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  • ブロックチェーン技術等を用いたデジタルアイデンティティの活用(金融庁)/消費者契約に関する検討会報告書(内閣府)/アフィリエイト広告等に関する検討会(消費者庁)/宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国交省)

危機管理トピックス

ブロックチェーン技術等を用いたデジタルアイデンティティの活用(金融庁)/消費者契約に関する検討会報告書(内閣府)/アフィリエイト広告等に関する検討会(消費者庁)/宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国交省)

2021.10.11
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更新日:2021年10月11日 新着17記事

ブロックチェーンのイメージ画像
【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 「ブロックチェーン技術等を用いたデジタルアイデンティティの活用に関する研究報告書」を公表しました。
  • 「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第3回)議事次第
  • 「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る組織的な取組み事例集(令和3年10月改訂版)の公表について
消費者庁
  • 第1回 アフィリエイト広告等に関する検討会
  • 高齢者の事故を防ぐために 転倒
国民生活センター
  • 未成年の子どもがスマホゲームで高額課金してしまった!
  • 未成年の子どもが成人と偽ってゲームに課金した
  • 「解約したはず!」「契約してない!」と思い込んでいませんか? 予期せぬ“サブスク”の請求トラブルに注意!
  • 水回り修理「950円~」のはずが…数十万円の高額請求に!-水回り修理、解錠、害虫駆除などの緊急対応で事業者とトラブルにならないためには?-
厚生労働省
  • 動画版「令和3年版 労働経済の分析」を公表します~新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響などをスライドと音声で分かりやすく紹介
  • 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料等
国土交通省
  • 「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました
  • 「洪水及び土砂災害の予報のあり方に関する検討会(報告書)」の公表について

~NEW~
警察庁 令和3年8月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和3年1月~8月の特殊詐欺全体の認知件数は9,348件(前年同期9,056件、前年同期比+3.2%)、被害総額は177.6億円(179.6億円、▲1.1%)、検挙件数は3,992件(4,655件、▲14.2%)、検挙人員は1,455人(1,574人、▲7.6%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は1,930件(1,388件、+39.0%)、被害総額は54.7億円(40.7億円、+34.4%)、検挙件数は860件(1,286件、▲33.1%)、検挙人員は467人(385人、+21.3%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は1,706件(2,864件、▲40.4%)、被害総額は21.1億円(38.8億円、▲45.6%)、検挙件数は1,424件(835件、+70.5%)、検挙人員は472人(537人、▲12.1%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は1,348件(1,268件、+6.3%)、被害総額は43.1憶円(45.8億円、▲5.9%)、検挙件数は156件(372件、▲58.1%)、検挙人員は79人(89人、▲11.2%)
  • 還付金詐欺の認知件数は2,543件(1,045件、+143.3%)、被害総額は28.8億円(14.9憶円、+93.3%)、検挙件数は338件(276件、+22.5%)、検挙人員は66人(32人、+106.3%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は110件(226件、▲51.3%)、被害総額は1.9億円(2.7憶円、▲29.1%)、検挙件数は13件(109件、▲88.1%)、検挙人員は10人(37人、▲73.0%)
  • 金融商品詐欺の認知件数は23件(42件、▲45.2%)、被害総額は2.1億円(2.9憶円、▲26.9%)、検挙件数は8件(19件、▲57.9%)、検挙人員は13人(22人、▲40.9%)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は43件(71件、▲39.4%)、被害総額は1.3億円(1.6憶円、▲18.8%)、検挙件数は4件(28件、▲85.7%)、検挙人員は4人(10人、▲60.0%)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は1,621件(2,130件、▲23.9%)、被害総額は23.8億円(31.7憶円、▲24.9%)、検挙件数は1,176件(1,716件、▲31.5%)、検挙人員は334人(457人、▲26.9%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は425件(1,365件、▲68.9%)、検挙人員は284人(597人、▲52.4%)、盗品譲受け等の検挙件数は1件(2件、▲50.0%)、検挙人員は0人(1人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,467件(1,657件、▲11.5%)、検挙人員は1,176人(1,364人、▲13.8%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は111件(135件、▲17.8%)、検挙人員は97人(114人、▲14.9%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は14件(21件、▲33.3%)、検挙人員は7人(18人、▲61.1%)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は115件(67件、+71.6%)、検挙人員は31人(14人、+121.4%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では、男性26.1%:女性73.9%、60歳以上91.7%、70歳以上74.2%、オレオレ詐欺では、男性19.0%:女性81.0%、60歳以上96.9%、70歳以上94.0%、融資保証金詐欺では、男性77.9%:女性22.1%、60歳以上26.3%、70歳以上14.7%、キャッシュカード詐欺盗では、男性18.9%:女性81.1%、60歳以上99.0%、70歳以上96.7%、特殊詐欺被害者全体に占める65歳以上の高齢被害者の割合について、特殊詐欺全体88.2%(男性22.9%、女性77.1%)、オレオレ詐欺96.2%(18.5%、81.5%)、預貯金詐欺98.7%(16.4%、83.6%)、架空料金請求詐欺48.1%(54.3%、45.7%)、還付金詐欺94.2%(24.7%、75.3%)、融資保証金詐欺17.9%(82.4%、17.6%)、金融商品詐欺56.5%(38.5%、61.5%)、ギャンブル詐欺34.9%(53.3%、46.7%)、交際あっせん詐欺0.0%(-、-)、その他の特殊詐欺33.3%(40.0%、60.0%)、キャッシュカード詐欺盗98.1%(18.5%、81.5%)

~NEW~
首相官邸 基本方針
  • 一人一人の国民の声に寄り添い、その多様な声を真摯に受け止め、かたちにする、信頼と共感を得られる政治が必要である。
  • そのために、政権運営の基本として、国民との丁寧な対話を大切にし、以下の三つを約束する。
    • 第一に、国民の声を丁寧に聞き、政策に反映させていくこと。
    • 第二に、個性と多様性を尊重する社会を目指すこと。
    • 第三に、みんなで助け合う社会を目指すこと。
  • これらの約束を果たすとともに、政策面では、国民の生活を守り、国民の所得を増やす、以下の5つの政策に取り組む。
    1. 新型コロナウイルス対策
      • 「納得感のある説明」と「常に最悪を想定すること」を原則として対応する。
      • まず、病床、医療提供体制の確保や、自宅療養者の対策強化など、安心確保のための取組の全体像を早急に国民に示し、国民と共有し、その共通の認識の下に、新型コロナ対応を行う。
      • 同時に、これまでの対応を徹底的に分析し、何が健康危機管理のボトルネックになっていたのかを検証し、我が国の健康危機管理を抜本的に強化していく。
      • これらに加え、国民の協力を得られるよう、経済支援を行う。
    2. 新しい資本主義の実現
      • 富める者と富まざる者、持てる者と持たざる者の分断を防ぎ、成長のみ、規制改革・構造改革のみではない経済を目指すための「成長と分配の好循環」と、デジタル化など新型コロナによってもたらされた社会変革の芽を大きく育て、「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした、新しい資本主義を実現していく。
      • そのための第一歩として、成長戦略については、(1)科学技術立国、(2)デジタル田園都市国家構想、(3)経済安全保障、(4)人生100年時代の不安解消に向けた社会保障改革に取り組む。
      • また、分配戦略については、(1)働く人への分配機能の強化、(2)中間層の拡大、(3)公的価格のあり方の抜本的見直し、(4)財政の単年度主義の弊害是正に取り組む。
      • 併せて、交通・物流インフラなど地方を支える基盤づくりに積極的な投資を行うとともに、農業、観光、中小企業など地方を支える産業の支援に万全を期す。
    3. 国民を守り抜く、外交・安全保障
      • 日米同盟を基軸に、世界の我が国への「信頼」と以下に掲げる「三つの覚悟」の下、毅然とした外交・安全保障を展開し、「自由で開かれたインド太平洋」を強力に推進する。
        1. 自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を守り抜く覚悟
        2. 我が国の領土、領海、領空及び国民の生命と財産を断固として守り抜く覚悟
        3. 核軍縮・不拡散や気候変動問題など地球規模の課題に向き合い、人類に貢献し、国際社会を主導する覚悟
      • 中国に対しては、対話を続けつつ、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求める。北朝鮮の拉致、核、ミサイル問題を包括的に解決し、国交正常化を目指すとともに、北方領土問題を解決し、日露平和条約の締結を目指す。
    4. 危機管理の徹底
      • 万一、大規模な自然災害やテロなど、国家的な危機が生じた場合、国民の生命と財産を守ることを第一に、政府一体となって、機動的かつ柔軟に全力で対処する。
      • そのために、「常に最悪を想定し」平素から準備に万全を期す。
    5. 東日本大震災からの復興、国土強靱化
      • 東北の復興なくして日本の再生なしとの強い思いの下、被災者に寄り添い、被災者支援、農業・生業の再生、福島の復興・再生に全力を尽くす。また、災害に強い地域づくり・国土強靱化を一層推進する。

~NEW~
内閣府 第353回 消費者委員会本会議
▼【資料1-2】 消費者契約に関する検討会報告書
  • 困惑類型の脱法防止規定
    • 法第4条第3項各号のうち、不退去(第1号)、退去妨害(第2号)、契約前の義務実施(第7号)及び契約前活動の損失補償請求(第8号)は、契約の内容や目的が合理的であるか否かを問わず、本当は契約を締結したくないと考えている一般的・平均的な消費者であっても、結局、契約を締結してしまう程度に消費者に心理的な負担をかける行為であり、この点に不当性の実質的な根拠があると考えられる。しかし、これらの規定に列挙された行為に形式的に該当しないものであっても、これらの不当性の実質的な根拠に照らすと、同様に扱うことが必要と考えられる場合もある。そこで、上記4つの各号と実質的に同程度の不当性を有する行為について、脱法防止規定を設けることが考えられる。
    • 具体的には、上記4つの各号の受皿であることを明確にすることにより、これらと同等の不当性が認められる行為を捉えることを明らかにしつつ、例えば、その場で勧誘から逃れようとする行動を消費者がとることを困難にする行為という形で類型化することで、事業者の威迫による(威力を用いた)言動や偽計を用いた言動、執拗な勧誘行為を捉えることが考えられる。その際は、対象となる行為をある程度具体化した上で、正当な理由がある場合を除くなど、評価を伴う要件も併せて設けることで、正常な事業活動については取消しの対象にならないよう調整することが可能な規定とすることが考えられる。
    • また、上記4つの各号のうち第7号及び第8号については、規定上第8号が第7号の受皿規定となっており、脱法防止規定を設けることが難しいのではないかという意見があったが、この点については、第8号の要件を整理し直すことによって第8号を脱法防止規定とすることも考えられる。
    • 他方、霊感等による知見を用いた告知(第6号)は、消費者の心理状態やこれに関する事業者の認識が要件とされていない点で上記4つの各号と共通するものの、消費者が契約を締結したいと考えるよう誘導するものである点において異なるものであることから、受皿となる脱法防止規定の対象とはしないことが考えられる。
    • さらに、法第4条第3項各号のうち、経験の不足による不安をあおる告知(第3号)、経験の不足による好意の感情の誤信に乗じた関係の破綻の告知(第4号)及び判断力の低下による不安をあおる告知(第5号)については、消費者の属性や心理状態を要件としており、当該消費者が有している合理的判断ができない事情が判断の対象となるが、そのような事情は多様であって受皿となる脱法防止規定を設けることは困難であると考えられる。また、消費者の心理状態に関する事業者の認識が要件とされているところ、多様な消費者の心理状態の全てを事業者が認識することは難しく、また消費者がこれを主張立証することも困難であると考えられる。
    • なお、脱法防止規定の法制化に当たっては、取消しの要件を明確にすることが望ましいという意見があった一方で、脱法防止のための受皿規定という性格上一定の抽象度が必要であり、過度に明確性を求めるあまり受皿としての意味が乏しくなるような規定は望ましくないという意見もあった。また、消費者の心理状態に着目した規定により救済され得る事例を見極めた上で、法第4条第3項第3号から第5号までの受け皿となる脱法防止規定も検討すべきとの意見もあった
  • 消費者の心理状態に着目した規定
    • 事業者が、正常な商慣習に照らして不当に消費者の判断の前提となる環境に対して働きかけることにより、一般的・平均的な消費者であれば当該消費者契約を締結しないという判断をすることが妨げられることとなる状況を作出し、消費者の意思決定が歪められた場合における消費者の取消権を設けることが考えられる。
    • 具体的には、正常な商慣習に照らして不当に消費者の判断の前提となる環境に対して働き掛ける行為としては、例えば、消費者の検討時間を制限して焦らせたり、広告とは異なる内容の勧誘を行って不意を突いたり、長時間の勧誘により疲弊させたりする勧誘手法を組み合わせたり、そうした勧誘手法を極端な形で用いることにより、消費者が慎重に検討する機会を奪う行為を規定することが考えられる。その際、正常な商慣習については、契約の性質や類型に照らして判断されるべきと考えられる。また、消費者が慎重に検討する機会を奪う行為については、上記のような勧誘手法の組合せや過度の利用が問題であることに照らすと、事業者の行為を細分化するのではなく、組み立てられた一連の行為を総合的に捉えるべきである。また、正当な理由がある場合を除くなど、評価を伴う要件も併せて設けることで、正常な事業活動については取消しの対象にならないよう調整することが可能な規定とすることが考えられる。
    • なお、正常な商慣習に照らして不当に消費者の判断の前提となる環境に対して働き掛ける行為を規律するに当たっては、類型的に不当な行為と言い得るものを踏まえつつ正当な理由がある場合を除外する等と規定すべきであって、一連の行為を総合的に捉えるというだけでは、どのような行為が取り消し得るものとなるのかが明らかでなく、通常の営業活動への支障が大きいという意見があった。また、正当な理由がある場合ではないのに、意思表示をする期間を極めて短く限定したり広告とは異なる勧誘を行ったりした場合に限定した上で、この場合を具体化する方向で規定を設けるべきという意見もあった。また、高揚感をあおる行為が対象となることを明らかにすべきという意見があったが、この意見については、通常の営業活動が含まれる可能性があるため慎重に考える必要があるという意見や、過大な期待を抱かせる等の単なる意識の高ぶりを超えて高揚感をあおる行為が対象となることを明らかにすべきという意見もあった。さらに、消費者の心理状態に着目した規定については、議論の状況に照らして一定の方向性を示すことが難しいのではないかとの意見もあった。
  • 消費者の判断力に着目した規定
    • 判断力の著しく低下した消費者が、自らの生活に著しい支障を及ぼすような内容の契約を締結した場合における取消権を定めることが考えられる。
    • 具体的には、この規定は、契約の当事者には契約自由の原則(民法(明治29年法律第89号)第521条)がある中で、当該契約が当該消費者に及ぼす影響に着目した取消権を定めるものであることから、対象となる契約は消費者保護の観点から真に必要な範囲に限定すべきである。そこで、当該消費者の生活を将来にわたり成り立たなくするような契約を対象とすることが考えられ、例えば、自宅を売却し、しかも、今後住むところがないような場合や、自身の労働によって新たに収入を得ていくことが期待できない中で貯蓄や年金収入の大半を消尽してしまう場合が想定される。その際、過量契約取消権(法第4条第4項)のように契約の目的となるものの量に着目するものではなく、質に着目するものであること、当該契約によって直ちに生活が成り立たなくなる場合だけでなく、当該契約によって将来にわたる生活に著しい支障を及ぼす場合も捕捉すべきであること、代理人が本人に代わって意思表示をした場合や被保佐人が保佐人の同意を得て意思表示をした場合などは取消しの対象とならないことを明確にすべきである。
    • 同じ内容の契約でも、消費者によってその生活に著しい支障を及ぼすかどうかは異なる可能性があり、その契約が当該消費者の生活に著しい支障を及ぼすこととなることについての事業者の認識を要件とすることが必要である。
    • もっとも、事業者の悪意を消費者が立証することは困難であることから、契約が当該消費者の生活に著しい支障を及ぼすことについて事業者に悪意がある場合及び悪意と同視される程度の重過失がある場合に限り取り消すことができる旨の規定とすることが考えられる。
    • また、消費者の判断力に関する事業者の認識については、判断力が著しく低下している消費者について特に自己の生活に著しい支障を及ぼす契約に限って取消権を認めるという趣旨や、判断力に関する認識を要件とすると本規定案による救済の範囲が大幅に縮減されると考えられること、民法上、意思能力を有しなかったときは、意思無能力についての相手方の認識の有無に関係なく契約が無効となること(民法第3条の2)に照らし、消費者保護の観点から、要件としないことが考えられる。
    • 法制化に当たっては、判断力の著しい低下が消費者の脆弱性のうち恒常的・類型的な脆弱性の典型的場面であり、超高齢社会の進展を踏まえた対応が法において求められることを踏まえつつ、他方で、事業者・消費者の双方に生じる負担の兼ね合いにも配慮が必要である。すなわち、生活に著しい支障を及ぼすことを典型的場面に限定すること等により、事業者の予見可能性を確保し、消費者が必要な契約ができなくなることがないように配慮することが必要である。
    • なお、消費者の判断力に関する事業者の認識については、悪意又は善意であっても過失がある場合に限り取り消すことができる旨の規定とすべきであるという意見があった。これによると、悪意又は過失について消費者が立証責任を負うことになるが、仮にこの考え方によるとしても、事業者が立証責任を負うべきであるという意見もあった。事業者が消費者の判断力を確認しようとしたにもかかわらず消費者がこれに応じなかった場合には取り消すことができないようにすべきとの意見もあった。また、対象となる契約については、当該契約内容それ自体において合理性を欠く場合に限定すべきであるという意見や、生活に著しい支障を及ぼす契約のみならず、対価的に不均衡な契約や、当該消費者の契約目的と合致しないような内容の契約も対象とすべきであるという意見もあった。また、契約が当該消費者の生活に著しい支障を及ぼすことについての事業者の認識(主観要件)については、悪意又は重過失を要件とすると訴訟や消費生活相談における被害救済が困難になるとして、悪意又は過失を要件とすべきであるという意見もあった。さらに、民法上の保佐制度に倣ったものとし、例えば、判断力の著しく低下した消費者が民法第13条第1項第3号に定める行為(不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること)を目的とする契約を締結したときは、これを取り消すことができること、ただし、配偶者又は民法第877条第1項に定める範囲の者(直系血族及び兄弟姉妹)のうち一人の同意を得たときについてはこの限りではないものとすることを検討すべきという意見もあった。さらに、消費者の判断力に着目した規定については、議論の状況に照らして一定の方向性を示すことが難しいのではないかとの意見もあった。
  • 「平均的な損害」の考慮要素の列挙
    • 「平均的な損害」を算定する際の主要な考慮要素として、当該消費者契約における商品、権利、役務等の対価、解除の時期、当該消費者契約の性質、当該消費者契約の代替可能性、費用の回復可能性などを列挙することにより「平均的な損害」の明確化を図ることが考えられる。これにより、消費者が具体的に主張立証すべき対象が明確化されるとともに、事業者が違約金条項を定める際の参考となるため、事業者にとっても有益と考えられる。その際、「平均的な損害」の考慮要素については、法第9条第1号に網羅的かつ一律に定めることが困難な部分もあり、また事業者による新しい商品・サービスの開発等のイノベーションを阻害しないよう、あくまで例示列挙であることを明確にすべきと考えられる。
  • 解約時の説明に関する努力義務の導入
    • 事業者に違約金条項について不当でないことを説明する努力義務を課すことが考えられる。
    • まず、説明の時期については、(1)違約金条項がトラブルとなりやすいのは、実際に事業者が消費者に対して違約金を請求する場面等であること、(2)消費者が違約金について事業者に対して説明を求めていない場合にまで事業者に義務を課す必要はないことから、事業者が消費者に対して違約金条項に基づいて違約金を請求する場合等において、当該消費者から説明を求められた場合に限定することが考えられる。
    • 次に、説明の内容については、どのような考慮要素及び算定基準に従って「平均的な損害」を算定し、違約金が当該「平均的な損害」の額を下回っていると考えたのかについて、その概要を説明することが考えられる。その際、具体的な金額などは営業秘密に該当する可能性がある上、消費者も具体的な金額についてまで説明を求めていないと思われるため、例えば、算定基準として逸失利益が平均的損害に含まれると考えたかどうかを説明することが想定され、逸失利益が具体的に何円であると算出したのかまで説明する必要はないと考えられる。また、契約対象となる商品等の原価として材料費や人件費を積み上げて解約金を定めたのであって(原価以外に再販売できないことによる損失も生じていることから)「平均的な損害」を下回ることは明らかである等との説明も考えられるところであり、この場合においても具体的に原価やその内訳が何円であるかまで説明する必要はないと考えられる。もっとも、消費者が「平均的な損害」の額との関係で違約金がどのように定められているのかではなく、違約金の合理的根拠そのものの説明を求める場合にあっては、事業者においても、違約金を定めるに当たって考慮した要素や算定の基準の概要、違約金の考え方等をもって、違約金の合理性を説明することが考えられる。この点、6.で後述するとおり「平均的な損害」を基準とすること自体について揺らぎが生じていることに照らしても、「平均的な損害」のみに依拠しない努力義務の規定とすることが考えられる。
    • 最後に、この義務の効果については、(1)どのような場合に義務に違反したこととなるのか基準を明確に示すことが困難であること、(2)「平均的な損害」の額については、事業者の業態、ビジネスモデルにより多種多様な要素、考え方等が存在するため、説明内容や説明方法について事業者の創意工夫に委ねる必要性が高く事業者が説明すべき範囲等について明確に定めることも難しいことから、説明に努める義務(努力義務)にとどめるべきと考えられる。
    • また、努力義務への取り組み方としては、個々の消費者に説明する方法のほか、ホームページ等で説明する等様々な方法があり得ることについて逐条解説等で示していくことが望ましいと考えられる。
    • なお、取消権の発生等の法的効果を定める必要まではないが、努力義務ではなく法的義務であることを明らかにすべきとの意見もあった
  • 違約金条項についての在り方に関する検討
    • 「平均的な損害」の考え方について、違約金条項に関する消費生活相談事例や差止請求訴訟の実例も参考にし、関係する事業者、業界団体や適格消費者団体等の意見も踏まえつつ、法学、経済学等の観点から違約金条項の在り方に関する検討を行い、逐条解説等により随時示していくことが考えられる。
    • なお、違約金条項について一定の考え方を示すことにより、事業者による新たな商品・サービスの開発等のイノベーションを阻害しないように留意する必要があるとの意見もあった。

~NEW~
総務省 電気通信事業におけるサイバー攻撃への適正な対処の在り方に関する研究会 第四次とりまとめ(案)についての意見募集
▼別添2 第四次とりまとめ(案)の概要
  • サイバー攻撃が巧妙化・複雑化する中で、電気通信事業者が、通信の秘密等に配慮しつつ、新たな対策や取組を講じていくことが可能となるように、電気通信事業におけるサイバー攻撃への適正な対処の在り方について検討を行うことを目的として開催している。
  • 同研究会における議論を取りまとめた結果については、第一次とりまとめが平成26年4月に、第二次とりまとめが平成27年9月に、第三次とりまとめが平成30年9月に公表されている。
    1. 平時におけるフロー情報の収集・蓄積・分析によるC&Cサーバである可能性が高い機器の検知について
      • 正当業務行為として許容される
      • 〈考え方〉
        • ISPが平時において、自らのネットワーク内のルータ等の電気通信設備を通過するユーザの通信トラフィックに係るデータのうち、IPアドレス等のフロー情報を収集・蓄積・分析して未知のC&Cサーバを検知することは、必要最小限の範囲でフロー情報を収集・蓄積し、そのフロー情報をC&Cサーバ検知以外の用途で利用しない場合に限り、正当業務行為として許容される。
    2. フロー情報を収集・蓄積・分析して検知したC&Cサーバに関する情報についての共有について
      • 通信の秘密の保護規定に抵触しない
      • 〈考え方〉
        • 一のISPが、(1)の取組により得られたC&Cサーバに関する情報(IPアドレス、ポート番号)を取りまとめてリスト化したものを、サイバーセキュリティ対策を行うために適切な事業者団体等に提供することは、通信の秘密の保護規定に抵触しない
  • 検討課題(1) 平時におけるフロー情報の収集・蓄積・分析によるC&Cサーバである可能性が高い機器の検知
    1. 論点
      • ISPがサイバー攻撃に予防的に対処するため、平時から、ISPが、自らのネットワーク内の通信トラフィックに係るデータを収集・蓄積・分析し、C&Cサーバである可能性が高い機器の検知を行うことが考えられる。具体的には、現状多くのISPにおいて、自らのネットワーク内のルータ等の電気通信設備を通過するユーザの通信トラフィックに係るデータのうち、IPアドレス及びポート番号等の情報(フロー情報)を、通信の傾向把握のために収集・活用しているところであるが、これを分析して未知のC&Cサーバの検知を行うことが考えられる。このような取組は、通信の秘密との関係上どのように整理が可能か。
    2. 整理
      • 以下のことから、本件対策は、正当業務行為として違法性が阻却される。
        • 「目的の正当性」:本件対策は、DDoS攻撃等のC&Cサーバを起点とするサイバー攻撃が発生する前から未知のC&Cサーバ等を検知し、その検知した情報をもとに、各ISPにおいて適切な対処ができるようにすることにより、自己の電気通信役務の提供への重篤な支障の発生を未然に防止し、または、その被害の拡大を最小限に抑え、電気通信役務の円滑な提供を確保するための措置であり、目的の正当性を認めることができる。
        • 「行為の必要性」:サイバー攻撃の複雑化・巧妙化が進んで攻撃の頻度は高まり、ISPの提供する電気通信ネットワークに対する。C&Cサーバを起点としたサイバー攻撃がいつ行われてもおかしくない状態にさらされている等、現在の電気通信ネットワークを取り巻く状況においては、行為の必要性が認められる。
        • 「手段の相当性」:必要最小限の範囲でフロー情報を収集・蓄積し、そのフロー情報をC&Cサーバ検知以外の用途で利用しない場合には、手段の相当性が認められる。
  • 検討課題(2)フロー情報を収集・蓄積・分析して検知したC&Cサーバに関する情報についての共有
    1. 論点
      • 各ISPがサイバー攻撃に対処できるようにする観点から、一のISPが自らの電気通信ネットワーク内のフロー情報の収集・蓄積・分析によって検知したC&Cサーバに関する情報(IPアドレス、ポート番号)を、適切な事業者団体等に提供することが考えられる。このような取組は、通信の秘密との関係上どのように整理が可能か。
    2. 整理
      • 本件において対象とされるC&Cサーバに関する情報は、必要最小限のフロー情報について、C&Cサーバを検知する目的のみのために集合的に分析した結果として得られたC&Cサーバに関するIPアドレス及びポート番号を取りまとめてリスト化したものである。すなわち、個別の通信と切り離され、個々の通信がいつ誰に対して行われたかといった個々の通信の構成要素を明らかにすることにつながらないものである。
      • したがって、このように、C&Cサーバに関するIPアドレス及びポート番号のリストの情報のみを、サイバーセキュリティ対策を行うために必要最小限の情報として、適切な事業者団体等に提供することは、通信の秘密の保護規定に直ちに抵触するとまではいえないと考えられる。

~NEW~
金融庁 「ブロックチェーン技術等を用いたデジタルアイデンティティの活用に関する研究報告書」を公表しました。
  • デジタルアイデンティティとアイデンティティマネジメントシステム(IMS)
    • アイデンティティとは「ある実体に関連する属性の集合の表現」であり、常に変化・成長するアイデンティティの状態を管理するための仕組みとして、アイデンティティマネジメントシステム(IMS)が必要となる。IMSとは、アイデンティティ情報を維持するためのポリシー、手順、技術、その他のリソースで構成されるメカニズムのことである。
    • デジタルアイデンティティとは「ある実体に関連する属性の集合の電子的な表現」である。従来のIMS間のアイデンティティ情報のやり取りについては、紙媒体等を用いたアナログでの処理を行っているシステムも依然として多かったが、デジタルアイデンティティの活用により、このような相互のやりとりをデジタル化すること(例えば、マシンリーダーブルな形式でのアイデンティティエビデンスの連携等)を目指す動きも出てきている(=IMSのデジタル化)。
  • 主要なIMSモデルと構成要素
    • 現在の主要なIMSモデルは、Centralizedモデルや、フェデレーションモデルであるが、これらモデルを支える技術要素として、プロビジョニング管理、認証、認可、アイデンティティ連携に関するプロトコルの技術標準が策定されている。
    • また、IMSを適切に運用していくにあたっては、標準プロトコル等の技術要素だけではなく、ガバナンスの要素も踏まえた設計・運用が重要となる。例えば、欧州ではeIDAS規則として法制化されていたり、米国や英国、カナダなどでもデジタルアイデンティティを適切に設計・開発・運用・利用していくためのガバナンスフレームワーク(トラストフレームワーク)が策定されており、これら法規制やフレームワークに準拠したデジタルアイデンティティの活用が求められている。
  • 自己主権型アイデンティティモデル
    • 既存のIMSモデルには、(悪意を持った)IdPにアカウント停止されるリスクや、(悪意を持った)IdPにアイデンティティを改ざんされるリスクが指摘されており、これら懸念に対応するモデルとして、「自己主権型アイデンティティ(Self-Sovereign Identity: SSI)」、「分散型アイデンティティ(Decentralized Identity: DID)」が提唱されている。
    • SSIモデルが提示する(1)認証と属性の分離、(2)選択的なクレーム提示、(3)Unlinkability、(4)過去取得したクレームの再提示・検証が可能、といった特徴により、既存モデルの懸念を解消する可能性を有している。
  • 継続的顧客管理(取引モニタリング(事後))
    • 金融機関はサンクションリスト等および金額等の閾値や顧客の取引傾向から異常取引を検知している。
    • 金融機関は検知した異常取引の内容を精査し、精査結果に応じて顧客リスクを再評価している。
    • 金融機関は検知した異常取引が疑わしい取引に該当する疑いがある場合は、疑わしい取引の届出を実施している。
  • 社内外のアイデンティティ情報を活用した顧客サービス向上
    • 金融機関は顧客の属性や取引傾向を分析し、顧客に適したサービスを選定/設計している。
    • 金融機関は顧客にサービスを提案している。
  • 【AML/CFT】アナログのアイデンティティエビデンスの検証困難性
    • 金融機関は実務上、(1)アイデンティティエビデンスの真正性および有効性を照会・確認する仕組みがない、(2)ヒューマンエラーの可能性、という2つの課題を抱える。なお、(1)の仕組みは、日本においても現状構築されていない。
  • 日本の主要なアイデンティティエビデンスにおける真正性および有効性の検証状況
    • 人の目に頼った真正性および有効性の検証が太宗である。
    • なお、免許証とマイナンバーカードは、デジタルアイデンティティエビデンス(ICチップ情報等)の利用により真正性および有効性検証が機能的には可能なだが、実務での活用拡大に関してはコスト面や運用面での課題が指摘されている。
    • 免許証はICチップに格納された情報により真正性検証可能、マイナンバーカードは公的個人認証の仕組みを使い真正性および有効性の検証が可能である。
    • 実務での活用に関しては、国内金融機関や有識者へのヒアリングにおいて、ICリーダーの準備コストや参照用暗証番号を忘れている等、幅広い活用に向けた課題が意見として挙がっている。
  • 定期的顧客情報調査におけるアナログIMSに起因した諸課題
    • 定期的顧客情報調査においては、顧客と金融機関の間の書面によるやり取りに起因した事務負担やコスト負担の課題が発生している。
  • アイデンティティ情報を活用したサービス提供 課題の概要
    • 複数サービス横断で顧客データを利活用するための、データ利用許諾の整備負担
    • 識別子の不一致によりデータ集約が困難:部門/組織毎の管理により顧客識別子不一致・他社データとの顧客識別子不一致
    • 社内外のデータフォーマットの不統一によりデータ集約が困難
    • データ利活用の目的と範囲に関する、顧客と金融機関の認識齟齬リスクの増大
  • 顧客識別子やデータフォーマットが社内で不統一でありデータ利活用が困難
    • 金融機関における情報分析業務に関して、複数の文献でデータの部分最適化に関する課題が指摘されている。
    • 銀行の管理会計は縦割りの部門軸であったため、事業部門・プロダクトごとに管理された膨大な数の業務によってマスターデータは部分最適化が進み、横串での管理が困難な状況であるとの指摘が国内金融機関実務者から上がっている。)
    • データ設計に関するルールがなく、システム毎にコード体系や粒度が異なり、データの体系を揃えるのに負担が大きくコストも大きいため、分析に有用なデータを提供することができないという問題も有識者から指摘されている。)
    • 社内データが部分最適化されると、顧客識別子やデータフォーマットが部門毎やシステム毎に異なる場合があり、サービス向上に向けた顧客軸での横断的なデータ分析を十分に行えない、という課題が発生していると考えられる。
    • 関連する課題として、顧客との間のデータ利用許諾は契約の都度利用目的を明示する形で説明を行う等サービス毎になっている場合があり 、その場合、顧客軸での横断的な分析にはデータ利用許諾の確認が必要なケースがあると考えられる。また、その際の不十分な顧客への説明により、顧客が顧客自身が望まないデータ利活用を懸念する可能性がある。
  • 非対面化による対面・アナログIMSの課題の一部解消
    • 顧客・金融機関の一部事務負担は削減されるが、非対面化に伴う本人確認の難度上昇や、本人所在確認のための口座開設郵送通知コスト、Web申込用のインフラ整備・運用コスト(Web申込に対応する場合のみ)が新たに発生している。
  • 非対面化後も残る課題
    • 非対面化後も、顧客の事務負担と金融機関の書類保管コスト以外の課題は解消されないまま残存するほか、本人確認の難度上昇等の新たな課題も発生している。
  • 【AML/CFT】非対面化に伴う本人確認の難度上昇
    • 非対面取引は、対面取引と比較して、金融機関側が他人へのなりすましを看破する手段が限定されることから、本人確認の精度が低下するリスクを孕んでいる。
    • 取引の相手方と直に対面しないことで、性別、年代、容貌、言動等を直接確認することで容易に確認できる筈の情報を確認できないまま本人確認を行ってしまうことになる。これにより、本人特定事項の偽りや他人へのなりすましの有無を判断することが困難となる。
    • また、顧客本人ではなく、アイデンティティエビデンスの偽変造等についても認識することが難しい傾向がある。アイデンティティエビデンスのコピーにより本人確認を行う場合には、その手触りや質感を感知できない。
    • 非対面でのonboarding業務において、アイデンティティエビデンスの真正性・有効性の検証が不十分にしかできないアナログIMSを利用している限りにおいては、当該リスクを低減することが困難であり、非対面化により生じる/拡大するリスクが存在することに留意する必要がある。
    • このため、一般的には、非対面取引は対面取引より高リスクなものとして金融機関が認識している傾向にある。犯罪収益移転危険度調査書でも、危険度の高い取引形態の一つとして非対面取引に言及している。
  • 金融機関のデジタルアイデンティティ活用の重要性
    • コロナ禍において社会全体のデジタルシフトが加速し、金融取引のデジタル化も急速に進展する中で、AML等のコンプライアンスの観点から、デジタル空間における本人性の確認がより重要になっている。
    • 手続がデジタルで完結する利便性高いUXが金融においても徐々に普及し、デジタル化への顧客の期待が高まっている。
    • 前節で整理した、金融機関が直面しているアナログIMSの課題解決として、デジタルIMSの活用が期待されている。
  • デジタルIMSによる課題解決:アナログのアイデンティティエビデンスの検証困難性の解消
    • マシンリーダブルでデジタルに検証可能なアイデンティティエビデンスの活用により、アナログIMSにおけるアイデンティティエビデンスの検証困難性等諸課題が解消されうる。
  • デジタルIMSによる課題解決:その他アナログIMSの諸課題の解決
    1. 非対面化に伴う本人確認の難度上昇
      • 非対面取引は、対面と比較すると、他人へのなりすましを看破する手段が限定されるため、本人確認の精度が低下するリスクがある。
      • デジタルIMSによる真正性および有効性の確認により、アイデンティティエビデンス改ざんによるなりすましリスクが軽減されうる。
      • 生体情報等とのバインドにより、提示されたアイデンティティエビデンスが口座開設を申し込んできた当人であることを確認する精度が向上し、なりすましリスクが軽減されうる。
    2. 所在確認のための口座開設通知郵送コスト
      • 非対面口座開設実施時には、口座開設申込者の届出住所確認のために、転送不要郵便を送付し所在確認を行うため、郵送コスト負担が大きい。
      • デジタルアイデンティティエビデンスとして国民IDを利用する場合、国民IDの住所を正として国民IDのアップデートを速やかに取り込む仕組みの構築を行うことで郵便による確認を不要とする。
      • 顧客の取引時の位置情報等を参考に届出住所を確認する仕組みを構築することで、郵便による確認を不要とする。
  • 課題 デジタルIMSの適切な活用を促す規制フレームワークの整備
    • FATFは、規制目的に適したIAL (Identity Assurance Level)が担保されるよう、デジタルIMSの採否基準として以下を提唱している。(1)政府により顧客管理への利用を許可されたものまたは(2)堅牢性やIALが政府や政府認可機関により保証もしくは監査され、かつAML/CFTの観点から十分なIALが提供されるもの
    • 加えてFATFは適切なIALが担保されたデジタルIMSの下では、リスクベース・アプローチが可能となり、AML/CFTの高度化や金融包摂への寄与する利点に言及している。
    • 一般に高リスクに分類される非対面取引においても、適切なデジタルIMSに依拠する場合は、標準的もしくは低リスクなレベルのリスクになる可能性がある)。
    • ユースケースの概要
      • 既存の金融機関口座のデジタルアイデンティティを用いて別の金融機関の新規口座を開設する。
      • 顧客の口座開設負担軽減、金融機関のアイデンティティエビデンス検証負担削減、等の効果が期待される。
  • 特定の金融機関(IdP)への依存リスクが高まる
    • 顧客が他社で作成したアイデンティテイを用いての口座開設を複数金融機関に対して行う場合、IDの出し手(金融機関A)に対する依存度が高まる可能性があり、これに伴うリスクが懸念される。
    • 金融機関Aでの検証に問題が発生した場合、ID連携先の金融機関のサービスに影響が発生する。
    • ユースケースの概要
      • デジタルIMS化により金融機関と顧客のやり取りがデジタル化され、金融機関・顧客双方の事務負担が削減される。
      • デジタルIMS化により他社データを活用した分析の実施が現状より容易になることが期待される。
  • デジタルIMS化によるリスクベース・アプローチの高度化
    • FATFはデジタルアイデンティティに関するガイダンスにて、デジタルアイデンティティによる新たな技術を活用したリスク低減措置の高度化の可能性へ言及している)。
      1. 顧客に紐づく情報の拡大
        • ジオロケーション、IPアドレス、取引に利用したデジタルデバイスのID等
        • インターネットや携帯電話等の様々なチャネルを通じて得られる追加情報
      2. 広範な情報を用いた顧客の行動分析
        • アクセスしている人物に対する本人認証の強化
        • 異常なもしくは疑わしい取引検知の強化
      3. 金融包摂
        • 新興国における従来の公的書類(パスポート、運転免許証等)の代替手段
        • 新興国におけるデジタルアイデンティティの保証レベルに応じた金融サービスの提供
  • デジタルIMSによる課題解決:顧客のアイデンティティ情報の部門間/会社間の紐づけ
    • 社内の各部門のDBが持つ顧客のアイデンティティ情報や他社が持つ顧客のアイデンティティ情報を、デジタルIMS上の共通の顧客識別子に紐づけて管理することで、社内でのデータ利活用の促進が期待される。
    • アイデンティティ情報の連携は、社内の部門間から企業間に広がることが期待されるが、効率的連携には連携仕様の整備が重要である。この点、デジタルIMSにおいては、1章で述べたOpenID Connect®等のアイデンティティ連携仕様の活用により、アイデンティティ情報の連携はより行いやすくなることが期待される。
    • また、金融機関においては個別最適化されたデータ・システムが多数存在しているケースもあるため、現実的には、下記右図のように、業務や利用目的が近いシステムに対し部分的に統一を図っていくことで段階的に成果を出していく形が考えられる。
    • ただし、データ利活用の促進に当たり、顧客のアイデンティティ情報の紐づけは解決策の一部であり、データを横串で利用できるよう顧客とのデータ利用許諾規定を見直す等、引き続き残る課題がある。
  • 他社情報の活用に関する諸課題
    • データ利活用が企業を跨いで行われるようになると、複数サービス横断で顧客データを利活用するためのサービス利用許諾整備負担に加え、データ提供側/データ利活用側双方に、情報の第三者提供に関する対応負担が発生する。
  • ユースケースには分類が難しいが既存研究等で指摘されている技術的課題を挙げる。
    1. デジタルID集中によるサイバーセキュリティ脅威の増大
      • IDプロバイダーがデジタルIDを集中管理すると、犯罪者から大量のデジタルIDを一度に狙われるリスクが高まる。より高いセキュリティレベルが求められる。)
    2. オンラインID窃盗
      • IDがデジタル化されると、オンラインでのID窃盗のリスクが高まる。デジタルIDの導入と並行してID管理に対するセキュリティレベルの向上も必要である。
    3. Authoritative Sourceの突然死
      • 身元確認が第三者によって実施される場合、Authoritative Sourceの身元確認プロセスに障害が発生すると、影響範囲が広がり、エコシステム全体に影響を与えることになる。
      • インサイダーの脅威 IDプロバイダーがデジタルIDを集中管理することで、内部の犯行者が現れるリスクが高まる。IDプロバイダー内部のアクセス権限の管理レベル、セキュリティレベルの向上が求められる。
    4. 記録の完全性
      • ある企業で作成したデジタルIDを他者が利用し、何らか問題が発生した場合、責任の所在を明確にする必要があるため、デジタルIDの作成や更新の記録が完全でなければならない。
    5. 申請者がIDの真の所有者であることの確認
      • バイオメトリクスの活用、IDデータベースの検証・取消リストの活用など、より高度な技術で、申請者がIDの真の所有者であることを確認する必要がある。
    6. 認証技術の有効性についての継続的な測定
      • 継続的認証技術の測定方法が成熟していないため、IDに紐づけられる属性が変化する可能性がある。分析システムはIDが詐欺等により悪用されることを示唆するリスク・シグナルを検知できる可能性がある。
  • 【AML/CFT】法人の実質的支配者確認に関する課題をめぐる動向
    • 国内金融機関に対するヒアリングにおいても、法人実質的支配者の確認負担が高いという意見が出ている。
    • 現状、FATFは、2019年10月公表の「best-practices-beneficial-ownership-legal-persons」において、FATFの相互審査で示された各国の実情を鑑みると、実質的支配者確認において、複数の情報を組み合わせて判断する手法を推奨しており、確認負担自体はやむを得ない側面もある。
    • むしろ、FATFにおいてもこうした対応が推奨されている根本的な課題としては、法人の実質的支配者確認における実質的支配者情報の確からしさを担保する仕組みが確立されていないこと、であると考えられる。
  • 前頁の課題に対し、各国で制度の整備等が検討されている。例えば、日本では以下の検討が進んでいる。
    • 法務省民事局で、犯罪収益移転防止法施行規則第11条第2項第1号の実質的支配者(以下BO)を対象として、商業登記所がBOリストの保管と写しの交付をする制度が検討されている。(令和2年7月法務省民事局「商業登記所における法人の実質的支配者情報の把握促進に関する研究会取りまとめ概要」より)
    • 日本では、公証人の行う定款認証における株式会社等のBOの申告制度により、会社設立時に公証人によるBO情報確認が行われている。
    • 今後の課題は、(1)法人の設立後における継続的なBOの把握及び(2)公的機関が把握したBO情報への捜査機関等によるアクセス。
    • 専門性を有する商業登記所の登記官が実質的支配者を確認するハブとなって統一的に判断を行うことにより、個々の金融機関が窓口でその都度確認を行っている現状に比べ、運用の統一性及び一定レベルの判断水準が担保されることより信頼性が向上するとされている。
  • 【AML/CFT】クロスボーダー取引の諸課題をめぐる動向
    • FSBが2020年4月にG20に提示したクロスボーダー送金の改善に向けた取り組みの第一次報告書では、クロスボーダー送金は、高コスト、低速、限定的なアクセス、透明性不足といった課題に直面している点が指摘されている。
    • 同報告書では、法規制や監督フレームワークに関わる論点として、多様な法的・規制慣行を持つ複数の国・地域をまたいでクロスボーダー送金を行う際の摩擦が指摘されている。コンプライアンスの質を損なうことなく、また、適切な監督を確保しつつ、AML/CFTやその他のコンプライアンス・プロセスの効率性を改善しコストを削減するために、どのような取り組みが考えられるか検討すべきとしている。
    • 関連する議論として、2021年6月に改正されたFATF解釈ノートにより暗号資産の移転時に課せられる通知義務(いわゆるトラベルルール)に関しても、各国のAML/CFT法令の導入が進むと共に、差異に対する対応はFATF自身も課題と認識している
    • ⇒以上から、クロスボーダー取引におけるアイデンティティ管理上の課題は、AML/CFT規制の国家毎の差異や、FATF基準およびその他の規制・監督上の要件を実施する際の国境を越えたデータ共有への法的な障壁(各国のデータ保護法制等)、等、法規制面のものが主であると考えられる。(金融機関のアナログIMSがデジタルIMS化されることで解決されるものではないと考えられる。)
    • 加えて、FSBの第一次報告書*2)では、“企業のための法人識別子(LEI)及び個人のためのデジタルIDの使用の拡大”といったデジタルアイデンティティに関する取り組みがあげられており、これは、金融機関が個人・法人についてのアイデンティティ情報をより効率的に確認するための周辺情報の整備の取り組みであると考えられる。
    • 国内金融機関に対するヒアリングにおいても、クロスボーダー取引における国を跨いだ顧客の情報収集の負担の声はあり、期待される施策であると考えられる。
  • 下表の課題を対象とする。
    1. IAL
      • デジタルIMSの適切な活用を促す規制フレームワーク整備
    2. ID連携(責任分界を中心に)
      • ID連携当事者間のビジネスモデル・責任分界の未整備
      • 特定の金融機関(IdP)への依存度が高まる
    3. プライバシー(同意管理・データミニマイゼーション)
      • ID連携の同意管理負担
      • 複数サービス横断で顧客データを利活用するための、データ利用許諾の整備負担
      • データ提供側として、情報の第3者提供に関する顧客同意対応負担が大きい
      • 情報の第3者提供に関して、データ受け取り側としての対応負担が大きい
      • データ利活用の目的と範囲に関する、顧客と金融機関の認識齟齬リスクの増大
    4. 金融包摂
      • デジタル対応できない人物の金融排除
    5. 相互運用性
      • 煩雑なID連携仕様への対応負担
    6. 新しい業務へ移行するための投資判断
      • 最適化された既存業務をデジタルIMS利用のために変更する投資判断が困難
    7. クロスボーダー取引の諸課題
      • AML/CFT規制の国家毎の差異や、FATF基準及びその他の規制・監督上の要件を実施する際の国境を越えたデータ共有への法的な障壁
  • セキュリティ考慮事項として、下記点が挙げられている。
    1. 鍵の失効と復旧
      • 暗号鍵失効の発生を定義するのはDID methodに任されている。さらに、DID methodの仕様は、鍵の回復を可能にするための信頼されたパーティの定足数のサポートを可能にすることも期待されている。DID method仕様におけるアクセス制御および鍵復旧は、第二の復旧手順を保持することによって鍵の危殆化から保護するタイムロック機能を含めることもできる。
    2. Human-Friendlyな識別子の役割
      • Human-Friendlyな識別子をDIDにマッピングする(そして、検証され、信頼される方法でそれを行う)問題は、この仕様の範囲外である。
    3. 不変性
      • 不変性がサイバーセキュリティ上の利点をもたらすという考え方は、特にキャッシングに関連する。グローバルな真のソースに結び付いたDID methodでは、DID Documentの最新バージョンを常に検索可能である。しかしキャッシュレイヤーが存在する場合、オブジェクトの属性が実際には異なっているのに実際に存在すると信じてしまい悪用される可能性がある。
    4. DID Document内の暗号化データ
      • DID Documentのすべてまたは一部を暗号化することは、長期的にデータを保護する適切な手段ではない。同様に、暗号化データをDID Documentに配置することは、個人を特定できる情報を含む適切な手段ではない。この点から、暗号化データがDID Documentに含まれる場合、実装者は、DIDとの関連付けを望まないエンティティの公開鍵で暗号化しないことが大切である。
  • プライバシー考慮事項として、下記点が挙げられている。
    1. 個人を特定できる情報(PII)を非公開にする
      • DIDメソッド仕様が、すべてのDIDとDID Documentが公開されているpublic verifiable data registryのために書かれている場合、DID Documentには個人データが含まれないことが重要である。すべての個人データは、DID subjectの管理下にあるサービスエンドポイントの後ろに保管されるべきである。個人データは、DID Document内の公開鍵記述によって識別され、かつ安全に保護された通信チャネルを使用して、プライベートなP2Pで交換できる。また、個人データが不変の分散型台帳に書き込まれないため、DID subjectや依頼者はGDPRの忘れられる権利を実行できる。
    2. DIDの相関リスクと別名DID
      • DIDは相関関係に使用されるかもしれないため、DID controllerは、対となるユニークなDIDを使用することで、このプライバシーリスクを軽減できる。各DIDは別名として機能する。
    3. DID Documentの相関リスク
      • 別名DIDの相関防止保護は、対応するDID Document内のデータを相関させることができれば容易に打ち破られる。例えば、複数のDID Documentで同じ公開鍵記述または独自サービスエンドポイントを使用することは、同一DIDの使用と同程度の相関情報が提供される。エンドポイントプライバシーのためのより良い戦略は、多くの異なるsubjectによって数千、数百万のDIDでエンドポイントを共有することかもしれない。
    4. subjectへのタイプの割り当て
      • DID subjectのタイプおよび性質を、明示的、あるいは推論によって示すために使用できるプロパティをDID Documentに追加することは危険である。そのようなプロパティは、個人を特定できる情報や相関可能なデータがDID Document内に存在するだけでなく、特定の操作や機能性に含まれたり除外されたりするような方法で特定のDIDをグループ化するために使用できる。これらのリスクを最小化するために、DID Document内のすべてのプロパティは、DIDの使用に関連する暗号材料、エンドポイント、または検証方法を表現するためのものであるべきである。
    5. プライバシー群
      • DID subjectが群の中で他と区別がつかない場合、プライバシーを利用できる。デジタルフィンガープリントを減らすためには、要求側の実装で共通設定を共有し、有線プロトコルでネゴシエートされたオプションを最小限に抑え、暗号化されたトランスポートレイヤーを使用し、メッセージを標準的な長さにパディングする

~NEW~
金融庁 「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第3回)議事次第
▼資料1 事務局説明資料
  • 分散型台帳等を用いた金融サービスにおいて、1st Layerと2nd Layerを考えた場合、大別すると、(1)パーミッション型分散型台帳と(2)パーミッションレス型分散型台帳の2パターンのいずれかの基盤上に構築・コーディングされていることが多い
  • パーミッション型分散型台帳は、ノードやコンセンサスプロセスに参加するには、一定の手続やゲートキーパーの審査を経る必要があることが一般的。
  • コンセンサスアルゴリズムの種別、ノードの種類と権限ルール等は、運用主体がカスタマイズ可能であり、個々のサービスの内容に応じて設定される。
  • 分散型台帳が実装されるパーミッション型分散型台帳基盤(システム基盤)自体は、ベンダーがエンタープライズ向けに提供する例が見られる。
  • 発行・償還時にはTether社による顧客確認プロセス及び手数料が発生(発行・償還の最低額は10万ドル)。暗号資産交換所などを通す形でも売買(二次流通)されている。
  • 他方で、パーミッションレス型分散型台帳上で移転が可能となっている。
  • EUにおけるステーブルコインに関する規制案(1):発行体
    • 2020年9月、欧州委員会はステーブルコインを含む暗号資産(注1)の規制案(暗号資産市場規制案)を公表。ステーブルコイン(電子マネートークン及び資産参照型トークン)の発行体に開示規制や資産保全義務等を課すとともに、暗号資産のカストディ、交換、トレーディング・プラットフォームの運営を含む暗号資産サービスの提供者についても認可制を採用して様々な規制を課す内容となっている。
    • 暗号資産市場規制案は、電子マネートークンに関しては電子マネーに係る規律をベースとした規制を設ける一方で、資産参照型トークンに関しては独自の規律を設け、重要なトークンについては上乗せ規制を課している。
  • EUにおけるステーブルコインに関する規制案(2):暗号資産サービスの提供者
    • 参入要件
      • 原則、当局からの認可(EU域内に登録事務所を有する法人限定)
    • 財務要件
      • 暗号資産サービスの種類に応じた金額(5万ユーロ~15万ユーロ)又は前年の固定間接費の25%の高い方の金額の自己資本又は保険が必要
    • 共通の義務
      • 顧客の利益に従った誠実公正義務、公正・明瞭・誤認のない情報提供義務、暗号資産に係るリスク警告義務、価格方針の公表
    • 義務、所定の組織要件の具備(法令遵守、サービスの継続性、システムに関する要件を含む。)、当局への経営陣の変更及び組織要件の遵守の評価のために必要な情報の提供義務、顧客の資産保全に係る義務、苦情処理に係る義務、利益相反防止に係る義務、外部委託に係る義務
  • 英国におけるステーブルコインに関する規制案
    • 2021年1月、英国財務省は暗号資産とステーブルコインに関する規制案の市中協議プロセスを開始。市中協議案は、ステーブルコイン(ステーブルトークン)を新たな暗号資産の類型とすることや、発行、価格安定、取引検証、送金、保管、交換等の行為毎に規制の適用の有無について意見を募集。
  • 米国におけるステーブルコインに関する規制動向
    • 米国では現状、ステーブルコインについて複数の連邦規制当局からの監督を受ける可能性があるとともに、既存の送金又は仮想通貨に関する各州法の規律を受けるものと考えられている。
    • 2020年12月、大統領金融市場作業部会(The US President’s Working Group on Financial Markets:PWG)は、ステーブルコインに関する主要な規制・監督上の論点についての声明を公表。2021年7月の会合ではステーブルコインに関する規制の枠組みを早期に整備する必要があるという考えが示されている。
      1. 連邦レベルの規制
        • ステーブルコインは、複数の連邦規制当局からの監督を受ける可能性。
        • 例えば、ステーブルコインの移転業務は、米財務省金融犯罪取締ネットワーク(Financial Crimes Enforcement Network:FinCEN)の定める”money services business”に含まれるため、FinCENへの登録が必要。
      2. 州レベルの規制(例:NY州)
        • NY州法上、NY州において又はNY州の居住者に対して、(1)移転のための仮想通貨の受取り又は仮想通貨の送信、(2)他者に代わって行う仮想通貨の保管・管理、(3)顧客ビジネスとしての仮想通貨の売買、(4)顧客ビジネスとしての交換サービス、(5)仮想通貨の発行・管理・コントロールを行うためには(以下「仮想通貨事業活動」)、仮想通貨事業活動に係るライセンス(通称:BitLicense)を取得する必要。
        • 法定通貨と連動するステーブルコインは通常仮想通貨に当たると解されており、NY州でステーブルコインの発行・移転等を行うためには、原則としてBitLicenseを取得することが必要。
          • ※ NY州銀行法上の銀行又は信託会社であって当局の承認を得た者は、BitLicenseなしに仮想通貨事業活動を行うことが可能
          • ※ 法定通貨(例:米ドル)の送金業務も行う場合、BitLicenseに加えてNY州銀行法上のmoney transmitter licenseが必要
        • BitLicenseの保有者は、仮想通貨事業活動の実施に当たり、(1)資本要件、(2)顧客資産の保管・保護義務、(3)AML義務、(4)帳簿作成・保管義務、(5)サイバーセキュリティプログラムの策定義務、(6)事業継続計画策定義務、(7)広告・勧誘規制、(8)リスク等の開示義務、(9)苦情処理方針策定義務等の所定の義務を遵守する必要。
      3. 大統領金融市場作業部会によるリテール決済用の米国ステーブルコインの主要な規制・監督上の考慮事項に係る声明(2020年12月)
        • 決済に係るイノベーションは推奨されるが、ステーブルコインは、以下を含む米国の適用法・規制・監督上の要請に従う必要。
        • 全てのAML/CFT対応及び制裁に係る義務
        • ステーブルコインが証券・コモディティ・デリバティブを構成する場合、米国連邦法の適用規定
        • ステーブルコインが米国で広く普及する場合、(1)金融の安定性、(2)エンドユーザー保護、(3)市場の完全性、(4)オペレーショナルレジリエンス、(5)決済及び取引市場の円滑な運用、(6)マクロ経済及び国際金融の安定性、(7)包括的なクロスボーダーの監督の促進の確保を目指す追加的な義務
  • FATF – ステーブルコインのAML/CFT対応
    • ステーブルコイン(“so-called stablecoin”)はグローバルに普及する(mass-adoption)可能性が高いことから、マネー・ローンダリング/テロ資金供与(ML/FT)に使用されるリスクが高い。
    • 金融活動作業部会(FATF)は、2020年6月のG20報告書において、ステーブルコインは、暗号資産又は伝統的な金融資産としてFATF基準の適用対象となる旨を明確化。また、2021年11月にも、改訂暗号資産ガイダンスを公表し、ステーブルコインに関する規制内容も明確化する方針(2021年3月に市中協議済)。
  • ステーブルコインのML/FTリスク
    • ステーブルコインには、他の暗号資産と同様に、(1)匿名化、(2)グローバルリーチ、(3)多層化(layering)を含むML/FTリスクがある。
    • リスクの顕在化の度合いは、普及度合い等によるところ、ステーブルコインは、高価格変動、低利便性、信頼・セキュリティの欠如、価値交換手段としての未受容等、従来の暗号資産が有していた課題に対処し、広く普及する可能性がある。
    • ステーブルコインが完全に分散化すると、AML/CFT上の義務を履行する主体が不在となり、かかるステーブルコインが普及した場合、高いML/FTリスクが生じる可能性がある(但し、極端に分散化した場合には普及しにくい。)。
  • AML/CFT上の残余リスク
    1. 仲介業者を通さないP2P取引
      • 取り得るリスク低減策として、以下の例が挙げられる。
      • アンホステッド・ウォレットを利用できるプラットフォームの禁止・免許剥奪
      • P2P取引への取引制限・金額制限
      • 暗号資産取引における仲介業者利用の義務化
    2. AML/CFT規制が不十分な法域の存在(規制アービトラージ)
    3. 分散型ガバナンス構造
  • FATF暗号資産ガイダンス改訂案(2021年3月)
    1. ステーブルコイン
      • FATF・G20報告書における以下のようなキーメッセージをガイダンス化
      • ステーブルコインについては継続的かつフォワードルッキングにリスクを分析し、かかる仕組みが実際にローンチされる前にリスクに対処することが必要。
      • ガバナンス主体等は通常FATF基準の対象である。
    2. P2P取引のリスク削減
      • FATFのG20報告書で課題とされたP2P取引のリスク削減について、暗号資産サービスプロバイダー(VASP)の解釈を拡大の上、下記の対応を国によるリスク削減策として例示。
      • アンホステッド・ウォレットの取引を可能とするVASP等への継続的監督強化、免許剥奪、AML管理の要求水準引上げ
      • アウトリーチ、当局からの注意喚起文発出、当局向けトレーニング
  • 現行制度におけるステーブルコインの取扱い
    • いわゆるステーブルコインは、特定の資産の価値に連動するものである。連動する資産の種類等によって、その性格は異なると考えられる。
    • 法定通貨と連動した価格(例:1コイン=1円)で発行され、発行額と同額での償還を約するものの発行・移転は、為替取引(注2)に該当し得ることを踏まえ、銀行業免許・資金移動業登録を受けなければ行うことができないと解される。
    • 上記以外のものは、価値が連動するものや、償還合意の有無及びその内容に応じて、その性格を個別判断(有価証券又は暗号資産に該当し得る)。
    • 銀行等(預金取扱金融機関)が銀行法等に基づき提供するデジタルマネーサービスについては、金融システムの安定確保・預金者保護の観点から、利用者等から受け入れた(チャージされた)資金を「預金」として、その性格に応じ「決済用預金」又は「一般預金等」として、預金保険の保護対象とする扱いとなっている。

~NEW~
金融庁 「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る組織的な取組み事例集(令和3年10月改訂版)の公表について
▼「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る組織的な取組み事例集(令和3年10月改訂版)
  • 保証解除リストの作成・展開に係る取組み(地域銀行)
    • 経営者保証ガイドライン要件に照らした場合、中小企業者ではほぼ全先が「経営者保証要」と判定される実情を受け、ガイドラインの要件を一部満たしていなくとも、総合的な判断により無保証融資が可能となるような弾力的な運用を検討し下記取組みを実施。
    • 経営者保証徴求可否の判断を行う「経営状況確認チェックシート」を一部改定。「営業店方針としての保証徴求可否の総合的な判断」を新たに表示し、要件を十分に満たしていない場合であっても、財務内容・事業性評価等を総合的に判断したうえで経営者保証を徴求しないといった弾力的な判断を可能とした。
    • 商手割引については、その保全面を考慮し、決済確実な割引手形であれば連帯保証人原則不要とする取扱を開始した。
    • 審査部にて無保証対応の検討が可能な先をリストアップし「保証解除検討先リスト」として営業店宛還元(リストは一定の与信限度額を超える先をベースに、事業性等踏まえ数百先を選定。)。リスト先について、ガイドラインの全ての要件を満たしていなくとも、総合的な判断による保証解除・無保証対応検討に取組むよう指示。毎月のブロック店長会議でのフォロー項目とし、役員からも同施策について直接取組強化を指示
  • 本部から営業店への権限移譲,事業性評価を踏まえたガイドラインの運用に係る取組み(地域銀行)
    • 平成30年の「経営者保証ガイドラインQ&A」改定(事業性評価を踏まえたガイドラインの運用追加)等を受け、ガイドライン運用ルールの見直しを実施し、「融資時は原則として保証人を徴求し、特別に稟議承認を得た場合のみ無保証人とする」という考え方から「保証人徴求は原則ではなく、1先1先の実情に応じて徴求の要否を判断する」考え方へのシフトを図り、下記取組を実施。
      1. 保証人免除での与信実行にかかる、審査権限の緩和(本部から支店長への権限移譲)。
      2. 保証人要否を検討するチェックリストを、保証人免除を検討しやすい内容に改定。
        • 案件の都度保証人要否を検討する様式に改定(従来、恒常先は年1回のチェックリスト更新)。
        • 「旧経営者の既存保証の解除」及び「新経営者の徴求要否を検討」する項目を追加。
        • 事業性評価により免除可とする項目を追加。
  • 個人事業主に対するガイドライン要件の簡素化の取組み(地域銀行)
    • 個人事業主の債務者にかかる経営者保証ガイドラインの要件の判定基準を簡素なもの(注)とし、また、要件が未充足であっても民法(債権法)における「経営者等」への該当有無等によって、保証人を不要とする取扱いを認めたことにより、2020年4月以降、個人事業主に対する新規貸出はほぼすべてのケースで無保証扱となった。
    • 上記見直しに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う取引先の資金繰り支援(無利子無担保融資等)において、経営者保証の徴求について柔軟な対応を行った。
  • 注.「適時適切な財務情報等の提供」⇒「確定申告書が提出されているか(提出が見込まれるか)」「債務者の借入返済能力」⇒「延滞となる見込みはないか」等
  • 代表者変更先を網羅的に把握し二重徴求等の保証状況をモニタリングする取組み(地域銀行)
    • 全店舗の事業承継発生先を網羅的に管理し、二重保証の発生を防止。
    • 事業承継先発生先を網羅的に把握するために、月次ベースで代表者変更先のリストからデータベース化された管理リストを作成し、保証人の変動状況についてモニタリングを実施。
    • 二重保証が発生した場合は、その妥当性や適切性の本部検証を実施し、二重保証解除に向けた債権ごとの具体的な保証解除契約書の締結手法などの営業店サポートを継続的に実施。
    • 「二重保証は原則不可」と徹底している中でも二重保証が発生している実態であったが、月次モニタリングによる営業店指導を重ねることで、営業店から本部に対し事前に事業承継する場合の保証人の取り扱いの相談が増加し、二重保証をしない事業承継の定着化に向け浸透が徐々に図られてきている。
    • 代表者死亡時に既往債権に保証人追加することにより二重保証の取組が散見されたため、事業承継時における対応フロー表の一部改正を行い、類型の安易な二重保証が発生しないよう対応を図った。
  • 外部専門家連携の承継ローンに係る取組み(信用組合)
    • 事業承継支援のため、TKCの会員税理士・公認会計士と連携した「事業承継セミナー」を開催し、事業承継への資金対応として新たに「事業承継ローン」の取扱いを開始した。「事業承継ローン」の取扱要件において、保証人を原則不要とし、経営者保証のガイドラインに基づく適切な判断を行うことを規定している。
  • 事業承継時の保証なし対応の推進に係る取組み(地域銀行)
    • 事業承継時における保証徴求について、新・旧経営者どちらからも保証人を徴求しない可能性を十分に検討するよう営業店に徹底したほか、保証人変更の稟議決裁時において、審査部から営業店に対し保証人徴求の是非について個別案件毎の指導を継続して行った結果、事業承継時における「経営者からの保証徴求なし」の割合は着実に増加している。
  • 複数保証人がいる債権のリスト化による二重徴求解消に向けた取組み(信用金庫)
    • 新たに代表者交代が発生した場合は、事業承継時の特則を踏まえ二重徴求は原則禁止としており、現に取扱いはなくなったが、既存債権において二重徴求となっているかの見直しは行っていなかった。
    • そこで、「複数の保証人がいる債権」を抽出し、営業店にリストを配布。リストを基に営業店が経営保証ガイドライン特則の二重徴求例外規定に該当するか精査し、該当しない場合に保証人解除を検討するよう指示。
  • 廃業時のメインとしての債務整理に向けた取組み(地域銀行)
    • 「経営者保証に関するガイドライン」(以下「GL」という)の出口部分(保証債務整理)の手続は、施行から5年経過した現在においても、金融機関と支援専門家(弁護士)との共通理解が形成されているというには程遠い状況にあり、このことが、GL出口部分の普及・浸透を阻害している。特に、弁護士からは、事案の予見可能性がないことが、GLへの取組みに二の足を踏ませているとの意見を聞くことが多い。金融機関間でもGLの解釈に温度差があり、金融機関と支援専門家との共通理解形成の阻害要因となっている。主債務者について、事業再生には手遅れ、破産申立費用の捻出も困難であるため、経営者保証人がGLに基づく保証債務整理を申出することができず、経営者保証人のみが破産するといった廃業事例が増加している。
    • 保証債務整理時の行内における取組みとしては、GL施行当初より、取引先に有事が発生した場合、まず営業店での対応として「保証人への説明」と情報収集を行い、その後、営業店と本部専担部署(融資部事業性管理・回収担当)との共同作業により「事前準備」と「初期対応」を行った後、本部専担部署による「スキームの策定」と「スキームの実行」を行うという行内態勢を確立している。
    • 対外的取組みとして、当行が対象の融資先のメイン行であるか否かにかかわらず、GLに基づく保証債務整理手続におけるメイン行として、(1)支援専門家の弁済計画の策定支援、(2)金融機関間調整、(3)裁判所との調整等に主導的な役割を担っている。
    • GL活用促進と関連し、事業が窮境に陥り事業再生が不能なほど劣化した融資先に対し、当行主導の廃業支援を38社(保証人数58名)に対して実施し、手続終結数16社(保証人数25名)の実績となっている。
    • 新たな取り組みとして、主債務者が窮境に陥り、事業再生には手遅れ、破産申立費用(通常3~5百万円程度)の捻出も困難となった廃業申出先に対し、主債務の整理に協定型特別清算手続(主要債権者の事前同意があれば、手続費用は通常10~15万円程度)の活用(以下「特別清算スキーム」という)をアドバイスするとともに、当行が主体となり他債権者に対して同手続に関する説明し、合意形成を行うことにより、GLによる経営者の再起の機会を拡大すべく活動している。特別清算スキームによるGL実績は、手続終結件数2件となっている。なお、特別清算スキームの概要については、「事業再生と債権管理」166号(2019年10月5日号)137頁で公表済み。
  • 経営者保証ガイドラインに基づく取組みに関し数値目標を設定(地域銀行)
    • 行内周知・組織的な取組みの実効性を担保すべく以下を実施。
      1. 「新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合」を、中期経営計画(H30.4~)の主要KPIに設定。各期毎に数値目標を設定し、計画終期(R3.3)には50%を掲げ、全営業店から毎月報告書を提出させることで意識付けを図った。
      2. 経営者保証ガイドラインの積極的な活用を促すため、渉外行員表彰制度において数値目標の達成率に応じた点数を加点。
      3. 支店長会議での頭取訓示における経営者保証ガイドラインの積極適用の指示や、年度毎に示す経営基本方針における示達。
      4. 「経営者保証ガイドライン適用チェックリスト」の改定及び通達・研修等による周知。
  • 事業承継の専門家窓口の整備等(信用金庫)
    • 当金庫に経営支援窓口(顧問(専門家)と当金庫の担当者が相談に対応)を設置し、事業承継に課題を抱えている顧客企業に対して活用を促している。
    • また、新たな保証契約の締結、事業承継や既存の保証契約の見直し、保証債務の整理等において、同ガイドライン及び特則について顧客周知するため、相談窓口を融資部に設置するほか、チラシの店頭配備・当金庫ホームページに掲載等を実施。
  • 外部講師による特則に係る勉強会の実施(信用金庫)
    • 経営者保証ガイドラインの事業承継時の特則について全店周知の勉強会を実施したほか、県の事業承継ネットワーク事務局及び経営者保証コーディネーターを講師に招き、全店の融資役席者向けの勉強会を実施し、事業承継時の経営者保証に関する理解を深めた。

~NEW~
消費者庁 第1回 アフィリエイト広告等に関する検討会
▼【資料4】アフィリエイト広告をめぐる現状と論点
  • 本検討を行う趣旨―背景
    • 近年、インターネット上の広告手法の多様化・高度化等に伴い、アフィリエイト・プログラムを利用した成果報酬型の広告(以下「アフィリエイト広告」という。)が多く見られる。
    • アフィリエイト広告の市場規模は年々増大しており、今後も増大が見込まれる。
    • アフィリエイト広告は、アフィリエイターにより、広告主が思いつかないような新しいアイデアや消費者目線での広告が行われ、効率的な広告配信や需要喚起への効果も期待される。
    • また、成功報酬型であるアフィリエイト広告は初期費用が少なくて済むことから、広告に多額の初期投資をできない中小事業者やスタートアップ事業者等も利用することができ、これらの事業者の多様な商品等が消費者に普及するきっかけにもなりうる。
  • アフィリエイト広告の問題点
    • 景品表示法においては、商品等の供給主体が消費者に対して不当表示を行った場合に同法上の措置がされる。
    • アフィリエイト広告は、以下のとおり、不当表示につながりやすい特性があると考えられる。
      1. 広告主ではないアフィリエイターが表示物を作成・掲載するため、広告主による表示物の管理が行き届きにくい。
      2. アフィリエイターが成果報酬を求めて虚偽誇大広告を行うインセンティブが働きやすい。
    • 上記のような特性から、アフィリエイト広告で不当表示に対して広告主の責任意識が希薄であるとの指摘もなされている
    • 「ネット広告の業界関係者によると、違法な記事型広告について、広告会社は『個人の体験談を書いただけだ』。広告主は『依頼した広告会社が勝手に作ったもので内容は知らない』と、双方が責任逃れのような主張をするケースが目立つ。」【令和2年10月12日 日本経済新聞夕刊】
    • 「『掲載可能な媒体社、広告案件も膨大でチェックしきれない。企業側も確信犯、無知のケースに分かれ、積極的に関与していないと言い逃れできてしまう』(ウェブ広告の業界団体関係者)。このため、景表法上の責任を免れる『聖域』とみる企業も少なからずいた。」【令和3年3月11日 通販新聞】
    • また、消費者にとっては、アフィリエイト広告であるか否かが外見上判別できない場合もあるため、不当表示が行われるおそれが懸念される。
  • 「供給主体性」について
    • 「供給主体性」は、商品等の提供・流通の実態をみて実質的に判断される要件。例えば、フランチャイズの本部が行う表示等に関し、本部自体は消費者との間で当該商品等の売買契約の当事者ではない場合でも、この要件を満たすと判断された処分事例がある。
  • 「表示主体性」について
    • 「表示主体性」は、表示内容の決定に関与した事業者に認められるが、自らもしくは他の者と共同して積極的に当該表示の内容を決定した場合のみならず、他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた場合や、他の者にその決定を委ねた場合も含まれる。
  • 事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置(平成26年内閣府告示第276号:景品表示法第26条第2項の規定に基づく指針)の内容
    1. 景品表示法の考え方の周知・啓発
    2. 法令遵守の方針等の明確化
    3. 表示等に関する情報の確認
    4. 表示等に関する情報の共有
    5. 表示等を管理するための担当者等を定めること
    6. 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること
    7. 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応
  • 事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置の内容(その他の措置の例)
    • 前記1から7までに示す措置のほか、例えば、次の措置を講じることも、不当表示等の防止のために有用。
    • 景品表示法違反の未然防止又は被害の拡大の防止の観点から、速やかに景品表示法違反を発見する監視体制の整備及び関係従業員等が報復のおそれなく報告できる報告体制を設け、実施すること。
    • 表示等が適正かどうかの検討に際し、疑義のある事項について関係行政機関や公正取引協議会に事前に問い合わせること。
    • 表示等が適正かどうかの検討に際し、当該業界の自主ルール又は公正競争規約を参考にすること。
  • 景品表示法の考え方―アフィリエイト広告について言及しているもの
    1. 健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(平成25年12月24日制定、平成28年6月30日全部改定、令和2年4月1日一部改定 消費者庁)
      • 近年、インターネットを用いた広告手法の一つであるアフィリイトプログラムを用いて、アフィリエイターが、アフィリエイトサイトにおいて、広告主の販売する健康食品について虚偽誇大表示等に当たる内容を掲載することがある。このようなアフィリエイトサイト上の表示についても、広告主がその表示内容の決定に関与している場合(アフィリエイターに表示内容の決定を委ねている場合を含む。)には、広告主は景品表示法及び健康増進法上の措置を受けるべき事業者に当たる。アフィリエイターやアフィリエイトサービスプロバイダーは、アフィリエイトプログラムの対象となる商品を自ら供給する者ではないため、景品表示法上の措置を受けるべき事業者には当たらないが、表示内容の決定に関与している場合には、「何人も」虚偽誇大表示をしてはならないと定める健康増進法上の措置を受けるべき者に該当し得る。
    2. インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項(平成23年10月28日公表・平成24年5月9日改定 消費者庁)
      • アフィリエイターがアフィリエイトサイトに掲載する、広告主のバナー広告における表示に関しては、バナー広告に記載された商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる。
      • 広告主のサイトへのリンク(バナー広告等)をクリックさせるために行われる、アフィリエイターによるアフィリエイトサイト上の表示に関しては、アフィリエイターはアフィリエイトプログラムの対象となる商品・サービスを自ら供給する者ではないので、景品表示法で定義される「表示」には該当せず、したがって、景品表示法上の問題が生じることはない。
  • 御議論いただきたい点(1)景品表示法の適用等に関する考え方
    1. アフィリエイト広告について、表示内容の管理を行うか、行う場合(ASPの選択も含め)どの程度コストをかけて行うかは、最終的には、商品等を供給し、広告費を負担する広告主の意向により決定されると考えられる。
    2. アフィリエイト広告では、具体的な表示物を作成するのが広告主でないアフィリエイターであるため、広告主にとって、表示内容を管理することが通常よりも困難な広告手法であるとの主張がされる可能性があるが、広告主は、より管理のしやすい他の広告手法があるにもかかわらず、自らの意思であえてそのような手法を選択している以上、単に管理が困難であるという理由で虚偽・誇大な表示の責任を負わないと解することは、消費者に対する適正な表示を確保する観点から妥当ではない。
    3. アフィリエイト広告上の表示についても、広告主がその表示内容の決定に関与している場合(アフィリエイターに表示内容の決定を委ねている場合を含む。)には、広告主が景品表示法上の措置を受けるべき事業者であることは、既にその考え方を明らかにしている(前掲「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」)。
    4. 広告主は、アフィリエイト広告という広告手法を用いる限り、当該アフィリエイト広告等の表示について、自ら又は他の者と共同して積極的に表示するという形や、他の事業者に委ねるといった形で、表示内容の決定に関与しているといえる。したがって、広告主は、表示の内容が不当表示に該当する場合には、景品表示法上の措置を受ける立場にあると考えられるが、このことが全ての関係者間において十分に認識され、それに基づき表示内容の管理が十分に行われているか疑問がある。
      1. 広告主・ASP・アフィリエイター等、アフィリエイト広告の作成に関わる関係者の意識を高めるともに、その立場に応じた役割を果たすべきではないかと考えられるが、どのような対応が考えられるか。
      2. 広告主がアフィリエイト広告上の表示の内容に最終的に責任を負うということを踏まえ、アフィリエイト広告について広告主による不当表示の未然防止に向けた管理がより一層行われるようにするために、どのような対応が考えられるか。
  • 御議論いただきたい点(2)不当表示の未然防止等のための取組
    1. アフィリエイト広告全般における表示の適正化のためには、前記のほか事業者、事業者団体、消費者等の関係者の取組も重要と考えられる。
    2. 例えば、アフィリエイト広告の中でも分野により不当表示の防止に向けた取組に相違があることや、不当表示の防止に向けて積極的に取り組んでいる広告代理店やASP、媒体社があることも指摘されている。
      1. 現在の取組を把握した上で、悪質なASPやアフィリエイターが排除され、不当表示の防止に向けて積極的に取り組んでいるASPやアフィリエイターが選ばれるようにするため、アフィリエイト広告の全関係者が行う取組(ベストプラクティス)は何か。取組の好事例の更なる展開や新たな取組を図ることが考えられないか。
      2. 消費者にとって、外見上、アフィリエイト広告が広告として認識されにくい場合があることに対し、それを認識しやすくする取組は有益か。有益とすればどのような方策があるか。
      3. そのほか、不当表示の未然防止等のために考えられることはあるか。

~NEW~
消費者庁 高齢者の事故を防ぐために 転倒
  • 高齢者の転倒・転落は骨折や頭部外傷等の重大な傷害を招き、これが原因で介護が必要な状態になることもあります。高齢者の介護が必要となった主な原因は「骨折・転倒」が4番目の多さです(※1)。また、高齢者の「転倒・転落・墜落」による死亡者数は「交通事故」による死亡者数の約4倍です(※2)。
  • 転倒の主な原因として、加齢による身体機能と認知機能の低下、病気や薬の影響、運動不足による身体機能の低下などが考えられます。生活環境をチェックして、転倒の原因を減らしましょう。高齢者本人だけではなく、御家族や親戚の方、近隣、地域の方など高齢者の身近にいる方々の協力も大切です。
  • できることから転倒予防の取組を行いましょう。
    • 部屋の整理
      • 床に物を置かない/コードは壁をはわせる/床が濡れていたら拭く/手すりを付ける など
    • 適度な運動
      • 散歩に誘う・出かける/自宅でできる体操をする など
    • 危ない所を目立たせる
      • 段差・溝・傾斜・滑りやすい床等を明るく照らす/色を変える/しるしを貼る など
  • 高齢者の転倒予防のポイントをまとめたチラシを作成しましたので、是非御活用ください。
  • なお、厚生労働省では、職場での転倒予防について呼び掛けを行っています。詳しくは厚生労働省ホームページを御確認ください。
    • ※1令和元年国民生活基礎調査(厚生労働省)より。65歳以上では、認知症、脳血管疾患(脳卒中)、高齢による衰弱に続き、「骨折・転倒」が13.0%を占めています。
    • ※2令和2年人口動態調査(厚生労働省)によると、高齢者の「交通事故」による死亡者数が2,199人に対して、「転倒・転落・墜落」による死亡者数は8,851人でした。

~NEW~
国民生活センター 未成年の子どもがスマホゲームで高額課金してしまった!
  • 質問
    • 小学生の息子が、親のスマートフォンを使ってオンラインゲームで遊び、高額な課金をしてしまいました。子どもが無断でやったことなので、請求を取り消してもらえないのでしょうか。
  • 回答
    • 未成年者が親の同意を得ずに契約した場合、民法で定められた「未成年者取消権」によってその契約を取り消すことができます。しかし、オンラインゲームでは未成年者が契約したことを証明することが難しく、必ず取り消されるとは限りません。
    • まずは、課金を行ったアカウントからプラットフォーム事業者(注)に問い合わせ、未成年者による課金だったということを申し出ましょう。
    • (注)インターネット上でゲームコンテンツを配信するとともに、有料コンテンツの取引の場を運営する事業者。
  • 解説
    • スマートフォンのオンラインゲームの課金は、一般的に、プラットフォームのアカウントを通じて行われます。課金の取消しを申し出る場合は、課金をしたアカウントからプラットフォーム事業者に問い合わせます。プラットフォーム事業者のホームページを見て、問い合わせ方法を確認しましょう。
    • ただし、保護者のスマートフォンで課金したという場合、子どもが操作していたとしても、課金したアカウントが保護者のものであれば、保護者の判断で課金したとみなされ、取消しが認められないことがあります。
    • プラットフォーム事業者が取消しを認めなかった場合には、ゲームの提供会社に問い合わせをすることもできます。ゲーム提供会社においても事実確認を行うことがありますが、子どもが課金したと証明することが難しいため、取消しが認められないことがあります。
    • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

~NEW~
国民生活センター 未成年の子どもが成人と偽ってゲームに課金した
  • 質問
    • 未成年の子どもが、オンラインゲームの年齢確認画面で「20歳以上」というボタンを押して、ゲーム内のコインをたくさん購入してしまいました。返金してもらえないのでしょうか。
  • 回答
    • プラットフォーム事業者(インターネット上でゲームコンテンツを配信するとともに、有料コンテンツの取引の場を運営する事業者)に、未成年者による課金だということを申し出ましょう。プラットフォーム事業者から返金されない場合は、ゲームの提供会社に問い合わせをすることもできます。
    • なお、未成年者が「成人である」と偽って課金しているため、子どもによる課金と判断できず、返金されないことがあります。また、民法における「未成年者取消権」も認められない可能性があります。
  • 解説
    1. オンラインゲームの年齢確認の仕組み
      • オンラインゲームでは、年齢によって課金の上限額を定め、未成年者がお金を使い過ぎるのを防ぐ仕組みを設けていることがあります。
      • ゲームにより年齢確認の方法は異なりますが、例えば、課金をする際に年齢の区分ごとにボタンが表示され、自分の年齢に該当するボタンを選択するというものがあります。多くの場合、未成年者は上限額が定められていますが、成人であれば無制限に課金をすることができるようになっています。
    2. 事業者への問い合わせ
      • オンラインゲームの課金は、一般的に、プラットフォームのアカウントを通じて行われます。返金を申し出る場合は、課金をしたアカウントから、プラットフォーム事業者に問い合わせます。プラットフォーム事業者から返金が認められなかった場合、ゲームの提供会社に問い合わせをすることもできます。
      • ただし、ゲーム内で年齢確認画面があるにもかかわらず、成人であると偽って課金している場合には、プラットフォーム事業者やゲーム提供事業者が、子どもによる課金だったと判断することができないため、必ずしも取消しや返金が認められるとは限りません。
    3. 民法の「未成年者取消権」が認められるか
      • 未成年者が保護者の承諾なく契約を結んだ場合、原則として、民法で定められた「未成年者取消権」によって、契約を取り消すことができます。しかし、未成年者が契約にあたって、相手を誤信させるために、未成年者自身が「成人である」と偽った場合(「詐術」を用いた場合)は、契約を取り消すことはできません。
      • なお、未成年者が「詐術」を用いたと言えるかについては、個別具体的な事情を総合考慮した上で、実質的な観点から判断されるものとされています。
      • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

~NEW~
国民生活センター 「解約したはず!」「契約してない!」と思い込んでいませんか? 予期せぬ“サブスク”の請求トラブルに注意!
  • 「サブスクリプション(以下、「サブスク」という)」とは、定められた料金を定期的に支払うことにより、一定期間、商品やサービスを利用することができるサービスのことです。一般的に、一度契約をすると、解約しない限り自動的に支払いが継続されます。
  • PIO-NETをみると、全国の消費生活センターには、サブスクに関する相談が、2021年度以降、毎月500件程度寄せられています。店舗における申し込みもありますが、インターネット上での申し込みが多く、中には契約内容等を正しく認識していないまま契約し、請求に気づいてトラブルになるケースもみられます。
  • そこで、インターネットで契約したサブスクに関するトラブル事例についてまとめ、消費者への注意喚起を行います。
  • サブスクのイメージ
    • サブスクの契約では、お試し期間として、無料でサービスを受けられることがあります。無料期間中に解約しなければ、有料プランに自動で移行し、1カ月・1年など定期的に決まった料金が引き落とされます。
    • サブスクの契約は、パソコンやスマートフォンを使ってインターネット上で行うことができます。申し込み画面では、クレジットカード番号の入力を求められることがあります。また、「無料期間を過ぎて解約されない場合には、自動的に有料プランに移行する」という旨や、有料プランの開始日など、契約条件が表示されています。
    • サブスクで提供されるサービスの例として、動画配信、音楽配信、レンタル、学習教材、専門家相談、外食などがあります。
    • サブスクの契約のポイントは、契約中はサービスを受けることが可能であり、利用していなくても料金が発生することです。また、解約しない限り契約は自動で更新されるため、支払いも続くことになります。
  • 相談事例
    • 【事例1】メーカーの公式サイトと勘違いして有料質問サイトを利用し、月額料金を請求された
    • 【事例2】動画配信サービスの解約を忘れ、利用していないにもかかわらず代金を請求された
    • 【事例3】通販サイトの有料会員に登録したメールアドレスがわからず、解約できない
    • 【事例4】1週間の無料体験のためにダイエットトレーニングアプリをダウンロードした後、退会したと思っていたら継続課金になっていた
  • 相談事例からみる特徴と問題点
    • サブスクがどのような契約かを正しく理解していない
    • 契約内容や契約先の事業者を誤って認識している
    • 無料期間中に解約手続きを忘れていた/解約方法が分からず無料期間中に解約手続きができなかった
    • 解約したつもりが、解約できていなかった
    • 期待したサービス内容ではなかった
  • 消費者へのアドバイス
    • 「無料体験」「無料トライアル」の広告・表示をきっかけにサブスクを申し込む際には、契約条件をよく確認してから契約しましょう
    • 解約する場合は、事業者の公式ホームページなどで手続き方法を確認しましょう
    • 申し込む前に、契約の相手方の事業者名、サービス内容、解約方法を確認しましょう/申し込み時の登録情報は解約手続きに必要になりますので忘れないようにしましょう
    • 利用していないサブスクの支払いがないか、クレジットカード等の明細は毎月確認しましょう
    • 不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう
    • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

~NEW~
国民生活センター 水回り修理「950円~」のはずが…数十万円の高額請求に!-水回り修理、解錠、害虫駆除などの緊急対応で事業者とトラブルにならないためには?-
  • トイレの修理、水漏れ・排管等の詰まりの修理、鍵の修理・交換、害虫・害獣等の駆除など、日常生活でのトラブルに事業者が対処する「暮らしのレスキューサービス」において、事業者から高額な作業料の請求を受けたという消費者トラブルが増加しています。国民生活センターでは2018年12月に同様のトラブルに関する注意喚起を行いましたが、その後も相談件数は全国的に増加傾向が続いています。
  • 相談事例をみると、インターネット上の広告がきっかけのトラブルが増加しています。「水回り修理950円~」など安い価格が表示されたインターネット上の広告を見て消費者は事業者を自宅に呼びますが、実際の料金は数十万円になるなど当初見ていた広告の金額とはかけ離れた請求になってしまったという相談が多くみられます。
  • そこでトラブル防止のために相談事例とアドバイスを紹介し、注意喚起を行います。
  • 年度別相談件数:2016年度は2,437件、2017年度は2,805件、2018年度は3,386件、2019年度は3,771件、2020年度は5,882件、2021年8月末までの件数は2,307件です。
  • 相談件数のうち電子広告が関わる割合:2016年度は19.2%、2017年度は21.7%、2018年度は25.6%、2019年度は28.9%、2020年度は41.1%、2021年8月末までの割合は48.1%です。
  • 相談事例
    1. トイレ修理で「390円から」のネット広告をみて依頼したら55万円の請求を受けた
      • 夜に自宅マンションのトイレが詰まった。インターネット広告に「料金390円から」と記載された事業者に修理をお願いしたいと電話した。作業員から連絡があり「勝手に自分で直そうとすると逆に詰まるのでしないように」と言われた。男性2人の作業員が到着し、高圧ポンプで10分程作業した。解消されないので「便器を外して排水管を確認する。3万円かかる」と言われ了承した。「長年の汚れが蓄積して詰まった。こんなにひどいのは初めてだ。通貫作業が必要で20万円前後かかる」と言われた。他の部屋の住民に迷惑をかけてはいけないと思い、了承した。さらに「詰まり再発防止のため、薬剤と特殊な機械による清掃で15万円かかる」と言われ応じた。全ての作業は30分程度で完了し、詰まりも解消したが最終的に約55万円の契約書を渡された。「現金で支払えば50万円に値引く」と言われ、少しでも安くなればという思いからATMで現金を引き出しその場で支払った。よく考えてみるとあまりに高額で納得できない。(2021年4月受付 40歳代 女性)
    2. その他、以下のような相談も寄せられています。
      • 水漏れ修理で事前に3万円は超えないというので依頼したのに15万円請求され、水漏れも直っていなかった
      • 解錠で高額請求され「個人情報を知っている」と脅されてその場で支払ってしまった
  • 消費者へのアドバイス
    • 修理等を依頼する前に確認・準備することは?
    • インターネット上の広告の金額表示をうのみにしない
    • 地元の工務店や自治体の管工事組合など信頼のおける事業者を探しておく
    • 実際に水漏れなどのトラブルが起こったときを想定し初期対応について調べておく
  • 作業に来てもらったときに気を付けることは?
    • 契約を急かされる、次々と高額な作業を提案される場合などは作業を断る
  • 作業後に高額な料金を請求された場合は?
    • 料金・作業内容に納得できない場合は、その場で支払いをしない
    • 事業者とトラブルになった場合は最寄りの消費生活センター等に相談を
    • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
      • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

~NEW~
厚生労働省 動画版「令和3年版 労働経済の分析」を公表します~新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響などをスライドと音声で分かりやすく紹介
  • 厚生労働省は、このたび、労働経済白書をより多くの方にご覧いただくことを目的に、今年7月に公表した「令和3年版 労働経済の分析」(労働経済白書)の動画版を作成しました。
  • 労働経済白書は、雇用、労働時間などの現状や課題について、統計データを活用して分析する報告書で、今回2年ぶりの発表となります。
  • 動画版は、3つの章から構成されており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による雇用への影響、感染拡大下でも業務継続が不可欠な医療・介護などの分野で働く方々の状況、テレワークに関する課題などを、スライドと音声で分かりやすく紹介しています。
  • 動画版「令和3年版 労働経済の分析」は、10月6日から、厚生労働省のウェブサイトや厚生労働省YouTubeチャンネルでご覧いただけます。
  • 【動画版の構成】
    • 第1章:新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響等
      • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が雇用・労働に及ぼした影響や、感染拡大期における雇用対策、働き方改革の進展の状況
    • 第2章:感染拡大下で業務の継続を求められた労働者の分析
      • 国民生活の安定のために不可欠な業務の継続に当たった労働者の心身の負担の状況や、意欲を持ち充実した形で働き続けるために効果的な対策
    • 第3章:テレワークを活用して働いた労働者の分析
      • テレワークの定着に向けて、マネジメントや働く環境の整備等の観点から求められる対応
▼動画版「令和3年版 労働経済の分析」

~NEW~
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料等
▼資料1 直近の感染状況等の分析と評価
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数(報告日別)は減少が継続。直近の1週間では10万人あたり約7となっており、今回の感染拡大前の水準まで減少している。
    • 新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数(※)も減少が続いているが、大都市圏を中心になお多くの重症
    • 者が療養中であることに留意が必要。公衆衛生体制・医療提供体制についても改善傾向が続いている。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(9/19時点)で0.61と1を下回る水準が続き、首都圏では0.58、関西圏では0.62となっている。(※)各自治体が公表している数を集計したもの。公表日ベース。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    1. 首都圏(1都3県)
      • 東京では、新規感染者数は減少が続いており、約9。入院者数と重症者数も減少している。新規感染者に占める60代以上の割合は15%、入院者では34%、重症者では40%。8月以降、入院者や重症者に占める60代以上の割合が増加傾向にあることに注意。埼玉、千葉、神奈川でも、新規感染者数は減少が続いており、それぞれ、約8、7、7。病床、重症病床の使用率は減少が続いている。夜間滞留人口は、宣言解除後、首都圏全体で増加が顕著に現れており、新規感染者数の動向に注視が必要。
    2. 沖縄
      • 新規感染者数は約20と全国で最も高い水準だが、今週先週比が0.45で、減少が続く。病床、重症病床の使用率は減少が続いており、いずれも1割台の水準。自宅療養者・療養等調整中数も減少が続き、約37。
    3. 関西圏
      • 大阪では、新規感染者数は減少が続いており、約17。入院者数と重症者数は減少が続いており、病床使用率は2割台の水準。京都、兵庫でも、新規感染者数は減少が続き、それぞれ約8、10。夜間滞留人口は、大阪、兵庫で増加。特に、宣言解除後の増加が顕著に現れており、新規感染者数の動向に注視が必要。
    4. 愛知
      • 新規感染者数の減少が続いており、約8。入院者数も減少が続いており、病床使用率は1割台の水準。夜間滞留人口は、増加が続いており、新規感染者数の動向に注視が必要。
    5. 北海道
      • 新規感染者数は減少が続き、約3(札幌市約5)。入院者数も減少が続いており、重症病床の使用率は1割を切る水準。夜間滞留人口は、宣言解除前後から増加。特に、解除後の増加が顕著に現れており、新規感染者数の動向に注視が必要。
    6. 福岡
      • 新規感染者数は減少が続き、約5。入院者数も減少が続いており、重症病床使用率は1割台の水準。夜間滞留人口は、小幅な増加。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 10月1日をもって緊急事態措置やまん延防止等重点措置がすべて解除された。これは、これまで市民や事業者の感染対策への協力、夜間滞留人口の減少、ワクチン接種率の向上、医療機関や高齢者施設のクラスター感染の減少などにより、全国的に感染者数の急速な減少が続いたことで、療養者数や重症者数も着実に減少し、医療提供体制・公衆衛生体制への負荷の低減が現れた成果である。
    • 今後もワクチン接種が更に進むことによる効果が期待される一方、大都市圏を中心になお多くの重症者が療養中であることに注視が必要であり、また、感染者数の減少に伴う安心感や措置の全面解除による制限の緩和により接触機会が増えることで、新規感染者数のリバウンドにつながる懸念もある。このため、基本的な感染対策を徹底してできるだけ感染者数の減少を継続させるとともに、新規感染者数のリバウンドが起こらないよう、引き続き、市民や事業者の方々にご協力いただくことが必要。
    • 引き続き、ワクチン接種を進めることが求められるが、それに伴い疫学像や感染者の病態像は変化しつつあり、今後の感染再拡大に備え、それに適合した医療提供体制・公衆衛生体制の強化を進めることが求められる。その際、ワクチン接種がさらに進むことによる感染拡大の抑制・重症化予防が期待される一方、ワクチンの効果の減弱によるブレイクスルー感染の増加も想定されるため、ワクチン接種者であっても症状が疑われる場合には引き続き検査を行うことが求められる。また、今後の感染拡大時においては、感染者に占める高齢者の割合が再び高くなる可能性があるため、年齢別の患者数の動向について、引き続き注視していくことが必要。
      1. 基本的な感染対策の徹底
        • 感染拡大の防止の基本は、個々人が、マスクの正しい着用、手指衛生、ゼロ密(1つの密でも避ける)や換気といった基本的な感染対策を徹底することであり、少しでも体調が悪ければ検査・受診を行うこと。また、飲食の際は、少人数、短時間とし、飲食時以外はマスクを着用すること。さらに、改定された基本的対処方針を踏まえ、国や自治体においては、外出時には、混雑している場所や時間を避けて少人数で行動することや、企業におけるテレワーク等の推進状況を踏まえた柔軟な働き方への対応をとることについて、呼びかけを行うこと。
      2. 今後の感染再拡大に備えた医療提供体制・公衆衛生体制の強化
        • 9月28日に取りまとめられた「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組」に基づき、今回の感染拡大における各地域の感染状況と同様の規模やスピードでの感染拡大が今後も生じ得ることを前提に、臨時の医療施設・入院待機施設の整備、自宅・宿泊療養の体制強化、中和抗体薬を始めとした治療薬を入院・外来・往診などで投与できる体制の拡大、医療人材確保の仕組みの構築や検査体制の確保などについて、早急に対策を進めること。また、自治体においては、ワクチン接種を積極的に進めること。

~NEW~
国土交通省 「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました
  • 国土交通省では、「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」での議論を踏まえ、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。
  1. 背景・経緯
    • 不動産取引にあたって、取引の対象不動産において過去に生じた人の死に関する事案について、宅地建物取引業者による適切な調査や告知に係る判断基準がなく、取引現場の判断が難しいことで、円滑な流通や、安心できる取引が阻害されているとの指摘があります。
    • 国土交通省では、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上負うべき義務の解釈について、令和2年2月より「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」において検討を進め、同検討会での議論や、本年5月から6月に実施したパブリックコメントを踏まえ、標記ガイドラインをとりまとめました。
  2. 本ガイドラインの概要
    • 本ガイドラインは、取引の対象不動産において過去に人の死が生じた場合において、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上負うべき義務の解釈について、現時点における裁判例や取引実務に照らし、一般的に妥当と考えられるものを整理し、とりまとめたものです。
    • 本ガイドラインにおいては、例えば以下の事項等について整理しており、詳細は別紙1(概要)及び別紙2(ガイドライン)をご確認ください。
    • 宅地建物取引業者が媒介を行う場合、売主・貸主に対し、過去に生じた人の死について、告知書等に記載を求めることで、通常の情報収集としての調査義務を果たしたものとする。
    • 取引の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)については、原則として告げなくてもよい。
    • 賃貸借取引の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死以外の死が発生し、事案発生から概ね3年が経過した後は、原則として告げなくてもよい。
    • 人の死の発生から経過した期間や死因に関わらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合や、社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合等は告げる必要がある。
▼参考 「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」ホームページ

~NEW~
国土交通省 「洪水及び土砂災害の予報のあり方に関する検討会(報告書)」の公表について
  • 近年の頻発・激甚化する気象災害を背景として、市区町村や住民をはじめ民間企業や自主防災組織等の地域コミュニティなど、社会全体において防災対応や事業継続に対する意識が高まっており、洪水及び土砂災害の予報の更なる高度化とともに、利用者の多様なニーズに対応した情報が求められています。また、こうしたニーズも背景に、研究機関や民間気象事業者等において洪水及び土砂災害の予測に関する様々な研究や新たな技術開発が進展しています。
  • これら新たな技術も積極的に活用し、洪水及び土砂災害に対する的確な防災対応や避難の促進、多様化するニーズへの対応のため、有識者からなる検討会を開催し、洪水及び土砂災害の予報のあり方についてご議論いたただきました。
  • 今般、その検討の成果として「洪水及び土砂災害の予報のあり方に関する検討会(報告書)」が取りまとめられましたので公表いたします。
  • 報告書では提言として、社会の防災対応や事業継続により貢献していけるよう、国等による、市区町村の防災対応や住民の避難のための予報の高度化及びその提供や、研究者や民間気象事業者等による、新たな技術の研究開発及び防災上の考慮をしたうえでの多様なニーズに応える予報の提供に向けて、以下の取組を進めていくことが示されました。
    1. 国等による水系・流域が一体となった洪水予測の実施
    2. 国等による土砂災害警戒情報などの更なる精度向上
    3. 民間による洪水及び土砂災害の予報の提供に向けた制度の構築
    4. 研究者や民間気象事業者等における技術開発や予報業務を推進する環境整備
  • 気象庁と水管理・国土保全局では、報告書でいただいた提言を受けて、これら取組について具体的な検討を連携して進めてまいります。

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