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  • FATF声明(金融庁)/サイバー空間をめぐる脅威の情勢等(警察庁)/開発協力白書(外務省)/特殊詐欺事案に関する 緊急対策プラン(首相官邸)/男女共同参画社会に関する世論調査(内閣府)/企業の持続可能性と消費者志向経営との関係性(消費者庁)

危機管理トピックス

FATF声明(金融庁)/サイバー空間をめぐる脅威の情勢等(警察庁)/開発協力白書(外務省)/特殊詐欺事案に関する 緊急対策プラン(首相官邸)/男女共同参画社会に関する世論調査(内閣府)/企業の持続可能性と消費者志向経営との関係性(消費者庁)

2023.03.20
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更新日:2023年3月20日 新着33記事

金融 ビジネス イメージ

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
  • FATF声明の公表について
  • 第211回国会における金融庁関連法律案
警察庁
  • 令和4年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
  • 不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況
  • 令和4年中における自殺の状況
  • 犯罪統計資料(令和5年1~2月分)
法務省
  • 「Aleph(アレフ)」を対象とする再発防止処分の決定について
  • 再犯防止推進計画
外務省
  • 北朝鮮の核その他の大量破壊兵器及び弾道ミサイル関連計画その他の北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議により禁止された活動等に関与する者に対する資産凍結等の措置の対象者の追加について
  • 2022年版開発協力白書 日本の国際協力
首相官邸
  • 犯罪対策閣僚会議
  • 特殊詐欺事案に関する 緊急対策プラン
内閣府
  • 障害者施策の総合的な推進-基本的枠組み-
  • 「男女共同参画社会に関する世論調査」の概要
  • 「社会意識に関する世論調査」の概要
消費者庁
  • 徳島県内の高等学校等における生徒の消費者トラブルの実態と消費者教育の実施効果に関する調査
  • 「企業の持続可能性と消費者志向経営との関係性に関する研究」のプログレッシブ・レポートを公表しました。
国民生活センター
  • 糖質を低減できるとうたった電気炊飯器の実際
  • 顔に色が移ったマスク(相談解決のためのテストからNo.174)
  • プレートが外れたシャワーヘッド(相談解決のためのテストからNo.175)
  • 「定期購入」トラブル急増!!-低価格を強調する販売サイトには警戒が必要!-
  • 若者に広がる「人を紹介すればもうかる」誘いに要注意!
厚生労働省
  • 妊娠、出産等による不利益取扱いは、外国人労働者についても禁止されています
  • 第10回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 資料等
経済産業省
  • 「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する基本方針」が閣議決定されました
  • 株式会社豊田自動織機の排出ガス性能に係る型式指定申請における不適切行為について、事実関係の究明等の指示を行いました
  • 「安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令」が閣議決定されました
  • DXセレクション2023を公表しました!
  • クレジットカード・セキュリティガイドライン【4.0版】が改訂されました
国土交通省
  • 無人航空機のレベル4飛行初実施のために飛行の許可・承認を行いました!
  • 日本初!国内ブレンドの航空燃料で空を飛びました~SAFのサプライチェーン構築に向けた実証事業は最終段階~
  • 取り組もう、再配達削減!!~本年4月は「再配達削減PR月間」!受取は1回で!~

~NEW~
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等
  • マネロン等リスク管理態勢の整備について
    • マネロン等リスク管理態勢については、金融庁から各金融機関に対し、マネロンガイドラインを踏まえた態勢整備を2024年3月までに完了するよう要請し、2021年からマネロンに焦点を当てた検査等を順次実施しているが、態勢整備の期限まで残り1年となっている。
    • 2024年3月までの態勢整備の参考として、指摘事項を一部紹介する。
    • 例えば、「リスクの特定作業において洗い出されたリスク項目は実務に即した個別具体的な項目にまで細分化されているか」という項目について、リスク項目洗い出しの粒度(例えば、個人・法人に加え、実務に即して、法人であれば、業種、上場有無、公的機関か否かなど)が低いため、未達となっているなどの事例が見受けられる。
    • また、マネロンガイドラインで対応が求められる事項の中には、規定の整備に係るものもあるが、こうした項目についても未達(規定の未整備)となっている金融機関が多く確認されている。
    • このようなケースでは、金融機関の経営管理態勢にも課題がある可能性があるため、経営陣においては、自らの不備項目を再度確認の上、早急に対応を指示いただきたい。
    • 改めて、経営陣においては、こうした事例も含め、自身の金融機関がどの水準にあるか把握した上で、残りの期間内に態勢整備が確実に完了するよう、取組みを進めていただきたい。
  • サイバーセキュリティ演習の結果還元について
    • 2022年10月に実施した「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅶ)」の結果を、先般、参加金融機関に還元した。
    • 参加金融機関においては、演習の結果を活用して、インシデント対応能力の更なる向上に取り組んでいただきたい。ただし、今回の演習結果は、ひとつのシナリオの下での評価であって、サイバーセキュリティに対する態勢整備の状況をあまねく評価したものではない。仮に今回の演習結果が良好であっても、演習で使用したシナリオに限らず、サプライチェーンの弱点を利用した攻撃やランサムウェア攻撃、フィッシングなど、最新のサイバー攻撃の脅威の動向を想定してインシデント対応態勢を整備し、その実効性を確認するための演習・訓練を定期的に行っていただきたい。
    • また、非参加金融機関に対しても、今後協会を通じて、演習を通じて認められた業態に共通する課題や良好事例をフィードバックする予定である。非参加金融機関においても、金融庁からの還元内容を参考として、演習・訓練の高度化を含め、インシデント対応態勢の強化に取り組んでいただいきたい。
  • 経済安全保障推進法に基づく基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する基本指針(案)について
    • 2023年2月8日、内閣官房において第5回「経済安全保障法制に関する有識者会議」が開催され、経済安全保障推進法の基幹インフラの事前審査制度について、以下が公表された。
      • 基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する基本指針(案)
      • 制度開始に向けたスケジュール
      • 対象となる業者の指定基準(案)
    • 本制度は、金融を含む基幹インフラの事業者に対して、その重要設備の導入等に当たり、当局による事前審査を求めるものである。
    • 金融庁としては、制度の施行に向けて、金融機関との間で丁寧な対話に努めていく所存であり、引き続き協力いただきたい。

~NEW~
金融庁 FATF声明の公表について
▼仮訳
  • 高リスク国・地域は、資金洗浄、テロ資金供与及び拡散金融の対策体制に重大な戦略上の欠陥を有する。高リスクと特定された全ての国・地域に関して、FATFは、厳格な顧客管理を適用することを加盟国・地域に要請し、かつ全ての国・地域に強く求める。そして、極めて深刻な場合には、各国・地域は、高リスク国・地域から生じる資金洗浄、テロ資金供与及び拡散金融のリスクから国際金融システムを保護するため、対抗措置の適用を要請される。このリストは対外的に、しばしばブラックリストと呼ばれる。すでにFATFの対抗措置の要請に服していることに鑑み、新型コロナウイルスのパンデミックに照らして、2020年2月以降、FATFはイラン及び北朝鮮に対するレビュープロセスを一時休止している。したがって、2020年2月21日に採択されたこれらの国・地域に対する声明を参照されたい。その声明はイランと北朝鮮のAML/CFT体制の直近の状態を必ずしも反映したものではないが、FATFのこれらの高リスク国・地域に対する対抗措置の要請は効力を有している。
  • 北朝鮮(DPRK)[2020年2月以降変更なし]
    • FATFは、DPRKが資金洗浄・テロ資金供与対策の体制における重大な欠陥に対処していないこと、及びそれによってもたらされる国際金融システムの健全性への深刻な脅威について、引き続き憂慮している。FATFは、DPRKが資金洗浄・テロ資金供与対策の欠陥に対して直ちにかつ意義ある対応を講じることを強く求める。さらに、FATFは大量破壊兵器の拡散や拡散金融に関連したDPRKの違法な行為によってもたらされた脅威について深刻に憂慮している。
    • FATFは、2011年2月25日の加盟国への要請を再確認するとともに、全ての国・地域が、DPRK系企業・金融機関及びそれらの代理人を含めたDPRKとの業務関係及び取引に対し、特別な注意を払うよう、自国の金融機関に助言することを強く求める。
    • FATFは、強化された監視に加え、DPRKより生じる資金洗浄・テロ資金供与・大量破壊兵器の拡散金融リスクから金融セクターを保護するために、効果的な対抗措置を適用すること、及び適用される国連安保理決議に基づく、対象を特定した金融制裁を加盟国に要請し、かつ全ての国・地域に強く求める。各国・地域は、関連する国連安保理決議が要請するとおり、領域内のDPRK系銀行の支店、子会社、駐在員事務所を閉鎖、及びDPRK系銀行とのコルレス関係を終了するための必要な措置をとるべきである。
  • イラン[2020年2月以降変更なし]
    • 2016年6月、イランは戦略上の欠陥に対処することにコミットした。イランのアクションプランは2018年1月に履行期限が到来した。2020年2月、FATFは、イランがアクションプランを完了していないことに留意した。
    • 2019年10月、FATFは、イランに本拠を置く金融機関の支店・子会社に対する強化した金融監督の実施、金融機関によるイラン関連の取引に係る強化した報告体制又は体系的な報告の導入、イランに所在する全ての支店・子会社に対して金融グループが強化した外部監査を行うことを求めることを加盟国に要請し、かつ、全ての国・地域に強く求めた。
    • そして今、イランがFATF基準に従った内容でパレルモ条約及びテロ資金供与防止条約を締結するための担保法を成立させていないことに鑑み、FATFは勧告19に則し、対抗措置の一時停止を完全に解除し、効果的な対抗措置を適用するよう加盟国に要請し、かつ、全ての国・地域に強く求める。
    • イランは、アクションプランの全てを完了するまで、FATF声明[行動要請対象の高リスク国・地域]にとどまる。イランがFATF基準に従った内容でパレルモ条約及びテロ資金供与防止条約を批准すれば、FATFは、対抗措置を一時停止するかどうかを含め、次のステップを決定する。同国がアクションプランにおいて特定されたテロ資金供与対策に関する欠陥に対処するために必要な措置を履行するまで、FATFは同国から生じるテロ資金供与リスク、及びそれが国際金融システムにもたらす脅威について憂慮する。
  • ミャンマー[2022年10月以降変更なし]
    • 2020年2月、ミャンマーは戦略上の欠陥に対処することにコミットした。ミャンマーのアクションプランは2021年9月に履行期限が到来した。
    • 2022年6月、FATFは、ミャンマーに対し2022年10月までにアクションプランを速やかに完了させるよう強く求め、それが適わない場合は、FATFは、ミャンマーとの業務関係及び取引に厳格な顧客管理を適用するよう加盟国・地域に要請し、全ての国・地域に強く求めることとした。アクションプランの履行期限を1年過ぎても進展がなく、アクションプランの大半の項目が対応されていないことを踏まえると、FATFは、手続きに沿ってさらなる行動が必要となり、加盟国・地域及び他の国・地域に対し、ミャンマーから生じるリスクに見合った厳格な顧客管理の適用を要請することを決定した。厳格な顧客管理措置を適用する際は、各国は、人道支援、合法的なNPO活動及び送金のための資金の流れが阻害されないようにする必要がある。
    • ミャンマーは、不備に対応するため下記を含めたアクションプランを実施する取組を続けるべきである。
      1. 重要な分野における資金洗浄リスクについて理解を向上したことを示すこと
      2. オンサイト・オフサイト検査がリスクベースであること、及び「フンディ」を営む者が登録制であり監督下にあることを示すこと
      3. 法執行機関による捜査において金融インテリジェンス情報の活用を強化したことを示すこと、及び資金情報機関(FIU)による対策の執行のための分析及び分析情報の配信を増やすこと
      4. 資金洗浄が同国のリスクに沿って捜査・訴追されることを確保すること
      5. 国境を越えて行われた資金洗浄の事案の捜査を国際協力の活用で行っていることを示すこと
      6. 犯罪収益、犯罪行為に使用された物、及び/又はそれらと同等の価値の財産の凍結・差押え、及び没収の増加を示すこと
      7. 没収されるまでの間、差し押さえた物の価値を保つために、差し押さえた資産を管理すること
      8. 拡散金融に係る対象者を特定した金融制裁の実施を示すこと
    • FATFは、ミャンマーに対し、資金洗浄・テロ資金供与の欠陥に完全に対応するよう取り組むことを強く求め、同国がアクションプランを完全に履行するまでは、行動要請対象国のリストに引き続き掲載される。

~NEW~
金融庁 第211回国会における金融庁関連法律案
▼金融商品取引法等の一部を改正する法律案の概要
  • デジタル化の進展等の環境変化に対応し、金融サービスの顧客等の利便の向上及び保護を図るため、「顧客本位の業務運営・金融リテラシー」、「企業開示」等に関する制度を整備
  • 顧客本位の業務運営・金融リテラシー
    • 成長の果実が家計に分配されるという「資金の好循環」を実現し、家計の安定的な資産形成を図る観点から、以下の取組を実施
      1. 顧客本位の業務運営の確保
        • 最終的な受益者たる金融サービスの顧客や年金加入者の最善の利益を勘案しつつ、誠実かつ公正に業務を遂行すべきである旨の義務を、金融事業者や企業年金等関係者に対して幅広く規定
        • 顧客属性に応じた説明義務を法定するとともに、顧客への情報提供におけるデジタル技術の活用に関する規定を整備資産形成の支援に関する施策を総合的に推進するため、「基本方針」を策定
      2. 金融リテラシーの向上
        • 資産形成の支援に関する施策を総合的に推進するため、「基本方針」を策定
        • 利用者の立場に立って、金融経済教育を広く提供するため、「金融経済教育推進機構」を創設
        • 業務 金融経済教育の教材・コンテンツの作成、学校校や企業等への講座の展開、個人に対する個別相談 等
        • 形態 認可法人
        • 役員 理事長(1人)、理事(3人以内)等
        • ガバナンス 運営委員会(委員、理事長、理事)を設置、金融庁が認可・監督
        • (参考)上記のほか、機構は、資産形成等に係る相談・助言を容易に受けられる環境を整備
  • 企業開示
    • 非財務情報の開示の充実に向けた取組(注1)と併せて、企業開示の効率化の観点から、金融商品取引法上の四半期報告書を廃止(注2)
    • (注1)府令改正によりサステナビリティ情報の開示の充実を図る
    • (注2)第1・第3四半期の開示については、取引所規則に基づく四半期決算短信に一本化
    • 半期報告書、臨時報告書の公衆縦覧期間(注)を5年間(課徴金の除斥期間と同様)に延長
    • (注)現行の公衆縦覧期間は、半期報告書3年、臨時報告書1年
  • その他のデジタル化の進展等に対応した顧客等の利便向上・保護に係る施策
    • ソーシャルレンディング(注)等を行う第二種金融商品取引業者について、投資家に適切な情報提供等が行われなかった事例を踏まえ、運用報告に関する規定を整備
    • (注)インターネットで集めた出資を企業に貸し付ける仕組み
    • 不動産特定共同事業契約(注)をトークン(デジタル)化する動きが見られていることを踏まえ、他の電子記録移転権利と同様、当該トークンに金融商品取引法のルールを適用
    • (注)出資を募って不動産で運用し、収益を分配する仕組み
    • 金融商品取引業者等のウェブサイトにおいて、営業所に掲示する標識と同内容の情報公表を義務付け
    • 虚偽の財務書類の開示を行った企業等に対する課徴金納付命令に係る審判手続のデジタル化
▼社債、株式等の振替に関する法律等の一部を改正する法律案の概要
  • デジタル化など資本市場を取り巻く環境が変化する中、資本市場の効率化及び活性化を図るため、「デジタル化への対応」、「スタートアップ企業の上場日程の期間短縮」に関する制度を整備
    1. デジタル化への対応
      1. 取引所に上場している有価証券の中で唯一デジタル化されていない日銀出資証券のデジタル化
        • 【改正内容】日銀出資証券を含む特別法人出資証券を振替制度の対象に追加
      2. 投資法人、特定目的会社、有限責任監査法人登録簿等(項目例:役員や営業所等の情報)のインターネット公表
        • 【改正内容】インターネット公表に際して、個人情報(役員の住所)を除くための規定を整備
      3. 財務書類の虚偽証明等を行った公認会計士等に対する課徴金納付命令に係る審判手続のデジタル化
        • 【改正内容】オンラインによる送達・申立て、オンライン会議による審判手続、事件記録の電子化
    2. スタートアップ企業の上場日程の期間短縮
      • スタートアップ企業をはじめとする未上場企業が上場する際、公開価格がより適切に決定されるようにするため(注)、振替法により1か月以上と法定されている上場承認日から上場日までの期間について、株主保護を図りつつ、実務の改善による短縮を可能とする見直し
        • (注)上場承認日から上場日までの期間が長いことにより、その間の価格変動リスクから、公開価格がより低く設定されているとの指摘
          • ※その他、2006年、社債、株式等の振替に関する法律第12条第2項を改正する際に、併せて手当てする必要があった同法第48条の規定について、所要の整備を実施

~NEW~
警察庁 令和4年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
  • ランサムウェアとは、感染すると端末等に保存されているデータを暗号化して使用できない状態にした上で、そのデータを復号する対価(金銭又は暗号資産)を要求する不正プログラムである。最近の事例では、データの暗号化のみならず、データを窃取した上、企業に対し「対価を支払わなければ当該データを公開する」などと対価を要求する二重恐喝(ダブルエクストーション)の手口が多くを占める。また、感染経路は、令和3年に引き続き、インターネットに公開されたVPN機器等のぜい弱性や強度の弱い認証情報等を悪用し、組織のネットワークに侵入した上でランサムウェアに感染させる手口が多くみられた。
  • 企業・団体等におけるランサムウェア被害として、令和4年に都道府県警察から警察庁に報告のあった件数は230件であり、令和2年下半期以降、右肩上がりでの増加となった。
  • 二重恐喝(ダブルエクストーション)による被害が多くを占める
    • 被害(230件)のうち、警察として手口を確認できたものは182件あり、このうち、二重恐喝の手口によるものは119件で65%を占めた
  • 暗号資産による対価の要求が多くを占める
    • 被害(230件)のうち、直接的な対価の要求を確認できたものは54件あり、このうち、暗号資産による支払いの要求があったものは50件で93%を占めた
  • 被害(230件)の内訳を企業・団体等の規模別にみると、大企業は63件、中小企業は121件であり、その規模を問わず、被害が発生した。また、業種別*2にみると、製造業は75件、サービス業は49件、医療、福祉は20件となるほか、その業種を問わず、被害が発生した。
  • ランサムウェアの感染経路について質問したところ、102件の有効な回答があり、このうち、VPN機器からの侵入が63件で62%、リモートデスクトップからの侵入が19件で19%を占め、テレワーク等に利用される機器等のぜい弱性や強度の弱い認証情報等を利用して侵入したと考えられるものが81%と大半を占めた。
  • 復旧に要した期間について質問したところ、131件の有効な回答があり、このうち、復旧までに1か月以上を要したものが35件あった。また、ランサムウェア被害に関連して要した調査・復旧費用の総額について質問したところ、121件の有効な回答があり、このうち、1,000万円以上の費用を要したものが56件で46%を占めた。
  • 被害に遭ったシステム又は機器のバックアップの取得状況について質問したところ、139件の有効な回答があり、このうち、取得していたものが116件で83%を占めた。また、取得していたバックアップから復元を試みた111件の回答のうち、バックアップから被害直前の水準まで復旧出来なかったものは90件で81%であった。
  • 令和4年においても、ランサムウェアによって流出した情報等が掲載されているダークウェブ上のリークサイトに、日本国内の事業者等の情報が掲載されていたことを確認した。掲載された情報には、製品に関する情報、ユーザーID、パスワード等が含まれていた。
  • 警察の取組
    1. 中小企業や医療機関等を対象としたランサムウェアへの対策
      • 国内の中小企業や医療機関において、ランサムウェアの被害により製造・販売・サービス等の停止、電子カルテ等の閲覧障害による新規患者の受入れ停止等の事態が生じた。そのため、商工会・商工会議所等の経済団体とその会員である事業者や、多数の病院等が加入する医療団体との連携を推進し、手口の情報共有や注意喚起を実施した。
      • このほか、テレビ、ラジオ、ウェブサイト、セキュリティセミナー等の様々な媒体・機会を活用するほか、各都道府県警察が関係機関・団体等と構築する協議会等を通じた情報発信を行うなど積極的な広報啓発を実施した。
    2. 関係省庁等との連名による注意喚起の実施
      • ランサムウェアによる被害の発生やサイバー攻撃事案のリスクの高まりを踏まえ、内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)や関係省庁との合同により、重要インフラ事業者等をはじめとする企業、団体等に対して、具体的なセキュリティ対策の実施項目を挙げながら、累次にわたりサイバーセキュリティ対策を強化するよう注意喚起を行った
  • サイバー攻撃事例
    1. 複数の化学企業におけるマルウェア感染
      • 1月、化学工業関連企業は、自社で運用するサーバに不正アクセスが行われ、サーバ内に保存した情報の一部が外部に流出した可能性があると発表した。これに関連し、同社のグループ企業においても管理するサーバに不正アクセスが行われ、サーバ内に保存した情報が外部に流出した可能性があることを発表した。
    2. 大手システム事業者等に対する不正アクセス
      • 5月、大手システム事業者及びグループ会社は、一部の通信制御装置に対して、ぜい弱性を悪用した不正アクセスが行われていたことを確認したと発表した。これにより、当該通信制御装置を通過した通信パケット等を窃取された可能性があるとしている。
    3. 複数のウェブサイトの閲覧障害
      • 9月、「e-Gov」等の政府機関や国内企業等の運営するウェブサイトが一時閲覧不能になる事案が発生し、時期を同じくして、親ロシアのハッカー集団とされる「Killnet」等が犯行をほのめかす声明を発表したことが確認された。
      • 「Killnet」は、ロシアによるウクライナ侵略等に対する我が国の対応に反対する旨の声明を発表したものの、ロシア政府との関係については否定した。
  • 警察における取組
    1. 重要インフラ事業者等に対する注意喚起
      • 重要インフラ事業者等に対してサイバー攻撃に関する注意喚起を継続的に実施している。令和4年中には特定の情報通信機器のぜい弱性に関して全国に注意喚起を実施したほか、海外の関係機関・団体等からサイバー攻撃等に関する情報を入手した場合は個別に注意喚起を行うなど、重要インフラ事業者等のサイバー攻撃による被害の未然防止・拡大防止を図った。
    2. C2サーバのテイクダウン
      • サイバー攻撃事案で使用された不正プログラムの解析等を通じてC2サーバとして機能している国内のサーバを把握し、C2サーバとしての不正な機能を停止(テイクダウン)するよう、サーバを管理する事業者等に依頼するなどの対策を継続的に実施した。
    3. 共同対処訓練の実施
      • サイバー攻撃事案の発生を想定した重要インフラ事業者等との共同対処訓練を継続的に実施している。令和4年中においても、自治体、電力事業者、金融機関等の幅広い分野の事業者等を対象とした、標的型メールを題材とした訓練や警察との連携を確認するための現場臨場訓練等の実践的な訓練を実施し、警察との連携強化や各事業者等のサイバー攻撃に対する対処能力の向上を図った。令和4年中では、596回の共同対処訓練を行った。
    4. ラザルスと呼称されるサイバー攻撃グループに関する注意喚起の実施
      • 北朝鮮当局の下部組織とされる「ラザルス」と呼称されるサイバー攻撃グループが、数年来、国内の暗号資産関係事業者を標的としたサイバー攻撃を行っていると強く推察される状況にあることが、関係都道府県警察やサイバー特別捜査隊の捜査等によって判明した。
      • 「ラザルス」によるものとみられる暗号資産の窃取を目的としたサイバー攻撃は今後も継続されると考えられるところ、最近は暗号資産取引の多様化により、暗号資産取引が事業者だけでなく、個人間でも行われているため、個人も標的とされるおそれがある。こうしたことから、暗号資産取引に関わる個人や事業者がこうした組織的なサイバー攻撃が行われているという認識を持ち、サイバーセキュリティの強化に取り組むよう、警察庁は令和4年10月14日、金融庁及びNISCとの連名で注意喚起を発表した。
    5. Emotetの注意喚起の実施
      • 電子メールの添付ファイルを主な感染経路とする不正プログラムEmotetは、令和4年7月中旬頃から活動を停止していたが、令和4年11月、警察庁において、添付ファイルを指定されたフォルダにコピーするよう指示を行い、マクロを実行可能とさせEmotetに感染させるメールを複数確認するなど、国内において活動が再開したとみられる事象を確認した。これを受けて、警察庁ウェブサイトにおいて注意喚起を実施した。
  • フィッシング等に伴う不正送金・不正利用の情勢と対策
    • 令和4年におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害は、8月下旬から9月にかけて急増し、発生件数1,136件、被害総額約15億1,950万円で、前年と比べて発生件数、被害額ともに増加した。
    • 令和4年8月下旬から9月にかけて急増した被害の多くはフィッシングによるものとみられ、銀行を装ったフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導するメールを多数確認した。また、フィッシング対策協議会によれば、令和4年のフィッシング報告件数は96万8,832件(前年比+44万2,328件)で、右肩上がりで増加となり、フィッシングで騙られた企業は、クレジットカード事業者、EC事業者を装ったものが多くを占めた。
  • 警察の取組
    1. 金融機関等との連携強化
      • 警察庁において、金融庁及び一般社団法人全国銀行協会等に対して、インターネットバンキングの不正送金に係る被害状況等を提供することにより、被害防止対策に取り組んでいる。
    2. フィッシング対策強化の要請等
      • 令和4年8月下旬から9月にかけて、フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングに係る不正送金被害が急増した。これを受け、警察庁において、令和4年9月に、JC3と連携し、メールやショートメッセージサービス(SMS)に記載されたリンクからアクセスしたサイトにID・パスワード等を入力しないよう注意喚起を実施するとともに、金融庁と連携し、一般社団法人全国銀行協会等に対して、送信ドメイン認証技術(DMARC等)導入等のフィッシング対策の強化を要請した。
    3. SMSを悪用したフィッシング対策
      • SMSによってフィッシングサイトへ誘導する手口であるスミッシングによる被害を防止するため、フィッシングサイトに誘導するSMSを利用者が受信すること自体を阻止する仕組みの構築に向けた大手携帯電話事業者等による検討に参画した。その結果、大手携帯電話事業者3社において、それぞれ令和4年3月、同年6月、令和5年2月にフィッシングサイトに誘導するSMSの受信を自動で拒否する機能が提供されるようになった。
    4. フィッシングサイトの閲覧防止対策
      • 警察庁において、都道府県警察が把握したフィッシングサイトに係るURL情報等を集約し、ウイルス対策ソフト事業者等に提供することにより、ウイルス対策ソフトの機能による警告表示等、フィッシングサイトの閲覧を防止する対策を実施している。
    5. 関係機関と連携した不審なSMS等に係る注意喚起の実施
      • 令和4年8月以降、国税の納付を求める旨や、差押えの執行を予告する旨のショートメッセージやメールが多数確認されたことから、令和4年9月に、警察庁及び都道府県警察において、国税庁と連携して、フィッシングサイトの閲覧防止に関する広報啓発を実施した。
      • また、令和4年10月に、警察庁及び金融庁のロゴを使用したフィッシングサイトを認知したことから、それぞれのウェブサイトにおいて注意喚起を実施した。
    6. JC3と連携した検挙
      • 会社員の男(49)は、令和3年12月、宿泊予約サイトにおいて、不正に入手した他人名義のクレジットカード情報を入力して宿泊予約を行い、代金の支払いを免れて不正宿泊を行った。JC3から情報提供を受け、令和4年5月、男を電子計算機使用詐欺で検挙した。
  • サイバー空間の脅威情勢
    • 警察庁では、インターネット上にセンサーを設置し、当該センサーに対して送られてくる通信パケットを収集している。このセンサーは、外部に対して何らサービスを提供していないので、本来であれば外部から通信パケットが送られてくることはない。送られてくるのは不特定多数のIPアドレスに対して無差別に送信される通信パケットであり、これらの通信パケットを分析することで、インターネットに接続された各種機器のぜい弱性の探索行為等を観測し、ぜい弱性を悪用した攻撃、不正プログラムに感染したコンピュータの動向等、インターネット上で発生している各種事象を把握することができる。
    • 令和4年にセンサーにおいて検知したアクセス件数は、1日・1IPアドレス当たり7,707.9件と、継続して高水準で推移している。アクセス件数が継続して高水準にあるのは、IoT機器の普及により攻撃対象が増加していること、技術の進歩により攻撃手法が高度化していることなどが背景にあるものとみられる
    • 検知したアクセスの送信元の国・地域に着目すると、海外の送信元が高い割合を占めている。令和4年においても、国内を送信元とするアクセスが1日・1IPアドレス当たり49.4件であるのに対して、海外を送信元とするアクセスが7,658.6件と大部分を占めており、海外からの脅威への対処が引き続き重要となっている。
    • 検知したアクセスの宛先ポートに着目すると、ポート番号1024以上のポートへのアクセスが多数を占めており、全体のアクセス件数が高水準で推移する要因となっている。
    • IoT機器では標準設定として1024番以上のポート番号を使用しているものが多く、これらのアクセスの多くがぜい弱性を有するIoT機器の探索やIoT機器に対するサイバー攻撃を目的とするためのものであるとみられる。
    • 平成30年から令和4年にかけて、リモートデスクトップサービスが標準で使用するポート3389/TCPに対するアクセスが、緩やかな増加傾向にある。特に令和4年の12月には、同年1月と比較しておよそ2倍のアクセスが観測された。
    • アクセスを詳細に確認すると、当該サービスの稼働状況を調べることが目的と思われるアクセスが増加しており、令和4年は過去最高の件数を観測した。そのほか、推測されやすいIDやパスワードが設定されていないかを確認するためのアクセスも観測されるなど、攻撃の対象となるリスクは増加している。
    • テレワークが社会的に浸透し、リモートデスクトップサービスを利用する機会が増えている。このサービスの利用に当たっては、一定時間内のログイン試行回数の制限等の適切な設定、推測されにくいIDやパスワードへの変更、多要素認証等の対策を講じることが必要である。
  • 標的型メール攻撃
    • 令和4年中に、全国警察で把握した事例について、様々な種類の不正プログラムが標的型メールに添付されていたことが確認されている。手口としては、実在する人物になりすましてメールを送りつけ、何度かメールのやり取りを行うことで信用させ、ファイル名として興味を惹くキーワードを盛り込んだ不正プログラムのファイルを実行させるものが確認されている。
    • 警察及び先端技術を有するなど情報窃取の標的となるおそれのある全国約8,500の事業者等(令和4年12月末現在)から構成されるサイバーインテリジェンス情報共有ネットワーク(以下「CCIネットワーク」という。)の枠組みを通じて、事業者等から提供される標的型メール攻撃をはじめとする情報窃取を企図したとみられるサイバー攻撃に関する各種情報を集約するとともに、これらの情報を総合的に分析して、事業者等に対し、分析結果に基づく注意喚起を行っている。また、NISCから提供を受けた政府機関に対する標的型メール攻撃の分析結果についても、当該事業者等に対して情報共有を行っている。
    • CCIネットワークを通じて事業者等から情報提供を受けた標的型メール攻撃には以下のようなものがあった。なお、令和4年中においても、事業者等に対して、業務に関連した精巧な内容の標的型メールが確認されたほか、パスワード等の窃取を企図したとみられるフィッシングメールをはじめとする不審なメールも確認された。
      1. シンクタンクに対する標的型メール攻撃
        • 不正プログラムが仕掛けられた添付ファイルを開くよう誘導する標的型メールがシンクタンクに送信された。
      2. 医薬品メーカに対する攻撃
        • 添付ファイルから偽のパスワード入力画面に遷移させ、業務で使用するアカウントのパスワードを入力するよう誘導する標的型メールが医薬品メーカに送信された

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警察庁 不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況
  • 不正アクセス行為の認知状況
    • 令和4年における不正アクセス行為の認知件数は2,200件であり、前年(令和3年)と比べ、684件(約45.1%)増加した。
    • 令和4年における不正アクセス行為の認知件数について、不正アクセス後に行われた行為別に内訳を見ると、「インターネットバンキングでの不正送金等」が最も多く(1,096件)、次いで「インターネットショッピングでの不正購入」(227件)、「メールの盗み見等の情報の不正入手」(215件)の順となっている。
    • 令和4年における不正アクセス禁止法違反事件の検挙件数・検挙人員は522件・257人であり、前年(令和3年)と比べ、93件・22人増加した。
    • 検挙件数・検挙人員について、違反行為別に内訳を見ると、「不正アクセス行為」が491件・243人といずれも全体の90%以上を占めており、このほか「識別符号取得行為」が8件・5人、「識別符号提供(助長)行為」が5件・5人、「識別符号保管行為」が16件・8人、「識別符号不正要求行為」が2件・2人であった。
    • 令和4年における不正アクセス行為の検挙件数について、手口別に内訳を見ると、「識別符号窃用型」が482件と全体の90%以上を占めている。
    • 令和4年に検挙した不正アクセス禁止法違反事件に係る被疑者の年齢は、「20~29歳」が最も多く(104人)、次いで「14~19歳」(68人)、「30~39歳」(55人)の順となっている。なお、令和4年に不正アクセス禁止法違反で補導又は検挙された者のうち、最年少の者は11歳、最年長の者は62歳であった。
    • 令和4年に検挙した不正アクセス禁止法違反の検挙件数について、識別符号窃用型の不正アクセス行為の手口別に内訳を見ると、「利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手」が最も多く(230件)、次いで「識別符号を知り得る立場にあった元従業員や知人等による犯行」(41件)の順となっており、前年(令和3年)と比べ、前者は約1.50倍、後者は約0.80倍となっている。
    • 令和4年に検挙した不正アクセス禁止法違反の検挙件数のうち、識別符号窃用型の不正アクセス行為(482件)について、他人の識別符号を用いて不正に利用されたサービス別に内訳を見ると、「オンラインゲーム・コミュニティサイト」が最も多く(233件)、次いで「社員・会員用等の専用サイト」(104件)の順となっており、前年(令和3年)と比べ、前者は約1.62倍、後者は約1.39倍となっている。
  • 利用権者の講ずべき措置
    1. パスワードの適切な設定・管理
      • 利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んだ不正アクセス行為が発生していることから、利用権者の氏名、電話番号、生年月日等を用いた推測されやすいパスワードを設定しないほか、複数のウェブサイトやアプリ等で同じID・パスワードの組合せを使用しない(パスワードを使い回さない)よう注意する。また、日頃から自己のパスワードを適切に管理し、不用意にパスワードを他人に教えたり、インターネット上で入力・記録したりすることのないよう注意する。
      • なお、インターネット上に情報を保存するメモアプリ等が不正アクセスされ、保存していたパスワード等の情報が窃取されたと思われるケースも確認されていることから、情報の保存場所についても十分注意する。
    2. フィッシングへの対策
      • eコマース関係企業、通信事業者、金融機関、荷物の配送連絡等を装ったSMS(ショートメッセージサービス)や電子メールを用いて、実在する企業を装ったフィッシングサイトへ誘導し、ID・パスワードを入力させる手口が多数確認されていることから、SMSや電子メールに記載されたリンク先のURLに不用意にアクセスしないよう注意する。
    3. 不正プログラムへの対策
      • 通信事業者を装ったSMSからの誘導により携帯電話端末に不正なアプリをインストールさせ、当該アプリを実行すると表示されるログイン画面にID・パスワードを入力させる手口も確認されていることから、心当たりのある企業からのSMSや電子メールであっても、当該企業から届いたSMSや電子メールであることが確認できるまでは添付ファイルを開かず、本文に記載されたリンク先のURLをクリックしないよう徹底する。また、不特定多数が利用するコンピュータでは、ID・パスワード、クレジットカード情報等の重要な情報を入力しないよう徹底する。さらに、アプリ等のソフトウェアの不用意なインストールを避けるとともに、不正プログラムへの対策(ウイルス対策ソフト等の利用のほか、オペレーティングシステムを含む各種ソフトウェアのアップデート等によるぜい弱性対策等)を適切に講ずる。特に、インターネットバンキング、インターネットショッピング、オンラインゲーム等の利用に際しては、不正プログラムへの対策が適切に講じられていることを確認するとともに、ワンタイムパスワード等の二要素認証注12や二経路認証を利用するなど、金融機関等が推奨するセキュリティ対策を積極的に利用する。
  • アクセス管理者の講ずべき措置
    1. 運用体制の構築等
      • セキュリティの確保に必要なログの取得等の仕組みを導入するとともに、管理するシステムに係るぜい弱性の管理、不審なログインや行為等の監視及び不正にアクセスされた場合の対処に必要な体制を構築し、適切に運用する
    2. パスワードの適切な設定
      • 利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んだ不正アクセス行為が発生していることから、使用しなければならない文字の数や種類を可能な限り増やすなど、容易に推測されるパスワードを設定できないようにするほか、複数のウェブサイトやアプリ等で同じID・パスワードの組合せを使用しない(パスワードを使い回さない)よう利用権者に周知するなどの措置を講ずる。
    3. ID・パスワードの適切な管理
      • ID・パスワードを知り得る立場にあった元従業員、委託先業者等の者による不正アクセス行為が発生していることから、利用権者が特定電子計算機を利用する立場でなくなった場合には、アクセス管理者が当該者に割り当てていたIDの削除又はパスワードの変更を速やかに行うなど、ID・パスワードの適切な管理を徹底する。
    4. セキュリティ・ホール攻撃への対策
      • ウェブシステムやVPN機器のぜい弱性に対する攻撃等のセキュリティ・ホール攻撃への対策として、定期的にサーバやアプリケーションのプログラムを点検し、セキュリティパッチの適用やソフトウェアのバージョンアップを行うことなどにより、セキュリティ上のぜい弱性を解消する。
    5. フィッシング等への対策
      • フィッシング等により取得したID・パスワードを用いて不正アクセスする手口が多数確認されていることから、ワンタイムパスワード等の二要素認証や二経路認証の積極的な導入等により認証を強化する。また、フィッシング等の情報を日頃から収集し、フィッシングサイトが出回っていること、正規のウェブサイトであるかよく確認した上でアクセスする必要があることなどについて、利用権者に対して注意喚起を行う

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警察庁 令和4年中における自殺の状況
▼令和4年中における自殺の状況 資料
  • 令和4年の自殺者数は21,881人で、前年に比べ874人(4.2%)増。男女別にみると、男性は13年ぶりの増加、女性は3年連続の増加となっている。また、男性の自殺者数は、女性の約2.1倍となっている。
  • 令和4年の自殺死亡率は17.5となっている。男女別にみると、男性は24.3で令和3年とくらべて1.5ポイントの上昇、女性は11.1で令和3年とくらべて0.1ポイントの上昇となっている。
  • 月別自殺者数の推移について、令和4年は、5月が最も多く、2月が最も少ない。
  • 令和4年は令和3年と比較して、20歳代、30歳代及び70歳代以外の各年齢階級で増加した。増加した年齢階級の中では、50歳代が最も大きく増加し、475人の増加となった。一方、減少した年齢階級の中では、20歳代が最も大きく減少し、128人の減少となった。
  • 令和4年は令和3年と比較して、20歳代のみ低下した。令和4年は令和3年と比較して、50歳代及び60歳代で大きく上昇し、それぞれ2.1ポイント、1.2ポイントの上昇となった。
  • 令和4年は令和3年と比較して、有職者が586人増加、次いで無職者が136人増加した。
  • 自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きている。(「経済・生活問題」や「家庭問題」等、他の問題が深刻化する中で、これらと連鎖して、うつ病等の「健康問題」が生ずる等)
  • 令和4年は令和3年と比較して、19府県で減少、28都道府県で増加となった。減少幅が最も大きかったのは山形県で38人、次いで福岡県で35人、青森県で34人の減少となった。
  • 令和4年は令和3年と比較して、19府県で低下、28都道府県で上昇となった。自殺死亡率が最も低かったのは徳島県で12.5、次いで神奈川県で14.5、京都府で14.6の順となった。

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警察庁 犯罪統計資料(令和5年1~2月分)
  • 令和5年1~2月の刑法犯総数について、認知件数は97,862件(前年同期79,554件、前年同期比+23.0%)、検挙件数は39,004件(37,165件、+4.9%)、検挙率は39.9%(46.7%、▲6.8P)
  • 粗暴犯の認知件数は8,611件(6,964件、+23.7%)、検挙件数は7,112件(6,184件、+15.0%)、検挙率は82.6%(88.8%、▲6.2P)
  • 窃盗犯の検挙件数は66,636件(53,670件、+24.2%)、検挙件数は22,973件(22,610件、+1.6%)、検挙率は34.5%(42.1%、▲7.6%)
  • 万引きの認知件数は14,872件(13,729件、+8.3%)、検挙件数は9,418件(9,547件、▲1.4%)、検挙率は63.3%(69.5%、▲6.2P)
  • 知能犯の認知件数は7,098件(5,431件、+30.7%)、検挙件数は2,997件(2,812件、+6.6%)、検挙率は42.2%(51.8%、▲9.6%)
  • 詐欺の認知件数は6,520件(4,896件、+33.4%)、検挙件数は2,568件(2,267件、+13.3%)、検挙率は39.4%(46.4%、▲7.0P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は9,791件(9,609件、+1.9%)、検挙人員は8,095人(7,906人、+2.4%)
  • 入管法違反の検挙件数は688件(501件、+37.3%)、検挙人員は502人(392人、+28.1%)、軽犯罪法違反の検挙件数は1,102件(1,006件、+9.5%)、検挙人員は1,098人(981人、+11.9%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は1,633件(1,375件、+18.8%)、検挙人員は1,285人(1,100人、+16.8%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は173件(138件、+25.4%)、検挙人員は143人(106人、+34.9%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は501件(505件、▲0.8%)、検挙人員は379人(401人、▲5.5%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は69件(49件、+40.8%)、検挙人員は12人(28人、▲57.1%)、不正競争防止法違反の検挙件数は12件(8件、+50.0%)、検挙人員は10人(8人、+25.0%)、銃刀法違反の検挙件数は704件(714件、▲1.4%)、検挙人員は590人(613人、▲3.8%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は136件(137件、▲0.7%)、検挙人員は84人(78人、+7.7%)、大麻取締法違反の検挙件数は968件(843件、+14.8%)、検挙人員は779人(658人、+18.4%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は918件(1,170件、▲21.5%)、検挙人員は613人(769人、▲20.3%)
  • 来日外国人による重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数81人(74人、+18.3%)、ベトナム29人(24人、+20.8%)、中国10人(9人、11.1%)、スリランカ8人(12人、▲33.3%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、刑法犯の検挙件数総数は1,424件(1,574件、▲9.5%)、検挙人員総数は808人(875人、▲7.7%)
  • 暴行の検挙件数は86件(88件、▲2.3%)、検挙人員は82人(94人、▲12.8%)、傷害の検挙件数は133件(157件、▲15.3%)、検挙人員は149人(165人、▲9.7%)、脅迫の検挙件数は55件(55件、±0%)、検挙人員は49人(57人、▲14.0%)、脅迫の検挙件数は59件(50件、+18.0%)、検挙人員は58人(65人、▲10.8%)、窃盗の検挙件数は655件(752件、▲12.9%)、検挙人員は105人(124人、▲15.3%)、詐欺の検挙件数は272件(237件、+14.8%)、検挙人員は206人(183人、+12.6%)、賭博の検挙件数は2件(5件、▲60.0%)、検挙人員は21人(35人、▲40.0%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、特別法犯の検挙件数総数は566件(797件、▲29.0%)、検挙人員総数は351人(537人、▲34.6%)
  • 入管法違反の検挙件数は0件(1件)、検挙人員は0人(6人)、軽犯罪法違反の検挙件数は12件(12件、±0%)、検挙人員は11人(11人、±0%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は2件(5件、▲60.0%)、検挙人員は7人(15人、▲53.3%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は15件(23件、▲34.8%)、検挙人員は8人(5人、+60.0%)、大麻取締法違反の検挙件数は140件(130件、+7.7%)、検挙人員は86人(88人、▲2.3%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は297件(464件、▲36.0%)、検挙人員は159人(289人、▲45.0%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は15件(38件、▲60.5%)、検挙人員は5人(24人、▲79.2%)

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法務省 公安調査庁 「Aleph(アレフ)」を対象とする再発防止処分の決定について
▼無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づく再発防止処分の決定に係る公安調査庁コメント
  • 公安調査庁長官は、いわゆるオウム真理教と同一性を有する、「Aleph」の名称を用いる団体について、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づく再発防止処分の請求を行っていたところ、令和5年3月13日(月)、公安審査委員会から、同処分を行う旨の決定書を受け取りました。
  • 公安審査委員会におかれては、厳正かつ慎重な審査の結果、再発防止処分を決定したものと承知しており、同決定により、「Aleph」は、6か月間、当該団体が所有し又は管理する特定の土地又は建物の全部又は一部を使用することが禁止され、また、金品その他の財産上の利益の贈与を受けることが禁止されることとなります。
  • 公安調査庁としましては、警察当局とも連携を図りながら、再発防止処分の実効性を確保していくとともに、引き続き、観察処分を適正かつ厳格に実施し、当該団体の活動実態を把握するなどして、公共の安全を確保し、松本・地下鉄両サリン事件等の被害者・遺族や地域住民を始め国民の皆様の不安感の解消・軽減に鋭意努めてまいる所存です。
▼再発防止処分決定の概要
  • 被処分団体
    • 「麻原彰晃こと松本智津夫を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め、これを実現することを目的とし、同人が主宰し、同人及び同教義に従う者によって構成される団体」と同一性を有する、「Aleph」の名称を用いる団体
  • 決定した処分の内容・期間
    • 処分の内容
      1. 「Aleph」が所有し又は管理する特定の土地又は建物(専ら居住の用に供しているものを除く。)の全部又は一部の使用を禁止すること(団体規制法第8条第2項第2号)
        • 「Aleph」管理下の4施設の全部及び9施設の一部(「Aleph」が実質的に経営する収益事業の事業所たる作業場所及び道場等)を対象
      2. 「Aleph」が金品その他の財産上の利益の贈与を受けることを禁止すること(同法第8条第2項第5号)
    • 処分の期間
      • 6か月間
  • 当該処分に伴う禁止行為及び罰則
    1. 役職員又は構成員等の禁止行為違反に係る罰則
      • 「Aleph」の役職員又は構成員は、団体の活動として、当該処分に違反する行為をしてはならない(団体規制法第9条第1項)
      • 「Aleph」の役職員又は構成員は、「Aleph」の用に供する目的で、当該処分により使用を禁止された土地又は建物を使用してはならない(同法第9条第2項第2号)
      • 「Aleph」の役職員又は構成員は、「Aleph」の利益を図る目的で、当該処分により贈与を受けることが禁止された金品その他の財産上の利益を贈与の目的として受け取ってはならない(同法第9条第2項第5号)
        • 上記の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処されることとなる(同法第38条)
    2. 土地又は建物の使用禁止に関する標章の損壊等に係る罰則
      • 当該処分により使用が禁止された土地の所在する場所又は建物の出入口の見やすい場所に掲示された標章を損壊し、又は汚損してはならず、また、処分期間中に標章を取り除いてはならない(同法第11条第1項・第3項)
      • 上記の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処されることとなる(同法第40条)

~NEW~
法務省 再犯防止推進計画
▼「第二次再犯防止推進計画」 概要版
  • 第二次再犯防止推進計画策定の経緯
    • 認知件数は戦後最少を更新再犯者率は上昇傾向
      • 平成28年12月「再犯防止推進法」公布・施行
      • 平成29年12月「再犯防止推進計画」閣議決定
    • 第一次再犯防止推進計画に基づく取組
      • 満期釈放者対策の充実強化
      • 矯正施設在所中の生活環境の調整の強化
      • 更生保護施設による訪問支援事業の開始(R3.10~)
    • 地方公共団体との連携強化
      • 「地域再犯防止推進モデル事業」の実施(H30~R2)
      • 地方再犯防止推進計画の策定支援(402団体で策定済み(R4.10.1))
    • 民間協力者の活動の促進
      • 民間資金の活用などによる草の根の支援活動の広がり
      • 数値目標:「2年以内再入率を令和3年(令和2年出所者)までに16%以下にする」
  • 第二次再犯防止推進計画の基本的な方向性
    • 犯罪をした者等が地域社会の中で孤立することなく、生活の安定が図られるよう、個々の対象者の主体性を尊重し、それぞれが抱える課題に応じた“息の長い”支援を実現すること。
    • 就労や住居の確保のための支援をより一層強化することに加え、犯罪をした者等への支援の実効性を高めるための相談拠点及び民間協力者を含めた地域の支援連携(ネットワーク)拠点を構築すること。
    • 国と地方公共団体との役割分担を踏まえ、地方公共団体の主体的かつ積極的な取組を促進するとともに、国・地方公共団体・民間協力者等の連携を更に強固にすること。
  • 7つの重点課題とその具体的施策
    1. 就労・住居の確保
      • 就労の確保
        • 拘禁刑創設や社会復帰後の自立・就労を見据えた受刑者の特性に応じた刑務作業の実施
        • 雇用ニーズに応じた職業訓練種目の整理
        • 寄り添い型の支援による職場定着支援及び離職後の再就職支援、多様な協力雇用主の開拓及びその支援の充実
      • 住居の確保
        • 更生保護施設等が地域社会での自立生活を見据えた処遇(福祉へのつなぎ、薬物依存回復支援、通所・訪問支援等)を行うための体制整備
        • 地域社会における定住先の確保に向けた居住支援法人との連携強化、満期釈放者等への支援情報の提供
    2. 保健医療・福祉サービスの利用の促進
      • 高齢者又は障害のある者等への支援
        • 福祉的支援のニーズの適切な把握と動機付けの強化
        • 刑事司法関係機関、更生保護施設、地域生活定着支援センター、地方公共団体等の多機関連携の強化
        • 被疑者等段階からの生活環境の調整等の効果的な入口支援の実施
      • 薬物依存の問題を抱える者への支援
        • 矯正施設及び保護観察所における一貫した専門的プログラムの実施
        • 更生保護施設等の受入れ・処遇機能の充実、自助グループ等の民間団体との連携強化
        • 増加する大麻事犯に対応した処遇の充実
    3. 学校等と連携した修学支援
      • 矯正施設と学校との連携による円滑な学びの継続に向けた取組の充実
        • 民間の学力試験の活用や高卒認定試験指導におけるICTの活用の推進、在院中の通信制高校への入学
      • 学校や地域社会における修学支援の充実、地域における非行の未然防止
    4. 犯罪をした者等の特性に応じた効果的な指導
      • 拘禁刑創設の趣旨を踏まえた改善指導プログラムの充実、犯罪被害者等の心情を考慮した処遇の充実
      • 若年受刑者に対する少年院のノウハウや設備等を活用した指導、特定少年に成年としての自覚・責任を喚起する指導
      • 性犯罪やストーカー・DV加害者、女性等の特性に応じた指導等の充実
    5. 民間協力者の活動の促進
      • 持続可能な保護司制度の確立とそのための保護司に対する支援
        • 保護司の活動環境等についての検討・試行、保護司活動のデジタル化の推進
      • 地域の民間協力者(NPO法人、自助グループ、弁護士等)の積極的な開拓及び一層の連携
      • 民間事業者のノウハウ等を活用した再犯防止活動の促進
    6. 地域による包摂の推進
      • 国・都道府県・市区町村の役割の明確化
      • 地方公共団体の取組への支援
        • 地方公共団体による再犯防止の推進に向けた取組の促進、地方公共団体への情報・知見の提供
      • 地域における支援の連携強化
        • 保護観察所、法務少年支援センター(少年鑑別所)における地域援助の推進、更生保護地域連携拠点事業の充実
      • 相談できる場所の充実
        • 保護観察所による刑執行終了者等に対する援助の充実、更生保護施設による訪問支援事業の拡充
    7. 再犯防止に向けた基盤の整備
      • 矯正行政・更生保護行政のデジタル化とデータ活用による処遇等の充実、情報連携と再犯防止施策の効果検証の充実、人的・物的体制の整備
  • 7つの成果指標を設定し、本計画に基づく具体的施策の実施状況・効果について適切にフォローアップ
    1. 検挙者中の再犯者数及び再犯者率
    2. 新受刑者中の再入者又は刑の執行猶予歴のある者の数及び割合
    3. 出所受刑者の2年以内再入者数及び再入率
    4. 主な罪名・特性別2年以内再入率
    5. 出所受刑者の3年以内再入者数及び再入率
    6. 主な罪名・特性別3年以内再入率
    7. 保護観察付(全部)執行猶予者及び保護観察処分少年の再処分者数及び再処分率

~NEW~
外務省 北朝鮮の核その他の大量破壊兵器及び弾道ミサイル関連計画その他の北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議により禁止された活動等に関与する者に対する資産凍結等の措置の対象者の追加について
  • 我が国は、令和5年2月18日に北朝鮮がICBM級の弾道ミサイルを発射し、我が国の排他的経済水域内に落下させたことや、同年3月16日にICBM級の弾道ミサイルを発射したこと等を踏まえ、北朝鮮をめぐる問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、主要国が講じた措置の内容に沿い、閣議了解「外国為替及び外国貿易法に基づく北朝鮮の核その他の大量破壊兵器及び弾道ミサイル関連計画その他の北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議により禁止された活動等に関与する者に対する資産凍結等の措置について」(令和5年3月17日付)を行い、これに基づき、外国為替及び外国貿易法による次の措置を実施することとした。
    1. 措置の内容
      • 外務省告示(令和5年3月17日告示)により資産凍結等の措置の対象者として指定された北朝鮮の核その他の大量破壊兵器及び弾道ミサイル関連計画その他の北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議により禁止された活動等に関与する者(3個人)に対し、(1)及び(2)の措置を実施する。
        1. 支払規制
          • 外務省告示により指定された者に対する支払等を許可制とする。
        2. 資本取引規制
          • 外務省告示により指定された者との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とする。
    2. 上記資産凍結等の措置の対象者
▼参考 別添 資産凍結等の措置の対象者

~NEW~
外務省 2022年版開発協力白書 日本の国際協力
▼(全文)2022年版開発協力白書
  • ウクライナ情勢を受けた日本の取組
    • 2022年は、新型コロナウイルス感染症がいまだ収束しない中、ロシアのウクライナに対する侵略が、ウクライナおよびその周辺国のみならず、世界全体に大きな影響をもたらした1年になりました。
    • 2022年2月の侵略開始以来、ウクライナの人々の約3分の1が自宅を追われたとされ、こどもや民間人を含む654万人が国内で、また、1,600万人近くが国外へ、安全を求め避難を強いられています。国内外の避難民の多くが仕事を失い、厳しい状況に晒さらされています。ウクライナ国内に加えて、多くのウクライナの人々が避難する周辺各国においても、一時的避難施設、食料、生活必需品、保健・医療といった支援ニーズが増大しています。また、継続する攻撃により、ウクライナ各地のインフラ施設やエネルギー施設が被害を受けています。保健・医療や教育など必要な社会サービスの提供力が低下しているのみならず、必要なサービスへのアクセスや支援物資の供給を行うにも、がれき除去や地雷・不発弾処理が必要になっているなど、市民生活への影響は続いています。さらに、戦闘の長期化により、越冬のための支援ニーズも高まっています。
    • 世界有数の穀物の輸出国だった両国の間の事態の長期化に伴い、特に両国産穀物に多くを依存するアフリカ、中東、アジアの開発途上国を中心に安定的な穀物の供給に深刻な影響が生じています。さらに、世界各地で穀物の取引価格が上昇し、食料価格の高騰も生じています。新型コロナからの経済回復に伴ってエネルギー需要が拡大する一方で、ロシアのウクライナ侵略により生じている地政学的緊張や世界的な天候不順等の複合的な要因によってエネルギー供給は世界的に拡大せず、エネルギー価格も高騰しています。
    • このように、ロシアによるウクライナ侵略は、ウクライナおよび周辺国における人道状況の悪化や、ウクライナの経済・社会の不安定化をもたらしています。
    • また、世界的にグローバル・サプライチェーンの混乱をもたらし、人々が尊厳を持って生きるための基盤をなす食料およびエネルギー安全保障、自由で開かれた貿易体制の維持強化といった、国際社会全体に関わる新たな課題を浮き彫りにしています。
    • このような複合的な危機による影響は、日本にとって決して対岸の火事ではなく、日本国民の生活や日本企業のビジネスにも深刻な影響を及ぼしています。また、力による現状変更に断固として対応しなければ、それはウクライナだけの問題にとどまらず、アジアを含む他地域においても、同様の動きを認めてしまうことにつながります。日本が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を守り抜くことの重要性がより一層高まっており、日本は、ロシアのウクライナ侵略という暴挙を断固として認めることなく、ウクライナおよびその周辺国に対する支援を進めていくことが必要との一貫した立場に立ち、ロシアによるウクライナ侵略の開始直後から、G7を始めとする国際社会と連携した取組を行っています。
    • 3月、4月に開催されたG7外相会合および首脳会合で、日本は、総額2億ドルの緊急人道支援を表明し、ウクライナおよびウクライナの人々に寄り添い、G7を始めとする国際社会と連携してこの危機を乗り越え、国際社会の平和と安定および繁栄を確保する姿勢を明確に示しました。
    • その後も、日本は、G7、G20、アフリカ開発会議(TICAD)、国連総会など国際的な議論の場において、人道危機対応にとどまらず、ウクライナの包括的な復興・再建に向けた取組や、ウクライナ情勢の影響を受けた世界的な食料不安やエネルギー危機に直面し特に脆弱性を増しているいわゆる「グローバル・サウス」への支援についても、国際社会と連携しつつ、議論を積極的にリードし、取り組んでいく姿勢を示しています。
    • 日本は、これら人道状況への対応、ウクライナの復興・再建を見据えた中長期的な支援、世界的な食料・エネルギー安全保障の危機に直面する国々への支援を進めています。
    • 12月には外務省の補正予算に、ウクライナおよび周辺国向け600億円、アジア、島嶼しょ国、中東、アフリカ等の途上国向け1,022億円の支援が計上されました。G7の役割がかつてなく高まる中、日本は2023年のG7議長国として、ウクライナ情勢を含む国際社会が直面する諸課題に対する取組を主導していきます
  • 安定・安全のための支援
    • 国際的な組織犯罪やテロ行為は、引き続き国際社会全体の脅威となっています。こうした脅威に効果的に対処するには、1か国のみの努力では限界があるため、各国による対策強化に加え、開発途上国の司法・法執行分野における能力向上支援などを通じて、国際社会全体で対応する必要があります。
      1. 治安維持能力強化
        • 日本の警察は、その国際協力の実績と経験も踏まえ、治安維持の要となる途上国の警察機関に対し知識・技術の移転を行いながら、制度作り、行政能力向上、人材育成などを支援しています。
        • その一例として、2022年、警察庁は、インドネシアへの専門家の派遣や、アジアやアフリカ、大洋州などの各国からオンラインでの研修を行い、国民に信頼されている日本の警察のあり方を伝授しています。
      2. テロ対策
        • 新型コロナの感染拡大によりテロを取り巻く環境も大きく変化しました。パンデミックによる行動制限は、都市部でのテロを減少させましたが、人々の情報通信技術(ICT)への依存が高まり、インターネットやSNSを使った過激派組織による過激思想の拡散が容易になりました。また、もともと国家の統治能力が脆弱だった一部の地域では、パンデミックによってガバナンスが一層低下したことにより、テロ組織の活動範囲が拡大しています。新型コロナ対策のための行動制限の緩和に伴い、テロ攻撃が多発する可能性を指摘する声もあります。
        • 2022年、日本は、テロを取り巻く環境の変化に迅速に対応するため、国際機関を通じて様々なプロジェクトを実施しました。例えば、モルディブの若者や女性を対象とした暴力的過激主義に対する対処能力強化や教育支援を国連開発計画(UNDP)経由(約18万ドル)で実施したほか、新型コロナ感染拡大の状況下におけるテロリストによるオンラインおよびオフラインでの搾取行為に対応するため、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)が実施する東南アジア9か国の刑事司法当局の能力向上プロジェクトに45万ドルを拠出しています。
      3. 国際組織犯罪対策
        • 日本は、テロを含む国際的な組織犯罪を防止するための法的枠組みである国際組織犯罪防止条約(UNTOC)の締約国として、同条約に基づく捜査共助などの国際協力を推進しているほか、主に次のような国際協力を行っています。
  • 違法薬物対策
    • 日本は、国連の麻薬委員会などの国際会議に積極的に参加するとともに、2022年はUNODCへの拠出を通じて、東南アジアや中央アジア地域の国々の関係機関との連携を図り、新規化合物を含む違法薬物の流通状況の監視や国境での取締能力の強化を行うほか、薬物製造原料となるけしの違法栽培状況の調査等を継続的に実施し、グローバルに取り組むべき課題として違法薬物対策に積極的に取り組んでいます。
    • また、警察庁では、アジア太平洋地域を中心とする関係諸国と、薬物情勢、捜査手法および国際協力に関する討議を行い、相互協力体制の構築を図っています。
  • 人身取引対策
    • 日本は、人身取引に関する包括的な国際約束である人身取引議定書や、「人身取引対策行動計画2014」に基づき、人身取引の根絶のため、様々な取組を行っています。また、同行動計画を踏まえて、人身取引対策に関する取組の年次報告を公表し、各省庁・関係機関およびNGOなどとの連携を強化しています。2022年には、人身取引対策のさらなる充実・強化のため、「人身取引対策行動計画2022」を策定しました。
    • 日本は国際移住機関(IOM)への拠出を通じて、日本で保護された外国人人身取引被害者に対して母国への安全な帰国支援や、被害者に対する教育支援、職業訓練などの自立・社会復帰支援を実施しています。
    • また、日本は、二国間での技術協力、UNODCなどの国連機関のプロジェクトへの拠出を通じて、東南アジアや中東の人身取引対策・法執行能力強化に向けた取組に貢献しているほか、人の密輸・人身取引および国境を越える犯罪に関するアジア太平洋地域の枠組みである「バリ・プロセス」への拠出・参加なども行っています。
  • 国際的な資金洗浄(マネー・ローンダリング)やテロ資金供与対策
    • 国際組織犯罪による犯罪収益は、さらなる組織犯罪やテロ活動の資金として流用されるリスクが高く、こうした不正資金の流れを絶つことも国際社会の重要な課題です。そのため、日本としても、金融活動作業部会(FATF)などの政府間枠組みを通じて、国際的な資金洗浄(マネー・ローンダリング)やテロ資金供与の対策に係る議論に積極的に参加しています。世界的に有効な資金洗浄やテロ資金供与対策を講じるためには、FATFが定める同分野の国際基準を各国が適切に履行することにより、対策の抜け穴を生じさせない、といった取組が必要です。そのため、資金洗浄やテロ資金供与対策のキャパシティやリソースの不足等を抱える国・地域を支援することは、国際的な資金洗浄やテロ資金供与対策の向上に資することから、日本は、非FATF加盟国のFATF基準の履行確保を担うFATF型地域体の支援等を行っており、特にアジア太平洋地域のFATF型地域体(APG:AsiaPacific Group on Money Lundering)が行う技術支援等の活動を支援しています。
  • 宇宙空間
    • 日本は、宇宙技術を活用した開発協力・能力構築支援の実施により、気候変動、防災、海洋・漁業資源管理、森林保全、資源・エネルギーなどの地球規模課題への取組に貢献しています。また、宇宙開発利用に取り組む新興国の人材育成も積極的に支援しています。
    • 特に、日本による国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」を活用した実験環境の提供や小型衛星の放出は国際的に高く評価されています。2022年8月には、「KiboCUBE」プログラムを通じて、モルドバ初の小型衛星が放出されました。同国内ではガブリリツァ首相や関係者がライブ中継で放出の様子を見守り、現地における日本の宇宙協力に対する期待の高さがうかがえました。
    • また、日本は、宇宙新興国に対する能力構築支援をオールジャパンで戦略的・効果的に行うための基本方針を2016年に策定し、宇宙新興国を積極的に支援しています。例えば、アジアやアフリカ、中南米地域の78か国において、人工衛星「だいち2号」による熱帯林のモニタリングシステム(JICA-JAXA熱帯林早期警戒システム:JJ-FAST)を活用した森林モニタリングを実施しています。2022年に開催されたTICAD8では、日本は、JJ-FASTを活用して、熱帯林を有するアフリカ43か国を対象に森林の定期監視と100名の人材育成を実施するとともに、アフリカ10か国で計800名の森林管理人材を育成することを表明しました。
    • そのほか、宇宙空間における法の支配の実現に貢献すべく、宇宙新興国に対して国内宇宙関連法令の整備・運用に係る能力構築支援を行っています。日本は2021年5月に国連宇宙部(UNOOSA)の「宇宙新興国のための宇宙法プロジェクト」への協力を発表して以降、アジア太平洋地域の宇宙新興国に対して国内宇宙関連法令の整備および運用面での支援を行い、民間活動を含む自国の宇宙活動を適切に管理・監督するために必要となる法的能力の構築に貢献しています。
    • 2022年には、タイ、フィリピンおよびマレーシアに対して個別の法的能力構築支援を実施しました。
  • サイバー空間
    • 近年、自由、公正かつ安全なサイバー空間に対する脅威への対策が急務となっています。この問題に対処するためには、世界各国の多様な主体が連携する必要があり、開発途上国を始めとする一部の国や地域におけるセキュリティ意識や対処能力が不十分な場合、日本を含む世界全体にとっての大きなリスクとなります。そのため、世界各国におけるサイバー空間の安全確保のための協力を強化し、途上国に対する能力構築のための支援を行うことは、その国への貢献となるのみならず、日本を含む世界全体にとっても有益です。
    • 日本は、日・ASEANサイバー犯罪対策対話や日・ASEANサイバーセキュリティ政策会議を通じてASEANとの連携強化を図っており、2022年もASEAN加盟国とサイバー演習および机上演習を実施しました。また、国際刑事警察機構(インターポール)を通じて、新型コロナの感染拡大の状況下において増大したサイバー空間で行われる犯罪に対処するための法執行機関関係者の捜査能力強化などを支援しました。
    • このほか、日本が拠出する日・ASEAN統合基金(JAIF)を活用し、タイのバンコクに日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター(AJCCBC)が設立されました。同センターでは、ASEAN各国の政府機関や重要インフラ事業者のサイバーセキュリティ担当者などを対象に実践的サイバー防御演習(CYDER)などが提供されており、ASEANにおけるサイバーセキュリティの能力構築への協力が推進されています。新型コロナの世界的流行の中、持続的な研修実施の観点から、自主学習教材の提供や対面での演習プログラムを全てオンラインで実施可能にしました。2022年10月より対面で研修を再開し、11月には2年ぶりに若手技術者がサイバーセキュリティスキルを競い合うCyber SEA Gameが対面で開催されました。
    • また、日本は、世界銀行の「サイバーセキュリティ・マルチドナー信託基金(Cybersecurity MultiDonor Trust Fund)」への拠出も行い、低・中所得国向けのサイバーセキュリティ分野における能力構築支援にも取り組んでいます。
    • さらに、警察庁では、2017年からベトナム公安省のサイバー犯罪対策に従事する職員に対し、サイバー犯罪への対処などに係る知識・技能の習得および日・ベトナム治安当局の協力関係の強化を目的とする研修を実施しています。
    • 経済産業省も、2018年度から毎年度、日米の政府および民間企業の専門家と協力し、インド太平洋地域向けに、電力やガスなどの重要インフラ分野に用いられる産業制御システムのサイバーセキュリティに関する演習を実施しています。2021年度からはEUも主催者として参加しています。
  • 不正行為の防止
    • ODA事業に関連した不正行為は、適正かつ効果的な実施を阻害するのみならず、国民の税金を原資とするODAへの信頼を損なうものであり、絶対に許されるものではありません。
    • 外務省およびJICAは、過去に発生した不正行為の教訓を踏まえつつ、これまで、監視体制の強化(不正腐敗情報に係る窓口の強化、第三者検査の拡大など)、ペナルティの強化(排除措置期間の上限引上げ、違約金の引上げ、重大な不正行為を繰り返した企業に対する減点評価の導入など)、および排除措置の対象拡大(措置対象者の企業グループや、措置期間中の者から事業譲渡などを受けた者も対象に加えるなど)を行い、不正行為を防止するための取組を強化してきました。
    • 日本は、ODA事業に関連した不正行為は断じて許さないという強い決意の下、引き続き、不正行為の防止に向け、しっかりと取り組んでいきます。
  • 国際協力事業関係者の安全対策
    • ODA事業を中心とする開発協力の実施にあたっては、JICA関係者のみならず、ODAに携わる企業、NGOなど全ての国際協力事業関係者の安全確保が大前提です。2022年は、新型コロナウイルス感染症に対する水際措置や行動制限の緩和・撤廃が世界的に進みました。外務省およびJICAは、こうした状況においても油断することなく、海外渡航に伴う適正なリスク評価と適切な感染予防・感染拡大防止策を継続し、JICA海外協力隊を含む国際協力事業関係者の安全確保に努め、事業推進に尽力しました。
    • また、2016年7月のバングラデシュ・ダッカ襲撃テロ事件後、関係省庁、政府関係機関および有識者が参加した国際協力事業安全対策会議での再検証の結果公表された「最終報告」を受け、外務省およびJICAは、同報告書に記載された安全対策の実施に取り組むとともに、国際協力事業関係者の安全対策の実効性を確保するための対応を継続・強化しています。最終報告以降に常設化された2022年の同会議では、最近のテロ情勢および治安状況を含む世界情勢の変化を踏まえ、国際協力事業関係者の安全対策に関する取組などについて議論を行いました。
    • 新型コロナの感染拡大下においてもテロのリスクは減っていないことから、2022年4月、外務省は、国際協力事業関係者を含む国民の海外での安全対策強化のために活用してきた「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」に、感染症流行下でのテロといった「複合化したリスク」への対策の必要性を訴えるエピソードと解説の動画を追加し、公開しました。また、2022年10月より、LINEサービス上で、「デューク東郷からの伝言」との形でゴルゴ13を交えた安全対策の啓発・マメ知識の配信も行っています。

~NEW~
首相官邸 犯罪対策閣僚会議
  • 令和5年3月17日、岸田総理は、総理大臣官邸で第36回犯罪対策閣僚会議を開催しました。会議では、「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」(案)等について議論が行われました。総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
  • 「最近、SNSを使って実行犯を募集する闇バイト強盗と言われる強盗事件が各地で発生しています。特殊詐欺の認知件数や被害額も増加しており、多くの国民から『自分が被害者になるのではないか』との不安の声が寄せられています。国民の皆様の安全・安心な暮らしを守り抜くことは、政府の最大の責務です。本日決定した緊急対策プランには、このような犯罪から国民を守るため、事件の背後にいる首謀者を含めた犯罪者グループの壊滅に向けた、警察による強力な取締りはもちろん、サイバーパトロールを通じた闇バイト情報の排除や名簿流出の防止対策、悪質な電話転送事業者への対策強化といった、犯罪を実行しにくくするための対策や、置き配の推進や防犯性能の高い建物部品、ナンバーディスプレイの普及といった、犯罪者グループが高齢者等に付け入る隙をなくすための対策など、省庁の垣根を越え、緊急に取り組むべき対策を取りまとめました。
  • 各閣僚にあっては、国民の不安を解消するため、本プランを全力で推進するようお願いいたします。
  • また、先日、中学校に刃物を持った少年が侵入し、教員を切りつけるという事件が発生しました。子供たちが過ごす学校の安全の確保は、極めて重要な課題です。不審者の侵入を許さず、子供たちが安心して学校で学べるよう、学校の危機管理マニュアルの総点検を行うとともに、防犯カメラ、オートロックシステム、非常通報装置等の整備について、最大限の財政的な支援を行います。関係省庁で連携して、万全の対策を講ずるようお願いいたします。
  • さらに、安全・安心な社会の実現のためには、再犯防止の取組も重要です。本日、第二次再犯防止推進計画を決定いたしました。地方自治体や民間の協力を得ながら、関係省庁が緊密に連携し、再犯防止にしっかりと取り組むようお願いいたします。」

~NEW~
首相官邸 特殊詐欺事案に関する 緊急対策プラン
▼特殊詐欺事案に関する 緊急対策プラン 本文
  • 序「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」の策定に当たって
    • 「闇バイト強盗」と称される強盗等事件が広域で発生した。
    • これまでに14都府県で50数件が把握されている一連の事件では、60数人の被疑者が検挙されている。
    • これらの事件では、「「高額バイト」、「即日即金」などの文言を用い、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)上で実行犯を募集する手口がとられること」、「被害者を拘束した上で暴行を加えるなど、凶悪な犯行態様であること」などの特徴がみられる。
    • 現在、警察において、全容解明に向けた捜査が進められるとともに、各種の防犯対策がなされているところであるが、国民の間では、「もしかしたら自分が被害に遭うかもしれない」という不安感が広がっている。
    • 特殊詐欺をめぐる情勢も、なお深刻である。
    • 特殊詐欺の認知件数は、令和3年以降、増加しており、また、その被害額は、令和4年に8年ぶりに増加に転じている。検挙件数・人員も、令和4年に増加に転じている。
    • そして、特殊詐欺被害者の大部分は、高齢者である。
    • 政府では、令和元年6月、特殊詐欺等から高齢者を守るための総合対策として、「オレオレ詐欺等対策プラン」(令和元年6月25日犯罪対策閣僚会議決定)を策定し、特殊詐欺の認知件数・被害額を減少させるなどの一定の成果を上げてきた。同プランにおいては、「犯人からの電話の内容の不自然さに気付く」、「少しでも不審に感じたときには家族に確認や相談をしやすくする」ためには、家族間でのコミュニケーションや、地域社会、民間事業者等の幅広い協力による連携が重要であるとの認識の下、被害防止対策を推進するとともに、犯行ツール対策、効果的な取締り等を行うこととしている。
    • これらの対策は、「闇バイト強盗」と称される強盗等事件を抑止する上でも、有効であると考えられる。
    • 他方、強盗や特殊詐欺の犯罪者グループ等は、いわゆる「架け子」、「受け子」、「出し子」、「現金回収・運搬役」、「リクルーター」等のように、役割分担を細分化させ、そのネットワークを海外にまで広げているケースもみられる。
    • また、指示役と実行役との間の指示・連絡に、秘匿性の高い通信手段を用いるなどし、犯行の手口を一層巧妙化させている。
    • さらに、犯罪者グループ等に対し、預貯金口座や携帯電話を不正に譲渡する者や、電話転送サービス等の提供を行うなどしている悪質な事業者の存在が依然として認められる。
    • こうした情勢を踏まえ、この種の犯罪から国民を守るためには、「高齢者等が被害に遭わないようにする」という観点にとどまらず、「組織的に敢行される犯罪そのものを封じ込める」、「そもそも高齢者等が犯罪者グループ等と接点を持たないようにする」といった観点から、一層踏み込んだ対策を講じることが不可欠である。
    • そこで、政府は、以下の四つの柱から早急に対策を講じることとした。
    • 1点目は、犯罪者グループ等が巧妙な手段で犯罪の実行者の「募集」を図っている実態等に鑑み、「実行犯を生まない」ための対策である。
    • 2点目は、犯罪者グループ等が高齢者等の資力等に関する個人情報、他人名義の預貯金口座や携帯電話、秘匿性の高い通信アプリケーション等を用いて犯行に及んでいる実態等に鑑み、「実行を容易にするツールを根絶する」ための対策である。
    • 3点目は、犯罪者グループ等が偽装や甘言など様々な手口を用い高齢者等に接近して犯行に及んでいる実態等に鑑み、高齢者等が犯罪者グループ等と接点を持たないようにするという観点から、「被害に遭わない環境を構築する」ための対策である。
    • 4点目は、犯罪者グループ等の実態を含む真相の解明を迅速に実現するべく、「首謀者を含む被疑者を早期に検挙する」ための対策である。
    • これら対策のパッケージとして、今般、「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」を策定することとした。
    • 本プランは、「オレオレ詐欺等対策プラン」とあいまって、必要な対策の推進を促すものである。
    • 政府は一体となって、地方公共団体、民間事業者等の協力を得ながら、本プランに基づく施策を強力に推進することとする
  • 「実行犯を生まない」ための対策
    1. 「闇バイト」等情報に関する情報収集、削除、取締り等の推進
      • 「闇バイト」等情報がSNS上で発信されている実態がみられるところ、こうした情報による犯罪実行者の募集を防ぐため、引き続き、警察において、サイバーパトロール等を通じて把握した情報を端緒とする捜査を推進するとともに、こうした情報が確実に削除されるよう、インターネットサービスプロバイダー等に対する働き掛けを行うほか、返信(リプライ)機能を活用した投稿者等に対する個別警告等を推進する。
      • また、違法情報の取締りや有害情報を端緒とした取締りを強化すべく、「闇バイト」等情報の自動検索を行うAIの活用等も含め、効果的かつ効率的な対策を推進する。
      • インターネット利用者等からの違法情報等に関する通報の受理、警察への通報、サイト管理者への削除依頼等を行う「インターネット・ホットラインセンター」で取り扱う有害情報の範囲に、令和5年2月15日、個人の生命・身体に危害を加えるおそれが高い重要犯罪と密接に関連する情報を追加した。国民に対し、「インターネット・ホットラインセンター」に対する情報提供を呼び掛けつつ、「インターネット・ホットラインセンター」及び「サイバーパトロールセンター」の効果的な運用により、「闇バイト」等情報の排除に向けた更なる対策を推進する。
      • そのほか、主要なSNS事業者が、モデル約款やその解説の記述を参考に、利用者からの通報を受けた場合や自主的な検知を行った場合、「インターネット・ホットラインセンター」からの「闇バイト」等情報に関する削除要請があった場合に、利用規約等に基づき投稿の削除等の措置を講ずるよう、事業者団体に通知を行う。
    2. サイバー空間からの違法・有害な労働募集の排除
      • 犯罪の実行者を募集する「闇バイト」等情報の発信は、「公衆衛生上有害な業務に就かせる目的」での「労働者の募集」等として、職業安定法4第63条第2号に規定する違法行為に該当することから、健全な労働市場の確保のため、警察とも連携しつつ、違法な労働募集に対するネットパトロール活動を推進し、その排除を図る。
      • また、求人メディア等の業界団体及び事業主に対し、違法・有害な募集情報(疑わしい情報を含む。以下同じ。)の掲載を防止するために必要な措置を講ずるよう、警察とも連携しつつ、広報・啓発を徹底する。
      • さらに、求人メディア等の業界団体及び事業主に対し、違法・有害な募集情報を掲載していることを発見した場合、警察と連携して適切に対応するよう、要請する。
      • 加えて、都道府県労働局に対し、都道府県労働局が違法・有害な募集情報が掲載されていることを把握した場合、警察と連携して適切に対応するよう、通知する。
    3. 青少年をアルバイト感覚で犯罪に加担させない教育・啓発
      • 青少年を取り巻く有害環境の浄化対策の推進
        • 「青少年の非行・被害防止全国強調月間」において、国、地方公共団体、関係団体等が相互に協力しながら、少年が「闇バイト」等情報により重大な犯罪に加担する危険性について広報・啓発を推進するとともに、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第5次)」(令和3年6月7日子ども・若者育成支援推進本部決定)に基づく広報・啓発の一環として、保護者等に対し、子供がSNS上における「闇バイト」等情報をきっかけに加害者となる危険性があることを注意喚起する。
      • 児童生徒等の非行防止のための取組の推進等
        • 小学校、中学校及び高等学校における児童生徒の非行防止に関しては、各種通知や生徒指導の基本書となる生徒指導提要において、
        • 児童生徒本人からの前兆行動を把握し、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーや警察を含む関係機関等と連携し、アセスメントを行うこと
        • 警察官等を外部講師として招き、地域の非行情勢や非行要因等について児童生徒に情報発信する「非行防止教室」等を実施することが有効であること等を示しており、引き続き、「闇バイト」等の犯罪行為への加担防止も含め、児童生徒の非行防止に係る取組を推進する。
        • また、大学等に対しても、令和5年3月1日に所要の通知を発出し、注意喚起を行ったところであり、引き続き、学生が犯罪に加担してしまうことがないよう、必要な取組を推進する。
      • 情報モラル教育の着実な実施
        • 学習指導要領において情報モラルを含む情報活用能力を育成することとしているところ、小学校段階から、情報発信による他人や社会への影響について考えさせる学習活動や、ネットワーク上のルールやマナーを守ることの意味について考えさせる学習活動などを通じて、情報モラルを確実に身に付けさせる。
      • 青少年に対する広報・啓発の推進
        • SNS等の利用を通じて青少年が「闇バイト」等情報に触れるなどし、事の重大性を認識することなく、アルバイト感覚で犯罪に加担してしまうこと等のないよう、防犯教室や非行防止教室等の場を活用して、SNS等を用いた犯罪の発生状況、手口等について情報発信するとともに、学生向けに労働関係法令を分かりやすく解説したハンドブックや、インターネットに係るトラブル事例の予防法等をまとめた「インターネットトラブル事例集」2023年版に注意喚起を盛り込むことなどにより、青少年に対する広報・啓発を推進する。
    4. 強盗や特殊詐欺の実行犯に対する適正な科刑の実現に向けた取組の推進
      • SNS上で実行犯を募集する手口がとられたり、凶悪な犯行態様で敢行されたりする昨今の強盗事件をめぐる状況や、認知件数・被害額が増加に転じるなど、引き続き深刻な情勢にある特殊詐欺の状況を踏まえ、犯罪者グループ等において実行犯を担った者に対する適正な科刑を実現すべく、捜査において、余罪の積極的な立件、令和4年12月に法定刑の引上げ等がされた組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(犯罪収益等隠匿・収受)の適用等を推進するとともに、公判においても、悪質な事情について、適切に主張・立証する。
  • 「実行を容易にするツールを根絶する」ための対策
    1. 個人情報保護法の的確な運用等による名簿流出の防止等の「闇名簿」対策の強化
      • 個人情報保護法の的確な運用等
        • 今般、「名簿屋」等の事業者に対して、個人情報保護法の規定の下での個人データの取扱いの実態を把握するため、個人データの第三者提供における、提供先に対する本人確認手続等の実施の有無等に関する調査を実施しているところ、その結果等を踏まえ、個人データの適正な取扱いが一層確保されるようにするため、厳格な法執行を推進する。
        • また、例えば、従業者教育等安全管理措置の徹底等の個人情報の適正な取扱いの確保を図るべく、業界団体等への働き掛け等、・今後、様々なチャンネルを通じた広報・啓発を更に推進する。
      • あらゆる法令を駆使した取締り等の推進
        • 個人情報を悪用した犯罪被害を防止するため、特殊詐欺等の捜査の過程で入手した名簿の登載者に対し、注意喚起や防犯指導を引き続き行うとともに、犯罪者グループ等にこうした名簿を提供する悪質な「名簿屋」、さらに個人情報を不正な手段により取得して第三者に提供する者に対し、あらゆる法令を駆使した取締り等を推進する。
      • 犯罪の利用目的のための個人情報収集に係る注意喚起
        • 電話や自宅訪問等により、真の目的を偽装して、個人の資産や貴金属の所有状況、家族構成等を聞き出して犯罪に利用するケースもみられることから、このような不当な個人情報の収集活動に対する注意を一層喚起する。
    2. 携帯電話等の本人確認や悪質な電話転送サービス事業者対策の推進
      • 本人確認の実効性の確保に向けた取組
        • 携帯電話や電話転送サービスの契約時の本人確認において、本人確認書類の券面の偽変造による不正契約が相次いでいることから、携帯電話不正利用防止法及び犯罪収益移転防止法等で定められている本人確認の実効性の確保のため、制度改正を含め、非対面の本人確認においてマイナンバーカードの公的個人認証機能の積極的な活用を推進する。
      • 通信事業者・電話転送サービス事業者に対する指導監督の強化
        • 特殊詐欺の犯行には、匿名での架電を可能とする様々な通信手段が利用されているところ、総務省、警察庁等の関連省庁が連携して施策を推進することにより、こうしたサービスの悪用防止対策を更に強化する。具体的には、固定電話番号の利用停止等スキーム等を通じて、警察が把握した悪質な電話転送サービス事業者に係る情報を活用して、総務省が、犯罪収益移転防止法及び電気通信事業法等に基づく指導監督を効果的に行うことができる仕組みを構築するほか、悪質な電話転送サービス事業者が大量に保有している「在庫番号」の利用を一括して制限するための仕組みを新たに設け、電話の悪用防止対策の実効性向上を図る。
    3. 悪用されるSMS機能付きデータ通信契約での本人確認の推進
      • 契約時の本人確認が義務化されていないSMS機能付きデータ通信専用SIMカードについて、電気通信事業者に対して、契約時における本人確認の実施を更に推進する。また、SMS機能付きデータ通信専用SIMカードについて、「闇バイト」等情報の発信や犯行の指示等の手段への利用を含め不正利用の実態について分析を行い、これを踏まえて、制度改正を含めた検討を行う。
    4. 預貯金口座の不正利用防止対策の強化
      • 不正に譲渡された預貯金口座等が、犯罪者グループ等内での金銭の授受等に用いられている実態がみられるところ、預貯金口座に係る顧客管理の強化を図り犯罪への悪用を防止するべく、業界団体等を交えた検討を行いつつ、犯罪収益移転防止法により求められている預貯金口座利用時の取引時確認や金融機関による顧客等への声掛け・注意喚起を徹底・強化するなどの対策を推進する。
      • また、犯罪収益移転防止法等で定められている本人確認の実効性の確保のため、制度改正を含め、非対面の本人確認においてマイナンバーカードの公的個人認証機能の積極的な活用を推進する。
    5. 証拠品として押収されたスマートフォン端末等の解析の円滑化
      • 高度な情報通信技術を用いた犯罪に対処するため、最新の電子機器やアプリケーションの解析のための技術力の向上、パスワードが不明なスマートフォン端末の解析等を行う解析用資機材の充実強化、外国捜査機関や研究機関等の関係機関との連携・情報共有、検察官や捜査員等に対する研修等を推進し、情報技術解析に関する態勢を強化する。
    6. 秘匿性の高いアプリケーションの悪用防止
      • 秘匿性の高いアプリケーションの悪用に係る注意喚起
        • 「闇バイト」等情報の応募者が、リクルーターや指示役から、連絡に秘匿性の高い通信アプリケーションを用いるように誘導され、当該アプリケーション上でのやりとりに移行したとみられる実態があることを踏まえ、犯罪に加担する事態を防ぐために、SNSを含む「闇バイト」等への応募の入り口になりそうな場面における注意喚起のメッセージの表示や、「インターネットトラブル事例集」2023年版などを通じ、広報・啓発を実施する。
      • 青少年を取り巻く有害環境の浄化対策の推進【再掲】
        • 「青少年の非行・被害防止全国強調月間」において、国、地方公共団体、関係団体等が相互に協力しながら、少年が「闇バイト」等情報により重大な犯罪に加担する危険性について広報・啓発を推進するとともに、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第5次)」(令和3年6月7日子ども・若者育成支援推進本部決定)に基づく広報・啓発の一環として、保護者等に対し、子供がSNS上における「闇バイト」等情報をきっかけに加害者となる危険性があることを注意喚起する。
    7. 帰国する在留外国人による携帯電話・預貯金口座の不正譲渡防止
      • 携帯電話の不正譲渡防止
        • 帰国する在留外国人から不正に譲渡された携帯電話が「飛ばし携帯」として第三者の手に渡り、犯行に利用される実態がみられるところ、携帯音声通信事業者の協力を受けるなどして、携帯電話不正利用防止法等に規定された契約者確認の実効性確保のための検討を行う。
      • 預貯金口座の不正譲渡防止
        • 帰国する在留外国人から不正に譲渡された預貯金口座が、犯行に利用される実態がみられるところ、こうした預貯金口座が不適切に使用されるような事態を防止するべく広報・啓発活動を引き続き推進するとともに、犯罪者グループ等が当該外国人になりすまして預貯金口座を悪用することのないよう、業界団体等を交えた検討を行いつつ、在留期間に基づいた預貯金口座の管理を強化するなどの対策を推進する。
        • 併せて、金融機関が、サービスの悪用防止のため、在留外国人の在留期限の確認等が円滑に行えるような情報の共有態勢について検討を行う。
      • 在留外国人等に対する広報・啓発の実施
        • 在留外国人に対し、携帯電話・預貯金口座の不正譲渡の違法性の広報・啓発を徹底し、注意喚起するため、出入国在留管理庁において在留外国人に向けた広報・啓発資料の掲示等を行い、未然防止に努める。
        • また、日本に新たに入国する技能実習生等については、外国人本人に対し、又は受入機関を通じて、携帯電話・預貯金口座の不正譲渡の防止のための周知・啓発に取り組んでいるところであり、引き続き適切に実施する。
        • さらに、在外公館においても、上記広報・啓発の資料を掲示及び配布、公館ウェブサイトに掲載するなど、未然防止に努める。
  • 「被害に遭わない環境を構築する」ための対策
    1. 宅配事業者を装った強盗を防ぐための宅配事業者との連携
      • 強盗等事件では、宅配事業者の訪問を偽装するなどの手段で一般住宅等に侵入する手口がみられるところ、いわゆる「置き配」等の非対面形式の宅配方法の普及が対策として効果的と考えられることから、強盗等を企図する者が住居等に不法に侵入する機会を低減するため、非対面形式の宅配方法の拡充等の取組を宅配事業者と連携して推進する。
      • また、国土交通省においては、今後実施する「再配達削減PR月間」を通じ、経済産業省や宅配事業者、EC(e コマース)事業者等と連携し、再配達削減に係る取組を紹介するなど、消費者に対し、置き配等の活用を呼び掛ける。
    2. 防犯性能の高い建物部品、防犯カメラ、宅配ボックス等の設置に係る支援
      • 警察庁、国土交通省、経済産業省、建物部品関連の民間団体等から構成される「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」や「5団体防犯建物部品普及促進協議会」において一定の防犯性能があると評価された建物部品(CP部品)をウェブサイトで公表するなどし、引き続き、その普及に努めるほか、侵入犯罪対策の広報・啓発を推進する。
      • また、CP部品として登録されたドア・窓への交換や、防犯カメラ、宅配ボックスの設置等への支援により、防犯性の高い住宅への改修を促進する。
    3. 高齢者の自宅電話番号の変更等支援
      • 特殊詐欺等の捜査の過程で入手した名簿の登載者に対し、注意喚起を徹底するほか、防犯機能を備えた固定電話機の設置・導入や、自宅電話番号の変更を含む被害防止対策等について広報・啓発を行う。
      • なお、警察の注意喚起を偽装した特殊詐欺等も想定されるところ、これを防止する観点から、不審に感じた場合は#9110に確認の電話をすることなどを併せて周知徹底する。
      • また、電気通信事業者に対して、警察からの情報提供により、当該名簿への登載が確認されたこと等を契機として、固定電話番号の変更を希望する契約者については、番号変更にスムーズに応じるよう要請を行う。
    4. 高齢者の自宅電話に犯罪者グループ等から電話が架かることを阻止するための方策
      • 特殊詐欺の予兆電話等に利用された電話番号や海外経由の通信サービスに係る対策の検討
        • 特殊詐欺の予兆電話等に利用された電話番号や、非通知設定の電話、海外経由の通信サービスが関与する電話からの着信を機械的に阻止するなどの方策について検討する。
      • 発信者番号表示サービス等の普及等
        • アポ電等の悪質な電話の被害を抑止するためには、各個人が発信者番号を見て対策していただくことが重要であることから、電気通信事業者に対して、発信者番号を表示するサービス(ナンバーディスプレイ等)の普及拡大を図るとともに、利用者本人からの申出に従って、非通知設定で架かってきた電話を着信しないように設定できるサービス(ナンバーリクエスト等)や、非通知設定の電話等を自動で拒否することができるような端末(特殊詐欺対策アダプタ等)の普及促進に取り組むよう要請する。
        • また、関係機関が連携し、固定電話利用者に対して、非通知設定の電話等については、意図せず出ないように呼び掛けを行う。
    5. 現金を自宅に保管させないようにするための対策
      • 高齢者が自宅に保管する現金を狙った「現金手交型」の特殊詐欺等が発生している実態がみられるところ、こうした被害を防止するため、高齢者に対して具体的な犯行手口について注意喚起を行うとともに、高額の現金を自宅に保管することの危険性について広報・啓発し、金融機関への預貯金等を活用するなどの予防対策の広報・啓発を図る。
    6. パトロール等による警戒
      • 警察において、職務質問や防犯指導等の効果的な実施を通じて、事件等の発生を防ぐとともに、犯罪を取り締まるため、犯罪の多発する時間帯・地域に重点を置くなどしたパトロールを、引き続き、推進する。
  • 「首謀者を含む被疑者を早期に検挙する」ための対策
    1. 犯罪者グループ等の実態解明に向けた捜査を含む効果的な取締りの推進
      • 事件の背後にいる首謀者や指示役も含めた犯罪者グループ等の弱体化・壊滅のため、新たな捜査手法の検討や、短時間で局面が展開する事案等に際しても迅速な捜査を行うことができるようにするための環境整備等を含め、効果的な取締りのための取組を推進する。
      • 電気通信事業者が保有している通信履歴情報等の円滑な差押えを可能とする対応について、警察庁・総務省・関係事業者間の連携・協議の場を設けて取組を推進する。
    2. 国際捜査の徹底・外国当局等との更なる連携
      • 首謀者や指示役が海外に所在するなどのケースにおいては、外国捜査機関等との迅速な情報交換や、捜査に必要な証拠の提供を通じ、事件の全容解明を図る必要があるところ、ICPO等を通じた捜査協力を推進するほか、外交ルートや条約・協定を活用して国際捜査共助等の円滑・迅速化に取り組む。
      • また、被疑者の引渡しや退去強制に係る調整が一層円滑・迅速になされるよう、外国政府・外国捜査機関等との連携を一層深める。
    3. 現金等の国外持出し等に係る水際対策の強化
      • 国民の安全・安心の確保や経済活動の健全な発展に寄与するため、「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の推進に関する基本方針」(令和4年5月19日マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議決定)等に基づき、関係機関と緊密に連携し、海外への不正な現金等の持出しに係る水際での取締りを実施する。

~NEW~
内閣府 障害者施策の総合的な推進-基本的枠組み-
▼障害者基本計画(第5次計画 令和5年度~令和9年度) 本文
  • はじめに
    • 我が国における障害者施策に関する基本法としての位置付けを有する法律を遡ると、昭和45(1970)年に制定された心身障害者対策基本法(昭和45年法律第84号)に端を発することとなる。同法は、心身障害者対策の総合的推進を図ることを目的として、心身障害者の福祉に関する施策の基本となる事項等を定めており、心身障害があるため長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者を「心身障害者」と位置付けていた。
    • 平成5(1993)年、同法は障害者基本法(以下「基本法」という。)に改正され、従来の心身障害者に加え、精神障害により長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者についても、新たに「障害者」と位置付けられることとなった。さらに、法の目的も、障害者の自立とあらゆる分野の活動への参加の促進に改められた。
    • その後、平成16(2004)年の改正では、障害者差別等をしてはならない旨が基本的理念として新たに規定されるとともに、中央障害者施策推進協議会が創設された。さらに、多くの障害当事者の参画の下で検討が進められた平成23(2011)年の改正では、平成19(2007)年に我が国が署名した障害者の権利に関する条約(以下「条約」という。)の批准に向けた国内法整備の一環として、条約が採用する、いわゆる「社会モデル」の考え方や「合理的配慮」の概念が新たに取り入れられるとともに、国内において障害者基本計画の実施状況を監視し、勧告を行う機関として、障害者政策委員会が新たに設置された。
    • この基本法に基づき、平成25(2013)年9月には「障害者基本計画(第3次)」、平成30(2018)年3月には「障害者基本計画(第5次)」(以下「本基本計画」という。)の前身に当たる「障害者基本計画(第4次)」(以下「旧基本計画」という。)が閣議決定された。旧基本計画は、我が国が条約を批准した後に初めて策定される障害者基本計画として条約との整合性確保に留意しつつ、各分野に共通する横断的視点として、「条約の理念の尊重及び整合性の確保」、「社会のあらゆる場面におけるアクセシビリティの向上」、「当事者本位の総合的かつ分野横断的な支援」、「障害特性等に配慮したきめ細かい支援」、「障害のある女性、子供及び高齢者の複合的困難に配慮したきめ細かい支援」及び「PDCA(注釈1・企画(Plan)、実施(Do)、評価(Check)及び見直し(Act)をいう。)サイクル等を通じた実効性のある取組の推進」の6点が掲げられるとともに、11の施策分野ごとに基本的考え方や具体的な取組が示されており、本基本計画の策定に至るまでの間、障害者政策委員会における実施状況の監視を経ながら、それぞれの施策分野で着実に取組が進められてきた。
    • また、令和4(2022)年5月には、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策を総合的に推進することを目的として、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(令和4年法律第50号。以下「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」という。)が制定され、障害者基本計画の策定や変更に当たっては同法の規定の趣旨を踏まえることとされた。
  • 条約の基本的な考え方
    1. 「障害」の捉え方
      • 従来の「障害」の捉え方は、心身の機能の障害のみに起因するとする、いわゆる「医学モデル」の考え方を反映したものであった。一方、条約では、障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、心身の機能の障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとする、いわゆる「社会モデル」の考え方が貫かれている。
    2. 平等・無差別及び合理的配慮
      • 条約は、第1条において「全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進すること」を目的と定めている。
      • また、第2条では、障害者の人権と基本的自由を確保するための「必要かつ適当な変更及び調整」であって、「均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」を「合理的配慮」と定義し、第5条で、締約国に対し、障害に基づくあらゆる差別を禁止することや、合理的配慮の提供が確保されるための適当な措置を採ることを求めている。さらに、第4条では、締約国に対し、障害者に関する問題についての意思決定過程において、障害者と緊密に協議し、障害者を積極的に関与させることを求めている。
    3. 実施に関する仕組み
      • 条約は、第33条において、自国の法律上・行政上の制度に従って「条約の実施を監視するための枠組み」を自国内に設置することを締約国に求めている。我が国では、障害者、障害者の自立・社会参加に関する事業の従事者及び学識経験者から構成される障害者政策委員会が設置されており、障害者基本計画の実施状況の監視を通じて条約の実施状況を監視している。この「条約の実施を監視するための枠組み」は、これまでの人権条約には見られない新たな規定である。
      • また、第35条において、締約国に対し、「条約に基づく義務を履行するために採った措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する包括的な報告」を、国連事務総長を経由して障害者権利委員会に提出することを求めている。この報告の作成に当たっては、公開された透明性のある過程を踏むことを検討するとともに、障害者の関与について十分な考慮を払うことが求められている。
      • 障害者権利委員会は、締約国から選ばれた18名の専門家から構成され、締約国による報告を検討し、提案や勧告を行うことが定められている。この仕組みにより、締約国は条約の実施について国際的に審査されることになる
      • 差別の禁止
      • 基本法第4条において、障害者差別その他の障害者に対する権利利益の侵害行為が禁止されるとともに、合理的配慮の提供が求められていること、また、条約第5条においても、障害に基づくあらゆる差別を禁止するとともに、合理的配慮の提供が確保されるための適当な措置を採ることが求められていること、さらに、障害者差別解消法においてこうした趣旨が具体化されていることに鑑みれば、障害者差別その他の権利利益を侵害する行為を禁止するとともに、社会的障壁を除去するための合理的配慮が提供される必要がある。
      • 我が国においては、平成28(2016)年4月から障害者差別解消法が施行された後、検討規定に基づく所要の見直しが行われ、令和3(2021)年6月に障害者差別解消法改正法が公布された。障害者差別解消法改正法では、事業者に対し合理的配慮の提供を義務付けるとともに、行政機関相互間の連携の強化を図るほか、障害を理由とする差別を解消するための支援措置が強化され、その施行期日は、公布の日(令和3(2021)年6月4日)から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日(令和6(2024)年4月1日)とされている。障害者差別解消法改正法の施行に向けては、政府全体の方針として改定された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(令和5年3月14日閣議決定)を受けて、各省庁において所管分野を対象とした対応指針の見直しや、各地方自治体における相談体制の整備を始めとした様々な対応が必要となる。これらの取組や国民全体への周知啓発といった施行前に必要となる準備を十分に行うことが求められる
  • おわりに~今後に向けて~
    • 本基本計画は、障害者を、必要な支援を受けながら自らの決定に基づき社会のあらゆる活動に参加する主体として捉えた上で、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することで、条約が目指す社会の実現につなげる。
    • 加えて、災害発生時や新型コロナウイルス感染症の感染拡大など、非常時に障害者が受ける影響やニーズの違いに留意しながら取組を進めることが必要であることや、2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機とした機運を一過性のものにすることなく、障害者への偏見や差別意識を社会から払拭し、障害の「社会モデル」等障害者の人権の確保の上で基本となる考え方や原則への理解促進に継続して取り組み、多様性と包摂性のある社会の実現を目指すことが重要である。これらの社会情勢の変化を踏まえ、政府において本基本計画に記載する各分野の施策を総合的かつ計画的に実施する。
    • 令和4(2022)年8月に、条約の締約国として、障害者権利委員会による我が国政府報告の審査が実施され、同年9月には同委員会の見解及び勧告を含めた総括所見が採択・公表された。総括所見では、インクルーシブ教育を受ける権利の認識、障害者の脱施設化及び自立生活支援、精神障害者の非自発的入院及び隔離・拘束に関わる法制度の見直し、意思決定を代行する制度から支援を受けて意思決定をする仕組みへの転換等多岐にわたる事項に関し、見解及び勧告が示されたことを受け、各府省において、本基本計画に盛り込まれていない事項も含め、勧告等を踏まえた適切な検討や対応が求められる。また、障害者政策委員会においても、必要に応じ、各府省における検討や対応を踏まえながら、本基本計画の実施状況の把握等を通じ、勧告等への対応について監視を行っていく。なお、障害者施策の検討及び評価に当たっては、「私たちのことを、私たち抜きに決めないで」の考え方の下、障害者が政策決定過程に参画し、障害者の意見を施策に反映させることが重要である。
    • 全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら、世界に誇れる共生社会の実現を目指して、政府全体で不断に取組を進めていく

~NEW~
内閣府 「男女共同参画社会に関する世論調査」の概要
  • あなたは、次の分野で男女の地位は平等になっていると思いますか。あなたの気持ちに最も近いものをお答えください。(〇は1つ) (1)家庭生活
    • 男性の方が優遇されている(小計) 59.8%(男性の方が非常に優遇されている 9.0%、どちらかといえば男性の方が優遇されている 50.8%)
    • 平等 31.7%
    • 女性の方が優遇されている(小計) 8.0%(どちらかといえば女性の方が優遇されている 7.0%、女性の方が非常に優遇されている 1.0%)
  • あなたは、次の分野で男女の地位は平等になっていると思いますか。あなたの気持ちに最も近いものをお答えください。(〇は1つ) (2)職場
    • 男性の方が優遇されている(小計) 64.1%(男性の方が非常に優遇されている 16.0%、どちらかといえば男性の方が優遇されている 48.1%)
    • 平等 26.4%
    • 女性の方が優遇されている(小計) 7.7%(どちらかといえば女性の方が優遇されている 6.5%、女性の方が非常に優遇されている 1.2%)
  • あなたは、次の分野で男女の地位は平等になっていると思いますか。あなたの気持ちに最も近いものをお答えください。(〇は1つ) (3)学校教育の場
    • 男性の方が優遇されている(小計) 24.5%(男性の方が非常に優遇されている 3.0%、どちらかといえば男性の方が優遇されている 21.5%)
    • 平等 68.1%
    • 女性の方が優遇されている(小計) 5.3%(どちらかといえば女性の方が優遇されている 4.7%、女性の方が非常に優遇されている 0.6%)
  • あなたは、次の分野で男女の地位は平等になっていると思いますか。あなたの気持ちに最も近いものをお答えください。(〇は1つ) (4)政治の場
    • 男性の方が優遇されている(小計) 87.9%(男性の方が非常に優遇されている 46.4%、どちらかといえば男性の方が優遇されている 41.5%)
    • 平等 9.6%
    • 女性の方が優遇されている(小計) 1.7%(どちらかといえば女性の方が優遇されている 1.4%、女性の方が非常に優遇されている 0.3%)
  • あなたは、次の分野で男女の地位は平等になっていると思いますか。あなたの気持ちに最も近いものをお答えください。(〇は1つ) (5)法律や制度の上
    • 男性の方が優遇されている(小計) 52.3%(男性の方が非常に優遇されている 11.7%、どちらかといえば男性の方が優遇されている 40.6%)
    • 平等 37.0%
    • 女性の方が優遇されている(小計) 9.7%(どちらかといえば女性の方が優遇されている 8.3%、女性の方が非常に優遇されている 1.4%)
  • あなたは、次の分野で男女の地位は平等になっていると思いますか。あなたの気持ちに最も近いものをお答えください。(〇は1つ) (6)社会通念・慣習・しきたりなど
    • 男性の方が優遇されている(小計) 81.8%(男性の方が非常に優遇されている 24.1%、どちらかといえば男性の方が優遇されている 57.8%)
    • 平等 12.9%
    • 女性の方が優遇されている(小計) 3.3%(どちらかといえば女性の方が優遇されている 3.1%、女性の方が非常に優遇されている 0.3%)
  • あなたは、次の分野で男女の地位は平等になっていると思いますか。あなたの気持ちに最も近いものをお答えください。(〇は1つ) (7)自治会やPTAなどの地域活動の場
    • 男性の方が優遇されている(小計) 47.8%(男性の方が非常に優遇されている 10.2%、どちらかといえば男性の方が優遇されている 37.6%)
    • 平等 40.2%
    • 女性の方が優遇されている(小計) 9.9%(どちらかといえば女性の方が優遇されている 8.8%、女性の方が非常に優遇されている 1.1%)
  • あなたは社会全体でみた場合には、男女の地位は平等になっていると思いますか。あなたの気持ちに最も近いものをお答えください。(〇は1つ)
    • 男性の方が優遇されている(小計) 78.8%(男性の方が非常に優遇されている 14.0%、どちらかといえば男性の方が優遇されている 64.7%)
    • 平等 14.7%
    • 女性の方が優遇されている(小計) 4.8%(どちらかといえば女性の方が優遇されている 4.2%、女性の方が非常に優遇されている 0.6%)
  • 一般的に女性が職業をもつことについて、あなたはどうお考えですか。(〇は1つ)
    • 女性は職業をもたない方がよい 0.7%
    • 結婚するまでは職業をもつ方がよい 2.6%
    • こどもができるまでは、職業をもつ方がよい 7.7%
    • こどもができても、ずっと職業を続ける方がよい 59.5%
    • こどもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつ方がよい 27.1%
  • 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方について、あなたはどうお考えですか。(〇は1つ)
    • 賛成(小計) 33.5%(賛成 4.0%、どちらかといえば賛成 29.4%)
    • 反対(小計) 64.3%(どちらかといえば反対 38.2%、反対 26.1%)
  • 賛成と思うのはなぜですか。(〇はいくつでも) (上位3項目)
    • 妻が家庭を守った方が、こどもの成長などにとって良いと思うから 59.0%
    • 育児・介護・家事と両立しながら、妻が働き続けることは大変だと思うから 56.0%
    • 夫が外で働いた方が、多くの収入を得られると思うから 32.1%
  • 反対と思うのはなぜですか。(〇はいくつでも) (上位4項目)
    • 固定的な夫と妻の役割分担の意識を押しつけるべきではないから 70.8%
    • 夫も妻も働いた方が、多くの収入が得られると思うから 44.8%
    • 妻が働いて能力を発揮した方が、個人や社会にとって良いと思うから 40.0%
    • 男女平等に反すると思うから 35.7%
  • あなたは、今後、男性が育児や介護、家事、地域活動に積極的に参加していくためにはどのようなことが必要だと思いますか。(○はいくつでも)(上位6項目)
    • 男性による育児・家事などについて、職場における上司や周囲の理解を進めること 66.7%
    • 夫婦や家族間でのコミュニケーションをよくはかること 61.8%
    • 男性が育児・家事などに参加することに対する男性自身の抵抗感をなくすこと 60.7%
    • 労働時間の短縮や休暇制度、テレワークなどのICTを利用した多様な働き方を普及することで、仕事以外の時間をより多く持てるようにすること 46.8%
    • 年配者やまわりの人が、夫婦の役割分担などについての当事者の考え方を尊重すること 44.5%
    • 社会の中で、男性による育児・家事などについても、その評価を高めること 44.5%
  • あなたは、次の育児、介護などの家庭で担われている役割について、あなたと配偶者でどのように分担したいと思いますか。保育所、訪問介護、家事代行など外部サービスの利用も含め、あなたの気持ちに最も近いものをお答えください。 なお、育児、介護などをしている、していないに関わらず、お答えください。また、配偶者がいる、いないに関わらず、お答えください。(〇は1つ)(1)育児
    • 外部サービスは利用せず、自分と配偶者で半分ずつ分担 11.8%
    • 外部サービスは利用せず、自分の方が配偶者より多く分担 5.9%
    • 外部サービスは利用せず、配偶者の方が自分より多く分担 4.8%
    • 外部サービスを利用しながら、それ以外は自分と配偶者で半分ずつ分担 57.6%
    • 外部サービスを利用しながら、それ以外は自分の方が配偶者より多く分担 11.0%
    • 外部サービスを利用しながら、それ以外は配偶者の方が自分より多く分担 5.5%
  • あなたは、次の育児、介護などの家庭で担われている役割について、あなたと配偶者でどのように分担したいと思いますか。保育所、訪問介護、家事代行など外部サービスの利用も含め、あなたの気持ちに最も近いものをお答えください。なお、育児、介護などをしている、していないに関わらず、お答えください。また、配偶者がいる、いないに関わらず、お答えください。(〇は1つ) (2)介護
    • 外部サービスは利用せず、自分と配偶者で半分ずつ分担 3.5%
    • 外部サービスは利用せず、自分の方が配偶者より多く分担 1.2%
    • 外部サービスは利用せず、配偶者の方が自分より多く分担 1.1%
    • 外部サービスを利用しながら、それ以外は自分と配偶者で半分ずつ分担 73.8%
    • 外部サービスを利用しながら、それ以外は自分の方が配偶者より多く分担 12.8%
    • 外部サービスを利用しながら、それ以外は配偶者の方が自分より多く分担 5.0%
  • あなたは、次の育児、介護などの家庭で担われている役割について、あなたと配偶者でどのように分担したいと思いますか。保育所、訪問介護、家事代行など外部サービスの利用も含め、あなたの気持ちに最も近いものをお答えください。なお、育児、介護などをしている、していないに関わらず、お答えください。また、配偶者がいる、いないに関わらず、お答えください。(〇は1つ)(3)育児・介護以外の家事
    • 外部サービスは利用せず、自分と配偶者で半分ずつ分担 33.4%
    • 外部サービスは利用せず、自分の方が配偶者より多く分担 10.0%
    • 外部サービスは利用せず、配偶者の方が自分より多く分担 6.2%
    • 外部サービスを利用しながら、それ以外は自分と配偶者で半分ずつ分担 39.1%
    • 外部サービスを利用しながら、それ以外は自分の方が配偶者より多く分担 6.0%
    • 外部サービスを利用しながら、それ以外は配偶者の方が自分より多く分担 2.7%
  • 育児や介護、家事などに女性の方がより多くの時間を費やしていることが、職業生活における女性の活躍が進まない要因の一つだという意見がありますが、あなたはこの意見について、どう思いますか。(○は1つ)
    • そう思う(小計) 84.0%(そう思う 38.0%、どちらかといえばそう思う 46.0%)
    • そうは思わない(小計) 14.6%(どちらかといえばそうは思わない 10.2%、そうは思わない 4.5%)
  • 育児や介護、家事などに費やす時間を男女間でバランスのとれたものとし、職業生活における女性の活躍を更に推進するためには、特にどのような支援が必要だと思いますか。 (○は1つ)
    • 長時間労働慣行の是正やテレワークの推進など、育児や介護、家事などに用いることができる時間を増やすための勤務環境の整備 21.6%
    • 育児や介護のための休業制度や短時間勤務制度など、仕事との両立を支援するための施策の整備 40.5%
    • 保育施設や介護施設の整備など、育児や介護をサポートする設備やサービスの整備 36.4%
  • 夫婦の名字・姓に関する制度の在り方をめぐる議論について、自分または自分の周囲の人に関わる身近なこととして、あなたはこれまでに考えたことがありますか。(〇は1つ)
    • 考えたことがある 41.3%
    • 考えたことがない 54.1%
    • 議論があることを知らない 2.8%
  • あなたは、仮に結婚して戸籍上の名字・姓が変わったとした場合、働くときに旧姓を通称として使用したいと思いますか。あなたが結婚している、していないに関わらず、お答えください。(〇は1つ)
    • 旧姓を通称として使用したいと思う 39.1%
    • 旧姓を通称として使用したいと思わない 58.7%
  • 女性に対する暴力の根絶を図るため、あなたが対策が必要だと考えるのはどれですか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • 配偶者や元配偶者などからの暴力、いわゆるDV 78.6%
    • 強制性交等や強制わいせつ、痴漢、盗撮などの、性犯罪や性暴力 72.8%
    • 児童買春や性的虐待、児童ポルノなど、こどもに対する性犯罪や性暴力 68.3%
    • つきまといや待ち伏せなどのストーカー行為 64.9%
  • 女性に対する暴力や様々な悩みなどに関する相談窓口などについて、あなたが知っているものをあげてください。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • 自殺対策相談窓口 37.0%
    • こころの健康相談統一ダイヤル 28.9%
    • ひきこもり地域支援センター 21.7%
    • 女性の人権ホットライン 20.8%
    • 知っているものはない 33.1%
  • 相談窓口の認知度を向上させるためには、どのような方法による周知が効果的だと思いますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • テレビ・ラジオ 66.4%
    • インターネット・SNS 48.7%
    • 学校における周知 44.7%
    • 公共施設や行政機関による紹介 41.7%
  • あなたは、女性に対する暴力や様々な悩みなどに関する相談窓口などで配慮してほしいと思うことは何ですか。(○はいくつでも)(上位4項目)
    • 24時間相談ができる 65.8%
    • 医療費、カウンセリング費用、弁護士費用などについて、無料で支援が受けられる 60.4%
    • 匿名で相談ができる 57.3%
    • 通話料が無料 55.2%
  • あなたは「男女共同参画社会」を実現するために、今後、行政はどのようなことに力を入れていくべきだと思いますか。(〇はいくつでも)(上位6項目)
    • 育児や介護中であっても仕事が続けられるよう支援する 63.5%
    • 育児や介護などでいったん仕事を辞めた人の再就職を支援する 62.7%
    • 保育の施設やサービス、高齢者や病人の施設や介護サービスを充実する 59.3%
    • 労働時間の短縮や在宅勤務の普及など男女共に働き方の見直しを進める 50.2%
    • 法律や制度の面で見直しを行う 47.9%
    • 国や地方公共団体の審議会委員や管理職など、政策決定の場に女性を積極的に登用する 44.9%

~NEW~
内閣府 「社会意識に関する世論調査」の概要
  • 「国を愛する」という気持ちについてうかがいます。あなたは、他の人と比べて、「国を愛する」という気持ちは強い方だと思いますか。それとも、弱い方だと思いますか。(○は1つ)
    • 強い(小計) 51.6%→51.2%(非常に強い 9.5%→8.8%、どちらかといえば強い 42.1%→42.4%)
    • どちらともいえない 38.8%→37.5%
    • 弱い(小計) 8.8%→10.3%(どちらかといえば弱い 7.2%→7.7%、非常に弱い 1.6%→2.6%)
  • あなたは、今後、国民の間に「国を愛する」という気持ちをもっと育てる必要があると思いますか。それとも、そうは思いませんか。(〇は1つ)
    • そう思う(小計) 84.0%→82.1%(そう思う 29.7%→29.8%
    • どちらかといえばそう思う 54.3%→52.4%)
    • そうは思わない(小計) 15.0%→16.8%(どちらかといえばそうは思わない 11.8%→11.9%、そうは思わない 3.2%→4.8%)
  • 国民は、「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」という意見と、「個人生活の充実をもっと重視すべきだ」という意見がありますが、あなたは、どのように思いますか。(〇は1つ)
    • 国や社会のことにもっと目を向けるべきだ(小計) 58.1%→58.4%(国や社会のことにもっと目を向けるべきだ 16.1%→15.1%、どちらかといえば国や社会のことにもっと目を向けるべきだ 42.0%→43.3%)
    • 個人生活の充実をもっと重視すべきだ(小計) 40.3%→39.9%(どちらかといえば個人生活の充実をもっと重視すべきだ 33.1%→30.9%、個人生活の充実をもっと重視すべきだ 7.2%→8.9%
  • あなたは、日頃、社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思っていますか。それとも、あまりそのようなことは考えていませんか。(〇は1つ)
    • 思っている 63.9%→64.3%
    • あまり考えていない 35.1%→34.1%
  • 何か社会のために役立ちたいと思っているのはどのようなことですか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
    • 自分の職業を通して 41.3%→41.1%
    • 環境美化、リサイクル活動、牛乳パックの回収など自然・環境保護に関する活動 38.2%→35.2%
    • 高齢者・障害者・子どもに対する身の回りの世話、介護、食事の提供、保育など社会福祉に関する活動 31.4%→31.8%
  • あなたは、今後、日本人は、個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだと思いますか。それとも、国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだと思いますか。(〇は1つ)
    • 個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだ(小計) 60.6%→54.4%(個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだ 12.8%→10.3%、どちらかといえば個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだ 47.8%→44.1%)
    • 国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ(小計) 37.0%→38.6%(どちらかといえば国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ 31.2%→33.1%、国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ 5.8%→5.5%)
  • あなたは、地域での付き合いをどの程度していますか。(〇は1つ)
    • 付き合っている(小計) 56.6%→55.1%(よく付き合っている 8.9%→8.6%、ある程度付き合っている 47.7%→46.5%)
    • 付き合っていない(小計) 42.7%→43.4%(あまり付き合っていない 30.8%→33.1%、全く付き合っていない 11.8%→10.3%)
  • あなたは、地域での付き合いは、どの程度が望ましいと思いますか。(〇は1つ)
    • 地域の行事や会合に参加したり、困ったときに助け合う 32.2%→29.5%
    • 地域の行事や会合に参加する程度の付き合い 28.8%→28.1%
    • 世間話をする程度の付き合い 19.6%→20.9%
    • 挨拶をする程度の付き合い 17.8%→18.5%
    • 地域での付き合いは必要ない 0.9%→1.5%
  • あなたは、現在の世相をひとことで言えば、明るいイメージとしては、どのような表現が当てはまると思いますか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
    • 平和である 59.1%→59.0%
    • 安定している 23.7%→21.0%
    • おもいやりがある 17.3%→19.6%
    • 特にない 16.0%→20.0%
  • あなたは、現在の世相をひとことで言えば、暗いイメージとしては、どのような表現が当てはまると思いますか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
    • ゆとりがない 40.1%→44.9%
    • 自分本位である 37.7%→37.9%
    • 無責任の風潮がつよい 35.8%→37.4%
    • 不安なこと、いらいらすることが多い 33.5%→29.1%
    • 活気がない 24.0%→28.2%
  • あなたは、日本の国や国民について、誇りに思うことはどんなことですか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • 治安のよさ 60.2%→61.2%
    • 美しい自然 54.4%→57.1%
    • すぐれた文化や芸術 48.9%→45.7%
    • 長い歴史と伝統 45.5%→44.0%
  • あなたは、現在の社会において満足している点は何ですか。(〇はいくつでも)(上位2項目)
    • 良質な生活環境が整っている 47.2%→40.7%
    • 心と身体の健康が保たれる 19.8%→19.0%
    • 特にない 25.9%→30.6%
  • あなたは、現在の社会において満足していない点は何ですか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
    • 経済的なゆとりと見通しが持てない 55.5%→62.5%
    • 若者が社会での自立を目指しにくい 30.1%→30.0%
    • 子育てしにくい 23.4%→27.7%
    • 働きやすい環境が整っていない 28.6%→26.2%
    • 女性が社会での活躍を目指しにくい 27.9%→25.4%
  • あなたは、現在の社会に全体として満足していますか。それとも、満足していませんか。(〇は1つ)
    • 満足している(小計) 58.9%→52.4% (満足している 3.8%→3.0%、ある程度満足している 55.1%→49.5%)
    • 満足していない(小計) 40.1%→46.2%(あまり満足していない 32.0%→35.9%、満足していない 8.1%→10.3%)
  • あなたは、全般的にみて、国の政策に国民の考えや意見がどの程度反映されていると思いますか。(〇は1つ)
    • 反映されている(小計) 31.8%→26.6%(かなり反映されている 1.5%→2.2%、ある程度反映されている 30.4%→24.4%)
    • 反映されていない(小計) 66.9%→71.4%(あまり反映されていない 50.2%→52.0%、ほとんど反映されていない 16.7%→19.5%)
  • それでは、どうすればよりよく反映されるようになると思いますか。あなたのお考えに最も近いものをお答えください。(〇は1つ)
    • 政治家が国民の声をよく聞く 29.3%→29.2%
    • 国民が国の政策に関心を持つ 19.8%→16.8%
    • マスコミが国民の意見をよく伝える 3.6%→4.5%
    • 国民が選挙のときに自覚して投票する 11.0%→14.1%
    • 政府が世論をよく聞く 15.3%→15.3%
    • 国民が参加できる場をひろげる 10.0%→11.2%
  • あなたは、現在の日本の状況について、良い方向に向かっていると思われるのは、どのような分野についてでしょうか。(○はいくつでも)(上位4項目)
    • 医療・福祉 30.9%→25.3%
    • 治安 22.2%→21.8%
    • 防災 23.8%→21.6%
    • 通信・運輸 18.4%→16.9%
    • 特にない 22.0%→24.9%
  • あなたは、現在の日本の状況について、悪い方向に向かっていると思われるのは、どのような分野についてでしょうか。(○はいくつでも)(上位4項目)
    • 物価 37.9%→70.5%
    • 国の財政 54.2%→61.3%
    • 景気 44.0%→60.8%
    • 経済力 36.3%→46.7%

~NEW~
消費者庁 徳島県内の高等学校等における生徒の消費者トラブルの実態と消費者教育の実施効果に関する調査
▼徳島県内の高等学校等における生徒の消費者トラブルの実態と消費者教育の実施効果に関する調査結果について
  • 調査結果のポイント
    1. 生徒の消費者トラブルの実態
      • 「商品の機能・品質が思っていたよりもかなり悪かった」経験がある生徒は57.3%、「開封したばかりの商品が壊れていた」経験がある生徒は38.2%、「注文したものが届かず、お金だけ取られた」経験がある生徒は5.9%、「詐欺に遭い、だまされてお金を払った」経験がある生徒は3.2%であった。
      • 「ゲーム、アプリ、スタンプなどを有料でダウンロードする」、「ネット通販で買う」、「フリマアプリで買う」といったデジタル取引の利用頻度が高いほど、「注文したものが届かず、お金だけ取られた」や「詐欺に遭い、だまされてお金を払った」経験がある生徒の割合が多い傾向があった。
      • 「注文したものが届かず、お金だけ取られた」や「詐欺に遭い、だまされてお金を払った」経験がある生徒ほど、消費生活についてのクイズの平均点が有意に低かった。
    2. 消費者教育の実施方法と消費者トラブルとの関係
      • 外部講師による出前講座(消費者問題に係る専門的な知識・経験を有する消費生活相談員や事業者・事業者団体が行う講座等)を受講した生徒は、当該講座を受講していない生徒と比較すると、「詐欺に遭い、だまされてお金を払った」経験がある生徒の割合は有意に少なかった
▼徳島県内の高等学校等における生徒の消費者トラブルの実態と消費者教育の実施効果に関する調査報告書
  • 「デジタル取引の利用頻度」について尋ねたところ、利用するという回答(「全くない」と「無回答」を除いた回答)の割合は、「ネット通販で買う」は57.4%、「ゲーム、アプリ、スタンプなど有料でダウンロードする」は54.4%、「フリマアプリで買う」は25.9%であった。また、そのうち特に利用頻度が高い「1週間に2回以上」と「1週間に1回くらい」の回答を合わせた割合は、「ネット通販で買う」は4.8%、「ゲーム、アプリ、スタンプなど有料でダウンロードする」は3.8%、「フリマアプリで買う」は2.7%であった
  • 「キャッシュレス決済の利用頻度」について尋ねたところ、利用するという回答(「全くない」と「無回答」を除いた回答)の割合は、「使い切り型のプリペイドカード」は63.7%、「スマホを使った二次元コード決済」は35.8%、「チャージ型の電子マネー」は17.3%、「デビットカード」は6.0%であった。また、そのうち特に利用頻度が高い「1週間に2回以上」と「1週間に1回くらい」の回答を合わせた割合は、「スマホを使った二次元コード決済」は17.4%、「チャージ型の電子マネー」は6.0%、「使い切り型のプリペイドカード」は4.3%、「デビットカード」は2.0%であった
  • 「キャッシュレス決済のリスク管理」について尋ねたところ、「当てはまる」と「やや当てはまる」の回答を合わせた割合は、「利用するたびに残額を確認している」は59.2%、「不正利用されないよう注意している」は53.8%と半数以上であったが、「被害に遭った時の対処方法が分かる」は31.8%に留まった。また、「キャッシュレス決済でつい使い過ぎになる」は13.8%が「当てはまる」または「やや当てはまる」と回答した
  • 「消費者トラブルの経験としてあてはまるもの」について尋ねたところ、経験があるという回答(「1度だけあった」、「2・3度あった」、「何度もあった」の回答の合計)の割合は、「商品の機能・品質が思っていたよりもかなり悪かった」は57.3%、「開封したばかりの商品が壊れていた」は38.2%、「注文したものが届かず、お金だけ取られた」は5.9%、「詐欺に遭い、だまされてお金を払った」は3.2%であった
  • 「消費生活の授業を通じて意識するようになったこと」について尋ねたところ、「当てはまる」と「やや当てはまる」の回答を合わせた割合は、「悪質商法を警戒する」は77.4%、「買物や契約前によく考える」は74.2%、「生活に役立つ知識を増やす」は73.9%、「自分の考えをはっきりさせる」は73.2%、「様々な意見から新しい考え方を学ぶ」は69.0%であった
  • 「詐欺に遭い、だまされてお金を払った」経験がある生徒の割合についても、デジタル取引の種類と利用頻度別に集計した結果、前述のとおり、「注文したものが届かず、お金だけ取られた」の場合と同様、利用頻度が高いほど経験者の割合が多かった
  • 契約の成立時期を尋ねたところ、正答である「店員が『はい、かしこまりました』と言ったとき」の回答の割合は71.7%であった
  • ネットショッピング(通販)の契約成立時期を尋ねたところ、正答である「注文を受付した承諾メールが、事業者から消費者に届いたとき」の回答の割合は24.0%であり、誤答である「『購入する』『注文確定』ボタンを押したとき」(62.2%)が最も多く選ばれていた
  • 普段の生活の中でデジタル取引を多く経験しているからといって、リスク管理のための正しい知識が身に付いているとは限らないと考えられる。
  • 「クーリング・オフ制度」は、訪問販売等の特定の取引の場合にのみ適用され、通常の店頭での取引や通販は適用の対象外となっている。しかし、実際は、レシートが残っていれば返品に応じる事業者や、商品到着後も一定期間内であれば返品可能としている事業者も珍しくない。
  • したがって、普段の生活の中で返品に応じてもらった経験や、目にしたことのある返品条件が問13や問16の回答に影響を及ぼす可能性が考えられた。しかし、デジタル取引の利用頻度や、「返品条件を確認する」行動頻度と、クーリング・オフに関するクイズとのクロス集計の結果、普段の生活でのデジタル取引の利用頻度や「返品条件を目にしているかどうか」によって、消費者教育の授業後の問13や問16の正答率に大きな差はみられなかった。また、「契約してから14日間ならクーリング・オフできる」や「レシートがあり1週間以内なら返品を受け付けなければならない」といった、普段の生活の中での買物の経験が影響を与えそうな回答の割合も大きな差はみられなかった。
  • 有識者からの意見
    • 特筆すべきは、デジタル取引を通じて、多くの生徒がお金をだまし取られるなどの消費者トラブルを経験していることである。もちろん、経験していない生徒が大多数なのであるが、トラブルに遭遇する割合が20分の1前後に達するというのは、かなり大きな割合である。例えば、近年の道路交通事故の発生件数(届出のあったもの)は人口あたり0.24%7に過ぎず、建物火災に至っては0.03%8に過ぎない。今回の調査で示された消費者トラブルの多さは、まさに桁違いである
    • インターネット通販やSNSを通じた取引で、消費者が多くの被害に遭っていることは、消費生活相談の内容や件数からも示されており(消費者庁2022)、デジタル化により消費者のぜい弱性が増していることは疑う余地がない。被害の状況を定量的に把握し、少しでも被害を減らせるような教育を実施することは喫緊の課題である。
    • 留意したい点として、金銭管理を尋ねた設問では、「お金が必要になったときに、その都度保護者からもらって使う」の該当者が45.1%と少なくなかったことが挙げられる。また物の管理を尋ねた設問では、『当てはまる』または『やや当てはまる』と回答した生徒の割合が「使わないのに捨てられないものがたくさんある」では54.2%、「探し物やなくし物が多い」は53.7%、「たくさんの物を持っている」は53.4%と、いずれも半数以上が該当していた。自由に使うことができる金銭を計画的に管理したり、必要な物を厳選し管理して使ったりといった、消費生活の基本ができていない生徒が多い様子がうかがえる。
    • トラブルに遭わなくとも、刹那的に欲しいものを手に入れながら有効に使うことができなければ、金銭を失っているのと大差ない。デジタル化により巧みな心理的誘発を受ける機会が増しているため、自身が手にしている金銭や物の管理ができていなければ、簡単に不要なものを購入させられてしまう。消費生活の基本となる金銭や物の管理の力を、改めて身につけるような教育を考えてゆくことも必要なのではないだろうか

~NEW~
消費者庁 「企業の持続可能性と消費者志向経営との関係性に関する研究」のプログレッシブ・レポートを公表しました。
▼企業の持続可能性と消費者志向経営との関係性に関する研究ー四国における老舗企業(創業300年以上)を中心としてープログレッシブ・レポート
  • 理念・目的(志)について
    • 理念・目的(志)(以下「理念等」という。)については、家訓や経営理念といった名で掲げているものに限らず、企業行動の礎となる価値観として受け継がれている場合も含めると、大半の事業者においてその事業者ならではの理念等が存在していた。
    • 最も多かった内容は、経営方針や経営者としての心構えに関するものであり、次いで商品・サービスへのこだわりに関するもの、伝統文化の承継や地域社会への貢献に関するものの順であった。
    • 経営方針や経営者としての心構えに関するものは、消費者、従業員、取引先などのステークホルダーに対して誠意を尽くして対応する姿勢を求めるものが多くみられた。その理念等の実践により、事業者はステークホルダーからの信用を得ることにつながったと考えられる。この信用に値する事業者が事業を継続することにより、消費者は常に安心して商品・サービスを購入することが可能となることから、消費者の満足度の向上につながるものと考えられる。
    • 商品・サービスへのこだわりに関するものでは、古来の原材料や製造方法を代々堅持することにより、良質の商品・サービスを消費者へ提供することを目指している事業者が多くみられた。つまり、創業より300年以上にわたり消費者の支持を受け続けてきたということは、消費者ニーズを追求し、的確に捉えていたことを示すものである。また、これらの取組は消費者の生活の質の向上にもつながっているといえる。
    • 伝統文化の承継や地域社会への貢献に関するものには、伝統食文化を守り、その食文化を通じて社会に貢献するなど地域に根ざしたものもあり、地域活性化にもつながるものであると考えられる。
    • したがって、これらの理念等の実践は、どれもが消費者の満足度や生活の質の向上、地域活性化といった社会課題の解決につながるものといえる。
    • 加えて、これらの理念等を社内(従業員)に浸透させるために、朝礼等の機会を捉えて周知・教育を行っている事業者が多くみられた。そのうち、家族経営のような小規模の事業者においては、理念等を守るべき訓えとして、創業家が代々受け継いでいる事業者もみられた。
    • 事業者によって、具体的な理念等の内容や社内(従業員)への明示の手法は異なれども、社会課題の解決につながる内容が織り込まれた理念等が社内で認識されている点は共通していた。さらに、理念等をパンフレットに記載して社外へ発信している事業者や、インターネットによる商品販売の際に消費者へ情報発信する事業者など、外部に向けても発信している事業者もみられた。
    • このように、社会課題の解決につながるような理念等を策定し、社内(従業員)や社外に対して明示することは、消費者志向経営の取組であるといえる。
    • 一方で、明確な理念等は存在しないとしている場合にも「だからこそ従来からの方法にとらわれず、時代ごとに消費者のニーズに合わせて新しいチャレンジができる」との声も聞かれ、消費者のニーズに合わせて柔軟に対応している場合もみられた。
  • 関係者(ステークホルダー)に対する認識
    • 消費者志向経営における「消費者」とは、「事業者が提供する商品・サービスを現在、若しくは将来利用又は、関与する可能性のある主体」と定義されており、消費者のほか、取引先、従業員、地域社会、未来・次世代、業界団体など幅広い関係者(ステークホルダー)が含まれる(消費者庁、2022a)。
    • 事業を行うに当たって重視している要素として、消費者や取引先を挙げた事業者が最も多くみられた。また、長年拠点としている地域社会の成長や従業員の雇用の確保を挙げた事業者も複数みられた。さらに、子供や若者に焦点を当てて商品の普及に取り組む事業者や伝統産業を絶やさないために若者との積極的な交流を行う事業者など、未来・次世代を重視している事業者もみられた。
    • このように、事業に直接関係のある消費者や取引先はもちろんとして、地域社会や従業員、未来・次世代といったその他の関係者(ステークホルダー)についても重要な関係先として認識していることをうかがうことができ、それは消費者志向経営につながるものであるといえる。
  • 消費者と共創・協働の取組
    • 商品・サービスに対する消費者の声については、対面で消費者の相談に十分応じることで要望等を引き出している事業者や日々の営業活動で顧客から声を聞き取っている事業者がみられた。そのほか、SNSを活用してニーズを探る事業者や電話により意見を受け付けする事業者など、対面・非対面を問わず様々な手法で、多くの事業者が情報収集に取り組んでいた。
    • 消費者の問合せから潜在的なニーズの気付きを得て新商品の開発につなげた事例や、消費者からの要望に応じて取扱商品の品揃えを強化した事例など、収集した消費者の要望・意見は事業者の事業活動に直接的に役立てられていた。
    • このように、消費者とのコミュニケーションにより把握した消費者ニーズを商品・サービスの開発・改善等に反映する取組は、消費者志向経営における「消費者」と共創・協働した取組といえる。
  • 未来・次世代に向けた取組
    • 若者向けの商品の開発やラジオ番組による食文化の発信により、伝統食文化に対する消費者の興味を惹起する工夫をしている事業者のほか、資料館の設置により文化を発信している事業者もみられた。また、伝統産業を次世代に残したいとの思いから、取引先からの問合せにも積極的に対応している事業者もみられた。これらの取組により、地域の食文化や産業という伝統的価値が将来にわたって承継されることが想定されることから、消費者志向経営にもつながるものと考えられる。
    • また、多くの事業者が、体験学習や職場見学といった教育現場へ協力することで若者世代を支援しているほか、拠点のある地域の自治体や事業者団体等のイベントに対して寄附を含む連携を行うなど、企業市民としての役割を果たすことで地域活性化に寄与していた。これらの取組は地球規模の社会課題への対応ではなく、拠点のある地域におけるローカルな社会課題への対応が主となっているが、これも未来・次世代社会への貢献につながるものであるといえる。
    • グロービス経営大学院(2014)は「企業は地域社会に対し、生かされていることへの感謝の念を抱き、その気持ちにつき動かされ、地域社会へ貢献していく。一方、事業に関わりの深い地域社会は、企業への信頼感を増し、意図せずとも企業の恩恵となるような実利をもたらす。この感謝・貢献と、信頼と恩恵による実利という好循環(エコシステム)を長い年月の中で幾度となく繰り返し続けることによって、無数のつながりやしがらみが生み出され、共存価値になっていく」としている。
    • このように、古来より長きにわたって構築されてきた事業者と地域社会のエコシステムによる共存価値の創出は、「消費者」と「共創・協働」して「社会価値」の向上を目指している消費者志向経営に通ずるものであるといえる。
    • このほか、例えば仕入先から調達する際は買い叩くことなく適正価格で購入するなど、公正な取引を行うこととしている事業者が複数みられた。さらに、原材料の調達について生産者(農家)と直接契約している場合、災害時には作物の質が低下していても全て買い取るなど、消費者ではない関係者(ステークホルダー)との共創・協働の取組がみられた。仕入先とも誠実に真摯に向き合うことにより企業としての信頼を築き上げており、それが将来的にも持続可能なサプライチェーンの構築につながっていると推察される。
  • ストーリーの独自性
    • 消費者志向経営を行うに当たっては、社会課題の解決に向けた取組を行う際は自社の強みをいかした独自性があることが望ましいとされている(消費者庁、2022a)。
    • 多くの事業者が、代々受け継いできた高い技術力(伝統的な製造方法・工程など)や、それを継続していることを強みと感じていた。特に、手作業による伝統的な製造方法・工程は暗黙知として後継者に引き継がれていることが多く、模倣の困難性が高いと考えられることから独自性が発揮されているものと推察される。また、高い技術力を保有することが、新商品の開発や顧客ニーズに対する柔軟な対応を可能としている。
    • 原材料についてもこだわりのある事業者が多くみられた。特に食品製造業では原材料が品質に大きな影響を与えるためか、古来の原材料を変更していない事業者も多く、なかには拠点となる地域の農作物や水を使うことにこだわりを持っている事業者もみられた。
    • 一方で、より高品質な商品を目指して原材料を切り替えている事業者がみられた。季節による温度や湿度の変化により商品の硬さや質が変化することから、複数の材料を比較し配合を調整することなどにより昔と変わらぬ味を再現する工夫をしていた。そのようなこだわりがあるなか、食品アレルギーのある消費者が安心して商品を購入できるよう、アレルギー物質を排除した材料への切替えや、アレルギー物質に関する表示の徹底に取り組んでいる事業者も見られ、配慮が必要な消費者に向けた積極的な取組も見受けられた。
    • このように、高い技術力を保持すること、伝統的な製造方法を承継すること、原材料にこだわること、これらは全て消費者へ提供する商品の品質の確保を目的としている点で一致している。そのことが商品・サービスに対して消費者からの長年にわたる支持が得られている理由ではないかと推察される。
    • また、地域で有名な老舗であるというブランドや、多数の愛好者に支えられてきた歴史、それらの事実に基づく信用力、これこそが自社の強みであると考える事業者も多くみられた。
    • これらの強みをいかした事業活動により、現在だけでなく未来・次世代においても消費者に対して価値ある商品・サービスが提供され、消費者ニーズの充足につながると考えられることから、消費者志向経営につながる取組といえる。
    • 経営的側面においては、安易に多角化を行わず、本業に経営資源を集中するとともに、過剰な投資や強引な事業拡大を避け、「店舗は増やさない」「販路は拡大しない」など堅実経営の実践がみられた。一方で、新規事業への進出や海外展開という新たな挑戦により収益の増加やリスク分散に取り組む事業者もみられた。
    • 消費者志向経営を継続的・効率的・効果的に実施していくためには、必要な経営資源を十分に有し、適切に配分し続ける必要がある。そのためには、経営の安定性が不可欠であるため、それを確保するためにも、これらの取組は有効であり、消費者志向経営を下支えする取組であるといえる
  • コーポレートガバナンスの強化
    • 対象事業者は、業種に関わらず地域の寺社との関係性が深く、その代表者が寺の檀家総代、神社の氏子総代を長年務めているケースが多くみられた。
    • それに伴い、神事・祭礼に対して出資や商品提供等の支援も行っている事業者もみられた。また、「昔は地域の『名士』と言われていた」としているところも多数みられた。
    • 事業者の代表者が総代に任命されるということは、地域住民から人として信用・信頼を得ているということだけでなく、事業においても取引先や消費者に対して適正な取引を行い、信用・信頼されていたのではないか推察される。このように、地域のリーダーとしての役目を担うことで、地域住民との間でけん制機能が働き、間接的ではあるがガバナンスの強化につながったと考えられる。
    • 細川(2016)は「従来の日本の企業は『のれん』を大事にしてきたといえる。上方商人の典型的な言葉に『そないな商売したら先代が泣く』という表現がある。これは、先祖が築いてきた信用を傷つけてはいけないという思いの表現であり、こうした考えが日本の伝統的な企業活動を律してきたといえる。」としている。
    • これらは大企業のように組織体制を構築し、コーポレートガバナンスの強化を図っている直接的な取組ではないが、このような倫理観を有していることも老舗であるが故であり、縦の社会的な使命感として受け継がれ、内発的ではあるが、コーポレートガバナンスの強化に一定の効果をもたらしたと考えられる。
    • さらに、現在もしくは過去において、代表者等が地域の経済団体や業界団体、組合等の要職に就いていた事業者が多くみられた。長期にわたり地域の経済団体等の要職に在任している事業者については、周囲からの信頼が厚いことが見て取れる。老舗企業においては、地域・業界等からの信頼・期待を受けて倫理観に基づく内発的な統治機能を発揮するとされており(グロービス経営大学院、2014)、これらについても内発的なガバナンス強化の効果を生んだ可能性がある。
    • そのほか、DX化による社内コミュニケーションの円滑化やトラブル防止を目的とした日常的なコミュニケーションの深化に取り組み、風通しの良い企業風土を構築することで、消費者志向経営の取組であるコーポレートガバナンスの強化につなげている事業者もみられた。
  • 結論
    • 極めて高い持続力を有する老舗企業においては、その様々な取組が消費者志向経営やそれにつながる取組であることを明示した。つまり、消費者志向経営の取組が老舗企業の有する極めて高い持続力を構成する一つの要因であると言えるのではなかろうか

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国民生活センター 糖質を低減できるとうたった電気炊飯器の実際
  • 近年、健康志向や痩身への関心の高まりなどから、炭水化物や糖質の摂取を控える「低炭水化物ダイエット」、「低糖質ダイエット」、「ローカーボ」などが注目されています。そのような中、日常的に食べているごはん(炊飯米)の糖質を低減できるとうたった電気炊飯器(以下、「糖質カット炊飯器」とします。)が販売されています。
  • PIO-NETには、糖質カット炊飯器について、2017年度以降の約6年間に250件の相談が寄せられており、「糖質カット炊飯器を使用しているが血糖値に変化がない」といった、品質・機能に関する相談も寄せられています。
  • また、消費生活センターからの依頼で行ったテストでは、糖質を低減させるという炊飯によるごはんの方が通常の炊飯より同一重量当たりの糖質の量は少なかったものの、表示されていた最大の割合には大きく及びませんでした。
  • そこで、糖質カット炊飯器について、実際に炊飯した場合と、うたわれている糖質の低減の程度を調べ、消費者に情報提供することとしました。
  • テスト結果
    1. 糖質の低減に関する広告・表示
      • 5銘柄すべてのウェブサイトに、糖質の低減率に関する記載があり、そのうち4銘柄が最大の低減率のみが記載されていました。
      • 最大の糖質の低減率が広告されていた4銘柄では、そのように炊飯できる条件が記載されていませんでした。
    2. 炊飯試験
      • すべての銘柄で、「通常炊飯」より「糖質カット炊飯」のごはんの方が柔らかく感じられました。
      • すべての銘柄で、「通常炊飯」より「糖質カット炊飯」のごはんの方が水分が約1~2割多い炊き上がりでした。
      • すべての銘柄で、「通常炊飯」より「糖質カット炊飯」のごはんの方が糖質の割合は低かったものの、5銘柄中4銘柄で、広告等でうたわれていた糖質の低減率を満たさないと考えられ、これらは景品表示法上問題となるおそれがあると考えられました。
      • 同じ量の米から炊いたごはんでは、「通常炊飯」よりも「糖質カット炊飯」のごはんの方が約1~3割、重量が重かったものの、含まれる糖質(でん粉)の総量に大きな差はみられませんでした。
    3. 炊飯したごはんを食べた場合の効果等に関する広告
      • 5銘柄すべてのウェブサイトに、商品の使用により健康保持増進等に効果があると受け取れる記載がみられました。これらは消費者の誤認を招くおそれがあり、景品表示法上問題となるおそれがあると考えられました。
  • 消費者へのアドバイス
    • 糖質を低減できるとうたった電気炊飯器で炊飯した場合、同じ量の米から炊いたごはんに含まれる糖質の総量は通常の炊飯の場合と大きな差はみられません。使用する際は、食べるごはんの量に注意するようにしましょう。
    • 糖質を低減できるとうたった電気炊飯器で炊飯したごはんに含まれる糖質の量を確認することは困難です。うたわれている低減率にするにはどう炊いたらよいか、事業者に確認するようにしましょう。

~NEW~
国民生活センター 顔に色が移ったマスク(相談解決のためのテストからNo.174)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
  • 依頼内容
    • 「黒いマスクを着用したところ、顔の皮膚が黒くなった。商品に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
  • 調査
    • 当該品は、相談者宅の洗面台の引き出しに1年程保管されていたという、素材表示にポリエステルとポリウレタンとある黒色のマスクでした。
    • 相談者によると、複数枚購入したうちの1枚を1日装着したところ、鼻から頬にかけて黒い色が付着したとのことでした。
    • そこで、提供された当該品のうち、未使用とされるものについて、JISL0844「洗濯に対する染色堅ろう度試験方法」及びJISL0849「摩擦に対する染色堅ろう度試験方法」に従って調べました。
    • マスクの染色堅ろう度に関するJISの基準はないため、JISL4107「一般衣料品」の外衣類及び中衣類用表地の染色堅ろう度の基準を参考値として照らしたところ、洗濯に対する染色堅ろう度については、汚染の判定が基準を下回っており、液汚染(注)もみられ、洗濯により、他の衣類や洗濯液などへ色移りしやすいと考えられました。
    • また、摩擦に対する染色堅ろう度についても、乾燥試験での判定が基準を下回っており、乾燥状態での摩擦により、擦れる部位に色移りしやすいと考えられました。
    • (注)JISL4107「一般衣料品」には液汚染に関する基準はありません。
  • 解決内容等
    • 依頼センターがテスト結果を発売元の事業者に説明したところ、現在はマスクの製造を行っていないが、再度、製造を行う際は、ロット毎の製品検査等の対策を行うとの回答がありました。

~NEW~
国民生活センター プレートが外れたシャワーヘッド(相談解決のためのテストからNo.175)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
  • 依頼内容
    • 「シャワーを使用中にシャワーヘッドの部品が外れた。外れた原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。
  • 調査
    • 当該品は、吐水口のあるプレートを回転させることで、ミストや頭皮に刺激を与えるスカルプといった5つの吐水モードを切り替えることができる多機能シャワーヘッドでした。なお、当該品はプレートをヘッドに固定していた軸が根元から破断していました。
    • 当該品のヘッドにみられた破断面を観察したところ、破断面の左右には、疲労破壊(注)の特徴がみられました。また、破断面の周囲には外周に沿って計7個の気泡が確認され、そのうちの2個は疲労破壊の起点と考えられる場所に位置していました。中央部分は他に比べ凹凸が大きく、白化していることから、最終破断部と推察され、破壊は左右の両側から進行した後に中央部分が破断したものと考えられました。
    • これらのことから、当該品はプレートをヘッドに固定していた軸に、強度を低下させる要因となる気泡が複数個あり、そこを起点として使用時に繰り返し加わった負荷によって破断に至ったものと考えられました。
    • なお、同型品を分解したところ、軸の根元の周囲には等間隔に並んだ8個の補強材が設けられており、当該品とは形状が異なっていました。
    • (注)一定の荷重が繰り返し加わることで生じる破壊。
  • 解決内容等
    • 依頼センターがテスト結果を販売事業者に説明したところ、相談者へ返金対応が行われました。また、プレートの脱落等については、それまでにも問い合わせを受けており、現在販売しているものは、軸の根元に補強材を設ける構造変更をしているとの回答がありました。

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国民生活センター 「定期購入」トラブル急増!!-低価格を強調する販売サイトには警戒が必要!-
  • 通信販売での「定期購入」に関する相談が全国の消費生活センター等に引き続き多く寄せられています。改正特定商取引法施行後も相談件数は増加しています。
  • 年度別相談件数:2021年度は58,526件、2022年度は2023年2月末までで74,146件です。
  • 2022年度の月別相談件数:4月は6,821件、5月は7,418件、6月は6,333件、7月は5,253件、8月は5,708件、9月は6,264件、10月は6,194件、11月は6,631件、12月は7,700件、1月は10,313件です。
  • 相談事例
    1. 低価格で購入したつもりが、4回の購入が条件の定期購入契約だった
      • 1週間前、スマートフォンで、通常価格1万円以上する美容液が初回限定で約2,000円で購入できるとの広告を見て、販売サイトにアクセスしてチャット形式の入力画面で注文した。しばらくして商品が届いたが、同梱されていた納品書に、次回お届け予定日についての記載があるのに気付き、驚いて販売業者に連絡したところ、「初回を含め全4回の購入が条件の定期コースになっている」と言われた。「そのような注文をした覚えがない」と伝えたところ、「解約を希望するなら約1万円の解約手数料を支払う必要がある」と言われた。定期コースであることも、解約手数料がかかることも知らなかった。解約手数料を支払わずに定期コースを解約したい。(2023年2月受付 50歳代 女性)
    2. 「いつでも解約可能」な定期購入で化粧品を注文し、初回のみで解約しようとしたが、うまく解約手続きができない
      • 2週間前、SNSで、定価1万円のシミ取りクリームが特別価格約2,000円との広告を見て、販売サイトにアクセスし、「いつでも解約可能」な定期コースと認識して注文した。その後、初回の商品が届き、商品を使用してみたが肌に合わなかったので、2回目の商品が届く前に解約しようと思い、販売業者に電話で連絡した。しかし、電話がなかなかつながらず、つながっても自動音声案内になり、「解約希望」を選択すると携帯電話にSMSを送信すると案内され、うまく解約手続きができなかった。そのため、メールで販売業者に解約したいと連絡したが、返事はなかった。
      • しばらくして、改めて販売業者に電話で連絡したら、「初回のみで解約する場合は定価との差額約8,000円を支払う必要がある」と言われた。定期コースであることは知っていたがいつでも解約できると思っており、初回で解約する際に定価との差額を支払う必要があるとは思っていなかった。どうしたらよいか。(2023年1月受付 50歳代 女性)
  • 消費者へのアドバイス
    1. インターネットで注文する際は、契約条件の細部をしっかり確認しましょう
      • インターネットで注文する際は、契約条件のチェックリストを用いて、契約条件の細部をしっかり確認しましょう。低価格を強調したり、注文を急がせたりする販売サイトでは特に警戒して確認が必要です。
      • 特定商取引法では、販売業者は、取引における基本的な事項を最終確認画面等で明確に表示することが義務付けられていますが、表示自体はされていても、消費者に誤解を与えるおそれがある、明瞭かつ分かりやすいとは言えない表示もみられます。
    2. 「いつでも解約できる」と表示されていても、実際には容易に解約ができないケースもありますので、注文する前に、販売業者の情報や評判を入念に確認しましょう
      • 「いつでも解約できる」と表示されていても、実際解約しようとすると、電話がつながらなかったり、オンライン上の解約手続きがうまく進められなかったりと、容易に解約ができないような販売業者も存在します。安価にお試しできるとの誘い文句にとらわれず、まず販売業者の情報や評判を入念に確認するようにしましょう。
    3. 不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう
  • 契約条件のチェックリスト
    • 「最終確認画面」はスクロールして最後までしっかり確認しましょう!
      1. 注文する前
        • 定期購入が条件になっていませんか?
        • (定期購入が条件になっている場合、)継続期間や購入回数が決められていませんか?
        • 支払うことになる総額はいくらですか?
        • 解約の際の連絡手段を確認しましたか?
        • 「解約・返品できるか」「解約・返品できる場合の条件」(返品特約)、解約条件を確認しましたか?
        • お届け予定日や、利用規約の内容を確認しましたか?
          • ※上記の契約条件が記載されている画面はスクリーンショットで保存しましょう。
      2. 未成年者の場合は以下の点も確認してください。*
        • 販売サイトに「法定代理人の同意を得ている」のチェック欄があった際は、同意を得てチェックを入れていますか?
        • 年齢や生年月日を成人であると偽らず、正確に入力して申込んでいますか?
          • ※法定代理人が目的を定めて処分を許した財産をその目的のために使う行為や、自由な処分を許された財産を使う行為などは法定代理人の同意は不要。また、未成年者が相手を誤信させる目的で、成年者であると伝えたり、法定代理人の同意を得ていないにもかかわらず同意を得ているなどとうそをついたりすること(詐術)により相手を信用させて契約した場合には原則として取り消しはできない。

~NEW~
国民生活センター 若者に広がる「人を紹介すればもうかる」誘いに要注意!
  • 内容
    • 事例 高校の先輩から「もうけ話がある」と誘われ、一緒に事業者の営業担当者とWeb会議をした。投資で稼ぐような話で、よく理解できなかったが、誰かを勧誘すれば報酬がもらえるネットワークビジネスで、登録には50万円が必要とのことだった。「お金がない」と言うと「借金してもすぐに返済できる」と言われ、先輩の指示で、消費者金融の無人機に偽の勤務先や年収等を入力して50万円の借金をし、その場で手渡した。その後、投資では稼げず、借金の返済も苦しくなってきた。(当事者:学生)
  • ひとことアドバイス
    • 友人や知人からの誘いで、外貨や暗号資産(仮想通貨)などのもうけ話を持ちかけられ「人を紹介すれば報酬が得られる」などと強調されて、よく理解できないまま契約させられてしまうケースが多くみられます。「人を紹介すると…」や「誰かを勧誘すると…」など言われたら要注意です。友人や知人からの誘いでも冷静に判断しましょう。
    • 「お金がない」という断り方をすると、事業者に消費者金融での借金やクレジットカードの作成を勧められるケースがあります。その際に勤務先・アルバイト先や収入等について嘘をつくように言われても、絶対に応じないでください。
    • 一連の取引が特定商取引法の連鎖販売取引に該当する場合は、クーリング・オフや中途解約をすることができます。
    • 不安なときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

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厚生労働省 妊娠、出産等による不利益取扱いは、外国人労働者についても禁止されています
  • 妊娠、出産を理由とした解雇等の不利益取扱いは、日本人労働者と同様に、全ての外国人労働者について禁止されています。また、事業主に義務づけられている職場におけるハラスメント防止の取組は、全ての外国人労働者について、日本人労働者と同様に対象としなければなりません。
  • 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)では、男女雇用機会均等法等に関する相談に対応し、相談者の希望に応じて紛争の解決の援助や、法違反が疑われる事業主への指導を行っています。相談の中には、外国人労働者にも日本人労働者と同様に労働法令が適用されることを、事業主が理解しておらず発生したと思われる事例や、日本語に慣れていない外国人労働者に対して制度を十分に周知していないために発生したと思われる事例もあります。このため、厚生労働省では、妊娠、出産等による不利益取扱いの禁止と職場におけるハラスメントの防止について、法の内容を外国人労働者に分かりやすく周知するためのリーフレット2種類を、14の言語で新たに作成しました。また、妊産婦が主治医等の指導事項を事業主に伝えるための「母性健康管理指導事項連絡カード」について、どのような指導事項が事業主に伝えられるのか外国人労働者にも分かりやすくするため、英語、中国語、ポルトガル語と日本語の併記版を新たに作成しました。
  • 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)では、引き続き、外国人労働者からの相談に対応し、国籍に関わらず労働者が安心して妊娠、出産し、勤務を継続できるよう支援します。
▼【資料1】都道府県労働局の対応事例 3事例
  • 事例1 事業主の男女雇用機会均等法違反を指導し、是正された事例
    • 女性労働者のプロフィール
      • 南米出身の永住者。
      • 東海地方に在住。派遣労働者として製造業の工場作業に従事。
    • 労働局への相談の内容
      • 妊娠したことを派遣元企業に報告したところ、派遣先企業から、「今月末をもって契約を解除する」と通告された。
      • 理由は、業務量が減少し派遣労働者が余剰となったためと説明されたが、妊娠を理由とした契約打切りではないかと考え、産前休業まで働きたいとして労働局に相談した。
    • 労働局の対応
      • 派遣元企業から事情を聴取したところ、派遣先企業では、受注量が減少したため会社全体で人員整理を行っており、派遣労働者20人のうち3人を削減することとし、退職の意向のあった1名と、他の職種の派遣先への異動を希望していた1名、そして相談者の計3名の労働契約を終了することにした、相談者を選んだ理由は、他の派遣社員は夜勤が可能だが、相談者が昼勤のみを希望していたこと、相談者は「勤務態度不良」とまではいわないがこれまでに数日間の欠勤があったため、他の派遣社員との比較により選出したものであり、決して妊娠が理由ではない、と主張した。
      • 労働局は、経営悪化による人員削減を行う場合は、解雇を回避するための合理的な努力がなされたか、人員選定が妥当であるか、また、本人の勤務怠慢や能力不足が原因で解雇する場合は、改善の機会を相当程度与えたかが問われることを説明した。また、男女雇用機会均等法第9条第3項(妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止)について説明し、この事案は、妊娠中の雇い止めであり、業務上の必要性など特段の事情があることを事業主が証明しない限り不利益取扱いとして法違反であること、労働者が夜勤を希望しないことや数日間の欠勤があったことが妊娠が理由であった場合、それを理由とした不利益取扱いは許されないことを指摘した。
      • 労働局からの指摘を踏まえ、派遣元企業では検討を行い、以前から同社は事務職の社員が不足しており、相談者は日本語ができ通訳も可能なことから、派遣元企業で事務職として直接雇用して産前休業まで勤務させ、産後休業、育児休業を取得させたいという意向を示した。労働者も同意したため、1日6時間勤務の契約社員として雇用し、産前産後休業、育児休業を取得することとなった。
      • また、労働局から事業主に、外国人にも分かりやすい、やさしい日本語による、妊娠・出産、育児休業を申し出る派遣労働者への制度の周知説明に取り組むよう助言し、対応を終了した。
  • 事例2:男女雇用機会均等法による紛争解決の援助を行った事例
    • 女性労働者のプロフィール
      • 南米出身の定住者。
      • 関東地方に在住。建設業の正社員として現場作業に従事。
    • 労働局への相談の内容
      • 妊娠した女性労働者が、事業主に対し、「産前産後休業・育児休業を取得して、子どもを育てたい」と申し出た。
      • 事業主は、妊婦に与えられる仕事がないことを理由に「中絶しないならば、解雇するしかない」と言い渡した。
      • 女性は中絶を拒否し、解雇され、会社の寮(借上げアパート)を退去した。
      • 退職後、女性は出産。その後、産前休業まで勤務したならば受け取れたはずの賃金相当額と出産手当金相当額の支払いを事業主に求め、事業主が拒否したため、労働局に紛争の解決の援助を申し立てた。
    • 労働局の対応
      • 事業主から事情を聴取したところ、事業主は、「中絶しないと解雇する」とは決して言っていないが、妊婦は法令上、高所作業ができず建設現場で作業させられないこと、当該女性労働者は、事務職に転換するほどには日本語の語学力が十分でないので、与えられる仕事がないため、社長が「仕事ができないなら辞めるしかないのでは」といった発言を何度かしたことは確かだが、女性労働者は一度も何も言い返さなかったので、退職を受け入れたと解釈し、自己都合による離職票を作成したと主張した。
      • 労働局は、社長の執拗な発言は退職の強要に当たり、事務職以外の他の業務への配置や無給の休業等雇用の継続を図るための措置を一切検討することなく退職させているため、男女雇用機会均等法第9条第3項(妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止)違反であると指摘した。その上で、円満な解決に向けて、解決金の金額について調整を図った結果、双方の合意する金額の解決金を事業主が労働者に支払った。
      • その後、女性はハローワークの外国人雇用サービスコーナーを通じて他の企業に再就職した。
  • 事例3 事業主が労働者の意向を十分確認せずに紛争に至った事例
    • 女性労働者のプロフィール
      • 東南アジア出身、在留資格は「特定技能1号」。
      • 近畿地方に在住。製造業の工場作業に従事。
    • 労働局への相談の端緒
      • 外国籍の労働者の支援活動をしているNPO法人から、労働局に相談が寄せられた。
      • NPO法人は、労働者から、「妊娠を理由に勤務先から雇い止めを言い渡され、また、特定技能の在留許可の更新を拒否された」との相談を受け、事業主と登録支援機関に話を聞いたところ、「雇止めはせず雇用継続する」との返答があった。ところが、その翌日、NPO法人の同席のない場で、事業主が登録支援機関の通訳を介して労働者に雇止めを言い渡し、退職届にサインさせたと聞いた。このためNPO法人が、労働局に相談した。
    • 労働局の対応
      • 労働局は、当事者(労働者)から直接事情を聴いたところ、退職しなければいけないと思い込んでいたが、勤続できるのであれば勤続し、産前産後休業、育児休業を取得して復職したいと考えていることがわかった。本人が、退職届の返却と、在留資格の更新の手続きも希望したため、本人の意向を踏まえて紛争の解決の援助を開始した。
      • 労働局が、事業主から事情聴取したところ、事業主は、「労働者は当初、退職を希望していたはずであり、本人の希望に沿って準備を進めたもの。労働者の希望なら、法を遵守して対応する」と回答し、労働者の要望をすべて受け入れることとなった。
      • 労働局では、労働者が取得できる休業や各種手当等について十分に理解できていなかったことを事業主に説明し、今後は労働者の意向を決めつけて対応することのないよう、労働者に必要な情報を提供し、本人の意向を十分確認するよう助言して、援助を終了した。

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厚生労働省 第10回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 資料等
▼【資料1】医薬品の安定供給について 2
  • 市場に流通した医薬品は、市場実勢価格加重平均調整幅方式に基づく薬価改定により、その価値が評価されている。
  • その上で、保険医療上の必要性が高いものについては、その安定供給を図る観点から、特例的に薬価を維持又は引き上げる仕組みがある(基礎的医薬品、不採算品再算定)。
  • 上記以外の品目については、「最低薬価」により、最低限の供給コストが設定されている。
  • 今後の対応の方向性(論点)
    • 医薬品の安定供給に関しては、前回議論したとおり、「少量多品種生産」を行っている後発品産業のビジネスモデルや産業構造全体の在り方を見直していくことが重要。その上で、薬価制度に関しては、以下の論点が考えられる。
      1. 基礎的医薬品
        • 医療現場において、長期間にわたり広く使用され、有効性・安全性が確立されているものを対象とする観点から、薬価収載後25年以上という要件が設けられているが、要件の在り方についてどう考えるか。
      2. 不採算品再算定
        • 2年に1度の制度適用の場合、その間の原料等のコスト増の薬価への反映に時間を要するが、制度適用の頻度等についてどう考えるか。
      3. 最低薬価
        • 最低薬価が設定されていない剤形(エキス剤、塗布剤、点鼻剤、点耳剤、眼軟膏)についてどう考えるか。
    • ※医薬品の価値を無視した流通の実態については、後段で議論を行う。
    • ※イノベーションの推進が課題となっている中で、基礎的医薬品・不採算品再算定・最低薬価の制度の見直しについては、医療保険財政のバランスを確保する観点からその優先順位を考慮すべきである点に留意が必要
  • 市場実勢価格加重平均調整幅方式(調整幅方式)
    • 市場実勢価格加重平均調整幅方式とは、卸の医療機関・薬局に対する販売価格の加重平均値に消費税を加え、さらに改定前薬価の2%を加える方式。
    • 平成11年に、中医協で取りまとめられた「薬価制度改革の基本方針」において、R幅方式については「全ての薬剤について一律に一定率を保障することから、個々の取引により、また銘柄により、大きな薬価差が発生する可能性がある。不合理な薬価差の解消という社会的要請に応えるため、薬剤におけるR幅が価格競争の促進や安定供給の確保を目的として設定されているその他の薬価算定ルールとあいまって、銘柄間の価格競争や逆ざや取引の頻発の防止に与えている影響等を踏まえつつ、現行のR幅方式を見直す。」とされた。
    • その水準については、「可能な限り不合理な薬価差を解消するという観点及び薬価の適正化、薬剤費の効率化を図るという観点から、必要に応じ、平成12年度時点における長期収載品に係るR幅の水準(2%)等を勘案して算定ルール上の措置を講ずる。」とされ、平成12年からR幅に変わり調整幅2%が導入された。調整幅については、中医協において「薬剤流通安定のため」に必要な経費とされている。
    • R幅方式に含まれているとされた薬剤管理コストは、基本方針においては、「医療機関における薬剤管理コストの評価については、既存の診療報酬との整合性を図りつつ、薬価改定ルールの見直しと並行して、その必要性、具体的方法について更に検討する。」とされたが、その後、結論は出ていない。
    • 平成14年及び平成16年改定時の「薬価制度改革の基本方針」においては、調整幅方式について「既収載医薬品の原則的な薬価改定方式としてこれを維持するものとする」と明記された
  • 医薬分業が進展するとともに薬局への納入額の割合が増加し、病院・診療所の割合が減少している。
  • 薬局数は年々増加傾向にある(令和2年度は約6万)。20店舗以上経営の法人薬局割合も増加傾向にあり、いわゆるチェーン薬局が増加傾向であることを示している。
  • 近年、年間総売上高は横ばいであるが、販管費率が低下傾向にある。直近の営業利益率は0.53%となっている。
  • 令和2年度実績 卸売業界全体の営業利益率は2.0医薬品卸売業の営業利益率は0.35
  • 医薬分業の進展に伴い、医薬品の販売先が病院・診療所から薬局へと移行する過程において、薬局における乖離率が大きくなる一方、病院・診療所における乖離率は低くなっている。
  • 薬価差額全体のうち、薬局に占める割合が6割を超え、近年は横ばい傾向となっている。
  • 卸の年間の取引における薬価と取引額の乖離について集計したところ、薬局における乖離が一番大きかった。薬価差額の割合については、20店舗以上の調剤チェーンの割合が一番大きかった。
  • どの販売先でも後発品の乖離率の指数が一番高く、長期収載品の乖離率の指数が上昇傾向にあった。
  • 各年度とも、販売数量の多い製品に大きな変化は見られない。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療に用いる消化性潰瘍用剤や、生活習慣病薬の血圧降下剤や高脂血症用剤、血管拡張剤など、販売数量、品目数ともに多いものは乖離率が高い傾向にある。
  • 20店舗以上のチェーン薬局・200床以上有する病院の取引は、他の取引先と比較して総価取引の割合が高い。この総価取引において、後発品や長期収載品が値引きのための調整に使用されるため、乖離率が高くなっていると考えられる
  • 最低薬価が適用された品目でも薬価差が生じていた。特に、最低薬価では安定確保医薬品であっても平均乖離率が高い傾向にあった。日本薬局方医薬品(最低薬価を含む)の場合、乖離率は低い傾向にあった。一方、日本薬局方医薬品であっても、最低薬価のものは平均乖離率が高い傾向にあった。
  • 安定確保医薬品については、内用薬の乖離率が他の剤形と比較して高い傾向にあった。
  • 薬価差の課題
    1. 乖離率の偏在
      • 取引先別や医薬品のカテゴリーにより乖離率に偏在が発生している。
      • 医薬分業の進展とともに卸の取引先は、医療機関等から薬局へとシフトし、薬局において他の取引先と比較して大きな乖離率が発生している。※施設によって大きな差があると思われることに留意が必要。
      • 新薬は、競合品の少ないオーファンドラッグや再生医療等製品などが占める割合が増加し、競争が減少した反面、品目数や取引量が増加している後発品は、競合品が多く競争が激しく価格を下げている。また、後発品や長期収載品は、総価取引の値引きの調整弁として価格が大きく下がることがあり、乖離率が大きくなっていることが想定される。
    2. 最低薬価や安定確保医薬品の乖離率
      • 医療上の必要性が高い医薬品(最低薬価や安定確保医薬品)においても大きな乖離率が発生している。
      • 最低薬価や安定確保医薬品についても、医療上の必要性等が考慮されずに、総価取引における調整弁として扱われ、これにより乖離率が大きくなっている状況にあることが想定される。
  • 調整幅(2%)については、中医協において「薬剤流通安定のため」に必要な経費とされているが、その根拠・詳細は明示されていない。薬価の基本的な仕組みは、製品製造原価(原材料費・労務費・製造経費)+販売費・一般管理費+営業利益+流通経費で構成されており、その価格は全国一律価格となっている。そのため、市場原理下で発生する配送効率の地域差等による価格のバラツキを調整幅が吸収していると説明されてきた。
  • 近年では、オーファンドラッグや再生医療等製品など、患者を限定した医薬品等が増加している。これらの医薬品等の中には流通期間が短かかったり、品質管理が難しく専用の保管設備や特殊な配送が必要となるが、患者や使用される医療機関等が限定されることにより、配送効率による価格のバラツキは出にくくなると考えられる。
  • 一方で、後発品は、薬価収載品目数の増加や使用率の増加により、流通において人的・物的な負担が増加することで、配送効率の地域差による価格のバラツキが大きくなると考えられる。
  • また、全国にあるグループ店舗の医薬品購入を本部一括で契約するような場合においては、配送効率の地域差による価格のバラツキが考慮されていないことがある
  • 今後の対応の方向性(論点)
    1. 薬価差
      • 現行の医薬品の流通取引において、薬価差の発生は避けられないが、一方で、病院、診療所、薬局といった取引先の違いによって、薬価差の偏在が生じている。同一地域であっても、取引先や購入規模など取引条件の違いがあるとしても、納入価に過度な差が生じるような取引について、どのように改善をしていくべきか。
      • 医薬品をカテゴリー別にみた場合、長期収載品や後発品における乖離率が高くなる傾向があり、これがメーカーや卸の経営に悪影響を及ぼしていると考えられる。現行の流通取引においては、総価取引(単品契約総価取引含む)が主流となっているが、これらの医薬品は、総価取引における値引きの調整に使われていることが多いものと考えられる。また、薬価調査のたびに高い乖離率を示している安定確保医薬品があるが、これも総価取引における調整に使われることで、医薬品の価値が無視された過度な値引きがなされているおそれがある。このような弊害がある取引について、どのように改善をしていくべきか。
      • とりわけ、最低薬価が適用される医薬品においては、改定前薬価まで薬価が戻るという仕組みがあることで、総価取引の調整に使われている実態があると考えられるが、このような不合理な取引について、どのように改善していくべきか。
    2. 調整幅
      • 調整幅は地域差等による価格のバラツキを調整する機能を有するものと考えられている。これは、必然的に発生する薬価差を吸収する役割を持つものであるが、近年、配送場所が限定される医薬品や汎用性が高く全国に配送される医薬品の増加、全国にあるグループ店舗の本部一括購入などによって、地域差等による価格のバラツキの在り方に変化が生じている実態を踏まえ、従前から一律2%とされている調整幅の意義をどのように考えるべきか

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経済産業省 「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する基本方針」が閣議決定されました
  • エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(以下「改正省エネ法」という。)の施行に伴い、本日、エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する基本方針が閣議決定されました。
    1. 背景
      • 省エネ法は、これまで大規模需要家に対して化石エネルギーの使用の合理化を求めてきましたが、令和5年4月1日に施行される改正省エネ法では、2050年カーボンニュートラル目標に向けて非化石エネルギーの導入拡大が必要であることや、太陽光発電等の供給側の変動に応じて電気の需要の最適化が求められることを踏まえ、非化石エネルギーを含めた全てのエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換を求めるとともに、電気の需要の最適化を促す法体系に変わります。
      • 本法律改正を踏まえ、エネルギーの使用の合理化、非化石エネルギーへの転換及び電気の需要の最適化を総合的に進める見地から、エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する基本方針を、本日、閣議決定しました。
      • エネルギーを使用する事業者等は、本基本方針の定めるところに留意して、非化石エネルギーへの転換等に取り組むことが期待されます。
    2. 基本方針の概要
      • 昨今のエネルギーを取り巻く環境においては、気候変動問題への対応が各国の産業競争力を左右する重要な要素になっており、カーボンニュートラルの実現に向けて、あらゆる主体がエネルギーの使用の合理化や非化石エネルギー転換等に取り組むことが重要です。こうした認識の下、本基本方針では、需要サイドにおける非化石エネルギーへの転換等を総合的に進める見地から、エネルギーを使用する事業者等が留意すべき基本的な事項を定めます。
      • 具体的には、エネルギーを使用する事業者等に対し、エネルギー消費効率が優れた設備や太陽光発電設備等の非化石電気の使用に資する設備を設置することや、熱や電気を調達する際には非化石エネルギーの割合が高いものを選択すること、電気の需要の最適化に資する観点から自家発電設備や蓄電池を導入することなどを求めます。
      • また、事業者の省エネ・非化石エネルギー転換の取組の情報発信を促す観点から、令和5年3月に、省エネ法の定期報告情報の任意開示制度を開始したところですが、事業者に本制度に基づく情報の開示を検討するよう求めます。
▼エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する基本方針(本文)

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経済産業省 株式会社豊田自動織機の排出ガス性能に係る型式指定申請における不適切行為について、事実関係の究明等の指示を行いました
  • 本日、株式会社豊田自動織機より、フォークリフト等用のエンジン4機種について、型式指定申請時に不適切行為があり、うち2機種は排出ガス基準を満たしていない旨の報告を受けました。
  • このような事態は、ユーザーの信頼を損なうものであり、大変遺憾です。
  • これを踏まえ、経済産業省は、同社に対し、(1)事実関係の究明、(2)顧客・取引先への適切な対応、(3)十分な対外説明、(4)原因の徹底究明・再発防止策の実施を指示し、事実関係については速やかに報告するよう求めました。
    1. 豊田自動織機からの報告概要
      • 現行のフォークリフト等用エンジン4機種において、以下のような不適切行為があった。
        1. 部品の製造ばらつきの影響を調べるため、劣化耐久試験の途中で行う排出ガス試験の内1回を、エンジン部品を交換して実施
        2. 劣化耐久試験において、一部の試験結果が異常値と考え、同性能の別エンジンの排出ガス測定結果と差替え
        3. 劣化耐久試験結果を踏まえ、燃料噴射装置を改良。改良後同試験をやり直さず、推定値を試験結果とした
        4. 排出ガス試験の一部で規定のエンジン運転条件の成立が困難であったため、本来設備側で設定を行うところ、エンジン側の制御ソフトの一部を変更
          • 不適切行為があった4機種のうち、3に関連する2機種(フォークリフト等用ディーゼルエンジン2機種)については、排出ガス基準を満たしていない。
          • 同社は、不適切行為のあったエンジン及びそれを搭載した車両について、自主的に出荷を停止する。
          • 事案の全容解明及び再発防止策を検討するため、外部有識者による特別調査委員会を設置する。
    2. 経済産業省の対応
      • 豊田自動織機からの報告を踏まえ、同社に対し以下4点を指示するとともに、事実関係については速やかに報告するよう求めました。
        1. 事実関係の究明
        2. 情報提供など顧客・取引先への適切な対応
        3. 問題の経緯や今後の対応についての十分な対外説明
        4. 原因の徹底究明、再発防止策の実施

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経済産業省 「安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令」が閣議決定されました
  • 「安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令」が閣議決定されました。
    • 政令改正の趣旨
      • 第208回国会において、省エネの対象範囲の見直しや非化石エネルギーへの転換促進、脱炭素燃料や技術への支援強化、電源休廃止時の事前届出制の導入や大型蓄電池の発電事業への位置付け等の措置を講ずる「安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第46号)」が成立しました。当該法律が令和5年4月1日に施行されることに伴い、関係政令の整備等を行います。
    • 政令案の概要
      1. エネルギーの使用の合理化等に関する法律施行令の一部改正
        • 「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律施行令」に名称を改正します。
        • 法律において、エネルギーの定義に非化石エネルギーが追加され、燃料を熱源としない熱も「エネルギー」となったことに伴い、政令において、熱の定義から、太陽熱等を直接利用する場合や、原子力発電の核分裂に伴う熱を除くこととします。
        • 熱損失防止性能に優れる木製のサッシは、市場シェアが小さいため建築材料トップランナー制度の対象外であったところ、普及を図る観点から、新たに対象に追加します。
      2. エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律施行令の一部改正
        • 「エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律施行令」に名称を改正します。
        • 法律上に明記された水素に加えて、アンモニアを「非化石エネルギー源」として位置付けます。
      3. 鉱業法第六条の二の鉱物を定める政令の一部改正
        • 「鉱業法第六条の二の鉱物及び同法第七十条の三の特定鉱物を定める政令」に名称を改正します。
        • 鉱業法上の鉱業権の付与対象に希土類金属鉱(レアアース)が追加されたことに伴い、鉱業法の対象鉱物の中でも国民経済上重要なものであってその合理的な開発が特に必要な鉱物(特定鉱物)としてレアアースを位置付けます。
      4. 電気事業法施行令の一部改正
        • 法律において大型蓄電池を用いた放電を発電事業に位置付けたことに伴い、蓄電池に関して経済産業大臣から経済産業局長に委任する権限の範囲を整理します。
      5. その他
        • 関係政令の一部改正等を行います。

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経済産業省 DXセレクション2023を公表しました!
  • 経済産業省は、中堅・中小企業等のDX(デジタルトランスフォーメーション)のモデルケースとなるような優良事例を「DXセレクション2023」として選定し、本日、選定された20社を公表しました。
  • DXセレクションについて
    • DXセレクションとは、DXに取り組む中堅・中小企業等のモデルケースとなるような優良事例を選定して紹介するものです。優良事例の選定・公表を通じて、地域内や業種内での横展開を図り、中堅・中小企業等におけるDXの推進並びに各地域での取組の活性化につなげていくことを目的として、昨年度新たに開始した取組です。
    • なお、募集にあたっては、地域におけるIoT等の技術活用を通じて地域経済の発展を推進する「地方版IoT推進ラボ」の取組に参画している中堅・中小企業等を対象としました。
    • 評価項目
      • DXセレクションの審査にあたっては、デジタルガバナンス・コードの以下の項目に対応する取組を評価します。
        • 経営ビジョン・ビジネスモデル
        • 戦略
        • 組織づくり・人材・企業文化に関する方策
        • ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
        • 成果と重要な成果指標
        • ガバナンスシステム

~NEW~
経済産業省 クレジットカード・セキュリティガイドライン【4.0版】が改訂されました
  • 令和5年3月14日に「クレジット取引セキュリティ対策協議会第10回本会議」(事務局:一般社団法人日本クレジット協会)が開催され、クレジットカード取引に関わる事業者が実施するべきセキュリティ対策を定めた「クレジットカード・セキュリティガイドライン」が改訂されました(クレジットカード・セキュリティガイドライン【4.0版】)。
    • 「クレジットカード・セキュリティガイドライン」について
      • 「クレジットカード・セキュリティガイドライン」とは、安全・安心なクレジットカード利用環境を整備するため、クレジットカード取引に関わるカード会社、加盟店、決済代行業者等の関係事業者が実施するべきクレジットカード情報漏えい及び不正利用の防止のためのセキュリティ対策の取組を取りまとめたものです。
      • また、同ガイドラインは、割賦販売法に規定するセキュリティ対策義務の「実務上の指針」として位置づけられており、同ガイドラインに「指針対策」として掲げられている措置又はそれと同等以上の措置を適切に講じている場合には、同法で定めるセキュリティ対策の基準を満たしていると認められます。
    • 主な改訂内容
      1. クレジットカード情報保護対策
        • EC加盟店による非保持又はPCI DSS※1準拠に加えて、以下の対策を実施。
          • EC加盟店は、新規の加盟店契約の申込前に自らECサイトにセキュリティ対策を実施し、契約申込みの際にアクワイアラー※2又はPSP ※3に脆弱性対策等のセキュリティ対策の実施状況を記載した申告書を提出する。(試行)
          • (なお、「クレジットカード決済システムのセキュリティ対策強化検討会報告書」(経済産業省 2023年1月20日)において、EC加盟店のECシステムやECサイト自体の脆弱性対策等の基本的なセキュリティ対策を必須とすることを2024年度末までに本ガイドラインに追記することが求められている。)
          • アクワイアラー及びPSPは、EC加盟店に対して、新規の加盟店契約の申込みに際してEC加盟店自らのセキュリティ対策の実施とその申告を求めるとともに、申告内容をもとにセキュリティ対策の実施状況を確認する。(試行)
            • ※1 Payment Card Industry Data Security Standardの略。カード情報を取り扱う全ての事業者に対して国際ブランド(VISA、Mastercard、JCB、American Express、Discover)が共同で策定したデータセキュリティの国際基準。
            • ※2 クレジットカード加盟店を開拓、加盟店契約を締結する事業者。
            • ※3 Payment Service Providerの略。インターネット上の取引においてEC加盟店にクレジットカード決済スキームを提供し、カード情報を処理する事業者。
      2. 不正利用対策
        • 原則、全てのEC加盟店は、2025年3月末までにEMV3-Dセキュアの導入を求める。
        • イシュアー※4は、EMV 3-Dセキュアの本人認証方法として「静的(固定)パスワード」から「動的(ワンタイム)パスワード」等の認証方法への移行環境を整え、2025年3月末までに自社カード会員が「動的(ワンタイム)パスワード」等の認証方法へ登録・移行するよう取組む。
          • ※4 クレジットカードを発行する事業者。
        • アクワイアラー及びPSPは、2025年3月末までに、原則、全てのEC加盟店がEMV3-Dセキュアの導入を計画的に進められるようサポートを行う。また、「不正顕在化加盟店」※5に対して早期にEMV 3-Dセキュアを導入するよう働きかける。
          • ※5 アクワイアラー各社が把握する不正利用金額が3ヵ月連続で50万円を超えているEC加盟店。
      3. 消費者及び事業者等への周知・啓発
        • イシュアーは、カード会員によるEMV3-Dセキュアの登録、「動的(ワンタイム)パスワード」等の認証方法の登録・移行を促進するためのカード会員への周知、啓発を行う。
        • イシュアーは、カード会員に対して、不正利用被害の防止のために、利用明細の確認、身に覚えのない取引があった場合のイシュアーへの連絡等の重要性についての周知、啓発活動に取組む。
        • イシュアーは、カード会員のフィッシングによる不正利用被害の防止のために、フィッシングの手口や不審と思われるサイトには、カード情報等の入力は行わないなどの注意事項等の周知、啓発活動に取組む。
        • アクワイアラー又はPSPは、EC加盟店に対して、2025年3月末までに原則、全てのEC加盟店においてEMV3-Dセキュアの導入が求められる旨、周知する。
▼クレジットカード・セキュリティガイドライン[4.0版](改訂ポイント)

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国土交通省 無人航空機のレベル4飛行初実施のために飛行の許可・承認を行いました!
  • 無人航空機のレベル4飛行(有人地帯(第三者上空)における補助者なし目視外飛行)を初めて行うために、日本郵便株式会社に対して本日飛行の許可・承認を行いました。
  • 航空法等の一部を改正する法律(令和3年法律第65号)による航空法(昭和27年法律第231号)の改正により、令和4年12月5日から無人航空機のレベル4飛行を行うための機体認証や操縦ライセンス等の各種制度が開始されました。
  • 改正後の航空法に基づき、第一種機体認証を取得した無人航空機の機体を用いて、一等無人航空機操縦者技能証明書を取得した者が、飛行の許可・承認を取得して、各運航ルールを遵守することで、レベル4飛行が可能となります。
  • 今般、日本郵便株式会社からの申請を受け、無人航空機のレベル4飛行初実施のために必要な飛行の許可・承認を本日初めて行いました。飛行の詳細については日本郵便株式会社のプレスリリースをご覧ください。国土交通省では、引き続き関係者と協力し、無人航空機の安全な社会実装を促進していきます。

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国土交通省 日本初!国内ブレンドの航空燃料で空を飛びました~SAFのサプライチェーン構築に向けた実証事業は最終段階~
  • 国土交通省では、SAFのサプライチェーン構築に向けて、今年度、輸入ニートSAFを用いた実証事業を進めて参りました。
  • SAFの導入促進に向けては、流通・使用の過程において安全・円滑にSAFを取り扱うための環境整備が重要な課題です。十分な量の国産SAFが供給されるまでの間は、輸入SAFの活用も不可欠であり、輸入SAFを想定したサプライチェーンの構築は石油業界、航空業界からも要望されています。
  • 今般、事業の最終段階を迎え、中部国際空港において、国土交通省航空局が所有する飛行検査機に、国内で初めてブレンドしたSAFの給油を開始しました。【実証事業概要】
    • 目的:ニートSAFを輸入し、国内でジェット燃料との混合を行い、空港まで輸送し、最終的に機体に給油するまでのサプライチェーンを実証。
    • 検証項目:保税管理、経済合理性、混合に際しての品質保証などを検証。
    • 使用ニートSAF:ネステ社(フィンランド)のニートSAF。ニートSAFの数量は5kL。
    • 使用機材:航空局所有の飛行検査機(CJ4型5機、C700型1機)

~NEW~
国土交通省 取り組もう、再配達削減!!~本年4月は「再配達削減PR月間」!受取は1回で!~
  • 2024年(令和6年)4月からは、トラックドライバーの「働き方改革」の法律が適用され、現状のままの運び方が難しくなります(物流の「2024年問題」)。
  • 今般、それまで残り1年となるのを機に、本年4月を「再配達削減PR月間」とし、再配達削減に向けた取組を強力に実施してまいります。
  • 近年、多様化するライフスタイルとともに電子商取引(EC)が急速に拡大し、2021年には、電子商取引(EC)市場が全体で20.7兆円規模、物販系分野で13.3兆円規模となっています。また、ECの拡大に伴い宅配便の取扱個数が5年間で約9.3億個(+約23.2%)増加しています。
  • 国土交通省では、「総合物流施策大綱」において宅配便の再配達率の削減目標(2020年度10%程度→2025年度7.5%程度)を設定し、その削減に取り組んでおりますが、2024年(令和6年)4月からトラックドライバーへの労働時間上限規制が適用されることから、物流への負荷が高まるところが懸念されます。
  • このため、国土交通省では、経済産業省と連携し、本年4月を「再配達削減PR月間」とし、宅配便・EC(eコマース)・通販の事業者とともに、再配達削減に向けた取組を強力に推進してまいります。
  • 国土交通省・経済産業省の取組
    • SNSによる広報
    • 参加事業者のリスト取組内容を国土交通省のHPに掲載
    • 政府広報テレビ番組での紹介(3月29日(水)18:30~BSテレ東(予定)『ビビるとさくらとトモに深掘り!知るトビラ』内の『サキドリ情報便!』コーナー)
  • 宅配便・EC(eコマース)・通販事業者の取組(例)
    • 自社のHPやSNSを通じ、国民に対し再配達削減を呼びかけ※
    • 自社HPに国土交通省・経済産業省が提供するバナーを掲載
  • 呼びかける内容
    • 時間帯指定の活用
    • 各事業者の提供しているコミュニケーション・ツール等(メール・アプリ等)の活用
    • コンビニ受取や駅の宅配ロッカー、置き配など、多様な受取方法の活用
    • 発送時に送付先の在宅時間を確認

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