危機管理トピックス
更新日:2025年6月23日 新着21記事

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――
金融庁
- 特殊詐欺等の被害拡大防止を目的とした都市銀行等の金融機関との「情報連携協定書」締結について
- FATFによる「FATFプレナリー(2025年6月12-13日)の結果概要」の公表について
- FATFによる「Payment Transparencyに関するFATF勧告16の改訂」の公表について
- 貸金庫の利用者に対する周知ポスターについて
- 「金融庁 AI官民フォーラム」(第1回)議事次第
- 金融機関の内部監査高度化に関する懇談会「報告書(2025)」の公表について
警察庁
- 令和6年における水難の概況等
- 令和6年における山岳遭難の概況等
- 犯罪統計資料(令和7年1~5月分)
国民生活センター
- リチウムイオン電池の膨張、発煙・発火に注意
- 国民生活2025年6月号【No.154】(2025年6月16日発行)
経済産業省
- 「100億宣言」を公表します 売上高100億円という高い目標を目指す経営者を応援します
- 日本産業標準調査会基本政策部会「新たな基準認証政策の展開-日本型標準加速化モデル2025-」を公表します
総務省
- 避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成等に係る取組状況の調査結果
- 「電話番号の犯罪利用対策等に係る電気通信番号制度の在り方」に関する情報通信審議会への諮問
- オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会(第5回)
国土交通省
- 航空従事者に対する航空法に基づく行政処分について
- 住宅の耐震対策に関する「かたり調査」にご注意!~国土交通省では戸別訪問によるアンケート調査は行っていません~
~NEW~
復興庁 第43回復興推進会議[令和7年6月20日
▼ 資料1ー1 「第2期復興・創生期間」以降における東日本大震災からの復興の基本方針(案)(概要)
- 「第2期復興・創生期間」(令和3~7年度)の最終年度に当たる令和7年度に復興事業全体の在り方について見直しを行い、
- 第2期復興・創生期間の次の5年間(令和8~12年度「第3期復興・創生期間」)までの期間における基本姿勢及び各分野における取組、財源、組織等に関する方針を定める
- 復興に向けた様々な課題について、まずは第3期復興・創生期間で何としても解決していくとの強い決意で、総力を挙げて取り組む
- 基本姿勢及び各分野における主な取組
- 原子力災害被災地域
- 地域によって復興の段階が様々。それぞれの地域の実情や特殊性を踏まえながら、着実に取組を進める。
- 事故収束(廃炉・汚染水・処理水対策)
- 廃炉については、安全確保を最優先にしつつ、持続的な人的体制・資金の確保、廃炉を通じたイノベーションの促進、誇りを持てる現場とするための理解醸成・情報発信等を行う
- ALPS処理水の処分については、輸入規制の即時撤廃、水産業支援に取り組む
- 環境再生に向けた取組
- 福島県内の除去土壌等の2045年3月までの県外最終処分に向け国が責任を持って取り組む
- 官邸での利用の検討を始め政府が率先し復興再生利用を推進。最終処分場の候補地選定プロセスの具体化等、福島県外での最終処分に向けた取組を政府一体となり進める
- 福島県外の指定廃棄物の最終処分に向けた取組を加速化
- 帰還・移住等の促進、生活再建、交流・関係人口の拡大、観光の振興
- 住民の帰還促進、避難指示解除地域の復興に向け、ハード・ソフト両面で生活環境を整備
- 住民が里山の恵みを享受できるよう、森林整備の再開を始め、「区域から個人へ」の考え方の下、安全確保を大前提とした活動の自由化等、住民等の今後の活動の在り方を検討
- 交流・関係人口の拡大に向け、福島第一原子力発電所や中間貯蔵施設等の活用や芸術等の新たな地域コンテンツの発掘等
- ホープツーリズムを始めとした、観光振興策を戦略的に推進
- 福島国際研究教育機構(F-REI)の取組の推進
- 「ロボット」「農林水産業」「エネルギー」「放射線科学・創薬医療、放射線の産業利用」「原子力災害に関するデータや知見の集積・発信」の各分野の質の高い研究開発の推進、施設整備の可能な限りの前倒し
- 国内外の優秀な研究者が定住するにふさわしい生活環境整備
- 福島イノベーション・コースト構想を軸とした産業集積等、事業者再建
- 構想の具体化、F-REI等との連携等を通じ、「実証の聖地」として、地域の稼ぎ・日々の暮らし・担い手の拡大を牽引し、2030年頃までの自立的・持続的な産業発展を実現
- ドローン・ロボット、衛星・宇宙関連の先進的な取組、スタートアップの誘致
- 農林水産業の再建
- 令和12年度末までに約11,000haを目標とする地域の取組を支援し営農再開の加速化、省力的かつ稼げる農業生産体系の構築、広域的な産地形成の推進
- 帰還困難区域内の森林整備再開に向け条件整備の上で本格復旧に着手、中高層公共建築物における福島県産材の活用に向けた関係省庁間での情報共有等
- 計画的な水揚げ回復や養殖生産の取組、担い手確保、スマート水産業の推進
- 風評払拭・リスクコミュニケーションの推進
- 食品規制等を科学的・合理的見地から検証、安全性を担保された自家消費食品の摂取制限見直し
- 事故収束(廃炉・汚染水・処理水対策)
- 地域によって復興の段階が様々。それぞれの地域の実情や特殊性を踏まえながら、着実に取組を進める。
- 地震・津波被災地域
- 第2期復興・創生期間において残された事業に全力を挙げ、復興事業がその役割を全うすることを目指すとの方針に基づき取り組み
- 第2期復興・創生期間の終了までの間に培ってきたノウハウの地方公共団体等への継承や地方創生の施策を始めとする政府全体の施策との連携を促進
- 心のケア等や被災した子どもに対する支援等の中長期的取組が必要な課題については、被災地の状況を丁寧に把握し関係省庁等が連携しながら、政府全体の施策を活用するとともに、ソフトランディングのため真に必要な範囲で第2期復興・創生期間の後も復興施策により対応
- 教訓・記憶の後世への継承
- 東日本大震災・復興記録を収集、取りまとめ、幅広く普及・啓発
- 被災各地の追悼・祈念施設、震災遺構、伝承施設等の間で連携しつつ、東日本大震災の記憶と教訓を後世へ継承
- 原子力災害被災地域
- 復興を支える仕組み等
- 財源等
- 次の5年間は復興に向けた課題を解決していく極めて重要な期間であり、今の5年間以上に力強く復興施策を推進していくための財源を確保する
- 令和8年度から5年間の事業規模は9兆円程度の見込み
- この中で、福島県については、次の5年間の全体の事業規模が今の5年間を十分に超えるものと見込まれる
- 自治体支援
- 必要な人材確保対策に係る支援、引き続き実施される復旧・復興事業について震災復興特別交付税による支援を継続
- 組織
- 原子力災害被災地域の最前線の復興に必要な福島復興局内体制整備
- 地震・津波被災地域に残る中期的課題への支援に必要な復興庁内体制整備
- その他
- 基本方針は、第3期復興・創生期間の開始から3年後を目途に必要な見直し
- 財源等
~NEW~
消費者庁 「デジタル社会における消費取引研究会」 (報告書)
- 消費取引社会のデジタル化
- 本研究会においては、最初に、購入者等の利益の保護と商品等の流通、役務提供の適正化、円滑化の観点から、これまでの消費者取引施策の効果、検証を行いつつ、消費経済市場における取引環境の変化として、市場規模の推移やツールの変化、また、利用状況等を確認した。
- まず、消費取引社会を取り巻く環境の変化として、例えば、国内 EC 市場規模は毎年拡大傾向にあり、世界的にも同様である中で、技術の進展とともに情報通信機器の保有状況は変化し、それに伴い取引ツールも多様化していること。とりわけインターネット利用のうち動画投稿・共有サービスを閲覧する時間が長くなり、ソーシャルメディア利用率が高まり、提供内容の変化自体が加速化しているなどのエビデンスを示した。
- これらの点について委員からは、新技術の発達に伴って新しい種類の取引が発生しており、取引環境が急激に変化し、その変化も加速していく中で、それらを見越した対応が必要となる。今後、AI を用いた多くのサービスが展開されていくにつれ、これまで想定し得なかった課題も当然に発生し得る。また、デジタル消費取引は国境を越えて発生するため、海外事業者に対してもイコールフッティングを果たせるのかどうか等の論点も顕在化していく、などの見解が示された。
- 特定商取引法等における対応状況
- 次に、特定商取引法に規定する通信販売、また、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(令和 3 年法律第 32 号。以下「取引デジタルプラットフォーム消費者保護法」という。)に関して、両法の規定に基づく施策の実施状況等について示した。
- 近年、消費生活相談件数は 90 万件前後で推移しており、そのうち通信販売の相談件数の割合は約 3 割で推移している。特定商取引法のこれまでの改正と、相談件数に与える処分実績の影響度と市場規模等との相関を示し、相互に高い関係性がみられないことについての洞察を加えた。合わせて、累犯(被処分事業者による違反行為の繰り返し)や連携共同(複数事業者が連携して違反行為を行う)事案も増加する中、執行実績と実務の実態を示し、特に加速的に変化等する事象への対応のあり方や執行人員一人あたりの年間平均処分件数の推移、法令遵守の意識に乏しい悪質な者への対応力等を示し、これらのエビデンスから伺える課題について議論がなされた。
- また、PIO-NETに登録される消費生活相談情報は、消費者被害の実態把握や法の執行に際して重要な情報であるものの、直接的な被害に関する情報だけでなく、情報提供に留まるものや、サービスの使用方法に関する相談など多様な内容が含まれることから、この貴重な情報を政策立案のための施策リソースとして有益なデータにするための消費者庁の努力が必要と示した。
- 特に通信販売については、詐欺的な定期購入商法などに対する令和3年特定商取引法改正を踏まえた対応について、体制の強化等による処分の迅速化などが図られてはいるものの、処分価値を最大化し、抑止力を強化することの必要性や、非制度的取組との組合せによる実効力の向上、端緒から処分に至るまでのプロシージャー面での迅速性等の改善の必要性、警察その他関係機関等との連携強化などの重要性を示した。あわせて、執行事例をもとに、ウェブサイト広告やパーソナライズド広告・取引といったデジタル技術の進展に伴う悪質事案への対処の困難性を示した。
- また、取引デジタルプラットフォーム消費者保護法については、通信販売取引の適正化及び紛争解決の促進に関し、取引デジタルプラットフォーム提供者の協力を得て、同法の運用が図られているところ、消諸費者利益の保護を図るための申出の状況や要請を行った案件の概況を示した。
- これらの点について委員からは、まず、法目的と手段との合理性、手段の有効性の観点から、デジタル化が進む中で、これまでの政策の効き目はどうであり、今後どうあるべきかをエビデンスに基づいて分析しながら冷静に検討していく必要があり、そのことを通じて真に有効な手段が何かを突き止めるべきであるとの指摘がなされた。
- 次に、規制と消費経済市場の成長との関係性との観点から、ルール、規制、処分が安心に繋がり、消費者自身にも豊かでウェルビーイングな暮らしがもたらされることにより、市場を拡大させる側面がある一方で、規制や処分が市場の成長を阻害する側面もあるため、その効果と副作用とを見ていく必要があることや、購入者等の利益保護と企業側の取引の円滑化の双方は矛盾せず、同時にうまくいくことは政策の方向性として十分に考えられるとの見解が示された。
- 加えて、家計の消費支出は GDP の5割以上を占める重要な要素であり、社会的規制の多くは安全・安心を確保することを目的としていて、規制による安心感が消費を促進している部分がある一方、社会的規制を含む公的規制、各種ルールのコンプライアンス・コストはかなり大きく、規制対応に関するコストを仮に半減できれば、生産性は約8%高まるといった研究があり5、日本経済の生産性を上げることは最重要課題であるため、規制のこうした側面にも気を払う必要があるとの意見が示された。
- なお、海外主要国、とりわけ EU や米国におけるデジタル消費取引に係る取組の現況については、「デジタル化に対する国内外の政府機関等における消費者取引等に係る取組状況等に関する調査」の概要をもとに、取引類型を問わない抽象的、一般的規定をベースに、事業者による自主的取組や消費者保護に資する技術開発支援、消費者のリテラシー向上などの包括的・総合的な施策に取り組む現況が示された。
- また、我が国のこれまでの特定商取引法の執行を中心とする施策の効果については、「デジタル時代等における消費者取引対策を検討するための基礎調査」の概要をもとに、被害実態の把握や規制強化による消費者便益・事業活動への影響の推計、行政処分等の抑止効果についての検証手法の提示がなされた。
- この点について委員からは、特定商取引法は、特定の取引類型に該当しない場合は、この法律は関係ないとなり、どれだけ規制を細かく具体的にしていっても、そもそも守る気がない人にとってはほとんど効果がなく、逆に真面目に守る人にとって負担ばかりが増えていくことになり、ある種の「守り損」になってしまっているとの指摘がなされた。また、グローバルな視点が重要であり、国内だけで議論していては完結せず、域外適用のようなことも論点として盛り込むべきことや、デジタル技術が民主化されている中において、民主化された技術をしっかりベネフィットに変えていく形として、デジタルというのは横串であり、特定商取引法を超えた視点をしっかり入れていくことが重要との指摘がなされた。
- 以上のようなエビデンスの整理とそれに基づく現状の取組に関する議論を展開した後、事業者団体や事業者、また、学者その他の有識者、消費者団体等の関係者からのヒアリングを反復して実施し、委員からのプレゼンテーションも経て、次頁以降に示す「取引」の概念やデジタル消費取引の特性・特徴を明らかにするとともに、その対策の考え方と方向性について研究を深めた。
- デジタル消費取引の特性・特徴
- 消費取引の構成要素の「相対化」
- デジタル技術の発展はデジタルの民主化と言って、コモディティ化されたことが最も大きい。これにより、消費取引は売り手と買い手との二項区分では必ずしも捉えられなくなっている。すなわちデジタル消費取引では消費者と事業者の関係性が変化している側面があり、このインパクトは大きい。誰でも供給側に回れ、消費する道具で稼ぐこともできる時代ともいえるなど、これまでの消費者と企業との「バーサス」の関係から融合され、消費者という定義が変わってきている。
- 「消費者」という考え方自体も工業世界のものであり、大量に生産する人がいて一方に物が流れる時代のものである。SNS やインターネット上で様々な情報が流通し、取引と取引外の境目がかなり不明確になっていて、消費者側もどこから先が取引に入っているのかどうかよく分からない。誰が主体になっているかが、非常に曖昧になってきている。
- デジタル消費取引では取引とその参加者の属性を基軸にするのではなく、むしろ結果や帰結に至る道筋を追いかけられるような仕組み作りが求められる。
- 「脆弱性」については、消費者には高齢者や未成年といった属性や類型等による脆弱性が認められる一方で、デジタル技術に関する個人のリテラシーや活用度合い等の個々の要素により、その度合いは大きく異なる。
- また、デジタル技術を活用した巧みな働きかけ等により消費者の自由かつ自立的な決定が揺らぎ、多様な脆弱性を有する場面もあり、情報を活用してより堅固に意思決定がなされる場面もある。例えば、パーソナライズ化された広告や操作的な画面構成は消費者の選択を誘導しやすい一方で、比較サイトやパーソナル AI を活用することで情報が可視化され、より自律的な選択も可能となる。
- さらに、従来の大企業と比較して、フリーランスやプラットフォーム上での出品者等個人に近いプレイヤーが事業者として参入するなど、事業者が一律に強いということも前提とできない。
- つまり、消費者が有する脆弱性が、取引の場面や消費者のリテラシー、事業者のデジタル技術の活用度合い等の多種な要素に応じて、相対的なものとなっていると言える。
- 加えて、消費者のデジタルリテラシーが一定水準に達している場合であっても、デジタル活用の機会が多いことや、事業者のデジタル技術の活用がより高度である場合等には、相対的に脆弱な立場に置かれることもあり得る点に留意する必要がある。
- したがって、デジタル消費取引の一定の場面や状況等により消費者がトラブルに曝される可能性は高まっているといえるが、しかしそれは、デジタルを扱うがゆえに全ての消費者が脆弱となるとの前提に立つものではなく、リアルの取引でも悪質な者がこれを悪用してきたことを踏まえると、デジタル消費取引での相対的な脆弱性を悪用する行為に着目し、これを是正することに焦点を当てるべきである。もっとも、相対的な脆弱性を解消するためには、デジタル消費取引を避けるだけでなく、デジタルの特性を克服し、活用するための対策が必要であり、結果として、国際競争において他国と比較してリテラシーが脆弱な社会へ導かないことが求められる。
- 取引の形態や対象・領域、内容などの質的変容と量的拡大
- デジタル技術は、「加速的」に変化する上に、その「イノベーション」は事業者に限らずありとあらゆる取引場面で発生し得る。取引環境も予測、予想を超えた変容を遂げており、今後も遂げていくことが予想される。
- 取引対象についても、商品等に限らず無償・無体物が取引対象となり、かつそれはサイバー空間で価値を高め、また、高め合い、別の財となって市場を席巻する。これまでのように、固定的な特定の取引対象(物)だけを念頭におく取引とは異なる性質の取引が広がっている。例えば、従来、「個人」が金銭を提供することで、商品・サービスを享受していたが、それだけなく、データやその人の時間を拠出することで、サービス等を提供する取引が行われている。また、複数の主体間(匿名である場合も考えられる)で何らかの情報共有が行われることで、相互に特定の行動への誘導を行う行為も取引と捉え得る。加えて、取引の形態が一様ではなく、決済までの流通経路も複雑・多層化し、もはや顔を見合わせる前提も、国境も存在しない。
- 取引内容の質的変容と量的拡大もデジタル技術がもたらす特性であり、例えば以下の特性を有する。
- 情報や時間、関心、アテンションの経済的価値化による個人情報そのものの価値の増大と、その分析等を通じたターゲティング広告やレコメンデーション等の手法を用いた消費取引の手法が発達している。
- 情報の出し手、受け手と販売事業者のみならず、情報の取得、管理、流通、処理、提供等を担う者が複層的に、系統立たずに関与する構造となっている。
- あらゆる者が制限なく競争し、商品・サービス等に対する評価の手法が確立されず、また、偽・誤情報による錯乱を収拾できない市場環境が形成されている。
- フィルターバブルやエコーチェンバーなどにより、自覚して適正な選択がなされているかどうかの確信がもてない状況にも自然と曝され、自立性・自律性が損なわれている。
- これらの質的変質に加えて、圧倒的な情報量により、選択の機会・選択肢が増加し、十分に情報を吟味し、納得して自立的な意思決定を行うハードルが高くなっている。
- なお、デジタル消費取引において役割を拡大しているマッチング型の取引デジタルプラットフォーム等については、単に場の提供者としてだけではなく、情報の獲得、活用と提供、決済システムとの連動など、デジタル消費取引に占める位置を高めている。
- AI 技術の発展がデジタル消費取引にもたらす影響
- 以上の特性・特徴に、AI 技術の発展が掛け合わさることで、デジタル消費取引の様態はさらなる進化を重ねている。例えば、生成 AI 技術によって、プロファイリングの精緻化・巧緻化が進むとともに、コンテンツに関わる限界費用が低下し、コンテンツそのものを個人一人一人に作ることが可能となった。これにより、消費者が事業者から受ける説明も一人一人違うようになっている。これを前提にして、いかにどのような説明をされたのかという証拠を残すことに割り切ることも求められる。
- また、事業者だけでなく消費者が AI を活用することによる新たな論点も生じている。
- 消費者が AI を活用することで、消費者の選択の支援等による利便性を向上させる側面がある一方で、学習した情報の間違いや偏り等により誤った回答が出力されるケースなど、AI ならではの騙されるケースも生じる。
- 他方で、消費者自らが AI を活用することで、消費者が加害者になるといった新たな問題も発生している。例えば、生成 AI を活用することで、フェイク画像を容易に生成できるようになり、加工した画像を用いて商品を出品するケースなどが想定される。消費者を保護することと同時に、消費者を加害者にしないことも重要となっている。
- 消費取引の構成要素の「相対化」
- 消費者問題と取引の公正化への影響
- 経済社会構造のデジタル化と、デジタル消費取引の特性・特徴は消費者問題と取引の公正化にどのような影響をもたらしているのか
- デジタル化による消費者問題との観点からは、「取引」周辺の領域では、広告、勧誘、契約から生じる問題があり、その延長線上に、いわゆるプラットフォームに関わる問題、さらには代金の支払い、決済に関する問題等が主要なものとなっている。また、中には消費者問題の形にとどまることなく、単純な犯罪行為に誘導される事案もあり、大きな社会問題となっている。そして、この傾向は変わらない。
- あわせて、デジタルに関するリテラシーの差異により、デジタルデバイドが発生していることを踏まえて、高齢者や子どもなどを対象に、厳しい規制を措置する国も現れている。
- これまで述べてきたとおり、通信販売への制度的対応が昭和 51 年(1976 年)の制定時から進展しているとはいえ、その進展を上回るデジタル化がもたらす加速的変化に十分に応えきれる仕組みとは考えられない。例えば、分刻みで表示が変わっていくような広告手法や、定期購入において解約手続が困難であるケース、契約を申し込んだ直後に別の契約の提案をし、条件が良くなった等の誤認しやすい状況を生み出す手法など、新手の悪質なアプローチに対する処方には及んでいない。
- これらの点を含めた消費生活相談及び被害の実態について、消費者団体からは主に次のような意見がなされている。
- 消費者が冷静に正しく、自分の納得できるような判断ができるデジタル社会の環境をまずつくることが土台になっており、消費者の保護、自立支援ができるのではないか。
- インターネットにおける広告と勧誘について、消費者の興味や関心を特定し、そこを狙った巧妙かつ攻撃的な SNS 勧誘、チャット勧誘が、トラブルの起点、原因となっている。それらがダークコマーシャルパターンや、巧妙な AI 技術により巧妙になっており、消費者の認識や判断がゆがめられている。
- なお、欧州においては、パーソナライズド・マーケティングについて、従前より強い問題意識を有し、無料サービスであっても個人データを対価として提供している場合には、有料の取引として扱い、民法や消費者法で対応するとの考え方を有している。また、取引を個別化する前提として、個人データをプロファイリングし、それを活用してマーケティングすることに対し、一般データ保護規則(GDPR)において、データ主体がダイレクトマーケティングに自身の個人データを使わないこと、あるいは、ダイレクトマーケティングに関係する範囲内において、個人データをプロファイリングして使わせないことを申し出る権利があり、そのような異議の申出以降は、ダイレクトマーケティング目的での個人データの取扱いが禁止される。またその延長線として、消費者権利指令においても、価格が自動決定に基づいてパーソナライズされている場合には、その事実を消費者に告げなければならない。さらには、デジタルサービス法においても、機微な情報を用いたプロファイリングの広告利用の禁止や未成年者向けのプロファイリングに基づく広告の禁止、レコメンデーションシステムを利用している場合にはその主要なパラメーターや変更方法等を利用規約で定める義務などを課している
- なお、2024年 8 月に施行された EU の AI 法(Artificial Intelligence Act)においては、自然人のプロファイリングを行う AI システムは、ハイリスク AI に分類され、例外的な適用除外(特定の目的での使用等)が適用されない24。
- 一方で我が国では、個人情報保護法にはプロファイリングについての明文の規定はないが、同法の令和2年(2020 年)改正においては、消費者本人が十分に認識していない分析・利用等が行われることへの懸念について、本人の権利又は正当な利益が害されるおそれのある場合等に利用停止等を請求できるように要件を緩和し(同法第 35 条第5項)、不適正な利用の禁止(同法第 19 条)に係る規律を導入する等の改正が行われた。また、本人が合理的に予測等できないような個人データの処理が行われることのないよう、ガイドラインにおいて、同法第 17 条に基づき、どのような取扱いが行われているかを本人が予測できる程度に利用目的を特定するよう求めている。
~NEW~
厚生労働省 第7回労災保険制度の在り方に関する研究会 資料
▼ 資料 労災保険制度の在り方について(論点整理)
- 労働者以外の就業者に労災保険を強制適用することについて、検討課題とし得るとする意見と検討課題とするのに消極的な意見の双方があった。
- 検討課題とし得る理由としては、
- 報酬を得て働く人を強制適用することは考えられるものの、法制度の根幹を見直すことになり、フリーランスに関する社会的動向や労働者性に係る議論等を踏まえながら長期的な検討課題とし、短期的には特別加入を拡大していくことが適当
- フリーランスにとって事業主に類する者に、保険料を一定程度負担させることも検討してはどうかなどといった意見があった。
- 一方、検討課題とするのに消極的な意見の理由としては、以下のような意見があった
- 暫定任意適用事業が存続している状況下で、労働者以外に対象を広げることは不適当
- 自ら長時間働くことを選択した経営者と、業務命令によりやむなく長時間働く労働者とでは状況が大きく異なる
- 労働者以外の就業者に労災保険を強制適用する場合の保険料負担について、災害のリスクを自ら負わずに利益を得ているという観点から、発注者やプラットフォーマーに拠出させることも検討し得るとの意見があった一方、当事者間の契約の自由に委ねるべきことや報酬への転嫁リスクがあることを理由に適当でないとする意見もあった。また、労働者以外の者が特別加入している場合には、特別加入に係る負担分を発注者が自主的に経費に上乗せすることは望ましい取組であるという意見や、特別加入の必要性が高い業種にあっては、加入へのインセンティブを課したり、注文者への保険料負担を求めたりすることもあり得るという意見があった。
- 家事使用人に労働基準法が適用される場合には、災害補償責任及び労災保険法も適用することが適当とする意見が複数あった。具体的な適用においては、事務負担の軽減等の課題を精査する必要があるとの意見があった。
- 現行の暫定任意適用事業については、強制適用すべきとの意見があった。全面適用とするには課題があるが、適用事業の把握の困難性や事業主の事後負担などの課題を解決する余地はあるのではないか、との意見があった。
- (1)特別加入団体に災害防止措置を義務付けるべきとする意見と、(2)義務付けではなくとも災害防止への取組を期待し得るとの意見があった一方、(3)特別加入団体の取組には限界がある、あるいは、かえって特別加入促進の妨げになる等の意見があった。
- 承認要件に法令上の根拠を与え、当該要件を満たさなくなった場合に保険関係の消滅ができるようにする必要があるとの意見があった。特別加入団体の保険関係の取消が特別加入者に大きな影響を及ぼすことから、保険関係の消滅に先立ち、当該団体に改善の要求をする等の段階的な手続を設けてもよいのではないか、との意見があった。
- 「被扶養利益の喪失の補填」と解する意見のほか、「永久的全部労働不能による損失の補填」、「遺族の生活水準の急激な低下を緩和する」もの、あるいは「労働者が得るはずであった賃金の代替物」であると解する余地もあるとの意見があった。
- (1)労災保険における「被扶養利益の喪失の補填」との趣旨との関係で不合理ではないとの意見、(2)生計同一の意味を含む独自のものとして運用されているとの意見、(3)現行の取扱いが妥当なのか検討が必要ではないか、との意見があった。
- 遺族(補償)等年金の支給対象者は労働基準法の遺族補償の対象者よりも限定しており見直すべきではないかとの意見があった。労働基準法より労災保険法の補償の方が下回るべきではなく、両法の整合性を確保するべきとの意見があった。
- 夫と妻の支給要件の差については、その正当性は失われており、要件が異なる状態は解消していくことが必要との方向性では、いずれの意見も一致していた。要件が異なる状態の具体的な解消方法については、
- 夫と妻の支給要件についても、いずれも年齢要件は不要とする意見
- 妻の優遇を見直し、夫と同様に年齢要件を設けるのが適当とする意見
- 遺族(補償)等年金の配偶者の年齢要件の見直しについては趣旨目的を考慮する必要があるとの意見があった。
- 制度趣旨を永続的労働不能による損失の補填と捉えた場合や生活保障としての側面を有すること等を踏まえれば、長期給付が望ましいとの意見や有期化には躊躇せざるを得ないとの意見があった。一方で、遺族(補償)等年金の趣旨を、遺族が自身の就労によって自立するまでの生活を支えるものと考え、将来的には給付期間を有期化することが望ましいとの意見があった。
- 妻への特別加算については、創設当時の考え方は現在では妥当せず、妻のみに加算を設ける合理性はないとの意見があった。加算の在り方の具体的な見直しについては、「配偶者と未成熟子に対して補償を充実することはあり得る」、「障害者への加算の意義と合わせて考える必要がある」又は「遺族(補償)等年金の給付水準や加算が必要となる者の範囲についての議論が必要」などの意見があった。
- 社会保障的性格や生活保障の観点から、発症時の賃金を原則とする取扱いが適切であるとの意見があった。発症時の賃金が最終ばく露事業場の離職時賃金に満たない場合の取扱いについては、
- 労働基準法の災害補償責任に基づいて最終ばく露事業場の離職時賃金を最低限補償するとの意見
- 労災保険が生活保障の趣旨から例外的に水準を拡大して最終ばく露事業場の離職時賃金を算定の根拠とするとの意見
- 労災保険においては最終ばく露事業場離職時の賃金を最低基準とする必要はないとの意見があった。
- 未就業中に発症した場合に、最終ばく露事業場の離職時賃金をもとに給付基礎日額を算定することについては、許容し得るとの意見があった。その際、労災保険法が想定していない場面とも考えられることから、今後の議論が必要との意見もあった。
- その他、メリット制の適用方法、年齢別賃金スライドの導入可能性、老齢厚生年金等との併給調整について言及する意見があった。
- 消滅時効期間の見直しについては、請求手続自体が疾病の増悪を招く場合には一定の配慮が必要との意見があった一方、消滅時効期間の見直しを前提とせずに適切な周知広報等を実施するべきとの意見もあった。仮に消滅時効期間を見直すのであれば、
- 請求手続自体が疾病の増悪を招く場合に特例を設けるという意見
- 労基法の改正経緯や動向を踏まえれば特例を設けるのではなく一律に時効期間を延長することが適当という意見があった。
- 他の社会保険制度と労災保険制度との相違については、請求手続や認定手続の特殊性を理由として労災保険制度特有の事情が見出せるという意見があった一方、他の社会保険制度との差別化は困難であり、仮に消滅時効期間を見直すのであれば、制度横断的な検討が必要であるとの意見もあった。
- 特別支給金の処分性については、不服申立ての機会の必要性を踏まえ、認めることが妥当との意見があった。
- 特別支給金の保険給付化については、特別支給金が実態として保険給付と一体化していることや補償の安定性を確保すべきであること、さらに事業主の二重負担を是正することを踏まえ、保険給付化することが本来の姿であるという意見があった一方、ボーナス特別支給金については、不確定要素に左右されるボーナスを算定基礎とすることから、保険給付として算定することが非常に難しいのではないかという意見があった。
- 社会復帰促進等事業に係る不服申立ての取扱いについては、国民の分かりやすさ、手続きの煩雑さを解消する観点から、労審法の対象とすることが適当との意見があった。
- メリット制には一定の効果があるとの意見が複数あった。一方で、メリット制の効果は認められるものの、一定の留保が必要との意見があった。
- 調査範囲が限られた中での結果ではあり、また一定の留保を前提とするが、メリット制度の意義を失うほどの悪影響があるものではないと言えるのではないかとの意見があった。
- 脳・心臓疾患や精神疾患に係る給付をメリット制の算定対象から除外する理由はないとの意見があった。一方で、事業主が予防努力をしても業務上と認定される疾病に係る給付については、公平性の観点や災害防止の観点から算定対象から除外してもよいのではないかとの意見もあった。
- 脆弱性のある労働者をメリット制の算定対象から除外すれば、災害予防行動が取られなくなる懸念があることや、当該者に係る問題は雇用政策の中で扱うべきである等の理由から、算定対象から除外するべきではないとの意見があった。一方で、脆弱性のある労働者を雇用した使用者に結果的に重い保険料負担をさせることは公平性を欠くと考えられることや、高齢者や障害者については政府が雇用促進していることとの整合性の観点から、算定対象から除外する、又は一定の工夫をする余地があるのではないかとの意見があった。また、外国人は、外国籍であることをもって特別な脆弱性は考えにくく、特別な扱いをする理由はないとの意見があった。災害復旧の事業に係るメリット制の取扱いについては、安全衛生対策は事業主の責任であることや事業に伴い発生するコストを他の事業主に分散させるべきでないことから、特例を設けることに否定的な意見があった一方、災害時のエッセンシャルワーカーにそのまま適用することの適否については論点とするべきとの意見もあった。
- 保険料を負担している事業主に対しては、手続保障の観点からも、保険料の前提となる事実を知らせることは重要との意見があった。一方で、労働者にとって機微な一定の情報については、慎重に取り扱うべきとの意見があった。
- 手続保障の観点や早期の災害防止を図る観点から、保険料を負担する事業主に対して、保険料の前提となる支給・不支給の事実を知らせることは重要との意見があった。一方で、情報提供を行うに際しては、将来のメリット制の不服申立を見据えて事業主から被災労働者等に接触が行われる等、関係者にとって追加的な負担が生じる懸念には留意する必要があるとの意見もあった。
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金融庁 特殊詐欺等の被害拡大防止を目的とした都市銀行等の金融機関との「情報連携協定書」締結について
- 概要
- 令和6年の特殊詐欺の被害額が過去最悪となり、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額が前年の約3倍に達するなど極めて憂慮すべき状況にある情勢を踏まえ、警察庁(組織犯罪対策第二課)と都市銀行等の金融機関8行(以下「協定金融機関」)は、検挙及び被害防止に資する対策を強化するため、協定金融機関がモニタリングを通じて把握した、詐欺被害に遭われている可能性が高いと判断した取引等に係る口座に関連する情報について、関係する都道府県警察及び警察庁に迅速な共有を行うことなどを内容とする「情報連携協定書」を令和7年6月18日に締結した。
- 本協定書に係る取組は、金融庁と警察庁が連名で金融機関宛てに要請した「法人口座を含む預貯金口座の不正利用等防止に向けた対策の一層の強化について」(令和6年8月23日付け)の項目6「警察への情報提供・連携の強化」に関連するものである。
- なお、協定金融機関においても、本件に係る広報を実施する。
- 協定金融機関
- 株式会社みずほ銀行
- 株式会社三菱UFJ銀行
- 株式会社三井住友銀行
- りそなグループ各行
- 株式会社りそな銀行
- 株式会社埼玉りそな銀行
- 株式会社関西みらい銀行
- 株式会社みなと銀行
- 三井住友信託銀行株式会社
- 参考事項
- 警察庁は、これまでに株式会社ゆうちょ銀行(令和7年1月17日)及びPayPay銀行株式会社(令和7年2月27日)と、情報連携協定書を締結している
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金融庁 FATFによる「FATFプレナリー(2025年6月12-13日)の結果概要」の公表について
▼ 原文(翻訳)
- FATF基準への準拠
- ハイリスク およびその他の監視対象管轄区域
- 監視が強化されている管轄区域
- これらの国・地域は、マネーロンダリング、テロ資金供与、拡散資金供与に対抗するための体制の戦略的欠陥に対処するたに、FATFおよびグローバルネットワークと積極的に協力しています。FATFが管轄区域を監視強化下に置くことは、その国が特定された戦略的欠陥を合意された期間内に迅速に解決するための行動計画を実施することを約束したことを意味します。
- 今回の総会で、FATFは、監視強化の対象となる管轄区域のリストにボリビアとバージン諸島(英国)を追加しました。
- 監視の強化が実施されなくなった管轄区域
- 総会は、クロアチア、マリ、タンザニア連合共和国が、戦略的なマネーロンダリング対策及びテロ資金供与・拡散金融(AML/CFT/CPF)の欠陥に対する前向きな進展について、相互評価で以前に特定されたことを祝福した。各国・地域は、合意された期間内に行動計画を完了しており、FATFによる監視強化プロセスの対象ではなくなります。
- クロアチア、マリ、タンザニア連合共和国は、それぞれのFATFスタイル地域機関と引き続き協力し、AML/CFT/CPFシステムの改善を持続させる。
- Call for Actionの対象となる管轄区域
- FATFは、マネーロンダリング、テロ資金供与、拡散資金供与に対抗するための重大な戦略的欠陥を有する国または管轄区域を特定します。これらの法域は、国際金融システムを保護するための行動の呼びかけの対象となっています。
- 監視が強化されている管轄区域
- 欧州評議会 – MONEYVAL相互評価 ラトビアの報告
- 総会では、ラトビアのAML/CFT/CPF措置の有効性とFATF勧告の遵守を評価した欧州評議会とMoneyvalの相互評価報告書を採択しました。
- このレポートは、品質と一貫性のレビューを経て、2025年後半に発行される予定です。
- 欧州評議会 – MONEYVALコンプライアンス 手続きの強化
- MONEYVALは、最新の相互評価報告書の採択から3年目の終わりに、FATFのコア勧告のいずれかに中程度または大きな欠点が残っている場合、強化されたフォローアップを受けているメンバーをコンプライアンス強化手順に配置できます。チェコ、グルジア、スロバキア共和国は現在、これらの手続きの対象となっていますが、それぞれが中程度の欠点が残っている1つの勧告に関してです。3つのメンバー全員が、残された欠点に対処するというコミットメントを改めて表明し、2025年12月に再びMONEYVAL総会に報告する予定である。
- FATFメンバーシップの問題
- FATFによるロシア連邦の加盟停止は、引き続き続いています。2022年3月以降に発表された声明を受けて、FATFは、国際金融システムを保護するために、すべての管轄区域がロシア連邦に対して講じられた措置の回避による現在および新たなリスクに警戒すべきであることを改めて表明しています。
- ハイリスク およびその他の監視対象管轄区域
- 戦略的な取り組み
- 支払いの透明性の強化 – 推奨事項 FATF基準のうち16
- 銀行やその他の金融機関、決済サービスプロバイダー、国際機関や専門機関、市民社会、学界などとの広範な協議を経て、総会は、1000米ドル/ユーロを超える国境を越えた支払いで誰が送金し、誰がお金を受け取り取っているかを明確にすることで、犯罪の発見と制裁の実施を改善するFATF基準の勧告16の変更を承認しました。
- 支払メッセージで収集する必要がある情報の要件を合理化することで、この変更により、国境を越えた支払の効率が向上します。また、不正行為やエラーを防止するためのテクノロジーの使用に関する新たな要件も、顧客の保護を強化します。
- 改訂された基準は2025年6月18日に正式に発表され、金融機関は2030年からの変更に準拠する必要があります。FATFは、市民社会や業界団体と緊密に連携し、この変更が金融包摂を促進し、データ保護とプライバシーの要件に合致するようにしています。
- 金融包摂とリスクベース・アプローチ
- FATFは、今年初めにリスクベースのアプローチに関するFATF基準の勧告1を強化した後、金融機関やその他のプロバイダーが金融包摂を促進するための更新されたガイダンスを承認しました。
- 今月後半に発表される予定の新しいガイダンスは、リスクが低いと評価された場合に簡素化された措置をどのように適用できるかについて、実務家や政策立案者に実践的な例を提供します。これには、金融機関が顧客に対して金融サービスを拒否した場合に発生するリスク軽減に対処するアプローチが含まれます。リスクベースのアプローチに沿ってリスクを評価・管理するのではなく、リスク軽減を行います。
- これに加えて、今週承認された新たな国家リスク評価ツールキットがこれに加わり、各国がリスクベースのアプローチを実施する際の指針となるでしょう。
- FATFはまた、勧告1の変更に沿うように評価方法の改訂にも合意しました。これらの改訂は、リスクベース・アプローチの適用に重点が置かれていることを反映しており、将来の評価において評価者の指針となります。
- これらすべてが、金融活動を当局の視界に引き込むと同時に、成長と発展を支えます。より多くの人々が金融サービスにアクセスできるようにすることで、各国は、現在銀行口座を持たない世界中の推定14億人の人々を支援することができます。
- 軽減 FATF基準の誤用による意図しない結果
- FATFは、AML/CFT対策が市民社会の積極的な活動を妨げないようにするための新たな手続きに合意した。この新しいプロセスは、FATFが、相互評価や異なるフォローアッププロセスを含む評価プロセスにおいて、FATF基準の誤用が意図しない結果となるNPO関連の結果を特定し、検討し、対処できるようにするための過去の改革を基盤としています。新しいプロセスは、FATFとグローバルネットワークの両方の強みを活用し、グローバルネットワークがFATF基準の誤適用にタイムリーかつ効果的に対処できるようにします。
- 支払いの透明性の強化 – 推奨事項 FATF基準のうち16
- 不正行為への対応 財務リスク
- 総会は、国際社会が新たなリスクに警戒を怠らないようにするための新たな報告書を多数承認した。今年初めの民間部門との協議期間を経て、本会議は間もなく、複雑な拡散資金調達と制裁回避計画に関する報告書を公表する予定である。このプロジェクトは、拡散資金供与対策に関する既存のFATFガイダンスを基に更新し、グローバル・ネットワークのメンバーと民間部門が大量破壊兵器の拡散と闘う義務を実施するための最新の情報を提供することを目的としています。
- また、本会議は、テロ資金供与リスクに関するこれまでで最も広範な世界的評価の公表を承認した。80以上の法域からの寄稿により、この報告書は、世界中のテロ組織や個人が2025年時点でどのように資金を調達、移動、保管、使用するか、および今後3年から5年間に予想される傾向についての詳細な概要を提供します。
- さらに、FATFの第6次ターゲット・アップデート・レポートは、今月後半に公開されることが承認され、バーチャル・アセットおよびバーチャル・アセット・サービス・プロバイダーに関するFATFの基準の各国・地域の実施を評価する予定です。
- 国際協力と支援 グローバルネットワーク
- また、エグモント・グループ、インターポール、国連薬物犯罪事務所とのパートナーシップで開発された、マネーロンダリングの検出、捜査、訴追に関する国際協力を強化するためのガイダンスなど、新たなリソースもFATFによって承認されました。
- 総会の合間に、FATF事務局は明日(2025年6月14日)のサイドイベントで、グローバルネットワークが金融犯罪との闘いに必要な支援を確保することを目的としたサイドイベントに、ドナーと技術支援の提供者を集めます。FATFスタイルの地域機関の議長も、グローバルネットワーク全体で結束を強化し、知識と共通の目標を共有することを目的としたハイレベル年次会議に明日参加します。
- 今週、参加者は、FATFの包摂性を高め、地域の特性をよりよく考慮することを目的としたゲストイニシアチブの下で、ケニア、ケイマン諸島、セネガルの参加から引き続き恩恵を受けました。
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金融庁 FATFによる「Payment Transparencyに関するFATF勧告16の改訂」の公表について
- 金融活動作業部会(以下、FATF)は、令和7年(2025年)6月18日、「Payment Transparencyに関するFATF勧告16の改訂」(原題:FATF updates Standards on Recommendation 16 on Payment Transparency)を公表しました。
- 今回の改訂は、新たな技術の登場等による決済市場構造の変化を踏まえ、”Payment Transparency” (ペイメントの透明性) に関するFATF勧告16が”technology neutral” (技術中立的)となり、”same activity, same risk, same rules” (同じ活動・同じリスクには同じ規制を適用する)の原則に則ることを目的として進められてきたものです。また、安全及びセキュリティを維持しつつ、クロスボーダー送金をより迅速で、より安価で、透明性の高い、包摂的なものとするG20ロードマップの優先アクションの一部にも対応しています。
- 主要な改訂項目としては、以下が挙げられます。
- クロスボーダー送金の始点・終点の定義の明確化に伴うペイメントチェーン内の異なる主体の責任の明確化
- クロスボーダー送金における送付情報の見直し(送金人・受取人情報の内容・質の改善)
- クロスボーダー送金における受取人情報の整合性の確認
- カード決済に関する勧告16適用除外の規定の見直し
- クロスボーダーにおける現金引き出しへの限定的な基準の適用
- 今回の改訂は、令和6年(2024年)・令和7年(2025年)と2度にわたり実施した市中協議を踏まえたものであり、今後FATFでは、勧告を踏まえ、より詳細な内容を説明するガイダンスの作成を進めていくとともに、民間ステークホルダーとの対話を継続する予定です。
- 今回の改訂勧告の実施に向けては、官民それぞれで必要な対応に鑑み、2030年末を対応期限の目途としてリードタイムを取りつつ、必要に応じてFATFが期限を修正することになっています。
- 詳細につきましては、以下をご覧ください。
▼ 公表ページ<FATFウェブサイトにリンク>
~NEW~
金融庁 貸金庫の利用者に対する周知ポスターについて
- 金融庁は、令和7年5月、金融機関による貸金庫業務の適正化を図るため、「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」について、所要の改正を行いました。
- 当該改正を踏まえた貸金庫サービスの変更等を各金融機関において顧客に周知するためのポスターを、全国銀行協会が主導し、銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫の業界共通で作成しました。
- マネー・ローンダリングやテロ資金供与等の不正利用を防止する対応として、貸金庫に、現金や危険物等は保管いただけません
- ご利用中の全てのお客様へ 利用目的等の確認をお願いしています。
~NEW~
金融庁 「金融庁 AI官民フォーラム」(第1回)議事次第
▼ 資料1 事務局説明資料
- AIディスカッションペーパー(第1.0版) [2025年3月公表]
- 背景
- 生成AIの加速度的な性能向上等
- 社会に広範に実装される段階に到達しつつあり、国民生活の向上等に大きく寄与する可能性
- 一方で、生成AIを悪用した犯罪や偽・誤情報の拡散などのリスクを社会全体で強く意識
- 金融分野においても活用の検討が進展する一方で、リスクや規制面から利活用に躊躇する声も
- 問題意識
- AIは将来的には金融業務を支える中核的な技術の一つとして、金融サービスの提供の在り方や金融機関等のビジネスモデルを抜本的に変革しうるものとなる可能性
- 金融機関等は、技術革新に取り残されて中長期的に良質な金融サービスの提供が困難になる「チャレンジしないリスク」を強く意識すべき局面
- 政策対応
- 金融庁として健全なAI活用に向けた取組みを力強く後押し
- 規制の適用関係の明確化等を通じてセーフハーバーを提供
- 金融機関等との対話等を通じた中長期的な政策等の検討に資するものとしてDPを策定
- 背景
- 生成AIの急速な進化
- プレイヤーの増加:LLMを開発する事業者は2022年を機に急速に増加。
- 出力品質の向上:アップデートを重ねるたびに出力品質(自然さ、正確さ、指示に対する忠実さなど)が向上。人間の言葉を理解し、人間のように発話するという能力においては、現状で十分にビジネス利用に資するレベルに達している。
- 進むマルチモーダル化:テキストのみならず、音声、視覚の入出力への対応が進んでいる。
- 情報整理/抽出から問題解決へ:要約や翻訳、情報抽出といった「作業」から、問題解決へ向けた「思考」を担う役割へ。
- AIディスカッションペーパー(第1.0版)の概要:金融機関等へのアンケートやヒアリング、また国際的な議論の進展を踏まえ、今後の対話に向けた初期的な論点や金融庁としての今後の対応方針等を提示するもの
- 従来型AIの主なユースケース
- 業務効率化
- 書類文書のテキスト化(OCR)
- 情報検索
- 対顧客サービスへの活用
- チャットボット
- マーケティング
- リスク管理の高度化
- 不正検知(AML/CFT等)
- 与信審査・信用リスク管理・引受審査
- コンプラ違反抽出
- 市場予測等
- 為替・金利予測
- 市場センチメント把
- 業務効率化
- 生成AIの導入状況と主なユースケース
- 幅広く一般社員向けに生成AIの活用を認めている先が約7割
- 申請制としている先、本社部門に限定して利用を認めている先、生成AIの種類に応じて異なる利用範囲を設定している先も
- 大半の金融機関等において、導入直後と比較して継続的に利用されているか、現在の方がより活発に活用されている
- 汎用の生成AIを導入しているのみの先も多いが(次頁参照)、それでも活発に活用されているのは、生成AIの金融機関の業務効率化等への活用可能性の高さを裏付けるもの
- 約半数の金融機関が汎用の生成AIをそのまま活用:学習済モデルの導入の容易さもあり、従来型AIよりむしろ生成AIの方が全般的な導入率が高いとの結果
- 一方で、RAGやファインチューニングにより、外部ベンダーが提供するLLMと社内データベース等を組み合わせて利用もしくは利用を検討している先も多い
- 社内利用(業務効率化等)
- 文書要約/翻訳
- 文書等の構成・添削・評価
- 情報検索(社内FAQ等)
- システム開発/テスト(非自然言語領域)
- 対顧客サービスへの間接的な利用
- コールセンター業務支援
- ドラフト作成(稟議書等)
- 対外公表文書ドラフト
- 対顧客サービスへの直接利用
- (現状では極めて限定的)
- 文書要約など汎用生成AIの導入は進展
- 発展的な活用は導入途上
- 社内利用(業務効率化等)
- 金融機関等のAI活用に係る主な課題と課題克服に向けた取組事例
- 従来型AIと生成AIで共通の課題
- データ整備
- 外部事業者との連携及びリスク管理
- 投資対効果
- 生成AIにより難化した課題
- 説明可能性の担保
- 公平性・バイアス
- AIシステムの開発・運用及びモデル・リスク管理
- 個人情報保護
- 情報セキュリティ・サイバーセキュリティ
- 専門人材の確保・育成及び社内教育
- 生成AIがもたらした新たな課題
- ハルシネーション(幻覚)
- 生成AIの金融犯罪への悪用
- その他の金融システム安定上の論点
- 従来型AIと生成AIで共通の課題
- AIガバナンスの構築に向けた金融機関の取組状況:社内ルール等の策定
- AIガバナンス指針を策定・公表したうえで、グループ各社に徹底を図っている先などが認められた
- 従来型AIよりも先に生成AIの導入・利用に焦点を当てた社内ルールを整備し、それを発展させて従来型AIにも適用を広げるアプローチも目立った
- 一方、「既存の枠組みで概ね対応可能」とする声も少なくない
- 規定等の整備にあたり参考とされた文書:
- AI事業者ガイドライン、民間団体等による生成
- AI等に関するガイドライン、FISC公表資料、
- EU等の海外AI関連法令等
- 金融庁としての今後の対応の方向性
- 規制の適用の明確化
- 個人情報保護、ITガバナンス、モデル・リスク管理、サイバーセキュリティの順で明確化を求める声が多数
- いずれの論点においても、AI利用の有無に関わらず適用される既存の法令や監督指針、原則、ガイドライン等が存在していることから、まずはこれらに沿った対応を金融機関等に促していく
- 生成AIの特性に起因する新たな課題等にも配意しつつ、AI活用に係る規制要件が十分明確になっているか、既存の規制・監督上の枠組みでリスクに十分対応できているかといった観点から、今後検証を行う
- 重大な規制上のギャップが特定された場合には、法令による規制は事業者の⾃主的な努力による対応が期待できないものに限定して対応していくべきとの政府方針を踏まえ、まずは原則やガイドラインの改定等を検討
- 各論点について検討を深めるため、「AI官民フォーラム」を開催
- 規制の適用の明確化
- 従来型AIの主なユースケース
~NEW~
金融庁 金融機関の内部監査高度化に関する懇談会「報告書(2025)」の公表について
▼ (別紙2)報告書(2025)【概要】
- 金融機関の内部監査高度化に関する金融庁の対応等
- 金融庁は、金融機関の内部監査の高度化を促すため、2019年以降、内部監査に関する各種レポートを公表
- 2024年9月の「金融機関の内部監査の高度化に向けたモニタリングレポート(2024)」公表後、国際的な動き(グローバル内部監査基準の公表・適用開始)もあり、金融機関の内部監査のあり方について、世界基準との整合性も念頭に置きつつ、広く金融業界や有識者の意見を踏まえて再整理することが適当と判断し、2025年1月より「金融機関の内部監査高度化に関する懇談会」を開催
- 金融機関の内部監査高度化に関する懇談会
- 金融機関全体の内部監査の向上を促し、国内外のステークホルダーの信頼確保に資するような目線の提示、一般事業会社や海外金融監督当局も活用できる目線の提供のため、金融業界団体や有識者と議論等を行うことを目的に開催
- 懇談会では、預金取扱金融機関や証券会社、保険会社に加え、資産運用業、貸金業や資金決済業、暗号資産等取引業等の業界団体からも意見を聴取したほか、外部有識者として、日本内部監査協会、コンサルファームからも意見を聴取した
- 内部監査の水準感や経営陣に求められる姿勢等について、計5回にわたって金融業界団体等と意見交換を実施
- 懇談会 第1回・第2回での業界団体からの意見・要望等(概要)
- 段階別評価(四段階)の水準感
- 各段階の関係は「卒業方式」ではなく「加算方式」であり、「準拠性監査」は段階が進んでも疎かにできない
- 3つの論点ごとの取組事例と、各段階との関係が整理されていない、好事例とした理由や企業価値向上につながった事例掲載が必要
- 監査態勢(手法と品質)と成熟度水準とそれぞれで評価目線を書き分け、業務規模・業態特性に応じた取組事例やレベル感の提示が必要
- 取組の優先順位付けによるロードマップ検討に資する情報の充実が必要( 限られたリソースの中、ステップアップに有用な事例の供)
- 段階別評価における「グローバル内部監査基準 」や「内部統制の統合的フレームワーク」との関係を整理
- 内部監査の「目指すべき段階」の考え方
- 「3つの論点」に取り組み、監査指摘や提言が改善・企業価値向上につながってこそ、段階別評価も向上する
- 目指すべき姿は「確固たるガバナンスの確立に寄与できる監査」の実現であり、このことが第四段階(信頼されるアドバイザー)の前提と認識
- 小規模金融機関はリソース確保に苦慮、まずは第二段階(リスクベース監査)を目指す( 第三段階(経営監査)は難しく、業態内連携必要)
- 内部監査の「目指すべき段階」に向けた課題認識
- ステップアップには「経営陣の認識の変革」が不可欠(金融庁からも強いメッセージの発信を望む)
- 3線管理のあり方、1・2線のリスクオーナーシップの必要性(被監査部門への働きかけを含む)など、継続的に情報提供を望む
- 内部監査として「やってはいけないことは、被監査部署や担当者の糾弾」 「組織や業務運営上の問題点に踏み込んだ分析・議論」が必要
- リソースの乏しい小規模金融機関を念頭に、グループ親会社や外部機関の監査機能の活用可能性や考え方を整理
- 第四段階(信頼されるアドバイザー)の明確化
- 段階別評価は相対評価であり、第四段階は、環境変化への適時対応などのベストプラクティスを示すもの、かつ、内部監査への組織内理解浸透の重要性を明示( 内部監査部門単独の取組は第三段階までにとどまり、第四段階に到達するには組織全体の取組が必須)
- 洞察(インサイト)と将来洞察(フォーサイト)とでは異なるスキルが求められる、また経営目線・専門性も必要となるため、内部監査部門の人的構成(法令やIT・データ活用等の専門人材の確保・育成を含む)と組織内での役割分担・連携のあり方の整理が必要
- 内部監査は経営コンサルタントではない、アシュアランスとアドバイスであり、このバランスが重要
- 「経営戦略に資する助言(執行)」と「内部監査の立場(独立性)」の関係性・留意点を整理( 経営戦略への保証と提言の整理等)
- 高度化の具体的事例及び評価目線を提示( 企業文化(カルチャー)に対する監査やDXの活用等)
- 外部人材の登用や外部専門機関のコソース活用のための財務資源の確保について、考え方の整理・具体的事例を望む
- 「グローバル内部監査基準」を踏まえた要考慮事項(日本内部監査協会様ご説明より)
- 企業価値との連結
- 内部監査と企業価値の創造・保全との連結への認識により役割と戦略的位置づけが明確化
- 取締役会の関与明確化
- 内部監査と取締役会との関係の明確化が権限の確立、組織全体の迅速な改善に繋がる
- 独立性の強調
- 内部監査部門の「孤立しない独立性」の確保が、実効性ある内部監査の実現につながる
- 3線体制の説明
- 第1線・第2線におけるリスク管理態勢の整備が内部監査の高度化に不可欠
- 企業価値との連結
- 段階別評価(四段階)の水準感
- 懇談会 第3回・第4回でコンサルティングファームより提示された主な意見等(概要)
- 「段階別評価」に対する認識等
- 段階別評価は、「内部監査の高度化を進める上での道しるべ」(概念・方向性を示したもの)であり、評価基準ではない
- 外部評価を行う場合は、自社独自の評価項目や基準・目線をもって評価しており、段階別評価(各段階)に直接的に当てはめ(プロット)していない
- (外部評価では、段階別評価の趣旨を踏まえ、具体的な取組について提言)
- コンサルティングファームにおける「グローバル内部監査基準」への適合等を評価する「外部評価」と金融庁の「段階別評価」は、それぞれで内部監査部門に期待される高度化領域は共通しており、目指す方向性は同じ
- 段階別評価において、次の段階に進むための具体的な実施項目を示すことで、経営陣や内部監査部門等が取り組むべき課題が明確化され、より高度化が推進されることが期待される
- ただし、評価基準・目線を盛り込むと、自己評価においてチェックリストとして形式的に利用され、実効的な対応が削がれるおそれがあることに留意
- 「段階別評価」において追記・明確化が必要な点等
- 3線管理体制構築(3ラインモデル)の重要性を明示(内部監査部門が機能発揮するための前提であること)
- 全体感:3線管理の考え方を踏まえた組織全体の態勢の観点からは、本来、1線・2線が指導やモニタリングを実施し、3線は、1線・2線による検証状況やその結果を踏まえたコントロールの妥当性を独立した目線で検証すること
- 組織全体としては、第三段階(経営監査)に到達したと言っても、事務不備監査(第一段階)やリスクベース監査(第二段階)は必要であり、第三段階を支える土台・基礎であること
- 各段階の関係は、全体を通して考えると「卒業方式」ではなく「加算方式」であり、「準拠性監査」は段階が上がっても疎かにしてはいけないこと
- 自社の規模・特性によって、「リスクベース監査」の段階でも、内部監査の基本的な機能を発揮することが可能であること
- 各段階の定義・水準感について、次の点を明確化・追記
- 第一段階: 企業規模(人員数や事業内容等)により3線管理の構築が難しい場合は、全体最適を考慮し、3線が「準拠性監査」担うことも否定しないこと
- 第二段階: 「実質・全体・未来」を意識しつつ、「内部統制の整備・運用状況」に関して、各業務等に係るリスクアセスメント(リスクの特定・評価とコントロールの状況を評価)を行った上で監査を実施し、保証を提供すること
- 第三段階: 「実質・全体・未来」を強く意識(特に「未来」の観点)し、「経営戦略を対象とした監査」ではなく、リスクマネジメントやコントロール、ガバナンスといった観点から、経営戦略やその遂行から生じる歪み(コンダクトリスク、重要な事務リスク等)の有無や脆弱性を確認し、保証・助言・見識を提供すること
- 第四段階: 第一~第三段階とは概念が異なること、および単に先進的手法を形式的に取り入れただけでは達成されないこと 内部監査に対する信頼の結果として、経営陣や被監査部門から内部監査部門に対して、気づきや助言を積極的に求められる状態となること
- 段階別評価を基に自己評価を行う際は、単に形式・体制を整えただけで評価することなく、実効性が伴っている必要があること⇒ 監査指摘や提言が、業務改善ひいては企業価値向上につながってこそ、上位の段階に評価されること
- 「段階別評価」に対する認識等
- 「段階別評価の再定義」および「3つの論点」との関連性等
- 懇談会での議論を踏まえ、「報告書(2025)」において、「現状と課題」で示した段階別評価の定義等を再整理
- 段階別評価は、形式的・定量的な評価目線ではなく、経営陣から負託される内部監査の目的の実現と機能の発揮の方向性・考え方を示したものであり、上位段階への発展自体を目的としたものではない
- 内部監査の目的の実現と機能の発揮のためにどのような手段を講じるかについては、画一的なものはなく、各金融機関が自らの置かれた経営環境や組織体制等を踏まえ創意工夫し対応すべき
- 内部監査の段階が発展しても、それまでの段階に至る各種の取組を充実させて、基礎的な段階における成熟度を高める(重層的な取組)不断の努力が求められる(「卒業方式」ではなく「加算方式」)
- 「3つの論点」は、経営陣はじめ組織の各部門に求められるべき具体的な内部監査高度化の取組を示したもの 「段階別評価」は、内部監査の目的の実現や機能発揮の成熟度合いを概念的に示したもの
- 金融機関の目指すべき段階と必要な態勢等
- 金融機関の経営陣に求められる姿勢等
- 内部監査部門への負託事項の明確化
- 自金融機関の内部監査に何を求めるのかは、一義的には、経営陣が、自身のビジネスの状況を踏まえ、内部監査部門への負託事項として判断すべきこと
- 内部監査部門の目指すべき段階の明確化
- 経営陣は、内部監査部門との良好なコミュニケーションを前提に、経営陣からの負託事項に応えられる内部監査部門として必要な態勢について検討・判断していくこと
- 経営陣等による内部監査高度化への支援の必要性
- 金融庁レポートに掲載した監査基盤の強化に関する取組事例も参考にしつつ、内部監査部門とコミュニケーションを図りながら、経営資源の配賦(監査人材の確保・拡充など)や人材育成制度の導入、コソーシングの有効活用等の検討に積極的に参画・支援し、計画性をもって不断に取り組んでいくこと
- 経営陣による内部監査高度化の支援は、内部監査部門のみに向けられるものではなく、被監査部門の意識づけなど組織全体への働きかけが重要であると認識すること
- 内部監査部門への負託事項の明確化
- 小規模金融機関の内部監査の状況と高度化対応の方向性
- 小規模金融機関の内部監査の状況
- 協同組織金融機関、貸金業、資金移動業、暗号資産交換業等の業界では、組織体制等が小規模であり、内部監査部門に十分な人材を配置できていない(組織全体の人員が極めて少人数であり人員配置に苦慮しているとの意見※)
- 一方で、資金移動業者や暗号資産取引業者等では、組織人員が少人数でありながら、業務量(取引・取扱量)が大きい先もあり、内部統制が脆弱である場合、経営に大きな影響を与える可能性
- 限られたリソースをどのように振り分けるか、高度化の取組施策をどのような優先順位で進めていくか、内部監査の領域すべてを自金融機関で完備しなければならないかなど、経営陣や組織全体として検討する必要がある項目が多く、現時点では対応に限界があり、かつ時間を要する
- 考えられる対応の方向性
- 大手金融グループに所属しているような場合には、中核企業が保有する充実した監査リソースや知見を活用した一体的取組が期待できる
- また、業態が近しい金融機関同士での情報交換など、「横連携」による対応の可能性も期待できる
- 加えて、内部監査機能は業態を問わず共通化している分野とみることもでき、一定の協調体制・コンソーシアムを構築して対応することも可能ではないか。自主規制団体(協会)の監査機能を活用することも考えられる
- 小規模金融機関の内部監査の状況
- 金融機関の経営陣に求められる姿勢等
- 金融庁は、小規模金融機関を含め取組事例を収集し、必要な情報を還元していく方針
~NEW~
警察庁 令和6年における水難の概況等
- 概要
- 全国の発生状況
- 令和6年の水難は、
- 発生件数 1,535件 (前年対比+143件)
- 水難者 1,753人 (前年対比+86人)
- うち死者・行方不明者816人 (前年対比+73人)
- このうち、中学生以下は、
- 発生件数 129件 (前年対比+36件)
- 水難者 191人 (前年対比+14人)
- うち死者・行方不明者28人 (前年対比+1人)
- 過去10年間の水難発生状況を見ると、年ごとに変動しているが、近年は増加傾向にあり、令和6年は発生件数、水難者とも過去10年間で最多である。
- 令和6年の水難は、
- 都道府県別の発生状況
- 都道府県別の水難発生状況をみると、最も多いのが沖縄県128件、次いで東京都107件、岐阜県68件であった。
- 特徴
- 年齢層別
- 水難者のうち、高校卒業に相当する年齢以上65歳未満の者が850人と全体の48.5%を占め、65歳以上の者が599人と全体の34.2%を占めており、中学生以下が191人(10.9%)であった。
- 場所別・行為別(死者・行方不明者)
- 死者・行方不明者816人について、発生場所別にみると、多い順に、海 372人 (45.6%)、河川 288人 (35.3%)であり、行為別にみると、多い順に、 魚とり・釣り 191人 (23.4%)、作業中 65人 ( 8.0%)であった。
- 中学生以下の死者・行方不明者28人について、発生場所別にみると、半数以上が、河川 18人 (64.3%)であり、行為別にみると、最も多いのは、水遊び 15人 (53.6%)であった。
- 年齢層別
- 特徴
- 都道府県別の水難発生状況をみると、最も多いのが沖縄県128件、次いで東京都107件、岐阜県68件であった。
- 水難の防止対策
- 水難を未然に防ぐためには、海や河川など、それぞれの自然環境の特徴を理解し、水難につながりやすい危険な場所、危険な行為などを知ることが重要であり、次に掲げる点に留意する必要がある。
- 危険箇所の把握
- 魚とり・釣りでは、転落等のおそれがある場所、水泳や水遊びでは、水(海)藻が繁茂している場所、水温の変化や水流の激しい場所、深みのある場所等の危険箇所を事前に把握して、近づかない。また、子供を危険箇所に近づけない。
- 的確な状況判断
- 海や川に行く際には、事前に気象情報を把握し、風雨、落雷等の天候不良時や上流で雨が降っているなど、河川の増水のおそれが高いときには、釣りや水泳、中洲や河原でのバーベキューなどを行わない。
- また、海においては、天候の変化や波の高さに注意を払い、海岸の地形や沖合で台風が発生しているなどにより、離岸流や高波が発生するおそれが高いときは、海に入らない。
- また、体調が悪いとき、飲酒したときなどは、海、河川に入らない。
- ライフジャケットの活用
- 釣りやボート等で水辺に行くときは、必ずライフジャケットを着用(体のサイズに合った物を選び、正しく着用)する。
- 遊泳時の安全確保
- 掲示板、標識等により「危険区域」と標示された区域内に入らない。
- 遊泳区域を標示する標識、浮き等を移動し、又は損壊しない。
- 遊泳区域以外の水域で遊泳しない。
- 遊泳中、他人に抱きつくなどの遊泳上危険な行為をしない。
- 遊泳に当たっては、水深、水流を考慮し、安全な方法で遊泳する。
- 海水浴場として開設されていない場所は、監視員が不在であるなど安全が確保されていないため、開設の有無、監視員の存在等を確認する。
- 保護者等の付添い
- 子供の水難防止のため、子供一人では水遊び等をさせず、幼児や泳げない学童等には、必ずライフジャケットを着用させ、その者を保護する責任のある者が付き添うなどして、目を離さないようにする。
- 危険箇所の把握
- 水難を未然に防ぐためには、海や河川など、それぞれの自然環境の特徴を理解し、水難につながりやすい危険な場所、危険な行為などを知ることが重要であり、次に掲げる点に留意する必要がある。
- 全国の発生状況
~NEW~
警察庁 令和6年における山岳遭難の概況等
- 概要
- 全国の発生状況
- 令和6年の山岳遭難は
- 発生件数 2,946件 (前年対比-180件)
- 遭難者 3,357人 (前年対比-211人)
- うち死者・行方不明者 300人 (前年対比-35人)
- 負傷者 1,390人 (前年対比-10人)
- 無事救助 1,667人 (前年対比-166人)
- 過去10年間の山岳遭難発生状況をみると、令和2年から3年連続で増加していたところ、令和6年中は前年比減少した。
- 令和6年の山岳遭難は
- 都道府県別の発生状況
- 都道府県別の山岳遭難発生状況をみると、最も多いのが長野県321件、次いで北海道189件、東京都と神奈川県が183件であった。
- 遭難者の多い主な山岳別遭難状況
- 山岳別の遭難者数をみると、観光地として有名な富士山や高尾山等の遭難者が例年(過去5年平均)と比較し増加した。
- 全国の発生状況
- 特徴
- 目的別・態様別
- 遭難者3,357人について、目的別にみると、登山(ハイキング、スキー登山、沢登り、岩登りを含む。)が79.7%と最も多く、次いで山菜・茸採りが8.8%を占めている。
- また、態様別にみると、道迷いが30.4%と最も多く、次いで転倒が20.0%、滑落が17.2%を占めている。
- 年齢層別
- 遭難者のうち40歳以上が2,678人と全体の79.8%を占め、また、60歳以上が1,677人と全体の50.0%を占めている。
- また、死者・行方不明者では、40歳以上が275人と全体の91.7%を占め、60歳以上が192人と全体の64.0%を占めている。
- 単独登山者の遭難状況
- 単独登山(「山菜・茸採り」、「観光」等を含む。)遭難者1,311人のうち、死者・行方不明者は179人で、13.7%を占めており、複数登山(2人以上)遭難者の死者・行方不明者の割合(5.9%)と比較すると7.8ポイント高くなっている。
- 訪日外国人の遭難状況
- 訪日外国人の山岳遭難は、発生件数99件、遭難者数135人(うち死者・行方不明者が7人)で、いずれも平成30年の統計開始以降、最多となった令和5年に次いで2番目に多かった。
- 通信手段の使用状況
- 発生件数2,946件の72.8%が遭難現場から通信手段(携帯電話、無線機(アマチュア無線を含む。))を使用し、救助を要請している。
- 目的別・態様別
- 山岳遭難防止対策
- 山岳遭難の多くは、天候に関する不適切な判断や、不十分な装備で体力的に無理な計画を立てるなど、知識・経験・体力の不足等が原因で発生していることから、遭難を防ぐためには、次に掲げる点に留意する必要がある。
- 的確な登山計画と万全な装備品等の準備
- 気象条件や体力、技術、経験、体調等に見合った山を選択し、休憩時間を確保した余裕のある登山日程、携行する装備、食料等に配意し、安全な登山計画を立てる。
- 登山計画を立てるときは、滑落等の危険箇所や、トラブル発生時に途中から下山できるルート(エスケープルート)等を事前に把握する。
- また、常に最新の気象情報を把握するとともに、登山予定の山の気候に合った服装や登山靴、ヘルメット、雨具(レインウェア)、ツェルト(簡易テント)、地図(登山地図アプリを含む。)、コンパス、行動食等登山に必要な装備品や、万一遭難した際に助けを呼ぶための連絡用通信機器(携帯電話、無線機、予備バッテリー等)を準備するなど、装備を万全に整える。
- GPS機能付きの携帯電話等は、自分の現在地をより速やかに救援機関に伝えることができるなど、救助要請手段として有効であるものの、多くの山岳では通話エリアが限られることやバッテリーの残量に注意する必要がある。
- なお、単独登山は、トラブル発生時の対処がグループ登山に比べて困難になることが多いことを念頭に、信頼できるリーダーを中心とした複数人による登山に努める。
- 登山計画書・登山届の提出
- 登山計画書・登山届は、家族や職場等と共有しておくことにより、万一の場合の素早い捜索救助の手掛かりとなるほか、計画に不備がないか事前に確認するものであることを認識する。また、作成した登山計画書・登山届は、一緒に登山する仲間、家族や職場等と共有するとともに、登山口の登山届ポスト、インターネットや登山地図アプリを活用して都道府県警察、自治体などに提出する。
- 道迷い防止
- 地図の見方やコンパスの活用方法を習得し、登山には地図やコンパス等を携行して、常に自分の位置を確認するよう心掛ける。
- なお、登山地図アプリと紙の地図を併用することで、より正確な位置を把握することができるため、道迷いの防止につながる。
- 滑落・転落防止
- 日頃から手入れされた登山靴やピッケル、アイゼン、ストック等の装備を登山の状況に応じて的確に使いこなすとともに、気を緩めることなく常に慎重な行動を心掛ける。
- また、滑落・転落するおそれがある場所を通過するときは、滑落・転落や上方からの落石に備え、必ずヘルメットを着用する。
- 的確な状況判断
- 霧(ガス)や吹雪等による視界不良や体調不良時等には、道に迷ったり、冷静さを失ったりして、滑落等の危険が高まることから、「道に迷ったかも。」と思ったら、闇雲に進むことなく、今歩いて来た道(トレース)を辿り、正規の登山道まで引き返すなど、状況を的確に判断するとともに、早めに登山を中止するよう努める。
- バックカントリースキーによる遭難に注意
- バックカントリースキーは、冬山登山と同様の知識・技能・装備が必要であることから、安易な行動は厳に慎む。
- また、天候や積雪の状況、滑走するコースや地形を必ず確認し、登山計画書・登山届の提出、必要な装備品を携帯するなど、事前の準備を徹底する。
- 的確な登山計画と万全な装備品等の準備
- 山岳遭難の多くは、天候に関する不適切な判断や、不十分な装備で体力的に無理な計画を立てるなど、知識・経験・体力の不足等が原因で発生していることから、遭難を防ぐためには、次に掲げる点に留意する必要がある。
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警察庁 犯罪統計資料(令和7年1~5月分)
- 令和7年1~5月における刑法犯総数について、認知件数は298,828件(前年同期288,077件、前年同期比+7%)、検挙件数は115,133件(108,349件、+5.3%)、検挙率は38.5%(37.6%、+0.9P)
- 凶悪犯の認知件数は2,877件(2,719件、+8%)、検挙件数は2,448件(2,263件、+8.2%)、検挙率は85.1%(83.2%、+1.9P)、粗暴犯の認知件数は24,128件(23,088件、+4.5%)、検挙件数は18,889件(18,778件、+0.6%)、検挙率は78.3%(81.3%、▲3.0P)、窃盗犯の認知件数は198,840件(195,035件、+2.0%)、検挙件数は66,795件(63,105件、+5.8%)、検挙率は33.6%(32.4%、+1.2P)、知能犯の認知件数は28,653件(24,231件、+18.2%)、検挙件数は8,128件(6,948件、+17.0%)、検挙率は28.4%(28.7%、▲0.3P)、風俗犯の認知件数は7,230件(6,420件、+12.6%)、検挙件数は6,143件(5,110件、+20.2%)、検挙率は85.0%(79.6%、+5.4%)
- 詐欺の認知件数は26,676件(22,289件、+7%)、検挙件数は6,754件(5,665件、+19.2%)、検挙率は25.3%(25.4%、▲0.1P)
- 万引きの認知件数は43,635件(41,115件、+1%)、検挙件数は28,900件(26,902件、+7.4%)、検挙率は66.2%(65.4%、+0.8P)
- 特別法犯 主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較、特別法犯総数について、検挙件数は24,113件(24,857件、▲3.0%)、検挙人員は18,958人(19,907人、▲4.8%)
- 入管法違反の検挙件数は2,089件(2,272件、▲8.1%)、検挙人員は1,393人(1,540人、▲9.5%)、軽犯罪法違反の検挙件数は2,311件(2,608件、▲11.4%)、検挙人員は2,276人(2,613人、▲12.9%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は1,853件(2,361件、▲21.5%)、検挙人員は1,329人(1,716人、▲22.6%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は515件(491件、+9%)、検挙人員は434人(396人、+9.6%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,868件(1,679件、+11.3%)、検挙人員は1,439人(1,305人、+10.3%)、銃刀法違反の検挙件数は1,658件(1,754件、▲5.5%)、検挙人員は1,413人(1,500人、▲5.8%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は3,616件(644件、+461.5%)、検挙人員は2,595人(377人、+588.3%)、大麻草栽培規制法違反の検挙件数は53件(2,678件、▲09.0%)、検挙人員は44人(2,137人、▲97.9%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は3,288件(3,105件、+5.9%)、検挙人員は2,175人(2,066人、+5.3%)
- 特別法犯 主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、総数173人(173人、±0%)、ベトナム37人(30人、+3%)、中国26人(30人、▲13.3%)、インドネシア13人(2人、+550.0%)、フィリピン13人(14人、▲0.7%)、インド9人(5人、+80.0%)、ブラジル9人(10人、▲10.0%)、韓国・朝鮮7人(9人、▲22.2%)
- 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較、刑法犯総数について、検挙件数は3,101件(3,659件、▲15.3%)、検挙人員は1,591人(1,982人、▲19.7%)
- 強盗の検挙件数は28件(38件、▲26.3%)、検挙人員は47人(57人、▲17.5%)、暴行の検挙件数は152件(188件、▲19.1%)、検挙人員は133人(168人、▲20.8%)、傷害の検挙件数は270件(333件、▲18.9%)、検挙人員は313人(371人、▲15.6%)、脅迫の検挙件数は94件(112件、▲16.1%)、検挙人員は86人(108人、▲20.4%)、恐喝の検挙件数は116件(122件、▲4.9%)、検挙人員は131人(144人、▲9.0%)、窃盗の検挙件数は1,296件(1,805件、▲28.2%)、検挙人員は227人(296人、▲23.3%)、詐欺の検挙件数は677件(565件、+8%)、検挙人員は328人(390人、▲15.9%)、賭博の検挙件数は19件(38件、▲50.0%)、検挙人員は44人(56人、▲21.4%)
- 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較、特別法犯総数について、検挙件数は1,438件(1,755件、▲18.1%)、検挙人員は889人(1,111人、▲20.0%)、入管法違反の検挙件数は5件(15件、▲66.7%)、検挙人員は4人(13人、▲69.2%)、軽犯罪法違反の検挙件数は11件(14件、▲21.4%)、検挙人員は7人(14人、▲50.0%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は10件(43件、▲76.7%)、検挙人員は8人(41人、▲80.5%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は6件(34件、▲82.4%)、検挙人員は10人(40人、▲75.0%)、銃刀法違反の検挙件数は22件(32件、▲31.3%)、検挙人員は22人(21人、+8%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は331件(86件、+284.9%)、検挙人員は168人(31人、+441.9%)、大麻草栽培規制法違反の検挙件数は10件(312件、▲96.8%)、検挙人員は4人(185人、▲97.8%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は834件(985件、▲15.3%)、検挙人員は500人(616人、▲18.8%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は76件(35件、+117.1%)、検挙人員は46人(8人、+475.0%)
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国民生活センター リチウムイオン電池の膨張、発煙・発火に注意
- 内容
- 事例1
- 約3年前にネット通販で購入した、リチウムイオン電池を使用した自転車用ライトが、走行中に突然爆発し、腹部にやけどを負った。(70歳代)
- 事例2
- スマホ用のモバイルバッテリーがすごく膨らんできていて怖い。廃棄したいが危険性もあるかもしれない。どこに廃棄すべきか。(60歳代)
- 事例1
- ひとこと助言
- リチウムイオン電池は小型大容量、繰り返しの使用が可能などの利点から、モバイルバッテリーやワイヤレスイヤホン・スピーカーなど、身の回りの様々な商品に搭載されています。しかし便利な一方で電池の発煙・発火事故も発生しています。
- 製造・販売元や型式が明示されていない商品や、仕様が不明確な商品を購入するのは避けましょう。充電器やモバイルバッテリーは、PSEマークの表示を確認しましょう。
- 充電の際は適切な充電器を使用し、もし充電端子が過熱したり異臭がした際は直ちに使用を中止しましょう。
- 落下などで電池に衝撃が加わると、発煙・発火を伴う事故につながる可能性も考えられます。持ち運びや保管の際は取り扱いに注意し、電池に膨張がみられたら使用を控えましょう。
- 廃棄する際は、必ず自治体の分別ルールに従いましょう。取り外し可能なバッテリー等は販売店でリサイクル回収をしてくれる場合もあります。
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国民生活センター 国民生活2025年6月号【No.154】(2025年6月16日発行)
▼ 第80回 教育とAI
- AIの進歩
- 何度も書いてきたようにここ十数年のAIの進歩には目覚ましいものがあります。
- 1950年代に始まったAIの研究開発は人間のような高度な知能をコンピュータに持たせようとしてずっと頑張ってきたのですが、しばらくの間、人間にはまったくかないませんでした。
- 2006年にディープラーニングという機械学習の技術が提唱されてから、AIはいろいろなことが人間並みにあるいは人間以上にできるようになってきました。例えば、人の写真を見せてそれが誰かを識別する能力は我々を超えています。
- 肺のレントゲン写真を見て異常がないかをチェックする能力は専門医を超えています。将棋や囲碁はトップレベルのプロ棋士よりもはるかに強いです(囲碁は互先という互角の勝負ではまったく歯が立ちません。ハンディが二子でも厳しく三子ならなんとか勝負になるレベルです)。これら以外でも、さまざまな領域でAIが人間並み以上の能力を発揮できるようになりつつあります。
- このような状況で、人間は進歩したAIとどうつき合っていくべきかを考えないといけません。かつては、そろばんなどを使って計算を速く正確にできる人が重宝されましたが、ある時期から計算はみんな電卓に任せています。AIの時代に、人間は役割分担として何をすべきかが問題になっているのです。
- 教育を変える 英語教育の例
- これまで人間が担ってきたことをAIが担えるようになりつつあります。この傾向はこれからさらに強まっていくと思われます。AIの英語能力は990点満点のTOEICで優に950点を超えています。日本人の平均が600点なのでAIのほうが平均的な日本人よりもはるかに英語ができるのです(ちなみに筆者よりもかなり高い得点です)。英語と日本語の翻訳も間違いがゼロとはいいませんが、(文学作品などは別として)十分に使えるレベルに達しています。近い将来スマートフォンで外国人と日本語で話ができるようになると思われます。こういう状況で英語の教育はどうあるべきでしょうか。もちろん、AIがいくら進歩しても人間同士が直接コミュニケーションすることはとても大きな意味があります。できないよりはできたほうがいいに決まっています。日本の学校では(今は小学校から)かなりの時間を取って英語を教えています。授業時間が限られていて勉強すべき事項も増えている(例えば、AIリテラシーなども教える必要があります)なかで、今までどおり英語の授業時間を確保する必要があるかを検討すべきだと思います。英語をまったく教えなくてよいというのは極端ですが、時間数を減らすという選択肢は十分にあり得るでしょう。
- 子どもに何を教えるべきか
- 読者のほとんどの皆さんはスマートフォンをお持ちだと思います。多かれ少なかれスマートフォンに頼った生活をしているはずです。
- 昔は仕事や日常生活に関係する電話番号のいくつかを記憶していましたが、今は記憶している電話番号をいくつ言えますか。また、読める漢字は減っていなくとも、手書きできる漢字は大幅に減っているかもしれません。来週の予定は覚えていますか。食事の割り勘の計算は暗算でできますか。かなりの部分をスマートフォンに頼っている人が多いのではないでしょうか。これらのことをもって人間の能力が衰えたという主張もありますが、筆者はその主張は当たらないと思います。コンピュータやAIに任せられることは任せてしまって、人間はもっと大事なことに集中すればいいのです。記憶では人間はコンピュータにかないません。記憶力もないよりあるに越したことはないですが、スマートフォンに聞けば分かることを覚えていても仕方ないという見方もあるでしょう。入学試験で英単語の綴りや漢字の書き取りをする意味があるのかも考えなくてはいけません。入学試験といえば、AIは日本で最も難しいといわれる東京大学の理科三類(医学部)で合格点を取っています。AIの能力がここまできたときに、人間の能力を調べるための入学試験で今のような問題を出し続けるべきなのかも考える必要があります。
- もっとも、人間は何も記憶しなくていいかといえばそうではありません。何かを考えるには考えるための材料が必要です。考える度にすべての材料をゼロからAIに教えてもらうのではまともに考えることができません。考えるために少なくとも最低限の知識を記憶している必要があります。どういう知識がどれぐらい必要なのかを見極めていかないといけません。
- 人間に求められる能力
- AIが進歩していろいろなことをしてくれるようになった時代に、人間に求められる能力は何でしょうか。それは「自ら考えて数多くの選択肢の中から適切なものを選択する力」だと思います。もちろん、これはAIの登場の前から大事な能力だったのですが、AI社会においてはとても大事です。あえて言えば人間の果たすべき役割はこれしかありません。AIが助けてくれることによって多くの情報が得られます。その情報を適切に取捨選択して何をすべきかを決めて実行し、その実行の結果に対して責任を取る、というのが人間の役割になります。あなたに何か解くべき課題があったときに、AIや他人に聞けばいろいろな解決策を提案してくれます。それらの解決策の中から何を選ぶかは、あなたが決めないといけません。選ぶのは自分です。AIや他人のせいにしてはいけません。選んだのは自分なのですから、その解決策を実行してうまくいったとしても失敗したとしても、自分で受け止めなくてはいけないのです。
- AI時代の教育
- 「自ら考えて数多くの選択肢の中から適切なものを選択する力」を培うにはどうすればいいでしょうか。当たり前のことですが、簡単ではありません。従来、「考える力」は重要な能力でした。今は、ともすればAIの示した選択肢を考えることなく受け入れがちになっています。成功すれば自分が優秀なためで、失敗すればAIを含めたまわりが悪いせいにするという傾向が強くなっているのではないでしょうか。自分で決断し、その決断に責任を取る(当たり前のことを当たり前にする)ことがAI時代にはますます求められます。そのためには子どもの頃から自ら考える習慣を身に付ける必要があるでしょう。では、そのためにどうすればいいかと問われると、「本をたくさん読みましょう」と答えています。
- 「一定以上のボリュームのある本を読み通すことの積み重ねが、考える習慣につながる」と思うからです。これは個人的な体験に基づいています。最近はスマートフォンで短い文の読み書きに慣れてしまって、長い文章を読んだり書いたりする経験が乏しくなりがちです。そうなると中長期的なことを考えられずに、短期的なことしか考えられなくなってしまいます。
- ぜひ本を読んで、自分の中長期的な未来について考えましょう。
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経済産業省 「100億宣言」を公表します 売上高100億円という高い目標を目指す経営者を応援します
- 中小企業庁は、売上高100億円という高い目標を目指し、それに向けて挑戦を行う企業・経営者を応援するプロジェクトである「100億宣言」の申請受付を5月8日(木曜日)より開始しているところ、6月17日(火曜日)に宣言の初回公表を特設ポータルサイト上にて行います。
- 「100億宣言」とは
- 「100億宣言」とは、中小企業の皆様が飛躍的成長を遂げるために、自ら、「売上高100億円」という、経営者の皆様にとって野心的な目標を目指し、実現に向けた取組を行っていくことを宣言するものです。
- 初回公表の案件について
- 1,500件を超える申請件数(6月9日(月曜日)時点)のうち、311件の公表(6月9日(月曜日)までに申請があったもののうち、事務局の確認が完了したもの)を行います。
- そのほかの申請についても、事務局の確認が完了次第、順次公表する予定です。
- 宣言申請企業の属性について
- 申請件数(6月9日(月曜日)時点)の内訳として、売上高の規模については10億円台から90億円台まで幅広い規模から、業種についても、製造業、卸売業・小売業、建設業、運輸業・郵便業、宿泊業・飲食サービス業、情報通信業など、多様な業種から申請があり、また、全ての都道府県の企業から宣言の申請がありました。
- 今後のスケジュールについて
- 「100億宣言」については、引き続き申請を受け付けており、既に申請いただいた案件も含め、順次事務局で確認を進め、公表を行う予定です。
- また、「経営強化税制」については、6月2日(月曜日)より新たな拡充枠としてE類型を設け、同日より施行、受付を開始しております。加えて、「100億宣言」を行った企業の経営者等のネットワーキングの場として、秋頃を目途に、大規模なシンポジウムや、宣言企業向けの定期的な経営者ネットワークイベントも開催予定です。詳細については、内容が確定次第、再度お知らせいたします。
~NEW~
経済産業省 日本産業標準調査会基本政策部会「新たな基準認証政策の展開-日本型標準加速化モデル2025-」を公表します
- 2023年6月の「日本型標準加速化モデル」策定時からの環境変化に伴い、2024年12月から日本産業標準調査会基本政策部会でご議論いただいた内容を踏まえ、本日、「新たな基準認証政策の展開-日本型標準加速化モデル2025-」を公表します。
- 背景
- 昨今、グローバル市場における競争環境が一層激化・複雑化する中で、米欧中は国家標準戦略等に基づき積極的に取組を展開しています。特に、重点分野を定めて標準化活動を加速化する動きや、欧州では、規制・規格・認証の一体的推進の枠組みの下、認証の対象が最終製品からサプライチェーン全体に拡大される動きが出てきています。
- こうした状況を踏まえ、我が国においても、日本型標準加速化モデルによる「産業界全体の標準化活動の底上げ」の取組のみでは、産業政策上重要な分野において国際的な議論をリードできず、我が国に不利なルール形成が進められ得るという危機感が高まっています。
- 我が国の標準化・認証の取組を更に加速化するためには、これまでの取組に加えて、(1)特定分野における国主導の戦略的標準化 と(2)国内認証機関の強化 を新たに推進することが必要です。
- 新たな取組の必要性と取組方針
- 特定分野における国主導の戦略的標準化
- 産業構造の転換につながる不確実性の高い分野について、産業政策と真に連動した分野全体の標準化活動を国が牽引する形で展開することが必要です。
- 具体的な取組として、技術・市場の成熟度や産業横断での連携性を基礎として、3つの類型化を行い、パイロット5分野を設定して、分野全体の標準化戦略の策定から、規格開発・活用に向けた取組を開始しています。
- また、各パイロット分野の取組状況を基に、分野全体の標準化戦略の策定と規格開発・活用の各フェーズにおける取組方針を下記のとおりまとめています。
- 加えて、取組全体を体系的に整理して一気通貫で展開すべく、取組の「型」化を進め、経済産業省とともに取組を主導し知見・ノウハウの一元的な集約先となる「伴走組織」を置くこととしています。
- 今後は、世界動向、イノベーション、産業政策等を踏まえながら、本取組をパイロット分野のみならず、戦略的標準化を進めるべき他の分野にも積極的に応用・展開していきます。
- 国内認証機関の強化
- 策定された標準や規制への準拠を示す手段である認証の対象は、最終製品のみならずサプライチェーン全体に拡大しており、認証機関が取り扱う情報の機微性が格段に高まっています。
- こうした中、国外規制対応において、従来通り国外認証機関に認証の取得を依存することは、企業のサプライチェーン・設計情報等の機微データの国外流出に繋がり得るという懸念が指摘されています。
- この課題に対応するため、短期的には国内認証機関と国外認証機関の戦略的連携の強化、また中長期的には国内認証機関の海外展開を目指すなど、時間軸に応じた柔軟なアプローチを展開していきます。
- 同時に排出量取引制度(GX-ETS)等の国内規制への対応を通じて国内認証基盤の強化も促進し、国内認証機関における高度な認証人材の育成や認証機関間の協力体制の構築に繋げていきます。
- 特定分野における国主導の戦略的標準化
~NEW~
総務省 避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成等に係る取組状況の調査結果
- 内閣府及び消防庁では、市町村における避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成等に係る取組状況について調査を実施し、この度、令和7年4月1日現在の状況を取りまとめましたので公表します。
- 市町村における調査結果の概要
- 個別避難計画関係
- 個別避難計画に関しては、避難行動要支援者に自宅の災害リスクや避難先を確認していただくことから始め、庁内外との連携を図り、優先度が高い方から計画の作成が進められており、本人のことをよく知るケアマネジャー等の福祉専門職や地域の関係者の協力を得て丁寧に取り組まれている。
- 個別避難計画を作成している団体は1,691団体、未作成の団体は前回調査(4.1)141団体(8.2%)から50団体(2.9%)と約3分の1となった。
- 未作成の団体においては、作成に向けて対象者(避難行動要支援者)に自宅の災害リスクや避難先を確認してもらうこと、また、作成に向けた体制整備として庁内の関係部局、課室や、庁外の福祉専門職や住民との関係づくり、避難先の確保などに取り組んでおり、多くの団体では、今年度中の作成に向けて対象者の特定など具体的な作業を進めている。
- 作成している団体のうち、作成率注)が8割を超えたのが253団体(5%)、6割超~8割以下が102団体(5.9%)、4割超~6割以下が153団体(8.8%)、2割超~4割以下が263団体(15.1%)2割以下が920団体(52.8%)となった。
- 2割以下の階級が過半数を占めているのは昨年度と同様であるが、2割超の全ての階級で増加しており、市町村における作成の取組に一定の進捗が見られた。(2割超の割合5% →44.3%となり、また、前回調査から作成した人数が倍増以上となった市町村の数が500であった。)
- 昨年1年間で個別避難計画が作成された要支援者は181,635人であり、これまでに個別避難計画が作成された要支援者は合計1,451,097人となった
- 個別避難計画関係
~NEW~
総務省 「電話番号の犯罪利用対策等に係る電気通信番号制度の在り方」に関する情報通信審議会への諮問
- 総務省は、本日、情報通信審議会(会長:遠藤 信博)に対し、電話番号の犯罪利用対策等に係る電気通信番号制度の在り方について、別紙PDFのとおり諮問しました。
- 経緯等
- 近年、総務大臣から電気通信番号使用計画の認定を受けた電気通信事業者が、特殊詐欺の幇助犯として逮捕・起訴及び実刑判決に至った事例が増加しており、社会的な問題となっています。
- そこで、電気通信番号の犯罪利用に対する抜本的な対策等を検討した「IP網への移行等に向けた電気通信番号制度の在り方」最終答申を踏まえ、以下のとおり、令和7年に電気通信事業法(昭和59年法律第86号)を改正(以下「令和7年法改正」といいます。)しました。
- 電気通信番号使用計画の認定の欠格事由に詐欺罪等により刑に処せられた者等を追加すること。
- 電気通信番号使用計画の認定の基準として申請者の役務継続の見込み等を追加すること。
- 電気通信番号を使用した卸電気通信役務を提供する電気通信事業者に対して、卸先事業者が一定の要件を満たすことの確認義務を課すこと。
- 令和7年法改正においては、規律の対象となる電気通信番号の種別、電気通信番号を使用した卸電気通信役務を提供する際の確認義務の履行方法等の事項について総務省令で規定することとされており、これらを規定するために必要な事項について検討を行う必要があります。
- また、令和7年法改正は電話番号の犯罪利用対策以外の内容も含む広範な制度改正であるため、電気通信番号制度について、令和7年法改正の内容と整合を図るため検討を行う必要があります。
- 以上により、電話番号の犯罪利用対策等に係る電気通信番号制度の在り方について諮問するものです。
- 答申を希望する事項
- 電話番号の犯罪利用対策等に係る電気通信番号制度の在り方
- 答申を希望する時期
- 令和7年11月頃
~NEW~
総務省 オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会(第5回)
▼ 資料5-2 中間論点整理案(骨子)(事務局)
- 検討の基本的視座(案)
- オンラインカジノの弊害は深刻であり、一の対策に依拠するのではなく、官民の関係者が協力し、実効性のある対策を包括的に講じていくことが重要ではないか。その中で、アクセス抑止策についても検討していくべきではないか。
- アクセス抑止策の一手段であるブロッキングは、すべてのインターネット利用者の宛先を網羅的に確認することを前提とする技術であり、電気通信事業法が定める「通信の秘密」の保護に外形的に抵触し、手法によっては「知る自由・表現の自由」に制約を与えるおそれがある。通信事業者がブロッキングを実施するためには、合法的に行うための環境整備が求められるのではないか。
- 具体的には、(1)ブロッキングは、他のより権利制限的ではない対策(例:周知啓発、フィルタリング等)を尽くした上でなお深刻な被害が減らないこと、対策として有効性がある場合に実施を検討すべきものであること(必要性・有効性)、(2)ブロッキングにより得られる利益と失われる利益の均衡に配慮すべきこと(許容性)、(3)仮に実施する場合、通信事業者の法的安定性の観点から実施根拠を明確化すべきこと(実施根拠)、(4)仮に制度的措置を講じる場合、どのような法的枠組みが適当かを明確化すべきこと(妥当性)という4つのステップに沿って、丁寧に検証することが適当ではないか。
- また、上記の検証に当たっては、主要先進国において、立法措置の中でブロッキングを対策の一つとして位置づけている例も参考にすべきではないか。
- オンラインカジノの現状認識
- 本検討会における「オンラインカジノ」とは、インターネットを利用して行われるバカラ、スロット、ポーカー、スポーツベッティングなど違法な賭博行為をいう。
- 公営競技を含むギャンブルについてギャンブル等依存症の問題がかねてより指摘されてきたところ、警察庁委託調査研究(本年3月公表)によって、ギャンブルの中でも特にオンラインカジノについて、利用の急速かつ広範な拡大が浮き彫りとなり、青少年を含む利用者のギャンブル依存や借金等を通じた家族への被害の広がりといった課題の深刻さが明らかとなった。また、運営主体の多くはオンラインカジノが合法である国外にあり巨大な国富の流出が生じている他、検挙されている決済代行業者等の中には組織犯罪グループが含まれていること等を踏まえると、我が国の経済社会に与える弊害も大きい。加えて、欧州等においてはスポーツベッティング市場の拡大が指摘されており、不正操作やギャンブル依存症を防止することにより、スポーツの健全性を確保することが課題となっている。
- オンラインカジノ問題の広がりの背景として、著名人を起用した広告等により、オンラインカジノが合法であるかのような誤った情報が広まったこと、SNS等を通じた巧妙な誘導を通じて利用しやすい環境が存在すること、利用や決済に対する制限や年齢認証等の対策が講じられておらず、際限なく賭けが行えること等が指摘されている。
- オンラインカジノを巡っては、これまでも、賭客や開張者の検挙、違法性に関する周知啓発等の対策が講じられてきたところだが、近時の課題の深刻化を踏まえ、さらなる取組の必要性が認識されてきた。具体的には、政府において、「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」の改定(本年3月21日)ではじめてオンラインカジノへの対策が盛り込まれ、今国会で成立した改正ギャンブル等依存症対策基本法において、オンラインカジノサイトを掲示し、又は誘導する情報を発信することが禁止される等、順次対策が講じられている。
- 包括的な対策の必要性
- オンラインカジノへの対策としては、違法であることの周知啓発、賭博行為の検挙・取締りの強化、オンラインカジノサイトへのアクセス抑止、賭博に係る支払抑止、日本向けのオンラインカジノ提供を停止するよう外国政府へ要請、ギャンブル依存症に関する啓発、支援団体・医療機関との連携等の様々な対策があり得るところ、オンラインカジノの広がりを踏まえれば、一の対策に依拠するのではなく、官民の関係者が協力し、実効性のある対策を包括的に講じていくことが重要ではないか。
- 例えば、支払抑止については、カジノ目的でのクレジットカードの利用禁止といった対策が考えられるが、カード会社による決済・取引先の網羅的な確認が困難である等の課題が指摘されており、引き続き検討が必要ではないか。
- その上で、オンラインカジノは、国内の利用者がインターネットを通じてオンラインカジノサイトを閲覧し、賭けを行うことによってはじめて成立するものであることから、アクセス抑止の取組を進めることが有効な対策となるのではないか。
- アクセス抑止の在り方
- オンラインカジノに関する情報の流れを総体として見た場合、(ア)インターネット利用者が、オンラインカジノサイトの閲覧やダウンロード等を行う行為、(イ)電気通信事業者が、インターネット接続サービスを媒介する行為(当該媒介行為を補完し、クラウドや名前解決等のサービスを提供する行為を含む)、(ウ)検索サービス事業者やアプリストア運営事業者が、特定のサイトやアプリを整理・分類して、オンラインカジノサイト等のURLを提供する行為、(エ)SNSの利用者やリーチサイトの運営者が、オンラインカジノの利用を誘導する行為(当該誘導行為を補完し、決済や与信等のサービスを提供する行為を含む)、(オ)オンラインカジノサイトの運営者が、カジノ行為を行う賭博場を開張する行為に大別される。
- (ア)については、利用者は賭けを行った場合には刑法上の単純賭博罪又は常習賭博罪が成立する可能性があるが、サイトを閲覧する行為自体は違法ではない。(イ)については、電気通信事業者は通信の秘密を保護する責務を負う。(ウ)については、検索事業者等は利用規約等に基づいて違法情報の削除等を行う場合があるが、一般的な監視義務はない。(エ)については、SNSの利用者やリーチサイト運営者の誘導行為は刑法犯が成立する場合等を除けば違法ではなく、刑法犯の成否は個別具体的な事案による。(オ)については、サイト運営者は国内で賭博の場の提供を実質的に行っている場合には賭博罪又は賭博場開張等図利罪が成立する可能性があるが、その行為のすべてが国外で行われている場合は刑法の適用対象でなく、発信行為自体は必ずしも違法ではないとされている。
- このように、現行法上、オンラインカジノの利用全体にわたり、オンラインカジノに関する情報の流通に関係する行為そのものは必ずしも違法ではないことが、違法情報の発信や閲覧に対する有効な対策の不足といった課題の一因となってきたと考えられるのではないか。
- 今後、「ギャンブル等依存症対策基本法」の改正により、オンラインカジノサイトの開設や誘導行為自体が違法化されることは、違法であることの認識が広まることに加え、アクセス抑止の観点からも一定の効果が期待される。すなわち、特に上記(エ)との関係で、 (1)国内のSNS等のサイト運営者が利用規約等に基づく削除等の対応を行いやすくなる。また、特に上記(オ)との関係で、(2)国外のサイト開設者に対して日本からのアクセス制限(ジオブロッキング)等の対応を求めやすくなること等を通じて、オンラインカジノの利用が減少することが期待される。総務省としても、違法情報ガイドラインへの反映等を通じて、適正な利用環境の整備に貢献することが求められるのではないか。
- 本検討会では、アクセス抑止策の中でもブロッキングが法的・技術的に多角的な検討を要する課題であることを踏まえ、現下の状況における被害の甚大さに鑑み、その法的・技術的課題について丁寧に検討するものである。
- アクセス抑止の全体像とブロッキング
- オンラインカジノ問題の深刻さを踏まえれば、アクセス抑止策の実効性を少しでも高める必要があり、一つの方策に依拠するのではなく、抑止策の全体像を踏まえて「できることはやる」という姿勢を持つことが重要ではないか。
- そうした観点から、現状で考えられる抑止策について、その効果と課題について検証することにより、包括的な取組を講じることが求められるのではないか。
- フィルタリング
- 利用者の端末等において、利用者や保護者の同意に基づき、特定サイトの閲覧を制限。
- 利用者・親権者の同意がある場合のみ有効。
- 閲覧制限サイトのリストは、フィルタリング事業者の判断による。
- 青少年には義務付け、依存症患者には導入働きかけが進展する等、一定の効果あり。
- 情報の削除
- 場の提供等を行う事業者が、利用規約等に基づき違法・有害情報を削除。
- 利用規約等に基づく削除については、私人間の契約に基づくもの。
- 削除の可否は、サイト運営者等の判断による。
- 情報が違法化されれば、事業者は約款に基づく削除が容易に。
- ジオブロッキング
- サイトを開設する事業者が、IP等に基づいて特定の国・地域のアクセスを制限。
- サイト運営者の判断による制限であり、通信の秘密に関する課題はない。
- 制限の可否は、サイト運営者等の判断による。
- 海外事業者については、強制できない。
- 技術的な回避策あり。
- CDN対応
- CDN事業者が、利用規約等に基づき違法・有害情報の削除、契約を解除等。
- 対応に応じて要検討(ブロッキング類似の対策である場合、通信の秘密の保護との関係で整理が必要)。
- オンラインカジノ事業者の契約状況による。
- 検索結果の非表示・警告
- 検索事業者が、特定のサイトを非表示にしたり、警告表示を行ったりする。
- 検索サービスの客観性・中立性、国民の知る権利とのバランスが必要。
- 具体的な仕組を踏まえて検討(過剰制限のおそれ等)。
- アルゴリズム対策とのいたちごっこの側面。
- ドメイン名の利用停止
- レジストリが、特定のドメイン名の利用を停止。
- 対応に応じて要検討。
- 具体的な仕組を踏まえて検討(過剰制限のおそれ等)。
- 海外事業者については、強制できない。
- ブロッキング
- ISPが、利用者の同意なく、特定のアドレスへのアクセスを遮断。
- 通信の秘密の侵害に該当する(実施には法的根拠が必要)。
- 具体的な仕組みを踏まえて検討(過剰制限のおそれ等)。
- 技術的な回避が容易。
- フィルタリング
- ブロッキングに関する法的検討
- 必要性(ブロッキング以外の対策が尽くされたか)
- ブロッキングは、インターネット接続事業者(ISP)が、オンラインカジノの利用者だけでなく、すべてのインターネット利用者の接続先等を確認し、通信当事者の同意なく遮断等を行うものであり、電気通信事業法が規定する通信の秘密の侵害に該当する。
- 違法情報を閲覧する者の知る自由や違法情報を発信する者の表現の自由については要保護性自体が問題となり得るが、ブロッキングで用いられる手法は、技術的には違法情報に限らず、あらゆる情報の遮断を行うことができるものであることから、遮断先リストの作成・管理の在り方によっては、誤って遮断する「ミスブロッキング」や過剰に遮断する「オーバーブロッキング」等の課題があることが指摘されている。
- このように、ブロッキングが、「通信の秘密」や「知る自由・表現の自由」に抵触しうるものであり、とりわけ電気通信事業法上の通信の秘密の侵害の構成要件に該当する行為であることから、実施には慎重な検討が求められる。すなわち、ブロッキングが単に有効な対策であるだけでは足りず、他のより権利制限的ではない有効な対策が尽くされたかどうかを検証することが必要ではないか。
- この点、児童ポルノのブロッキングにおいては、国内における児童ポルノサイトの運営や情報の頒布に関与した者の検挙に加え、海外のサイト運営者に対する国際捜査共助等、国内外において法執行が積極的に行われてきた。また、SNS事業者等による利用規約等に基づく削除を含めて、他の手段が一定程度講じられている中にあってもなお、被害が減らないという実態があり、それを踏まえて、総務省の有識者検討会においてブロッキングを実施するための考え方が整理されたという経緯があり、この観点から参考になるのではないか
- オンラインカジノについては、フィルタリング、削除、ジオブロッキング等、他のより権利制限的ではないアクセス抑止策の実効性を検証するとともに、支払抑止等のアクセス抑止策以外の様々な対策についての実効性も併せて検証し、これらの対策を尽くした上でなおブロッキングを実施する合理的必要性があるかどうかを検討すべきではないか。
- フィルタリングについては、すでにオンラインカジノを含むギャンブルは小学生から高校生までの全年齢向けに制限対象とされており、フィルタリングの提供を義務付けている青少年インターネット環境整備法の存在も相まって、少なくとも青少年向けには一定の取組が行われているといえる。フィルタリングサービスは、本人の同意があれば、青少年以外にも利用可能であることから、例えば依存症患者やその法定代理人、医療従事者等に対して一層の普及促進を図っていくことが考えられる。フィルタリングについては、「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」を踏まえ、今後一層の普及促進の取組が期待されるのではないか。
- 一方、オンラインカジノの広告や誘導を行うSNS事業者や検索事業者による削除等の取組については、一定程度対応が進んでいるものの、いまだ国民が容易にカジノサイトにアクセス可能な状況がある。この点については、上記改正「ギャンブル等依存症対策基本法」で違法行為としての明確化が図られ、IHC(インターネット・ホットラインセンター)の「運用ガイドライン」や総務省「違法情報ガイドライン」に明記されることにより、国内のSNS事業者等による削除が一層進むことが期待されることに加え、国外のサイト運営者等に対しても、ジオブロッキングの要請を行いやすい環境も整うことから、まずはこれらの対策の効果の検証を行うことが適当ではないか。
- なお、オンラインカジノサイトの運営者は、トラフィック負荷の分散やサイバーセキュリティ対策の観点から、CDNサービスへの依存を高めているとの指摘がある。CDN事業者については、違法情報対策の観点から、利用規約等に基づく削除等の取組の強化が期待されているが、ネットワーク構成において実際に果たしている役割は契約毎に区々であること、海賊版対策を巡って訴訟が生じていること等から、まずは実態を把握することが求められるのではないか。
- 政府として、当面の間、上記の対策を包括的に進めるとともに、一定の期間を置いた上で、それらの対策を尽くしたとしてもなお違法オンラインカジノに係る情報の流通が著しく減少しない場合には、ブロッキングを排除せず、追加的な対応を講じることが適当ではないか。
- 有効性(対策としてのブロッキングは有効か)
- ブロッキングについては、技術的な回避策(例えば、VPN等によりDNSサーバを迂回する方法)があると指摘されており、近年では、特定のスマートフォン等の端末におけるプライバシー保護を目的とする機能を利用することにより、誰でも容易に回避することができるようになっているとの指摘がある。児童ポルノサイトのブロッキングが検討された時と比べ、環境変化を踏まえた議論が必要ではないか。
- 一方で、カジュアルユーザや若年層がギャンブル等依存症になる前の対策が重要であり、ブロッキングは、これらの者に対し、オンラインカジノの利用を抑止することが可能であり、ひいてはギャンブル等依存症になることを未然に防止するなど、予防的効果があるとの指摘もある。
- 上記観点も踏まえ、ブロッキング実施国における実施手法や効果を検証しつつ、引き続きブロッキングの有効性に関する検討を深めていくべきではないか。
- なお、ブロッキングの有効性については、②許容性(①で検討した有効性を前提に、全ての利用者の通信の秘密を侵害することとの関係で、均衡しているといえるか)の観点からも検討すべきである。具体的には、例えば、単に接続を遮断するだけではなく、オンラインカジノが違法であるとの警告表示を行うことで、よりブロッキングの予防的効果をあげられるとの指摘にも着目した議論をすべきではないか。
- 許容性(ブロッキングにより得られる利益が失われる利益と均衡するか)
- 上記を踏まえ、検討を行った結果、仮にブロッキングを行う必要性・有効性が認められる場合、ブロッキングが国民の基本的人権である通信の秘密を侵害する行為であることから、閲覧防止のための手段として許容されるためには、ブロッキングによって得られる利益が通信の秘密の保護と均衡するものであるかどうかを検討する必要がある。
- 電気通信事業法第4条が規定する通信の秘密の侵害行為は、直接の罰則が適用される刑事犯であるため、違法性を阻却するためには、刑法の考え方に基づき、法令行為(第35条)又は緊急避難(第37条)が成立するか否かが論点となる。
- 過去の検討では、児童ポルノサイトについて、児童の心身に対する生涯にわたる回復しがたい被害という被害の深刻さを踏まえ、総務省の有識者検討会等において緊急避難が認められるとの考え方が採られた一方、海賊版サイトについては、著作権者の経済的利益のために通信の秘密の制限することについて否定的な見解が示された(東京高判令和元年10月30日)。
- 上記は、緊急避難の成立要素である「法益の権衡」に関する判断であるが、仮に法令行為とする場合、通信の秘密の重要性を踏まえれば、緊急避難の法理を基礎としつつ、これを類型化して法定化することが考えられるのではないか。
- オンラインカジノの利用は、刑法上の賭博行為に該当することから、ブロッキングによって得られる利益を評価するにあたっては、賭博罪の保護法益について検討することが出発点となる。通説・判例によれば、賭博の保護法益は「勤労の美風」という社会的秩序であるとされること(最大判昭和25年11月22日)から、これのみで通信の秘密の侵害を正当化することは困難ではないか。
- 他方、オンラインカジノは、賭け額の異常な高騰や深刻な依存症患者の発生など、きわめて深刻な弊害が報告されており、必ずしも賭博罪の保護法益(社会的法益)に留まらず、刑法上の議論に尽きるものではないのではないか。これは、通常の賭博(合法ギャンブルのオンライン提供を含む)と異なり、①海外から日本に向けて提供されており、運営主体の適正性が担保されない、②1日当たりの賭け回数や上限額の設定、年齢確認、相談窓口の設置といった依存症を予防するための基本的な対策が講じられていない等の構造的課題に起因すると考えられ、一過性の現象と見なすことは適当ではないのではないか。
- 以上を踏まえ、ブロッキングにより得られる利益が失われる利益と均衡するかにつき具体的な検討が必要ではないか
- 実施根拠(仮にブロッキングを実施する場合どのような根拠で行うか)
- 上記を踏まえ、必要性・有効性と許容性が認められる状況において、電気通信事業者がブロッキングを行う場合、通信の秘密の侵害に外形的に当たることから、どのような根拠の下で合法的に行うことができるかを検証する必要があるのではないか。
- 刑法上の違法性阻却事由のうち、電気通信事業者によるブロッキングに実質的に適用しうる法理は、法令行為又は緊急避難のいずれかである。海賊版の事例において、法解釈(緊急避難の考え方)に基づき自主的にブロッキングの実施を表明した事業者が訴訟を提起され、実質的に敗訴ともいいうる判決が示されたことを踏まえれば、実施主体である電気通信事業者における法的安定性を確保する観点から、仮にブロッキングを行う場合には何らかの法的担保が必要ではないか。特に、ブロッキングにおいて犠牲にされる利益は、電気通信事業者自身が処分可能なものではなく、あくまで利用者である国民一般のものであることから、電気通信事業者における法的安定性を確保することはきわめて重要ではないか。
- なお、児童ポルノにおいては、事案の性質上、訴えを提起する当事者があまり想定されないが、一般論として、法解釈によるブロッキングには、常に訴訟リスクが伴う点に留意が必要ではないか。
- 仮に法解釈(緊急避難)で行う場合は、ブロッキングを実施する電気通信事業者において、個々の事案ごとに緊急避難の要件を満たしているかを検討し、事業者自らの判断(誤った場合のリスクは事業者が負担)で実施するかどうかを決めることになる。オンラインカジノサイトについては、無料版やゲーム等との区別が容易ではないことも指摘されているところ、仮に法令によって遮断対象や要件等を明確にしなければ、 「ミスブロッキング」や「オーバーブロッキング」のリスクが高まり、法的責任(通信の秘密侵害罪、損害賠償責任)を回避するために遮断すべきサイトのブロッキングを控えることが考えられ、対策の法的安定性を欠くことになるのではないか。
- これを踏まえると、仮にオンラインカジノサイトのブロッキングを実施する場合には、法解釈に基づく事業者の自主的取組として行うのではなく、何らかの法的担保が必要ではないか
- 妥当性(仮に制度的措置を講じる場合どのような枠組みが適当か)
- 上記を踏まえ、必要性・有効性と許容性が認められる状況において、電気通信事業者が法令に基づいてブロッキングを行う場合、通信の秘密との関係で問題とならないようにするために、どのような枠組みとすることが適当かを検討する必要がある。
- ブロッキングは、あくまで、違法情報の流通によってもたらされる弊害を除去する目的を達成するためのアクセス抑止策の一つであり、その枠組みを検討するに当たっても、当該弊害の除去という本来の政策目的に基づく規制体系の中で位置づけられるべきではないか。特に、カジノを巡っては、IR法制定の過程でランドカジノの合法化の要件が定められた一方、オンライン化の是非や要件については具体的な議論が先送りとなった経緯がある。先に述べたとおり、オンラインカジノについては、他の合法ギャンブルのオンライン提供において講じられているような対策がないことが、依存症をはじめとする弊害を悪化させている面があることから、ブロッキングの制度設計に当たっても、カジノ規制全般に対する議論抜きにその在り方を検討することは困難ではないか。
- 具体的な制度を検討するに当たっては、通信の秘密の制限について厳格な要件を定めた例である「重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律」(いわゆる能動的サイバー防御法)や、フランスをはじめ違法オンラインカジノ規制の一環としてブロッキングを法制化している諸外国の例が参考になるのではないか。
- 少なくとも、以下の論点について具体的な検討が必要ではないか。
- 遮断義務付け主体(遮断対象リストの作成・管理を適切に行う主体(オンラインカジノ規制と密接に関連)など)
- 遮断対象(対象範囲の明確化(国外・国内サイト、国外サイトのうち日本向けに提供するサイト、無料版の扱い等)など)
- 実体要件(補充性(他の対策では実効性がないこと)、実施期間、実施方法など)
- 手続要件(事前の透明化措置として、司法を含む独立機関の関与、遮断対象リストの公表など。事後的な救済手段として、不服申立手続・簡易な権利救済手段の創設、実施状況の報告・事後監査の仕組など)
- その他(実施に伴う費用負担、誤遮断時の責任の所在(補償)など
- 必要性(ブロッキング以外の対策が尽くされたか)
- 諸外国の状況
- オンラインカジノのブロッキングは、欧米先進国を中心として10以上の国において実施されており、中でも、憲法レベルで通信の秘密(プライバシー)の保護を保障している中で、国家レベルでブロッキングを安定的に実施している国として、フランスおよびイギリスが挙げられる。
- フランスにおいては、ギャンブル規制を担当する国の機関が、ライセンス付与によりギャンブルを合法化した上で、オンラインカジノを含む違法ギャンブルを規制する手段の一つとしてブロッキングを法令上位置づけている。
- 今後、先進主要国を中心として、ブロッキングの具体的内容・実施手法・効果等を含め、更なる深掘り調査を実施予定。
- ブロッキングに関する技術的検討
- 具体的な方式
- ブロッキングを行う場合、DNSサーバの名前解決機能を用いてリクエスト先とは異なるサイトに誘導する「DNSポイズニング方式」や、個別のトラフィックを解析するDPI装置を用いて特定のサイトへの通信を遮断する「URLフィルタリング」等の技術が知られている。DNS方式は、簡易で安価に実装できる等のメリットがある一方、ドメイン単位であるためオーバーブロッキングの危険性が比較的高く、技術的回避が容易である等の課題が指摘されている。他方、URL方式は、より精緻に遮断でき、技術的回避が困難である等のメリットがある一方、DPI装置が高価であり対応可能な事業者が限られる等の課題が指摘されている。
- 我が国における児童ポルノのブロッキングや、諸外国におけるオンラインカジノのブロッキング等においては、DNS方式が採用されている。ブロッキングは、できるだけ多くのISPが参加することで実効性が上がるものであることから、中小事業者を含む電気通信事業者が義務として遮断を行う手法としては、DNS方式が望ましいのではないか。
- 近時では、セキュリティ対策の観点から、DNS方式による対応が困難な保護技術の採用が進んでおり、こうした点については政府としても継続的にフォローアップを行っていくことが適当ではないか。
- 技術的回避策への対応
- ブロッキングについては、DNS方式の場合、技術的に回避策がある、悪意あるサイト運営者がドメインを次々と移転させるホッピングが生じる等の技術的課題が指摘されている(法的課題については先述)。
- 技術的観点から回避策に対してどのように対応していくかという点については、諸外国における取組等も参考にしつつ、ISP間での情報共有や国による技術開発の支援等を通じて、対策の実効性の向上を図っていくことが適当ではないか。
- 具体的な方式
- 概括的整理と今後の検討に向けて
- オンラインカジノは、我が国の社会経済活動に深刻な弊害をもたらしており、喫緊の対策が求められているのではないか。その際、違法オンラインカジノをギャンブル規制の中でどのように位置づけ、実効的な対策を実現するかという観点から包括的に取り組む必要があり、政府全体で対策の在り方を検討していくべきでないか。
- オンラインカジノの利用が違法ギャンブルであるという前提に立ち、官民の関係者が協力し、包括的な対策を講じるべき。(包括的な対策の例: 決済手段の抑止、違法行為に対する意識啓発・教育、取締り、アクセス抑止等)
- 上記の包括的な対策の中で、アクセス抑止についても、有効な対策の一つとして検討すべき。(アクセス抑止策の例: 端末等におけるフィルタリング、サイト運営者等による削除、通信事業者によるブロッキング等)
- アクセス抑止策の一手段であるブロッキングについては、「通信の秘密」や「知る自由・表現の自由」に抵触しうる対策である。そのため、実施の必要性を判断するに当たっては、今後の規制環境や犯罪実態の変化等を踏まえ、他の権利制限的ではない手段が十分に尽くされたといえるか検証するとともに、オンラインカジノ固有の侵害性の内実を突き詰めた上で、ブロッキングにより得られる利益が失われる利益と均衡しているかを検証していくべきではないか。その際、ブロッキングは技術的な回避が容易になりつつあるといった大きな課題がある一方、ギャンブル等依存症等の予防的な効果があるとの指摘も踏まえ、ブロッキングの有効性に関する検討を深めていくべきではないか。
- それでも被害が減らず、仮にブロッキングを実施せざるをえない場合には、ギャンブル規制における位置づけや法的安定性の観点から、法解釈に基づく事業者の自主的取組として行うのは適当でなく、法的担保が必要。今後、諸外国法制や他の通信の秘密との関係を整合的に解釈した法制度を参考にしつつ、通信の秘密との関係で問題とならないようにするために、どのような枠組みが適当であるかについて、遮断義務付け主体、遮断対象、実体要件、手続要件等を具体的に検討していくべきではないか
- オンラインカジノは、我が国の社会経済活動に深刻な弊害をもたらしており、喫緊の対策が求められているのではないか。その際、違法オンラインカジノをギャンブル規制の中でどのように位置づけ、実効的な対策を実現するかという観点から包括的に取り組む必要があり、政府全体で対策の在り方を検討していくべきでないか。
~NEW~
国土交通省 航空従事者に対する航空法に基づく行政処分について
- 航空従事者1名に対して、航空法第30条に基づく行政処分を行いました。
- 操縦士A
- 事案の概要
- 令和7年3月18日、操縦士Aは機長として乗務予定であったところ、運航規程において、『飛行勤務開始前12時間以内の飲酒を行ってはならないこと、又は飛行勤務開始12時間前に体内に残存するアルコール量を4ドリンク相当以下に自己を制限すること。』と規定されていることを認識していたにもかかわらず、これに抵触する飲酒を行ったことが、検証可能な記録により確認された。
- また、運航規程附属書において、アルコール検査の実施時期が『一連の飛行のための出頭時』と規定されていることを認識していたにもかかわらず、乗務員の出頭時刻になっても速やかに乗務前アルコール検査を実施せず、アルコールが検知されなくなるまで自主検査を繰り返した。
- さらに、本件事案の発生以降、操縦士Aが会社の聴取及び当局の聴取に対して不合理な弁解に終始したことは、航空安全に対する国民の信頼を損ねる不適切な行為であったと認められる。
- 操縦士Aの行為は、航空法第30条第2号に規定する航空従事者としての職務を行うに当たっての非行に該当するものである。
- 処分内容
- 操縦士Aに対して、90日間の航空業務停止(行政処分)
- 事案の概要
~NEW~
国土交通省 住宅の耐震対策に関する「かたり調査」にご注意!~国土交通省では戸別訪問によるアンケート調査は行っていません~
- 国土交通省が行う住宅の耐震対策に関するアンケート調査を名乗る「かたり調査」について、一般の方より情報提供がありましたので、注意喚起のためお知らせいたします。
- 国土交通省を名乗る者が訪問し、「国土交通省が行う住宅の耐震対策に関するアンケートに答えて欲しい。」などとかたる事案について、一般の方より複数の情報提供がありました。
- 国土交通省では、住宅の耐震対策に関して、一般家庭を対象とした戸別訪問によるアンケート調査は行っていません。
- 「かたり調査」とは、行政機関が行う調査であるかのような、紛らわしい表示や説明をして、世帯等から個人情報等を詐取する行為のことです。「かたり調査」は、詐欺やその他の犯罪にもつながりかねないので、ご注意ください。