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  • スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ(金融庁)/デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ(内閣府)/第83回新型コロナ対策アドバイザリーボード(厚労省)/人材版伊藤レポート2.0(経産省)/小型旅客船の緊急安全対策(国交省)

危機管理トピックス

スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ(金融庁)/デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ(内閣府)/第83回新型コロナ対策アドバイザリーボード(厚労省)/人材版伊藤レポート2.0(経産省)/小型旅客船の緊急安全対策(国交省)

2022.05.16
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更新日:2022年5月16日 新着15記事

ビル 金融のイメージ
【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

厚生労働省
  • 小児の原因不明の急性肝炎について(令和4年5月13日)
  • 転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会 第1回資料
  • 個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会 第1回資料
  • 第83回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年5月11日)
経済産業省
  • ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置を実施します(輸出貿易管理令の一部を改正)
  • オープンソースソフトウェアの利活用及びそのセキュリティ確保に向けた管理手法に関する事例集を拡充しました
  • 「人材版伊藤レポート2.0」を取りまとめました
国土交通省
  • 「小型旅客船の緊急安全対策」~小型船舶による旅客輸送の安全対策を緊急に実施します~
  • 災害復旧事業の体制・経験・ノウハウが不足する市町村の災害対応力の底上げを支援します~ガイドラインの策定と説明会の開催~

~NEW~
金融庁 「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第27回)議事次第
▼資料2 事務局説明資料
  • 2014年のスチュワードシップ・コード策定以降、累次のコーポレートガバナンス改革を実施。2021年のコーポレートガバナンス・コードの再改訂を受けて、各企業におけるガバナンス改革の取組みは一層進展。2022年4月時点の上場企業のコーポレートガバナンス体制を見ると、以下の進展がみられる。
    • プライム市場上場企業の8割超(81.6%)が、3分の1以上の独立社外取締役を選任。
    • プライム市場上場企業の8割弱(79.8%)が、指名委員会(任意を含む)を設置。8割超(82.0%)が報酬委員会(任意を含む)を設置。
  • コーポレートガバナンス改革の取組みが進展する一方、次のような指摘も聞かれる。
    1. 企業からの指摘
      • コードは「コンプライ又はエクスプレイン」の枠組みだが、実際には「エクスプレイン」すると投資家に十分理解されるか不安。また、そのエクスプレインのための検討が大変。こうした中、一部において、コードへの対応が形式的になっているおそれ。
      • コード改訂やガバナンス改革の取組みが、企業価値や「稼ぐ力」の向上につながっているか検証が必要。
    2. 機関投資家からの指摘
      • 企業との充実した対話の実現に向け、対話を支える制度的要素も含め、一層の改革が必要。
      • 持続的な成長に向け、現預金・内部留保の一層の活用などを検討すべき。
      • 改訂版コーポレートガバナンス・コードへの企業の対応状況が出そろい、東証の市場再編が実施されたタイミングに合わせ、コーポレートガバナンス・コード再改訂後の中間点検の一環として、次の2点を実施。
  • コーポレートガバナンス改革に関する実証研究の整理
  • コーポレートガバナンスに関する取組みについての企業へのインタビュー
  • 海外では、コーポレートガバナンス制度の整備や機関投資家による株式保有が、どのような条件の下で企業のパフォーマンスに影響を与えるかについて、実証研究の蓄積がある。他方、日本のコーポレートガバナンス改革実施以降の期間を対象とした実証研究の数は必ずしも多くなく、その結果も区々であることから、日本の実証研究においては、改革の評価は定まっていない。
  • 国内のコーポレートガバナンス改革実施以降を対象とした実証研究の数は、現時点では必ずしも豊富ではない。社外取締役と企業価値の関係についての実証研究では、改革実施前には、社外取締役の導入が市場からの評価を上げるとするものが比較的多い一方、改革実施後の研究では、企業価値との間に有意な関係が見られないとしているものが多く、評価は定まっていない。
  • 委員会設置についての研究では、指名委員会、報酬委員会の設置等は、ROAを向上させるとの示唆を得たものがある。資本政策についての研究では、資本効率が悪い企業が余剰現預金を減少させると、市場からの評価が上昇するとの示唆を得たものがある。
  • 政策保有株式の保有が多い企業ほど利益率等が低く、売却によって利益率等が改善するとの示唆を得た研究がある一方で、政策保有株式の売却は、自社株買いや配当を増加させる一方で、R&D、実物投資、M&Aの増加には貢献しないとの示唆を得たものもある。
  • 機関投資家とのエンゲージメントがガバナンス改善や株価向上に寄与するとの示唆を得た研究がある。アクティブ投資家比率は製造業のR&D成果を向上させる一方、パッシブ投資家はそうした効果を持たないとの示唆や、機関投資家や海外投資家の比率は、生産性(ROA)や市場からの評価を上げるとの示唆を得た研究がある。
  • 2010年の開示規制導入以降、政策保有株式の平均保有銘柄数は約34%減少。2015年のコーポレートガバナンス・コードの策定前後で、政策保有株式の売却確率は上昇しており、コードの原則1-4(政策保有株式)、原則4-8(独立社外取締役の有効な活用)等が政策保有株式の売却を促進した可能性。一方で、売却は持分の小さい銘柄に集中しており、発行済み株式数に占める持株比率で見ると、約0.8%ptしか減少しておらず、事業会社間の政策保有株式の売却が順調に進んでいるとは言いがたい。
  • 2010年以降の各社の政策保有銘柄を分析したところ、持合い関係にある銘柄は売却されにくいことや、取引関係が弱いと考えられる銘柄は売却されやすいとの示唆が得られた。また、社外取締役の増加は、持分の大きい銘柄、持合い関係にある銘柄の売却も含め、政策保有株式の売却を促進するとの示唆も得られた
  • コーポレートガバナンス改革に関する企業へのインタビュー 概観
    • 執行陣を含め多くの企業から、取締役会の審議の充実・中長期的な経営戦略の議論の深化によって企業経営に良い影響が生じた、投資家との対話から経営に有益な示唆を得られた、といった声が聞かれ、コーポレートガバナンス改革の方向性及び有効性は広く支持されていることを示唆。
    • コンプライへのプレッシャーが企業にある中で、コーポレートガバナンス・コードが、企業経営の細部に至る要請を行うことで、かえって企業が形式のみを整えることとなり、改革が形骸化することを懸念する声があった。
    • 機関投資家の形式的な議決権行使、特に中堅以下の規模の企業における対話の機会不足、実質株主把握の困難等の課題へ対応することにより、より質の高い対話を促進すべきとの指摘もあった。
    • コーポレートガバナンス改革は、長期的には企業価値向上に有益であり、企業価値向上を志向したコーポレートガバナンス・コードの方向性は評価する。
    • 執行側からの説明方法を創意工夫すること等により、取締役会の審議が充実し、社外取締役から有益な指摘・助言が得られ、果断な意思決定が行えた。
    • 指名委員会が社内の信頼を得ることで、その指名委員会に指名された執行陣が強いリーダーシップを持てる。
    • 社長や取締役会議長、社外取締役が積極的・継続的に対話に取り組むことや、中長期的な視点で企業を見てくれる投資家と対話を行うことで、投資家から経営に対する有益な示唆を得られた。
    • 取締役会で中長期的な経営戦略を議論し、執行に権限移譲。その執行の進捗確認を通じてモニタリングする形により、経営のスピードが上がり、中長期的な戦略に沿った経営ができた。
    • 取締役会の実効性評価を通じて、コーポレートガバナンス改革のPDCAを回すことにより、取締役会の質の向上につながった。
  • コーポレートガバナンス改革は、中長期的な企業価値の向上に向けて、経営陣の果断なリスクテイクを支えることを狙いとしてきたが、日本企業の成長投資(設備投資、研究開発・知財投資、人的投資等)は、コーポレートガバナンス・コード策定以降、小幅な伸びに留まっている。
  • コーポレートガバナンス・コード再改訂後も、政府等において、企業の知的財産や人的資本等への経営資源の配分に関する議論は進展。しかし、投資家と比較すると、未だ企業には、その重要性が十分に認識されていない。
  • 足元、日本の大企業の内部留保は242兆円まで、現預金は79兆円まで積み上がっている。
  • 株主還元の水準を見てみると、日本企業の配当や自社株買いは、米国や英国と比べても、必ずしも過大とは言えない。
  • 近年、株式のパッシブ運用はますます増加。それに伴い、協働エンゲージメントを行ったことがある投資家も増加してきている。
  • スチュワードシップ・コードの有識者検討会からは、建設的な対話を支える制度的要素(協働エンゲージメントに係る法的枠組み等)についての指摘が行われていた。直近の調査では、半数以上の投資家が、協働エンゲージメントの際の課題として、「共同保有者」や「重要提案行為」への該当性判断が不明確なことを挙げている。
  • 近時、株主提案等が増加傾向にある中、上場会社が株主との対話を深めていく観点から、「実質株主」を確認できるようにする制度について検討すべきとの指摘がなされている。
  • ご議論いただきたい事項
    1. コーポレートガバナンス・コード再改訂(2021年)後の中間点検
      • 2014年のスチュワードシップ・コード策定以降、累次のコーポレートガバナンス改革を実施してきたが、改革の効果についての実証研究の蓄積は未だ多くなく、改革の効果に関する評価は定まっていない。
      • 他方、創意工夫でコーポレートガバナンス改革に取り組んだ企業からは、取締役会審議の充実化等、一定の効果を感じているとの指摘がある。
      • このような状況を踏まえ、
        • これまでのコーポレートガバナンス改革の効果をどのように評価しているか。
        • その際、コーポレートガバナンス改革の効果についての企業の実感、コードを細則化すべきでない等の批判をどのように受け止めるべきか。
        • 資料で挙げている分析以外に、改革の点検として見るべき分析はあるか。
        • 分析結果を踏まえ、今後のコーポレートガバナンス改革で対応していくべき課題はあるか。
        • 企業の取組みの中で、今後フォローアップ会議として取り上げるべきものはあるか。
    2. 持続的な成長に向けた課題
      • コーポレートガバナンス改革を通じて、企業に持続的な成長に資する投資(設備投資、研究開発・知財投資、人的投資等)を促してきたが、米国と比較すると、それらの投資は小幅な伸びに留まっており、内部留保が特に現預金として積み上がる結果となっている。また、価値創造の基盤となる知的財産や人的資本に関する投資の重要性は政府等において議論されてきたものの、企業における取組みは、未だ道半ばであると考えられる。
      • 積み上がり続ける日本企業の内部留保(特に現預金)の有効活用に向け、下記の点をどう考えるか。
        • 中長期的な企業価値の向上に向けた経営資源の適切な配分(設備投資、研究開発・知財投資、人的投資等)。その際の成長投資と、資本コストを踏まえた株主還元のバランス
        • コロナ禍、資源高、ウクライナ情勢等、不確実性の高い状況における現預金保有の方針
        • 企業が上記の課題に取り組む際の取締役会や株主、両者の対話の役割、及び企業の説明責任のあり方
    3. 企業と投資家との対話に係る課題
      • 企業と投資家の建設的な対話のあり方については様々な議論・検討が進展している一方、過去のフォローアップ会議やスチュワードシップ・コードの有識者検討会において、協働エンゲージメントの範囲が明確ではない等の指摘がなされている。
      • これまでの指摘を踏まえて何らかの対応を検討すべきと考えるか
      • これまでの指摘以外にも、関連する制度において検討すべき論点はあるか。

~NEW~
内閣官房 第3回 教育未来創造会議 配布資料
▼資料1-2: 我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について(第一次提言)(案)
  1. 基本理念
    • 日本の社会と個人の未来は教育にある。教育の在り方を創造することは、教育による未来の個人の幸せ、社会の未来の豊かさの創造につながる。
    • 少子高齢化や第四次産業革命、グローバル競争の激化、地球温暖化といった様々な課題に向き合い、新たな価値を創造しながら、豊かな未来を切り拓いていくためには、一人一人の生産性を高め、生きていく力、柔軟な知を育むことが必要である。また、ジェンダーギャップや貧困等による社会的分断を断ち切り、全ての人が自らの意思で個性と能力を十分に発揮できるようにしていくことも必要である。
    • このため、誰もが、幼少期からその意欲に応じて家庭の経済事情に関わらず学ぶことのできる環境を整備することが重要である。また、高齢になっても意欲があれば社会の支え手として生涯にわたり学び続けることも重要である。生きている限りいつまでも学べる環境を構築していくことが必要であり、働くことと学ぶことのシームレスな連携ができる生涯能力開発社会、生涯学習社会の実現に向けて取り組むなど、教育と社会との接続の多様化・柔軟化を推進する。
    • 教育・人材育成といった人への投資は成長への源泉である。国や企業による個人への投資は、個人の立場に立てば分配の意味を持つ。人への投資を通じた「成長と分配の好循環」を教育・人材育成においても実現し、「新しい資本主義」の実現に資する。
  2. 在りたい社会像
    1. 一人一人の多様な幸せと社会全体の豊かさ(ウェルビーイング)の実現
      • コミュニティ全体として全員で一人一人の多様な幸せと社会全体の豊かさ(ウェルビーイング)の実現を目指し、多様性と包摂性のある持続可能な社会を構築する。
    2. ジェンダーギャップや貧困など社会的分断の改善
      • 国際的にジェンダーパリティ(ジェンダー公正)が進展していく中で、我が国に根強くあるジェンダー不平等の悪循環を断ち切り、ジェンダーギャップの解消を図るとともに、貧困等による社会的分断を改善し、意欲があれば誰もが学び、その個性と能力を十分に発揮できる環境整備に取り組む。
    3. 社会課題への対応、SDGsへの貢献
      • 国民全体のデジタルリテラシーの向上を図るとともに、地球規模の課題である脱炭素社会の構築、再生可能エネルギーの活用、地方創生などの課題解決による価値創造を推進し、Society5.0と持続可能な開発目標(SDGs)達成の双方を実現する「Society5.0 for SDGs」34に向けて取り組む。また、グローバル化の一層の進展への対応を図る。
    4. 生産性の向上と産業経済の活性化
      • 労働生産性の向上による一人一人の稼ぐ力(付加価値創造)の強化により、我が国全体の産業経済の発展を目指すことはもとより、地域の産業・経済の活性化も図る。その際、世界と伍する分野をはじめとして我が国の強みを生かした取組の強化を図る。
    5. 全世代学習社会の構築
      • 誰もが、生涯にわたって意欲があれば学び、スキルを身につけることができる生涯学習社会、生涯能力開発社会(=全世代学習社会)の実現を目指す。
  3. 目指したい人材育成の在り方
    1. 未来を支える人材像
      • 上記2に掲げる「在りたい社会像」を実現していくのは、主体性、創造性、共感力のある多様な人材であり、具体的には、夢を描き、技術を活用しながらそれを形にし、価値創造に繋げられる人材、身近なものから地球規模のものまで様々な社会課題を発見し、横断的な観点から解決していくことのできる人材、文化や美意識等に対する素養を身に付け、エシカルな行動ができる人材、急激な社会環境の変化を受容し、新たな価値を生み出していく精神(アントレプレナーシップ)を備えた人材などが挙げられる。
      • これらは、予測不可能な時代な中で、好きなことを追究して高い専門性や技術力を身に付け、自分自身で課題を設定して、考えを深く掘り下げ、多様な人とコミュニケーションをとりながら、新たな価値やビジョンを創造し、社会課題の解決を図っていくことのできる人材である。
      • こうした人材を育成するために、初等中等教育で育まれた基礎学力や素質を土台として、高等教育においては、リテラシー(数理的推論・データ分析力、論理的文章表現力、語学力・コミュニケーション能力等)、論理的思考力と規範的判断力、課題発見・解決能力、未来社会を構想・設計する力、高度専門職に必要な知識・能力を培うことが求められる。
      • さらに、社会人になってからも、一生涯、何度でも学び直し、自らの能力をアップデートし続けていく意識が必要になる。
    2. 今後特に重視する人材育成の視点
      • デジタル化の加速度的な進展と、「脱炭素」の世界的な潮流は、これまでの産業構造を抜本的に変革するだけではなく、労働需要の在り方にも根源的な変化をもたらすことが予想される。
      • 今後、知的創造作業に付加価値の重心が本格移行する中で、日本企業の競争力をこれまで支えてきたと信じられ、現場でも・教え込まれてきた人的な能力・特性だけではなく、むしろそれとは根本的に異なる要素も求められていくと想定される。
      • このことを踏まえ、デジタル化、脱炭素化等のメガトレンドを踏まえた2030年、2050年の産業別・職種別の労働需要の推計や求められるスキル・課題を明らかにした産学官が目指すべき人材育成の大きな絵姿として、「未来人材ビジョン」が検討された35。具体的には、多くの産業においてエンジニアが増加する一方で、事務・販売従事者は減少し、特に、製造業や卸売・小売業で大きな変化が予想されることを示した上で、今後重視される「問題発見力」「的確な予測」「革新性」等が強く求められるような職種では労働需要が増加し、相対的に求められない事務・販売従事者のような職種では減少することを示唆されており、産学が一体となってこうしたスキル・能力を備えた人材を多く輩出していくことが求められている。今後の人材育成に当たっては、このような将来の姿をバックキャスティングしながら検討を進めていくことが必要である。
      • その上で、上記(1)に掲げる人材の育成を目指し、特に以下の視点を重視して、大学等の機能強化、学びの支援の充実、学び直し(リカレント教育)促進のための環境整備を産学官が一体となって強力に推し進め、社会変革を促していく。
        • 予測不可能な時代に必要な文理の壁を超えた普遍的知識・能力を備えた人材育成
        • デジタル、人工知能、グリーン(脱炭素化など)、農業、観光など科学技術や地域振興の成長分野をけん引する高度専門人材の育成
        • 現在女子学生の割合が特に少ない理工系などの分野の学問を専攻する女性の増加
        • 高い付加価値を生み出す修士・博士人材の増加
        • 全ての子供が努力する意思があれば学ぶことができる環境整備
        • 一生涯、何度でも学び続ける意識、学びのモチベーションの涵養
        • 年齢、性別、地域等にかかわらず誰もが学び活躍できる環境整備
        • 幼児期・義務教育段階から企業内までを通じた人材育成・教育への投資の強化

~NEW~
外務省 ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置について
  • ウクライナをめぐる現下の国際情勢に鑑み、この問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、主要国が講ずることとした措置の内容を踏まえ、閣議了解「ロシア連邦関係者に対する資産凍結等の措置等について」(令和4年5月10日付)を行い、これに基づき、外国為替及び外国貿易法による次の措置を実施することとした。
  1. 措置の内容
    1. 資産凍結等の措置
      • 外務省告示(5月10日公布)により資産凍結等の措置の対象者として指定されたロシア連邦の関係者(8個人)、「ドネツク人民共和国」(自称)及び「ルハンスク人民共和国」(自称)の関係者(133個人)に対し、(ⅰ)及び(ⅱ)の措置を実施する。
        1. 支払規制
          • 外務省告示により指定された者に対する支払等を許可制とする。
        2. 資本取引規制
          • 外務省告示により指定された者との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とする。
    2. ロシア連邦の特定団体への輸出等に係る禁止措置
      • 外務省告示(5月10日公布)によりロシア連邦の特定団体として指定された71団体への輸出等に係る禁止措置を実施する。
    3. 先端的な物品等の輸出等の禁止措置
      • ロシア連邦への先端的な物品等の輸出等の禁止措置を導入する。
  2. 上記資産凍結等の措置等の対象者

~NEW~
首相官邸 日本はウクライナと共にあります- JAPAN STANDS WITH UKRAINE-
  • ロシア軍によるウクライナでの多数の無辜の民間人の殺害は重大な国際人道法違反であり、戦争犯罪です。断じて許されず、厳しく非難するものです。
  • こうした残虐な行為の真相は徹底的に明らかにされなければならず、ロシアは戦争犯罪の責任を問われなければなりません
  1. ウクライナ国民への支援
    • ドローン・防弾チョッキ・ヘルメット・防寒服・天幕・カメラ・衛生資材・非常用糧食・双眼鏡・照明器具・医療用器材等の提供
    • 1億ドルの緊急人道支援(注)(保健、医療、食料、ウクライナ及び周辺諸国の方々の保護等の分野における国際機関等を通じた支援。なお、追加で1億ドルの緊急人道支援を行うことを表明済み)(注)2014年以来ウクライナに対して18.7億ドルのODAを実施中
    • 財政支援について、1億ドルから3億ドルへの増額を表明
    • 希望する在留ウクライナ人の在留延長を許可
    • ウクライナから日本への避難民の受入れの推進
    • 周辺国に滞在する避難民支援のための物資協力、医療・保健等の分野における人的貢献の検討
  2. 金融措置
    • IMF、世界銀行、欧州復興開発銀行を含む主要な多国間金融機関からのロシアへの融資の防止
    • デジタル資産などを用いたロシアによる制裁回避への対応
    • ロシア中央銀行との取引を制限
    • プーチン大統領を含むロシア政府関係者、ロシアの財閥であるオリガルヒ等に対して、資産凍結等の制裁
    • 9金融機関(Sberbank, Alfa-Bank, 開発対外経済銀行(VEB)、Promsvyazbank、Bank Rossiya、対外貿易銀行(VTB Bank)、Sovcombank、Novicombank及びBank Otkritie)及びそれらの子会社に対して、我が国国内に有する資産を凍結
    • SWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシアの特定銀行の排除を始め、ロシアを国際金融システムや世界経済から隔離させるための措置へ参加
    • ロシア政府による新たなソブリン債の我が国における発行・流通等を禁止。我が国における証券の発行等を禁止しているロシアの特定の銀行について、より償還期間の短い証券も対象に追加
    • ロシアへの新規投資を禁止する措置を導入
  3. 貿易措置
    • 「最恵国待遇」の撤回
    • 機械類、一部木材、ウォッカなどの輸入の禁止
    • 贅沢品の輸出の禁止
    • ロシアの軍事関連団体に対する輸出、国際的な合意に基づく規制リスト品目・半導体など汎用品・先端的な物品のロシア向け輸出、ロシア向け石油精製用の装置等の輸出に関する制裁
    • 石炭・石油輸入のフェーズアウトや禁止を含むエネルギー分野でのロシアへの依存低減
  4. 査証措置
    • ロシアの関係者に対して、日本への査証発給の停止
  5. ベラルーシ
    • 3金融機関(Belagroprombank、Bank Dabrabyt及びベラルーシ共和国開発銀行)及びそれらの子会社に対して、我が国国内に有する資産を凍結
    • ベラルーシの関係者に対して、日本への査証発給の停止
    • ルカシェンコ大統領を含むベラルーシの関係者に対する資産凍結等の制裁
    • ベラルーシの軍事関連団体に対する輸出、国際的な合意に基づく規制リスト品目や半導体など汎用品のベラルーシ向け輸出に関する制裁
    • ※「ドネツク人民共和国」及び「ルハンスク人民共和国」
      • 「ドネツク人民共和国」及び「ルハンスク人民共和国」関係者に対して、日本への査証発給の停止及び我が国国内に有する資産を凍結
      • 「ドネツク人民共和国」及び「ルハンスク人民共和国」との輸出入を禁止

~NEW~
内閣府 第5回 デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ
▼【資料2】 情報商材等に関する消費者被害の現状と法的課題
  • 典型的な事例を類型化すると以下のとおりとなる。消費者は当該情報商材の内容につき、「事業者等から不実告知や断定的判断提供を受け契約に至るケース」に加え(誤認類型)、「焦らされてよく理解しないまま契約に至るケース」や、「SNSでのやりとりを通じて、なんとなく断りがたい気持ちになって契約に至るケース」などもみられる。
  • 検索サイト端緒型
    • 【事例1】検索→ランキングサイト→SNS→通販+電話勧誘
      • 検索サイトの検索→結果に表示されたランキングサイト等にアクセス→同サイト上に上位表示されている副業サイトのQRコードを読み取るなどして、特定のアカウント※とのSNS上でのチャットを開始→当該アカウントからSNS上のチャット等で勧誘→低廉な商材(PDFのマニュアル等)を販売業者のサイトを通じて購入→購入した商材のサポート等と称して、販売業者担当者から電話をかける日時の予約をさせる→当該指定日時に担当者が電話をかけて勧誘をし、高額の商材を販売業者のサイトを通じて購入させる事例
        • ※個人名や情報商材の商品名に関連するアカウント名がみられる。なお、LINEが利用されるケースでは、こうしたアカウントの多くは公式アカウント(グレーバッジ)である。他方、マルチ取引等の事案では、通常のLINEアカウントが用いられているケースもみられる。具体的なSNS上のやりとりの画面については、消費者庁「簡単な作業をするだけで「誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる」などの勧誘により「副業」の「マニュアル」を消費者に購入させた事業者に関する注意喚起」(令和4年4月13日)を参照
    • 【事例2】検索→事業者ウェブサイトを見て自ら電話
      • 検索結果に表示された販売業者のウェブサイトにアクセスしたところ、販売目的を隠匿して電話をかけることを要請する表示があり、これをみて電話をかけた消費者にその電話で高額商材の勧誘をして購入をさせる事例
  • SNS端緒型
    • 【事例3】SNSフォロー後、ウェブ会議システム等へのアクセスを誘導され、同システム上の通話等で勧誘
      • SNS内検索を使い、例えば「副業」関係の情報を発信している特定のアカウント※をフォローする→当該アカウントからダイレクトメッセージが届き「副業」関係のSNSのグループへ招待される→グループ内のウェブ会議システム等を通じて勧誘を受ける→指定されたリンク先にアクセスしてカード決済により会費を支払って当該グループに加入させる事例
    • 【事例4】SNS広告→第三者ブログ→事業者ウェブサイト
      • SNS上に表示される広告から、第三者のブログ等を経て、最終的に販売業者のサイトに誘導され同サイトにおいて高額の商材を購入させる事例
  • 視点
    • 相手方との契約までに多様な立場で複数の第三者が介在して取引を形成している。
    • 相談者(消費者)が契約締結の意思形成をしたのはいつの時点か。その意思形成は誰の影響が大きいのか。
    • 上記の場所は、インターネット上か、対面か/オープンかクローズか(あるいは双方の組み合わせか)
    • 各レイヤーに属する者の法的位置づけは(被害未然防止・回復の観点)
  • 問題の所在
    • 【事例1】、【事例3】及び【事例4】のように、消費者の意思形成過程には、契約当事者たる販売業者のほか、第三者が関与しあるいはその端緒となるケースが少なくない。
    • この際、例えば、SNSでのやりとり等を通じて、第三者と一定の関係性を構築したうえで終局的に契約に至るなど、当該第三者が契約の申込みの意思形成過程に影響を及ぼしていると考えられるケースもみられる。
    • このように、意思形成過程に現れる第三者の特別法の適用関係はどのように整理されるのか。
  • インターネット上で事業者から委託を受けた第三者が宣伝行為をする場合(アフィリエイト等)
    • 例えば、アフィリエイトは、「ASPを通じて、事業者たる販売業者が消費者契約の目的につき、広告宣伝することを委託し、アフィリエイターがこれを受けて、広告宣伝を行う仕組み」であるから、消費者庁の解釈によれば、一般的には「媒介の委託を受けた第三者」に該当する可能性がある。
    • なお、「a事業者が第三者に消費者契約の締結について媒介をすることの委託をしたこと」(1)、「b当該第三者による
    • 法4条に該当する勧誘行為の存在」(2)及び「c上記bにより消費者が契約申込みに至った事実」(2/3/4/5)の立証責任は消費者。
    • とりわけaは、事業者と当該第三者の内部関係であり、消費者がこれを立証することは必ずしも容易ではない
  • 景品表示法 基本的な考え方
    • 景表法の不当表示に関する被規制者は、「供給主体性」および「表示主体性」を充足する必要がある(法5条)。
    • 販売業者等は、外観上、不当表示を第三者が行っていた場合であっても、自らがその表示をしていたといえる場合は、「供給主体性」に加え「表示主体性」も充足していることになり、当該第三者の不当表示につき、措置命令等の対象となる。
    • 他方、専ら広告・宣伝のみを行う第三者は、「供給主体性」を充足しているとはいえないから、当該第三者の表示は同法の不当表示規制の対象とはならない。
    • 本WGで対象とする事案との関係でいえば、消費者の意思形成過程において不当な表示を行ったアフィリエイター※、SNS上の特定アカウント等の第三者の表示が、販売業者等の表示であるといえるのはどのような場合か、その射程は適当であるのかが課題となる。
  • 問題の所在
    • 「第三者」の不当勧誘行為によって、消費者が契約締結に至った場合、消費者契約法5条に基づき当該消費者契約の取り消しによる解決が可能である場合もある。
    • 景表法では一定の第三者の表示を販売業者自身の表示とし、あるいは販売業者自身の表示であることを認定したうえで、販売業者を措置命令の対象とし、特商法では一定の第三者も「販売業者」等に該当するとして販売業者と併せて行政処分の対象となりうる場合もある。
    • もっとも、このような対応は、行政庁が法に基づく報告徴収や立入検査権限を行使することによってこそ可能であるともいえ、個別事案につき、個々の消費者が販売業者と第三者の内部関係を明らかにすることは、容易ではない。
    • また、被害の実情からすれば、その未然防止・回復の観点から、さらに、対象とすべき第三者の範囲が既存の法律の範囲で適切か、当該第三者を特別法の被規制者として明記することの意義などにつき、検討する必要があるのではないか。
  • 問題の所在(誤認類型・威迫困惑類型には必ずしもあてはまらない類型の存在)
    • 情報商材等の事案では、実際には面識のない者とSNS上でやりとりを繰り返すなかで、高額の金員を支払う事例がみられる。
    • こうした結果に至る事情として広告表示や勧誘文言によって契約内容等につき誤認をしたケースのほか、例えば、以下などがみられる。
      1. SNS上等で、焦らされて契約に至ったと思われるケース。
      2. SNS上等でのつながりを形成する時点では、情報商材等の勧誘を受けることは必ずしも認識していなかったと思われるケース
    • これらの事例では、論理的な思考が十分に稼働せずに、ヒューリスティックな判断により契約締結に至っているものもあるように思われる。
    • 実務では、前述のとおり、インターネット上の空間における勧誘によって、「誤認類型」・「威迫困惑類型」にはあてはまらない原因により、消費者の意思形成が歪められて契約に至った」ケースもあるように思われる。しかし、消費者契約法や特商法における各規定は、かならずしも、このような勧誘に対応したものではないと考えられる。
    • そこで、相談事例等の収集・分析を進めた上で、例えば以下などに着目して、インターネット上の空間における勧誘行為につき改めて、調査・検討することも考えられるのではないか。
      1. 「文字ベースと口頭ベース」、「インターネット空間と対面」等、勧誘方法の違いによる消費者の意思形成への影響の差異
      2. SNS上で相互フォローすることの心理的影響
      3. 日常生活におけるスマートフォンやSNSの利用状況(時間など)と信頼性・仲間意識醸成に因果関係
      4. 今後、いわゆるデジタルネイティブ世代(Z世代)が増加していくこともふまえ、同世代特有の心理状況
  • 相手方の特定困難
    • SNSが利用される消費者取引被害は、「意思形成過程において勧誘行為をした特定のアカウント」についてはアカウントID以外に情報がない場合や、「契約の相手方当事者」についても、架空の住所が表示されていたり、実在するのか調査困難な外国法人を名乗るケースなど、相手方の特定に困難を来す場合も少なくない。
    • 表示場所につき、当事者は契約の重要な事項であるから、一連の購買プロセスにおいて「容易に認識することができるような場所」に表示させることを徹底させるべきではないか。
    • 販売業者等の特定困難という事態を回避するためには、特商法11条の表示義務の真正性の担保が重要であることは明らか
    • である。例えば、その具体策として、表示義務の内容につき法人については、「会社法人等番号」(商業登記法7条)又は「法人番号」(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第2条15項)を表示事項として追加することが考えられる。これらが表示事項となれば、少なくとも当該法人が実在するか否かは容易に調査可能となる。
    • 相手方の特定困難問題につき、契約当事者である「販売業者等」については、法11条の厳格化・執行強化といった方法も考えられる。他方、被害回復の観点からは相手方特定のための開示の迅速性が要求されるといった側面も存在する。そうであれば、「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」第5条の開示請求権(第5条)等も参照にしつつ、例えば「販売業者等」につき、取引DPF提供者との法的立場の比較、社会的な役割等を慎重に検討したうえで、新たな情報開示制度を創設することも考えられるのではないか。
  • 通信販売 問題の所在
    • (1)特商法の当事者の特定に関する表示規制は機能しているか、(2)SNS上でのメッセージは、法12条の「誇大広告等の禁止」の対象となる「広告」に該当するのか、(3)新設された取消権(法15条の4)は通信販売に関するトラブルにどのように活用できるのか、(4)ウェブ上の困惑型勧誘(ウェブ会議アプリを用いた勧誘、グループチャットによる多人数による勧誘、クローズチャットで執拗なメッセージ送信等)の消費者の意思形成に与える影響と現行法の規定の妥当性等が問題となる。
    • 表示主体が、販売業者であり、対象となるメッセージが「販売業者等がその広告に基づき通信手段により申込みを受ける意思が明らか」であって、「消費者がその表示により購入の申込みをすることができるもの」であれば、1対1のクローズ方式であっても該当すると考えられる。もっとも、通信販売における被規制者は販売業者等に限定される。このため、販売業者以外の第三者による不当表示に本条が適用されるのかといった問題は残る。
    • 令和3年改正により、通信販売の規定に新設された「取消権」である。本規定は未施行であり、実務において今度どのように活用できるのか未知数。もっとも、取消権の対象となる表示は、いわゆる「最終確認画面」であって、「提供条件広告」部分(事業者のウェブサイト上の広告表示等)は対象外。また、対象となる表示の内容は、目的物の「分量」、「対価」及び「支払時期」等に限定列挙され、商品や役務の内容に関する表示は含まれていない。
  • 電話勧誘販売 問題の所在
    • 電話勧誘販売では、(1)SNS音声通話サービスや、ウェブ会議アプリの利用は「電話」に該当するか、(2)「廉価商材購入+高額商材勧誘型」(以下「二段階型」という)事案において、2段階目の本丸となる高額契約の締結に際し、販売業者等が電話をかけ、あるいは消費者に電話をかけさせた場合の当該契約の「電話勧誘販売」該当性、(3)購入者が自発的にアクセスした、ウェブ表示に勧誘目的隠匿で電話をかけるように要請がある場合に「電話勧誘販売」に該当するか、といった問題がある。
    • 実務的には「電話勧誘販売ではない」と主張する事業者は存在する、しかし、SNSの音声通話サービス等は、IP電話の一種であり、「電話」に該当することは消費者庁の逐条解説等からも明らかである。
    • 一般的に、商品等の内容な価格等が表示されている事業者のウェブサイト上の表示は「通信販売」の提供条件広告に該当すると解される。電話勧誘販売との関係では、「勧誘目的隠匿型」(法2条3項、施行令2条1号)が問題となるが、ウェブサイト上の表示は、原則として「政令で定める方法」ではないから、電話勧誘販売には該当しないと解さざるを得ない。しかしながら、消費者が当該ウェブサイト上の表示にたどり着くまでの経路や、被害の実態からすれば、本事案についても、被害回復に向けた対応が必要であると思われる。

~NEW~
総務省 プラットフォームサービスに関する研究会(第36回)配布資料
▼資料1 令和3年度国内外における偽情報に関する意識調査
  • 日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国で比較すると下記のような特徴がみられた。
    • 関連用語の認知状況は、日本は対象国中最も低い。ただし、日本での認知度は年々上昇傾向にある
    • 情報の真偽を見分ける地震は、日本は対象国中最も低い。日本の年代別では、10代のみ「自信がある」を上回る結果
    • フェイクニュースを見かける頻度(週1回以上)は、日本は3割台となり、対象国中最も低い
    • フェイクニュース対策に取り組むべき主体として最も期待されるのは日本、アメリカ、イギリス、フランスで「報道機関、放送局、ジャーナリスト」
    • 新型コロナウイルスに関する情報やニュースを取得する方法は、日本は「民間放送局(テレビ・ラジオ・ウェブサイトなど)」が最も高い
    • 新型コロナウイルスに関する情報について特に信用するのは、日本、イギリス、フランス、韓国は「自国の政府機関のウェブサイトや情報配信」
    • 情報の真偽について「調べるか」についてみると、日本と韓国は、欧米の対象国より低い結果
    • 情報の真偽を確かめる方法で最も高いのは、日本、フランス、、韓国では「自国の政府機関の情報」
    • 新型コロナウイルスに関する情報についての意見を聞くと、日本を含めた全対象国において、積極的なファクトチェックの実施や、ファクトチェック結果をSNS事業者がユーザーへ届けることが高い結果となった

~NEW~
厚生労働省 小児の原因不明の急性肝炎について(令和4年5月13日)
  • 世界各国において小児における原因不明の急性肝炎が継続して報告されています。世界保健機関(WHO)では、この急性肝炎の原因特定を目的として、暫定的な症例定義を定め、各国に症例定義に該当するケースの報告を求めています。
  • 厚生労働省ではこうした事案について、令和4年4月20日に自治体等に対し、注意喚起及び情報提供依頼、4月27日に当該事例の感染症サーベランス及び積極的疫学調査についての事務連絡を発出しているところです。
  • 暫定症例定義(※)に該当する2021年10月1日から2022年5月12日10時までの累積報告症例数を別添の通り公表します。今後も、定期的に症例報告の状況をとりまとめて公表していきます。
  • 厚生労働省としては、引き続き、各国政府やWHO、専門家等とも連携しつつ、諸外国の感染状況を注視しながら、情報収集に努めてまいります。
  • 報道機関各位におかれましては、ご本人やご家族などが特定されないよう、個人情報保護にご配慮下さい。
    • ※暫定症例定義は以下のとおりとする。「欧州及び米国における小児の原因不明の急性肝炎の発生について(協力依頼)」(令和4年4月27日付厚生労働省健康局結核感染症課事務連絡)
  • 2021年10月1日以降に診断された原因不明の肝炎を呈する入院例のうち、以下の1、2、3のいずれかを満たすもの:
    1. 確定例 現時点ではなし。
    2. 可能性例 アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)又はアラニントランスアミナーゼ(ALT)が500 IU/Lを超える急性肝炎を呈した16歳以下の小児のうちA型~E型肝炎ウイルスの関与が否定されている者。
    3. 疫学的関連例 2の濃厚接触者である任意の年齢の急性肝炎を呈する者のうち、A型~E型肝炎ウイルスの関与が否定されている者。

    ~NEW~
    厚生労働省 転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会 第1回資料
    ▼資料4 職場における転倒・腰痛等の減少を図る対策の在り方について(提言)【概要】
    1. 提言1 転倒・腰痛等を取り巻く課題や背景要因の的確な把握
      • 転倒・腰痛等の予防対策の基礎となる課題やニーズを的確に把握するとともに、対策が効果的に推進されるよう後ろ盾となるエビデンスの収集を推進する。
        • 課題
          1. 発生した労働災害情報の深掘り
          2. 職場において転倒・腰痛等の予防の取組が進まない要因や企業・労働者が求めるニーズの把握
          3. 転倒・腰痛等の予防に効果がある取組のエビデンスの収集
            といった把握や収集を効果的に推進するための調査・研究が十分に行われていない。
        • 提言
          • 転倒・腰痛等の予防対策の普及を効果的にするため、物理的要因や心理的・内的要因なども含む災害情報に基づくリスク要因の深掘りや、災害予防を促進する要因・阻害する要因の把握など、エビデンス等を収集・調査研究すべき。
            1. 転倒・腰痛等の予防の取組を普及させるには、説得力のあるエビデンスがあるとよい。その収集と調査研究を充実させる必要がある。
            2. 現状の仕組み(労働者死傷病報告)に加え、つまずき、滑りなどの物理的要因や心理的・内的要因なども含めて、包括的・網羅的に収集することが重要。
            3. 転倒リスクや腰痛リスクの「見える化」を進めることも有効。
            4. 高年齢労働者の災害予防について研究する際、生活者としての高年齢者の体力データを活用するなど、職域の研究領域を超えた活動が有効。
            5. 効果的に普及するには、(1)転倒・腰痛等の予防の取組について効果のあった好事例、(2)企業経営へのメリット・デメリットに関わるデータの収集も有効。
            6. 企業・労働者の主体的な取組を進めるため、取組が促進される要因、逆に取組が阻害される要因など、労使双方のニーズを正確に把握する必要がある。
    2. 提言2 企業・労働者の行動変容を促すための情報発信と関係者との連携について
      • 企業・労働者の行動変容を促すため、必要となる取組の意義を明らかにした上でステークホルダーに理解されやすい形で情報を発信するとともに、関係機関・団体を含む関係者と連携による効果的なアプローチを図る。
        1. 課題
          1. 「労働災害防止」の切り口だけでは企業や労働者の行動変容を促すことが難しい。企業にとっては転倒・腰痛等防止に取り組むメリット・デメリットがわかりづらく、企業価値を生み出すイメージがない。また、働く人にとっても、職場での受動的な取組として捉えられやすい。
          2. 小規模な介護施設やスーパーなどが自力で取組を推進することは困難である。現状では、関係者間の繋がりも弱く、効果的にアプローチする専門家がいないため、取組の推進力となる主体がいない。
          3. 行政の視点が「指導」に偏重しており、企業の自主的な取組を促しにくい。
        2. 提言
          1. 現状分析とその周知を十分に行った上で、ポジティブなキーワードを用いて転倒・腰痛等予防の取組を推進すべき(安全衛生対策を経営上のコストと捉えている企業にも経営に有効であることを認識・経営に反映してもらうことが必要。)。
            1. 「転倒・腰痛等」防止の取組を広げていくためのわかりやすいキーワード・メッセージを検討し、発信することが必要。
            2. 「健康づくり」を切り口とした他の行政施策との連携は有効。
            3. 企業価値の創出というメリットを企業に示すことが必要。
            4. 労働災害が経営に与えるデメリットを事業者に理解してもらうための労働損失の提示や、同業種の先行企業が取り組んでいることの周知・多くの企業が取り組みに参加することのメリットの発信も有効。
            5. 労働者が自分事として認識していくためのマインドセットの推進と、被災者自身に責任を負わせないための環境づくりを進めることが必要。このように、差別や偏見の防止、社会的弱者、ハイリスクと同定された方達の労働者の権利を守る観点も踏まえて取り組んでいくことも重要である。
            6. 従業員が安全で健康に働くことが、労使双方及び事業の利用者にもメリットを生む仕組みを検討するとよい。法令のバックグラウンドを明示するとともに、法令遵守することを通じて、企業は何を実現することができるのかについて、従業員と会社がコミュニケーションできる打ち出し方を示していくことが重要。
            7. 対象の属性に応じたアプローチ手法を採用することが必要。
          2. 関係機関・関係団体との連携を強化するとともに、周知啓発に協力してもらえる専門家を育成・活用することが必要である。
            • 連携先の拡大と、各取組を一つに束ねて企業に届ける仕組みの検討が必要。
            • 企業全体の風土を即座に変えることのできるトップダウンと、アプローチをPDCAに乗せるためのボトムアップの双方の手法を活用しつつ、効果的なアプローチに不可欠な専門家を育成・活用することが必要。
            • 腰痛で困ったときの相談先の確保とその発信が必要。
          3. 行政機関の意識を「指導」から「育成」にシフトしていく意識改革が必要。
            • 行政機関が個別企業にアプローチする際の視点を「指導」から「育成」へのシフト。
            • 企業の取組の動機付けになるような災害発生状況やリスクを評価するシステムの構築とそれを活用した育成支援。
            • 行政機関特有の資料による説得だけではなく、企業の課題に寄り添い、一緒に解決策を模索することによる行動変容の促進。
    3. 提言3 企業、労働者、関係団体の主体的な取組の促進と、必要な制度等の見直しと新たな切り口による取組について
      • 企業、労働者、関係団体が自主的に取組を進めることができるような仕組みを作るとともに、効果的な取組の推進に必要な制度等の見直しと新たな切り口による取組を図る。
        • 課題
          • 行政の今までの取組は、プロセスや手法に問題があり、うまくいっていない。企業の立場だとメリットがないと取り組まない。
          • 労働安全衛生法令が現下の状況にキャッチアップしていない。
          • いろいろツールを作っても、どのように普及するかという視点が欠けており、活用されていない。労働者には届いていない。
        • 提言
          1. これまでの行政における取組状況と効果を検証し、転倒・腰痛予防対策を効果的、実効的に推進するために、効果のあった取組については継続しつつ、低調なものについては見直しを推し進めるべき。
            1. これまでに作成してきた安全衛生教育教材ツール(標準安全作業マニュアル、リーフレット、ガイドラインなどの効果的な活用と、前述の3(2)(提言②の(2))も踏まえて、現状での取組の効果が低調な関係機関・関係団体との連携の強化、周知啓発に協力する専門家の育成・活用が必要。
            2. 優良な取組を行った企業に対して国が関与した認証や表彰の制度を更に拡充し、水平展開を通じた業界全体のレベルアップを図るべき。
          2. 現場の実態に即した、企業の主体的取組による災害予防の取組や効果の高い予防対策が促進されるよう、安衛法令をはじめ現行制度の見直しを検討すべきではないか。
            1. 事業場(店舗)が小規模分散し、事業場単位でできる取組が限られている小売業などにおいて、企業単位での安全衛生管理の役割のあり方を検討すべき。
            2. 腰痛予防について、国際的な規制の動向も踏まえつつ、より自主的な管理を促す方向にシフトすべき。
            3. 転倒予防に効果的と考えられる設備的対策についての規制のあり方を検討すべき。
            4. 高年齢労働者等が安全で働きやすい職場環境の整備を推進するため、高年齢労働者等に対する個別の保健指導や就業上の配慮を検討してはどうか。
          3. 企業の自主的な取組を促進させる支援、インセンティブ制度を拡充させるべき。
            1. 安全衛生対策に有効な機器の導入支援、関係者の連携を積極的に促すなどによる企業や団体への支援、企業へのインセンティブを拡充させるべき。
          4. 具体的かつ効果的な普及啓発の在り方を検討し、推進していくべき。
            1. 各種安全衛生教育教材(テキスト、動画)、作業マニュアル、リーフレットといったツールが労働者まで確実に届くような仕組みを構築すべき。
            2. 国と業界が協力して効果的なツールを作成するなど、業界団体の自主的な取組を促してはどうか。
            3. 健康状況の測定と運動・栄養指導等を、高齢者等に配慮しながら事業場における労働者の健康保持増進のための指針(THP指針)といった既存のスキームを活用するなど効果的に組み合わせていってはどうか。なお、健康状況の測定の活用に当たっては、高リスク者の排除に繋がらないように留意が必要である。
            4. 安全・健康の思考を自然に誘発していく広い意味での環境整備のあり方を検討すべき。
          5. その他
            • ここに掲げる事項のほか、今後検討を深める中で更に必要となる事項も出てくると思われる。厚生労働省においては、上記2(提言1)において提言された課題把握に基づき、積極的に見直しや推進を図っていくべきである
    ▼資料5 職場における転倒・腰痛等の減少を図る対策の在り方について【提言】
    • 転倒・腰痛等の予防対策の普及を効果的にするため、物理的要因や心理的・内的要因なども含む災害情報に基づくリスク要因の深掘りや、災害予防を促進する要因・阻害する要因の把握など、エビデンス等を収集・調査研究すべき。
      1. 転倒・腰痛等の予防の取組を普及させるには、説得力のあるエビデンスがあるとよい。その収集と調査研究を充実させる必要がある。
      2. 現状の仕組み(労働者死傷病報告)に加え、つまずき、滑りなどの物理的要因や心理的・内的要因なども含めて、包括的・網羅的に収集することが重要。
      3. 転倒リスクや腰痛リスクの「見える化」を進めることも有効。
      4. 高年齢労働者の災害予防について研究する際、生活者としての高年齢者の体力データを活用するなど、職域の研究領域を超えた活動が有効。
      5. 効果的に普及するには、①転倒・腰痛等の予防の取組について効果のあった好事例、②企業経営へのメリット・デメリットに関わるデータの収集も有効。
      6. 企業・労働者の主体的な取組を進めるため、取組が促進される要因、逆に取組が阻害される要因など、労使双方のニーズを正確に把握する必要がある。
    • 現状分析とその周知を十分に行った上で、ポジティブなキーワードを用いて転倒・腰痛等予防の取組を推進すべき(安全衛生対策を経営上のコストと捉えている企業にも経営に有効であることを認識・経営に反映してもらうことが必要。)。
      1. 「転倒・腰痛等」防止の取組を広げていくためのわかりやすいキーワード・メッセージを検討し、発信することが必要。
      2. 「健康づくり」を切り口とした他の行政施策との連携は有効。
      3. 企業価値の創出というメリットを企業に示すことが必要。
      4. 労働災害が経営に与えるデメリットを事業者に理解してもらうための労働損失の提示や、同業種の先行企業が取り組んでいることの周知・多くの企業が取り組みに参加することのメリットの発信も有効。
      5. 労働者が自分事として認識していくためのマインドセットの推進と、被災者自身に責任を負わせないための環境づくりを進めることが必要。このように、差別や偏見の防止、社会的弱者、ハイリスクと同定された方達の労働者の権利を守る観点も踏まえて取り組んでいくことも重要である。
      6. 従業員が安全で健康に働くことが、労使双方及び事業の利用者にもメリットを生む仕組みを検討するとよい。法令のバックグラウンドを明示するとともに、法令遵守することを通じて、企業は何を実現することができるのかについて、従業員と会社がコミュニケーションできる打ち出し方を示していくことが重要。
      7. 対象の属性に応じたアプローチ手法を採用することが必要。
    • 関係機関・関係団体との連携を強化するとともに、周知啓発に協力してもらえる専門家を育成・活用することが必要である。
      1. 連携先の拡大と、各取組を一つに束ねて企業に届ける仕組みの検討が必要。
      2. 企業全体の風土を即座に変えることのできるトップダウンと、アプローチをPDCAに乗せるためのボトムアップの双方の手法を活用しつつ、効果的なアプローチに不可欠な専門家を育成・活用することが必要。
      3. 腰痛で困ったときの相談先の確保とその発信が必要。
    • 行政機関の意識を「指導」から「育成」にシフトしていく意識改革が必要。
      1. 行政機関が個別企業にアプローチする際の視点を「指導」から「育成」へのシフト。
      2. 企業の取組の動機付けになるような災害発生状況やリスクを評価するシステムの構築とそれを活用した育成支援。
      3. 行政機関特有の資料による説得だけではなく、企業の課題に寄り添い、一緒に解決策を模索することによる行動変容の促進。
    • これまでの行政における取組状況と効果を検証し、転倒・腰痛予防対策を効果的、実効的に推進するために、効果のあった取組については継続しつつ、低調なものについては見直しを推し進めるべき。
      1. これまでに作成してきた安全衛生教育教材ツール(標準安全作業マニュアル、リーフレット、ガイドラインなどの効果的な活用と、前述も踏まえて、現状での取組の効果が低調な関係機関・関係団体との連携の強化、周知啓発に協力する専門家の育成・活用が必要。
      2. 優良な取組を行った企業に対して国が関与した認証や表彰の制度を更に拡充し、水平展開を通じた業界全体のレベルアップを図るべき。
    • 現場の実態に即した、企業の主体的取組による災害予防の取組や効果の高い予防対策が促進されるよう、安衛法令をはじめ現行制度の見直しを検討すべきではないか。
      1. 事業場(店舗)が小規模分散し、事業場単位でできる取組が限られている小売業などにおいて、企業単位での安全衛生管理の役割のあり方を検討すべき。
      2. 腰痛予防について、国際的な規制の動向も踏まえつつ、より自主的な管理を促す方向にシフトすべき。
      3. 転倒予防に効果的と考えられる設備的対策についての規制のあり方を検討すべき。
      4. 高年齢労働者等が安全で働きやすい職場環境の整備を推進するため、高年齢労働者等に対する個別の保健指導や就業上の配慮を検討してはどうか。
    • 企業の自主的な取組を促進させる支援、インセンティブ制度を拡充させるべき。
      • 安全衛生対策に有効な機器の導入支援、関係者の連携を積極的に促すなどによる企業や団体への支援、企業へのインセンティブを拡充させるべき。具体的かつ効果的な普及啓発の在り方を検討し、推進していくべき。
    • 具体的かつ効果的な普及啓発の在り方を検討し、推進していくべき。
      1. 各種安全衛生教育教材(テキスト、動画)、作業マニュアル、リーフレットといったツールが労働者まで確実に届くような仕組みを構築すべき。
      2. 国と業界が協力して効果的なツールを作成するなど、業界団体の自主的な取組を促してはどうか。
      3. 健康状況の測定と運動・栄養指導等を、高齢者等に配慮しながら事業場における労働者の健康保持増進のための指針(THP 指針)といった既存のスキームを活用するなど効果的に組み合わせていってはどうか。なお、健康状況の測定の活用に当たっては、高リスク者の排除に繋がらないように留意が必要である。
      4. 安全・健康の思考を自然に誘発していく広い意味での環境整備のあり方を検討すべき。

    ~NEW~
    厚生労働省 個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会 第1回資料
    ▼資料2 建設アスベスト訴訟最高裁判決を踏まえた一人親方等の保護に関する法令改正について
    • 安衛法の規定とこれまでの考え方
      • 安衛法は、職場における労働者の安全と健康を確保することを目的としており、これまでこの法律により保護すべき対象は、事業者に雇用されている「労働者」と位置付け、運用してきた。
    • 最高裁の判断
      • 建設作業で石綿(アスベスト)にばく露し、肺がん等に罹患した元労働者や一人親方が、国を相手取り、規制が十分であったかが争われた「建設アスベスト訴訟」の最高裁判決において、石綿の規制根拠である安衛法第22条は、労働者だけでなく、同じ場所で働く労働者でない者も保護する趣旨との判断がされた。
    • 最高裁判決の論拠
      • 第1条の目的規定には、「快適な職場環境の形成を促進」とされており、その対象は労働者に限定していないこと。
      • 石綿等の有害物に対する措置を事業者に義務付けている第22条では、その保護対象を労働者に限定していないこと。
    • 建設アスベスト訴訟の最高裁判決(令和3年5月17日)において、以下の点について国の規制権限の不行使を違法とする判断が出された。
      1. 一人親方等の安全衛生対策
        • 安衛法57条は、これを取り扱う者に健康障害を生ずるおそれがあるという物の危険性に着目した規制であり、その物を取り扱うことにより危険にさらされる者が労働者に限られないこと等を考慮すると、所定事項の表示を義務付けることにより、その物を取り扱う者であって労働者に該当しない者も保護する趣旨のものと解するのが相当。
        • 安衛法は、その1条において、職場における労働者の安全と健康を確保することを目的として規定しており、安衛法の主たる目的が労働者の保護にあることは明らかであるが、同条は、快適な職場環境(平成4年法律第55号による改正前は「作業環境」)の形成を促進することをも目的に掲げているものであるから、労働者に該当しない者が、労働者と同じ場所で働き、健康障害を生ずるおそれのあるものを扱う場合に、安衛法57条が労働者に該当しない者を当然に保護の対象外としているとは解し難い。
        • 本件掲示義務規定(注:特化則38条の3(安衛法第22条に基づく規定))は、特別管理物質を取り扱う作業場という場所の危険性に着目した規制であり、その場所において危険にさらされる者が労働者に限られないこと等を考慮すると、特別管理物質を取り扱う作業場における掲示を義務付けることにより、その場所で作業する者であって労働者に該当しない者も保護する趣旨のものと解するのが相当。
        • 労働大臣が上記の(安衛法第22条等に基づく)規制権限を行使しなかったことは、安衛法第2条第2号において定義された労働者に該当しない者との関係においても、安衛法の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、著しく合理性を欠くものであって、国家賠償法1条1項の適用上違法。
      2. 有害性の警告表示の義務付け
        • 省令を制定して、事業者に対し、石綿含有建材を使う建設現場における警告表示(掲示)の内容として、石綿により引き起こされる石綿関連疾患の具体的内容及び症状等、並びに防じんマスクを着用する必要があることについて、より具体的に記載することを義務付けるべきであった
    • 省令改正の基本方針
      1. 「安衛法第22条は労働者と同じ場所で働く労働者でない者も保護する趣旨」とした最高裁の判決を踏まえ、同条に基づく省令の規定について、以下の方針で改正する。
        • 危険有害な作業を行う事業者は、以下の措置を講じなければならないこととする。
          1. 労働者以外の者にも危険有害な作業を請け負わせる場合は、請負人(一人親方、下請業者)に対しても、労働者と同等(事業者は、一人親方等に対して指揮命令関係にないことなどから、同一の措置は困難な場合、それに代わる措置を求めることとする。)の保護措置を実施すること。
          2. 同じ作業場所にいる労働者以外の者(他の作業を行っている一人親方や他社の労働者、資材搬入業者、警備員など、契約関係は問わない)に対しても、労働者と同等の保護措置を実施すること。
      2. 安衛法第22条に基づいて規定されている計11の省令(石綿障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則など)を改正する。
    • 具体的な改正方針
      1. 安全確保のための設備設置関係の規定の改正
        • 安全確保のための設備を設置することについては、労働者が作業に従事する時点で義務づけられており、現行制度のままでも、労働者以外の者も含め効果が得られることから改正は必要ない。
        • ただし、設置した設備を作業時に稼働させる等の当該設備による作業環境の改善のための措置については、請負人のみが作業を行うとき等には、状況に応じて、取り得る方策が他にもありうることから、必要に応じ配慮規定を設ける。
      2. 作業方法、保護具使用等の作業実施上の安全確保に係る規定の改正
        • 安全確保のために省令で規定されている特定の作業方法の遵守や保護具の使用等は、作業を行うに当たって必ず実施すべき措置であるが、当該作業を請け負わせる請負人に対しては指揮命令関係がないため、これらの措置が必要なことについての周知義務を設ける。
        • また、作業に従事する者に限定された措置ではなく、特定の場所について、全ての労働者に保護具の使用等を求めている規定については、当該作業場で(他の)作業に従事する者全員を周知対象とする。
      3. 場所の使用・管理権原等に基づく安全確保(退避、立入禁止等)に係る規定の改正
        • 指揮命令関係に基づくものではなく、場所の使用・管理権原等に基づく立入禁止、特定行為の禁止、退避、入退室管理等の措置は、労働者以外の者(請負人や当該場所で(他の)作業に従事する者)も措置対象に追加することとする。この際、立入禁止及び特定行為の禁止については、事業者が当該作業場で管理・監督等を行っているとは限らないことから、表示による禁止も可能であることを明確にする。
      4. 有害物の有害性等を周知するための掲示に係る規定の改正
        • 有害物の有害性等を周知するための掲示については、「掲示」という行為により労働者以外にも周知効果は得られることから、労働者以外の者(請負人や当該場所で(他の)作業に従事する者)も措置対象に追加することとする。
        • 有害物の有害性等を周知するための掲示の規定は、石綿則、有機則、特化則にはあるが、鉛則、四アルキル鉛則、粉じん則、安衛則(ダイオキシン関係)には規定されていない。しかし、これらの物質について有害性等を周知しなくても良いとする合理的理由はないことから、これらの省令においても、同様の規定を新たに設けることとする。
      5. 労働者以外の者による遵守義務
        • 特定行為の禁止、退避、立入禁止等の措置について、労働者に遵守義務が設けられているものについて、労働者以外の者にも遵守義務(ただし罰則の対象にはならない)を設けることとする。
        • 労働者以外の者に対して事業者が行う「周知」については、周知を受けた者において採るべき措置が一義的に決まっているものではなく、何を以て遵守したと判断するか困難であることから、労働者以外の者に対する遵守義務は設けない。

    ~NEW~
    厚生労働省 第83回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年5月11日)
    ▼資料1 直近の感染状況等の分析と評価
    • 感染状況について
      • 全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.98となり、直近の1週間では10万人あたり約175人と減少が継続しているが、GWによる検査や診療への影響もあることに加え、GWにおける人の動きや2系統へ概ね置き換わった状況などもあり、今後の動きに注視が必要。
      • 年代別の新規感染者数は、20代では増加が見られる一方、その他の年代では横ばい又は減少が続いている。
      • 全国の新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数及び死亡者数は減少が継続している。
      • 実効再生産数:全国的には、直近(4/24)で0.94と1を下回る水準となっており、首都圏では0.90、関西圏では0.94となっている。
    • 地域の動向 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
      • 北海道 新規感染者数は今週先週比が0.92と1を下回り、約302(札幌市約313)。20代以下が中心。特に20代の増加が顕著。病床使用率は2割弱。
      • 北関東 茨城の新規感染者数は今週先週比が0.83と1を下回り、約121。20代以下が中心。特に20代の増加が顕著。病床使用率は1割強。栃木、群馬でも今週先週比がそれぞれ0.83、0.94と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約134、132。病床使用率について、栃木では1割強、群馬では3割弱。
      • 首都圏(1都3県) 東京の新規感染者数は今週先週比が0.88と1を下回り、約171。30代以下が中心。全ての年代で微減又は減少。病床・重症病床使用率はいずれも1割強。埼玉、千葉、神奈川でも今週先週比がそれぞれ0.85、0.78、0.82と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約132、105、127。病床使用率について、埼玉では2割強、千葉では1割強、神奈川では2割弱。
      • 中京・東海 愛知の新規感染者数は今週先週比が1.02と1を上回り、約162。20代以下が中心。20代で増加、その他の年代では微減又は減少。病床使用率は2割強。岐阜、静岡でも今週先週比がそれぞれ1.09、1.15と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約163、126。三重では今週先週比が0.98と1を下回り、新規感染者数は約136。病床使用率について、岐阜では2割弱、静岡、三重では1割強。
      • 関西圏 大阪の新規感染者数は今週先週比が1.03と1を上回り、約198。20代以下が中心。20代で増加、その他の年代では微減又は減少。病床使用率は2割弱。奈良、和歌山でも今週先週比がそれぞれ1.09、1.06と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約128、158。滋賀、京都、兵庫では今週先週比がそれぞれ0.99、0.97、0.98と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約146、188、158。病床使用率について、滋賀、兵庫では約2割、京都では2割弱、奈良では1割強、和歌山では2割強。
      • 九州 福岡の新規感染者数は今週先週比が0.96と1を下回り、約251。20代以下が中心。20代で増加、60代で微増だがその他の年代では微減又は減少。病床使用率は約2割。長崎、熊本、大分でも今週先週比がそれぞれ0.90、0.99、0.98と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約213、191、212。佐賀では今週先週比が1.0となり、新規感染者数は約263。宮崎、鹿児島では今週先週比がそれぞれ1.05、1.01と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約250、281。病床使用率について、佐賀、長崎、鹿児島では2割強、熊本、大分では約2割、宮崎では2割弱。重症病床使用率について、宮崎では約2割。
      • 沖縄 新規感染者数は今週先週比が1.19と1を上回り、約797と全国で最も高い。20代以下が中心。全ての年代で増加し、特に10-20代の増加が顕著。病床使用率は4割強。重症病床使用率は2割強。
      • 上記以外 青森、岩手、秋田、福島、石川、長野、広島、香川、高知の新規感染者数はそれぞれ約174、146、175、166、228、121、232、224、209。病床使用率について、青森、香川、高知では約2割、岩手、秋田、福島、石川、長野、広島では2割強。
    • 今後の見通しと必要な対策
      1. 感染状況について
        • GW中は診療や検査数が少なくなっているため、現時点において感染状況を正確に評価することは難しいという点に留意が必要。
        • 新規感染者数について、全国的に見れば、首都圏を中心に大都市圏では減少が続いている。一方、それ以外の地域では増加と減少を繰り返している。また、沖縄県では横ばいの時期を挟みながら増加が継続しており、感染状況の推移に差が生じている。次に、地域別に見ると、直近1週間の移動平均について、首都圏などでは昨年夏のピーク時を下回る状況にある一方、沖縄県や鹿児島県などでは直近1週間の移動平均が昨年末からのピークを上回っている。
        • なお、1週間の移動平均ではないことに留意が必要となるが、直近3日間(日曜日~火曜日)の全国の感染状況について、連休前である2週間前の同曜日とそれぞれ比較すると、増加傾向が見られる。また、連休中の移動先での接触機会や夜間滞留人口の増加による感染機会の増加の影響で、翌週以降の報告数が上積みされることも想定する必要がある。
        • 年代別の新規感染者数では、20代では増加が見られる一方、その他の年代では横ばい又は減少が続いている。首都圏では全ての年代で横ばい又は減少している一方、沖縄県や宮崎県など複数の地方都市では20代の増加が見られる。また、沖縄県では全ての年代で新規感染者数が増加しており、特に10代の増加が顕著であるとともに、高齢者の増加も続いている。
        • 新規感染者の感染場所について、20代では飲食の割合が約6%と増加傾向にあり(全年齢では約2%)、この年代の増加が今後の感染拡大につながるか注視するとともに、高齢者の感染状況と医療への影響を注視していく必要がある。
        • 今後の感染状況については、GWで人の動きが活発であったことや、2系統へ概ね置き換わった状況などの感染の増加要因と、ワクチンの3回目接種等による抑制要因に影響されるものと考えられ、引き続き、今後の動向を注視する必要。
      2. 感染の増加要因と抑制要因について
        • 感染状況には、以下のような感染の増加要因と抑制要因の変化が影響するが、今後しばらくは感染状況を注視する必要がある。
          1. 接触パターンについて
            • 夜間滞留人口は、大都市圏を中心に減少する地域がある一方、一部の地方都市では昨年末のピーク時を超えて急増する地域もあった。また、GWで人の動きの活発化と接触の増加による今後の感染状況への影響に注意が必要。
          2. 流行株について
            • 2系統へ概ね置き換わっており、新規感染者の増加や減少スピードが遅れる一要因となりうる。海外でもBA.2系統への置き換わりが進み、感染の拡大に伴って死亡者も増加した国もあり(例:英国)、十分な注意が必要。
          3. ワクチン接種等について
            • 3回目接種の主な目的は発症予防・重症化予防である。3回目接種は高齢者で進むとともに、若年層でも接種が進んでいるが、これから若年層がさらに接種対象になることで一層接種率が向上することが期待される。オミクロン株に対する感染予防効果はデルタ株に比較しても低く、しかも持続期間が短いことに留意が必要。3回目接種の感染予防効果も時間経過に伴い今後減弱していくことが予想。また、これまでの感染による免疫保持については、地域の発生動向に影響する可能性もある。
          4. 気候要因について
            • 気温が上昇していく時期に入り、換気を行いやすい気候条件になる。しかし、気温の上昇や降雨によって屋内での活動が増える場合もある。
      3. 医療提供体制について
        • 沖縄県では、GW中も入院者数や病床・重症病床使用率が増加している。一方、その他の地域では、一部を除いて病床使用率や自宅療養者・療養等調整中の数が減少している。
        • 救急搬送困難事案については、全国合計では昨年夏のピークを下回ったが、下げ止まりから微増傾向となった。非コロナ疑い事案が微増している。感染者数の増加に伴い増加している地域もあり、地域差が見られる。
      4. オミクロン株による感染拡大を踏まえた取組
        1. サーベイランス等
          • 発生動向把握のため、実効性ある適切なサーベイランスの検討が必要。また、変異株について、ゲノムサーベイランスで動向の監視を継続することが必要。さらに、重症例やクラスター事例等では、変異株PCR検査や全ゲノム解析による確認が求められる。
        2. 自治体における取組
          • 自治体では、オミクロン株の特徴を踏まえた対応強化を図るべく、診療・検査体制や保健所体制の点検も必要である。
          • 地域の感染状況に基づき、必要病床数と医療従事者の確保や自宅療養者に対する訪問診療やオンライン診療体制の構築に引き続き取り組むことが必要。高齢者や基礎疾患のある者など、重症化リスクのある患者を対象とする経口治療薬や中和抗体薬を迅速に投与できる体制の確保も引き続き求められる。また、新型コロナウイルス感染症に罹患しても、基礎疾患の治療が継続できるような体制を整えることが必要。
          • 高齢者施設等における迅速な医療支援体制の強化・徹底が求められる。医療支援体制の構築にあたっては、医療関係部局と介護関係部局が連携し、地域の関係者とも協議しつつ進めていくことが重要。
          • 健康観察等の重点化や患者発生届の処理の効率化など事務連絡に基づき、効率的に保健所業務を実施するとともに、地域に必要な保健所機能を維持するため、外部委託や本庁での一元化による体制を確保する。また、濃厚接触者の特定や待機については、地域の感染状況に応じて、適切な感染対策を行うことを原則としつつ、オミクロン株の特徴や感染拡大の状況を踏まえ、医療機関や高齢者施設などにおける感染事例に重点化することが必要。あわせて、少しでも体調が悪い場合には職場・学校を休める環境を確保することも重要。
          • 今年1月以降の自宅での死亡事例においては、同時期の死亡者全体の傾向と同様、70歳以上の者が約8割を占め、新型コロナ以外の要因により死亡する事例も多いことが示唆される。また、こうした死亡事例におけるワクチン接種率は、日本国内の接種の進展により、2回目接種が完了していた者も一定数確認された。自治体においては、重症化リスクの高い感染者への連絡の迅速化等の取組が進められており、引き続き、自宅療養者に必要な医療が提供されるよう努めることが重要。
        3. ワクチン未接種者、3回目接種者への情報提供の再強化等
          • 3回目接種率について、5月10日公表時点で65歳以上高齢者では88%、全体では約55%となった。高齢者の接種が進展したことにより重症化や死亡のリスク低減が期待される。重症者・死亡者を最小限にするため、また同時に、できるだけ発症者を減らすためにも、対象者への3回目の接種を今後も着実に実施し、希望する方にはできるだけ多く接種していただくことが求められている。4回目接種については、重症化予防を目的として、60歳以上の者と、重症化リスクの高い基礎疾患を有する者、その他重症化リスクが高いと医師が認める方を対象として特例臨時接種として5月下旬から実施することとなったことを踏まえ、適切に接種の案内を実施することが必要。
          • 自治体では、ワクチン接種に関する情報提供を進めることが重要。未接種者へのワクチン接種とともに、初回接種から6か月以降の3回目接種によりオミクロン株に対してもワクチンの有効性が回復するため、3回目接種を着実に実施していくことも必要。また、ワクチン接種者においては症状が遷延するリスクが低いとの報告がある。
          • 5歳から11歳までの子どもへのワクチン接種については、特例臨時接種として実施されているが、その際、努力義務の規定はこれらの小児について適用しないことを踏まえ、接種を進めていくことが必要。また、小児への感染予防を期待して、保護者や周囲の大人がワクチンを接種することも重要。
        4. 水際対策
          • 海外及び国内の現在の流行状況なども踏まえて水際対策の段階的な見直しを検証していく必要がある。特に、直近の東アジア地域における流行状況には注視が必要。また、入国時検査での陽性者は、海外における流行株監視のため、全ゲノム解析を継続させることが必要。
      5. オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底
        • 感染が広がっている場面・場所において、オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底が求められる。
          • 学校・幼稚園・保育所等においては、児童・生徒の感染リスクが高まる場面を職員や子ども・保護者等と共有しつつ、子どもの感染対策の徹底はもとより、教職員や保育士などに対する積極的なワクチンの接種促進も含め感染対策の再確認と徹底を図った上で、できるだけ教育活動などの継続に取り組むことが必要。子どもや職員が少しでも体調が悪い場合は、休暇を取得できる環境を確保することが重要。また、分散登校やリモート授業などの組み合わせによる教育機会の確保や社会機能維持にも配慮する必要がある。あわせて、家庭内での感染対策の徹底も求められる。
          • 高齢者の感染を抑制するため、介護福祉施設における対策の徹底が必要。このため、入所者及び従事者に対するワクチンの3回目接種を進めるとともに、従業者等へは積極的な検査を実施することも必要。また、施設等における感染管理や医療に関して外部からの支援体制を確保し、施設で感染が確認された際には早期に迅速な介入が重要。
          • 職場においては、社会機能維持のため、業務継続計画の活用に加え、企業におけるテレワークの活用や休暇取得の促進等により、出勤者数の削減に取り組むとともに、接触機会を低減することが求められる。また、従業員の体調管理を徹底し、少しでも体調が悪い場合には休暇を取得できる環境を確保することが必要であることに加え、職域におけるワクチンの3回目接種を積極的に進めるべきである。
      6. 現在の感染状況を市民や事業者の皆様と広く共有して、感染拡大防止に協力していただくことが不可欠
        • 現在の新規感染者数は全国的には減少傾向にあるが、未だに昨年夏のピークよりも高い状況が続いている。したがって、基本的な感染対策と日頃の体調管理を徹底して呼びかけた上で、できるだけ新規感染者数の継続的な増加が起こらないよう、引き続き、市民や事業者の方々には感染リスクの低減に向けた取組にご協力いただくことが必要。
          1. ワクチン接種について
            • ワクチンの3回目接種は、その種類に関わらず、時期が来れば、早めに受けていただくことが重要。新型コロナウイルス感染症に罹患すると、若年者でも重症化することがあり、また、遷延症状が見られる場合もあることから、重症化リスクの高い高齢者はもとより、若年者も自らの健康を守るために接種していただくことが求められる。
          2. 感染対策の徹底
            • 行政・事業者・市民の皆様には、オミクロン株においても基本的な感染防止策は有効であることから、不織布マスクの正しい着用、手指衛生、換気などの徹底を継続していただくことが必要。また、三つの密(密集、密閉、密接)が重なるところは最も感染リスクが高いが、オミクロン株は伝播性が高いため、一つの密であってもできるだけ避けることが必要。
          3. 外出等に際して
            • 混雑した場所や換気が悪く大人数・大声を出すような感染リスクの高い場面・場所を避けることが必要。行動はいつも会う人と少人数で。飲食は、できるだけ少人数で黙食を基本とし、飲食時以外はマスク着用の徹底が必要。
          4. 体調管理について
            • ご自身やご家族の命を守るため、同時にオミクロン株による感染拡大防止のためにも、軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、自治体等の方針に従って受診や検査をすることが必要。特に、高齢者をはじめ、重症化リスクの高い方と会う機会がある場合には注意が必要。
    • 参考:オミクロン株の特徴に関する知見
      1. 感染性・伝播性
        • オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。
      2. 感染の場・感染経路
        • 国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路もこれまでと同様、飛沫が粘膜に付着することやエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。
      3. 重症度
        • オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低いことが示されているが、現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられる。また、肺炎の発症率についても限られたデータではあるが季節性インフルエンザよりも高いことが示唆されているが、今後もさまざまな分析による検討が必要。今回の感染拡大における死亡者は、昨年夏の感染拡大と比べ、80歳以上の占める割合が高くなっている。感染前の状況として、医療機関に入院中の方や高齢者施設に入所中の方が多いことが示された。侵襲性の高い治療を希望されない場合や基礎疾患の悪化等の影響で重症の定義を満たさずに死亡する方など、新型コロナウイルス感染症が直接の死因でない事例も少なくないことが報告されており、基礎疾患を有する陽性者でコロナ感染による肺炎が見られなくても感染により基礎疾患が増悪することや、高齢の感染者が心不全や誤嚥性肺炎等を発症することにより、入院を要する感染者の増加に繋がることにも注意が必要。
      4. ウイルスの排出期間
        • オミクロン株感染症例におけるウイルスの排出は、時間の経過とともに減少する。有症状者では、発症日から10日目以降において、排出する可能性が低くなることが示された。なお、無症状者では、診断日から8日目以降において排出していないことが示された。
      5. ワクチン効果
        • 初回免疫によるオミクロン株感染に対する発症予防効果は著しく低下する。入院予防効果については、半年間は一定程度保たれているものの、その後50%以下に低下することが報告されている。一方で、3回目接種によりオミクロン株感染に対する感染予防効果、発症予防効果や入院予防効果が回復することや、3回目接種後のワクチン効果の減衰についても海外から報告されている。
      6. 2系統
        • 海外では2系統への置き換わりがある中で、感染者数の増加が見られたが、現在は世界的に減少傾向となっている。国内におけるオミクロン株は、当初BA.1とBA.1.1の海外からの流入がともにあったものの、その後BA.1.1が多数を占めた。現在は、BA.2系統への置き換わりが進んでいる。このため、今後、感染者数の増加(減少)速度に影響を与える可能性がある。なお、BA.2系統はBA.1系統との比較において、実効再生産数及び二次感染リスク等の分析から、感染性がより高いことが示されている。BA.2系統の世代時間は、BA.1系統と比べ15%短く、実効再生産数は26%高いことが示された。BA.1系統とBA.2系統との重症度の比較については、動物実験でBA.2系統の方が病原性が高い可能性を示唆するデータもあるが、実際の入院リスク及び重症化リスクに関する差は見られないとも報告されている。また、英国の報告では、ワクチンの予防効果にも差がないことが示されている。英国の報告では、BA.1系統ウイルス感染後におけるBA.2系統ウイルスに再感染した事例は少数あり、主にワクチン未接種者であると報告されている。
      7. XE、4、BA.5及びBA.2.12.1系統
        • オミクロン株のXE系統は、オミクロン株の1系統とBA.2系統の組換え体であり、XE系統について、検疫においてこれまでに採取された検体から2件確認されている。WHOレポートによれば、BA.2系統に比べて市中での感染者の増加する速度が10%程度高いと報告されている。また、一部の国や地域ではBA.4系統、BA.5系統及びBA.2.12.1系統の検出割合が増加し、BA.2系統からの置き換わりが進んでおり、感染者の増加の優位性が示唆されている。国立感染症研究所によれば、感染力や重症度等に大きな差が見られるとの報告は現時点ではないものの、ウイルスの特性について、引き続き、諸外国の状況や知見を収集・分析するとともに、ゲノムサーベイランスによる監視を続けていくことが必要としている。

    ~NEW~
    経済産業省 ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置を実施します(輸出貿易管理令の一部を改正)
    ▼政令条文・理由
    • 【2022年5月13日報道発表資料一部追加】ロシアへの先端的な物品等の輸出禁止等措置について規制対象となる貨物等の詳細を追加しました。
    • ウクライナをめぐる現下の国際情勢に鑑み、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、今般、主要国が講ずることとした措置の内容等を踏まえ、ロシアへの輸出禁止措置を実施するために令和4年5月13日(金曜日)に閣議決定された輸出貿易管理令の一部を改正する政令を公布・施行します。
      1. 概要
        • ウクライナを巡る国際情勢に鑑み、この問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、令和4年5月10日に、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。以下、外為法という。)によるロシアを仕向地とする先端的な物品等(量子コンピュータ、3Dプリンター等)の輸出等の禁止措置を導入することが閣議了解されました。これらを踏まえ、本日、輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号)の一部を改正する政令が閣議決定され、当該措置を5月20日より実施します。
        • これに併せ、本日付で関連する省令等を改正することにより、規制対象となる具体的な貨物等を定め運用面の整備を行います。また、外国為替令第18条第3項の規定に基づく経済産業省告示の改正により、上記輸出禁止措置に係る役務取引についても規制対象とします。(輸出貿易管理令の一部改正と同日付施行・適用)。
      2. 改正された政令の概要
        • 対象となる品目
          • 石油精製用の触媒
          • 量子計算機その他の量子の特性を利用した装置及びその附属装置並びにこれらの部分品
          • 電子顕微鏡、原子間力顕微鏡その他の顕微鏡及びこれらの顕微鏡とともに使用するように設計した装置
          • 造形用の装置(3Dプリンター)並びにこれに用いられる粉末状の金属及び金属合金
          • 有機発光ダイオード、有機電界効果トランジスター及び有機太陽電池の製造用の装置
          • 微小な電気機械システムの製造用の装置
          • 水素(太陽光、風力その他の再生可能エネルギーを利用して製造するものに限る。)を原料とする燃料及び変換効率の高い太陽電池の製造用の装置
          • 真空ポンプ及び真空計(量子技術関連)
          • 極低温用に設計した冷却装置及びその附属装置並びにこれらの部分品(量子技術関連)
          • 集積回路から蓋及び封止材料を除去するための装置
          • 量子収率の高い光検出器(量子技術関連)
          • 工作機械及びその部分品並びに工作機械用の数値制御装置
          • 電磁波による探知を困難にする機能を向上させる材料(メタマテリアル)、ほぼ等しい割合の複数の元素で構成された合金(高エントロピー合金)その他の先端的な材料(一部は量子技術関連)
          • 導電性高分子、半導電性高分子及び電界発光の性質を有する高分子
      3. 今後の予定
        • 令和4年5月13日(金曜日) 公布
        • 令和4年5月20日(金曜日) 施行

    ~NEW~
    経済産業省 オープンソースソフトウェアの利活用及びそのセキュリティ確保に向けた管理手法に関する事例集を拡充しました
    • 経済産業省では、オープンソースソフトウェア(OSS)を利活用するに当たって留意すべきポイントを整理し、そのポイントごとに参考となる取組を実施している企業の事例等を取りまとめた「OSSの利活用及びそのセキュリティ確保に向けた管理手法に関する事例集」を拡充しましたので、公開します。
    • 背景・趣旨
      • 経済産業省では、令和元年9月5日に産業サイバーセキュリティ研究会ワーキンググループ1(WG1)分野横断サブワーキンググループの下に、サイバー・フィジカル・セキュリティ確保に向けたソフトウェア管理手法等検討タスクフォース(ソフトウェアタスクフォース)を設置し、適切なソフトウェアの管理手法、脆弱性対応やライセンス対応等について検討を行ってきました。
      • ソフトウェアタスクフォースでは、多くの企業がOSSを含むソフトウェアの管理手法、脆弱性対応等に課題を抱えている現状に対し、産業界での知見の共有が有効であるとの認識に至りました。そこで、OSSの管理手法等に関して参考になる取組を実施している企業へのヒアリング等の結果を取りまとめ、令和3年4月21日に、OSS利活用するに当たって留意すべきポイントを整理し、そのポイントごとに各種事例を取りまとめた「OSSの利活用及びそのセキュリティ確保に向けた管理手法に関する事例集」を公開しました。
      • 引き続き、令和3年度においても、OSS利活用に関するヒアリング等を実施し、その結果等を取りまとめ、「OSSの利活用及びそのセキュリティ確保に向けた管理手法に関する事例集」を拡充しました。本事例集を参考に、OSSの留意点を考慮しながら適切なOSS利活用が進み、産業界においてOSSのメリットを享受することで競争力向上につながることを期待しています。
    • 関連資料

    ~NEW~
    経済産業省 「人材版伊藤レポート2.0」を取りまとめました
    ▼1. 人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書(人材版伊藤レポート2.0)
    • 人材版伊藤レポート2.0の策定に寄せて
      • 2020年9月に経済産業省の「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」の成果として「人材版伊藤レポート」を公表した。お蔭様で同レポートは、想定を超えて多くの経営者や人事担当者等の皆さんの目に止まった。私の知っている少なからぬ経営者から、「読みました。レポートを人事部門に回して、よく読むように言っておきました」という趣旨の反応を異口同音に寄せていただいた。
      • 印象的だったのは、2022年1月に開かれたある政府の会議で、参加メンバーの一人が、同レポートに触れて、次のように発言したことだった。「企業経営者や人事部門の方たちと会っていると、人材版伊藤レポートの話がよく出てくる。その影響力はすさまじく、“破壊力”といってもいいくらいのインパクトを与えている。」
      • 同レポートが「破壊力」を持っているかどうかは別として、多くの関係者の皆さんにインパクトを与えたのであれば、嬉しい限りである。そういえば公表後、レポートが強調した「人的資本」「人的資本経営」とう言葉が頻繁に使われるようになったとの印象を持っているのは私だけではないだろう。
      • 「企業は人なり」「人材は石垣」、わが国には人を大事にする言葉やことわざが色々ある。とはいえ、人材の一人ひとりと向き合い、その価値を見出し伸ばす経営を実践してきたかが、いま真に問われている。日本企業は総じて社員を本当に大事にしてきただろうか。「人に優しい」との評判は「都市伝説」だったのか。確かに不条理に社員を辞めさせることはなかったが、、、。
      • 日本企業は社員を大事にし、長期雇用するスタイルが競争力の源泉だとして世界から注目された時代も現にあった。それは、かつて「日本的経営」として称賛された。しかし、時代が変わり、経営環境が変わり、人々の価値観も変わる中で、日本企業の是とされた人材施策は様々なほころびを露呈した。
      • こうした問題意識から、2019年に上記の研究会が組成され、それが「人材版伊藤レポート」へとつながった。座長を任された私は、従来のパラダイムを引きずった議論は生産的ではないし、エキサイティングでもないと判断し、新たな視点を持ち込むことにした。
      • 第1は、コーポレート・ガバナンス改革の文脈で捉えること。日本は2010年代に入りガバナンス改革を進めてきた。人事・人材戦略もそうした大きな枠組みの中で議論する必要があった。
      • 第2は、持続的な企業価値創造という文脈で議論すること。今や企業価値の決定因子は有形資産から無形資産に移行した。その無形資産の中核が紛れもなく人材である。したがって、人材の価値を高めれば,無形資産の価値が高まり、それが企業価値を持続的に押し上げることになる。
      • 第3は、人事・人材変革を起こすのに、資本市場の力を借りようと試みた。なぜなら先進的な投資家は近年、人事・人材戦略に強い関心を寄せている。その証拠に人事部門の責任者(CHRO)と直接対話を始めている機関投資家も少なくない。今まで見られなかった光景である。こうした観点から、代表的な投資家の方たちに研究会のメンバーになっていただいた。
      • 叱責されるのを覚悟であえて言えば、これまでの人事・人材をめぐる議論は人事部門の世界に終始し過ぎてきたのではなかったか。「管理思考」の議論の域をどれだけ出ていただろうか。経営変革、人材変革、企業文化変革というもっと広い文脈で議論してきただろうか。
      • 人材は「管理」の対象ではなく、その価値が伸び縮みする「資本」なのである。
      • 企業側が適切な機会や環境を提供すれば人材価値は上昇し、放置すれば価値が縮減してしまう。人材の潜在力を見出し、活かし、育成することが、今まさに求められている。
      • こうした視点を内包した人材版伊藤レポートでは、「3P・5Fモデル」を提唱し、3つの視点と5つの共通要素を提示した。なかでも「経営戦略と人材戦略が同期しているか」という視点を強調した。一見当たり前のように実践されていると思っていたことが、実はそうではなかった。不都合な現実が次々と浮かび上がってきた。多くの人事部門の方たち、CHROが自己反省と悶絶を始めた。
      • 自社の企業文化が果たして組織や個人の行動変容を促すようなものになっているか。「メンバー」である社員の間の「一体感」を楽観し、企業文化の変革を断行してきただろうか。
      • 中長期的な経営戦略と現有人材との間のギャップを可視化してきただろうか。
      • 感覚的には分かっていても、可視化しなければ確かなる手は打てない。そうしたギャップを埋めるために、「リスキル」を推奨した。従来、戦略的なリスキルの場や機会を企業は社員に本気で提供してきただろうか。
      • レポートは2021年6月に公表された「コーポレートガバナンス・コード」の改訂に反映された。同改訂で、「人的資本への投資と開示」が強調されるに至ったのである。
      • 人材版伊藤レポートはパラダイム変化を迫るための問題提起をした。しかし、問題を受け止めただけでは、人材価値は高まらないし、企業価値も高まらない。
      • 多くのセミナーで参加者から、具体策について質問を多く受けた。「具体策は自分たちでどうぞ考え抜いてください」と言い放つのはもちろん可能であるが、皆さんの人事改革に何とか着手したいという問題意識と真摯さに突き動かされるように、私たちは再び2021年7月に「人的資本経営の実現に向けた検討会」を立ち上げ、より議論を深め、皆さんを実践的にガイドするようなアイディアや施策や視点を提示することにした。それとともに、先進的な取り組みをしている企業の事例集も盛り込もうということになった。それが「人材版伊藤レポート2.0」として結実した。
      • 9回にわたる検討会は毎回、2時間があっという間に過ぎるほどエキサイティングで内容が濃かった。委員の皆さんの多様性と専門性の高さと経験の深さが、議論の醍醐味を生み出した。検討会の多様性は、ある意味で企業組織にも通ずる象徴的なものとなった。やはり新機軸は多様性と専門性の掛け算によって生まれる。それを体感した検討会だった。
      • 人的資本の価値の最大化には、従来の雇用慣行やパラダイムから脱却することが求められる。個人も主体的に、そして自律的に変わり、会社も社員一人ひとりと丁寧に向き合い、多様性を大事にし、更に高めるための支援や施策を推し進めていただきたい。そうしてこそ個人と組織が互いに選び選ばれる関係が構築できる。
      • 本レポートが日本における本格的な人的資本投資と経営変革の触媒になってほしいと願うばかりである。
    • 今回のレポートの狙い
      • 人的資本情報の開示に向けた国内外の環境整備の動きが進む中で、人的資本経営を本当の意味で実現させていくには、「経営戦略と連動した人材戦略をどう実践するか」と、「情報をどう可視化し、投資家に伝えていくか」の両輪での取組が重要となる。
      • 後者の「情報をどう可視化し、投資家に伝えていくか」という点については、内閣官房の「非財務情報可視化研究会」、経済産業省の「非財務情報の開示指針研究会」、金融庁の金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」等において、開示に当たっての考え方や開示の枠組みが議論されているところであり、これらを参考としながら、各企業において取組が進められることを期待したい。
      • 一方、前者の「経営戦略と連動した人材戦略をどう実践するか」という点については、先述のように、「人材版伊藤レポート」が、変革の方向性や、3つの視点と5つの共通要素からなる考え方を提示した。
      • 本報告書は、「人材版伊藤レポート」が示した内容を更に深掘り・高度化し、特に「3つの視点・5つの共通要素」という枠組みに基づいて、それぞれの視点や共通要素を人的資本経営で具体化させようとする際に、実行に移すべき取組、及びその取組を進める上でのポイントや有効となる工夫を示すものである。
      • ただし、各企業が、この報告書の中で挙げる全ての項目にチェックリスト的に取り組むことを求めるものではない。企業によって、その事業内容や置かれた環境は様々であり、外形的に当てはめて行動することは、必ずしも意味をなさない。ここで挙げた内容以外の取組が有効な打ち手となることも考えられ、各企業が主体的に、人的資本経営をどのように実践すべきか考えていくことが求められる。
      • この報告書の中で「何が最も重要なのか」と問われれば、それは、とりもなおさず3つの視点の1つ目である「経営戦略と人材戦略を連動させるための取組」である。「一度に多くのことはできない」、「何から手を着けたら良いか分からない」といった企業には、本報告書の「1.」に掲げる取組に着手することが第一歩となる。
      • 特に、「経営戦略と人材戦略を連動させるための取組」の中でも、「CHROの設置」及び「全社的経営課題の抽出」が、最も重要なステップとなる。経営トップと人材戦略の責任者を中心に、対話を深め、課題を抽出することが両戦略の連動につながる。
      • いずれにせよ、人材に関する取組は、息の長いものとなる。その意味でも、最初から「100点」の結果を生むことはない。各企業の経営理念の下、経営戦略の実現に向けた課題を特定し、優先順位を付け、その効果を見極めて改善を重ねていく絶え間ないサイクルが求められる。これにより具現化した、人的資本経営の実践の内容こそが、投資家に伝えていくべき本質的なメッセージである。
      • 本報告書は、「人的資本が重要」という認識を超えて、人的資本経営という変革を、どう具体化し、実践に移していくかを主眼としている。経営陣がこの変革を主導するに際し、各企業において重要となる課題を特定し腰を据えて取り組むに当たって、参考となるアイディアの引き出しとして提示するものである。
      • こうした変革を通じて、日本社会で働く個人の能力が十二分に発揮されるようになることも、本報告書は期待している。それはとりもなおさず、今でも社会の一部に根強く残る、画一的な雇用システムから個人が解放され、社会全体として、個人のキャリアがますます多様化することでもある。そうした社会では、リスキルや学び直しの価値が社会全体としても評価されていくだろう。日本社会がより一層、キャリアや人生設計の複線化が当たり前で、多様な人材がそれぞれの持ち場で活躍でき、失敗してもまたやり直せる社会へと転換していく。それにより、結果として、企業の付加価値につながる変革やイノベーションが起こっていく。本報告書は、そうしたきっかけになることも期待している
    • エグゼクティブサマリー
      • 本報告書は、「人的資本」の重要性を認識するとともに、人的資本経営という変革を、どう具体化し、実践に移していくかを主眼とし、それに有用となるアイディアを提示するものである。
      • 本報告書の全ての項目にチェックリスト的に取り組むことを求めるものではない。事業内容や置かれた環境によって、有効な打ち手は異なる。
      • 最も重要な視点は、「経営戦略と人材戦略の連動」であり、まずは、「1.」に掲げる取組に着手することが第一歩となる。
      • 人材に関する取組は息が長い。課題を特定し、優先順位を付け、改善を重ねていく絶え間ないサイクルが求められる。
      • 本報告書をアイディアの引き出しとし、経営陣が人的資本経営へと向かう変革を主導していくことが期待される。
    1. 経営戦略と人材戦略を連動させるための取組
      • 経営環境が急速に変化する中で、持続的に企業価値を向上させるためには、経営戦略と表裏一体で、その実現を支える人材戦略を策定し、実行することが不可欠である。
      • このような自社に適した人材戦略の検討に当たっては、経営陣が主導し、経営戦略とのつながりを意識しながら、重要な人材面の課題について、具体的なアクションやKPIを考えることが求められる。
        1. CHROの設置
          • CHROとは、経営陣の一員として人材戦略の策定と実行を担う責任者であり、社員・投資家を含むステークホルダーとの対話を主導する人材を指す。
          • CHROは、人材戦略を自ら起案し、CEO・CFO等の経営陣、取締役と定期的に議論する。CHROが実効的な人材戦略を策定する上では、本社での戦略スタッフの経験とともに、事業側で成果責任を担った経験が有効となる。
        2. 全社的経営課題の抽出
          • CEO・CHROは、「価値協創ガイダンス」等の統合的なフレームワークも活用しながら、経営戦略実現の障害となる人材面の課題を整理し、経営陣や取締役と議論する。その際、特に自社固有の優先課題と対応方針を示すとともに、改善の進捗状況も共有する。
        3. KPIの設定、背景・理由の説明
          • CEO・CHROは、入念に考え抜いてKPIを設定するとともに、経営環境の変化を踏まえて見直す。
          • その際には、当該KPIを設定又は見直しをした背景及び理由を達成状況と併せて社内外に説明する。
        4. 人事と事業の両部門の役割分担の検証、人事部門のケイパビリティ向上
          • CEO・CHROは、企業価値全体及び事業ごとの価値のそれぞれの向上を両立させるため、人事と事業の両部門の役割分担の在り方を検証し、取締役会に報告すべきである。
          • その際の考え方として、企業価値全体の最大化を目的とするような、経営人材の育成や企業文化の浸透等の全社レベルで行う人事施策については、人事部門が行うべきものである。これに対し、事業単位の価値の最大化を目的とするような、外部からの採用や部門内の再配置は、事業部門が責任を負うものであり、人事部門はこれを支援する。
          • 人事部門による支援を有効なものとするため、事業部門経験を持つ人事部門の社員の育成に平時から努める。
        5. サクセッションプランの具体的プログラム化
          1. 20・30代からの経営人材選抜、グローバル水準のリーダーシップ開発
            • CEO・CHROは、経営者としての潜在能力が高い20・30代の社員を早期に選抜し、当該社員が経営者・リーダーとして厳しいミッションに挑戦する機会を準備できるよう、取締役会・指名委員会と連携する。
          2. 候補者リストには経営者の経験を持つ者を含める
            • CEO・CHROは、将来の経営環境の変化を見据え、経営陣の経営能力向上を目指し、自社以外のグループ内外の企業で経営者としての経験を持つ人材をサクセッションの候補者に含める。なお、経営者としての経験には、事業や拠点に関する財務・人事等の経営責任を全て担う経験を含む。
        6. 指名委員会委員長への社外取締役の登用
          • CEO・CHROは、将来の自社の経営を担う資質を持った人材が後継者として選ばれているか、社外取締役が適切に検証できるよう、十分な責任感を持った社外取締役を指名委員会委員長に登用することを検討し、取締役会・指名委員会と連携する。
        7. 役員報酬への人材に関するKPIの反映
          • CEO・CHROは、人的資本経営の推進を経営陣の最重要ミッションの一つと認識し、経営陣に対する報酬の支給額の一部が、人材に関するKPIに連動する制度の導入を検討した上で、取締役会・報酬委員会と連携する。
    2. 「As is – To be ギャップ」の定量把握のための取組
      • 経営戦略実現の障害となる人材面の課題を特定した上で、課題ごとにKPIを用いて、目指すべき姿(To be)の設定と現在の姿(As is)とのギャップの把握を定量的に行うことは、人材戦略が経営戦略と連動しているかを判断し、人材戦略を不断に見直していくために重要である。
        1. 人事情報基盤の整備
          • CEO・CHROは、人材関連の改善KPIについての情報や、社員のスキル・経験等の特性を示す情報を常に整備し、人材戦略の実現に関するタイムリーな意思決定を支える。
          • その際、CHROは、人事部門がデータを効率的に収集・分析できるよう、人事部門の社員の育成を図る。
        2. 動的な人材ポートフォリオ計画を踏まえた目標や達成までの期間の設定
          • CEO・CHROは、各KPIで目標とする状態や、達成までの期間を定め、現状とあるべき状態のギャップを適時把握し、経営陣・取締役と定期的に議論することで、迅速に対策を講じる。
        3. 定量把握する項目の一覧化
          • CEO・CHROは、全社的経営課題の改善に向けたKPIをはじめ、人材に関するKPIを明確に定めて経営陣・取締役と議論すべく、まずは重要なものに絞り、その目標と進捗状況を常に一覧化しておく。
    3. 企業文化への定着のための取組
      • 持続的な企業価値の向上につながる企業文化は、所与のものではなく、人材戦略の実行を通じて醸成されるものである。そのため、人材戦略を策定する段階から、目指す企業文化を見据えることが重要である。
        1. 企業理念、企業の存在意義、企業文化の定義
          • CEO・CHROは、自社が社会・環境にどのようなインパクトをもたらすべきか、という観点から、企業理念や企業の存在意義を再考する。また、自社事業の成功につながる社員の行動や姿勢を企業文化として定義し、浸透を図ることで、企業の競争力向上に貢献する。
        2. 社員の具体的な行動や姿勢への紐付け
          • CEO・CHROは、企業として重視する行動や姿勢が社員に浸透するよう、社員の任用・昇格・報酬・表彰等の仕組みを検討する。その際には、現場の管理職・マネージャーがコミュニケーションスキルを養い、各社員の仕事上の動機や意向に耳を傾け、自発的な行動を促す。
        3. CEO・CHROと社員の対話の場の設定
          • 経営陣・社員それぞれが企業文化をどのように体現し、定着させるべきかを考える契機として、CEO・CHROが、維持すべき文化や見直すべき文化等について、社員と直接対話する。
    4. 動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用
      • 経営戦略の実現には、必要な人材の質と量を充足させ、中長期的に維持することが必要となる。
      • このためには、現時点の人材やスキルを前提とするのではなく、経営戦略の実現という将来的な目標からバックキャストする形で、必要となる人材の要件を定義し、人材の採用・配置・育成を戦略的に進める必要がある。
        1. 将来の事業構想を踏まえた中期的な人材ポートフォリオのギャップ分析
          • CEO・CHROは、中期的な経営戦略の実現に向け、各事業が中期的に必要とする人材の質と量を整理し、現状とのギャップを明確にした上で、人事施策を立案する。
        2. ギャップを踏まえた、平時からの人材の再配置、外部からの獲得
          • CEO・CHROは、人材ポートフォリオのギャップに基づき、可能な限り早期に、社員の再配置や外部人材の獲得を検討し、実行する。また、社員が社外で有効な経験を積んで自社に戻ることを奨励し、アルムナイネットワークの活用等を検討する。
        3. 学生の採用・選考戦略の開示
          • CEO・CHROは、新卒一括採用に限定しない学生採用方針を策定し、学生に開示することで、国内外の留学やギャップイヤーでの自己研鑽等を経た学生の入社を容易にする等、中期的な人材ポートフォリオの充実につながる採用・選考戦略を策定・開示する。
        4. 博士人材等の専門人材の積極的な採用
          • CEO・CHROは、イノベーション創出や事業の変革に貢献する人材として、博士人材のような、高度な専門性と、自ら課題を設定し解決する独自の構想力を持つ人材を活用する方策を検討する。
    5. 知・経験のダイバーシティ&インクルージョンのための取組
      • 中長期的な企業価値向上のためには、非連続的なイノベーションを生み出すことが重要であり、その原動力となるのは、多様な個人の掛け合わせである。このため専門性や経験、感性、価値観といった知と経験のダイバーシティを積極的に取り込むことが必要となる。
        • このように、同質性の高いチームから多様なチームへと変わるに当たっては、社内外の協働の在り方を見直す必要がある。
        • 知と経験のダイバーシティ&インクルージョンは、多様な属性を持つ人材のみならず、社員全員に関わるテーマである。時代の変化に伴って、ダイバーシティの意味合いも変化する中で、人によって与える機会に制限をかけない、ということが重要となる。
          1. キャリア採用や外国人の比率・定着・能力発揮のモニタリング
            • CEO・CHROは、イノベーションの創出やグローバル展開の加速に向けて、女性活躍を促すことに加え、多様な知・経験を持ったキャリア採用者、外国人材を取り込む。その際、登用すべき地位・役職のレベルについても、その能力が最も発揮されるよう検討を行う。
            • また、必要な範囲においてKPIを活用し、当該人材の定着や能力発揮の状況を定期的に把握し、多様な人材が活躍しやすい風土を醸成する。
          2. 課長やマネージャーによるマネジメント方針の共有
            • CEO・CHROは、「知と経験のダイバーシティ&インクルージョン」の実現に向け、課長・マネージャーが、多様な人材を受け入れて組織を運営する能力を高める。当該スキルの養成に向け、各課長・マネージャーが互いのマネジメント方針を参照し、優れた工夫を相互に学び合う環境を整備する。
    6. リスキル・学び直しのための取組
      • 経営環境の急速な変化に対応するためには、社員のリスキルを促す必要がある。また、社員が将来を見据えて自律的にキャリアを形成できるよう、学び直しを積極的に支援することが重要である。
      • なお、自律的なリスキル・学び直しを促す際には、それぞれの社員が自身の過去の経験やスキル、キャリア上の意向、強い意欲をもって取り組める学習領域などを理解するプロセスが重要であり、会社がそのプロセスを支援することが肝要となる。
        1. 組織として不足しているスキル・専門性の特定
          • CEO・CHROは、経営戦略実現の障害となっているスキル・専門性を特定し、社員のリスキル・学び直しを主導する。その際は、そのスキル・専門性の向上が社員にとってどのような意義を持つのか、丁寧にコミュニケーションを行う。
        2. 社内外からのキーパーソンの登用、当該キーパーソンによる社内でのスキル伝播
          • CEO・CHROは、自社に不足するスキル・専門性を有するキーパーソンを社内外で特定し登用するだけでなく、当該人材にスキルの伝播を任せることで、周囲の人材のリスキル・学び直しも誘導することを検討する。
        3. リスキルと処遇や報酬の連動
          • CEO・CHROは、組織に不足するスキル・専門性の獲得を社員に促すに当たって、学ぶことや、失敗に終わったとしても学び挑戦をする姿勢そのものを称える企業文化の醸成の観点からも、その成果に応じ、キャリアプランや報酬等の処遇に反映できるよう、制度の見直しも含めて検討する。その際、組織のニーズのみに限定されない社員の自主的な学び直しにも配慮する。
        4. 社外での学習機会の戦略的提供(サバティカル休暇、留学等)
          • CEO・CHROは、社員が社外で学習する機会を戦略的に提供し、リスキル・学びを促す。
          • その際、一定期間職場を離れて学習等に活用するための長期休暇(サバティカル休暇)の導入や、国内外の大学・大学院での留学等、様々な方策が考えられるが、既存の学習支援制度を含めて、自社にとっての意味合いを見直す。
        5. 社内起業・出向起業等の支援
          • CEO・CHROは、社員の知識・経験を多様化し、周囲も含めた人材育成効果を高めるため、社内での起業や、出向という形での起業に挑戦する機会を、選択肢として社員に提供する。
    7. 社員エンゲージメントを高めるための取組
      • 経営戦略の実現に向けて、社員が能力を十分に発揮するためには、社員がやりがいや働きがいを感じ、主体的に業務に取り組むことができる環境の整備が重要である。その際、企業の理念、存在意義及び文化の浸透度合いから、ダイバーシティ&インクルージョンの達成状況に至るまで、様々な要素が複合的に関係するため、取組と検証を繰り返していくことが期待される。
      • 特に、企業や事業の成長と多様な個人の成長の方向性を一致させていく必要があり、画一的なキャリアパスではなく、多様な就業経験や機会の提供を行うことが求められる。
        1. 社員のエンゲージメントレベルの把握
          • CEO・CHROは、中期的な組織力の維持・向上を目指し、自社にとって重要なエンゲージメント項目を整理し、社員のエンゲージメントレベルを定期的に把握する。
        2. エンゲージメントレベルに応じたストレッチアサインメント
          • CEO・CHROは、エンゲージメントレベルが高い社員に対して、社員のキャリアプランと会社のニーズを一致させる形で、成長に資するアサインメントを提案することで、エンゲージメントの更なる向上につなげる。
          • また、エンゲージメントレベルが高くない社員に対して、キャリア上の意向を確認し、より適したアサインメントの提案を行うことで、組織の成果を高めながら、エンゲージメントの向上を狙うことも可能となる。
        3. 社内のできるだけ広いポジションの公募制化
          • CEO・CHROは、社員の異動又は退職するポジションについて、可能な限り公募を行い、社員が自律的にキャリアを形成し、高いエンゲージメントレベルで働ける環境を整備する。
        4. 副業・兼業等の多様な働き方の推進
          • CEO・CHROは、社員が企業・社会に貢献しようとする主体的な意思を最大限に尊重し、社内外の副業・兼業を含む多様な働き方を選択できるよう、環境を整備する。
        5. 健康経営への投資とWell-beingの視点の取り込み
          • CEO・CHROは、社員の健康状況を把握し、継続的に改善する取組を、個人と組織のパフォーマンスの向上に向けた重要な投資と捉え、健康経営への投資に戦略的かつ計画的に取り組む。その際、社員のWellbeingを高めるという視点も取り込んでいく。
    8. 時間や場所にとらわれない働き方を進めるための取組
      • いつでも、どこでも、働くことができる環境を整えることは、事業継続の観点からも必要性が高まっている。他方で、働き方に対する人々の意識が多様化する中で、マネジメントの在り方や、業務プロセスの見直しを含め、組織としてどう対応できるかが重要となっている。
        1. リモートワークを円滑化するための、業務のデジタル化の推進
          • CEO・CHROは、自社事業の生産性を維持・向上すべく、コロナ禍を契機に加速したリモートワークを今後も円滑に行えるよう、業務のデジタル化を継続的に行う。
        2. リアルワークの意義の再定義と、リモートワークとの組み合わせ
          • CEO・CHROは、リモートワークの推進と同時に、自社の事業にとって、社員がオフィスに集まって仕事を進めることの意義や有効性を再考し、リアルワークとリモートワークの最適な組み合わせを実現する

    ~NEW~
    国土交通省 「小型旅客船の緊急安全対策」~小型船舶による旅客輸送の安全対策を緊急に実施します~
    ▼(別紙)小型旅客船の緊急安全対策について
    • 運航基準の遵守指導
      • 国土交通省は、事故発生を受けて4月25日より幅広く安全確保の観点から全国の旅客船事業者に対して実施している「緊急安全点検」において、特に運航基準の遵守に着目した下記指導を5月25日まで実施する。
      • 具体的には、厳しい海象条件下を航行する小型旅客船を皮切りに、運航労務監理官が全国の小型旅客船事業者に対し、安全管理規程に定められた運航基準の遵守を指導する。
      • 【主な指導事項】
        • 船長・運航管理者による気象・海象情報の確実な把握と適正な判断
        • 悪天候の場合の運航管理者による船長への運航中止の確実な指示と記録
        • 船舶の出港から帰港までの間の運航管理者又は運航管理補助者の常駐
        • 船長から事業所への定点連絡の確実な実施と記録
    • 携帯電話に係る検査の確実な履行
      • 日本小型船舶検査機構(JCI)では、航路の一部が通信エリアでカバーされていない携帯電話を事業者の申告に基づき通信設備として認めていたところ、「常時通信可能」との船舶安全法の規則に立ち返って検査を確実に履行する。
      • 具体的には、JCIが各事業者の携帯電話の通信エリアを確認してカバーされていない場合には、常時通信可能な通信設備へ速やかに変更するよう各事業者に要請し、万一、変更に応じない事業者がいる場合は、国土交通省から事業者に対し、直接変更を求め、5月25日までに変更を完了する。

    ~NEW~
    国土交通省 災害復旧事業の体制・経験・ノウハウが不足する市町村の災害対応力の底上げを支援します~ガイドラインの策定と説明会の開催~
    • 市町村において、平時より、
      • 大規模災害発生時に必要となる支援をピックアップし、
      • 活用できる支援内容やその連絡先を確認し、
      • 大規模災害発生時には躊躇なく各種支援制度の活用を検討できるよう、
      • 既存の支援方策・取組、好事例を示したガイドラインをとりまとめました。
    • ガイドラインの概要
      • 近年、地方公共団体の土木関係職員は減少し慢性的に不足している状況です。また、約4割の市町村では過去10年間で災害復旧事業を実施した経験が1回以下であり、災害対応に対する経験を積む機会は限られています。
      • 大規模災害が発生した際には、支援制度に関する認識が不足していたり、応援を受け入れた経験がないことから、外部からの支援を円滑に活用できなかった場合が散見されます。
      • そのため、令和3年12月に「市町村における災害復旧事業の円滑な実施のためのガイドライン検討会」を設置し、市町村が災害協定の締結や訓練といった平時からの取組をすすめ、非常時に手に取って理解できるよう、以下のとおり、既存の支援方策・取組、好事例等を分かりやすく示したガイドラインを策定しました。
        • 大規模災害時の災害復旧事業の流れ
        • 被災状況把握や復旧方針・工法の助言など、多くの機関における被災地方公共団体を支援する制度の概要・連絡先
        • 先進技術の活用や民間事業者のノウハウの活用など、全国の先進事例・好事例
      • 引き続き、アンケート等により市町村からのご意見を伺い、ガイドラインの改善を図って参ります。

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