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  • 令和3年警察白書(警察庁)/令和2年度文部科学白書(文科省)/令和2年労働安全衛生調査(厚労省)/DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブック(経産省)/犯罪収益移転防止法違反に係る是正命令(総務省)

危機管理トピックス

令和3年警察白書(警察庁)/令和2年度文部科学白書(文科省)/令和2年労働安全衛生調査(厚労省)/DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブック(経産省)/犯罪収益移転防止法違反に係る是正命令(総務省)

2021.07.26
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更新日:2021年7月26日 新着18記事

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【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

警察庁
  • 令和3年警察白書
  • 中国政府を背景に持つAPT40といわれるサイバー攻撃グループによるサイバー攻撃等について(注意喚起)
首相官邸
  • 政府与党連絡会議
  • 新型コロナウイルス感染症対策の進捗に関する関係閣僚会議
内閣府
  • 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
  • 令和3年第11回経済財政諮問会議
  • 新しい働き方と地方移住に関する分析 -コロナ禍における働き方への意識の変化をもとに-
消費者庁
  • 消費者意識基本調査 令和2年度実施(令和2年11月調査)
  • フリーマーケットサイトにおける健康食品の偽物の販売に関する注意喚起
  • 令和2年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組
国民生活センター
  • 突然訪問されて太陽光発電設備と家庭用蓄電池を契約した
  • 固定価格買取期間満了後は家庭用蓄電池の設置が必要なの?
総務省
  • 犯罪収益移転防止法違反に係る是正命令
  • 青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関するタスクフォース(第15回)

~NEW~
文部科学省 令和2年度 文部科学白書
▼特集1 新型コロナウイルス感染症禍における文部科学省の取組
  • 科学技術関係の対応について
    • 新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の事態の中、文部科学省においては、治療薬やワクチン、迅速診断法の基盤となる技術の早期確立を目指し、関係府省との連携の下、科研費や日本医療研究開発機構等による支援の充実を通じて研究開発を加速しました。また、スパコン「富岳」の前倒し利用による飛沫の飛散・換気シミュレーション等の研究開発にも緊急的に取り組んできました。こうした研究開発から、新型コロナウイルスに関する知見を蓄積・共有するとともに、迅速診断装置等が実用化に至るなどの成果が得られました。
    • また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた研究者への支援については、競争的研究費制度における各種手続の期限延長や計画変更等についての柔軟な対応、研究施設のリモート化・スマート化の促進を通じた研究活動の停滞の解消、新型コロナウイルスに関連する遺伝子組換え実験に関する大臣確認手続の迅速な実施等を進め、研究現場の活動を支えてきました。
    • 文部科学省としては、引き続き、新型コロナウイルス感染症に関する研究開発を進めていくとともに、これに加え、将来発生し得る
    • 感染症の制御と共生に向けて、中長期的な視点からの基礎研究・学術研究の推進、異分野融合研究の推進、研究基盤の充実等についても積極的に取り組んでいきます
  • スポーツ関係の対応について
    • 今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、トップアスリートの強化活動、プロスポーツ、部活動の大会や多くの市民が参加する地域スポーツ活動等、様々なスポーツ活動の自粛が余儀なくされました。そのような中でも、スポーツは、心身の健康の保持増進に不可欠であることはもとより、国民に誇りと喜び、夢と感動、勇気を与え、国をつなぐ価値を持つため、安全と安心の下に、スポーツを国民生活の中に取り戻し、さらには、スポーツの力で社会・経済を活性化し、新たな時代を切り拓いていくことが重要です。
    • 心身の健康の保持増進の観点から、外出自粛による運動不足等から身体的及び精神的な健康を脅かす健康二次被害を防ぐことを目的とし、運動・スポーツの実施啓発リーフレットを作成しました。特に運動不足による筋力や認知機能の低下等が懸念される高齢者向けには、スポーツを通じて健康二次被害を防ぐためのガイドラインを作成しました。
    • また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、様々なスポーツイベントが中止や延期等となりましたが、その再開に向けた経済的な支援として、全国規模のスポーツイベントの主催者に対し、会場での新型コロナウイルス感染症拡大防止対策、継続的な集客等のための広報、施設の確保、選手等の非感染状態確認のために必要な費用等を補助しました。
    • さらに、中学校及び高等学校の部活動においても、多くの全国大会が中止となる等、活動の自粛が余儀なくされる中、部活動に熱心に取り組む生徒が、安心して部活動を実施できるよう、活動に当たっての留意事項等を示すとともに、中止されたインターハイや甲子園等の全国大会の代替となる地方大会の開催に必要な経費を補助し、大会の優勝者に文部科学大臣特別賞を授与するなど、最終学年の生徒のための大会の開催について、関係団体と連携協力しながら支援を行ってきました。
    • また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により活動自粛を余儀なくされたスポーツ関係団体や個人事業主に対し、感染対策をとりつつ活動の再開・継続を行うために必要な経費を支援しました。
    • このように、スポーツ活動の再開に向けて、スポーツ庁、各スポーツ関係団体は、感染拡大予防のためのガイドラインを作成し、感染対策をしながら、競技や観戦を楽しむ方法、オンラインによる開催方法を取り入れるなど新たなスポーツの在り方を模索してきました。2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会*2では、この中で得られた知見も活用し、選手だけでなく大会に関わる全ての人が安全・安心に参加できるように、関係省庁や関係団体等と連携し、大会の成功に向けて取組を進めています。
  • 文化関係の対応について
    • 新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえ、文化芸術関係イベントの中止や開催方式の変更をはじめ、文化芸術活動は多大なる影響を受けてきましたが、この国難とも呼ぶべき現状であるからこそ、人々の心を癒し、勇気づける文化や芸術の力が必要です。文化庁としては、日本の文化芸術の灯を守り抜くため、文化芸術活動の自粛等を余儀なくされた方々に対して様々な支援を行ってきました。
    • 経済的支援としては、政府全体として業種を問わず実施している事業継続や雇用維持に関する取組に加えて、文化施設の感染症予防対策や、文化芸術団体の収益力強化に対する取組への支援を行ったほか、文化芸術活動を行う個人事業者(フリーランスを含む)又は小規模団体に対して、活動の再開・継続に向けた積極的な取組等に必要な経費を支援する「文化芸術活動の継続支援事業」等に取り組んできました。また、イベントの自粛によって主催者に大きな損失が生じている状況を踏まえ、入場料等について観客等が払い戻し請求権を放棄した場合には、放棄した金額分を「寄附」とみなし、寄附金控除の対象とする特例を措置してきました。このほかにも、各団体が策定する文化施設における感染拡大予防ガイドラインの策定を支援するほか、累次にわたって周知を実施するなど、あらゆる手段で、文化事業の継続と雇用の維持を図ってきました。
    • また、令和2年7月31日から高知県で開催を予定していた第44回全国高等学校総合文化祭については、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、通常の方法による開催は断念したものの、生徒たちの発表の機会の確保やこれまでの活動成果を少しでも多くの方にご覧いただくとともに、記録に残せるよう、インターネットを活用した作品の発表や取組の紹介、演奏や実技の動画配信による開催方式に変更し、実施しました。
▼特集3 研究力向上のための若手研究者への支援
  • 我が国における修士課程修了者の進学者数は、2000年から2020年で9,333人から6,961人へ2,372人減少し、進学率も16.7%から9.4%へ7.3ポイント減少しています。さらに、主要7か国の中では日本のみが人口100万人当たりの博士号取得者数の減少傾向が続いており、中長期的な我が国の国際競争力の低下が懸念されています。
  • 修士課程修了者が博士後期課程への進学を断念する主な要因としては、博士後期課程在籍中の経済的不安や、博士後期課程修了後のキャリアパスの不安などが挙げられており、調査結果においても、博士後期課程学生で生活費相当額(年額180万円以上)の支援を受けているのは全体の約1割となっていました
  • 若手研究者の雇用環境に関するデータとして、大学における40歳未満の本務教員比率は、1986年から2019年で17.2ポイント減少しています。さらに、任期なしの教員のうち40歳未満が占める割合は減少しており、若手研究者の安定したポストが減少しています。また、ポストドクターの任期については、3年未満の者も数多く存在し、短い任期がキャリア形成の阻害要因となっていること
  • 加えて、近年研究者の研究活動時間も減少傾向にあり、大学教員等の職務に占める研究・教育活動の割合は2002年から2018年で8.8ポイント減少するなど、若手研究者の研究環境は厳しい状況に置かれています
  • デジタルトランスフォーメーション(DX)やグローバル化の進展によって、我々の社会や価値観は世界的な規模で激しく変化しています。これからのSociety5.0時代においては、社会を担う人材に求められる能力が高度化・複雑化するのに伴い、博士号取得者の担う役割は科学技術・イノベーションにとどまらず、社会の様々な場面でさらに重要になっています。一方、我が国の企業役員等における博士号取得者の割合は他国に比べて低いなど、社会全体における博士人材の活躍は比較的低調であるとともに、博士後期課程修了後の将来的なキャリアパスへの不安などを理由に、志のある優秀な学生が博士後期課程への進学を断念するようなケースも生じています。博士後期課程学生はこれからの我が国を牽引する貴重な人材であり、多様なキャリアパスの実現と魅力ある博士後期課程を実現することが急務となっています。
  • そのため、文部科学省では、大学院の強みや特色を踏まえた人材養成に向け、社会のニーズに応える大学院教育の構築やジョブ型研究インターンシップの検討を行い、博士後期課程学生のキャリアパス拡大に取り組んできました。ジョブ型研究インターンシップは、先行的・試行的取組として令和3年度より開始します。あらゆるセクターを牽引する博士人材の育成を進め、その高度な専門的知識や幅広い能力等に対する社会的評価を適正なものにするとともに、研究開発現場等に適用能力の高いより実践的な人材を育成することで、アカデミアのみならず、産業界等へのキャリアパス拡大を促進し、安心して博士後期課程への進学を選択できる環境の実現を目指しています
  • 我が国の若手研究者を取り巻く環境の改善は着実に進みつつあるところですが、文部科学省では引き続き、これらの施策を活用しながら、若手研究者支援の強化に取り組んでいきます。また、大学ファンドの運用益を活用することにより、博士後期課程学生などの若手人材を、長期かつ安定的に支援するとともに、世界に比肩するレベルの研究開発を行う大学の共用施設やデータ連携基盤の整備を行うことを目標とし、研究者が、一人一人に内在する多様性に富む問題意識に基づき、その能力をいかんなく発揮し、課題解決へのあくなき挑戦を続けられる環境の実現を目指します。
  • このためには、まず優秀な若者が、将来の活躍の展望を描ける状況の下で、「知」の担い手として、安定した環境で博士後期課程に進学できる環境を確保していくことが必要です。
  • 具体的には、優秀な若手研究者が、時代の要請に応じた「知」のグローバルリーダーとして誇りを持ち、研究に打ち込む時間を十分に確保しながら、自らの人生を賭けるに値する価値を見出し、独立した研究者となるための挑戦に踏み出せるシステムの再構築が求められており、希望する全ての優秀な博士人材が、アカデミア、産業界、行政等の様々な分野において活躍する展望を描くことができる環境の実現を目指します。
  • なお、そのためには、アカデミアと産業界の双方の変革が求められます。すなわち、アカデミアにおいては、Society5.0を支えるにふさわしい、信頼できる博士人材を社会に対して輩出していくことに責任を持つため、さらなる大学院教育改革に取り組む必要があり、その際、博士後期課程学生を、安価な研究労働力ではなく「研究者」として適切に処遇するとともに、次代の社会を牽引する人材として育成していくことが求められます。またあわせて産業界においても、博士人材の高い能力や活躍の可能性を再認識し、博士人材の活躍が大学院教育の評価へとつながっていくような取組の推進が期待されます。
  • さらに、将来にわたり、研究者として日本の科学技術・イノベーションを担っていく優秀な人材を輩出していくために、科学技術関係人材の育成を初等中等教育段階から体系的に実施することも非常に重要です。例えば文部科学省においては、これまでも先進的な理数系教育を実施する高等学校等を「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定し、科学技術振興機構(JST)を通じて支援を行うことで、生徒の科学的な探究能力などを培い、将来の国際的な科学技術人材の育成を図ってきており、多数の優れた科学技術人材を卒業生として輩出してきました。
  • 今後も、児童生徒の自発的な「なぜ?」「どうして?」を引き出し、好奇心に基づいた学びを実現することで、試行錯誤しながら課題に立ち向かう「探究力」を育成していきます

~NEW~
厚生労働省 令和2年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況
▼結果の概要 事業所調査
  1. メンタルヘルス対策に関する事項
    1. メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者の状況
      • 過去1年間(令和元年11月1日から令和2年10月31日までの期間)にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は9.2%[平成30年調査 10.3%]となっている。
      • このうち、連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は7.8%[同 6.7%]、退職した労働者がいた事業所の割合は3.7%[同 5.8%]となっている。
      • また、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者の割合は0.4%[同 0.4%]、退職した労働者の割合は0.1%[同 0.2%]となっている。
    2. メンタルヘルス対策への取組状況
      • メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は61.4%[平成30年調査 59.2%]となっており、前回調査より2.2ポイント上昇した。
      • メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所について、取組内容(複数回答)をみると、「労働者のストレスの状況などについて調査票を用いて調査(ストレスチェック)」が62.7%[同 62.9%]と最も多く、次いで「職場環境等の評価及び改善(ストレスチェック後の集団(部、課など)ごとの分析を含む)」が55.5%[同 32.4%]となっている。
    3. ストレスチェック結果の活用状況
      • ストレスチェックを実施した事業所のうち、結果の集団(部、課など)ごとの分析を実施した事業所の割合は78.6%[平成30年調査 73.3%]であり、その分析結果を活用した事業所の割合は79.6%[同 80.3%]となっている。
  2. 化学物質のばく露防止対策に関する事項
    1. 化学物質を取り扱う際のリスクアセスメントの実施状況
      • 化学物質を取り扱っている(製造、譲渡・提供、使用)事業所の割合は 13.2%となっている。
      • 労働安全衛生法第 57 条の2に該当する化学物質を使用している事業所のうち、リスクアセスメントをすべて実施している事業所の割合は 68.5%、同条の事業所には該当しないが、危険有害性がある化学物質(労働安全衛生法第 28 条の2第1項の規定に基づいてリスクアセスメントを行うことが努力義務とされている化学物質)を使用している事業所のうち、リスクアセスメントをすべて実施している事業所の割合は 57.1%となっている。
    2. 化学物質を製造又は譲渡・提供する際の容器・包装へのGHSラベルの表示状況
      • 化学物質を製造又は譲渡・提供している事業所の割合は2.4%となっている。
      • 労働安全衛生法第57条に該当する化学物質を製造又は譲渡・提供している事業所のうち、すべての製品の容器・包装にGHSラベルを表示している事業所の割合は62.4%、同条の事業所には該当しないが、危険有害性がある化学物質(労働安全衛生規則第24条の14で譲渡・提供者に危険有害性の表示が努力義務とされている化学物質)を製造又は譲渡・提供している事業所のうち、すべての製品の容器・包装にGHSラベルを表示している事業所の割合は53.6%となっている。
    3. 化学物質を製造又は譲渡・提供する際の安全データシート(SDS)の交付状況
      • 労働安全衛生法第57条の2に該当する化学物質を製造又は譲渡・提供している事業所のうち、すべての製品に安全データシート(SDS)を交付している事業所の割合は71.5%、同条の事業所には該当しないが、危険有害性がある化学物質(労働安全衛生規則第24条の15で譲渡・提供者に危険有害性の通知が努力義務とされている化学物質)を製造又は譲渡・提供している事業所のうち、すべての製品に安全データシート(SDS)を交付している事業所の割合は62.2%となっている。
  3. 受動喫煙防止対策に関する事項
    • 事業所における禁煙・分煙状況について、屋外を含めた敷地内全体を全面禁煙にしている事業所の割合は30.0%[平成30年調査 13.7%]となっている。
    • 健康増進法における施設分類の種類別にみると、第一種施設(学校・病院など受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者が主として利用する施設)では「屋外を含めた敷地内全体を全面禁煙にしている」が63.1%、第二種施設(第一種施設及び喫煙目的施設以外の施設)では「屋内を全面禁煙として、屋外喫煙所を設置している」が49.2%とそれぞれ最も多くなっている。
    • 屋外を含めた敷地内全体を全面禁煙にしていない事業所について、受動喫煙を防止するための取組を進めている事業所の割合は54.1%となっている。
    • このうち、取組内容(複数回答)をみると、「受動喫煙を望まない者が加熱式たばこ喫煙専用室での業務や飲食を避けるよう配慮している」が27.2%、次いで「20歳以上の労働者に対する措置」のうち「業務用車両内での喫煙時における周知啓発」が27.0%となっている。
  4. 長時間労働者に対する取組に関する事項
    • 令和2年7月1日が含まれる1か月間の時間外・休日労働時間数が45時間超80時間以下の労働者がいた事業所の割合は16.3%[平成30年調査 25.0%]、80時間超の労働者がいた事業所の割合は2.5%[同 7.0%]となっている。
    • これらの長時間労働者がいた事業所のうち、面接指導の申し出があった長時間労働者に対する医師による面接指導の実施状況をみると、面接を実施した事業所の割合は、45時間超80時間以下の労働者がいた事業所は78.9%、80時間超の労働者がいた事業所は95.4%となっている。
  5. 高年齢労働者・外国人労働者に対する労働災害防止対策に関する事項
    1. 高年齢労働者に対する労働災害防止対策の状況
      • 60歳以上の高年齢労働者が従事している事業所の割合は74.6%となっており、このうち高年齢労働者に対する労働災害防止対策に取り組んでいる事業所の割合は81.4%となっている。
      • 取組内容(複数回答)別にみると、「本人の身体機能、体力等に応じ、従事する業務、就業場所等を変更」が45.7%、「作業前に体調不良等の異常がないかを確認」が38.7%となっている。
    2. 外国人労働者に対する労働災害防止対策の状況
      • 外国人労働者が従事している事業所の割合は14.4%となっており、このうち外国人労働者に対する労働災害防止対策に取り組んでいる事業所の割合は89.8%となっている。
      • 取組内容(複数回答)別にみると、「定期的に必要な健康診断を受診させている」が62.3%、「外国人労働者にわかる言語で説明するなど、作業手順を理解させている」が49.8%となっている。

~NEW~
経済産業省 「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックver1.1」を策定しました
▼「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックver1.1概要」
  • 国際動向(EU・米国の動き):プライバシーの企業価値への影響の高まり
    • EUではGDPRにより基本的人権の観点から、米国ではFTC法(第5条)により消費者保護の観点から、多額の罰金や制裁金の執行がなされ、経営者がプライバシー問題を経営上の問題として取り扱うことが認識されている。
    • GDPRにおいては、独立したDPO(Data Protection Officer)の設置など、企業に求められる体制も位置づけられている。
    • そのような環境下で、プライバシーを経営戦略の一環として捉え、プライバシー問題に適切に対応することで、社会的に信頼を得て、企業価値向上につなげている企業も現れている。
  • 国内動向:グローバルで活躍する国内企業の動き、個人情報保護法制度改正大綱への対応>
    • 国際的なデータ流通により経済成長を目指すDFFTを実現する観点からも、セキュリティやプライバシーの確保を通じた、人々や企業間の信頼が必要とされている。海外で求められるレベルへの目配せが国内企業にも必要となってきている。
    • 個人情報保護法制度改正大綱でも、特にデジタル技術を活用した分野においては、民間主導の取組の更なる推進が必要としている。その一環で、個人データの取扱いに関する責任者の設置やPIAの実施などの自主的取組が推奨されている。
  • 昨今ビジネスモデルの変革や技術革新が著しく、イノベーションの中心的役割を担うDX企業は、イノベーションから生じる様々なリスクの低減を、自ら図っていかなければならない。
  • プライバシーに関する問題について、個人情報保護法を遵守しているか否か(コンプライアンス)の点を中心に検討されることが多かった。しかし法令を遵守していても、本人への差別、不利益、不安を与えるとの点から、批判を避けきれず炎上し、企業の存続に関わるような問題として顕在化するケースも見られる。
  • 企業は、プライバシーに関する問題について能動的に対応し、消費者やステークホルダーに対して、積極的に説明責任を果たし、社会からの信頼を獲得することが必要である。経営者は、プライバシー問題の向き合い方について、経営戦略として捉えることで、企業価値向上につながるといえる。
  • 経営者が取り組むべき3要件
    • 要件1:プライバシーガバナンスに係る姿勢の明文化
      • 経営戦略上の重要課題として、プライバシーに係る基本的考え方や姿勢を明文化し、組織内外へ知らしめる。経営者には、明文化した内容に基づいた実施についてアカウンタビリティを確保することが求められる。
    • 要件2:プライバシー保護責任者の指名
      • 組織全体のプライバシー問題への対応の責任者を指名し、権限と責任の両方を与える。
    • 要件3:プライバシーへの取組に対するリソースの投入
      • 必要十分な経営資源(ヒト・モノ・カネ)を漸次投入し、体制の構築、人材の配置・育成・確保等を行う。
  • プライバシーガバナンスの重要項目
    1. 体制の構築(内部統制、プライバシー保護組織の設置、社外有識者との連携)
    2. 運用ルールの策定と周知(運用を徹底するためのルールを策定、組織内への周知)
    3. 企業内のプライバシーに係る文化の醸成(個々の従業員がプライバシー意識を持つよう企業文化を醸成)
    4. 消費者とのコミュニケーション(組織の取組について普及・広報、消費者と継続的にコミュニケーション)
    5. その他のステークホルダーとのコミュニケーション(ビジネスパートナー、グループ企業等、投資家・株主、行政機関、業界団体、従業員等とのコミュニケーション)
  • プライバシーガバナンスに係る取組の例
    • プライバシーガバナンスに係る姿勢の明文化
      • 企業がそれぞれの企業理念の下、イノベーションによる価値創出を目指していく中で、組織として一貫した姿勢で、消費者のプライバシーを守っていくことが、商品やサービスの品質を向上させ、消費者や社会からの信頼を獲得することにつながる。そして、企業価値を高めることとなる。
      • このことを経営者はこれからの経営上の重要事項の1つと認識し、組織の一貫した対応を可能とするプライバシー保護の軸となる基本的な考え方や、プライバシーリスクに能動的に対応していく姿勢を、明文化し、組織内外に知らしめることが必要である。
      • 明文化の具体的な形としては、宣言の形をとったプライバシーステートメントや、組織全体での行動原則を策定するケースもある。
      • また、プライバシー保護の軸となる基本的な考え方やプライバシーリスクに能動的に対応していく姿勢をトップダウンで浸透させることで、組織全体にプライバシー問題への認識を根付かせることができる。また、組織内部に限らず、消費者やステークホルダー(株主、取引先等)など組織外に対しても公表することで、信頼を高める根拠となる。経営者には、明文化した内容に基づいてプライバシー問題への取組を実施することへのアカウンタビリティを確保することが求められる。
    • 体制の構築
      • プライバシーガバナンスを機能させるには、各部門の情報を集約し、事業におけるプライバシー問題を見つけるとともに、対象となる事業の目的の実現とプライバシーリスクマネジメントを可能な限り両立させるために、対応策を多角的に検討することが必要となる。上記を実現するため、指名されたプライバシー保護責任者を中心として、中核となる組織を企業内に設けることが望ましいと考えられる。
    • 消費者とのコミュニケーション(消費者との継続的なコミュニケーション)
      • 定期的なレポートだけではなく、新たな消費者へ向けた機能追加や利用規約等の改訂のタイミング等では、どのようにサービスやプライバシーリスクに係る対応が改善したのか、迅速に、分かりやすくWebサイト等でお知らせすることで、消費者も迅速に情報を得ることができ、サービスへの信頼につながる。
      • 情報更新時には、利用者へプッシュ通知でお知らせをしたり、プライバシー設定についてあまり関心を払っていない利用者に対しては確認や見直しを働きかける案内を通知するなど、企業から消費者へ、継続的に、積極的なアプローチをすることが大切である。
      • プライバシーは変化しうるものという特徴を踏まえ、消費者の意識について、各種消費者との接点から、把握できるよう努める必要がある。
      • 特にデータ分析を主な事業とする企業などは、日頃対面で消費者と接する事業会社との協業に当たって、自らもプライバシー保護の知見を高める必要があり、継続的にプライバシー問題に関わる意識調査等を行い、社会受容性などについて把握することも一つの方法である。その際には、調査実施自体で満足することなく、意識調査等の結果を自社の取組へ反映させていくことが重要である。
  • プライバシー・バイ・デザイン、プライバシー影響評価(PIA)
    • 基本的なプライバシー保護の考え方として、参照できるグローバルスタンダードの1つに、プライバシー・バイ・デザインというコンセプトがある。これは、ビジネスや組織の中でプライバシー問題が発生する都度、対処療法的に対応を考えるのではなく、あらかじめプライバシーを保護する仕組みをビジネスモデルや技術、組織の構築の最初の段階で組み込むべきであるという考え方である。
    • プライバシー影響評価(PIA)とは、個人情報及びプライバシーに係るリスク分析、評価、対応検討を行う手法である。なおISO/IEC 29134:2017では、PIAの実施プロセス及びPIA報告書の構成と内容についてのガイドラインを提供している。今後、JIS規格も発行される見込みである。
    • 個人情報保護法改正大綱でも「民間の自主的な取組を促進するため、委員会としても、PIAに関する事例集の作成や表彰制度の創設など、今後、その方策を検討していくこととする」と記載がある。

~NEW~
国土交通省 静岡県熱海市における土石流災害からの早期復旧に向け国直轄施工による緊急的な砂防工事を実施
  • 令和3年7月1日からの大雨により、静岡県熱海市伊豆山逢初川で発生した土石流は、上流部の幅約100m、長さ約100mの斜面崩壊を発生源として、約2km流下し、約130棟の建物等に被害を与えました。
  • 渓流内に堆積した不安定土砂が、今後の降雨により二次災害が発生するおそれが極めて高い状況にあります。
  • 二次災害の防止、地域の方々の生活再建の支援のため、速やかな復旧には無人化施工等の高度な技術を必要とすることなどから、7月15日(木)の静岡県知事からの要請を受け、国直轄施工による緊急的な砂防工事を実施します。
  • 実施箇所 二級河川逢初川水系逢初川(静岡県熱海市伊豆山)
  • 内容 土石流対策(既設砂防堰堤の除石 砂防堰堤の新設 等)
  • 開始日 令和3年7月20日(火)

~NEW~
警察庁 令和3年警察白書
▼概要版
  • 今後の大規模災害を見据えた更なる取組の強化
    1. 全国警察の機動的展開能力の向上
      • 全国の警察力を被災地へ迅速に展開し、救出救助活動を行うための取組を強化するため、令和3年2月、警察用航空機を災害対応における警察機動力の中核として位置付け、機動隊を中心とする救出救助部隊との連携の下、その能力を最大限発揮させることを目的とした制度改正を行った。あわせて、全国警察の航空隊を警備部門に移管し、災害対処等における指揮系統を統合することにより、救出救助部隊との連携強化や災害発生時を想定した訓練の充実をより一層推進することとした。
    2. ICT等先端技術の活用による部隊指揮・運用能力等の向上
      • 警察では、ICTをはじめとする先端技術を最大限活用し、部隊指揮・運用を効率的に行うための取組を強化しており、例えば、警察用航空機にJAXAが開発した「災害救援航空機情報共有ネットワークシステム(D-NET)」システムを導入し、災害発生時に、警察用航空機に指示等を瞬時に伝達するなど、各部隊への任務付与を最適化している。
    3. 危機管理体制の不断の見直し
      • 警察では、これまで実施してきた災害対策のための取組を更に強化するだけではなく、災害や防災に関する新たな知見を踏まえ、これまでの取組を不断に見直していくほか、災害に関する危機管理体制の点検及び構築を日頃から継続的に推進していくことで、今後発生が懸念されるあらゆる大規模災害を見据え、災害対処能力を一層向上していくこととしている。
  • サイバー空間の脅威をめぐる情勢
    • 近年、サイバー犯罪・サイバー攻撃はその手口を深刻化・巧妙化させつつ多数発生しており、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢となっている。
  • サイバー犯罪の情勢
    • 令和2年(2020年)中のサイバー犯罪の情勢
      • 令和2年中の警察によるサイバー犯罪の検挙件数は、過去最多となった。また、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数・被害額も、引き続き高水準で推移している。これらの被害の多くは、金融機関を装ったフィッシングによるものと考えられる。このほか、スマートフォン決済サービスの不正振替事案や、いわゆる「SMS認証代行」(注)を用いて不正にアカウントを取得させる事案が確認されている。
    • 新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー
      • 新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー犯罪であると疑われる事案として、令和2年中に都道府県警察から警察庁に報告のあった件数は887件であった。
    • サイバー犯罪の検挙状況
      • 令和2年中の不正アクセス禁止法違反の検挙件数は609件と、前年より207件(25.4%)減少し、コンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数は563件と、前年より127件(29.1%)増加した。サイバー犯罪の検挙件数は増加傾向にあり、令和2年中は9,875件と、前年より356件(3.7%)増加した。
    • インターネットバンキングに係る不正送金事犯の状況
      • 令和2年におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯の被害額は前年に比べて大幅に減少したものの、発生件数はやや減少という状況であり、引き続き高水準で推移している。その被害の多くは、フィッシングによるものと考えられるが、コンピュータ等に感染した不正プログラム「Emotet」が、インターネットバンキングの情報窃取等を目的とした別の不正プログラムを、感染した端末にダウンロードし、ID・パスワード等を窃取したと疑われるものが確認されている。
    • キャッシュレス決済サービスをめぐるサイバー犯罪の状況
      • キャッシュレス決済の普及が進む中、スマートフォン決済サービスと銀行口座の連携時における本人確認方法のぜい弱性を悪用した事例や、サービス利用時の本人認証として広く用いられているSMS認証を不正に代行し、第三者に不正にアカウントを取得させる事例等が発生している。
  • サイバー攻撃の情勢
    • サイバーテロやサイバーインテリジェンス(サイバーエスピオナージ)といったサイバー攻撃は世界的規模で発生しており、令和2年中は、ソフトウェアやシステムのぜい弱性を悪用した攻撃や、標的型メール攻撃を通じて不正プログラムに感染させるなどの事案が多数発生した。こうした事案の中には国家の関与が疑われるものもみられるなど、国内外でサイバー攻撃が激しさを増している。
    • また、警察庁が国内で検知した、サイバー空間における探索行為等とみられるアクセスの件数についても増加の一途を辿っており、サイバー攻撃の準備行為とみられる活動が広がりをみせている状況がうかがわれる。
      1. 新型コロナウイルス感染症に関連したサイバー攻撃の情勢
        • 新型コロナウイルス感染症に関連した特徴的なサイバー攻撃としては、国内外で医療機関や研究機関等に対する攻撃が確認されている。
        • また、標的型メール攻撃についても、新型コロナウイルス感染症に関連しただまし文句を用いる事例が報告されているほか、テレワークに用いるオンライン会議システム等のぜい弱性を悪用したとみられる事例も確認されている。
        • 一部の事業者においては、十分なセキュリティ上の措置が講じられていないシステムや端末が用いられていたり、テレワーク等によりシステム監視の体制がぜい弱となり社内システムに対するサイバー攻撃被害への対応が遅れたりするなどの状況が生じているものとみられる。
      2. 警察のアトリビューションにより国家レベルの関与を明らかにしたサイバー攻撃事案
        • 中国共産党員の男(30代)は、平成28年9月から平成29年4月までの間、合計5回にわたり、住所、氏名等の情報を偽って日本のレンタルサーバの契約に必要な会員登録を行った。警視庁公安部は、令和3年4月、同男を私電磁的記録不正作出罪・同供用罪で検挙した。
        • 本事件の捜査を通じ、警察では、同男が不正に契約したレンタルサーバがJAXAに対するサイバー攻撃に悪用されたこと、同一の攻撃者が関与している可能性が高いサイバー攻撃が約200の国内企業等に対して実行されたことを把握し、被害企業等に対して個別に注意喚起を実施した。また、これらのサイバー攻撃がTickと呼ばれるサイバー攻撃集団によって実行されたものであり、このTickの背景組織として山東省青島市を拠点とする中国人民解放軍第61419部隊が関与している可能性が高いと結論付けるに至った。
  • サイバー犯罪への対策
    1. 不正アクセス対策
      • 警察では、不正アクセス行為の犯行手口の分析に基づき、関係機関等とも連携し、広報啓発等の不正アクセスを防止するための取組を実施している。
    2. インターネットバンキングに係る不正送金事犯への対策
      • 警察では、手口が巧妙化しているインターネットバンキングに係る不正送金事犯に対し、早期の実態解明と必要な取締りを推進しているほか、効果的な広報啓発、ウイルス対策ソフト事業者等に対するフィッシングサイト情報の迅速な共有等を行っている。
    3. キャッシュレス決済サービスをめぐるサイバー犯罪への対策
      • 警察庁では、身に覚えのないスマートフォン決済サービスを通じて銀行口座から不正に出金される手口に関し、金融庁等と連携し、警察庁ウェブサイト等で被害防止のための注意喚起を実施したほか、金融機関等に対し、犯罪捜査の過程で判明した手口等について情報提供するとともに、それらを踏まえた被害防止対策の強化について要請した。
    4. インターネット上の違法情報・有害情報対策
      • 警察庁では、違法情報、自殺誘引等情報等に関する通報を受理し、サイト管理者への削除依頼等を行うインターネット・ホットラインセンター(IHC)を運用している。また、効率的な違法情報の取締り及び有害情報を端緒とした取締りを推進し、合理的な理由もなく違法情報の削除依頼に応じないサイト管理者については、検挙を含む積極的な措置を講じている。
    5. サイバー犯罪捜査における犯人の事後追跡上の課題
      • サイバー犯罪捜査における犯人の事後追跡可能性について調査したところ、右図のとおりであった。
      • こうした課題に対処するため、警察では、関係事業者等に対し、総務省の「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」を踏まえた通信履歴の適切な保存、適切な本人確認・認証等の実施を要請している。
    6. 日本サイバー犯罪対策センターとの連携
      • 警察では、捜査関連情報等を一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3)において共有し、サイバーセキュリティに関する取組に貢献するとともに、JC3において共有された情報を警察活動に迅速・的確に活用している。
      • 警察庁では、JC3と連携して、犯行手口等から犯行グループを分類し、各犯行グループの詳細な分析により、犯罪の実態解明を進めている。
  • サイバー攻撃への対策
    • 警察庁及び各都道府県警察では、サイバー攻撃対策を担当する組織を設置しているほか、関係機関等と連携し、サイバー攻撃の実態解明や被害の未然防止等を推進している。
    • 警察では、各都道府県警察、重要インフラ事業者等とで構成するサイバーテロ対策協議会を全ての都道府県に設置し、サイバー攻撃の脅威や情報セキュリティに関する情報提供のほか、サイバー攻撃の発生を想定した共同対処訓練等を行っている。また、先端技術を有する事業者等との間や、ウイルス対策ソフト提供事業者等とで構成する協議会において情報共有等を行っている。
  • 技術支援と解析能力の向上
    1. サイバー攻撃対策におけるサイバーフォースの役割
      • 警察では、警察庁及び全国の情報通信部に都道府県警察のサイバー攻撃対策部門へ技術的な面から支援を行う部隊であるサイバーフォースを設置している。
      • さらに、警察庁のサイバーフォースセンターは、全国のサイバーフォースの司令塔の役割を担っており、全国のサイバーフォースに対する指示等を行っている。
    2. サイバー攻撃の予兆・実態等の把握
      • サイバーフォースセンターでは、リアルタイム検知ネットワークシステムを運用し、24時間体制でサイバー攻撃の予兆・実態等を把握し、分析結果を重要インフラ事業者等へ情報提供しているほか、広く一般に公開している。
      • 令和2年中、同システムの一つのセンサー当たり約13.3秒に1回という高い頻度で世界中から不審なアクセスが行われていることを観測した。
    3. サイバー攻撃への対処のための不正プログラムの解析
      • サイバーフォースセンターでは、不正プログラムの動作解析や不正プログラム解析の高度化・効率化に取り組んでおり、特に、産業制御システムに対するサイバー攻撃への対処能力の強化を図るため、大規模産業型制御システム模擬装置を整備し、実際に不正プログラムを実行させ、その動作を検証することなどにより、事案発生時に迅速な原因特定・対処ができるようにしている。
  • 国際連携の推進
    • 警察庁では、サイバー犯罪条約、刑事共助条約(協定)、ICPO、サイバー犯罪に関する24時間コンタクトポイント等の国際捜査共助の枠組みを活用し、国境を越えて行われるサイバー犯罪・サイバー攻撃に対処している。また、警察庁では、多国間における情報交換や協力関係の確立等に積極的に取り組んでいる。
  • 警察におけるサイバーセキュリティ戦略及び人材育成の推進
    • 警察では、「警察におけるサイバーセキュリティ戦略」に基づき、組織基盤の更なる強化を図るなど、総合力を発揮した効果的な対策を推進している。
    • また、サイバー空間の脅威への対処のための人的基盤を強化するため、警察では、職員の採用・登用、教育・研修、キャリアパスの管理等を部門横断的かつ体系的に実施している。
  • 今後の取組
    • 近年、新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー犯罪の発生や「Emotet」のような感染力の強い特徴的な不正プログラムの出現など、日々新たな手口のサイバー犯罪が登場しているほか、国内防衛関連企業等から機密情報が流出した可能性のあるサイバー攻撃事案が発生するなど、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢となっている。
    • その一方で、サイバー空間は国民の日常生活の一部として重要な社会経済活動が営まれる公共空間へと変貌を遂げており、サイバー空間の安全安心の確保は、国民にとって安全安心なデジタル社会の実現のためにこれまで以上に重要かつ必要不可欠なものとなると考えられる。
    • 警察では、これまでもサイバー犯罪・サイバー攻撃の取締り、不正プログラムの解析をはじめとした情報解析技術の活用、外国捜査機関等との連携等、サイバー空間の脅威への対策を講じてきたところである。
    • 今後、デジタル社会が進展し、サイバー空間の役割が拡大していく中、国民の安全安心な暮らしを守る責務を担う警察は、サイバー空間の安全安心の確保に向けた取組においても、これまで以上に中心的な役割を果たすことが求められている。
    • 警察庁では、サイバー空間の脅威が極めて深刻な情勢にあること、包括的なサイバーセキュリティ対策の必要性等についてサイバーセキュリティ政策会議から提言を受けたことなどを踏まえ、サイバー犯罪・サイバー攻撃への対処能力の向上を図るため、警察の組織体制の在り方等について必要な検討を行っている。今後、令和4年度を目途とした警察組織の見直しも視野に入れた上で、令和3年度末までに一定の方向性を示すこととしている。
  • 組織的に敢行される特殊詐欺に対する警察の取組
    1. 特殊詐欺の特徴
      • 特殊詐欺の犯行グループは、中枢被疑者の下、「受け子」及び「出し子」と呼ばれる現場実行犯のほかに、被害金等の回収・運搬役等が役割を分担し、組織的に特殊詐欺を敢行している。また、各役割にある者は、お互いの素性を明かさず連絡の痕跡を残さないようにするなど、徹底した秘匿工作を行っている。
    2. 暴力団等の関与実態と効果的な取締り等の推進
      • 特殊詐欺の検挙人員のうち、暴力団構成員等の人数は、近年は減少しているものの、その割合は、刑法犯・特別法犯総検挙人員に占める暴力団構成員等の割合と比較して、依然として高い割合となっている。
      • 警察では、各部門が連携した多角的な取締りを推進するとともに、こうした犯罪者グループ等の活動実態や特殊詐欺事件への関与状況等の解明を推進している。
    3. 指定暴力団の代表者等に対する損害賠償請求訴訟の支援
      • 暴力団対策法では、指定暴力団の代表者等は、当該指定暴力団の指定暴力団員が威力利用資金獲得行為により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負うと規定しており、警察では、特殊詐欺事件の被害者の被害回復に資するため、指定暴力団の代表者等に対する損害賠償請求訴訟に関して、積極的な支援を行っている。
  • 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた諸対策
    1. 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の情勢
      • 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「2020年東京大会」という。)は、国際的にも最高度の注目を集めて開催される行事であり、その安全かつ円滑な開催に向けて、情報収集・分析、警戒警備、交通対策等の諸対策に警察の総力を挙げて取り組む必要がある。
    2. 警察における諸対策
      • 警察では、様々な課題に対し関係省庁と連携して取り組み、関係機関、民間事業者等と連携したテロ対処訓練の充実等、官民一体となったテロ対策を深化させているほか、2020年東京大会をめぐるサイバー攻撃及び攻撃者に関する情報収集・分析等を推進するとともに、大会期間中におけるサイバー攻撃の発生を想定した共同対処訓練を実施している。
      • また、大会関係者等の安全かつ円滑な輸送と都市活動の安定を両立させる観点から、関係機関・団体等と連携しながら、高速道路における本線料金所での開放レーン数の制限等の各種交通対策に取り組むこととしている。
▼本文 第3章 組織犯罪対策
  • 暴力団犯罪の取締り
    • 検挙状況
      • 暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者(以下「暴力団構成員等」という。)の検挙人員は、近年減少傾向にある。暴力団構成員等の総検挙人員のうち、覚醒剤取締法違反、恐喝、賭博及びノミ行為等(以下「伝統的資金獲得犯罪」という。)の検挙人員が占める割合は3割程度で推移しており、特に覚醒剤取締法違反の割合が大きく、依然として覚醒剤が暴力団の有力な資金源となっているといえる。他方、平成2年以降の検挙人員の罪種別割合をみると恐喝、賭博及びノミ行為等の割合が減少しているのに対し、詐欺の検挙人員が占める割合が増加傾向にあるなど、暴力団が資金獲得活動を変化させている状況もうかがわれる
    • 対立抗争事件等の発生
      • 暴力団は、組織の継承等をめぐって銃器を用いた対立抗争事件を引き起こしたり、自らの意に沿わない事業者を対象とする、報復・見せしめ目的の襲撃等事件を敢行したりするなど、自己の目的を遂げるためには手段を選ばない凶悪性がみられる。
      • 近年の対立抗争事件、暴力団等によるとみられる事業者襲撃等事件等の発生状況は、図表3-5のとおりである。これらの事件の中には、銃器が使用されたものもあり、市民生活に対する大きな脅威となるものであることから、警察においては、重点的な取締りを推進している
    • 資金獲得犯罪
      • 暴力団は、覚醒剤の密売、繁華街における飲食店等からのみかじめ料の徴収、企業や行政機関を対象とした恐喝・強要のほか、強盗、窃盗、特殊詐欺、各種公的給付制度を悪用した詐欺等、時代の変化に応じて様々な資金獲得犯罪を行っている。
      • また、暴力団は、実質的にその経営に関与している暴力団関係企業を利用し、又は共生者と結託するなどして、その実態を隠蔽しながら、一般の経済取引を装った貸金業法違反、労働者派遣法違反等の資金獲得犯罪を行っている。
      • 警察では、巧妙化・不透明化する暴力団の資金獲得活動に関する情報を収集・分析するとともに、社会経済情勢の変化に応じた暴力団の資金獲得活動の動向にも留意しつつ、暴力団や共生者等に対する取締りを推進している
  • 地方公共団体における暴力団排除に関する条例の運用
    • 各都道府県は、地方公共団体、住民、事業者等が連携・協力して暴力団排除に取り組む旨を定め、暴力団排除に関する基本的な施策、青少年に対する暴力団からの悪影響排除のための措置、暴力団の利益になるような行為の禁止等を主な内容とする暴力団排除に関する条例の運用に努めている。
    • 各都道府県では、条例に基づき、暴力団の威力を利用する目的で財産上の利益の供与をしてはならない旨の勧告等を実施している。令和2年中における実施件数は、勧告が54件、指導が6件、説明等の要求を拒んだことによる公表が1件、中止命令が10件、再発防止命令が2件、検挙が33件となっている
  • 暴力団員の社会復帰対策の推進
    • 暴力団を壊滅するためには、構成員を一人でも多く暴力団から離脱させ、その社会復帰を促すことが重要である。警察庁では、平成29年に閣議決定された「再犯防止推進計画」等に基づき、関係機関・団体と連携して、暴力団関係者に対する暴力団からの離脱に向けた働き掛けの充実を図るとともに、構成員の離脱・就労、社会復帰等に必要な社会環境及びフォローアップ体制の充実に関する効果的な施策を推進している。
    • 社会復帰アドバイザー:警察では、暴力団から離脱した者及び離脱する意志を有する者の円滑な就労を支援するため、暴力団からの円滑な離脱や離脱希望者の生活環境の調整改善等について知識や経験を有する元警察職員を社会復帰アドバイザーに任命しており、暴力団員の社会復帰対策の様々な場面で活躍している
    • 警察の支援による暴力団からの離脱者が、就労支援を希望したことから、社会復帰対策協議会において受入れ企業を選定し、社会復帰アドバイザーによる採用面接の同行等の支援を行った。令和2年10月、同人は希望する企業に就労した。
  • 準暴力団等の動向と警察の取組
    1. 準暴力団等の動向と特徴
      • 暴走族の元構成員等を中心とする集団に属する者が、繁華街・歓楽街等において、集団的又は常習的に暴行、傷害等を敢行している例がみられるほか、特殊詐欺や組織窃盗等の違法な資金獲得活動を活発化させている。こうした集団の中には、暴力団のような明確な組織構造は有しないが、犯罪組織との密接な関係がうかがわれるものも存在しており、警察では、こうした集団を暴力団に準ずる集団として「準暴力団」と位置付けている。
      • 準暴力団等は、犯罪ごとにメンバーが離合集散を繰り返すなど、そのつながりが流動的である点で、明確な組織構造を特徴とする暴力団と異なる。準暴力団等には、暴走族の元構成員や地下格闘技団体の元選手等を中核とするものがみられるほか、暴力団構成員や元暴力団構成員がメンバーとなっている場合もある。
      • 準暴力団等の中には、特殊詐欺や組織窃盗等の違法な資金獲得活動によって蓄えた資金を、更なる違法活動や自らの風俗営業等の事業資金に充てるなど、活発な資金獲得活動を行っていることがうかがわれる集団が数多くみられる。また、資金の一部を暴力団に上納するなど、暴力団と関係を持つ実態も認められるほか、暴力団構成員が準暴力団等と共謀して犯罪を行っている事例もあり、このような準暴力団等の中には、暴力団と準暴力団等との結節点の役割を果たす者が存在するとみられる。
    2. 警察の取組
      • 警察では、準暴力団等の動向を踏まえ、繁華街・歓楽街対策、特殊詐欺対策、組織窃盗対策、暴走族対策、少年非行対策等の関係部門間における連携を強化し、準暴力団等に係る事案を把握等した場合の情報共有を行い、部門の垣根を越えた実態解明の徹底に加え、あらゆる法令を駆使した取締りの強化に努めている
  • 暴力団による薬物事犯
    • 令和2年中の暴力団構成員等による薬物事犯の検挙人員は4,387人と、前年より189人(4.1%)減少した。このうち、覚醒剤事犯の検挙人員は3,577人と、前年より161人(4.3%)減少したものの、覚醒剤事犯の総検挙人員の42.2%を占めていることから、依然として覚醒剤事犯に暴力団が深く関与していることがうかがわれる。また、暴力団構成員等による大麻事犯の検挙人員は751人と、総検挙人員の14.9%を占めており、前年より29人(3.7%)減少したものの、大麻栽培事犯の検挙人員は46人と前年より4人(9.5%)増加していることなどから、暴力団が大麻事犯への関与を強めていることがうかがわれる。
  • 来日外国人による薬物事犯
    • 令和2年中の来日外国人による薬物事犯の検挙人員は525人と、前年より224人(29.9%)減少した。このうち、覚醒剤の営利目的輸入事犯の検挙人員は50人であり、国籍・地域別でみると、ベトナム及び香港の比率が高く、合わせて全体の48.0%を占めている。また、令和2年中の来日外国人による覚醒剤の密売関連事犯(注)の検挙人員は18人と、前年より15人(45.5%)減少した。国籍・地域別でみると、ベトナム及びブラジルの比率が高く、合わせて全体の55.6%を占めている。
  • 薬物密輸入事犯の検挙状況
    • 令和2年中の薬物密輸入事犯の検挙件数は218件と、前年より245件(52.9%)減少し、検挙人員は235人と、前年より263人(52.8%)減少した。
    • 覚醒剤密輸入事犯の検挙状況の推移は、図表3-9のとおりである。令和2年中は、薬物密輸入事犯の検挙件数・検挙人員が前年に比べ大幅に減少したが、薬物事犯全体の検挙状況に大幅な変動はみられず、薬物に対する根強い需要が存在しているものと考えられる
  • 薬物事犯別の検挙状況
    • 覚醒剤事犯
      • 令和2年中、覚醒剤事犯の検挙人員は前年より減少したが、全薬物事犯の検挙人員の60.2%を占めている。また、押収量は437.2キログラムと、前年より1,855.9キログラム減少した。
      • 覚醒剤事犯の特徴としては、検挙人員のうち約4割を暴力団構成員等が占めていることのほか、30歳代以上の検挙人員が多いことや、他の薬物事犯と比べて再犯者の占める割合が高いことが挙げられる。
    • 大麻事犯
      • 大麻事犯の検挙人員は7年連続で増加し過去最多となっており、覚醒剤事犯に次いで検挙人員の多い薬物事犯である。近年では、面識のない者同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら大麻の売買を行う例もみられる。大麻事犯の特徴としては、他の薬物事犯と比べて、検挙人員のうち初犯者や20歳代以下の若年層の占める割合が高いことが挙げられる
  • 疑わしい取引の届出
    • 犯罪収益移転防止法に定める疑わしい取引の届出制度により特定事業者がそれぞれの所管行政庁に届け出た情報は、国家公安委員会が集約して整理・分析を行った後、都道府県警察、検察庁をはじめとする捜査機関等に提供され、各捜査機関等において、マネー・ローンダリング事犯の捜査等に活用されている。
    • 疑わしい取引の届出の年間受理件数は、図表3-21のとおりであり、おおむね増加傾向にある
  • マネー・ローンダリング関連事犯の検挙状況
    • マネー・ローンダリングとは、一般に犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為である。我が国では、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法において、マネー・ローンダリングが罪として規定されている。
    • マネー・ローンダリング事犯の検挙件数は、令和2年中は600件(前年比63件(11.7%)増加)であった。前提犯罪別にみると、主要なものとしては窃盗に係るものが227件、詐欺に係るものが194件、電子計算機使用詐欺に係るものが73件、ヤミ金融事犯に係るものが28件となっている。
    • 令和2年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙件数のうち、暴力団構成員等が関与したものは58件で、全体の9.7%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが15件、ヤミ金融事犯に係るものが11件、賭博事犯に係るものが10件、窃盗に係るものが9件あり、暴力団構成員等が多様な犯罪に関与し、マネー・ローンダリング事犯を敢行している実態がうかがわれる。
    • また、令和2年中における来日外国人が関与したマネー・ローンダリング事犯は79件で、全体の13.3%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが34件、窃盗に係るものが23件、入管法違反に係るものが8件、電子計算機使用詐欺に係るものが6件あり、日本国内に開設された他人名義の口座を利用したり、偽名で盗品等を売却するなど、様々な手口を使ってマネー・ローンダリング事犯を行っている実態がうかがわれる。

~NEW~
警察庁 中国政府を背景に持つAPT40といわれるサイバー攻撃グループによるサイバー攻撃等について(注意喚起)

~NEW~
首相官邸 政府与党連絡会議
  • 静岡県熱海市の大規模な土石流では、依然として10名の方々が行方不明となっており、現場では、警察、消防、自衛隊、海上保安庁などが、引き続き、懸命に捜索に当たっております。先週、私自身、被災現場を訪れ、土石流の激しさを実感し、また、避難所では、被災者の方のお話を直接お伺いいたしました。行方不明者の捜索やライフラインの復旧を全力で進め、併せて、住民や事業者の皆さんが、前を向いて生活や生業(なりわい)を再建できるよう、政府与党が一体となって取り組んでいきたいと思います。また、毎年のように大雨災害をもたらしている線状降水帯の発生を予測するため、観測の強化や技術開発を思い切って前倒しで進めて、被害の軽減に努めていきたいと思っています。
  • 新型コロナの新規感染者は、東京を中心とする首都圏などにおいて増加が続いています。各自治体と緊密に連携し、感染対策を徹底しながら、ワクチン接種を進めております。酒類提供の停止に関する要請は撤回いたしましたが、飲食店や酒類の販売事業者の皆さんに不安や混乱を生じさせてしまいました。大変申し訳ないことであり、内閣全体として、今後こうしたことのないよう、気を付けていきたいと思います。また、支給の遅れが指摘されていた協力金についても、早期給付の仕組みを導入したところであり、飲食店の皆様に営業時間短縮等の要請に御協力いただけるよう、努めてまいりたいと思います。
  • ワクチンについては、総接種回数は7,000万回を超え、高齢者の8割を超える方々が1回、6割近くの方が2回の接種を終えています。そうした中で、東京では、一時は20パーセントを超えていた新規感染者に占める高齢者の割合が、4パーセント前後まで低下しており、感染者数が増加する中にあっても、重症者数は横ばいで推移しています。予想を上回るペースで接種が進む中で、今後のワクチン供給に不安が生じ、新規の予約停止など、御迷惑をお掛けしましたが、今後も、1日20万回程度の職域接種以外に、自治体においては、1日当たり120万回程度のペースで接種できるワクチンを配分していく予定であります。引き続き、ワクチンの配分のめどを速やかに自治体に共有し、緊密に連携しながら、一人でも多くの方に、一日も早く接種いただけるよう全力を尽くします。そして、10月から11月には完了させることをめどに、その中でできるだけ早く進めてまいります。
  • 東京オリンピックの開幕まで3日となりました。国民の命と健康を守ることを最優先に、海外から入国する選手・大会関係者への水際対策や入国後の検査や行動管理など、感染対策を徹底して行い、併せて、テロ対策を含めたセキュリティ対策に全力を尽くしてまいります。安全・安心な大会の実現に向けて、最後まで高い緊張感を持って取り組んでまいります。皆さんの御理解と御協力をお願いします。
  • 感染防止とワクチン接種の加速化に全力で取り組み、一日も早く安心の日常を取り戻すことができるように、ポストコロナに向けて力強い経済を作り上げていく、そのために、与党の皆様と力を合わせ、全力を尽くしてまいりたいと思います。引き続きの御協力をよろしくお願い申し上げます。

~NEW~
首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策の進捗に関する関係閣僚会議
▼第4回 資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日別では、増加が続き、直近の1週間では10万人あたり約18、今週先週比も上昇傾向が続いている。東京を中心とする首都圏だけでなく、関西圏をはじめ多くの地域で新規感染者数が増加傾向となっている。重症者数、死亡者数は下げ止まりから横ばい。また、感染者に占める高齢者割合は引き続き低下傾向。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(7/4時点)で1.17と1を上回す水準が続いており。首都圏では1.17、関西圏では1.27となっている。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    1. 首都圏(1都3県)
      • 東京では、新規感染者数は増加が続き、約59、今週先週比は上昇傾向で1.49と、急速な感染拡大が継続。20-40代が多く、65歳以上は実数では増加がみられるものの、割合は約4%まで低下。人工呼吸器又は人工心肺を使用している重症者数は横ばいだが、入院者数や調整中の者は増加傾向であり、高流量の酸素投与が必要な患者も増加。感染者数がこのまま増加すると、入院療養等の調整の遅れや一般医療も含めた医療への負担が懸念される。
      • 一方で、埼玉、千葉、神奈川でも新規感染者数は20-30代中心に増加が続き、それぞれ約27、27、33。3県とも今週先週比の1以上が3週間以上継続し、埼玉で1.87、千葉、神奈川でも1.4弱で、感染者数が急速に増加。いずれも30代以下が約6割。重症病床使用率は概ね2割を切る水準が継続。
      • 東京では夜間滞留人口の減少が続いているが、前回の緊急事態措置の際と比べ、緩やかな減少となっている。一方、埼玉では夜間滞留人口の増加が継続。千葉、神奈川では横ばい。措置の強化からまだ1週間であり、東京を中心に少なくとも当面は感染が拡大することが強く懸念される。
    2. 沖縄
      • 新規感染者数は増加に転じ、約38。20-30代が中心。一方で、これまでの新規感染者の減少に伴い、病床使用率は低下傾向。重症病床使用率は厳しい状況が継続。夜間・昼間とも滞留人口が増加し、特に夜間滞留人口は緊急事態措置適用前の水準に戻りつつあり、感染の拡大が懸念される。
    3. 関西圏
      • 大阪では、新規感染者数は20代中心に増加が続き、約24。今週先週比の1以上が2週間継続し、上昇傾向で1.89。感染者数が急速に増加。入院者数は下げ止まりから増加傾向となっているが、重症者数は減少傾向が継続。重症病床使用率は12%程度で横ばい。夜間滞留人口は増加が続いており、感染拡大が続くことが懸念される。
      • 京都、兵庫、奈良でも、新規感染者数の増加が続き、それぞれ、約11、11、10。いずれも、重症病床使用率は2割を切る水準が継続しているが、兵庫、京都では夜間滞留人口の増加が続いており、今後の動きに留意が必要。
    4. 上記以外
      • まん延防止等重点措置が解除された北海道、愛知、福岡では、新規感染者数が再度増加傾向となり、それぞれ約12、7、10。いずれも、病床使用率、重症病床使用率は2割を切る水準が継続。北海道、愛知、福岡では夜間滞留人口の増加もみられ、特に、北海道、福岡で急激に増加。感染の拡大が懸念される。
      • その他の地域でも新規感染者数の増加が見られており、特に、石川、鳥取では15を超えて増加傾向が続いており、留意が必要
  • 変異株に関する分析
    • B1.617.2系統の変異株(デルタ株)は、クラスターが複数報告され、市中での感染も観察されている。スクリーニング検査での陽性率(機械的な試算)は、全国的には21%程度で上昇が続いている。B.1.1.7系統の変異株(アルファ株)よりも感染性が高いことが示唆されており、今後置き換わりが進むことが予測され、注視していく必要がある。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 直近の感染状況において、医療機関や福祉施設のクラスターの割合は低下している。一方で、職場・会食・学校・保育施設などを介した感染は継続しているため、これらの場における感染予防が重要となる。軽い風邪症状でも早期の受診と簡易キットも活用した検査を進めることが必要。また、家庭内での感染も多い。家庭内でも軽い風邪症状がある場合には、家庭内でもマスク着用などの感染予防策が重要。
    • これまでも首都圏での感染拡大が起こっている中で、連休の後には、各地での感染拡大する傾向が見られている。明日からは4連休が始まり、今後も夏休み、お盆などを迎えるが、既に各地で感染の拡大がみられており、更なる感染拡大に繋げないよう、各自治体は、一層の危機感をもって、感染対策に取り組むことが必要。
    • このためにも、7月16日の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長談話「夏休み期間中の感染拡大を防ぐために」もあるように、帰省や旅行での県境を越えるような移動は慎重を期していただくとともに、普段会わない人と会う機会は、感染拡大のリスクが高くなることから、必要最小限にすることが必要。4連休を含め夏期休暇中は家族など普段会う人とできるだけ自宅ですごしていただくことが重要。
    • 東京、沖縄、埼玉、千葉、神奈川、大阪では、緊急事態措置やまん延防止等重点措置が講じられているにも関わらず、急速に感染者数が増加している。7月8日に改訂された基本的対処方針に基づく対策の徹底により、感染拡大を早期に抑えることが求められる。飲食における感染がその後の家庭や会社等での感染につながることも考慮し、宅飲みや路上飲みを含めた飲食の場面への対策を徹底すること。休暇中はできるだけ自宅で過ごしていただくとともに、職場ではテレワークの徹底と健康観察・感染対策の徹底。また、不要不急の外出・移動は自粛するとともに、そうした取組をしっかり発信していくことが重要。
    • 各自治体では、感染状況や医療提供体制の負荷の状況を踏まえ、機動的な介入により急拡大を抑制することが必要である。また、感染拡大が一定期間は継続することも前提に、宿泊療養施設の確保や自宅療養環境の体制整備も含め医療提供・公衆衛生体制の確保・連携を進めておくことが必要。
    • ワクチンの接種が高齢者中心に進み、新規感染者数に占める高齢者の割合が昨年秋以降で最も低い水準となっており、新規感染者数の増加に比べ、重症者数の増加が抑えられている傾向もみられる。また、接種歴別に人口当たりの感染者数を見ると、65歳以上では、2回接種で未接種と比べ大幅に低下しているというデータもあり、こうした点について引き続き分析が必要。治療薬についても中和抗体薬が新たに特例承認され、選択肢も増加している。一方で、40、50代の感染者数が増加しており、高齢者以外にも引き続き接種を着実に進める取組が必要。また、ワクチンについては、接種進展に伴う効果について適切に分析・評価するとともに、ワクチン接種が十分に進んだ後の適切な感染防止策等の在り方についても検討していくことが必要。
    • 置き換わりが進むデルタ株については、L452R変異株スクリーニングにより全国的な監視体制を強化するとともに、引き続き積極的疫学調査や検査の徹底等により、感染拡大を可能な限り抑えていくことが必要。また、水際対策についても、各国の感染状況等も踏まえ、引き続き迅速に対応することが必要。

~NEW~
内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
▼月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(令和3年7月)
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状 【判断維持】
      • 景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している。
      • (先月の判断)景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している。
    2. 先行き
      • 先行きについては、感染拡大の防止策を講じ、ワクチン接種を促進するなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただし、感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
  • 政策の基本的態度
    • 政府は、東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組むとともに、決してデフレに戻さないとの決意をもって、新型コロナウイルス感染症の感染対策に万全を期す中で、雇用の確保と事業の継続を通じて、国民の命と暮らしを守り抜く。あわせて、「経済財政運営と改革の基本方針2021」等に基づき、グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策の4つの課題に重点的な投資を行い、長年の課題に答えを出し、力強い成長を実現する。
    • 新型コロナウイルス感染症に対しては、2都県を対象に緊急事態措置、4府県を対象にまん延防止等重点措置を実施しているところであり、引き続き、ワクチン接種の迅速な実行、感染拡大の抑制を最優先に対策を徹底するとともに、経済への影響に対しては、重点的・効果的な支援に万全を期す。さらに、成長分野への民間投資を大胆に呼び込みながら、生産性を高め、賃金の継続的な上昇を促し、民需主導の成長軌道の実現につなげる。政府は、令和2年度第3次補正予算及び令和3年度予算を迅速かつ適切に執行する。引き続き、感染状況や経済的な影響を注視し、状況に応じて、予備費の活用により臨機応変に必要な対策を講じていくとともに、自律的な経済成長に向けて、躊躇なく機動的なマクロ経済政策運営を行っていく。
    • 日本銀行においては、7月16日、金融機関が取り組む気候変動対応投融資をバックファイナンスする新たな資金供給制度の骨子素案を決定した。日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。
  • 今月のポイント(1) 輸出・生産
    • 海外経済の回復を背景に、輸出は緩やかな増加が続いている。品目別にみると、半導体不足の影響による生産調整がみられる自動車関連財は横ばいだが、情報関連財や資本財が牽引。
    • 製造業の生産は、5月に減少したものの、予測調査は上向き。特に、5G関連などで需要が旺盛な電子部品・デバイスや設備投資向けの生産用機械を中心に持ち直しが続く見込み。また、マシニングセンタ等の工作機械受注は、内外ともに増加基調。輸出も生産も、当面は増勢が期待される。
  • 今月のポイント(2) 景況感・企業収益・倒産
    • 日銀短観6月調査によると、企業の景況感は、非製造業では依然としてマイナスであるものの、製造業は輸出・生産の持ち直しなどを背景に、2年ぶりにプラスとなるなど、持ち直しの動きがみられる。2021年度の企業収益(経常利益)は、製造業・非製造業ともに増加する見込み。
    • 倒産件数は、資金繰り支援もあり、低水準が続く。一方、休廃業・解散件数は、年間5万件以上で推移しており、本年1~6月も昨年同時期を下回ったものの、約2.8万件となった。観光関連業等において昨年より増加
  • 今月のポイント(3) 設備投資(シェア:機械投資46%、構築物投資25%、ソフトウェア投資10%、R&D投資18%)
    • 設備投資は、機械投資を中心に持ち直している。先行指標である機械受注も、持ち直しの動き。
    • 2020年度の設備投資は、前年度比減少となったが、2021年度は同9.3%増と大幅な増加が見込まれており、特にソフトウェア投資は、全産業で同14.7%増と高い伸びの見通し。研究開発投資も増加の見通し。
  • 今月の指標(1) 個人消費
    • 6月のカード支出に基づく消費動向をみると、財は2019年比でプラスの中、サービス消費は弱い動き。
    • 販売側のデータをみると、振れを伴いながらも、家電販売額の2019年比は横ばいで推移。外食は、パブ・居酒屋等を中心に全体としても引き続き弱い動き。他方、小売及び娯楽施設の人流や映画・コンサート等の娯楽関連に支出した人の割合は、6月以降に持ち直しの動きもみられる。
    • ただし、足下の週当たり消費額は、一部に天候不順の影響があるものの、2017-19年の幅を下回る水準。総じてみると、個人消費は、サービス支出を中心に弱い動きが続いている。
  • 今月の指標(2) 雇用情勢
    • 雇用者数は、昨年6月以降持ち直しが続いていたが、均してみると横ばいの動き。失業率は2か月連続で上昇し5月は3.0%。4~5月の休業者数は、宿泊・飲食業を中心に1~3月から微増。
    • 景気との一致性が強い求人動向は、日次のハローワーク求人や民間転職市場をみると持ち直しの動きが続く。賃金は、前年比プラスで推移しているが、感染症の影響を除いた2019年比でみると、5月は緊急事態宣言に伴う残業時間の減少もあり、全体は小幅減。
    • 他方、景気ウォッチャー調査の雇用関連DIは改善基調。総じてみれば、雇用情勢は、弱い動きとなっているなかで、底堅さもみられる。
  • 今月の指標(3) 世界経済
    • 欧米では、ワクチン接種の進展とともに、英国を除いて新規感染者数は概ね低下傾向。こうした感染者数減少を受けた制限措置の緩和により、アメリカや英国に加えユーロ圏においても、足下で小売が上向きつつあり、持ち直しの動きがみられる。
    • 世界経済の持ち直しに伴い、世界の財貿易量も増加傾向が継続。
    • ただし、欧米の雇用については、求人数は持ち直しているものの、就業者数の回復は遅れている。

~NEW~
内閣府 令和3年第11回経済財政諮問会議
▼緊急事態宣言の下でのマクロ経済運営と経済の底上げ
  • 諸外国の例をみてもワクチン接種の普及が経済活動の正常化を図る切り札である。わが国でもワクチン接種が進んで高齢者の感染者数や重症者数が減少するなどその効果は明らか。若年層への接種拡大も図り、自由に旅行や食事に出かけることができる日常を一刻も早く取り戻して、内閣府年央試算で示されたように、年内にコロナ前の活動水準を取り戻し、今年度の成長率3.7%を実現すべき。あわせて、今回の緊急事態宣言が「最後の我慢」となるよう、これまで講じている支援策の着実な執行を図るとともに、感染状況や経済的な影響に目配りしながら、臨機応変に必要な対策を講じるべき。
  • 最低賃金を過去最大の全国一律28円(3.1%)引き上げる目安を示した答申は、賃上げモメンタムを維持・拡大し、「成長と分配の好循環」実現に寄与するもの。この答申を着実に実行するためにも、厳しい業況の企業に配慮しつつ、賃金引上げに取り組む中小企業への支援を強化すべき。今後の景気回復のカギは、コロナで喪失したサービス消費の回復。今年度後半から来年度にかけて観光・イベント・飲食等の分野でワクチン接種の効果を息の長い消費回復につなげていく必要。メリハリのある公需や規制改革を呼び水にして、持続的な消費や投資の拡大を促し、自律的な経済成長を実現させる。その際には、必要に応じて、躊躇なく機動的なマクロ経済政策運営を行うべき。
  1. ワクチン接種の加速と経済活動正常化
    • 1日に約120万回で進んでいるワクチン接種のペースを緩めることなく、確実に、希望する人全てが、10月から11月にかけて接種を終えるよう取り組むべき。
    • ワクチン接種の進展とともに経済の正常化を進めようとしている欧米の例等を踏まえ、ワクチン接種と陰性証明等の検査、さらには新技術も組み合わせつつ、日常回帰と経済活動正常化に舵を切り、早期にこの実現を図ることができるような道筋を明らかにすべき。
      • 若者の接種率向上を図るためにも、宣言解除後を見据え、国内の経済活動活性化に向けたワクチン接種済証の活用の検討に加え、ワクチン未接種の人への検査を組み合わせつつマスク無しの活動を可能とするなど、ワクチンを接種してもなおマスク着用が必要な場面を明らかにすべき。
      • 現在新型インフルエンザ等感染症相当に分類されている新型コロナ感染症について、感染症法上の適切な類型への位置づけも含め検討すべき。
      • 欧米の例を参考に、今後はコロナの重症者数抑制を目標とする対応に重点をシフトしていくべき。
      • グローバルな経済活動の早期再開に向け、ワクチン接種証明書の円滑な発行を進めるとともに、アプリ搭載などデジタル化を急ぐべき。
  2. 緊急事態宣言に対応した医療提供体制の確保と支援の強化・迅速化
    • 当面中等症等入院を要する患者の拡大に備え、昨冬の2倍程度を想定した患者数に対応可能な医療提供体制に向け、今から万全の体制を構築すべき。
    • 飲食業への協力金について、早期給付の対象となる部分は、「原則、手続き申請後1週間以内給付」が実行できるよう、自治体と連携して支給の迅速化を実現すべき。また、ワクチン接種が普及する下で経済正常化を図る自治体が、独自に支援する取組を後押しする臨時交付金を速やかに活用し支援の強化を図るべき。あわせて、感染症により業況が厳しい飲食・宿泊業などの雇用に影響が及ばないよう、雇用調整助成金の財源を確保すべき。
  3. 最低賃金引上げを通じた成長と分配の好循環の実現
    • 新型コロナ感染症の影響の下で業態間や地域間での賃金格差の拡大が指摘されている中で、最低賃金引上げによる賃金格差の是正を消費の拡大につなげ、成長と分配の好循環を生み出していくことが期待される。一方で、新型コロナ感染症の影響の大きな業種と最低賃金引上げの影響の大きな業種に重なりがみられる中で、こうした厳しい業況の企業に配慮しつつ、雇用の維持との両立を図りながら賃上げできる環境を迅速に整備する必要がある。雇用調整助成金・業務改善助成金の活用を含め賃金引上げに取り組む中小企業への思い切った支援強化、金融支援等に、より一層取り組むべき。とりわけ最低賃金引上げの影響を受ける中小企業が生産性向上に即効性のある対策を行うことができるよう支援対象の拡大などの施策を講じるべき。
    • 下請け取引の適正化に官民あげて取り組み、賃金引上げが適切に価格に転嫁される環境を整備し、デフレ脱却に向けた大きな動きにつなげるべき。
    • 中小企業の生産性向上に向けて、DXの推進、輸出などの海外展開支援、大企業人材を含めた人材確保などをパッケージ化し、意欲ある中小企業を重点的に支援すべき。特に2023年10月のインボイス制度への移行を見据え、中小企業のDXを一気に進め、企業全体の財・サービスの生産効率を飛躍的に高めるため、企業全体のデジタル投資や事業再構築を予算・税制両面から大胆に支援するべき。
    • さらに、特に厳しい業況の中小企業について、売上減少等の状況や最低賃金引上げ等に伴う雇用コスト増を踏まえた激変緩和の観点から事業存続・雇用維持に向けた支援策を強化すべき。
    • これらに加え、今後、中小企業の生産性向上等を支援する補助金・助成金等が最低賃金引上げの影響を受ける中小企業に的確に届いているか等のモニタリングを適切に行い、必要に応じて機動的に施策の拡充を行うことにより、最低賃金引上げの影響を踏まえた対応策が中小企業の実情にきめ細かく対応し、実効性の高いものとなるよう、不断の見直しを行うべき

~NEW~
内閣府 新しい働き方と地方移住に関する分析 -コロナ禍における働き方への意識の変化をもとに-
▼要旨
  • 移住実施者の特徴
    • 移住実施者の多くは東京圏外の出身者で、移住先も出身地であることが多い。
    • 移住実施者は、東京圏在住者よりもテレワーク実施率が有意に高い。
    • 移住先選定にあたって、移住実施者は単なる関心層と比べ「地域の食・文化」を重視する程度が有意に強い(Uターンであっても、「地域の食・文化」を重視)。
    • 移住実施者は移住先選定に当たって「地域独自の歴史・伝統」を最も重視しており、Uターンの場合でも出身地であることは一つの要素であって、決定的な要素ではないことが示唆される。
    • 移住において重視する事項(20の選択肢から複数回答)の背後にある共通因子を統計的手法により抽出。
    • いずれの共通因子についても、関心層は移住実施者と重視する程度に有意な差があるが、検討層は移住実施者と概ね同じ傾向(移住への支援については、検討層は移住実施者より重視する程度が強い)。
    • 移住実施者のうち、テレワークがきっかけとなった者はそれ以外の者と比べて、地域の食・文化を重視する程度が有意に強い。
  • テレワークをきっかけとする移住の特徴
    • 移住実施者の移住先選定に当たって「地域の食・文化」を重視する傾向がさらに強まる。
    • テレワークの実施頻度が高まるほど移住への関心が高まる。
    • テレワーク以外のことがきっかけの場合よりも転職なき移住や地域での副業への志向が強い。
    • テレワークできない理由としては、「業務や職種の性質上難しい」「人事評価が難しい」「コミュニケーションがとれない」などが多い。一方、メリットとしては「従業員のワークライフバランスの向上」のほか、「業務効率性の向上」も多く、企業にとって必ずしもコスト要因という面だけではなくなっている。
    • 地方移住(通勤圏外への居住)を想定した社内制度の整備は進んでいない。⇒業務の棚卸によりテレワーク可能な業務を洗い出すことが重要
    • 副業に関しては、本業がおろそかになることや情報漏洩、労務管理に対する懸念が強い一方、人材育成やイノベーション創発・新事業促進に効果があるとの声は多い。
    • ワーケーションに関しては、まだ導入企業は少なく、個人の側も経験者は極めて少数。⇒機運を高める・関心を喚起することが重要
  • 今後の政策面の課題
    • 企業のDXを後押しし、テレワーク可能な業務の洗い出し・テレワークの更なる普及を促進
    • 地域独自の魅力の発信、地域のワーケーション受入れ環境整備、関係人口の創出・拡大を支援
    • 東京圏外企業と都市部人材のマッチングを強化し、地域の担い手の確保や地方の副業を推進
    • コロナ禍で生じた地方移住への関心の高まりを実際の移住行動につなげていくため、地方から東京圏在住者への直接的な働きかけのほか、テレワーク、副業、ワーケーションといった新しい働き方を促進し、地方移住が可能となる環境整備を進める必要。

~NEW~
消費者庁 消費者意識基本調査 令和2年度実施(令和2年11月調査)
▼2 調査結果の概要
  • 日常生活における「新しい生活様式」の実践頻度について聞いたところ、(ア)~(オ)の5項目で、「行っている(『常に行っている』+『ある程度行っている』)」の割合が高い順にみると、「マスクの着用」が97.4%と最も高く、次いで「石けんで丁寧に手洗い・アルコールなどで手指消毒」(94.4%)、「『3密』(密集、密接、密閉)の回避」(92.1%)の順となっている
  • 1年前と比べた各行動の増減について聞いたところ、(ア)~(シ)の12項目で、「増えた(『増えた』+『やや増えた』)」の割合が高い順にみると、「インターネットの利用」が38.4%と最も高く、次いで「家族との時間」(30.4%)、「家事」(30.2%)の
  • 順となっている。一方、「減った(『やや減った』+『減った』)」の割合が高い順にみると、「外食」が69.5%と最も高く、次いで「旅行」(59.1%)、「趣味」(35.0%)の順となっている。
  • インターネット利用の有無を聞いたところ、「普段、利用している」の割合は73.2%となっている。性別にみると、「普段、利用している」の割合は「女性」(70.0%)より「男性」(76.8%)の方が高くなっている。年齢層別にみると、「普段、利用している」の割合は「20~29歳」(98.4%)で最も高く、次いで「30~39歳」(98.0%)が高くなっている。一方、「80歳以上」(14.8%)で最も低くなっている。
  • で「普段、利用している」と回答した人(4,259人)にインターネットで利用しているサービスを聞いたところ、「情報収集(検索、閲覧)」の割合が89.5%と最も高く、次いで「動画閲覧」(78.0%)、「買物」(75.6%)の順となっている。
  • 「増えた」の割合が高い順にみると、「テレワーク」が90.0%と最も高く、次いで「オンライン学習」(80.0%)、「イベントなどのライブ配信の閲覧」(67.4%)の順となっている。一方、「減った」の割合が高い順にみると、「チケット予約」が43.0%と最も高く、次いで「オークションへの出品」(17.9%)、「副業」(16.3%)の順となっている。
  • 「普段、購入している」の割合は75.5%となっている。性別にみると、「普段、購入している」の割合は「男性」(73.4%)より「女性」(77.5%)の方が高くなっている。年齢層別にみると、「普段、購入している」の割合は「30~39歳」(89.5%)で最も高く、次いで「20~29歳」(87.8%)が高くなっている。一方、「80歳以上」(38.3%)で最も低くなっている。
  • 1年前と比べた店頭での買物の利用頻度の変化を聞いたところ、「増えた」の割合は、「食料・食品」が15.0%と最も高くなっている。「減った」の割合が高い順にみると、「旅行」が46.5%と最も高く、次いで「チケット」(36.5%)、「衣類・履物」(34.8%)の順となっている。
  • に、インターネットでの商品・サービスの購入で心配なことを聞いたところ、「個人情報が漏えい・悪用されている」の割合が66.7%と最も高く、次いで「商品やサービスが期待とは異なる」(64.9%)、「望まない広告メールが送られてくる」(62.3%)の順となっている。
  • デジタルプラットフォームでの購入時の優先項目上位3つを聞いたところ、選ばれたものを1位から3位まで合計すると、「過去のレビュー(商品やサービス、売主に対する評価)」が57.6%と最も高く、次いで「欲しい商品やサービスの品ぞろえ」(45.9%)、「欲しい商品やサービスの探しやすさ」(39.2%)の順となっている。
  • 1年前と比べた外食時の飲食店選びにおいて重視することの変化を聞いたところ、「重視度が増した(『重視度が増した』+『重視度がやや増した』)」の割合が高い順にみると、「店員がマスクを着けている」が84.2%と最も高く、次いで「消毒対応が十分である」(80.3%)、「席の間隔が広い、横並び席がある」(67.0%)の順となっている。
  • 1年前と比べた外食時に新たに行うようになった行動を聞いたところ、「食べる前に消毒・手洗いする」の割合が76.5%と最も高く、次いで「大勢で店に行かない」(64.8%)、「食べる時以外はマスクを着ける」(58.7%)の順となっている。
  • 新型コロナウイルス感染急拡大時(令和2年3月~5月)の生活必需品に限らず全般的な考えや行動を聞いたところ、「当てはまる(『かなり当てはまる』+『ある程度当てはまる』)」の割合が高い順にみると、「ルールを守らない人には、罰が必要だと思った」が38.1%と最も高く、次いで「品薄の商品なら、高く売られていても仕方がないと思った」(24.3%)、「緊急事態時には、ルールを
  • 守らない人が出ても、仕方がないと思った」(11.8%)の順となっている。一方、「当てはまらない(『あまり当てはまらない』+『ほとんど・全く当てはまらない』)」の割合が高い順にみると、「見聞きした情報は、SNSやインターネットに書き込んだ」が92.2%と最も高く、次いで「品薄の情報やコメントをSNSなどに投稿した」(91.9%)、「品薄の商品を持っていたら、高めに売ってもよいと思った」(80.0%)の順となっている。
  • この1年間に、自分自身が購入した商品、利用したサービスについて、消費者被害に当たる経験をしたことがあるかという質問に対して、1人につき「ある」と回答した個数を集計すると、「0個」の割合が87.0%、「1個」が6.4%、「2個」が4.0%で、「1個以上」は13.0%となっている。前回の調査結果と比較して、「1個以上」の割合は1.8ポイント増加している。
  • 経済的な豊かさの程度を聞いたところ、「豊かだ(『豊かなほうだ』+『どちらかといえば豊かなほうだ』)」の割合は、52.3%と半数を少し上回った。一方、「豊かではない(『どちらかといえば豊かではないほうだ』+『豊かではないほうだ』)」の割合は46.0%で半数を少し下回った。
  • 現在の生活への満足度を聞いたところ、「満足(『満足している』+『どちらかといえば満足している』)」の割合は66.3%となっている。一方、「不満(『どちらかといえば不満である』+『不満である』)」の割合は32.0%となっている。
  • 日頃の買物で意識していることを聞いたところ、「意識している(『かなり意識している』+『ある程度意識している』)」の割合が高い順にみると、「レジ袋をもらわない」が74.7%と最も高く、次いで「ごみを減らし、再利用やリサイクルを行う」(60.8%)、「弁当・総菜などを購入するときに不要なフォーク・スプーンをもらわない」(59.4%)の順となっている。一方、「意識していない(『あまり意識していない』+『ほとんど・全く意識していない』)」の割合が高い順にみると、「フェアトレード商品を選ぶ」が54.2%と最も高く、次いで「社会貢献活動に熱心な企業のものを選ぶ」(50.3%)、「環境に配慮されたマークのある食品・商品を選ぶ」(38.2%)の順となっている。

~NEW~
消費者庁 フリーマーケットサイトにおける健康食品の偽物の販売に関する注意喚起
  1. 本件の概要
    1. フリーマーケットサイトにおける健康食品の偽物の出品状況について
      • 令和3年5月、フリーマーケットサイト「ラクマ」(以下「ラクマ」といいます。)において、例えば下表のような内容で、大塚製薬株式会社(以下「大塚製薬」といいます。)が製造・販売する健康食品「EQUELLE」(パウチタイプ・120粒入り。以下「エクエル」といいます。)の商品名などをうたった出品が複数見られました
      • エクエルは、通常、大塚製薬の公式通販サイトや、医療機関・調剤薬局などで販売されていますが、上表の出品における1袋当たりの販売価格は、公式通販サイトや医療機関・調剤薬局などでの販売価格よりも2~3割程度安くなっていました。
      • 出品者らは、エクエルの偽物を発送する際に他人の個人情報を用いるなどしており、実体は不明です。
      • 少なくとも令和3年6月上旬時点においても、ラクマにおいて偽物の疑いのある「エクエル」が出品されていました。
    2. 「エクエル」の偽物が発覚した経緯について
      • 前記(1)の出品に係る表示を見て、「エクエル」として出品されていた品物を購入した消費者が、送られてきた品物を開封して内容物を見るなどしたところ、エクエルの正規品との違いに気付き、大塚製薬に通報しました。
      • 大塚製薬が、消費者から提供された、「エクエル」として出品されていた品物の2商品パッケージ、ロット番号、内容物の成分などを確認・分析したところ、偽物であると判明しました。
    3. 大塚製薬及びラクマの運営者による注意喚起
      • 大塚製薬は、自社のウェブサイトにおいてエクエルの偽物がフリーマーケットの一部で取引されていることを注意喚起しています。
      • ラクマの運営者も、ラクマの利用者に対し、ラクマにおいてエクエルの偽物が出品されていることを注意喚起しています。
  2. エクエルの正規品と偽物の見分け方
    • ラクマにおいて出品されていたエクエルの偽物は、商品パッケージ・内容物ともに正規品にかなり似せて造られており、単体でみた場合には不自然な点に気付きにくく、正規品と見比べる又は正規品との違いを把握していないと、偽物と気付くことは困難です。
    • 偽物と正規品を見分ける主なポイントは次のとおりです。
      1. 偽物のパッケージ裏面の賞味期限「2023.2.2 C」との表示は、正規品にはない表示で、文字もかすれて印字されています。また、「2023.2.2 C」との表示から製造ロットを把握できますが、「2023.2.2」と「C」の組合せは、正規品には存在しません。
      2. 錠剤状の内容物について、正規品はやや黄色がかっていて、断面は円に近い形状ですが、偽物は白色であり、断面は楕円です。
      3. 同梱されている乾燥剤の袋について、正規品は透明のビニール袋であるのに対し、偽物は白色の紙の袋です。
  3. 消費者庁が確認した事実
    • 前記1のとおり、ラクマにおいて、「遠藤」などと名乗る出品者は、「エクエル 120粒(30日分)×12袋セット 大塚製薬(¥38,000)がフリマアプリ ラクマで販売中♪」などと、エクエルの正規品を出品しているかのように表示し、エクエルの正規品が出品されていると消費者を誤認させて購入を申し込ませ、エクエルの偽物を送っていました(消費者を欺く行為)
  4. 消費者庁から皆様へのアドバイス
    • フリーマーケットサイトやオークションサイトにおいて「エクエル」を購入したことがある消費者は、前記2の見分け方を参考に正規品か偽物かを確認してください。
    • なお、大塚製薬は、エクエルの偽物を購入してしまわないよう、公式通販サイトや医療機関・調剤薬局などの正規ルートでの購入を推奨しています。
    • フリーマーケットサイトには、購入者が届いた品物を確認して出品者を「評価」した時点で、代金が出品者に支払われる仕組みになっているものがあります。
    • しかし、出品者に代金が支払われた後は、例えば、購入した品物が偽のブランド品であると後で気付き、購入者がサイトの運営者に返金や仲裁を求めても、運営者は、出品者に代金が支払われた後のトラブルには関知せず、当事者間で解決するように回答し、返金や仲裁などの対応がなされない場合があるので注意しましょう。
    • 消費生活センター等では、消費者が事業者との取引などにおいてトラブルとなった場合に相談を受け付け、トラブル解決のための助言や必要に応じてあっせんを無料で行っています。

~NEW~
消費者庁 令和2年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組
  • 消費者庁は、景品表示法違反被疑事件について調査を行い、違反する事実があると認められたときは、措置命令の名宛人となるべき者に対し、予定される措置命令の内容等を通知し、弁明書及び証拠書類等を提出する機会を付与し、弁明の内容等を踏まえて措置命令を行っている。
  • また、措置命令を行うに足る事実が認められなかった場合であっても、景品表示法に違反するおそれがあるときは、関係事業者に対し、是正措置を採るよう指導している。
  • さらに、「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律」(平成26年法律第118号)が平成28年4月1日に施行され、景品表示法に課徴金制度が導入されたところ、消費者庁は、景品表示法第5条第1号又は第2号の規定に違反する事実があると認められたときは、所定の要件に従い、課徴金納付命令の名宛人となるべき者に対し、措置命令の場合と同様に弁明の機会を付与し、弁明の内容等を踏まえて課徴金納付命令を行っている。
  • 令和2年度における調査件数は、前年度から繰越しとなっている151件、年度内に新規に着手した289件の合計440件である。同年度における処理件数は、措置命令が33件、課徴金納付命令が15件、指導が176件のほか、都道府県等による処理が適当として都道府県等に移送したものが21件、公正競争規約により処理することが適当として当該公正競争規約を運用している公正取引協議会等に移送して同協議会等が処理したものが21件などの合計271件である。
  • 措置命令の件数については、平成30年度は46件、令和元年度は40件、令和2年度は33件となっている。
  • 令和2年度に処理したもののうち、公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等が行った調査の結果を踏まえて消費者庁が行ったものは、措置命令5件(東北事務所、中部事務所、近畿中国四国事務所及び近畿中国四国事務所四国支所)、指導34件、調査を打ち切ったもの等1件である。
  • 令和2年度においては、14名の事業者に対して15件の課徴金納付命令を行い、11億7238万円の課徴金の納付を命じた。
  • また、提出された実施予定返金措置計画について、1件の認定を行った。これまでに認定された返金措置は、一般消費者の被害回復を支援する観点等から、当庁ウェブサイトに掲載している。
  • なお、規模基準(景品表示法第8条第1項ただし書の規定に基づき、課徴金額が150万円未満となる場合には、課徴金を賦課しないこととされている。)等により、消費者庁が措置命令を行った案件のうち、過去3年度の間に課徴金を賦課しないこととされた案件の合計は44件である。
  • 景品表示法と健康増進法との一体的な執行
    • 国民の健康志向の高まりから、いわゆる健康食品が広く普及している中、インターネット等を利用した広告・宣伝が活発に行われている。このような広告・宣伝の中には、虚偽・誇大広告や不当表示に当たるおそれのあるものも見受けられ、これら虚偽・誇大広告等に対する厳正な法執行が求められている。
    • 上記虚偽・誇大広告等に対しては、景品表示法及び健康増進法に基づく法執行が考えられるところ、消費者庁では、より効果的な法執行を行うため、表示対策課食品表示対策室において、平成28年6月30日に全面改訂した「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」の周知に引き続き力を入れるとともに、令和2年度に、インターネット上で食品の虚偽・誇大広告の監視を行い、健康増進法第65条第1項の規定に違反するおそれのある事業者に対しては、表示の改善を要請したことを公表した。
    • 令和2年度においては、健康食品に関して、景品表示法に基づく措置命令2件(後記(5)参照)のほか、健康増進法第65条第1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがある事案について、17件の指導を行った。
  • 新型コロナウイルスへの予防効果等を標ぼうする不当表示等への対応
    • 令和2年以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、同ウイルスへの効果等を標ぼうする表示が見られたことを踏まえ、それらの表示の適正化に積極的に取り組んだ。
    • まず、景品表示法及び健康増進法に基づき、インターネット上の広告等の緊急監視を行い、新型コロナウイルスへの予防効果等に対する効果等を標ぼうする健康食品、空間除菌商品、マイナスイオン発生器、アロマオイル、光触媒スプレー等について改善要請を実施するとともに、消費者に対する注意喚起を行った。
    • また、消毒、除菌等に対する消費者の関心が高まる中、アルコール商品、次亜塩素酸水、空間除菌用品、健康食品等の表示について措置命令を行い、令和2年度における措置命令33件のうち21件が消毒、除菌等の効果等についての不当表示に対するものであった(詳細については別紙1参照)。行政指導も積極的に実施し、このうち、携帯型空間除菌用品、抗体検査キット及び研究用抗原検査キットの販売を行っていた事業者に対して再発防止等の行政指導を行ったことを公表し、消費者に対して注意喚起を促した。
    • そのほか、令和2年6月に、厚生労働省及び経済産業省と合同で、新型コロナウイルスの消毒・除菌方法や消毒剤等の選び方等を取りまとめ、消費者へ注意喚起を行った。
  • 行政処分取消訴訟
    • 平成29年12月27日付けでアマゾンジャパン合同会社に対して景品表示法の規定に基づく措置命令を行ったことに対し、平成30年1月26日、同社が同命令の取消しを求めて提訴した。令和元年11月15日、東京地方裁判所において原告の請求を棄却する判決がなされ、同年11月29日、原告が同判決の取消しを求めて控訴を提起した。令和2年12月3日、東京高等裁判所において控訴人の控訴を棄却する判決がなされた(原告が最高裁判所に上告後、令和3年2月9日、上告取下げにより判決確定。)。
    • 平成29年3月9日付けで株式会社だいにち堂に対して景品表示法の規定に基づく措置命令を行ったことに対し、平成30年8月24日、同社が同命令の取消しを求めて提訴した(訴訟係属中)。
    • 平成31年3月6日付けで株式会社ライフサポートに対して景品表示法の規定に基づく措置命令を行ったことに対し、令和元年6月3日、同社が同命令の取消しを求めて提訴した。令和3年4月22日、大阪地方裁判所において原告の請求を棄却する判決がなされた(同年5月6日に判決確定。)

~NEW~
国民生活センター 突然訪問されて太陽光発電設備と家庭用蓄電池を契約した
  • 質問
    • 突然自宅を訪問した事業者から太陽光発電設備と家庭用蓄電池の勧誘を受けた。すぐに契約するつもりはなかったが、「安く契約できるのはあと2件」などと説明されて約300万円で契約してしまった。よく考えると高額のためクーリング・オフしたい。
  • 回答
    • 特定商取引法の訪問販売に該当する場合には、契約書面を受け取った日を含む8日間はクーリング・オフを行うことが可能です。
    • 太陽光発電設備や家庭用蓄電池の購入は高額な契約になります。突然の訪問をきっかけに勧誘をされたり、契約を急かされてもその場で契約はせずに、複数社から見積もりを取り、比較検討したうえで慎重に事業者の選定を行いましょう。
    • また、そもそも契約するつもりがない場合は、きっぱりと断りましょう。
  • 解説
    • 特定商取引法では、事業者が訪問販売を行うときには、勧誘に先立ち、消費者に対して、事業者の氏名(名称)、契約の締結について勧誘する目的である旨、販売しようとする商品(権利、役務)の種類を告げなければならないと定められています。事業者の突然の訪問を受けた際は、まずこれらの事項を確認しましょう。そのうえで、見積書や設置工事、補助金申請の手続き等の流れや詳細を十分に確認し、その場で契約はせずに、慎重に検討しましょう。
    • クーリング・オフ期間経過後でも契約の取消ができる場合があります。お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。
    • なお、太陽光発電設備や家庭用蓄電池を設置することで、その後の電気料金が安くなったり、災害時にも役立つなどのメリットがあるとしても、設置にあたっては購入費用や設置工事費用等が発生します。契約にあたってはこれらの初期費用についても考慮することが重要です。
  • クーリング・オフについて
    • 訪問販売にはクーリング・オフ制度が設けられています。契約書面を受け取った日を1日目として8日間は事業者に書面等で申し入れすることによって、無条件で契約を解約することができます。クーリング・オフの通知書面の書き方や手続き方法については、国民生活センターのホームページに解説ページがありますので、参考にしてください。

~NEW~
国民生活センター 固定価格買取期間満了後は家庭用蓄電池の設置が必要なの?
  • 質問
    • 我が家は太陽光発電設備を設置しており、翌年には再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の10年間の売電契約が終了する予定だ。家庭用蓄電池の訪問販売を受け、「固定価格買取期間満了後は売電価格が下がるため家庭用蓄電池を設置した方がよい」などと説明されたが価格が高額だ。どうしたらいいか。
  • 回答
    • 固定価格買取期間満了後は、必ずしも余剰電力の売電より家庭用蓄電池を利用した自家消費のほうが経済的なメリットが大きいとは限りません。勧誘時に「○年で元が取れる」「売電するよりも家庭用蓄電池を導入した方がよい」などと断定的な説明を受けてもうのみにせず、自身でも複数社から見積もりを取るなど情報収集し、総合的に判断するようにしましょう。
  • 解説 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)とは
    • 再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。住宅用太陽光発電の場合、自家消費後の余剰分(余剰電力)が買取対象となります。住宅用太陽光発電の余剰電力は、固定価格での買取期間が10年間と定められています。
    • 太陽光発電設備を既に導入している場合、固定価格買取期間満了後の選択肢としては、家庭用蓄電池と組み合わせて余剰電力を自家消費する方法と、小売電気事業者等に対して相対・自由契約で余剰電力を売電する方法があります。家庭用蓄電池を利用した自家消費で太陽光発電の発電分を使い切らずに、余剰電力の売電を行うことも可能です。どの方法がより経済的メリットがあるかについては、電気料金や家庭用蓄電池の価格および小売電気事業者の買取メニュー等によって異なります。
    • なお、家庭用蓄電池の設置には国が実施する補助事業のほか、各自治体でも補助金制度が設けられている場合があります。申請期間や条件等の詳細についてはそれぞれのホームページ等で案内されているため、受給を希望する場合は事前に確認するようにしましょう。

~NEW~
総務省 犯罪収益移転防止法違反に係る是正命令
  • 総務省は、犯罪による収益の移転防止に関する法律※(平成19年法律第22号。以下「法」といいます。)に違反した電話転送サービス業を営む個人事業者(屋号:トラスト)に対し、法第18条の規定に基づき、確認記録の作成義務に係る違反行為を是正するために必要な措置をとるべきことを命じました。
    • 同法では特定事業者に対し、一定の取引について顧客等の取引時確認等を行うとともに、その記録を作成する等の義務を課しており、電話転送サービス事業者は、同法の特定事業者として規定されています。
  1. 事業者の概要
    • 名称:トラスト
    • 代表者:水川 哲時
    • 所在地:東京都葛飾区
  2. 事案の経緯
    • 個人事業者である水川哲時が法に定める義務に違反していることが認められたとして、国家公安委員会から総務大臣に対して法に基づく意見陳述が行われました。
    • これを踏まえ、総務省において当該事業者に対して報告徴収を行った結果、法違反が認められたため、当該事業者への処分を行うものです。
  3. 違反行為の内容
    • 国家公安委員会による意見陳述を踏まえ、総務省において報告徴収を行った結果、水川哲時において、平成25年4月1日以降に締結した電話転送サービスに係る契約について、法第6条第1項に基づく確認記録の作成義務違反が認められました。
  4. 命令の内容
    • 法違反を是正するため、令和3年7月12日付けで、水川哲時に対し、法第18条の規定に基づき、関係法令に対する理解・遵守の徹底、再発防止策の策定等必要な措置をとるべきことを命じました。
▼(参考)総務省「犯罪収益移転防止法について(電話受付代行業・電話転送サービス事業者向け)」

~NEW~
総務省 青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関するタスクフォース(第15回)
▼資料15-4 「青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関する新たな課題及び対策」 概要
  • 位置付け
    • 改正青少年インターネット環境整備法(2018年2月施行)の着実な履行等のために策定した「青少年のフィルタリング利用促進のための課題及び対策」(2019年8月)の取組状況や、近年の青少年を取り巻くインターネット環境の変化を踏まえ、青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関する新たな課題と、それを解決するために官民で取り組むべき対策を整理。
  • 「課題及び対策」(2019年8月)
    1. 契約時のフィルタリング申込・有効化措置等の促進
    2. フィルタリングを始めとするペアレンタルコントロールの必要性に係る認識の醸成
    3. フィルタリングサービスの使いやすさの向上
  • 「新たな課題及び対策」(2021年7月)
    1. 契約時のフィルタリング申込・有効化措置等の一層の促進
    2. フィルタリングの継続的な利用を促す取組の推進
    3. 青少年のインターネット利用を取り巻く環境の変化に伴う新たな課題への対応
  • 官民で取り組むべき対策のポイント
    • 青少年による違法・有害情報への接触を回避するための更なる取組に加え、青少年がインターネット上のサービスを利用することを前提とした取組を推進。
    • 契約時にフィルタリングの設定(有効化)が行われなかった場合の保護者による事後設定促進に向けた取組を強化(オンライン契約時を含む)。フィルタリングの継続的な利用促進の鍵となるユーザビリティ改善等に向けた関係事業者の連携を強化。
    • 青少年のインターネット(特にSNS、動画、ゲーム)を利用した情報「発信」機会の拡大を踏まえたペアレンタルコントロールの取組を強化。
    • インターネット利用の低年齢化を踏まえ、低年齢層の保護者へのアプローチを強化。
    • 青少年の成長や利用状況に即したペアレンタルコントロール(フィルタリングを含む)を行うための効果的な啓発手法・コンテンツの開発を推進。
  • これまで〔「課題及び対策」(2019)〕
    • 青少年による違法・有害情報への接触を回避するためのフィルタリング利用促進
    • 主な対応
      • 携帯電話事業者(MNO)における加入・有効化措置の状況の公表
      • 店頭等におけるフィルタリングの説明を強化
      • ペアレンタルコントロールの必要性に係る保護者への啓発を強化
      • フィルタリングの利便性向上
  • これから〔「新たな課題及び対策」(2021)〕
    1. 青少年による違法・有害情報への接触を回避するためのフィルタリング利用促進
    2. 青少年がインターネット上のサービスを利用することを前提とした環境整備
    3. 主な対応
      • 携帯電話事業者(MNO・MVNO)における加入・有効化措置の状況把握(公表を含む)と取組強化
      • 店頭等におけるフィルタリングの説明を強化(インターネット利用に係るリスクやフィルタリングの有効性の説明も含む)
      • 大人の機器を貸し与える際の対策のほか、子供が低年齢の段階から、子供の成長や利用状況に即したペアレンタルコントロールを行えるように、保護者への啓発を強化
      • 青少年のSNS、動画、ゲーム等のサービス利用を前提としたフィルタリング等の利便性向上に向けた体制の整備
      • 青少年の情報「発信」を契機とするトラブル防止等のため、SNS等事業者による実効的な年齢確認を実施

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