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  • 令和3年版防災白書(内閣府)/令和3年版高齢社会白書(内閣府)/男女共同参画白書(内閣府)/令和2年版消費者白書(消費者庁)/環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書(環境省)

危機管理トピックス

令和3年版防災白書(内閣府)/令和3年版高齢社会白書(内閣府)/男女共同参画白書(内閣府)/令和2年版消費者白書(消費者庁)/環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書(環境省)

2021.06.14
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更新日:2021年6月14日 新着29記事

腕を組む会社員

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 「投資家と企業の対話ガイドライン」(改訂版)の確定について
  • 「政府機関・地方公共団体等における業務でのLINE利用状況調査を踏まえた今後のLINEサービス等の利用の際の考え方(ガイドライン)」の一部改正について
  • 「モニタリングの実施状況等に係るコンサルティング業務」報告書等の公表について
  • 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第8回)議事次第
  • SBIソーシャルレンディング株式会社に対する行政処分について
  • バーゼル銀行監督委員会による議事要旨の公表について
  • 令和3年版犯罪被害者白書
内閣官房
  • 国・地方脱炭素実現会議(第3回)議事次第
  • 新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策関係閣僚会議(第3回)
内閣府
  • 令和3年版防災白書
  • 子供・若者白書について(旧青少年白書)
  • 少子化社会対策白書
  • 令和3年版高齢社会白書を公表しました
  • 男女共同参画局 男女共同参画白書
  • 第8回経済財政諮問会議
  • 第344回 消費者委員会本会議
消費者庁
  • 令和2年版消費者白書
  • 第1回 アフィリエイト広告等に関する検討会
厚生労働省
  • 田村大臣が第109回ILO総会で政府代表演説を行いました
  • 「テレワーク・デイズ2021」実施方針の決定について~7月19日~9月5日の期間における積極的なテレワーク実施を呼びかけ~
  • 新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
  • 第38回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード
  • 「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」の報告書を公表します
  • 第8回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」 資料
総務省
  • サイバーセキュリティタスクフォース(第32回)
  • プラットフォームサービスに関する研究会(第28回)配布資料

~NEW~
環境省 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書
▼令和3年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書 概要
  • 新型コロナウイルスを始めとする新興感染症は、土地利用の変化等に伴う生物多様性の損失や、気候変動等の地球環境の変化にも深く関係していると言われ、人間活動と自然との共生の在り方について再考が必要。
    • 生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)は、 2020年10月に公表した「生物多様性とパンデミックに関するワークショップ報告書」にて、1960年以降に報告される新興感染症の30%以上は、森林減少、都市化等の土地利用の変化などが発生要因になっていると指摘。
  • 「ポスト2020生物多様性枠組」では、経済・社会・政治の全ての分野にわたる社会変革に関する取組を充実・強化する観点で議論。
    • 「地球規模生物多様性概況第5版(GBO5)」では、生物多様性に関する2020年までの世界目標である「愛知目標」の達成は困難な状況と評価。自然との共生を実現するために移行が必要な8つの分野を特定、個別ではなく連携した対応を行うことが必要と強調。
    • 「ポスト2020生物多様性枠組」採択予定の生物多様性条約COP15は延期、2021年に中国昆明で開催予
  • 新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛とテレワークの実施拡大等は、ワーク・ライフスタイルを大きく変化させ、環境・経済・社会それぞれに影響を与えた。
    • 電気事業者の2020年の各月の発電電力量は、コロナ禍がなかった前年同月と比べ、おおむね減少。
    • 家庭部門の2020年の各月の世帯当たり電力消費量は、在宅時間の増加等により、コロナ禍がなかった前年同月と比べ、おおむね増加。
    • 年々増大していたデータ通信量が2020年3月以降さらに増加。感染症拡大前のテレワーク利用率は6%程度、東京圏では10%程度だったが、感染症拡大後には、東京圏では3月に17%、4~5月には38%へ上昇。
    • 東京23区において、2020年3月以降は前年比で家庭からの一般廃棄物は最大11%程度増加。事業所からの一般廃棄物は、前年比で最大42%程度減少。一般廃棄物全体では前年比最大12%程度減少。
  • 国内外で深刻な気象災害等が多発、地球温暖化で今後の豪雨や猛暑のリスクがさらに高まると予測。
    • 2020年世界の平均気温は2016年と並んで観測史上最高。米国デスバレーでは、8月16日午後3時41分(現地時間)に過去少なくとも80年間で世界最高気温となる54.4℃を記録。
    • IPCC海洋・雪氷圏特別報告書によると、地球温暖化の影響で、世界各地において、干ばつ、山火事及び洪水等が観測されていると報告。
    • 国内では、令和2年7月豪雨による洪水、竜巻被害が発生。日本の年平均気温は統計開始以来、最も高くなった。
    • 2020年11月、「もはや地球温暖化問題は気候変動の域を超えて気候危機の状況に立ち至っている」との認識を世界と共有し、この危機を克服するため、衆議院及び参議院の本会議で気候非常事態宣言決議が採択され、気候非常事態を宣言。
  • UNEP(国連環境計画)の「Emissions Gap Report 2020」によると、 2019年の世界の温室効果ガス排出量は約591億トン、2020年の世界のCO2排出量は前年比約7%減となる予想。一方で、パリ協定の排出削減目標達成にはほど遠く、今世紀内に3℃以上の気温上昇につながる方向へ向かっている、とされている。
    • 我が国の2019年度の温室効果ガス排出量(確報値)は12億1,200万トン(CO2換算)、1990年度以降の過去30年間で最も少ない排出量。
    • UNEPによると、2020年の世界の温室効果ガス排出量は、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の停滞により、2000年代後期の間に記録した金融危機時の1.2%減より著しく大きく減少する見込み。しかし、今世紀内に3℃以上の気温上昇につながる方向としている。
    • 我が国の2019年度の温室効果ガス排出量は、エネルギー消費量の減少や電力の低炭素化により、削減目標の基準年である2013年度の総排出量と比べて14%減少。
    • また、私たちが消費する製品やサービスのライフサイクルにおいて生じる温室効果ガスでとらえるカーボンフットプリント(消費ベースの温室効果ガス排出量)では、全体の約60%が家計に起因。
  • 「インパクトファイナンス」で、環境・経済・社会へのインパクトを追求し、大規模な民間資金を巻き込み主流化を目指す一方、地域金融の普及展開によりローカルSDGs推進を図る。
    • ESG金融が国内外で普及・拡大を続ける中で、我が国のESG投資残高は約3兆ドル(336兆円)と、2016年からの直近3年で約6倍まで拡大。
    • 「ESG金融ハイレベル・パネル」において、2020年3月に「ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース」、「ESG地域金融タスクフォース」を設置。
    • 7月に「インパクトファイナンスの基本的な考え方」を取りまとめ。更に、2021年3月には「グリーンから始めるインパクト評価ガイド」を取りまとめ、インパクトファイナンスの実践を推進。
    • 10月に「ESG地域金融タスクフォース」は、ESG地域金融の普及展開に向けた共通ビジョンを採択。
    • 12月に環境省と一般社団法人第二地方銀行協会は、「ローカルSDGsの推進に向けた連携協定」を締結。
  • 脱炭素化を経営に取り込む企業数は世界トップレベル。環境省は経団連などと連携し、経済界と脱炭素社会に向けて取り組む。
    • パリ協定を契機にESG金融の動きなどと相まって、TCFD、SBT、RE100への企業の取組が進展。日本企業は透明性の高い情報開示を行っており、こうした強みが海外からのESG投資を呼び込む。
    • 環境省と経団連の連携合意により、脱炭素経営や循環経済、ESG金融を通じて緊密に連携。
    • 日本商工会議所、経済同友会とも意見交換を実施。2021年3月29日時点
  • 世界の潮流は、一方通行型の経済社会活動から持続可能な形で資源を利用する「循環経済(サーキュラーエコノミー)」へ。循環経済を競争力の源泉とし、世界で約500兆円の経済効果があると言われている成長市場に挑む。
    • サーキュラーエコノミーとは、従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながらサービス化等を通じて付加価値を生み出すとともに、脱炭素にも貢献するビジネスモデル。限りある資源の効率的な利用等により世界で500兆円の経済効果があると言われている。
    • 企業の持続可能性を高め、ポストコロナ時代の新たな競争力の源泉となりうる循環経済、さらに脱炭素化に資するビジネスモデルが国内でも台頭。
    • 2021年3月に、環境省は世界経済フォーラムと共に「循環経済ラウンドテーブル会合」を開催し、日本企業の循環経済に関する技術や取組を世界的に発信。
    • 2021年3月、環境省、経済産業省、経団連で「循環経済パートナシップ」を創設。循環経済への流れが世界的に加速化する中で、国内の企業を含めた幅広い関係者の循環経済への更なる理解醸成と取組促進を目指して、官民連携を強化することが目的。
  • 我が国の呼びかけにより、2050年までに海洋プラスチックによる新たな汚染をゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」は87の国と地域で共有。プラスチック製品の設計から廃棄物処理までに関わるあらゆる主体におけるプラスチック資源循環等の取組(3R+Renewable)を促進するべく法案を提出。
    • プラスチック資源の循環に関する3つの施策を推進。(1)プラスチック資源循環戦略の具体化、(2)バイオプラスチック導入ロードマップの策定、(3)プラスチック資源循環分野のESGガイダンスの策定。
    • 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の制定により、プラスチック製品の製造段階における環境配慮設計指針の策定、再生素材やバイオプラスチックなど代替素材の利用促進、プラスチック資源の回収・リサイクルの効率化等による包括的な資源循環体制を強化し、サーキュラーエコノミーへの移行を加速させる。
  • 再生可能エネルギーを地産地消するとともに、売電によりエネルギー代金の収支を改善し、地域の中において資金を循環させて経済に好循環をもたらすことを期待。さらに災害時における地域内エネルギー確保が可能に。
    • 東日本大震災以降、自然災害等の激甚化により大規模停電が発生したことを踏まえ、災害時対応力向上や脱炭素化の観点から、地域の再生可能エネルギーに期待。
    • 災害時に備えて、蓄電池、燃料電池、コージェネレーション、デジタル技術、電線の地中化等を活用した地域のエネルギー供給網の構築を進めつつ、分散型エネルギーシステムの構築の取組を進めることが必要。
    • 「分散型エネルギープラットフォーム」を環境省と経済産業省で共同開催、分散型エネルギーモデルを普及させる際の課題等についてディスカッション等を実施。
  • 気候変動×防災と適応復興の視点で気象災害に備える。再生可能エネルギーを活用した分散型エネルギーシステムの導入により、災害時の対応力向上へ。
    • グリーンインフラやEco-DRRの取組の更なる推進に向け、湿地など生態系の持つ防災・減災の機能を活用し、災害に強く自然と調和した地域作りを促進するため、2020年度から「生態系機能ポテンシャルマップ」の作成方法の検討や技術的知見の取りまとめを実施。
    • 8月、災害廃棄物の処理体制の構築にむけて環境省と防衛省との連携の強化を図るためのマニュアル作成。
    • 一般廃棄物処理施設の更新や耐水対策等の施設を強靱化、地域のエネルギーセンターとして災害時の対応拠点となるよう支援。
    • これらの我が国の防災ノウハウは、国連防災世界会議等での発信を通して、各国からも注目。
  • 豊かな自然資源を保全しつつ、適切に活用することにより、多様な働き方の提案や地域経済の活性化を促進。
  • 森里川海を守りながら活かし、自然と共生する、自立分散型の社会こそ持続可能であることを再認識。地域循環共生圏は、環境問題を経済・社会にも内包しつつ統合的に対応する観点で世界からも評価。
  • 地域の豊富な再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限活かし、再生可能エネルギーを地産地消するとともに、地域社会の課題解決にも貢献。
  • 国際的に高い評価を得ている「SATOYAMAイニシアティブ」をより世界へ積極的に発信。DXの非連続、飛躍的な進展が、地域循環共生圏の深化の鍵。
  • 世帯当たりエネルギー消費量を減らし、脱炭素型の住まいへの転換を図ることが重要。
  • 地域資源の活用(地産地消)、環境や社会に配慮した食材や調理品を選択、食品ロス削減等が重要。
  • 「大量生産・大量消費・大量廃棄」から環境負荷の低減に貢献する「適量生産・適量購入・循環利用」への転換が重要。
  • 一人一人が、自身の移動手段における環境負荷を考慮することが重要。
  • 3つの移行による経済社会の基盤となる、人の生命・健康と環境を守る取組が不可欠。
  • 福島再生・未来志向プロジェクトにより、脱炭素・資源循環・自然共生という環境の視点から地域の強みを創造・再発見する未来志向の環境施策を推進し全国に広く発信する。
  • 2021年は東日本大震災から10年が経過した節目の年。特定復興再生拠点区域全域の避難指示解除に向けて、家屋等の解体・除染を着実に実施。
  • 福島県内の除去土壌等の中間貯蔵施設への輸送、減容・再生利用等の取組の推進。汚染廃棄物の処理も着実に実施。

~NEW~
経済産業省 「DX銘柄2021」「DX注目企業2021」を選定しました!
▼デジタルトランスフォーメーション調査2021分析結果
  • 調査のまとめ
    • DX銘柄に選定される企業は、デジタルガバナンス・コードに沿った活動がなされている。
    • DX銘柄のみならず、DX注目企業も同様。また、DX認定申請企業も同様の傾向である。
    • DX銘柄企業と、DX認定未申請企業との差は、「ビジネスモデル」「戦略」「予算」「挑戦の仕組み」「トップとDX担当役員とのコミュニケーション」において大きい。
    • DX銘柄企業は、ROEが高い傾向にある
  • DX銘柄等は、全体平均と比べると、回答スコアが総じて高く、「デジタルガバナンス・コード」を実践している企業と考えられる
  • DX銘柄企業とDX認定未申請企業との差は「ビジネスモデル」「戦略」部分であり、それらによって「予算」「挑戦を促す仕組み」の差につながると考えられる。また、トップとDX責任者のコミュニケーションがあるかどうかも差分となっている
  • DX銘柄等は、デジタルによる外部環境の変化を踏まえたビジョンを策定・公表している
  • DX銘柄等は、ビジョン実現のためのビジネスモデルを構築しており、ビジネスモデル実現のためのエコスステムを主導している
  • DX実現企業は、DX実現のための戦略を具体化した上で公表している
  • DX銘柄等は、既存ビジネスの深化は実現できている。新規ビジネス創出については、既存ビジネスほどではないものの、効果が出ている企業が多い
  • DX銘柄等は、ビジネスに対する取組を積極的に開示しており、かつ、経営や事業の運営状況を把握できる仕組みがあり、データによる意思決定ができている
  • DX銘柄企業は、DXを推進する役員を多く配置しており、かつ、スキルの可視化も行われている。
  • DX銘柄等企業は、経営トップ層が様々な手段で最新のデジタル技術等の情報を入手しており、DX銘柄・DX注目企業は、全ての企業がIT部門長等から情報を得ている。
  • DX銘柄等企業は、DXの専任組織があり、特にDX銘柄企業はリソースおよび権限も十分である
  • DX銘柄、DX注目企業は、人材像が明確になっている傾向にあり、かつ、自社だけではなく他社も含めたリソース活用ができている
  • DX銘柄企業は、DXに必要な予算が確保できている。また、DX銘柄企業・注目企業は、デジタル技術を抵抗なく活用する仕組みがある
  • 全てのDX銘柄企業は、新しい挑戦を促す制度や仕組みが存在している
  • DX認定企業はデータ連携ができる、またはデータ連携の改善に着手している
  • DX銘柄企業は、情報資産の分析・評価ができており、必要な対策を講じられている傾向にある
  • 銘柄企業・注目企業は全社情報システムの最適化への対応ができている傾向にある
  • DX銘柄企業は、KPIとKGIを連動しており、かつ、ステークホルダーに開示を行っている
  • DX銘柄企業等は、デジタル時代に適応した企業変革実現の評価指標を定め、評価している傾向にある。
  • 全てのDX銘柄企業・注目企業は、DX推進について経営トップがメッセージ発信を行っている。また、経営トップとDX推進責任者とDX推進について定期的にコミュニケーションをとっている
  • 全てのDX銘柄・注目企業は、経営トップがデジタル・ITの課題把握・分析、戦略の見直しに反映されている。また、取締役会等でDX推進の報告・議論がなされている傾向にある
  • DX銘柄企業・注目企業は、サイバーセキュリティの人材と予算を確保しており、リスク対応のための計画策定、仕組み・体制の構築ができている
  • DX銘柄企業等は登録セキスペの取得が進んでいる傾向にある。また、DX銘柄・注目企業は、サイバーセキュリティ関連の開示を行っている傾向にある
  • DX銘柄企業は、ROEが高い傾向にある

~NEW~
国土交通省 「防災道の駅」として39 駅を初めて選定しました!~広域的な防災拠点として役割を果たすための重点的な支援を実施します~
  • 国土交通省では、「道の駅」第3ステージの取組の一環として、都道府県の地域防災計画等で、広域的な防災拠点に位置づけられている「道の駅」について「防災道の駅」として選定し、防災拠点としての役割を果たすための、ハード・ソフト両面からの重点的な支援を行うこととしています。
  • この度、都道府県からの提案を踏まえ、重点支援対象となる「防災道の駅」として39 駅を初めて選定したのでお知らせします。
▼記者発表資料
  • 「2025年」に目指す3つの姿
    • 「道の駅」を世界ブランドへ
      • 多言語対応やキャッシュレスの導入
      • 海外や観光関係団体との連携
    • 新「防災道の駅」が全国の安心拠点に
      • 広域防災 「防災道の駅」の選定・支援
      • 地域防災 BCPの策定を促進
    • あらゆる世代が活躍する舞台となる地域センターに
      • 子育て応援
      • 地域活性化プロジェクト
      • 大学等の連携企画の実施
  • 「防災道の駅」制度
    • 都道府県の地域防災計画等で、広域的な防災拠点に位置づけられている道の駅について、「防災道の駅」として選定し、防災拠点としての役割を果たすための重点的な支援を実施
  • 重点的な支援
    • ハード面
      • 防災機能の整備・強化を交付金で重点支援
    • ソフト面
      • BCPの策定や防災訓練について国のノウハウを活用した支援
  • 「防災道の駅」の選定要件について
    1. 都道府県が策定する広域的な防災計画(地域防災計画もしくは受援計画)及び新広域道路交通計画(国交省と都道府県で策定中)に広域的な防災拠点として位置づけられていること ※ハザードエリアに存する場合は、適切な対応が講じられていること
    2. 災害時に求められる機能に応じて、以下に示す施設、体制が整っていること」
      • 建物の耐震化、無停電化、通信や水の確保等により、災害時においても業務実施可能な施設となっていること
      • 災害時の支援活動に必要なスペースとして、2500m2以上の駐車場を備えていること
      • 道の駅の設置者である市町村と道路管理者の役割分担等が定まったBCP(業務継続計画)が策定されていること
    3. 2.が整っていない場合については、今後3年程度で必要な機能、施設、体制を整えるための具体的な計画があること

~NEW~
金融庁 「投資家と企業の対話ガイドライン」(改訂版)の確定について
  • コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂の主なポイント
    1. 取締役会の機能発揮
      • プライム市場上場企業において、独立社外取締役を3分の1以上選任(必要な場合には、過半数の選任の検討を慫慂)
      • 指名委員会・報酬委員会の設置(プライム市場上場企業は、独立社外取締役を委員会の過半数選任)
      • 経営戦略に照らして取締役会が備えるべきスキル(知識・経験・能力)と、各取締役のスキルとの対応関係の公表
      • 他社での経営経験を有する経営人材の独立社外取締役への選任
    2. 企業の中核人材における多様性の確保
      • 管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者の登用)についての考え方と測定可能な自主目標の設定
      • 多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針をその実施状況とあわせて公表
    3. サステナビリティを巡る課題への取組み
      • プライム市場上場企業において、TCFD又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量を充実
      • サステナビリティについて基本的な方針を策定し自社の取組みを開示
    4. 上記以外の主な課題
      • プライム市場に上場する「子会社」において、独立社外取締役を過半数選任又は利益相反管理のための委員会の設置
      • プライム市場上場企業において、議決権電子行使プラットフォーム利用と英文開示の促進
▼(別紙2)同上(改訂前からの変更点)
  • 主な改訂箇所
    • ESGやSDGsに対する社会的要請・関心の高まりやデジタルトランスフォーメーションの進展3、サイバーセキュリティ対応の必要性、サプライチェーン全体での公正・適正な取引や国際的な経済安全保障を巡る環境変化への対応の必要性等の事業を取り巻く環境の変化が、経営戦略・経営計画等において適切に反映されているか。また、例えば、取締役会の下または経営陣の側に、サステナビリティに関する委員会を設置するなど、サステナビリティに関する取組みを全社的に検討・推進するための枠組みを整備しているか。
    • カーボンニュートラルの実現へ向けた技術革新やデジタルトランスフォーメーション等を主導するに当たっては、最高技術責任者(CTO)の設置等の経営陣の体制整備が重要との指摘があった。
    • 保有する資源を有効活用し、中長期的に資本コストに見合うリターンを上げる観点から、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた設備投資・研究開発投資・人件費も含めた人的資本への投資等が、戦略的・計画的に行われているか。
    • 経営戦略や投資戦略を踏まえ、資本コストを意識した資本の構成や手元資金の活用を含めた財務管理の方針が適切に策定・運用されているか。また、投資戦略の実行を支える営業キャッシュフローを十分に確保するなど、持続的な経営戦略・投資戦略の実現が図られているか。
    • 取締役会が求められる役割・責務を果たしているかなど、取締役会の実効性評価が適切に行われ、評価を通じて認識された課題を含め、その結果が分かりやすく開示・説明されているか。取締役会の実効性確保の観点から、各取締役や法定・任意の委員会についての評価が適切に行われているか。
    • 取締役会全体として適切なスキル等が備えられるよう、必要な資質を有する独立社外取締役が、十分な人数選任されているか。必要に応じて独立社外取締役を取締役会議長に選任することなども含め、取締役会が経営に対する監督の実効性を確保しているか。
    • 監査役に、適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法務に関する知識を有する人材が、監査役会の同意をはじめとする適切な手続を経て選任されているか。
    • 監査役は、業務監査を適切に行うとともに、監査上の主要な検討事項の検討プロセスにおける外部会計監査人との協議を含め、適正な会計監査の確保に向けた実効的な対応を行っているか。監査役に対する十分な支援体制が整えられ、監査役と内部監査部門との適切な連携が確保されているか。
    • 内部通報制度の運用の実効性を確保するため、内部通報に係る体制・運用実績について開示・説明する際には、分かりやすいものとなっているか。
    • 株主総会において可決には至ったものの相当数の反対票が投じられた会社提案議案に関して、株主と対話をする際には、反対の理由や反対票が多くなった原因の分析結果、対応の検討結果が、可能な範囲で分かりやすく説明されているか。
    • 株主総会の招集通知に記載する情報を、内容の確定後速やかにTDnet及び自社のウェブサイト等で公表するなど、株主が総会議案の十分な検討期間を確保することができるような情報開示に努めているか。
    • 株主総会が株主との建設的な対話の場であることを意識し、例えば、有価証券報告書を株主総会開催日の前に提出するなど、株主との建設的な対話の充実に向けた取組みの検討を行っているか。また、不測の事態が生じても株主へ正確に情報提供しつつ、決算・監査のための時間的余裕を確保できるよう、株主総会関連の日程の適切な設定を含め、株主総会の在り方について検討を行っているか。
    • 株主の出席・参加機会の確保等の観点からバーチャル方式により株主総会を開催する場合には、株主の利益の確保に配慮し、その運営に当たり透明性・公正性が確保されるよう、適切な対応を行っているか。
    • 個別銘柄の保有の適否について、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、取締役会において検証を行った上、適切な意思決定が行われているか。特に、保有効果の検証が、例えば、独立社外取締役の実効的な関与等により、株主共同の利益の視点を十分に踏まえたものになっているか。そうした検証の内容について検証の手法も含め具体的に分かりやすく開示・説明されているか。
    • 自社の企業年金の運用に当たり、企業年金に対して、自社の取引先との関係維持の観点から運用委託先を選定することを求めるなどにより、企業年金の適切な運用を妨げていないか。
    • 株主との面談の対応者について、株主の希望と面談の主な関心事項に対応できるよう、例えば、「筆頭独立社外取締役」の設置など、適切に取組みを行っているか。

~NEW~
「政府機関・地方公共団体等における業務でのLINE利用状況調査を踏まえた今後のLINEサービス等の利用の際の考え方(ガイドライン)」の一部改正について
▼「政府機関・地方公共団体等における業務でのLINE利用状況調査を踏まえた今後のLINEサービス等の利用の際の考え方(ガイドライン)」
  • LINEサービスの利用検討時に確認すべき事項のポイント(ガイドライン)
    • 行政主体によるLINEサービスの利用の多くは、住民等への適切な情報伝達や行政サービスへのアクセスの向上等の観点から、対面・電話・メール等に加わる新たな手段として取り入れられているものである。
    • 本格的なデジタル社会の浸透や行政と住民双方の利便性向上の観点から、取り扱う業務・情報等に応じた適切な情報セキュリティ確保や個人情報保護がなされていることを前提としつつ、利便性の高い民間アプリ等を活用した行政サービスの提供や行政へのアクセスは、選択肢として排除されることのないようにするべきである。
    • このような観点から、政府機関・地方公共団体等においてLINEサービスを利用した行政事務として報告があった類型を基に、今後、行政主体が同様の利用を進める際に、適切な情報セキュリティの確保のために留意すべき事項をとりまとめる。
      1. 機密性を有する情報/住民等の個人情報を取り扱わない場合
        • 利用の態様に関わらず、公表・公開することを前提とする情報や第三者が知り得ても問題のない情報などのみをLINEサービス上で取り扱うことが明確な場合については、個人情報保護委員会による報告徴収及び立入検査の中間結果に照らし、現時点においてLINE社による個人情報等の管理上の懸念が一定程度払しょくされたと判断されたことから、各行政主体におけるLINEサービスの利用は許容されるものと考えられる。
        • 政府機関・地方公共団体等から報告された中で、この類型に該当する主な業務を、以下に例示する。
        • 「広報業務(公開情報をLINE公式アカウントで掲載・発信)」「住民等からの問い合わせ等への自動対応(公表しているFAQを基にチャットボットで応答)」「業務内容を伴わない職員間の連絡」
      2. 機密性を有する情報/住民等の個人情報を取り扱う行政サービスの場合
        • 住民等からのプライバシー性の高い相談業務やオンライン申請等のコンタクトポイントの一つとしてLINEサービスを利用する場合には、この類型に該当する可能性が考えられる。
  • 共通(大前提):各政府機関・地方公共団体等のセキュリティポリシーへの合致
    • 行政の取り扱う個人情報をはじめとする要機密情報を、業務の必要に応じて外部委託先(クラウドサービスやSNSサービスを含む)に提供する際には、外部委託先で適切なセキュリティ対策が講じられるよう、各行政主体のセキュリティポリシーに沿って、外部委託先に求めるセキュリティ対策の実施を仕様内容に含める、契約に基づき先方のセキュリティ対策の履行状況を確認するなどの措置を担保することが大前提となる。
    • 民間企業等が不特定多数のユーザーに対して同一条件で提供するサービス(いわゆる「約款による外部サービス」)は、当該企業が提示する約款に合意することで利用が開始できる手軽さに優れているものの、当該サービスで講じられているセキュリティ対策やデータの取扱いなどについて行政特有の扱いを求めることができない。このため、要機密情報の取扱いや管理等に関して各行政主体のポリシーに沿ったセキュリティ要件を通常担保できないことから、これらのサービスにおいて要機密情報を取り扱わせることは原則として禁止されている。
  • 利用形態に応じて確認すべき事項:
    1. 公式アカウントを利用する場合:
      • LINEサービスを介した住民等とのコミュニケーション(相談内容等)はLINE社側で一定期間保存され、その情報は、公式アカウント開設の際に承諾する利用規約に基づき取り扱われ、各行政主体においてLINE社に対し特別の取り扱いを求めることは通常できず、その取扱いが各行政主体のセキュリティポリシーを満たしているかも、確認することはできない。
      • このため、LINE公式アカウントの利用に関し、LINE社とは別の委託先に適切にセキュリティが確保されたシステムを構築させることとし、
        1. 相談業務等のコンタクトポイントの一つとしてLINEサービスを利用する場合は、相談内容等の機密性を要する情報等がLINE社側に残らず、これらの情報は委託先等のデータベースに直接格納・保管されるシステム構成とすること
        2. 発注元である各行政主体は、契約等を通じて、相談内容等の機密性を有する情報等を格納・保管する委託先が自組織のセキュリティポリシーを満たすことを確認したうえで、委託を行うこと
        3. LINEサービスでの画像ファイルの送信ボタンを非表示にするなど、相談する住民等と委託先等の双方が、LINEサービス上で要機密情報を取り扱わない運用を図ること
        4. 各行政主体は、これらの措置を委託先に担保させるため、委託先に対して、事前にこれらの事項を確認したうえで各主体にLINEサービス利用の承認を求めるとともに、定期的に利用状況を報告することを委託先への仕様内容に含める、また、各行政主体は本ガイドラインに則って、委託先によるLINEサービス利用の可否を判断することが必要である。
      • ただし、身体人命に危険が及ぶ可能性の高い相談事業等(いじめ、虐待、災害等に係る被災、感染症等に係る症状の急変等相談等)において、緊急性を要する相談・通報等(画像含む)がLINEサービス上で寄せられ、例外的にLINEサービス上で要機密情報を含む緊急対応をすることは排除されない。
    2. 収納代行業者を介してLINEPay社が提供するキャッシュレスサービスを利用する場合:
      • 行政主体と収納代行業者との間には契約があり、当該契約に基づき、請求情報・支払情報など公金出納事務に必要な範囲で、住民の個人情報が収納代行業者に共有されている。
      • 一方で、収納代行業者とLINEPay社の間では、請求書コード・支払日時等の支払結果がLINEPay社から収納代行業者に送られるのみであり、行政が保有する住民等の個人情報をLINEPay社に提供する仕組みとはなっていない。
      • この仕組みを前提とするのであれば、LINEPay社側に行政の保有する個人情報等の提供はなされていないことから、公金決済手段の一環としてLINEPayを利用することは許容されると考えられる。
      • この際、
        1. 発注元である各行政主体は、契約等を通じて、収納代行業者とLINEPay社の間の情報の取り扱いが、上記前提に沿っていることを確認するとともに、
        2. 収納代行業者が自組織のセキュリティポリシーを満たすことを確認したうえで、委託を行うこと
        3. 各行政主体は、これらの措置を委託先に担保させるため、委託先に対して、事前にこれらの事項を確認したうえで各主体にLINEPay利用の承認を求めるとともに、定期的に利用状況を報告することを委託先への仕様内容に含める、また、各行政主体は本ガイドラインに則って、委託先によるLINEPay利用の可否を判断することが必要である。
      • なお、仕組み上、住民等の支払い履歴はLINEPay社側で一定期間保存されることになるが、当該情報は、住民が個人の判断としてLINEPayにユーザー登録し、かつ、公金決済の手段としてLINEPayを選択していることが前提となるものであり、ここで取り扱われる情報は、LINEPay社と各LINEPayユーザーの契約によるものである。
    3. その他(LINE社ないしLINEPay社と直接契約する場合等)
      • 公式アカウントを用いた行政サービスを提供する際に行政主体とLINE社が直接契約を取り交わしているケースや、行政主体が直接LINEPay社と指定代理納付者契約を結び、窓口で各種手数料等をLINEPay残高で支払いができるようにしているケース、行政主体の公式アカウント上での各種手続申請時等にLINEPayを通じて手数料の決済を可能としているケースについて一部の行政主体から報告があった。
      • これら例外ケースにおいては、行政主体とLINE社ないしLINEPay社が直接契約を交わして業務を委託している。契約等を通じて、取り扱う情報に応じた情報セキュリティ対策を民間企業に求めつつ業務委託を行うことは、LINE社に限らず行政において必要に応じて実施されている業務形態である。
      • このため、発注する各行政主体において、各行政主体のセキュリティポリシーに合致していることを個別の契約において委託先に確認・要求をしつつ、事業を進めることが必要である。
  • 個人アカウントを用いた業務連絡の場合
    • 職員同士が個人アカウントを利用して業務連絡をしているケースも複数報告された。
    • しかし、個人アカウントに係るセキュリティ対策は、個人とLINE社の約款に基づくものであり、雇用主である政府機関・地方公共団体等が通常介入できるものではない。
    • 係る環境で、機密性を有する情報や住民等の個人情報が取り扱われることは、通常各行政主体のセキュリティポリシーにおいて認められていないものであるところ、各行政主体において、まずはポリシーの適用を徹底することが必要である。
    • なお、要機密情報を含む業務連絡等でメッセージアプリを利用する場合は、ISMAPに基づきセキュリティ対策が確認されたメッセージサービスを、各行政主体のセキュリティポリシーに合致することを確認しつつ契約し、利用することが推奨される。

~NEW~
金融庁 「モニタリングの実施状況等に係るコンサルティング業務」報告書等の公表について
▼報告書概要
  • 調査結果
    1. 面談手法
      • リモート手法の活用については、リモート手法で金融庁検査を受けた金融機関の9割、リモート手法でオフサイト・ヒアリングを受けた金融機関の8割が、移動や面談会場の設営などが不要になるため、対面に比して効率的と回答している。
      • なお、職位階層別にみると、金融庁検査とオフサイト・ヒアリングともに、係員クラスでは、対面での実施が望ましいとの回答は全体の2割を下回るのに対し、役員クラスでは、双方の認識に齟齬を生じさせないようにするなどの理由により、4割が対面での実施が望ましいと回答している。また、より円滑なコミュニケーションにつなげるため、初回面談時は対面にして欲しいといった意見も寄せられている。
    2. 非対面の面談でのやり難さ等
      • リモート手法によるやり難さ等については、リモート手法で金融庁検査を受けた金融機関の5割、リモート手法でオフサイト・ヒアリングを受けた金融機関の2割が、対面と比して、聞き手の理解度等が読み取り辛く、十分な意思疎通が難しかったと回答している。
      • また、少数(2行)ではあるが、インタビューを実施した大手銀行、地域銀行のそれぞれから、1台の端末からオンライン会議に参加している場合など、参加者や発言者が正確に把握できない場合もあるため、センシティブな話題の際には、情報管理に不安を感じるといった意見が寄せられている。
    3. 資料共有についての負担感等
      • リモート手法による場合の資料共有については、金融庁検査、オフサイト・モニタリングともに、全体の4割が、行内資料の電子化が進んでいることから、印刷準備の必要がなくなるため、負担が軽減されると回答している。
      • なお、資料共有の負担感として、複数の金融機関(11行)から、自由記載において、電子メールでは一度に送付できるファイルの容量に制限があることなどから、容量が大きいデータを送付する際の分割送付が負担とする意見が寄せられている。
    4. 日銀考査・モニタリングとの重複感
      • 日銀考査・モニタリングとの重複感については、「経営戦略・ビジネスモデルの理解」など主要なモニタリング項目(12項目)のうち、9項目において、「重複を感じる」との回答が「重複は感じない」とする回答を上回った。特に、「決算関連」及び「市場リスク関連」については、全体の7割を超える金融機関が重複を感じると回答している。
      • なお、重複感の増減については、全体の1割が、「増加」を選択している一方で、2割は「縮小」、5割は「横ばい」と回答している。
    5. 定期報告における重複感
      • 複数の金融機関(11行)から、自由記載において、日銀と内容が重複している定期報告資料については、金融庁と日銀で報告内容にかかる定義の統一化や、報告計表を共通化して欲しいといった意見が寄せられている。
    6. 金融庁と日銀の情報共有
      • 金融庁と日銀の情報共有については、「原則、情報の共有はしてほしくない」と回答した先はなく、全体の7割が「包括的に情報の共有を進めて構わない」と回答し、全体の2割は、共有する情報の範囲は、金融機関の意向を踏まえて決めることを望んでいる。
    7. 金融機関から金融庁・日銀への情報共有
      • 将来的な金融機関から金融庁・日銀への情報共有の在り方については、全体の8割が、「金融庁・日銀が共同で運用する報告システムを通じて報告」が望ましいと回答しており、その理由については、回答した先の9割超が、「報告業務に関する時間的な負担の軽減」をあげている。
  • 提言1 「リモート手法を用いたモニタリング」の在り方
    • 面談手法
      • 金融庁検査・モニタリングにおいては、初回面談時や複雑な内容のためお互いの理解度を把握しながら面談を進める場合など、必要に応じて、対面での実施を織り交ぜつつ、効率性の観点から、リモート手法の積極的な活用を進めることが、望ましい。
      • ただし、金融庁による立入検査等は、金融機関の業務遂行において適度な緊張感を維持する効果もあると考えられるため、リモート手法の活用を進める際には、それが弱まることが無いかといった視点についても留意する必要がある。
    • 非対面の面談での留意・工夫
      • 対面の場合と比較して、相手の理解度や納得感などが読み取り辛く、十分な意思疎通が難しいことを踏まえ、ヒアリングのテーマや必要な資料の事前の擦り合わせにより、面談内容を可能な限り具体的に設定することや、情報管理の観点から、リモートでの面談への参加者や発言者を明確にするなど、対面時以上に工夫することが望ましい。
    • 金融機関との情報共有
      • 今後、デジタル化の進展により、リモート手法によって電子媒体での提出頻度や量の増加が見込まれることを踏まえ、資料の提出については、電子メールに加え、クリプト便の利用などセキュアで効率的な手法の活用を進めることが望ましい。
  • 提言2 「金融庁検査・モニタリングと日銀考査・モニタリングの連携」の方向性
    1. モニタリングの重複感の解消
      • 金融庁と日銀がそれぞれの目的に応じたモニタリング等を実施する必要があることから、どちらか一方をモニタリングの実施主体とすることは難しいが、多くの金融機関が重複を感じている。このため、その解消に向けて、時事的なテーマ等において、金融機関に対しアドホックに資料提出やヒアリングを求める際には、共同調査の実施可否を検討していくことが望ましい。
    2. 日銀との情報共有による報告負担軽減
      • 金融庁と日銀への二重報告の解消など、金融機関の負担軽減につながるため、情報共有にかかる検討を前向きに進めていくことが望ましい。ただし、共有する情報の範囲については、金融機関と協議し合意を得たもののみとし、段階的にその範囲を広げていくことが望ましい。
    3. 計表フォーマットの共通化
      • 既に一部の報告計表の共通化が行われていることについて、負担軽減の観点から金融機関の評価が高いため、定期報告における重複感の解消に向けて、内容が重複している計表フォーマットの共通化を進めることが望ましい。
    4. 金融機関から金融庁・日銀への情報共有
      • 金融庁と日銀の報告システムの共同運用を含め、将来的な報告システムの在り方を検討する際には、更なる負担軽減に向けて、諸外国の先行事例等を参考に、開発や運用の経済性などの利害得失を検討し、中長期的な課題として取り組むことが望ましい

~NEW~
金融庁 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第8回)議事次第
▼資料2 サステナブルファイナンス有識者会議報告書(案)概要
  • 基本的視点
    • サステナブルファイナンスは、持続可能な経済社会システムを支えるインフラ。民間セクターが主体的に取り組むとともに、政策的にも推進すべき。
  • 横断的視点
    • ESG要素を考慮することは、受託者責任を果たす上で望ましい対応。
    • インパクトファイナンスの普及・実践に向け、多様なアイディアを実装していくことが望ましい。
    • タクソノミーに関する国際的議論への参画、トランジション・ファイナンスの推進(分野別ロードマップの策定等)が重要。
  • 投資家・金融機関との建設的な対話に資する、サステナビリティ情報に関する適切な企業開示のあり方について幅広く検討を行うことが適当。
    • 比較可能で整合性のとれたサステナビリティ報告基準の策定に向け、日本として、IFRS財団における基準策定に積極的に参画すべき。
    • コーポレートガバナンス・コードの改訂(2021年6月)を踏まえTCFD等に基づく気候変動開示の質と量の充実を促すと共に、国際的な動向を注視しながら検討を継続的に進めていくことが重要。
  • 「グリーン国際金融センター」の実現により、世界・アジアにおける持続可能な社会の構築に向けた投融資の活性化に貢献。市場の主要プレイヤーが、期待される役割を適切に果たすことが必要。
    • ESG投資の積極的な推進やエンゲージメントに向けたコミットメントを強化することが重要。また、脱炭素化支援を目的とする国際的な取組みに参画し、情報収集や能力向上に努めるべき。
    • ESG関連投資信託の組成や販売に当たって商品特性を顧客に丁寧に説明するとともに、その後の選定銘柄の状況を継続的に説明すべき。金融庁において、資産運用業者等に対するモニタリングを進めることが重要。
    • 金融庁において、ESG評価・データ提供機関に期待される行動規範のあり方等について、議論を進めることを期待。
    • 諸外国における取引所の取組み例を踏まえ、グリーンボンド等に関する実務上有益な情報が得られる環境整備や、ESG関連債の適格性を客観的に認証する枠組みの構築を期待。
  • 金融機関が、サステナビリティに関する機会とリスクの視点をビジネス戦略やリスク管理に織り込み、実体経済の移行を支えることが重要。
    • 投融資先の気候変動対応支援のため、ノウハウの蓄積やスキルの向上、分析ツールの開発等を進めることが重要。
    • 金融庁において、金融機関とシナリオ分析の活用について議論を進めるなど、気候変動リスク管理態勢の構築を促すことが適当(上記の投融資先支援に加え、気候変動リスク管理に係る監督上のガイダンスを策定)。

~NEW~
金融庁 SBIソーシャルレンディング株式会社に対する行政処分について
▼関東財務局 SBIソーシャルレンディング株式会社に対する行政処分について
  • 当社の管理上の問題点
    1. 経営管理態勢及び業務運営態勢の重大な不備
      • 当社は、甲社案件の取得勧誘に関し、募集ページ等において、上記(1)及び(2)に記載のとおり、資金使途や貸付審査及びモニタリングに関する表示をした上で出資者から出資を受けたところ、遅くとも令和元年12月、甲社案件のうち、平成30年11月から12月にかけて貸付けを行ったA案件の開発スケジュールに遅延が生じていることを認識し、令和2年1月の時点では、当該遅延問題が解消されるまでは、甲社の新規案件を受け付けない方針としていた。
      • しかし、その後、当該遅延問題や甲社の工事完成能力への懸念を解消するために必要な対応が取られていないにもかかわらず、甲社の口頭での説明を鵜呑みにするなど、当社内において実効的な検証を行わないまま、甲社の新規案件に係る取得勧誘を再開した。
      • 加えて、当社の前代表取締役は、令和2年6月末時点で、第1四半期(令和2年6月末)の営業利益実績が目標を大きく下回ったことを受け、年間営業利益目標の約半分を上期(令和2年9月末)で達成するために、取締役会等における必要な議論を経ることなく、自らの独断で第2四半期(令和2年9月末)の営業利益目標を大幅に引き上げていた。
      • また、当社は、同年7月以降、親会社であるSBIホールディングス株式会社などから、甲社の業績及び資金繰りの悪化や、貸付金がプロジェクト以外の資金使途に使われる可能性等について再三の注意喚起を受けている。さらに、同年10月には、同月末に募集を行う予定であったB案件に関し、甲社から当社の前代表取締役に対し、「当社からの貸付けが実行されなければ、当該案件が不成立となり、結果として当社に対する貸付金の返済に懸念が生じる」旨の表明があった。
      • このように、当社は貸付金が募集ページ等において表示する資金使途と異なる目的に使用される蓋然性の高まりを示す事実を認識しながら、同年11月、甲社自らが資金繰りの悪化を申し出て、甲社に係るファンドの募集を停止するまで、前代表取締役のもと、甲社案件の取得勧誘を推進していた。
      • 当社の経営管理態勢及び業務運営態勢には重大な不備があるが、その背景には、当社の事業拡大を第一優先目標とした過度な業績目標の設定のもと、それを達成するための安易な方策として甲社案件の新規ファンドに傾注し、その推進に多大な社内リソースを投入する一方で、コンプライアンスや内部管理面を軽視し、その人員不足を招くといった前代表取締役をはじめとする経営陣の法令遵守意識及び投資者保護意識の欠如や、これにより醸成された営業優先の企業風土があるものと認められる。
    2. 実効的な貸付審査及びモニタリングの欠如
      • 当社が予定どおり貸付金の返済を受けられるか否かは、甲社が行う建物建築及び太陽光発電所建設の完成の可能性又はそれを見据えた他の金融機関からの借換え融資の可能性にかかっていたことを踏まえれば、貸付金回収の観点から真に管理すべきリスクの所在は、SPC自体ではなく、事業主体かつ実質的な借手である甲社の施工・工事完成能力や経営状況・財政状態(以下「工事完成能力等」という。)にあったことは明白であったにもかかわらず、形式的な借手であるSPCの貸付審査を行うこととしていた。
      • そのため、貸付審査については、貸付けを実行することを前提とし、かつ貸付金返済前にプロジェクトが完成して借入額以上の金額で売却、あるいは他の金融機関からの借換え融資が可能であることを前提にした、極めて形式的なもの(募集ページ等のフォーマットの記載事項を形式的に埋めるための情報収集)に留まっており、甲社の工事完成能力等に係る実効的な審査を行っていなかった。
      • また、資金使途のモニタリングについては、SPCから甲社への工事請負契約に基づく請負代金の支払いの確認に留まり、甲社が、当該請負代金を募集ページ等に表示された資金使途のとおりに使用することについて、SPCに対して必要な資料の提出を求めるといった確認手段を講じていなかった。
      • 特に、甲社案件については、SPCに対して工事代金等が一括で貸し付けられ、工事請負契約に基づき、契約締結等の工事初期段階で、貸付金額のほぼ全てが甲社に支払われていたほか、甲社案件の取得勧誘が繰り返し行われており、その貸付残高も当社の全貸付残高の約4割(令和3年1月時点)にも達していたことを踏まえれば、各ファンドにおけるプロジェクトの完成状況や貸付金の償還原資をより慎重にモニタリングする必要性が高い状況にあった。
      • しかし、当社は、甲社案件においては、各ファンドのプロジェクト進捗状況を定期的に確認しておらず、各SPCから貸付金に対する元本償還を受けるに際し、約定どおりの返済が受けられれば良いとの発想の下、当該貸付けに係るプロジェクトの完成状況や償還原資に関する確認(各プロジェクトの売却対価(又は各プロジェクトを担保とする他の金融機関からの借換え融資)により十分な返済原資を調達することができたのか等)を行う必要性も認識せず、また、実際に実施していなかった。
      • このように、当社は、甲社の工事完成能力等に係る実効的な審査及びモニタリングを行うことなく、甲社案件の取得勧誘を継続しており、こうした状況が、上記(1)及び(2)の法令違反につながったものと認められる。
      • 当社は、顧客である出資者に対して誠実かつ公正に業務を遂行しなければならず、ファンドの業務執行者として善管注意義務を負っており、このために経営管理態勢及び業務運営態勢を整備し、実効的な貸付審査及びモニタリングを行うことが求められている。しかしながら、当社は、上記(1)及び(2)のとおり、ファンドの業務執行者として通常求められる善管注意義務を果たしていない状況下において、SPCへの貸付金が、募集ページ等において表示する資金使途と異なる目的に使用される蓋然性の高まりを示す事実を認識しながら、甲社案件の取得勧誘を一般投資家に対して行い、その資金を漫然と貸し付けていたものと認められる。
      • 当社が行った上記(1)の行為は、金融商品取引法第38条第9号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、虚偽の表示をする行為」に該当するものと認められる。
      • また、当社が行った上記(2)の行為は、金融商品取引法第38条第9号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。
      • さらに、当社の上記(3)の状況は、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。
  • このため、本日、当社に対し、下記(1)については金融商品取引法第52条第1項の規定に基づき、下記(2)については同法(1)第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
    1. 業務停止命令
      • 金融商品取引業の全ての業務(顧客取引の結了のための処理を除く。)を令和3年6月8日から同年7月7日まで停止すること。
    2. 業務改善命令
      1. 募集したファンド全件(償還済のファンドを含む。以下同じ。)について、取得勧誘及び運用・管理の状況(貸付先の資金管理の実態や資金使途を含む。)並びに事務プロセス等を網羅的に検証した上で、第三者委員会の調査報告書において明らかとなった問題点等も踏まえ、募集ページ等において表示した資金使途と異なる目的に実質的な借手が貸付金を使用したことに対する当時の当社役職員の認識及び関与の状況や、今般の法令違反が発生した原因及び業務運営態勢上の問題点を究明すること。また、今般の法令違反について、責任の所在を明確にするとともに、金融商品取引業務を適切に行うための経営管理態勢及び業務運営態勢を再構築すること。
      2. 募集したファンド全件について、上記において明らかとなった問題点等を踏まえ、出資者からの問い合わせ等に対して、誠実かつ適切に対応するとともに、出資者間の公平性に配慮しつつ、投資者保護に万全の措置を講ずること。
      3. 上記において明らかとなった問題点等を踏まえた再発防止策について、詳細な改善計画を策定すること。また、当該改善計画に基づき、今後行う業務に係る再発防止策を確実に実施・定着させること。
      4. 全社的な法令等遵守意識の向上及び健全な企業文化の醸成に向けた方策(十分な社内研修の実施等を含む。)を策定し、取組みを進めること。
      5. 本件行政処分の内容及び改善対応策について、全ての出資者を対象に適切な説明を実施し、説明結果を報告すること。
      6. 上記の対応について、1カ月以内に書面で報告するとともに、以降、その全てが完了するまでの間、随時書面で報告すること。

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金融庁 バーゼル銀行監督委員会による議事要旨の公表について
▼議事要旨(仮訳)
  • バーゼル銀行監督委員会は新型コロナウイルス感染症の銀行への影響について議論し、金融危機後の規制改革を評価し、暗号資産に係る市中協議の実施に合意
    • バーゼル銀行監督委員会(以下「バーゼル委」)は、新型コロナウイルス感染症の銀行システムに対するリスクについて議論し、引当実務についてレビューし、資本及び流動性バッファーの利用の重要性を強調。
    • コロナ禍におけるバーゼル枠組みの影響を評価した中間報告書のレビューを実施。
    • 暗号資産エクスポージャーに係るプルデンシャルな取扱いに関する市中協議の実施に合意。
  • バーゼル委は2021年6月4日に会議を開催し、新型コロナウイルス感染症の銀行システムに対するリスクについて状況把握(ストックテイク)を行うとともに、政策及び監督上の取組みについて議論した。
  • 新型コロナウイルス感染症のリスクと脆弱性
    • 不均衡な回復と不確実なグローバル経済環境の下、銀行及び監督当局は、更なるリスクと脆弱性に対して、引き続き警戒しなければならない。バーゼル委は、銀行がショックを吸収し、信用力の高い家計や企業への貸出を維持するために、バーゼルⅢの資本及び流動性バッファーを活用すべきというガイダンスを改めて表明する。メンバーは、最近最終化されたオペレーショナル・レジリエンス及びオペレーショナル・リスクのための諸原則に沿って、銀行がオペレーショナル・レジリエンスを強化することが重要であると強調した。バーゼル委はまた、パンデミック期間中の銀行の引当実務について議論した。バーゼル委は、これらの実務を引き続きモニターし、国際的な会計・監査基準設定主体や監査法人と積極的に関わっていく。より一般的には、バーゼル委メンバーは、バーゼル枠組みに対する一時的な調整が、その全体的な目的と整合的であり、かつ余裕を持って解除されることを確保するために、こうした調整に関する意見交換やモニタリングを継続する。
  • 金融危機後の規制改革の影響評価
    • バーゼル委は、実施されたバーゼルⅢ基準のパンデミック期間中の影響について予備的な評価を与える報告書をレビューした。この中間報告書は、金融危機後の規制改革の影響評価に関するバーゼル委のより広範な作業計画の一部である。同報告書は7月に公表される予定であり、その調査結果の諸要素は、G20財務大臣・中央銀行総裁に提出される、新型コロナウイルス感染症から得られた金融安定上の教訓に関する金融安定理事会(FSB)の中間報告書に含まれることになる。
  • 暗号資産
    • バーゼル委は、暗号資産に関連する市場の発展と、銀行の暗号資産エクスポージャーに係るプルデンシャルな取扱いを策定するための次のステップについて議論した。銀行の暗号資産へのエクスポージャーは現在のところ限定的である一方、具体的なプルデンシャルな取扱いがない場合には、一部の銀行における関心の高まりに伴って、暗号資産と関連サービスの継続的な規模の拡大及び革新が、世界的な金融安定性に対する懸念と銀行システムに対するリスクを増大させる可能性がある。
    • バーゼル委は、銀行の暗号資産へのエクスポージャーに係るプルデンシャルな取扱いのデザインについて、外部関係者の見解を求めるための市中協議を行うことに合意した。これは、以前のディスカッション・ペーパー、広範な関係者からのコメント、及び他のグローバルなフォーラムや基準設定主体で進行中の取組みを踏まえている。同市中協議文書は今週公表される

~NEW~
金融庁 令和3年版犯罪被害者白書
▼第1部第2章 第4次犯罪被害者等基本計画の概要
  • 第4次基本計画では、第1次基本計画から第3次基本計画までと同様、基本法第3条の基本理念等を踏まえた「4つの基本方針」((1)尊厳にふさわしい処遇を権利として保障すること、(2)個々の事情に応じて適切に行われること、(3)途切れることなく行われること、(4)国民の総意を形成しながら展開されること)、大局的な課題を指摘した「5つの重点課題」及び犯罪被害者等施策を全体として効果的・効率的に実施するための「推進体制」が示されている。
  • 第1次基本計画から第3次基本計画までの計画期間内において、犯罪被害給付制度(以下「犯給制度」という。)の拡充、損害賠償命令制度の創設、被害者参加制度の創設・拡充、カウンセリング費用の公費負担制度の整備、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(以下「ワンストップ支援センター」という。)の全ての都道府県への設置、犯罪被害者等に適切な情報提供等を行う総合的対応窓口の全ての地方公共団体への設置等の各種取組が進められ、犯罪被害者等施策は大きく進展した。
  • しかし、犯罪被害者等は今もなお多くの問題を抱えており、犯罪被害者等や犯罪被害者支援団体からは、依然として多岐にわたる意見・要望が寄せられている。第4次基本計画においては、当該意見・要望や第3次基本計画の実施状況の評価を踏まえ、地方公共団体における犯罪被害者等支援、性犯罪・性暴力や児童虐待等の被害が潜在化しやすい犯罪被害者等への支援、加害者処遇における犯罪被害者等への配慮の充実、様々な犯罪被害者等に配慮した多様な支援、社会変化に対応してデジタル技術その他の新たな手法等を取り入れた施策の推進等が課題とされた。
  • 具体的には、1つ目の重点課題「損害回復・経済的支援等への取組」については、犯罪被害者等が直面している経済的な困難を打開するため、加害者の損害賠償責任の実現に向けて必要な検討等を行うとともに、犯罪被害者等支援を目的とした制度以外の制度や民間の取組等の活用推進を含め、犯罪被害者等の損害を回復し、経済的に支援するための取組等を行わなければならないとされた。
  • 2つ目の重点課題「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」については、犯罪被害者等が受ける精神的・身体的被害を回復・軽減し、又は未然に防止するための取組を行わなければならないとされた。特に、(1)個人の尊厳を著しく踏みにじり、心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼす性犯罪・性暴力の被害者への支援の一層の充実・強化並びに(2)生命・身体に重大な危害が及ぶ場合もある児童虐待事案、ストーカー事案及び配偶者等からの暴力事案の被害を防止するための対策の強化や相談につながりやすく、安全が確保され、適切に支援を受けることができるようにするための取組の一層の充実を図る必要があるとされた。
  • 3つ目の重点課題「刑事手続への関与拡充への取組」については、犯罪被害者等が刑事手続や少年保護事件に関する手続に適切に関与できるよう、その機会を拡充するための取組を行わなければならないとされた。また、犯罪被害者等に対する一層の情報提供や犯罪被害者等の心情等の加害者処遇への一層の反映を求める声が、犯罪被害者等やその支援に携わる者等から寄せられていることを踏まえ、加害者処遇における犯罪被害者等の立場や心情等への配慮等を一層充実させる必要があるとされた。
  • 4つ目の重点課題「支援等のための体制整備への取組」については、地方公共団体や犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等と共に、継ぎ目のない支援体制を構築していく必要があるとされた。また、中長期的な支援体制の整備への取組が行われなければならないとされた。さらに、国、地方公共団体及びその他の関係機関並びに犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等が相互に連携・協力し、被害直後から様々な関係機関・団体等が協働して、重層的な支援を行うことができる体制を構築していく必要があるとされた。
  • 5つ目の重点課題「国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組」については、インターネットやSNSの普及にも配意しつつ、様々な機会や媒体を通じ、教育活動、広報啓発活動等を継続的に行うなどして、犯罪被害者等が置かれている状況、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏への配慮の重要性等に関する国民の理解・共感を深め、犯罪被害者等への配慮・尊重と犯罪被害者等施策への国民の協力を確保するための取組を推進しなければならないとされた

~NEW~
内閣官房 国・地方脱炭素実現会議(第3回)議事次第
▼資料1-2 地域脱炭素ロードマップ(案)概要
  • 地域脱炭素は、地域課題を解決し、地域の魅力と質を向上させる地方創生に貢献
    • 一人一人が主体となって、今ある技術で取り組める
    • 再エネなどの地域資源の最大限に活用することで実現できる
    • 地域の経済活性化、地域課題の解決に貢献できる
      • 我が国は、限られた国土を賢く活用し、面積当たりの太陽光発電を世界一まで拡大してきた。他方で、再エネをめぐる現下の情勢は、課題が山積(コスト・適地確保・環境共生など)。国を挙げてこの課題を乗り越え、地域の豊富な再エネポテンシャルを有効利用していく
      • 一方、環境省の試算によると、約9割の市町村で、エネルギー代金の域内外収支は、域外支出が上回っている(2015年度)
      • 豊富な再エネポテンシャルを有効活用することで、地域内で資金を循環させることが重要
  • 足元から5年間に政策を総動員し、人材・技術・情報・資金を積極支援
    1. 2030年度までに少なくとも100か所の「脱炭素先行地域」をつくる
    2. 全国で、重点対策を実行(自家消費型太陽光、省エネ住宅、電動車、食ロス対策など)
  • 3つの基盤的施策(継続的・包括的支援、ライフスタイルイノベーション、制度改革)を実施
  • モデルを全国に伝搬し、2050年を待たずに脱炭素達成(脱炭素ドミノ)
  • 脱炭素先行地域づくり
  • 地方自治体や地元企業・金融機関が中心となり、環境省を中心に国も積極的に支援しながら、少なくとも100か所の脱炭素先行地域で、地域特性等に応じて脱炭素に向かう先行的な取組を実行する。地域課題を解決し住民の暮らしの質の向上を実現しながら脱炭素に向かう取組の方向性を示す
    1. 脱炭素先行地域で実現する削減レベルの要件
      • 地域が主体となり、地域特性に応じた効果的な手法を活用し、民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出実質ゼロを実現し、運輸部門や熱利用等についても、国全体の2030年度目標と整合する削減を地域特性に応じて実現※これらの実現の道筋を、2025年度までに立て、2030年度までに実現
    2. 削減レベルを満たす取組内容
      • 地域特性や気候風土に応じて再エネ、省エネ、電化、EV/PHEV/FCVの利用、カーボンニュートラル燃料の使用等の適切な対策を組み合わせて実行する。
        1. 再エネポテンシャルの最大活用による追加導入
        2. 住宅・建築物の省エネ・再エネ導入及び蓄電池等として活用可能なEV/PHEV/FCVの活用
        3. 再生可能エネルギー熱や未利用熱、カーボンニュートラル燃料の利用
        4. 地域特性に応じたデジタル技術も活用した脱炭素化の取組
        5. 資源循環の高度化(循環経済への移行)
        6. CO2排出実質ゼロの電気・熱・燃料の融通
        7. 地域の自然資源等を生かした吸収源対策等
  • 脱炭素の基盤となる重点対策
    • 全国津々浦々で取り組む脱炭素の基盤となる重点対策を整理
    • 国はガイドライン策定や積極的支援メカニズムにより協力
      1. 屋根置きなど自家消費型の太陽光発電
      2. 地域共生・地域裨益型再エネの立地
      3. 公共施設など業務ビル等における徹底した省エネと再エネ電気調達と更新や改修時のZEB化誘導
      4. 住宅・建築物の省エネ性能等の向上
      5. ゼロカーボン・ドライブ(再エネ×EV/PHEV/FCV)
      6. 資源循環の高度化を通じた循環経済への移行
      7. コンパクト・プラス・ネットワーク等による脱炭素型まちづくり
      8. 食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立
  • 地域において、地方自治体・金融機関・中核企業等が主体的に参画した体制を構築し、地域課題の解決に資する脱炭素化の事業や政策を実行
  • 地方支分支局が、地方環境事務所を中心に、各ブロックにて創意工夫しつつ水平連携し、各地域の強み・課題・ニーズを丁寧に吸い上げ、機動的に支援を実施
  • 今後5年間を集中期間として、脱炭素への移行に繋がる取組の加速化が必要。そのため、人材、情報・技術、資金の面から積極的、継続的かつ包括的に支援するスキームを構築
  • 関係府省庁において脱炭素関連対策に重点化
    • エネルギー・金融等の知見経験を持つ人材派遣の強化(※地域力創造アドバイザー制度、地域活性化起業人等を活用)
    • 相談対応、出前指導や研修などにより地域人材の底上げ
    • REPOSやEADAS、PLATEAU、地域経済循環分析ツールなど、デジタル技術も活用した情報基盤・知見を充実
    • 成功事例・ノウハウの見える化と地域間共有・ネットワーク形成
    • 実行計画マニュアル充実やCO2排出量把握支援など、地方自治体の脱炭素取組の計画や削減目標、シナリオの策定・更新を推進資金
    • 地域脱炭素への移行・実現に向けた取組の加速化の観点から、脱炭素事業に意欲的に取り組む地方自治体や事業者等を集中的、重点的に支援するため、資金支援の仕組みを抜本的に見直し、複数年度にわたり継続的かつ包括的に支援するスキームを構築
    • 民間投資の呼び込みを一層促進するための出資等の金融手段の活用を含め、事業の特性等を踏まえた効果的な形で実施
    • ESG地域金融の案件形成や体制構築を支援
  • 国民の皆様に脱炭素行動を自発的に選択していただくため、ライフスタイルイノベーションを起こす
    1. CO2排出の見える化:どれを選べばいいか、わかりやすくします
      • 製品・サービスのCO2排出量の見える化の環境整備※2030年までに、見える化がなされ、消費者の選択に活用されている状況が一般的になっていることを目指す(参考例:食品のカロリー表示)
    2. CO2削減ポイントやナッジの普及拡大:っかけを作り、後押しします
      • 環境配慮行動に対する企業のポイント付与
      • 環境配慮行動にポイントを付け、地域で使える地域のCO2削減ポイント
      • ふるさと納税の返礼品としての地域再エネの活用
    3. 脱炭素アンバサダーの率先行動:何をすればいいか、伝えます
      • ゼロカーボンアクションのリスト化、率先行動
  • 社会全体を脱炭素に向けるルールのイノベーション
    1. 地球温暖化対策法改正法を活用した地域共生・裨益型再エネ促進
      • 再エネ導入の数値目標とそれを踏まえた具体的な促進区域の設定(ポジティブゾーニング)を、適切な地域環境の保全や円滑な地域合意形成を図りつつ、国と地方自治体が連携して積極的に進める
      • 促進区域において、複数の適地をまとめた事業化、設備機器の共同購入、初期費用ゼロの屋根置き太陽光など、費用効率的で経済活性化や防災など地域の課題解決にも資する再エネ事業を普及させる
    2. 風力発電の特性に合った環境アセスメントの最適化等による風力発電促進
      • 環境アセスメント制度について、立地や環境影響など洋上風力発電の特性を踏まえた最適なあり方を検討
      • 鳥類等の環境情報の充実及び海外事例も参考にした風力発電の特性に合った環境保全措置の手法検討
    3. 科学調査実施による地域共生型の地熱発電の開発加速化
      • 温泉事業者等の地域の不安を解消するための熱源探査を含めた自然環境の詳細調査、地産地消型・地元裨益型の地熱のあり方検討、温泉モニタリングを実施し、円滑な地域調整による案件開発を加速化する
      • 「地熱開発加速化プラン」において、10年以上の地熱開発までのリードタイムを最短8年まで2年以上短くするとともに、2030年までに全国の地熱発電施設数を現在の約60施設からの倍増を目指す
    4. 住宅・建築物分野の対策強化に向けた制度的対応
      • 住宅・建築物の規制的措置を含む省エネ対策の強化に関するロードマップの検討・策定 ※「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」において検討
      • 木材利用促進法を踏まえた建築物への木材利用の促進

~NEW~
内閣官房 新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策関係閣僚会議(第3回)
▼資料1 厚生労働省資料
  • 経済財政諮問会議(4月13日)民間議員ペーパー「ヒューマン・ニューディールの実現に向けて」主な指摘事項
    • 成長性の高い分野への人材の円滑な移動の促進(リカレント教育の強化等)
    • 非正規の離職者等の再就職につながるような教育訓練の提供(飲食・宿泊業等への対応、民間求人メディアのマッチング機能向上のためのルール整備等)
    • セーフティネットの強化(求職者支援制度等の成果検証の上で、必要な場合、財源の在り方も含めて見直し、更なる拡充等)
  • 経済財政諮問会議(5月14日)民間議員ペーパー「日本経済の底上げに向けて」主な指摘事項
    • 最低賃金の引上げに向けた方向性(より早期に全国加重平均1000円、格差是正のために最低賃金引上げが不可欠、支援策をフル活用)
    • 非正規雇用の正規化・能力開発支援、就業支援の強化
    • 中小企業の生産性向上、価格転嫁の円滑化(大企業と中小企業の取引条件改善、官公庁と民間の契約に際しての労務費上昇分の確実な反映、各種支援策の認知度向上、活用促進)
  • 雇用維持・雇用継続への支援
    • 雇用調整助成金の特例
    • 5~7月は緊急事態措置を実施すべき区域又はまん延防止等重点措置を実施すべき区域において、知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力する事業主(飲食店等)や、特に業況が厳しい事業主について4月までと同様の水準の支援
    • 在籍型出向による雇用維持への支援(産業雇用安定助成金の創設、産業雇用安定センターによるマッチング等)
    • 改正育児・介護休業法の周知(有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和等)
  • 再就職・労働移動への支援
    • 離職した非正規・困窮者を官民連携して支援(ハローワークと民間事業者の求人情報共有、助成金支給に民間職業紹介事業者の活用)
  • 生活困窮者等に対して、ハローワークと福祉担当が連携したチーム支援
    • 職業訓練受講給付金の収入要件の特例措置など新型コロナウイルス感染症にかかる職業訓練の特例措置
    • 職業訓練受講給付金と住居確保給付金との併給調整をしない特例を導入
  • 施策の進捗状況の確認
    • 新型コロナウイルス感染症の影響下の雇用施策について、進捗管理を適切に行いながら、効果的に実施
  • フリーランスに対するセーフティネット
    • 労災保険の特別加入制度について、4月より芸能従事者等の4業種を新たに対象として追加、今後順次拡大
  • 中長期的な労働市場形成に向けた取組
    • IT技術、インターネットの普及に伴い、労働市場における求人メディアの市場規模が拡大、コロナの影響が大きいサービス業などでも、求人メディア経由の就職が多くなっている
    • これまで職業紹介事業者やハローワークを通じて労働市場を把握してきたが、労働市場の全体像を把握して雇用対策を行っていくことが重要。
    • 加えて、採用・転職の基盤となる労働市場において雇用仲介事業を行うためのルール(情報の的確性、苦情処理等)を整備すること等を通じ、求職者が安心して民間人材サービスを利用できる環境整備を推進する。
  • コロナ禍に対応した非正規雇用労働者等のスキルアップ・キャリアチェンジ支援
    • 職業訓練(特に求職者支援訓練)の推進:求職者支援制度の特例措置(訓練期間の緩和など)の効果を検証し、目標に向けてさらに推進
  • デジタル、グリーン等の成長分野への人材の円滑な移動を促す教育訓練
    • デジタル分野、グリーン分野等の産業界の人材ニーズの把握:都道府県地域訓練協議会に関係省庁が参画等し、産業界のニーズを汲み取る体制を整備
    • デジタル分野、グリーン分野等の訓練コースの設定促進:職業訓練機関等のカリキュラムを産業界のニーズに適合した、より実践的なものに改変、ニーズの高い分野へのインセンティブ 等
    • 学習支援機能の強化:デジタルやグリーン分野に関する講座を教育訓練給付の対象に追加。生産性向上人材育成支援センターの提供プログラムの充実 等
  • キャリアの持続的発展を図るためのリカレント教育の推進
    • 労使が取り組む事項や効果的な選択肢の体系化:リカレントガイドライン(仮称)の策定
    • キャリアコンサルティングやジョブ・カードの機能強化:節目ごとのキャリアの棚卸し、キャリアの見える化
  • 最低賃金の引上げに関する政府方針
    • 経済の好循環の実現に向けて、賃上げしやすい環境整備に取り組みつつ、最低賃金について、より早期に全国加重平均1000円になることを目指す。
  • 賃上げしやすい環境整備の取組
    • 最低賃金を引き上げること、その際には最低賃金の引上げを行う企業等に対する支援、下請取引適正化について、関係省庁が連携し、取り組む必要。
▼資料2 経済産業省資料
  • 成長分野を担う人材確保・育成に向けた支援
    1. 人材育成・学び直し支援
      1. デジタル
        • ITを利活用する全ての社会人が備えておくべきITに関する基礎知識の習得を通じたキャリアアップにつながる「ITパスポート試験」の受講を推進。(年間試験申込者数:約10万人 / 令和3年3月末時点の累計合格数:約56万人)
        • デジタルスキルの学び直しのため、誰でも無料で学べるコンテンツを経産省ホームページ上に一覧的に掲載した「巣ごもりDXステップ講座情報ナビ」の利用を推進。(令和3年6月7日時点の登録講座数:87講座)
        • 実践的な学びの場の提供等を行う「デジタル人材プラットフォーム」を構築し、地方デジタル人材育成の取組と連携。
        • 情報処理推進機構(IPA)が、経済界との協力を含む体制整備を行い、各種デジタル人材のスキルを評価する基準を作成する。
      2. グリーン
        • グリーン社会に向けて産業界のニーズを把握し、厚生労働省と連携して職業訓練校等が提供する講座の見直しや、得られたノウハウ等を産業界にフィードバック。
        • 第四次産業革命スキル習得講座認定制度の対象としてグリーン分野を追加するとともに、厚生労働省と連携して教育訓練給付の活用を促進。(令和3年6月7日時点の認定講座数:106講座 / 認定講座のうち厚生労働大臣の指定を受けたものは、 受講費用の最大7割を支給)
    2. 人材確保支援
      • セミナー・マッチング等を通じて中小企業の経営課題に即した人材発掘・確保・定着を支援。
      • 若者人材の求人手法の高度化に向けて中堅・中小企業を総合支援。
      • 人材確保等促進税制を通じた中途採用等による外部人材の獲得を促進。
  • 最低賃金引上げに向けた環境整備
    1. 最低賃金引上げができる環境を整備すべく、事業再構築補助金や生産性革命推進事業により中小企業の生産性向上に取り組む。また、所得拡大促進税制により、雇用増や賃上げを促す。
    2. また、中小企業が生み出した付加価値が手元に残るように、以下を進める。
      1. 「パートナーシップ構築宣言」を通じた取引環境の改善、
      2. 最低賃金を含む労務費の上昇分の価格転嫁協議の促進(「価格交渉促進月間」(仮称)を設定し、下請Gメンによる調査を徹底)、
      3. 官公庁と民間企業の契約における最低賃金引上げ分の転嫁の徹底、
    3. 併せて、飲食・宿泊業を始めとする中小企業の財務体質強化のため、日本政策金融公庫等による資本性劣後ローンの融資限度額を引き上げる(7.2億円→10億円)。また、コロナの影響を受けた飲食・宿泊等の中堅・大企業の財務基盤を強化するため必要に応じて資本性資金の供給を更に推進する。

~NEW~
内閣府 令和3年版防災白書
▼特集第1章1-1~2-3(PDF版)
  • 新型コロナウイルス感染症については、一部の地域で感染拡大が見られ、令和2年3月26日に政府対策本部が設置されるなど、政府として危機管理上重要な課題として、対策が講じられている。このような状況の中で、令和2年度は日本各地で豪雨や地震、大雪等の災害が発生した。特に、令和2年7月豪雨や令和2年12月~令和3年1月の大雪、令和3年2月の福島県沖を震源とする地震等の災害により顕著な被害が発生した。新型コロナウイルス感染症の影響下での自然災害においても、住民等に対して必要な支援と感染症対策が実施できるように、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえた防災対策等を今後も維持・向上していく必要がある
  • 新型コロナウイルス感染症については、感染拡大の防止のために政府を挙げて取り組んでおり、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年3月28日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)を踏まえ、令和2年4月以降、累次にわたって通知等を発出し、(1)分散避難に向けた行動の周知、(2)ホテル・旅館等も活用した可能な限り多くの避難所の開設の促進、(3)避難所における新型コロナウイルス感染症への対応の周知、(4)災害発生時における新型コロナウイルス感染症患者等に関する情報共有など、感染症対策に万全を期すよう、関係省庁が連携して地方公共団体の取組に対して様々な助言を行った。
  • 発生した災害や被災者の状況等によっては、避難所の収容人数を考慮し、あらかじめ指定した指定避難所以外の避難所を開設するなど、通常の災害発生時よりも可能な限り多くの避難所の開設を図ることが重要である。このため、地方公共団体に対して自らの公共施設だけでなく、ホテル・旅館等や国等の研修施設等の活用を速やかに検討するよう通知した大規模災害発生時に避難所で必要な物資については、地方公共団体が備蓄するのが基本であるが、新型コロナウイルス感染症対策として必要なパーティションや衛生用品については、令和2年の出水期を迎えるまでに、流通状況等の問題もあり、地方公共団体において必ずしも十分には備蓄できていない状況であった。
  • そのため、内閣府は、厚生労働省を始め関係機関と連携し、地方公共団体における感染症対策物資の確保を支援するため、各地方公共団体内の衛生部局や民生部局と防災部局間でのマスク等の備蓄の融通が可能である旨の技術的助言等を行うとともに、厚生労働省が把握するマスクの販売業者に係る情報提供や、優先供給スキームの活用を通じた手指消毒用エタノールの購入支援など、前例のない省庁横断的な対策を実施し、迅速な地方公共団体の物資確保の支援に努めた。
  • また、避難所の生活環境改善の観点から早期の支援が必要であるが、製造に一定の時間を要するため、内閣府において備蓄している段ボールベッドに加え、新型コロナウイルス感染症対策として必要な衛生用品(マスク、消毒液等)やパーティション等の感染症対策物資の備蓄も行い、早期のプッシュ型支援に備えた
  • 災害発生時には、被災地の内外からボランティアが駆け付け、様々な被災者支援活動を行うなど、ボランティアは被災地の復旧・復興、被災者の生活再建において重要な役割を果たしている。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響下においては、ボランティアが被災地で支援活動を行う場面において感染が拡大することがないよう留意する必要がある。そのため、ボランティア活動の調整等を行う、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(以下「JVOAD」という。)や全国社会福祉協議会は、新型コロナウイルス感染症の影響下におけるボランティア活動に関し、留意事項をそれぞれ示した。内閣府は、これを受け、新型コロナウイルス感染症の影響下においてボランティアの受入れが被災地域や近隣地域など限られた範囲での対応となるなど活動人員等に制約のある条件下で、被災者支援活動が効果的に行われるよう、行政、社会福祉協議会、NPO等が一層連携するよう地方公共団体に通知し、対応を促した
  • 我が国は、その自然的条件から各種の災害が発生しやすい特性を有しており、毎年のように水害・土砂災害、地震・津波等の自然災害が発生している。近年では平成23年の東日本大震災や平成28年の熊本地震、平成30年7月豪雨、令和元年においても房総半島台風や東日本台風により大規模な被害を受けた。令和2年度では、令和2年7月豪雨、令和2年12月~令和3年1月の大雪、令和3年福島県沖を震源とする地震等により顕著な被害が発生した。特に令和2年7月豪雨では、九州、中部、東北地方を始めとした広範囲の地域において多くの人命や家屋への被害のほか、ライフライン、地域の産業等にも甚大な被害をもたらした。また、12月以降、北日本から西日本にかけての日本海側を中心に断続的に強い雪が降り、普段雪が少ない九州や四国でも積雪となったところがあった
▼特集第1章2-4~3-3(PDF版)
  • 平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風(台風第19号)や令和2年7月豪雨など、近年の大規模災害において、広範囲に甚大な量の災害廃棄物が発生し、市町村や民間事業者のみでは、収集運搬体制が十分に構築できず、路上に災害廃棄物が堆積した事例があった。このため、被災自治体が応援自治体や民間事業者の支援を受け収集運搬体制を構築したほか、環境省、自衛隊、ボランティア関係団体を始めとした、関係省庁や関係機関が連携しながら処理を進めてきた。
  • 環境省と防衛省は、これらの活動を通じて蓄積されたノウハウ等も踏まえ、防災基本計画に基づき、環境省、防衛省、自治体、NPO等の関係者の役割分担や、平時の取組、発災時の対応等を整理した「災害廃棄物の撤去等に係る連携対応マニュアル」を令和2年8月に策定した。
  • 連携マニュアルの中で、災害廃棄物の処理主体はあくまで市町村であり、市町村が関係機関と連携し対応に当たることが前提であるとされている。その上で、環境省では発災時の役割分担に係る総合調整、市町村に対する財政支援策の周知、民間事業者との協定締結の促進を含めた助言等を担うのに対し、防衛省・自衛隊においては、被災都道府県の要請に基づき、災害廃棄物の撤去目的、活動範囲、活動期間等を明確にした上で、「事態やむを得ないと認める場合の応急対策」として活動を実施することになっている。
  • また、マニュアルの中で、関係者間の連携のグッドプラクティスの具体的な事例として、令和元年東日本台風の際に、市民・ボランティア・県・市・環境省・自衛隊・民間事業者などの官民を超えた多くの関係者が一体となってそれぞれの能力を活かした活動ができるよう、関係者との間で役割分担を実施して効果的な撤去を実現した長野県長野市の「One NAGANO」の取組を取り上げている。
  • 「災害廃棄物の撤去等に係る連携対応マニュアル」は環境省のホームページの災害廃棄物対策情報サイト等で確認することができる。今後も、災害廃棄物の発生に円滑かつ迅速に対応し得るよう連携を強化していく
▼特集第2章~3章(PDF版)
  • 令和元年台風第19号WGにおいて実施した住民アンケートでは、避難勧告を「避難の準備を始める段階」、「まだ避難を開始すべき段階ではないが自主的に避難する段階」と誤って認識している人が多いことや、実際に避難するタイミングが避難勧告であると回答した人は約4分の1と限定的であるなど、避難勧告で避難すべきであることが理解されていないことが明らかになった。
  • また、避難勧告と避難指示の違いが理解されておらず、避難指示が発令されるまで避難しない、いわゆる「指示待ち」の人が依然として多いことも明らかになった。
  • さらに、避難情報等SWGにおいて、実際に避難情報の発令を行っている市町村長に対して実施したアンケートにおいても、避難勧告と避難指示については、以下等の理由から、避難勧告と避難指示を避難指示へ一本化し、同じ警戒レベル(警戒レベル4)として発令する避難情報を一つにすることを求める意見が多数示された。
  • 現行制度は避難のタイミングが2つあるようで分かりづらく避難行動を起こしづらい
  • 住民からするとどちらも避難するという意味では一緒であり、また勧告と指示の違いを理解している住民は多くなく、区別することに意味がない
  • 2段階あると避難勧告では避難しなくていいと誤解され、指示待ちにつながるおそれがある
  • 以上を踏まえ、避難勧告と避難指示を避難指示へ一本化するなど、避難情報の包括的な見直しを行った近年の災害において、多くの高齢者・障害者等が被災しており、自ら避難することが困難な高齢者・障害者等の避難行動要支援者ごとの避難支援等を実施するための計画である個別避難計画の作成を一層推進することにより、高齢者等の円滑かつ迅速な避難を図る必要があるとの高齢者等SWGの最終とりまとめ等を受けて、一部の市町村において、作成が進められている個別避難計画について、全国的に作成を推進する観点から、当該計画の作成を市町村の努力義務とすることとした。
  • 加えて、個別避難計画に記載された情報については、平時には、避難行動要支援者及び避難支援等実施者の同意を得た場合又は条例に特別の定めがある場合において、消防機関、民生委員などの避難支援等関係者等に対して情報提供できることとし、災害時には、避難行動要支援者及び避難支援等実施者の同意を得なくても避難支援等関係者等に対して情報提供できることとするなど、避難行動要支援者の避難の実効性を高める措置を講じた
  • 近年、台風進路予報の精度が年々向上するなど気象予報の技術が向上しており、発災前の段階においても大規模災害発生の事前予測が一定程度の確度で可能となっている。こうした中、気象庁では、気象警報の発表基準をはるかに超える異常な現象が予想され、重大な災害が起こるおそれが著しく大きい場合に「特別警報」を発表する取組を平成25年8月から開始している。また、特別警報の発表(台風の場合は12時間前)を行う可能性がある場合、その旨を数日前から発表することとしている。
  • このように、大規模災害発生の事前予測が一定程度の確度で可能となっていることを災害対応に最大限活かすためには、大雨特別警報等が発表される見込みがある自然現象について、事前の準備など発災時に備えた対応をできるだけ早く取ることが重要である。
  • しかしながら、令和元年東日本台風においては、気象庁の特別警報の発表等を受け、浸水想定区域の住民に広域避難を呼びかけたところ、避難所へ向かう車で渋滞が発生する、渋滞を理由に避難をあきらめる等の問題が発生している。
  • 以上を踏まえ、災害発生前であっても住民等の円滑な避難等の災害応急対策を迅速に実施できるよう、災害が発生するおそれ段階においても関係機関との総合調整等を行う国の災害対策本部を設置できることとした。
  • 併せて、当該本部を設置したときは、都道府県知事等は、本部の所管区域とされた市町村の区域内において、災害救助法による救助(避難所の供与)を実施できることとした
  • 災害発生後のみならず、災害の発生が予測される場合など、より早い段階から多くの居住者等の避難行動を促す必要性が高まっているところであり、特に、広域避難については、江東5区(墨田区、江東区、足立区、葛飾区及び江戸川区)を始めとする全国の市区町村において検討が進められている。
  • この点、災害が予測される段階における対応についても、広域避難や避難のための居住者等の運送は、事前に他の地方公共団体や運送事業者と締結した協定等に基づき実施されることが基本となるが、災害発生後における課題と同様に、以下など、協定等が十分に機能しない事態も想定される。
    • 広域避難先として予定していた地方公共団体も被災するおそれが高いため、居住者等の受入れが困難となる
    • 協定による対応として想定していた規模以上の災害が発生するおそれがある場合には、追加で他の運送事業者に要請する必要が生じる
  • 以上を踏まえ、地方公共団体間や地方公共団体と運送事業者間の協定締結の促進を図りつつも、災害が発生するおそれがある段階における広域避難等の円滑な実施を確保するため、地方公共団体間の居住者等の受入れや、地方公共団体と運送事業者間の居住者等の運送に係る協議規定を整備した大規模災害時には、膨大な災害対応業務が発生するが、地方公共団体等の人的資源には限界があり、迅速・的確に対応を行うためには、業務の効率化、省力化、それらに資する標準化が重要である。
  • 現在、各機関において、災害対応業務の効率化、省力化に資する可能性のあるAI、SNS、衛星などの様々な先進技術の研究開発や各種制度の手続のデジタル化の取組が進められている。
  • こうした状況に鑑み、タスクフォースのとりまとめにおいては、地方公共団体等の現場におけるテクノロジーの活用を促進するため、タスクフォースの関係部局等が連携して、今後、以下に記述する取組の推進を図ることとした。
    • 災害リスク・避難情報の提供については、AIを活用した防災チャットボットによりスマートフォンを通じて、「一人一人の状況を考慮した、適切な避難行動を促す情報の提供」や「住民等から現地の災害情報の収集」を行えるよう、更なる技術開発・実証実験等を実施する。
    • 被害状況の把握については、衛星により広域的な被災画像を迅速に収集・共有できるよう、更なる技術開発・実証実験等を実施する。
    • 被災者支援制度のデジタル化については、「各種被災者支援制度を簡易に検索できるデータベース」の構築や「各種被災者支援制度(罹災証明書、被災者台帳等)の手続のデジタル化」の効果・課題を実証し、効果的な活用事例の創出・望ましいシステムの在り方の検討を行う。
    • 「共助」による避難施設の確保等については、シェアリングエコノミー活用による被災者への避難場所、食料等の災害支援サービスの提供を促進するため、モデル防災協定の検討、周知を行う。
    • 通信の冗長化については、「準天頂衛星の通信機能を活用した安否確認や緊急情報の発信」を行うため、準天頂衛星の効果的な活用事例、利用方法等の周知を行う。また、「基地局を搭載して高高度を飛ぶ無人航空機(HAPS)による通信ネットワークの提供」を可能にするため、実現に向けた、安定的な通信等のための更なる技術開発を行う。
  • 現在、地方公共団体等の現場におけるテクノロジーの活用を促進するため、関係部局においてタスクフォースのとりまとめに記載した取組の更なる研究開発や事業化が進められている
  • 近年、気候変動の影響により気象災害は激甚化・頻発化し、また、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震などの大規模地震の発生も切迫している。また、高度成長期以降に集中的に整備されたインフラが今後一斉に老朽化することから、インフラの維持管理・更新を確実に実施する必要があるが、未だ予防保全型のメンテナンスサイクルは確立できておらず、適切に対応しなければ、中長期的なトータルコストの増大を招くのみならず、我が国の行政・社会経済システムが機能不全に陥る懸念がある。このような国家の危機に打ち勝ち、国民の生命・財産を守り、国家・社会の重要な機能を維持するためには、防災・減災、国土強靱化の取組の加速化・深化を図り、災害に屈しない強靱な国土づくりを進める必要がある。また、防災・減災、国土強靱化の取組をより効率的に進めるためには、近年急速に開発が進むデジタル技術の活用等が不可欠である。このような状況を踏まえ、令和2年12月に、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(以下、「5か年加速化対策」という。)が閣議決定された。
  • 5か年加速化対策は、(1)激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策、(2)予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策、(3)国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進の3分野について更なる加速化・深化を図ることとしている。ダムの事前放流の推進や遊水地の整備などによる流域治水対策、道路橋梁や学校施設などの老朽化対策、ITを活用した道路管理の効率化、防災気象情報の高度化等の123の対策について中長期の目標を定め、令和3年度から令和7年度までの5年間で、重点的かつ集中的に取り組んでいく。
  • 5か年加速化対策の初年度については、令和2年度第3次補正予算により措置しており、国費約2.0兆円(そのうち、公共事業関係費約1.7兆円)を計上している。令和2年度3次補正予算においては、その他に、国土強靱化基本計画に基づき、国土強靱化の取組を着実に推進するための緊要な経費として、国費約0.3兆円(そのうち、公共事業関係費約0.1兆円)を計上している。また、令和3年度当初予算においては、国費約4.4兆円の国土強靱化関係予算を計上している。
  • これらの予算等により、ハード・ソフトを組み合わせた対策を総動員し、関係府省庁と連携して、防災・減災、国土強靱化の取組を強力に推し進めていくこととしている。また、地域レベルでも取組が見えるよう、具体の実施箇所・現場における広報等の積極的なPRに努めることとしている。今回策定した5か年加速化対策による国土強靱化の取組の更なる加速化・深化を踏まえつつ、引き続き、国土強靱化基本計画に基づき、安全、安心かつ災害に屈しない強さとしなやかさを備えた国土づくりをオールジャパンで計画的かつ強力に進めていく

~NEW~
内閣府 子供・若者白書について(旧青少年白書)
▼概要
  • 子供・若者育成支援の基本的な方針と基本施策
    1. 全ての子供・若者の健やかな育成
      • 全ての子供・若者が、かけがえのない幼年・若年期を健やかに過ごすことができ、かつ人生100年時代、絶え間ない変化の時代を幸せ(Well‐being)に、自立して生き抜く基礎を形成できるよう、育成する。
      • 【基本施策】自然・文化体験の充実と1人1台ICT環境の有効活用、少人数学級の実施、健康・安全教育、消費者教育の推進、社会形成に参画する態度、若者の雇用安定化 等
    2. 困難を有する子供・若者やその家族の支援
      • 困難を有する子供・若者が、速やかに困難な状態から脱し、あるいは困難な状況を軽減・コントロールしつつ成長・活躍していけるよう、家族を含め、誰ひとり取り残さず、かつ非常時においても途切れることなく支援する。
      • 【基本施策】担当大臣のリーダーシップの下での孤独・孤立対策、自殺、虐待、貧困等への対策、複合的課題への包括的支援、SNS相談やアウトリーチの充実、SOSを出し、受け止める力の育成 等
    3. 創造的な未来を切り拓く子供・若者の応援
      • 子供・若者が、一人一人異なる長所を伸ばし、特技を磨き、才能を開花させ、世界や日本、地域社会の未来を切り拓いていけるよう、応援する。
      • 【基本施策】STEAM(Science,Technology,Engineering,Art,Mathematics)教育、起業家教育、”出る杭”の応援、地方移住、地域貢献活動の促進 等
    4. 子供・若者の成長のための社会環境の整備
      • 家庭、学校、地域等が、子供・若者の成長の場として、安心・安全な居場所として、Well‐beingの観点からより良い環境となるよう、社会全体、地域全体で子供・若者を育てる機運を高め、ネットワークを整え、活動を促進する。
      • 【基本施策】多様な居場所づくり、子育て支援、家庭教育支援、地域と学校の協働、ネット利用の適正化、働き方改革、テレワーク、子供・若者への投資の推進 等
    5. 子供・若者の成長を支える担い手の養成・支援
      • 教育・心理・福祉等の専門人材から、地域の身近な大人、ひいては当事者たる子供・若者自身に至るまで、多様な担い手を養成・確保するとともに、それぞれの連携・協働の下、持続的な活躍が可能となるよう、支援する。
      • 【基本施策】企業等の参画促進、教師の資質能力の向上、専門や地域を超えた共助の推進、先端技術・データ活用(Child‐YouthTech)等
  • 施策の推進体制
    • 子供・若者の多様化や課題の複雑化、孤独・孤立やWell‐beingの観点等を踏まえ、多様なデータを参考指標(子供・若者インデックス)に設定。それらを可視化した子供・若者インデックスボードを作成し、総合的・多面的な評価、社会全体での支援推進に活用。
    • 子供・若者育成支援施策等の形成過程において子供・若者の意見が積極的かつ適切に反映されるよう、審議会等の委員構成に配慮するとともに、インターネットによる意見募集等を推進。
    • 総理のリーダーシップの下に縦割りを超え、関係行政機関・組織相互間の緊密な連携・協力、施策相互間の十分な調整を図る。
    • 大綱の期間はおおむね5年(令和3~7年度)としつつ、社会情勢、政策動向等に応じ適時改定。3年目に中間評価を新たに実施。政策的に関連の深い他の大綱等の見直し状況を踏まえ終期を判断

~NEW~
内閣府 少子化社会対策白書
▼令和3年版 概要(PDF版)
  • 総人口は、2020年で1億2,571万人。年少人口(0~14歳)、生産年齢人口(15~64歳)、65歳以上人口は、それぞれ1,503万人、7,449万人、3,619万人となっており、総人口に占める割合は、それぞれ12.0%、59.3%、28.8%
  • 2019年の出生数は、86万5,239人となり、過去最少(「86万ショック」)。※将来推計人口の出生中位推計(90万4,342人)と出生低位推計(82万1,121人)の間に位置。2019年の合計特殊出生率は、1.36となり、前年より0.06ポイント低下
  • 諸外国(フランス、アメリカ、スウェーデン、イギリス、ドイツ、イタリア)の合計特殊出生率の推移をみると、1970年から1980年頃にかけて、全体として低下傾向となったが、1990年頃からは、 合計特殊出生率が回復する国もみられる。ただし、2010年頃からはそれらの国々の出生率も再び低下傾向にある。
  • アジアの国や地域について、シンガポール、香港、台湾、韓国の合計特殊出生率の推移をみると、1970年の時点では、いずれの国や地域も我が国の水準を上回っていたが、その後低下傾向となり、現在では人口置換水準を下回る水準
  • 2019年の全国の合計特殊出生率は1.36であるが、都道府県別の状況をみると、これを上回るのは36県。合計特殊出生率が最も高いのは沖縄県(1.82)、次は宮崎県(1.73)。最も低いのは東京都(1.15)、次は宮城県(1.23)。
  • 婚姻件数、妊娠届出数、出生数の推移
    • 新型コロナウイルス感染症が流行する中で、婚姻件数及び妊娠届出数に減少傾向がみられる。
      • 2020年の婚姻件数(速報値)は53万7,583組(対前年比12.7%減)
      • 2020年1月-10月の累計妊娠届出数は72万7,219件(対前年比5.1%減)
    • 出生数についても、妊娠から出産までの期間を踏まえると、2020年12月頃から新型コロナウイルス感染症の影響が出始めているものと考えられる。
      • 2020年の出生数(速報値)は87万2,683人(対前年比2.9%減)
    • 長期的にみても、婚姻件数や出生数は減少傾向が続いていることに加え、新型コロナウイルス感染症の流行が、結婚行動や妊娠活動に少なからず影響を及ぼした可能性があるものと考えられ、今後の推移を注していく必要がある。
  • 新型コロナウイルス感染症を踏まえた少子化対策の主な取組
    • 新型コロナウイルス感染症が結婚・子育て世代に与える影響を注視し、不安に寄り添いながら、安心して結婚、妊娠・出産、子育てができる環境整備に取り組む。
      1. 結婚
        • 結婚に伴う新生活のスタートアップを支援する結婚新生活支援事業について、年齢・年収要件の緩和などの充実を実施(年齢要件:34歳以下→39歳以下、世帯年収要件:約480万円未満相当→約540万円未満相当)。 等
      2. 妊娠・出産
        • 電話やオンラインによる相談支援・保健指導等の実施など、妊産婦に寄り添った支援を総合的に実施。
        • 集団健康診査の受診を控える傾向にある乳幼児健康診査について、個別健康診査への切替えに対する支援等を実施。 等
      3. 子育て
        • 保育所等、幼稚園、地域子ども・子育て支援事業において、職員が感染症対策の徹底を図りながら事業を継続的に実施していくために必要な経費等を補助。 等
  • 新型コロナウイルス感染症流行下における新たなつながりや支援の萌芽
    • 結婚支援-オンラインを活用した婚活イベントの実施
    • 新たな親子の交流の場づくり-「巣ごもり育児」が続く地域の親子の孤立を防ぐオンライン子育て支援
    • 学びの継続-困窮家庭の子供たちを対象としたオンラインによる学習支援
  • トピックス
    1. 少子化社会対策大綱の推進について(2021年度における主な取組)
      • 「少子化社会対策大綱」(2020年5月29日閣議決定)に基づく施策の具体化について、「全世代型社会保障改革の方針」(2020年子育て支援に要する費用に係る税制上の措置の創設
    2. 子育て支援に要する費用に係る税制上の措置の創設
      • 2021年度税制改正要望において認められた「子育て支援に要する費用に係る税制上の措置」(地方公共団体等が行うベビーシッターの利用料等に対する助成を非課税とするもの)について紹介する。
    3. 結婚新生活支援事業の充実について
      • 新婚世帯に対し、結婚に伴う新生活のスタートアップに係るコスト(新居の家賃、引越費用等)を補助する地方公共団体を対象に、国が地方公共団体による補助額の一部を支援する本事業について、2021年度の対象要件等に係る拡充内容等を紹介する。
    4. 結婚応援に関する全国連携会議
      • 地方公共団体において結婚支援に取り組む担当者及びNPOを始めとする民間団体の結婚支援者を対象に、2021年2月にオンライン配信により開催した本会議について、有識者による講演や事例紹介の様子を紹介する。
    5. 新しい生活様式での父親の育児参画
      • 新型コロナウイルス感染症の影響により、家族との過ごし方や子育てなどへの意識や行動の変化がみられることから、これを父親の育児参画促進の契機と捉え、機運醸成を図る取組にいかした三重県の事例を紹介する。
    6. 多機能型地域子育て支援の新たな展開に向けて
      • 埼玉県久喜市にある子育て支援センター「森のひろば」が、近接する認定こども園と連携し、妊娠期から学童期までのワンストップサービスを実現することで、子供と子育て家庭を総合的に支援している事例を紹介する。
    7. NPOやシニア層の参画による地域における子育ての担い手の多様化
      • NPOや活力・意欲あるシニア層の参画を促し、子育ての担い手の多様化を進め、地域全体で子育て家庭を支えていくため、宮城県塩竈市、石川県小松市、京都府、香川県及びNPO法人あい・ぽーとステーションが実施する取組を紹介する。
    8. 地域の実情に応じた少子化対策の推進
      • 地域における少子化の状況を都道府県別と市区町村別の観点からそれぞれ紹介。少子化の状況やその要因、課題には地域差があると考えられるため、地方公共団体において、関係部局が連携し、地域の実情に応じて、結婚、妊娠・出産、子育てしやすい環境の整備に取り組んでいる事例を紹介する。
    9. 家族の日・家族の週間
      • 2020年11月に開催した「家族の日オンラインフォーラム2020」の様子や、「家族の日」「家族の週間」特設ホームページにおいて発信された坂本内閣府特命担当大臣(少子化対策)のメッセージ等について紹介する。
    10. 少子化社会に関する国際意識調査について
      • 日本、フランス、ドイツ、スウェーデンの20~49歳までの男女における、恋愛、結婚、妊娠・出産、子育てのライフステージごとにおける意識や、新型コロナウイルス感染症拡大が結婚、妊娠・出産、育児負担に与えた影響の国際比較の結果を紹介する。
    11. 不妊治療を受けやすい職場環境整備に向けて
      • 坂本内閣府特命担当大臣(少子化対策)及び田村厚生労働大臣を共同座長、三ッ林内閣府副大臣及び三原厚生労働副大臣を共同副座長として開催した「不妊治療を受けやすい職場環境整備に向けた検討チーム」において、2020年12月に取りまとめた「不妊治療を受けやすい職場環境整備に向けた今後の取組方針」の内容を紹介する

~NEW~
内閣府 令和3年版高齢社会白書を公表しました
▼概要
  • 我が国の総人口は、令和2(2020)年10月1日現在、1億2,571万人。65歳以上人口は、3,619万人。総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は28.8%。「65歳~74歳人口」は1,747万人、総人口に占める割合は13.9%。「75歳以上人口」は1,872万人、総人口に占める割合は14.9%で、65歳~74歳人口を上回っている。令和47(2065)年には、約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上
  • 年齢階級別に就業率の推移を見てみると、60~64歳、65~69歳、70~74歳では、10年前の平成22(2010)年の就業率と比較して、令和2(2020)年の就業率はそれぞれ13.9ポイント、13.2ポイント、10.5ポイント伸びている
  • 日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、平成28(2016)年時点で男性が72.14年、女性が74.79年となっており、それぞれ平成22年(2010)年と比べて延びている(平成22年→平成28年:男性1.72年、女性1.17年)。さらに、同期間における健康寿命の延びは、平均寿命の延び(平成22年→平成28年:男性1.43年、女性0.84年)を上回っている
  • 75歳以上の運転免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は減少傾向にある。令和2(2020)年における運転免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は、75歳以上で5.6件、80歳以上で7.8件と、いずれも前年より減少している
  • 過去1年間にインターネットを利用したことがあるかについて、利用者の年齢階級別に増加率を9年前と比較すると、80歳以上が37.2ポイント増と最も大きく、次いで70~79歳が35.0ポイント増となっており、インターネットを利用する60代以上の者が特に増加傾向にある。
  • 令和2年度「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(調査時期は令和2年12月~令和3年1月)の結果(60歳以上の男女(日本1,367人、アメリカ1,006人、ドイツ1,043人、スウェーデン1,528人))について、その一部を紹介する。なお、本調査は、昭和55年度から5年ごとに実施しているが、新型コロナウイルス感染症が世界的にまん延する中、令和2年度の調査では、新型コロナウイルス感染症の拡大による生活への影響についても調査を行った
    • 新型コロナウイルス感染症が世界レベルでまん延する中、前回の平成27年度調査と比較すると減少傾向にはあるものの、依然として、各国の60歳以上の人の8割超が現在の生活に満足している(「満足している」・「まあ満足している」の計)と回答している
    • 就労についてみると、収入を伴う仕事をしている各国の60歳以上の人のうち、日本、アメリカ、ドイツの約3割、スウェーデンの約1割が、新型コロナウイルス感染症の拡大により、「仕事をする日数や時間数が減った」と回答している。こうした中、平成27年度調査結果と同様に「収入の伴う仕事をしたい(続けたい)」と回答している割合は、日本が40.2%と各国の中で最も高くなっており、コロナ禍においても、依然として日本の高齢者の就労意欲の高さが表れている。今後とも我が国において高齢化の進行が見込まれる中、高齢者に対して、多様なニーズに対応した就業機会の提供を図るとともに、テレワークの一層の推進などコロナ禍で感染防止をしながら就労が継続できる取組が求められる
    • ボランティア活動に参加している各国の60歳以上の人のうち、アメリカの約7割、スウェーデンの約5割、ドイツの約3割、日本の約2割が新型コロナウイルス感染症の拡大により、「ボランティア活動をやめた(中止になった)」・「ボランティア活動をする日数や時間数が減った」と回答している
    • 各国の60歳以上の人からは、新型コロナウイルス感染症の拡大により、「旅行や買い物などで外出することが減った」、「友人・知人や近所付き合いが減った」、「別居している家族と会う機会が減った」、「メール、電話、オンラインでの連絡が増えた」と回答する割合が高く、日本も同様の結果となっている。感染防止のための外出自粛等の結果、各国ともに、高齢者と社会や家族・人とのつながりが減る一方、メール・電話・オンラインでの連絡が増えていることが浮かび上がっている
    • 日本は近所の人との付き合いについて、「相談ごとがあった時、相談をしたり、相談されたりする」、「病気の時に助け合う」と回答する割合が、他国と比較して最も低い水準となっており、また、家族以外の人で、相談し合ったり、世話をし合ったりする親しい友人がいない割合は最も高い水準となっている。
  • 政府としては、新型コロナウイルス感染症による影響が長引く中、令和3年2月、内閣官房に孤独・孤立対策担当室が設置され、政府一体となって孤独・孤立の対策に取り組む体制が整えられたが、高齢者が望まない孤独に陥らないようにしたり、地域社会から孤立しないよう、ICTの利活用促進など感染防止に配慮しつつ、社会活動の参加を促す取組や見守りの支援の推進が求められる。
  • コロナ禍における高齢者を含めたテレワークの実践例~株式会社日建設計総合研究所の取組~
    • 東日本大震災を契機に在宅勤務を中心としたテレワーク制度を導入していた株式会社日建設計総合研究所は、新型コロナウイルス感染症の感染防止に加え、ウィズコロナ・ポストコロナ時代も見据え、在宅勤務日数の上限の撤廃やZoom、Google Meetの積極導入等を行った上で、高齢者の所員も含めテレワークを推進した結果、所員の出社率を緊急事態宣言期間中は3割以下、期間外には4割以下に抑えた。同によれば、シニア層の所員は一人で仕事が完結することが多く、テレワークのメリットが大きいという
  • オンライン『でも』人と地域をつなげる~高齢化率32%、人口5万5千人、埼玉県日高市社会福祉協議会の挑戦~
    • 埼玉県日高市社会福祉協議会は、コロナ禍において活動休止を余儀なくされたサロンやボランティア組織が、オンラインでつながりを持ち続けられるよう、令和2年10月の「地域福祉フォーラム」や同年12月のスマートフォン講座を通して促した。開催後は参加した高齢者からの「Zoomを使うとこんなことができる」という口コミの輪が広がり、オンライン「でも」つながることに挑戦する動きがじわじわと広がりつつある
  • 新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた独居高齢者の見守り~岩手県陸前高田市における市内飲食業者等と連携した取組~
    • SDGs未来都市として、「誰一人取り残さない」持続可能な社会の実現を目指している岩手県陸前高田市は、外出自粛による一人暮らし高齢者の孤立を防止するとともに、経済的な影響を受けている市内飲食業者やレンタカー業者の支援も兼ねた一人暮らし高齢者の見守り事業を令和2年6月から9月末まで実施した。市が費用の一部を負担し、市内飲食業者が調理した弁当をレンタカー業者が一人暮らし高齢者の自宅まで配達するもので、令和3年4月からは、全世帯に対象を拡大し、活力ある地域づくりにもつなげていくことを目指している。

~NEW~
内閣府 男女共同参画局 男女共同参画白書
▼令和3年版 男女共同参画白書(概要版)
  • コロナ下で顕在化した男女共同参画の課題と未来
    • 新型コロナウイルス感染症の拡大は,各国の弱いところを露わにしたが,我が国においては男女共同参画の遅れが露呈することになった。
    • 令和2(2020)年4月7日に1回目の緊急事態宣言が発出されたが,ステイホーム,在宅ワーク,学校休校等の影響は,サービス業,とりわけ飲食・宿泊業等を直撃し,非正規雇用労働者を中心に雇用情勢が急速に悪化した。
    • 同時にこれまで見過ごされてきたこと,潜在的にあったものの表面化してこなかった諸問題,例えば,経済的・精神的DV(配偶者暴力),ひとり親世帯,女性の貧困等がコロナ下で可視化され,改めて男女共同参画の進展状況について疑問の声が上がるようになった。
    • こうした我が国の構造的な問題への関心の高まりや,ジェンダー不平等に対する問題意識の高まりは,今後の男女共同参画を強力に推進し、誰一人取り残さない多様性と包摂性のある社会を実現する機会と捉えるべきである。
  • 就業者数の推移を見ると,男女ともに,緊急事態宣言が発出された令和2年4月に前の月と比べて大幅に減少。男女で比較すると,女性は70万人の減少,男性は39万人の減少と,女性の減少幅の方が大きい。
  • 雇用形態別雇用者数(役員を除く)の前年同月差の推移を見ると、女性は,正規雇用労働者の増加が続く一方,非正規雇用労働者は令和2年3月以降,13か月連続の減少。
  • 女性は非正規雇用労働者の割合が高く,特に「宿泊,飲食業」,「生活,娯楽業」が高い。男性は,雇用者(役員を除く)の約8割が正規雇用労働者となっている。
  • 一度目の緊急事態宣言中(令和2年4月~5月)に,就業者数の減少幅が大きかった産業は,女性は「飲食業」,「生活,娯楽業」,「小売業」,男性は「飲食業」,「建設業」,「製造業」,「小売業」であった
  • シングルマザーの完全失業率は,コロナの影響により約3%ポイント押し上げられているが,子供のいる有配偶者には影響が見られない。非労働力率も,シングルマザーと子供のいる有配偶者で対照的な影響が見られ,子供のいる有配偶者の非労働力化に影響。
  • 全国の配偶者暴力相談支援センターと「DV相談プラス」に寄せられたDV(配偶者暴力)相談件数を合わせると,令和2年度の相談件数は19万0,030件で,前年度比で約1.6倍に増加。
  • 「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」に寄せられた令和2年度の相談件数は5万1,141件で,前年度比で約1.2倍に増加。
  • 令和2年の自殺者数を見ると,男性は前の年と比べて23人減少しているが,女性は935人増加している。
  • 女性の自殺者数は,「無職者」が648人増加,「被雇用者・勤め人」が443人増加。(無職者の内訳では「主婦」が最も増加,学生・生徒等の内訳では「高校生」が最も増加。)男性の自殺者数は,「被雇用者・勤め人」が199人増加。
  • テレワークによって,女性が働きやすくなる可能性。他方,「家事が増える」,「自分の時間が減ることがストレス」などの見方もある。
  • 1日の時間の使い方について,コロナ前と比較すると,男性の仕事時間が減少した分,育児時間が増加し,男性の育児参画が進んだように見える。ただし,女性の育児時間も同様に増加しており,また家事時間については変化が無いことから,女性が男性の2倍以上,家事・育児をしている傾向は,コロナ前後で変わらない。
  • 医療・福祉,情報通信業など,コロナ下においても就業者数が増加している産業がある。有効求人倍率を見ると,第1回緊急事態宣言後も,介護サービスの職業については,3~4倍以上で推移しており,ニーズが高い。また,IT関連の転職求人倍率も高く推移している。今後,このようなニーズのある分野や成長分野等へのシフトが重要であり,そのためには,職業訓練等の人材育成,人材のマッチング,勤務環境の改善等が必要である

~NEW~
内閣府 第8回経済財政諮問会議
▼選択する未来 2.0報告
  • グリーンやデジタルなどの分野で大きな変化が速いスピードで進み、世界全体で経済、産業、社会等の基本構造が大きく変わろうとしている。新型感染症の影響を受けた女性や若者、子どもたちを中心にしわ寄せが生じ、格差の拡大・固定化・再生産も懸念される。いまの日本の豊かさを未来へとつないでいくためには、将来をしっかりと見通して、危機感とスピード感を持って変革を行うことが何よりも求められる。キーワードは、中間報告で指摘したとおり、「多様性」と「変化への対応」であり、カギは人材、特に、若者と女性の飛躍的な活躍にある。
  • その際、スピードが重要である。多様な人材の発想や能力を最大限に引き出し、イノベーションを起こすとともに、人材の多様性を高め、変化やリスクへの対応力を高めることが求められる。
  • 選択する未来1.0当時(2014年)と同様の意識調査の結果によれば、将来の不安として最も増加したのは「日本経済の停滞、衰退」であった。そして、日本経済の活力を維持していくために必要な対策としては、「技術革新等による生産性の向上」の割合が最も上昇した。危機感をもって生産性向上に向けた改革を大胆に進める必要がある。
  • 我が国の最大の資源は人材である。しかし、新たな挑戦に踏み出す人々がいる一方で、4.で後述するとおり、日本型雇用システムは多様な人材の活躍を引き出すことができず、人材投資も伸び悩んでいる。人々がいつでも学び直し、その能力を高めるためのリカレント教育は十分かつ効果的に提供されていない。セーフティネットは非正規雇用労働者等を十分に支えることができていない。時代のニーズに合った技能を身に付けることができず、セーフティネットも十分でないため、新しい一歩を踏み出すことができず、不安は徐々に広がっている。
  • 今こそ、画一的で横並び志向の強い硬直的な仕組みから決別し、全ての世代の多様な人材がその能力を高めながら、多様な場で活躍できるようにしなければならない。人材の適材適所と能力の最大限の発揮を妨げる正規雇用・非正規雇用という区分はなくしていく必要がある。このため、財源を確保しながら、国が呼び水となる人材投資と制度改革を大胆に行い、民間の創意工夫・投資意欲を引き出しながら、社会全体で人材を育成する大きなうねりを起こしていく。同時に、正規・非正規という区分をなくすことを目指し同一労働同一賃金を着実に進めながら、非正規雇用労働者やひとり親世帯等へのセーフティネットや学び直しの拡充を進め、格差を拡大・固定化・再生産させず、安心して誰もが様々に活躍し得る社会にする。
  • 新型感染症の下、菅内閣では、非正規雇用労働者等を対象とする給付付きの教育訓練(求職者支援制度)の訓練内容・期間の多様化・柔軟化など取組が行われた。こうした取組を更に定着・拡大していく必要がある。「ヒューマン・ニューディール」を推進し、人材育成・強化により利益と賃金を共に高める経済成長を促し、また、経済成長が多様な雇用機会と人々の豊かな生活と新たな活躍を生み出す、「成長と雇用の好循環」を実現し、希望ある未来へとつなげていく。
  • 目指すべき姿の実現に向けて、以下のベンチマーク28について期限を切って例えばそれぞれ倍増するなどの目標を実現することを提案したい。
    1. AI、デジタル、新技術の広範な利活用に向けて
      • 無形資産投資対GDP比、マイナポータルで利用可能なサービス等
    2. 付加価値生産性の拡大に向けて
      • 起業数、ベンチャーキャピタル投資額対GDP比、理系人材・博士人材数(人口当たり)、実務家教員数等
    3. 労働市場・教育システムの柔軟性・流動性の飛躍的向上に向けて
      • 副業・兼業数、リカレント教育受講者数、積極的労働市場政策の公的支出額対GDP比等
    4. 若者・女性の活躍と所得向上に向けて
      • 非正規と正規の賃金格差の大幅縮小)、ジェンダーランキングの大幅改善、若者就労支援関連予算対GDP比等
    5. 貧困の解消に向けて
      • 若年無業者数(人口当たり)の半減、第2のセーフティネットに係る支出対GDP比等
  • 第一に、課題設定・解決力と創造性を重視した学びを通じて全ての子どもや若者たちの能力を底上げするとともに、その可能性を解き放つ。同時に、異能異才を引き上げる仕組みの強化やSTEAM人材の戦略的育成、画一的な人事システムの見直しや若者の起業促進等を通じ、世界に通用する付加価値を創造できるようにする。
  • 第二に、若者や中高年の人材が経済産業構造の変化に対応し、失業なき労働移動を通じていつでも新たな活躍の場を選ぶことができるようにする。個々人の人材としての価値を高めつつ、自由に安心して多様な人生の選択を試みることができる仕組みを構築し、中間報告で提案した40歳を視野に入れたキャリアの棚卸しが可能となるようにする。
  • 第三に、誰もが安心して新たな分野に挑戦することができ、苦しい立場に置かれた方も何度でもやり直せる環境を整備する。このため、多層的で個別最適化されたセーフティネットを拡充する。
  • 多様な能力の発揮と付加価値の創造、多様な選択ができる仕組みの構築、多層的なセーフティネットの三つは、相互に有機的に結びついた政策として展開されることが重要である。
  • 今後は、個別企業内で雇用の安定化を図るのではなく、誰もがいつでも能力開発や学び直しを行うことができ、年齢等に応じて転職や起業、新しい分野での活躍などをいつでも選択できるようにすることにより、社会全体で雇用安定化を目指していくことが必要である。このような複線型のキャリア形成と円滑な労働移動を支援する「ソーシャルブリッジ」型の能力開発・職業紹介・リカレント教育・セーフティネットを一体的に構築する。これにより、人材の力を最大限に引き出すとともに、本人の満足度向上や安心確保にもつなげていく
  • 兼業・副業については、ガイドラインが改定され、兼業・副業先での労働時間管理について新たに自己申告制の手続が導入された。まずは、企業の取組の見える化等を通じて、兼業や副業を実質的に制約している就業規則等の見直しを促していく。その上で、働く人々にとって何が重要かという観点から、多様で柔軟な働き方を前提とした労働法制や被用者保険の在り方の検討に着手し、改革を実現する。フリーランスに関しては、安心して働ける環境を整備するため、事業者とフリーランスの取引に関して適用される法令等についてのガイドラインが策定されたほか、事業者とフリーランスの取引について書面での契約のルール化など法制面の措置も検討することとされている。さらに、欧州各国における取組も参考にしつつ、自営という就業形態がリスクとなることがないよう、フリーランスのように企業との雇用関係にない働き方も対象とするセーフティネットの仕組みや財源の在り方を早急に検討する
  • 2021年のジェンダーギャップ指数における日本の順位は、経済や政治における女性活躍の遅れを理由に120位にとどまった。女性の活躍は特にスピードを加速させて取り組むべき課題である。中間報告で示した女性の正規雇用比率が20代後半でピークを迎えた後、低下を続けるL字カーブは女性の能力を引き出せていないことの象徴である。女性の非正規雇用の年収は約250万円で頭打ちとなっており、正規・非正規の区分をなくすことを目指し、女性の非正規雇用の処遇改善に最優先で取り組む。男女が家庭生活と両立しながら働き続けられる環境の整備は、経営層の多様化を進めていくためにも、少子化対策のためにも重要であり、強力に推進する。「職場に迷惑を掛けたくない」「職場の雰囲気」などの理由により、育児休業を取得しない男性は多いため、男性の育休取得状況の比較可能な見える化を進め、男性の育休が当たり前となるよう企業や社会全体の意識を変えていく。日本の女性の高等教育の経済的リターンは先進主要国と比較して極めて低い水準にとどまっている。女性の処遇改善と男女の賃金格差縮小は待ったなしの課題である。こうした課題に対応するためにも、最低賃金を着実に引き上げていく。
  • 新型感染症の下、20~30代の若者の安定志向が高まると同時に、多くの企業の就業規則で禁じられている副業について解禁してほしいというマインドも当たり前となっている。主業以外の職業経験等は収入に有意にプラスとの分析もあり)、若い世代の出向や副業経験を増やすことは意義がある。在籍出向の支援制度については柔軟化・拡充を行うとともに、出向先への転職が効果的と認められる場合には、一定の要件で転職時にも適用することを検討すべきである
  • 企業によるテレワークの取組状況の公表を促すなど、テレワークを更に拡大していくべきである。金融業や保険業では8割以上がテレ
  • ワークへの代替が可能とする調査もあるが、実際には2割未満にとどまっており、更に拡大する余地はある。特に、地方企業がテレワークの取組状況を積極的に公表することにより、若者などから就業先として選ばれるようになることが期待される。同時に、地方経済の実情を踏まえつつ、地方の最低賃金水準の底上げに向けた取組を推進する。こうした取組により、地方で働くことの魅力を高め、地方への人の流れを拡大する。
  • 子どものいる世帯のうち母子世帯の割合は今や1割55を超え、母子世帯の貧困は貧困問題のいわば縮図となっている。その背景には女性の非正規雇用比率が諸外国と比べて高く、いったん非正規雇用になると学び直しの機会も十分でないため、抜け出すことが難しいという問題がある。女性活躍や貧困に係る諸課題のいわば突破口として母子世帯の貧困問題に取り組む
  • 勤務時間や勤務地を限定した正社員など働き方の選択肢の拡大、男女が家庭生活と両立しながら働き続けられる環境の整備、STEAM教育をはじめ女性の学び直しの支援強化等に包括的に取り組む。また、育児休暇後の職場復帰やキャリアアップを支援するため、望む人には育児休暇中に短時間でオンラインを活用するなど柔軟な形での能力開発を支援する。ひとり親世帯の資格取得を支援する高等職業訓練促進給付金の総支給件数は、児童扶養手当受給者数(2019年度末で約90万人)の1%弱にとどまっている。現在、受講期間の柔軟化やデジタル分野を含めた対象資格の拡大が時限的に行われているが、その活用を周知するとともに利用が進まない要因を徹底して分析し、少なくとも1割の方が資格を取得できるよう、支援対象となる資格を増やすなどの見直しを行う。最低賃金の引上げは不可欠の基盤的な取組として継続する。ひとり親世帯の養育費確保に向けた取組の強化も求められる
  • 変革の力を生み出すことができるのは「人」である。人材への徹底した投資により、女性や若者をはじめ、多様な人材の発想や能力が発揮される。それにより、活力にあふれ、豊かさを実感できる社会を次世代につないでいくことができる。この国に生まれて良かった、この国に住んで良かったと個々人が実感できる社会となる。そこに、長年の課題が解決され、選択すべき未来が実現されているはずである

~NEW~
内閣府 第344回 消費者委員会本会議
▼【資料1-3】 消費者基本計画(素案)
  • 65歳以上の高齢者の消費生活相談件数の全体に占める割合は、2020年においては全体の29.0%となっている。また、65歳以上の高齢者の消費生活相談件数については、2018年に約35.8万件とピークに達し、その後は減少に転じているものの、依然として高水準を維持している。さらに、障害者に関連した消費生活相談件数も近年増加傾向にあり、2020年においては2万件を超えている。今後、高齢者や障害者の増加に伴ってこれらの者の消費者トラブルが更に増加していくことが懸念される。特に、人口流出等により人口減少の激しい地方圏においては、地域コミュニティの衰退等によって地域社会における人々のつながりが弱まって単身高齢者等の孤立化を引き起こし、高齢者等の消費者トラブルの更なる増加や深刻化を招くことが懸念される。
  • 2022年4月から、民法(明治29年法律第89号)上の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることとされている。同年における18歳及び19歳の若年層は約220万人程度と推計されており、成年年齢引下げにより、これらの者が民法上の未成年者取消権を行使することができなくなる。
  • 近年若年者を中心にソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下「SNS」という。)の利用が増加してきているが、SNSについては、利便性の高いコミュニケーション手段であると同時に、悪質商法の勧誘等にも用いられやすい傾向にあり、SNSをきっかけとする消費生活相談件数についても増加傾向にある。また、SNSを利用する若年者層は、日常のコミュニケーションに電話を利用しない傾向にあることから、電話や対面による相談が一般的である消費生活相談に寄せられる件数は氷山の一角である可能性も排除できず、実際には、より多くの消費者トラブルが発生しているおそれがある。こうした中で、SNSによる悪質商法の勧誘など、成年年齢引下げを契機として若年者の消費者トラブルが急増していくことが懸念される。
  • 相談できる家族を持たず、また地域コミュニティの衰退等によって地域社会における人々のつながりが弱まることにより、近隣で相談できる者を持てなくなることで地域社会から孤立した高齢者・障害者・若年者等が増加することが懸念される。これらの者は、周囲の目から隔離され、消費者トラブルに巻き込まれやすく、またトラブルに巻き込まれた際に誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまう傾向にあることから、消費者トラブルの更なる増加や深刻化を招くことが懸念される。
  • また、経済社会が構造変化し、地域、家庭、職域等のつながりが薄れ、全国的に社会的排除のリスクが増大する中で、高齢者や障害者を含む国民一人一人が社会に参加し、それぞれの持つ潜在能力を発揮できる環境整備が不可欠となっている。このような社会の実現に向けて、社会的排除の構造と要因を克服する一連の政策的な対応(社会的包摂)が求められている。この一環として、高齢者や障害者を含む全ての消費者のトラブルの防止を徹底することが求められており、消費生活センターにおいて、消費生活相談を受けやすくするための体制の充実が求められている。
  • 在留外国人数は、2015年から5年連続で過去最高を更新しており、2019年末には293万人となっている。総人口が減少局面を迎えている一方で、在留外国人数は増加傾向にある。在留外国人数の我が国の総人口に占める割合は、2019年末において2.32%と過去最高となっており、これに伴い、在留外国人による消費も増加しているものと想定される。人手不足の深刻化を踏まえ、一定以上の技能等を有する外国人向けの新たな在留資格(特定技能)が創設されたこと等を受け、今後も在留外国人による消費は増加していくことが想定される。
  • 外国人は、文化や言語の違い等により消費者トラブルに遭いやすい傾向にあると考えられ、外国人による消費の増加に伴い、外国人が取引の当事者となる場合の消費者トラブルが増加していくことが懸念される。
  • 日本国内では令和2年1月以降新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、一部の生活関連物資が一時的な品薄となる中で、これらの物資を小売店等で大量に購入し、インターネット上で高額転売する行為が見られた。また、新型コロナウイルスへの予防効果を標ぼうする表示が蔓延したほか、不確かな情報の拡散や不確かな情報に影響を受けて物資の買いだめを行うといった消費者行動が見られるなど、新型コロナウイルス感染症に便乗した悪質商法やトラブルが発生した。
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を予防するため、基本的な感染対策の徹底に加えて、買物や外食等の日常の消費行動において消費者及び事業者共に「新しい生活様式」への対応が求められた。コロナ禍において、「巣ごもり消費」の増加等を背景としたインターネット取引やデジタル技術を利用したテレワーク等が浸透する中で、消費者の間で「新しい生活様式」に基づいた消費行動が不可逆的に拡大している。
  • デジタル化の進展による電子商取引の拡大によって、商品やサービスを容易に入手することができるようになり、また外国との電子商取引の拡大等によって商品・サービスの選択の幅が広がるなど、消費者にとっては利益の増進につながっている。一方で電子商取引の拡大に伴い、例えば、購入期限までの残り時間が画面上に表示されることで焦って契約してしまうなど、高齢者や若年者等ではないいわゆる一般的・平均的消費者であっても、取引を行うタイミングで混乱して一時的にぜい弱な状態となり、結果として自由意思による選択が阻害されるといった問題が生じることが懸念される。
  • また、非対面取引であるために、商品・サービスが消費者の期待したものと異なることや、そもそも商品・サービスが提供されないといった消費者トラブルが増加するおそれがある。さらに、これらの消費者トラブルについては、BtoCの取引においてのみでなく、CtoCの取引においても同様に発生しており、今後増加していくことが懸念される。また、越境的な電子商取引の活発化に伴う消費者トラブルへの対応を図っていく必要がある。これらの状況を踏まえ、G20消費者政策国際会合では、PFを運営するいわゆるプラットフォーマー(以下「PF事業者」という。)がこうしたトラブルの解決に一定の役割を果たすことについての指摘があった。
  • 今後、ICTの更なる高度化によって、AI、IoT、ビッグデータ、ロボットの活用など、技術革新が更に進展すると見込まれる中で、我が国では、官民を挙げて、革新的な技術を最大限活用して人々の暮らしや社会全体を最適化した未来社会であるSociety5.0の実現加速に取り組んでおり、その中で消費者の生活も更に変化していくものと考えられる。このような技術革新の進展には、消費者にとって利益の増進につながる側面と、リスク・課題の発生という側面の両方があることを踏まえ、消費者が主役となる社会の構築に向けて両者の適切なバランスを図っていく必要がある。
  • 自然災害により、住宅等の被災した消費者の生活基盤が毀損され、生活関連物資の入手が困難になるなど、消費生活が深刻な影響を受けたり、住宅の補修等の生活基盤の再建に乗じた悪質商法や義援金詐欺等の消費者トラブルが多発したりする傾向にある。例えば、平成30年7月豪雨の消費生活相談件数は1,014件(2020年3月31日時点)、令和元年台風第19号の消費生活相談件数は3,238件(2021年3月31日時点)となっている。自然災害被災後の生活基盤の再建時等においては、高齢者等だけでなく、いわゆる一般的・平均的消費者についても、重要な生活基盤の再建のため焦って契約してしまうなど、一時的にぜい弱性が増加し、取引において自主的かつ合理的な選択が困難となってしまうおそれがあることに留意する必要がある。
  • 我が国において、家計が支出する消費額はGDP(国内総生産:GrossDomesticProduct)の過半を占め、消費者の行動は経済社会に大きな影響を与えるものであり、食品ロスの削減、海洋プラスチックごみの削減及び貨物自動車運送事業における働き方改革(ホワイト物流)の推進など、持続可能な社会の実現に向けた社会的課題を解決するために、商品やサービスを提供する事業者の取組を促すと同時に、商品やサービスを選択する消費者の適切な行動を促すなど、消費者政策を推進するに当たってもSDGsの目指す理念を踏まえることが重要である。
  • すなわち、消費者トラブルの防止の観点から、従来から実施している(1)事業者に対する規制や(2)消費者に対する支援に加えて、今後は、持続可能な社会の実現に向けた社会的課題を解決する観点から、(3)消費者と事業者とが共通の目標の実現に向けて協力して取り組むこと(協働による取組)を促す必要がある。
  • 今後の消費者政策の主要な課題については、以下のように整理できる。
    1. 地域社会から孤立した高齢者・障害者・若年者等の増加が進んでいること、また、訪日外国人・在留外国人の増加、及び自然災害の激甚化・多発化や感染症の拡大等により、いわゆる一般的・平均的消費者についても一時的にぜい弱な消費者となってしまうこと、更に「新しい生活様式」に基づいた従来とは異なる消費行動の定着が求められること等を踏まえ、高齢者や障害者を含む全ての消費者のトラブル防止を徹底する観点から、多様化する消費者の特性に応じて、行政・消費者団体・事業者等の適切な連携の下、重層的かつきめ細かな対策を講じることが必要である。
    2. 特に、デジタル化の進展に伴い近年活発化し、「新しい生活様式」において更なる活用が見込まれる電子商取引については、非対面取引であることやPFを介した商取引であることなど、従来の商取引とは異なる特徴を有していることを踏まえ、消費者トラブルの防止を徹底する観点から、政策面・制度面から対応を検討することが必要である。
    3. また、持続可能な社会の実現に向けた機運の高まりを踏まえ、食品ロスの削減、海洋プラスチックごみの削減及び貨物自動車運送事業における働き方改革(ホワイト物流)の推進など、持続可能な社会の実現に向けた社会的課題を解決する観点から、消費者と事業者との協働による取組を促すための対策を講じることが必要である。

~NEW~
消費庁 令和2年版消費者白書
▼【概要】令和3年版 消費者白書
  • 2020年度に消費者庁に通知された消費者事故等は11,414件。「生命身体事故等」が2,435件、うち重大事故等が1,487件、「財産事案」が8,979件。
  • 消費者安全法の規定に基づく通知等を踏まえ、消費者安全調査委員会において調査を実施。2020年度は、2件について報告書を公表。関係行政機関の長に対して、10件の意見具申。
  • 消費者安全法の規定に基づく通知を端緒として、財産事案について2020年度に34件の注意喚起を実施。
  • 2020年の消費生活相談件数は93.4万件。架空請求の相談件数は減少したが(13.1万件→3.4万件)、新型コロナウイルス感染症に関連した相談等の増加により、架空請求以外の相談件数は増加(80.9万件→90.0万件)。
  • 若者の相談では、インターネットや美容関連の相談が上位に。20歳未満のオンラインゲームに関する消費生活相談が増加。
  • 高齢者の消費生活相談は前年に続き減少。相談全体に占める高齢者の相談の割合は約3割。
  • 商品・サービス別では前年に続き迷惑メールや架空請求を含む「商品一般」が最多。ただし、件数は半減。定期購入を含む「他の健康食品」は増加傾向。2020年はマスクを含む「保健衛生品その他」が上位に
  • 販売購入形態別では「通信販売」の割合が増加。「店舗購入」や「訪問販売」、「電話勧誘販売」の割合は減少。「インターネット通販」に関する相談が増加。商品・サービス別では商品の相談が増加しており、中でも商品未着・連絡不能(事業者との連絡がつかない)等のトラブルが多くみられる。
  • 通信販売での「定期購入」に関する消費生活相談は引き続き増加傾向。2020年は約6万件で過去最多。SNSが何らかの形で関連している消費生活相談も引き続き増加傾向。
  • 2020年の消費者被害・トラブル額は、推計約3.8兆円(既支払額(信用供与を含む。))。
  • 2020年の消費は、3月から5月にかけて急速に落ち込み、その後、持ち直しの動きがみられた。財・サービス別では、財(商品)への支出額が微増し、サービスへの支出額は減少。品目別構成比では、食料への支出割合が増加し、旅行や外食関連への支出割合が減少するなど、いわゆる「巣ごもり消費」の増加と外出関連消費の減少がうかがえる
  • 2020年の消費支出は、1-3月に比べ4-6月に大きく減少したが、インターネットを利用した支出総額は増加。世帯主の年齢層別にみても全ての年齢層でインターネットを利用した支出総額が増加
  • インターネット上での商品・サービスの購入を「安心」と感じている消費者は約7割。年齢層が高くなるにつれて「安心」と感じる消費者の割合が小さくなる。インターネット上での商品・サービスの購入で「心配なこと」として、6割超の消費者が「個人情報が漏えい・悪用されている」、「商品やサービスが期待とは異なる」、「望まない広告メールが送られてくる」を挙げている。
  • 1度目(2020年4月)と2度目(2021年1月)の緊急事態宣言の発出前後では、後者の方が、食料品等の購入頻度及び購入量の変化について「変わらない」と回答した消費者の割合が大きい。2度目の緊急事態宣言の発出前後では、多くの消費者が落ち着いた消費行動をとったことがうかがえる。
  • 新型コロナウイルス感染症に関連した消費生活相談は、2020年4月に2万1千件を超えて最多となり、その後は同年11月まで減少傾向。内訳をみるとインターネット通販に関連した相談が多くみられた。マスクを含む「保健衛生品その他」に関する相談が約3割で最多。次いで、解約やキャンセルに関するトラブルがみられた「結婚式」、「スポーツ・健康教室」等が続く。

~NEW~
消費者庁 第1回 アフィリエイト広告等に関する検討会
▼【資料4】アフィリエイト広告をめぐる現状と論点(事務局資料)
  • 近年、インターネット上の広告手法の多様化・高度化等に伴い、アフィリエイト・プログラムを利用した成果報酬型の広告(以下「アフィリエイト広告」という。)が多く見られる。アフィリエイト広告の市場規模は年々増大しており、今後も増大が見込まれる。アフィリエイト広告は、アフィリエイターにより、広告主が思いつかないような新しいアイデアや消費者目線での広告が行われ、効率的な広告配信や需要喚起への効果も期待される。また、成功報酬型であるアフィリエイト広告は初期費用が少なくて済むことから、広告に多額の初期投資をできない中小事業者やスタートアップ事業者等も利用することができ、これらの事業者の多様な商品等が消費者に普及するきっかけにもなりうる。
  • 景品表示法においては、商品等の供給主体が消費者に対して不当表示を行った場合に同法上の措置がされる。
  • アフィリエイト広告は、以下のとおり、不当表示につながりやすい特性があると考えられる。
    • 広告主ではないアフィリエイターが表示物を作成・掲載するため、広告主による表示物の管理が行き届きにくい。
    • アフィリエイターが成果報酬を求めて虚偽誇大広告を行うインセンティブが働きやすい。
  • 上記のような特性から、アフィリエイト広告で不当表示に対して広告主の責任意識が希薄であるとの指摘もなされている(例:下記)
    • 「ネット広告の業界関係者によると、違法な記事型広告について、広告会社は『個人の体験談を書いただけだ』。広告主は『依頼した広告会社が勝手に作ったもので内容は知らない』と、双方が責任逃れのような主張をするケースが目立つ。」【令和2年10月12日 日本経済新聞夕刊】
    • 「『掲載可能な媒体社、広告案件も膨大でチェックしきれない。企業側も確信犯、無知のケースに分かれ、積極的に関与していないと言い逃れできてしまう』(ウェブ広告の業界団体関係者)。このため、景表法上の責任を免れる『聖域』とみる企業も少なからずいた。」【令和3年3月11日 通販新聞】
  • また、消費者にとっては、アフィリエイト広告であるか否かが外見上判別できない場合もあるため、不当表示が行われるおそれが懸念される。
  • 広告主(販売事業者)
    • インターネット上で通信販売(EC)サイトを開設し、商品の販売や各種サービスの申込みを受け付けている事業者。化粧品販売業や金融・投資業、美容サービス・美容健康器具販売業、総合通販、学習関連、就職・転職関連、デジタルコンテンツを始め、様々な業種の広告主が存在する。
  • 広告代理店
  • 広告代理店は、広告主を代行する立場として、ASPを通してアフィリエイターに広告主からの指示や要望を伝え、アフィリエイト広告の出稿業務全般を管理し、その結果を広告主に報告する。
  • アフィリエイトサービスプロバイダー(ASP)
    • 法人・個人のアフィリエイターが登録するアフィリエイトネットワークを構築し、広告主とアフィリエイターのマッチングをさせる機能を持つ。
    • 広告主とアフィリエイターとの提携を仲介し、広告主又は広告代理店によるアフィリエイトサイトへの広告掲載管理や、成果報酬の支払を円滑に行うための業務を人的に又はシステムによりサポートする。
    • 正確な事業者数の把握は困難であるが、現在、国内で約70事業者程度が活動している。
  • アフィリエイター
    • ウェブサイトを運営する個人・法人のサイト管理者。自らのサイトにアフィリエイト広告を掲載し、成果報酬としてアフィリエイト広告の収入を得る。
    • アフィリエイト広告収入の増加を狙うためにウェブサイトのコンテンツを追加したり、外部メディア(媒体社)に広告出稿を行ったり、検索エンジンの上位表示化(SEO)施策を実施したりしている。
    • アフィリエイターの数では個人が圧倒的に多い(約8~9割以上)が、売上高でみると、逆に法人が8~9割を占めると言われている。
  • 媒体社
    • インターネット上でメディアを運営する事業者を指す。自社メディアに設置した広告枠に広告素材を掲載し、費用を徴収する。大手ポータルサイトやニュースサイト、リスティング広告事業者などが代表的である。アフィリエイト広告との関係では、媒体社は、アフィリエイター自らが広告主(広告出稿者)の立場で、自身のアフィリエイトサイトへのユーザー集客を目的に広告を出稿する先として位置付けられる。
    • なお、関連して、複数のメディアに対して一括に広告を配信する仕組みを持つ、アドネットワークと呼ばれる仕組みを持つ事業者もいる。
  • 事業者が景品表示法の表示規制(景品表示法第5条の不当な表示規制及び同第26条の管理義務)の対象となるためには、
    1. 当該事業者が、問題となる商品・役務を「供給」しているといえること(「供給主体性」が認められること)が必要であり、その上で、
    2. 当該事業者が不当表示を行ったといえること(「表示主体性」が認められること)が必要。
  • 「供給主体性」について
    • 「供給主体性」は、商品等の提供・流通の実態をみて実質的に判断される要件。例えば、フランチャイズの本部が行う表示等に関し、本部自体は消費者との間で当該商品等の売買契約の当事者ではない場合でも、この要件を満たすと判断された処分事例がある
  • 「表示主体性」について
    • 「表示主体性」は、表示内容の決定に関与した事業者に認められるが、自らもしくは他の者と共同して積極的に当該表示の内容を決定した場合のみならず、他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた場合や、他の者にその決定を委ねた場合も含まれる。
  • 事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置(平成26年内閣府告示第276号:景品表示法第26条第2項の規定に基づく指針)の内容
    1. 景品表示法の考え方の周知・啓発
    2. 法令遵守の方針等の明確化
    3. 表示等に関する情報の確認
    4. 表示等に関する情報の共有
    5. 表示等を管理するための担当者等を定めること
    6. 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること
    7. 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応
  • 事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置の内容(その他の措置の例)
    • 前記1から7までに示す措置のほか、例えば、次の措置を講じることも、不当表示等の防止のために有用。
    • 景品表示法違反の未然防止又は被害の拡大の防止の観点から、速やかに景品表示法違反を発見する監視体制の整備及び関係従業員等が報復のおそれなく報告できる報告体制を設け、実施すること。
    • 表示等が適正かどうかの検討に際し、疑義のある事項について関係行政機関や公正取引協議会に事前に問い合わせること。
    • 表示等が適正かどうかの検討に際し、当該業界の自主ルール又は公正競争規約を参考にすること。
  • 健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(平成25年12月24日制定、平成28年6月30日全部改定、令和2年4月1日一部改定 消費者庁)
    • 近年、インターネットを用いた広告手法の一つであるアフィリイトプログラムを用いて、アフィリエイターが、アフィリエイトサイトにおいて、広告主の販売する健康食品について虚偽誇大表示等に当たる内容を掲載することがある。このようなアフィリエイトサイト上の表示についても、広告主がその表示内容の決定に関与している場合(アフィリエイターに表示内容の決定を委ねている場合を含む。)には、広告主は景品表示法及び健康増進法上の措置を受けるべき事業者に当たる。アフィリエイターやアフィリエイトサービスプロバイダーは、アフィリエイトプログラムの対象となる商品を自ら供給する者ではないため、景品表示法上の措置を受けるべき事業者には当たらないが、表示内容の決定に関与している場合には、「何人も」虚偽誇大表示をしてはならないと定める健康増進法上の措置を受けるべき者に該当し得る。
  • インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項(平成23年10月28日公表・平成24年5月9日改定消費者庁)
    • アフィリエイターがアフィリエイトサイトに掲載する、広告主のバナー広告における表示に関しては、バナー広告に記載された商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる。
    • 広告主のサイトへのリンク(バナー広告等)をクリックさせるために行われる、アフィリエイターによるアフィリエイトサイト上の表示に関しては、アフィリエイターはアフィリエイトプログラムの対象となる商品・サービスを自ら供給する者ではないので、景品表示法で定義される「表示」には該当せず、したがって、景品表示法上の問題が生じることはない
  • 御議論いただきたい点(1)景品表示法の適用等に関する考え方
    • アフィリエイト広告について、表示内容の管理を行うか、行う場合(ASPの選択も含め)どの程度コストをかけて行うかは、最終的には、商品等を供給し、広告費を負担する広告主の意向により決定されると考えられる。
    • アフィリエイト広告では、具体的な表示物を作成するのが広告主でないアフィリエイターであるため、広告主にとって、表示内容を管理することが通常よりも困難な広告手法であるとの主張がされる可能性があるが、広告主は、より管理のしやすい他の広告手法があるにもかかわらず、自らの意思であえてそのような手法を選択している以上、単に管理が困難であるという理由で虚偽・誇大な表示の責任を負わないと解することは、消費者に対する適正な表示を確保する観点から妥当ではない。
    • アフィリエイト広告上の表示についても、広告主がその表示内容の決定に関与している場合(アフィリエイターに表示内容の決定を委ねている場合を含む。)には、広告主が景品表示法上の措置を受けるべき事業者であることは、既にその考え方を明らかにしている(前掲「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」)。
    • 広告主は、アフィリエイト広告という広告手法を用いる限り、当該アフィリエイト広告等の表示について、自ら又は他の者と共同して積極的に表示するという形や、他の事業者に委ねるといった形で、表示内容の決定に関与しているといえる。したがって、広告主は、表示の内容が不当表示に該当する場合には、景品表示法上の措置を受ける立場にあると考えられるが、このことが全ての関係者間において十分に認識され、それに基づき表示内容の管理が十分に行われているか疑問がある。
      1. 広告主・ASP・アフィリエイター等、アフィリエイト広告の作成に関わる関係者の意識を高めるともに、その立場に応じた役割を果たすべきではないかと考えられるが、どのような対応が考えられるか。
      2. 広告主がアフィリエイト広告上の表示の内容に最終的に責任を負うということを踏まえ、アフィリエイト広告について広告主による不当表示の未然防止に向けた管理がより一層行われるようにするために、どのような対応が考えられるか
  • 御議論いただきたい点(2)不当表示の未然防止等のための取組
    • アフィリエイト広告全般における表示の適正化のためには、前記のほか事業者、事業者団体、消費者等の関係者の取組も重要と考えられる。
    • 例えば、アフィリエイト広告の中でも分野により不当表示の防止に向けた取組に相違があることや、不当表示の防止に向けて積極的に取り組んでいる広告代理店やASP、媒体社があることも指摘されている。
      1. 現在の取組を把握した上で、悪質なASPやアフィリエイターが排除され、不当表示の防止に向けて積極的に取り組んでいるASPやアフィリエイターが選ばれるようにするため、アフィリエイト広告の全関係者が行う取組(ベストプラクティス)は何か。取組の好事例の更なる展開や新たな取組を図ることが考えられないか。
      2. 消費者にとって、外見上、アフィリエイト広告が広告として認識されにくい場合があることに対し、それを認識しやすくする取組は有益か。有益とすればどのような方策があるか。
      3. そのほか、不当表示の未然防止等のために考えられることはあるか。

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厚生労働省 田村大臣が第109回ILO総会で政府代表演説を行いました
  • まず、このような、新型コロナウイルス感染拡大による困難な状況の下、今年は、ILO総会の開催に至ることができ、各国の政労使の皆様と再び議論を行うことができることを嬉しく思います。また、この場をお借りして、ガイ・ライダー事務局長をはじめとしたILOの新型コロナウイルス感染拡大対応へのご尽力に心から感謝の意を表します。特に、ILOモニターやILO産業別概況は、世界がこの未曾有の危機に立ち向かう上で非常に有益な情報であると考えています。今回の事務局長報告は、「コロナ時代の仕事」がテーマになってい
  • ますが、新型コロナウイルスが社会経済活動に様々な影響を及ぼす中、各国においては、この危機を乗り越えるため、様々な政策を講じているものと思います。
  • 日本政府は、国民の「命」と「暮らし」を守るとの強い思いの下、経験から多くを学び、最善と考えられる対策を講じてまいりました。まずは、国民の雇用を守ることを最優先し、事業主の休業手当の費用負担に対する助成額の上限の引き上げや、雇用過剰の企業の従業員が人手不足の企業で一時的に働くことができるよう双方の企業に助成を行うなど、様々な対策を講じてきたことを受け、日本の失業率は3%程度の水準を維持しています。また、女性や非正規雇用労働者の方々の雇用には、特に深刻な影響が出ていることから、新たな仕事に移るためのスキルを身につけるチャンスの拡大や生活資金に困っている方に対する緊急貸付の対象の拡大などを行っております。
  • 今後は、目の前の課題に対処するだけでなく、ポストコロナ社会を見据え、デジタル技術の進展や産業構造の変化を踏まえた成長産業への労働移動や多様で柔軟な働き方の促進など、「新たな日常」での社会経済活動に合った雇用の実現を目指していくことが重要です。そのため、労働者が主体的にその職業能力を高めていくことができる環境を整備するとともに、新たな形態で働く者を対象とした労災保険の任意加入制度の検討を進めています。
  • また、良質なテレワークの導入及び実施を推進するため、ガイドラインを改定し、あらかじめ労使で十分に話し合い、ルールを定めることの重要性を明記しました。社会的に脆弱な立場にある人を誰一人として取り残さずに、人間を中心とした「より良い再建(build back better)」を実現するため、日本政府は、社会パートナーとの対話を大切にしながら、今後もあらゆる取組を行ってまいります。
  • 最後に、我が国は、ILOの創設に関わった原加盟国として、これまで40年以上にわたり、ILO/日本マルチバイプログラム等を通じて、世界の国々の実態やニーズに合わせ、労働安全衛生水準の向上や社会保険制度整備などの様々な開発協力を行っています。今般のコロナ危機を受け、日本政府としては、人間中心の再建の実現に貢献するため、ILOが2021年に実施する事業に対する拠出を前年比で倍増させました。世界の国々とともに、今般の危機を乗り越え、「より良い再建(build back better)」を実現したいと思っています。来年の総会では、新型コロナウイルス感染拡大が収束し、皆様に直接お会いして更に議論を深めることを強く望みます。

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厚生労働省 「テレワーク・デイズ2021」実施方針の決定について~7月19日~9月5日の期間における積極的なテレワーク実施を呼びかけ~
  • 厚生労働省、総務省、経済産業省及び国土交通省では、関係府省・団体と連携し、2017年より、「テレワーク・デイズ」(夏季にテレワークの集中的な実施を呼びかけるキャンペーン)を実施してまいりました。
  • 令和3年6月9日に開催したテレワーク関係府省連絡会議において、「テレワーク・デイズ2021」の実施方針を決定いたしました。
  • 具体的には、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催期間中は、選手、関係者等の移動も発生することから、人と人との接触機会の抑制や交通混雑の緩和を通じて安全・安心な大会を実現するため、7月19日~9月5日の間、テレワークの集中的な実施に取り組むことといたしました。
  • 「テレワーク・デイズ2021」においては、テレワークの実施や支援(自社での取組における工夫やICTツール、ワークスペースの提供など)にご協力いただける方に参加登録をお願いしております。参加登録については、本日より、以下URLにて開始いたしますので、ご協力よろしくお願いいたします。
▼テレワーク・デイズ2021実施概要

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厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
  • 自社に勤める労働者が新型コロナワクチンの接種を安心して受けられるよう、新型コロナワクチンの接種や接種後に発熱などの症状が出た場合のために、特別の休暇制度を設けたり、既存の病気休暇や失効年休積立制度を活用したりできるようにするほか、勤務時間中の中抜けを認め、その時間分終業時刻を後ろ倒しにすることや、ワクチン接種に要した時間も出勤したものとして取り扱うといった対応を考えています。どういった点に留意が必要でしょうか。
    • 職場における感染防止対策の観点からも、労働者の方が安心して新型コロナワクチンの接種を受けられるよう、ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいものです。
    • また、(1)ワクチン接種や、接種後に副反応が発生した場合の療養などの場面に活用できる休暇制度を新設することや、既存の病気休暇や失効年休積立制度(失効した年次有給休暇を積み立てて、病気で療養する場合等に使えるようにする制度)等をこれらの場面にも活用できるよう見直すこと、(2)特段のペナルティなく労働者の中抜け(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認め、その分終業時刻の繰り下げを行うことなど)や出勤みなし(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認めた上で、その時間は通常どおり労働したものとして取り扱うこと)を認めることなどは、労働者が任意に利用できるものである限り、ワクチン接種を受けやすい環境の整備に適うものであり、一般的には、労働者にとって不利益なものではなく、合理的であると考えられることから、就業規則の変更を伴う場合であっても、変更後の就業規則を周知することで効力が発生するものと考えられます。 ※常時10人以上の労働者を使用する事業場の場合、就業規則の変更手続も必要です。
    • こうした対応に当たっては、新型コロナワクチンの接種を希望する労働者にとって活用しやすいものになるよう、労働者の希望や意向も踏まえて御検討いただくことが重要です。
  • 労働者が新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けたことで健康被害が生じた場合、労災保険給付の対象となりますか。
    • ワクチン接種については、通常、労働者の自由意思に基づくものであることから、業務として行われるものとは認められず、これを受けることによって健康被害が生じたとしても、労災保険給付の対象とはなりません。
    • 一方、医療従事者等に係るワクチン接種については、業務の特性として、新型コロナウイルスへのばく露の機会が極めて多く、医療従事者等の発症及び重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保のために必要であることから、今般のワクチン接種において接種順位の上位に位置付けられています。
    • したがって、医療従事者等に係るワクチン接種は、労働者の自由意思に基づくものではあるものの、医療機関等の事業主の事業目的の達成に資するものであり、労災保険における取扱いとしては、労働者の業務遂行のために必要な行為として、業務行為に該当するものと認められることから、労災保険給付の対象となります。
    • なお、高齢者施設等の従事者に係るワクチン接種についても、同様の取扱いとなります。

~NEW~
厚生労働省 第38回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード
▼資料1 直近の感染状況等の分析と評価
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日別では、減少が続いており、直近の1週間では10万人あたり約13人となっている。感染拡大が見られていた地域では概ね減少傾向となっている。しかし人流の増加が見られ減少速度が鈍化する地域もあり、今後リバウンドの可能性も考えられる。
    • 新規感染者数の減少に伴い、重症者数は減少に転じ、死亡者数も減少の動きが見られる。
    • 実効再生産数:全国的には、低下傾向で、直近(5/16時点)で0.78と1を下回る水準が継続。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    1. 沖縄
      • 緊急事態措置の開始から2週間経過。那覇市や南部・中部と宮古・八重山地域で20-30代を中心に現役世代で新規感染数者の急増傾向が続いてきた。6月に入り、減少に転じたものの、約103と依然として100を超える水準。病床使用率も高水準が継続し、入院率は低下、自宅療養が増加している。重症者数が今後も増加することも懸念され、更なる医療提供体制への負荷の増大が予想される。高齢者に感染が波及することにより、更なる重症者の増加が懸念される。
      • 緊急事態措置開始後、夜間滞留人口・昼間滞留人口ともに減少が続いており、今後も新規感染者数の減少が見込まれるが、こうした傾向が継続するか注視が必要。自宅療養者、宿泊療養者に関し、急変時への備えも含め対応が必要。
    2. 北海道
      • 新規感染者数は減少が継続しているが、約29と25を超える水準。感染の中心である札幌市でも減少が見られるものの、約49とより高い水準。福祉施設等でのクラスターも継続している。緊急事態措置後に夜間滞留人口の減少が続いており、今後も新規感染者数の減少が見込まれるが、こうした傾向が継続するか注視が必要。札幌では病床使用率が高い状況。また、札幌以外の地方部でも福祉施設等でクラスターが発生している。
    3. 関西圏
      • 大阪、兵庫、京都では、新規感染者数の減少傾向が続き、それぞれ約14、9、12。新規感染者数の減少に伴い、入院者数、重症者数も減少するなど改善が見られるが、高齢者施設等でのクラスターも継続。大阪では、夜間滞留人口・昼間滞留人口とも増加が見られるが、2回目の宣言中最低値より約10%低い水準は維持。兵庫も夜間滞留人口は2回目の宣言中最低値より低い水準を維持。今後も新規感染者の減少が見込まれるが、京都では夜間滞留人口の増加が見られており、感染状況の改善による滞留人口の動向とともに注視が必要。
      • 滋賀、奈良も減少傾向で、それぞれ約14、8。
    4. 首都圏(1都3県)
      • 東京、埼玉、千葉、神奈川では、新規感染者数の減少傾向が続き、それぞれ約21、9、11、16。先週今週比は5月中旬以降1以下となっているが、関西圏と比べると高い水準で、減少速度が遅い。特に千葉、神奈川では横ばいに近くなっている。また、重症者数は明らかな減少傾向にはない。
      • 東京では、夜間滞留人口・昼間滞留人口ともに4週間連続で増加傾向が継続。特に緊急事態宣言延長前後からの増加が目立つ。埼玉、千葉、神奈川では横ばい傾向。対策への協力が得られにくくなっていることが懸念され、特に、東京でこのまま増加傾向が続くとリバウンドの可能性があり、警戒が必要。
    5. 中京圏
      • 愛知では、新規感染者数の減少が続き、約20。重症者数の減少は見られるものの、医療への負荷が続いており、病床使用率も高い水準で医療提供体制が厳しい状況。今後も新規感染者数の減少が見込まれるが、夜間滞留人口・昼間滞留人口ともに微増しており、新規感染者数の減少傾向が継続するか注視が必要。
      • 岐阜では、新規感染者数の減少傾向が続き、約15。夜間滞留人口・昼間滞留人口は低い水準を維持、今後も新規感染者数の減少が見込まれる。三重では減少傾向が続き、約8。夜間滞留人口が増加しており、リバウンドが危惧される。静岡も減少傾向で約7。
    6. 九州
      • 福岡では、新規感染者数の減少が続いており、約11。入院者数、重症者数の減少が見られるものの、医療提供体制への負荷は大きい状態。夜間滞留人口は、低い水準を維持。今後も、新規感染者数の減少が見込まれるが、こうした傾向が継続するか注視が必要。
      • 熊本では、新規感染者数は減少が続いており、約5。新規感染者数の減少に伴い、病床使用率、重症病床使用率とも低下傾向で、入院率は5割を上回っている。その他の九州各県でも概ね減少傾向が継続。
    7. その他の緊急事態措置地域/まん延防止等重点措置地域(岡山、広島/群馬、石川)
      • 岡山、広島では、新規感染者数の減少が続き、それぞれ約7、12。両県とも重症者数の減少は見られるものの、病床使用率が高い水準。両県とも夜間滞留人口は低い水準を維持、今後も新規感染者数の減少が見込まれるが、新規感染者数の減少傾向が継続するか注視が必要。
      • 群馬、石川では、新規感染者数の減少が続き、それぞれ約5、7。両県とも、新規感染者の減少に伴い、病床使用率、重症病床使用率とも低下傾向で、入院率は5割を上回っている。
    8. 上記以外の地域
      • 山梨、高知では新規感染者数がそれぞれ約21、18と15を超えている。高知では減少に転じているが、山梨ではクラスターの発生による増加がみられ、留意が必要。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 全国的に新規感染者数の減少傾向が続く可能性があるが、1.1.7系統の変異株(アルファ株)へほぼ置き換わり、感染性が高くなっていると想定されることから、人流の増加の動きに留意が必要。すでに人流が増加傾向に転じた地域もあり、そうした地域では、新規感染者数が下げ止まる可能性もある。
    • 緊急事態措置区域及びまん延防止等重点措置(重点措置)区域では、市民や事業者の協力により、減少傾向が見られており、その効果は着実に現れている。ただし、沖縄、北海道では、依然としてステージⅣ相当の新規感染者数が発生している。
    • 新規感染者数、療養者数の減少に伴い、負荷の低下は見られるものの、医療提供体制の厳しい状況が続いている地域もある。このため、今後のリバウンドを防止するためにできるだけ新規感染者数を下げることと、下げ止まった場合も上昇の抑制を継続することが求められる。5月28日の政府対策本部でとりまとめられた「6月以降の緊急事態宣言期間における取組」に基づく対策の徹底が必要。
    • 特に、東京においては人流の増加が継続している。この傾向が継続すると感染者数の下げ止まりからリバウンドが予測される。ワクチンの接種が高齢者中心に進んでおり、高齢者の重症化が抑えられることが期待されるものの、リバウンド後に感染者数の急速な増加が続けば、結果的に重症者数も増加し、医療のひっ迫につながる可能性もある。医療機関にはワクチン接種に伴う負荷もある。そうした点も踏まえ、感染の拡大を抑制するための必要な取組を今後も継続すべきである。
    • その他の地域や重点措置が解除された地域でも、アルファ株及び1.617系統の変異株(デルタ株等)により、これまでより感染拡大が速く進む可能性も踏まえ、各自治体において、地域の専門家の入った会議体などで人流や感染状況・医療提供体制などを分析し、必要な対策をタイムリーに実施していくことが求められる。
    • 今回の感染拡大の大きさや進み方、減少の経過については、地域で違いが見られた。こうした違いには、変異株の置き換わり、対策の内容や開始・終了のタイミング、年度代わりやGWなどの連休による人の移動や普段会わない人が集まること感染の中心となった年齢層など様々な要因が考えられるが、さらに検討が必要である。
    • ワクチン接種回数は全国ですでに1,900万回を越え、約1,450万人が1回目の接種を受けた。感染拡大を抑制するためにも、職域接種なども含め、できる限り速やかに、多くの方への接種を全国で円滑に進めることが必要。
    • 一部の地域を除き、従来株からアルファ株へ概ね置き換わったと推定される中で、新たな変異株への対応も強化するため、ウイルスゲノムサーベイランスによる実態把握に重点をおいて対応を行うことが必要。特に、デルタ株等については、ゲノムサーベイランスやL452R変異株スクリーニングにより全国的な監視体制を強化するとともに、地域における検査も強化し、積極的疫学調査等により、感染拡大を可能な限り抑えていくことが必要。また、水際対策についても、引き続き迅速に対応することが必要。

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厚生労働省 「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」の報告書を公表します
▼【報告書】障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会報告書
  • 障害者の就労支援における基本的な考え方
    • 「障害のある人もない人も共に働く社会」を目指し、多様な働き方が広がる中、障害者本人のニーズを踏まえた上で、「一般就労」の実現とその質の向上に向けて、障害者本人や企業等、地域の就労支援機関を含むすべての関係者が最大限努力すること。
  • 雇用施策と福祉施策の連携強化に関する対応策の具体的な検討の方向性
    1. 障害者のニーズの把握と就労能力や適性の評価の在り方
      • 働くことを希望する障害者に対しては、本人のニーズを踏まえた上で、一般就労の実現に向けて納得感のある支援を提供するため、
        • まずは福祉・雇用それぞれのサービス体系におけるアセスメント(ニーズ把握、就労能力や適性の評価)の仕組みを構築・機能強化
        • 将来的には、福祉・雇用それぞれのサービス等を選択・決定する前の段階で、「共通の枠組み」によるアセスメントを実施 等
    2. 障害者就労を支える人材の育成・確保
      • 両分野の基礎的知識・スキルが不十分、研修機会が限られている等により、専門人材が質・量ともに不足しているため、
        • 雇用・福祉の分野横断的な基礎的研修の確立、専門人材の高度化に向けた階層研修の創設など、研修体系の見直しを実施
        • 一定の「資格」化等を通じ、専門人材の社会的認知度の向上や社会的・経済的地位の向上等による専門人材を確保 等
    3. 障害者の就労支援体系の在り方
      • これまでの連携では十分な対応が出来ていない、支援内容に重複があるといった課題や、企業等への支援ニーズにも対応するため
        • 企業等での働き始めの時期、一時的な不調時、加齢等により雇用継続が困難な場合の、企業等で雇用されている間における就労継続支援事業の利用の取組を実施
        • 障害者就業・生活支援センターは、基幹型の機能も担い、地域の支援ネットワークを強化、充実
        • 就労継続支援A型事業所の役割や在り方について、改めて整理 等

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厚生労働省 第8回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」 資料
▼資料1
  • とりまとめ(案)の主な修正箇所
    • 大麻については、World Drug Report(世界薬物報告)2で報告されているとおり、世界で最も乱用されている薬物であり、150ヵ国以上の国・地域が批准している国際条約(麻薬に関する単一条約(1961年)。以下「麻薬単一条約」という。)において、条約制定当初から、最も厳格な規制対象として位置づけられてきている。
    • 昨今、諸外国において、大麻から製造された医薬品が上市され、CND(国連麻薬委員会)においても、大麻が引き続き条約上最も厳格な規制対象であるスケジュールⅠであることに変わりはないものの、大麻から製造された医薬品の医療用途等への活用を踏まえた議論て規制カテゴリーの変更が行われたところである。
    • このような社会状況の変化や国際的な動向等も踏まえ、「大麻規制のあり方」の検討を中心に、「社会復帰支援を柱とする薬物乱用者に対する再乱用防止対策」、「医療用麻薬及び向精神薬の規制」、一次予防、二次予防、三次予防いずれにも配慮した「普及啓発及び情報提供」について議論を行った。
    • 嗜好用大麻を合法化している国や州でも、政府ウェブサイトで大麻使用の健康への悪影響を示すとともに、法律においても一定年齢未満の青少年の使用を禁止する等、使用に制限を課しており、違反した場合には厳しい罰則を規定している6。WHO(世界保健機関)も、同じく大麻の健康に対する悪影響を示している
    • 大麻には依存性を含む健康に対する有害性はあるものの、以下の理由から3名の委員より反対意見があった。
    • 国際的には薬物乱用者に対する回復支援に力点が置かれている中で、その流れに逆行することになるのではないか
    • 使用罪の導入が大麻の使用を抑制することを目的とするのであれば、使用罪の導入が大麻使用の抑制につながるという論拠が乏しい
    • 大麻事犯の検挙者数の増加に伴い、国内において、暴力事件や交通事故、また、大麻使用に関連した精神障害者が増加しているという事実は確認されておらず、大麻の使用が社会的な弊害を生じさせているとはいえないことから、使用罪を制定する立法事実がない
    • 大麻を使用した者を刑罰により罰することは、大麻を使用した者が一層周囲の者に相談しづらくなり、孤立を深め、スティグマ(偏見)を助長するおそれがある
    • 全部実刑の仮釈放者に対しては、薬物再乱用防止プログラムが実施されているところ、仮釈放期間が6月未満の場合は期間が短く、特別遵守事項による受講の義務付けまではなされていない。
    • 保護観察対象者のうち仮釈放期間が6月未満の者に対しても、薬物再乱用防止プログラムを実施できるような仕組みを整備することについて検討すべきである。また、保護観察期間中に治療・支援につながるよう働きかけを強化するとともに、保護観察期間終了後や満期釈放後においても、自発的に地域におけるな治療・支援につながるような取組が必要である。さらに、大麻事犯に多い、保護観察の付かない執行猶予者や起訴猶予となる者に対しても治療・支援が届くようにすべきである。
▼参考
  • 立法事実というのでしょうか。そこはやはりきちんと整理していく必要があると思うのですよ。何ゆえにまずいのかということだと思います。例えば大麻で捕まる人が増える中で暴力犯罪が増えているとか、交通事故が増えているとか、あるいは健康被害が深刻であるとか、それから、今、ゲートウェイドラッグというものがどれだけ理由になるかも分からないのですけれども、確かにそうなっている非常に確証の高いデータがあるとかということなら分かるのですが、実は暴力犯罪は減っていますし、交通事故も減っていますね。それから、ゲートウェイドラッグなる大麻で捕まる人が増えていれば覚醒剤取締法事犯も増えなければいけないのだけれども、むしろどんどん減っているという状況をどのように解釈したらいいのか。
  • 実は病院調査で浮き彫りになってくるのは、様々な薬物の関連障害の患者さん同士を比較すると、大麻の関連障害の患者さんの特徴は何かというと、仕事に就いている方が多い、学歴が高い、非常に社会的な機能が高いことが逆に浮き彫りになっているのです。恐らく逮捕されたことで障害が進行する前に病院に来たのだという考え方もできるけれども、これはどうなのかなという気もします。
  • 過去1年以内に大麻を使用した経験のある方たちの中でDSM-5の使用障害、広い意味での依存症。これに該当する方が8.3%だったのです。これはアメリカのデータなどとも一致するので、かなり確証が高い数字ではないかと思っています。それから、実は3割ぐらいの方たちが、大麻を使って不快な症状、いわゆるバッドトリップみたいな感じになった経験はあります。ただ、その中で数時間以上続いてしまって人の助けが必要だったという経験をしている人は0.12%なのです。私はこれをもって大麻は安全だと言うつもりはないのですが、やはりこういう数字をきちんと大事にしていく必要がある。それから、慢性持続性の精神病症状を呈している方たちは、この市中の大麻経験者の中の1.3%です。統合失調症の市中における生涯経験率が大体0.7~1.0%ということを考えてみたときに、その大麻の精神病惹起作用についても我々はもっと慎重に吟味する必要があるということなのです。
  • 世界的に大麻はゲートウェイという見方は非常に強いと私は思います。だからといって、日本の覚醒剤が増えるかというと、そんな単純なことではないのです。これはほかの国でもそうです。それでヘロインが増えたかというと、そうとも言えないのです。今、この10年以上、世界で起きている事態は、要するに、所持あるいは使うことによって捕まる薬物から、捕まらない薬物へのシフトなのです。簡単に言うと、それは医薬品絡みにシフトしているのです。だから、当然、覚醒剤はそんなに単純には増えません。世界的に見ると、ヘロインもそんなに単純には増えておりません。だから、そのゲートウェイならばほかの薬物が増えるだろう。だけれども、増えていないではないかという論法は、全然、現実と違うと思います。厄介ならば医薬品という、そういうところにシフトしてきている難しさがやはりあると思います。
  • 使用を罪にすべきではないというところでよく言われるのが、いわゆるスティグマ論というか、犯罪者のレッテルを貼られてしまいますという議論ですけれども、その犯罪者のレッテルが貼られて社会復帰が難しくなる実態があるのは全く否定しませんし、それは大きな問題であるのは間違いないので、そういう方が社会復帰できるような仕組みはきっちりつくり上げなければならないし、そこは全力で取り組むべきだと思います。そこは多分、誰も異存がないところかと思います。ただ、このスティグマ論がとりわけ大麻についてだけ、なぜ強調されるのかというのが私はちょっとよく分からなくて、その犯罪者のレッテルが貼られると社会復帰が難しいというのは別に大麻だけではなくて、麻薬でも覚醒剤でも同様に当てはまる話なのではないかという気がしていまして、犯罪を犯してしまった人がどうやって社会に戻ってくるのを支援するか。こういう全ての犯罪に通じる話だと思います。それを大麻についてだけ、なぜ特別視するのか。覚醒剤取締法とか麻薬及び向精神薬取締法も含めて、薬物犯罪についてはすべからく使用罪をこの期に削除しましょうという提案であればまだロジカルには分かるのですが、そうでなければあまり理屈としてはよく分からないところだと思います。まとめますと、大麻についてだけ何かスティグマ論というものを取り上げて、ほかの薬物に関する規制との整合性を曲げてまで使用罪の部分だけちょっと置いておこうというのは理屈とか合理性はあまり感じなくて、何か大麻に関する特殊な考え方が背景にあるのかなと思ってしまうのですけれども、そういう何か特別な考え方を国の政策として法改正を通すというのは極めて困難で、これをどうやって国会で審議を持たせるのかというところもあると思います。
  • 国際的な潮流を考えれば、薬物を使用罪や少量の所持で罰することに関しては、国際機関は懐疑的な声明をたくさん出しております。むしろ司法的な問題ではなく健康問題として支援しましょうという流れの中です。その流れの中で今、新たに使用罪をつくる必要はないのではないかと言っているわけであって、既にもう日本は規制しているのだから、これだけ特別扱いはおかしいねという論法は成り立たないのではないかと思っています。スティグマを解消するために頑張らなければいけないというふうにおっしゃったのですが、やはり前科のある方たちが就労することはとても難しいことだし、どこに就職しても、なかなか同僚と仲良くなればなるほど苦しくなるのです。必ず話せない秘密が増えるからで、依存症からの回復で一番大事なのは正直になることなのですが、必ず秘密を持ち続けなければいけないということがいかに回復の現場で回復を難しくしているのか。そういうことを考えてみると、日本はかなり厳罰主義でやってきていますけれども、ここでさらにそれを加速させる必要はないのではないかというのが私が使用罪の創設に反対する一番の理由です。
  • 大麻に使用罪があったからこの方々が使用をやめるとは限らないわけですね。なぜかというと、この調査では、「もし使用罪があればあなたは使用をやめますか」ということは聞いていないからです。したがって、現時点で使用罪があることの抑止効果がどれぐらいあるのかということは不明です。また、人が薬物を使う理由は使用罪があるかないかだけではなくて、様々な理由で人は薬物を使うと思います。3つ目の理由ですが、仮に大麻取締法で使用罪を創設した場合、検挙される方が増えるわけです。やはり検挙者だけが増えて、現状、そのほとんどが保護観察のつかないような状態で、ある意味、野放しになっている状態では、薬物問題の根本的な解決にはならないと個人的には思っております。というのも、やはり薬物事犯者に対する社会のスティグマが非常に強いからです。規制を強化するだけでは薬物問題の根本的な解決にならないと思います。
  • 国際的な流れというか、話の中では、刑罰を行うよりも地域とか社会的な場所で相談ができる、刑罰という形で禁錮とか懲役刑を受けるのではない形の施策が望まれるという一文が国際条約の中でも話されていると思うのですけれども、そういった形で、私自身は大麻だけではなく、この薬物等と考えたときには、ほかのものもそういうふうに運用されることを当事者として現在では願っています。そして、困っている当事者だけではなく、使ったことがない方たちも相談ができる。そういう人がそばにいることで相談ができる。そこで何か、日本に住んでいて、生活に困っている、貧困で困っている。何でもいいのですが、そういったことを正直に相談ができる窓口が現在もないことがとても当事者としては悲しいと思いますし、僕と同じような境遇になっていく人が増えないでほしいと考えています。
  • むしろ、今、臨床の現場ですごく問題だなと感じているのは、やはり10代の子たちの市販薬の乱用のほうなのです。そっちのほうがはるかに深刻で、処方薬にアクセスするためには10代の子たちは親に相談して保険証をもらわなければいけないのです。でも、親に相談できない子たちが市販薬の乱用になってくる。それで、市販薬の乱用がいつから深刻になってきたかというと、危険ドラッグの乱用が終えんした後、それから、2014年にインターネットでの市販薬の販売規制が緩和された後だったりしているのです。だから、実は僕としては市販薬の対策のほうがむしろ喫緊ではないかと思っています
  • 大麻関連の問題で精神科受診した患者では、他の薬物関連の問題で受診した患者に比べて、「依存症」の診断に該当する人の割合が、顕著に低いのです。実際、刑務所や保護観察所で問題になっているのは、我々が開発にも関わった覚醒剤の依存症をメインにしたプログラムだと、大麻の人たちは全然乗ってきません。なぜならば、彼らは薬によって振り回されて、引っ張られて、本当に生活が破綻したという実感を全然持っていなくて、本当にコントロールして使っていたという感じがしているのです。つまり、プログラムが完全にミスマッチなのです。依存症ではない人、病気ではない人に治療提供していて、だから、本人たちからすると内容が納得できないし、必要性を感じることができない。そこに病気があるならば、介入するのは医療者として当然と納得することができますが、何らかの本人の価値観とか信念とかに介入することになってくると、ちょっとそれは医療というよりも、ブレーンウォッシングに近いものになってしまうのではないか。私はそういったことを危惧しています。
    • 一次予防だけではなく、早期発見、早期治療、二次予防的なニュアンスも入れていきたいというお話はとてもありがたい話だと思っています。ただ、それと同時に、早期発見、早期治療するために何が必要なのか、犯罪化すれば早期発見、早期治療が難しくなるのは常識です。そこのところをどうバランスを取っていくのかということは、前段の話も含めてまた考えてほしいと思っています。
  • いわゆる知識伝達型の予防教育では、受けた生徒の知識は増えているけれども、行動は変わっていない。薬物は危ないのだということは分かった。でも、その後、薬物を使ってしまっているのです。だから、やはりもうちょっとそこで、このレビュー論文で言っていることは、問題解決能力ですとかゴール設定スキルなどを含む様々なソーシャルスキルに関連したアプローチが有効であるということです。しかし、これはやはり1回の予防教育だけではなかなか難しいので、学校教育全体で考えていく必要がありますので、このあたりはぜひ文部科学省など、教育の専門家の先生方と議論していくべきことではないかと思います。
  • リスクの高い子たちには全然効いていないということなのです。だから、リスクの高い子たちが相談できるような学校環境を作る、あるいは、コミュニティーを作るには、どのような啓発をしたらいいのか。そこをぜひとも考えていただきたいと思います。
  • 既に広島県ではそういうポスターの募集要項に、「『ダメ。ゼッタイ。』に代表される一次予防教育が功を奏してきてはいるが、そのような予防教育が薬物依存症者の回復の妨げとなっているという意見もある」ということをわざわざ断り書きとして既に書いていて、裏を返せば、「ダメ。ゼッタイ。」という言葉を入れなくていいのだとほのめかしているみたいな事例もあります、それも一つの工夫かなと思います。

~NEW~
総務省 サイバーセキュリティタスクフォース(第32回)
▼参考資料1 「ICTサイバーセキュリティ総合対策2021」(案)の概要
  • 改定に当たっての主要な政策課題
    • 社会全体のデジタル改革・DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進
      1. <デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針>(令和2年12月閣議決定)
        • デジタル改革が目指すデジタル社会のビジョンとして、「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せを実現できる社会」を掲げ、社会全体のデジタル改革・DXを強力に推進。
      2. 「自由、公正、かつ安全なサイバー空間」の確保 社会全体のデジタル改革・DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進
        1. <次期サイバーセキュリティ戦略(骨子)>(令和3年5月サイバーセキュリティ戦略本部)
          • サイバー空間の公共空間化が進展する中で、「誰一人取り残さない」サイバーセキュリティの確保(Cybersecurity for all)に取り組むことにより、「自由、公正、かつ安全なサイバー空間」を確保。
        2. <電気通信事業者における安全かつ信頼性の高いネットワークの確保>
          • 5Gを含めて、電気通信事業者のネットワークや電気通信サービスにおけるリスクの高まりに応じた適切なセキュリティ対策を講じる必要
        3. <COVID-19への対応を受けたセキュリティ対策の推進>
          • COVID-19感染拡大が続く中、中小企業等におけるテレワーク推進のためセキュリティ対策が急務。コロナ後も視野に、トラストサービスの推進も重要。
        4. <デジタル改革・DX推進の基盤となるサービス等のセキュリティ対策>
          • IoT、クラウド、スマートシティについて、それぞれの課題に応じた適切な対策を推進していくことが必要。
        5. <サイバーセキュリティ情報に関する産学官での連携・共有等の促進>
          • 有効な技術や知見の共有による社会全体での対策の底上げ等が重要。
        6. <施策の推進・実施に当たっての基本的考え方・主な留意点>
          1. サイバーセキュリティ戦略に定める5原則を踏まえた施策展開
            • 情報の自由な流通、法の支配、開放性、自律性、多様な主体の連携の5原則を確保。
          2. サービス・製品の提供側と利用側の双方の観点からの施策展開
          3. 各施策の粒度やタイムスパン等の違いに応じた施策展開
            • 具体的・政策的施策の双方、短期的・中長期的施策の双方を総合的・有機的に推進。
  • 情報通信サービス・ネットワークの個別分野に関する具体的施策
    1. 電気通信事業者における安全かつ信頼性の高いネットワークの確保のためのセキュリティ対策の推進
      1. 安全かつ信頼性の高いネットワークの確保
        • 電気通信事業におけるサイバーセキュリティ対策とデータの取扱い等に係るガバナンス確保
        • BGPやDNSに関して、効果的な脆弱性対の普及方策等の検討 等
      2. サイバー攻撃に対する電気通信事業者の積極的な対策の実現
        • 電気通信事業者がサイバー攻撃元を検知できるよう、トラフィック(フロー情報)を把握・分析してC&Cサーバの検知を可能とするための制度的検討・分析手法の実証
      3. 5Gの本格的な普及に向けたセキュリティ対策の強化
        • 制度、技術、情報共有、市場、振興及び国際等の既存の施策の着実な遂行
        • Beyond5Gに向けた国際的なルール形成の議論への積極的な関与
    2. COVID-19への対応を受けたセキュリティ対策の推進
      1. テレワークセキュリティの確保
        • 「テレワークセキュリティガイドライン」及び中小企業等向けのチェックリスト等を活用した周知
        • テレワークセキュリティに関する実態調査と、チェックリスト等の理解度向上に向けた継続的な見直し
      2. トラストサービスの制度化と普及促進
        • タイムスタンプ認定制度の適切な運用、eデリバリー等トラストサービスの普及方策の検討
    3. デジタル改革・DX推進の基盤となるサービス等のセキュリティ対策の推進
      1. IoTのセキュリティ対策
        1. NOTICE(*)調査の詳細化・高度化と、効果的な注意喚起(郵送等、SIerへの注意喚起等)の実施
        2. ソフトウェア脆弱性を有する機器(例:VPN機器)を特定し、注意喚起を行う手法について検討
      2. クラウドサービスの利用の進展を踏まえた対応
        1. クラウドサービス利用者の設定ミスを防止・軽減するためのクラウドサービス事業者における取組の促進方策の検討
      3. スマートシティのセキュリティ対策
        1. 「スマートシティセキュリティガイドライン(第2.0版)」の国内外への普及推進
  • その他の具体的施策
    1. 無線LANのセキュリティ対策
      • 無線LAN利用者・提供者の双方に対するセキュリティ対策に関する周知啓発
    2. 放送分野のセキュリティ対策
      • 放送設備のサイバーセキュリティ対策の確保に関する技術基準等の制度の着実な運用
    3. 地域の情報通信サービスのセキュリティの確保
      • 地域のセキュリティ関係者のコミュニティ(「地域SECUNITY」)の構築の推
  • 横断的施策
    1. サイバーセキュリティ情報に関する産学官での連携・共有等の促進
      1. 我が国のサイバーセキュリティ情報の収集・分析能力の向上に向けた産学官連携の加速
        • NICTにおける「サイバーセキュリティ統合知的・人材育成基盤」(CYNEX)の早期の本格稼働を目標とした基盤構築 等
      2. サイバー攻撃被害情報の適切な共有及び公表の促進
        • 自組織に不都合が発生する状況を避けつつ情報共有できるかをまとめたガイダンスを作成、発信
        • 被害を公表した組織に対する適切な評価や支援の在り方等について検討
      3. その他の情報共有・情報開示の促進
        • 情報共有基盤の構築促進、民間企業におけるサイバーセキュリティ対策情報の開示促進
    2. その他の横断的施策
      1. 国際連携の推進
        • ASEAN各国はじめインド太平洋地域等との連携、国際的なISAC間連携、国際標準化の推進、サイバー空間における国際ルールをめぐる議論への積極的参画
      2. 研究開発の推進
        • 基礎的・基盤的な研究、IoT機器のセキュリティ技術、脆弱性の検証手法の確立 等
      3. 人材育成・普及啓発の推進
        • NICT「ナショナルサイバートレーニングセンター」の取組、利用者への普及啓発の推進

~NEW~
総務省 プラットフォームサービスに関する研究会(第28回)配布資料
▼資料1 プラットフォームサービスに係る違法・有害情報(誹謗中傷、偽情報等)への対策に関する主な論点
  • インターネット上の誹謗中傷や偽情報といった違法・有害情報の流通に関しては、依然としてSNS等のプラットフォームサービスの影響が大きく、プラットフォーム事業者を中心とした対応が求められる。
  • しかしながら、現在のインターネット環境においては、CDN事業者によるコンテンツのキャッシュや、ホスティング事業者によるコンテンツのホストなど、ネット環境の担い手が多岐にわたっており、情報の削除や発信者特定など、違法有害情報対策の実務では、これらのネット環境の複雑化に伴う実効性の低下等が問題となっている。また、プラットフォームサービス以外の、中小の掲示板や、まとめサイト等のミドルメディアにおける違法・有害情報も問題となっている。
  • したがって、プラットフォームサービス以外の、CDN・ホスティング(クラウドサービス)・アプリマーケット・ミドルメディア等も射程に含め、コンテンツ流通メカニズム全体を踏まえながら、引き続き違法・有害情報対策に関する検討を行っていくことが必要ではないか。
  • さらに、ヘイトスピーチ・部落差別・性被害・自殺誘引等、様々な類型の違法・有害情報が問題となっていることから、これらの誹謗中傷や偽情報以外も含む違法・有害情報全般について対策を行っていくことが必要ではないか。
  • それぞれのユーザが他人を個人として尊重し、SNSを始めとするインターネット上での自らの書き込みに対して他人が傷つく可能性を想像し、誹謗中傷を行わないよう心がけるなど、ユーザ自身の情報モラルが最も重要である。誰もが誹謗中傷の加害者になり得るし、誰もが偽情報を拡散する可能性があることを認識することが重要である。
  • 実態把握や分析結果に基づき、産学官民が連携し、引き続きICTリテラシー向上施策が効果的となるよう取り組み、体系的で多元的なリテラシー啓発を実施することが必要ではないか(分析結果の例:ごく少数の者がネット炎上によるネット世論を作る、書き込む動機は正義感、多くの人は誹謗中傷を書いていると気づいていない、等)。
  • 総務省は、これまでのe-ネットキャラバン等の青少年向けの取組に加え、大人も含め幅広い対象に対してICTリテラシー向上のための取組を実施することを検討していくことが必要ではないか。様々な主体により行われている既存リテラシー施策について整理し、様々な主体の連携を促進することが必要ではないか。こうした総務省及び各ステークホルダーによる取組状況を把握し評価を行うことが必要ではないか。
  • 違法・有害情報対策の前提として、まず、プラットフォーム事業者が、自身のサービス上でどのような違法・有害情報が流通しているのか、自ら実態把握とリスク評価を行うことが必要ではないか。
  • 国は、引き続きプラットフォーム事業者等による自主的な削除等の対応を促進することとし、プラットフォーム事業者等に対して削除義務を課すことや、個別のコンテンツを削除しなかったことに対して罰則等を設ける法的規制を導入することは極めて慎重な検討を要するのではないか。他方で、取組の透明性・アカウンタビリティの確保方策が図られない場合は、それらに関する行動規範の策定及び遵守の求めや法的枠組みの導入等の行政からの一定の関与が必要ではないか。
  • 誹謗中傷や偽情報のみならず、違法・有害情報全般に共通する対応(ヘイトスピーチ・部落差別・自殺誘引等)として、まず、違法な情報に対して、プラットフォーム事業者をはじめとするサイト運営者は、プロバイダ責任制限法による免責規定を踏まえ、迅速に削除等の対応を行うことが求められる。
  • 法務省人権擁護機関等の関係機関からの削除要請を受けた場合には、それらの手続の正当性や専門性も踏まえ、迅速に削除等の対応を行うことが求められることから、プラットフォーム事業者は、我が国におけるトラステッドフラッガーの仕組みの導入や、適切な報告者の認定について検討することが望ましいのではないか。
  • プラットフォーム事業者・総務省・法務省人権擁護機関による実務者検討会の継続的な開催等により、削除に関する違法性の判断基準・判断方法や個別の事業者における削除実績等について関係者間で共有し、行政側・事業者側双方の削除に関する対応についての透明性を向上させ、円滑な削除対応を促進することが必要ではないか。
  • 個別の書き込みが違法な情報か有害な情報の判断が難しい場合も多いこと等を前提に、違法ではないが有害な書き込みについては、自らのポリシーや約款に基づき、適切に削除等の対応を行うこと求められる。
  • 削除以外にも、それぞれのサービスの特性に応じた、アーキテクチャ上の工夫による違法・有害情報対策を進めることが期待されるところ、ヒアリング結果を踏まえ、特に一定の短期間の間に大量の誹謗中傷が集まった場合に、既存の機能・取組において効果的に対応が可能なのかという点について自ら検証を行い、仮に効果が見られない場合には、更なるアーキテクチャ上の工夫の導入について検討を行うことが望ましいのではないか。
  • ヒアリングによると、PF事業者における誹謗中傷への対応に関する透明性・アカウンタビリティの確保状況には差異が見られる。我が国における透明性・アカウンタビリティ確保が図られていない事業者に関しては、特に透明性・アカウンタビリティ確保の取組を進めることが強く求められるのではないか。
  • 我が国の利用者が安心してプラットフォームサービスを使えるように、引き続きプラットフォーム事業者の自律的な対応及び透明性・アカウンタビリティ確保に関する自主的な報告を求め、総務省はモニタリングと検証評価を継続的に行っていくことが必要ではないか。依然として透明性・アカウンタビリティ確保が図られない事業者について、いつまでに我が国において取組が実施されるのか把握することが必要ではないか。
  • 次回以降のモニタリングにおいて、依然として事業者が自主的な報告を行わない場合や、我が国における透明性・アカウンタビリティ確保が実質的に図られない場合には、透明性・アカウンタビリティの確保方策に関する行動規範の策定及び遵守の求めや法的枠組みの導入等の行政からの一定の関与について、具体的に検討を行うことが必要ではないか。
  • リスクベースアプローチに基づく検討、特に、リスクの大きい巨大プラットフォームサービスについて、自らのサービスのリスク評価の実施及び結果の公表、リスクを低減するための合理的・比例的・効果的な対応の実施とその結果及び効果の公表、政府及び外部研究者等による継続的なモニタリング、モニタリングを可能とするデータ提供、といった大枠としての共同規制的枠組みの構築を前提に検討を進めることが適当ではないか。
  • 総務省は、継続的に国際的な法的規制枠組みの検討状況を把握し、国際的対話を深めていくことが適当ではないか。グローバルにサービスを提供するプラットフォーム事業者における適切な対応について、諸外国の情報通信担当部局等と連携しながら、実効的な対応を検討していくことが必要ではないか。G7における「Internet Safety」の成果文書も踏まえ、グローバルにサービスを提供するプラットフォーム事業者においては、グローバルのみならず我が国における透明性・アカウンタビリティ確保が行われることが重要ではないか。
  • プラットフォームサービス以外のサービス(CDN・ホスティング(クラウド)・アプリストア等)における違法有害情報対策に係る取組についても、必要に応じて今後ヒアリングを行い、透明性・アカウンタビリティ確保を求めていくことが望ましいのではないか。
  • ヒアリング結果によると、AIの活用に関して、各社において深層学習を用いた自然言語処理モデルを活用した違法・有害情報への対応がすでに進められていることから、引き続き、これらの取組を進めることが有用ではないか。他方で、AI利活用によるオーバーブロッキング等の懸念もあることから、AIの活用に関して具体的に透明性・アカウンタビリティ確保を図っていくことが望ましいのではないか。
  • 具体的なモニタリング事項や法的枠組みの検討に関しては、既存のヒアリングシートを基本として、プラットフォーム事業者と対話を行いながら検討することが適当ではないか。より適切な指標や項目があると考えられる場合には、プラットフォーム事業者は、自らのサービスの特性を踏まえ、代替案となる指標や取組を積極的に示すことが望ましいのではないか。
  • 法施行に向けて、省令等の関係法令の策定を進めるとともに、関係事業者及び総務省の間で、円滑な新制度の施行に向けて、具体的な運用に関する協議を進めることが必要ではないか。
  • その際、現在のインターネット環境においては、CDN事業者によるコンテンツのキャッシュや、ホスティング事業者によるコンテンツのホストなど、ネット環境の担い手が多岐にわたっており、情報の削除や発信者特定など、違法有害情報対策の実務では、これらのネット環境の複雑化に伴う実効性の低下等が問題となっていることを踏まえ、プラットフォームサービス以外の、CDN・ホスティング(クラウドサービス)事業者等も加えて協議を進めていくべきではないか。
  • 円滑な発信者情報開示制度の運用にむけて、プラットフォーム事業者は、2.(2)に記載の透明性・アカウンタビリティ確保の取組の中で、削除件数以外にも、我が国における発信者情報開示に関する申請や開示件数等について集計・公開することが望ましいのではないか。また、総務省は、法務省や裁判所等と連携し、行政側でも現行制度及び新制度に関する発信者情報開示の件数等を把握することが求められるのではないか。
  • 違法有害情報相談センターにおいて、引き続き被害者救済のための円滑な運用を行うとともに、ユーザビリティに資するシステム更新等を随時検討していくことが望ましいのではないか。
  • 総務省は、複数の相談機関間における連携強化を一層深めていくことが必要ではないか。
  • また、相談を必要としている被害者に対して違法・有害情報相談センター等の必要とされる相談機関の相談窓口に関する情報が届くよう、複数の相談窓口の案内図について広く周知を行うなど、引き続き、被害者にとって相談窓口を分かりやすく示すための取組を行うことが必要ではないか。
  • 2020年2月にとりまとめた報告書において記載の偽情報への対策に関する10の方向性について、各ステークホルダーの取組状況やプラットフォーム事業者のモニタリング状況を踏まえ、継続的に議論を深めていくべきではないか。
  • 我が国における偽情報への対応の在り方の基本的な方向性としては、引き続き、まずはプラットフォーム事業者を始めとする民間部門における関係者による自主的な取組を基本とした対策を進めていくとともに、プラットフォーム事業者等による自律的な対応及び自主的な報告を求め、総務省はモニタリングと検証評価を継続的に行っていくことが必要ではないか。特に、プラットフォーム事業者等に対して削除義務を課すことや、個別のコンテンツを削除しなかったことに対して罰則等を設ける法的規制を導入することは極めて慎重な検討を要するのではないか。
  • 違法・有害情報全般に関する透明性・アカウンタビリティ確保と同様に、次回以降のモニタリングにおいて、偽情報への対応に関して、事業者が自主的な報告を行わない場合や、我が国における透明性・アカウンタビリティ確保が実質的に図られない場合には、透明性・アカウンタビリティの確保方策に関する行動規範の策定及び遵守の求めや法的枠組みの導入等の行政からの一定の関与について、具体的に検討を行うことが必要ではないか。
  • 研究者による偽情報に関する実態把握や分析が進められているものの、偽情報の流通状況が明らかになっているとは言えないため、偽情報特有の問題の検討に資するよう、以下の点に着目して、引き続き偽情報の実態把握を行うことが適当ではないか。
  • 特に、研究者によるサービス上の情報流通についての調査によると、我が国において偽情報の問題が顕在化しているにもかかわらず、ヒアリング結果によると、プラットフォーム事業者は自らのサービス上の偽情報の流通状況についてそもそも実態把握ができていなかったり、「偽情報の問題は生じていない」旨の回答があったため、PF事業者の認識や実態把握と調査結果とのギャップが生じている。したがって、プラットフォーム事業者は、自らのサービス上で生じている我が国における偽情報の問題について適切に実態把握を行うとともに、研究者が分析を行うために必要な情報についてプラットフォーム事業者から無償で情報提供が行われることが望ましいのではないか。
  • コンテンツ側の偽情報流通の実態把握・分析に当たっては、プラットフォームサービスのみならず、ミドルメディア等も含めた情報流通環境全体を捉えた視点により実施されることが望ましいのではないか。特に、ミドルメディアを中心とした偽情報の生成・拡散・流通メカニズムに関して、実態把握と分析を進めていくことが必要ではないか。
  • SNS上の偽情報が偏った複数の集団・ネットワーク(クラスター)に分かれて拡散しているケースが見られることから、これらの既存の分析をもとに、引き続き偽情報の拡散状況や特徴について実態把握及び分析を行い、偽情報の拡散に有効なプラットフォームサービス上のアーキテクチャ上の工夫や、偽情報に関するリテラシー向上に関する取組など、必要な対応について検討していくことが必要ではないか。
  • 偽情報への対応に当たっては、多面的な解決策を検討していくことが必要であり、その際、プラットフォーム事業者のみならず、産学官民の多様なステークホルダーによる協力関係の構築を図り、対話の枠組みを設けることが重要と考えられる。
  • ヒアリング結果によると、「Disinformation対策フォーラム」や「Innovation Nippon」などにより、我が国において、産学官民の多様なステークホルダーによる協力関係の構築や偽情報への対策の検討が進められている。
  • したがって、引き続き、「Disinformation対策フォーラム」「Innovation Nippon」等の産学官民の連携の場において、継続的に偽情報への対策に関する議論や研究が行われることが望ましいのではないか。
  • 特に、「Disinformation対策フォーラム」においては、フォーラムによる中間とりまとめの記載のとおり、今後、伝統的なメディア・学術研究機関等と協力を行いながら、ファクトチェックを持続的かつ総合的に行う主体についての具体的検討を進めること、情報リテラシーの向上のため、多様な主体によるコンテンツの作成や、総務省や関連団体とも協力して総合的な普及啓発の取組を促進することが期待されるのではないか。
  • ヒアリングによると、いずれの事業者においても、自らのサービス上で生じている我が国における偽情報の問題について適切に実態把握が行われていない。また、我が国における偽情報への対応及び透明性・アカウンタビリティ確保の取組の進捗は限定的。
  • これらの状況を踏まえ、プラットフォーム事業者は、我が国において生じている自らのサービス上の偽情報の問題について適切に実態把握とリスク評価を行った上で、そのリスクに応じて偽情報への対応を適切に行うことが必要ではないか。また、具体的にどのような取組が効果的かについて、分析を行うことが必要ではないか。さらに、自らの取組に関する透明性・アカウンタビリティ確保を進めていくことが求められるのではないか。G7における「Internet Safety」の成果文書も踏まえ、グローバルにサービスを提供するプラットフォーム事業者においては、グローバルのみならず我が国における透明性・アカウンタビリティ確保が行われることが重要ではないか。
  • 総務省は、これらの取組に関するモニタリングと検証評価を継続的に行っていくことが必要ではないか。この際、プラットフォーム事業者に対して具体的にどのような対応や情報公開を求めることにより、偽情報への適切な対応が図られているかどうかを評価することが可能かについて、検討が深まっていないことから、引き続き検討が必要ではないか。
  • 違法・有害情報全般に関する透明性・アカウンタビリティ確保と同様に、次回以降のモニタリングにおいて、偽情報への対応に関して、事業者が自主的な報告を行わない場合や、我が国における透明性・アカウンタビリティ確保が実質的に図られない場合には、透明性・アカウンタビリティの確保方策に関する行動規範の策定及び遵守の求めや法的枠組みの導入等の行政からの一定の関与について、具体的に検討を行うことが必要ではないか。
  • 行動ターゲティングの技術による政治広告における悪用事例のように、利用者の脆弱性につけ込み偽情報を拡散する使い方が可能であるといった指摘がある。
  • ヒアリングによると、いずれの事業者においても、偽情報を内容とする広告や、政治広告の出稿について、一定の制限を設けている。特に、LINE及びTwitterでは政治広告が禁止されており、Googleでは日本において選挙広告は禁止されている。この点、複数の事業者が、偽情報を内容とする広告や政治広告はそもそも配信が禁止されているためターゲティング技術の対象とならない旨を説明している。なお、(出稿が許されている)政治広告について、どのようなターゲティング技術に関する対応が行われているかについては明確になっていない。
  • 行動ターゲティング広告における利用者情報の取扱いについては、利用者情報WGにおいても議論が行われているところ、広告の種類・対応に応じてリスクや問題の差異を分析したうえで、特に、偽情報を助長しうるターゲティング技術の適用については、そのリスクを踏まえ、より注意深い対応と、それに伴う透明性・アカウンタビリティ確保が求められるのではないか。
  • また、コンテンツの内容が正しくなくてもページビューを稼げば広告収入で儲かる仕組みが偽情報の生成を支えているといった指摘がある。
  • ヒアリングによると、複数の事業者において、偽情報に関連する内容の媒体・サイトや、特定の信頼性基準に満たない媒体・サイトへの広告配信を制限する規定が設けられている。
  • したがって、広告収益を絶つことにより偽情報拡散防止の観点も踏まえ、これらのポリシーに基づき、実効性のある対応が行われることが求められるのではないか。
  • 次回以降のモニタリングにおいて、偽情報に関する行動ターゲティング広告についての対応及び偽情報を掲載しているサイトへの広告配信の問題に関して、事業者が自主的な報告を行わない場合や、我が国における透明性・アカウンタビリティ確保が実質的に図られない場合には、透明性・アカウンタビリティの確保方策に関する行動規範の策定及び遵守の求めや法的枠組みの導入等の行政からの一定の関与について、具体的に検討を行うことが必要ではないか。
  • 我が国においても、ファクトチェックの取組が徐々に広がってきているものの、ファクトチェッカーやファクトチェック記事件数は十分とは言えず、ファクトチェックの担い手や社会的認知度・理解度が不足しているという課題は依然として残されていることから、引き続き、プラットフォーム事業者、ファクトチェッカー、ファクトチェック推進団体等が連携し、ファクトチェックの活性化のための環境整備を推進していくことが適当ではないか。
  • プラットフォーム事業者においては、ファクトチェッカー・ファクトチェック推進団体との連携強化(サービス上の情報へのファクトチェック結果の紐付け等)、資金提供等の取組がさらに進められることが期待されるのではないか。
  • ファクトチェッカーにおいては、国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)への加盟、ファクトチェック体制等に関する透明性・アカウンタビリティ確保が進められることが期待されるのではないか。
  • ファクトチェック推進団体においては、人材の育成、市民のリテラシー向上、ファクトチェック支援システム等によるファクトチェックの容易化、透明性・アカウンタビリティ確保、複数のファクトチェッカーによる複合的なファクトチェック環境の構築に向けた取組等を推進していくことが期待されるのではないか。
  • そのほか、今後、我が国におけるファクトチェック結果を積み重ねて分析を行うことにより、偽情報の傾向分析やそれを踏まえた対策の検討(例えば、更なるファクトチェック支援のための技術導入、プラットフォーム事業者におけるポリシー策定や削除等の対応など)が行われることが望ましいのではないか。
  • 「Disinformation対策フォーラム」において、引き続き、プラットフォーム事業者・新聞や放送などの既存メディア・学術研究機関等との間で協力を行いながら、上記の観点を踏まえながらファクトチェックを持続的かつ総合的に行う主体についての具体的検討を進めることが望ましいのではないか。その際、新聞や放送などの既存メディアにおいても、これまでの信頼性のある情報発信の取組の一環として自律的なファクトチェックの担い手となるとともに、ファクトチェッカーやファクトチェック推進団体等に対して、これまで培ってきた知見やノウハウの共有等の支援を行うことなどが期待されるのではないか。
  • プラットフォーム上における偽情報の問題に対抗するためには、前述のファクトチェックの推進とともに、信頼性の高い情報の流通を増やし、利用者が容易にそれらを参照できるような環境整備が必要である。
  • この点、我が国においては、全国的に大きな影響力を持つ新聞社や放送事業者等の既存メディアにおいて、自律的なチェック体制に基づく信頼性のある情報発信がこれまで行われてきたほか、例えば日本放送協会における「SoLT」のようなSNS時代に対応した報道態勢が構築されつつある。その他、「Disinformation対策フォーラム」におけるプラットフォーム事業者等との対話も進められている。
  • これらの状況も踏まえつつ、新聞社や放送事業者等の既存メディアにおける情報の信頼性の確保のための取組やノウハウも参考とし、これをネットメディアにも広げていくという考え方も取り入れつつ、引き続き、現代のメディア環境に対応した情報の信頼性の確保の在り方について、メディア関係者の間で検討を深めていくことが望ましいのではないか。
  • プラットフォーム事業者においては、新型コロナウイルス感染症等に関して信頼できる政府機関・専門機関・メディア等の情報やそれらへのリンクをサービスの目立つ場所に掲示するなどの取組が積極的に行われているが、認知度が低い(1割程度)ことから、これらの取組を引き続き積極的に行うことが望ましいのではないか。また、前述のとおり、我が国におけるファクトチェックメディア等との連携により、偽情報に対してファクトチェック結果を紐付けて表示する等の取組を進めていくことが望ましいのではないか。
  • ニュース配信プラットフォームサービスにおいては、ニュースや情報に関する選別・編集責任等に関するサービスの性質を踏まえながら、利用者のニーズに応じて信頼性の高い情報配信が行われるよう引き続き努めるとともに、情報配信に関する透明性やアカウンタビリティの確保方策を適切に実施することが望ましいのではないか。
  • 偽情報の拡散要因について、インターネットにおけるニュースの生態系の問題として、ミドルメディアが大きな影響を与えていることがこれまでの分析により判明しつつある(いわゆる「こたつ記事」や「フェイクニュース・パイプライン」問題)。
  • したがって、インターネット上におけるメディア全体の情報の信頼性をどのように確保していくかについて、ミドルメディアを中心とした偽情報の生成・拡散・流通メカニズムに関する実態把握と分析も踏まえ、「Disinformation対策フォーラム」等の場も活用しつつ、伝統的なメディア・ネットメディア・プラットフォーム事業者等の関係者間で、ミドルメディア運営事業者との連携可能性等も含め、今後検討をさらに深めていくことが望ましいのではないか。
  • 総務省や一部事業者においては我が国においても偽情報に資するリテラシー向上の取組が行われているが、その他の事業者の既存のリテラシー向上に関する取組は、偽情報に効果的な内容となっているか不明。
  • 違法・有害情報全般に関するICTリテラシー向上の推進に向けた取組に加えて、偽情報特有の問題への対応のため、以下の点に着目して、偽情報に対抗するリテラシー向上の推進に向けた取組が行われることが望ましいのではないか。
  • 偽情報の実態把握や分析結果に基づき、スーパースプレッダーへの効果的な働きかけ、偽情報に対して効果のある「情報リテラシー」の分析、人間の認知の仕組み、偽情報のジャンル別に異なる有効な情報検証行動、インターネット上の情報の偏りやメディア環境の分析など、偽情報自体の特徴や偽情報が拡散する要因等を踏まえながら引き続きICTリテラシー向上施策が効果的となるよう取り組み、産学官民が連携し、体系的で多元的なリテラシー啓発を実施することが必要ではないか。
  • 偽情報に対抗するために必要なリテラシーについては、例えば、EU等で先行する取組も参考にしつつ、コンテンツを作成し実施していくことが望ましいのではないか。
  • 偽情報は青少年だけでなく大人であっても拡散しているケースが見られるという分析結果を踏まえ、青少年だけでなく、大人も含め幅広い対象に対して実施することが必要ではないか。その際、総務省は、e-ネットキャラバンやトラブル事例集等の青少年向けの取組に加え、例えば、デジタル活用支援員の仕組みも活用した取組を検討していくことが必要ではないか。
  • プラットフォーム事業者は、日本向けのリテラシー向上のための取組を実施するとともに、多様な利用者に対して効果的にアプローチするため、行政機関・関連団体・研究者等と協力し、Disinformation対策フォーラム等も活用して、総合的な普及啓発の取組を促進することが望ましいのではないか。
  • ディープフェイクなどの新たな技術を悪用した偽情報が我が国においても出現している。ヒアリングによると、Facebook・Google・Twitterでは、ディープフェイク対策の研究開発が行われている。我が国においては、プラットフォーム事業者によるディープフェイク対策の研究開発は現時点で行われていないものの、研究者による偽情報対策の研究開発が行われている。
  • ディープフェイクに対抗にするための研究開発や技術コンテスト等の取組が我が国においても進められることが望ましいのではないか。
  • プラットフォーム事業者は、ディープフェイク対策のための研究開発を引き続き行うとともに、ディープフェイク等の偽情報に対応したポリシーを設けて、悪質度合いに応じて削除やラベルの付与等の適切な対応を行うことが望ましいのではないか。この際、日本語への対応や、日本人ユーザに対しても適切な形で対応可能な技術について研究開発を推進していくことが望ましいのではないか。
  • 総務省は、諸外国及び国内での偽情報対策に資する研究開発の状況を継続的に把握し、関係者に対して情報共有を行うとともに、我が国における研究者が偽情報への対応に関する研究開発を行う際に必要なデータがプラットフォーム事業者から適切に提供されるよう、プラットフォーム事業者及び研究者と継続的な協議を行うことが望ましいのではないか。
  • 違法・有害情報全般に関する政策に加えて、偽情報に関する政策についても、国際的な対話の深化を深めていくことが望ましいのではないか。
  • 引き続き、諸外国における検討状況を把握しつつ、我が国においても、偽情報に特有の問題や政策的対応について引き続き検討していくことが必要ではないか。同時に、我が国における偽情報の流通状況や、官学官民の検討状況について諸外国に共有を行い、それらの対話を通じて、特にグローバルにサービスを提供する事業者における適切な対応について、諸外国の情報通信担当部局等と連携しながら、実効的な対応を検討していくことが必要ではないか。

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