社が過去に相談を受けた詐欺事例においても、「宅配状況をネットでリアルタイムに確認しながら受け取り場所の変更を度々指示、最後は近隣の路上で受け取る」「宅配事業者の営業所止めにして別人がなりすまして受け取りに行く」といった手口で、不正に通販商品を詐取する事案などがありましたが、この事例のように「実際に存在する所在地」に「在宅している者(さらに受取人と同姓)」であれば、宅配業者としても(そもそも疑うといった)対応は難しいものと思われます。

 実は、フロント企業においてもこのように「実在性」が怪しい事例が散見されます。当社が扱った事例だけでも、商業登記上の「実体」はあるが「実態」がないケース(山林の中に登記されていた事例など)や、訪問して「実体」と「実態」を確認したものの、帰り際にふと見ると当該部屋が「入居者募集中」と表示されていた(後日、再訪したらもぬけの殻だった)というケース、ホームページでオフィスの所在地を確認したらあるビルの7階との表示があったのに、当該ビルが6階建てだったケースなど枚挙にいとまがありません。

 関連して、ペーパーカンパニー・休眠会社対策については、以前もご紹介した通り、法務省が今年1月に、登記されていても経営実体のない休眠会社約78,000社を「みなし解散」させています。今後は毎年本手続きを実施するということで、犯罪に悪用されるケースが減少することを期待したいと思いますが、一方で、法人の新設については手続きの簡便化の動きもあります。例えば、国と東京都が、外国企業を東京に誘致するため、都内に法人を設立する際の煩雑な手続きを1か所で行える「東京開業ワンストップセンター」を開設するとの報道がありました。日本のベンチャー企業などが起業する際にも利用できるとされており、手続きの簡便化と犯罪インフラ化リスクとのバランスが実現に向けた今後の課題と思われます。

 手口が巧妙化し現実に大きな被害が生じている以上、事業者としても相手の「実在性」の確認、とりわけ「実体」と「実態」の確認は最低限実施すべき事項であり、常に最新の手口の情報を収集・分析し、対応の高度化に継続的に取り組む必要があると言えます。

②レンタル携帯電話

 本人確認せずに通話に必要なSIMカードを貸し出したとして、携帯電話不正利用防止法違反容疑で、携帯電話レンタル会社社長が逮捕されています。同社は「審査不要。手数料不要。多数回線OK」と堂々と宣伝していたといい、貸与したSIMカードは、これまでに少なくとも33件の特殊詐欺事件に使われ、被害総額は計約2,000万円に上るといった報道もありました。

 また、本人確認をしないで携帯電話を貸し出したとして、携帯電話不正利用防止法違反の疑いで社長が逮捕された携帯電話レンタル会社について、顧客と契約した約4割の回線が全国の警察から詐欺事件に利用されたなどとして照会を受けていたこと、契約の9割以上が偽造された身分証明書の写しが契約書に添付されていたことなどの実態が報道されています。

 一方、前述の警察庁「平成26年中における生活経済事犯の検挙状況等について」においても、携帯電話(他人が契約者となっている携帯電話)については、特にレンタル携帯電話事業者に対し、4,025件の解約要請を行っており、そのうち、ヤミ金融事犯に基づくものは3,973件(98.7%)あったということです。さらに、このような状況をふまえて、警察も携帯音声通話事業者に対し、問題あるレンタル携帯電話事業者保有の回線の契約解除と新規契約の拒否を要請、昨年1年間で186回線を排除する成果をあげています。

③私書箱などバーチャルオフィスサービス

 この1カ月の間だけでも、現金をレターパックなどで私書箱に送付させる手口で、1年間で2億3,500万円をだまし取っていた事案や、詐取金の送付先として指定されていた私書箱を管理、1か月ごとに場所を変えるなどして、全国22人の被害者から約3億2,000万円が送られていた事案などの報道がありました。

 関連して、前述の警察庁「平成26年中における生活経済事犯の検挙状況等について」によると、バーチャルオフィスサービス(貸し住所、私書箱、レンタルオフィス、電話代行、電話転送など)が悪用されていた契約は182件あり、そのうち75.8%が利殖勧誘事犯だったということです。さらに、私書箱等「場所」に対するサービスの悪用は144件、それに関連した店舗は76店舗、また136件(94.4%)が東京23区内に所在する店舗が関与した事案、運転免許証の偽造・変造も6割以上で認められたといった実態があるということです。

④名簿

 高齢女性から株式購入代金名目で現金をだまし取ろうとしたとして詐欺容疑で逮捕された事案で、警視庁が東京都内のマンションのアジトを摘発、携帯電話46台や電話のかけ方を記したマニュアル、名簿などを押収しています。その際に押収された名簿は、高額所得者や高額商品購入者の情報が記載されたものだということです。

 これらの名簿については、流出した初期の個人情報に様々な情報(騙された経験の有無や購入履歴、在宅時間や家族の状況など)が追加されることで転売価値が高まる(犯罪者から見れば成功の確率が高まる)ことが知られています。一方、警察も押収した名簿をもとに、個別に注意喚起するなどして未然防止に活用しています。

⑤資金決済(前払式支払手段と資金移動サービス)

 指定暴力団稲川会系幹部の男が無職の男に譲り渡す目的で海外専用のプリペイドカードを国際送金サービス会社からだまし取ったとして逮捕されています。あらかじめカードに入金しておけば現地のATMで現地通貨を引き出せる仕組みを悪用し、海外に渡航していないにもかかわらず南米のATMから現金が引き出されていることが確認されたとのことです。

 本事案だけでなく、SuicaやPASMOに代表される「前払式支払手段」は、小口ではありますが無記名で利用できる点(記名でも本人確認が甘い点)で犯罪等に悪用される可能性があり、また、同じく「資金決済に関する法律」で認められている小口資金(100万円以下)の国内外の振込・送金の自由化によって、中小規模の資金移動業者の場合、取引に関する本人確認やKYC/KYCCチェックの甘さが犯罪に悪用される可能性が否定できません。

 本事案によって、これらの脆弱性が、暴力団のマネー・ローンダリングや、薬物など密輸品の代金支払いなどに悪用されている実態が一部垣間見えたと言えます。

4) 忘れられる権利

 前回もご紹介しましたが、米グーグルが昨年7月に諮問員会を設置し、同委員会が個人のプライバシーの権利と公共の知る権利および情報を配信する権利との適正なバランスについて検討を続けてきましたが、先ごろ、その報告書が公開されました。

 ▼ 米グーグル発表資料

 結論から言えば、同委員会は、情報削除の対象をEU圏内にとどめるのは適正だとする見解を明らかにしています。一方、EUのプライバシー保護当局は、欧州だけでなく米国向けGoogle検索にも「忘れられる権利」を適用することを求めており、米の消費者保護団体からも非難の声明が出されるなど対立は続いたままです。

 一方、日本では、自分の名前を検索すると盗撮事件の逮捕歴が表示されるのはプライバシーの侵害に当たる(再就職活動が妨げられた)として、京都市の男性がヤフーを相手取り、検索結果の表示差し止めなど求めた訴訟の控訴審判決があり、大阪高裁は、「盗撮という犯罪への社会的関心は高く、表示によって(男性が)被る不利益より、公表する理由が優越する」として京都地裁判決を支持して男性側の控訴を棄却しています。

 この判断が現時点で確定したわけでなく、かつ、国際的な議論が国内の世論等に少なからず影響を与えることなどを考慮すれば、例えば暴力団員であった過去の事実や、共生者としての逮捕歴などが「忘れられる権利」として認められる可能性が完全に否定されているわけではありません。この問題は、現在進行形でありながら、今後の反社チェック等の実務に与える影響が大きいことから、引き続き動向を注視していきたいと思います。

3.最近の暴排条例による勧告事例・暴対法に基づく中止命令ほか

1) 三重県の行政処分事例

 法人の役員が三重県公共工事等暴力団等排除措置要綱の規定に該当するとして、昨年、同法人に対して三重県建設工事等資格の資格停止処分が行われましたが、今般、それをふまえ、同法人の産業廃棄物収集運搬業の許可を取り消したということです。

 ▼ 三重県「産業廃棄物処理業者に行政処分(許可の取り消し)を行いました」

 具体的な該当事実としては、「暴力団員に対して、自発的に資金等を供給し、又は便宜を供与するなど直接的あるいは積極的に暴力団の維持、運営に協力し、若しくは関与している者(例えば、相手方が暴力団又は暴力団員であることを知りながら、自発的に用心棒その他これに類する役務の有償の提供を受け、又はこれらのものが行う事業、興行、いわゆる「義理ごと」等に参画、参加し、若しくは援助している者)」とされており、いわゆる「共生者」としての認定を受けたことが窺われます。

2) 京都府の事例

 京都府暴排条例で暴力団排除特別強化地域に指定されている京都市中京区の繁華街で、ガールズバーの用心棒代として、元幹部の男に現金5万円を手渡した(飲食店の用心棒代の授受があった)として、京都府警は、同条例違反の疑いで、指定暴力団山口組2次団体の元幹部の男や代金を支払った会社役員の男ら計4人を逮捕しています。

3) 福岡県の暴対法仮命令事例

 福岡県警は、特定危険指定暴力団工藤会系組長2人に対し、暴力団対策法に基づき、服役中の幹部ら2人への「功労金」などの金品供与や昇格を禁止する仮命令を出しています。

4) 佐賀県の条例改正

 佐賀県東部工業用水道局は、給水先から暴力団関係者を排除できるよう条例を改正し、暴力団関係者と認めた場合、使用申請を拒否できるようにするとのことです。同様の条例は全国でも多くなく、九州では初めてとなります。

 改正案では暴力団員だけでなく、暴力団への協力者らの申請も拒否できることとされ、事後的な契約解除も可能となります。なお、佐賀県暴排条例Q&Aには「法令上の義務として、電気事業者が暴力団事務所に電気を供給すること、水道事業者が暴力団事務所に水道水を供給すること等は該当しません」と明記されていますが、本件は「工業用水」であり、安価な「工業用水」を利用させることで製造コストを下げられ、暴力団等を利することにつながることがその理由となっているようです。

 ▼ 佐賀県暴力団排除条例Q&A

Back to Top