HRリスクマネジメント トピックス
「現代のセクハラ対応を考えた2日間!HRリスクマネジメント祭り大反省会」SPNの森 動物たちが語るHRリスクマネジメント相談室

10月に開催した「HRリスクマネジメント祭り」。今年は「時代に乗り遅れないためのセクハラ対応」を考える2日間となりました。今回は、いつものメンバーによる、「HRリスクマネジメント祭り大反省会」です。
各日、それぞれのテーマ、それぞれのメンバーで実施した、ディスカッションの記録もあるニャ!
みみずくさん:SPNの森のお目付け役。愛らしいフォルムと裏腹に、猛禽類らしい鋭い目線で最新のリスクをチェック!さらに森の仲間たちの文章もチェック!夜行性?うーん、夜中に起き出して活動を始めるから、夜行性なのか早起きなのか…?
黒豹さん:
黒いのは、ゴルフや釣りなどアウトドアライフのせい? SPNの大阪の森や福岡の森を棲み処としていたこともあり生息域は広い。20数年前に内部通報窓口の受託運営サービス「リスクホットライン®」を立ち上げたのは実は…。
モモンガさん:
小さな皮膜で滑空する夜行性。特定社会保険労務士、産業カウンセラー、ファイナンシャルプランナー。そこそこ長い会社員経験をおなかの袋から取り出しながらSPNと会員企業様の森を飛び回ります。
リスちゃん:
森の中を駆け回り、皆さんのお困りごとに対応します。内部通報関連のエリアをパトロールしているのですが、最近は通報に関連するヒアリングの対応が増えています。人の数だけトラブルやお悩みがありますね。ご相談には変わらずお答えしていきますよ。
ペルシャ猫さん:
ゆったりと過ごすことが好きな猫。ゆったりと過ごしたいが、過ごせなかった過去を持つ。社会保険労務士のほか財務会計の資格もあり、人事労務と財務会計分野の実務経験が長い。SPNの森では日増しに内部通報制度との縁が深くなっています。
キリンさん:
長ーい首で会社のことを見渡せるよう、ペルシャ猫さんの勉強会に毎週リスさんと参加中。この森に来て3年目!首の長さを活かし、アンケート業務では一つの結果に囚われずに全体を俯瞰で見られるよう修行中。
ネコさん:
当相談室の留守番ネコ。猫なで声と鋭い爪をあわせ持ち、企業内での人事実務経験が豊富。保有資格は、社会保険労務士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント等。「反省会」までがお祭りニャ。
〈何はともあれ、お疲れさま!〉
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今年も「HRリスクマネジメント祭り」が無事に終わりましたね。今年は2日間で、それぞれのテーマを、それぞれのメンバーにてディスカッションする形式でのライブ配信でした。 当日のディスカッションの内容は、こちら↓をご覧ください。
<1日目> 2025年10月9日 セクハラの当事者は社外にも!社外の人が関わるセクハラへの対応 ▼ディスカッション記録 <2日目> 2025年10月16日 セクハラにもグレーゾーンがある?一筋縄ではいかないケースを掘り下げてみよう ▼ディスカッション記録と参加者様からの投稿 |
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いや~こういうスタイルのライブ配信は視聴者の皆さんにどう受け取られるかわからないので緊張しましたね。 |
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ネコ、燃え尽きました…。 |
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冒頭で「燃え尽き」宣言?(笑) |
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今回、メモを取りながらディスカッションのファシリテーターをするという暴挙に出たので。手汗でキーボードの文字が消えるかと思ったニャ。 |
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私は逆に超お気楽な回でしたね。1日目は、みみずくさんとたぬきさんが「任しとけ!」って感じだったので。おほほほほ。 |
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言ってねえし。どうにかなるか、と思ったのは事実だけど。 |
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冒頭のまとめ作成のため、1日目のライブ映像を見返しましたが、自分の話はたどたどしくて聞いていられませんでした…笑。 |
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そう?私は違和感なかったけど。 |
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どんどん声がしりすぼみに…。ペルシャ猫さんに要約していただいたので、視聴者さんには違和感を与えていないと信じます。 |
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自分ではあまり貢献した記憶がない…(笑)本当にアドリブだったから、何も考えていないことの証左ですな。 |
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2日目は視聴者の皆さんにも文字でご参加いただきましたが、たくさんコメントを入れていただいて、拾いきれませんでしたね。 |
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そうなんです!せっかくたくさんコメントをいただいたのに、ほとんど触れられなくてゴメンナサイ。特に後半はコメントも活性化していまして、いただいたコメントを資料の中に埋め込んだらぎゅうぎゅうになってしまいました。ちょっと読みづらくて申し訳ないです。ちなみに、文字数調整や案件の特定防止のために、一部を意訳したり削ったりしています。 |
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みんな事例が好き(笑)みんな困っているから、他のみんなも同じだと思える場になったのかも。何の抵抗もなく赤裸々に事例を共有できたのは大きな成果。参加型のセミナーは満足度も高くなると思う。 |
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たまにはこんな機会があってもいいですよね。本音を語り合い、聴き合うこと自体に意味がある! |
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ですです! |
〈1日目「社外の人が関わるセクハラへの対応」から行きましょう〉
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じゃあ…1日目の内容から掘り下げましょうか。 |
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1日目の下準備がどんな感じだったかと言うと… ①なんとなくの流れを書いたメモを作成 ②上記①をもとに4人で打合せ(1時間くらいで1回) ③司会がレジュメを作成し、実際に話してみたときの時間をはかってトークのタイマー設定 ④当日、誰が何を話すかはお楽しみに♪ |
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ニャアー、本当に簡単な打合せだけだったのね。これでできてしまったのか…。2日目は、慎重派の動物さんが多かったので、実はけっこう念入りに準備していました。 |
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有難う御座います。パネリストの力であって、司会の私の力ではないですが(笑) |
〈就活セクハラの防止には、ツールの活用も「あり」らしい〉
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トークテーマ①の就活等セクハラの防止は、求職者との接触を制限するための、システム的なツールもあるみたいですね。そういうのを使う会社さんもあるんだろうな。 |
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ツール?ちょっとイメージがわかない…。 |
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ネコが見かけたのは、OB・OG訪問の情報を一元管理したり、システムを介してメッセージをやり取りできたりするもの。相手の連絡先を個人に渡さず、「個対個」でやり取りさせないようにする感じかな。 |
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いくら研修をしようと物理的には止められないので、システムで物理的に止める方が現実的でしょうからね。 |
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システムの会社さんにとってはよい商機なのでしょう。 |
〈外部からの被害を適切に把握するために…〉
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視聴者アンケートでは、まず、質問タイムがなかったので残念、というご意見がありました。「取引先からセクハラ被害を受けた場合の対処法」などについて聞きたかった、という声もありましたよ。トークテーマ②の関連ですね。 |
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1時間でしたからね…。質問タイムは設けられませんでした。 |
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対処法は、まずは被害を受けたら上司に相談する、または内部通報や人事など然るべき相談先に伝えるように周知することからでしょうか。 |
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そうね。まずは「相手が取引先の人だからどうにもならない」と一人で抱え込まないように、会社へ相談できることを伝えたいですね。ただ…その、伝えられた先の人が困りがちなんだけど…。 |
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伝えられた先の人が握りつぶすことも有り得ますしね…。 |
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相談を受けたのが直属の上司だと、取引先の顔色をうかがってしまう可能性はありそう。やっぱり、社内の相談窓口の周知って大事ね。カスハラの対策とあわせて、「加害者が社外の人であっても相談できる」ということを、ハラスメント防止研修の中に織り込んでほしいというリクエストをいただき、既に数社で対応しました。 |
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私は加害者側の会社から依頼されて、被害者(一般人)と加害者双方のヒアリングをしたことがあります。そのケースは加害者側の会社のコンプライアンス意識が高かったので、適切と思えるかたちで終結しました。 |
〈調査の難しさは、社内も社外も共通〉
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あと、客観的な証拠がない場合の進め方が非常に難しいと思う、とのご感想も。 |
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これは、社内で発生した時も同じですよね。 |
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調査は、ほんと難しいよね。特に、被害を訴えている人に調査に協力してもらえないと、詰みます。少なくとも加害者とされた人に対し、「誰が被害者とされているか」は示さないと、どうにも難しい。被害者が「報復が怖いので、私の名前は出さないでほしい」と言うケース、ありますよね? |
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ありますね。 |
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訴え出たのが誰かは、架空の「目撃者」を立ててごまかすとか、何かしら手はあるのだけど。つい最近もそんな相談を受けましたよ。社内に噂が広まっているようだったので、「噂を聞いた人からの通報ということにしたら、被害に遭っている人として名前を出していいですか?」と再確認したら、すぐOKとなって、サクッと調査が進んだケースがありました。 |
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そうなんですよね。本人はカモフラージュの方法が思い浮かばなかっただけで、いざカモフラージュの方法を提示すると、あっさり「それならOKです」と言われますよね。 これを研修のグループワークで扱うことも多いです。相談者と調査方針や方法(カモフラージュも含む)をすり合わせたり。自分だけではアイデアが浮かばなかったとしても、社内のしかるべき部署や外部の専門家にはアイデアがあるかもしれないので、この場面でも「抱え込まないで」につきるかもしれないですね。 |
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対処や証拠については、パネリストの発言でも触れていました。まとめにも含めたので、改めてご覧いただきたいです。 |
〈セクハラの線引きは難しい!〉
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それから、セクハラの「研修」についてのお悩みの声もいただきました。セクハラがNGなのは常識だけれど、いまだに「この程度は許されるだろう」と、認識の甘い社員に対してどう啓蒙や教育をしていくかでお悩みのようです。パワハラよりも、セクハラをテーマに取り上げる方がハードルが高いとのこと。 |
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セクハラの方が「ダメなものは、ダメっ!」と言いやすいかな、と思っていましたが、セクハラテーマの教育の方がハードルが高いという声もあるのね。 |
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パワハラは指導との境目が難しいとされ、セクハラ的な言動は業務に必要ないのでわかりやすいと言われてきましたが、セクハラはなくならないですね。 |
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セクハラの場合、具体的に何がどこまで許されるのかが分かりづらいということでしょうかね。パワハラと比べてセクハラの方が、主観が重視されるからですかね…。 |
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あぁ、2日目で扱った「グレーゾーン」の話かぁ…。うん、確かに難しい。 |
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セクハラは、主観が重視されるから悪用もされやすいのだけれど…。だからといって「べからず集」は違うと思うんだよな。相手を尊重する、業務上の適度な距離感をもつ。対応には専門性が求められるから、対応部門にきちんとつなぐ。中途半端な対応や不適切な対応をしないことが重要。現場で握りつぶすことを避けたい。 |
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「そもそも仕事をする上で、その言動は必要ですか?」的な、仕事って何だったっけ?というプリンシプルな考え方が必要ですよね。 |
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そう。セクハラを事細かく定義づけたり、ダメな事例を挙げ連ねたりしても、必要なコミュニケーションまで阻害してしまうかもしれない。本来、業務上の関係なんだから、「適切な距離感」ってあるよね、ってところを共通認識にもつことがいいと思うんだが。 |
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その塩梅がうまく伝えられず、「べからず集」になっている会社さんがけっこうあることが、2日目でわかりましたね。 |
〈セクハラ防止研修の工夫〉
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それからアンケートで、傘下に複数の会社を抱えるホールディングスに所属されている方から、「各社のハラスメントの実態がとても掴みにくく、状況を知るのが難しい」と。そして「今回お話を聞いて、実態把握ではなく、『セクハラ等した場合にどうなるのか?』を伝えることも抑止につながると気が付けました。」とのご感想もいただきました。 |
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そうね。実態把握が難しいからといって、対策ができないわけではないから。実態がどうあれ、「抑止」は大事! |
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ハラスメントによる影響の話は、当社の研修でもよく扱いますよね。 |
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「セクハラ等した場合にどうなるのか?」については、研修で「これだけの悪影響があった!」とインパクトのある事例を入れて欲しいと依頼されることもありますよね。慰謝料などお金の話を入れるとか…。 |
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身体接触がある場合、事によっては「不同意わいせつ」などで、性犯罪の前科が付く可能性がありますね。これは罰の重みとしてインパクトがあると思います。 |
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どんな懲戒処分を受けたのか…とかもありますね。上級管理職や経営トップだと、性別役割分担を決めつける発言で、辞職するケースもありますからね…。 |
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「トップが二代続けてセクハラで解任!」という大手企業の事案も大きく報じられましたしね。 |
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その一件で、「経営陣の言動であっても処分される」という認識も浸透してきたと思いますが、未だにセクハラもカスハラもいわゆる「偉い人」が行為者になりがちな様子もうかがえます。事例を紹介することで、全員が「自分事」として受け止めていただきたいなと思います。 |
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偉い人ほど、自分の「立場」を使わないよう、気を付けないといけないのだけれど。いつの間にか、忖度されることに慣れて、気付かなくなってしまうのかなぁ。 |
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個人的には、「これはセクハラじゃないけど…」と前置きしてセクハラ的な発言をする人が多いことをお伝えするのも地味に響くと思っています。 |
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「こういうのも、セクハラって言われちゃうのかな~?」とか言いながら、ベタベタ手を触る人もいるよね。 |
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いますね…いまだに……。 |
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キモイ…。 |
〈2日目は「セクハラのグレーゾーン」がテーマ!まずは女性活躍推進に関して…〉
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2日目は、①女性活躍推進法関連と、②通報の悪用事例、あと「髪切った?」はセクハラなのか?から考える、③受け止め方の個人差をトークテーマに設定しました。 ①は、パンダさんやウミガメさんからリアルな話がぽろぽろ出てきて、興味深かったです。「やっぱりそうなんだなー」とか「そんなこともあるのかー」とか、リアルな実態を知ることで、「わかり合う」につながるのかも?と思いました。 |
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①では「お互い様」の精神が浸透していて休みやすい環境になっているという自組織の例を紹介したところ、「「お互い様」となるのは、メンバーがお互い様と成り得る構成のときですよね」というコメントをいただいて「確かにそうだな」と思いました。 |
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それぞれ置かれている環境や抱えている事情はさまざまなので、職場内でお互いに助け合う姿勢が重要と思いました。一方で、「助ける側」の人が常に一定になってしまうと不平等感が生まれ、ギスギスした雰囲気になってしまいがちですよね。 |
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当日ウミガメさんの発言でもありましたが、不平等感が高まり、「男女の対立」のようになってしまうと、職場全体の雰囲気も悪くなってしまうという…。 |
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うん…ネコは子どもがいないので、「うちは小さい子どもがいるんだから、これくらい当然でしょ!」みたいな主張をする人にはちょっとモヤっとしていました。でも子育ての大変さとかを聴くと、「あぁ、本気で大変なんだな」「自分は子どもがいないのだから、文句を言ってはいけないな」と…逆に子どもがいないことへの罪悪感を強めてしまった時期もあったなぁ。もう少し、「産んだ人・産めた人」にも「産まなかった人・産めなかった人」にも優しい世の中であってほしいニャ…。 |
〈通報の「悪用」を疑ってしまうことも…あるよね〉
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あと、②の通報の悪用、やっぱりいろいろあるみたいですね。パワハラバージョンとかもあったし。コメントにもいただきましたが、もちろん「悪用と決めつける」のは厳禁ですよ。人によって感じ方が違うのも、本当にその通りだと思うし。 |
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通報者と被通報者の意見の食い違いだけでなく、周辺者の話を聞くとまた全然違った視点が出てくることもあります。同じ事象でも捉え方は人によって違いますし、普段ヒアリングをする中でも、フラットな視点を持つことの重要さを実感しています。 |
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悪用とは少し異なりますが、内部通報が多い会社では、ハラスメント未満の人間関係のトラブルについての相談が多く、対応が大変な企業も少なくないようです。もちろん問題があれば通報することも重要ですが、まずは職制での解決や、利用についての周知が大切ですし、その上で適切な対応することが必要です。 |
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公益通報者保護法の影響で通報者が甘やかされがちになっていて、独善的な訴えをしてくる通報者は確かに増えていますね。一方で、通報者が少しでも意に沿わない応答をするとすぐに「虚偽通報」に分類してしまう会社もあって危険だなと思うこともあります。 |
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従業員さん側への教育も大事ですね。研修の中で、通報窓口の役割や通報後の流れ、適切な調査が必須であること等を説明することが結構あります。あと、管理職にしかハラスメント防止研修を実施していない会社には、全社員向けでの実施をご提案することも多いです。「悪用」は当然ダメですが、理解が十分でないが故の「誤用」も放置せず、正しく理解してもらえるような取り組みが大事だと思います。 |
〈「髪切った?」はセクハラか?…盛り上がりましたね〉
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で、もっともコメントが盛り上がったのが3つ目のテーマ、「髪切った?」問題(?)です。投票結果を見ると、「髪切った?」と言うことを「セクハラだ」とする方は1割弱なんですよ。1割弱の人が「セクハラだ」と思うことを、「べからず集」に入れるというのは…どうなんだろうな、と。 「髪切った?」について、ネコの考えは、「わざわざ言って欲しい」とは思わないけれど、「言ってはいけない」とするのには抵抗がある、という感じなんです。たかだか「髪を切ったんだね」ということを口に出すことさえ遠慮しなければならない職場に、心理的安全性があると思えないので。 |
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私は他人の髪型に興味がないので、そもそも気付かないことも多そうですし、わざわざ言及しようとも思わないです(笑)逆に、言われてもリアクションに困るといいますか、「どうでもよくない?」とか思ってしまうので(苦笑) |
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そうか、言われたら困る人もいるのか…。 |
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実際に言われれば笑って適当に流しますけどね。自分がリアクションに困ることは他人には言わないです。同じく、他人のプライベートに興味がないので「休みの日に何してる?」とも聞けないです…。逆に聞かれた時に「聞いてどうすんの?」と思うので、相手にそう思わせるようなことは言わないです。 |
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なるほどね。うん、興味がなければ「言わない」のが自然だし、言わない人に「言え!」なんて言う気もない。ネコは、人の見た目が急に変わったら、びっくりして「うわっ!変わったね!」と思わず言ってしまうと思う。「言う」も「言わない」も否定する気がないのに、ここまで「言う」を「禁止!」とすることに違和感があるんです。 |
〈「関係性」の背景を考えてみよう〉
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視聴者さんからは、「関係性による」という趣旨のコメントが多かったですよね。 |
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そう。条件によっては、「セクハラ」にもなり得るし「セクハラではない」にもなり得るの。であれば、「髪切った?」と「言うこと」ではなくて、その「条件」の方をもっと丁寧に見つめないといけないんじゃないかと。「人による」とする人もけっこういましたが、なぜ「その人」がダメなのか?は、ちゃんと理由があると思う。 |
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確かに、「ダメ」になった布石は必ずあるよね。 |
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積もり積もって最終的に「キモイ!」ってなると思います。コップから水があふれるように…。 |
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例えば、最近のレジュメでは、こんな絵で説明しているんだけど、グラスを持っている部長のセリフで「気が利く」とされている「〇〇さん」は、誰を指すと思いますか?
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女性は自分の意志で注いでいない&部長も男性の発言は聞こえていると思うので、女性を押し出している男性だと思いました。けど「若い女の子に」って言っているので女性の可能性も…? |
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うん、「男性」である可能性があるの。でも、権力者の回りを若い女性で固めるように根回しをしたり、お酌に行くよう強要したりと、「女性を道具のように使う」ことで男性が高く評価されるのっておかしいよね。女性を使って評価されようとする側もおかしいし、評価する側もおかしい。「人権問題だ」ということがわかりやすいかな、と。 |
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「道具」っていう言葉がかなりインパクト強めですね…。 |
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自分からぐいぐいお酌しに行く女性もいるけどね。男性も、上司やお客さんの前だと張り切る人はいっぱいいるし。行きたい人が行くなら、それを止めはしないけど。 |
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自発的に行く人もいたり、「ワークライフバランスという言葉を捨てました!」という政治家もいたり(笑)同じ属性でも全然考え方が違うので、そういう意味でも「人による」なんでしょうね。 |
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うん…。それで「お酌をする人」が「気が利く」として、仕事の場でまで高く評価されるのであれば、「認められたければ、お酌せざるを得なくなる」ので、それはそれで問題と思う。 でも、単に「お酌すること」が良い・悪いという問題ではなくて、「他者を道具のように使っていること」の気持ち悪さに気付いてほしいんだ。男性同士でもあるよ。純粋に部下のためを思って親切に接するのではなく、部下を手懐けて、上の人に「マネジメント能力があるぞアピール」をしようとする人、いませんでした? |
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セクハラを受けるのは女性だけとは限りませんよね。女性から男性へのセクハラもあるし、同性間のセクハラが軽視されるのも変ですし。これだけ世界的に人権が重視されている中、問題となっているのは、一個人として尊重できていれば起こらないようなことが多い印象です。私もその場の雰囲気などに流されないようにしたいです。 |
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男女問わず、自分の利益のためだけに他者を使う人は、嫌われて当然だと思う。 |
〈「この人には言われたくない!」でセクハラか否かが決まる?〉
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セクハラは好き嫌いで決まるのか? |
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ひと昔前でいうところの「福山雅治だったら許される」みたいなことです?(笑) |
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「鏡を見て、自分が福山雅治じゃなかったら下ネタを言うのは諦めろ」っていう説?(笑)いや、そうじゃなくて。 |
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好き嫌いで決まるものでもないかなと…。若いイケメンならセクハラとはならないんだろ?というのもおかしな話で、年齢や容姿で許容されると思っている時点でアウトだと感じます(笑)もちろん性別に関わらずです! |
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「好き嫌い」の方が、セクハラ的言動の有無などによって決まるのではないか?と。 |
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そういうこともあるかもね。でも、圧倒的に「好き嫌いから」セクハラにつながる気がする。 |
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好き嫌いには「原因」があるので、そっちが先だと思うんです。顔じゃない。福山さんかどうかでもない。 |
〈信頼関係はなぜ失われるのか?〉
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セクハラもパワハラも、微妙な内容のものは、職場での「信頼関係」で決まるのかな?と思います。月並みな答えですが…。 |
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前に、研修の休憩時間の雑談で、家庭内の話になったのですが、私の父はなかなか口が悪い人で、私が夏に福井に行くと話したら、父に「こんなクソ暑い時期に、わざわざ暑いところに行くなんてバカじゃないのか?」と言われて、たまたまその場にいた母にも「あははははは!ペルシャ、バカだ」と言われたのですが、私は全く不快に思わなかったんですよね。そんな話を研修の受講者にしたら、「関係性なんですね」と物凄くしみじみされました(笑) |
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うん。そんな関係性…信頼関係を崩壊させるのにも、「原因」があるはず。 |
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相手の明らかな「No!」のサインを見逃し続けた挙句、通報されるということは多いよ。セクハラで。 |
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それも信頼関係によるものと思います。 |
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そうそう。 |
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祭り当日に話していただいた例もありましたね。あれ、「女なんてものは、『髪切った?』とか言ってやればうれしがる生き物なんだろ?」みたいな気配を感じるから、「バカにしてる?私、仕事しに来ているんですけど?別に職場で嬉しがりたいなんて思っちゃいませんけど?」と思うの。…あれ、考えすぎ? |
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さっきの「福山雅治なら」という部分も、「女は容姿が良いやつの言動なら喜ぶんだろ」という意味でバカにしているのと同じ、と言う意味で言いました。 |
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シンプルに、人との距離感を間違っていることに気づけないケースも多いですよね。表面上は当たり障りなく対応してもらっているので、嫌がられているとは思わず…という。 |
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自分が人からどう見られているか、「ジョハリの窓」でいう「盲点の領域」をいかに小さくするかが大事ということだ。 |
〈「生理的に無理」は、差別じゃないか?〉
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好き嫌いが何によるのか、だよね。信頼関係なのか、単に生理的な感覚なのか。理由はいろいろあって、でも現象として「そんなこと言われたくない」からセクハラになっているのでは? |
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生理的に無理だと何もかも無理って言いますよね…(苦笑)最初から生理的に無理だったのか?という疑問は残ります。私の近しい人でも、初見で生理的に無理判定する人いますけど。 |
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私、「生理的にキライ」という言葉、キライ。ちゃんと説明しよう、言語化することを諦めるな!と言いたくなる。絶対に理由はあるでしょ!だって、「人」によって決まってしまっているなら、「じゃあ、自分がどちらに当てはまるかわからないから、コミュニケーションはできるだけ取らないようにしましょう!」に簡単に流れるじゃん。それはそれで、あまり良い職場とは思えないもん。 |
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ちなみに、初見で生理的に無理判定する要素は、身もふたもないことを言うと、ルックスとかですね…。 |
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ぐうぅ…。 |
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容姿。言動。差別的な要素もありうる。それは個人の感覚。 |
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「生理的に無理」って、人格否定になるのを避けているフレーズだと思っていたけど、考えたら十分人格否定だね。 |
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差別はダメじゃん。そう、人格否定の最たるやつだよ。 |
〈ここは職場だから…「業務上の関係性」であることを忘れない!〉
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そもそも、この場でも「嫌いなものを好きになれ」なんて誰も言っていなくて、嫌いなものに対して、礼節をもって接するか、という話なんですけどね。 |
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そう!お付き合いする相手なら、容姿で選ぶのは個人の自由だけど、ここ職場だから。仕事に「恋人としての好み」を持ち込むんじゃないよ! |
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そこを混同している人、いますよね。 |
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うん! |
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結局、自分の基準から外れた人に対しても、寛容な態度とか礼節をもって接することに尽きる気がします。あ、これ、東京女子大の森本あんり学長の受け売りです(笑) この前、原稿でも引用したので、ここにもアップしておきます。
【森本あんり学長より】
礼節は、敬意がなくても可能である。相手を心から承認していなくても、その信念や行動に嫌悪感をもっていても、なお可能である。 心の中でどう考えるかは、そもそも他人にはわからないことなので、放っておけばよいではないか。その拒否感や嫌悪感を相手に伝える場合でも、礼節をもって会話を続ける態度があれば、それでよいのではないか、ということである。相手にどういう態度で接するかだけでなく、内心で相手をどう評価するかについてまで寛容であれと要求するのは、潜在的にはとても不寛容である。 少なくとも、礼節をもって、暴力に訴えず、会話を遮断せずに続けるだけの開放性を維持する、ということである。昨今のヘイトスピーチのように、対話する心構えもなくただ言い放つだけという姿勢は、この基準には合格しないだろう。 多様性こそが自由な社会を成立させているのだから、そこで無理に一致や共感を求めることは望ましくもない。各人が内心にもつ好き嫌いの感情は、消えることがないだろう。それでも、最低限の礼節を保って会話と共存を続けることができれば、ただ嫌悪を押しとどめるだけでなく、もう一歩その先へ行ける可能性も生まれるのではないか。 引用元:森本あんり『不寛容論―アメリカが生んだ「共存」の哲学―』 |
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学長の「内心で相手をどう評価するかについてまで寛容であれと要求するのは、潜在的にはとても不寛容である。」は本当にそう思います。パワハラで加害者認定された方と面談することもあるのですが、私はいつも「心の中でどう思おうと自由です。ただ、誰かを傷つけたり、不安にさせたりするのは禁物!」と伝えて再発防止に向けた策を一緒に考えたりしています。 |
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他人の内面は分からない中で、業務上の関係性を築くわけで。自分の内にある好悪の感情を表面に出ないように取り繕いながら適度な距離感を保つってことをやっているはず。それがバグったり、バランスを崩すと、相手との距離感を失って、セクハラとかパワハラにつながるのかも。 |
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外れている「自分の基準」が容姿とか、自分ではどうにもならない国籍とかだったら、そもそも差別はダメですよね。でも、「ひたすら失礼な言動」だったら…考えられる対応としては、「やめてください」ときちんと伝えることかな。「業務上の関係性」であること、大事ですよね。 |
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そう。すごく大事だと思います。 |
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結局のところ、本音と建て前をちゃんと使い分けようということですね。 |
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きれいな結論ではないけど、業務なので。 |
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シャーッ!てしたくなるような輩でも、仕事で足を引っ張るのは違う。お客様や社内の他の人に迷惑をかけるのは違う。うん…社会人って難しい。 |
「HRリスク」とは、職場における、「人」に関連するリスク全般のこと。組織の健全な運営や成長を阻害する全ての要因をさします。
職場のトラブル解決と、もっと力を発揮できる職場づくりに向けて、SPNの森の動物たちは今日も行く!
※このコーナーで扱って欲しい「お悩み」を、随時募集しております。


