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  • マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題(金融庁)/気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第3作業部会報告書(経産省)/不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況(経産省)

危機管理トピックス

マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題(金融庁)/気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第3作業部会報告書(経産省)/不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況(経産省)

2022.04.11
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更新日:2022年4月11日 新着18記事

グローバル ビジネス イメージ
【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

警察庁
  • 令和3年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
  • 令和4年2月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
消費者庁
  • 令和3年度消費者の意識に関する調査結果報告書
  • 株式会社 W-ENDLESSに対する景品表示法に基づく措置命令について
厚生労働省
  • 第3回生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会ワーキンググループ資料
  • 第79回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年4月6日)
経済産業省
  • 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第3作業部会報告書を公表します
  • 不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況を取りまとめました
  • 中小企業のDXに役立つ「手引き」と「AI導入ガイドブック」を取りまとめました
  • 防衛装備の海外移転の許可の状況に関する年次報告書を取りまとめました
  • 令和3年度「取引適正化」と「付加価値向上」に向けた自主行動計画に係るフォローアップ調査を実施しました

~NEW~
金融庁 マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題(2022年3月)
▼ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドラインVer.3.0(概要)
  • テロ資金供与については、FATF勧告8「非営利団体(NPO)」において、管理態勢の脆弱な非営利団体が、合法的な団体を装う形態、合法的な団体をテロ資金供与のパイプとして利用する形態、合法目的の資金をテロ組織に横流しするために利用する形態によりテロリスト等に悪用されないよう、各国は、法令等が十分か見直すべきであるとしている。また、拡散金融についても、FATF勧告7「大量破壊兵器の拡散金融」において、各国は、大量破壊兵器の拡散及びこれに対する資金供与の防止・抑止・撲滅に関する国連安保理決議を遵守するため、対象を特定した金融制裁措置を実施しなければならないとしており、加盟国に対して、国際連合憲章第7章に基づく国連安保理により指定されたあらゆる個人又は団体が保有する資金その他資産を遅滞なく凍結するとともに、いかなる資金その他資産も、直接又は間接に、これらの指定された個人又は団体によって、若しくはこれらの個人又は団体の利益のために利用されることのないよう求めている。
  • 2021年4月時点で、暗号資産について法規制を導入(あるいは法規制で禁止と明示)しているのは58の国・地域に留まるとされている。海外の事業者の中には、日本の居住者に対して、無登録で暗号資産の販売等のビジネスを行う者も見受けられ、当庁として警告書を発出してきている。
  • このほか、暗号資産については、実際には、特に高額の暗号資産の現金化に際しては金融機関の関与が欠かせない実態はあるものの、一般的には既存の法定通貨による取引のように金融機関による仲介や規制なしに取引が完了し得ることから、テロリストやテロ支援者等が、暗号資産を経済制裁の回避手段として悪用している可能性がある。また、これについては、その実態規模の把握が困難であるとされている。この点、海外では、ツイッターで暗号資産ウォレットアドレスを周知することで、氏名を特定しないままISIL(Islamic State of Iraq and the Levant)への暗号資産による資金提供を求める方法や、シリアへの渡航を企図するISIL支持者へ渡航資金を援助する方法を提供した事例も確認されている。
  • また、国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネルの報告書では、北朝鮮による暗号資産交換所への攻撃が継続していると指摘されている。また、2020年4月の米国連邦政府関係省庁合同の北朝鮮によるサイバー攻撃に関する報告書においても、北朝鮮が、企業・金融機関・中央銀行・暗号資産交換所へのサイバー攻撃により不法にドル資産等を取得していることを注意喚起している。
  • 2020年10月のG7財務大臣・中央銀行総裁会議総裁の声明、2021年5月のG7コーンウォールサミット首脳声明でも、データ復旧等に身代金を要求するランサムウェアの感染被害や、その脅威が増していることが指摘されている。国内外において、大きな感染被害が相次いで報告されるなか、この支払を暗号資産で求める事例も発生している。なお国外の事例では、大規模な組織犯罪の活動資金としてランサム攻撃を行ったとみられる事案が確認されている。
  • このような、ランサムウェア、詐欺、恐喝により被害者から暗号資産を入手しようとする行為は、FATFによる調査17で新たな犯罪類型として指摘されている。その他の犯罪者の暗号資産の利用事例としては、規制の課された品目(銃器・児童搾取・人身売買を含む)の違法取引や、脱税、経済制裁回避のために、暗号資産を支払手段として直接利用することや、暗号資産を犯罪収益の送金・回収・レイヤリングといったマネロンの手段の一つとして利用することが指摘されている。
  • 暗号資産に係るマネロン等リスクの傾向
    • 2021年7月にFATFが公表した「暗号資産・暗号資産交換業者に関するFATF基準についての2回目の12ヵ月レビュー報告書」(原題:「SECOND 12-MONTH REVIEW OF THE REVISED FATF STANDARDS ON VIRTUAL ASSETS AND VIRTUAL ASSET SERVICE PROVIDERS」)において、暗号資産に関するマネロン等リスクの継続的な傾向として「FATF基準不遵守又は不十分な法域が数多く存在することによる、これら法域への逃避(Regulatory Arbitrage:規制裁定)」、「規制を遵守しない又は遵守が脆弱な暗号資産交換業者の悪用」及び「匿名性を高めるツールや手法の悪用」を挙げている。
    • 各国でのFATF基準実施状況として、サーベイ(2021年4月時点)に回答した128法域のうち、58法域が何らかの必要な立法措置を講じたと報告(うち、6法域は暗号資産交換業者の業務を禁止)したものの、検査・監督や行政処分まで実施している法域は、それぞれ29法域、18法域にとどまり、一部の暗号資産交換業者が、こうした規制・監督体制が脆弱な法域に進出し、更には、不正行為者が、これらの暗号資産交換業者の脆弱なマネロン等対策の態勢を悪用していると指摘している。
    • また、匿名性を高めるツール及び悪用手法として、
      • タンブラー・ミキサー(取引を、複数の他者による取引と混合し一つに集約した後、各々の移転先に再分配することにより、移転元とのつながりを不明瞭にする技術)の利用
      • AECs(Anonymity Enhanced Coins)やプライバシーコイン(匿名技術をブロックチェーン基盤に組み込んだ暗号資産)の使用
      • プライバシーウォレット(暗号資産交換業者のような仲介者を持たず、個人が秘密鍵の管理も行い、個人のみで取引が完了できるウォレット)の使用
      • チェーンホッピング(暗号資産を別の暗号資産に換えること。ブロックチェーンはその種別ごとに異なるため、一暗号資産の取引として履歴を追えなくなる)
      • ダスティング(匿名化を意図し、少量の暗号資産をランダムにウォレットへ移転させ、暗号資産の所有者を隠そうとする行為。これを攻撃や、こうした分散の特定に用いようとする「ダスティング攻撃」もある)
      • 分散型アプリケーションや分散型取引所の利用
    • などを挙げ、2020年頃からは、複数の取引を1つにまとめて匿名性を高めるCoinJoinと呼ばれる手法(コインをプーリングすることで、送金元アドレスと送金先アドレスの関係を第三者から隠蔽する手法)が大幅に増加したと指摘している。
    • なお、暗号資産取引が、規制回避目的で、仲介業者を利用せず、個人間で行われる取引(P2P取引)にどの程度の規模で移行していくかは留意する必要がある。本FATFの報告書では、ブロックチェーン分析会社7社からのデータを利用して、P2P取引に関する初の定量的な市場データを示したものの、調査を実施したブロックチェーン分析会社7社の結果にバラツキがあるなど、技術的制約も含めてP2P取引の実態把握には課題が残るが、(1)2P取引は相応の規模(ビットコインでは、調査を行った7社のうち5社が、取引額の約50%又はそれ以上がP2P取引と報告)、(2)不正な取引の割合は、暗号資産交換業者経由の取引よりもP2P取引の方が高い、といった傾向が見られるものの、FATF基準最終化(2019年)以降、P2P取引のシェアに顕著な増加は見られず、現時点で、業者規制を通じたアプローチの変更は必要ないと結論付けている。また、暗号資産については、現時点では、商品・サービスへの支払手段として普及が限定されており、暗号資産での支払い等には暗号資産交換業者を経由して法定通貨に換金される必要があるため、まずは、各法域において、暗号資産交換業者へのFATF基準規制の早期実施が、P2Pリスクへの対応においても最も効果的な対応であるとしている。
    • もっとも、グローバル・ステーブルコインやその他の暗号資産が、今後、広範に普及した場合には、暗号資産と法定通貨との換金ポイントでリスクを低減するという現行アプローチが十分に機能しなくなることから、今後も、注意深くモニタリングする必要があるとしている。
    • 金融庁においては、従来から上記のような事案に係る疑わしい取引の参考事例を示し、暗号資産交換業者において把握した件数の報告も受けてきているところ。暗号資産交換業者等においては、引き続きこうした事案の検知を確保するためのモニタリング等の措置を講じることが重要である。
  • 資金移動業者のビジネスモデルは様々であり、例えば、個人や中小・個人事業主のインターネットを使った商品・サービス取引用のモバイル送金・決済サービスを提供する事業者、来日外国人の母国向け海外送金サービスを提供する事業者、海外留学・出張等の際に加盟店でのショッピングやATMからの現地通貨の引き出しができるカードを発行する事業者、事業者からの委託を受けて商品返品やイベント等の中止等に伴い、多数の利用者に対し返金・払戻しを担当する事業者等が存在している。
  • また、事業者の規模や取引形態も様々であり、直面するリスクも異なっている。資金移動業者も預金取扱金融機関と同様に、内外の為替取引に係るマネロン等リスクに対応する必要がある。すなわち、国内の資金移動に加え、法制度や取引システムの異なる外国へ犯罪収益が移転され、その追跡を困難にさせるといった為替取引に共通するリスクに直面している。資金移動業者によっては、代理店における不適切な本人確認により、マネロン等リスクが生じうる可能性もある。
  • また、海外送金サービスを提供する事業者が、国内拠点と海外拠点との間で複数の小口送金取引を取りまとめて決済を行う場合(いわゆる、バルク送金取引)、資金移動業者に口座を提供している銀行から見れば、小口送金の実態は国境を跨ぐ資金決済でありながら、バルク送金の中に含まれる個々の送金人や受取人に関する情報が不透明となるリスクがある。資金移動業者と口座を提供する銀行との間で、お互いのマネロン等対策の実施状況を確認し合う等、マネロンに利用されたり、制裁対象者等が含まれたりすることのないよう、リスクに応じた対応を講じることが重要となる。
  • さらに、収納代行業者の中には、マネロン等リスクの高い、国境を跨ぐ資金決済を行う場合がある。例えば国外取引の資金決済を海外の収納代行業者等と連携して、国際的な資金決済ネットワークであるSWIFTを利用して資金決済を行っている内外の銀行に口座を開設し、国内為替との組み合わせで、経済効果としては外為送金と同様の機能を国内顧客に提供している事業者もある。そのような事業者に口座を提供している銀行は、リスクに応じた対応として、自らの顧客である収納代行業者の取り扱う資金の流れについてリスクの特定・評価を行い、リスクに応じた、収納代行業者への顧客管理措置を通じて、海外送金に関するマネロン等のリスクの低減措置を講じることが重要である。
  • 非対面でモバイル送金・決済サービスを提供する事業者は、マネロン等を企図する者が、何らかの方法によって不正入手したID・パスワードを利用し、正規のアカウント所有者になりすまして資金の移転や引き出しを行うリスクに直面している。
  • 資金移動業者に認められている取引時確認の方法の一つとして銀行依拠による取引時確認がある。これは、一定の特定取引のうち、預貯金口座における口座振替の方法により決済されるものについて、当該口座を開設した事業者が預貯金契約の締結を行う際に、顧客等又は代表者等について取引時確認を行い、その記録を保存していることを資金移動業者が確認する方法20であり、資金移動業者において、顧客が保有する銀行の預貯金口座と当該資金移動業者における口座を連携するとともに、取引時確認を完了させる方法として用いられている。
  • こうした中、2020年、悪意のある第三者が、何らかの方法により不正に入手した預金者の口座情報等を基に、当該預金者の名義で資金移動業者のアカウントを開設し、銀行口座と連携した上で、銀行口座から資金移動業者のアカウントへ資金をチャージすることで不正な出金を行った事案が複数発生した。
  • 当事案は、資金移動業者において口座振替契約(チャージ契約)の締結に際して、銀行口座のキャッシュカードの暗証番号のみで取引時の確認及び認証を行っていた点に脆弱性があったものと認められる。
  • ガイドラインでは、資金移動業の利用者について、公的個人認証その他の方法により実効的な取引時確認を行い、本人確認書類等により確認した当該利用者の情報と連携先が保有する情報を照合することにより、当該利用者と預貯金者との同一性を確認するなど、適切かつ有効な不正防止策を講じること、また、連携先の銀行等において実効的な要素を組み合わせた多要素認証等の認証方式が導入されていることを確認していること等を求めている。
  • 金融機関等が、当該e-KYC業務の委託先に対して、適切な研修や指導を実施しなかった場合やe-KYCの本人確認手続の一部を受託した事業者が適切な確認作業を実施していない場合、委託先におけるe-KYC業務が適切に実施されず、適切な取引時確認がなされない可能性があることから、金融機関等は、委託先における確認手続が法令等に基づき適切に実施されることを確保するためのモニタリング等の措置を講じることが重要である。
  • 近年、我が国においては、特殊詐欺が多発している。特殊詐欺の犯行グループは、首謀者を中心に、だまし役・詐取金引出役・犯行ツール調達役等の役割を分担した上で、預貯金口座、携帯電話、電話転送サービス等の各種ツールを巧妙に悪用し、組織的に詐欺を敢行するとともに、詐取金の振込先として架空・他人名義の口座を利用するなどし、マネロンを敢行している。また、自己名義の口座や偽造した本人確認書類を悪用するなどして開設した架空・他人名義の口座を遊興費や生活費欲しさから安易に譲り渡す者等がおり、マネロンの敢行をより一層容易にしている。
  • また、特殊詐欺ではないものの、いわゆる副業ビジネスと呼ばれる事案も確認されている。例えば、インターネット上に副業のあっせんを行うホームページを開設し、当該副業のあっせんを申し込んできた者から、必要費用等の名目で金銭を支払わせる事例も見られる
  • 金融機関等においても、昨今の世界情勢やテロ資金供与の危険度が高い国・地域、取引等について、日ごろから情報蓄積及び分析を行うとともに、NPOが口座を開設している場合には、海外送金を行っているか、支援している地域や団体も踏まえ、リスクの特定・評価を行い、テロ資金供与リスクに対して、継続的かつ予防的なリスク対応を行うことが重要である。
  • なお、テロ資金供与に関連する我が国の措置として、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律(以下、「テロ資金提供処罰法」という。)の施行に加え、タリバーン・ISIL及びアル・カーイダの関係者等に対して、国連安保理決議に基づき、資産凍結等の措置を実施しており、資産凍結措置は、外国為替及び外国貿易法(以下、「外為法」という。)、国際テロリスト財産凍結法30に基づき実施されている。
  • 野生動植物の違法取引に関連するマネー・ローンダリング
    • 昨今、環境に対する世界的な関心が高まっているところ、環境犯罪を助長する資金の流れや洗浄手法等に対する認識向上を目的として、2020年6月にFATFは「マネー・ローンダリングと違法野生生物取引」(原題「Money Laundering and the Illegal Wildlife Trade」)、2021年6月には「環境犯罪にかかるマネー・ローンダリング」(原題「Money Laundering from Environmental Crime」)を公表した。
    • 警察庁によれば、我が国では、野生動植物の違法取引に係るマネロンとして検挙された事例は認められていないが、実際に国内で、野生動植物密輸等に関連した摘発事例は発生している。
      • 必要な承認・許可を受けることなく、生きているコツメカワウソをボストンバッグに隠匿して、タイから輸入するなどした事例
      • 必要な許可を受けることなく、象牙等をスーツケース等に隠匿して、ラオスに輸出しようとした事例
      • 必要な登録を受けることなく、象牙の印材をインターネットオークションサイトで広告して、顧客に販売した事例
    • 我が国においても、FATFや国際的な議論を踏まえ、環境犯罪をリスクと認識して対応することが必要であり、国際的に希少な野生動植物やその製品の取引等を前提としている場合等には、マネロンのリスクを意識した対応を行うことが必要である。金融機関として気を付けるべきは、貿易決済に関する送金を取り扱う場合の注意事項と同様に、顧客の職業やビジネスの内容と送金の送付先、裏付けとなる商取引に不自然なものがないか、取引されているモノが野生動物や希少動物、もしくは象牙といったものでないかという確認するなどのリスクの特定・評価を行い、リスクに応じて、必要な場合には、更なる深掘り調査をするということがリスクベースの対応であると言える。
  • マネロン及びテロ資金供与のほかにも、拡散金融(核兵器をはじめとした大量破壊兵器等の製造・取得・輸送などに係る活動への資金提供)に係るリスクに対しても十分に対策をとることが必要である。拡散金融については、テロリストと同様に国連安保理決議等により指定される大量破壊兵器に関連する活動に関与する者に対する資産凍結等措置をはじめとする経済制裁措置を実施している。同措置遵守に関し、国連安保理決議により設立された制裁委員会に指定される経済制裁対象者に係る外務省告示等が発出された場合に、直ちに該当する当該経済制裁対象者との取引がないことを確認し、取引がある場合には資産凍結等の措置を講ずる必要がある。テロ資金供与対策と同様に、拡散金融に係る経済制裁対象者についても、金融機関等は、公表後遅滞なく自らの制裁リストを更新して、より厳格な顧客管理を行うなど、対応を確実に実施することが必要である。
  • ロシア軍のウクライナへの侵略に対する懸念はG7諸国等にとどまらず、2022年3月1日から4日に行われたFATF総会の最終日、「ウクライナ情勢に関するFATF声明(原題:FATF Public Statement on the Situation in Ukraine)」が採択・公表された。声明のポイントは、以下のとおりである。
    • FATFは、ロシアのウクライナ侵攻が、マネー・ローンダリング、テロ資金供与および拡散金融に関するリスク環境、金融システム、経済、および、安全保障に与える影響について、重大な懸念を表明。
    • FATFは、現在、FATFにおけるロシアの役割をレビューしており、必要な追加的措置についても検討することに言及。
    • 金融機関や金融システムを標的とした悪意のあるサイバー活動がマネロン等管理体制に与えるリスクに言及。人道支援の観点からNPO活動の重要性を強調。
    • 各国に対し、暗号資産を含め、新たに特定したマネー・ローンダリング、テロ資金供与および拡散金融に関するリスクの評価・軽減に関する民間セクターへの助言提供や民間セクターとの情報共有の促進等を要請。また、制裁回避から生じる新たなリスクの可能性に対して各国が警戒すべき旨、指摘。
  • 我が国では、資産凍結等の金融制裁は、外為法の支払規制や資本取引規制等により実施している。また、外為法では金融機関は顧客の海外送金等が当該規制に該当しないことを確認した後でなければ、当該海外送金等を行ってはならないこととなっている。今般の、ロシアによるウクライナ侵略をめぐる現下の国際情勢に鑑み、閣議了解33に基づき、外為法に基づく当該種々の経済制裁による諸般の義務の遵守を要請している。自ら又は他の金融機関等を通じて海外送金等を行う場合に、これら外為法をはじめとする海外送金等に係る国内外の法規制等に則り、関係国等の制裁リストとの照合等の必要な措置を講ずることは、もとより当然である。マネロン等対策と同様、金融機関は日ごろから制裁への対応を確実にして、制裁が発動された際には早急に必要な措置を取れるよう備えておく必要がある。
  • なお、外為法における支払規制では、暗号資産も含めたあらゆる制裁対象者への支払いが規制対象となっている。今般のウクライナをめぐる資金凍結等の制裁措置の実施に当たって、暗号資産交換業の適正かつ確実な遂行を確保する観点から、2022年3月14日、金融庁及び財務省は、暗号資産交換業者に対し、顧客が指定する受取人のアドレスが資産凍結等の措置の対象者のアドレスであると判断した場合には、顧客に外為法の支払許可義務が課されていることを踏まえ、暗号資産の移転を行わないことなどについて要請を行った。
  • リスクの特定・評価【取組に遅れが認められる事例】
    • 業界団体から提供を受けたリスク評価書のひな形に基づき、犯罪収益移転危険度調査書記載の事案を列挙するにとどまり、自らが提出した疑わしい取引の届出の傾向と分析、警察から凍結要請を受けた口座の分析、金融犯罪の被害状況等の自らの規模・特性を踏まえたリスクの特定には至っていない。
    • 犯罪収益移転危険度調査書の自らの金融機関に関する記載のみを参照し、顧客のリスクに関する記載を考慮していない。
    • 非対面取引形式による商品・サービスを提供しているにもかかわらず、これらの商品・サービスに対するリスクの特定・評価を行っておらず、全ての商品・サービス等のリスクを包括的に評価していない。
    • 自らが提供する一部の商品・サービスについて、リスクが存在することを認識しつつも、当該リスクが顕在化することはないと判断し、リスクの特定・評価、及び、リスクに応じた対応方針を検討していない。
    • 自らの顧客が対象となった金融犯罪の傾向、疑わしい取引の届出等の分析に基づく、自らの個別具体的な特性を考慮したリスク評価を実施していない。
    • 直接・間接の取引可能性のある「国・地域」を包括的に洗い出す、あるいは日本と国交のある国及び北朝鮮(196か国)を洗い出していない。
    • 従来からのリスク評価書を更新するにとどまり、誰が、どのようなデータ・資料を用いて、どのようにリスクの特定・評価を行うかなどの手順を文書化した規程を作成していない。
  • 継続的な顧客管理【取組に遅れが認められる事例】
    • 顧客のリスクに応じた調査頻度や具体的な調査方法等の継続的な顧客管理を実施するに当たって、計画を策定していない。
    • 継続的顧客管理の実施計画上、取組開始時期が後ろ倒しとなっており、2024年3月末までに完了する計画となっていない。
    • 疑わしい取引の届出を提出した先については、高リスク先として管理しているものの、その他の顧客については顧客ごとのリスク評価を実施しておらず、リスクに応じた管理を実行するに至っていない。
    • 既存先の情報更新に関して、アンケートの郵送・回収のみで対応しようとし、回収率が低水準である中で、その他の情報更新の方法について検討できていない。
    • 顧客リスクに応じた頻度でリスク評価の見直しを行うとの手続としているものの、顧客リスクに影響を与える事象が発生した場合の検知方法、リスク評価の見直し手続について規程化・文書化していない。
  • 取引モニタリング・フィルタリング【取組に遅れが認められる事例】
    • 取引モニタリングシステムのシナリオや検知ルールを当初設定のまま使用しており、シナリオの見直しやリスクに応じた敷居値の設定が行われていない。
    • 職員の気づきにより、疑わしい取引を発見したものの、担当部署に報告する手続を制定しておらず、疑わしい取引の届出の判断は、拠点の裁量に任されている。
    • 自らの営業地域における犯罪傾向や疑わしい取引の届出実績等に係る分析を行っていない。
    • 自らの営業地域における犯罪傾向や疑わしい取引の届出実績等に係る分析を行っているものの、分析結果をモニタリングシステム検知基準の見直しや疑わしい取引の判断に係るばらつきの解消といった検知態勢の改善に十分に繋げられていない。
    • 口座を開設している法人について、代表者や実質的支配者が個人口座を開設していない場合、その代表者や実質的支配者が取引フィルタリングの対象となっていない。
    • システム上の不具合により、取引フィルタリングシステムを通さずに職員による目検のみでリスト照合を行ったものの、一部、検証未済の取引を実行してしまった。
    • システム上の不具合が発生した場合に代替システムを用意していたものの、予行演習を行っておらず、代替システムを稼働できなかった。
    • 制裁者リストが更新された際に、既存口座との夜間バッチ処理による差分チェックを行っているものの、新たな指定から24時間以内での検証が行われていない。
    • 制裁対象国名のリスト照合のみで、主要港湾都市名やオフショアセンターの住所に該当するかを検証対象としていない。
    • 制裁対象者名や地名では、慣行や非英語名称からのアルファベット変換により複数のスペリングがあるにもかかわらず、取引フィルタリングシステムにおいて、複数候補を検知できるよう、あいまい検索機能が適切に設定されていない。
    • 取引フィルタリングシステムのあいまい検索機能について、システムベンダーに設定レベルの確認を行っておらず、ベンダー任せになっている。
  • 疑わしい取引の届出【取組に遅れが認められる事例】
    • 疑わしい取引の届出の判断に際して、考慮する要素や判断基準が規程等により定められておらず、届出の要否を十分に検討しないまま、届出不要と判断している。
    • 届出を行った疑わしい取引について、届出の種類別の件数を集計しているものの、届出の内容や傾向等の分析、及び、顧客や商品・サービス等のリスクの特定・評価への活用が行われていない。
    • 職員の気づきによる疑わしい取引の届出を軽視し、疑わしい取引の届出参考事例の職員向けの研修を実施していない。職員の気づきによる検知を拠点の判断で届出不要とし、記録も残していない。
    • 疑わしい取引の検知から判断、判断から提出までの時間測定や期日管理が行われておらず、提出に時間がかかっている。また、疑わしい取引と判断したものを即時に提出せず、月に一回まとめて提出している。
  • 経営陣の関与・理解【経営陣の主導的な関与がなされていない事例】
    • 経営陣は、担当部署からマネロン等対策に関する取組状況の報告を受けるにとどまり、ギャップ分析結果に基づき、ギャップを埋めるための行動計画の策定を指示していないなど、マネロン等リスク管理態勢の整備に向けた主導的な関与は十分なものとなっていない。
    • 経営陣は、マネロン等対策が経営の重要課題の一つであるとの認識が不足しており、また、四半期毎にマネロン等対策の行動計画の進捗状況が報告されているものの、計画どおり実施できなかった施策について、担当部署に対し、その要因分析を指示しておらず、進捗管理が十分に行われていない。
    • 経営陣は、関係法令やガイドラインのみならず、自らの事務手続について熟知していない者をマネロン等対策担当部署の役席に任命する、又は十分な人員数を配置しないなど、経営として最も対応が期待される人的資源配分を適切に行っていない。
  • リスクの特定・評価【取組に遅れが認められる事例】
    • 一部の暗号資産交換業者において、新たな商品・サービス提供開始の都度リスク評価書を見直すとしているものの、実態としては年1回の更新に留まっており、最新のリスク認識や低減策、残存リスクについて経営への報告やリスク評価書への反映の遅れが見られた。
  • リスクの低減【取組に遅れが認められる事例】
    • リスクベースの継続的顧客管理措置の取組について、顧客情報の更新のための検討はなされるものの、実施に遅れが見られる暗号資産交換業者も限定的ながら存在する。
    • 一部の暗号資産交換業者においては法人顧客の実質的支配者の確認や事業実態に関する深度ある調査態勢の構築には、顧客属性に対するノウハウの蓄積も含め、いまだ向上の余地がある
  • ITシステムの活用及びデータ管理(データ・ガバナンス)【改善が求められる事例】
    • 取引モニタリングシステムのシナリオにおいて、顧客属性と紐付けた高額暗号資産検知シナリオが欠落していたため、顧客属性に対して高額な暗号資産入出金取引を検知できていない。
    • 取引モニタリングシステムのシナリオ自体は適切に検討されていたものの、仕様どおりシステムに実装されず、またシステム稼働時に検証されなかった。この結果、検知すべき取引が検知出来ていないことを看過していた。
    • 親族間や利害関係者間といった顧客間の関係性に着眼した調査が必要となる認識がなかったことから、これを可能とする検索機能は実装されなかった。この結果、検知すべきグループとしての不審な取引が、適時に把握できていなかった。
  • 経営管理態勢【取組に遅れが認められる事例】
    • 第3線である内部監査部門に、暗号資産のマネロン等対策に関する監査を実施するための専門性・能力を備えた監査要員を確保していない。
    • 第2線であるリスク管理部門においても、口座開設、暗号資産取引に係る各種規制の理解、暗号資産のリスク特性を踏まえた専門性や能力を有する要員が確保されていない。
  • リスクの特定・評価【取組に遅れが認められる事例】
    • 上記記載の資金移動業者の決済サービスを利用した不正出金事案のように、連携先の一部銀行側の認証方式が暗証番号のみ(1要素認証)で行っていたことについて、ヒアリングを通じて把握するのみで、連携先の認証方式を踏まえたリスクの検証を行っていない。
    • 下記記載のとおり、資金移動業者における取引時確認の不備及び取引時確認記録の事後検証の未実施により、顧客情報の正確性を欠いていることから、顧客属性等のリスクを包括的かつ具体的に検証することができる状態になっていない。
    • 疑わしい取引の届出の分析等を実施しておらず、具体的かつ客観的な根拠に基づくリスク評価を実施していない。
  • リスクの低減【取組に遅れが認められる事例】
    • 上記のとおり、取引時確認により確認を行った「本人特定事項(氏名・住居・生年月日)」・「職業」・「取引目的」の記録に、通常あり得ない職業「回答しない」との記載、絵文字や記号が含まれる記載がされている。
    • 取引時確認業務を外部に委託している場合に、委託先に対する研修や指導を十分に実施していない、又は委託先が業務を適正かつ確実に遂行しているかを検証し、必要に応じ改善させていない。
  • 経営管理態勢【取組に遅れが認められる事例】
    • 経営陣が、スピードを重視したビジネスモデルのもと営業を推進しマネロン等リスク管理について、ビジネスモデルに見合った適切な資源配分を行わないなど、同管理態勢の整備を劣後させている。
  • 2019年10月の未来投資会議において、AIによるビックデータ分析の進展などにより、画一的な方法によらない規制制度を構築できる可能性が広がっていることから、モビリティ、金融、建築の3分野での将来の規制像の在り方の検討が指示された。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)において、研究委託事業の公募が行われ、金融分野では「マネー・ロンダリング対策に係るシステム開発及び調査」として、調査分野は全国銀行協会とあずさ監査法人(KPMG)が、研究開発分野は日本電気株式会社(NEC)が実施主体となり、3社によるAIを活用したマネロン等対策に係るシステム開発に係る実証実験が2020年4月より行われた。
  • この実証実験の背景としては、マネロン等に関係する取引モニタリングや制裁対象取引の検知(取引フィルタリング)といったシステム検知業務の導入、運用コスト負担が大きいことがある。現在、各金融機関が個別にシステムを導入し運用しているが、金融機関毎の対応能力には差異がある上、多くの金融機関が採用している簡便なシステムや人手を要する対応では、効率性や正確性、誤検知の処理負担などの面で相当の負担がある。また、IT技術の進歩や経済・金融サービスのグローバル化等が進み、マネロン等対策に対する国際的な要求水準が高まっている。それらを背景として、当実証実験ではAI等の技術を活用した高度なシステムを共同化することによって、効率的かつ実効的なマネロン等対策を実現できないか検証するとともに、共同体の運用に必要な規制の精緻化について検証することを目的とするものである。
  • 実証実験では、(1)取引フィルタリングシステムや(2)取引モニタリングシステムに関してAIを活用した実験用のミニシステムを開発・構築し、金融機関の協力を得て、実際の取引データを活用して検知・判断がどの程度正確に行われるかについての検証が行われ、2021年3月に報告書が作成された(NEDOによる公表は2021年7月)。実証実験の主な結果は以下のとおりであった。
    • 複数の金融機関の取引データより生成したAIモデルを用いて、各金融機関の取引データに適用してフィルタリング・モニタリングを行ったところ、判別精度が高く、有効性を確認できた。・本実証実験の中で開発したAIモデルが、取引モニタリング業務と取引フィルタリング業務のアラートの一次判定を行い、AIの出力結果のスコアに応じて人間の二次判定における確認深度に濃淡をつけること等によって、業務効率化が可能であることが確認できた。

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内閣官房 孤独・孤立の実態把握に関する全国調査
▼調査結果の概要
  • 孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は4.5%、「時々ある」が14.5%、「たまにある」が17.4%となっている。一方、孤独感が「ほとんどない」と回答した人の割合は38.9%、「決してない」が23.7%となっている。
  • 「UCLA孤独感尺度」に基づく孤独感スコアでは、「10~12点」という人の割合は6.3%、「7~9点」が37.1%となっている。「4~6点」という人の割合は37.4%、「3点」が18.5%となっている
  • 孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合が最も高いのは、30歳代で7.9%となっている。一方、その割合が最も低いのは、70歳代で1.8%となっている
  • 孤独感スコアが「10~12点」という人の割合が最も高いのは、30歳代で10.0%となっている。一方、その割合が最も低いのは、70歳代で2.5%となっている。
  • 男女別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、男性が4.9%、女性が4.1%となっている。年齢階級別にみると、男女ともに30歳代の割合が最も高くなっている(男性8.3%、女性7.3%)。
  • 男女別にみると、孤独感スコアが「10~12点」という人の割合は、男性が7.2%、女性が5.2%となっている。年齢階級別にみると、男女ともに30歳代の割合が最も高くなっている(男性11.6%、女性8.3%)。
  • 配偶者の有無別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、未婚者が9.6%、既婚者が2.4%となっている。なお、直接質問、間接質問ともに配偶者には事実上、夫婦として生活しているが、婚姻届を提出していない場合も含めている。
  • 男女別にみても、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、男女ともに未婚者が最も高くなっている(男性10.8%、女性7.7%)。
  • 年齢階級、同居人の有無別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、同居人がいない50歳代の人が15.1%で最も高くなっている。一方、その割合が最も低いのは、同居人がいる70歳代の人で1.4%となっている。
  • 現在の仕事の種類別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、仕事なし(失業中)の人が12.5%で最も高くなっている。一方、その割合が最も低いのは、会社役員で2.8%となっている。
  • 2020年における世帯年収(税・社会保険料込み)別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、年収100万円未満の人が7.3%で最も高くなっている。一方、その割合が最も低いのは、年収1,000~1,499万円及び1500万円以上の人でそれぞれ2.7%となっている。
  • 固定電話・FAX、携帯電話・スマートフォン、タブレット型端末、パソコン、その他の通信機器(インターネットに接続できるゲーム機等)を人とのコミュニケーションに使っている人のうち、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は4.4%となっている。一方、人とのコミュニケーションに使っていない人のその割合は12.4%となっている。
  • 1週間における外出頻度別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、外出しないという人が14.5%で最も高くなっている。一方、その割合が最も低いのは、週3~4日程度外出する人で3.0%となっている。
  • 現在の社会活動(人と交流する活動のみ)への参加状況別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、社会活動に参加している人が3.2%、特に参加はしていない人が5.7%となっている
  • 孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人のうち、8.2%の人が現在、行政機関やNPO等の民間団体から困りごとに対する支援(対価を直接支払うものを除く。)を受けている。
  • 不安や悩みの相談相手の有無別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、相談相手がいる人が2.9%、相談相手がいない人が23.6%となっている。
  • 現在の孤独感の継続期間をみると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の54.4%が5年以上、その期間が継続していると回答している。
  • 現在の心身の健康状態別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、よくないという人が36.9%で最も高くなっている。一方、その割合が最も低いのは、よいという人で1.4%となっている。
  • 孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の社会とのかかわり方の満足度は、どちらともいえないが40.8%で最も高くなっている。
  • 同居していない家族や友人たちと直接会って話すことが全くない人の割合は11.2%となっている。男女別では男性が13.0%、女性が9.5%となっている。同居している人たちと週4~5回以上、直接会って話す人の割合は88.4%となっている。
  • 本調査では、新型コロナウイルス感染拡大により、人とのコミュニケーションにどのような変化があったか、また、日常生活にどのような変化があったかを把握した。人と直接会ってコミュニケーションをとることが減ったと回答した人の割合は、67.6%であった。また、日常生活の変化について、生活全体では53.5%の人が変わらないと回答している

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外務省 ウクライナ及び周辺国における追加的緊急人道支援
  • 4月5日、日本政府は、ウクライナ及び周辺国において国難に直面するウクライナの人々に対する人道支援として、1億ドルの追加的緊急人道支援を実施することを決定しました。
  • 今回の支援は、先月24日に岸田総理大臣が表明した追加的緊急人道支援を具体化するものであり、ウクライナ及び周辺国のモルドバ、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、スロバキア、チェコに対して9つの国際機関を通じて、また、ジャパン・プラットフォーム経由で日本のNGOを通じて、保健・医療、食料・食料安全保障、避難民の保護といった緊急性の高い分野で人道支援を実施するものです。
  • 先月11日に決定した1億ドルと合わせて、合計2億ドルの人道支援を実施することとなります。日本政府は、G7を始めとする国際社会と連携しながら、国難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を実施していきます。
  • (参考)支援実施機関、支援分野及び拠出額
    1. 国際機関を通じた支援
      • 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR):1,450万ドル
        • 生活必需品、一時的避難施設、保護(避難民の安全な移動、女性と子どものニーズに配慮した保護態勢の強化)
      • 国連世界食糧計画(WFP):1,400万ドル
        • 食料
      • 国連児童基金(UNICEF):1,000万ドル
        • 子どもの保護、保健・医療、栄養、教育
      • 赤十字国際委員会(ICRC):1,000万ドル
        • 保健・医療、生活必需品、水・住宅、避難民等の保護、地雷・不発弾の処理・対応
      • 世界保健機関(WHO):950万ドル
        • 保健・医療(医薬品、医療用個人防護具(PPE)、医療機器等供与)
      • 国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC):800万ドル
        • 保健・医療、水・衛生、住民の避難支援
      • 国際移住機関(IOM):800万ドル
        • 保健・医療、保護(人身取引対策、国内避難民データ調査、人道的国境管理、性的搾取と虐待からの保護等)、水・衛生
      • 国連開発計画(UNDP):450万ドル
        • 保護(緊急的がれき除去、地雷・不発弾の処理・対応等)
      • 国連食糧農業機関(FAO):300万ドル
        • 農業生産の回復(農地への作付け等)
    2. 日本のNGO(ジャパン・プラットフォーム(JPF)経由):1,850万ドル
      • 保健・医療、食料、生活必需品、水・衛生、一時的避難施設、保護(心理社会的支援)、教育(地雷回避教育等)

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首相官邸 岸田内閣総理大臣記者会見(令和4年4月8日)
  • 本日は、ロシアによるウクライナ侵略に対する我が国の更なる制裁を中心にお話させていただきます。
  • ロシアによる残虐で非人道的な行為がキーウ近郊のブチャのみならず、ウクライナ各地で次々と明らかになっています。ロシアは、これまでも民間人の殺害や原子力発電所に対する攻撃など、重大な国際人道法違反を繰り返してきました。断じて許されない戦争犯罪です。こうしたロシアによる非道な行為の責任を厳しく問うていかなければなりません。こうした観点から、我が国として国際刑事裁判所(ICC)による調査や国連による独立した調査を支持いたします。我が国のICCへの分担金の支払を前倒しして行うなど、ICC検察官による戦争犯罪の捜査を後押ししてまいります。
  • 昨晩、ロシア軍による残虐行為を最も強い言葉で非難し、ウクライナへの連帯を示すとともに、G7としての追加的な対露制裁措置を採ることを表明するG7首脳声明が発表されました。このG7首脳声明を踏まえ、我が国はロシアに対し、次の5つの柱から成る追加制裁を科し、ロシアに対する外交的、経済的圧力を強化いたします。
  • これ以上のエスカレーションを止め、一刻も早い停戦を実現し、侵略をやめさせるため、国際社会と結束して強固な制裁を講じてまいります。
    • 第1に、ロシアからの石炭の輸入を禁止いたします。早急に代替策を確保し、段階的に輸入を削減することでエネルギー分野でのロシアへの依存を低減させます。夏や冬の電力需給逼迫(ひっぱく)を回避するため、再エネ、原子力などエネルギー安保及び脱炭素の効果の高い電源の最大限の活用を図ってまいります。
    • 第2に、ロシアからの輸入禁止措置の導入です。機械類、一部木材、ウオッカなどのロシアからの輸入について、来週、これを禁止する措置を導入いたします。
    • 第3に、ロシアへの新規投資を禁止する措置を導入いたします。G7とも連携し、速やかに措置を導入いたします。
    • 第4に、金融制裁の更なる強化です。ロシアの最大手銀行のズベルバンク及びアルファバンクへの資産凍結を行います。
    • 第5に、資産凍結の対象の更なる拡大です。400名近くのロシア軍関係者や議員、更には国有企業を含む約20の軍事関連団体を新たに制裁対象に加えます。これにより、資産凍結の制裁の対象となる個人は合計約550名、団体は合計約40団体へと広がります。
  • 次に、ウクライナの方々に寄り添った支援及び在留邦人支援について、2点申し上げます。
    • 第1に、ウクライナ周辺国への人的貢献です。既にモルドバにJICA(独立行政法人国際協力機構)のニーズ調査団を派遣し、保健医療分野のニーズ調査に加え、WHO(世界保健機関)と連携した形で現地の医療データ管理等に貢献しています。また、今週からは、PKO(国連平和維持活動)の政府調査団も派遣いたしました。現地のニーズも踏まえ、更なる人的貢献を速やかに具体化してまいります。
    • 第2に、ウクライナ避難民受入れ及び在留邦人支援についてです。昨日も申し上げましたが、ウクライナ避難民の方々が、今後とも円滑に我が国に渡航できるようにするため、当面、毎週、政府がポーランドとの直行便の座席を借り上げ、我が国への渡航を支援いたします。その第1便は、早速本日、日本に向けて出発いたします。ウクライナ在留邦人についても、自力で渡航手段を確保することが困難な方については、この便を利用できるようにいたします。
  • ロシアのウクライナ侵略によってエネルギーや食料の価格が高騰しています。我が国のみならず、世界各国の人々がガソリン価格、電気代、食材価格などの高騰に苦しんでいます。エネルギー市場を安定化させるため、昨日発表しましたが、IEA(国際エネルギー機関)加盟各国とも協調し、日本としてIEAの割当て量の1.5倍の1,500万バレルの備蓄を放出することといたしました。日本として初めての国家備蓄の放出です。引き続き日本としてできることにしっかりと取り組んでまいります。
  • また、政府としては、この原油価格や物価の高騰による国民生活への影響に対し、緊急かつ機動的に対応するため、4月中に原油価格・物価高騰等総合緊急対策を取りまとめます。国民の皆様の生活を守るために、国際、そして国内、双方で最大限の対策を迅速に講じてまいります。非道な侵略を終わらせ、平和秩序を守るための正念場です。国民の皆さんの御理解と御協力をよろしくお願いいたします。
  • 先日、ゼレンスキー大統領は、日本の国会演説において、ロシアに対してアジアで最初に圧力をかけたのは日本、制裁を続けてほしい。また、ロシアが平和を追求するようになるために努力をしよう。こうした切実な思いを我々に対して訴えました。こうした声に日本はしっかりと応えていきます。
  • G7を始めとした関係国と連携して、日本が、国際社会が、ロシアによる暴挙を決して許さないこと。そして、日本がウクライナと共にあることを断固たる行動とウクライナの方々に寄り添った支援で示してまいります。

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内閣府 ウクライナ被災民に係る物資協力の実施について
  1. 経緯
    • 2022年2月24日にロシアがウクライナへの侵略を開始し、ウクライナからポーランド、ルーマニア、モルドバ、ハンガリー及びスロバキアなどの周辺国に既に400万人以上の避難民が流入しており、その数は今後更に増加すると見られている。今般、ウクライナ、ポーランド、ルーマニア、モルドバ、ハンガリー及びスロバキアの各国内において、被災民への人道的な国際救援活動を行っているUNHCR(国際連合難民高等弁務官事務所)から我が国政府に対し、緊急の対応が求められているウクライナ被災民に対する当面の支援活動に必要な毛布、ビニールシート及びスリーピングマットの譲渡要請がなされたところである。
    • 今回提供される毛布等は、UNHCRを通じてウクライナ被災民に配布される(物資協力の概要については別添を参照)。
  2. UNHCRへ提供する物品
    • 毛布 5,000枚
    • ビニールシート 4,500枚
    • スリーピングマット 8,500枚
  3. 別添
    • ウクライナ及び周辺国(ポーランド、ルーマニア、モルドバ、ハンガリー、スロバキア)において人道的な国際救援活動を行っている国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)に対し、国際平和協力法に基づき、先方から依頼のあった物資を提供する。
    • 2022年2月24日にロシアがウクライナへの侵略を開始。約650万人がウクライナ国内で避難生活を余儀なくされているほか、周辺国にも多くの避難民が流入している

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国民生活センター 電動キックボードでの公道走行に注意-公道走行するためには運転免許や保安基準に適合した構造及び保安装置が必要です- 業界の対応 ※2022年4月7日 追加
  • 「株式会社 オオトモ」より
    • この度は、テストして頂き有難うございました。ご指摘の警音器についてご回答させていただきます。
    • 改善策としましては、次回生産分から定められた音の範囲の警音器に変更する予定でございます。新たな警音器を探すと同時に現在庫の警音器に個体差があるかも調査させて頂きます。
  • 「株式会社 FUGU INNOVATIONS JAPAN」より
    • 報道発表資料「電動キックボードでの公道走行に注意」につきまして、弊社製品の事実に相違する内容はございませんが、弊社ですでに対応または検討している事項につきまして連絡いたします。
      1. 制動装置について前輪のみの制動距離が規格を満たしていない件につきまして
        • 社内計測では基準を満たしていましたが、御社での測定を重視いたします。
        • 新しい製品はブレーキを強化して確実に停止できるブレーキに変更いたします。
      2. 後写鏡について大きさの不足について
        • 新しい規格を満たすミラーを用意して交換対応を行っています。(円形でミラー部分直径が100mmです。)
      3. 特定電気用品の表示について
        • 新しい製品は下記の表示の物(省略)に変更いたします。
        • 製品に付与されている特定電気用品の表示に関する全体の写真と一部を拡大して、左側にTÜV SÜD、右側にGSと表示されたテュフズード認証マークの写真
      4. 方向指示器の装備につきまして
        • 今後の製品について装備する事を前向きに検討いたします。
  • 「万方商事 株式会社」より
    • 現在の販売分につきましては、下記のとおり改良しております。
      • 前方のライトのON・OFFスイッチはなくなっております。
      • 前方ライトの位置は下の方に移動しており、明るさも明るくなっております。
      • その他ご指摘部分は随時改善していきます。
    • その都度ご報告いたします。

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総務省 地域コミュニティに関する研究会
▼概要
  • 地域コミュニティに関する現状・課題
    • 自治会等の加入率の低下、担い手不足により活動の持続可能性が低下する一方、防災、高齢者・子どもの見守り、居場所づくりなど新たなニーズへの対応が必要。コロナ禍のピンチをチャンスにして、デジタル化を期待。研究会報告書における「3つの視点」
  • 研究会報告書の“狙い”
    • 「デジタル化」「持続可能性」「主体間連」という3つの視点に分けて検討し、全国の市区町村の地域コミュニティの取組や施策の状況を共有するとともに、各市区町村及び地域の独自の取組を支援することが狙い。
    • この3つの視点については、互いに独立したものではなく、各視点に係る取組を進めることが他の視点に係る取組を進めやすくなるという関係にある。(例:デジタル化による現役世代の参加が、持続可能性の向上に寄与)
  1. 地域活動のデジタル化
    1. 現状
      • 自治会等のデジタル化について、市区町村は「災害時における安否確認」等において有効で、「住民の多くが操作等に不慣れなこと」等を課題と認識。
      • 電子回覧板やオンライン会議のほか、SNSやホームページの活用、デジタル講習会の実施等の事例あり
    2. 地域活動のデジタル化を進める視点
      • 行政を含めた社会全体のデジタル化が進む中で、情報共有を効率化し、新たなサービス・価値を地域住民が受けられるようにするため、コロナ禍のピンチをチャンスと捉え、現役世代や若者の積極的な参加を促しつつ、市区町村が自治会等の地域活動のデジタル化のために積極的に取り組むことが有効。
      • 自治会等の自主的判断、デジタルとリアルのバランスも重要。災害時用アプリは、平時も活用できるものにすべき。
      • ニーズと費用のバランス、ニーズの変化に低負担で対応できるか等を考慮し、汎用又は自治会等用のソフトを選択。
      • 自治会等で単独導入する方法もあるが、自治会等の連合会等と協力し広域で推進すれば、一斉配信等の実施が容易。
  2. 自治会等の活動の持続可能性の向上
    1. 現状
      • 600市区町村の平均加入率78.0%(H22)→71.7%(R2)
      • 市区町村は、自治会等の加入促進のため、チラシ配布や不動産業界との協定、条例策定等で支援。
      • 自治会等の負担軽減のため、市区町村窓口の一元化、委員の推薦依頼の見直し等を実施。
    2. 自治会等の活動の持続可能性を向上させる視点
      • 自治会等の役員・運営の担い手不足、加入率の低下等により、活動範囲の縮小・停滞に陥るリスクが高まっており、活動の持続可能性を向上させるため、自治会等の自己改革のみならず、市区町村として、加入促進の取組や、自治会等の負担軽減のための行政協力業務(※)の部局横断的な見直しが必要。(※)回覧板・掲示板による連絡事項の伝達、行政委嘱委員の推薦、防災訓練の実施、防犯灯・ごみステーションの設置管理など、公共的サービスの提供・協働や行政との連絡調整業務を指す。
      • 具体的な加入促進の取組がどの程度行われているか、ニーズにどの程度即したものであるかが重要。
      • 市区町村が、行政協力業務に関する組織横断的な棚卸しを、市区町村全体の業務見直しと一体的に推進する必要。
      • 地域担当職員制度の導入や外部人材等の活用は、自治会等の負担軽減のみならず、市区町村の施策展開にも有用。
  3. 地域コミュニティの様々な主体間の連携
    1. 現状
      • 市区町村のうち、防災、地域福祉分野で自治会等以外の団体・専門家との連携支援を行っている団体は少数。
      • 高齢者・子ども等を対象とした地域の居場所のリスト・マップを作成していない団体が多数。
      • 消防庁、厚生労働省など関係省庁において、防災、地域福祉分野など個別分野での連携を進める施策を展開。
    2. 様々な主体間の連携を強化する際の視点
      • 防災や地域福祉分野等における地域コミュニティの様々な主体間の連携を促進するためには、市区町村による多様な主体に係る情報把握と「見える化」を前提に、明確な目的を持った活動を中心として、連携のコーディネーターを活用し、資金面・非資金面の支援を行うことが期待される。
      • 市区町村等が人材・財源面で連携をサポートし、職員以外にも、防災等の連携のコーディネーターを養成、活用。
      • こども食堂など、目的が明確なプロジェクトベースでの連携を促進すれば、より実質的に地域活動の活性化が可能。
      • 財源面等の支援のみならず、推進計画等の非資金的援助により、地域の事業者等のサポート団体の増加を期待。

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警察庁 令和3年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
  • 企業・団体等におけるランサムウェア被害として、令和3年に都道府県警察から警察庁に報告のあった件数は146件(令和3年上半期61件、下半期85件)であり、前年下半期(21件)以降、右肩上がりで増加した。
  • 二重恐喝(ダブルエクストーション)による被害が多くを占める:被害件数(146件)のうち、警察として金銭の要求手口を確認できた被害は97件あり、このうち、二重恐喝の手口によるものは82件で85%を占めている。
  • 暗号資産による金銭の要求が多くを占める:被害件数(146件)のうち、直接的に金銭の要求があった被害は45件あり、このうち、暗号資産による支払いの要求は41件で91%を占めている。
  • 企業・団体等の規模を問わず被害が発生:被害件数(146件)の内訳を被害企業・団体等の規模別*3 にみると、大企業は49件、中小企業は79件であり、その規模を問わず、被害が発生している。
  • 復旧に要した期間について質問したところ、108件の有効な回答があり、このうち、1週間以内に復旧したものが32件と最も多かったが、復旧に2か月以上要したものもあった。また、ランサムウェア被害に関連して要した調査・復旧費用の総額について質問したところ、97件の有効な回答があり、このうち、1,000万円以上の費用を要したものが42件で43%を占めている。
  • ランサムウェアの感染経路について質問したところ、76件の有効な回答があり、このうち、VPN機器からの侵入が41件で54%、リモートデスクトップからの侵入が15件で20%を占めており、テレワークにも利用される機器等のぜい弱性や強度の弱い認証情報等を利用して侵入したと考えられるものが大半を占めている。
  • 警察では、ダークウェブ上のサイトを観測しており、令和3年において、ランサムウェアによって流出した情報等を掲載しているリークサイトに、日本国内の事業者等の情報が掲載されたことを確認した。掲載されている情報には、財務情報や関係者、消費者等の情報が含まれ、会社の評判を落とすなどといった記載がある。
  • テレワークを実施していると回答した企業・団体等は全体(716件)の70.5%を占め、このうち、新型コロナウイルス感染症の拡大により、新たにテレワークを開始したと回答した企業・団体等が7割以上を占めている。テレワークの実施等により、業務上、外部から社内ネットワークへの接続を許可している企業・団体の割合は全体(716件)の63.4%を占めており、年々増加している。
  • 令和3年中におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害は、犯行手口等の関係機関との迅速な情報共有等の取組を進めたところ、発生件数584件、被害総額約8億2,000万円と、前年と比べて発生件数、被害額ともに減少した。
  • インターネットバンキングに係る不正送金事犯は、令和元年に、SMS等を用いて金融機関を装ったフィッシングサイトへ誘導する手口が急増し、ID・パスワード、ワンタイムパスワード等が窃取され、金融機関のインターネットバンキングから不正送金される被害等が多発し、同年には、発生件数1,872件、被害額約25億2,100万円に達した。こうした情勢を踏まえ、金融機関では、警察、JC3等と緊密に連携し、モニタリングの強化、利用者への注意喚起などといった諸対策を推進した結果、フィッシングを主な手口とするインターネットバンキングに係る不正送金事犯は、令和3年まで発生件数、被害額ともに減少した。他方、フィッシング対策協議会によれば、令和3年のフィッシング報告件数は52万6,504件と、一貫して増加傾向にあるほか、JC3の分析結果によれば、令和3年に観測したフィッシングサイトは、銀行を装ったものの割合は少なく、インターネット通信販売サイト等のeコマースや、通信事業者、クレジットカード事業者を装ったものが多くを占めている。
  • 一般社団法人日本クレジット協会によれば、令和3年1月から9月までの間における番号盗用型のクレジットカード不正利用被害額は約223億9,000万円と、既に令和2年中の不正利用被害額を超えている
  • JC3では、クレジットカード不正利用が増加した要因の一つとして、クレジットカード情報を窃取するフィッシングサイトの存在を指摘しており、犯罪者らが、官民連携により対策が強化された金融機関から、eコマースやクレジットカード事業者にフィッシングの標的を移していることがうかがわれる。
  • 令和元年12月に発生した不正送金事犯を端緒として、令和2年6月から令和3年10月までに、口座売買組織の犯行指示役、口座譲渡者等7名を検挙した。被害金融機関に対し、口座開設時の開設目的の確認や犯罪に利用された口座の凍結を依頼するなどの犯行ツール対策を行った。
  • 警察庁では、インターネット上にセンサーを設置し、当該センサーに対して送られてくる通信パケット*12 を収集している。このセンサーは、外部に対して何らサービスを提供していないため、本来であれば外部から通信パケットが送られてくることはないが、攻撃者が攻撃対象を探索する場合等に、不特定多数のIPアドレスに対して無差別に送信される通信パケットを観測することができる。この通信パケットを分析することで、インターネットに接続された各種機器のぜい弱性の探索行為やそれらを悪用した攻撃、不正プログラムに感染したコンピュータの動向等、インターネット上で発生している各種事象を把握することができる。令和3年に本システムにおいて検知したアクセス件数は、1日・1IPアドレス当たり7,335.0件と増加傾向にある。アクセス件数が増加傾向にあるのは、IoT機器の普及により攻撃対象が増加していること、技術の進歩により攻撃手法が高度化していることなどが背景にあるものとみられる。
  • 検知したアクセスの送信元の国・地域に着目すると、過去5年において、海外を送信元とするアクセス件数が全アクセス件数に対して、高い割合を占めている。令和3年においては、国内を送信元とするアクセス件数は1日当たり33.3件で、前年の61.9件から減少する中、海外を送信元とするアクセス件数は7,301.6件で、前年の6,444.6件から大きく増加しており、海外からの脅威への対処がこれまでに引き続き重要となっている。
  • 令和3年のMiraiボットの特徴を有するアクセス件数は1日・1IPアドレス当たり257.3件で、前年(461.7件)よりも減少していることが確認されている。一方で、国内を送信元とするMiraiボットの特徴を有するアクセスに注目すると、令和2年には1日・1IPアドレス当たり2.8件だったアクセス件数が令和3年には3.6件に増加している。国内を送信元とするアクセス件数の総数が前年と比較して減少している中、Miraiボットの特徴を有するアクセスはむしろ増加していることから、ぜい弱性を持つIoT機器等が国内に一定数存在し、Miraiボットに感染した後に他のIоT機器等に二次感染活動を行っている状況が継続していることがうかがえる。
    • 2月上旬から、海外製ルータのぜい弱性を悪用し、不正プログラムの感染拡大を狙ったとみられる宛先ポート37215/TCPに対するアクセスの増加を観測。
    • 5月下旬から、海外製ビデオレコーダ等において遠隔から任意の操作が可能となるぜい弱性を探索したものとみられる宛先ポート9530/TCPに対するアクセスの増加を観測。
    • 9月下旬から、ネットワーク機器等のぜい弱性を標的としたとみられる宛先ポート23/TCPに対するアクセスの増加を観測。
  • Javaライブラリ「Apache Log4j」はApache Software Foundationがオープンソースで開発しているJava言語用のログ出力ライブラリであり、Java言語で開発された多数のソフトウェアにおいて、サーバのログの記録や管理に使用されている。12月10日に「Apache Log4j」のぜい弱性が公表されたことを契機とし、同ぜい弱性を標的としたアクセスの急増を観測した。これは、「Apache Log4j」を使用してログの記録を行うソフトウェアに対して、遠隔の第三者が細工した文字列を送信し、その文字列がログに記録されることで、外部から第三者による任意の操作が可能となるぜい弱性を標的とした攻撃が行われたとみられる。
  • 令和3年中における検挙件数は12,209件と、前年と比べて増加した。令和3年中における不正アクセス禁止法違反の検挙件数は429件と、前年と比べて減少した。検挙件数のうち、398件が識別符号窃用型*15 で全体の92.8%を占めている。識別符号窃用型の不正アクセス行為に係る手口では、「利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手」が153件と最も多く、全体の38.4%を占めており、次いで「フィッシングサイトにより入手」が70件で全体の17.6%を占めている。識別符号窃用型の不正アクセス行為に係る被疑者が不正に利用したサービスは、「オンラインゲーム・コミュニティサイト」が144件と最も多く、全体の36.2%を占めており、次いで「インターネットバンキング」が96件で全体の24.1%を占めている。
  • 令和3年中におけるコンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数は729件で、前年と比べて増加した。検挙件数のうち、電子計算機使用詐欺が692件と最も多く、全体の94.9%を占めている

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警察庁 令和4年2月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和4年1~2月の特殊詐欺全体の認知件数は2,147件(前年同期1,837件、前年同期比+16.8%)、被害総額は44.2憶円(36.7憶円、+20.4%)、検挙件数は778件(939件、▲17.1%)、検挙人数は300人(292人、+2.7%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は443件(368件、+20.4%)、被害総額は13.4憶円(10.3憶円、+30.0%)、検挙件数は206件(170件、+21.1%)、検挙人数は115人(75人、+53.3%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は317件(453件、▲30.0%)、被害総額は3.3憶円(6.5憶円、▲49.4%)、検挙件数は191件(385件、▲50.4%)、検挙人数は83人(109人、▲23.9%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は404件(234件、+72.6%)、被害総額は14.2憶円(9.3憶円、+52.7%)、検挙件数は17件(44件、▲61.4%)、検挙人数は16人(21人、▲23.8%)
  • 還付金詐欺の認知件数は542件(414件、+30.9%)、被害総額は5.8憶円(4.6憶円、+26.1%)、検挙件数は79件(64件、+23.4%)、検挙人数は17人(20人、▲15.0%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は13件(33件、▲60.1%)、被害総額は0.2憶円(0.6憶円、▲59.6%)、検挙件数は1件(1件、±0%)、検挙人数は1人(0人)
  • 金融商品詐欺の認知件数は3件(7件、▲57.1%)、被害総額は0.5憶円(0.5憶円、+2.4%)、検挙件数は0件(2件)、検挙人数は1人(2人、▲50.0%)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は7件(12件、▲41.7%)、被害総額は1.4憶円(0.2憶円、+457.7%)、検挙件数は2件(0件)、検挙人数は0人(0人)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は408件(312件、+30.8%)、被害総額は5.5憶円(4.8憶円、+16.1%)、検挙件数は281件(269件、+4.5%)検挙人数は63人(64人、▲1.6%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は138件(90件、+53.3%)、盗品譲受け等の検挙件数「は0件(1件)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は482件(311件、+55.0%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は21件(30件、▲30.0%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は1件(6件、▲83.3%)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は26件(20件、30.0%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では60歳以上90.0%、70歳以上71.2%、男性25.1%・女性74.9%、オレオレ詐欺では60歳以上97.5%、70歳以上95.0%、男性19.4%・女性80.6%、融資保証金詐欺では60歳以上9.1%、70歳以上0%、男性90.9%・女性9.1%など。殊詐欺被害者全体に占める65歳以上の高齢被害者の割合について、特殊詐欺 86.5%(男性22.2%・女性77.8%)、オレオレ詐欺 96.6%(19.2%・80.8%)、預貯金詐欺 98.4%(1.9%・88.1%)、架空料金請求詐欺 48.8%(58.4%・41.6%)、還付金詐欺 93.8%(24.5%・75.5%)、融資保証金詐欺 0.0%、金融商品詐欺 33.3%(0.0%・100.0%)、ギャンブル詐欺 42.9%(100.0%・0.0%)、交際あっせん詐欺 0.0%、その他の特殊詐欺 33.3%(100.0%・0.0%)、キャッシュカード詐欺盗 98.8%(11.9%・88.1%)

~NEW~
消費者庁 令和3年度消費者の意識に関する調査結果報告書
  • 食品ロス問題を知っているか聞いたところ、「知っている」と回答した人が80.9%(「よく知っている」23.1%+「ある程度知っている」57.8%)であった。一方で、「知らない」と回答した人が19%(「あまり知らない」12%+「全く知らない」7%)であった。
  • 食品ロス問題の認知度を年代別に集計したところ、「知っている」と回答した人の割合が最も高かった年代は70歳代以上で90.7%(「よく知っている」30.9%+「ある程度知っている」59.8%)であった。一方で、「知らない」と回答した人の割合が最も高かった年代は20歳代で33.9%(「あまり知らない」18.8%+「全く知らない」15.1%)となっている。
  • 食品ロスを減らすための取組について聞いたところ、「残さずに食べる」と回答した人が69.3%と最も多くなっている。一方で、「取り組んでいることはない」と回答した人は10.1%であった。
  • 食品ロス問題を認知して食品ロス削減に取り組む人の割合を集計したところ、食品ロス問題を「知っている」と回答し、食品ロスを減らすための「取組を行っている」と回答した人は78.3%であった。令和2年度の調査結果と比較したところ、食品ロス問題を認知して食品ロス削減に取り組む人の割合は1.7%増加した。
  • 新型コロナウイルス感染症拡大による食品に関する消費行動の変化について集計したところ、「外食の回数が減った」と回答した人は60%であった。その他の消費行動の変化については、「(自身や家族が)家庭内で料理を作る回数が増えた」と回答した人は24.3%、「冷凍食品や加工食品など保存がきく食材の購入が増えた」と回答した人は23.1%、「食材の買い物(一度の購入量)が増えた」と回答した人は19.7%であった。
  • 賞味期限と消費期限の違いを知っているか聞いたところ、「知っていた」と回答した人が71.9%となっている。一方で、「知らなかった」と回答した人は10.2%であった。
  • フードバンク活動及びフードドライブ活動について知っているか聞いたところ、「両活動とも知らなかった」と回答した人が51.4%と最も多く、次いで「フードバンク活動のみ知っていた」(30%)、「両活動とも知っていた」(13.4%)、「フードドライブ活動のみ知っていた」(5.2%)の順となっている。
  • 規格外農産物・食品について知っているか聞いたところ、「知っていた」と回答した人が48%と最も多く、次いで「知らなかった」(32.1%)、「言葉は知っていたが、内容は知らなかった」(20%)の順となっている。また、規格外農産物・食品についてどのように考えているか聞いたところ、「形や見た目が悪くても品質(味)が変わらなければ購入する」と回答した人が51.1%と最も多く、次いで「通常品よりも値下げされるのであれば購入する」(36.6%)、「購入しない」(12.3%)の順となっている。
  • なお、規格外農産物・食品の認知(図8)と規格外農産物・食品についての考えとの関係を集計したところ、規格外農産物・食品を「知っていた」と回答した人では、「形や見た目が悪くても品質(味)が変わらなければ購入する」が73.1%と最も多く、次いで「通常品よりも値下げされるのであれば購入する」(26.2%)、「購入しない」(0.7%)の順となっている。一方で、規格外農産物・食品を「知らなかった」と回答した人では、「通常品よりも値下げされるのであれば購入する」が41.3%と最も多く、次いで「購入しない」(35%)、「形や見た目が悪くても品質(味)が変わらなければ購入する」(23.6%)の順となっている
  • 消費者庁等がコンビニエンスストア等と連携して2021年6月から行った「てまえどり」の取組について知っているか聞いたところ、「知らなかった」が49.4%と最も多く、次いで「取組は知っていたが、店舗で掲示物を見たことがない」(27.5%)、「店舗で掲示物を見たことがある」(23.1%)の順となっている。また、「てまえどり」についてどのように考えているのか聞いたところ、「「てまえどり」を実
  • 践している」と回答した人が39.4%(「普段から「てまえどり」を実践している」33%+「店舗で掲示物を見て「てまえどり」を実践した」6.4%)であった。一方で、「「てまえどり」は実践していない」と回答した人が60.6%(「店舗で掲示物を見ていないが、「てまえどり」は実践していない」54.9%+「店舗で掲示物を見たが、「てまえどり」は実践していない」5.7%)であった。
  • なお、「てまえどり」の認知と「てまえどり」についての考えとの関係を集計したところ、「店舗で掲示物を見たことがある」と回答した人では、「「てまえどり」を実践している」と回答した人が75.3%(「普段から「てまえどり」を実践している」47.7%+「店舗で掲示物を見て「てまえどり」を実践した」27.6%)となっており、「「てまえどり」は実践していない」と回答した人が24.7%(店舗で掲示物を見たが、「てまえどり」は実践していない)であった。一方で、「「てまえどり」を知らない」と回答した人では、「「てまえどり」を実践している」と回答した人が21.4%となっており、「「てまえどり」は実践していない」と回答した人が78.6%であった。

~NEW~
消費者庁 株式会社 W-ENDLESSに対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 消費者庁は、本日、株式会社W-ENDLESS(以下「W-ENDLESS」といいます。)に対し、同社が供給する「 Dr.味噌汁」と称する食品に係る表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第1号(優良誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行いました。
  1. 違反行為者の概要
    • 名称 株式会社W-ENDLESS(法人番号 9120001187997)
  2. 措置命令の概要
    1. 対象商品
      • 「Dr.味噌汁」と称する食品(以下「本件商品」という。)
    2. 対象表示
      1. 表示の概要
        1. 表示媒体
          • 「beauty award」と称するW-ENDLESSが運営するウェブサイト(https://beauty-award.jp/ad/mis_1112y)
        2. 表示期間
          • 令和2年11月20日から同年12月28日までの間
        3. 表示内容
          • 「それは今までとは全く違う、“我慢しない”ボディメイク法で、『これだ!』と思って試してみることに。 辛い食事制限や運動ではダメだった僕も、 その方法を試してみると…」との記載と共に、細身で筋肉質な上半身の人物の画像、「いいカラダじゃん。 自分でもほれぼれしてしまうくらいです!(笑) その方法を試し始めて数ヶ月たちましたが、明らかに周りの対応が違うんです。 『ステキですね』 『ジムでも通ったの?』といろんな人に言われましたが、違うんです!! ★無理な食事制限ナシ★ ★辛い運動ナシ★ それだけ? と思いますよね。それだけなんです!」等と、別表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件商品を摂取するだけで、本件商品に含まれる成分の作用により、容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
      2. 実際
        • 前記の表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、W-ENDLESSに対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料は、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
    3. 命令の概要
      1. 前記の表示は、本件商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
      2. 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
      3. 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記(2)1の表示と同様の表示を行わないこと。

~NEW~
厚生労働省 第3回生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会ワーキンググループ資料
▼資料1 前回のワーキンググループにおける指摘事項等について
  • 一時生活支援事業未実施の自治体のうち、相談者の課題と特性が「住まい不安定」とする新規相談があった自治体の割合は84.7%、相談者の課題と特性が「ホームレス」とする新規相談があった自治体の割合は31.2%あり、一時生活支援事業未実施自治体であっても居住支援のニーズがあることが確認された。
  • 新規相談者のうち、相談のきっかけが「自立相談支援機関がアウトリーチ」の割合は1%、件数では、令和元年度と比べると令和2年度の方が約4.3倍の2,251件と増加している。
  • 支援実績においても「訪問」「同行支援」の訪問支援(アウトリーチ)の回数も急増している。
  • 新規相談者のうち、相談のきっかけが「自立相談支援機関がアウトリーチ」の割合は1%、件数では、令和元年度と比べると令和2年度の方が約4.3倍の2,551件と増加している。
  • 訪問支援(「訪問」「同行支援」の合計)の件数については、令和2年度は令和元年度に比べ減少している。

~NEW~
厚生労働省 第79回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年4月6日)
▼資料1 直近の感染状況等の分析と評価
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約259で、今週先週比が1.08と増加傾向となっており、今後の動向に注意が必要。また、年代別の新規感染者数は全ての年代で増加傾向に転じており、特に10-20代の増加が顕著。
    • 全国の新規感染者数の増加傾向に伴い、療養者数も増加傾向に転じている。一方、これまでの新規感染者数減少の動きに伴い、重症者数及び死亡者数は減少が継続している。
    • 実効再生産数 : 全国的には、直近(3/20)で0.97と1を下回る水準となっており、首都圏では0.97、関西圏では0.93となっている。
  • 地域の動向 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    1. 北海道 新規感染者数は今週先週比が1.17と増加に転じ、約251(札幌市約312)。20代が中心であり、10-20代で増加傾向。病床使用率は1割強。
    2. 北関東 茨城の新規感染者数は今週先週比が1.13と増加に転じ、約304。20代以下が中心であり、特に10代以下の増加が顕著。病床使用率は約2割。栃木、群馬でも今週先週比はそれぞれ1.07、1.02と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約228、206。病床使用率について、栃木では約2割、群馬では3割強。
    3. 首都圏(1都3県) 東京の新規感染者数は今週先週比が1.04と1を上回り、約373。20代以下が中心であり、特に20代の増加が顕著。病床使用率、重症病床使用率はいずれも2割強。埼玉、千葉、神奈川でも今週先週比がそれぞれ1.03、1.13、1.05と増加に転じ、新規感染者数はそれぞれ約336、300、290。病床使用率について、埼玉では4割弱、千葉では2割強、神奈川では3割強。
    4. 中京・東海 愛知の新規感染者数は今週先週比が0.97と1を下回り、約232。20代以下が中心であり、特に20代の増加が顕著。病床使用率は2割強。岐阜、静岡、三重では今週先週比がそれぞれ1.11、1.15、1.24と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約188、193、218。病床使用率について、岐阜、三重では2割強、静岡では約2割。
    5. 関西圏 大阪の新規感染者数は今週先週比が0.97と1を下回り、約282。20代以下が中心であり、特に20代の増加が顕著。病床使用率は3割弱、重症病床使用率は約2割。滋賀、兵庫、奈良でも今週先週比がそれぞれ0.82、0.95、0.95と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約228、229、179。京都、和歌山では今週先週比がそれぞれ1.16、1.33と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約249、166。病床使用率について、滋賀では4割弱、京都、兵庫、奈良では2割強、和歌山では約3割。重症病床使用率について、奈良では約2割。
    6. 九州 福岡の新規感染者数は今週先週比が1.13と1を上回り、約302。20代が中心。病床使用率は2割強。佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島でも今週先週比がそれぞれ1.28、1.22、1.32、1.39、1.68、1.29と増加に転じ、新規感染者数はそれぞれ約302、151、212、241、258、299。病床使用率について、佐賀、熊本では2割強、長崎では1割強、大分では3割弱、宮崎では約2割、鹿児島では3割弱。
    7. 沖縄 新規感染者数は今週先週比が1.26と増加に転じ、約496と全国で最も高い。20代以下が中心。全ての年代で増加しているが、特に20代以下の増加が顕著。病床使用率は約3割。
    8. 上記以外 青森、秋田、福島、石川、山梨、香川、愛媛の新規感染者数はそれぞれ約252、197、187、169、204、231、137。病床使用率について、青森では約3割、秋田、愛媛では2割強、福島では3割強、石川では1割強、山梨では4割弱、香川では3割弱。重症病床使用率について、愛媛では3割強。
  • 今後の見通しと必要な対策
    1. 感染状況について
      • 新規感染者数は、全国的にみれば、今週先週比と直近1週間の移動平均は1週間以上にわたり増加している。地域別に見ると、継続的に増加している地域もある一方で、横ばいの地域もあり、今後の動向に注意が必要。また、昨年末からの感染拡大におけるピークよりも低いレベルまで減少している地域もある一方で、ピークから十分に減少しないままに上昇に転じている地域もあり、感染状況の推移に差が生じている。特に、秋田県、新潟県や鹿児島県などは、直近1週間の移動平均がすでに昨年末からの感染拡大におけるピークを上回っており、地方における感染拡大にも注意が必要。
      • 年代別の新規感染者数では、全ての年代で増加に転じており、特に、10-20代での増加が顕著である。鹿児島県や沖縄県など継続的に増加している地域ではその傾向が強く見られ、高齢者も増加傾向にあることは注意を要する。
      • 新規感染者における20代の割合の増加傾向が見られる。また、感染場所として、20代では飲食店の割合が約7%と増加傾向にある(全年齢では約2%)。高齢者では、介護福祉施設や医療機関における感染が継続している。
      • これまでの感染拡大では若年層中心の流行から高齢者へと波及していく傾向が見られた。現在、高齢者の3回目接種が進んでいるが、今後の流行状況には注意が必要。
    2. 感染の増加要因と抑制要因について
      • 感染状況には、以下のような感染の増加要因と抑制要因の変化が影響するが、現在の感染者数増加には接触機会の増加と2系統への置き換わりが強く影響していると考えられる。
        1. 接触パターンについて
          • 夜間滞留人口については、都市部を中心に継続的な増加傾向を示している。また、夜間滞留人口が昨年末のピーク近くまで増加した後に、直近の1週間では減少傾向に転じている地域もある。一方、夜間滞留人口が継続的に減少している地域は少なく、お花見、歓迎会などが行われる時期であり、特に夜間滞留人口の増加が新規感染者の増加要因となりうる。子どもについては、新学期が始まり、学校での接触機会が増加する可能性に要注意。
        2. 流行株について
          • 2系統への置き換わりが進んでおり、新規感染者の増加要因となりうる。ヨーロッパではBA.2系統への置き換わりが進み、感染者だけではなく重症者・死亡者が増加に転じている国もあり(例:英国)、十分な注意が必要。
        3. ワクチン接種等について
          • 3回目接種の主な目的は発症予防・重症化予防である。3回目接種は高齢者で進む一方、若年層では接種率がまだ低いが、これから接種対象になることで接種が進むことが期待される。オミクロン株に対する感染予防効果はデルタ株に比較しても低く、しかも持続期間が短いことに留意が必要。3回目接種の感染予防効果も時間経過に伴い今後減弱していくことが予想。また、これまでの感染による免疫保持については、地域の発生動向に影響する可能性もある。
        4. 気候要因について
          • これから春に向けて気温が上昇していくことにより、換気を行いやすい気候条件になる。屋内で過ごすことが減ることも感染者抑制には一定の効果があると考えられるが、昨年のこの時期に感染が拡大したことには留意が必要。
    3. 医療提供体制について
      • 全国的なこれまでの新規感染者数の減少に伴い、地域差はあるものの、病床使用率は低下傾向が継続してきたが、一部地域で増加に転じている。また、自宅療養者・療養等調整中の数も一部地域で増加に転じている。
      • 救急搬送困難事案について、非コロナ疑い事案及びコロナ疑い事案ともにさらに減少傾向が続いているが、未だ昨年夏のピーク
      • と同程度の高いレベルにあり、新型コロナウイルス感染症に係る医療と通常医療、特に救急医療とのバランスに留意すべき。
    4. オミクロン株による感染拡大を踏まえた取組
      1. サーベイランス等
        • 発生動向把握のため、実効性ある適切なサーベイランスの検討が必要。また、変異株監視体制について、1系統からBA.2系統への置き換わりに関し、ゲノムサーベイランスで動向の監視を継続することが必要。さらに、重症例やクラスター事例等では、変異株PCR検査や全ゲノム解析による確認が求められる。
      2. 自治体における取組
        • 自治体では、オミクロン株による感染の再拡大に備え、検査体制の更なる整備が必要。
        • 地域の感染状況に基づき、必要病床数と医療従事者の確保や自宅療養者に対する訪問診療やオンライン診療体制の構築に引き続き取り組むことが必要。高齢者や基礎疾患のある者など、重症化リスクのある患者を対象とする経口治療薬や中和抗体薬を迅速に投与できる体制の確保も引き続き求められる。また、新型コロナウイルス感染症に罹患しても、基礎疾患の治療が継続できるような体制を整えることが必要。
        • 高齢者施設等における迅速な医療支援体制の強化・徹底が求められる。医療支援体制の構築にあたっては、医療関係部局と介護関係部局が連携し、地域の関係者とも協議しつつ進めていくことが重要。
        • 健康観察等の重点化や患者発生届の処理の効率化など事務連絡に基づき、効率的に保健所業務を実施するとともに、地域に必要な保健所機能を維持するため、外部委託や本庁での一元化による体制を確保する。また、濃厚接触者の特定や待機については、地域の感染状況に応じて、適切な感染対策を行うことを原則としつつ、オミクロン株の特徴や感染拡大の状況を踏まえ、医療機関や高齢者施設などにおける感染事例に重点化することが必要。あわせて、少しでも体調が悪い場合には職場・学校を休める環境を確保することも重要。
        • 地方においても、足下で感染者数が増加している地域がある。いずれの地域においても、上述のような体制整備が必要である。
      3. ワクチン未接種者、3回目接種者への情報提供の再強化
        • 3回目接種率について、65歳以上高齢者では8割を、全体では4割を超えたが、高齢者を中心とする重症者・死亡者を最小限にするため、また同時に、感染状況を減少傾向へと向かわせることも期待して、高齢者及び65歳未満の対象者への3回目の接種を着実に実施し、希望する方にはできるだけ多く接種していただくことが求められている。また、3月25日より、12~17歳も特例臨時接種として実施される3回目接種の対象となった。
        • 自治体では、ワクチン接種に関する情報提供を進めることが重要。未接種者へのワクチン接種とともに、初回接種から6か月以降の3回目接種によりオミクロン株に対してもワクチンの有効性が回復することから、3回目接種を着実に実施していくことも必要。また、ワクチン接種者においては新型コロナウイルス感染症の後遺症のリスクが低いとの報告がある。
        • 5歳から11歳までの子どもへのワクチン接種については、特例臨時接種として実施されているが、その際、努力義務の規定はこれらの小児について適用しないことを踏まえ、接種を進めていくことが必要。また、小児への感染予防を期待して、保護者や周囲の大人がワクチンを接種することも重要。
      4. 水際対策
        • 海外及び国内の現在の流行状況なども踏まえて水際対策の段階的な見直しを検証していく必要がある。特に、直近の東アジア地域における流行状況には注視が必要。また、入国時検査での陽性者は、海外における流行株監視のため、全ゲノム解析を継続させることが必要。
      5. オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底
        • 感染が広がっている場面・場所において、オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底が求められる。
        • 新学期が始まる学校・幼稚園・保育所等においては、子どもの感染対策の徹底はもとより、教職員や保育士などに対する積極的なワクチンの接種促進も含め感染対策の再確認と徹底が必要。子どもや職員が少しでも体調が悪い場合は、休暇を取得できる環境を確保することが重要。また、分散登校やリモート授業などの組み合わせによる教育機会の確保や社会機能維持にも配慮する必要がある。あわせて、家庭内での感染対策の徹底も求められる。
        • 高齢者の感染を抑制するため、介護福祉施設における対策の徹底が必要。このため、入所者及び従事者に対するワクチンの3回目接種を進めるとともに、従業者等へは積極的な検査を実施することも必要。また、施設等における感染管理や医療に関して外部からの支援体制を確保し、施設で感染が確認された際には早期に迅速な介入が重要。
        • 職場においては、社会機能維持のため、業務継続計画の活用に加え、企業におけるテレワークの活用や休暇取得の促進等により、出勤者数の削減に取り組むとともに、接触機会を低減することが求められる。また、従業員の体調管理を徹底し、少しでも体調が悪い場合には休暇を取得できる環境を確保することが必要であることに加え、職域におけるワクチンの3回目接種を積極的に進めるべきである。
      6. 現在の感染状況を市民や事業者の皆様と広く共有して、感染拡大防止に協力していただくことが不可欠
        • 現在の新規感染者数は昨年夏のピークよりも高い状況が続いている。また、現在の感染状況は、リバウンドの可能性も懸念される。したがって、基本的な感染対策を徹底して呼びかけた上で、できるだけ新規感染者数の継続的な増加が起こらないよう、引き続き、市民や事業者の方々には感染リスクの低減に向けた取組にご協力いただくことが必要。
        • 行政・事業者・市民の皆様には、オミクロン株においても基本的な感染防止策は有効であることから、不織布マスクの正しい着用、手指衛生、換気などの徹底を継続していただくことが必要。また、三つの密(密集、密閉、密接)が重なるところは最も感染リスクが高いが、オミクロン株は伝播性が高いため、一つの密であってもできるだけ避けることが必要。さらに、個人の重症化予防・発症予防だけではなく、周囲の人々への感染を防ぐ効果を期待して、ワクチンの3回目接種を積極的に受けていただくことが重要。
        • 外出の際は、混雑した場所や換気が悪く大人数・大声を出すような感染リスクの高い場面・場所を避けることが必要。行動はいつも会う人と少人数で。飲食は、できるだけ少人数で黙食を基本とし、飲食時以外はマスクの着用を徹底することが必要。
        • ご自身やご家族の命を守るため、同時にオミクロン株による感染拡大防止のためにも、軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、自治体等の方針に従って受診や検査をすることが必要。
        • 年度替わりは、入社や入学の際に人の移動・研修を伴うことが多くなるため、引き続き、感染防止策の徹底が必要。
  • 参考:オミクロン株の特徴に関する知見
    1. 感染性・伝播性
      • オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。
    2. 感染の場・感染経路
      • 国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路もこれまでと同様、飛沫が粘膜に付着することやエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。
    3. 重症度
      • オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低い可能性が示されているが、現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられる。また、肺炎の発症率についても限られたデータではあるが季節性インフルエンザよりも高いことが示唆されているが、今後もさまざまな分析による検討が必要。今回の感染拡大における死亡者は、昨年夏の感染拡大と比べ、80歳以上の占める割合が高くなっている。感染前の状況として、医療機関に入院中の方や高齢者施設に入所中の方が多いことが示された。侵襲性の高い治療を希望されない場合や基礎疾患の悪化等の影響で重症の定義を満たさずに死亡する方など、新型コロナウイルス感染症が直接の死因でない事例も少なくないことが報告されており、基礎疾患を有する陽性者でコロナ感染による肺炎が見られなくても感染により基礎疾患が増悪することや、高齢の感染者が心不全や誤嚥性肺炎等を発症することにより、入院を要する感染者の増加に繋がることにも注意が必要。
    4. ウイルスの排出期間
      • オミクロン株感染症例におけるウイルスの排出については、時間の経過とともに減少する。有症状者では、発症日から10日目以降において、排出する可能性が低くなることが示された。なお、無症状者では、診断日から8日目以降において排出していないことが示された。
    5. ワクチン効果
      • 初回免疫によるオミクロン株感染に対する発症予防効果は著しく低下する。入院予防効果については、半年間は一定程度保たれているものの、その後50%以下に低下することが報告されている。一方で、3回目接種によりオミクロン株感染に対する感染予防効果、発症予防効果や入院予防効果が回復することや、3回目接種後のワクチン効果の減衰についても海外から報告されている。海外では一部の国で4回目接種が始まっている。有効性・安全性の情報を収集し、国内での4回目接種の必要性や対象者、開始時期などについて検討する必要がある。
    6. BA.2系統
      • 海外の一部地域では2系統による感染が拡大している。国内におけるオミクロン株は、当初BA.1とBA.1.1の海外からの流入がともにあったものの、その後BA.1.1が多数を占めるに至り、現在も主流となっているが、BA.2系統も検疫や国内で検出されており、現在、BA.2系統への置き換わりが進んでいる。このため、今後、感染者数の増加(減少)速度に影響を与える可能性がある。なお、BA.2系統はBA.1系統との比較において、実効再生産数及び二次感染リスク等の分析から、感染性がより高いことが示されている。BA.2系統の世代時間は、BA.1系統と比べ15%短く、実効再生産数は26%高いことが示された。BA.1系統とBA.2系統との重症度の比較については、動物実験でBA.2系統の方が病原性が高い可能性を示唆するデータもあるが、実際の入院リスク及び重症化リスクに関する差は見られないとも報告されている。また、英国の報告では、ワクチンの予防効果にも差がないことが示されている。英国の報告では、BA.1系統ウイルス感染後におけるBA.2系統ウイルスに再感染した事例は少数あり、主にワクチン未接種者であると報告されている。

~NEW~
経済産業省 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第3作業部会報告書を公表します
▼IPCC/AR6/WG3報告書の政策決定者向け要約(SPM)の概要
  • 最近の開発と現在のトレンド
    • 人為的なGHGの正味の総排出量は、1850年以降の正味の累積CO2排出量と同様に、2010~2019年の間、増加し続けた。2010~2019年の期間の年間平均GHG排出量は過去のどの10年よりも高かったが、2010~2019年の増加率は2000~2009年の増加率よりも低かった。(確信度が高い)
    • 正味の人為的なGHG排出量は、2010年以降、全ての主要な部門で世界的に増加している。排出量のうち、都市域に原因特定しうる割合が増加している。GDPのエネルギー原単位とエネルギーの炭素原単位の改善による、化石燃料と工業プロセスからのCO2排出量の削減は、産業、エネルギー供給、運輸、農業、及び建物における世界全体の活動レベルの上昇による排出量の増加を下回っている。(確信度が高い)B.3世界全体のGHG排出量に対する地域別の寄与度は引き続き大きく異なっている。地域や、国の一人当たりの排出量のばらつきは、発展段階の違いを部分的に反映しているが、同じような所得水準でも大きく異なる。一人当たりの排出量が最も多い上位10%の世帯が、世界全体の家庭部門のGHG排出量に占める割合が不均衡に大きい。少なくとも18か国が10年より長期にわたってGHG排出量の削減を持続している。(確信度が高い)
    • 2010年以降、いくつかの低排出技術の単価は継続的に低下している。イノベーション政策パッケージが、これらのコスト削減を可能にし、世界的な普及を支えてきた。イノベーションシステムに個別に対応する適合政策と包括的な政策の両方が、低排出技術の世界的普及に潜在的に関わる分配、環境、社会への影響を克服するのに役立ってきた。開発途上国では、それを可能にする条件が整備されていないため、イノベーションが遅れている。デジタル化は排出削減を可能にしうるが、適切に管理されなければ、副次的な悪影響を及ぼしうる。(確信度が高い)。
    • 第5次評価報告書以降、緩和に対処するための政策や法律が一貫して拡充している。これにより、それらがなければ発生したであろう排出が回避され、低GHG技術やインフラへの投資が増加している。排出量に関する政策の適用範囲は、部門間で不均衡である。資金の流れをパリ協定の目標に向けて整合させることは、依然として進みが遅れており、追跡調査された気候変動資金の流れは、地域や部門間で不均等に分配されている。(確信度が高い)
    • 追加的な削減対策を行わない既存の化石燃料インフラ及び現在計画されている化石燃料インフラが、今後その耐用期間中に排出すると予測される累積CO2排出量は、オーバーシュートしない又は限られたオーバーシュートを伴って温暖化を1.5℃(>50%)に抑える経路における正味の累積CO2総排出量を上回る。またそれらは、温暖化を2℃(>67%)に抑える可能性が高い経路における正味の累積CO2総排出量とほぼ同じである。(確信度が高い)
    • COP26より前に発表された国が決定する貢献(NDCs)の実施に関連する2030年の世界全体のGHG排出量では、21世紀中に温暖化が1.5℃を超える可能性が高い見込み。したがって、温暖化を2℃より低く抑える可能性を高くするためには、2030年以降の急速な緩和努力の加速に頼ることになるだろう。2020年末までに実施された政策の結果、NDCsの実施によって示唆される世界全体のGHG排出量よりも高いGHG排出量になると予測される。(確信度が高い)
    • オーバーシュートしない又は限られたオーバーシュートを伴って温暖化を1.5℃(>50%)に抑えるモデル化された経路と、温暖化を2℃(>67%)に抑える即時の行動を想定したモデル化された経路では、世界のGHG排出量は、2020年から遅くとも2025年以前にピークに達すると予測される。いずれの種類のモデル化された経路においても、2030年、2040年及び2050年を通して、急速かつ大幅なGHG排出削減が続く(確信度が高い)。2020年末までに実施されるものを超える政策の強化がなければ、GHG排出量は2025年以降も増加すると予測され、そうなれば2100年31,32までに中央値で3.2[2.2~3.5]℃の地球温暖化をもたらす(確信度が中程度)。
    • オーバーシュートしない又は限られたオーバーシュートを伴って温暖化を1.5℃(>50%)に抑えるモデル化された経路では、世界全体としてCO2排出量正味ゼロ(ネットゼロCO2)に2050年代前半に達し、温暖化を2℃(>67%)に抑える可能性が高い経路では、ネットゼロCO2に2070年代前半に達する。これらの経路の多くは、ネットゼロCO2を達成した後も、正味の負のCO2排出を続ける。これらの経路はまた、他のGHG排出量の大幅な削減を含む。2030年と2040年までにGHG排出量の大幅な削減、特にメタン排出量の削減を行うことは、ピーク温度を引き下げると共に温暖化をオーバーシュートする可能性を低減し、今世紀後半に温暖化を逆転させる正味負のCO2排出への依存度の低下につながる。GHG排出量が世界全体で正味ゼロに達し、それを維持することは、温暖化の漸進的な低下につながる。(確信度が高い)
  • 地球温暖化抑制のためのシステム変革
    • オーバーシュートしない又は限られたオーバーシュートを伴って温暖化を1.5℃(>50%)に抑える、あるいは、温暖化を2℃(>67%)に抑える全ての地球全体のモデル化された経路は、全ての部門で、急速かつ大幅に、そしてほとんどの場合、即時的に、GHG排出量を削減する必要がある。これらの削減を達成するためのモデル化された緩和戦略には、二酸化炭素回収・貯留(CCS)なしの化石燃料から、再生可能あるいはCCS付きの化石燃料のような超低炭素あるいはゼロ炭素エネルギー源への移行と効率の改善、非CO2排出量の削減、残留するGHG排出を相殺する二酸化炭素除去(CDR)法の導入が含まれる。例示的モデル経路(IMP)は、所与の温暖化レベルに整合する部門別の緩和戦略の様々な組み合わせを示す。
    • エネルギー部門全体を通してGHG排出量を削減するには、化石燃料使用全般の大幅削減、低排出エネルギー源の導入、代替エネルギーキャリアへの転換、及びエネルギー効率と省エネルギーなどの大規模の転換を必要とする。排出削減の講じられていない化石燃料インフラの継続的な設置は、高排出量を「ロックイン(固定化)」する。(確信度が高い)
    • 産業部門由来のCO2排出を正味ゼロにすることは、困難であるが可能である。産業由来の排出量の削減には、削減技術や生産プロセスの革新的変化とともに、需要管理、エネルギーと材料の効率化、循環型の物質フローを含む全ての緩和対策を促進するためのバリューチェーン全体での協調行動を伴う。産業由来のGHGの正味ゼロ排出への推進は、低及びゼロGHG排出の電力、水素、燃料と炭素管理を用いた新しい生産プロセスの導入により可能となる。(確信度が高い)
    • 産業部門由来のCO2排出を正味ゼロにすることは、困難であるが可能である。産業由来の排出量の削減には、削減技術や生産プロセスの革新的変化とともに、需要管理、エネルギーと材料の効率化、循環型の物質フローを含む全ての緩和対策を促進するためのバリューチェーン全体での協調行動を伴う。産業由来のGHGの正味ゼロ排出への推進は、低及びゼロGHG排出の電力、水素、燃料と炭素管理を用いた新しい生産プロセスの導入により可能となる。(確信度が高い)
    • 都市域は、正味ゼロ排出に向かう低排出開発経路の中で、インフラと都市形態の体系的な移行を通して、資源効率を高めGHG排出量を大幅に削減する機会を生み出しうる。成立済の、急成長中の、そして新興の都市にとっての野心的な緩和努力は、1)エネルギーと物質の消費量の削減または消費(形態)の変更、2)電化、及び3)都市環境における炭素吸収と貯留の強化を含む。都市は正味ゼロ排出を達成しうるが、それは、サプライチェーンを通じてその管轄境界の内外で排出量が削減される場合に限られ、そうなれば他部門にわたり有益な連鎖的効果をもたらす。(確信度が非常に高い)
    • モデル化された世界全体のシナリオでは、野心的な充足性対策、省エネ対策、及び再生可能エネルギー対策を組み合わせた政策パッケージが効果的に実施され、脱炭素化への障壁が取り除かれた場合、改修された既存の建物とこれから建設される建物は、2050年に正味ゼロのGHG排出量に近づくと予測される。野心度の低い政策は、何十年にもわたって、建物の炭素ロック・イン(固定化)を起こすリスクを増大させる。一方、適切に設計され、効果的に実施される緩和介入策は、新築の建物と改修された既存の建物の両方において、将来の気候に建物を適応させながら、すべての地域においてSDGs達成に貢献する大きな潜在的可能性を有する。(確信度が高い)
    • 需要側のオプションと低GHG排出技術は、先進国における輸送部門の排出量を削減し、開発途上国における排出量増加を抑制しうる(確信度が高い)。需要に焦点を当てた介入策はすべての輸送サービスに対する需要を削減し、よりエネルギー効率の高い輸送方式への移行を支援しうる(確信度が中程度)。低排出電力を動力源とする電気自動車は、陸上輸送について、ライフサイクルベースで最大の脱炭素化ポテンシャルを提供しうる(確信度が高い)。持続可能なバイオ燃料は、陸上輸送において、短期・中期的にさらなる緩和効果をもたらしうる(確信度が中程度)。持続可能なバイオ燃料、低排出の水素とその派生物質(合成燃料を含む)は、海上輸送、航空輸送、及び重量物の陸上輸送由来のCO2排出の緩和を支援しうるが、生産プロセスの改善とコスト削減を必要とする(確信度が中程度)。運輸部門における多くの緩和戦略は、大気質の改善、健康上の便益、交通サービスへの衡平なアクセス、渋滞の削減、材料需要の削減など、様々な共便益(コベネフィット)をもたらすだろう(確信度が高い)。
    • 需要側の緩和には、インフラ利用の変化、エンドユース技術の採用、及び社会文化的変化及び行動の変容が含まれる。需要側の対策とエンドユースサービスの新しい提供方法によって、エンドユース部門における世界全体のGHG排出量をベースラインシナリオに比べて2050年までに40~70%削減しうる一方で、いくつかの地域や社会経済集団は、追加のエネルギーや資源を必要とする。需要側の緩和対応策は、全ての人々の基本的幸福の向上と整合的である。(確信度が高い)
    • 農業、林業、その他土地利用(AFOLU)の緩和オプションは、持続可能な方法で実施された場合、大規模なGHG排出削減と除去の促進をもたらしうるが、他の部門における行動の遅れを完全に補うことはできない。加えて、持続可能な方法で調達された農林産物は、他の部門において、よりGHG排出量の多い製品の代わりに使用しうる。実施を阻む障壁やトレードオフは、気候変動の影響、土地に対する競合需要、食料安全保障や生計との競合、土地の所有や管理制度の複雑さ及び文化的側面などから生じるかもしれない。共便益(コベネフィット)(生物多様性の保全、生態系サービス、生計など)を提供し、リスクを回避する(例えば、気候変動への適応を通して)ための、国ごとに特有の機会が多く存在する。(確信度が高い)
    • CO2又はGHGの正味ゼロを達成しようとするならば、削減が困難な残余排出量を相殺するCDRの導入は避けられない。導入の規模と時期は、各部門における総排出削減量の軌道次第である。CDR導入の拡大は、特に大規模な場合、実現可能性と持続可能性の制約に対処するための効果的なアプローチの開発に依存する。(確信度が高い)
    • 100米ドル/トンCO2換算以下のコストの緩和オプションにより、世界全体のGHG排出量を2030年までに少なくとも2019年レベルの半分に削減しうるだろう(確信度が高い)。モデル化された経路において、世界のGDPは引き続き成長するが、気候変動による損害の回避や適応コストの削減による緩和対策の経済的利益を考慮しない場合、現行の政策を超える緩和を行わない経路と比べて、2050年には数パーセント低くなる。温暖化を2℃に抑えることの世界規模の経済効果は、評価された文献のほとんどにおいて緩和コストを上回ると報告されている(確信度が中程度)
  • 緩和、適応、持続可能な開発の連携
    • 気候変動の影響を緩和し、適応するための加速した衡平な気候行動は、持続可能な開発のために非常に重要である。気候変動行動もまたいくつかのトレードオフの結果となりうる。個々のオプションのトレードオフは、政策設計により管理することができる。国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の下で採択された持続可能な開発目標(SDGs)は、持続可能な開発の文脈において緩和オプションの含意を気候行動の評価基準として利用することができる。(確信度が高い)
    • 持続可能な開発、脆弱性及び気候リスクの間には強い関連性がある。特に開発途上国においては、経済的、社会的、制度的資源が限定的であるため、脆弱性が高く、適応能力が低い結果となる場合が多い(確信度が中程度)。いくつかの対応のオプションは、特に人間の居住地や土地管理において、そして生態系との関連において、緩和と適応の両方の成果をもたらす。しかし、陸域生態系と水域生態系は、一部の緩和行動によって、その実施次第では悪影響を受けうる(確信度が中程度)。協調的な部門横断的な政策と計画により、相乗効果を最大化し、緩和と適応の間のトレードオフを回避または低減しうる(確信度が高い)。
    • 強化された緩和や、持続可能性に向けて開発経路を移行させるためのより広範な行動は、国内及び国家間に分配的な影響をもたらす。衡平性への配慮や、全ての規模における意思決定への全ての関係者の幅広く有意義な参加は、社会的信頼を築き、変革への支持を深め、広げうる。(確信度が高い)
  • 対策の強化
    • 短期的に大規模展開が実現可能な緩和のオプションは複数ある。実現可能性は、部門や地域、能力、及び実施の速度と規模によって異なる。緩和オプションを広く展開するためには、実現可能性の障壁を削減又は除去し、可能にする条件を強化する必要があるだろう。これらの障壁と可能にする条件には、地球物理学的、環境生態学的、技術的、経済的な要因があり、特に、制度的要因と社会文化的要因がある。UNFCCC COP26以前に発表されたNDCsを超える短期的な対策は、オーバーシュートしないまたは限られたオーバーシュートを伴って1.5℃(>50%)に抑える世界全体のモデル経路における長期的な実現可能性の課題を軽減や回避、もしくはその両方をしうる。(確信度が高い)
    • 全ての国において、より広範な開発の文脈に組み込まれた緩和努力によって、排出削減の速度、深度、幅を増大させうる(確信度が中程度)。開発経路を持続可能性に向けて移行させる政策は、利用可能な緩和対策のポートフォリオを拡げ、開発目標とのシナジーの追求を可能にする(確信度が中程度)。開発経路を移行させ、システム全体にわたる緩和と変革を加速させる行動を、今、取ることができる(確信度が高い)。
    • 気候ガバナンスは、各国の事情に基づき、法律、戦略、制度を通じて行動し、多様な主体が相互に関わる枠組みや、政策策定や実施のための基盤を提供することにより、緩和を支援する(確信度が中程度)。気候ガバナンスは、それが複数の政策領域にわたって統合し、シナジーの実現とトレードオフの最小化を支援し、国と地方の政策決定レベルを結びつけるときに最も効果的なものとなる(確信度が高い)。効果的で衡平な気候ガバナンスは、市民社会の主体、政治の主体、ビジネス、若者、労働者、メディア、先住民、地域コミュニティとの積極的な関与の上に成り立つ(確信度が中程度)。
    • 多くの規制的手段や経済的手段はすでに成功裏に展開されている。制度の設計は、衡平性やその他の目標に対処するのに役立ちうる。これら制度は、規模を拡大し、より広範に適用すれば、大幅な排出量の削減を支援し、イノベーションを刺激しうる(確信度が高い)。イノベーションを可能にし、能力を構築する政策パッケージは、個々の政策よりも、衡平な低排出な将来への移行をよりよく支援できる(確信度が高い)。各国の状況に即した経済全体のパッケージは、排出量を削減し、開発経路を持続可能な方向にシフトさせつつ、短期的な経済目標を達成しうる(確信度が中程度)。
    • 追跡調査された資金の流れは、すべての部門と地域にわたって、緩和目標の達成に必要なレベルに達していない。その資金ギャップ解消についての課題は、全体として開発途上国で最も大きい。緩和のための資金フローの拡大は、明確な政策の選択肢と政府および国際社会からのシグナルにより支えられうる。(確信度が高い)加速された国際的な資金協力は、低GHGと公正な移行を可能にする重要な成功要因であり、資金へのアクセスや、気候変動の影響のコストと脆弱性における不衡平に対処しうる(確信度が高い)。
    • 国際協力は、野心的な気候変動緩和目標を達成するための極めて重要な成功要因である。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)、京都議定書、及びパリ協定は、ギャップが残っているものの、各国の野心レベル引き上げを支援し、気候政策の策
    • 定と実施を奨励している。世界規模未満のレベルや部門レベルで実行され多様な主体が参画するパートナーシップ、協定、制度やイニシアチブが出現してきているが、その有効性の程度は様々である。(確信度が高い)

~NEW~
経済産業省 不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況を取りまとめました
▼不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況
  • 令和3年における不正アクセス行為の認知件数は1,516件であり、前年(令和2年)と比べ、1,290件(約46.0%)減少した。
  • 令和3年における不正アクセス行為の認知件数について、不正アクセスを受けた特定電子計算機のアクセス管理者注3別に内訳を見ると、「一般企業」が最も多い(1,492件)。
  • 令和3年における不正アクセス行為の認知件数について、認知の端緒別に内訳を見ると、「利用権者からの届出」が最も多く(716件)、次いで「警察活動」(578件)、「アクセス管理者からの届出からの届出」(209件)の順となっている。
  • 令和3年における不正アクセス行為の認知件数について、不正アクセス後に行われた行為別に内訳を見ると、「インターネットバンキングでの不正送金等」が最も多く(693件)、次いで「インターネットショッピングでの不正購入」(349件)、「メールの盗み見等の情報の不正入手」(175件)の順となっている。
  • 令和3年における不正アクセス禁止法違反事件の検挙件数・検挙人員は429件・235人であり、前年(令和2年)と比べ、180件減少し、5人増加した。検挙件数・検挙人員について、違反行為別に内訳を見ると、「不正アクセス行為」が408件・227人といずれも全体の90%以上を占めており、このほか「識別符号取得行為注5」が4件・2人、「識別符号提供(助長)行為注6」が9件・8人、「識別符号保管行為注7」が7件・6人、「識別符号不正要求行為注8」が1件・1人であった。
  • 令和3年における不正アクセス行為の検挙件数について、手口別に内訳を見ると、「識別符号窃用型」が398件と全体の90%以上を占めている。
  • 令和3年に検挙した不正アクセス禁止法違反事件に係る被疑者の年齢は、「20~29歳」が最も多く(87人)、次いで「14~19歳」(60人)、「30~39歳」(43人)の順となっている。なお、令和3年に不正アクセス禁止法違反で補導又は検挙された者のうち、最年少の者は12歳注12、最年長の者は69歳であった。
  • 令和3年に検挙した不正アクセス禁止法違反事件について、被疑者と識別符号を窃用された利用権者との関係を見ると、「元交際相手や元従業員等の顔見知りの者によるもの」が最も多く(129人)、次いで「交友関係のない他人によるもの」(95人)、「ネットワーク上の知り合いによるもの」(11人)の順となっている。
  • 令和3年に検挙した不正アクセス禁止法違反の検挙件数について、識別符号窃用型の不正アクセス行為の手口別に内訳を見ると、「利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手」が最も多く(153件)、次いで「フィッシングサイトにより入手」(70件)の順となっており、前年(令和2年)と比べ、前者は約1.55倍、後者はは約0.41倍となっている。
  • 令和3年に検挙した不正アクセス禁止法違反の検挙件数について、不正アクセス行為の動機別に内訳を見ると、「不正に経済的利益を得るため」が最も多く(151件)、次いで「好奇心を満たすため」(130件)、「嫌がらせや仕返しのため」(59件)の順となっている。
  • 令和3年に検挙した不正アクセス禁止法違反の検挙件数のうち、識別符号窃用型の不正アクセス行為(398件)について、他人の識別符号を用いて不正に利用されたサービス別に内訳を見ると、「オンラインゲーム・コミュニティサイト」が最も多く(144件)、次いで「インターネットバンキング」(96件)の順となっており、前年(令和2年)と比べ、前者は約1.64倍、後者は8倍となっている。
  • 令和3年の主な検挙事例
    1. 会社員の女(21)は、令和2年4月、他人のID・パスワードを使用して電気通信事業者が提供するスマートフォン決済サービスの認証サーバに不正アクセスし、インターネット通販サイトにおいてスニーカー等を注文して窃取した。令和3年1月、女を不正アクセス禁止法違反(不正アクセス行為)並びに私電磁的記録不正作出罪・同供用罪及び窃盗罪で検挙した。
    2. 無職の男(23)は、令和3年1月、元交際相手のID・パスワードを使用して元交際相手が利用するSNSアカウントに不正アクセスし、元交際相手になりすまして投稿等を行った。同年3月、男を不正アクセス禁止法違反(不正アクセス行為)で検挙した。
    3. 会社員の男(42)は、平成31年2月、不正アクセス行為をする目的で、業務上知り得た顧客の証券口座のID・パスワードを自己の端末に不正に保管し、同証券口座から銀行口座に不正に送金するなどした。令和3年3月、男を不正アクセス禁止法違反(識別符号保管)、電子計算機使用詐欺罪等で検挙した。
    4. 学習支援業の男(37)は、令和2年9月、他人のID・パスワードを使用してインターネット通販サイトに不正アクセスし、パスワード及び登録電話番号を変更した上、電子マネーを不正に振替(チャージ)した。令和3年5月、男を不正アクセス禁止法違反(不正アクセス行為)並びに私電磁的記録不正作出罪・同供用罪及び電子計算機使用詐欺罪で検挙した。
    5. 会社員の男(37)は、令和2年11月、知人女性の個人情報を収集する目的で、同女のID・パスワードを使用してメールアカウントに不正アクセスし、登録情報やメール内容を閲覧した。令和3年6月、男を不正アクセス禁止法違反(不正アクセス行為)で検挙した。
  • 利用権者の講ずべき措置
    1. パスワードの適切な設定・管理
      • 利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んだ不正アクセス行為が発生していることから、利用権者の氏名、電話番号、生年月日等を用いた推測されやすいパスワードを設定しないほか、複数のウェブサイトやアプリ等で同じID・パスワードの組合せを使用しない(パスワードを使い回さない)よう注意する。また、日頃から自己のパスワードを適切に管理し、不用意にパスワードを他人に教えたり、インターネット上で入力・記録したりすることのないよう注意する。
      • なお、インターネット上に情報を保存するメモアプリ等が不正アクセスされ、保存していたパスワード等の情報が窃取されたと思われるケースも確認されていることから、情報の保存場所についても十分注意する。
    2. フィッシングへの対策
      • eコマース関係企業、通信事業者、金融機関、荷物の配送連絡等を装ったSMS(ショートメッセージサービス)や電子メールを用いて、実在する企業を装ったフィッシングサイトへ誘導し、ID・パスワードを入力させる手口が多数確認されていることから、SMSや電子メールに記載されたリンク先のURLに不用意にアクセスしないよう注意する。
    3. 不正プログラムへの対策
      • 通信事業者を装ったSMSからの誘導により携帯電話端末に不正なアプリをインストールさせ、当該アプリを実行すると表示されるログイン画面にID・パスワードを入力させる手口も確認されていることから、心当たりのある企業からのSMSや電子メールであっても、当該企業から届いたSMSや電子メールであることが確認できるまでは添付ファイルを開かず、本文に記載されたリンク先のURLをクリックしないよう徹底する。また、不特定多数が利用するコンピュータでは、ID・パスワード、クレジットカード情報等の重要な情報を入力しないよう徹底する。さらに、アプリ等のソフトウェアの不用意なインストールを避けるとともに、不正プログラムへの対策(ウイルス対策ソフト等の利用のほか、オペレーティングシステムを含む各種ソフトウェアのアップデート等によるぜい弱性対策等)を適切に講ずる。特に、インターネットバンキング、インターネットショッピング、オンラインゲーム等の利用に際しては、不正プログラムへの対策が適切に講じられていることを確認するとともに、ワンタイムパスワード等の二要素認証や二経路認証を導入するなど、金融機関等が推奨するセキュリティ対策を積極的に利用する。
  • アクセス管理者の講ずべき措置
    1. 運用体制の構築等
      • セキュリティの確保に必要なログの取得等の仕組みを導入するとともに、管理するシステムに係るぜい弱性の管理、不審なログインや行為等の監視及び不正にアクセスされた場合の対処に必要な体制を構築し、適切に運用する。
    2. パスワードの適切な設定
      • 利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んだ不正アクセス行為が発生していることから、使用しなければならない文字数や種類を可能な限り増やすなど、容易に推測されるパスワードを設定できないようにするほか、複数のウェブサイトやアプリ等で同じID・パスワードの組合せを使用しない(パスワードを使い回さない)よう利用権者に周知するなどの措置を講ずる。
    3. ID・パスワードの適切な管理
      • ID・パスワードを知り得る立場にあった元従業員、委託先業者等の者による不正アクセス行為が発生していることから、利用権者が特定電子計算機を利用する立場でなくなった場合には、アクセス管理者が当該者に割り当てていたIDの削除又はパスワードの変更を速やかに行うなど、ID・パスワードの適切な管理を徹底する。
    4. セキュリティ・ホール攻撃への対策
      • ウェブシステムやVPNサーバのぜい弱性に対する攻撃等のセキュリティ・ホール攻撃への対策として、定期的にサーバやアプリケーションのプログラムを点検し、セキュリティ上のぜい弱性を解消する。
    5. フィッシング等への対策
      • フィッシング等により取得したID・パスワードを用いて不正アクセスする手口が多数確認されていることから、ワンタイムパスワード等の二要素認証や二経路認証の積極的な導入等により認証を強化する。また、フィッシング等の情報を日頃から収集し、フィッシングサイトが出回っていること、正規のウェブサイトであるかよく確認した上でアクセスする必要があること等について、利用権者に対して注意喚起を行う

~NEW~
経済産業省 中小企業のDXに役立つ「手引き」と「AI導入ガイドブック」を取りまとめました
  • 中堅・中小企業等のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向けた、「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き」と、中小企業がAIを導入する際のノウハウをまとめた「中小企業向けAI導入ガイドブック」を取りまとめました。
  1. 背景
    • 経済産業省では、中堅・中小企業等のDX推進を後押しするべく、DXの推進に取り組む中堅・中小企業等の経営者や、これらの企業を支援する機関が活用することを想定したDXの推進のための「手引き」を作成するとともに、中小企業が自らAIを導入する場合において、中小企業自身が自社の状況を踏まえて適切な導入方法を判断し、自社主導でAI導入を進められる状態を目指せるよう参考となるガイドブックを取りまとめました。
  2. 「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き」
    • 経済産業省では、企業のDX推進に向けて経営者に求められる対応を取りまとめたデジタルガバナンス・コードを公表するとともに、DX銘柄等の施策を通じて、好事例の創出・取組の紹介をしてきました。しかし、DX銘柄の選定対象となっている上場企業には大企業が多く、中堅・中小企業等がDXに向けたアプローチを考える際に、これらの好事例を参考にしにくい場合もあると考えられます。このため、DXの推進に取り組む中堅・中小企業等の経営者や、これらの企業の支援に取り組む支援機関の参考となるよう、中堅・中小企業等がDXの推進に取り組む際に求められること等について事例を交えて解説する「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き」を作成・公表しました。同手引きでは、DXの進め方や、デジタルガバナンス・コードを実践している例等を紹介しています。
    • ▼中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き
    • また、中堅・中小企業等のDXのモデルケースとなるような優良事例を選定する「DXセレクション2022」においてグランプリ、準グランプリ、審査員特別賞を受賞した企業の取組紹介動画及び全ての選定企業の取組概要資料を公開しましたので、中堅・中小企業等のDX優良事例に関心のある方は、以下のページから御覧ください。
    • ▼DXセレクション(中堅・中小企業等のDX優良事例選定)
  3. 「中小企業向けAI導入ガイドブック」
    1. また、これからAI導入にチャレンジする中小企業向けに、中小企業自身が自社の状況を踏まえて適切な導入方法を判断し、自社主導でAI導入を進められる状態になることを目的とした「中小企業向けAI導入ガイドブック」を作成・公表しました。「AI導入を目指しているが、何から準備して、どうやって始めればいいかわからない」、「AI導入に対して、いつ・どのようなステップで意思決定すればよいのかイメージができない」、などの悩みを抱える中小企業経営者及び担当者向けに、チェックリストやワークシートを埋めていくことで具体的な導入手順が学べる内容です。「中小企業向けAI導入ガイドブック」は、AI導入の検討段階や検討テーマに応じて、以下のラインナップで構成しています。
      • AI導入の検討段階に応じたAI導入ガイドブックのラインナップ
        • AI構想段階
          1. AI導入ガイドブック 構想検討パンフレット
            • これからAI導入にチャレンジする企業は、まずコチラ!
        • AI導入段階
          1. AI導入ガイドブック 需要予測(製造)
            • 製造業における売上や天気等のデータを活用した分析等
          2. AI導入ガイドブック 予知保全
            • 製造業における機械の故障予兆を振動・音響センサーデータ等を活用した検知等
          3. AI導入ガイドブック 図面自動見積り
            • 製造業の図面見積もりにおける図面データ、原価データを用いた効率化等
          4. AI導入ガイドブック 需要予測(小売り、卸業)
            • 小売業、卸業における売上や天気等のデータを活用した分析等
          5. AI導入ガイドブック 外観検査(部品、良品のみ)
          6. AI導入ガイドブック 外観検査(部品、不良品あり)
            • 製造業の検品工程における画像認識の技術を用いた効率化等
            • ※4から6は昨年度公表済み。
            • 類似の課題を抱える企業が広く活用できることを目指し、本導入ガイドブックの周知・展開等を図っていきます。
            • ▼AI導入ガイドブック

~NEW~
経済産業省 防衛装備の海外移転の許可の状況に関する年次報告書を取りまとめました
▼防衛装備の海外移転の許可の状況に関する年次報告書
  • 防衛装備移転三原則の運用指針(平成26年4月1日国家安全保障会議決定)により、経済産業省は、防衛装備の海外移転の許可の状況につき、年次報告書を作成することとされています。本報告書は、令和2年度、外為法に基づき経済産業大臣が行った防衛装備の海外移転の許可の状況を取りまとめたもので、今回で7回目になります。
  • 令和2年度に、経済産業大臣が行った防衛装備の海外移転の個別許可は1,008件です。これらを運用指針の類型に沿って分類すると下記のとおりであり、案件の約9割が自衛隊の装備品の修理等のためのものです。
  1. 平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合(9件)
  2. 我が国の安全保障に資する場合(970件)
    • 国際共同開発・生産に関するもの(62件)
    • 安全保障・防衛力の強化に資するもの(17件)
    • 自衛隊等の活動又は邦人の安全確保のために必要なもの(891件)
  3. 我が国の安全保障上の観点からの影響が極めて小さい場合(29件)

~NEW~
経済産業省 令和3年度「取引適正化」と「付加価値向上」に向けた自主行動計画に係るフォローアップ調査を実施しました
▼令和3年度自主行動計画フォローアップ調査結果概要
  • サプライチェーン全体での「取引適正化」に向けた望ましい取引慣行を浸透させること等を目的に、各産業界自らが取組む行動をまとめた「自主行動計画」は、現在、18業種51団体にて策定済。
  • 取組の実施状況について、策定団体自ら、毎年フォローアップ調査を実施しており、必要に応じて自主行動計画の改定を行いつつ、更なる取組を進めることとなっている(PDCAの実施)。
  • 策定団体のうち、経済産業省所管の12業種46団体が10月~11月にフォローアップ調査を実施。
  • 各策定団体の調査結果について集計したところ、各策定団体所属会員企業のうち7,288社への発送に対して、回答社数2,376社。回答率33%。(昨年度実績:調査対象社数6,649社、回答社数2,519社、回答率38%)
  • 自主行動計画フォローアップ調査結果概要(重点5課題改善状況)
    • 価格決定方法の適正化
  • 発注側は大きな変動はないが、受注側は労務費、原材料価格、エネルギー価格いずれも若干悪化となった。発注側と受注側での認識のズレは、それぞれ約40ポイントと依然として大きい。
    • 支払条件の改善
  • 「現金払い」については、受注・発注ともに数ポイント程度の上昇で横ばい。
  • 「手形サイト」については、発注側では、手形サイト「60日以内」は数ポイント上昇し、若干改善。
  • 「約束手形利用の廃止予定」について、『5年以内に廃止予定』は発注側で29%、受注側で12%にとどまる。
    • コスト負担の適正化(型管理)
  • 発注側は66%、受注側は53%が『改善された/やや改善された』と回答しており、ともに「改善されていない」との回答割合を上回っているが、発注・受注間で、『改善された』の回答に13ポイントの差があり、依然、認識のズレが生じている
  • 知的財産・ノウハウの保護
    • 「知的財産に関する適正取引実現のための取組実施状況」については、「実施中」が半数強。
  • 働き方改革のしわ寄せ防止
    • 「働き方改革の影響」については発注・受注ともに、すべての業種で「特に影響はない」が最も多い。影響があるものとしては、受注側において「短納期での発注の増加」、「急な対応の依頼の増加」があげられた。
  • また、働き方改革の影響として「短納期発注や急な仕様変更の場合のコストを発注側が適正に負担したか」については、発注・受注ともに「概ねできた」の割合は横ばい。ただし「概ねできた」の回答は、発注・受注間で15ポイントの差が存在。
  • 「令和3年度上期に適用する単価の決定・改定」にあたり、双方が合意できた事項について、昨年度と比較して、発注側は大きな変動はないが、受注側は労務費、原材料価格、エネルギー価格いずれも若干悪化となった。発注側と受注側での認識のズレは、それぞれ約40ポイントと依然として大きい。
  • 労務費についての「令和3年度上期に適用する単価の決定・改定」にあたり、双方が合意できた事項について、発注側と受注側の「概ね反映できた」認識の差は業種によっては、かなり突出した特徴が出ている。流通・小売業の受注側では「概ね反映できた」が0%であり、労務費の転嫁が特に難しい状況がわかる。
  • 原材料価格についての「令和3年度上期に適用する単価の決定・改定」にあたり、双方が合意できた事項について、発注側と受注側の「概ね反映できた」認識の差は全体で38%(労務費・エネルギー価格より少)。原材料価格は、労務費・エネルギー価格よりも受注側の「概ね反映できた」が10%程度高く比較的転嫁しやすいと考えられるものの、建材・住宅設備の受注側は、唯一30%に満たない結果。建設工事関連の親事業者との力関係等により転嫁しづらい状況が考えられる。
  • エネルギー価格についての「令和3年度上期に適用する単価の決定・改定」にあたり、双方が合意できた事項について、発注側と受注側の「概ね反映できた」認識の差は全体で44%。素形材産業は、発注側・受注側ともに全体の数字より下回っており、エネルギー価格のコスト転嫁の実施について、発注側・受注側ともに他業種に遅れを取っている状況がわかる。
  • 下請中小企業との取引における「下請代金の現金払い化」については、受注・発注ともに数ポイント程度の上昇で横ばい。
  • 「下請代金の現金払い化」について、発注側と受注側の認識の差は全体で27%。建設・住宅設備、化学産業の受注側では0%と、依然として手形払い等が多い状況がみられる。
  • 「手形サイト」について、発注側では、手形サイト「60日以内」は数ポイント上昇し、若干改善。選択肢の「30日以内」「60日以内」「90日以内」「120日以内」「120日超」のうち、多くの業種が「120日(4か月)以内」の割合が高い傾向。
  • 「手形サイト」について、発注側と受注側の認識の差は全体で6%。機械製造業に含まれる、建設機械・産業機械・工作機械・半導体製造業・ロボット・計量・分析機器は、いずれの団体も「120日内」の割合が多い状況であり、支払条件の更なる改善が課題。
  • 「約束手形利用の廃止予定」について、『5年以内に廃止予定』は発注側で29%、受注側で12%にとどまる。5年後までに廃止しない発注側企業の理由は、「特に理由はない(これまでの慣習など)」の回答が最多。次いで「取引先が電子的決済手段に対応しないため」と続く。
  • 「約束手形利用の廃止予定」について、発注側は「利用廃止に向けて検討中」が高い傾向であるものの、受注側は「廃止予定はない」がほとんどの業種で最多であり、今後、発注側・受注側で具体的な協議を進めていくことが望まれる。
  • 「直近一年での型管理に関する改善状況」については、発注側は66%、受注側は53%が『改善された』(「改善された」と「やや改善された」の合計)と回答しており、ともに「改善されていない」との回答割合(発注側8%、受注側26%)を上回っているが、発注・受注間で、『改善された』の回答に13ポイントの差があり、依然、認識のズレが生じている。
  • 「直近一年での型管理に関する改善状況」について、型管理が課題とされている素形材は受注側の「改善されていない」が17%と比較的高く、型管理の課題の改善に時間を要している。
  • 型管理の適正化のうち、「保管期間を過ぎた型の返却・廃棄の促進」については、発注・受注ともに横ばい。発注・受注間で、「実施済」の回答に32ポイントの差があり、依然、認識のズレが生じている。
  • 「返却・廃棄の促進」について、型管理が課題とされている自動車・素形材の発注側・受注側の差は、全体の32%と比較して低く、型管理の適正化の取り組みを進めている状況が伺える。
  • 「型の保管費用の発注者側負担」については、受注側で「実施済」が若干減少している。発注・受注間には35ポイントの差があり、認識のズレが顕在している。
  • 「保管費用の発注者側負担」について、全体として受注側の数字が低い。「実施済」が10%台である自動車・素形材・金属は、それぞれ「未実施」の割合が最も高い。
  • 「知的財産に関する適正取引実現のための取組実施状況」については、全体として「実施中」が半数強。素形材、繊維、紙・紙加工業では「実施中」の割合が3~4割程度と他の業種に比べて低い傾向。
  • 働き方改革の影響として「短納期発注や急な仕様変更の場合のコストを発注側が適正に負担したか」については、発注・受注ともに「概ねできた」の割合は横ばい。

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