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危機管理トピックス

犯罪収益移転防止法におけるオンライン本人確認Q&A(金融庁)/サステナブルな企業価値創造のための対話研究会(SX研究会)(経産省)/防災気象情報の伝え方を改善(国交省)

2021.05.31
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更新日:2021年5月31日 新着25記事

テクノロジー・ビジネス・本人確認のイメージ画像

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 犯罪収益移転防止法におけるオンラインで完結可能な本人確認方法に関する金融機関向けQ&A
  • 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第10回) 議事次第
内閣府
  • 中央防災会議 第40回議事次第
  • 令和3年第7回経済財政諮問会議
  • 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(令和3年5月)
  • 第29回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ
厚生労働省
  • 第36回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年5月26日)
  • 第13回 「労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」資料
  • 外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第5回)会議資料
経済産業省
  • サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会(SX研究会)」を新たに立ち上げます
  • 「令和2年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を取りまとめました
  • 「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」を策定しました
総務省
  • モバイル・サービス合同会社に対する犯罪収益移転防止法違反に係る是正命令
  • 販売代理店の業務の適正性確保に向けた指導等の措置の実施に係る要請
  • 「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」改正案及び「eSIMサービスの促進に関するガイドライン」(案)に関する意見募集
国土交通省
  • 令和7年度までの社会資本整備の道しるべとなる計画策定~第5次「社会資本整備重点計画」を本日閣議決定~
  • 令和7年度までの交通政策の道しるべとなる計画策定~第2次「交通政策基本計画」を本日閣議決定~
  • 新たな「土地基本方針」の閣議決定及び土地に関する広報の実施~土地政策の推進のための新たな方針の決定と、土地に関する広報活動の強化~
  • 「水災害リスクを踏まえた防災まちづくりのガイドライン」を作成しました~気候変動により増大する水災害リスクを踏まえた防災まちづくりを推進します~
  • 「自らの命は自らが守る」社会の構築に向けて~防災気象情報の伝え方を改善~

~NEW~
警察庁 令和2年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)
  • 特殊詐欺の認知状況
    • 令和2年の特殊詐欺の認知件数(以下「総認知件数」という。)は13,550件(-3,301件、-19.6%)、被害額は285.2億円(-30.6億円、-9.7%)と、いずれも前年に比べて減少。特に被害額は過去最高となった平成26年(565.5億円)から約半減。しかしながら、依然として高齢者を中心に被害が高い水準で発生しており、深刻な情勢。
    • 被害は大都市圏に集中しており、東京の認知件数は2,896件(-919件)、神奈川1,773件(-1,020件)、千葉1,217件(-192件)、大阪1,107件(-702件)、兵庫1,027件(+369件)、埼玉1,026件(-433件)及び愛知569件(-49件)で、総認知件数に占めるこれら7都府県の合計認知件数の割合は71.0%と高水準。その一方で、総認知件数の減少分のうち、7都府県の減少分が占める割合は89.2%。
    • 1日当たりの被害額は、約7,790万円(前年は約8,650万円)。
    • 既遂1件当たりの被害額は220.2万円(+23.5万円、+11.9%)。
  • 主な手口別の認知状況
    • オレオレ詐欺に預貯金詐欺(前年まではオレオレ詐欺に包含)を合わせた認知件数は6,407件(-318件、-4.7%)、被害額は126.1億円(+8.5億円、+7.2%)と、認知件数は減少しているものの、被害額は増加し、総認知件数に占める割合は47.3%。また、キャッシュカード詐欺盗は、認知件数2,850件(-927件、-24.5%)、被害額42.6億円(-16.5億円、-27.8%)と、前年に比べていずれも減少し、総認知件数に占める割合は21.0%。
    • オレオレ詐欺、預貯金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗(以下3類型を合わせて「オレオレ型特殊詐欺」と総称する。)の認知件数は9,257件(-1,245件、-11.9%)、被害額は168.8億円(-8.0億円、-4.5%)で、総認知件数に占める割合は68.3%。
    • 架空料金請求詐欺は、認知件数2,010件(-1,523件、-43.1%)、被害額79.8億円(-18.8億円、-19.1%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は14.8%。
    • 前年増加した還付金詐欺は、認知件数1,804件(-571件、-24.0%)、被害額24.9億円(-5.2億円、-17.2%)と、減少に転じ、総認知件数に占める割合は13.3%。
    • オレオレ型特殊詐欺に、架空料金請求詐欺及び還付金詐欺を合わせた認知件数は13,071件、被害額は273.4億円で、総認知件数に占める割合は96.5%、被害額に占める割合は95.9%。
  • 主な被害金交付形態別の認知状況
    • キャッシュカード手交型の認知件数は4,317件(-1,035件、-19.3%)、被害額は63.7億円(+2.4億円、+3.9%)、キャッシュカード窃取型の認知件数は2,850件(-927件、-24.5%)、被害額は42.6億円(-16.5億円、-27.8%)と、いずれも減少。両交付形態を合わせた認知件数の総認知件数に占める割合は52.9%。
    • 現金手交型の認知件数は2,069件(-378件、-15.4%)、被害額は77.6億円(-10.2億円、-11.6%)と、いずれも減少。
    • キャッシュカード手交型、キャッシュカード窃取型及び現金手交型は、被害者と直接対面して犯行を敢行するものであり、これら3交付形態を合わせた認知件数の総認知件数に占める割合は68.2%。
    • 振込型の認知件数は2,798件(-310件、-10.0%)、被害額は50.3億円(+0.6億円、+1.2%)と、認知件数は減少するも、被害額は微増。
    • 現金送付型の認知件数は353件(-250件、-41.5%)、被害額は40.5億円(-5.6億円、-12.1%)と、いずれも減少しているものの、既遂1件当たりの被害額は約1,240万円と高額。
  • 電子マネー型の認知件数は1,133件(-355件、-23.9%)、被害額は9.9億円(-2.0億円、-16.8%)と、いずれも減少。
  • 高齢者(65歳以上)被害の認知件数は11,587件(-2,513件、-17.8%)で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合(高齢者率)は85.7%(+1.8ポイント)。65歳以上の高齢女性の被害認知件数は8,923件で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合は66.0%(+0.6ポイント)。
  • 被害者への欺罔手段として犯行の最初に用いられたツールは、電話が86.9%、電子メールが9.3%、はがき・封書等※2は3.7%と、電話による欺罔が大半を占めている。主な手口別では、オレオレ型特殊詐欺は約99%、還付金詐欺は100%が電話。その一方で、架空料金請求詐欺は電子メールが約6割、電話が約3割。
  • 特殊詐欺の被疑者による、電話の相手方に対して住所・氏名等の個人情報及び現金の保有状況等の犯行に資する情報を探る電話(以下「予兆電話」という。)の件数は98,472件で、月平均は8,206件(-1,942件、-19.1%)と減少。東京が30,975件と最も多く、次いで埼玉9,529件、千葉9,478件、神奈川7,469件、大阪5,467件、兵庫4,155件、愛知3,732件の順となっており、全国の予兆電話件数に占めるこれら7都府県の割合は71.9%。
  • 事前に被害者方に電話をかけ、資産状況等を聞き出した上で強盗を敢行するケースが11件(±0件)発生。東京5件、神奈川4件、千葉2件と首都圏に集中。
  • 被疑者が最初に詐称した身分・職業等(警察庁集計)
    • オレオレ型特殊詐欺では、親族詐称が20.8%、親族以外の詐称が79.2%であり、そのうち類型別は次のとおりである。
    • オレオレ詐欺は、親族詐称が84.7%、親族以外の詐称が15.3%で、親族詐称のうち、主な内訳は、子詐称が66.4%、孫詐称が20.3%。
    • 預貯金詐欺は、親族以外の詐称が100%で、主な内訳は自治体等職員詐称が36.0%、警察官詐称が31.6%、金融機関職員詐称が14.5%。
    • キャッシュカード詐欺盗は、親族以外の詐称が99.9%で、主な内訳は警察官詐称が52.8%、自治体等職員詐称が20.9%、百貨店等店員詐称が12.1%。
  • 新型コロナウイルス感染症に関連した特殊詐欺(警察庁集計)
    • 令和2年中の新型コロナウイルス感染症に関連した特殊詐欺の認知件数は55件(うち未遂2件)、被害額は約1億円と、総認知件数に占める割合は約0.4%。また、検挙件数は13件、検挙人員は16人。
    • (検挙事例)令和2年4月、70代の男性は、県職員を名乗る男から「コロナ関連の給付金が10万円ある。口座に振り込むので通帳等を用意して欲しい。職員を向かわせる。」等の電話を受けたが、不審に思った被害者からの通報により、被害者方付近を警戒中の警察官が被疑者(受け子)を発見、逮捕した。(栃木県)
  • 効果的な取締り等の推進
    • 令和2年の特殊詐欺の検挙件数は7,424件(+607件、+8.9%)、検挙人員(以下「総検挙人員」という。)は2,621人(-240人、-8.4%)で、検挙件数は過去最高を更新、総検挙人員は減少に転じるも高水準を維持。
    • 検挙率は54.8%(+14.3ポイント)と、ここ数年は上昇傾向。
    • 手口別では、前年、大幅に被害が増加した還付金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗に対して、検挙対策を強力に推進した結果、還付金詐欺の検挙件数は450件(+74件、+19.7%)、検挙人員は58人(+24人、+70.6%)、キャッシュカード詐欺盗の検挙件数は2,591件(+974件、+60.2%)、検挙人員は714人(+253人、+54.9%)と、大幅に増加。
    • 中枢被疑者※を60人(+1人、+1.7%)検挙。※犯行グループの中枢にいる主犯被疑者(グループリーダー及び首謀者等)をいう。
    • 被害者方付近に現れた受け子や出し子、それらの見張役を職務質問等により1,984人検挙(-18人、-0.9%)。
    • 預貯金口座や携帯電話の不正な売買等の特殊詐欺を助長する犯罪の検挙を推進し、3,556件(-117件)、2,710人(-69人)を検挙。
  • 暴力団構成員等の検挙人員
    • 暴力団構成員等の検挙人員は402人(-119人、-22.8%)で、総検挙人員に占める割合は15.3%。
    • 中枢被疑者の検挙人員(60人、+1人)に占める暴力団構成員等の検挙人員(割合)は27人(45.0%)であり、出し子・受け子等の指示役の検挙人員に占める暴力団構成員等の検挙人員(割合)は29人(46.0%)、リクルーターの検挙人員に占める暴力団構成員等の検挙人員(割合)は69人(34.2%)であるなど、暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与している実態がうかがわれる。このほか、現金回収・運搬役の検挙人員に占める暴力団構成員等の人員・割合は29人(26.4%)、道具調達役の検挙人員に占める暴力団構成員等の検挙人員・割合は15人(46.9%)となっている。
  • 少年の検挙人員
    • 少年の検挙人員は491人(-128人)で、総検挙人員に占める割合は18.7%。少年の検挙人員の79.4%が受け子で、検挙された受け子に占める割合は22.2%と、5人に1人が少年。
  • 外国人の検挙人員
    • 外国人の検挙人員は136人(+1人)で4年連続で増加。総検挙人員に占める割合は5.2%、外国人の検挙人員の63.2%が受け子。出し子は21人(+10人)と倍増。主な外国人被疑者の国籍別人員(割合)は、中国97人(71.3%)、韓国10人(7.4%)、ベトナム7人(5.1%)、タイ6人(4.4%)、ブラジル人6人(4.4%)。
  • 関係事業者と連携した被害の未然防止対策を推進
    • 金融機関等と連携した声掛けにより、10,903件(+142件)、約51.1億円(-21.5億円)の被害を防止(阻止率(※5)45.7%)。高齢者の高額払戻しに際しての警察への通報につき、金融機関との連携を強化。
    • キャッシュカード手交型とキャッシュカード窃取型への対策として、警察官や金融機関職員等を名乗りキャッシュカードを預かる又はすり替える手口の広報による被害防止活動を推進。また、被害拡大防止のため、金融機関と連携し、預貯金口座のモニタリングを強化する取組のほか、高齢者のATM引出限度額を少額とする取組を推進(令和2年12月末現在、35都府県、154金融機関)。全国規模の金融機関においても取組を実施。
    • 還付金詐欺対策として、金融機関と連携し、一定年数以上にわたってATMでの振込実績のない高齢者のATM振込限度額をゼロ円(又は極めて少額)とし、窓口に誘導して声掛け等を行う取組を推進(令和2年12月末現在、47都道府県・399金融機関)。全国規模の金融機関等においても取組を実施。
    • 電子マネー型への対策として、コンビニエンスストア、電子マネー発行会社等と連携し、電子マネー購入希望者への声掛け、チラシ等の啓発物品の配布、端末機の画面での注意喚起などの被害防止対策を推進。
    • 宅配事業者と連携し、過去に犯行に使用された被害金送付先のリストを活用した不審な宅配便の発見や警察への通報等の取組や、荷受け時の声掛け・確認等による注意喚起を推進。
  • 防犯指導の推進
    • 特殊詐欺等の捜査過程で押収した名簿を活用し、注意喚起を実施(19都府県でコールセンターによる注意喚起を実施。名簿登載者に加え、予兆電話多発地域の金融機関等にも注意喚起を実施)。
    • 犯人からの電話に出ないために、高齢者宅の固定電話を常に留守番電話に設定することなどの働き掛けを実施。
    • 自治体等と連携して、自動通話録音機の普及活動を推進(令和2年12月末現在、全国で約23万台分を確保)。全国防犯協会連合会と連携し、迷惑電話防止機能を有する機器の推奨を行う事業を実施。
  • 犯行ツール対策の推進
    • 主要な通信事業者に対し、犯行に利用された固定電話番号の利用停止及び新たな固定電話番号の提供拒否を要請する取組を推進。令和2年中は3,378件の電話番号が利用停止され、新たな固定電話番号の提供拒否要請を5件実施。
    • 犯行に利用された固定電話番号を提供した電話転送サービス事業者に対する報告徴収を7件、総務省に対し意見陳述を7件実施。なお、国家公安委員会が行った意見陳述を受け、令和2年中、総務大臣が電話転送サービス事業者に対して是正命令2件を発出。
    • 犯行に利用された携帯電話(MVNO※(仮想移動体通信事業者)が提供する携帯電話を含む)について、役務提供拒否に係る情報提供を推進(情報提供を実施)。※Mobile Virtual Network Operatorの略。自ら無線局を開設・運用せずに移動通信サービスを提供する電気通信事業者。
    • 犯行に利用された電話番号に対して、繰り返し架電して警告メッセージを流し、電話を事実上使用できなくする「警告電話事業」を継続実施。
  • 受け子等を募集するSNS上の書き込みへの対策
    • SNS上における受け子等募集の有害情報への対策として、Twitter利用者に対し特殊詐欺に加担しないよう呼び掛ける注意喚起の投稿(ツイート)や、実際に受け子等を募集していると認められるツイートに対して、返信機能(リプライ)を活用した警告等を実施。
    • (取組事例)特殊詐欺実行犯の募集と認められる隠語(「受け出し」「闇バイト」等)を使用した投稿(ツイート)に対し、返信機能(リプライ)により、「このツイートは、詐欺等の実行犯を募集する不適切な書き込みのおそれがあります。」等と表示させることで、投稿者や隠語を検索した利用者に対する警告を実施(令和2年12月末現在、12都道府県)。

~NEW~
内閣官房 気候変動対策推進のための有識者会議(第3回)議事次第
▼資料1 「地球温暖化対策計画及びパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略の論点について」(小泉大臣提出資料)
  • 新たな地球温暖化対策計画の論点
    • 地球温暖化対策の基本的方向
      • 2050年カーボンニュートラルに向けた経済社会の変革を踏まえて、地球温暖化対策を我が国の経済活性化、雇用創出、地域が抱える問題の解決にいかに結び付けることができるか。
      • 国民、国、地方公共団体、事業者といった全ての主体の意識の改革、行動変容をいかに進めるか。
    • 具体的な地球温暖化対策・施策
      • 中期目標の裏付けとなる主要な温室効果ガス削減対策として、省エネ深掘りや非化石エネルギーの導入拡大(再エネの主力電源化への取組等)をいかに進めるか。
      • 政府など公共部門による率先実行として、民間部門を牽引する上でどのような取組を行うべきか。
      • 脱炭素型ライフスタイルへの転換や脱炭素型地方創生のための新たな取組はどうあるべきか。
    • 世界の脱炭素化を牽引するため、海外での排出削減をどのように進めるべきか。
  • 長期戦略の見直しに当たっての論点
    1. 見直しに当たっては、例えば、以下の観点を踏まえるべきではないか。
      • 「2050年カーボンニュートラル」は「2050年までに80%削減」「(脱炭素社会を)今世紀後半のできるだけ早期に実現」という従来の政府方針と比べて大幅な前倒しであり、その実現に向けて大胆に産業構造や経済社会の変革を進める必要があり、政策の予見性を高め、あらゆる主体の取組・投資やイノベーションを加速させることが重要である。
      • 世界全体が新型コロナウイルス感染症という歴史的危機に直面する中で、コロナ危機により世の中は大きく変化しており、気候変動・エネルギー対策もこの変化に対応する必要がある。コロナ前の社会に戻るのではなく、持続可能で強靱な社会システムへの変革を実現することが求められている。
    2. エネルギー分野における2050年に向けた道筋の議論、国民・生活者目線に立った地域の脱炭素化に関する議論等が進んでいるが、これらを踏まえてどのように長期戦略を見直すべきか。
    3. 国内外へのわかりやすい発信という観点から、どのように見直すべきか。
  • パリ協定の基本的考え方
    • 長期目標(2℃目標、1.5℃努力目標)
      • 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求。
      • 出来る限り早期に世界の温室効果ガスの排出量をピークアウトし、今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出と吸収源による除去の均衡を達成。
      • 先進国、途上国を問わず、特定年次に向けての世界の削減数値目標は合意されなかった。
    • プレッジ&レビュー
      • 主要排出国を含む全ての国が自国の国情に合わせ、温室効果ガス削減目標(NDC:Nationally Determined Contribution)を策定し、5年ごとに条約事務局に提出・更新。
      • 各国は目標の達成に向けた進捗状況に関する情報を定期的に提供。提出された情報は、専門家によるレビューを受ける。
      • 先進国、途上国を問わず、特定の排出許容量をトップダウンで決める方式は採用されなかった。また、目標が未達の場合にクレジットを購入してオフセットするペナルティも導入されなかった。
    • 長期低排出発展戦略
      • 全ての締約国は、長期的な温室効果ガスの低排出型の発展のための戦略を作成し、及び通報するよう努力すべきであるとされた。
      • COP21決定において、長期低排出発展戦略について、2020年までの提出が招請されている。
▼資料2 「エネルギー基本計画の検討状況について」(梶山大臣提出資料)
  • エネルギー起源CO2は温室効果ガスの8割以上を占め、気候変動対策を進める上ではエネルギー分野が重要。
  • エネルギー基本計画は、エネルギー政策基本法に基づき、エネルギー政策の基本的な方針を定めるもの。将来のエネルギー需給構造(エネルギーミックス)についても、これに合わせて策定する。
  • 気候変動問題への対応については、成長戦略として取り組み、経済と環境の好循環を生み出していくことが重要。同時に、エネルギーは全ての社会・経済活動を支える土台であり、2050年カーボンニュートラルや2030年の新たな削減目標を目指すにあたっても、我が国の国際競争力維持や国民生活の観点から、3E+S(安全性を前提に、エネルギーの安定供給、経済効率性の向上、環境適合)のバランスをとりながら進めていく必要がある。
  • 現在進めているエネルギー基本計画の見直しに向け、2050年に向けた課題と対応や、2050年を見据えた2030年の政策のあり方をとりまとめる
  • カーボンニュートラルの実現に向けては、電力の脱炭素化は大前提。そのため、再エネは、最大限導入する。原子力は、可能な限り依存度は低減しつつも、引き続き最大限活用。水素、アンモニア、CCUS/カーボンリサイクルなど新たな選択肢を追求していく。
  • 産業・民生・運輸(非電力)部門では、電化が中心。熱需要には、水素化やCO2回収で対応。最終的に脱炭素化が困難な領域では、DACCSやBECCSなど炭素除去技術による対応も求められる。
  • こうした対応を進めるため、イノベーションを具体化し、気候変動問題への対応を成長戦略につなげるため、昨年12月、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定。現在、その具体化も実施中。
  • カーボンニュートラルへの道筋は、技術革新や社会変化など不確実性がある中、目指すべき方向性、ビジョンとして捉える
  • 2050年カーボンニュートラルへの道筋
    • 2050年カーボンニュートラルの実現への道筋は、技術の視点や社会状況など様々な不確実性がある中にあって、目指すべき方向性やビジョンとして捉えるべきだが、技術開発の進展や実際の削減状況等を踏まえてどのようにフォローアップしていくべきか。
    • 脱炭素イノベーションの推進
    • 2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、水素還元製鉄や二酸化炭素の回収・除去技術などのイノベーションが不可欠であるが、イノベーションの実現、社会実装に向け、民間事業者・政府としてどのような取組が求められるか。
    • イノベーションの実現や社会実装に向けては、政策支援や制度整備など様々な取組が必要となるが、それをどのように我が国の競争力強化につなげられるか。
    • 脱炭素イノベーションで世界をリードするために、国際連携や、我が国の技術で世界の脱炭素に向けた取組をどのように後押ししていくか
  • 2050年を見据えた2030年の政策のあり方(政策の方向性)
    • 「温室効果ガス排出量を2030年度に2013年度比46%削減し、さらに50%の高みを目指して挑戦を続ける」という新たな削減目標の実現に向けては、3E+Sのバランスをとりながら、(1)徹底した省エネの深掘りと②非化石エネルギーの導入拡大に取り組む。
    • 2030年に向けては、現状の延長で想定できる技術が中心であり、具体的な道筋をしっかり検討する
      1. 省エネの深掘り
        • 産業、業務、家庭、運輸の各部門における省エネを更に追求していく上で、省エネ法などの規制的措置と支援的措置のバランスをどのように取りながら進めていくべきか。
      2. 非化石エネルギーの導入拡大
        • 再エネの主力電源への取組
          • 今後、再エネを主力電源として導入拡大していく上では、景観や自然環境保護なども踏まえ、地域と共生した形で進める必要が増しており、どのように自治体の協力を得ながら適地の確保を進めていくべきか。
          • 安定供給を確保しつつ再エネの導入拡大を進める上では、一定の国民負担増は不可避であるが、産業競争力を損なわないよう安価なエネルギー供給を確保していく上では、どのような取組が必要となるか。
        • 原子力政策の再構築
          • 安全最優先での再稼働を進め国民の信頼回復に努めるとともに、さらなる安全性向上をどのように進めるべきか。
        • 火力発電の今後のあり方
          • 安定供給を大前提に、できる限り電源構成に占める火力発電比率を引き下げていく中で、必要な供給力・調整力を維持するためにはどのような取組が必要となるか

~NEW~
農林水産省 令和2年度 食料・農業・農村白書
▼概要版
  • 農林水産物・食品の輸出の新たな戦略
    • 2020年12月に農林水産業・地域の活力創造本部において、「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」を決定
    • 海外市場で求められる量・価格・品質・規格の産品を継続的に生産・販売するマーケットインの体制を整備
    • 戦略では以下の3つの基本的な考え方に基づき政策を立案・実行
  • みどりの食料システム戦略~食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現~
    • SDGsやカーボンニュートラルへの対応が重視されており、持続可能な食料システムの構築が急務
    • 生産力の向上と持続性の両立をイノベーションで実現する「みどりの食料システム戦略」を2021年3月に中間取りまとめ(5月までに戦略を策定予定)
    • 革新的な技術を開発し、社会実装することにより、2050年までに農林水産業のCO2ゼロエミッション化等を実現
    • 実現に向けて食料システムを構成する農林漁業者・食品企業・消費者による行動変容を後押し
    • アジアモンスーン地域の持続的な食料システムのモデルとして打ち出し、国際ルールメーキングに参画(国連食料システムサミット(2021年9月)など)
  • 2050年までに目指す姿
    • 農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現
    • 低リスク農薬への転換、総合的な病害虫管理体系の確立・普及に加え、ネオニコチノイド系を含む従来の殺虫剤に代わる新規農薬等の開発により化学農薬の使用量(リスク換算)を50%低減
    • 輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減
    • 耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ha)に拡大
    • 2030年までに食品製造業の労働生産性を最低3割向上
    • 2030年までに食品企業における持続可能性に配慮した輸入原材料調達の実現を目指す
    • エリートツリー等を林業用苗木の9割以上に拡大
    • ニホンウナギ、クロマグロ等の養殖において人工種苗比率100%を実現
  • 令和元(2019)年度スマート農業実証プロジェクト
    • 2019年度から、ロボット、AI、IoT等の先端技術を用いるスマート農業について、生産現場に導入して実際の経営に与える効果の分析・情報発信を行うスマート農業実証プロジェクトを実施
    • 水田作における実証の中間報告では、ロボットトラクタやドローンの導入等による労働時間の削減効果等を確認
    • 実証プロジェクトを通じて明らかになった課題を踏まえ、2020年10月、今後5年間に展開する政策の方向性を示す「スマート農業推進総合パッケージ」を策定(2021年2月改訂)
    • 今後、シェアリング等の農業支援サービスによる初期投資の軽減方策の検証、スマート農業技術の導入効果の情報提供の充実等を実施
  • 農業・食関連産業でのデジタル変革の推進
    • 農業や食関連産業分野でも、デジタル技術の活用による変革に向けた取組が進展
    • データを活用した農業を行っている農業経営体は現段階では全体の2割に満たない
    • 農村地域では、鳥獣被害対策、農業基盤整備等にデジタル技術を活用する取組が進みつつある段階
    • 流通・消費分野では、デジタル技術を活用して、川上から川下までデータの共有を可能とすることが求められている
    • 食品製造業、外食・中食産業では、労働力不足に対応するため、AIやロボット技術による自動化等、様々な場面での先端技術の活用が期待されている
    • 農業、食関連産業のDXを進めるため、2021年3月「農業DX構想」を取りまとめ
  • 鳥インフルエンザ、豚熱への対応
    • 2020年11月、香川県で約3年ぶりとなる高病原性鳥インフルエンザが発生し、2021年3月末時点で18県の農場において52例の発生を確認。これまでにおよそ987万羽の殺処分を実施
    • 鳥インフルエンザの発生を受け、全国の都道府県に対して、(1)飼養衛生管理の一斉点検、(2)全国一斉の緊急消毒、(3)緊急的な防疫演習の実施を行うように通知
    • 豚熱は2020年度に5県の飼養農場で5例発生
    • 豚熱対策として、(1)農場防護柵の設置やエコフィードの加熱基準の引上げ等の飼養衛生管理の徹底、(2)捕獲強化や経口ワクチン散布等の野生イノシシ対策、(3)飼養豚への予防的ワクチンの接種を実施
  • 植物新品種の海外流出対策
    • 植物の新品種は、我が国農業の今後の発展を支える重要な知的財産であり、輸出品目として海外でも高く評価
    • 海外でのブランド化に向けて、育成者権者が海外への登録品種の持出しを制限できる改正種苗法が成立。海外流出が防止され、今後、我が国の新品種を活用した海外展開が進むことを期待
  • フードテックの現状
    • 生産から流通・加工、外食、消費等へとつながる食分野の新しい技術及びその技術を活用したビジネスモデル「フードテック」への関心が世界的に増加。世界の投資額は年間2兆円超と推計され、近年急激に増加
    • 我が国では、代替肉や、健康・栄養に配慮した食品、人手不足や個人の嗜好に対応する調理ロボット、昆虫を活用した環境負荷の低減に資する食料・飼料・肥料の生産等の分野で、スタートアップ企業等が事業展開、研究開発を実施
    • 2020年10月に立ち上がったフードテック官民協議会の活動等を通じ、健康・栄養に配慮した食品、昆虫を活用した飼料・肥料生産等の日本の強みを生かしたフードテックの新たな市場創出を推進
  • 新型コロナウイルス感染症による影響と対応
    1. 外食への影響
      • 2020年2月以降、学校の休校や外出自粛、インバウンド需要の減少等により、外食事業者を始め、関連産業に大きな影響が発生
      • 2020年3月以降、前年と比べ、外食への支出額は大きく減少。生鮮食品への支出額は増加し高止まり
      • 一時的に米やパスタ、冷凍食品等がスーパーで欠品又は品薄になったものの、食品製造事業者の生産継続や、流通事業者の休日配送等により、食料は安定的に供給
      • 2020年の外食市場全体の売上高は前年と比べ15%減となり、1994年の調査開始以来最大の下げ幅
      • テイクアウト・デリバリー需要に支えられたファストフードは3.7%減と踏みとどまった一方で、パブ・居酒屋では50%減と大きなダメージ
      • 2021年1月に緊急事態宣言が再発出。感染症の影響を受けた全国の倒産件数は、2021年3月末時点で飲食店が205件で最も多く、食品卸も62件と5番目
    2. 家庭内消費の増加
      • 2020年3月以降、長期保存が可能な米、パスタ、小麦粉、バター、冷凍調理食品等の加工品や生鮮肉等の生鮮品への支出額が増加
      • 2020年7月公表の調査によれば、「自宅での食事機会が増えた」、「料理機会が増えた」と回答した人は、それぞれ5割程度
    3. 食料、農産物需要をめぐる新たな動き
      • 消費者の利用増加により、外食事業者のテイクアウトやフードデリバリーへの展開が増加
      • 消費者の1割が、販路を失った国内生産者から農水産物を購入する「応援消費」を実施と回答
      • 食品産業の3割が国内産地との取引を増やしたいと回答。理由としては、販売先の国産志向の高まりが5割。課題としては、価格が7割
      • 外食用に販売予定であった未利用食品を、フードバンクを通じて「こども食堂」等に提供
      • ロシアなど穀物の輸出国等の19か国が感染症の拡大が原因で輸出規制を実施
      • 2021年1月に開催されたWTO非公式閣僚会合等の国際会議で輸出規制の抑制や規律の明確化等を提案するなど食料安全保障への影響回避に向けた国際協調を推進
      • 輸出規制を実施した国の多くはその後、輸出規制を解除。引き続き、不当な輸出規制が導入されないよう各国の動向を注視
  • 市場価格や販路への影響
    • 感染症の拡大を受け、和牛肉、魚介類や花きを中心に卸売価格等に影響
    • 和牛肉の卸売価格は2020年4月に大幅に低下。5月以降は回復基調で推移
    • 給食用や業務用の牛乳乳製品の需要減少に伴い、長期保存できるバターや脱脂粉乳に加工する生乳の量が増加
    • 切り花の卸売価格は2020年3~5月にかけて低下。家庭用需要の増加等により6月以降は回復するも1月の緊急事態宣言以降、再度低下
    • 米の販売数量は2020年4月以降、中食・外食向けを中心として減少
    • 2020年7月の調査で、農業者の半数が売上高にマイナスの影響があると回答(2021年1月の調査では6割強に上昇)。理由としては、単価・相場の下落が最も多く、次いで既往販路の縮小や直営所などの休業等
  • 販路の維持、拡大に向けた動き
    • 生産者・観光農園がオンラインを活用し、消費者へ直接販売や、外食用から小売・加工用への販路変更に取り組み、販路を維持、拡大
    • 農林水産物・食品の輸出額は、2020年6月まで減少傾向であったものの、7月以降は対前年同月比で増加。主に家庭内消費が多い鶏卵、ぶどう等が増加
  • 入国制限による影響
    • 外国人の入国制限により、2020年4月から来日を予定していた外国人材の入国者数が大幅に減少
    • 人手不足による農業分野への影響が懸念されたが、他産業からの代替人材の確保等により対応
  • 労働力確保に向けた動き
    • 宿泊業等の他産業とのマッチングによる労働力の確保、農福連携やスマート農業機械の導入による労働力不足への対応等の取組が展開

~NEW~
消費者庁 消費生活用製品の重大製品事故:リコール製品で火災等(ノートパソコン)
  • 消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表します。
  • 特記事項あり:ACアダプター(ノートパソコン用)(「ノートパソコン」として公表)に関する事故(リコール対象製品)について
    • 株式会社東芝(現Dynabook株式会社(法人番号:8010601034867))が輸入したノートパソコン及び周辺を焼損する火災が発生しました。当該事故の原因は、現在、調査中です。
    • 同社は、当該製品を含む対象製品について、当該製品に付属の一部のACアダプターについて、製造上の不具合により、DCプラグ部の絶縁性能が低下し、異常発熱して発火に至るおそれがあることから、事故の再発防止を図るため、2018年(平成30年)6月22日にウェブサイトへ情報掲載を行うとともに、同月25日に新聞社告を行い、対象ACアダプターをお持ちの方に対し、無償部品交換を実施しています。
    • なお、今般報告のあった当該製品(管理番号:A202100147)の事故の原因が、上記のリコール事象によるものかどうかは現時点では不明です。
    • 対象製品をお持ちで、まだ事業者の行う無償部品交換を受けていない方は、直ちにパソコン本体及びコンセントからACアダプターを外して使用を中止し、速やかに下記問合せ先まで御連絡ください。
  • ガス機器・石油機器に関する事故2件(うちガストーチ1件、ガス栓(都市ガス用)1件)
  • ガス機器・石油機器以外の製品に関する事故であって、製品起因が疑われる事故1件(うちノートパソコン1件)
  • ガス機器・石油機器以外の製品に関する事故であって、製品起因か否かが特定できていない事故13件(うち扇風機1件、電子レンジ2件、照明器具2件、LEDランプ(電球型)1件、延長コード(USB充電ポート付)1件、延長コード2件、車いす1件、アルカリ乾電池1件、電気洗濯機1件、携帯型電気冷温庫1件)

~NEW~
国民生活センター 遊戯施設のトランポリン 骨折するおそれも
  • 内容
    • 事例1:遊戯施設のトランポリンで遊んでいるときに、着地に失敗して左手をついたところ、左腕の肘付近を骨折し手術を行った。(当事者:12歳 男児)
    • 事例2:遊戯施設のトランポリンで遊んでいたところ、小学生とぶつかって転び、手をついた際に指を骨折した。(当事者:4歳 女児)
  • ひとことアドバイス
    • 遊戯施設のトランポリンは、利用規約や注意事項・禁止事項を確認し、ルールを守って遊びましょう。
    • 初めてトランポリンを利用するときは、いきなり高く跳ばず、安定した姿勢で跳べる低めの高さから徐々に体を慣らすことが大切です。
    • 高いジャンプほど、着地したときの衝撃が大きくなり、けがの程度が重くなります。高く跳べるトランポリンは、危険性を理解して、無理のない範囲で使用しましょう。
    • 1つのトランポリンは1人ずつ使用しましょう。同時に2人以上で使用すると衝突するなどのおそれがあります。

~NEW~
金融庁 犯罪収益移転防止法におけるオンラインで完結可能な本人確認方法に関する金融機関向けQ&A
  • 「写真付き本人確認書類の画像」+「容貌の画像」を用いた本人確認方法とはどのようなものか。
    • 顧客から、「写真付き本人確認書類に組み込まれたICチップ情報」(氏名、住居、生年月日及び写真の情報)の送信を受けるとともに、特定事業者が提供するソフトウェアにより、当該ソフトウェアを使用して撮影された顧客の「容貌の画像」の送信を受ける方法です。
  • 「本人確認書類の画像又はICチップ情報」+「銀行等への顧客情報の照会」を用いた本人確認方法とはどのようなものか。
    • 顧客から、特定事業者が提供するソフトウェアを使用して、1枚に限り発行された本人確認書類の画像(氏名、住居及び生年月日並びに本人確認書類の「厚みその他の特徴」を確認できるもの)又はICチップ情報(氏名、住居及び生年月日の情報)の送信を受けるとともに、他の特定事業者(銀行等又はクレジットカード会社)が顧客から顧客しか知りえない事項等(ID・パスワード等)の申告を受けることにより、預貯金口座やクレジットカードの契約時の確認記録に記録されている顧客と同一であることを確認していることを確認する方法です。
  • 「登記情報提供サービスの登記情報」を用いた本人確認方法とはどのようなものか。
    • 顧客である法人の取引担当者から、「電子認証登記所発行の電子証明書」(商業登記法の規定に基づき登記官が作成した電子証明書)及び「当該電子証明書により確認される電子署名が行われた特定取引等に関する情報」の送信を受ける方法です。なお、法人の取引担当者自身の取引時確認を併せて行う必要があります。
  • 特定事業者が提供するソフトウェア」に求められる性能等はどのようなもので、何らかの限定はあるのか。それらについては法令には規定されていないという理解でよいか。
    • 当該ソフトウェアの性能等は、本人特定事項の確認のために必要な要素を満たしていると合理的に認められるものであることが求められます。例えば、他人へのなりすまし等の防止が特定事業者に求められるのは当然であるところ、画像が加工されないことを確実に担保するため、ソフトウェアは画像の加工機能がないものでなければなりません。必要な要素を性能等が満たしていないと認められれば、特定事業者が監督上の措置の対象となり得ます。
  • 平成30年11月30日付けパブリックコメント回答7に「画像が加工されないことを確実に担保するため、ソフトウェアは画像の加工機能がないものでなければなりません」とあるが、特定事業者側に限り画像の確認・保存の利便性のために必要な加工を行える機能を当該ソフトウェアに搭載することは認められるか。
    • 認められます。平成30年11月30日付けパブリックコメント回答7において、「画像の加工機能がないもの」を求めている趣旨は、顧客による不正(偽り・なりすまし)を防ぐものであり、特定事業者がその便宜のために行う加工を禁止するものではありません。すなわち、画像の確認や記録保存のために必要な範囲において、特定事業者による加工が可能な機能があるソフトウェアであっても、顧客が画像の加工を行えない仕様であれば許容されます。ただし、画像の加工を行う場合には、平成30年11月30日付けパブリックコメント回答No.17において求めるように、撮影内容が十分に判別できないようにならないようにする必要があります。
  • 「画像情報」は、条文記載の「特徴」を確認できるのであれば、白黒のものや解像度の粗いものでも許容されるという理解でよいか。
    • 白黒画像はカラー画像に比べて本人特定事項の確認のために得られる情報量が少なく、本人特定事項の確認に支障が生じることから、認められません。また、解像度についても、本人特定事項の確認に支障が生じる場合は認められません。
  • 本人確認用画像情報は、静止画像でもビデオ通話のような動画でもよいのか。動画でもよいとすれば、動画の撮影時間、音声等に基準はあるのか。
    • 本人確認用画像情報は、静止画に限らず動画も認められます。動画の場合には、撮影時間及び音声の制限はありません。なお、本人確認用画像情報は静止画であるか動画であるかにかかわらず、本人特定事項の確認時に撮影されたものである必要があることから、あらかじめ撮影された録画ファイルは認められません。
  • 本人確認用画像情報の撮影から送信までの時間について、法文上「直ちに」や「速やかに」といった文言がないが、送信直前に撮影されたものでなくても、送信前の一定期間内に撮影して保存してあったデータなら許容されるのか。例えば、本人確認用画像情報の撮影後、その送信前にいったん手続きが中断された場合、手続きの再開後に当該本人確認用画像情報を送信することは許容されるのか、それとも新たに撮影させる必要があるのか。
    • 撮影後に手続を一時中断して送信すると、画像を加工されるおそれが高まるほか、本人特定事項の確認の時点における顧客等の実在性の確認等の観点からも支障があると考えられます。特定事業者は、送信を受ける画像が当該特定事業者の提供するソフトウェアを使用して撮影をさせたものであることを担保するため、撮影させた画像を加工可能な状態に置くことなく送信させることが求められます。そのため、撮影後直ちに送信させることが求められます。
  • 規則第6条第1項第1号ホの方法を用いて取引時確認をした顧客について、2回目以降の取引において、既に取引時確認を行っていることを確認するに当たり、ID・パスワードではなく、その「容貌」が取引時確認の確認記録として保存されている「容貌」と同一であることを確認することとした場合、規則第16条に該当することとなるか。
    • 御質問にあります容貌によって、顧客等が確認記録に記録されている顧客等と同一であることが示されるのであれば、規則第16条第1項第2号として利用することは可能です。
  • 令和2年2月4日以降の申請により発行された日本国旅券は、オンラインで完結可能な本人確認方法の本人確認書類として使うことができるか。
    • 規則第6条第1項第1号ホ及びトにおいて本人確認用画像情報の送信を受ける場合:
  • 令和2年2月4日以降の申請により発行された日本国旅券については、所持人記入欄がないため、旅券のほかに住居の記載がある他の本人確認書類等の送付等を受ける必要があります。
    • 規則第6条第1項第1号ヘ及びトにおいてICチップ情報の送信を受ける場合:特定事業者はICチップ情報が真正なものであることの確認が求められます。具体的には、秘密鍵で暗号化されている当該ICチップ情報に係る事項の送信を受け、これを公開鍵で復号することによって真正なものであることを確かめることが考えられます。日本国旅券のICチップは当該確認ができないため使うことができません。
  • 本人確認書類の真正性の確認は、サンプルチェックでも認められるか。
    • 認められません。
  • 「厚みその他の特徴」の確認による本人確認書類の真正性の確認は、機械で行う方が精度高く行える場合でも目視の確認が必要なのか。また、顧客等の容貌と写真付き本人確認書類の写真との照合を専ら機械により行う場合、当該機械が有すべき性能についての基準はいかなるものか。
    • 規則第6条第1項第1号ホ、へ及びトについては、本人確認書類が真正なものであることの確認は、目視によるものに限らず、専ら機械(十分な性能を有しているものに限ります。)を利用して行うことも許容されます。また、当該機械が有すべき性能について、具体的な基準は定めておりませんが、十分な性能を有することについて、特定事業者が責任を持って確認する必要があります。
  • 規則第6条第1項第1号ホ及びトにおいて、本人確認書類の厚み以外に、目視により確認すべき項目はあるか。
    • ホにおいては、顧客の容貌の画像と本人確認書類に貼り付けられた写真の人物が同一であるかを確認する必要があります。なお、十分な性能を有した機械であれば目視により確認する方法に限定されておりません。
  • 顔照合の認証率、照合率(他人受入率、本人拒否率等)の基準はあるか。
    • 特定事業者は、本人確認書類の真正性を確認するため、本人確認書類や本人特定事項の確認時に撮影された顧客の容貌の画像を専ら機械を利用して確認することも許容されており、その機械においては十分な性能を有しているものに限りますが、具体的な方法や基準は特定事業者が判断することとなりますので、一律に数値をお示しすることは困難です。必要に応じて金融庁まで御相談ください。
  • 本人確認書類の真正性の確認は、取引の性質に応じて合理的な期間内に行われればよく、それができない場合には犯収法第5条の免責規定によって取引を中断するのであり、顔写真の照合と同時に行われなかったり、銀行口座開設後に行われたからといって、問題はないという理解でよいか。
    • 本人確認用画像情報の送信を受けると同時にその内容を確認しなければならないわけではありませんが、特定取引を行うに際して確認されたと合理的に認められる期間内に確認を行う必要があります。なお、銀行口座開設後に本人確認書類の真正性の確認ができなかった場合には、特定事業者の責任となる可能性があると考えられます。
  • 「特定事業者が提供するソフトウェア」をいかに開発しても、事前に撮影した画像を使用するなどの不正を全て防止することは困難である。この点について、何らかの不正防止策を行う必要があると考えられるが、かかる不正防止策については特定事業者において合理的な方法を検討の上実施するということで問題ないか。例えば、何らかの数字を記載した紙と一緒に撮影させることや、ランダムに指示される事項(例えば、本人確認書類の右端に人差し指を重ねることや、容貌の撮影の際に一定の姿勢を取らせること)を顧客に行わせ、これとともに撮影するといったことが考えられるが、これらを適切に実施すれば法令上問題ないと考えてよいか。また、IDセルフィー(容貌と本人確認書類を同時に撮影する方法)により本人確認を行う場合、当該撮影に際して上述したような不正防止策を講じていれば、1枚の写真で、容貌と本人確認書類の両者について、本人特定事項の確認時に撮影されたものであることを確認したと認められるか。
    • 特定事業者は、本人特定事項の確認時に、容貌や本人確認書類の実物を撮影させてその送信を受ける必要があることから、容貌や本人確認書類の実物を事前に撮影した写真を撮影させてその画像の送信を受けることは認められません。特定事業者は、この点を確認できるようにする必要があります。その具体的な方法は特定事業者が判断することとなりますが、例えば、本人特定事項の確認時にランダムな数字等を顧客等に示し、一定時間内に顧客等に当該数字等を記した紙と一緒に容貌や本人確認書類を撮影させて直ちに送信を受けることなどが考えられます。IDセルフィーについては、容貌と本人確認書類を一緒に撮影させることは認められますが、当該撮影に係る画像が、本人確認書類に記載されている氏名、住居及び生年月日並びに当該本人確認書類の厚みその他の特徴が適切に確認できるなど、規則上の要件を満たす必要があります。1枚の写真により当該要件を満たすのであれば、その撮影の際に上記のランダムなポーズをとらせるなどの対策をとることにより、容貌に係る本人確認用画像情報と本人確認書類に係る本人確認用画像情報の両者について、本人特定事項の確認時に実物が撮影されたものであることが確認できると考えられます。
  • 顧客の容貌及び本人確認書類を撮影させてその送信を受ける際の注意点は何か。
    • 特定事業者は、本人特定事項の確認時に、容貌や本人確認書類の実物を撮影させてその送信を受ける必要があることから、容貌や本人確認書類の実物を事前に撮影した写真を撮影させてその送信を受けることは認められません。特定事業者は、この点を確認できるようにする必要があります。その具体的な方法は特定事業者が判断することとなりますが、例えば、本人特定事項の確認時にランダムな数字等を顧客等に示し、一定時間内に顧客等に当該数字等を記した紙と一緒に容貌や本人確認書類を撮影させて直ちに送信を受けることなどが考えられます。
  • 「登記情報提供サービスの登記情報」を用いた方法は、特定事業者が自ら一般財団法人民事法務協会の登記情報提供サービスを利用して顧客等である法人の情報を取得(オンライン上に限定されず、窓口又は郵送を含む。)するのであれば、本人確認書類の送付を受けることを要しない、というものか。
    • そのとおりです。

~NEW~
金融庁 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第10回) 議事次第
▼資料1 事務局説明資料(金融商品取引業者と銀行との顧客情報の共有等のあり方)
  • 銀行・証券会社ともに、法人関係情報を入手した役職員は、管理システムに速やかに登録を行い、部室店長及びコンプライアンス部門に速やかに報告。登録後の追加情報や解除について、役職員が随時システムに入力し報告。
  • 法人関係情報は、同部門が解除に至るまで、エンティティごとに独立したシステムで管理。国内拠点の法人関係情報と海外拠点のMNPIは、別のシステムで管理されることが通例。なお、同部門以外の役職員による当該システムへのアクセスは、自身が関与する案件に関する情報に限定。
  • 役職員が株式の自己取引を行う場合、当該システムの登録情報に基づき、多くの金融機関では、部室店長の承認を得る必要。
  • 銀行及び証券会社に対し、法令等で、法人関係情報に係る管理体制の整備を義務付け。また、証券会社に対し、法令で、法人関係情報に基づく有価証券の自己売買等を禁止。
  • 法人関係情報の管理について、銀行では特定の部署への共有を禁止し、それ以外の部署をプライベート部門に分類。証券会社では、プライベート部門からパブリック部門(銀行の伝達禁止部署より広範囲のマーケット部門等)への共有を原則禁止し、共有時にウォールクロスの手続が必要。
  • プライベート部門内を含め、法人関係情報の共有には、銀行・証券会社ともに“Need to know”原則が適用され、多くの金融機関では部室店長が共有の可否を判断。
  • 法人関係情報以外の顧客情報についても、“Need to know”原則に基づき管理(“Need to know”の内容については要精査)。職務上の必要性に基づき、部門内・部門間での共有の可否を判断。
  • 銀行・証券会社ともに、M&A案件等の情報は、案件遂行前に、役職員の申請により、グローバルベースで一元的に利益相反を管理するシステムに登録。コンプライアンス部門は、登録情報をもとに利益相反チェックを実施し、承認通知の後、案件担当者は案件を遂行。ただし、商品・サービスの性質等によりコンプライアンス部門と営業部門とが共同で策定したルールに則って営業部門が取引を行う金融機関も存在。
  • 必要に応じ、経営幹部が参加する会議体にエスカレーションを行う規程がある。一方、利益相反管理のプラクティスが社内で蓄積され、担当部門内での判断が可能となったこと等を理由として、直近では当該会議体まで報告した実例はない。なお、一部会社では、コンプライアンス担当責任者(CCO)まで報告しているケースもある。
  • 国内銀行グループにおける優越的地位の濫用防止の概要
    • 事前策として、社内ルールにおいて、法令上の禁止行為と誤認されるおそれのある行為も含めて禁止し、マニュアルで当該ルールの遵守を確保するための手続を規定。また、社内ルールやマニュアルの内容に関し、役職員への研修を実施。
    • 事後策として、リスク管理部門が社内モニタリングにより適切性をチェックし、そのモニタリングの適切性についてコンプライアンス部門が検証。
    • 具体的には、銀行が融資先企業に、系列証券会社との取引の開始等に言及するような事例においては、低格付先に対する銀証連携の制限や、銀証連携の記録の義務付けにより管理。
    • 上記のような体制が整備されているが、不適切な事例は確認されている(事後的に内部で対処)。
  • ご議論いただきたい事項
    • 銀証ファイアーウォール規制については、2008年の大幅な見直し以降10年以上が経過し、金融を取り巻く環境も大きく変化している。
    • こうした中、我が国資本市場の一層の機能発揮を促す観点、さらには国際金融センターとしての市場の魅力を向上し、より高度の金融サービスを提供する観点から、ファイアーウォール規制について、制度の基本に立ち返った見直しが求められている。
    • この見直しに当たっては、これまでファイアーウォール規制により実現を目指していた(1)顧客情報の適切な保護、(2)利益相反管理、(3)優越的地位の濫用の防止を実効的に確保していくことが重要である。
    • この点、欧米の金融機関の投資銀行業務等における情報管理に関する規律をみると、「情報授受規制」がない中で、行為規制・市場規制・顧客の最善の利益を図るという金融機関の行為規範により、不公正取引の防止及び利益相反管理を徹底している。日本においても、同様の方法で管理を行うことにより、必ずしも入口における情報授受規制を設けておく必要はないのではないかとの考え方もあり得る。
    • 他方、日本の金融機関はこれまでファイアーウォール規制を前提にした情報管理・利益相反管理等を行ってきており、仮にファイアーウォール規制がない欧米と同様の情報管理制度を導入する場合、(将来的な導入はともかく)現実的に日本の金融機関内・金融機関と事業法人間の実務に馴染むのかといった課題もあり得る。
    • この点、国内の事業法人からは、国内の銀行における構造上の優越的な立場に起因する弊害、金融グループ内での情報共有・利用のあり方への懸念、情報管理について契約実務での規律への移行には事業法人の負担増大や金融機関との交渉力への懸念等が指摘され、情報授受規制の見直しにおいて一定の措置(オプトアウトの維持)を求める強い主張がある。
    • このような中で、事業会社が情報共有を拒否できる権利を一定程度維持しつつ、極力ファイアーウォール規制を緩和することについて、どのように考えるか。
      1. ファイアーウォール規制の見直しについて、
        • 仮にファイアーウォール規制を見直す場合、対象となる事業法人等の範囲について、どう考えるか。
        • 仮に法人顧客におけるオプトアウト制度を維持する場合、その手続について、電磁的方法の利用も含め、どのような見直しを行うことが考えられるか。
        • 情報授受規制以外の規制について、どのような見直しが考えられるか。また、その際に、弊害を防止する観点から、どのような方策が考えられるか。
      2. ファイアーウォール規制の見直しに伴う弊害の防止について、
        • 顧客情報管理及び利益相反管理に関し、欧米と日本の金融機関の制度及び実務の比較を踏まえ、実効的な確保を図る観点から、体制整備・行為規制などの措置や業務の実務面の措置などについて、どのような方策が考えられるか。その際、方策を措置する手段(法令又はそれ以外)について、どのように考えられるか。
        • 顧客情報管理に関し、不公正取引の防止の観点から、商業銀行業務・投資銀行業務の両方を行う者に対し、銀行法令のみならず、証券会社に対する規制と同等の規制を課すことについてどう考えるか。
        • 優越的地位の濫用防止に関し、事業法人の意見や国内金融機関の実務を踏まえ、実効的な確保を図る観点から、当局によるモニタリングの強化に向けた対応としてどのような方策が考えられるか。

~NEW~
内閣府 中央防災会議 第40回議事次第
▼資料1 防災基本計画等修正案(概要)
  • 防災基本計画
    • 災害対策基本法に基づき、中央防災会議が作成する計画で、災害の未然防止、被害の軽減及び災害復旧のための諸施策等の基本的な事項を定めるもの。
  1. 災害対策基本法の改正を踏まえた修正
    • 災害対策本部の見直し
      • 特定災害対策本部の設置
      • 非常災害対策本部長を内閣総理大臣に変更
      • 災害が発生するおそれがある段階での災害対策本部の設置
    • 個別避難計画の作成
      • 避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難を図る観点から、個別避難計画について、市町村に作成を努力義務化
    • 避難勧告・避難指示の一本化等
      • 避難勧告・指示を一本化し、従来の勧告の段階から避難指示を行うこととし、避難情報のあり方を包括的に見直し
    • 広域避難に関する事項
      • 災害が発生するおそれがある段階での広域避難の実施のための自治体間の協議
      • 他の自治体との応援協定や、運送事業者等との協定の締結
      • 大規模広域災害時に円滑な避難が可能と
  2. 新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた修正
    • 避難所における感染症対策
      • 避難者の健康管理、避難所の衛生管理や適切な空間の確保等
    • 避難所開設・運営訓練の実施
      • 感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練の積極的な実施
    • パーティション等の備蓄の促進
      • マスク、消毒液に加え、パーティション等の感染症対策に必要な物資の備蓄の促進
    • コロナの自宅療養者等に対する情報共有等
      • 平常時からの、自宅療養者等が危険エリアに居住しているかの確認
      • 自宅療養者等の避難の確保に向けた具体的な検討・調整、情報提供
    • 被災自治体への応援職員等の感染症対策
      • 応援職員等の健康管理やマスク着用等の徹底
      • 応援職員等の執務スペースの適切な空間の確保
  3. その他最近の施策の進展等を踏まえた修正
    • 災害対応業務のデジタル化の推進
    • 福祉避難所の活用による要配慮者の円滑な避難の確保
    • あらゆる関係者が協働して取り組む「流域治水」の推進
    • 首都直下地震緊急対策区域における切迫性に応じた地震対策の推進
    • 事前防災の取り組みや複合災害への対応の推進
    • ボランティアの調整事務の委託を受けた災害ボランティアセンターの必要な経費に対する災害救助法による支援
    • 防災ボランティアと自治体・住民・NPO等との連携・協働の促進
    • 正常性バイアス等の必要な知識を教える実践的な防災教育の推進
    • それぞれの被災者に適した支援制度を活用した生活再建
    • 女性の視点を踏まえた防災対策の推進
▼資料2 令和3年度総合防災訓練大綱案(概要)
  • 総合防災訓練大綱
    • 訓練を企画・実施する際の基本方針、国の訓練事項、地方公共団体の訓練への留意点等を示すもの
    • 継続的・計画的に取組むべき事項に加え、既往災害からの教訓や社会状況の変化等を反映
    • 年度末から年度当初の時期に、中央防災会議で決定するもの
  • 災害対策基本法改正を踏まえた反映
    • 避難勧告・避難指示の一本化等の新しい避難情報を周知するための訓練の実施
    • 避難勧告・指示の一本化等に伴う、新たな避難情報の発令・伝達、避難判断等の理解促進のための訓練の実施
    • 作成が努力義務化された避難行動要支援者の避難先等を記載した個別避難計画を活用した訓練の実施
  • 大規模水害等が発生するおそれがある段階での広域避難に関し、必要な訓練の推進
    • 新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた反映
    • 感染症の拡大防止を徹底しつつ可能な限り訓練を行うべきことの周知
    • 訓練内容に必要に応じ感染症対策に関する項目を取り入れることの周知
    • 感染症対策に必要な手順・課題等を確認するための避難所開設・運営訓練等の実施
    • 各種訓練の実施
    • システム操作の習熟度向上やデジタル技術を活用した実践的な訓練の実施
    • 物資調達・輸送調整等支援システムを活用した物資支援業務に関する訓練の実施
    • 病院船の活用に関する検討を踏まえた、船舶における災害医療活動に関する訓練の実施

~NEW~
内閣府 令和3年第7回経済財政諮問会議
▼資料1-1 経済・財政一体改革の当面の重点課題~地方行財政、社会資本整備~(有識者議員提出資料)
  1. 国と地方及び地方自治体間の役割分担の見直し、広域連携
    • 感染症の経験も踏まえ、①国と都道府県の関係(例えば、具体的対策の判断を都道府県にどこまでゆだねるのか)、②同一都道府県下での自治体間の関係(例えば、迅速かつ効率的な実行を担保する都道府県と政令市・特別区・市町村との関係の再整理)について、関係省の協力の下、地方制度調査会等で早急に議論すべき。
    • 「自治体戦略2040構想研究会」の2018年の報告において、東京圏をはじめとする三大都市圏での緊急時の人材・資源の共有、平時を含む医療・介護の連携等の課題が提起された。しかし、こうした都道府県を越えた連携の深化については、検討が進んでおらず、地方制度調査会で早急に議論を開始すべき。特に、都道府県毎の第3次医療圏を越えた医療・保健所サービスの提供・調整等を強化する広域マネジメントについて、関係省の協力の下、最優先で明確化すべき。
    • 地方制度調査会答申で指摘された、(1)幅広い市町村の広域連携への参画を促すための合意形成ルールの明確化、(2)市町村連携を前提とした都道府県からの積極的な事務移譲、(3)都道府県による市町村の補完促進のための仕組み等について、法整備に向けた検討を加速すべき。併せて、広域連携のインセンティブを強化すべき。
  2. 地方財政の平時モードへの切り替え
    • 感染症への対応に向け、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など、自治体が自由に使途を決められる予算措置や国による地方負担軽減措置が講じられ、感染症対策や地方経済の下支えに寄与した。一方、緊急時におけるこうした交付金がどのように使われ、どのような効果があったのか、可能な限り客観的データを活用した自治体間の比較検証を早期に行い、今後に備えるべき。
    • 引き続き、地方経済の再生、地方の所得向上に取り組むとともに、感染症収束後には、早期に地方財政の歳出構造を平時に戻していくべき。
  3. 二地域居住等に対応した地方行政の在り方
    • 二地域居住する住民に対して、保育・教育等の住民票と紐づいた公共サービスを柔軟に提供できるよう、負担の在り方を含めて早期に整理・検討し、地方公共団体向けの二地域居住ガイドラインを今年度中に策定すべき。
    • ふるさと納税や「ふるさと住民票」などの取組を推進し、関係人口の拡大に取り組むべき。テレワークを活用した地方移住(転職なき移住)や、ワーケーションといった新たな暮らし方を拡大するため、地方自治体の取組を後押しすべき。
  4. 防災・減災、国土強靱化を見据えた社会資本整備の計画的実行
    • 防災・減災、国土強靱化に向けて、新たな「5か年加速化対策」を推進するなど、社会資本整備を計画的に実行すべき。また、デジタル社会の形成に関する重点計画の策定、気候変動や経済安全保障・サイバーセキュリティへの取組強化等の大きな構造改革が今年予定される中、これらの新たな動きと歩調を合わせ、具体策を推進すべき。
    • 脱炭素化、発電コスト引下げに向け、再生可能エネルギーを活用するための送配電網を抜本的に強化すべき。
  5. 社会資本整備の効果的推進
    • 社会資本整備重点計画の改定に当たっては、データ活用によるICT施工の普及促進や工期の平準化、見える化・横展開、予防保全型のメンテナンスへの早期転換とそのためのデジタル先端技術の標準化、民間資金の利活用等を強化し、EBPMを通じてワイズスペンディングを徹底するとともに、毎年度その進捗管理を諮問会議に報告すべき。その際、デジタル化や脱炭素化、SDGsに重点を置きつつ、水資源の管理など日本の優れた技術やノウハウを活かし、官民一体となってインフラシステムの国際協力、海外展開を積極的に推進すべき。
    • 年内にPPP/PFI推進アクションプランを改定し、以下の取組について、大胆なKPIを掲げ、PPP/PFIにおける世界のトップランナーを目指すべき
    • 抜本的な事業規模の拡大目標設定、コンセッションの分野目標の再設定。
    • アクションプランの実行期間内での全自治体(広域連携を含め)での普及促進。そのための人口20万人未満の自治体への優先的検討規程の導入、地域プラットフォームへの参画拡大。
    • 2022年度までに策定予定の上下水道広域化プランや、個別施設計画の進捗管理。上下水道の老朽化対策におけるPPP/PFI導入の優先的検討の実施。
  • 経済・財政一体改革の主要な取組事項(地方行財政、社会資本整備)
    • 地方行財政
      1. 広域連携
        • 市区町村が策定する各種法定計画について、原則全て広域で共同策定できるよう、関連法案を一括改正すべき。特に連携中枢都市圏・定住自立圏では、計画の共同策定を目指すよう促すべき。
        • 広域連携に向けたデータに基づく検討を促進すべき。中長期的な行政需要の見通しに加え、経済・財政に関する中長期見通しについても広域レベルで共有し、今後の課題を市町村間で共有するよう促すべき。そのための都道府県の役割を明確化すべき。
        • 自然災害時に自治体間の人員を融通する枠組について、感染症等でも有効に機能するよう見直すべき。緊急時の派遣に備えた、自治体の専門人材確保を促す地財措置の要件を柔軟化すべき。
      2. デジタルガバメントによる自治体業務の見直し
        • 自治体システム標準化を見据えて、現時点から業務プロセスの見直しを開始すべき。総務省がデジタル庁と連携して業務プロセスの見直しに向けた基本方針を示し、自治体に周知・徹底することで、デジタルガバメントの効果を最大化すべき。
      3. 地方財政の「見える化」
        • 感染症等の緊急事態への対応状況を「見える化」するため、地方財政データの公表を早期化し、政策立案に活かすべき。国際標準である四半期別の地方財政データの公表が可能になるよう早期に検討すべき。2023年度までに、全ての自治体が地方公会計の財務書類を決算翌年度中に公表するよう促すべき。
        • 地方財政計画の計画と決算の乖離に関して、乖離が生じる要因を分析し、今後の計画策定に反映していくべき。
    • 社会資本整備
      1. 社会資本整備の効果的推進
        • 各自治体における公共施設等総合管理計画の2021年度中の見直しを通じて、デジタル化やグリーン化、包括的民間委託、地域での一括発注による効率化等の取組を強化すべき。
        • 個別施設計画が未策定の施設について、状況確認と要因分析、必要な支援を行い、目標時期を定めて早期に策定を完了すべき。インフラ長寿命化計画に基づく具体策を明らかにし、対策が遅れている地方自治体の取組を後押しすべき。
        • 予防保全に基づくメンテナンスサイクルを徹底するため、施設ごとの予防保全効果の見通しに照らした効果の検証方法を設定し、効果的なPDCAを確立すべき。
      2. 社会資本整備のデジタル化
        • インフラ等のデータについて、地方自治体におけるデジタル化を重点的に支援するとともに、データプラットフォームの連携を地方自治体や民間データを含めて加速するよう、年限・KPIを設定し、民間開放や技術開発、利活用を促進すべき。
        • 社会資本整備の設計・建設、維持更新、利活用におけるデジタル化を徹底するため、建設生産プロセス全体での3次元データの活用、中小建設業・地方自治体へのICT施工(i-Construction)の普及を促進すべき。予防保全において、ドローンやロボット、センサー等のデジタル技術による点検を標準化すべき。
        • ブロードバンドのユニバーサルサービス化、5G整備地域の拡大等を着実に進め、ネットワークを活かしたコンパクトなまちづくり、オンラインの活用、テレワーク・二地域居住を支援すべき。
      3. 社会資本整備のグリーン化
        • インフラ、物流・交通、住居等の電化・水素活用について、デジタル技術やデータの活用、スマートシティの形成と合わせ、投資促進や規制制度改革により強力に推進すべき。
        • インフラにおける洋上風力、太陽光、下水道・小水力等の利活用を拡大するとともに、自然環境の機能を活かしたグリーンインフラの整備を推進すべき。
        • 住宅・小規模建築物の省エネ基準への適合義務付け等の規制改革を進めるとともに、CO2排出削減効果の高い技術を導入するネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の整備、省エネ改修への支援を強化すべき。
      4. スマートシティの拡大等
        • スマートシティの拡大に向け、都市間連携が可能な都市OSを計画的に導入するとともに、評価・検証と規制制度改革を推進すべき。導入メリットの見える化やインセンティブ付けを通じて、人材育成や自治体・市民の参加を促しつつ、支援を拡充すべき。
        • スマートシティを各地に整合性をもって展開できるよう、内閣府が司令塔となって、各省・官民連携の下で施策を推進するとともに、民間投資を積極的に呼び込むべき

~NEW~
内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(令和3年5月)
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状【下方修正】
      • 景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している。
      • 先月の判断「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられる。」
    2. 先行き
      • 先行きについては、感染拡大の防止策を講じるなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
  • 政策の基本的態度
    • 政府は、東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組むとともに、決してデフレに戻さないとの決意をもって、新型コロナウイルス感染症の感染対策に万全を期す中で、雇用の確保と事業の継続を通じて、国民の命と暮らしを守り抜く。新型コロナウイルス感染症に対しては、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、10都道府県を対象に緊急事態措置、9県を対象にまん延防止等重点措置を実施しているところであり、引き続き、感染拡大の抑制を最優先に対策を徹底するとともに、経済への影響に対しては、重点的・効果的な支援に万全を期す。さらに、成長分野への民間投資を大胆に呼び込みながら、生産性を高め、賃金の継続的な上昇を促し、民需主導の成長軌道の実現につなげる。政府は、令和2年度第3次補正予算及び令和3年度予算を迅速かつ適切に執行するとともに、引き続き、感染状況や経済的な影響を注視しながら、予備費も活用して機動的に必要な支援策を講じていく。
    • 感染症対策、ワクチン接種に最優先に取り組みながら、ポストコロナも見据え、グリーン、デジタル、地方の所得向上など、強い経済をつくり上げ、さらに、少子化対策など長年の課題にも答えを出すべく、6月を目途に、「経済財政運営と改革の基本方針2021」等を取りまとめる。
    • 日本銀行においては、企業等の資金繰り支援に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から、金融緩和を強化する措置がとられている。日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する
  • 今月のポイント
    • 1-3月期の実質GDP成長率は、前期比▲1.3%と3期ぶりのマイナス。緊急事態宣言の影響を受けた個人消費は、財は底堅いものの、サービスが弱いことから、マイナスに転じた。輸出は海外経済の回復を背景に増加基調。
    • 設備投資は前期比マイナスであるが、日銀短観の2021年度設備投資計画(3月調査)が前年度比プラス、特にソフトウェア投資は高い伸びの見通しとなるなど、日本経済は潜在的な回復力があると評価。
    • 変異株の感染者の増加等を踏まえ、4月に入り、大都市部を中心に、再び緊急事態宣言等を発出。ただし、10万人当たりの新規感染者数や死亡者数は、国際的にみて少ない状況が続いている。
    • 財支出の底堅さとサービス支出の弱さは4月も続いており、例えば新車販売台数はおおむね横ばいで推移。旅行関連の宿泊施設の稼働率は、振れはあるものの低下傾向。
    • 4月後半から5月中旬にかけて、週当たり消費額は、2017-19年の平均と比べたマイナス幅が拡大傾向。総じてみると、個人消費は、サービス支出を中心に弱い動きとなっている。今後、ワクチン接種の進展・感染拡大の収束により外出・移動が正常化すれば、消費回復が期待。
    • 4月の消費者物価は、携帯電話の低料金プランの提供開始により下落。ただし、これは需給が緩和して物価が持続的に低下するデフレ現象とは異なる。これを除外して基調をみると、消費者物価(コアコア)は横ばい。また、低料金プランに契約変更した家計の実質可処分所得は増加すると考えられ、今後、消費の押上げを期待。
    • 3月の雇用者数は、昨年6月から80万人増加したが、1年前に比べると未だ44万人少ない。失業率は雇用調整助成金等により上昇が抑制されてきた中、3月は2.6%に低下。有効求人倍率は持ち直しの動きも、1年前に比べると低い。
    • 一方で、実質雇用者報酬は、1-3月期は前期比2.2%増と、3四半期連続の増加。
    • 連合第5回回答集計の賃上げ率は、厳しい中にあって、全体は1.81%、中小企業は1.77%と昨年(1.93%、1.91%)を下回るものの、いずれも2012~13年を上回っている。
    • 4月の民間転職市場や足下のハローワーク求人には、持ち直しの動きに足踏みがみられる。総じてみれば、雇用情勢は、底堅さもみられるが、その動きは弱い。
    • 1-3月期の上場企業決算の経常利益は、製造業に牽引され、前年比で大幅に増加。非製造業は、陸運業等で弱さが続いているものの、製造業は自動車生産の回復等から増加し、総じてみれば持ち直し。
    • また、資金繰り支援もあり、倒産件数は減少している。他方、緊急事態宣言が発出されたこともあり、4月の景気ウォッチャー調査の現状判断は、3か月ぶりに低下し、先行き判断も2か月連続低下。企業の業況判断は、厳しさが残るなか、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

~NEW~
内閣府 第29回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ
▼【資料1】 デジタル広告市場の競争評価最終報告(内閣官房デジタル市場競争本部事務局 提出資料)
  • デジタル市場のルール整備
    • デジタル・プラットフォーム取引透明化法
      • 取引条件等の情報開示、自主的な手続・体制整備、運営状況のレポートとモニタリングレビュー(共同規制的アプローチ)当面の対象:大規模なオンラインモール・アプリストア →令和二年5/27成立
    • 個人情報保護法の見直し
      • 利用停止等の請求権の範囲の拡大 仮名化情報制度の創設 など →令和二年6/5改正法成立
    • データの価値評価も含めた独禁法のルール整備
      • 令和元年12/17 公取委による企業結合審査ガイドラインの改定
    • 独禁法の消費者に対する優越的地位の濫用への対応
      • 令和元年12/17 公取委によるガイドラインの策定
    • デジタル広告市場の競争状況の評価
      • 寡占化とプライバシーへの懸念 透明性、データの利活用、垂直統合、手続き等の公正性、プライバシー →令和二年6/16に中間報告を、令和三年4/27に最終報告を公表
  • デジタル広告市場の意義: 中小企業等の顧客アクセスを容易にし、インターネットの無償サービスを支える「インフラ」
  • デジタル広告費は年々増加し、2019年に初めてテレビメディア広告費を抜き、2020年には年間約2.2兆円(前年比106%)となり、日本の広告費全体(約6.2兆円)の36%を占めるまでに成長。
  • デジタル広告市場は、自らのWebサイト等の広告枠を販売するパブリッシャーと、広告枠を買って広告を出稿する広告主、両者を仲介するプラットフォーム事業者(以下「PF事業者」)やアドテク事業者等の仲介事業者などからなる市場。
  • 多様なデータから分析して個人の嗜好等に合わせた広告を配信するターゲティング広告等、新たな技術が生まれ急速に発展。
  • 高度に複雑化したシステムによって、個人がWebサイト等を閲覧した瞬間に、Webサイト等の媒体で広告枠を提供するパブリッシャーの広告枠と広告主が出稿する広告が、リアルタイムでマッチングされて配信。膨大な数の入札取引が行われている。
  • こうした中、当初、デジタル広告技術を提供する多くのアドテク事業者の参入によって機能分化が進展(売り手を支援する機能、買い手を支援する機能など)したが、その後、マッチングを行うPF事業者の買収等により垂直統合が進展。
  • 競争環境の状況
    • 広告を仲介する事業者については、広告主は多くの消費者に訴求できる媒体(例:Googleの場合はYouTube)を持つPF事業者を選び、広告枠を提供するパブリッシャーは多くの広告主をカバーするPF事業者を選ぶことから、両面でネットワーク効果が働き、寡占化しているとの声。
    • プライバシー保護でデータ流通が制約される中で、データが特定のPF事業者に集中し、さらに寡占が進展する懸念。
    • この結果、特定のPF事業者による市場の設計や運用における影響力が強まっている。
    • PF事業者によるルール変更やシステム変更が突然行われ、交渉の余地なく対応に苦慮。
    • 消費者が自らの広告にどのように反応したのか等のデータ(オーディエンス・データ)がPF事業者から広告主に提供されない。
    • あるPF事業者に対しては、アドテク事業者の6割が、システム変更の際に問題・課題があると感じている
    • 【理由】「システム変更が突然行われるため、対応に苦慮」(47%)
  • 市場の透明性に係る課題
    • システム全体が複雑であり、極めて変化が速く、市場の実態を理解することが困難。(プライバシーを巡る課題への対応から、今後1年以内に、デジタル広告のビジネスモデルが大きく変わる可能性も。)特に、リアルタイム入札によるマッチングなどがシステム上でアルゴリズムで処理され、ブラックボックス化。
    • 取引内容・価格の不透明性。
    • 広告仲介における機能が垂直統合された結果、PF事業者について利益相反や自社媒体の優遇の懸念の声。
    • 関係事業者の6割超~4割が、PF事業者による自社メディア優遇を懸念しているアドテク事業者:64%、パブリッシャー:54%、広告主・広告代理店:40%
  • デジタル広告市場における「質」の問題
    • 急速に成長する一方で、サービスの質については未成熟で様々な課題。結果として、広告主はブランド毀損リスクを負い、パブリッシャーは経営基盤を弱体化させ、消費者は不快な思いをするという悪い均衡点。
    • 広告主にとっては、悪意の者による広告収入の不正取得(アドフラウド)、ブランドを毀損しかねないサイトに広告が配信されるリスク(ブランドセーフティ)、消費者に広告が視認されない(ビューアビリティ)などの問題が存在。請求の基礎となる広告の表示回数等について第三者による客観的な測定がなされていないとの不満も。
    • パブリッシャーにとっては、自らの広告枠に広告主がいくら払ったのか見えない中、自らに収益が適正に配分されていないのではないか、取引内容が不透明との声。このままでは、コンテンツにコストをかけるメディアの経営基盤が成り立たないとの懸念。
    • 消費者の7割が、ターゲティング広告に対し、煩わしい・どちらかというと煩わしいと感じている。
    • ターゲティング広告に利用されるデータを提供する消費者からは、パーソナル・データの扱いに対する懸念。
    • あるPF事業者に対しては、広告主・広告代理店の6割が、アドフラウド対策に不満がある
    • あるPF事業者に対しては、パブリッシャーの5割超が、サプライチェーンの透明性に問題・課題があると感じている
    • 【理由】「取引内容や価格の透明性を高める必要がある」(42%)「手数料やコストの透明性を高める必要がある」(39%)
  • デジタル広告市場の対応の基本的な方針
    • デジタル広告市場は、競争環境の問題、透明性の問題、データの囲い込み懸念、デジタル空間におけるサービスや情報の質の問題、プライバシーの問題等、デジタル市場を巡る様々な課題が凝縮。 ⇒デジタル市場のルール整備の在り方を考える上で試金石
    • 規模や業種も様々な事業者が広告主やパブリッシャーとなり、ほぼすべての消費者の目に触れるデジタル広告については、どんな課題やリスクがあるか、誰もが分かるようなものにしていくことが重要。 ⇒様々な関係者が課題解決に取り組む環境が必要
  • ルール整備に基本方針
    1. デジタル広告市場の健全な発展を図る観点から、以下の3つを重要な要素としていくこと。
      • 「公正性」を確保すること
      • 「透明性」の向上を図ること
      • それにより一般消費者を含めた各市場関係者の「選択の可能性」を確保すること
    2. 変化が速い市場であることに鑑み、イノベーションを過度に阻害せず、イノベーションによる課題の解決を促す枠組みとすること。
    3. パーソナル・データの扱いに係る懸念に対する対応が結果として市場競争環境に及ぼす影響などを含め、横断的な視点を踏まえた対応としていくこと。
  • 【課題解決へのアプローチ ※課題ごとの整理に従って効果的なアプローチを活用
    • 透明化法は、変化のスピードが速い分野において事業者によるイノベーションによる課題解決を促すべく、政府が大枠を示しながら大規模PF事業者の創意工夫を活かし、官民がそれぞれの役割を担う「共同規制」の手法を採用しており、デジタル広告市場の課題解決に適した枠組み。
    • 今後、デジタル広告分野を透明化法の対象に追加するなど、必要なルール整備を進めていく。
    • 独占禁止法違反と認めるときは、同法を厳正に運用。課題に応じ、その他のアプローチ(個情法、電気通信事業法など)も。

~NEW~
厚生労働省 第36回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年5月26日)
▼資料1 直近の感染状況の評価等
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日別では、5月中旬以降減少に転じ、直近の1週間では10万人あたり約26人となっている。発症日別エピカーブでも減少傾向にある可能性。横ばいあるいは減少傾向となる地域がある一方で、依然として増加傾向となっている地域もあり、予断を許さない状況が続いている。重症者数、死亡者数は増加傾向が続いていたが、直近では高止まりとなっている。
    • 特に、首都圏や関西、愛知といった大都市圏では、各種対策による人流の減少がみられたが、英国で最初に検出された変異株(1.1.7)への置き換わりが進む中で、その後の新規感染者数の減少につながるまで、以前よりも長い期間を要している。こうした中で、各地で直近では人流の増加が見られており、新規感染者数の動きも含め留意が必要。
    • 実効再生産数:全国的には、1前後で推移しており、直近(5/9時点)で0.95と1を下回る水準となっている。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。実効再生産数は、1週間平均の直近(5/10時点)の値
    1. 関西圏
      • 大阪、兵庫、京都では、緊急事態措置の開始から4週間経過。新規感染者数は、それぞれ約30、22、24。大阪、兵庫では、新規感染者数の減少傾向が継続、京都でも減少の動きが見られるが、大阪では依然として25を超える高い水準。
      • 大阪では、夜間滞留人口・昼間滞留人口とも2回目の宣言中最低値より約30%低い水準を維持。兵庫、京都も夜間滞留人口は2回目の宣言中最低値より低い水準を維持。大阪、兵庫、京都の実効再生産数は0.69、0.64、0.85で、今後も新規感染者の減少が見込まれるが、感染状況の改善による滞留人口の動向とともに注視が必要。
      • 大阪、兵庫を中心に、医療提供体制や公衆衛生体制の非常に厳しい状況が継続。大阪では宿泊療養者数、入院者数、重症病床使用率が減少・低下傾向だが、兵庫では宿泊療養者数は減少傾向で、その他は横ばい。新規感染者数の減少に伴い改善に向かうと見込まれるものの、一般医療を制限せざるを得ない状況が続いている。また、高齢者施設等でのクラスターも継続。
      • 滋賀、奈良、和歌山でも、新規感染者数は減少傾向で、約19、18、8。
    2. 首都圏(1都3県)
      • 東京では、緊急事態措置の開始から4週間経過。埼玉、千葉、神奈川では、重点措置の開始から5週間経過。新規感染者数は、いずれも、5月中旬以降横ばいから減少傾向で、それぞれ約31、16、13、20。20-50代が多数を占めている。先週今週比は直近では1以下。一方で、GWに伴う感染者数の変動の影響も考えられ、この点を踏まえれば今後について、楽観視できない。
      • 東京では、夜間滞留人口・昼間滞留人口が増加しており、2回目の宣言中の最低値のレベルとなっている。埼玉、千葉、神奈川では横ばい。東京でこのまま人流の増加傾向が続くとリバウンドの可能性があり、警戒が必要。
    3. 中京圏
      • 愛知では、緊急事態措置の開始からは2週間経過。新規感染者数は急速な増加が見られていたが、5月中旬以降高止まりで、約48。20-30代が多数を占めている。医療及び保健所への負荷が続き、病床使用率も高い水準で医療提供体制が厳しい状況が継続。
      • 夜間滞留人口は小幅な減少で2回目の緊急事態宣言時の最低値付近で推移。昼間滞留人口は緊急事態宣言後減少。滞留人口の減少から5週間以上経過しており、新規感染者数が減少に転じるか注視が必要。
      • 岐阜、三重では、重点措置の開始から2週間経過。岐阜では、5月半ば以降新規感染者数の減少が続き、約30。夜間滞留人口・昼間滞留人口とも減少が続いており、今後も新規感染者数の減少が見込まれる。三重でも減少の動きが見られ、約12。静岡では、新規感染者数の増加が続いていたが、5月半ば以降減少がみられ約13。今後の動向に注視が必要。
    4. 九州・沖縄
      • 沖縄では、重点措置の開始から6週間経過。5月23日から緊急事態措置を適用。那覇市をはじめとした都市部と八重山地域で20-30代を中心に現役世代で新規感染数者の急増が続き、約93と非常に高い水準。県外からの渡航者の感染も見られている。病床使用率も上昇しており、感染者の増加により、更なる医療提供体制への負荷の増大が予想される。現状では60代以上の割合は低いものの、高齢者に感染が波及することにより、重症者の増加が懸念される。
      • 重点措置後減少していた夜間滞留人口は、GW中に増加し、その後の減少も小幅にとどまっており、今後も感染者数増加の継続が予想される。
      • 福岡では、緊急事態措置の開始から2週間経過。20-30代を中心として新規感染者数の急増が続いていたが、5月中旬以降減少に転じ、約44。先週今週比も直近で1以下となったが、感染者数は依然として非常に高い水準で、病床の占有率も高まっており、医療提供体制への負荷が大きい状態が継続。
      • 実効再生産数は1以下で、新規感染者数の減少が見込まれるが、夜間滞留人口は、緊急事態措置後も小幅な減少で2回目の緊急事態宣言時の最低値水準には届いておらず、注視が必要。
      • 熊本では、重点措置の開始から1週間経過。新規感染者数は、5月中旬から減少に転じ、約26。
      • その他の九州各県でも、減少傾向となっているものの、佐賀、大分では、約20、24と15を超える水準。先週今週比は低下傾向で1を下回っており、減少が続くと見込まれるが、引き続き注視が必要。
    5. 北海道
      • 重点措置の開始から2週間、緊急事態措置の開始からは1週間経過。新規感染者数の増加傾向が続いており、約78と非常に高い水準。札幌市は約127とより高い水準。病院や福祉施設でのクラスターも継続して発生。緊急事態措置後に夜間滞留人口、昼間滞留人口とも減少しているが、先週今週比の低下傾向は見られるものの1を超えており、今後も増加が継続する可能性もある。札幌の医療提供体制は厳しい状況で、病床使用率が高い状況が続いており、市外への広域搬送事例も見られている。
    6. その他の緊急事態措置地域(岡山、広島)
      • 岡山、広島では、緊急事態措置の開始から1週間経過。新規感染者数は、岡山では5月中旬以降減少に転じており、広島でも減少の動きが見られるが、それぞれ約35、43と非常に高い水準。両県ともに病床使用率が高い水準。両県とも、夜間滞留人口・昼間滞留人口の減少傾向が続き、先週今週比は直近で1以下となっており、減少傾向が継続するか注視が必要。
    7. その他のまん延防止等重点措置地域(群馬、石川)
      • 群馬、石川では、重点措置の開始から1週間経過。両県とも新規感染者数は、5月中旬から減少傾向で、約17、27(石川では学校関係のクラスターで足下で増加)。両県ともに実効再生産数は1を下回り、先週今比も1以下が続いており、今後も減少が見込まれるが、その傾向が継続するか注視が必要。
    8. 上記以外の地域
      • 青森、富山、山口、高知では新規感染者数が15を超えており、それぞれ約16、22、21、20。山口は減少の動きが見られ、青森は横ばい傾向だが、富山、高知では増加傾向が続いており、今後も注視が必要。
  • 変異株に関する分析
    • 1.1.7の割合が、スクリーニング検査では、全国計で約8割となり、一部の地域を除き、従来株からほぼ置き換わったと推定される。また、B.1.617(インドで最初に検出された変異株)については、国内では海外渡航歴のない者から感染が確認される事例も生じている。
    • また、1.1.7による重症化リスクが高まっている可能性も想定して、医療体制の整備や治療を行う必要がある。
    • 併せて、1.617については、海外で置き換わりが進んでいるという報告もあり、また、B.1.1.7よりも更に感染・伝播性が強い可能性も示唆されており、引き続き、分析を進めていくことが必要。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 首都圏や関西では減少傾向が続く可能性があるが、人流の動きもあり留意が必要。愛知では明確に減少に転じるか注視が必要。沖縄では増加の継続も予想される。全国的に1.1.7株へほぼ置き換わり、拡大時の速度が以前よりも速く、収束時はより長期化する傾向が見込まれる。また、重症者数は増加または高止まりの地域が多く、感染者数増加の抑制は引き続き求められる。
    • 人流の減少が新規感染者数の減少につながるまで、以前よりも長い期間を要している。一方、緊急事態措置区域及び重点措置区域では、市民や事業者の協力により、減少や上げ止まりの動きが見られる地域があり、その効果も現れている。しかし、増加が続く地域や減少に至らない地域では、GWの影響もあったとみられ、対策の効果はまだ限定的である。多くの地域で、ステージⅣ相当の新規感染者数が発生し、医療提供体制の厳しい状況が続いており、必要な対策の継続が求められる。
    • これまでの取組の結果や、現在の感染状況、医療提供体制の状況、1.1.7およびB.1.167により、これまでより感染拡大が速く進む可能性も踏まえ、各自治体において、地域の専門家の入った会議体などで感染状況・医療提供体制などを分析し、必要な対策をタイムリーに実施していくことが求められる。
    • 今回の流行拡大における重点措置及び緊急事態措置のタイミングや対策の内容とその効果については分析・評価をおこない、今後の運用に活用していく必要がある。また、各地域において、抗原定性検査を活用した検査戦略や医療提供体制の強化は第33回ADB資料や第5回基本的対処方針分科会での議論を踏まえ進める必要がある。
    • ワクチンについて、その効果に関する報告がなされている。ワクチン接種が広く進めば、重症者数、さらには感染自体が抑制されることも期待される。大規模集団接種会場における接種も始まったところであり、国と自治体が連携して、可能な限り迅速・効率的に多くの人に接種を進めることが必要。
    • 一部地域でマスクの効果に関する分析がなされているが、このような結果も踏まえれば、会食時を含め会話の際にマスクの着用を徹底することは重要。地域での取組も踏まえ、引き続き、職場や学校を含め、日常生活の様々な場面で、マスクの正しい着用等基本的な感染予防対策を行うことの重要さを発信することが必要。一方、マスクさえすれば大丈夫というメッセージとならないようにすべきであり、遵守の徹底が難しいことにも留意が必要。
    • 一部の地域を除き、従来株から1.1.7へ概ね置き換わったと推定される中で、新たな変異株への対応も強化するため、ウイルスゲノムサーベイランスによる実態把握に重点をおいて対応を行うことが必要。特に、VOCと位置づけられたB.1.617については、ゲノムサーベイランスにより全国的な監視体制を強化するとともに、積極的疫学調査等により、国内における感染拡大を可能な限り抑えていくことが必要。また、水際措置の強化が行われてきているが、これまでの水際対策を検証し、今後も、国外及び検疫での発生状況やこれまでの対策の効果等も踏まえて、迅速に対応することが必要。

~NEW~
厚生労働省 第13回 「労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」資料
▼(資料1)事務局提出資料
  • 議論の整理における基本的考え方
    • 労働市場全体でのマッチング機能を高めていくため、ハローワークや職業紹介事業者に加えて、求人メディアや新たな雇用仲介サービスを含め、労働市場の全体像を把握し、雇用対策を行っていくことが重要。
    • 職業生活の充実に資するよう、求職者や潜在的な求職者など、働く意欲を持つ方の立場に立って、雇用仲介サービスを行う者が守るべきルール等を整備する。
    • IT技術を駆使してマッチング機能を高めている新たな雇用仲介サービスについて、労働市場において果たしている一定の役割を評価し、イノベーションを阻害しないことに留意しつつ、ユーザーが安心して利用できる環境を整備する。
  • プラットフォーム等を用いた新たなサービスについて、サービスの機能や性質に着目して、既存の雇用仲介事業と対比しながら、一定の法的整理を行うことが必要。
    • 職業紹介に近いオプションを持つ募集情報等提供の法的位置づけ。
    • 募集情報等提供とプラットフォームの区別。
    • 職業紹介、募集情報等提供、委託募集についての一定の整理。
  • 人材サービスの類型について
    • 職業紹介
      • 求職及び求人の申込みを受け、雇用関係の成立をあっせんする。
      • 職業安定法に基づく許可が必要。
      • 求職者及び求人企業の希望をもとに、適合する相手をマッチング。
      • 面接の日程調整やキャリアコンサルティングも実施。
      • 成功報酬が多く、入職者の年収の30%程度を求人企業が支払うことが多い。
      • 一部職種や高年収の求職者を除いて、求職者からの手数料徴収は禁止されている
    • 委託募集
      • 企業等がその被用者以外を労働者の募集に従事させるもの
      • 募集主の側で、有料で委託する場合は職業安定法に基づく許可、無料で委託する場合は職業安定法に基づく届出が必要
      • 募集受託者は求職者に対して被用者となることの勧誘を行う
      • 有料で委託する場合、その報酬の額についてはあらかじめ職業安定法に基づく認可が必要
      • 求職者からの手数料徴収や、募集受託者から求職者への報奨金の供与は禁止されている
    • 求人メディア
      • 求人企業の依頼を受け、求人情報の作成や掲載を行う。
      • 求職者は自ら求人情報を検索し、応募する。
      • 求職者の情報やサイト内の行動をもとに、検索結果の並び替えやリコメンドを行う場合もある。
      • 定額制やクリック課金による広告掲載料の徴収が多く、求人企業が支払う。
      • 求職者が手数料を支払うサービスはほとんどない。
    • 人材データベース
      • 求職者や潜在求職者の情報を、求人企業や職業紹介事業者に対して提供。
      • 求人企業や職業紹介事業者が求職者情報を検索し、スカウトを送付。
      • 求職者が自ら情報を登録するだけでなく、候補者の情報をクローリング・収集するサービスもある。
      • 条件に合致する求職者を求人企業等にリコメンド、ランク付けして提示する場合もある。
      • 定額制や成功報酬、スカウト送信従量制など、求人企業等の支払う手数料の態様は様々。
      • 求職者が定額の利用料を支払う場合も存在する。
    • アグリゲーター
      • 求人企業や職業紹介事業者、求人メディアが求人情報を登録。
      • 求人企業や職業紹介事業者、求人メディア等がインターネット上に公開する求人情報もアグリゲーターがクローリング・収集する。
      • 求職者は自ら求人情報を検索し、応募する。
      • 求職者の情報やサイト内の行動をもとに、検索結果の並び替えやリコメンドを行う場合もある。
      • 定額制やクリック課金による広告掲載料の徴収が多く、求人企業や求人メディアが支払う。
      • 求職者が手数料を支払うサービスはほとんどない。
    • SNS
      • 求職者、求人企業、職業紹介事業者を含め不特定多数の利用者が、自らの情報を開示するプラットフォーム。
      • 利用者同士がSNS内で意思疎通できる。
      • 求人情報として投稿することを目的とした機能を有するサービス(採用プラットフォーム)も存在する。
      • 利用者の登録情報や閲覧履歴を基に表示される情報も変化。
      • 定額制やクリック課金による広告掲載料、スカウト送信従量制など、求人企業等の支払う手数料の態様は様々。
      • 求職者が定額の利用料を支払う場合も存在する。
    • スポットマッチング
      • 求人企業が短時間の求人情報を登録する一方で、求職者もあらかじめ自らの情報を登録する。
      • 選考過程がほとんどなく、求職者の応募により、アプリ等のサービス内でマッチングが成立。
      • サービス内に蓄積された求人者・求職者評価などの情報も提供される。
      • 給与の立替払い機能が付加されているサービスも存在する。
      • 成功報酬により、求人企業が手数料を支払う場合が多い。
    • クラウドソーシング
      • 業務委託契約を締結する発注者と受注者のプラットフォーム。
      • 発注する業務・タスク情報を登録する発注者と、自分のスキル情報を登録する受注者が、互いの情報を検索することができる。
      • サービス内に蓄積された求人者・求職者評価などの情報も提供される。
      • 税務や代金回収など、受注者のバックオフィスとしての機能を有するサービスも存在する。
      • 成功報酬により、発注者が発注額の何割かを手数料として支払う場合が多い。
  • 新しいサービスの把握等
    • これまで人材サービスを提供していなかった事業者が参入し、比較的参入が容易な領域となっている。労働市場において雇用仲介サービスを行う者が守るべきルールを明確にすべき。
    • 多種多様なサービスが展開されている中で、一定の基準を満たす事業者を認定し、求職者と求人者の双方に対して利用を促すべき。
    • 新しいサービスを展開している事業者を把握できていないことは問題であり、イノベーションを阻害しない形での把握の仕組みの導入を検討するべき。
      1. 職業紹介優良事業者認定制度(39社)【許可事業者向け】
        • 経営の安定性、法令遵守の徹底、業務の適性運営等審査要件満たした事業者を、職業紹介優良事業者として認定する委託事業
      2. 医療・介護・保育分野適合紹介事業者宣言(367社)【許可事業者向け】
        • 医療・介護・保育分野の有料職業紹介事業を行っている事業者から、職業安定法及び職業安定法に基づく指針を遵守することを宣言いただく取組み
        • 今後、当該事業を行うことを予定している有料職業紹介事業者も宣言することが可能
      3. 求人情報提供ガイドライン適合メディア宣言(62社 128メディア)
        • 求人情報提供の適正化推進事業(委託事業)により、平成29年度に構築された「求人情報提供ガイドライン」について、同ガイドラインに沿った業務運営を行うことを社会に対し意思表明し、適正化の取組を進めていく制度
      4. 優良派遣事業者認定制度(152社)【許可事業者向け】
        • 法令遵守、派遣社員のキャリア形成支援やより良い労働環境の確保、派遣先でのトラブル予防など、派遣社員と派遣先の双方に安心できるサービス基準を満たした事業者を優良派遣事業者として認定する委託事業

~NEW~
厚生労働省 外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第5回)会議資料
▼【資料4】「外国人雇用対策の在り方に関する検討会」中間取りまとめに向けた骨子案
  1. 新型コロナウイルス感染症禍における外国人雇用の状況(第1回)
    1. 課題
      • コロナ禍において、外国人労働者は日本人と比べ相対的に離職しやすく、再就職しにくいのではないか、景気の影響を受けやすいのではないかということが考えられる。
      • 在留資格毎に賃金や雇用の状況が異なることが明らかとなった反面、既存の統計を用いた日本人との比較分析に一定の限界が認められた。
    2. 対応の方向性
      • 外国人に関する統計や届出等の個別データの分析等により、より詳細な状況の把握・分析に努めるべき。
      • 中長期的には、関係諸機関の連携による統計等の新たな整備等も含め検討すべき。
  2. 新型コロナウイルス感染症等の影響を受け困窮する外国人労働者等に対するハローワーク等の対応(第2回)
    1. 課題
      • コロナ禍での外国人労働者の困窮状況は、行政サービスへのアクセス等複合的な要因が重なって発生。
      • 帰国困難な外国人については就労が認められているが、ハローワークに来所しない者が多い上に、相応しい短期求人が不足。
    2. 対応の方向性
      • 困窮する外国人を支援するNPO法人や事業協同組合・企業組合等とハローワークの連携を強化(アウトリーチの強化や伴走型の支援など)すべき。
      • ハローワークにおいて、多言語相談体制の整備や、地域コミュニティや学校、留学生団体等を通じた各種情報の発信、データベースの整備による求人開拓の強化を行うべき。
      • 帰国困難者を念頭に、企業や民間職業紹介事業者等に対し、外国人向け求人の開拓や求められる職場のコミュニケーション能力の明示等を働きかけるべき。
  3. 外国人労働者の職場・地域での定着(第3回)
    1. 課題
      • 職場・地域での「良い定着」には、「良い受入れ」から考えることが重要。
      • 雇用管理の改善に当たっては、労働関係法令の遵守を前提として、外国人と日本人がより働きやすい職場を構築していく必要がある。
    2. 対応の方向性
      • 「地域外国人材受入れ・定着モデル事業」の着実な実施、成果の周知。優良な事業者や専門人材の育成に向けた検討を行うべき。
      • ハローワークで、支援ツールを活用した雇用管理改善指導・援助を行うべき。また、外国人労働者の育成に係る企業の能力の変化を経年で把握し、外国人労働者の定着を促進するための指導・援助に活かすべき。
  4. 国際的な人の移動の中での外国人雇用対策(第3回)
    1. 課題
      • 外国人労働者は、様々な背景・ルートにより就労や留学先となる国を選択。
      • アジア諸国の中では、送出し先としての日本の地位が上昇。
      • 外国人労働者の日本の職場・地域への定着のためには、送出し国から見た労働移動の動向にも着目する必要。
    2. 対応の方向性
      • 国際的な労働移動の状況やその変化、送出し国の状況を継続的に把握すべき。
      • ポストコロナも見据え、日本での就労を希望する外国人労働者にとって労働市場が円滑かつ適正に機能するような施策のあり方について検討すべき。
  5. 留学生の国内就職支援及び外国につながる子どものキャリア支援(第4回)
    1. 課題
      • コロナ禍で直近の留学生の新規求職者数は増加しており、注視が必要。一方で、近年、大学等卒業者の国内企業への就職率は上昇傾向にあるが、国内企業への就職の希望者の半分程度しか国内就職できていない。
      • 高度人材である在留外国人のキャリアアップのための支援が重要。
      • 日系人等定住外国人の子ども、就労目的で在留が認められる外国人の子どもについて、それぞれの課題に対応したキャリア支援が必要。
    2. 対応の方向性
      • 大学とハローワークとの連携協定の締結等により、留学生の国内就職を促進し、得られた好事例等を関係者に横展開すべき。
      • 留学生の就職活動や職場定着支援のための研修用モデルカリキュラムについて、大学等へ普及を図り、留学生に対する効果的な支援を促すべき。
      • キャリアコンサルタントの育成等を含めた外国人労働者へのキャリアアップ支援、企業における外国人労働者の就労環境の整備の支援を実施すべき。
      • 関係機関が連携し、子どものキャリア形成支援を行う取組を試行的に実施すべき。
  6. 就職や定着のための職場におけるコミュニケーションの改善と文化ギャップの克服の支援(第5回)
  7. 主要先進国の施策・研究を踏まえた検討(第1回~第4回)
    • OECD等の文献レビューにより示された主要先進国の課題を踏まえ、引き続き諸外国の施策・研究の動向を踏まえた議論を行う。

~NEW~
経済産業省 サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会(SX研究会)」を新たに立ち上げます
  • 近年のグローバルにおけるマルチステークホルダー議論や、ESG投資やSDGs経営の重要性の高まりから、サステナビリティに関しての企業と投資家の対話や非財務情報の開示に関心が高まっています。
  • 経済産業省では、2014年に『伊藤レポート』を発行して以来、2017年に『伊藤レポート2.0』『価値協創ガイダンス』を示し、中長期の企業価値向上に向けた企業と投資家の対話を後押ししてきました。さらに、昨年8月に、「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」において、対話の実質化を進めるために、社会のサステナビリティと企業のサステナビティを同期化し、長期の時間軸の中で、社会課題を経営に取り込むことで企業の稼ぐ力を強化していく「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」を提唱しました。
  • 今回、この「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」の取組を具体化させるため、「サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会(SX研究会)」を立ち上げます。
  • この研究会では、長期の時間軸の中で社会のサステナビリティを取り込む企業の長期の経営、サステナビリティ要素を取り込み中長期の企業価値向上に向けた企業と投資家との対話や非財務情報の開示に関する課題や在り方を明確にします。そして、そうした要素を、企業と投資家との対話の「共通言語」として策定された『価値協創ガイダンス』に反映することで、同ガイダンスを、サステナビリティを踏まえた企業と投資家の対話や統合的な情報開示のフレームワークとして改訂することを目指します。
  • また、こうした企業と投資家の、サステナビリティを踏まえた中長期の企業価値向上に資するための対話の課題や考え方を『伊藤レポート3.0』としてとりまとめる予定です。
    1. 目的・背景
      • 経済産業省は、伊藤レポート公表後の6年間のレビューを行った「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」(以下「実質化検討会」といいます。)において、投資家と企業の間の事業ポートフォリオやイノベーションに向けた種植え等の対話に関するギャップを解消するために、「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」(企業の稼ぐ力の持続的向上に向けた「長期の時間軸」を前提にした経営、社会のサステナビリティと企業のサステナビリティの時間軸を同期化し、社会課題を企業経営に時間軸を踏まえて取り込んでいく取組み、不確実性に備えるため企業と投資家と継続的な対話によるレジリエンスの強化等)の重要性を提唱いたしました(2020年8月中間取りまとめ公表)。
      • 近年、ステークホルダー資本主義が提唱されている中で、企業が創造すべき価値を、ステークホルダーそれぞれへの独立した価値と捉えるべきか、ステークホルダーに対する価値をバリューチェーンの中で還元した後に、最終的には株主に対して還元される価値と捉えるべきかについて、企業・投資家間で認識のギャップが存在しています。
      • また、非財務情報、特にサステナビリティの要請が企業の情報開示や投資家との対話の中でも高まっていますが、その際、社会環境等の外部性の企業への影響という企業の財務インパクトを重視するのか、企業による社会への影響という社会的なインパクトを重視するのかについて、国際的に多様な情報開示・対話のフレームワークが存在し、立場が異なっています。さらには、IFRS財団による非財務情報の開示に関する新たな審議会設立など国際的に非財務情報の開示に関するルールメイクについての議論が活性化してきています。
      • 経済産業省は、2017年に、「伊藤レポート2.0」の発表と併せて、中長期の価値創造の立場からの価値創造ストーリーに関する情報開示・対話のフレームワークとして『価値協創ガイダンス』を策定し、企業と投資家の対話を促進してきましたが、実質化検討会において指摘されたように、実質的な対話に向けた課題は、引き続き存在しています。
      • そのため、本研究会では、実質化検討会で提唱された企業のサステナビリティと社会のサステナビリティの同期化など「SX」の考え方を踏まえて、企業の長期経営や投資家の長期投資、それに伴う具体的な対話の課題や在り方を明確にします。また、その要素を『価値協創ガイダンス』に反映させることで、『価値協創ガイダンス』を、「SX」を踏まえた企業と投資家の対話や統合的な情報開示のフレームワークとして改訂するための検討を行います。
      • また、実質化検討会では、対話の実質化に向けたもう一つの課題として、対話の手法や対話そのものに対する企業間の認識のギャップが指摘され、それを改善するために実質的な対話の要素を整理しました。本研究会では、こうした要素についても整理を行った上で、同ガイダンスの改訂の検討を行います。
      • なお、本研究会の立ち上げと合わせて、非財務情報及びその指針に関する世界的な動向に関する情報の共有を行いながら、質の高い非財務情報の開示を実現する指針のあるべき方向性を検討するため、「非財務情報の開示指針研究会」も立ち上げる予定です。
    2. 本検討会で議論・検討を予定している事項・論点例
      1. グローバルなステークホルダーに関する議論を踏まえた、企業が創造すべき「価値」の考え方
        ※誰に対してどの媒体で何を伝えていくのかという整理
      2. 「SX」を踏まえた中長期の時間軸の中での経営や対話についての課題
        1. 企業のあるべき方向性、存在意義(パーパス)の特定・明確化
        2. 重要性(マテリアリティ)の考え方
        3. 長期の時間軸を前提にした長期ビジョン・長期経営計画等の経営戦略の構築の在り方
          • ※ 上記3点の連続性、一貫性の課題
          • ※ 長期ビジョン等と中期経営計画の連続性、財務・非財務の繋がりの課題
        4. 長期ビジョン等を達成するための具体的な戦略、取組(多角化・事業ポートフォリオ戦略、無形資産投資、イノベーションの種植え等)の考え方
          • (4)-1 時間軸を踏まえた事業ポートフォリオの考え方
          • (4)-2 無形資産投資の考え方
          • (4)-3 新規事業/イノベーションの種植えの考え方 等
        5. 長期の時間軸のガバナンスにについて
      3. 資本市場・投資家の課題
      4. 価値協創ガイダンスの課題

~NEW~
経済産業省 「令和2年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を取りまとめました
▼2021年版ものづくり白書(概要)
  • 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大のみにとどまらず、近年、我が国製造業のサプライチェーンのリスクとなる「不確実性」は高まる一方。加えて、世界各国でカーボンニュートラルやデジタルトランスフォーメーション(DX)の取組が急速に進展。
  • すなわち、「製造業のニューノーマル」は、レジリエンス・グリーン・デジタルを主軸に展開される。今回のものづくり白書では、これらの観点から我が国製造業の生き残り戦略に資する動向分析を行う。
  • コロナ禍の影響も受け、製造業各企業の売上高、営業利益は引き続き減少傾向にある。今後3年間の見通しも減少傾向にあり、依然として先行き不透明な状況が続く。
  • 設備投資額は、2019年まで増加傾向だったが、2020年はコロナ禍の影響も受けた業績低迷により減少。先行き不透明な状況が続くことにより、今後も設備投資は控える傾向にある。新型コロナウイルス感染症の感染拡大以外にも、多くの外的要因が我が国製造業の事業判断に影響を及ぼすものと考えられており、かつ、これらは事前に発生や変化を想定することが難しい。
  • 新型コロナウイルス感染症は、自然災害のような局所的被害ではなく、世界全体に予測不可能な形で被害をもたらした。このような中で、サプライチェーン全体を可視化した上での準備や、危機事象の内容にかかわらず残されたリソースでの事業継続を図るための想定を着実に進めることが、今後のレジリエンス強化には不可欠となる。さらには、「グリーン」や「デジタル」の分野での競争力のカギを握る半導体や蓄電池、川上のマテリアルに関するサプライチェーン構築・強靭化や、経済安全保障をめぐる国際動向をリスクのひとつとして精緻に把握しておくといった対応も必要となる。
  • サプライチェーンへの被害は、従来は自然災害によるものが中心。危機意識の高まりから、BCPを策定する企業も年々増加。
  • 新型コロナウイルス感染症の感染は、自然災害のような局所的被害ではなく、世界全体に拡大。需要減・受注減に加え、調達、物流などのサプライチェーンに支障をきたし、供給面にも影響。今後も世界的な「不確実性」の高まりが想定される中、自社の被害想定だけでなく、サプライチェーン全体を俯瞰し、調達先の分散など、多面的なリスク対応を通じてレジリエンスを強化していくことが求められる。
  • 国民生活を支える医療用物資について、コロナ禍での需要の高まりを受け、企業に増産を要請。将来の危機に備えて、引き続き国内サプライチェーン構築の取組を着実に進めていくことが重要。
  • 調達先の把握に関する取組は、東日本大震災以降も大半の企業において進展していないのが実態。また、その情報も定期的に更新していない事業者が半数を超える。こうしたサプライチェーンの「可視化」は容易な取組ではないが、平時のサプライチェーン再構築・強靭化のみならず、非常時における迅速な対応にも大きく寄与する。
  • サプライチェーンを俯瞰した際、その一端を担う物流の効率化も、引き続き重要な課題。ニューノーマルの生活様式においては、テレワークや巣ごもりが浸透し、人の移動の減少要因ともなる一方、ネットコンテンツやECの需要増は、物流の増加要因となる。物流のキャパシティに限りがある中で、こうした動きは、製造業における物流のボトルネック化を強める可能性もある。
  • サプライチェーン全体の俯瞰に加えて、危機の内容の違いに左右されずに事業を着実に継続していくことを目的とした「オールハザード型」のBCP策定も必要。人命保護のための初動や社内体制の構築に加えて、とりわけ、人員・設備が一部機能不全になったという「結果そのもの」に着目しつつ、係る状況下でも事業を継続するための「リソースベース」での想定を進めておくことが重要となる。
  • カーボンニュートラルやDXの取組が急速に進展する中、関連する製品・サービスの品質向上に重要な役割を果たす半導体や蓄電池、川上の各種マテリアルなどについては、技術開発やサプライチェーン構築・強靭化を通じた国内生産基盤の構築が、国際競争力強化に直結する。
  • 近年、国際的に貿易・投資が伸びる一方で、経済安全保障をめぐる国際情勢は大きく変化し、米中欧は輸出管理等の措置を強化している。製造事業者にとっては、各国の輸出管理上求められている内容を超えて、過度に萎縮する必要はないが、自社のサプライチェーンのリスクについて精緻に把握する等により、海外市場におけるビジネスが阻害されることのないよう万全の備えをしておくことが重要である。
  • 世界各国がカーボンニュートラルに舵を切る中で、我が国としても2050年までのカーボンニュートラルの実現を目指すと宣言。2020年12月にはグリーン成長戦略を策定し、技術革新を通じて今後の成長が期待される14の重要分野ごとに実行計画を策定。加えて、2兆円のグリーンイノベーション基金や研究開発税制などによって、企業の挑戦を積極的に後押し。また、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルへの取組や、金融機関によるグリーンファイナンスの導入などの動きも拡大。製造事業者は、積極的な行動変容により、カーボンニュートラルを成長のカギとすることが可能に。
  • 我が国を含めた各国政府は、2050年までのカーボンニュートラルを目指すことを表明。脱炭素社会の実現に向けた取組が世界で広がっている。我が国としても、エネルギーの安定供給の確保や環境保全への配慮などと両立しつつ、「経済と環境の好循環」を実現するための成長戦略としてカーボンニュートラルに取り組んでいく。
  • 製造業においても、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指して取り組むグローバル大企業が現れ始めている。今後、我が国のサプライヤーにおいても、このような動きに留意していく必要がある。
  • 国内外の様々な金融機関において、気候変動対応への取組状況を資金供給の判断材料のひとつとする「グリーンファイナンス」の手法が普及。製造業においても、効果的な資金調達を行うチャンスのひとつとして捉えていくべき。
  • 各企業は、自社がバリューチェーン上で担っている役割などをしっかりと把握しつつ、無線通信技術の活用なども含め、効率的かつ戦略的なDX投資を進めていく必要がある。政府においても、人材育成の促進に向けた環境構築、DX推進支援、各種取組の効果を高めるための研究開発支援などにより、企業の挑戦を積極的に後押し。また、DXの取組と表裏一体で必要となるサイバーセキュリティ対策にも、中小企業を含めたサプライチェーン全体をしっかりと巻き込みながら、官民一体で取り組んでいく。
  • 「不確実性」の高い世界では、環境変化に対応するために、組織内外の経営資源を再構成・再結合する経営者や組織の能力(ダイナミック・ケイパビリティ)が競争力の源泉となる。ダイナミック・ケイパビリティの要素は「感知」「捕捉」「変容」の三能力であり、これらの能力を高めるためには、デジタル化が有効であると、2020年版ものづくり白書で論じた。
  • 現状、DXの取組は、製造事業者に限らず多くの企業において未着手又は一部部門での実施にとどまっており、十分に進んでいるとはいえない。DXの推進には、経営ビジョンや戦略の策定による方向付けや、IT環境の構築・活用など、部門横断的な取組が必要。
  • DXの取組深化を図るには、企業単位での取組のみならず、業務時間以外でも個々人が積極的に学べる環境づくりや、EdTechも活用した若年層へのSTEAM教育の推進が重要となる。
  • 製造業におけるリモート化の取組は、レジリエンス強化のみならず、ノウハウのデジタル化や職人のトレーニングにも活用することで、日本のものづくりを支えてきた現場の優れた技術の未来への承継や更なる有効活用にもつなげることが期待される。
  • 製造事業者において、効率的かつ戦略的なDX投資を進めるためには、自社がバリューチェーン上で担っている役割(営業、設計開発、製造・・・)などを的確に把握することが大前提。
  • 製造現場での無線通信技術の活用も、ダイナミック・ケイパビリティ強化のカギ。状況に応じて柔軟・迅速に組み換えられる生産ラインは、平時のみならず、有事の際も代替生産や増産を可能たらしめ、サプライチェーンの維持に大きく貢献するものと考えられる。
  • 無線通信技術の進展は、将来、制御機械のクラウド化などを通じて、ハードウェアが担ってきた「制御技術(OT : Operational Technology)」と、生産計画全体を統括する「情報技術(IT : Information Technology)」との融合による市場のゲームチェンジにつながり得る。これはユーザー企業に加え、OT市場に優位性を有する我が国の産業機械メーカーにとっても重要な分岐点であり、今後、IT市場も視野に入れた事業展開を行うことが競争上重要となる。
  • DXの取組深化は、サイバー攻撃の対象範囲が従前よりも拡大することと表裏一体。レジリエンス強化の観点からも、中小企業も含めたサプライチェーン全体でのサイバーセキュリティ対策を、官民一体で着実に推進していくことが不可欠。
  • 第2章では、第1節において、デジタル化等の急速かつ広範な変化に直面しているものづくり企業が、どのように人材確保や育成に取り組んでいるのか等について分析し、企業と労働者双方が共同し、労働者の主体的な学びを後押ししつつ、社内全体で教育訓練を推進していくことが重要との示唆を得た。また、第2節においては、中小企業等における若者をはじめとした「ものづくり人材」の確保・育成に対する各種支援について、企業の取組事例とともに紹介している。
  • 公共職業能力開発施設における施設内訓練について、デジタル化等に対応した訓練の実施・拡大を図るとともに、更なるカリキュラムの開発・強化を推進。
  • 中小企業等の生産性向上を支援していくために、従前の施設内訓練に加えて、民間教育訓練機関も活用した形で、中小企業の個々のニーズ応じたオーダーメイド型の訓練等を強化。
  • 新型コロナウイルス感染症への対応として、公的職業訓練において、同時双方向型のオンライン訓練を実施中。
  • デジタル化等の急速かつ広範な変化に対応するためには、企業と労働者双方が共同し、労働者の主体的な学びを後押ししつつ、社内全体で教育訓練を推進していくことが重要。
  • 国内の製造業就業者数については、2002年の1,202万人から2020年には1,045万人と、約20年間で157万人減少し、全産業に占める製造業就業者の割合も減少傾向。また、若年就業者数も、2002年の384万人から2020年の259万人へと、約20年間で3割以上(125万人)減少。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、製造業における休業者数の対前年同月差については、緊急事態宣言が発出された2020年4月に急増し、対前年同月差で33万人の増加となったが、直近では、対前年同月差3万人増となっている。
  • ものづくり企業が新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて実施した雇用調整施策をみると、企業規模にかかわらず、「一時休業」や「残業の抑制・停止」の順で多くなっており、「パートなど非正社員の雇止め」や「正社員の解雇や希望退職」などの解雇・雇止めによる雇用調整は、割合としては少ない。ものづくり企業が新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて実施した人事労務管理施策については、おおむね大企業の方が取組が進んでいる一方で、中小企業については、「特に実施していない」企業が3割弱存在。
  • ものづくり企業におけるデジタル技術の活用状況は、「活用している」とした企業が54.0%に上り、「活用を検討している」も合わせると、7割以上の企業で、ものづくりデジタル技術の導入・活用に積極的であることがうかがえる。主力製品の製造に当たり重要となる作業の5年後の見通しについては、「今までどおり熟練技能が必要」と回答した企業割合が、多くの作業内容で50%を超えている。一方で、「機械やデジタル技術に代替される」とした企業も一定数存在しており、将来的に、中核作業が機械やデジタル施術に代替された場合には、7割以上の企業が、作業担当者に「デジタル技術を活かすための能力を身につける」ことを求めるとしている。
  • 3年前と比較した労働生産性の変化については、デジタル技術活用企業の方が、「向上した」との割合が高く、加えて、デジタル技術を活用したことで、「そのままの人員配置で、業務効率や成果が上がった」、「全体的な労働時間が減少した」とあり、労働生産性の向上や業務効率化の実現につながっているという示唆が得られた。ものづくり人材の育成・能力開発のために実施している取組について問うと、デジタル技術活用企業が、全ての項目において上回っており、かつ、労働者の主体的な学びを後押しする取組を積極的に行っていることがうかがえる。
  • デジタル技術を活用する上での課題は、デジタル技術導入の入口段階でのノウハウ・人材・予算の不足となっている。デジタル技術活用企業において、デジタル技術の導入・活用の先導的役割を果たしたのは、「経営トップ」が最多。デジタル技術の導入のノウハウに精通すべき社員層は、現場の業務内容を熟知した「デジタル技術を利用・活用した部門のリーダー社員」が最多。
  • デジタル技術の活用を進めるに当たり重要な取組について、デジタル技術活用企業では、「社員のデジタル技術活用促進に向けた意識改革」が最多。デジタル技術の活用に関するものづくり人材の確保に向けた取組について確認すると、デジタル技術活用企業では、中途採用によるデジタル技術に精通した外部人材の確保も行いつつ、主には、自社の社員へのデジタル技術に関する研修や教育訓練に注力して、人材の確保・育成を図っていることが分かる。
  • 公的職業訓練によるものづくり人材の育成
    • 職業能力開発促進法に基づき、公共職業能力開発施設を設置し、離職者訓練、在職者訓練、学卒者訓練を実施。
    • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大下での新たな取組として、公共職業訓練や求職者支援訓練において、同時双方向型によるオンライン訓練を実施。
    • 在職者訓練では、あらかじめ設定された訓練コースに加え、各企業の訓練ニーズに即して設定するオーダーメイド型の訓練も実施。
    • 職業能力開発総合大学校で企業の人材ニーズを把握するための調査を実施しており、調査結果を踏まえ、職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)及びポリテクカレッジの訓練カリキュラムの見直しを行っている。
  • 生産性向上人材育成支援センターによる中小企業の生産性向上に向けた支援
    • 生産性向上人材育成支援センターをポリテクセンター・ポリテクカレッジ等に設置し、中小企業等の労働生産性向上に向けた人材育成を支援することを目的として、個別企業の課題に合わせたオーダーメイド型の訓練を多数実施。
    • ものづくり分野において、実習を中心としたカリキュラムにより、「技能・技術などの向上」等といった生産現場の課題を解決するための訓練コースを体系的に実施。
    • 「研修を行いたいが講師がいない」、「研修場所がない」等の企業に、職業訓練指導員の派遣や機構施設の貸出等を行っている。
    • 同センターが実施する在職者訓練及び生産性向上支援訓練については、条件を満たせば人材開発支援助成金を受けることも可能。
  • 企業によるものづくり人材の育成に対する支援
    • 雇用する労働者に対して職業訓練を計画に沿って実施する事業主に対して、「人材開発支援助成金」を支給することで、企業内における労働者の人材開発の効果的な促進を図っている。
    • 熟練技能を承継するための職業訓練や若年労働者を育成するための職業訓練、労働生産性の向上に直結する職業訓練を実施した場合等は、助成率が高くなる。2021年4月より、高度なITスキルを持つ人材育成の支援として、ITSSレベル4及び3相当の教育訓練についても高率助成の対象とする見直しを行う。
  • 事業主団体等が実施する認定職業訓練
    • 都道府県知事の認定を受けた認定職業訓練を実施している中小企業事業主等に対して、国や都道府県が定める補助要件が満たされている場合、国及び都道府県から訓練経費等の一部につき補助を実施しており、金属・機械加工関係などのものづくり分野でも認定職業訓練は多く実施されている。
  • 若者のものづくり離れへの対応
    • ポリテクカレッジを始めとする学卒者訓練:全国のポリテクカレッジ等では、高等学校卒業者等に対し、ものづくり分野を中心とした訓練を実施。
    • 若年者への技能継承:ものづくり分野で優れた技能等を有する熟練技能者を「ものづくりマイスター」として認定し、企業等に派遣して若年技能者等に実技指導を実施(「ものづくりマイスター」制度)。そのほか、ITリテラシーの強化や、将来のIT人材育成に向けて、小学生から高校生に対して情報技術関連の優れた技能をもつ技能者を「ITマスター」として派遣。
    • ものづくりの魅力発信:卓越した技能者(現代の名工)の表彰や各種技能競技大会(技能五輪国際大会、技能五輪全国大会、全国障害者技能競技大会(アビリンピック)、若年者ものづくり競技大会、技能グランプリ等)を開催。
    • 地域若者サポートステーション:厚生労働省が委託した若者支援の実績やノウハウのあるNPO法人等が、若年無業者等に対する就労に向けた支援(キャリアコンサルタント等による相談や就労体験等)を実施。
  • 教育や科学技術イノベーション、文化芸術、スポーツの各分野において、DXに係る取組を早急かつ一体的に推進するため、「文部科学省におけるデジタル化推進プラン」を策定。小学校、中学校、高等学校におけるものづくりへの関心や教養を高める取組や大学・高専等における技術者育成を推進。Society 5.0を実現するための革新的な人工知能、ビッグデータ、IoT、マテリアル、光・量子技術などの未来社会の鍵となる先端的研究開発を推進。
  • 「文部科学省におけるデジタル化推進プラン」に基づき、GIGAスクール構想による1人1台端末の活用を始めとした学校教育の充実など教育におけるデジタル化や、デジタル社会の早期実現に向けた研究開発、文化芸術分野におけるDX化の取組等を進める。引き続き、小・中・高等学校の各教科における特色ある取組や、大学、高等専門学校、専門高校、専修学校等におけるものづくり人材を育成する取組を一層充実。人生100年時代に対応するため、社会人向けの教育プログラムの充実や学習環境の整備に取り組む。Society 5.0の実現に向け、科学技術・イノベーション基本計画に基づき、総合知やエビデンスを活用しつつ、バックキャストにより政策を立案し、イノベーションの創出を図る。
  • 新型コロナ感染症の感染拡大に伴い、急激に進展したデジタル化やオンライン化に我が国の社会構造が追いついていけず、産業界や教育など様々な場面や活動に影響。ポスト・コロナを含め今後の社会においては、デジタル化促進の重要性が益々増加していくと想定。教育や科学技術イノベーション、文化芸術、スポーツの各分野において、DXに係る取組を早急かつ一体的に推進するため、「文部科学省におけるデジタル化推進プラン」を策定。
  • 我が国の競争力を支えるものづくりの次世代を担う人材を育成するため、ものづくりへの関心・素養を高める小学校、中学校、高等学校における特色ある取組の実施や、大学における工学系教育改革、高等専門学校における人材育成など、ものづくりに関する教育の一層の充実が必要。大学における工学関係学科、高等専門学校、専門高校(工業に関する学科)、専修学校においては、我が国のものづくりを支える高度な技術者などを多数輩出している。
  • 人生100年時代に対応するため、社会人の学び直しなど生涯現役社会の実現に向けた取組が必要であるが、現時点では大学などにおける社会人の学びは進んでいない状況。社会人向けの教育プログラムの充実や学習環境の整備に取り組む。
  • 我が国の女性研究者の割合は年々増加傾向にあるものの、先進諸国と比較すると依然として低い水準。女性がものづくりや理数系分野への関心を高めることができるような取組や、女性研究者などが自らの力を最大限に発揮できるような環境整備を実施。
  • 過疎化や少子高齢化などを背景に文化財の担い手が減少し、その確実な継承が危機に瀕していることを踏まえ、文化財保護法を改正。文化財の保存・活用に係る地域人材の参画促進や伝統工芸の体験活動などにより、文化芸術資源から生み出される新たな価値と継承を図る。
  • 国内外における情勢変化と新型コロナウイルス感染症拡大の中、科学技術・イノベーション政策については、Society 5.0の前提となる研究環境等のデジタル化が十分進んでいない。Society 5.0の実現に向け、科学技術・イノベーション基本計画に基づき、総合知やエビデンスを活用しつつ、バックキャストにより政策を立案し、イノベーションの創出により社会変革を進めていく。革新的な人工知能、ビッグデータ、IoT、マテリアル、光・量子技術などの未来社会の鍵となる先端的研究開発の推進が必要。
  • 省庁横断的プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」や「官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)」などの取組により、官民連携による基盤技術の研究開発とその社会実装を着実に推進。

~NEW~
経済産業省「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」を策定しました
▼(概要)クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針
  • トランジションへの資金供給の重要性
    • パリ協定や2050年カーボンニュートラルの実現には、再生可能エネルギー等へのグリーン投資の一層の推進に加え、排出削減が困難なセクターにおける低炭素化に向けた取組など、脱炭素への移行(トランジション)に資する取り組みに対する十分な資金供給がなされることが重要となる。
    • そのため、本基本指針は、産業界が脱炭素・低炭素投資を行う際に、トランジションとラベルを付して資金調達を行うことを可能とするために、ボンドやローンなどで調達する際の総則的な内容を整理した手引きとして策定された。この分野の国際的な金融市場のコンセンサスである国際資本市場協会(ICMA)のクライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブックとの整合性に配慮しつつ、資金調達社、資金供給者、その他市場関係者が具体的な対応を検討する際に参考となるものである。
  • 戦略を踏まえた総合的な判断
    • トランジション・ファイナンスとは、気候変動リスクへの対策を検討している企業が、脱炭素社会の実現に向けて、長期的な戦略に則った温室効果ガス削減の取組を行っている場合にその取組を支援することを目的とした金融手法である。
    • 特に、我が国においては、2050年カーボンニュートラルの実現を目指すため、パリ協定に整合的な目標設定を行い、本基本指針に定める要素を満たした上で、資金調達を行う動きを支援するためのファイナンス(資金供給)と位置づけられる。
    • トランジション・ファイナンスは、調達した資金の充当対象のみではなく、資金調達者の戦略や実践に対する信頼性を重ね合わせて判断する必要がある。
  • トランジション・ファイナンスの位置付け
    • トランジション・ファイナンスは、資金の充当対象は幅広いが、パリ協定と整合した長期目標を実現する戦略が明確に必要なため、より将来に対して野心的な取組を担保する主体へのファイナンスであり、グリーンボンド等と同様に脱炭素社会の実現に向けて極めて重要な手段である。
  • トランジション・ファイナンスは、本基本指針の四要素を満たすとともに、調達のプロセス等については、既存の原則・ガイドラインの要素を満たすことが求められる
    1. 資金使途は、グリーンプロジェクトではないが、トランジションの四要素を満たすもの
    2. トランジションの四要素を満たし、トランジション戦略に沿った目標設定を行い、その達成に応じて借入条件等が変動する資金使途不特定のもの
    3. 資金使途がグリーンプロジェクトであり、トランジヨン・ファイナンスの四要素を満たすもの
  • 各要素におけるポイント
    1. 発行体のクライメート・トランジション戦略とガバナンス
      1. トランジション・ファイナンスの目的
        • パリ協定の目標に整合した目標や脱炭素化に向けて、事業変革をする意図が含まれたトランジション戦略の実現
        • トランジション戦略の実行では、気候変動以外の環境及び社会への寄与も考慮(「公正な移行」)
      2. トランジション戦略とガバナンスの開示
        • TCFD提言などのフレームワークに整合した開示も可能
    2. ビジネスにおける環境面のマテリアリティ(重要度)
      1. トランジション戦略の対象となる取組
        • 現在及び将来において環境面で重要となる中核的な事業活動(気候変動を自社のマテリアリティの一つとして特定している資金調達者の事業活動を含む)
    3. 科学的根拠のあるクライメート・トランジション戦略(目標と経路)
      1. 科学的根拠のある目標と経路
        • 科学的根拠のある目標とは、パリ協定の目標の実現に必要な削減目標(Scope1~3が対象)
        • 短中期目標は長期目標の経路上に設定
        • 目標は地域や業種の特性など様々な事項を考慮して設定するため、経路は多様
      2. 参照・ベンチマーク
        • 国際的に認知されたシナリオ:IEAのSDSなどのシナリオ
        • 国際的に認知されたNGO等による検討:SBTiなど
        • パリ協定と整合し、科学的根拠のある国別の削減目標や業種別のロードマップなど
    4. 実施の透明性
      1. 投資計画の対象
        • 設備投資(Capex)だけでなく、業務費や運営費(Opex)
        • 研究開発費(R&D)、M&A、解体・撤去費用
      2. 投資計画の実行による成果とインパクト
        • 可能な場合には定量的な指標
        • 定量化が困難な場合には、定性的な指標として外部認証を利用
        • 「公正な移行」への配慮を組み込む

~NEW~
総務省 モバイル・サービス合同会社に対する犯罪収益移転防止法違反に係る是正命令
  1. 総務省は、犯罪による収益の移転防止に関する法律※(平成19年法律第22号。以下「法」といいます。)に違反した電話転送サービス業を営むモバイル・サービス合同会社に対し、法第18条の規定に基づき、確認記録の作成義務に係る違反行為を是正するために必要な措置をとるべきことを命じました。
    • ※ 同法では特定事業者に対し、一定の取引について顧客等の取引時確認等を行うとともに、その記録を作成する等の義務を課しており、電話転送サービス事業者は、同法の特定事業者として規定されています。
  2. 事業者の概要
    • 名称:モバイル・サービス合同会社
    • 代表者:代表社員 高岩 晃治
    • 所在地:東京都新宿区西新宿6-26-9
  3. 事案の経緯
    • モバイル・サービス合同会社(以下「モバイル・サービス」といいます。)が法に定める義務に違反していることが認められたとして、国家公安委員会から総務大臣に対して同法に基づく意見陳述が行われました。
    • これを踏まえ、総務省において当該事業者に対して報告徴収を行った結果、法違反が認められたため、当該事業者への処分を行うものです。
  4. 違反行為の内容
    • 国家公安委員会による意見陳述を踏まえ、総務省において報告徴収を行った結果、モバイル・サービスにおいて、平成25年4月1日以降に締結した電話転送サービス提供に係る契約について、法第6条第1項に基づく確認記録の作成義務違反が認められる。
  5. 命令の内容
    • 上述の違反行為を是正するため、令和3年5月25日、モバイル・サービスに対し、法第18条の規定に基づき、関係法令に対する理解・遵守の徹底、再発防止策の策定等必要な措置をとるべきことを命じました。

~NEW~
総務省 販売代理店の業務の適正性確保に向けた指導等の措置の実施に係る要請
▼別添
  • 総務省は本日、株式会社NTTドコモ(代表取締役社長 井伊 基之)、KDDI株式会社(代表取締役社長 髙橋 誠)及びソフトバンク株式会社(代表取締役社長執行役員兼CEO 宮川 潤一)並びに一般社団法人全国携帯電話販売代理店協会(会長 金治 伸隆)に対して、携帯電話の販売代理店の業務の適正性確保に向けた指導等の措置を改めて実施するよう要請を行いました。
  • 全国に約8,000ある大手携帯電話事業者の店舗(いわゆる「キャリアショップ」※)は、携帯電話サービスの契約やアフターサービスを扱う利用者にとって最も身近な窓口となっています。
    • 携帯電話事業者の直営店もあるが、その大半は販売代理店が運営。
  • 特に、携帯電話事業者は様々な料金プランやオプションを提供していることから、利用者が自らのニーズに合った内容の契約を選択することは容易ではありません。このため、利用者が対面で説明やサポート等を受けることができるキャリアショップの果たす役割は大きいものとなっています。
  • しかし、総務省の調査(本年4月26日公表)では、主に次の結果が得られました。
    • キャリアショップ店員向けのアンケートで、回答者の4割超が利用者のニーズ等を丁寧に確認せずに上位の料金プランを勧誘したことがあると回答。
    • そのうち4割超が携帯電話事業者の営業目標をこうした勧誘の要因として指摘。
    • 覆面調査で、相当程度の販売代理店において、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第27条の3に基づく規律の趣旨に反する端末販売拒否を確認。
  • キャリアショップにおいてこのような不適切な行為が行われた場合、利用者利益の保護や公正な競争の促進に著しい支障を来すおそれがあります。
  • このため、本日、総務省では、株式会社NTTドコモ、KDDI株式会社及びソフトバンク株式会社に対して、それぞれの販売代理店において上記のような行為が行われないよう、指導等の措置を改めて徹底するよう要請を行うとともに、一般社団法人全国携帯電話販売代理店協会に対して、加盟各社への周知等を行うよう要請を行いました。
  • なお、携帯電話事業者と販売代理店との関係については、「消費者保護ルールの在り方に関する検討会」(座長:新美育文 明治大学法学部名誉教授)及び「電気通信市場検証会議 競争ルールの検証に関するWG」(主査:新美育文 明治大学法学部名誉教授)においても検討が進められているところであり、総務省では、その結論も踏まえ、公正取引委員会や消費者庁とも連携しつつ、モバイル市場における利用者利益の保護や公正な競争の促進のために必要な取組を進めてまいります。

~NEW~
総務省 「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」改正案及び「eSIMサービスの促進に関するガイドライン」(案)に関する意見募集
▼「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」改正案
  • SIMロックの原則禁止
    • 次の(1)から(3)までに掲げる行為は、SIMロックを設定する正当な理由があるものとは認められない。
      1. 電気通信回線設備を設置して携帯電話の電気通信役務を提供する事業者において、当該電気通信回線設備と接続し、又は当該事業者から卸電気通信役務の提供を受けて提供される仮想移動電気通信サービスにおける端末の利用を制限するSIMロックを設定する行為。
      2. 事業者が、端末の割賦代金等を支払わない行為又は端末の詐取を目的とした役務契約その他の不適切な行為(以下「割賦代金不払行為等」という。)のおそれがないことが確認できた場合においてSIMロックを設定する行為。ここで、「割賦代金不払行為等のおそれがないことが確認できた場合」とは、次の場合をいう。
        • 端末の販売時に端末代金が一括で支払われた場合
        • 割賦代金不払行為等が行われるおそれが低いことを確認することができる措置(当該措置に応ずる者に過度の負担とならないものに限る。以下「信用確認措置」という。)に端末購入者が応じた場合であって端末の引渡しの時までにその結果が適正であることの確認ができた場合
      3. 割賦代金等不払行為等のおそれが低いことが確認できない者に対して、利用者(端末を事業者から購入した者であって当該事業者と役務契約を締結していたもののうち既に当該役務契約を解除したもの、端末を事業者から購入した者であって当該事業者と役務契約を締結していなかったもの及び事業者の販売した端末を当該事業者以外の者から入手した者を含む。以下同じ。)の権利や競争への制限効果がより低い他の代替的な手段により割賦代金等不払行為等を防ぐことが可能であるにもかかわらずSIMロックを設定する行為。
  • 例外的にSIMロックの設定が必要と認められる場合の対応
    1. 例外的にSIMロックの設定が必要な場合の考え方
      • 利用者の権利や競争への制限効果がより低い他の代替的な手段により割賦代金等不払行為等を防ぐことが可能であるにもかかわらずSIMロックを設定する行為は、正当な理由があるものとは認められない。
      • ただし、割賦代金等不払行為等が行われるおそれが低いことが確認できない場合において、利用者の権利や競争への制限効果がより低い他の代替的な手段では割賦代金不払行為等を防止することが困難であると認められる場合には、(2)で定める総務省の確認を得ることにより、例外的に、SIMロックを設定することが認められる場合がある。
    2. SIMロックの必要性についての確認
      1. 事業者内での事前の十分な検討
        • SIMロックを設定することが必要と考える事業者は、その必要性及び他の代替的な手段によって対応ができないかについて、まず事業者内にて十分に検討を行うものとする。
      2. 総務省の確認を得るための必要資料
        • 上記の検討を経た上で、SIMロックを設定しようとする事業者は、あらかじめ、次に掲げる事項についての資料を準備し、総務省の確認を得るものとする。
          1. 事業者内における事前の検討の経緯及び検討体制
          2. SIMロックを設定する目的
          3. ⅱの目的を実現するための手段として検討したSIMロック以外の一又は二以上の手段並びに当該手段ではⅱの目的が達成されない理由及びその根拠(根拠となる定量的データを含む。)
          4. 次に掲げる事項を記載した運用計画
            1. SIMロックを設定する予定時期
            2. 対象となる機種
            3. SIMロックを設定した端末を渡す対象者
            4. SIMロックを設定した際の利用者及び競争への影響を最小化するための考え方及び取組
          5. SIMロックの設定及び解除の具体的な手順を示した運用方針
          6. その他総務省が確認を行う上で必要と考える事項
      3. 利用者及び競争への影響を最小化するための取組として記載すべき内容
        • 上記において記載する取組は、原則として、少なくとも次のⅰからⅲまでに定める内容を満たすものでなければならない。
          1. SIMロックを設定する場合においても、次のイからニまでに定める期間を超えてSIMロックを設定することはできない。イからニまでに定める期間を超えた場合には、事業者は、利用者にSIMロック解除の申込み等の手続を課すことなく、無料でSIMロックを解除するものとする。
            1. 端末代金の総額が支払われた場合(端末の販売時に端末代金が一括で支払われた場合を除く。)事業者が当該端末代金の総額の支払を確認できるまでの期間
            2. 信用確認措置に購入者が応じた場合であってその結果が適正であることの確認ができたとき(端末の引渡しの時までにその確認ができたときを除く。)事業者が当該確認をできるまでの期間
            3. 事業者から過去にSIMロックを設定した端末を購入したことがある者であって当該端末についてSIMロック解除を受けたことがあるものがSIMロック解除の申込みをした場合最後にSIMロック解除を受けた日から起算して100日程度を越えない超えない期間
            4. 上記3点に掲げる場合以外の場合100日程度を超えない期間
          2. SIMロックを設定する場合には、事業者は、SIMロックが設定されているか否かを利用者がインターネットや電話による簡易な手段により確認することができる手段を設けるものとする。また、SIMロックの設定が不要になった場合には、事業者は、利用者にSIMロック解除の申込み等の手続を課すことなく、無料でSIMロックを解除するものとする。
          3. 利用者への周知及び説明の徹底
            • 事業者は、SIMロックを設定することについては、テレビ広告やインターネット広告などの手段を活用する等積極的な周知・情報発信により、利用者(潜在的な利用者を含む。)が確実に理解できるように取り組むものとする。
            • 事業者は、次の各号に掲げる場合において、それぞれ当該各号に掲げる事項について、店頭での説明、パンフレットやホームページへの掲載等により利用者が確実に理解できるよう取り組むものとする。
              • SIMロックを設定した端末を販売する場合
                • 当該端末にSIMロックが設定されているか否か
                • SIMロック解除に対応する端末であるか否か
                • SIMロック解除に係る条件及び手続
              • 役務契約を解除する場合(事業者で販売したSIMロックが設定されている端末を有する利用者に限る。)
                • SIMロック解除に対応する端末であるか否か
                • SIMロック解除に係る条件及び手続
              • SIMロック解除を行う場合
                • SIMロック解除に係る条件及び手続
      4. 総務省による有識者の意見の聴取
        • 総務省は、確認を行うに当たり、必要に応じて有識者の意見を聴取する。その際には、事業者の経営情報の管理に十分に配慮する。
  • 事後の報告
    • SIMロックを設定した端末を販売した事業者は、販売が開始された月から解除がなされた月まで毎月、次の事項について月ごとの状況をまとめた資料を作成し、その翌月末までに総務省へ報告するものとする。
      • 販売した端末の機種、販売した対象者、販売が行われたチャネル(店舗で行われた場合はその店舗名)、機種毎の販売台数
      • 機種毎に解除された台数
▼「eSIMサービスの促進に関するガイドライン」(案)
  • eSIMサービスは、SIMを差し替えることや対面・書面での手続を必要とすることなく、オンラインで事業者の変更を可能とするものであり、利用者による事業者の変更の円滑化を通じた公正競争環境の確保や海外旅行者を含む利用者の利便性の向上に資するものである。
  • MNOがeSIMサービスについて技術的又は経済的に著しく困難である等正当な理由なくその提供を行わないこと、又はMVNOがeSIMサービスを提供する際にMNO設備の機能の提供が必要であるにもかかわらず、MNOがその機能を適正な条件で提供しないことにより、電気通信の健全な発達又は利用者の利便の確保に支障が生じるおそれがあるときは、業務の改善命令の要件(電気通信事業法第29条第1項第12号)に該当する。
  • 上記を踏まえ、公正競争環境や利用者の利便性を確保する観点から、事業者は、eSIMサービスを提供するに当たり、次のとおり実施することが適当である。
    1. eSIMサービスの提供方法等
      1. MNOは、eSIMサービスの提供をすること。特に、端末の大宗を占めるスマートフォンでのeSIMサービスの提供については、利用者の利便性等に与える影響が大きいことから、実施していない事業者においては、速やかな導入が強く望まれる。
      2. MVNOがeSIMサービスを提供するためには、その多くがMNOの設備の機能の提供を受ける必要があるため、MNOは当該提供を可能とするRSP機能の開放を行うこと。
      3. 上記のRSP機能の開放に併せて、当該RSP機能に付随するオペレーションシステムのAPI連携をMVNOが希望する場合には、MNOは、当該MVNOと当該API連携を行うよう努めること。
      4. RSP機能の開放以外のeSIMサービスの提供形態について、MVNOから具体的な提案がある場合には、MNOは、当該提案について真摯に協議に応ずること。
    2. eSIMサービスに伴う本人確認
      • eSIMサービスの契約締結に伴う本人確認については、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(平成17年法律第31号)第2条第2項に規定する携帯音声通信役務につい
      • て行うことが求められるものであり、当該携帯音声通信役務以外の役務についても本人確認を行うことが望ましいものであるところ、特に、利用者から事業者の変更をオンラインで完結することについて求めがある場合には、事業者は、役務の別を問わず、eSIMサービスの提供に際してeKYCによる本人確認を可能とすることが適当である。
  • eSIMサービスの促進に当たり留意すべき事項
    1. 利用者へのサポートの充実
      • 利用者がeSIMサービスの提供を受けるためには、利用者が自らオンラインでeSIMサービスに係る申込から開通までの設定等の手続を行う必要があるため、事業者においては、ベンダーとも協力しながら、以下の項目を含めた利用者へのサポートを充実させることとする。
        1. 利用者に対するeSIMサービスの認知度の向上を図るための周知徹底
        2. 一定のオンライン環境が必要となることなどeSIMサービスを利用する上で必要となる情報の提供
        3. 申込から開通までの設定等の手続をオンラインで行う際及びサービス利用時に不具合が発生した際のサポート体制の充実
    2. セキュリティの確保
      • eSIMサービスを提供する際、プロファイルをオンラインで端末に書き込む等を行うことになるため、仮にセキュリティが確保できない場合には、プロファイルの不正入手によるクローンSIMの作成等の危険性が排除されず、利用者の利便が十分に確保されないおそれがある。このため、以下の取組を通じてセキュリティを確保することが重要である。
        • MNO及びMVNOは、それぞれの責務の範囲内で、GSMAによる認証を受けたサーバや暗号化された通信を利用等することによって、ベンダーと協力し、現行のカード型SIMを用いるサービスと同等のセキュリティを確保することとする。
        • 上記の措置を講じる際には、MNOは、MVNOによる円滑なeSIMサービスの提供を確保することに留意することとする。

~NEW~
国土交通省 令和7年度までの社会資本整備の道しるべとなる計画策定~第5次「社会資本整備重点計画」を本日閣議決定~
▼第5次社会資本整備重点計画の概要
  • 第4次計画からの社会情勢の変化
    1. 激甚化・頻発化する自然災害
    2. 人口減少等による地域社会の変化
    3. 国内外の経済状況の変化
    4. 加速化するインフラの老朽化
    5. デジタル革命の加速
    6. グリーン社会の実現に向けた動き(2050年カーボンニュートラル等)・ライフスタイルや価値観の多様化
    7. 新型コロナウイルス感染症による変化(デジタル化の必要性、サプライチェーンの国内回帰、地方移住への関心の高まりや東京一極集中リスクの認識拡大等)
  • 社会資本整備の取組の方向性
    • 社会資本整備の中長期的な目的
      • 国民が「真の豊かさ」を実感できる社会を構築する。
      • そのため「安全・安心の確保」、「持続可能な地域社会の形成」、「経済成長の実現」の3つの中長期的目的に資する社会資本を重点的に整備し、ストック効果の最大化を目指す。
    • 5年後の短期的目標及びその達成に向けた取組の方向性
      • 3つの中長期的目的及び社会情勢の変化を踏まえ、5年後を目途に6つの短期的目標を設定。
      • 特に、「新たな日常」や2050年カーボンニュートラルの実現を見据え、インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション(DX)や脱炭素化、サプライチェーンの強靱化・最適化、新たな人の流れを支えるための基盤整備等に取り組むことが必要。
      • 目標達成に向け、社会資本整備のストック効果を最大限発揮させるためには、社会資本整備に「総力」、「インフラ経営」の視点を取り入れ、「正のスパイラル」を生み出すことが必要不可欠。
  • 重点目標1:防災・減災が主流となる社会の実現
    • 激甚化・頻発化する、または切迫する風水害・土砂災害・地震・津波・噴火・豪雪等の自然災害に対し、強くてしなやかになるようにする対策がなされ、国民が安心して生活を送ることができる社会をつくる。
      • 1-1 気候変動の影響等を踏まえた「流域治水」等の推進(「流域治水」等の推進)
      • 1-2 切迫する地震・津波等の災害に対するリスクの低減(公共土木施設等の耐震化等)
      • 1-3 災害時における交通機能の確保(災害に強い交通ネットワークの構築)
      • 1-4 災害リスクを前提とした危機管理対策の強化(TEC-FORCEの高度化や避難体制の確保、建設産業の担い手確保等)
  • 重点目標2:持続可能なインフラメンテナンス
    • 予防保全に基づくインフラメンテナンスへの本格転換による維持管理・更新に係るトータルコストの縮減や、新技術等の導入促進によるインフラメンテナンスの高度化・効率化等を進め、インフラが持つ機能が将来にわたって適切に発揮できる、持続可能なインフラメンテナンスを実現する。
      • 2-1 計画的なインフラメンテナンスの推進(予防保全への転換やメンテナンス体制の確保)
      • 2-2 新技術の活用等によるインフラメンテナンスの高度化・効率化(新技術やデータ活用の促進)
      • 2-3 集約・再編等によるインフラストックの適正化(施設の集約化・複合化等の取組推進)
  • 重点目標3:持続可能で暮らしやすい地域社会の実現
    • 東京一極集中型から、個人や企業が集積する地域が全国に分散しそれぞれの核が連携し合う多核連携型の国土づくりを進め、テレワークや二地域居住など新たな暮らし方、働き方、住まい方を支えるための基盤を構築する。また、高齢者、障害者、子ども、子育て世代など、全ての人が安全・安心で不自由なく生活できるユニバーサルデザインのまちづくり、地域の自然や歴史文化に根ざした魅力・個性を活かしたまちづくりを進め、持続可能で暮らしやすい地域社会・地方創生を実現する。
      • 3-1 魅力的なコンパクトシティの形成(コンパクト・プラス・ネットワークの推進、オープンスペースの充実等)
      • 3-2 新たな人の流れや地域間交流の促進のための基盤整備(道路・鉄道・航空・海運等の交通ネットワーク整備)
      • 3-3 安全な移動・生活空間の整備(子どもや高齢者等の安全確保)
      • 3-4 バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進(公共施設等のバリアフリーや心のバリアフリーの推進)
  • 重点目標4:経済の好循環を支える基盤整備
    • 持続的な経済成長の実現やリスクに強い社会経済構造の構築に向け、我が国の競争力強化等に資する社会資本の重点整備やインフラ輸出により、経済の好循環を作り上げるとともに、ポストコロナ時代において地域経済を支える観光の活性化に向けた基盤整備を行い、地域経済を再生させる。
      • 4-1 サプライチェーン全体の強靱化・最適化(物流ネットワークの構築、物流DX)
      • 4-2 地域経済を支える観光活性化等に向けた基盤整備(国際空港の機能強化、観光客受入環境整備等)
      • 4-3 民間投資の誘発による都市の国際競争力の強化(都市の国際競争力強化、PFIによる官民連携)
      • 4-4 我が国の「質の高いインフラシステム」の戦略的な海外展開(海外展開に取り組む企業支援)
  • 重点目標5:インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション(DX)
    • 「新たな日常」の実現も見据え、情報技術の利活用、新技術の社会実装を通じた社会資本整備分野のデジタル化・スマート化により、インフラや公共サービスを変革し、働き方改革・生産性向上を進めるとともに、インフラへの国民理解の促進や、安全・安心で豊かな生活の実現を図る。
      • 5-1 社会資本整備のデジタル化・スマート化による働き方改革・生産性向上(データプラットフォームの構築、建設現場におけるDXの推進等)
      • 5-2 新技術の社会実装によるインフラの新価値の創造(スマートシティやAIターミナル等の推進)
  • 重点目標6:インフラ分野の脱炭素化・インフラ空間の多面的な利活用による生活の質の向上
    • インフラ分野の脱炭素化等によりグリーン社会の実現を目指すとともに、インフラの機能・空間を多面的・複合的に利活用することにより、インフラのストック効果を最大化し、国民の生活の質を向上させる。
      • 6-1 グリーン社会の実現(2050年カーボンニュートラルに向けた、地球温暖化対策(カーボンニュートラルポートの形成、低炭素都市づくりの推進、木造建築物の普及促進等)、グリーンインフラ等の推進)
      • 6-2 人を中心に据えたインフラ空間の見直し(居心地が良く歩きたくなるまちなかの創出、インフラツーリズムの推進等)

~NEW~
国土交通省 令和7年度までの交通政策の道しるべとなる計画策定~第2次「交通政策基本計画」を本日閣議決定~
▼【参考】第2次交通政策基本計画(概要)
  • 我が国の課題
    • 人口減少・超高齢社会への対応
    • デジタル化・DXの推進
    • 防災・減災、国土強靱化
    • 2050年カーボンニュートラルの実現
    • 新型コロナ対策
  • 交通が直面する危機
    • 地域におけるモビリティ危機(需要縮小による経営悪化、人手不足等)
    • 物流における深刻な労働力不足等
    • デジタル化、モビリティ革命等の停滞
    • 交通に係る安全・安心の課題(自然災害、老朽化、重大事故等)
    • 運輸部門での地球温暖化対策の遅れ
    • 新型コロナウイルス感染症の影響(旅客の輸送需要の大幅減少、テレワーク等の普及、デジタル化の進展、電子商取引(EC)市場の進展、防疫意識の浸透 等)
  • 今後の交通政策の基本的方針:危機を乗り越えるため、多様な主体の連携・協働の下、あらゆる施策を総動員して取り組み
    1. 誰もが、より快適で容易に移動できる、生活に不可欠な交通の維持・確保/持続可能で強靱、高度なサービスを提供する「次世代型の交通システム」へ転換
      1. 新たに取り組む政策 等
        • 「事業者の連携の促進」等による地域の輸送サービスの維持確保
        • 公共交通指向型の都市開発(TOD)
        • 大都市鉄道等の混雑緩和策の検討(ダイナミックプライシング等)
        • MaaSや更なるバリアフリー化推進
        • 多様なモビリティの普及(小型電動モビリティ、電動車いす等)等
      2. 目標
        • 地域が自らデザインする、持続可能で、多様かつ質の高いモビリティの実現
        • まちづくりと連携した地域構造のコンパクト・プラス・ネットワーク化の推進
        • まちづくりと公共交通の連携強化
        • 交通インフラ等のバリアフリー化、ユニバーサルデザイン化の推進
        • 観光やビジネスの交流拡大に向けた環境整備
    2. 我が国の経済成長を支える、高機能で生産性の高い交通ネットワーク・システムへの強化
      1. 新たに取り組む政策 等
        • 公共交通のデジタル化、データオープン化運輸行政手続のオンライン化
        • 物流DX実現、労働環境改善等の構造改革、強靭で持続可能な物流ネットワーク構築
        • 自動運転車の早期実用化、自動運航船、ドローン、空飛ぶクルマ等の実証・検討
        • 陸海空の基幹的な高速交通網の形成・維持
        • インフラシステムの海外展開 等
      2. 目標
        • 人・モノの流動の拡大に必要な交通インフラ・サービスの拡充・強化
        • 交通分野のデジタル化等による交通産業力の強化
        • サプライチェーン全体の徹底した最適化等による物流機能の確保
    3. 災害や疫病、事故など異常時にこそ、安全・安心が徹底的に確保された、持続可能でグリーンな交通の実現
      1. 新たに取り組む政策 等
        • 事業者への「運輸防災マネジメント」導入
        • 災害時の統括的な交通マネジメント
        • 交通インフラのメンテナンスの徹底
        • 公共交通機関の衛生対策等への支援
        • 「安全運転サポカー」の性能向上・普及
        • 働き方改革の推進による人材の確保・育成
        • 脱炭素化に向けた取組(港湾・海事・航空分野、物流・人流分野) 等
      2. 目標
        • 災害リスクの高まりや、インフラ老朽化に対応した交通基盤の構築
        • 輸送の安全・安心の確保と、交通関連事業を支える担い手の維持・確保
        • 運輸部門における脱炭素化等の加速

~NEW~
国土交通省 新たな「土地基本方針」の閣議決定及び土地に関する広報の実施~土地政策の推進のための新たな方針の決定と、土地に関する広報活動の強化~
  1. 背景
    • 改正土地基本法に基づき令和2年5月に策定された「土地基本方針」は、人口減少時代に対応した土地政策の総合的な推進を図るための具体的施策の方向性を示すもので、その更新を通じて、所有者不明土地対策、管理不全土地対策をはじめとする土地に関する個別施策を着実に展開していくこととされています。また、同方針においては、土地に関する基本理念や、それにのっとった各種施策・制度等について、積極的な広報活動を展開することとされています。
  2. 概要
    1. 土地基本方針を変更し、新たに盛り込んだ主な内容は次のとおりです。
      • 民事基本法制の見直しによる所有者不明土地の発生予防・円滑利用のための対応
      • 所有者不明土地特措法施行後3年経過の見直しに向けた検討
      • その他、土地に関連する施策に関する記載(防災・減災や、DXに資する情報連携の基盤整備等に関する新たな取組等)
    2. 土地に関する広報活動の実施
      1. 土地所有者向けの土地の適正管理のためのリーフレットの配布
        • 土地の適正管理に関連する法律の概要や、知っておきたい土地に関するリスク、お悩みに対する相談窓口等をまとめたリーフレットを法務省とともに作成し、地方公共団体や関係団体等への配布を行い、土地所有者に向けて、土地の適正な管理の推進のための周知・啓発活動を行います。
      2. 所有者不明土地対応事例集の配布
        • 所有者不明土地における公共事業、地域福利増進事業等の活用をより一層促進させるため、所有者不明土地の土地所有者等の探索方法等、実際に対応した59事例を取りまとめた「所有者不明土地対応事例集」を作成し、地方公共団体等への提供を行います。事例集には、所有者不明土地特措法の規定による収用適格事業のための特定所有者不明土地の収用又は使用に関する特例により裁定された事例も掲載しています。

~NEW~
国土交通省 「水災害リスクを踏まえた防災まちづくりのガイドライン」を作成しました~気候変動により増大する水災害リスクを踏まえた防災まちづくりを推進します~
  • 国土交通省では、気候変動により増大する水災害リスクに対する水災害対策とまちづくりのより一層の連携を推進するための方策等について検討するため、「水災害対策とまちづくりの連携のあり方」検討会を設置し、有識者による議論を重ね、昨年8月に提言がとりまとめられました。
  • 今般、本提言に沿って防災まちづくりに取り組む地方公共団体等を支援するため、「水災害リスクを踏まえた防災まちづくりのガイドライン」(別添1)を作成しましたので、公表します。
▼別添1:水災害リスクを踏まえた防災まちづくりのガイドライン
▼別添2:水災害リスクを踏まえた防災まちづくりのガイドライン(概要版)
  • 治水部局やまちづくり部局など関係者が連携して防災まちづくりに取り組むことができるよう、以下の項目について基本的な考え方を提示。
    1. 多段階の頻度における浸水想定や河川整備前後の浸水想定等の防災まちづくりに活用できる水災害に関するハザード情報の充実
    2. ハザードの特性や地域の状況に応じた地域ごとの水災害リスクの評価
    3. 水災害リスクの評価に加え、地域の持続可能性やまちづくり全体との総合的なバランスを考慮した、防災まちづくりの方向性の決定
    4. 水災害リスクが存在する区域における、リスクを軽減又は回避するための総合的な対策の検討及び地域の関係者との合意形成
    5. 流域・広域の視点からの関係者の連携体制の構築、人材の確保・育成等

~NEW~
国土交通省 「自らの命は自らが守る」社会の構築に向けて~防災気象情報の伝え方を改善~
▼別紙 防災気象情報の伝え方改善に向けた取組について
  1. 令和2~3年度の検討会報告書を踏まえた取組
    1. 線状降水帯がもたらす降り続く顕著な大雨への注意喚起【R3.6.17~】
      • 大雨による災害発生の危険度が急激に高まっている中で、線状の降水帯により非常に激しい雨が同じ場所で降り続いている状況を「線状降水帯」というキーワードを使って解説する「顕著な大雨に関する情報」を提供。なお、発表基準については内閣府のSIP「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」と連携して検討したものを使用。
    2. 顕著な台風等が接近した際の呼びかけ方の改善【今出水期~】
      • 「特別警報級の台風」や「特別警報発表の可能性は小さくなったが、引き続き警戒」などという表現を使用する場合は、大雨や暴風等によってどのような災害が想定されるのかがより伝わるよう解説を一層強化。さらに、詳細な情報を住民自ら取得してもらえる解説を強化するとともに、安心情報と誤解されないよう、起こり得る災害や引き続き避難行動が必要とされる状況であることの解説を強化。
    3. 社会的に大きな影響があった現象について検証の実施・公表【今出水期~】
      • 令和2年台風第10号と同様、多くの自治体に早めの防災対応をとっていただくとともに、多くの方に適切な避難行動をとっていただくためには、気象台等が発表する情報の信頼感を維持或いは高めていく必要がある。このため、社会的に大きな影響があった現象について検証の実施・公表を行う。
    4. 災害対策基本法改正及び避難情報ガイドラインの改定を受けた警戒レベル相当情報の見直し【R3.5.20~】
      • 大雨特別警報を警戒レベル5緊急安全確保の発令基準設定例として位置づけ
      • 高潮特別警戒水位への到達情報を「災害発生の切迫」を含めた「高潮氾濫発生情報」として警戒レベル5相当情報へ位置づけ
      • 国管理河川では、洪水の危険度分布(水害リスクライン)や氾濫開始相当水位等を活用した発令基準設定例を提示
    5. 「防災用語ウェブサイト」の開設【R3.6~】
      • 発信者(国、自治体)と伝え手(報道機関等)で防災情報への認識を共有するため、防災情報に用いられる防災用語の意味や、その情報が発表された際に住民がとるべき行動、情報を伝える際の留意点、用語の理解を深めるための参考資料などを整理した「防災用語ウェブサイト」を開設。なお、本ウェブサイトを各地方のマスコミ各社と地方整備局、自治体等で構成する協議会等を通じて、行政機関や報道関係者等へ紹介。
    6. 「緊急放流」を用いたダムの放流に関する通知等について【今出水期~】
      • 緊急時に呼びかける際には、ワンフレーズでその意味が受け手に理解されるよう、関係機関への通知等において「緊急放流」を使用する。なお、ダム操作の状態に関する表現として「異常洪水時防災操作」は引き続き使用する。緊急時とは、異常洪水時防災操作に移行する可能性があるとき(実施するときを含む)であり、関係機関への通知・情報提供をはじめ、関係自治体へのホットライン、報道発表・記者会見などの場面を想定。
    7. 指定河川洪水予報の予測時間延長【R3.6.1~※】 ※すべての国管理の洪水予報河川を予定しているが、システム改修を伴うため、大雨等により改修時期を全河川あるいは一部河川について見送ることがある。
      • 国管理河川の指定河川洪水予報で提供している水位または流量の予測情報を、従来の3時間先から6時間先までに延長。合わせて、警戒レベル3(高齢者等避難)の発令の判断に資する「氾濫警戒情報」を、これまでよりも早い段階から発表し、警戒を呼びかける。
  2. 令和元年度の検討会報告書を踏まえた取組
    1. 記録的短時間大雨情報の改善【R3.6.3~】
      • 災害発生の危険度が急激に上昇し、速やかな安全確保が必要な状況となっていることを適切に伝えられるように、記録的短時間大雨情報を、当該市町村が警戒レベル4相当の状況となっている場合にのみ発表。
    2. 「キキクル(危険度分布)」の通知サービスの細分化【R3.6.3~】
      • 住民の自主的な避難の判断によりつながるよう、「キキクル」の通知サービスについて、政令指定都市については、よりきめ細かい区単位でも通知を開始。
    3. 警戒レベルに対応した高潮警報に改善【R3.6.3~】
      • 自治体や住民が高潮警報のみで避難が必要とされる警戒レベル4に相当しているかを判断できるよう、暴風警報発表中の「高潮警報に切り替える可能性が高い注意報」は高潮警報として発表。
    4. 大雨特別警報(土砂災害)の改善【R3.6.3~】
      • 昨年度より大雨特別警報(土砂災害)の短時間指標として運用を開始したキキクル(危険度分布)の技術を用いた新たな指標により、長時間指標で捉えていた事例も漏れなく捕捉できることが確認できたことから、今水期より、キキクルの技術を用いた指標に統一。
    5. 一日先のキキクル(危険度分布)の提供【R3.秋頃~】
      • 台風による大雨など可能な現象について、より長時間のリードタイムを確保した警戒の呼びかけを行うため、1日先までの雨量予測を用いたキキクルを提供。

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