HRリスクマネジメント トピックス

「どうすべき?中高年ローパフォーマー(?)」三匹(?)が語る!HRリスクマネジメント相談室(23)

2021.03.22
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オフィスで考えるビジネスマン

職場におけるトラブルは複合的。社内の様々な関係者の協力を得て、複数の視点で捉えなければ、解決が難しい問題も多々あります。でもやっぱり最後は「人」!HRリスクマネジメントが重要です。
職場における様々なトラブルを解決すべく、今、エス・ピー・ネットワークに生息する動物たちが立ち上がりました!三匹(いえ、今回はなんと7匹!)に相談者さんまで加わって、チャットにて、解決の道を探ります。

【今月の三匹・プロフィール】
みみずくさんのイラストみみずくさん(みみ):
SPNの森のお目付け役。愛らしいフォルムと裏腹に、猛禽類らしい鋭い目線で最新のリスクをチェック!さらに森の仲間たちの文章もチェック!夜行性?うーん、夜中に起き出して活動を始めるから、夜行性なのか早起きなのか…?


黒豹さんのイラスト黒豹さん(ヒョウ):
黒いのは、ゴルフや釣りなどアウトドアライフのせい?しなやかな筋肉で機敏に動く…いや、単にせっかちなだけかも?SPNの森で17年前に内部通報窓口の受託運営サービス「リスクホットライン®」を立ち上げたのは実は…。


パンダさんのイラストパンダさん(パンダ):
平和をこよなく愛する子持ちパンダ。平和を乱す無法者には白黒つけたい。中小企業診断士で、MBAも隠し持つ。


モモンガさんのイラストモモンガさん(モモ):
小さな皮膜で滑空する夜行性。社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー。SPNの森にも慣れて、そこそこ長い会社員経験をおなかの袋から取り出しながら実務の間を飛び回ります。


リスちゃんのイラストリスちゃん(リス):
森の中を駆け回り、皆さんのお困りごとに対応します。気が付けばこの森に来て4年が経っていました…。最近は巣穴での勤務も慣れてきました。変わらずご相談にお答えしていきますよ。


シマリスくんのイラストシマリスくん(シマ):
最近、別の森からSPNの森に引っ越してきた。SPNの森では、内部通報の運営をとおして、個人と組織の可能性を拓きたいと常々考えているものの、巣に帰るといたずら盛りの4歳児と2歳児に翻弄される毎日。社会保険労務士、キャリアコンサルタント


ネコさんのイラストネコさん(ネコ):
当相談室の留守番ネコ。猫なで声と鋭い爪をあわせ持ち、企業内での人事実務経験が豊富。社会保険労務士で、産業カウンセラー&キャリアコンサルタント。外出時は、改札を出たところから、ルート沿いの目標物を事前に調べてたどらないと迷います…。

今月のご相談は、こちら。

中高年(50歳前後)のローパフォーマー・Aさんのフォローが大変で、周りの人が疲弊しています。

Aさんは親会社からの出向者なので、私たちよりお給料の水準も高く、職位もここでは「課長」です。なのに、ひどいミスを連発し、若手のプロパー社員がその尻ぬぐいさせられるので、不満が止まらないのです。
皆、「親会社に戻してほしい」と口々に言いますが、親会社には全くその気はないようです。(以前から、何か問題を起こした人を子会社に出向させるというウワサもあるくらいで…。)
若手はどんどんやる気を失っていきます。Aさん自身のパフォーマンスを改善するのは年齢的に無理だと思いますし、無理に辞めさせるわけにもいきません。いったいどうしたらよいのでしょう?

ちなみに、Aさんの仕事の状況はこんな感じです。

  1. スケジュール管理ができず、仕事の期日を守れないため、期限ギリギリになって周りの人が手伝わされる。直前までは「大丈夫」と言い張るのに…。
  2. データの整理がいい加減。決算に関する資料に抜けや誤りがあって、後から大きな修正が必要になったこともありました。
  3. 机の上が書類の山で、すぐに必要な書類を紛失する。誤って廃棄しかけたこともあって、ヒヤッとしました。
  4. 電話であまりにトンチンカンな対応をして、お客様が激怒。その時は、上司が菓子折りを持って謝りに行きました。

今回は相談者さんにもチャットに参加していただいています。さぁ、SPNの森の動物たち、どんどん発言していきましょう!

〈Aさんって、どんな人?〉

ネコ:さぁ、みなさん…いかがでしょう?

一同:……なるほど。

ヒョウ:Aさんは、周りに迷惑をかけているという自覚はあるのですか?

相談者:自覚はあります。悪人ではなく、自分の仕事はやろうとするし、迷惑をかけた人たちには謝罪もしていました。

パンダ:ルールや規則違反などはしていないということでしょうか。

相談者:そこまでには至っていないと思います。

ネコ:スケジュール管理のお話ですが、本来なら一人で完結できる仕事だったのでしょうか?上司が途中で確認したりはしないの?

相談者:上司や私も確認をしたのですが、「今日徹夜でやるから大丈夫です」と言われ、「私たちも手伝います」と言っても「大丈夫」で押し切られたので、とりあえずお任せし、翌朝進捗を確認したら……全体のどこまで進んだかも把握しておられませんでした。

シマ:そのAさんが…「課長」ですか?

相談者:はい。親会社からの出向者は、子会社では何らかの役職に就くのが通例なんです。Aさんは、親会社では役職者ではなかったようですが、通勤に2時間かかる子会社へ出向する代わりに、子会社では「課長」ということになったようです。お給料は親会社から払われていますが、「出向者労務費」として、子会社に請求が回ってくるんですよ。それが「結構な金額だった」という噂が広まっていて、若手が怒っているんです。

ネコ:でも、正確な金額はわからないのでしょう?

相談者:そうですね、私は知りません。ただ、親会社の給与水準が、子会社よりかなり良いということは事実のようですが。

パンダ:Aさんの上司は、ローパフォーマンスを認識していると思いますが、どのように対応されたのでしょうか。

みみ:そう、上司はどんな指導をどの程度の頻度で行ってきたのでしょう?

相談者:Aさんの仕事は、月のサイクルが決まっています。それに加えて不定期なイベントがあります。上司は、前任者から聞いたスケジュールを基に、Aさんの進捗を確認していました。できていないようなら自らフォローすることもありました。

リス:Aさんは、若い頃からこういう感じだったのでしょうか。もともとではないなら、何かきっかけがあったのでしょうか。

シマ:もともとだとすれば、これまでは「悪い人ではない」ということで見過ごされてきたということでしょうか?

モモ:採用の経緯も気になります。親会社の採用選考をパスして、入社しているのでしょうから。

相談者:親会社にいた頃のことは正確にはわかりませんが、Aさんのローパフォーマーっぷりは有名だったようです。私も周りの人から色々と噂を聞きました。「課長の分も仕事して、と言われるかもよ」などと言われたり。上司も、Aさんの噂はいろいろ聞いていたようです。……想像以上だったようですが。

みみ:昔からきちんとした指導がなされないまま放置されてきたものを、今さら変えられるはずもなく。さらには、昔から変わらずこのような傾向があるのであれば、やはり今さら変えられるはずもなく…。

リス:「子会社に出向する」ことで解決できる問題ではないですよね。

〈やりたくてもできないAさん〉

ネコ:Aさんは、能力の凸凹が大きいタイプの方かもしれないですね…。

相談者:本人もやろうとしていますし、やりたくてもできないが本音だと思います。スケジュール管理でいえば、最終的にゴールがあってそれから逆算することが普通ですし、優先順位をつけるものですが、それらができないようです。

みみ:やりたくてもできないということなら、それが個性なので、いわゆる「普通」のパフォーマンスを期待しない方がよさそうです。

ネコ:「指導」より前に、Aさんに合った形で「指示」を出すのが先ではないかしら。具体的に、「何が」できないのかを見つけることが、肝だと思うのですが。例えば、自分でスケジュールを立てるのが難しいなら、上司が細かくスケジュールを区切って、1工程ごとに「指示」を出した方が良いケースもありますよね。

ヒョウ:リスクホットライン®に通報を寄せてくる通報者さんにも、こんな方がいるなぁ…と。今まで気付かれなかったけれど、例えば何らかの発達障害の可能性もあると思います。そうなると別の対応が必要になりますね。

ネコ:少なくとも、「何でできないんだ!」なんて怒鳴っても、できるようにはなりませんよ、たぶん。だったら、スケジュールは他の人が管理して、Aさんには目の前の「今日やること」に集中してもらった方が、Aさんにとっても周囲の方にとっても良いのかも?

ヒョウ:大人の発達障害に詳しい専門家に聞けば、同じようなタイプの人への対応が見えて来るかもしれません。

〈周囲の理解を得られるか…?〉

相談者:発達障害は私も疑いました。実はAさんには子どもが2人いるのですが、2人とも発達障害だそうです。子どもの関係で年休をとることがあって、その時に打ち明けられましたが、さすがに「あなたはどうなんですか?」とは聞けず…。

ヒョウ:ご本人もその可能性は高そうですね。周囲が発達障害のことを学べば、周囲のイライラも緩和されたかもしれません。でも成果と給与の面からすると、理解を得られるかは…難しいかもしれませんね。

みみ:「できること」に集中してもらって、周囲もきちんと理解をして、サポートしていくしかないですね。ただし、「課長」にふさわしい仕事ができていないことになりますし、周囲の理解を得るためにも、処遇はきちんと見直す必要がありますが。

相談者:出向と役職がセットになって、しかも親会社で決められてしまうため、子会社ではどうにもできないんです。「そういうもの」と思って受け入れなさい、ということなのかもしれません。ただ若手は「課長なのに!」という不満を募らせるので、そことの折り合いをどうつけるか難しいです。

ネコ:「課長」にしたのは組織ですから。組織の責任を個人に押し付けてはいけませんよ。

パンダ:こういったものは、「周囲の理解」で解決するものなのでしょうか。

相談者:周囲の理解にも限界があると思います。周りの若手やパートさんたちも、発達障害の可能性は考えていましたし、親会社との関係もわかっています。でも、「じゃあ仕方ないですね」とはなっていませんでした。

みみ:「親会社対子会社」という関係性の中で、今までは、不満はあれど「仕方ない」で周りもあきらめてこれた(悪い意味での「周囲の理解」)のでしょうが、今後はますます役割と給与、パフォーマンスのバランスが求められるので、これからも「周囲の理解」を求め続けること自体、会社にとってはリスクになりますね。

ネコ:ガマンするしかないのではなくて、制度を変えなきゃいけないのですよね、本来は。

〈Aさんのような人をどう活用すべき?〉

相談者:本人から発達障害であるという申告がない以上、発達障害を前提に接していいのでしょうか?もしかしたら子供たちのことがあったので、親として「自分が原因かも」と診断を受けたかもしれませんが、それを隠しているとしたら、障害がない前提で接しないといけない気もします。

ネコ:障害が診断されているかいないかは、あまり関係ないと思うなぁ。ただ、「そういう傾向がある人」と捉えるのが無難では?

リス:障害のある/なしに関わらず、Aさんのような方を含め、人材をどう活用していくかが肝だと思います。

みみ:「発達障害だろ、診断受けてこい!」はパワハラになるしね。

ヒョウ:原因が障害や病気だとわかった方が、対処の仕方が明確に見えてくることもありますよ。

モモ:周りへの影響が大きいようであれば、ストレスチェックや健康診断をきっかけに、受診を促すこともありなのでは?と思います。しっかりした医療的診断の元に、「できないこと」を判断できた方が合理的でもあるし、周りの理解も得られやすいのではないかと思います。

みみ:医学的な診断結果を共有できれば話は進みますよね。一方、見えている行動に問題があり、役割に見合ったパフォーマンスができないのであれば、障害云々ではなく、キチンと共有して向き合うべきだと思うんですよね。

パンダ:向き合って、結果として「役割と給与、パフォーマンスのバランス」を是正していくのが、「活用」ということになりそうな気がします。

ネコ:制度が簡単に変えられないならば、やっぱり特性に合わせた仕事で、その人なりのパフォーマンスを最大限に発揮してほしいな。

シマ:私もそう思います。

みみ:制度を変える(役割を変える・給与を変える)のが難しければ、せめて職場環境改善のためにも、パフォーマンスのあり方(周囲の理解とパフォーマンスのバランス)を上司と一緒に追求するしかないだろうね。

パンダ:ただし、本人も周囲も相応の努力が必要ですね。

みみ:上司がその努力を放棄してきたか、間違った対応をしてきたか、の結果のようでもあり、やはり本人と向き合うところから始めないと。

相談者:上司が努力を放棄してきた可能性は高いです。前の職場で大きな失敗をした後、上司が「もう仕事をさせるな!」と、パートさんを2人雇ったという話を聞きました。

みみ:なるほど。組織がきちんと向き合ってこなかったことがよくわかりますね。これでは、何も変わらない。

パンダ:放棄は罪ですね…。

ネコ:「できないこと」「苦手なこと」と、「できること」「得意なこと」を明確にしていくのが第一歩だと思います。

モモ:周りが「できないこと」にばかり注目していて、「できること」が見つけられていない可能性もあるので、素人があたりをつけて、色々対応するよりも、一度しっかり診断して、「できるであろうこと」を中心に業務を割り振っていく方が、お互いのストレスが少ないのではないでしょうか。

ネコ:お医者さんもいろいろだからなぁ。あまり期待しない方が…(小声)。

モモ:医者というよりは、発達障害の可能性がある場合は、診断ツールが頼りになるのかな、と思います。

〈「できること」「得意なこと」を見つけて活かしたい!〉

相談者:確かに「できること」が見つけられていないですね…。

ネコ:冷静に「できる」「できない」を見つけようとした上司はいなかったんじゃないかな。たぶん。

みみ:そうだね。

モモ:知り合いに、「時間感覚が分からない」という方がいました。その方は、別の場面では飛びぬけて得意なことがあり、自分でもそれを自覚していて、時間管理は後輩などに任せ、自分の得意なことしかしない、と完全に割り切っていました。周りもそれに慣れていて、業務上ではお互いストレスなく、会社としては実績に繋がっていたので、うまくいっていたかと。

ネコ:うまく人材を活用できている好例ですね。

パンダ:どのようなプロセスを踏んでそうなったのでしょうか。

モモ:その方は自分で自覚がありました。「どうも自分は時間の感覚が人と違うらしい」と気づいたらしく、そこからは完全に割り切って、人に任せていたようです。協力してくれる人を見つけるのもうまかった気がします。営業職でしたが、アポイントの時間管理ができないので、何時に会社を出て、何時の電車に乗り、何時に先方に着く、と言うのを全部人に決めてもらって、自分はその時刻通りに動く、ということをしていました。一方で営業のスキルが高く、契約締結率は断トツでした。

みみ:マイナスを補って余りあるプラスを持っていたということが周囲の理解につながったんですかね。みんなそううまくいくとよいのだけれど。

モモ:まずは、本人と周囲が協力して、「できること」を見つけることと、「できるための協力の仕方を周りにも知ってもらうこと」は大事かな、と思います。以前に発達障害の方が「適当に線を引いて」と言われると「適当」が分からず、できないけれど「10cm間隔で線を引いて」と言われれば、正確にできると言っていた記事を見たことがあります。他には、マニュアルが文字だと理解できないけど、図だと分かるという人もいました。そのような感じで。

パンダ:やはり、上司はあきらめてはいけないのでしょう。対峙しながら「期待値」を調整していく必要がありそうです。

相談者:周りの人も、できることはあったかもしれません。ギリギリになっていきなりフォローすることになるならば、あらかじめフォローすることを前提にスケジュールを組んでおくことが必要だったのかもしれません。一方で、「何で私が?」という気持ちの面をどうするか…は悩みます。

みみ:フォローする前提…。組織としては、あまりよくない選択肢ですね。任せられる仕事を一緒に探していく方が、組織としてやるべきことのような気が…。

ネコ:「フォローする」って、なんかちょっと…上から目線っぽい言い方だなぁ。そんなに完璧な人なんていないのだから、「フォローしあう」とか「協力する」とかの方が好き。

相談者:その人から誰も助けてもらったことがないので…(苦笑)

ネコ:相談者さんが出来過ぎるからよけいかもね(苦笑)

パンダ:「特性に合わせた仕事で、その人なりのパフォーマンスを最大限に発揮」するためには、具体的にどのような手順がよいのでしょうか。

モモ:先ほどの好例の人は、人を頼る力も一種の才能だったと思うので、特殊な例だと思います。でも、「できるための伝え方」などはあるかな、と思います。先ほどの10cmのように、具体的に言うとか、1手順ずつの確認シートを作るとか。

ネコ:ジョブコーチさんがやってくれることが参考になるはず…。

パンダ:ジョブコーチ?

ネコ:厚生労働省のホームページに載っていると思いますが…あ、ありました。
職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業について (mhlw.go.jp)
「障害者の職場適応に課題がある場合に、職場にジョブコーチが出向いて、障害特性を踏まえた専門的な支援を行い、障害者の職場適応を図ることを目的」としているものですね。制限はあると思うけれど、無料で使える制度は活用したらよいと思います。職場内の支援者のための研修とかもあって、機会があれば受けてみたいなーと思っています。

パンダ:なるほど。

みみ:そういえば、障害者雇用の話だけれど、LCCのピーチで、障害者が航空機の運航にかかわる重要な業務にも関与できている、という記事を読んだな…。障害を持つ社員がそれぞれの特性をいかして働いていて、業務マニュアルを工夫しているとか。写真やイラストをたくさん使って、仕事のイメージがわきやすくなっているらしい。サポート役に徹するスタッフの存在も大きいね。質問や相談を最優先で受け付けたり、安心して働けるような工夫がいろいろあるらしい。

パンダ:それはすごい。

〈組織として、すべきこと〉

相談者:業務マニュアルの工夫…そういえばAさんは、前任からの引き継ぎ書が理解できなかったらしく、何度も前任に電話して最後に「ありがとうございました」と電話を切って、その直後に「分っかんねーなー」と言っていました(笑)

ネコ:…笑わないで。ネコもできないことが多い側なので、何もできないと決めつけられたり、周囲がみんな敵のようになったりするのは、本当に辛いことよ。

相談者:でも、周りの人は本当に大変だったので、なかなか理解は得られませんし、協力を引き出すのは難しいですよ。Aさんは迷惑をかけた人に謝罪はするのですが、周りの人はそれで許しはしないという…。

モモ:周りの協力というのは、特別にフォローやサポートをするということだけではなく、その人への伝え方ひとつでもあるのかな、と思います。さっきの方の例だと、「15時に〇〇社に行く」と言われるとどうしたらよいか分からないけれど、「14時に会社を出て、14:10の〇線の電車に乗って、14:50に〇〇社到着予定」と言われると分かるそうです。
何度も言っちゃいますが、具体的な数値で伝えるとか、いわゆる「一般的な感覚」とか「常識」が本当に分からない人に対して、「その人に分かる伝え方」をするというか…。言語が少し違う、外国語を理解する、くらいの認識で考える方が良いのかもしれません。
ただ、その「どのように伝えればよいか」が、その人の特性がわからないと対応できないので、そこが難しいところでもありますが。

みみ:Aさんに対しても、ここまでやらないと(向き合わないと)ダメだったんでしょうね。それはあまりに職場に負荷のかかることなので、組織全体としてサポートのあり方を考える事も重要ですよね。

ヒョウ:確かに、実際にこういう方の教育係やお世話役を任された人が病んでしまったり、辞めてしまったりするケースは少なからずありますよね。言うは易し行うは難しで、「そんなきれいごと言わないで!」という気持ちになるようです。一人に任せっきりにしないことも大事かな。

みみ:たしかに、直属の上司だけに依存するのはリスクがありますね。もっと課題や成功事例を共有したり、適切なアドバイスをしてくれる社内組織や人材、社外の機関や専門家が増えるとよいのだけれど。

〈悲しい結末を避けるために…〉

ネコ:とにかく、完璧な人なんていないんだから、もう少し対等に話せるようであってほしいなぁ。Aさんにもできることはあったはずよ。ほら、「悪人だと思われない能力」はあるでしょう!

相談者:まぁ、「良い人」とまでは思われていませんが。あくまで「他人を攻撃する悪人ではない」というだけと言いますか…。

ネコ:それだって能力よ。迷惑をかけても、謝れない大人はいっぱいいるもの。それにメンタルは強いですよね。周囲は自分を非難する人ばかりなのに、辞めずにいられるのはすごい。

相談者:あ、Aさんはつい最近、退職しました。理由は、お子さんたちの面倒を見るには、片道2時間の通勤が難しいという理由です。

一同:え…?

シマ:退職時に何かトラブルみたいなものはありましたか?パワハラとか。内部通報で寄せられる相談では、こういう方の退職時にトラブルが発生するケースが多く見られます。

相談者:特にそういったトラブルはなかったです。単純に、業務が大変だったのと、通勤がキツかったのかな、と。

リス:Aさんは、周囲の人のサポートを受け入れれば、仕事の負担は軽減できたはずだと思いますが、「大丈夫」とサポートを拒否していたのですよね?Aさんが、なぜ頑なにサポートを拒んだのかが気になります…。

ネコ:例えば、「サポートしてあげる」的な、ちょっと上からな態度でサポートを申し出られたら、ちょっと意地を張ってしまう人もいるかも?と思いました。
…でも、辞めたのなら少し安心です。このまま辞めずにいたら、さすがにご本人のメンタルが心配ですから。もっと働きやすい職場を見つけていたらいいな。

相談者:周囲の人の接し方にも問題があったのは確かです。目上の人を敬う態度といいますか…。私は敬語で話していましたが、どこかでイライラを隠せないところもあったと思います。その人から「敬語で話しかけてきて偉いね」なんて言われたので、もしかして前の職場ではそうでなかったのかも…と思ったりしました。協力を頑なに拒んだことがあったとお話しましたが、徹夜までしようとしたのは、「もう放っておいてほしい」という意思表示だったのかも…。

みみ:児童期には、10人に1人がADHDだなんていう話もあるようだし。もっと社会でも職場の中でも、「多様な個性」について理解を深めていかなければいけない時代なのかもね。

ネコ:ネコとしては、「できない人の気持ち」をもっと多くの人に知ってもらいたいな、と思いました。

相談者:……もしかしたら、通勤に片道2時間かかる子会社への出向は、親会社が退職させようとして仕組んだことなのかもしれません。お子さんたちも手がかかりますし。転職先の目途も立っていなかったみたいでした。
人事や上の人たちは、本人に向き合うことを放棄したうえに、家庭環境をいいことに自ら退職するのを虎視眈々と待っていたのかもしれません。思惑通りに事が進み、Aさんが将来に不安を抱えながら退職するという結末になったのかも…。
そして、私もそれに手を貸してしまっていたのではないかと思うと…悔やんでも悔やみきれない…。私も組織に染まって「同じ穴の狢」「井の中の蛙」になっていたんですね…。

ネコ:未来を変えていきましょうよ。一人でも多くの人が、過剰なストレスなく働ける世の中になるように。

相談者:はい!

「HRリスク」とは、職場における、「人」に関連するリスク全般のこと。組織の健全な運営や成長を阻害する全ての要因をさします。
職場トラブル解決とHRリスクの低減に向けて、エス・ピー・ネットワークの動物たちは今日も行く!
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