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  • 大雨 慌てず 早めの避難で安全確保を(国民生活センター)/「情報信託機能の認定に係る指針ver2.1」ほか(経産省)/世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方(経産省)/AI経済検討会 報告書2021(総務省)

危機管理トピックス

大雨 慌てず 早めの避難で安全確保を(国民生活センター)/「情報信託機能の認定に係る指針ver2.1」ほか(経産省)/世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方(経産省)/AI経済検討会 報告書2021(総務省)

2021.08.30
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更新日:2021年8月30日 新着19記事

グローバルネットワークのイメージ
【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 証券監督者国際機構(IOSCO)が、ESG格付け及びデータ提供者についての意見募集を開始
  • Instagramにおける金融庁個人間融資対策アカウントの開設について
内閣府
  • 第11回規制改革推進会議
  • 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
  • 総合科学技術・イノベーション会議(第56回)議事次第
消費者庁
  • 徳島県における食品ロス削減に関する実証事業
  • 携帯発電機やポータブル電源の事故に注意!-発電機は屋内で絶対に使用しないでください。死亡事故も発生しています。-
厚生労働省
  • 令和3年9月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がります
  • 自動車運転者を使用する事業場に対する令和2年の監督指導、送検等の状況を公表します
  • 外国人技能実習生の実習実施者に対する令和2年の監督指導、送検等の状況を公表します
  • 「令和2年度使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表します
  • 妊娠届出数の状況について
経済産業省
  • 「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会とりまとめ(案)」に対する意見募集への結果に対する考え方、意見を踏まえたとりまとめ、及び「情報信託機能の認定に係る指針ver2.1」を発表しました
  • 「世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会」の中間整理を取りまとめました

~NEW~
内閣官房 男性国家公務員の育児に伴う休暇・休業の取得促進に係るフォローアップ
  • 令和2年度第1四半期に子供が生まれた男性職員のほぼ全員(99.0%)が育休等を取得。平均取得日数は50日であり、取得の目途としていた「1か月」を大きく上回った。取得者のうち約9割(88.8%)が1か月以上取得。
  • 令和2年度第2~第4四半期に子供が生まれた男性職員全員(100%)の取得計画が作成され、平均50日の育休等を予定。ほぼ全員(97.2%)が1か月以上取得予定。1か月以上を目途に育休等を取得する取組が浸透。
    1. 公表の趣旨
      • 政府は、取得促進方針に基づき、令和2年度から、子供が生まれた全ての男性職員が1か月以上を目途に育児に伴う休暇・休業を、原則として、出生後1年以内に取得できることを目指して取組を進めています。
      • 今般、令和2年度の対象者について、取組等の実施状況のフォローアップを行ったものです。
      • 取得促進方針:「国家公務員の男性職員による育児に伴う休暇・休業の取得促進に関する方針」(令和元年12月27日女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会決定)
    2. 調査結果
      • 令和2年4月から6月までに子供が生まれた男性職員(2,929人)のうち、子の出生後1年以内に育児に伴う休暇・休業を取得した職員は99.0%(2,900人)
        • 当該休暇・休業を取得した職員1人当たりの平均取得日数は50日
        • 当該休暇・休業を取得した職員のうち「1か月以上(合計)」の休暇・休業を取得した職員は88.8%(2,574人)
      • 令和2年7月から令和3年3月までに子供が生まれた男性職員(8,922人)全員(100%)について、育児に伴う休暇・休業の取得計画を作成
        • 取得計画上の平均取得予定日数は、50日
        • 「1か月以上(合計)」の休暇・休業の取得を計画している職員は97.2%(8,670人)
        • 取得促進方針では、男性職員が安心して育児に伴う休暇・休業を取得できるよう、上司である管理職員が事前に取得計画を作成するとともに、環境整備等を行うこととしている。
    3. 今後の取組
      • 全般的に取組が浸透しており、引き続きこの取組が定着するよう、今後、職員アンケート等の手法も活用しつつ、課題等を把握し、さらに取得しやすい環境整備に努めます。
      • 新型コロナウイルス感染症の影響や災害等派遣により業務等の予定が見通せないなどの理由により、現時点では取得が進まなかったケースも見られますが、これらの職員及びその上司には引き続き計画的な取得を働きかけていくこととしています。

~NEW~
首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第75回(令和3年8月25日開催)資料
  • 感染状況について
    • 感染拡大の歯止めがかからず、全国の新規感染者数は、報告日別では、1か月近く過去最大の水準を更新し続けており、直近の1週間では10万人あたり約128となっている。首都圏に比べその他の地域、特に中部圏の今週先週比が高く、全国的にほぼ全ての地域でこれまでに経験したことのない感染拡大が継続している。
    • 感染者数の急速な増加に伴い、重症者数も急激に増加し、過去最大の規模となり、死亡者数も増加傾向となっている。また、療養者数の増加に伴い、入院等調整中の者の数も急速に増加している。公衆衛生体制・医療提供体制が首都圏だけではなく他の地域でも非常に厳しくなっており、災害時の状況に近い局面が継続している。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(8/8時点)で1.10と1を上回る水準が続いており、首都圏では1.04、関西圏では1.13となっている。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    • 首都圏や沖縄県などにおける新規感染者数について、感染者数の急増や検査陽性率が上昇している状況下では、実際の感染者数が過小に評価されているとの指摘もあるため、トレンドの分析には注意が必要である。
      1. 首都圏(1都3県)
        • 東京では、新規感染者数の増加スピードはやや鈍化しているが、なお増加傾向は継続しており、新規感染者数は約234で過去最大規模の感染拡大が継続している。20-40代が中心だが、高齢者や20代未満の感染者数も増加傾向。入院者数は20-50代を中心に増加が継続。60代以上でも増加が継続。人工呼吸器又は人工心肺を使用している重症者数では、40-60代を中心に高止まり。入院者数と重症者数は共に過去最高の水準で、夜間をはじめ新規の入院受け入れ・調整が困難な事例が生じている。自宅療養や入院調整中の者も急激な増加が継続し、過去最高の水準を更新し続けている。さらに、救急医療や集中治療室等の受け入れなど一般医療の制限も生じている。埼玉、千葉、神奈川では、新規感染者数は、それぞれ、約159、168、185。東京同様、増加スピードはやや鈍化しているが、過去最大規模の感染拡大が継続している。いずれも20-50代が中心だが、10代以下の感染者数も増加傾向。病床、重症病床の使用率が急速に上昇している。特に、神奈川では、ともに8割を超える厳しい状況が続いている。東京、千葉の夜間滞留人口は、お盆明けから増加に転じている。一方、埼玉、神奈川の夜間滞留人口は低い水準で横ばい。首都圏の今後の感染者数の推移に注視が必要。
      2. 沖縄
        • 新規感染者数の増加スピードはやや鈍化しているが、なお増加傾向は継続しており、新規感染者数は約314と全国で最も高く、過去に例のない水準が継続しているが、上げ止まり傾向も見られる。20-30代が中心。病床使用率及び重症病床使用率は9割に届く勢いであり、厳しい状況が続き、入院調整中の者も増加している。夜間滞留人口はお盆明けから減少に転じており、新規感染者数の減少につながるか注視が必要。
      3. 関西圏
        • 大阪では、新規感染者数は今週先週比が1.44で急速な増加が続き、約182。20-30代が中心。入院者数は増加が続き、重症者数も増加。
        • 夜間滞留人口はお盆明けで下げ止まり、感染の拡大は継続する可能性。重点措置から緊急事態措置に移行した京都、兵庫では、新規感染者数の増加傾向が続き、それぞれ、約132、124。いずれも、入院者数が急速に増加。重症病症使用率が急速に上昇し、厳しい状況となっている。滋賀では、新規感染者数の急速な増加が続いており、約102。夜間滞留人口は、滋賀では減少継続、京都では緩やかに減少。兵庫では下げ止まり。減少している地域で新規感染者数の減少につながるか注視が必要。
        • その他、奈良でも新規感染者数が急速な増加傾向が続き、約96。和歌山でも新規感染者数が増加に転じており、約60。
      4. 北海道
        • 新規感染者数は今週先週比が1.26で増加が続き、約69(札幌市約103)。重症病床使用率は2割を切る水準が継続。夜間滞留人口の減少は見られるが、依然高い水準であり、感染の拡大が継続する可能性。
      5. 北関東
        • 重点措置から緊急事態措置に移行した茨城、栃木、群馬では、新規感染者数は、増加傾向が続き、それぞれ約78、78、102。いずれも、入院者数、重症者数が増加傾向で、病床使用率は厳しい状況となっている。夜間滞留人口は、いずれも低い水準を維持。新規感染者の減少につながるか注視が必要。
      6. 中京・東海
        • 愛知では、新規感染者数は、今週先週比が1.94で急速な増加が続き、約121。静岡でも、新規感染者数は、今週先週比が1.60で急速な増加が続き、約106。いずれも、入院者数、重症者数の増加が継続。夜間滞留人口は愛知では、お盆明けから再び増加、静岡では下げ止まりつつあり、感染拡大の継続の可能性が懸念。新たに重点措置地域とされた岐阜、三重でも新規感染者数の急速な増加がみられ、それぞれ、約108、137。いずれも、今週先週比が2を超える水準となっている。
      7. 九州
        • 重点措置から緊急事態措置に移行した福岡では、新規感染者数は、今週先週比が1.33で増加が続き、約148。入院者数は増加が継続し、厳しい状況となっている。重症病床使用率は2割を切る水準。夜間滞留人口はお盆明けから増加に転じており、感染拡大が継続する可能性。熊本では、新規感染者数の増加傾向が続き、約97。新たに重点措置とされた鹿児島では、今週先週比が1.27で増加傾向が続き、約89。病床使用率が7割を超える厳しい状況となっている。
        • その他の各県でも急速な新規感染者数の増加が見られており、佐賀、長崎、大分、宮崎では、それぞれ、約108、44、115、78と25を超えており、特に、大分、宮崎では、今週先週比が1.5を超える水準となっている。
      8. その他重点措置対象地域
        • 福島、石川では、新規感染者数は、上げ止まりの動きが見られ、それぞれ、約38、45。夜間滞留人口は低い水準で推移、新規感染者の減少につながるか注視が必要。
        • 宮城、富山、山梨、岡山、広島、香川、愛媛でも、新規感染者数の増加傾向が続いており、それぞれ、約69、73、74、88、83、64、40。特に、富山、広島では、今週先週比が1.5を超える水準で急速に増加している。宮城、山梨では病床使用率が8割を超え、香川では7割を超える厳しい状況となっている。
      9. 上記以外
        • その他の地域でも多くの地域で急速な新規感染者数の増加が見られており、特に、青森、山形、新潟、福井、長野、山口、徳島、高知では、それぞれ約37、31、34、30、43、44、44、75と25を越え、急速な感染拡大となっている。
  • 変異株に関する分析
    • 1.617.2系統の変異株(デルタ株)は、スクリーニング検査での陽性率(機械的な試算、8/2-8/8)が約85%。直近では各地で9割を超える状況と推計されており、一部の地域を除き、B.1.1.7系統の変異株(アルファ株)からほぼ置き換わったと考えられる。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 緊急事態措置や重点措置の継続や拡大にも関わらず、お盆明けには滞留人口の増加の動きも見られ、デルタ株への置き換わりが進み、感染者数がこれまでにはない規模で全国的に増加しているが、今後お盆やお盆明けの社会活動の増加の影響もあり、更に感染者数が増加してくる可能性もある。こうした中で、重症者数も過去最大規模となり、死亡者数も増加傾向となっているが、高齢の感染者や高齢者施設のクラスターも増加しており、今後さらに死亡者が大きく増加することが懸念される。これまでにない災害レベルの状況にあるとの認識での対応が必要。また、20才未満の感染者が増加している。今後夏休み明けで学校が再開するが、感染が拡大しないよう対策が必要。ただし、小中高大学などの教育機関によって影響や対応法も異なることに注意が必要。
    • 中等症や重症患者の入院調整対応が困難となり、手術など一般医療の制限や救急での搬送が困難な事例も生じており、今後、コロナ対応の更なる強化に伴い、更なる制限も予想される。一刻も早く、現下の感染拡大を速やかに抑えるとともに、医療体制の強化、保健所業務の重点化や支援の強化などが必要である。
    • 感染力が高いデルタ株はこれまでとは違うレベルのウイルスであるという危機感を行政と市民が共有し、今一層の取組が必要。国や自治体においては、これまでの対策のより一層の強化やきめ細やかな呼びかけを行う。
      1. 命を守るために必要な行動を
        • 普段会わない人と会う機会が感染リスクを高めることが示されており、そのような感染の機会をできるだけ減らすことが必要。既にワクチンを接種した方も含め、市民は、自分や家族を守るためにも、外出はなるべく避けて(最低でもこれまでの半分以下の頻度に)、家庭で過ごしていただくことが必要。外出せざるを得ない場合も遠出をさけ、混雑した場所や時間など感染リスクが高い場面を避けること。引き続き、ワクチン接種を積極的に進めるとともに、少しでも体調が悪ければ検査・受診を行うこと。
      2. 学校などでの感染対策の徹底を
        • デルタ株の流行以降、10代以下の感染者数は増加傾向にある。保育所などの福祉施設や小中高大学などの教育機関においては、国立感染症研究所実地疫学センターから示された対策に関する提案を参考にした感染対策の強化が求められる。
      3. 基本的な感染対策の徹底を
        • 基本的感染防止策のほか、業種別ガイドラインの再徹底、職場での感染防止策の強化、会議の原則オンライン化とテレワーク推進(特に基礎疾患を有する方や妊婦など)、有症状者は出社させず休ませることなどを徹底すべき。
      4. 最大限に効率的な医療資源の活用を
        • 都道府県が主体となって地域の医療資源を最大限活用して、新たに特例承認された中和抗体薬の活用や、重症化に迅速に対応できる体制を早急に整備することにより、必要な医療を確保することが求められる。さらに、全国的に厳しい感染状況が少なくとも当面は続くという前提で、改正された感染症法第16条の2の活用や臨時の医療施設などの整備を含め、早急に対策を進める必要がある。

~NEW~
国民生活センター 大雨 慌てず 早めの避難で安全確保を
  • 内容
    • 台風や集中豪雨などの大雨によって、冠水や河川が氾濫することがあります。地域によっては、土砂崩れや土石流などの土砂災害が発生することもあります。いざというときに慌てないように日頃から備えをし、避難の際は早めの行動を心がけましょう。
  • ひとこと助言
    • 自宅周辺に浸水や土砂災害などが発生しやすい場所がないかをハザードマップなどで確認しておきましょう。
    • 家族と避難場所や避難経路について話し合い、連絡方法なども決めておきましょう。
    • 災害時は、状況や危険度の高まりに応じて、避難する行動やタイミングが異なります。ニュースや自治体からの情報を入手できるようにし、台風や大雨が近づいているというニュースや気象情報を見聞きしたら、避難経路など災害への備えを今一度確認しましょう。
    • 情報から取り残されている方が周辺にいるかもしれません。家族や近隣住民が災害情報を入手し、声掛けなどを行い、早い段階で避難を促しましょう。
    • 避難が必要な状況になった際は、直ちに命を守る行動をとってください。避難場所への移動がかえって危険となる場合には、近くの頑丈な建物などの安全な場所や自宅の2階や3階、あるいはマンションの上階など、垂直方向へ避難しましょう。

~NEW~
総務省 AIネットワーク社会推進会議 AI経済検討会 報告書2021の公表
▼「AI経済検討会 報告書2021」概要
  • いずれの領域でも半数以上の企業でデータが用いられているものの、AIの活用は1割に満たない状況。
  • データ活用の環境構築については、データを経営に活かしている企業では、約4割が「全社的にデータ活用ができる環境を構築」、約3割が「複数の部署内でデータ活用ができる環境を構築」と回答。ただし、約2割の企業は「特定業務でのみデータ活用ができる環境を構築」と回答。
  • データ分析の体制については、約7割の企業が「各事業部門のデータ分析が専門ではない人」と回答。「データ分析を行う専門部署の担当者」や「各事業部門のデータ分析専門の担当者」は約2割という状況。
  • データ活用による効果(主観的効果)について、投入面(業務効率化による費用削減等)では、いずれの領域でも約1割が「非常に効果があった」、約4割が「多少効果があった」と回答。産出面(売上高増加等)では、全体的に投入面に比べて効果を感じた企業が少なかった。
  • 投入面と産出面の効果の関係については、投入面で効果を感じている企業は産出面でも効果を感じている傾向がある。ただし、「製品・サービスの企画、開発」、「マーケティング」、「生産・製造・サービス提供」領域については、投入面で全く効果がなかった企業の1~2割程度が産出面では効果を感じており、これらの領域では売上高等を拡大させることを主目的に取り組んでいる企業が一定数存在することが推察される。
  • 分析結果を踏まえた示唆
    1. 全社的なデータ活用環境構築の重要性
      • 特定の業務や部署ごとではなく、全社的にデータを活用できる環境を構築し、利用することが付加価値の増加につながると考えられる。
      • IoTなどによって様々なデータの入手が可能となる中、多くの企業が保有する基本的な顧客データに加え、Web上のアクションや人の
      • 行動、機械等の動作などに関する多様かつ大量のデータを集約し、全社的に活用するメリットが今後拡大する可能性がある。
      • 大量のデータとAI活用は相乗効果が期待されるため、併せてAIを活用できる環境の構築も望まれる。
      • 政策的な取組例
        • データを全社的に活用することの重要性を啓発し事業戦略化を促進
        • AI基盤を含めたデータ活用のための基盤整備の促進
        • データの管理、情報保護、セキュリティ対策等に対する情報提供(マニュアル、ガイドライン等)の充実 等
    2. 人材育成及び組織づくりの重要性
      • データ活用の課題として、人材、スキル・ノウハウ不足が挙げられた一方、データ分析を行う専門部署が存在し、そのような部署で分
      • 析が行われることが付加価値の増加につながると考えられる。
      • データ活用に取り組むための人材の育成やデータ分析を専門に行う組織の構築が有効である可能性がある。
      • 政策的な取組例
      • 人材の育成方策や組織構成についての成功事例の共有、重要性の啓発
      • 専門人材の派遣やシェアリング等による機会の提供(主に中小企業) 等
    3. 外部連携(組織、データ)の重要性
      • データ活用に当たり、外部データの利用やアライアンス等による共同分析を行うことに有効性が見られた。
      • 個社が自前で入手できるデータや分析体制の構築には限界があるが、外部資源の利用により、これを補う情報や知見を得られるた
      • めと考えられ、積極的な取組が有効である可能性がある。なお、外部との連携に当たっては、セキュリティやプライバシーに十分留意して行う必要がある。
      • 政策的な取組例
        • 外部資源の活用の成功事例の共有、重要性の啓発
        • オープンに活用が可能なデータ基盤の整備促進
        • データ取引の整備促進(情報銀行、データ連携基盤)
        • マッチングの機会提供によるアライアンス形成の促進 等
  • 新型コロナ禍におけるAIへの投資(世界)
    • 世界におけるAIへの投資は、2020年に約679億米ドルとなり、2019年と比較して約40%増加。民間投資も旺盛であり、新型コロナ禍でもAIへの期待は拡大していると見られる。
    • 規模としては、民間投資が全体の6割強を占める中、堅調な伸びを示している。また、2020年はM&Aが倍増。
    • 領域別では、「医療、創薬」や「教育、英語」、「ゲーム、スポーツ」が増加している一方、「コンピューティング技術」や「半導体、データセンター」などの情報通信に関連する領域では減少。技術面での開発・改良から、より実践的なAIの活用に期待が寄せられていることがうかがえる。
  • 新型コロナ禍におけるAIへの投資(国内)
    • 企業向けアンケート調査において、新型コロナの影響(2019年度から2020年度への変化)に関する設問を設定したところ、売上高については、全体で6割超の企業が減少する見込みと回答。「情報通信業」や「不動産業、物品賃貸業」を中心に50%以上増加することを見込む企業も存在。
    • ICT関連の投資・支出は、データ活用に関連する投資・支出について、全体で約7割の企業が「不変(±1%)」と回答。また、ICTハードウェア投資・支出、ICTソフトウェア投資の投資・支出についても概ね同様の傾向。なお、クラウドサービス支出は、増加を見込む企業が減少を見込む企業を大きく上回った。
    • 多くの企業が売上高の減少を見込む中においても、デジタル化を進めていると見られる。
  • 新型コロナの感染拡大前後におけるIT部門・人材の変化
    • 重視するIT部門の機能・能力を「新型コロナの感染拡大前」と「今後」で比較すると、「ITを用いたビジネスモデルの企画・推進」や「IT人材の採用・育成」が大きく増加するとともに、「データマネジメント」もほぼ倍増。
    • これまでの情報システムの導入・運用だけでなく、デジタルトランスフォーメーションやデータマネジメントの推進などで全社的な取組が必須となり、より他部署との連携が求められるようになると見られる。
    • 人材についても、「IT戦略担当」とともに「データマネジメント担当」、「データ分析担当」が大幅に増加。
    • データに基づいた意思決定を重視する傾向が見られる。背景にはデジタル化、オンライン化が進んだことによってデータの入手が容易になり、そのデータをビジネスに活用できる人材の必要性が増したことが考えられる。
    • 今後は、データを経営判断やビジネスに活用する動きが加速することが期待される。ただし、ポストコロナ時代において中長期的にどのような影響・変化があるかについては、引き続き注視が必要。
  • 技術は第四次産業革命をもたらすか
    • 日米をはじめとする近年の先進各国の成長率には鈍化傾向が見られ、AI、データやロボットが生産性を飛躍的に向上させるという技術楽観主義は現在までのところ指標上は根拠に欠ける面がある。
    • 技術が普及すれば第四次産業革命が起こり、高成長がもたらされるという単純な見方には疑問が呈されている。
    • 要因としては、AIの能力の制約の大きさが挙げられる(パターン認識には高い精度を発揮するものの、未だ応用力は低く限定的なものであるとの評価もある)。また、生産用ロボットの普及が既に一定水準まで達していることなど、AIの導入を伴う自動化が資本増加による生産性の加速要因になりにくいことも挙げられる。ただし、労働者の労働条件の改善や働き方改革に貢献する可能性がある。
    • スキルの高いAIやデータ関連の人材の大企業への集中などが起これば、サービス分野に多数存在する中小企業などがデジタル化に取り残され、ボーモル効果(機械や技術の革新により生産性が向上する事業に対し、労働集約的な事業では人的活動に大きく依存しているため生産性を向上させることが難しいこと)を通じた生産性低迷の一層の深刻化が懸念される。
    • しかしながら、デジタル化への遅れを伸びしろと考えれば成長への機会を掴める可能性もあると言え、そのような意味で日本は岐路に立っている。
    • 仮に、労働市場の二極化を契機として多数の労働者が労働集約的な事業に移動すれば、トータルな生産性がほとんど向上しない可能性がある。
  • AIと成長機会
    • 米国・中国等に比べて日本において、AIやデータの活用が立ち後れており、その価値を計測するための取組事例も十分ではない。
    • 労働生産性の低迷が続き、今後も少子高齢化により労働人口の減少が見込まれる日本において、AIやデータ活用、デジタル化そのものを推し進め、生産性を向上させ、豊かな国民生活に結実させることは悲願ともいうべき大きな期待となっている。
    • 新型コロナの感染拡大というこの大きな危機を糧として、政府や企業、自治体を含む日本全体でデジタル化に関する取組を進化させ、AIによって労働力を補うとともに生産性を大きく向上させていくことで、経済の飛躍を目指せるかどうかが、日本の今後の発展と世界における立ち位置を決める分水嶺となる。
  • まとめ
    • 今回の調査結果から、世界的な新型コロナの感染拡大によって、社会経済活動のデジタル化が進み、また、同時にデータの重要性が認識されるようになってきた様子が見受けられる。AIの活用は、まだ発展途上であるものの、今後技術が進歩することによって、ますます社会のデジタル化とAIやデータの活用が進むものと予想される。
    • 今回の分析では、中小企業も大企業と同様にデータ活用が付加価値とプラスの関係にあることが示唆された。少子高齢化による労働力人口の逓減が継続する状況において、データと労働が補完し合う形で生産性を向上させることができれば、新たに起業された中小企業においてデータ活用の効果が期待できることは言うまでもないが、我が国のサービス分野に多数存在する既存の中小企業にとっても光明と言えるかも知れない。
    • データ活用が付加価値の創出や生産性の向上を実現するためには、具体的には、企業の組織体制の構築や専門的にデータ分析を行う人材の育成、外部との連携、ノウハウの蓄積、環境構築などの要素が重要になると考えられ、これらの取組を促進していく必要がある。また、これまで企業はICTを業務の効率化や省力化のために用いる傾向があり、データ活用についても現状では産出面より投入面の効果を感じている企業が多いという調査結果を得たが、我が国が生産性を高め、成長を実現していくためには、効率化だけでは不十分である。
    • もっとも、投入面の効果が直接、あるいは間接的に産出面に効果をもたらすことも考えられるが、いずれにおいても、自社内のリソースのみを活用した取組には限界があり、我が国が先鞭を付けた情報銀行の取組をはじめ、データを含めた外部リソースも活用した取組が重要となる。
    • なお、データの流通を促進していくためには、個人データをめぐる権利関係をどのように考えるかといった議論も重要であり、今後、こうした点も踏まえた上で、オープンなデータのシェリングを進めて競争環境を整えることでイノベーションを促し、中小企業も含め、AIやデータを用いた新たなビジネスモデルの構築などデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現していく必要がある。
    • 企業によって、業種や業務内容、データ活用の目的や効果は様々であり、今回の分析で明らかになった点を考慮しつつ、引き続き、多角的な視点から分析、検討していくことが必要である。特に新型コロナによって企業活動は大きな変革のさなかにあり、固定概念にとらわれない視点での検討も求められるであろう。公的部門(行政)や医療、教育など本報告書における調査分析で対象となっていない分野や部門のデジタル化の遅れが日本の低成長の要因となっており、これらの分野や部門デジタル化を推進するための検討や取組の重要性が高いとの指摘もある。
    • また、データは新型コロナに立ち向かう一つの有力なツールでもあり、社会全体としてのデータとの向き合い方が問われている。これらは残された課題である。

~NEW~
国土交通省 橋梁等の2020年度(令和2年度)点検結果をとりまとめ~道路メンテナンス年報(2巡目の2年目)の公表~
  • 2013年度の道路法改正等を受け、2014年度より道路管理者は全ての橋梁、トンネル、道路附属物等について、5年に1度の点検が義務付けられています。2018年度に1巡目点検が完了し、2019年度から2巡目点検が実施されています。
  • また、道路の舗装については、今後の効率的な修繕に向け、舗装の現状を把握することを目的に、国土交通省では2016年度に舗装点検要領を策定し、国、地方公共団体において点検要領等をもとに定期点検を実施しているところです。
  • 今般、2020年度までの点検や診断結果、措置状況等を「道路メンテナンス年報」としてとりまとめましたのでお知らせいたします。
    1. 2巡目点検は1巡目点検より着実に進捗
      • 2巡目(2019年度~2020年度)の点検実施状況は、橋梁:38%、トンネル:34%、道路附属物等:40%と、1巡目点検よりも着実に進捗しています。
    2. 地方公共団体の修繕等措置の着手・完了率が低水準
      • 1巡目点検で早期又は緊急に措置を講ずべき状態(判定区分III・IV)の橋梁における地方公共団体の修繕等措置の着手率は55%、完了率は35%と低水準となっています。(2020年度末時点)
      • <参考>国土交通省:着手率83%、完了率42% 高速道路会社:着手率66%、完了率45%
      • 判定区分III・IVである橋梁は次回点検まで(5年以内)に措置を講ずべきとしていますが、地方公共団体において5年以上前に判定区分III・IVと診断された橋梁の措置の着手率は、6~7割程度と遅れています。
    3. 舗装の修繕等措置の着手率が低水準(国土交通省、地方公共団体 新規)
      • 2017年度以降4年間の点検の結果、修繕段階(判定区分III)の舗装の延長は、国土交通省:約5,900km、地方公共団体:約8,900km
      • このうち、修繕等措置に着手した割合は、2020年度末時点で国土交通省:15%(約900km)、地方公共団体:15%(約1,400km)
    4. 「全国道路構造物情報マップ(損傷マップ)」を初公開

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金融庁 証券監督者国際機構(IOSCO)が、ESG格付け及びデータ提供者についての意見募集を開始
  • 証券監督者国際機構(IOSCO)の代表理事会は、環境・社会・ガバナンス(ESG)格付け及びデータ提供者に関する一連の提言案に対して、フィードバックを求めている。
  • 環境・社会・ガバナンス(ESG)格付け及びデータ提供者に関するIOSCOの提言案に対する市中協議文書(以下、「本市中協議文書」という。)は、IOSCOメンバー当局がESG格付け及びデータ提供者の活動の影響を理解し、これらの活動から生じるリスクを軽減するための枠組みの確立を支援することを目的としている。そして、これらのリスクを軽減し、ESG格付け及びデータ提供者からの商品・サービスの利用者や、ESG格付け及びデータ商品の対象となる企業が直面するいくつかの課題に対処するための一連の提言を行っている。
  • IOSCOは、活動報告のために調査を行った結果、他のリスクや課題の中でも、ESG格付け及びデータ商品を支える手法についての透明性が欠如していることや、業界や地域ごとに提供される商品のカバレッジがしばしば不均一であることが明らかになった。これらの結果は、投資戦略に適用された場合にギャップや不整合をもたらす可能性があり、また、報酬体系や、発行体に対しESG格付けのパフォーマンスを向上させるためにアドバイザリーサービスを提供するビジネスとの不十分な分離など、潜在的な利益相反の管理に関する懸念を引き起こすとIOSCOは考えた。
  • ESG格付け及びデータの市場は、企業レベルで一貫性のある情報開示が不足していること、ESG商品に対する投資家の関心が高まっていること、法律や規制が金融市場参加者による潜在的な投資におけるESG特性の考慮に焦点を当てていることなどを理由に、ここ数年で大きく成長した。
  • しかし、この市場は、現在のところ、証券市場規制当局の典型的な業務の範囲外であるため、IOSCOは、この分野における証券市場規制当局の重要な検討事項を提案している。
  • 本市中協議文書は、IOSCOがメンバー当局や他の国際機関と緊密に連携して開発しているサステナビリティに関する全体的な枠組みの追加部分である。本年6月に公表された「企業のサステナビリティ開示に関する報告書」は、企業レベルでのデータのギャップに対処するものである。同じく6月に公表された「資産運用におけるサステナビリティ関連の実務、方針、手続及び開示に関する提言案」では、投資家の資金をサステナブルファイナンスに流入させる重要な受託モデルのビジネスとして、アセットマネジャーの活動に焦点を当てている。その中で、アセットマネジャーの意思決定におけるESG格付け及びデータ商品の重要性を強調している。
  • IOSCOの議長であり、香港証券先物委員会(SFC)長官であるAshleyAlderは、次のように述べている。「ESG格付け・データ商品の利用は増加傾向にあるが、ほとんどの国・地域では、これらの商品の提供者を明確にカバーする規制の枠組みがない。利用者は、複数のESG格付け及びデータ商品を入手することで混乱が生じ、関連性、信頼性、グリーンウォッシュに関する深刻な疑念をもたらすことを指摘している。本市中協議文書での提言は、ESG格付け及びデータ提供者、利用者、ESG格付け及びデータ商品の対象となる企業が直面する課題やリスクに対処するための取組みの一環である。」
  • IOSCOサステナブルファイナンス・タスクフォースの議長であり、スウェーデン金融監督庁長官であるErik Thedéenは、次のように述べている。「我々は、ESG格付け及びデータ商品の利用に関して生じる可能性のある課題やリスクについて、あらゆる面から理解しようと努めてきた。これは、企業レベルでのデータの信頼性と比較可能性の欠如に対処するための我々の取組みと、サステナビリティ分野での資産運用活動のために我々が打ち出した提言を補完するものである。今回の提言は、ESG格付け及びデータ商品の信頼性・比較可能性・解釈可能性の向上、手法の透明性、利益相反の管理、ESG格付け及びデータ商品の対象となる企業との交流など、幅広いテーマで構成されている。」

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金融庁 Instagramにおける金融庁個人間融資対策アカウントの開設について
  • 金融庁では、Instagramにおいて金融庁個人間融資対策アカウント(@fsa_p2pl)を開設し、貸金業法の規定に抵触(=いわゆるヤミ金に該当)するおそれがある書込み(「お金貸します」、「融資します」等)に対して、注意喚起を実施することといたしましたので公表いたします。
  • 個人間でお金の貸し借りを行う場合であっても、反復継続する意思をもって金銭の貸付けを行うことは、貸金業法上の「貸金業」に該当します。

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内閣府 第11回規制改革推進会議
▼資料3 規制改革の主な成果と当面の課題について
  1. 規制改革の主な成果
    1. 規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)
      • 2020年9月より「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」を開設し、これまで8,416件のご意見・ご提案を受付。
      • 処理能力を超える受付件数となったため、2020年11月27日に新規の受付を停止したが、受け付けたご意見・ご提案に対する対応が進展したため、令和3年8月23日(月)から新規の受付を再開。
      • ご意見・ご提案を受けて対応した規制改革の例は、以下のとおり。
        1. 国民年金における保険料免除手続の電子化
          • 国民年金における保険料免除申請はハガキを郵送する必要があったが、令和4年5月頃から、マイナポータル上で免除手続ができるようにシステム開発を進める。
        2. 引っ越しに伴うナンバープレート交換に関する特例の創設
          • ナンバープレートの地域を越える引っ越しをした場合、ナンバープレートの交換をしなければならないが、個人がオンラインで変更申請する場合に、オンラインだけで完了するよう次回車検時までナンバープレート交換を猶予する特例を創設。令和4年1月から運用開始予定。
    2. デジタル
      1. デジタルガバメント関係
        • 押印や書面を義務付ける法律について、デジタル社会形成関連法律整備法の中で、48法律を令和3年5月に、一括改正(押印関係:22法律、書面関係:32法律)。
        • 押印を求める行政手続は、政省令等の改正も含めて、全体の99%(15,493種類)の押印義務を廃止。
        • 書面の作成・提出を求める行政手続は、令和7年までに、全体の98%(18,180種類)について、オンライン化を実施予定。
      2. 民間におけるデジタル化
        • オンライン診療・オンライン服薬指導について、新型コロナウイルス感染症が収束するまでは現在の時限的措置を着実に実施するとともに、収束後は、当該措置の恒久化として、以下のとおり、措置を講ずる。
        • オンライン診療は、初診からの実施は原則かかりつけ医としつつ、かかりつけ医がいない場合等においても、一定の要件の下初診から実施。
        • オンライン服薬指導は患者がオンライン診療を受診した場合に限定せず、薬剤師の判断により初回からオンライン服薬指導を可能とする。
        • 放送と同時配信等に関する著作権制度の見直し:これまでの著作権制度では、放送と同時配信等の扱いが異なり、それぞれ使用許諾が必要。令和3年6月に著作権法を改正し、放送を許諾した場合に、同時配信等の許諾を推定する規定を創設。令和4年1月施行。
    3. グリーン
      1. 再生可能エネルギーの立地制約の解消
        • 営農型太陽光発電の設置許可基準として、同じ地域・作物の8割の収穫をあげる要件が含まれていたが、令和3年3月に、荒廃農地に関しては、当該要件を課さない見直しを行った。
      2. 再生可能エネルギーの系統制約の解消
        • 送電網を最大限活用するため、空き容量を超えて発電した場合には、出力を抑えることを条件にして接続を認める方式(ノンファーム型接続)を、基幹系統(概ね187キロボルト以上)において令和3年1月から全国展開。さらに、ローカル系統(概ね11~187キロボルト)に関して、現在、東電管区内で同方式を試験的に導入しているが、令和6年度末までのできるだけ早いタイミングで全国展開する。
    4. 地域経済の活性化
      • 自家用車を有償運送に利用可能な期間は、年末年始・夏期繁忙期に限定されていたが、春期繁忙期等も対象にする見直しを令和3年9月に実施。
      • 民泊サービスで発生するごみは事業系ごみに該当するが、有料ステッカー貼付等により、家庭ごみと一緒に収集を行う運用を認めている事例や、家庭用台所と営業用調理場の併用等の食品衛生法の弾力的運用が可能であることを全国の地方自治体に周知する。
      • 米については、農協等の農産物検査機関ではなく、農業者等による自主的な検査であっても、表示の根拠を保管することを要件として、産地・品種・産年の表示を認める見直しを実施(改正食品表示基準 令和3年7月施行)。
    5. 教育・働き方
      1. 教育分野
        • オンライン教育を実施するにあたっての学校現場の創意工夫の促進、不登校児童生徒や病気療養児のためのオンラインを活用した学習の一層の円滑化、非常時等における学びの保障の措置を実現。
      2. 雇用分野
        • テレワークガイドラインを令和3年3月に改訂し、テレワークの対象業務、対象者、導入に当たっての望ましい取組、人事評価、費用負担、労働時間管理などに関する考え方を示し、テレワークを推進。
  2. 規制改革の当面の主な課題
    1. デジタル
      1. デジタルガバメントの推進
        • 失業認定申請書や転入届・転居届など、性質上オンライン化できないとされる官民の手続の検証。
        • 本人認証方法の統一(個・マイナンバーカード、法人:GビズID)、行政機関間の連携による添付書面等の削減、民間サービスとのAPI連携等による利便性向上に取り組み、官民の手続のオンライン利用率を横断的かつ大胆に引きあげる。
        • 自動車車検に係る諸費用や不動産登記の手数料や、在留資格の変更・更新の手数料などにおけるオンライン納付や窓口におけるキャッシュレス払いの導入。
        • 損害賠償等の民事訴訟手続に関しては、オンラインでの訴訟提起やオンライン出廷等を可能とするため、次期通常国会での民事訴訟法改正を目指した検討が進められているが、倒産等の民事非訟手続、離婚等の家事裁判手続及び刑事手続についてもデジタル化に向けた検討を進め、司法分野におけるデジタル化を推進する。
      2. 医療・介護分野におけるデジタル化
        • オンライン診療に関する診療報酬上の取扱い。
        • 情報通信機器を活用した医薬品販売規制の見直し。
        • デジタル技術の進展を踏まえた医療機器の審査等の迅速化。
      3. 簡素で一元的な権利処理を可能する著作権制度の見直し
        • 過去コンテンツ、アマチュアのクリエイターによる創作物等の膨大かつ多種多様な著作物の利用円滑化等を図る著作権制度の見直し。
    2. グリーン
      1. 再生可能エネルギーの導入促進に向けた規制改革
        • 住宅・建築物に関して、将来の太陽光発電設備の設置義務化も選択肢としたあらゆる手段の検討・設置促進のための取組の推進。
        • 太陽光発電等の小規模電源が接続される配電系統(概ね6.6キロボルト以下)へのノンファーム型接続の適用拡大の検討。
    3. 地域経済活性化
      • タクシーメーターにおけるGPSを活用したソフトメーターの導入に向けた制度設計。
      • 農業関係者による農地等に係る決定権の確保等の措置を講じた上で、地域に根差した農地所有適格法人における出資による資金調達の柔軟化。
    4. 子育て・教育・働き方
      1. 安心な子育ての実現に向けた環境整備
        • 男性の育児休業の積極的な取得に向けて、令和4年4月以降の育児介護休業法の改正法の施行に向けた制度詳細の検討。
        • 保育士不足の解消に向けた制度の見直し。
        • 子どもの貧困への対応(養育費等)。
      2. 個々の児童・生徒等に最適な学びを提供する環境整備
        • 学習者主体の教育への転換を目指し、デジタル時代の多様な学習ニーズにこたえるため、大学設置基準見直し等によりオンライン教育の推進を図るなど、ICTを活用した学びの後押しを進める。
        • 多様な外部人材を教育現場に携われるようにするため、特別免許状をはじめとする制度の在り方を検討。
      3. 多様で柔軟な働き方・自律的なキャリア形成に向けた環境整備
        • 裁量労働制を含めた労働時間制度について、厚生労働省の実態調査の結果を踏まえて、労働時間の上限規制や高度プロフェッショナル制度等、働き方改革関連法案の施行状況も勘案しつつ、労使双方にとって有益な制度となるような検討を行う。
        • 多様な正社員(勤務地限定正社員、職務限定正社員等)の雇用ルールの明確化について、厚生労働省の実態調査の結果を踏まえて議論を行い、厚生労働省の検討会において、取りまとめを行う。

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内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
▼8月閣僚会議資料
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状【判断維持】
      • 景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している。
    2. 先月の判断
      • 景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している。
    3. 先行き
      • 先行きについては、感染拡大の防止策を講じ、ワクチン接種を促進するなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
  • 政策の基本的態度
    • 政府は、東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組むとともに、決してデフレに戻さないとの決意をもって、新型コロナウイルス感染症の感染対策に万全を期す中で、雇用の確保と事業の継続を通じて、国民の命と暮らしを守り抜く。あわせて、「経済財政運営と改革の基本方針2021」等に基づき、グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策の4つの課題に重点的な投資を行い、長年の課題に答えを出し、力強い成長を実現する。
    • 新型コロナウイルス感染症に対しては、21都道府県を対象に緊急事態措置、12県を対象にまん延防止等重点措置を9月12日まで実施することとしており、引き続き、医療提供体制の確保、感染防止対策の徹底、ワクチン接種の推進の3つの柱からなる対策を確実に進める。経済への影響に対しては、重点的・効果的な支援に万全を期す。さらに、成長分野への民間投資を大胆に呼び込みながら、生産性を高め、賃金の継続的な上昇を促し、民需主導の成長軌道の実現につなげる。政府は、令和2年度第3次補正予算及び令和3年度予算を迅速かつ適切に執行する。引き続き、感染状況や経済的な影響を注視し、状況に応じて、予備費の活用により臨機応変に必要な対策を講じていくとともに、自律的な経済成長に向けて、躊躇なく機動的なマクロ経済政策運営を行っていく。
    • 日本銀行においては、企業等の資金繰り支援に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から、金融緩和を強化する措置がとられている。日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。
      1. GDP・設備投資計画
        • 本年4-6月期の実質GDP成長率は、前期比0.3%と2期ぶりのプラス。海外経済の改善の下、輸出は4期連続の増加。また、個人消費も、緊急事態宣言等を発出し人為的に活動を抑制したなかで、長引く自粛の下で旺盛な消費意欲もみられ、2期ぶりの増加。
        • 4-6月期は設備投資も増加。先行きについても、2021年度計画は、設備投資全体、特にソフトウェア投資について大幅増が見込まれており、グリーンやデジタルに関する前向きな投資が計画されている。こうした動きが今後も経済のけん引役となることを期待。
      2. 企業収益・倒産
        • 4-6月期の上場企業の経常利益は、前年の反動もあり、製造業・非製造業ともに前年比大幅増。非製造業では、運輸業の利益がコロナ前よりも引き続き抑制されているなど回復にばらつきがみられる。
        • 今年に入り企業物価は上昇。川上の「素原材料」は国際市況を受けて大きく上昇しているが、川下の「最終財」への価格転嫁は限定的。価格転嫁の動向によっては、企業収益にマイナスの影響が生じ得る。
        • 倒産件数は、資金繰り支援等もあり低水準が続く。ただし、企業債務の水準は高く、経済の活動レベルを高めていくことが必要
      3. 個人消費
        • 4-6月期の個人消費は、財が底堅い動きを続ける中、サービスが低水準ながらも前期から増加。世帯主年齢別に4-6月期の世帯支出をみると、コロナ前(2019年)に比べ、30代以下が世帯主の家計ほど相対的に消費を行っており、60代以上が世帯主の家計ほど相対的に消費を抑制している。
        • 7月以降の週次消費額をみると、7月下旬の4連休を含む週では過去3年並みとなったが、8月は、通常であればお盆時期で消費が盛り上がるところ、今年は例年に比べ低い水準で推移している。
      4. 輸出・生産
        • 海外経済の回復を背景に、輸出は緩やかな増加が続く。その下で、製造業の生産も、5G関連等で需要が旺盛な電子部品・デバイスや設備投資向けの生産用機械を中心に持ち直している。
        • ただし、東南アジアにおける感染拡大に伴う部品供給不足が生じており、一部自動車メーカーは8月下旬~9月に国内での減産を発表。国際的なサプライチェーンを通じた感染症の影響には注意が必要。
      5. 雇用情勢・物価
        • 6月の雇用状況は、弱さが続く中でも、雇用者数は前月から20万人増加、失業率は2.9%と前月差0.1ポイント低下するなど、生産増と連動した動き。7月以降の感染拡大の影響には注意が必要だが、ハローワークによるネット経由の日次求人件数は、2019年同月比で水準は低いものの、持ち直しの動き。
        • 6月の賃金は、特別給与(ボーナス)が減少したものの、所定内・所定外給与が下支えし、前年比プラスを維持。なお、パートタイム労働者の特別給与は同一労働同一賃金の適用で厳しい中でも前年比増。
        • 携帯電話通信料下落等の特殊要因を除いた消費者物価の基調をみると、このところ底堅さがみられる
      6. 世界経済
        • 欧米の実質GDPは、ワクチン接種の進展などを背景に、21年4-6月期にプラス成長となり、アメリカではコロナ前の水準を回復。世界経済は持ち直している。ただし、世界的な半導体不足に加え、感染再拡大、アメリカの物価動向、金融資本市場の変動等を注視する必要がある。
        • 先進国と比べワクチン接種が遅れているアジア諸国においても、感染が再拡大。経済活動の制限措置が実施され、製造業景況感が急低下する国もみられる。

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内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(第56回)議事次第
▼資料1 大学改革の方向性について
  • 諸外国の大学は、長期の成長(次世代の研究や若手研究者へ投資)が大前提
    1. 意思決定:長期に渡って一貫した成長戦略を実施できるよう、大学の長ではなく、ステークホルダーを入れた合議体が最終意思決定
    2. 大学の長:自律的な活動により、成長を達成できるマネジメントを実現→学内外から経営的資質を踏まえて合議体が選考・監督
    3. 執行機関:規模の成長や専門性に対応できるよう、大学の長を支える経営幹部の充実→教学担当役員や事業財務担当役員を配置し、責任体制を明確化
  • 「世界と伍する研究大学」に求められるコミットメント(成長と改革にコミットした数大学を支援)
    1. ミッションの見直し(人類経済社会への貢献)= 研究力の飛躍的伸長
    2. 潤沢な外部資金の確保と毎年3%以上の事業成長:※英米の主要研究大学の年間実質平均成長率は3.8%
    3. 成長を可能にするガバナンスシステムの導入:最高意思決定機関としての合議体設置/学長の経営資質を重視/学長を支える経営幹部の充実
  • 大学ファンド 資金運用の基本的な考え方(CSTI資金運用WGまとめ)
    • 運用目的・運用目標
      • 運用目的:世界と伍する研究大学の実現に必要な研究基盤の構築への支援を長期的・安定的に行うための財源の確保。大学基金の指針となる運用モデルを示す
      • 運用目標:長期支出(ペイアウト)目標(3%)+長期物価上昇率(1.38%)以上 ※安定的支援のためのバッファー(3,000億円×2)確保。許容リスク※の範囲内で運用回りを最大化 ※グローバル株式:グローバル債券=65:35のレファレンス・ポートフォリオの標準偏差
    • 基本的な事項
      • 運用手法:投資理論に基づく世界標準の長期投資・分散投資、グローバルな投資を推進し、国内外の成長の取り込みを実現/市場環境の悪化時も含め、投資規律を重視、基本ポートフォリオに基づくリバランスを実施
      • 時間軸 :運用開始5年以内の可能な限り早い段階で3,000億円(実質)の運用益の達成
      • ガバナンス:執行部から独立した運用・監視委員会が運用を適切に監視/運用の「プロ」による実践、このため、専門的知識を有する優秀な人材の確保のための雇用形態や給与体系を構築
      • リスク管理 :財政融資資金の償還確実性を確保、評価損益が一定の水準に達した場合は、投資規律を遵守しつつ、市場環境等を確認し、結果を国に報告
    • 国への期待
      • 投資規律への介入を排除(特に市場環境の悪化時)
      • 大学ファンド監督官庁の在り方やCSTIの関与の検討、運用・監視委の位置づけを検証(合議制の最高意思決定機関等)
  • 地域の大学を取り巻く現状の課題
    • 人材教育の側面:若者にとって地域の大学に魅力がない(大学進学時に、多くの地域では人材が流出)
    • 活動成果の側面:新産業の創出や、産業構造の転換に、地域の大学が貢献出来ていない
  • 地域の大学に対するこれまでの政府の支援取組の課題
    • 各府省が政策目的ごとにバラバラで実施しており、現場目線での統一感がなく、効果が限定的
    • 地域ニーズを捉えた大学の地域貢献や、自治体の大学を活用した社会展望が不十分で、現行の枠組みの範囲から飛び出ない活動に留まる
  • 既定路線を打ち破る構造改革が不可欠
    • 大都市圏以外の地域では、若者が地元の大学を選ばず、県外へ流出
    • 大都市圏以外での大学発ベンチャーの輩出は、ごく僅か
    • 各府省の施策がバラバラに展開
  • 地域の中核大学が、”特色ある強み”を十分に発揮し、社会変革を牽引する取組を強力に支援
  • 実力と意欲を持つ大学の個々の力を強化するのみならず、先進的な地域間の連携促進や、社会実装を加速する制度改革などと併せて、政府が総力を挙げてサポート
  • 地域社会の変革のみならず、我が国の産業競争力強化やグローバル課題の解決にも大きく貢献

~NEW~
消費者庁 徳島県における食品ロス削減に関する実証事業
▼令和2年度流通店舗をフィールドにした消費者向け食品ロス削減啓発モデル事業 結果の概要
  • 主な結果 消費者モニター事前・事後アンケート(有効回答者 992名)より
    1. 消費者による食品ロス問題に関する認識
      • 食品ロス問題について、「よく知っている」に「当てはまる」とした回答者は2割台、「身近な問題と感じる」に「当てはまる」とした回答者は約3割と少なかった。
      • また、行政による普及啓発活動は「十分だと思う」とした回答者は1割未満であり、消費者向けの食品ロス削減に関する啓発活動の更なる取組の必要性が示された。
    2. 流通店舗(スーパーマーケット)における啓発活動について
      1. 事後アンケートによると、スーパーマーケットで情報を伝えること、ポスターを掲示することを「効果的である」とした回答者は7割以上、事前アンケート以降に食品ロスに関する考え方や行動に変化があったとした回答者は5割以上であった。事後アンケートにおける食品ロスに関するクイズ問題の正解率は、啓発物の記載内容に関連した問題は事前アンケートと比べて約2割上昇したのに対し、関連しない問題の正解率は低いままであった。1か月という短期間ながらも啓発物の設置による一定の効果が認められた。
      2. ポスターに記載した家庭における食品ロス削減に関する『実践しやすく効果がある取組』で、「買物前に冷蔵庫・食品棚の空きスペースを確認する(当てはまる)」、「保存しておいた料理を捨てる(全くしない)」については、改善傾向が見られた。
      3. 事前アンケートによると、今回のアンケートモニターにおける食品ロス問題に関する情報入手先は、「テレビ」8割以上、「新聞・雑誌」4割程度、「インターネット」2割程度であった。事後アンケートで、食品ロス問題に関する考え方や行動に変化をもたらしたきっかけを尋ねたところ、最も多かったのは、「アンケートへの回答を通して」であり、手を動かして学習の機会を持つことの大切さが示唆されていると考えられるが、全国規模の啓発活動には不向きと考える。次に多かった回答は、「テレビ広告を見て」、「実施店舗で啓発物を見て」となり、ほぼ同じ割合となった。本事業では食品販売中心の代表的なスーパーマーケットを対象としたが、消費者及び従業員の
      4. 来店頻度が高かったことを考えると、全国の流通店舗は啓発活動を実施する場として有望な媒体になると考える。
      5. 店舗別にポスターの掲示場所の違いによる視認率(「見て内容も読んだ」とした割合)を比較したところ、最も高い結果になったのは、約35%のサッカー台付近及びサッカー台天板上での掲示であった
  • 流通店舗における消費者向け食品ロス削減啓発モデルの提案
    • アンケート結果より、ポスターの設置場所としてサッカー台天板上への掲示は効果的であることが明らかとなった。また、店舗への聞き取り等も踏まえると、全国的に啓発活動を実施する場合のポイントは、以下の通りである。
      1. 啓発物の設置場所について
        • 消費者の視認率が期待できること
        • 店舗規模にかかわらず共通して存在すること
      2. 啓発物の設置について
        • 他のポスター等の掲示物を移動・廃棄する等の手間が掛からないこと
        • 店舗の設備を汚さず、簡単に設置・撤去ができること
        • 数か月の期間、継続的に設置できること
      3. 啓発物について
        • 必要な情報を記載できるポスター(A2)程度のサイズ
        • リサイクルが可能で環境に優しい材質
          • 以上のポイントを踏まえて検討した結果、『サッカー台の天板上に置くだけの下敷き・デスクマット型のポスター』による啓発活動を一つの有力な方法として提案したい。環境配慮型の資材を使用し、清潔感を保てるもの、滑りにくいもの(接着テープ等は使えない)、数か月の継続設置に耐える仕様とする。
          • 啓発内容は、食品ロス問題に関する最新情報及び家庭における食品ロス削減に関する『実践しやすく効果がある取組』の行動項目とする。
          • 今回の事業は1か月間の短期間の実施であったが、実際に啓発活動を実施する場合は、来店頻度が少ない消費者のことも考慮し、3か月間程度の継続が望ましいと考える。最新の情報を継続的・計画的に発信していくことで消費者の食品ロスに関する認識度を高め、家庭における食品ロス削減に資する『実践しやすく効果がある取組』を促進する有効な啓発手段になると考える。また、可能な範囲でアンケート調査も実施することで、消費者が現状を振り返り、改善の目標を意識できるような働き掛けを行うことも有効である。

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消費者庁 携帯発電機やポータブル電源の事故に注意!-発電機は屋内で絶対に使用しないでください。死亡事故も発生しています。-
  • 災害時の備えなどにより、携帯発電機やいわゆるポータブル電源の需要が高まっています。
  • 一方で、地震、台風、暴風雪の自然災害による停電時など、屋内で携帯発電機を使用したことによる一酸化炭素(CO)中毒が疑われる死亡事故が発生しています。
  • また、ポータブル電源の火災事故が近年発生しています。
  • 携帯発電機やポータブル電源を使用する際は、以下の点に注意しましょう。
    1. 携帯発電機
      • 屋内では絶対に使用しないでください。
      • 屋外でも、換気の悪い場所・火気を使用する場所では絶対に使用しないでください。
      • 製品ごとに定められた距離を建物及びその他の設備から離してください。
    2. ポータブル電源
      • 製造・販売元がはっきりしている製品を選び、また回収・リサイクルに対応しているか確認しましょう。
      • 使用中の感電に注意しましょう。
      • リコール対象製品となっていないか確認しましょう。

~NEW~
厚生労働省 令和3年9月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がります
  • 自転車を使用して貨物運送事業を行う者
    • これまで、自動車及び原動機付自転車を使用して貨物運送事業を行う者を、一人親方等として特別加入の対象範囲としていましたが、令和3年9月1日からは、自転車を使用して貨物運送事業を行う者も、特別加入の対象となりました。
  • ITフリーランス
    • 労働者以外の方であって、「情報処理に係る作業」(詳しくは下のリンク先をご参照ください)を行う方について、新たに特別加入の対象となりました。
  • ITフリーランスの対象範囲
    • 原則として以下の業務・作業をされる方が対象です。
      • 情報処理システム(ネットワークシステム、データベースシステムおよびエンベデッドシステムを含む)の設計、開発(プロジェクト管理を含む)、管理、監査、セキュリティ管理
      • 情報処理システムに関する業務の一体的な企画
      • ソフトウェアやウェブページの設計、開発、管理、監査、セキュリティ管理、デザイン
      • ソフトウェアやウェブページに関する業務の一体的な企画その他の情報処理
    • 具体的にはこのような方が対象です。
      • ITコンサルタント
      • プロジェクトマネージャー
      • プロジェクトリーダー
      • システムエンジニア
      • プログラマ
      • サーバーエンジニア
      • ネットワークエンジニア
      • データベースエンジニア
      • セキュリティエンジニア
      • 運用保守エンジニア
      • テストエンジニア
      • 社内SE
      • 製品開発/研究開発エンジニア
      • データサイエンティスト
      • アプリケーションエンジニア
      • Webデザイナー
      • Webディレクター 等

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厚生労働省 自動車運転者を使用する事業場に対する令和2年の監督指導、送検等の状況を公表します
▼(別紙1) 自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況(令和2年)
  • 監督指導を実施した事業場は3,654事業場。このうち、労働基準関係法令違反が認められたのは、2,957事業場(80.9%)。また、改善基準告示※違反が認められたのは、1,882事業場(51.5%)。
  • 「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号)(別紙2参照)
  • 主な労働基準関係法令違反事項は、(1)労働時間(45.5%)、(2)割増賃金の支払(22.9%)、(3)休日(3.4%)。
  • 主な改善基準告示違反事項は、(1)最大拘束時間(37.1%)、(2)総拘束時間(27.9%)、(3)休息期間(25.9%)。
  • 重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは61件。
  • 監督指導の事例には、以下のようなものがあった。
    1. 長時間労働のおそれのある運送会社に対して監督指導を実施
      1. 概要
        • 運転者の中に、1日の拘束時間が上限の16時間を超える日が1か月に19日あり、1か月の総拘束時間が約500時間、1か月の時間外・休日労働が時間外又は休日労働に関する協定(以下「36協定」という。)の上限を上回る約250時間となっている者が認められた。
        • 月給額が最低賃金額を下回っており、また、割増賃金の支払が不足していた。
      2. 指導内容
        • 36協定の上限時間を超えて、違法な時間外労働を行わせてはならないことを是正勧告した。また、過重労働による健康障害防止対策として長時間労働の削減について併せて指導した。:労働基準法第32条違反(労働時間)、長時間労働の削減
        • 運転者の1日の拘束時間が16時間を超えてはならないこと、1か月の総拘束時間が協定により延長可能な320時間を超えてはならないこと及び勤務終了後に継続8時間以上の休息期間を与えなければならないことを是正勧告した。:改善基準告示違反(1日の最大拘束時間、1か月の総拘束時間及び休息期間)
        • 最低賃金額以上の賃金及び時間外労働に対し2割5分以上の割増賃金を支払わなければならないことを是正勧告した。:最低賃金法第4条違反(最低賃金の効力)、労働基準法第37条第1項違反(割増賃金)
      3. 指導後の会社の取組み
        • 納入する順番を整理し、効率的な配送コースに見直すこと等により、不要な荷待ち時間の排除や効率的な経路による運転時間の削減につながった。この取組により、1日の拘束時間を16時間以内、1か月の総拘束時間を320時間以内、休息期間を継続8時間以上、1か月の時間外労働を36協定の範囲内とした。
        • 基本給について最低賃金額以上となるように見直した。また、最低賃金との差額及び不払となっていた割増賃金について、1人当たり約4万円を支払った。
    2. 長時間労働のおそれのあるバス会社に対して監督指導を実施
      1. 概要
        • 運転者の中に、1日の拘束時間が15時間を超える日が上限である週に2回を超えており、4週間の平均拘束時間が上限である71.5時間を超える者が認められた。
        • 36協定の上限を超えて時間外・休日労働時間を行わせている状況が認められた。また、1か月80時間を超える者が最も多い月で36名、最長で113時間労働させている状況が認められた。
        • 当該事業場では月85時間までの時間外労働を可能とする36協定を締結していた。
      2. 指導内容
        • 運転者の1日の拘束時間が15時間を超える回数が1週間について2回を超えてはならないこと、また、4週間を平均した1週間の拘束時間が労使協定の上限である71.5時間を超えてはならないことを是正勧告した。:改善基準告示違反(最大拘束時間、1週間当たりの拘束時間)
        • 36協定の上限を超えて時間外労働させてはならないことを是正勧告した。また、過重労働による健康障害防止対策として長時間労働の削減について併せて指導した。:指導事項 労働基準法第32条違反(労働時間)、長時間労働の削減
      3. 指導後の会社の取組み
        • 日々の拘束時間が随時確認できるように運行管理システムを改修し、日常的に運行状況を管理するとともに、ダイヤを見直すことで、拘束時間を改善基準告示の上限以内にまで削減した。
        • 需要の変化を踏まえたダイヤ改正を適時行うことで労働時間の削減を行った。なお、やむを得ず休日出勤が必要となる場合も、一部の運転者が長時間労働とならないよう調整することで、運転手間の負担を平準化し、36協定の範囲内に削減した。
    3. 過労死等の労災請求事案において、トラック運転者に違法な長時間労働を行わせていた疑いで送検
      1. 捜査経過
        • 違法な長時間労働の是正についてこれまで指導を行っていた事業場において、トラック運転者の死亡に係る過労死等の労災請求があったことから、この運転者について事故以前の就労状況を確認した結果、36協定で定める1か月の延長時間を超え、1か月約130時間の違法な時間外労働を行わせていたことが疑われた。
        • また、当該36協定は、締結当事者である労働者の過半数代表者が使用者の意向に基づき選出されており、無効なものであったことが判明した。
      2. 被疑事実
        • 事業場(法人)及び事業主:有効な36協定がないにもかかわらず、労働者に時間外労働を行わせたこと。違反条文 労働基準法第32条(労働時間)

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厚生労働省 外国人技能実習生の実習実施者に対する令和2年の監督指導、送検等の状況を公表します
▼【別紙】技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和2年)
  • 労働基準関係法令違反が認められた実習実施者は、監督指導を実施した8,124事業場(実習実施者)のうち5,752事業場(70.8%)。
  • 主な違反事項は、(1)使用する機械等の安全基準(24.3%)、(2)労働時間(15.7%)、(3)割増賃金の支払(15.5%)の順に多かった。
  • 重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは32件。
  • 監督指導の事例には、以下のようなものがあった。
    1. 災害を契機に監督指導を実施し、フォークリフトとの接触防止等について指導
      1. 概要
        • 食料品製造業の事業場において、箱詰め作業中の技能実習生がフォークリフトと接触し負傷した労働災害が発生したため、立入調査を実施したところ、フォークリフトについて、接触防止措置が講じられておらず、また、無資格者が運転していた。
      2. 指導の内容
        • フォークリフトで作業を行うときは、フォークリフト又はその荷に接触するおそれのある箇所に労働者を立ち入らせないための措置を講じなければならないことを是正勧告した。また、フォークリフト誘導時の合図について、技能実習生にもわかりやすい方法とするよう指導した。:労働安全衛生法第20条第1号(事業者の講ずべき措置等)、労働安全衛生規則第151条の7(接触の防止)違反
        • 技能講習を修了していない労働者に、最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転の業務を行わせてはならないことについて是正勧告した。:労働安全衛生法第61条第1項(就業制限)、労働安全衛生法施行令第20条第11号違反、労働安全衛生規則第41条
      3. 指導の結果
        • 接触防止のため、フォークリフトの運転時に誘導者が配置された。また、合図について技能実習生にもわかりやすいように笛を鳴らす方法とし、朝礼で周知された。
        • 鍵の管理を徹底することで、技能講習を修了している労働者(4名)以外によるフォークリフトの運転を防止することとした。
    2. 監督指導を実施し、割増賃金の不払について指導
      1. 概要
        • 繊維・衣服製造業の事業場に対し立入調査を実施したところ、技能実習生の時間外労働に対し、入国後一定の期間、1時間当たり500円の賃金しか支払っておらず、法定の率で計算した割増賃金を支払っていなかった。
      2. 指導内容
        • 法定の割増率(時間外労働は25%)以上で計算した割増賃金を支払わなければならないことを是正勧告した。:労働基準法第37条第1項違反(割増賃金の支払)
      3. 指導の結果
        • 支払うべき割増賃金を再度計算し、技能実習生6名に対し、入国後一定の期間分の法定の割増賃金との差額として総額約87万円が支払われた。
    3. 外国人技能実習機構からの通報を端緒に監督を実施し、不適切な賃金控除等について指導
      1. 概要
        • 農業を営む事業場において、賃金の計算方法等に問題がある旨の外国人技能実習機構からの通報があったため、所轄労基署が立入調査を実施した。
        • この結果、技能実習生の賃金について、一部の労働時間分が計上されておらず、また、実費以上に水道光熱費が控除されているほか、社会保険料についても法定以上に控除されていた。
        • 年次有給休暇管理簿が作成されていなかった。
      2. 指導内容
        • 労働時間に計上されていない分の賃金を支払わなければならないこと及び認められている以上の金額を控除してはならないことを是正勧告した。:労働基準法第24条第1項違反(賃金の支払)
        • 年次有給休暇管理簿を作成し、有給休暇の取得日数等を記録するよう是正勧告した。:労働基準法施行規則第24条の7違反
      3. 指導の結果
        • 支払われていなかった賃金が支払われるとともに、賃金控除額も適正なものとなった。
        • 年次有給休暇管理簿が作成され、有給休暇の取得日数等が記録されるようになった。
    4. 労働災害を防止するため、機械等の安全措置・点検実施について指導
      • 概要
        • 機械器具を製造する事業場に対して立入調査を実施したところ、技能実習生も使用するベルトサンダー(金属を研磨するための機械)について身体が巻き込まれるおそれがあるローラーの箇所に覆い等が設けられておらず、天井クレーンについても法定点検が実施されていなかった。また、玉掛用具として使用する繊維ベルトにも著しい損傷が認められた。
      • 指導内容
        • 機械のうち、労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所について、覆い等を設けるよう命令した。:労働安全衛生法第20条第1号(事業者の講ずべき措置等)、労働安全衛生規則第101条(原動機、回転軸等による危険の防止)、労働安全衛生法第98条第1項(使用停止命令等)
      • 指導の結果
        • ベルトサンダーのローラーに、覆いが設置された。
        • 天井クレーンについて、年次点検及び月次点検を実施し、新品の玉掛用具が整備された。
  • 労働基準監督機関と出入国管理機関等との相互通報の状況
    1. 技能実習生の労働条件の確保を図るため、労働基準監督機関では、出入国管理機関・外国人技能実習機構との間で、その監督等の結果を相互に通報している。
    2. 労働基準監督機関から出入国管理機関・外国人技能実習機構へ通報(※1)した件数は414件、出入国管理機関・外国人技能実習機構から労働基準監督機関へ通報(※2)された件数は1,381件である。 ※1 労働基準監督機関から出入国管理機関・外国人技能実習機構へ通報する事案労働基準監督機関において実習実施者に対して監督指導等を実施した結果、技能実習生に係る労働基準関係法令違反が認められた事案

      ※2 出入国管理機関・外国人技能実習機構から労働基準監督機関へ通報する事案出入国管理機関・外国人技能実習機構において実習実施者を調査した結果、技能実習生に係る労働基準関係法令違反の疑いがあると認められた事案
    3. 労働基準監督機関が、出入国管理機関・外国人技能実習機構から通報を受けた実習実施者については、監督指導等を実施している。
    4. なお、監督指導等の結果を相互に通報する以外にも、強制労働等技能実習生の人権侵害が疑われる事案については、出入国管理機関・外国人技能実習機構との合同監督・調査を行うこととしており、令和2年は39件の実習実施者に対して実施した。

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厚生労働省 「令和2年度使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表します
▼「令和2年度使用者による障害者虐待の状況等」の取りまとめ結果
  • 通報・届出のあった事業所数、通報・届出の対象となった障害者数はいずれも前年度と比べ減少。
    • 通報・届出のあった事業所数 1,277事業所(前年度比12.4%減)
    • 通報・届出の対象となった障害者数 1,408人(同19.1%減)
  • 虐待が認められた事業所数、虐待が認められた障害者数はいずれも前年度と比べ減少。
    • 虐待が認められた事業所数 401事業所(前年度比 25.0%減)
    • 虐待が認められた障害者数 498人(同 35.4%減)
  • 受けた虐待の種別では、経済的虐待が419人(80.1%)と最も多く、次いで心理的虐待が56人(10.7%)、身体的虐待が24人(4.6%)。

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厚生労働省 妊娠届出数の状況について
  • 令和3年2月の妊娠届出数は70,747件であり、前年同月の71,478件と比較すると1.0%減。
  • 令和3年3月の妊娠届出数は81,717件であり、前年同月の78,339件と比較すると4.3%増。
  • 令和3年4月の妊娠届出数は73,908件であり、前年同月の75,541件と比較すると2.2%減。
  • 妊娠届出について
    • 妊娠届出は、母子健康手帳の交付や妊婦健康診査、両親学級、産前産後サポート事業などの母子保健サービスが適切に住民に行き届くよう、市町村が妊娠している者を早期に把握するための制度である。
    • 法令上、妊娠届出時期について時限は定められていないが、厚生労働省では、妊娠11週以下の時期の届出を勧奨しており、令和元年度には93.5%の妊婦が、妊娠11週までに届出を行っている。
    • なお、多胎妊娠の場合、児の数にかかわらず1件として届出がなされる。
  • 過去の妊娠届出数の対前年比(令和元年度地域保健・健康増進事業報告)
    • 平成27年度 2.1%減
    • 平成28年度 4.2%減
    • 平成29年度 2.3%減
    • 平成30年度 5.3%減
    • 令和元年度 2.1%減

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経済産業省 「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会とりまとめ(案)」に対する意見募集への結果に対する考え方、意見を踏まえたとりまとめ、及び「情報信託機能の認定に係る指針ver2.1」を発表しました
▼(別紙3)「情報信託機能の認定に係る指針ver2.1」
  • 事業者の適格性
    1. 経営面の要件
      • 法人格を持つこと
      • 業務を健全に遂行し、情報セキュリティなど認定基準を担保するに足りる財産的基礎を有していること(例)直近(数年)の財務諸表の提示(支払不能に陥っていないこと、債務超過がないこと) 等
      • 損害賠償請求があった場合に対応できる能力があること(例)一定の資産規模がある、賠償責任保険に加入している 等
    2. 業務能力など
      • 個人情報保護法を含む必要となる法令を遵守していること
      • プライバシーポリシー、セキュリティポリシーが策定されていること
      • 個人情報の取り扱いの業務を的確に遂行することができる知識及び経験を有し、社会的信用を有するよう実施・ガバナンス体制が整っていること(例)類似の業務知識及び経験を有する。プライバシーマーク・ISMS認証などの第三者認証を有する、FISC安全対策基準に基づく安全管理措置を講じている(以下「第三者認証等の取得等」という。) 等
      • 情報提供先との間でモデル約款の記載事項に準じた契約を締結することで、情報提供先の管理体制を把握するなど適切な監督をすること、情報提供先にも、情報銀行と同様、認定基準に準じた扱い(セキュリティ基準、ガバナンス体制、事業内容等)を求めること 等
      • 認定の対象となる事業が限定される場合、事業者は申請の対象となる事業の部分を明確化すること
  • 情報セキュリティ・プライバシー
    1. 基本原則
      • リスクマネジメントにもとづき、情報セキュリティ及びプライバシーに関する十分な人的体制(組織体制含む)を確保していること、対象個人、データ量、提供先が増加した場合でも十分な情報セキュリティ体制を講じることができる体制を有すること。
      • 国際標準・国内規格の考え方も参考に、情報セキュリティ及びプライバシー保護対策を徹底すること(例:JISQ15001個人情報保護マネジメントシステム(要求事項)、ISO/IEC29100(JIS X 9250)プライバシーフレームワーク)
    2. 遵守基準
      • 個人情報の取り扱い、安全管理基準について、プライバシーマーク又はISMS認証の取得(業務に必要な範囲の取得を行っていること)をしていること
      • 定期的にプライバシーマーク又はISMS認証の更新を受けること(※認定申請時に、プライバシーマーク又はISMS認証申請中である場合は、事業を開始するまでの間に当該認証を取得すること)
      • 個人情報保護法の安全管理措置として保護法ガイドラインに示されている基準を満たしていること、また、業法や業種別ガイドラインなどで安全管理措置が義務付けられている場合にはそれを遵守していることを示すこと。
      • 具体的基準を遵守して業務を実施すること、認定申請時に当該基準を遵守していることを示すこと
  • 情報セキュリティ 具体的基準
    1. 情報セキュリティマネジメントの確立
      • 経営層(トップマネジメント)は情報セキュリティマネジメントに関してリーダーシップ、コミットメントを発揮すること
      • 情報セキュリティマネジメントの境界及び適用可能性を明確にし、適用範囲を決定すること
      • 情報セキュリティリスクアセスメントのプロセスを定め、適用すること、リスク分析、評価、対応を行うこと
    2. 情報セキュリティマネジメントの運用・監視・レビュー
      • 情報セキュリティマネジメントに必要な人・資源・資産・システムなど準備、割り当て、確定すること
      • 定期的なリスクアセスメントや、内部監査などを実施することで、情報セキュリティマネジメントの適切性、妥当性及び有効性を継続的に改善すること
    3. 情報セキュリティマネジメントの維持・改善
      • 情報セキュリティマネジメントを適切・継続的に維持していくこと
      • 不適合が発生した場合、不適合の是正のための処置を取ること、マネジメントの改善など行うこと
    4. 情報セキュリティ方針策定
      • 情報セキュリティ方針を策定し、経営層、取り扱う従業員層への周知、必要に応じた方針の見直し、更新
    5. 情報セキュリティ組織・責任者の明確化、組織体制を構築
      • 情報セキュリティに関する情報を収集・交換するための制度的枠組みに加盟すること
    6. 人的資源の情報セキュリティ
      • 経営層は従業員へのセキュリティ方針及び手順に従った適用の遵守、個人情報を扱う担当者の明確化
      • 情報セキュリティの意識向上,教育及び訓練の実施
    7. 資産の管理
      • 情報及び情報処理施設に関連する資産の洗い出し、特定し、適切な保護の責任を定めること
      • 固有のデータセンターを保有していること、又はそれと同等の管理が可能な委託先データセンターを確保していること 外部クラウドを活用する場合には当該クラウド利用契約上の情報セキュリティ要件などで担保されていることを示すこと(例:JIS Q 27017「JIS Q27002 に基づくクラウドサービスのための情報セキュリティ管理策の実践の規範」)
      • 情報を取り扱う媒体等から情報を削除・廃棄が必要となった場合にそれが可能な体制もしくは仕組みを有すること
      • 対象となる事業で扱う情報が他事業と明確に区分され管理されていること ※なお、外部クラウドなど活用する場合や、委託を行う場合に相手方事業者との間で、裁判管轄を日本の裁判所とすること、準拠法を日本法とすることを合意しておくこと
    8. 技術的セキュリティ
      • アクセス制御:アクセス制御に関する規定を策定し、対応すること(例:アイデンティティ管理システムの構築、アクセス制御方針の実装)、情報にアクセス権を持つ者を確定し、それ以外のアクセスの制限を適切に行うこと
      • 暗号:情報の機密性、真正性、完全性を保護するため暗号の適切で有効な利用をすること、電子政府推奨基準で定められている暗号の採用や、システム設計の確認など対応すること
    9. 物理的及び環境的情報セキュリティ
      • 自然災害,悪意のある攻撃又は事故に対する物理的な保護を設計、適用すること
      • 情報及び情報処理施設への入退室管理、情報を扱う区域の管理、定期的な検査を行うこと 外部クラウドを活用する場合には当該クラウド利用契約上の情報セキュリティ要件などで担保されていることを示すこと
      • 情報を取り扱う機器等のソフトウェア、ハードウェアなど最新の状態に保持すること、セキュリティ対策ソフトウェアなどを導入すること
    10. 運用の情報セキュリティ
      • 情報処理設備の正確かつ情報セキュリティを保った運用を確実にするため操作手順書・管理策の策定、実施
      • マルウェアからの保護のための検出、予防、回復の管理策の策定、実施
      • ログ等の常時分析により、不正アクセスの検知に関する対策を行うこと、情報漏えい防止措置を施すこと
      • 技術的ぜい弱性管理、平時のログ管理や攻撃監視などに関する基準が整備されていること
      • サイバー空間の情勢を把握し、それに応じた運用上のアップデートなどが行われること
    11. 通信の情報セキュリティ
      • システム及びアプリケーション内情報保護のためのネットワーク管理策、制御の実施
      • 自ら提供するか外部委託しているかを問わず、全てのネットワークサービスについて、情報セキュリティ機能、サービスレベル及び管理上の要求事項の特定
      • 情報サービス,利用者及び情報システムは、ネットワーク上でグループごとに分離
      • 組織の内部及び外部での伝送される情報のセキュリティを維持するための対策の実施(通信経路又は内容の暗号化などの対応を行うこと)
    12. システムの取得・開発・保守
      • 情報システム全般にわたり情報セキュリティを確実にするため、新しいシステムの取得時および既存システムの改善時要求事項としても情報セキュリティ要求事項を必須とすること
      • 開発環境及びサポートプロセス(外部委託など)においても情報セキュリティの管理策を策定、実施すること
    13. 供給者関係
      • 供給者との間で、関連する全ての情報セキュリティ要求事項を確立、合意、定期的監視
      • ICTサービス・製品のサプライチェーンに関連する情報セキュリティリスク対処の要求事項を含む
    14. 情報セキュリティインシデント管理
      • 情報セキュリティインシデントに対する迅速、効果的な対応のため責任体制の整備、手順の明確化、事故発生時は、速やかに責任体制への報告、対応(復旧・改善)、認定団体への報告などを実施すること
      • 漏洩など事故発生時の対応体制、報告・公表などに関する基準が整備されていること
      • 定期的な脆弱性検査に関する基準や脆弱性発見時の対応体制などが整備されていること
      • 外部アタックテストなどのセキュリティチェック、インシデント対応訓練やセキュリティ研修などを定期的に実施すること
    15. 事業継続マネジメントにおける情報セキュリティの側面
      • 情報セキュリティ継続を組織の事業継続マネジメントシステムに組み込むこと
    16. 遵守 ・情報システム及び組織について、全ての関連する法令、規制及び契約上の要求事項などを遵守
      • プライバシー及び 個人データの保護は、関連する法令及び規制の確実な遵守
      • 定めた方針及び手順に従って情報セキュリティが実施・運用されることを確実にするための定期的なレビューの実施
  • ガバナンス体制
    • 基本理念
      • 「データは、個人がその成果を享受し、個人の豊かな生活実現のために使うこと」及び「顧客本位の業務運営体制」の趣旨を企業理念・行動原則等に含み、その実現のためのガバナンス体制の構を定め経営責任を明確化していること
    • 社会的信頼維持のための体制
      • 情報銀行認定事業者としての社会的信頼を確保するために必要なコンプライアンスを損なわないための体制が整っており、それを維持していること
    • 相談体制
      • 個人や事業者から、電話や電子メール等による問い合わせ、連絡、相談等を受け付けるための窓口を設けており、相談があった場合の対応プロセスを定めていること
    • 諮問体制 以下を満たす、社外委員を含む諮問体制を設置していること(データ倫理審査会)
      • 構成員の構成例:エンジニア(データ解析や集積技術など)、セキュリティの専門家、法律実務家、データ倫理の専門家、消費者等多様な視点でのチェックを可能とする多様な主体の参加
      • データ利用に関する契約や利用方法、提供先第三者などについて適切性を審議し、必要に応じて助言を行う
      • 情報銀行は定期的に諮問体制に報告を行うこと、諮問体制は、必要に応じて情報銀行に調査・報告を求めることができる、情報銀行は当該求めに応じて、適切に対応すること
    • 透明性(定期的な報告・公表等)
      • 提供先第三者、利用目的、契約約款に関する重要事項の変更などを個人にわかりやすく開示できる体制が整っていること、透明性を確保(事業に関する定期的な報告の公表など)すること
      • 個人による情報銀行の選択に資する情報(当該情報銀行による個人への便益の考え方、他の情報銀行や事業者にデータを移転する機能の有無など)を公表すること
    • 認定団体との間の契約
      • 認定団体との間で契約を締結すること(認定基準を遵守すること、更新手続き、認定基準に違反した場合などの内容、認定内容に大きな変更があった場合は認定団体に届け出ることなど)
      • 誤認を防ぐため、認定の対象を明確化して認定について表示すること
  • 事業内容
    1. 契約約款の策定
      • モデル約款の記載事項に準じ、認定団体が定めるモデル約款を踏まえた契約約款を作成・公表していること(又は認定後速やかに公表すること) (個人との間、(必要に応じて)情報提供元・情報提供先事業者との間)
    2. 個人への明示及び対応 以下について、個人に対しわかりやすく示すとともに個人情報の利用目的及び第三者提供について個人情報保護法上の同意を取得すること(同意取得の例:包括的同意、個別同意など)
      • 情報銀行の行う事業及び対象とする個人情報の範囲、事業による便益、提供先第三者や利用目的に応じたリスク(注意点)
      • 対象となる個人情報とその取得の方法、利用目的、統計情報・匿名加工情報に加工して提供する場合はその旨
      • 個人情報の第三者提供を行う場合の提供先第三者及び利用目的に関する判断基準及び判断プロセス
      • 情報銀行が提供する機能と、個人がそれを利用するための手続き
      • 個人が相談窓口を利用するための手続き
    3. 情報銀行の義務について 以下の要件を満たすとともに、モデル約款の記載事項に準じて約款等に明記し、個人の合意を得ること
      • 個人情報保護法をはじめ、関係する法令等を遵守すること(取り扱う情報の属する個別分野に関するガイドラインを含む)
      • 個人情報について認定基準のセキュリティ基準にもとづき、安全管理措置を講じ、セキュリティ体制を整備した上で維持・管理を行うこと
      • 善管注意義務にもとづき、個人情報の管理・利用を行うこと
      • 対象とする個人情報及びその取得の方法、利用目的の明示
      • 個人情報の第三者提供を行う場合の提供先第三者及び利用目的に関する適切な判断基準(認定基準に準じて判断)の設定・明示
      • 個人情報の第三者提供を行う場合の適切な判断プロセスの設定・明示(例:データ倫理審査会の審査・承認など)
      • 個人情報の提供先第三者及び当該提供先第三者の利用目的の明示
      • 個人が自らの情報の提供に関する同意の撤回(オプトアウト)を求めた場合は、対応すること
      • 個人情報の取り扱いの委託を行う場合には、個人情報保護法第22条に照らして必要な監督を行うこと(提供先第三者との関係)
    4. 情報銀行の義務について
      • 個人情報の第三者提供を行う場合、当該提供先からの個人情報の他の第三者への再提供の原則禁止
      • 個人情報の提供先第三者との間での提供契約を締結すること
      • 当該契約において、必要に応じて提供先第三者に対する調査・報告の徴収ができること、損害賠償責任、提供したデータの取扱いや利用条件(認定基準に準じた扱いを求めること)について規定すること
    5. 個人のコントローラビリティを確保するための機能について
      • 情報銀行に委任した個人情報の第三者提供に係る条件の指定及び変更
        • 提供先・利用目的・データ範囲について、個人が選択できる選択肢を用意すること
        • 選択を実効的なものとするために適切なユーザーインターフェイス(操作が容易なダッシュボードなど)を提供すること
        • 選択肢及びユーザーインターフェイスが適切に設定されているか、定期的にデータ倫理審査会などの諮問体制に説明し助言を受けること
        • 利用者が個別の提供先、データ項目等を指定できる機能を提供する場合には、その旨を明示すること
      • 情報銀行に委任した個人情報の提供履歴の閲覧(トレーサビリティ)
        • どのデータがどこに提供されたのかという履歴を閲覧できるユーザーインターフェイスを提供すること
        • 提供の日時、提供されたデータ項目、提供先での利用状況など、履歴の詳細を提供する場合は、その旨を明示すること
      • 情報銀行に委任した個人情報の第三者提供・利用の停止(同意の撤回)
        • 個人から第三者提供・利用停止の指示を受けた場合、情報銀行はそれ以降そのデータを提供先に提供しないこと
        • 指示を受けた以降、既に提供先に提供されたデータの利用が当該データの提供を受けた提供先で制限されるか否か、制限される場合にはどの範囲で制限されるかを、あらかじめ本人に明示すること
      • 情報銀行に委任した個人情報の開示等
        • 簡易迅速で本人の負担のないユーザーインターフェイスにより、保有個人データの開示の請求(個人情報保護法
        • 第28条に基づく請求)を可能とする仕組みを提供すること
        • その他、他の情報銀行や事業者にデータを移転する機能の有無を明示すること
    6. 責任の範囲について
      • 消費者契約法など法令を遵守した適切な対応をすること
      • 情報銀行は、個人との間で苦情相談窓口を設置し、一義的な説明責任を負う
      • 提供先第三者に帰責事由があり個人に損害が発生した場合は、情報銀行が個人に対し損害賠償責任を負う

~NEW~
経済産業省 「世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会」の中間整理を取りまとめました
▼「中間整理」(本文)
  • 世界で 120 以上の国家、グローバル企業などが続々とカーボンニュートラルを表明する中、企業・産業界・国のそれぞれのレベルで、脱炭素社会に向けた大競争時代に突入しており、気候変動対策と整合的なビジネス戦略・国家戦略が、国際競争力の前提条件になりつつある
  • 金融の動き
    • 2006年に国連より発表された「責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)」の中で、ESGの重要性が示されたことによって、ESG投資が主流化し、2015年には世界最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が同原則に署名した。
    • 気候変動対策に資する取組への資金提供(クライメート・ファイナンス)については、EUタクソノミーなど、カーボンニュートラル実現に向けたサステナブルな経済活動を分類・定義する動きが活発化しているほか、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言やIFRS財団の非財務情報の開示強化に向けた取組など、企業に対して気候変動関連のリスク・戦略に関する情報の開示を求める動きも見られ、欧州を中心に情報開示の義務化についての検討も行われている。
    • 投資家グループにおいても、気候変動に特化した国際的なイニシアティブが結成されており、「Climate Action 100+」という投資家イニシアティブにおいては、“世界でも最も環境に影響を及ぼしている上場企業167社”(日本企業10社を含む)にネットゼロの戦略を求める書簡を送付するなどの活発なエンゲージメントも見られている。
    • また、各国の中央銀行や監督当局のネットワークである「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク」(NGFS)においても、中央銀行および金融監督当局向けの気候変動シナリオを公表し、各国の中央銀行や監督当局に対し、気候変動リスクに関する監督等の検討を促す取組が行われている。
    • 日本における動きも活性化しており、金融庁が2020年12月に設置した「サステナブルファイナンス有識者会議」では、企業開示の充実、市場機能の発揮、金融機関の投融資先支援とリスク管理等について、報告書「持続可能な社会を支える金融システムの構築」を2021年6月に取りまとめた。
    • これらの状況を踏まえれば、特にグローバル市場で戦う企業にとって、2020年時点で3500兆円(35.3兆ドル:世界持続的投資連合調べ)規模にまで拡大した世界のESG資金を呼びこむためには、投資家の視点を理解し、カーボンニュートラル達成に向けた進捗・戦略の見える化を行うことがより重要になっている。
  • 産業の動き
    • 世界の企業が続々とカーボンニュートラルを表明しており、日本国内においては、201社の企業がカーボンニュートラル目標を宣言している
    • こうした企業の動きと併せて、カーボンニュートラル目標を宣言したグローバルセットメーカーを起点として、サプライチェーン全体に対して脱炭素化を要請する新たな取引慣行が普及しつつあり、その要請を受けた国内企業においても、自社及びエネルギー調達時の脱炭素化のニーズが高まっている。
    • サプライチェーン全体の脱炭素化についても、出荷段階まで(cradle to gate)、さらには使用・廃棄段階まで(cradle to grave)と、脱炭素化が要請される対象は拡大している。産業部門では、取組の容易さから、まずは調達エネルギーの低炭素化(間接排出(Scope2))への着手がなされているが、技術等の時間軸も踏まえ、自社削減(直接排出(Scope1))、上流・下流での低炭素化(サプライチェーン排出(Scope3))にも取り組む動きが出始めている。
    • また、民間企業による自主的な取組として、諸外国における排出量取引の価格等の外部価格を活用して社内におけるCO2排出のコストを仮定(見える化)する手法や、自社内の各部門にCO2排出量に応じた金額を課金し、社内でプールする手法などにより、CO2排出に対して事業者の任意で価格付けを行うインターナル・カーボンプライシングの動きも出てきている。
    • 国際NGOであるCDPの調査3によれば、2020年時点で、インターナル・カーボンプライシングを導入している企業は、世界で864社とされており、うち日本企業は118社で世界第2位の導入企業数となっている(1位は米国、3位は英国)。前記のTCFDにおいても、インターナル・カーボンプライシングの導入が推奨されているため、導入企業数は増加傾向にあり、2年以内に導入予定と答えた日本企業は134社にのぼる。
    • 加えて、企業等によるCO2をオフセットするニーズの増加を想定し、民間でCO2削減効果を定量的に示し、排出権として取引できる形態にしたボランタリークレジットの取引も、活発化の動きが見られ始めている。
  • 政府の動き
    • 日本政府は、2020年10月に2050年カーボンニュートラルの目標を宣言した。また、2021年4月には、2030年度の新たな温室効果ガス削減目標として、2013年度から46%削減することを目指し、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けるとの新たな方針を示した。それらの目標に向けて、温暖化への対応を成長の機会と捉え、「経済と環境の好循環」を作っていくための「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、2兆円規模のグリーンイノベーション基金事業や、企業のグリーン投資を促進するための税制等による強力な政策支援を措置している。
    • 気候変動分野の情報開示も強化されている。2021年6月には、金融庁及び東京証券取引所が、「改訂コーポレートガバナンス・コード」を公表し、プライム市場上場企業において、TCFD又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量を充実させることとなっている。
    • 世界各国も、カーボンニュートラルに向けた目標を相次いで発表し、125カ国・1地域が2050年までのカーボンニュートラルを目標として表明している中、EUにおいては、カーボンリーケージを防ぐために、気候変動対策の不十分な国からの輸入品に対して、国境において炭素コスト、クレジット購入等による賦課を用いた炭素国境調整措置を検討するなどの動きが見られている。ただし、WTOルールに整合した制度の前例がないまま制度提案が進んでいる点に留意が必要である。
  • 企業を取り巻くガバナンス構造の変化
    • これまでは、企業の脱炭素投資に向けた規律付けとしては、政府による規制的措置やプライシングなど、義務・罰則を伴うような政府から企業への直線的なアプローチが想定されていた。
    • 一方、後記のとおり、足下では、世界全体でのカーボンニュートラルの実現に向け、資本市場、取引先、消費者等、政府以外の多様なステイクホルダーが相互に関係しながら、ルール形成・規律付けが進みつつある。
    • このような状況下において、企業へのガバナンス構造は、政府からの直接的なアプローチだけではなく、マルチステイクホルダー(消費者、取引先、投資家、銀行、労働市場等)と企業との対話の中でのルール形成や、それら相互作用の中での目標達成など、マルチステイクホルダーも巻き込んだ新たなガバナンス構造へと変化している
  • カーボンプライシングの全体像
    • CO2の排出削減に向けた手段としては、規制的手法・経済的手法・自主的取組等といった多様な手法が存在している。
    • その中で「カーボンプライシング」とは、炭素に価格を付け、排出者の行動を変容させる経済的手法であるが、CO2の排出量に比例した課税を行う「炭素税」や排出量の上限規制を行う「排出量取引」といった手法だけでなく、石炭や石油といった化石燃料の量に応じた課税を行う化石燃料課税など、様々な手法が存在するほか、インターナル・カーボンプライシングやボランタリークレジット取引等の民間セクターによるプライシングも存在する。我が国においても、既に地球温暖化対策のための税(温対税)や化石燃料課税、FIT賦課金、J-クレジット制度や非化石証書など、様々な経済的手法が導入されており、クレジット購入等の民間での自主的な取組の動きも広がっている
  • 代表的なカーボンプライシングの種類
    1. 炭素税
      • CO2の排出に対して、その量に比例した課税を行うことで、炭素に価格を付ける仕組み。価格は政府が決定し、総排出量の削減は、コスト負担者に依存する。
    2. 排出量取引制度
      • 企業ごとに排出量の上限を決め、「排出量」が上限を超過する企業と下回る企業との間で「排出枠」を売買する仕組み。炭素の価格は「排出枠」の需要と供給によって市場で決まり、総排出量は、政府の上限設定に依存する。
    3. インターナル・カーボンプライシング
      • 企業が独自に自社のCO2排出に対し、価格付け、投資判断などに活用。排出量取引の価格等の外部価格を活用して社内におけるCO2排出のコストを仮定(見える化)する手法や、自社内の各部門にCO2排出量に応じた金額を課金し、社内でプールする手法などが存在する。
    4. クレジット取引
      • CO2削減価値をクレジット・証書化し、市場や相対で取引され、価格付けがなされるもの。政府では非化石価値取引市場、J-クレジット、JCM(二国間クレジット制度)等が運用されている。また、民間セクターによる国際的なクレジット取引も存在し、Voluntary Carbon Standard(VCS)や Gold Standard(GS)などが代表的な種類。現在、取引の標準化と市場規模を15倍に拡大するイニシアティブ(TSVCM)が進行している。
  • 行動変容を進めるための「シグナル」
    • 脱炭素技術への投資を促し、行動変容をもたらす「シグナル」は、制度、価格、市場の存在や見える化など、様々な形態が存在している。脱炭素への投資を加速させカーボンニュートラルを実現するためには、負担の増大よりもメリットを提供することを優先させつつ、それらの様々な形態から、主体ごとに適切なシグナルを組み合わせることが必要である。
    • 例えば、S(安全性)+3E(エネルギーの安定供給、経済効率性の向上、環境への適合)のバランスが重要なエネルギー転換部門では、持続的な行動変容は価格によるシグナルだけでは起きず、長期的な予見可能性を担保するための制度的対応を併せて実施することが必要である。産業部門においても、調達エネルギー源の脱・低炭素化に見通しを与える証書/クレジット市場や、脱炭素技術が正当に評価される市場を整備することが必要である。

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