HRリスクマネジメント トピックス

「うちの部下、もしかして『静かな退職』?」SPNの森 動物たちが語るHRリスクマネジメント相談室

2026.07.22
印刷

職場におけるトラブルは、様々な要因が複雑に絡み合って起きるもの。複合的な視点でとらえないと、真の問題解決には至りません。
悪事に手を染めるのも人ならば、素晴らしい成果をあげるのも人!どうしたらトラブルを抑えられるだろう、どうしたらもっと力を合わせ、のびのびと力を発揮できるだろう?
SPNの森に生息する動物たちが、今日もチャットで語り合います。

【SPNの森に生息する動物たち<プロフィール>】
 
みみずくさんのイラストみみずくさん:
SPNの森のお目付け役。愛らしいフォルムと裏腹に、猛禽類らしい鋭い目線で最新のリスクをチェック!さらに森の仲間たちの文章もチェック!夜行性?うーん、夜中に起き出して活動を始めるから、夜行性なのか早起きなのか…?


ペルシャ猫さんのイラストペルシャ猫さん:
ゆったりと過ごすことが好きな猫。ゆったりと過ごしたいが、過ごせなかった過去を持つ。社会保険労務士のほか財務会計の資格もあり、人事労務と財務会計分野の実務経験が長い。SPNの森では日増しに内部通報制度、情報セキュリティ、BCP(事業継続計画)との縁が深くなっています。


たぬきさんのイラストたぬきさん:
会社に入社して23年を迎えるオジサンたぬき。緊急事態や不祥事対応、サイバー攻撃対応のサポートを担当。転職経験がなく、他の会社での出来事をあまり知らないので、今回のテーマに引き付けられ参加を表明しました。


キリンさんのイラストキリンさん:
長ーい首で会社のことを見渡せるよう、ペルシャ猫さんの勉強会に毎週リスさん、鶯さんと参加中。この春から広報担当になったため、これからは森の広報活動もがんばります。


鶯さんのイラスト鶯(ウグイス)さん:
SPNの森に来て今年の春から2年目に突入しました。臨床心理士/公認心理師。よりよく生きる日々を考えつつ、森で活躍できる範囲を広げられるように日々勉強中。最近はBCP業務にも携わるようになり、あちこちを飛び回っています。


イタチさんのイラストイタチさん:
最近森にやってきたイタチ。前の森では病気やケガの対応が主でした。保有資格は看護師、保健師。社労士試験に合格したので登録に向け奮闘中。理不尽な事には、カマイタチに変身して「カマ」します。


カピバラさんのイラストカピバラさん:
静かにノンビリ温泉に浸かっているのが好きなカピバラ。時々省エネで高いパフォーマンスを発揮するためのリスクマネジメントを考えることもある。フラフラ各地を巡るのが好きで、深山幽谷よりも社寺仏閣をこよなく愛する昭和世代。


シマエナガさんのイラストシマエナガさん:
SPNの森にきて2年目になりました。以前は小鳥さんたちの先生をしていたシマエナガです。森を飛び回りながらBCPについて勉強の日々です。持っている資格は防災士、保育士、幼稚園教諭です。


ネコさんのイラストネコさん:
当相談室の留守番ネコ。猫なで声と鋭い爪をあわせ持ち、企業内での人事実務経験が豊富。保有資格は、社会保険労務士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント等。静かに退職しないで、普通に何社も退職してここに来たニャ…。

今月は、営業部門のA課長からのご相談です。

<営業部門のA課長からのご相談>

 

この春、うちのチームに異動してきたBさんのことで、気になることがあります。
Bさんは、昨年春に有名私立大学を卒業して当社へ入社した、2年目の社員です。最初の1年は別の商品群の営業を経験し、今月、異動で私のチームにやって来ました。

 

Bさんは、言われた仕事は無難にこなします。しかし、「こうすれば、もっと売上を伸ばせるぞ!」とアドバイスをしても、「ありがとうございます」とは言いますが、実行した様子が見られません。
営業成績は、中の下くらいで、「全くダメ」ではないけれど、「もっと上」を目指そうとはしていない様子。残業もほとんどせず、自分の仕事が終われば、いつの間にかいなくなっています。自分の顧客の件でトラブルがあった際は残業していたので、家庭の事情などで急いで帰るわけでもなさそうです。
一度飲みに誘ってみましたが、「あいにく、今日は先約がありまして」と、体よく断られました。歓迎会の二次会も、「地元のバスがなくなるので」と帰って行きました。同期の話だと、家は「バスの方が楽だが、歩けない距離ではない」らしいのですが…。

 

地頭は良さそうだし、頑張ればもっと伸びると思うのですが、なんとも…覇気がないというか。目に見えてサボっているわけではないので、注意もできません。
…もしかして、これが最近よく聞く「静かな退職」なんでしょうか?
私はどうしたらいいんでしょう?

ニャー、「静かな退職」、最近よく聞く言葉だニャ。
SPNの森の仲間たちに相談してみるニャー!

〈ペルシャ猫さんからレポートが…!〉

ペルシャ猫さんのイラスト ネコさん、申し訳ありません。急な外出で参加できなくなったので、私が言おうとしていたことをまとめて置いておきます。では!
ネコさんのイラスト あららペルシャ猫さん、行ってらっしゃーい、気を付けてねー。…というわけで、ペルシャ猫さんからレポートを預かりましたので、いったん皆で読みましょうかね。

【ペルシャ猫さんからのレポート①】

<ペルシャ猫レポート(前編):「静かな退職」の国際比較>

ペルシャ猫さんのイラスト

「静かな退職」については、お国柄が出ると言いますか、日本の「普通」の水準が高すぎるので、ヨーロッパの人たちからすると「日本の静かな退職は、むしろヨーロッパのジョブワーカーの普通です」となるかと思います。
労働に関するルールは、ヨーロッパが、教会に権威があった時代、教会の力が弱まって国家が構築され国王が力を持った時代、市民革命、産業革命、労働運動などを経て、およそ250年かけて作ったものです。アメリカ、日本、中国は、ヨーロッパが250年かけて作ったものを急に輸入して、自国版に焼き直しています。
「静かな退職」は、こういう前提を踏まえた方が良い話題だと思うので、軽く調べてみました。

 

ヨーロッパ

ヨーロッパは、階級社会や身分社会を再整理したジョブ型です。封建社会、市民革命、産業革命、労働運動などを何世代もかけて経験しました。その結果、階級社会や身分社会を再整理したものとしてジョブ型ができたと言えます。そのため、職務と権限が明確で、職業資格が強いです。グレードを上げたければ(縦に移動したければ)学歴を変えないといけないですし、製造から営業へなど横に変更したければ資格を変えないといけません。昇進・昇給をするのは一部のエリート層で、ほとんどのジョブワーカーは、契約で決められた仕事をし続けて、昇給はほとんどないということになります。

    ヨーロッパは元々「契約重視」です。多くのヨーロッパ諸国では、

  • 職務範囲が比較的明確
  • 有給休暇取得が当然
  • 労働時間規制が強い
  • 仕事と私生活の分離が一般的
  • という特徴があります。そのため、「契約した仕事だけをやる」こと自体は必ずしもネガティブに見られません。

 

アメリカで話題になった「静かな退職」の定義の中心には、「以前は自主的にやっていた“余剰の努力”をやめる」という側面がありますが、ヨーロッパでは、そもそもその「余剰の努力」を前提としていない職場が少なくありません。ヨーロッパには「静かな退職」がないのではなく、そもそも「静かな退職」として認識されにくい国が多いと思います。
ヨーロッパでも「静かな退職」は研究・調査の対象になっていますし、イギリスでは実際に「静かな退職」の存在を示す研究(※1)も発表されています。

(※1)▼LSE“Is the UK undergoing a “quiet quitting” revolution?

しかし、日本やアメリカとは意味合いが少し違います。日本人やアメリカ人が見れば「それ静かな退職では?」と思う働き方が、ヨーロッパでは「普通に健全な働き方」であることもあります。
ヨーロッパでは、「静かな退職」について、日本ほど「諦め」ではなく、アメリカほど「反発」でもなく、比較的「健全な境界線の引き直し」として捉えられることが多いようです。

 

アメリカ

「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉が生まれたのはアメリカです。「退職」という言葉が誤解を生みそうですが、そもそもQuiet Quittingの和訳で、Quiet Quittingってダジャレっぽい言葉ですね。
アメリカの「静かな退職」は、一言で言うと、 「ハッスルカルチャーへの反発」です。
アメリカで「静かな退職」が大きな社会問題として注目されるようになった直接の契機は、2022年のTikTokでの拡散と、コロナ禍後の働き方に対する価値観の変化が重なったことです。ただ、すでに存在していた不満や疲労が表面化したと言われています。

2021年以降(コロナ禍後)のアメリカでは、過去最高水準の自主退職、転職市場の活況、人材不足が起きました。これが「大退職時代(Great Resignation)」と呼ばれます。多くの人が、「本当に今の働き方でいいのか?」を見直し始めたからです。その後、「会社を辞めるほどではないが、仕事中心の生き方はやめたい」という人たちが現れ、「静かな退職」の議論につながっていったそうです。
アメリカでは長年、24時間働く起業家、常に成果を追う文化、「努力は正義」という考え方が強くありました。これを「ハッスルカルチャー(Hustle Culture)」と呼びます。市場主義や自由主義と結びついたジョブ型だからだと思います。解雇も自由ですよね。

しかし、コロナ禍による疲労、バーンアウト、メンタルヘルス問題を経験した人々の間で、「そこまで働かなくてもいいのでは?」という考え方が広がりました。その意味で「静かな退職」は、「ハッスルカルチャーへの反発」と言われています。(※2)

(※2)▼CNBC“How ‘quiet quitting’ became the next phase of the Great Resignation

ただ、アメリカももともと「契約した仕事をやればいい」という考え方が強い国です。そのため、「静かな退職」は「職務範囲に戻る」という意味合いがあります。

 

日本

日本は、村落の共同体と結びついたメンバーシップ型です。会社が村落の共同体のような存在で、村長を中心に共同体が村人の面倒を見るイメージに近いように思います。

年功序列も戦時中の賃金統制がルーツで、戦時中の日本では「生活費の要素のない賃金によって、国民が共産主義者になってしまうため、家族を扶養する必要のない若年層には高い賃金を与えず、逆に家族を扶養する壮年期以降に十分な賃金を払うべき」との考え(「生活給思想」と言います)があって、生活保障も会社が行う賃金体系です。(※3~4)

  • (※3)濱口 桂一郎『新しい労働社会 雇用システムの再構築へ』
    (岩波書店、2009年、 ISBN9784004311942)P119
  • (※4)濱口 桂一郎『若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす』
    (中央公論新社、2013年、 ISBN9784121504654)P87
  • (※5)濱口 桂一郎『ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機』
    (岩波書店、2021年、ISBN9784004318941)P143

欧米とは異なり、日本ではジョブが固定されておらず、ジョブチェンジの融通がききますし、(欧米のように、もともと職業能力が備わった人を空いたところに埋めるのではなく)会社が人材を育てる(職業訓練をする)前提の社会です。
日本の「静かな退職」は、評価への不満、心理的安全性の不足、ミスを恐れる文化、長時間労働への疲弊が比較的強く影響しているように見えます。そのため、日本の「静かな退職」は単なる「ワークライフバランス重視」ではなく、「組織への期待喪失のサイン」として捉えた方が実態に近いのかもしれません。
日本では長く残業をしてでもチームへ貢献すること、空気を読むこと、助け合うことが期待されてきました。そのため、日本で「静かな退職」が起きると、「以前やっていた協力をやめる」という形で見えやすいと言えます。

    日本では、

  • 失敗は目立つ
  • 成功は当たり前
  • 提案者が責任を負う
  • という傾向があります。そうすると、発言すると失敗するリスクがあるので発言しなくて安全という意識になりやすく、次第に「黙って最低限やる」という行動につながります。

 

アメリカの「静かな退職」が「人生の優先を見直すこと(ハッスルカルチャーへの反発)」だとすると、日本の「静かな退職」は「心理的撤退」に近い場合があります。

 

中国

統治システム「単位(ダンウェイ)」から市場競争へ移行した成果主義型の社会です。中国版「静かな退職」は、簡単に言うと「競争社会そのものへの降板宣言」です。

    中国版「静かな退職」と言われているのは

  • タンピン(Tang Ping):寝そべり、横たわる
    ⇒過酷な競争から降りる、最低限働いて生きる
  • ⇒「戦略的撤退」(自分で選んで距離を取る)

  • バイラン(Bai Lan):もうどうでもいい、腐るに任せる
    ⇒昇進競争を諦める、キャリア形成を諦める、将来への期待を持たない、頑張っても無駄だと思う
  • ⇒「希望の喪失」(諦めに近い)

    の2つです。(※いずれも、日本語には無い漢字を使うので、カタカナと英語表記にしました…。)

 

実は、時系列で見ると、中国のタンピン(Tang Ping)は2021年頃から言われ出して、アメリカで「静かな退職」が流行した(2022年)より早いです。(※6)

(※6)▼CNBC“China youth reject hustle culture; face unemployment, economic uncertainty

アメリカの「静かな退職」は、「仕事以外の人生を大事にしたい」という側面がありますが、中国のタンピン(Tang Ping)、バイラン(Bai Lan)には

  • 経済成長への不安
  • 若年失業
  • 昇進の難しさ
  • 住宅問題

などが背景にあり、「頑張っても報われない」という感覚がより強く含まれる場合があります。したがって、中国では、「静かな退職」というより、「競争社会からの静かな離脱」に近い現象として語られることがあるようです。

 

特にバイラン(Bai Lan)は深刻で、単なる働き方ではなく、「人生設計そのものへの諦め」に近い側面があります。(※7)

(※7)▼Business Standard“Bai Lan movement: Why Chinese youth are ‘lying flat’ and ‘letting it rot’

 
 

 

〈「静かな退職」って、結局なんなんだ?〉

ネコさんのイラスト ペルシャ猫さんのレポートはまだまだ続きますが…いったんここまでにして、はじめましょうか。「静かな退職とはなんぞや?」からでしょうかね。ペルシャ猫さんのレポートを読むと、国によっても感覚が全然違うようですし、日本国内でも、ネットで調べると定義もいろいろな気がします。正式な定義があるわけではなさそうね。

キリンさんのイラスト 今回のご相談があるまで「静かな退職」は、「不満があっても理由を言わないで退職すること」と思っていました。

ウグイスさんのイラスト 私もこの理解でしたので、言葉の理解のすり合わせが必要ですね

ネコさんのイラスト あぁ、「サイレントクレーマー」の退職者バージョンみたいな感じね。

シマエナガさんのイラスト 私は「静かな退職」と聞いて、静かに退職の準備を進めている人のことだと思っていました。

イタチさんのイラスト 私もです。「サイレント退職」と混じっていました。

シマエナガさんのイラスト さりげなく引継ぎ作業や引継ぎ資料を作っていつ辞めてもいいぞという準備をしている人のことかと。

キリンさんのイラスト そろりそろりと…

ネコさんのイラスト あぁ、日本語で文字だけ見たらそんな気もする…!

たぬきさんのイラスト 私は休職期間中の従業員が、知られずに復帰せず、辞めることだと思っていました。

ネコさんのイラスト うわぁ、また違うタイプ!

ウグイスさんのイラスト 退職しても大きな業務上の影響は少ない退職者予備軍とマスコミが命名した用語ですよね。

ネコさんのイラスト ニャア…でも辞めたくはないんですよね?

みみずくさんのイラスト 息を殺してひっそりと。生ける屍のイメージかな。

ネコさんのイラスト おお!でも、ネコもちょっとネガティブなイメージを持っていました。なんか「諦め」みたいなのが漂っている感じ?「どうせやってもムダ」とか「自分が何かしたところで、世の中が何か変わるわけじゃないし」「だったら最低限でいいや」みたいな。ペルシャ猫さんのレポートでも、日本の「静かな退職」は「心理的撤退」に近いとありましたね。

イタチさんのイラスト 実際退職していないのに「退職」って文字が入っているのが分かりにくいです。元が「Quiet Quitting」と言われて、ああ、なるほどと。

ネコさんのイラスト 確かに、「退職」ではないものね。最低限やることをやっているのに「退職」だなんて。変な言葉!

〈イメージの違い?偏見?価値観の問題?〉

みみずくさんのイラスト FIREと対照的ですね。

ネコさんのイラスト 働かずに好きなことをしてゆったり暮らすことを求めているわけではないと?

みみずくさんのイラスト 「静かな退職」と「FIRE」。陰と陽。後ろ向きと前向き。仕事に対する考え方も対極。それを分けているのは人生観なのか、仕事観なのか。

ネコさんのイラスト みみずくさんのイメージする「静かな退職」は「生ける屍」ですから、後ろ向きな感じですね…。

キリンさんのイラスト まだBさんは異動して日が浅いですよね?前のチームでの働きぶりも気になるので、この時点では後ろ向きというより、周りの様子をうかがっているタイミング…という解釈もあるのかなと思いました。

シマエナガさんのイラスト Bさんは前のチームで頑張りすぎて、業務を調整すること、最低限をこなすということを学んだのかもしれないですもんね。

ウグイスさんのイラスト ワークライフバランスとの兼ね合いもあるので、組織内での「静かな退職」状態と「死んだように生きる」とは違いますよ。

ネコさんのイラスト ワークライフバランスに応じて仕事の優先順位を下げるのは、「できることを精一杯している」だけで、「静かな退職」という感じはしないニャ。特に他にやることもないのに「できることをしない」感じが「静かな退職」なのかな、と思うのだけれど。ペルシャ猫さんのもそんな感じだったよね。

シマエナガさんのイラスト ドラマなどでの知識で恐縮なのですが、「窓際社員」という言葉もあったと思います。窓際社員は追いやられてしまった方、「静かな退職」は自分で選んでそうしているということでしょうか。

ネコさんのイラスト うーん…誰かに追いやられたわけではないよね。ということは自分で選んでそうしているのかな。でも、それによって評価が下がれば、窓際へ追いやられそうな…。

たぬきさんのイラスト 覇気がない感じが「静かな退職」と感じさせるのか…?覇気がないように見えるこの社員自身は、「イキイキと生きているつもりでいる」といったことはないのでしょうか。

イタチさんのイラスト そうですね…。目に見えないだけで、よくコミュニケーションをとってみたら、資格試験の勉強に命燃やしているとかもあるかも?その場合は…「静かな退職」なのでしょうか?キャリアップの目的かもしれないよな、と思いました。

ネコさんのイラスト それはキャリアチェンジを目指した仕事のセーブじゃないかな。

イタチさんのイラスト 中身が違っても、客観的に他人が見た時に「仕事のセーブ」と「静かな退職」と見え方が一緒じゃないか?と思いまして。

ネコさんのイラスト あぁ、なるほど。

みみずくさんのイラスト あんまりマイペースで職場で孤立しないといいのだけど。

ネコさんのイラスト 家庭や勉強ややりたいことなど、諸々の事情で「最低限しかこなせない」のか、「余力があるのに仕事の責任を避ける」のかでは、だいぶ感覚が違ってきますね…。

ウグイスさんのイラスト 「静かな退職」は、行動・結果なので、その背景を知らないと、対応って難しいですよね。

ネコさんのイラスト ネットの記事をいろいろ見ても定義は様々。共通部分をざっくりまとめると、「仕事に対して積極的に関わるのをやめるような、最低限やることをやればよしとするような働き方」のことっぽいので…背景にある理由の想定は様々なのかも。

みみずくさんのイラスト 確かに背景事情は一律じゃないはず。会社が対応できる余地はまだあるってことか。でも、家庭の事情のような特段の理由もなく、ただ後ろ向きな「静かな退職」なら、会社が無理やりその考えを変えさせることは難しいだろうね。これも多様性として認めるべきなんだろうけど。職場環境に悪影響を及ぼすようなことは避けたいですね。

〈対策すべきは…?ペルシャ猫さんのレポートの続きを読んでみよう〉

ネコさんのイラスト ペルシャ猫さんのレポートには続きがありまして。ここで続きを読みましょうか。

【ペルシャ猫さんからのレポート②】

<ペルシャ猫レポート(後編):対策が必要な傾向と具体策>

ペルシャ猫さんのイラスト
【各国の傾向を別の表現にすると…】

各国の「静かな退職」を具体例で比較すると、それぞれの思いと行動をまとめると以下のとおりになるかと思います。

ヨーロッパ
  • 思い:「契約範囲外はやらない」
  • 行動:有給は全消化する。残業しない。私生活を優先する。
  • ただし、これはヨーロッパでは「普通」であり、ヨーロッパで「静かな退職」と見なされないことも多い。ヨーロッパで「静かな退職」とされる場合は、そこにエンゲージメント低下が加わる。

 

アメリカ
  • 思い:「家族との時間を優先したい」
  • 行動:夜のメールは返さない。週末は働かない。契約以上の業務は引き受けない。
  • ただし、勤務時間中は高い成果を出す。

 

日本
  • 思い:「改善提案しても採用されない」「頑張っても評価されない」
  • 行動:会議で発言しない。改善提案しない。昇進試験を受けない

 

中国のタンピン(Tang Ping)
  • 思い:「競争しても報われない」
  • 行動:管理職を目指さない。高収入職を避ける。必要最低限働く。社会の競争レースから降りる。

 

中国のバイラン(Bai Lan)
  • 思い:「もう何をやっても無駄」(希望そのものを失っている状態に近い。)
  • 行動:勉強しない。転職活動もしない。将来設計もしない。
  • ⇒この中で対処が必要なのは、日本版と中国版です。ヨーロッパとアメリカの方は、あるべき働き方に近いイメージです。

 

【では、日本ではどうすべきか】

日本版の「静かな退職」は単なる怠慢ではなく、過度なストレス、評価への不満、職場での孤立、成長機会の欠如などに対する適応・自己防衛・バーンアウト回避行動として解釈できることが、近年の調査・研究で示唆されています。(※8~11)

    「静かな退職」をしている人に対して、心配だと思うのは、

  • 成長機会や新しい挑戦が減る可能性があること
  • チームから見ると協力不足と受け取られることがあること
  • 本人の不満の根本原因(評価、キャリア、上司との関係など)が解決されないまま残ること
  • 「無理はしない」と「無関心」の境界が曖昧になりやすいこと
  • あたりです。

 

もし誰かが「静かな退職」を選んでいるなら、「その人のやる気がない」と決めつけるよりも、「なぜそこまで会社と心の距離を置く必要があったのか」を考えるほうが建設的だと思います。過度なストレス、評価への不満、職場での孤立、成長機会の欠如などが背景にあるからです。
「(リゲインの「24時間働けますか」のCMのように)会社に人生を捧げるか、または静かに退くか」の二択ではなく、自分の健康や価値観を守りながら、納得感を持って働ける状態を目指すべきかと。
言い換えると、「なぜ頑張らないのか」を追及するのではなく、「何がその人の意欲を下げているのか」を理解することが重要だと思います。
「静かな退職」そのものを問題視するよりも、その背景にある、過度なストレス、評価への不満、職場での孤立、成長機会の欠如などを解消する方が、建設的な対応なのかもしれません。ヨーロッパ版、アメリカ版の「静かな退職」はむしろ健全な働き方だからです。

    アクションとしてはこんな感じでしょうか。

  1. 兆候を観察する
  2. 対話等を通じて原因を特定する
  3. 業務・評価・成長機会・マネジメントのどこに課題があるか整理する
  4. 小さな改善を試し、継続的にフォローする
  5. そして、健全な意味での「静かな退職」を受け入れるなら、賃金体系の見直しも必要になってくると思います。決められた仕事をずっとし続ける代わりに昇給はしない制度の導入です。

 

    誤解の無いように申し添えると、「どの国の制度が優れているか」ではなく、それぞれの国の歴史に適応した結果として今の制度があります。

  • ヨーロッパ:階級社会・身分社会を近代化する過程でジョブ型が成立
  • アメリカ:市場競争の中でジョブ型が発展
  • 日本:共同体文化と結びついてメンバーシップ型が成立
  • 中国:国家統治のための「単位(ダンウェイ)」システムから市場化へ移行中
    例えば、

  • ヨーロッパのワークライフバランス
  • アメリカのイノベーション>
  • 日本の品質やサービスの高さ
  • 中国のスピード感
  • は、それぞれの雇用システムや組織文化と強く結びついているでしょうから、「メンバーシップ型かジョブ型か」という二択ではなく、日本の文化は尊重しつつも、人々の生き方や価値観に応じた選択肢を増やすことが必要になっていると思います。

 
「静かな退職」も、社会や会社への不満が背景である場合(日本版や中国版)は別として、「仕事以外の生活も充実させたい」「無理をせずに長く働きたい」といった、健全なものなのであれば、選択肢に入れておくべきと考えます。結局それが、日本が抱える人手不足の問題の解消にもつながると思うからです。
 

 

〈働き方の背景に応じた対応を!〉

ネコさんのイラスト ペルシャ猫さんが言う通り、「静かな退職」、またはそう見える言動には様々な背景があるので、言動そのものを問題視するのではなく、背景に目を向けるべき、ということでしょうかね。まずは、一見「静かな退職」に見えたとしても、決めつけてかからず、事情には配慮が必要ということ。そして、背景に過度なストレス、評価への不満、職場での孤立、成長機会の欠如のようなネガティブなものがある「静かな退職」なら、それには対応・対策が必要ということで。

キリンさんのイラスト ペルシャ猫さんの前提を読んで、各国で同じ流れが生まれているならどうもできないのかも…と思ったりしましたが、会社単位では出来ることもありそうですね。

ネコさんのイラスト そうだよ!「頑張れば何でもできる」とは全く思わないけれど、何もしないうちから「できない」とは思わず、何か考えよう。

たぬきさんのイラスト 相談者が持っている営業社員のイメージが「覇気がないとダメ」と思い込んでいる点がまずい気がします。

ウグイスさんのイラスト 求められている最低限のラインが最近は高くなっているイメージがあります。

ネコさんのイラスト そうだね。上司が求めている「最低限」が高すぎれば、「最低限のことはやっている」の感覚にもすれ違いが生じそう。

イタチさんのイラスト 最低限ってなんでしょうね…?最低限が労務の提供というのであれば労働契約書に書かれている内容をクリアしたら良いわけですよね。しかし労務の提供をクリアしてもなお、上司が違和感やモチベーションの低下を感じるということは、実は仕事というものの本質が労働契約書上の労務の提供をすれば良いわけではないってことですかね。

ネコさんのイラスト 労働契約書自体がいいかげんなことも…?求人も、「何を、どこまでお任せします」と明示されておらず、「あなたの適性に応じて徐々にお任せしていきます」みたいな書き方のをよく見る気がする。

ウグイスさんのイラスト 経営層等、役職が高い人も「燃え尽き」を経験しているというアンケート結果をどこかで見たような…。燃え尽きによる「静かな退職」状態は、若い人よりむしろ上の世代で生じることもありそうです。

キリンさんのイラスト 「管理職罰ゲーム」のように、管理職になることを避ける傾向もありましたね。

ネコさんのイラスト 燃え尽きている管理職を見たら、まぁ、そんな気持ちにもなるよね…。

ウグイスさんのイラスト 燃え尽きたことがある人が高い役職についているということでもあるので、逆に言うと職位が高い人ほど乗り越えた経験が多いということかと。

ネコさんのイラスト んん?あぁ、一度燃え尽きても、乗り越えて出世する人はいるね。むしろ燃え尽きを経験しているくらいの方が、人としても成熟していそう。

たぬきさんのイラスト 燃え尽きているかは、本人に聞いてみないとわからないわけですが、Bさんはきちんと仕事をしているわけですし、少しくらい性格や態度が変わった人がいるのは世の中の常です。A課長は、あまり心配しないで「しばらく様子見」でもいいのでは?

イタチさんのイラスト そうですね。判断するには時期尚早な気もします。

たぬきさんのイラスト 覇気がない点は様子見でいいと思ったのですが、A課長のアドバイスを「実行していない」という点については、指導または「フォロー」が必要だと思います。

ネコさんのイラスト ん?人によって「やりやすいやり方」は様々なのに、あーしろ、こーしろと自分のやり方を押し付けられたら、反発してよけいにイヤになると思うー!

キリンさんのイラスト ネコさんと同じく、BさんがA課長のアドバイスを実行しないなら、一度細かく指示しないで仕事を任せて、Bさんの自主性を見ることも大切と思いました。

ウグイスさんのイラスト 指導または「フォロー」の一環として、伴走が必要かも。

シマエナガさんのイラスト たしかに、伴走があれば安心もできて頑張れそうな気がします。

イタチさんのイラスト 何にしろ、何を考えているかコミュニケーションも必要そうですよね。

たぬきさんのイラスト A課長は、「部下が自分に寄り添ってくる」のを当然とするような、上司と部下のイメージを強く持ちすぎている気がしました。

ネコさんのイラスト 部下が上司に寄り添うって…!

たぬきさんのイラスト 「飲みに行きましょう!」とか「残業してもぜんぜんOKです!」みたいな部下が好きなのかなと。

イタチさんのイラスト それも押し付けですよね。

シマエナガさんのイラスト プライベートな時間帯の飲み会などを断ったことを、「静かな退職」の判断材料としているような印象も、そこからなのかと思いました。

ネコさんのイラスト そういう上司なら、ただただ面倒くさいかも。信頼も尊敬もできないし、「この上司のようになろう」とは思えないニャ。
カゴメさんの、「なんとなく」で働いている後輩を先輩が畑に連れて行って一緒に作業をしたら、後輩が自らベランダでトマトを作るようになり、楽しさを見つけて仕事にも積極的になっていく…みたいなストーリー仕立てのCM、見たことない?あんな感じの、特に「何かしろ!」と言うわけではなく、きっかけだけをそっと作ってくれるような感じがいいな、と。

みみずくさんのイラスト 指示とかフォローとかでは心は動かないよね。FIREとは異なる人生観で動いているとすれば、アプローチがそもそも違うと思う。カゴメのCMのは近いと思ったな。

ウグイスさんのイラスト 異動して一か月で「静かな退職」と決め打ちするのは時期尚早で、マネージャーが別の方法でコミュニケーションするべきではないかな。

〈で…結局、何が問題で、どうしたらいいんだろう?〉

イタチさんのイラスト 結局何が「静かな退職」の問題点なのでしょうか?組織への影響?個人への影響?このBさんに当てはめた時、何が問題で、何を改善しなければならないのか?根本的に改善しなければならないのか?

ネコさんのイラスト 個人への影響という点では、キャリアの面で心配かな。ネコは、氷河期の就職だったし、「何かしないと、どうにかしないと、将来食べていけなくなる!」みたいな危機感で動いていると思う。いつ会社がどうかなるかわからないし、そのとき自分が何を身に付けられているか次第で次があるかないか決まるわけで。「経験」って大事じゃない?経験はお金では買えないし、どんな経験でも「活かせない経験はない!」と思うんだよね。だから、もし「静かな退職」をすることによって、積めるはずの経験を逃してしまっているのであれば、もったいないなぁと思う。代わりに別の経験を積んでいるなら、それはそれでいいのだけれど。

シマエナガさんのイラスト 「静かな退職」について調べていると「静かな退職」をされている方のインタビューにたどり着きました。「一生懸命働いていたが、結果として認められず、最低限のみをこなすことにした」や「思っていた仕事をさせてもらえず、このままここでは成長できないと判断したため、仕事は最低限にこなし、プライベートな時間では資格取得のための勉強をしている」とありました。いずれも最初は頑張ろうと思っていた方だと思います。実際に働いてみると、組織の方向性と合わなかったり、求められていると思っていたもののすれ違いにより、結果的に会社との心理的な距離を置く「静かな退職」に至っている人もいるという認識を持ちました。

ネコさんのイラスト 労働者の「一生懸命」を使い捨てするようなブラック企業は論外だけど、「思っていた仕事をさせてもらえない」」「このままでは成長できない」は、ちょっと早計なケースもありそう。キャリアカウンセリングの機会などがあれば、目先の仕事だけでなく、人生におけるキャリアの視点を持てるんじゃないかな。それによって「静かな退職」以外の働き方を検討する機会を得られるのではないかな、と思う。選択肢はいろいろあっていいよね。

〈決めつけずに、背景に応じた対応が大事!〉

ウグイスさんのイラスト 他の方の意見も拝見して、①「静かな退職は見てわかる範囲の行動」であり、背景が分からないこと、②諸々の事情で「最低限しかこなせない」のか、「余力があるのに仕事を避ける」かの内情は一見分からないこと、このあたりを意識することも大切だなと思いました。やり取りの中で燃え尽き(バーンアウト)の話題も出てきていましたが、本人の事情は聞いてみないと分からないのですよね。身近なところで、「そんなに重なる?!」みたいな苦労が重なった状態で仕事を頑張りすぎて燃え尽き、職場を退職した後も回復までにそこそこ時間を要した人がいます…。今は自身の心身を優先して「自分でできる限りの働き方」をしているようです。とはいえ、事情を知らない人からすれば、最低限の働き方に見えてしまうと思います。。

シマエナガさんのイラスト 私も今回調べてみて、家庭の事情(子育て、介護、持病など)がありながら精一杯お仕事をされている方のことが心配になりました。メディアにおいても「最低限やるべきことしかやらないこと」といったことが「静かな退職」と定義されていることがあったからです。そういう状況においても精一杯お仕事されている方は「静かな退職ではないですよ」と個人的には伝えたいです。

ウグイスさんのイラスト 結局どうしたらいいんだろう、というところには辿り着けていないのですが、本人に「この先どうしていきたいのか」「どう働いていきたいと思っているのか」を聞く機会があれば聞いて、アプローチやフォローが必要ならばしていくのが良いのかな、と思った次第です。上司と信頼関係が十分でないと、出てくる言葉も出てこないかな、とも思うため、普段からのコミュニケーションや職場の雰囲気も大切ですね。例えば、自分はそんなに上司に相談する機会がなくても、人が相談する場面をよく見ていたら、「聞いてもいい」「話してもいい」という雰囲気が醸成されていく気がします。一方、「静かな退職」と思われる本人の意識として、「いや、私はこういうキャリアでいきたいんで!(例:ここでは最低限やって、転職するつもりです!)」という、大学の仮面浪人みたいな感じだと、アプローチの仕方は変わると思いますが…。やはり、本事例においてはBさんの考えを聞いてみたいところですね。

みみずくさんのイラスト 「静かな退職」を「FIRE」と並べてみるとわかるのだが、結局は、「自分で」何らかの決断をしているのであり、それは「人生観」とか「労働観」に依るところが大きいと感じる。それを多様性として受容するのか、あるいは企業が想定している働き方を「逸脱」または「想定外」のものと捉えて、改善を図る/求める(会社側の考え方に引き寄せる)のか、で考えれば、後者はこのご時世、ちょっと違うんだろうなと。とすれば、会社はこうした働き方を多様性の1つとして、他の諸制度や職場の雰囲気などとのバランスを取りながら受け容れるべきではないか。そのためのマネジメントのあり方や評価・報酬制度も設けるべきで、職場環境の悪化や他の社員の不満などを緩和する工夫も必要になるはず。日本型労働慣行というより、欧米型のジョブ型に近い考え方になると思うけど、どちらかに寄せるというより、過渡期でもあり、メンバーシップの良さを残しつつ柔軟にというイメージかな。複雑な制度になるのだろうけど、そういうことも念頭に置いていくべき時期にきていると思う。

ネコさんのイラスト ニャー、今回は思った以上に難しいテーマだったニャ。

ウグイスさんのイラスト そうですね。でも、こうして皆で考えることが大事な気がします。

ネコさんのイラスト 私たちも良い勉強になったニャー!

「HRリスク」とは、職場における、「人」に関連するリスク全般のこと。組織の健全な運営や成長を阻害する全ての要因をさします。
職場のトラブル解決と、もっと力を発揮できる職場づくりに向けて、SPNの森の動物たちは今日も行く!

※このコーナーで扱って欲しい「お悩み」を、随時募集しております。

Back to Top