危機管理トピックス

令和7年版警察白書/令和7年上半期 刑法犯認知・検挙状況/令和7年度 年次経済財政報告・厚生労働白書

2025.08.04
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更新日:2025年8月4日 新着23記事

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【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」(第1回) 議事次第
  • 株式会社SBI新生銀行優先株式の処分について
  • G20財務大臣・中央銀行総裁会議に際し開催された自然災害に係る保険プロテクションギャップへの対処に関するサイドイベント、並びにIAIS及び世界銀行が G20プロセスに提出したインプットペーパーについて
警察庁
  • 令和7年版警察白書
  • 特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の 認知・検挙状況等(令和7年上半期・暫定値)について
  • 令和7年上半期における刑法犯認知・検挙状況について【暫定値】
  • 犯罪統計資料(令和7年1~6月分)
内閣府
  • 月例経済報告
  • 令和7年度 年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)―内外のリスクを乗り越え、賃上げを起点とした成⻑型経済の実現へ―
消費者庁
  • 消費生活用製品の重大製品事故:リコール製品で火災等(イヤホン(コードレス式、マイク付、リチウムイオンバッテリー内蔵)、リチウム電池内蔵充電器)(7月29日)
  • ウェブサイト上では低額な料金を表示しているが、実際には高額な料金を請求する水回りトラブル対応業者に関する注意喚起
厚生労働省
  • 令和7年版厚生労働白書
  • 長時間労働が疑われる事業場に対する令和6年度の監督指導結果を公表します
  • 「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査」(速報)を公表しました
  • 第12回自殺総合対策の推進に関する有識者会議資料
  • 「労災保険制度の在り方に関する研究会」の中間報告書を公表します
国土交通省
  • 令和6年度 建設業構造実態調査の調査結果について
  • 国土交通省渇水対策本部を設置しました~渇水による影響を軽減するために~
  • 三大都市圏の平均混雑率が増加~都市鉄道の混雑率調査結果を公表(令和6年度実績)~
  • 我が国のバーティポートの機能や分類について整理しました~空飛ぶクルマの離着陸場(バーティポート)のあり方-機能と分類-中間とりまとめ~
  • 公益社団法人無人機研究開発機構に対する厳重注意について

~NEW~
国民生活センター 配線器具 その使い方、間違っていませんか?正しく使って安全に
  • 内容
    • 配線器具(延長コード、テーブルタップなど)が定める定格消費電力を超えて使っていませんか?
    • 一つのテーブルタップで炊飯器やオーブンレンジなど消費電力の大きな複数の電気製品を同時に使用するなどしていませんか?
    • 電源コードをねじ曲げたり、踏みつけたりしていませんか?
    • テーブルタップに電源プラグはしっかり差し込まれていますか?
    • 異臭がする、変色しているところはありませんか?
    • 配線器具には寿命があることを知っていますか?
  • ひとこと助言
    • 配線器具には使用可能な消費電力(定格消費電力)が定められており、それを超えて使用すると火災につながる恐れがあります。表示されている定格消費電力を超えないように注意しましょう。
    • 炊飯器など消費電力の大きな電気製品の中には、延長コードなどの使用を禁止している製品もあります。接続する電気製品の取扱説明書を必ず確認しましょう。
    • 電源コードをねじ曲げる、踏みつけるなど、外部から大きな力が加わる使い方をすると、電源コードが損傷して異常発熱や発火の原因になります。
    • 電源プラグを長期間差し込んだままにすると、コンセントとの隙間にほこりや水分が付着して発火する恐れがあります。定期的に掃除しましょう。
    • 延長コードやテーブルタップなどの配線器具には寿命があります。異臭や変色がないか定期的に確認し、古くなったら交換をするようにしましょう。

~NEW~
総務省 ため池の防災減災対策に関する調査<通知に対する改善措置状況(1回目のフォローアップ)の概要>
▼ 「ため池の防災減災対策に関する調査」の結果に基づく通知に対する改善措置状況(1回目のフォローアップ)の概要
  • 農林水産省に対し、以下の事項を通知
    • 防災対策に関する事項
    • 防災重点農業用ため池に指定すべきため池が指定漏れとなっていないか確認し、検討を行うよう促すこと。
    • 災害時における住民の避難行動につなげるための公表の在り方について検討すること。
    • 減災対策に関する事項
    • ハザードマップについて、浸水時に使用できないおそれのある避難場所等に適切な説明を加え、隣接市町村に浸水想定区域が及ぶ場合は、必要な情報提供を行うよう促すこと。
    • 下流への影響度等を考慮し計画的に観測機器の設置を進められるよう、地方公共団体に一層の支援を行うこと。
  • 改善措置
    • <防災対策に関する農林水産省の措置>
      1. 地方公共団体に対して、防災重点農業用ため池の指定の趣旨等を通知し、指定漏れがないか確認・検討を依頼
        • 防災重点農業用ため池に指定されていないため池の約97%で確認が完了
      2. ため池の劣化状況をホームページ等で公表することで、周辺住民の危機意識が高まるよう効果的な公表の在り方を地方公共団体に周知
    • <減災対策に関する農林水産省の措置>
      1. 地方公共団体に対して、ハザードマップにおける避難場所等の表示方法が不十分な事例や、ため池が決壊した場合の浸水に関する情報が隣接市町村に提供されていない事例等がないか、ハザードマップの点検を行うよう依頼
        • ハザードマップを作成済みのため池の約99%で点検が完了
      2. ため池における水位計等の観測機器の導入事例を収集し、地方公共団体に事例集を周知・公表

~NEW~
金融庁 金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」(第1回) 議事次第
▼ 資料4 事務局説明資料①
  • 資⾦決済制度への対応
    • 送⾦・決済サービスの分野では、デジタル化等の経済・社会の変化に応じ、2020年以降、資⾦移動業の柔構造化、暗号資産交換業の規制強化、電⼦決済⼿段等取引業の創設といった対応を⾏ってきた。
    • さらに近年では、従前の⾦融規制がその対象として典型的に想定していた形態とは異なる様々なサービスが提供・利⽤されるようになってきている。こうした新たな⾦融サービスの登場を踏まえ、利⽤者保護等に配慮しつつ、適切な規制のあり⽅を検討し、信託型ステーブルコインの裏付け資産の管理・運⽤の柔軟化、暗号資産交換業者等に対する国内保有命令の導⼊、暗号資産等取引に係る仲介業の創設といった対応を⾏った
  • 仮想通貨・暗号資産に関するこれまでの主な制度整備
    1. MT GOXの事案について
      • ビットコインの取引所業務を行っていたMT GOX社について、破産手続が開始(2014年)
    2. 国際的な議論の状況
      1. G7エルマウ・サミット首脳宣言(2015年6月)
        • 「我々は、仮想通貨及びその他の新たな支払手段の適切な規制を含め、全ての金融の流れの透明性拡大を確保するために更なる行動をとる。 」
      2. FATF(金融活動作業部会)ガイダンス(2015年6月)
        • 各国は、仮想通貨と法定通貨を交換する交換所に対し、登録・免許制を課すとともに、顧客の本人確認義務等のマネーロンダリング・テロ資 金供与規制を課すべきである
    3. 資金決済法・犯罪収益移転防止法等の改正(2017年4月施行)
      • 仮想通貨交換業者に登録制を導入 ※利用者保護の観点から、一定の制度的枠組みを整備(最低資本金、顧客に対する情報提供、顧客財産と業者財産の分別管理、システムの安全管理 など)
      • 口座開設時における本人確認等を義務付け
    4. 暗号資産を取り巻く環境の変化
      • 顧客の暗号資産の流出事案が発生
      • 事業規模の急拡大の一方で、交換業者の態勢整備が不十分
      • 暗号資産が投機対象化
      • 暗号資産を用いた新たな取引が登場(証拠金取引、ICO)
    5. 資金決済法・金融商品取引法等の改正(2020年5月施行)
      • 国際的な動向等を踏まえ、法令上の呼称を「仮想通貨」から「暗号資産」に変更
      • 利用者資産の原則オフライン管理を義務化
      • セキュリティトークン発行による資金調達を行う場合に証券規制を適用、暗号資産デリバティブ取引に係る規制を整備
    6. 資金決済法等の改正(2023年6月施行)
      • ステーブルコインの規制の整備
    7. 犯罪収益移転防止法等の改正(2023年6月施行)
      • 暗号資産交換業者に対し、暗号資産の移転時に送付人・受取人の情報を通知する義務(トラベルルール)を新
    8. 資金決済法の改正(2025年6月成立)
      • 暗号資産交換業者等に対する国内保有命令の導入
      • 暗号資産等取引に係る仲介業の創設
      • 信託型ステーブルコインの裏付け資産の管理・運用の柔軟化
  • 資金決済に関する法律の一部を改正する法律(2025年6月成立)の概要
    • 金融のデジタル化等の進展に対応し、利用者保護を確保しつつ、イノベーションを促進するため、暗号資産・電子決済手段(ステーブルコイン)関連の規制と資金移動業関連の規制を見直す。
      1. 暗号資産・電子決済手段関連
        1. 暗号資産交換業者等に対する資産の国内保有命令の導入
          • 暗号資産の現物のみを取り扱う暗号資産交換業者・電子決済手段等取引業者が破綻した場合等に国内利用者への資産の返還を担保するため、暗号資産のデリバティブ等を取り扱う金融商品取引業者に対する規定と同様に、資産の国内保有命令を発出できるようにする。
        2. 信託型ステーブルコイン(特定信託受益権)の裏付け資産の管理・運用の柔軟化
          • 現在、全額を要求払預貯金のみで管理することを求めている特定信託受益権の裏付け資産について、国際的な動向を踏まえ、発行額の50%を上限に、元本を毀損しない形で、国債及び定期預金による運用を認める。
        3. 暗号資産等取引に係る仲介業の創設
          • 暗号資産交換業者・電子決済手段等取引業者と暗号資産等の売買・交換を行いたい利用者を引き合わせる行為(媒介)のみを行う仲介業(登録制)を創設する。
          • 利用者への説明義務や広告規制について、暗号資産交換業者等と同様の規制を設ける。
          • 利用者の資産を預からないため、財務規制は設けない。
          • マネー・ローンダリング規制は暗号資産交換業者等に義務付けられているため、仲介業者には課さない。
      2. 資金移動業関連
        1. 国境を跨ぐ収納代行への規制の適用
          • 自身が関与しない取引の決済のために国際送金を行う収納代行業者について、利用者保護やマネー・ローンダリング等のリスクへの対応の観点から、資金移動業の規制を適用する。
          • (参考)2024年12月、金融安定理事会(FSB)が「クロスボーダー送金サービスを提供する銀行・ノンバンクの規制・監督に係る勧告」を公表。同勧告では、国際送金のリスクに対して整合的な規制・監督を求めている。
        2. 破綻時等における利用者資金の返還方法の多様化
          • 資金移動業者の破綻時等の利用者資金の早期返還のため、銀行等の保証機関や信託会社等による資産保全について、既存の供託を経由する返還手続に加え、新たに利用者に直接返還する方法を認める。
  • 暗号資産の定義
    • 資⾦決済法第2条第14項では、暗号資産は、以下の性質を有する財産的価値と定義されている。
      1. 代価の弁済のために不特定の者に対して使⽤することができる(社会通念上、法定通貨や暗号資産を用いて購入又は売却を行うことができる物品等にとどまると考えられるもの(例:規約等において決済手段としての使用の禁止が明示され、かつ、最小取引単位当たりの価格が1,000円以上又は発行数量100万個以下のもの)は、この要件を満たさない(事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係 暗号資産交換業者関係)I-1-1①(注)、「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)」の一部改正(案)の公表に対するパブリックコメントの結果等について (別紙1)コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 (2023年3月24日) No.16, 21参照)。
      2. 不特定の者を相⼿⽅として購⼊・売却を⾏うことができる
      3. 例︓ブロックチェーン等のネットワークを通じて不特定の者の間で移転可能な仕組み
      4. 電⼦的⽅法により記録され、電⼦情報処理組織を⽤いて移転することができる
      5. 本邦通貨・外国通貨、通貨建資産、電⼦決済⼿段⼜は⾦商法において有価証券として扱われるトークン(いわゆるセキュリティトークン)ではない
  • 暗号資産に係る主な規制
    1. 暗号資産交換業
      1. 参⼊形式
        • 登録
      2. 対象行為
        1. 暗号資産の売買、他の暗号資産との交換
        2. 1.の⾏為の媒介・取次ぎ・代理
        3. 1.2.の⾏為に関して⾏う利⽤者の⾦銭の管理
        4. 他⼈のために⾏う暗号資産の管理
      3. 登録主体の制限
        • 株式会社
      4. 財務要件
        • 資本⾦1,000万円以上
        • 純資産が負の値でないこと
      5. 利⽤者資産の管理
        • 利⽤者の暗号資産の分別管理(原則コールドウォレット)
        • 利⽤者の暗号資産の管理状況の外部監査
        • 利⽤者の⾦銭の信託
      6. 利⽤者保護措置
        • 利⽤者への情報提供・説明義務
        • ⼀定の禁⽌⾏為(例︓虚偽表⽰、誤認表⽰、投機を助⻑するような表⽰等)
        • 不適切な暗号資産を取り扱わないための措置 等
      7. 広告規制
        • ⼀定の事項の表⽰義務(例︓暗号資産交換業者の商号、暗号資産の性質等)
      8. 情報の安全管理
        • 情報の漏えい、滅失⼜は毀損の防⽌その他の情報の安全管理のために必要な措置
      9. 委託先管理
        • 委託に係る業務の適正かつ確実な遂⾏を確保するために必要な措置
      10. AML/CFT
        • 犯収法に基づく義務(取引時確認、疑わしい取引の届出、トラベルルール 等
    2. 電⼦決済⼿段・暗号資産サービス仲介業(2025年6⽉成⽴・公布、1年以内に施⾏予定)
      1. 参⼊形式
        • 登録(所属制を採用)
      2. 対象行為
        • 暗号資産の売買⼜は他の暗号資産との交換の媒介
        • 電⼦決済⼿段の売買⼜は他の電⼦決済⼿段との交換の媒介(※所属先の委託を受けて当該所属先のために⾏うものに限る)
      3. 登録主体の制限
      4. 財務要件
      5. 利⽤者資産の管理
        • ―(※利⽤者資産の受託は不可)
      6. 利⽤者保護措置
        • 利⽤者への情報提供・説明義務
        • 所属先による損害賠償責任
        • ⼀定の禁止行為 等
      7. 広告規制
        • ⼀定の事項の表⽰義務(※暗号資産交換業者の規定を準⽤。詳細は内閣府令にて規定予定)
        • 情報の安全管理
        • 情報の漏えい、滅失⼜は毀損の防⽌その他の情報の安全管理のために必要な措置
      8. 委託先管理
        • 委託に係る業務の適正かつ確実な遂⾏を確保するために必要な措置
      9. AML/CFT
        • (※所属先の暗号資産交換業者において対応)
▼ 資料6 事務局説明資料②
  • 現状認識等
    1. 暗号資産の投資対象化の進行
      • 2019年金商法改正時と比べ、暗号資産を巡る状況が変化。暗号資産の投資対象化が進展し、少なからぬ内外の投資家において暗号資産が投資対象と位置付けられる状況が生じている。
      • 国内では、暗号資産交換業者における口座開設数が延べ1,200万口座超、利用者預託金残高は5兆円以上に達し、投資経験者の暗号資産保有者割合は約7.3%で、FX取引や社債等よりも保有率が高くなっている。また、米国では、ビットコイン現物ETFに投資する機関投資家が1,200社を超えている。
    2. ブロックチェーン技術等の発展/健全な暗号資産投資
      • Web3の健全な発展は、わが国が抱える社会問題を解決し、生産性を向上させる上で重要。ブロックチェーン技術を基盤とする暗号資産取引の拡大は、デジタルエコノミーの進展につながり得る
      • 暗号資産はボラティリティが相当程度高いものの、その取引に係る適切な投資環境整備を図ることで、オルタナティブ投資の一部として、リスク判断力・負担能力のある投資家による資産形成のための分散投資の対象にもなり得る。
    3. 詐欺的な投資勧誘等
      • 国民の投資対象としての認識が広まっている反面、詐欺的な投資勧誘も多数。金融庁にも、暗号資産等に関する苦情相談等が継続的に寄せられている(足下、月平均で300件以上)。
      • 暗号資産取引に関する投資セミナーやオンラインサロン等も存在。中には利用者から金銭を詐取するなどの違法な行為が疑われるものも生じている。
  • 環境整備の必要性
    • 今後、暗号資産取引市場が健全に発展するためには、更なる利用者保護が図られ、暗号資産取引について国民から広く信頼が得られることが不可欠。その信頼を失って我が国におけるイノベーションへのモメンタムが損なわれることのないよう、必要な環境整備を行っていくことが必要。
    • 一方、規制を過重なものにすると、利用者や事業者の海外流出を招くことで結果的にわが国の競争力を削いでしまいかねないことにも留意しながら、諸外国の規制動向も踏まえた検討が必要。
    • 利用者保護とイノベーションの促進のバランスの取れた環境整備が重要。
  • 暗号資産投資を巡る喫緊の課題
    1. 情報開示・提供の充実
      • 暗号資産発行時のホワイトペーパー(説明資料)等の記載内容が不明確であったり、記載内容と実際のコードに差があることが多いとの指摘がある
      • 現状の交換業者に対する自主規制では、暗号資産の発行者に正確な情報開示・提供義務がない
    2. 利用者保護・無登録業者への対応
      • 近年、海外所在の業者を含め、交換業の登録を受けずに(無登録で)暗号資産投資への勧誘を行う者が現れているほか、金融庁にも詐欺的な勧誘に関する相談等が多数寄せられている
      • 政府広報オンラインや東京都消費生活総合センター等においても、詐欺や悪質なトラブル等への注意喚起を実施
    3. 投資運用等に係る不適切行為への対応
      • 暗号資産取引についての投資セミナーやオンラインサロン等も出現。中には利用者から金銭を詐取するなど違法な行為が疑われるものもある
      • 政府広報オンラインや東京都消費生活総合センター等においても、詐欺や悪質なトラブル等への注意喚起を実施
    4. 価格形成・取引の公正性の確保
      • 米国等でビットコイン等の現物ETFが上場されるなど、国際的に暗号資産の投資対象化が加速
      • IOSCO等で、伝統的な金融市場と同程度のインサイダー取引も含めた詐欺・市場乱用犯罪への対応強化等が勧告されている。また、欧州等でも法制化等の動きがある
  • 規制見直しの基本的な考え方
    • 前頁で記載した諸課題は、情報開示や投資詐欺、価格形成の公正性等に関するものであるため、伝統的に金商法が対処してきた問題と親和性があり、金商法の仕組みやエンフォースメントを活用することも選択肢の一つ。
    • 規制見直しを図る対象を検討する場合、暗号資産の性質に応じた規制とする観点や取引等の実態面にも着目し、以下のような2分類(類型(1)、(2))に区分して検討することが考えられるか。
    • 具体的な規制の見直しに当たっては、暗号資産が株式等の典型的な有価証券とは異なる特性を有することを踏まえながら、適切な規制のフレームワークを検討する必要。
      • 類型(1)【資金調達・事業活動型】
        • 資金調達の手段として発行され、その調達資金がプロジェクト・イベント・コミュニティ活動等に利用されるもの
        • 調達資金の利用目的や調達資金を充てて行うプロジェクト等の内容について、暗号資産の保有者(利用者)との情報の非対称性等を解消する必要性が高いのではないか
      • 類型(2)【上記以外の暗号資産】(非資金調達・非事業活動型)
        • 類型(1)に該当しないもの(例:ビットコインやイーサのほか、いわゆるミームコイン等を含む。)
        • 実態としてビットコイン等は流通量が多く、利用者が安心して暗号資産の取引できるよう適切な規範を適用するなどの環境整備を行っていくことが重要ではないか
        • また、いわゆるミームコインを対象としたり、ビットコイン投資等を名目とする詐欺的な勧誘等による利用者被害も多く生じており、ビットコイン等に限らず、広く規制対象として利用者保護を図る必要性が高いのではないか
  • 情報開示・提供規制のあり方
    • 情報の非対称性を解消し、投資者(暗号資産の保有者)が投資に際して暗号資産の機能や価値を正しい情報に基づいて判断できるよう、情報開示・提供規制を強化する必要があるのではないか
      • 類型(1)【資金調達・事業活動型】
        • 暗号資産への投資に当たり、暗号資産の信頼性と価値に影響を与える情報が重要。具体的には、暗号資産に関する情報(そのルールやアルゴリズムの概要等)や暗号資産の関係者の情報、プロジェクトに関する情報、リスクに関する情報等が考えられるか。
        • こうした情報を最も正確に開示・提供できる者は、当該暗号資産の発行により資金調達する者であるため、当該者に対し、投資者との情報の非対称性を解消するための規制を設けることが考えられるのではないか。
        • 一方、全ての暗号資産の発行を一律に規制するのではなく、多数の一般投資家に対し勧誘が行われる暗号資産の発行等について規制することが考えられるのではないか
      • 類型(2)【上記以外の暗号資産】(非資金調達・非事業活動型)
        • 類型(1)の暗号資産とは異なり、特定の発行者を観念できないものが多く、その発行者に対して情報開示・提供義務を設けることは馴染みにくいと考えられる。
        • 当該暗号資産を取り扱う交換業者に対し、暗号資産に関する情報の説明義務や、価格変動に重要な影響を与える可能性のある情報の提供を求めることが考えられるか。
  • 業規制のあり方
    • 暗号資産が投資対象となっている現状を踏まえ、利用者保護の観点から、発展途上であるトークンビジネスやイノベーションへの影響にも配慮しつつ、暗号資産投資に係る業規制を強化する必要があるのではないか。
    • 現行法上、暗号資産の売買・交換等を業として行う行為には、法令に基づく交換業規制及び日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)の自主規制が課されている。こうした規制を全体として見ると、金商法令に基づく規制と概ね同様の規制体系が整理されている。一方、当該自主規制の中には金商法では法令レベルのものもあるが、利用者保護を図る観点から、これをどのように考えることが適当か検討が必要ではないか。
    • 無登録業者による違法な勧誘を抑止するため、より実効的かつ厳格な規制の枠組みが必要ではないか。
    • 暗号資産取引についての投資セミナーやオンラインサロン等が出現している現状に鑑みれば、暗号資産交換業に該当しない現物の暗号資産を投資対象とする投資運用行為や投資助言行為について規制対象とすることが適当ではないか。
    • また、組織的な詐欺等の犯罪収益の移転のために暗号資産が悪用されていることや、事業者がハッキングを受けて暗号資産が流出することによりテロ資金の供与につながる懸念も存在する。この点、暗号資産に対する規制は一定の整備がなされており、引き続き、交換業者における業務の健全かつ適正な運営が確保されるよう、実務面での取組みが期待される。
  • 市場開設規制のあり方
    • 多数の当事者を相手方とする集団的な取引の場を提供する場合、適切な価格形成や業務運営の公正性・中立性は重要であることから、金商法では取引プラットフォームに市場開設規制が課されている。
    • 暗号資産に関しては、暗号資産証拠金取引について、現在、一部の業者は顧客同士の注文のマッチング(板取引)を行っているが、「金商法上の『市場』とまでは評価される状況にない」との整理の下、取引所の免許を求めていない。
    • 暗号資産現物取引において、顧客同士の注文のマッチング(板取引)を行っている暗号資産交換業者も存在。
    • 顧客同士の注文のマッチング(板取引)は、一定の価格形成機能を有するとも考えられる。一方で、多くの暗号資産について、同一の銘柄が海外の取引所も含めた多数の取引所(暗号資産交換業者)で取引されている現状に鑑みれば、個々の取引所の価格形成機能は限定的とも考えられる。
    • 他の交換業者でも取引されている暗号資産については、仮にその交換業者が倒産した場合でも、顧客にとって取引を行う場所は他にも確保されており、また、他の交換業者で取引されていない暗号資産であっても、暗号資産の取引は交換業者を通さず取引し得るものであることも、暗号資産取引の特性として挙げられる。
    • こうした点を踏まえると、多数の当事者を相手方とする集団的な取引の場を提供する以上、適切な取引管理やシステム整備が必要ではあるものの、現時点では、こうした暗号資産の取引所に対して、金融商品取引所に係る免許制に基づく規制や金商業者に係るPTSの規制のような厳格な市場開設規制を課す必要性は低いと考えられるのではないか。
  • 暗号資産のインサイダー取引への対応
    • 暗号資産に係る不公正取引については、金商法において、上場有価証券等に係る規制と同様に、不正行為の禁止に関する一般規制等が設けられているが、インサイダー取引を直接の規制対象とする規定はない(※:金商法上、上場有価証券等について未公表の重要事実を知った内部者は、その事実の公表前に取引を行うことが禁止されている。また、証券会社、金融商品取引所と証券取引等監視委員会の有機的な連携に基づく市場監視により、規制の実効性の確保を図っている。
    • IOSCO勧告や欧韓の法制化の動き等も踏まえ、暗号資産に係るインサイダー取引について抑止力を高める観点から何らかの対応強化を検討することが必要ではないか
    • 様々な課題があるため、規制や市場監視態勢のあり方について更に検討を深めていく必要がある。
    • いずれにせよ、インサイダー取引を含め、不公正取引規制の実効性を確保する観点から、業界・当局の市場監視態勢の向上も重要ではないか。

~NEW~
金融庁 株式会社SBI新生銀行優先株式の処分について
  • 今般、令和7年3月に国が株式会社SBI新生銀行及びSBIホールディングス株式会社と締結した「確定返済スキームに関する合意書」に基づき、SBIホールディングス株式会社が、国が保有する同行の優先株式の全てを取得することで、同行の公的資金が全額返済されましたので、お知らせいたします。
▼ 預金保険機構
  • 今般、SBIホールディングス株式会社から当機構及び整理回収機構に対して、令和7年3月7日付「確定返済スキームに関する合意書」を踏まえ、両機構それぞれが保有する株式会社SBI新生銀行優先株式を処分することについて申出がありました。
  • 当機構は、上記申出を踏まえ、当機構が保有する優先株式を処分することを決定するとともに、整理回収機構が保有する優先株式に係る整理回収機構の処分の承認申請に対して、承認を行いました。
  • 処分の概要は下記のとおりであり、本日、株式会社SBI新生銀行の公的資金は全額返済されました。

~NEW~
金融庁 G20財務大臣・中央銀行総裁会議に際し開催された自然災害に係る保険プロテクションギャップへの対処に関するサイドイベント、並びにIAIS及び世界銀行が G20プロセスに提出したインプットペーパーについて
▼ メディアリリース(翻訳)
  • G20南アフリカ議長国は、国際保険監督者協会(IAIS)および世界銀行グループ(WBG)と協力して、2025年7月17日にダーバンで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁(FMCBG)会合中にサイドイベントを開催しました。このイベントは、自然災害(NatCat)事象によって引き起こされた総経済的損失と保険損失の差である保険保護ギャップを特定して対処することにより、金融の回復力を向上させ、より広範な災害リスク軽減戦略を強化することに焦点を当てました。このイニシアティブは、来週発表されるIAIS-WBGのインプットペーパーでも議論されているように、適応と公正な移行のための資金の規模拡大というG20持続可能な金融作業部会(SFWG)の優先事項の一部を形成している。
  • NatCat 保護ギャップは世界的な課題であり、先進国と新興市場国および発展途上国 (EMDE) の両方に影響を与えるため、世界的な対応が必要です。ここ数十年で、気候変動によって悪化した異常気象の頻度と深刻さの増大により、NatCat イベントによる被害と損失が急増しています。保険市場は、これらの損害に起因する経済的影響を軽減する上で重要な役割を果たしていますが、適切な補償を提供する能力はますます挑戦されており、NatCat イベントに対する保険保護のギャップが拡大しています。2023年の世界的な保険保護格差は62%と推定され、一部の新興国では格差が90%を超えています(1)。これらの国は、保険普及率の低さ、手頃な価格の課題、保険市場の未発達、リスクモデルやデータへのアクセスの不十分さなどにより、不釣り合いに大きな保護格差に直面しています。欧州を含む先進国でも保険保障の格差が大きく見られます(2)。近年、NatCat イベントに対する保険保護の促進は、政策立案者や国際社会にとって重要な優先事項となっています。
  • サイドイベントには、政府、中央銀行、監督当局、民間部門、国際機関の上級リーダーが集まり、拡大する保険保護格差に対処するための戦略と解決策について話し合いました。このイベントは、南アフリカ準備銀行のレセチャ・ガニャゴ総裁によって開会され、以下による基調講演が行われました。
    • アジェイ・バンガ(世界銀行総裁)
    • 加藤勝信 日本の財務大臣兼金融担当大臣
    • アンドリュー・ベイリー、金融安定理事会議長兼イングランド銀行総裁
  • 基調講演者は、NatCatイベントが経済と金融の安定に与える影響と、政府や脆弱な人々に財政的負担をかける不作為のリスクを強調しました。彼らの意見は、この課題に対処するには、官民パートナーシップ、リスク軽減と回復力への投資、革新的な保険ソリューションなど、マルチステークホルダーのアプローチが必要であるというコンセンサスの高まりを反映しています。
  • 講演者は、保険市場の発展を支援する上での金融リテラシー、リスク認識、規制能力の重要性を強調しました。彼らは、パラメトリック保険や地域リスクプーリングなどのスケーラブルな「非伝統的」保険ソリューションや適応型金融商品など、世界中で成功した取り組みを強調しました。
  • IAIS事務総長のジョナサン・ディクソンが司会を務めたパネルディスカッションには、著名な講演者が参加しました。
    • 有泉茂 IAIS会長兼金融庁国際担当次官
    • リッカルド・バルビエリ・エルミッテ、イタリア経済財務省財務局長
    • アントワーヌ・ゴセット・グレインビル、アクサ取締役会長、保険開発フォーラム(IDF)運営委員会メンバー
    • ハティス・カラハン、トゥルキエ共和国中央銀行副総裁。
  • 議論では、パネリストが官民パートナーシップ、災害後の政策設計、技術革新やリスク移転などの新たな解決策の事例を共有しました。また、リスク軽減策を保険ベースのソリューションと統合し、マルチステークホルダーのパートナーシップを活用してレジリエンスを構築することの重要性も強調しました。
  • また、講演者は、IAIS、世界銀行グループ、その他のパートナーが、特に新興国・新興国において、政策立案者や監督当局がNatCat保護のギャップを縮小するのを支援する実践的なガイダンスやツールを提供するための継続的な努力を歓迎した。

~NEW~
警察庁 令和7年版警察白書
  • SNSを取り巻く犯罪と警察の取組
    • 情報通信技術の著しい発展が社会に様々な便益をもたらす反面、インターネットで提供される技術やサービスの中には、犯罪インフラとして悪用され、犯罪の実行を容易にし、あるいは助長するものも存在しており、これらへの対策が喫緊の課題となっています。
    • 例えば、多くの国民が利用するSNSについても犯罪インフラとして悪用される側面もみられます。具体的には、SNSを通じて対面することなく、やり取りを重ねるなどして関係を深めて信用させたり、恋愛感情や親近感を抱かせたりして金銭をだまし取るSNS型投資・ロマンス詐欺の被害は極めて憂慮すべき状況にあります。また、各種犯罪により得た収益を吸い上げる中核部分は匿名化され、SNSを通じるなどしてメンバー同士が緩やかに結び付くなどの特徴を有する「匿名・流動型犯罪グループ」が、SNS上で高額な報酬を示唆して犯罪の実行者を募集し、詐欺、強盗・窃盗等の犯罪を実行させた上で、末端の実行者を言わば「使い捨て」にしている実態がみられます。これらの犯罪をめぐる情勢は極めて深刻な状況にあり、国民の体感治安を悪化させる大きな要因となっています。
    • さらに、SNSが薬物の密売や児童買春等の違法行為に悪用されている実態もみられるほか、児童ポルノ等の違法情報や犯罪を誘発するような有害情報に加え、偽情報・誤情報のSNS上における投稿・拡散が社会問題化しています。
    • 令和6年(2024年)中のSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数は1万237件、被害額は約1,272億円と、前年に比べて認知件数及び被害額のいずれも著しく増加している。
    • これらの詐欺では、犯行グループがSNSやマッチングアプリを通じて被害者と接触した上で、他のSNSに連絡ツールを移行し、やり取りを重ねて被害者を信用させ、預貯金口座への振込み等により被害金をだまし取るといった手口がみられる。同年中の被害状況をみると、被害者の年齢は、男女共に40歳代から60歳代の被害が多く、また、1件当たりの平均被害額は1,200万円を超えている
  1. SNS型投資・ロマンス詐欺
    • 令和6年中のSNS型投資・ロマンス詐欺の検挙人員は129人(うちSNS型投資詐欺は58人、SNS型ロマンス詐欺は71人)であったが、こうした犯罪への関与がうかがわれる匿名・流動型犯罪グループに対する取締りや実態解明を更に強化するとともに、関係機関・団体等と連携した対策を強力に推進していくことが急務である
    • SNS型投資・ロマンス詐欺については、犯行グループから被害者への連絡手段としてSNSアカウントやマッチングアプリが悪用されている実態に鑑み、犯行に利用されたSNSアカウント等について、被害者からの通報及び警察からの要請に基づき、SNS事業者等において犯行に利用された犯行グループのSNSアカウント等を特定し、速やかに利用停止等の措置を実施するスキームを構築し、運用してい。
    • SNS型投資・ロマンス詐欺が急増しているほか、法人口座を悪用した事案もみられるなど、預貯金口座を通じて行われる金融犯罪への対策が急務となっている。令和6年8月、金融庁と連携し、一般社団法人全国銀行協会等に対して、法人口座を含む預貯金口座の不正利用等防止に向けた対策を一層強化するため、警察への情報提供・連携の強化等を要請した。これを踏まえ、警察では、金融機関の取引モニタリングにより詐欺の被害のおそれが高い取引を検知した場合に、都道府県警察への迅速な情報提供を行う連携体制の構築を進めている
    • 国民を詐欺から守るための総合対策2.0の策定
      1. 匿名・流動型犯罪グループの存在を見据えた取締りと実態解明の推進
        • 匿名・流動型犯罪グループの活動実態の変化に機動的に対応し、事件の背後にいる首謀者や指示役も含めた犯罪者グループ等の弱体化・壊滅のため、部門の壁を越えた効果的な取締りを推進するとともに、匿名・流動型犯罪グループの資金獲得活動等に係る実態解明を進める。
      2. SNS事業者及びマッチングアプリ事業者に係る本人確認の厳格化
        • SNSやマッチングアプリアカウントを悪用し、利用者を信用させるなどして、詐欺被害につながっている事案が確認されていることから、引き続き、SNS事業者及びマッチングアプリ事業者に対し、アカウント等の開設時に本人確認を実施するよう働き掛ける。
      3. 通信履歴の保存の義務化
        • 捜査機関が被害を認知し、犯罪に関与している人物を特定するために通信事業者から所有する通信履歴を取得した時点で、通信履歴が残されていない場合が一定数存在していることから、通信事業者の通信履歴の保存の在り方について、通信履歴の保存の必要性や妥当性、保存期間や費用面の課題とともに、電気通信事業における個人情報等保護に関するガイドラインの改正や通信履歴の保存の義務付けを含め検討する。
      4. インターネットバンキングの申込み時における審査の強化
        • インターネットバンキング利用が被害の高額化の一つの要因になっていることがうかがわれることから、インターネットバンキングの初期利用限度額の適切な設定、利用限度額引上げ時の利用者への確認や注意喚起等の取組を推進する。
      5. 金融機関間の情報共有の枠組み創設
        • 犯罪者グループは複数の預金取扱金融機関の口座を保有し、被害金が犯罪者グループの手に渡る前に口座凍結を行うことを困難にさせていることから、犯行に使用される口座の情報を迅速に捜査機関と共有し、かつ、犯罪者グループによる被害金の出金を防ぎ被害回復を図るため、預金取扱金融機関間において不正利用口座に係る情報を共有しつつ、速やかに口座凍結を行うことが可能となる枠組みの創設について検討する。
        • 組織的な詐欺に対する各国との連携強化の推進
          • 令和5年(2023年)12月に茨城県水戸市で開催されたG7内務・安全担当大臣会合、令和6年(2024年)3月にロンドンで開催された国際詐欺サミット等により、国境を越える組織的詐欺と闘う国際的な気運が高まる中、同年9月、16か国及び3機関の参加を得て、国際詐欺会議(Global Fraud Meeting)を東京都で開催した。本会議では、国際的な協力関係の一層の強化に向け、警察庁長官による基調演説を実施したほか、各国の政府、国際機関等が把握する最新の脅威情報・取組状況、検挙事例を踏まえた着眼点・教訓等を共有し、参加国等の発表を踏まえつつ、海外拠点の摘発等に係る国際捜査協力や各国の詐欺対策について、実務的な議論を行った。
  2. 偽情報・誤情報
    • 近年、SNSや動画配信・投稿サイト等のデジタルサービスの普及により、あらゆる主体が情報の発信者となり、インターネット上で膨大な情報が流通し、誰もがこれらを入手することが可能になっている一方で、インターネット上の偽情報・誤情報は、短時間で広範に流通・拡散し、国民生活や社会経済活動に重大な影響を及ぼし得る深刻な課題となっている。
    • 例えば、大規模災害発生時におけるインターネット上の偽情報・誤情報については、信ぴょう性の確認や判断に時間を要し、被災地等において救助活動への支障や社会的混乱を生じさせるおそれがある。
    • 警察では、関連事業者に対して警察活動で把握した当該情報等について削除依頼等を行うとともに、災害に関連した偽情報・誤情報に対するSNS等を通じた迅速かつ効果的な注意喚起を実施しているほか、違法行為に対しては厳正な取締りを行うこととしている。
    • 近年、国際社会においても、いわゆる伝統的な安全保障の領域にとどまらない動きとして偽情報等の拡散への懸念が高まっている。海外においては、偽情報等の拡散が軍事的手段と共に複合的に用いられている例があるほか、選挙の公正を害する可能性が指摘されるなどしているところ、偽情報等の拡散は、普遍的価値に対する脅威であるのみならず、我が国の治安にも悪影響をもたらし得るものである。また、生成AI技術の発展等に伴い、巧妙な偽情報が大量に生成され、SNS等で拡散されるリスクへの対応が重要な課題となっている。
    • 令和6年(2024年)2月、カナダの研究機関は、中国企業が我が国を含む30か国の現地報道機関を装った偽サイトを運営し、中国当局の見解に沿った情報の発信を行っているとの報告書を発表した。また、同年9月には、米国司法省が、米国大統領選挙に際し、米国内の分断を増幅するような偽情報等を拡散したロシア国営報道機関職員2人を起訴したと発表した
  3. 薬物事犯
    • 我が国の薬物情勢は依然として厳しい状況にある。さらに近年、SNS上で薬物の密売情報を掲載して購入を勧誘し、購入希望者が応募すると匿名性の高い通信手段に誘導して取引を行うなど、密売の手口が巧妙化している。例えば、大麻の乱用者を対象とした実態調査によれば、大麻の入手先を知った方法として、SNSを含む「インターネット経由」が全体の4割弱を占め、年齢層が低くなるにつれてその占める割合は高くなるなど、SNSを利用した密売が若年層の薬物乱用に拍車をかけていることがうかがわれる。警察では、薬物の供給の遮断と需要の断絶に向け、関係機関と連携しつつ、取締りや効果的な広報啓発活動を推進している。
  4. 児童の性的搾取等
    • SNSは、匿名性が高く、見ず知らずの相手と容易に連絡を取り合うことができる特性から、児童の未熟さや立場の弱さを利用した児童買春等の悪質な事犯の「場」として悪用されている実態があり、中には児童の殺害にまで至った事案も発生している。
    • 令和6年中の児童買春、児童ポルノや不同意性交等などの性犯罪を含むSNSに起因する事犯の被害児童数は、1,486人と前年から減少したものの、近年これらの事犯の被害児童数は依然として高い水準で推移している。特に、小学生の被害児童数が近年増加傾向にあり、被害児童の低年齢化が懸念される状況にある。
    • 児童の性的搾取等が児童の心身に有害な影響を及ぼし、かつ、その人権を著しく侵害する極めて悪質な行為であるとの認識の下、警察では、児童の性的搾取等の撲滅に向けて、取締りの強化等の取組を推進している。
  5. 匿名・流動型犯罪グループによる犯罪実行者の募集
    • 匿名・流動型犯罪グループは、犯罪を実行するに当たって、SNS等において、仕事の内容を明らかにせず、「高額」、「即日即金」、「ホワイト案件」等、「楽で、簡単、高収入」を強調する表現を用いるなどして、犯罪実行者を募集している実態が認められる。同グループは、このような犯罪実行者を募集する情報(犯罪実行者募集情報)への応募者に対して、あらかじめ運転免許証や顔写真等の個人の特定に資する情報を匿名性の高い通信手段を使用して送信させることで、応募者が犯行をちゅうちょしたり、グループからの離脱意思を示したりした場合には、個人情報を把握しているという優位性を利用して脅迫するなどして服従させ、犯罪実行者として繰り返し犯罪に加担させるなどの状況がみられる。また、応募者が犯罪を実行したとしても約束した報酬が支払われない場合もある。
    • 首謀者、指示役、犯罪実行者の間の連絡手段には、匿名性が高く、メッセージが自動的に消去される仕組みを備えた通信手段を使用するなど、犯罪の証拠を隠滅しようとする手口が多くみられる。さらに、暴力団構成員や海外に所在する首謀者や指示役が、SNSを用いて犯罪実行者を募集して応募者に特殊詐欺等を実行させているケースや、応募者を海外に渡航させて犯行に加担させているケースもみられる
    • 強盗・窃盗等についても、SNSや求人サイト等で「高額」、「即日即金」、「ホワイト案件」等の文言を用いて犯罪実行者が募集された上で実行される実態がうかがわれる。このような匿名・流動型犯罪グループによるものとみられる手口により実行された強盗事件等の中には、被害者を拘束した上で暴行を加えるなど、その犯行態様が凶悪なものもみられ、特に、令和6年8月以降、東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県の1都3県において相次いで発生した強盗事件等によって、国民の体感治安が著しく悪化した。
    • 警察庁では、一般のインターネット利用者等から、違法情報等に関する通報を受理し、警察への通報、サイト管理者等への削除依頼等を行うインターネット・ホットラインセンター(IHC)を運用している。近年、インターネット上に犯罪実行者募集情報が氾濫していることを踏まえ、「いわゆる「闇バイト」による強盗事件等から国民の生命・財産を守るための緊急対策」を受けて、犯罪実行者募集情報の実効的な削除のため、令和7年2月、IHCにおいて犯罪実行者募集情報を違法情報と位置付けるとともに、同年3月、体制を増強した。また、警察では、SNSにおける返信(リプライ)機能を活用し、犯罪実行者募集情報の投稿者等に対する個別警告等を推進している。
    • SNSや求人サイト等において、通常の求人情報を装った、「受け子」や「出し子」等の特殊詐欺等の犯罪の実行者を募集する違法・有害な求人情報に関し、都道府県警察及び都道府県労働局がそれぞれ把握した情報について、相互に情報共有を行っており、警察では、犯罪実行者募集情報等の発信が、職業安定法に規定する「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的」での「労働者の募集」等として違法行為に該当することに鑑み、この種の犯罪の取締りを推進している。
    • SNSで犯罪実行者を募集する手口による犯罪に対しては、首謀者や犯罪実行者等の検挙といった取締りの推進に加えて、犯罪に加担させないための広報啓発や募集に応じてしまった者に犯行を思いとどまらせるための広報啓発が重要である。
    • インターネット上で高額な報酬のアルバイトへの高い関心を示す者に対して、インターネット上での行動に応じて犯罪実行者募集情報の危険性等を伝えるターゲティング広告を実施したほか、東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県内の、若年層が多く集まる繁華街等において、犯罪実行者募集に応じないよう、アドトラックを活用した呼び掛けを実施するなど、若年層に対する注意喚起に取り組んでいる
  6. 情報技術解析の重要性
    • デジタル・フォレンジックの捜査への活用
      • 犯罪に悪用された電子機器等に保存されている電磁的記録は、犯罪捜査において重要な客観証拠となる場合がある。電子機器等に保存されている情報を証拠化するためには、電子機器等から電磁的記録を抽出した上で、文字や画像等の人が認識できる形に変換するという電磁的記録の解析が必要である。しかし、電磁的記録は消去、改変等が容易であるため、これを犯罪捜査に活用するためには、適正な手続により解析・証拠化することが重要である。
      • このため、警察では、警察庁及び全国の情報通信部(注2)の情報技術解析課において、都道府県警察が行う犯罪捜査に対し、デジタル・フォレンジックを活用した技術支援を行っている。
    • 犯罪の取締りのための技術支援体制
      • 情報化社会の進展は、匿名性が高く、追跡が困難なサイバー空間を利用した様々な犯罪の実行を容易にさせており、こうした犯罪の取締りにおいては、高度な技術的な知見が必要となっている。
      • このため、警察では、警察庁及び全国の情報通信部に情報技術解析課を設置し、都道府県警察等に対し、捜索・差押えの現場でコンピュータ等を適切に差し押さえるための技術的な指導や、押収したスマートフォン等から証拠となる情報を取り出すための解析の実施についての技術支援を行っている。
      • また、警察庁高度情報技術解析センターは、高度で専門的な知識及び技術を有する職員を配置するとともに、高性能な解析用資機材を整備し、破損した電磁的記録媒体からの情報の抽出・可視化、不正プログラムの解析等を行っている
    • 解析能力向上のための取組
      • 近年、不正プログラムを悪用したサイバー事案が多発する中、その手口の巧妙化・多様化により、不正プログラム解析には極めて高い技術力が求められている。また、IoT機器をはじめとする新たな電子機器やそれに関連するサービスの社会への定着、スマートフォン等のアプリの多様化・複雑化、自動運転システムの実現に向けた技術開発等が進む中、警察捜査を支えるためには、最新の技術に対応した解析能力の向上を図っていく必要がある。
      • このため、警察では、解析手法の開発や資機材の整備、高度な解析技術を持つ職員の育成のほか、犯罪に悪用され得る最先端の情報通信技術の調査・研究を推進している。
    • スマートフォンの解析
      • 近年、スマートフォンが、様々なコンテンツやアプリケーションの利用が可能なモバイル端末として普及している中、犯罪に悪用されたスマートフォンに保存されている情報は、犯罪捜査において重要な客観証拠となり得る。このため、警察では、押収したスマートフォンから、通信履歴、位置情報、写真等の証拠となる情報を取り出すための解析を実施している。
      • また、警察庁高度情報技術解析センターでは、スマートフォンメッセージアプリに記録された暗号化済みメッセージデータを可視化する手法を開発するなど、新たな解析手法の開発等にも取り組んでいる。これらの解析手法は、全国の情報通信部による解析等を通じて、都道府県警察の捜査に役立てられている。
      • 犯罪捜査の過程で押収したスマートフォン等の電子機器は、変形、燃焼、水没等により破損していることが少なくない。このような場合、警察では、破損した電子機器の機能回復及び情報の抽出・可視化を行い、解析を実施している。
  7. SNS上の違法・有害情報の探索・分析におけるAI技術の活用
    • SNSをはじめとするインターネット上には、児童ポルノ、規制薬物の広告に関する情報等の違法情報や、違法情報には該当しないが、犯罪や事件を誘発するなど公共の安全と秩序の維持の観点から放置することができない有害情報が多数存在している。
    • また、近年、匿名・流動型犯罪グループ等による犯罪の実行者を直接的かつ明示的に誘引等(募集)する情報(犯罪実行者募集情報)も氾濫しており、応募者らにより実際に強盗、特殊詐欺等の犯罪が実行されるなど、この種情報の氾濫がより深刻な治安上の脅威となっている。
    • このような情勢の中、サイバー空間の安全・安心を確保するためには、インターネット上に膨大な量の情報が流通していることを踏まえ、AIをはじめとする先端技術も活用しながら、違法・有害情報の流通・拡散防止を図っていく必要がある。
    • 警察では、サイバーパトロール等による違法・有害情報の把握に努め、これを端緒とした取締り及びサイト管理者等への削除依頼を実施している。警察庁では、インターネット利用者等から違法・有害情報に関する通報を受理し、警察への通報、サイト管理者等への削除依頼等を行うインターネット・ホットラインセンター(IHC)を運用するとともに、インターネット上の違法・有害情報等を収集し、IHCに通報するサイバーパトロールセンター(CPC)を運用している。
    • CPCでは、SNS上の情報の探索・分析を効率化するため、令和5年、重要犯罪密接関連情報を自動収集してその該当性を判定するAI検索システムを導入し、サイバーパトロールの高度化を図っている。
    • また、警察庁では、令和3年度にAIを活用してSNSにおける規制薬物に関する情報等の探索・分析を行う実証実験を実施した。具体的には、規制薬物の広告等に関するSNS上の投稿をAIに学習させることで、SNS上の投稿の中から、規制薬物の広告等に関するものをAIにより効率的に抽出する仕組みを構築した。同実証実験の結果、規制薬物の広告等に関するSNS上の投稿を高い精度で抽出できることが確認できたことから、警察庁において、AIを活用してSNS上の犯罪実行者募集情報等を効率的に抽出する仕組みを構築し、デジタル庁によるAI活用の高度化に向けた助言や支援を得つつ、犯罪実行者募集情報の投稿者等に対する返信(リプライ)機能を活用した迅速な個別警告等の効率化を図っている。
  8. サイバー特別捜査部による暗号資産の追跡
    • SNSを悪用した犯罪等においては、犯罪収益が暗号資産の形で隠匿されるなどの実態がみられる。関東管区警察局サイバー特別捜査部では、こうした犯罪に悪用される暗号資産の移転状況を追跡するとともに、追跡結果の横断的・俯瞰的な分析を行い、その結果を都道府県警察と共有している。こうした分析により、従来の捜査では必ずしも明らかにならなかった複数事案同士の関連性や背景にある組織性及び上位被疑者が浮き彫りになっており、今後もこうした犯罪の更なる匿名性の打破が期待される。
    • また、警察庁サイバー警察局では、暗号資産の移転状況の追跡を困難にし得る技術や手法に対抗するため、外国捜査機関から職員を招へいするなど、追跡技術の研究を推進するとともに、国際連携を通じた追跡能力の強化に取り組んでいる。
  9.  新たな捜査手法の確立
    1. 仮装身分捜査の導入
      • SNS等のインターネット上において犯罪実行者が募集された上で実行される犯罪に的確に対処するため、捜査員がその身分を秘して募集に応じ、検挙等につなげる「雇われたふり作戦」を行う場合において、架空の本人確認書類等を使用する「仮装身分捜査」を適正かつ実効的に実施するに当たっての手続その他の遵守事項を令和7年(2025年)1月に定めており、一部の都道府県警察において「仮装身分捜査」が開始されている。これにより、実行犯の身柄の早期確保、首謀者や指示役の検挙を進めていく。
    2. 架空名義口座捜査等の導入に向けた検討
      • 犯罪者グループは、他人名義の預貯金口座等を違法に取得するなどして、犯行に利用していることから、犯罪者グループの上位被疑者の検挙、犯罪収益の剝奪等を図るとともに、口座の悪用をけん制するため、捜査機関等が管理する架空名義口座を利用した新たな捜査手法等を検討することとしている。
      • 暗号化技術等に係る調査・研究、新たな法制度導入に向けた検討
      • 犯罪者グループの壊滅のためには、匿名性の高い通信アプリをはじめとする犯罪に悪用される通信アプリ等について、被疑者間の通信内容や登録者情報等を迅速に把握することが重要である。
      • こうした被疑者間の通信内容等を迅速に把握するために効果的と考えられる手法について、諸外国における取組を参考にしつつ、技術的アプローチや新たな法制度導入の可能性も含めて検討することとしている
  10.  サイバー人材の体系的な育成の推進のための態勢の充実強化
    • 犯罪収益の暗号資産への交換や匿名性の高い通信手段の利用、SNS上での犯罪実行者の募集等サイバー空間の脅威の情勢が極めて深刻であるため、全ての警察職員のサイバー事案対処能力の底上げが必要不可欠であることから、警察大学校及び警察学校におけるサイバー教育の拡充並びに警察庁及び都道府県警察のサイバー人材の育成の更なる推進のための態勢の充実強化を図ることとしている。
  11.  捜査活動を踏まえた対策の不断の見直し
    • 匿名・流動型犯罪グループは、SNSや匿名性の高い通信アプリ、インターネットバンキング、暗号資産といった新たな技術やサービスを悪用しながら、その手口を刻々と複雑化・巧妙化させている。警察では、取締り等を通じて犯罪の手口の変化を迅速に把握するとともに、幅広く関係機関・団体等と連携し、対策の強化を図ることとしている。
  12. 国際捜査の徹底・外国当局等との更なる連携
    • 匿名・流動型犯罪グループは、SNS等で犯罪実行者を募集し、犯行に加担させるなどの手口で特殊詐欺等の犯罪を実行しており、その中には、海外に所在する首謀者や指示役が SNSを用いて犯罪実行者を募集しているケースや応募者を海外に渡航させて犯行に加担させているケースもみられる。こうした観点から、国境を越える組織的詐欺等の犯罪への対処が喫緊の課題となっている。
    • 警察庁では、外国で活動する犯罪グループの情報を入手した場合、その摘発に向けて、関係国の捜査機関と積極的に情報交換を行っているほか、被疑者や証拠品の引渡しに向けて、ICPO等を通じた捜査協力、外交ルートや条約・協定を活用した国際捜査共助等を推進しており、引き続き外国当局等との更なる連携強化を図ることとしている。
  13. 情勢に応じた効果的な広報・啓発の実施
    • 警察では、常に変化する犯罪の手口を把握し、迅速かつ的確に、詐欺等の被害に遭いやすい人に訴求する広報・啓発の手段を選定し、真に犯罪抑止に効果を発揮する広報・啓発を適時に行うこととしている。また、SNS上等における犯罪実行者募集情報に応募して犯罪に加担してしまうことがないよう、広報・啓発の対象となる者の年齢層や地域等を考慮し、訴求力の高い著名人の協力を得るなど効果的な広報・啓発の内容、媒体、方法等について検討の上、幅広く関係機関・団体等と連携して取り組むこととしている。
    • 警察では、SNSを取り巻く犯罪を含め、社会情勢等に応じて大きく変化する犯罪情勢を的確に捉えた上で、犯罪対策を強力に推進し、「世界一安全な日本」を実現することで、国民の期待と信頼に応えていく。
  • 生活安全の確保と犯罪捜査活動
    • 令和6年(2024年)の刑法犯認知件数の総数は、戦後最少を迎えた令和3年以降、3年連続で前年比増となった。
    • また、犯罪実行者募集情報がインターネット上に氾濫しており、令和6年8月以降、SNS等で実行犯を募集する手口による強盗等の凶悪な事件が相次いで発生したほか、SNS型投資・ロマンス詐欺についても認知件数・被害額共に前年より大きく増加し、さらにSNSに起因して犯罪被害に遭った児童の数も高水準で推移しているなど、SNS等のインターネット上で提供される技術・サービスを悪用した犯罪について、極めて厳しい情勢となっている。
    • さらに、令和6年中の特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺、インターネットバンキングに係る不正送金事犯、クレジットカードの不正利用事犯の被害額の合計が2,600億円を超えており、匿名・流動型犯罪グループがこのような犯罪により得た収益を有力な資金源としているほか、犯罪によって獲得した資金を新たな資金獲得活動に充てるといった構造がみられ、治安上の課題となっている。
    • 加えて、人身安全関連事案については、ストーカー事案の相談等件数が高水準で推移しているほか、配偶者からの暴力事案等の相談等件数は増加傾向にあり、さらに児童虐待又はその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童数が高水準で推移しているなど、注視すべき状況にある。
    • 以上を踏まえれば、我が国の犯罪情勢は、厳しい状況にあると認められる。
    • ストーカー事案の相談等件数は高水準で推移しており、また、令和6年中の配偶者からの暴力事案等の相談等件数は、配偶者暴力防止法の施行以降、最多となった。
    • 令和6年中の特殊詐欺の認知件数は4年連続、被害額は3年連続で増加し、被害額は過去最高となるなど、高齢者を中心に多額の被害が生じており、極めて深刻な情勢にある。また、令和6年中において、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害が急増し、同年中の被害額は、特殊詐欺の被害額を大きく上回る約1,272億円に上るなど、極めて憂慮すべき状況にある
    • 金属盗の認知件数は、統計をとり始めた令和2年以降増加傾向にあり、令和6年中は2万701件であった。近年、外国人グループ等により太陽光発電施設内の銅線が大量に窃取されるなど、組織的な金属盗等が実行され、治安上の課題となっている。警察では、この種事犯に対し実効的な対策を講じるため、関係機関・団体と連携して、事業者等に対し、防犯情報を提供するとともに、警察庁にワーキンググループを設置し、部門横断的な取組を行っている
  1. 犯罪インフラ対策の推進
    1. 携帯電話対策
      • 携帯音声通信事業者に対して偽造した本人確認書類を提示したり、本人確認書類に記載された者になりすましたりして契約するなどの方法で、不正に取得された架空・他人名義の携帯電話が悪用される事例が確認されている。
      • 警察では、不正に取得された携帯電話について、携帯電話不正利用防止法に基づく役務提供拒否がなされるよう携帯音声通信事業者に情報提供を行うなどの対策を推進している。
    2. 固定電話対策
      • 電話転送の仕組みを悪用して、犯行グループからの電話を「03-××-××」などの固定電話からのものであるかのように偽装する事例がみられたことから、令和元年9月以降、特殊詐欺に利用された電話番号を、警察の要請に基づき電気通信事業者が利用停止等する仕組みを運用しているほか、複数回にわたって要請がなされた契約者に対する新規番号の提供を拒否するよう、電気通信事業者に要請するなどの対策を講じている。
      • また、犯行グループに繰り返し電話番号を供給する悪質な事業者が確認されたことから、令和5年7月、悪質な事業者が保有する全ての「在庫番号」につき、既に顧客に対して提供されたものを含め、その利用を一括して停止する仕組みが導入された。
      • 警察による利用停止の要請に基づき、令和6年末までに1万3,972件の利用停止、14事業者1万3,396番号について在庫番号の一括停止が実施されている。
      • さらに、警察庁では、電気通信事業者関連団体が電話サービス提供事業者向けの新たな優良事業者認定制度を運用するために設立した電話事業者認証機構(ETOC)とも連携し、悪質な電気通信事業者の新規参入防止や排除のための取組を推進している。
    3. 特定IP電話対策
      • 特定IP電話番号(050IP電話番号)が特殊詐欺の犯行に悪用される事例が多くみられたことに鑑み、令和3年11月、特殊詐欺に利用された固定電話番号を電気通信事業者が利用停止等する仕組みの対象に、特定IP電話番号が追加された。
      • 警察による利用停止の要請に基づき、令和6年末までに1万1,588件の利用停止が実施されている。
    4. 国際電話対策
      • 令和5年7月以降、国際電話番号を利用した特殊詐欺が急増した。警察では、国際電話番号からの発着信が見込まれない契約者等に対して、「国際電話不取扱受付センター」の周知及び確実な申込みの促進に向けた取組を行い、特殊詐欺被害の予防に努めている。
  2. 科学技術の活用
    • 客観証拠による的確な立証を図り、犯罪の悪質化・巧妙化等に対応するため、警察では、犯罪捜査において、DNA型鑑定、プロファイリング等の科学技術の活用を推進している。
    • また、DNA型鑑定等のうち、特に高度な専門的知識・技術が必要となるものについては、都道府県警察からの依頼により、警察庁の科学警察研究所において実施している。
      1. DNA型鑑定
        • DNA型鑑定とは、ヒト身体組織の細胞内に存在するDNA(デオキシリボ核酸)の塩基配列を分析することによって、個人を高い精度で識別する鑑定法である。
        • 警察におけるDNA型鑑定:警察で行っているDNA型鑑定は、主に、STR型検査法と呼ばれるもので、STRと呼ばれる特徴的な塩基配列の繰り返し回数に個人差があることを利用し、個人を識別する検査法である。
        • DNA型鑑定の犯罪捜査への活用:DNA型鑑定は、殺人事件等の凶悪事件のほか、窃盗事件等の身近な犯罪の捜査にも活用されている。
        • また、警察では、被疑者から採取した資料から作成した被疑者DNA型記録及び犯人が犯罪現場等に遺留したと認められる資料から作成した遺留DNA型記録をデータベースに登録し、未解決事件の捜査をはじめとする様々な事件の捜査において犯人の割り出しや余罪の確認等に活用している。
        • 身元確認のためのDNA型鑑定の活用:警察では、身元不明死体の身元確認及び特異行方不明者の速やかな発見に活用するため、身元不明死体に関する資料から作成した変死者等DNA型記録及び死体DNA型記録並びに特異行方不明者本人、その実子、実父又は実母に関する資料から作成した特異行方不明者等DNA型記録をデータベースに登録している
      2.  デジタル・フォレンジック
        • 警察では、デジタル・フォレンジックを活用し、電子機器等から電磁的記録を抽出した上で、文字や画像等の人が認識できる形に変換するという電磁的記録の解析を行っている。
        • また、近年、新たな電子機器や情報通信サービスが次々と登場し、電磁的記録の解析が一層困難になる中で、最新の技術を有する民間企業や研究機関との技術協力を推進し、技術情報を継続的に収集するとともに、国内外の関係機関・団体等との連携を強化し、電磁的記録の解析に係るノウハウや技術の蓄積に努めている。
      3. 指掌紋自動識別システム
        • 指掌紋は、「万人不同」かつ「終生不変」の特性を有し、個人を識別するための資料として極めて有用であることから、明治44年(1911年)に警視庁において指紋制度が導入されて以来、現在に至るまで、犯罪の捜査に欠かせないものになっている。
        • 警察では、被疑者から採取した指掌紋と犯人が犯罪現場等に遺留したと認められる指掌紋をデータベースに登録して自動照合を行う、指掌紋自動識別システムを運用し、犯人の割り出し、余罪の確認等に活用している。
      4. 防犯カメラ画像等の解析
        • 防犯カメラ画像等の分析結果から被疑者の検挙に結び付いた事例は年々増加傾向にあり、その重要性は年々増している。
        • 一方、警察で収集した防犯カメラ画像等は、録画装置の性能や撮影条件等により画像が不鮮明な場合があり、分析に支障を来すことがあるため、警察では、画像を鮮明化するための技術開発を進めており、これらの技術を駆使して防犯カメラ画像等の解析を行い、犯人の特定や追跡等に役立てている。
        • また、防犯カメラが設置されていない場所においても、通行車両のドライブレコーダーの画像を収集・解析することにより、被疑者の特定等に活用している。
      5. 自転車画像解析による分析
        • 自転車画像解析とは、防犯カメラ等に映り込んだ被疑者の自転車の部品の特徴やその組合せ等から車種を特定するとともに、破損箇所やカスタム状況等の車体固有の特徴を踏まえ、犯行に使用された自転車を推定する捜査手法である
  • サイバー空間の安全の確保
    • サイバー空間は、地域や年齢、性別を問わず、全国民が参加し、重要な社会経済活動が営まれる公共空間へと変貌を遂げ、金融、航空、鉄道、医療等といった国民生活や社会経済活動を支える基盤となる機能から、警察や防衛といった治安や安全保障に関わる国家機能に至るまで、あらゆる場面で実空間とサイバー空間との融合が進んでいる。
    • こうした中、政府機関、交通機関、金融機関等の重要インフラ事業者等に対するDDoS攻撃によるものとみられる被害が確認されるとともに、情報窃取を目的としたサイバー攻撃や国家を背景とする暗号資産獲得を目的としたサイバー攻撃事案、生成AI等の高度な技術を悪用した事案等が発生しているほか、企業・団体等の事業活動に大きな影響を与えるランサムウェア被害も相次いでいる。また、クレジットカード不正利用被害が過去最多となっているほか、インターネットバンキングに係る不正送金被害が引き続き高水準で推移している。さらに、インターネット上では児童ポルノや規制薬物の広告等の違法情報や、自殺誘引等情報、爆発物・銃砲等の製造方法、殺人や強盗の請負等の有害情報が氾濫するなど、サイバー空間をめぐる脅威は、引き続き極めて深刻な情勢にある。
      1. ランサムウェアの情勢
        • 令和6年中のランサムウェアによる被害の報告件数は222件(令和6年上半期114件、下半期108件)であり、引き続き高い水準で推移している。こうした被害において、暗号化したデータを復元する対価として企業等に金銭等を要求する手口のほか、データを企業等から窃取した上で「対価を支払わなければ当該データを公開する」などと対価を要求する手口であるダブルエクストーション(二重恐喝)が認められる。対価を要求する手口を警察として確認したランサムウェアによる被害の報告件数134件のうち、ダブルエクストーション(二重恐喝)の手口によるものは111件であり、82.8%を占めている。
        • また、ランサムウェアによる被害の報告件数を被害企業・団体等の規模別にみると、大企業は61件、中小企業は140件と、企業・団体等の規模を問わず被害が発生している。
        • さらに、企業・団体等におけるランサムウェア被害の実態を把握するため、被害企業・団体等を対象としてランサムウェアの感染経路に関するアンケート調査を実施したところ、有効回答数 100件のうち、VPN機器を利用されて侵入された事例は 55件(55.0%)、リモートデスクトップサービスが利用されて侵入された事例は 31件(31.0%)と、テレワークに利用される機器等のぜい弱性や強度の弱い認証用パスワード等の情報を利用して侵入したと考えられるものが大半を占めている。
        • 加えて、企業・団体等のネットワークに侵入し、データを暗号化することなくデータを窃取した上で対価を要求する手口(ノーウェアランサム)による被害が、令和6年中22件確認されている
      2. サイバーテロ・サイバーエスピオナージの情勢
        • 情報通信技術が浸透した現代社会において、重要インフラの基幹システムに対する電子的攻撃は、インフラ機能の維持やサービスの供給を困難とし、国民の生活や社会経済活動に重大な被害をもたらすおそれがある。海外では、電力会社がサイバーテロの被害に遭い、広範囲にわたって停電が発生するなど国民に大きな影響を与える事案が発生している。
        • 近年、情報を電子データの形で保有することが一般的となっている中で、軍事技術への転用も可能な先端技術や、外交交渉における国家戦略等の機密情報の窃取を目的としたサイバーエスピオナージの脅威が世界各国で問題となっている。また、我が国に対するテロの脅威が継続していることを踏まえると、現実空間でのテロの準備行為として、重要インフラ事業者等の警備体制等の機密情報を窃取するためにサイバーエスピオナージが行われるおそれもある。我が国においても、不正プログラムや不正アクセスにより、機密情報が窃取された可能性のあるサイバーエスピオナージ事案が発生している。
      3. リアルタイム検知ネットワークシステムの運用
        • サイバーフォースセンターでは、サイバー事案の予兆・実態等を把握することを目的として、平成14年からリアルタイム検知ネットワークシステムを運用している。本システムでは、インターネット上にセンサーを設置し、当該センサーに対して送られてくる通信パケットを収集している。このセンサーは、外部に対して何らサービスを提供していないため、本来であれば外部から通信パケットが送られてくることはないことから、攻撃者が攻撃対象を探索する場合等に不特定多数のIPアドレスに対して無差別に送信される、通信パケットを観測することができる。この通信パケットを分析することで、インターネットに接続された各種機器のぜい弱性の探索行為、当該ぜい弱性を悪用した攻撃、不正プログラムに感染したコンピュータの動向等、インターネット上で発生している各種事象を把握することができる。
        • 本システムは、インターネット上で発生するDoS攻撃(注2)を早期に検知するDoS攻撃被害観測機能や、犯罪の温床となっているダークウェブの実態を把握するためにダークウェブ上の情報を収集・分析する機能を備えており、インターネット上の事象の変化等に応じて機能の強化を行っている。
        • サイバーフォースセンターでは、本システムから得られる情報を用いて、24時間体制でサイバー事案の予兆・実態等を把握し、インターネット利用者がサイバー事案の危険性を正しく認識し、適切な対策を自主的に講じられるよう、分析結果を警察庁ウェブサイトにおいて広く一般に公開している。
      4. 不正プログラムの解析
        • 近年、標的型メールに添付された不正プログラムを用いたサイバー事案が発生しているほか、病院、発電所、化学プラント等の重要インフラの基幹システム等を標的としたランサムウェアを用いたサイバー事案が発生している。
        • 警察庁では、不正プログラムの動作解析や攻撃手口の解明等に資する情報の収集・分析及び機械学習を活用した不正プログラム解析の高度化・効率化に取り組んでいる
        • 特に、重要インフラの制御・監視を行う産業制御システムを標的としたサイバー事案への対処能力の強化を図るため、制御システム検証装置等を整備し、実際に不正プログラムを実行させ、その動作を検証するとともに、不正プログラムが動作することで残される証跡等を調査することにより、事案発生時における迅速な原因特定・対処に万全を期している。また、産業制御システムを標的としたサイバー事案を想定した対処訓練に当該装置を活用しているほか、当該装置による検証の結果を踏まえ、関係機関・団体とサイバー事案の未然防止・被害拡大防止対策のための情報交換を実施している。
      5. 国際連携の推進
        • 警察庁では、多国間における情報交換や協力関係の確立等に積極的に取り組んでおり、令和6年中は、G7ローマ/リヨン・グループ(注1)に置かれたハイテク犯罪サブグループ、サイバー犯罪条約(通称:ブダペスト条約)の締約国等が参加するサイバー犯罪条約委員会会合、EUROPOLとハンガリー国家警察とが共催する欧州警察長官会議等の国際会議に参加した。
        • また、ICPOが提供する各国の法執行機関職員を対象としたサイバー犯罪対策等に関する研修に我が国の警察職員が参加するなど、サイバー空間における脅威に関する情報の共有、国際捜査共助に関する連携強化等を推進している。
        • さらに、情報技術解析に関する知識・経験等の共有を図るため、ICPO加盟国の法執行機関に加えて、国外の民間企業や学術機関が参加するICPOデジタル・フォレンジック専門家会合に平成28年から参加しているほか、情報セキュリティ事案に対処する組織の国際的な枠組みであるFIRSTに平成17年から加盟しており、組織間の情報共有を通じ、適切な事案対処に資する技術情報の収集を行っている。
        • 警察庁では、サイバー空間における脅威への諸外国の対処能力の向上を図るとともに、外国捜査機関等との協力関係を強化することを目的として、外務省や独立行政法人国際協力機構(JICA)と連携して外国捜査機関等に対する支援を行っている。平成26年度からは、外国捜査機関等のサイバー犯罪対策等に従事する職員を招へいし、サイバー空間における脅威への対処に関する知識・技術を習得させることなどを目的とした研修を実施しているほか、平成29年度からは、ベトナム公安省の職員を受け入れて、サイバーセキュリティ対策等に関する知識・技術の習得を目的とした研修を行っている。
  • 組織犯罪対策
    1. 匿名・流動型犯罪グループの情勢
      • 暴力団勢力が衰退していく中、暴力団のような明確な組織構造は有しないが、先輩・後輩、友人・知人といった人間関係に基づく緩やかなつながりで集団を構成しつつ、暴力団等と密接な関係を有するとうかがわれる集団も存在しており、警察では、従来、こうした集団を暴力団に準ずる集団として「準暴力団」と位置付け、取締りの強化等に努めてきた。
      • こうした中、近年、準暴力団に加え、SNSや求人サイト等を利用して実行犯を募集する手口により特殊詐欺等を広域的に実行するなどの集団がみられ、治安対策上の脅威となっている。これらの集団は、各種資金獲得活動により得た収益を吸い上げている中核部分は匿名化され、実行犯はSNS等でその都度募集され流動化しているなどの特徴を有する新たな形態のものである。
      • 警察では、こうした集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と位置付けた上、その動向を踏まえ、繁華街・歓楽街対策、特殊詐欺対策、侵入強盗対策、暴走族対策、少年非行対策等を担う関係部門間における連携を強化し、匿名・流動型犯罪グループに係る事案を把握するなどした場合の情報共有を行い、部門の垣根を越えた実態解明を図るとともに、あらゆる法令を駆使した取締りの強化に努めている。
      • 匿名・流動型犯罪グループの中には、その資金の一部が暴力団に流れているとみられるものや、暴力団構成員をグループの首領やメンバーとしているもの、暴力団構成員と共謀して犯罪を行っているものも確認されている。匿名・流動型犯罪グループの中には暴力団と何らかの関係を持っているものもみられ、両者の間で結節点の役割を果たす者も存在するとみられる。
      • 令和6年(2024年)中の匿名・流動型犯罪グループによるものとみられる資金獲得犯罪について、主な資金獲得犯罪の検挙人員を罪種別にみると、詐欺が過半数を占め、次いで窃盗、薬物事犯、強盗、風営適正化法違反の順となっている。
      • 匿名・流動型犯罪グループは、特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺に加え、令和6年8月以降、関東地方において相次いで発生した、SNS等で募集された犯罪の実行者による凶悪な強盗等や、悪質ホストクラブ事犯、組織的窃盗・盗品流通事犯、悪質リフォーム事犯のほか、インターネットバンキングに係る不正送金事犯等のサイバー犯罪に至るまで、近年、治安対策上の課題となっている多くの事案に深く関与している実態が認められる。
      • 警察では、こうした多様な資金獲得活動に着目した取締りにより、匿名・流動型犯罪グループに対して効果的に打撃を与えるとともに、組織的犯罪処罰法等の積極的な適用により犯罪収益の剝奪を推進している。
      • 匿名・流動型犯罪グループは、獲得した犯罪収益について巧妙にマネー・ローンダリングを行っている。その手口は、コインロッカーを使用した現金の受渡し、架空・他人名義の口座を使用した送金、他人の身分証明書等を使用した盗品等の売却、暗号資産・電子マネー等の使用、犯罪グループが関与する会社での取引に仮装した出入金、外国口座の経由等、多岐にわたり、捜査機関等からの追及を回避しようとしている状況がうかがわれる。
      • 特に、暗号資産を悪用したマネー・ローンダリングへの対策として、警察では、こうした様々な犯罪に悪用される暗号資産の移転状況を追跡するとともに、警察庁において、追跡結果を横断的・俯瞰的に分析し、その結果を都道府県警察と共有している。こうした取組により、例えば、インターネットバンキングに係る不正送金事犯と特殊詐欺事案に関して同一被疑者の関与が判明するなど、従来の捜査では必ずしも明らかにならなかった複数事案の関連性や、背景にある組織性等が浮き彫りになっているところであり、今後も更なる捜査の進展が期待される。
    2.  暴力団等対策
      • 六代目山口組と神戸山口組の間では、平成31年4月以降、拳銃を使用した殺人事件等が相次いで発生するなど、対立抗争が激化し、地域社会に大きな不安を与えた。こうした状況を受け、令和2年1月、兵庫県等の公安委員会が、暴力団対策法に基づき、特に警戒を要する区域(以下「警戒区域」という。)を定めた上で、両団体を「特定抗争指定暴力団等」に指定した。令和6年末現、9府県17市町を警戒区域と定めている。
      • また、神戸山口組から離脱した池田組と六代目山口組の間でも、令和4年5月以降、サバイバルナイフを使用した殺人未遂事件が発生するなど、対立抗争が激化する状況が認められたことから、令和4年12月、岡山県等の公安委員会が、両団体を特定抗争指定暴力団等に指定した。令和6年末現在、7府県8市を警戒区域と定めている。
      • さらに、神戸山口組から離脱した絆會と六代目山口組の間でも、令和4年1月以降、拳銃を使用した殺人事件が発生するなど、対立抗争が激化する状況が認められたことから、令和6年6月、大阪府等の公安委員会が、両団体を特定抗争指定暴力団等に指定した。令和6年末現在、8府県10市を警戒区域と定めている。
      • 警戒区域内では、事務所の新設、対立組織の構成員に対するつきまとい、対立組織の構成員の居宅又は事務所付近のうろつき、多数での集合、両団体の事務所への立入り等の行為が禁止されることから、それぞれの抗争の情勢に応じて警戒区域を追加するなどの措置を講じることにより、対立抗争に伴う市民への危害の防止に努めている。
      • 暴力団を壊滅するためには、構成員を一人でも多く暴力団から離脱させ、その社会復帰を促すことが重要である。警察庁では、令和5年に閣議決定された「第二次再犯防止推進計画」等に基づき、関係機関・団体と連携して、構成員に対する暴力団からの離脱に向けた働き掛けの充実を図るとともに、構成員の離脱・就労、社会復帰等に必要な社会環境及びフォローアップ体制の充実に関する効果的な施策を推進している。
    3. 来日外国人犯罪対策
      • 令和6年(2024年)中の来日外国人による刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合は41.1%と、日本人(12.5%)の約3.3倍に上っている。罪種別にみると、万引きで22.6%と、日本人(3.4%)の約6.7倍に上る。
      • このように、来日外国人による犯罪は、日本人によるものと比べて組織的に行われる傾向がうかがわれる。
      • 来日外国人で構成される犯罪組織についてみると、出身国や地域別に組織化されているものがある一方で、より巧妙かつ効率的に犯罪を行うために様々な国籍の構成員が役割を分担するなど、構成員が多国籍化しているものもある。このほか、面識のない外国人同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら犯行に及んだ例もみられる。
      • また、近年、他国で行われた詐欺事件による詐取金の入金先口座として日本国内の銀行口座を利用し、詐取金入金後にこれを日本国内で引き出してマネー・ローンダリングを行うといった事例があるなど、犯罪行為や被害の発生場所等の犯行関連場所についても、日本国内にとどまらず複数の国に及ぶものがある。
      • 来日外国人で構成される犯罪組織が関与する犯罪インフラ事犯には、地下銀行による不正な送金、偽装結婚、偽装認知、不法就労助長、旅券・在留カード等偽造等がある。
      • 地下銀行は、不法滞在者等が犯罪収益等を海外に送金するために利用されている。また、偽装結婚、偽装認知及び不法就労助長は、在留資格の不正取得による不法滞在等の犯罪を助長しており、これを仲介して利益を得るブローカーや暴力団が関与するものがみられるほか、近年では、在留資格の不正取得や不法就労を目的とした難民認定制度の悪用が疑われる例も発生している。偽造された旅券・在留カード等は、身分偽装手段として利用されるほか、不法滞在者等に販売されることもある。
      • 令和6年中の来日外国人による刑法犯の検挙状況をみると、ベトナム人やカンボジア人による窃盗犯等の増加に伴い、検挙件数・検挙人員共に増加した。また、特別法犯の検挙状況を同様にみると、フィリピン人やタイ人による薬物事犯等の増加に伴い、検挙件数・検挙人員共に増加した
    4. 薬物銃器対策
      • 令和6年(2024年)中の薬物事犯の検挙人員は1万3,462人と、引き続き高い水準にあり、我が国の薬物情勢は依然として厳しい状況にある。特に20歳代以下の若年層による大麻事犯が相次いで検挙されている。このような情勢の中、令和6年12月には、大麻の施用罪を含む大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律が施行された。薬物は、乱用者の精神や身体をむしばむばかりでなく、幻覚、妄想等により、乱用者が殺人、放火等の凶悪な事件や重大な交通事故等を引き起こすこともあるほか、薬物の密売が暴力団等の犯罪組織の資金源となることから、その乱用は社会の安全を脅かす重大な問題である
      • 令和6年中、覚醒剤事犯の検挙人員は前年より増加し、全薬物事犯の検挙人員の45.5%を占めている。覚醒剤事犯の特徴としては、検挙人員に占める暴力団構成員等の割合が高いことのほか、30歳代以上の検挙人員が多いことや、他の薬物事犯と比べて再犯者の占める割合が高いことが挙げられる。
      • 令和6年中、大麻事犯の検挙人員は、全薬物事犯の検挙人員の45.1%を占め、前年に続いて高い水準にある。近年、面識のない者同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら大麻の売買を行う例もみられる。大麻事犯の特徴としては、他の薬物事犯と比べて、検挙人員のうち初犯者や20歳代以下の若年層の占める割合が高いことが挙げられる
      • 薬物犯罪組織の壊滅を図るため、組織犯罪の取締りに有効な通信傍受等の捜査手法を積極的に活用し、組織の中枢に迫る捜査を推進している。さらに、薬物犯罪組織に資金面から打撃を与えるため、麻薬特例法の規定に基づき、業として行う密輸・密売等やマネー・ローンダリング事犯の検挙、薬物犯罪収益の没収・追徴等の対策を推進している。このほか、インターネットを利用した薬物密売事犯対策として、サイバーパトロールやインターネット・ホットラインセンター(IHC)からの通報等により薬物密売情報の収集を強化し、密売人の取締りを推進している。
    5. 犯罪収益対策
      • 暴力団等の犯罪組織を弱体化させ、壊滅に追い込むためには、犯罪収益の移転を防止するとともに、これを確実に剝奪することが重要である。警察では、犯罪収益移転防止法、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法を活用し、関係機関、事業者、外国のFIU等と協力しながら、総合的な犯罪収益対策を推進している。
      • 犯罪収益が、犯罪組織の維持・拡大や将来の犯罪活動への投資等に利用されることを防止するためには、これを剝奪することが重要である。警察では、没収・追徴の判決が裁判所により言い渡される前に犯罪収益の隠匿や費消等が行われることのないよう、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法に定める起訴前の没収保全措置を積極的に活用し、没収・追徴の実効性を確保している。

~NEW~
警察庁 特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の 認知・検挙状況等(令和7年上半期・暫定値)について
▼ 広報資料
  • 認知状況
    1. 特殊詐欺
      • 特殊詐欺の認知件数(以下1⑴において「総認知件数」という。)は13,213件(+4,256件、+47.5%)、被害額(以下1⑴において「被害総額」という。)は597.3億円(+369.4億円、+162.1%)と、前年同期に比べて総認知件数、被害総額ともに著しく増加。
      • オレオレ詐欺、預貯金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗(以下3手口を合わせて「オレオレ型特殊詐欺」という。)の認知件数は7,846件(+3,922件、+99.9%)、被害額は470.0億円(+342.3億円、+268.2%)で、総認知件数に占める割合は59.4%(+15.6ポイント)。
      • 架空料金請求詐欺の認知件数は2,870件(+296件、+11.5%)、被害額は69.2億円(+7.4億円、+12.0%)で、総認知件数に占める割合は21.7%(-7.0ポイント)。パソコンのウイルス除去をサポートするなどの名目で電子マネー等をだまし取る「サポート名目」の認知件数は679件(-377件、-35.7%)、被害額は8.5億円(+2.2億円、+34.8%)で、架空料金請求詐欺の認知件数に占める割合は23.7%(-17.4ポイント)。
      • 警察官等をかたり捜査(優先調査)名目で現金等をだまし取る手口(以下「ニセ警察詐欺」という。)による被害が顕著であり、認知件数は4,737件、被害額は389.3億円で、総認知件数に占める割合は35.9%。オレオレ詐欺の認知件数は6,278件(+4,138件、+193.4%)、オレオレ詐欺の認知件数におけるニセ警察詐欺の認知件数は4,601件(73.3%)で、その大半を占める。この手口は令和6年後半頃から被害の増加が顕著であり、本年上半期の総認知件数及び被害総額が前年同期に比べて著しく増加している主たる要因となっている。
      • 副業を名目として現金等をだまし取る手口(以下「副業詐欺」という。)による被害が目立っており、認知件数は832件、被害額は14.1億円で、総認知件数に占める割合は6.3%。
      • 都道府県別の認知件数は、東京都が2,165件(+627件、+40.8%)と最も多く、次いで大阪府1,626件(+333件、+25.8%)、神奈川県1,134件(+303件、+36.5%)、兵庫県960件(+361件、+60.3%)、愛知県914件(+251件、+37.9%)、埼玉県884件(+211件、+31.4%)、福岡県687件(+383件、+126.0%)、千葉県562件(+145件、+34.8%)の順。総認知件数に占めるこれら8都府県の認知件数の割合は67.6%(-2.9ポイント)。これら8都府県の人口が全人口に占める割合(51.4%)と比べても高い割合となっており、被害が大都市圏に集中。
      • 1日当たりの被害額は3.3億円(+2.0億円、+163.5%)。
      • 既遂1件当たりの被害額は464.6万円(+203.6万円、+78.0%)。ニセ警察詐欺の既遂1件当たりの被害額は828.7万円、ニセ警察詐欺を除いた特殊詐欺の既遂1件当たりの被害額は254.9万円と、ニセ警察詐欺が既遂1件当たりの被害額を押し上げている主たる要因。
      • 振込型の認知件数は8,213件(+4,214件、+105.4%)、被害額は369.8億円(+247.1億円、+201.3%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は62.2%(+17.5ポイント)、被害総額に占める割合は61.9%(+8.1ポイント)。
      • 振込型におけるインターネットバンキング(IB)利用の認知件数は3,167件、被害額は220.2億円で、振込型全体に占める割合は、認知件数が38.6%、被害額が59.5%。
      • 振込型において、暗号資産交換業者の口座に振込みを行う暗号資産振込の認知件数は214件(+68件、+46.6%)、被害額は32.0億円(+18.2億円、+131.9%)。
      • 暗号資産送信型の認知件数は371件(+347件、+1,445.8%)、被害額は57.8億円(+48.1億円、+496.7%)。振込型における暗号資産振込と合わせると、一次的な被害金等交付形態が実質的に暗号資産であるものが総認知件数に占める割合は4.4%(+2.5ポイント)、被害総額に占める割合は15.0%(+4.7ポイント)。
      • 振込型以外の主な交付形態の総認知件数に占める割合は、現金手交型が13.2%(-1.8ポイント)、キャッシュカード手交型・窃取型が12.5%(-8.4ポイント)、電子マネー型が6.6%(-10.7ポイント)。
      • 特殊詐欺全体における高齢者(65歳以上)被害の認知件数は6,978件(+659件、+10.4%)で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合は52.9%(-17.8ポイント)。
      • オレオレ詐欺の認知件数を年代別にみると、80代以上が1,454件(+356件、+32.4%)と最も多く、次いで30代が988件(+891件、+918.6%)、70代が925件(+432件、+87.6%)、20代が915件(+833件、+1,015.9%)となっており、オレオレ詐欺の認知件数に占める20代と30代の割合は30.3%(+22.0ポイント)。架空料金請求詐欺の認知件数は、60代が596件(−48件、−7.5%)と最も多く、次いで70代が516件(-135件、-20.7%)、20代が487件(+240件、+97.2%)、30代が296件(+103件、+53.4%)となっており、架空料金請求詐欺の認知件数に占める20代と30代の割合は27.3%(+10.2ポイント)。オレオレ詐欺や架空料金請求詐欺では、高齢者以上に20代及び30代の若い世代にも被害が広がっており、総認知件数に占める高齢者の割合が減少している主たる要因。
      • オレオレ詐欺及び架空料金請求詐欺以外の手口では、高齢者被害の認知件数は3,175件(−248件、−7.2%)で、これらの手口に占める割合は78.4%(−2.5ポイント)と、これらの手口では高齢者被害の割合は高いものの認知件数は減少。
      • ニセ警察詐欺の認知件数は、30代が973件と最も多く、次いで20代が884件となっており、若い世代に被害が拡大。他方で、被害額は、70代が105.5億円と最も多く、次いで60代が99.4億円となっており、70代及び60代の被害額が大きい。
      • 被害者を欺罔する手段として犯行の最初に用いられた当初接触ツールの総認知件数に占める割合は、電話79.1%(+2.9ポイント)、メール・メッセージ12.0%(+3.5ポイント)、ポップアップ表示 6.3%(-7.0ポイント)、はがき・封書等 2.6%(+0.6ポイント)と、電話による欺罔が8割近くを占める。
      • 主な手口別では、オレオレ型特殊詐欺及び還付金詐欺では電話が9割以上。架空料金請求詐欺ではメール・メッセージが39.2%(+16.6ポイント)、ポップアップが27.4%(-18.0ポイント)、電話が26.9%(-1.6ポイント)。
      • 警察が把握した、電話の相手方に対して、住所や氏名、資産、利用金融機関等を探るなどの特殊詐欺が疑われる電話(予兆電話)の件数は165,292件(+93,834件、+131.3%)で、月平均27,549件(+15,639件、+131.3%)。
      • 予兆電話の総件数に占めるこれら8都府県の合計件数の割合は55.2%(-5.9ポイント)。これらの地域における認知件数の総認知件数に占める割合(63.9%)と比べると割合が低くなっており、予兆電話が大都市圏に集中することなく、地方にもかかってきている。
    2. SNS型投資・ロマンス詐欺
      • SNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数(以下この項において「総認知件数」という。)は5,345件(+235件、+4.6%)、被害額は590.8億円(-70.9億円、-10.7%)と前年同期に比べて、総認知件数は増加、被害額は減少。
      • 都道府県別の認知件数は、大阪府が542件(+59件、+12.2%)と最も多く、次いで東京都533件(+150件、+39.2%)、愛知県481件(+113件、+30.7%)、兵庫県454件(-20件、-4.2%)、福岡県301件(-25件、-7.7%)、神奈川県260件(-23件、-8.1%)、岐阜県155件(+7件、+4.7%)、広島県149件(-31件、-17.2%)の順となっており、総認知件数に占めるこれら8都府県の合計認知件数の割合は53.8%(+2.0ポイント)となっており、特殊詐欺に比べ大都市圏への集中は見られない。
      • 1日当たりの被害額は3.3億円(-0.4億円、-10.2%)。
      • 既遂1件当たりの被害額は1,105.9万円(-189.4万円、-14.6%)。
    3. SNS型投資詐欺
      • SNS型投資詐欺の認知件数は2,884件(-702件、-19.6%)、被害額は351.2億円(-153.3億円、-30.4%)と認知件数、被害額ともに前年同期に比べて減少。
      • 振込型の認知件数は2,100件(-1,104件、-34.5%)、被害額は266.4億円(−179.2億円、−40.2%)、暗号資産送信型の認知件数は711件(+396件、+125.7%)、被害額は81.2億円(+38.5億円、+90.1%)と、被害金等交付形態が暗号資産送信型にシフトしている傾向が見られるが、暗号資産送信型の増加に比して、振込型の減少が大きく、SNS型投資詐欺の被害額が減少している主たる要因。SNS型投資詐欺の認知件数に占める割合は、振込型が72.8%(-16.5ポイント)、暗号資産送信型が24.7%(+15.9ポイント)であり、被害額に占める割合は、振込型が75.9%(-12.5ポイント)、暗号資産送信型が23.1%(+14.7ポイント)。
      • 振込型におけるインターネットバンキング利用の認知件数は1,424件(-479件、-25.2%)、被害額は200.1億円(-106.5億円、-34.7%)で、振込型全体に占める割合は、認知件数が67.8%(+8.4ポイント)、被害額が75.1%(+6.3ポイント)。
      • 振込型において、暗号資産交換業者の口座に振込みを行う暗号資産振込の認知件数は52件(−57件、−52.3%)、被害額は3.5億円(-10.1億円、-74.4%)。暗号資産送信型と合わせると、一次的な被害金等交付形態が実質的に暗号資産であるものがSNS型投資詐欺の認知件数に占める割合は26.5%(+14.6ポイント)、被害額に占める割合は24.1%(+12.9ポイント)。
      • 被害者の年齢層は、男性、女性ともに40代から60代が多数を占め、幅広い年代に被害が及んでいる。
      • 被害者の性別は、男性が1,715人(-151人、-8.1%)、女性が1,169人(-548人、-31.9%)と、男性の被害がSNS型投資詐欺の認知件数の約6割を占める。
      • 当初接触ツールは、Instagramが596件(-342件、-36.5%)、LINEが422件(-272件、-39.2%)、Facebookが337件(-266件、-44.1%)と、これらのツールで全体の約半数を占める。他方、これら以外のツールをみると、投資のサイトが298件(-106件、-26.2%)、X(Twitter)が295件(+187件、+173.1%)、TikTokが208件(+118件、+131.1%)、YouTubeが189件(+155件、+455.9%)と、当初接触ツールの多様化が認められる。
      • 被害時の連絡ツールは、LINEが2,582件(-738件、-22.2%)と、全体の約9割を占める。
      • 当初の接触手段は、ダイレクトメッセージが1,386件(+546件、+65.0%)、バナー等広告が866件(-1,016件、-54.0%)と、ダイレクトメッセージを当初の接触手段とする被害が増加傾向にあり、これらが全体の8割近くを占める。
      • ダイレクトメッセージのツール別内訳は、Instagramが345件(+109件、+46.2%)、Facebookが245件(+69件、+39.2%)、LINEが222件(+65件、+41.4%)と、これらのツールで全体の半数以上を占める。
      • バナー等広告のツール別内訳は、Instagramが180件(-402件、-69.1%)、投資のサイトが162件(-105件、-39.3%)、YouTubeが144件(+115件、+396.6%)と、これらのツールで全体の半数以上を占める。
      • Instagram、Facebook及びLINEのダイレクトメッセージ、YouTubeにおけるバナー等広告を接触手段とする認知件数の増加が、被害が高止まりしている主たる要因。
      • 認知件数をみると、ダイレクトメッセージがバナー等広告を上回っているものの、バナー等広告については、令和7年3月以降増加に転じている。その内容は、著名人になりすます偽広告も見られるものの、「暗号資産投資で安定した収入」、「株式投資で儲かる」などの文言を含む広告が見られた。
      • 被疑者が詐称した身分(地域)は、日本(国内)が2,158件(-728件、-25.2%)。
      • 被疑者が詐称した職業は、投資家が899件(-391件、-30.3%)、会社員186件(+51件、+37.8%)、その他著名人76件(-584件、-88.5%)。
    4. SNS型ロマンス詐欺
      • SNS型ロマンス詐欺の認知件数は2,461件(+937件、+61.5%)、被害額は239.6億円(+82.4億円、+52.4%)と、認知件数、被害額ともに前年同期に比べて増加。
      • 金銭等の要求名目は「暗号資産投資」が最多となっており、認知件数は920件(+424件、+85.5%)と、SNS型ロマンス詐欺の認知件数に占める割合は37.4%(+4.8ポイント)。被害額は102.0億円(+45.9億円、+81.7%)と、SNS型ロマンス詐欺の被害額に占める割合は42.6%(+6.9ポイント)。
      • 主な被害金等交付形態の認知件数は、振込型が1,460件(+271件、+22.8%)、暗号資産送信型が828件(+587件、+243.6%)、被害額は、振込型が142.1億円(+9.1億円、+6.8%)、暗号資産送信型が94.0億円(+72.2億円、+331.1%)。SNS型ロマンス詐欺の認知件数に占める割合は、振込型が59.3%(-18.7ポイント)、暗号資産送信型が33.6%(+17.8ポイント)であり、被害額に占める割合は振込型が59.3%(-25.3ポイント)、暗号資産送信型が39.2%(+25.4ポイント)。
      • 振込型におけるインターネットバンキング(IB)利用の認知件数は747件(+170件、+29.5%)、被害額は97.3億円(+8.2億円、+9.2%)で、振込型全体に占める割合は認知件数が51.2%(+2.6ポイント)、被害額が68.5%(+1.5ポイント)。
      • 被害者の年齢層は、男女ともに、40代から60代が多数を占め、幅広い年代に被害が及んでいる。
      • 被害者の性別は、男性が1,552人(+599人、+62.9%)、女性が909人(+338人、+59.2%)と、男性の被害が全体の認知件数の約6割を占める。
      • 当初接触ツールは、マッチングアプリが796件(+259件、+48.2%)、Instagramが575件(+233件、+68.1%)、Facebookが473件(+135件、+39.9%)と、これらのツールで全体の7割以上を占める。
      • 被害時の連絡ツールは、LINEが2,290件(+864件、+60.6%)と、全体の9割以上を占める。
      • 当初の接触手段は、ダイレクトメッセージが最多となっており、2,251件(+1,039件、+85.7%)と全体の9割以上を占める。
      • ダイレクトメッセージのツール別内訳は、マッチングアプリが731件(+363件、+98.6%)、Instagramが557件(+242件、+76.8%)、Facebookが447件(+152件、+51.5%)と、これらのツールで全体の8割近くを占める。
      • 被疑者が詐称した身分(地域)は、日本(国内)が1,433件(+681件、+90.6%)と認知件数の半数以上を占める一方、東アジア、東南アジア、日本(国外)等の海外の地域もみられる。
      • 被疑者が詐称した職業は、投資家248件(+89件、+56.0%)、会社員214件(+56件、+35.4%)、会社役員181件(+84件、+86.6%)のほか、芸術・芸能関係や医療関係等様々なものがみられる。
  • 検挙状況
    1. 特殊詐欺
      • 特殊詐欺全体の検挙件数は2,974件(+354件、+13.5%)、検挙人員(以下2(1)において「総検挙人員」という。)は1,017人(+135人、+15.3%)と、いずれも増加。
      • 手口別では、オレオレ型特殊詐欺の検挙人員は818人(+125人、+18.0%)で、総検挙人員に占める割合は80.4%(+1.9ポイント)。
      • 中枢被疑者の検挙人員は27人(+9人、+50.0%)で、総検挙人員に占める割合は2.7%(+0.6ポイント)。
      • 役割別では、受け子が634人(+90人、+16.5%)と最も多く、総検挙人員に占める割合は62.3%(+0.7ポイント)。
      • 預貯金口座や携帯電話の不正な売買等の特殊詐欺を助長する犯罪で2,442件(+155件、+6.8%)、1,737人(+73人、+4.4%)を検挙。
      • 暴力団構成員等の検挙人員は217人(+45人、+26.2%)で、総検挙人員に占める割合は21.3%(+1.8ポイント)。
      • 暴力団構成員等の検挙人員のうち、受け子は115人(+35人、+43.8%)、リクルーターは25人(+3人、+13.6%)、出し子は24人(+9人、+60.0%)。
      • 少年の検挙人員は202人(+24人、+13.5%)で、総検挙人員に占める割合は19.9%(-0.3ポイント)。少年の検挙人員のうち、受け子は150人(+31人、+26.1%)で、少年の検挙人員の74.3%(+7.4ポイント)を占める。
      • 受け子の検挙人員(634人)に占める少年の割合は23.7%(+1.8ポイント)と、受け子のおよそ4人に1人が少年。
      • 外国人の検挙人員は88人(+44人、+100.0%)で、総検挙人員に占める割合は8.7%(+3.7ポイント)。
      • 外国人の検挙人員のうち、受け子は48人(+22人、+84.6%)、出し子は15人(+7人、+87.5%)で、それぞれ外国人の検挙人員の54.5%(-4.5ポイント)、17.0%(-1.1ポイント)を占める。
      • 国籍別では、中国が32人(+14人、+77.8%)と最も多く、次いでベトナムが18人(+15人、+500.0%)、マレーシアが13人(+7人、+116.7%)の順。
      • 国籍別に役割をみると、中国は受け子が18人(+7人、+63.6%)、ベトナムは出し子が10人(+7人、+233.3%)、マレーシアは受け子が11人(+6人、+120.0%)とそれぞれ最も多くなっている。
      • 特殊詐欺の受け子等として検挙した被疑者973人(+120人、+14.1%)のうち、受け子等になった経緯は、SNSから応募が383人(+14人、+3.8%)と最も多く、次いで知人等紹介が331人(+46人、+16.1%)となっており、受け子等として検挙した被疑者のうち、SNSから応募が39.4%、知人等紹介が34.0%を占める。
    2. SNS型投資・ロマンス詐欺
      • SNS型投資・ロマンス詐欺全体の検挙件数は195件(+135件、+225.0%)、検挙人員は103人(+66人、+178.4%)と、いずれも増加。
      • 手口別では、SNS型投資詐欺の検挙件数は86件(+57件、+196.6%)、検挙人員は36人(+20人、+125.0%)で、SNS型ロマンス詐欺の検挙件数は109件(+78件、+251.6%)、検挙人員は67人(+46人、+219.0%)。
      • 役割別では、主犯が32人(+25人、+357.1%)と最も多く、次いで出し子が18人(+10人、+125.0%)、受け子が14人(+9人、+180.0%)。
      • 主犯32人のうち単独犯は23人(+17人、+283.3%)で、組織的な犯行ではない事例の被疑者も含まれる。
      • 検挙人員のうち、暴力団構成員等は2人(+2人)で、役割別では受け子1人、主犯1人。少年は3人(+3人)で、役割別では主犯3人。外国人は29人(+21人、+262.5%)で、役割別では出し子が11人(+8人、+266.7%)、受け子が4人(+1人、+33.3%)と、これらで半数を占める。
      • 外国人の国籍別では、ベトナムが12人(+10人、+500.0%)と最も多く、次いで中国が10人(+7人、+233.3%)の順。国籍別に役割をみると、ベトナムはその他6人(+6人)、中国は出し子4人(+3人、+300.0%)がそれぞれ最も多くなっている。
      • SNS型投資・ロマンス詐欺の受け子等として検挙した被疑者68人(+38人、+126.7%)のうち、受け子等になった経緯は、知人等紹介が24人と最も多く、次いでSNSから応募が22人となっており、受け子等として検挙した被疑者のうち、知人等紹介が35.3%、SNSから応募が32.4%を占める。
  • 対策の取組
    1. 「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」を踏まえた取組
      • 令和7年4月22日、犯罪対策閣僚会議において、一層複雑化・巧妙化する詐欺等について、手口の変化に応じて機敏に対策をアップデートするとともに、犯罪グループを摘発するための実態解明の取組や犯罪グループと被害者との接点の遮断といった抜本的な対策を強化する必要性を踏まえ、「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」が決定された。これに基づき、中枢被疑者の検挙の徹底を図るとともに、詐欺の手口の変化に応じた情報発信をタイムリーに行いつつ、関係省庁や事業者と連携した一層踏み込んだ対策を強力に推進。
    2. 被害防止対策の推進
      1. 犯人からの電話を直接受けないための対策の推進
        • ニセ警察詐欺をはじめ、高齢者以外の20代、30代を含む幅広い年代の被害も増加。これは特殊詐欺等の手口が巧妙化し、犯人側と接触してしまえば、誰もがだまされるおそれがあるということを意味する。したがって、機械的・自動的な仕組みによって、詐欺の電話をはじめとする犯人側からの接触手段を適切に遮断し、国民が犯人側と接触せずに済む環境を実現することが重要。この点、令和5年7月以降、国際電話番号を利用した特殊詐欺が急増しているが、固定電話については、「国際電話不取扱受付センター」に申し込めば、固定電話・ひかり電話を対象に国際電話番号からの発着信を無償で休止可能。
        • また、携帯電話については、国際電話の着信規制が可能なアプリを利用することにより、着信を遮断可能。
        • 警察では、このような国際電話の利用休止等が特殊詐欺の被害防止に極めて有効であることを広く社会に呼び掛け、社会全体の機運を醸成する活動を「みんなでとめよう!!国際電話詐欺#みんとめ」と呼称して推進。
      2. 関係事業者と連携した被害の未然防止対策の推進
        • コンビニエンスストア店員や金融機関職員等による声掛け等により、9,403件(-1,353件、-12.6%)、67.9億円(+31.5億円、+86.7%)の被害を防止(阻止率17 42.2%、-12.9ポイント)。*阻止件数を認知件数(既遂)と阻止件数の和で除した割合
        • ニセ警察詐欺において、SNSが被疑者と被害者との連絡ツールに使用されている状況を踏まえ、SNS事業者と連携した注意喚起を行う取組を推進。
      3. 犯行ツール対策の推進
        1. 金融機関との情報連携体制の構築
          • 令和6年6月の犯罪対策閣僚会議で決定された「国民を詐欺から守るための総合対策」に、金融機関において詐欺被害と思われる出金・送金等の取引をモニタリング・検知する仕組み等を構築し、警察へ迅速な情報共有を行う取組の推進が盛り込まれたことを踏まえ、同年8月、警察庁は金融庁と連携し、一般社団法人全国銀行協会等の金融機関団体に対し、同取組に係る連携体制の構築について要請。警察庁及び都道府県警察は、順次、金融機関と協定を締結するなど、本取組を推進している。令和7年6月末現在、44警察本部と515金融機関が、警察庁と全国に顧客を有する都市銀行等10行が連携中。
        2. 犯行に利用されたSNSアカウントの利用停止措置の推進
          • 警察が認知したSNS型投資・ロマンス詐欺及び特殊詐欺の犯行に利用されたLINEアカウントの利用停止や削除等を促すため、LINEヤフー株式会社に情報提供したアカウントは8,299件(SNS型投資・ロマンス詐欺3,777件、特殊詐欺4,522件)。
          • 警察が認知したSNS型投資・ロマンス詐欺及び特殊詐欺の犯行に利用されたFacebookアカウント及びInstagramアカウントの利用停止や削除等を促すため、Meta Platforms, Incに情報提供したアカウントは265件(SNS型投資・ロマンス詐欺229件、特殊詐欺36件)。
        3. 犯行に利用された電話番号の利用停止等
          • 主要な電気通信事業者に対して、特殊詐欺に利用された固定電話番号等の利用停止要請を実施し、固定電話番号239件、050IP電話番号754件を利用停止。また、犯行に利用された携帯電話について、役務提供拒否に係る情報提供を257件実施。
      4. 取締り及び実態解明の推進
        • 匿名・流動型犯罪グループの存在を見据えた取締りと実態解明の推進
          • 匿名・流動型犯罪グループの活動実態の変化に機動的に対応し、事件の背後にいる首謀者や指示役も含めた犯罪者グループ等の弱体化・壊滅のため、部門の壁を越えた効果的な取締りと、匿名・流動型犯罪グループの資金獲得活動等に係る実態解明の推進。
        • 外国捜査機関との連携及び海外拠点に関する被疑者の摘発
          • 国境を越える組織的詐欺と闘う国際的な機運の高まりも踏まえ、東南アジア諸国の外国捜査機関との間で、情報交換や協議等を通じて、取締りの重要性について認識を共有するとともに、国際連携を強化。
  • ニセ警察詐欺について
    1. ニセ警察詐欺の被害の流れ
      • 当初接触ツールはほとんどが電話、そのうち携帯電話への架電が約7割
      • 欺罔の段階では、連絡ツールがLINEをはじめSNS等に移行
      • 主な被害金等交付形態の8割以上が振込型
    2. 主な欺罔方法
      • 「2時間後からこの電話は使えなくなる」などの自動音声ガイダンス
      • 指定された番号を押すと、通信事業者等を名乗る者につながる
      • 「あなた名義の携帯電話が犯罪に使われている」などと言われ、警察官等をかたる者に電話が代わる
      • やりとりがSNS等に移り、アプリを使用して、警察官等をかたる者とビデオ通話したり、相手方から警察手帳、逮捕状の画像等が送信される
      • 「あなたのお金が犯罪に関与しているか判断する」などと言って、現に使っている口座の全ての金額を振り込むよう要求
    3. 認知件数等からみた特徴
      • 被害は幅広い年代にわたるが、全体のうち30代が973件(20.5%)と最多、次いで20代が884件(18.7%)
      • 30代・20代は、携帯電話への架電がほとんど
      • 60代以上では固定電話への架電も多くみられる
      • 「2時間後からこの電話は使えなくなる」「使用する場合は1番を押してください」などの自動音声ガイダンスを利用した被害も発生。犯人側が自動発信機能等を利用して大量に架電している実態もうかがわれる
      • 犯行に利用される電話番号の多くは「+1」等から始まる国際番号
      • 実在する警察本部や警察署等の電話番号を偽装して表示させる手口を確認。「+」から始まる国際番号表示による偽装が多かったが、中には「+」表示のない正規の電話番号を偽装した手口も散見
    4. 被害額等からみた特徴
      • 既遂1件当たりの被害額 828.7万円 (他の特殊詐欺(254.9万円)の3.3倍)
      • 年代別の既遂1件当たりの被害額 60代以上が1,559.2万円と高額
      • 主な被害金等交付形態別の被害額
      • 振込型 261.5億円(ニセ警察詐欺全体の67.2%)
      • 暗号資産送信型 既遂1件当たりの被害額が1,897.1万円と高額(認知件数は267件と多くはないが、本年3月から4か月連続で増加)
    5. 被害者が詐欺の受け子等の犯罪の道具として使われる手口
      • 被害者が警察官等を名乗る者からの指示により、別の特殊詐欺事件の受け子等として犯行に加担させられる手口を確認
      • 検挙人員のうち、本手口により受け子等として犯行に加担させられた者は5人
    6. 犯行に加担させる文言
      • 資金調査に協力してほしい。個人宅に行き、お金や通帳を受け取るだけの簡単な調査である
      • 信用があるか確認する。口座をなるべく作ってもらい、そこにお金を振り込むので、指定された口座に振り込んでほしい
      • 犯罪をしていないなら、それを証明するために捜査に協力するように
    7. 加担させられた行為
      • 被害者方を訪れ、免許証を提示して警察官を名乗り、キャッシュカードを受け取った(受け子)
      • 「言われたとおりやらないと振り込んだお金は返らない。」等と言われ、自身の口座に振り込まれた詐欺の被害金を引き出し、被疑者に指定された口座に振り込んだ(出し子)※ 受け子、出し子の両方をさせられた事例も確認
    8. 犯行中の認識
      • (本物の)警察の秘匿調査に協力していると信じていた
      • 指示に従わなければ逮捕されてしまうと思っていた
      • 自分が振り込んだお金が返金されるために送金した
  • 性的な被害を伴う手口
    • 警察官を名乗り電話を架け、SNS等のビデオ通話に誘導し、偽の「警察手帳」や「逮捕状」を示すなどして、「犯罪に加担していないことを証明するため」などとして金銭を要求するとともに、わいせつな行為を強要する性的な被害を伴う手口を確認
    • 都道府県警察から警察庁に報告があったものは48件(※未遂・相談事案を含む。)
    • 犯人の手口
      1. 身体確認名目
        • 「あなたには犯人の疑いがある。犯人の身体には刺青が入っているので確認させてほしい。」などと被害者に申し向けてビデオ通話中に服を脱がせる。
      2. 行動確認名目
        • 「あなたを逮捕しないためにはビデオ通話で監視する必要がある。」などと被害者に申し向けて、ビデオ通話でトイレや入浴中も映像送信を継続させ行動を監視する。
      3. 身体検査名目
        • 「身体検査をするので服を脱いでください。」「下着に物を隠していないか確認する。」などと被害者に申し向け、ビデオ通話中に服を脱がせる。
  • 副業詐欺について
    • 手口の概要
      • 認知件数 832件(特殊詐欺全体の6.3%) 被害額 14.1億円(同2.4%)
      • SNS上等で、「短時間」「簡単」等の甘言で副業を勧める広告等を入口とした詐欺が令和7年1月以降毎月100件以上発生
      • 現金等をだまし取る名目として確認されている代表的なものは以下のとおり
      • 「動画をスクリーンショットして送るだけ」等の簡単な作業で報酬が支払われるとうたい、スクリーンショットを画像送信すると「あなたが操作ミスをしたせいで、他の人にも迷惑がかかる」などと損失の補償を名目とするもの
      • 「SNSでゲームのPRをするだけで報酬が得られる」などとコンサルタント料を名目とするもの
    • 特徴
      • 年代別 60歳未満が91.2%。性別 女性が65.5%(約6割が30代以下)
      • 当初接触ツール SNSが68.5%と最多
      • 男女別SNSの内訳 男性は20代から60代まで「TikTok」 、女性は20代から50代まで「Instagram」がそれぞれ最多
      • 主な被害金等交付形態 振込型が86.9% 既遂1件当たりの被害額 157.3万円 (うちIBが58.9%、既遂1件当たりの被害額は169.7万円)暗号資産送信型が5.2%、既遂1件当たりの被害額 401.5万円
  • 有料サイト利用料金等名目
    • 認知件数 689件(+85件、+14.1%) 架空料金請求詐欺全体の24.0%(+0.5ポイント)
    • 被害額 25.5億円(+1.0億円、+4.2%) 架空料金請求詐欺全体の36.8%(-2.7ポイント)
    • 既遂1件当たりの被害額 402.7万円(-5.6万円、-1.4%)
    • 被害者の61.8%(-1.4ポイント)が65歳未満、年代別では60代が20.9%(-4.1ポイント)と最多、次いで70代が19.6%(+0.1ポイント)、50代が18.1%(+1.6ポイント)
    • 当初接触ツール 携帯電話が59.4%※と最多、次いでSMSが26.4%
    • 主な被害金等交付形態別の認知件数 ATMが75.8%※と最多
    • 年代別既遂1件当たりの被害額 90代が2557.1万円(+282.1万円、+12.4%)と最多、次いで60代が582.7万円(-200.8万円、-25.6%)、50代が552.2万円(+258.6万円、+88.1%)
  • サポート名目
    • 認知件数 679件(-377件、-35.7%) 架空料金請求詐欺全体の23.7%(-17.4ポイント)
    • 被害額 8.5億円(+2.2億円、+34.8%) 架空料金請求詐欺全体の12.3%(+2.1ポイント)
    • 既遂1件当たりの被害額 143.4万円(+81.5万円、+131.8%)
    • 被害者の80.5%(+4.3ポイント)が60代以上、そのうち男性が78.8%(-0.4ポイント)。年代別では60代が36.3%(+3.9ポイント)と最多、次いで70代が31.9%(-1.9ポイント)、80代が11.7%(+2.1ポイント)
    • 主な被害金等交付形態別の認知件数 電子マネー型が68.2%(-25.2ポイント)と最多、次いでインターネットバンキングが28.7%
    • 年代別既遂1件当たりの被害額 80代が300.4万円※と最多、次いで60代が135.0万円、40代が132.3万円
    • 主な被害金等交付形態別既遂1件当たりの被害額 インターネットバンキングが565.4万円と、電子マネー型の46.9万円(-1.5万円、-3.2%)の12.0倍
  • SNS型投資・ロマンス詐欺の「当初接触手段」の変化について
    • SNS型投資詐欺
      • 「ダイレクトメッセージ」が最多、「バナー等広告」が増加に転じる
      • 令和6年5月以降「バナー等広告」が減少に転じ、下半期には「ダイレクトメッセージ」が最多となり、令和7年上半期も同様の状況が継続
      • 「バナー等広告」は、令和7年3月以降増加傾向
      • 「バナー等広告」においてかたられた著名人の変化
      • 令和6年上半期に多くかたられた著名人の多くは、令和7年上半期では減少
      • 新たにかたられるようになった者の増加もみられる
    • SNS型ロマンス詐欺
      • 「ダイレクトメッセージ」が最多の状況が継続
      • 当初接触手段では、令和7年上半期も「ダイレクトメッセージ」が最多の状況が継続
      • 当初接触ツールでは、令和7年上半期も「マッチングアプリ」が最多の状況が継続。サービス別では、一貫してAが最多で、「マッチングアプリ」全体の4割前後を占める状況が継続
  • SNS型投資・ロマンス詐欺の「金銭等要求名目」の変化について
    1. SNS型投資詐欺
      • 金銭等の要求名目は、「株投資」が最多
      • 令和6年上半期は、「FX投資」、「暗号資産投資」、「株投資」、「金投資」の順に多かった
      • 令和7年上半期は、「株投資」、「暗号資産投資」「FX投資」の順で多くなっている
      • 令和7年4月以降は、「株投資」が「暗号資産投資」を上回っている
    2. SNS型ロマンス詐欺
      • 金銭等の要求名目は、「暗号資産投資」が最多
      • ロマンス詐欺の金銭等の要求名目は、令和7年上半期も「暗号資産投資」が最多の状況が継続
      • 令和7年から統計を取り始めた「ネットショップ経営」が増加傾向
  • SNS型投資・ロマンス詐欺被害における主な被害金等交付形態の特徴
    • 振込型 3,560件(-833件、-19.0%)、408.5億円(-170.1億円、-29.4%)
    • うち IB利用 2,171件(-309件、-12.5%)、297.4億円(-98.4億円、-24.9%) ※本年上半期は増加傾向
    • 暗号資産送信型 1,539件(+983件、+176.8%)、175.2億円(+110.7億円、+171.6%) ※本年上半期は緩やかに増加傾向
    • IB利用の既遂1件当たりの被害額 1,369.9万円(-226.0万円、-14.2%)振込型のIB利用以外(799.6万円)の1.7倍、暗号資産送信型(1,138.3万円)の1.2倍と、被害額を押し上げる一因に
    • 「暗号資産投資」名目の主な被害金等交付形態 暗号資産送信型が67.9%(+29.0ポイント)。暗号資産について知識のない被害者であっても、 アプリのダウンロードやアカウント作成、暗号資産の送信方法等を犯人側が詳細に指示する手口が目立つ
  • だまされないための対策
    1. 「捜査対象になっている」と言われたら
      • 警察官を名乗る者から電話で捜査対象となっていると言われた場合は詐欺を疑い、電話を切って警察相談専用電話(♯9110)に御相談ください。
      • それ以外の場合は、電話をかけてきた警察官の所属や名前を確認の上、一旦電話を切り、御自身で警察署等の電話番号を調べるなどして御相談ください。
    2. 犯人側からの接触手段を遮断する環境作りが重要
      • 特殊詐欺等の手口は巧妙化しており、犯人側と接触してしまえば、誰もがだまされるおそれがあります。機械的・自動的な仕組みによって、犯人側と接触せずに済む環境を実現することが重要です。
      • 携帯電話は、国際電話の着信規制が可能なアプリの利用をお願いします。
      • 固定電話は、国際電話の発着信を無償で休止できる国際電話不取扱受付センターに申込みをお願いします。国際電話不取扱受付センターへ直接、ウェブ(国際電話利用契約の利用休止申請 https://www.kokusai-teishi.com)から申込むこともできます。また、書類で申請する場合は、申請書類を最寄りの警察署で受領できます。
    3. 最近のSNS型投資・ロマンス詐欺の手口の特徴を踏まえた対策
      • SNSのダイレクトメッセージは、受け取るメッセージの相手や内容等を制限する設定があるため、同機能を活用してください。
      • バナー等広告の内容に「必ずもうかる」「元本保証」などの表現がある場合は、詐欺の可能性があるため、どんなにうまい話でも、当該バナー等広告の利用は控えてください。
      • SNSやマッチングアプリ等を通じて親密に連絡を取り合っていたとしても、一度も会ったことのない人から暗号資産投資や株投資を勧められた場合は詐欺を疑い、警察相談専用電話(#9110)に御相談ください。
      • SNSやマッチングアプリ上で知り合った後、一度も会わないまま短期間でLINEに誘導された場合は詐欺を疑ってください。
      • 金融商品取引業者や暗号資産交換業者を利用する際は、金融庁・財務局に登録された事業者であるかを金融庁・財務局のホームページで確認してください。
      • このほか、SNSやマッチングアプリを提供する事業者が発信している防犯情報を確認することも有効です。

~NEW~
警察庁 令和7年上半期における刑法犯認知・検挙状況について【暫定値】
  1. 刑法犯認知・検挙状況
    • 6末/R6.6末/増減数/増減率(%)
    • 認知件数 365,963/349,907/16,056/4.6
    • 検挙件数 141,195/133,489/7,706/5.8
    • 検挙人員 94,406/90,460/3,946/4.4
    • 検挙率(%) 6/38.1/+0.5ポイント
  2. 主な特徴点
    1. 認知状況
      • 令和7年上半期における刑法犯認知件数は36万5,963件で、前年同期比で4.6%増加した。このうち、詐欺の認知件数は3万2,413件で、前年同期比で19.4%増加しており、刑法犯認知件数の増加に対する寄与率(データ全体の変化を100とした場合に、構成要素となるデータの変化の割合を示す指標)は32.8%となった。また、窃盗犯の認知件数は24万3,529件で、前年同期比で2.9%増加しており、刑法犯認知件数の増加に対する寄与率は42.2%となった。
      • 令和7年上半期における重要犯罪の認知件数は7,031件と、前年同期比で3.6%増加した。
      • 街頭犯罪の認知件数は11万8,021件で、前年同期比で2.7%増加、侵入犯罪の認知件数は2万9,112件で、前年同期比で9.5%増加した。また、重要犯罪の認知件数は7,031件で、前年同期比で3.6%増加した。
    2. 検挙状況
      • 令和7年上半期における刑法犯の検挙件数は14万1,195件、検挙人員は9万4,406人で、共に前年同期(13万3,489件、9万460人)を上回った(それぞれ前年同期比で5.8%、4.4%増加)。少年の検挙人員は1万769人で、検挙人員全体の11.4%となった(前年同期は全体の10.7%)。
      • 令和7年上半期における刑法犯の検挙率は38.6%で、前年同期比で0.5ポイント増加した。
      • 重要犯罪の検挙率は84.2%で、前年同期比で1.3ポイント増加した

~NEW~
警察庁 犯罪統計資料(令和7年1~6月分)
  • 令和7年1~6月の刑法犯総数について、認知件数365963件(前年同期349907件、前年同期比+4.6%)、検挙件数141195件(133489件、+5.8%)、検挙率38.6%(38.1%、+0.5P)
  • 凶悪犯の認知件数は3528件(3319件、+6.3%)、検挙件数は3039件(2856件、+6.4%)、検挙率86.1%(86.1%、±0P)、粗暴犯の認知件数は29571件(27983件、+5.7%)、検挙件数は23189件(22988件、+0.9%)、検挙率は78.4%(82.1%、▲3.7P)、窃盗犯の認知件数は243529件(236753件、+2.9%)、検挙件数は81923件(77676件、+5.5%)、検挙率は33.6%(32.8%、+0.8P)、知能犯の認知件数は34736件(29447件、+18.0%)、検挙件数は9882件(8526件、+15.9%)、検挙率は28.4%(29.0%、▲0.6P)、風俗犯の認知件数は9151件(8094件、+13.1%)、検挙件数は7535件(6356件、+18.5%)、検挙率は82.3%(78.5%、+3.8P)
  • 詐欺の認知件数は32413件(27150件、+18.0%)、検挙件数は8244件(6988件、+18.0%)、検挙率は25.4%(25.7%、▲0.3P)
  • 万引きの認知件数は52466件(49234件、+6.6%)、検挙件数は34959件(32662件、+7.0%)、検挙率は66.6%(66.3%、+0.3P)
  • 特別法犯 主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は30120件(30535件、▲1.4%)、検挙人員は23487人(24402人、▲3.7%)
  • 入管法違反の検挙件数は2604件(2812件、▲7.4%)、検挙人員は1762人(1902人、▲7.4%)、軽犯罪法違反の検挙件数は2873件(3152件、▲8.9%)、検挙人員は2825人(3175人、▲11.0%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は2298件(2814件、▲18.3%)、検挙人員は1634人(2060人、▲20.7%)、児童買春・児童ポルノ法違反の検挙件数は1469件(1680件、▲12.6%)、検挙人員は756人(949人、▲20.3%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は2250件(2030件、+10.8%)、検挙人員は1723人(1576人、+9.3%)、銃刀法違反の検挙件数は2070件(2153件、▲3.9%)、検挙人員は1752人(1839人、▲4.7%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は4758件(856件、+455.8%)、検挙人員は3334人(494人、+574.9%)、大麻草栽培規制法違反の検挙件数は67件(3337件、▲98.0%)、検挙人員は54人(2649人、▲98.0%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は4233件(3912件、+8.2%)、検挙人員は2785人(2615人、+6.5%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数236人(217人、+8.8%)、ベトナム51人(37人、+37.8%)、中国35人(36人、▲2.8%)、フィリピン19人(15人、+26.7%)、インドネシア13人(3人、+333.3%)、ブラジル12人(16人、▲25.0%)、バングラデシュ7人(3人、+133.3%)、タイ6人(2人、+200.0%)、パキスタン6人(6人、±0%)、マレーシア5人(0人)、スリランカ5人(9人、▲44.4%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は3939件(4613件、▲14.6%)、検挙人員総数は1999人(2472人、▲19.1%)、暴行の認知件数は188件(226件、▲16.8%)、検挙人員は169人(203人、▲16.7%)、傷害の認知件数は339件(415件、▲18.3%)、検挙人員は382人(480人、▲20.4%)、脅迫の認知件数は117件(147件、▲20.4%)、検挙人員は106人(152人、▲30.3%)、恐喝の認知件数は156件(147件、+6.1%)、検挙人員は172人(173人、▲0.6%)、窃盗の認知件数は1695件(2296件、▲26.2%)、検挙人員は276人(362人、▲23.8%)、詐欺の認知件数は8245件(720件、+14.4%)、検挙人員は439人(481人、▲8.7%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は1914件(2194件、▲12.8%)、検挙人員総数は1155人(1398人、▲17.4%)、入管法違反の検挙件数は6件(16件、▲62.5%)、検挙人員は6人(16人、▲62.5%)、軽犯罪法違反の検挙件数は16件(20件、▲20.0%)、検挙人員は12人(18人、▲33.3%)、迷惑防止違反の検挙件数は19件(48件、▲60.4%)、検挙人員は15人(47人、▲68.1%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は12件(36件、▲66.7%)、検挙人員は21人(49人、▲57.1%)、銃刀法違反の検挙件数は30件(34件、▲11.8%)、検挙人員は25人(22人、+13.6%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は456件(123件、+270.7%)、検挙人員は220人(44人、+400.0%)、大麻草栽培規制法違反の検挙件数は13 件(389件、▲96.7%)、検挙人員は6人(230人、▲97.4%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1090件(1239件、▲12.0%)、検挙人員は643人(785人、▲18.1%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は100件(47件、+112.8%)、検挙人員は52人(12人、+333.3%)

~NEW~
内閣府 月例経済報告
▼ 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(令和7年7月29日)
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状 【表現変更】
      • 景気は、米国の通商政策等による影響が一部にみられるものの、緩やかに回復している。
      • (先月の判断)景気は、緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる。
    2. 先行き
      • 先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意が必要である。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意する必要がある。
    3. 政策の基本的態度
      • 米国の関税措置について、今般の日米間の合意を踏まえ、引き続き必要な対応を行いながら、経済財政運営に万全を期す。「経済財政運営と改革の基本方針2025~『今日より明日はよくなる』と実感できる社会へ~」に基づいて、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」を実現していく。
      • このため、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~」及びその裏付けとなる令和6年度補正予算並びに令和7年度予算を迅速かつ着実に執行するとともに、4月25日に取りまとめた「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」の施策を実施する
      • 政府と日本銀行は、引き続き緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていく。
      • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢に応じて適切な金融政策運営を行うことにより、賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
  • 米国の関税措置と輸出・収益の動向
    • 7月7日に米国より相互関税対象品目の追加関税率を25%とする旨通知があったが、7月23日(日本時間)、米国との間で、相互関税対象品目、自動車・同部品の関税率を15%(相互関税対象品目は上限、自動車・部品は既存税率と合わせた値)とすることで合意。
    • これまでの関税措置の輸出への影響を見ると、米国向け自動車・部品輸出を含めて、関税措置による特段の変調は見られない。輸出全体では、アジア向けの半導体製造装置等の一服もあり横ばい圏内。
    • 米国向け輸出金額は、自動車中心に前年比▲11%程度の減少。自動車輸出価格は25%追加関税発動の4月以降大きく下落。6月時点の自動車産業の利益計画は昨年に比べ弱めに下方修正。関税措置の企業収益への影響に引き続き注視が必要。
  • 業況感、設備投資の動向
    • 短観6月調査(調査期間5月28日~6月30日。調査基準日6月12日)における企業の業況判断は、「良い」と答える企業が「悪い」と答える企業を上回る状況が継続し、非製造業では、バブル期以降で最も高い水準を維持。一方、自動車産業では企業規模を問わず、DIが低下。中小企業では、先行き「悪い」が「良い」を上回る見込みとなっており、今後の動向に留意。
    • 2025年度の設備投資計画は、高い伸びとなった2024年度実績から7%増(6月調査時点)となり、自動車産業を含め旺盛な投資意欲が継続。中小企業では、需要増への対応や人手不足への対応など改善志向型の投資を積極化させる動き
  • 生産・雇用の動向
    • 製造業の生産は全体として横ばい傾向が続き、乗用車など品目別関税が課されている分野でも現時点で特段の変調は見られないが、今後の動向には留意が必要。
    • マクロの雇用動向についても、失業率は2%台半ばが続き、就業率は約32年ぶりの高さとなるなど大きな変動はみられず、輸送用機械製造業等の新規求人数にも変調はない。引き続き、関税措置の影響について注視していくことが重要。
    • 近年、人手不足感の高まりに対して、ハローワークの有効求人倍率は頭打ち。背景には、ハローワークの利用率の低下と、民間職業紹介(求人広告を含む)を通じた求人数の増加。
  • 賃金の動向
    • 2025年の春闘賃上げ(最終集計)は、定期昇給込みで25%、ベアで3.70%と、33年ぶりの高さとなった昨年を更に上回った。改定後の賃金は、9月頃にかけて実際の賃金支払に反映されていくことが見込まれる。
    • 5月の名目賃金(就業形態計、現金給与総額)は前年比4%と伸びが縮小したが、所定内給与は着実な上昇が継続。5月のボーナスが支給事業所割合の低下により大きく減少したことが影響。ただし、今夏のボーナスは堅調さを維持する見込み。
    • 実質賃金は、パート時給では、物価上昇率の高まりの下でも、引き続き前年比プラスの一方、フルタイム労働者の月給ではこのところマイナスが続く。2%程度の安定的な物価上昇の実現とこれを上回る賃金上昇率の定着が喫緊の課題。
  • 物価の動向
    • 消費者物価指数は、引き続き生鮮食品を除く食料品の上昇幅拡大を主因に、6月は前年比3%に、7月都区部も3%程度の伸びが続く。ただし、POSデータでは米価格は6月に入って以降、随意契約による備蓄米放出の効果により低下。米取引関係者による今後数か月の需給見通しは緩和し、価格見通しは低下。
    • ガソリンは5月下旬以降、定額引下げ措置に加え、原油価格高騰への予防的激変緩和措置により小売価格が抑制。電気代などの光熱料金についても、7~9月の料金支援策により、8月以降の消費者物価を抑制へ
  • 個人消費の動向
    • 可処分所得が名目・実質共に増加傾向で推移する中、個人消費の持ち直しの動きも続くが、緩やかな伸びにとどまり、貯蓄率はコロナ禍前を上回る水準で高止まり。このところ弱含んでいた消費者マインドは、米価格の低下もあって、物価上昇予想が一服し下げ止まり。週次データでは直近は上昇。
    • 家電販売は、スマートフォンやPCが堅調なほか、気温上昇によるエアコンの増加、6月初に発売の新型ゲーム機の大幅増加もあり、持ち直しが続く。外食も、売上高・客数ともに増勢が継続。夏休みの旅行者数(民間推計)は、日並びの良さや堅調なボーナスのほか、円安傾向の落ち着きもあって、海外旅行を中心に昨年より増加の見込み
  • 米国のマクロ経済の動向
    • 米国では、耐久財を中心に個人消費の伸びが緩やかになっており、景気の拡大が緩やかになっている。特に、自動車販売台数は、関税率引上げに伴う駆け込み需要の反動により、このところ弱い動き。
    • 雇用者数は緩やかに増加する中、民間部門は増勢が鈍化。消費者物価は、足下一部の財で上昇するものの、全体としては緩やかな上昇率。FRBの連邦公開市場委員会では、26年末までに政策金利の75%pt引下げを見込む
  • 各国・地域の財貿易の動向
    • 米国では、累次の米国の関税措置及び中国の対抗措置の影響もあり、対中国輸出入がともに減少。
    • ユーロ圏では、米国向け駆け込み輸出がはく落したものの、前年比プラスが続く。特にアイルランドでは、医薬品、有機化学品の駆け込み輸出がみられた後、4月にはく落。
    • 中国の財輸出は、4月以降米国向けが大幅に減少している一方、ASEAN向けを中心に全体として増加基調で推移。一方、財輸入は内需が伸び悩む中減少傾向で推移。特に、米国からの輸入は3月以降大幅に減少。

~NEW~
内閣府 令和7年度 年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)―内外のリスクを乗り越え、賃上げを起点とした成⻑型経済の実現へ―
▼ 説明資料
  • 2025年半ばまでの経済の動向
    • 関税直後は、乗用車輸出価格が下落。結果、数量の変動が小さい可能性。
    • 今回回復局面は戦後3番目の長さに。財輸出・製造業が主導していた過去2回の長期回復と異なり、今回はコロナ禍からの回復もあってサービス業がけん引、国内民間最終需要も増勢が継続。先行きリスクには留意。
    • 関税措置に対する製造業企業の対応は、価格転嫁、関税コストの吸収等が多い
    • 世界需要の輸出への影響は過去よりは低下も、引き続き大きく、世界経済の下押しはリスク要因
    • 2025年6月時点では、2025年度の設備投資計画は引き続き堅調さを維持。
    • 不確実性の高まりは、製造業を中心に、設備投資の手控えにつながり得る。
    • 官民投資に占める知的財産投資のシェアは、過去10年程度で米国等では拡大の一方、日本は微減。
    • 可処分所得等から推計される理論値よりも個人消費の回復は緩やかにとどまる。
    • 家計の金融純資産は実質でも増加傾向が続くが、現預金は実質ではコロナ禍前水準の近くまで目減り。貯蓄から投資への促進が引き続き重要。
    • 家計の予想物価上昇率の高まりや不確実性の高まりは短期的にマインドを押し下げ、マインド低下は3四半期にわたり消費を有意に押し下げ。
  • 物価・賃金の動向
    • 消費者物価は2割を占める食料品を中心に3%を超える伸びが継続。財物価の伸びは米欧ではゼロ近傍の一方、日本では高い伸びが続く。
    • 24年秋頃以降、米を中心に幅広い品目で食料品価格の上昇率が高まる。POSでは直近は備蓄米放出による価格抑制効果。
    • 食品価格引上げの背景には円安進行を含む原材料高の他、近年は物流費、人件費も。輸入物価は、資源価格の落ち着きや円高方向への動きもあって下落。
    • 川上の生産コストの変化は、約1年後の食料品CPI上昇率(生鮮食品と米を除く)と強く相関する姿は近年も概ね変わらず。
    • 我が国のサービス物価の上昇率は欧米を下回るも、過去長期にわたり動かなかったのに対し、近年は2%に近づきつつある。
    • CPIの家賃は、全国では依然伸びが緩慢である一方、東京都区部では、建築コストの上昇、人口流入により30年超ぶりの伸びに。
    • 我が国のサービス物価は、家賃や公共料金を除く一般サービスでは、前年比3%前後と着実に上昇している。
    • 東京都の募集家賃指数は、都区部を中心に近年急速に上昇。CPI民営家賃への先行性が高く、都区部の家賃は今後も上昇が続く見込み
    • 2025年の春季労使交渉は昨年を更に上回る賃上げ率。昨年に比べ、若年層だけでなく中高年層にも高い賃上げ率が波及している。
    • BtoB、BtoC共に、総じて人件費比率の高いサービスにおいて、人件費の価格転嫁が着実に進んでいるとみられる。
    • 近年の最低賃金の引上げは、賃金水準が相対的に低いパートタイム労働者の時給を着実に押し上げ、賃金分布を底上げする効果があったと評価。
    • サービスの品目別物価上昇率の分布は、近年、プラス領域へのシフトが着実に進み、デフレに陥る前の80年代の姿に近づく。
    • 過去、様々な負の経済ショック時にGDPギャップが悪化し、物価上昇率は低下。一方、フィリップス曲線が十分、上方に位置していれば、デフレ状況に陥る蓋然性は低くなる。賃金や物価がともに安定的に上昇するというノルムの定着が重要
    • 企業の販売価格判断DIは、過去ショック時に下落超方向に低下することが多く、米国関税措置の経済への直接・間接の影響の大きさや、これが価格設定行動に及ぼす影響に留意。
    • 家計の予想物価上昇率も、リーマンショック後には大きく低下。経済主体の予想物価上昇率が安定的な水準にアンカーされることが重要。
  • 財政の現状と課題
    • コロナ禍前に比べ、日本では、特に給付金や補助金等の経常支出の伸びが高い。収入面では、法人所得税や間接税を中心にGDP比が上昇。
    • 日本の一般政府債務残高GDP比は高水準で推移し、コロナ禍前に比べ、主要国いずれも額面ベースで上昇。2025年入り以降、需給の緩みから超長期金利が急騰する局面もみられるなど留意が必要。
    • 一般政府の金融資産負債差額はマイナス幅が縮小しているが、多くは、対外証券投資等の評価益(為替の円安進行の影響を含む)による。
    • 2022年度にかけて中小企業等の投資補助金の受給件数・金額が増加。補助金受給は一定の投資誘発効果があった可能性。
  • 個人消費の回復に向けて
    • 消費性向は総じて低下。24年にかけては、世帯構成変化以外の要因で大きく低下。
    • 物価上昇により食費などを節約する家計が増加する一方、節約している分野でも潜在的にはもっと消費したいと考える家計も多い。
    • 消費の増加には給与所得、特に継続的な賃金の増加が重要だが、4割弱(若年層でも3割前後)の家計が給与が数年後も今と賃金水準が変わらないと予想。賃金上昇ノルムの定着が重要。
    • 予想物価上昇率が高まるほど、中古品消費の志向も強い。
    • 近年の消費意欲の停滞の背景には物価上昇率の高まりも。特に、高齢になるほど予想物価上昇率が高まる傾向があるが、この背景に適応的予想形成の強さがある可能性。また、高齢であるほど、予想物価上昇率の高まりに対して耐久財を前倒し購入する傾向が弱く、マクロの消費の停滞の一因となっている可能性。
    • 金融資産が全く足らないと答えた家計は6年前から増加。老後などの将来不安から貯蓄を行う家計が増加。不確実性への備えを通じて、単身世帯を中心に貯蓄率を押し上げ。
  • 持続的な賃金上昇の実現に向けて
    • 賃金水準が相対的に低い労働者の賃金上昇率がより高く、賃金差は縮小。大企業と中小企業の賃金差も縮小傾向。ただし、足元、中小企業の間で賃上げ状況に二極化の兆しも指摘される点には留意。
    • 医療・福祉や建設等、公共部門、官公需の影響を受けやすい産業では、人手不足感が高くても賃金上昇率が低い。市場メカニズムが機能しにくい分野の政策対応が必要
    • 賃金上昇率は若年層の方が高い傾向にあるが、2024年は中年層にも賃金上昇が一定程度広がってきている。
    • 名目賃金上昇率の高まりに比して、収入増を実感する消費者はさほど増えておらず、賃金上昇の実感が広がっているとは言えない
    • 1990年代から2010年代にかけて、実際の賃金は、賃金カーブから事前に予想されていた賃金よりも低い水準で推移していた可能性。
    • この10年弱で賃金上昇率の分布はプラス局面の厚みが増す中、賃金の下方硬直性の程度は弱まっているが、引き続き存在。
    • 勤続年数に応じた賃金上昇度合いはこの15年で見ても低下。実質のコーホート別賃金カーブは、1990年代以降水準も低下。
    • 2020年に下方硬直性を経験した労働者は、賃金水準が高く維持されたことにより、21年以降の賃金上昇率が低下(上方硬直性)。ただし、22年にはすでに解消された可能性も
  • 労働市場の長期的な変化と課題
    • 2010年代前半以降、女性・高齢者の労働参加が促進された結果、全体の労働参加率が高まり、労働力人口は増加傾向が継続。
    • ハローワーク利用率を加味すると、2010年代後半以降の欠員率は上昇。
    • 職種別欠員率のばらつきがみられ、ミスマッチが拡大。
    • 歴史的な人手不足感の高まりの中でも有効求人倍率は横ばいで、かい離。ハローワークから民間職業紹介へ求人がシフトしたことによる影響も大きい。
    • 男女共に転職等の希望は高まっている一方、転職率横ばい傾向。
    • 長時間労働の是正や転職未経験者へのサポートが転職活動のハードルを下げる可能性。
    • 短時間・単発の仕事である「スポットワーク」は、隙間時間を有効活用したい労働者と人材を柔軟に確保したい企業のメリットが合致し増加。運搬、接客、販売といった職種を中心に四半期で600万人以上の求人。
    • 自己都合退職の場合の退職金減額慣行は、転職先に求める年収を一定程度押し下げ、転職インセンティブを阻害している可能性。
    • スポットワークが増加している職種ではハローワークの求人が減少。求人がシフトしている可能性。
    • スポットワーカーは、マンアワーベースではパート労働者の1%以上を占めるとみられる。
  • 我が国のグローバル経済との関わりにおける変化と課題
    • 財の貿易収支は長期的に、黒字から概ね均衡状態に変化した一方、貿易収支構造が似ていたドイツは黒字が続く。日本は、エネルギー効率向上等により原油等の輸入量は減少傾向にあるが、輸入依存が強く、資源価格の変動によって赤字に転じ、実質所得が海外流出しやすい構造に。
    • 我が国は、家電・情報通信機器では競争力が低下の一方、自動車・同部品、半導体製造装置や建機・工作機械で比較優位を維持。
    • インバウンド増加による旅行、海外子会社からの特許使用料収入が黒字拡大要因の一方、デジタル関連・保険の赤字が拡大。地域別には、対米国・対中南米等で赤字拡大傾向。
    • 海外への生産拠点の移管が進む下、円安もあって、直接投資収益等が第一次所得収支黒字の拡大要因に。
    • 輸出面では、インバウンド消費は円高でも減少しにくい一方で、輸入面では、デジタル関係は円安でも輸入が減少しにくい傾
    • 企業がより高い収益を求めた結果、対外資産が積み上がり、その収益率は他国より高い傾向。対外投資の多くが再投資に回っている可能性。
    • 我が国は、GVCの中間・終点での参加度が上昇。基幹部品など中間財を他国に供給する構造から、生産コストが低い他国に中間財の生産拠点を移管し、これら国々で生産された中間投入財を用いて、さらなる財・サービスの生産を行う構造に変化。一方、中国ではサプライチェーンの内製化が進む。
    • 乗用車生産の減少の波及効果は、部品をはじめ、鉄鋼等幅広い産業に及ぶ。
    • 自由貿易協定の締結は、貿易創出効果により、相手国との間の輸出入を増加。
  • 我が国の企業行動における長期的な変化と課題
    • 資本金規模にかかわらず企業の売上高利益率は改善し、過去最高水準に。一方、利益の増加の多くは社内留保に充てられてきた。
    • 我が国の企業部門は1990年代後半以降恒常的に資金余剰が続き、他の先進国企業とは異なる。
    • 大企業では海外現地法人設立や海外M&A等による投資有価証券比率が、中小企業では現預金比率がそれぞれ大きく上昇。固定資産比率は共に低下。
    • 国際的にみて、我が国の企業部門における現預金残高のGDP比は6割程度と突出して大きく、高止まり。
    • 海外現地法人数に占めるシェアは卸・小売や運輸を含む非製造業で近年増加。海外売上高比率も着実に上昇。
    • 海外展開企業の生産性は相対的に高い。コロナ禍前からの変化をみると生産性が向上している一方で、企業間のばらつきも拡大。
    • 輸出開始は、生産性・賃金の向上につながっている。一方、海外直接投資を含む投融資開始は、製造業では生産性・賃金向上効果は必ずしも明確ではない。規制改革による事業環境の改善などを通じて、企業の資金が、より国内投資に回るような環境づくりが重要
    • 収益力上位企業の利益率は上昇傾向にある一方、ROE上位企業のROEは低下傾向。資本効率の引上げに余地。
    • 高生産性の中小企業は、大中堅企業と遜色ない賃金水準。価格転嫁、投資促進等の生産性向上、事業承継・M&A等を通じた経営基盤強化が重要。
    • ROE上位企業において過去10年程度で現預金比率が高まっている。
    • 現預金保有は設備投資にはつながらず。投資促進税制等の利用は、設備投資の積極化に寄与している可能性。
    • 中小企業の利益配分スタンスにおいて内部留保の優先度は低下傾向。変化の兆しも

~NEW~
消費者庁 消費生活用製品の重大製品事故:リコール製品で火災等(イヤホン(コードレス式、マイク付、リチウムイオンバッテリー内蔵)、リチウム電池内蔵充電器)(7月29日)
  • 消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、リコール製品で火災等(イヤホン(コードレス式、マイク付、リチウムイオンバッテリー内蔵))(回収・交換)、リチウム電池内蔵充電器(回収・返金)、リチウム電池内蔵充電器(回収・交換))18件の重大製品事故を公表します。
  • 詳細 特記事項:
    • 株式会社オーディオテクニカが輸入したイヤホン(コードレス式、マイク付、リチウムイオンバッテリー内蔵))のリコール(回収・交換)
    • ティ・アール・エイ株式会社が輸入したリチウム電池内蔵充電器のリコール(回収・返金)
    • アンカー・ジャパン株式会社が輸入したリチウム電池内蔵充電器のリコール(回収・交換)
      • カセットボンベ、カセットこんろ
      • イヤホン(コードレス式、マイク付、リチウムイオンバッテリー内蔵)、リチウム電池内蔵充電器(2)
      • ノートパソコン(2)、エアコン(室外機)(2)、電気式浴室換気乾燥暖房機、エアコン、除雪機(歩行型)、携帯電話機(スマートフォン)、電気洗濯乾燥機、デジタル電話装置、リチウム電池内蔵充電器、スピーカー(マイク付、充電式)(2)

~NEW~
消費者庁 ウェブサイト上では低額な料金を表示しているが、実際には高額な料金を請求する水回りトラブル対応業者に関する注意喚起
  • ウェブサイト上では低額な料金を表示しているが、実際には高額な料金を請求する水回りトラブル対応業者に関する注意喚起を行いました。
  • 詳細
    • 令和6年秋以降、水回りトラブル対応業者のウェブサイト上で、「水道つまり漏れ2,980円~」、「一般的な水道事業者 合計9,800~58,000円 関東水のトラブル相談センター 合計2,980~35,000円」などの表示を見た消費者が、低額な料金で水回りのトラブルを解決できると認識して作業を依頼したところ、実際には高額な料金を請求されたといった相談が、各地の消費生活センターなどに数多く寄せられています。
    • 消費者庁が調査を行ったところ、株式会社ベアーズホーム(以下「本件事業者」といいます。)が、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為(虚偽・誇大な広告・表示)を行っていたことを確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼び掛けます。
    • また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。

~NEW~
厚生労働省 令和7年版厚生労働白書
▼ 概要版
  • 次世代の主役となる若者の皆さんへ-変化する社会における社会保障・労働施策の役割を知るー
  • 社会保障・労働施策の役割と方向性、若者の意識、施策を知る意義について示しています。
  • 社会保障や労働施策を知ってもらうための「社会保障教育・労働法教育」の取り組みについて紹介しています。
  • 第2部「現下の政策課題への対応」
    • 子育て、雇用、年金、医療・介護など、厚生労働行政の各分野について、最近の施策の動きをまとめています。
  • 社会保障と労働施策の役割とこれから
    • 社会保障や労働施策の役割について概観
    • 人口減少・超高齢社会を迎える日本で今後求められるのが「全世代型社会保障」。「全世代型社会保障構築会議」の報告書の方向性に沿って、現状の課題をデータを元に整理し、望ましい社会に向けた今後の方向性を提示
    • 若者にとって、社会の変化や社会保障・労働施策の今後の方向性を知ることは、「社会保障や労働施策を知ることの意義」を考える前提となる。
  • 若者の社会保障・労働施策に関する意識
    • 関心がある割合は、介護は4割強、福祉・公衆衛生は5割弱、医療・年金は6割前後、労働分野は8割前後
    • 理解している割合は、いずれも5~6割
    • 社会保障教育や労働法教育を受けた経験がある場合には、社会保障や労働施策への関心度や理解度が高くなっている傾向
  • 若者に社会保障や労働施策を知ってもらうための取組状況と方向性
    • (1)学校教育や金融経済教育との連携、(2)社会保障教育と労働法教育の相互連携、(3)本省と地方支分部局の連携 の推進
    • 社会の変化とともに社会保障や労働施策のニーズは変化。どのような制度を選び取るか次世代を担う若者と一緒に不断に考えていく必要
    • 高校生で社会保障教育や労働法教育の経験があるのは、ともに6割超
    • 社会保障教育では5割超、労働法教育では7割が内容を覚えている
    • 社会保障教育によって、社会保障の理念である「社会保障制度は、社会全体の支え合いの仕組みである」ということへの理解が促進されることが示唆される。

~NEW~
厚生労働省 長時間労働が疑われる事業場に対する令和6年度の監督指導結果を公表します
  • 厚生労働省では、このたび、令和6年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した、監督指導の結果を取りまとめましたので、監督指導事例等と共に公表します。
  • この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としています。
  • 対象となった26,512事業場のうち、11,230事業場(4%)で違法な時間外労働を確認したため、是正・改善に向けた指導を行いました。なお、このうち実際に1か月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は、5,464事業場(違法な時間外労働があったもののうち48.7%)でした。
  • 厚生労働省では、今後も長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行うとともに、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行います。
  • 監督指導結果のポイント(令和6年4月~令和7年3月)
    1. 監督指導の実施事業場:26,512事業場
    2. 主な違反内容[1.のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]
      1. 違法な時間外労働があったもの:11,230事業場(4%)
        • うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が月80時間を超えるもの: 5,464事業場(7%)
        • うち、月100時間を超えるもの: 3,191事業場(4%)
        • うち、月150時間を超えるもの: 653事業場( 8%)
        • うち、月200時間を超えるもの: 124事業場( 1%)
      2. 賃金不払残業があったもの:2,118事業場(0%)
      3. 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:5,691事業場(5%)
    3. 主な健康障害防止に関する指導の状況[1.のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]
      1. 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:12,890事業場(6%)
      2. 労働時間の把握が不適正なため指導したもの:4,016事業場(1%)
▼ 長時間労働が疑われる事業場に対する令和6年度の監督指導結果を公表します
  • 監督指導において違法な長時間労働を認めた事例
    • 事例1(娯楽業)
      1. 立入調査で把握した事実
        1. スポーツ施設を運営する事業場(労働者約30人)に立入調査を実施した。
        2. 新規に施設の運営を開始したことによる業務繁忙と人手不足のため、正社員3人について、 36協定で定めた上限時間(特別条項:月80時間)を超え、かつ労働基準法に定められた時間外・休日労働の上限(月100時間未満、複数月平均80時間以内)を超える、最長で1か月当たり259時間の違法な時間外・休日労働が認められた。
      2. 労働基準監督署の指導
        • 長時間にわたる違法な時間外・休日労働を行わせたこと
          • 36協定で定めた上限時間を超えて時間外労働を行わせたことについて是正勧告(労働基準法第32条違反)
          • 労働基準法に定められた上限時間を超えて時間外・休日労働を行わせたことについて是正勧告(労働基準法第36条第6項違反)
          • 時間外・休日労働時間を1か月当たり80時間以内とするための具体的方策を検討・実施するよう指導
      3. 長時間労働是正の取組
        • 人員を拡充するとともに、衛生委員会による定期的な確認を実施
          • 管理者が部下の労働時間の状況を日々点検し、労働時間管理を徹底
          • 正社員が施設の営業時間中は利用者対応、営業時間外にその他の業務を行って長時間労働となっていたことから、運営体制を見直し、パートタイム労働者を大幅に増員。パート労働者が利用者対応をするために、新たにマニュアルを作成するなど正社員の負担を軽減
          • 衛生委員会を新たに設け、事業場内の長時間労働の状況について定期的に確認
        • 取組の結果、時間外・休日労働時間数は最長でも月30時間未満に減少
    • 事例2(警備業)
      1. 立入調査で把握した事実
        1. 警備業の事業場(労働者約40人)において、警備職の労働者が、長時間労働が原因で精神障害を発症したとして労災請求がなされたため、立入調査を実施した。
        2. 当該労働者の勤務状況を確認したところ、同僚の退職や休職による人手不足のため、36協定で定めた上限時間(月90時間)を超え、かつ労働基準法に定められた時間外・休日労働(月100時間未満、複数月平均80時間以内)を超える、最長で1か月当たり131時間の違法な時間外・休日労働が認められた。
      2. 労働基準監督署の指導
        • 長時間にわたる違法な時間外・休日労働を行わせたこと
          • 36協定で定めた上限時間を超えて時間外労働を行わせたことについて是正勧告(労働基準法第32条違反)
          • 労働基準法に定められた上限時間を超えて時間外・休日労働を行わせたことについて是正勧告(労働基準法第36条第6項違反)
          • 時間外・休日労働時間を1か月当たり80時間以内とするための具体的方策を検討・実施するよう指導
      3. 長時間労働是正の取組
        • 体制の拡充と長期的な再発防止のための取組を実施
          • 経験豊富な社員を当該事業場に異動させたほか、定年退職した元社員を再雇用し、一人当たりの業務負担を軽減。さらに、組織の一部を統合し、事業所間での応援に要する手続や業務の重複を解消したことで、より柔軟な応援体制を構築
          • 採用担当者を増やし、学校等への求人訪問や企業説明会の実施を拡充することにより、企業全体で社員数を増員
        • 取組の結果、当該労働者の時間外・休日労働時間数は月45時間未満に減少
    • 事例3(卸売業)
      1. 立入調査で把握した事実
        1. 卸売業の事業場(労働者約300人)に立入調査を実施した。
        2. 労働者1人について、36協定で定めた上限時間(月75時間)を超え、かつ労働基準法に定められた時間外・休日労働の上限(月100時間未満、複数月平均80時間以内)を超える、最長で1か月当たり127時間の違法な時間外・休日労働が認められた。
        3. また、勤怠管理システム上の残業申請の時間と、出社・退社時に行うICカードの打刻記録との間に、長い者で1日当たり3時間程度の乖離が発生しているものの、その時間数や理由を確認していない状況が認められた。
      2. 労働基準監督署の指導
        • 長時間にわたる違法な時間外・休日労働を行わせたこと
          • 36協定で定めた上限時間を超えて時間外労働を行わせたことについて是正勧告(労働基準法第32条違反)
          • 労働基準法に定められた上限時間を超えて時間外・休日労働を行わせたことについて是正勧告(労働基準法第36条第6項違反)
          • 時間外・休日労働時間を1か月当たり80時間以内とするための具体的方策を検討・実施するよう指導
        • 労働時間を適正に把握すること
          • 労働時間を適正に把握するための具体的方策を検討・実施することを指導
          • 過去に遡って労働者に事実関係の聞き取りなど時間外・休日労働の実態調査を行い、調査の結果、差額の割増賃金の支払が必要になる場合は、追加で当該差額を支払うことを指導
      3. 是正の取組
        • 社長がリーダーシップを発揮し、全社的に労働時間の適正な管理を徹底
          • 全社員が参加する創立記念式典の際に、社長から監督署の指導について共有
          • 時間外・休日労働の削減に向け、人事部署が全社員の労働時間を随時確認し、36協定の上限時間(月75時間)を超えるおそれがある場合は、管理者に時間外労働の中止を通告する運用を開始
          • 残業申請時間とICカードの打刻に乖離がある労働者に対し、実態調査を実施。事前に申請した残業予定を超えた場合、超過分の残業申請がしづらい状況があったため、実績を正しく申請し、管理者は実績で確認することを改めて徹底。また、実態調査の結果、特定された労働時間に基づき、割増賃金の遡及払いを実施

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厚生労働省 「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査」(速報)を公表しました
  • 厚生労働省の共働き・共育てを推進する広報事業「共育(トモイク)プロジェクト」は、2025年7月30日(水)に、「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査」の結果(速報)を公表いたしました。
  • 本調査により、若年層の仕事と育児の両立に関する意識を明らかにし発信することで、共働き・共育て(「共育て」とは、パートナー同士が協力し合って、家事・育児に取り組むことをいいます)推進に向けた社会機運の醸成、企業における両立支援制度の導入・促進を図っていきたいと考えています。
  • 調査サマリー
    • 若年層の共育てに対する意識については、「共育てをしたいが、実現のためには社会や職場の支援が必要だと思う(8%)」との回答が最も多くなっています。
    • 家庭と仕事(キャリア)の優先順位付け、育休取得や育児・家事において、約7割の若年層が「性別は関係ない」と回答しています。
    • 若年社会人の7割以上が、育休取得意向ありと回答しています。さらに、そのうちの約8割が、1か月以上の育休取得を希望しています。
    • 若年層の約7割が、会社を選ぶときに「仕事(キャリア)とプライベートの両立」を意識しています。一方、若年層の約7割が「仕事と育児の両立に不安がある」と感じています。
    • 若年社会人が考える「子育て期間」の理想の働き方については、「仕事と家庭を両立できること」や「柔軟に働けること」の回答が多くなっています。また、理想の働き方が実現した際に、「仕事のモチベーションが高まる」と回答したのは4%となっています。一方で、理想の働き方ができていない若年社会人は、理想の働き方ができている人に比べて、子育て期間において、離職意向が24.3ポイント高くなっています。
    • 若年層が就活で重視する「結婚や出産に関わる情報」として、回答が最も多かったのは「男性の育休取得率」で、次いで「育休取得者へのサポート体制」、「育児に関する支援内容」となっています。
    • 若年社会人が理想の働き方を実現するために求める支援として、「残業時間の抑制」、「在宅勤務の活用」、「有給休暇取得の促進」が多いこともわかりました。
▼ 250730若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査(速報)

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厚生労働省 第12回自殺総合対策の推進に関する有識者会議資料
▼ 資料1 自殺の動向及び自殺対策基本法の改正について
  • 令和6年の自殺者数は20,320人となり、対前年比1,517人(約9%)減。
  • 男女別にみると、男性は3年ぶりの減少、女性は2年連続の減少となっている。また、男性の自殺者数は、女性の約1倍となっている。
  • 小中高生の自殺者数は、近年増加傾向が続き、令和6年では529人と、統計のある1980(昭和55)年以降、最多の数値となった。
  • 小中高生の自殺者数を男女別にみると、男性は2年連続で減少したが、女性は2年連続で増加し、統計のある1980(昭和55)年以降、最多の数値となった。
  • 自殺対策基本法 改正の趣旨
    • 自殺対策基本法が平成18年に施行されて以降、我が国の自殺者の総数は減少傾向にあるが、近年、こどもの自殺者数は増加傾向が続いている。
    • 令和6年の児童生徒の自殺者数は、529人で過去最多となった(平成30年以降、約43%増・最も数が少なかった平成5年と比べ約2.7倍)。10代における死亡原因の第1位が「自殺」であるのは、G7で我が国だけである。
    • こうした極めて深刻な状況に対処するため、こどもに係る自殺対策を推進するための体制整備・措置について定めるほか、デジタル技術を活用した施策の展開、自殺リスク情報の迅速な把握、自殺を助長する情報・設備等対策、自殺未遂者等・自殺者の親族等への支援の強化について定める。
  • 改正の概要
    • 基本理念の追加(第2条第6項・第7項)
      • 自殺対策は、デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術、人工知能関連技術等の適切な活用を図りながら展開されるようにするとともに、自殺の防止においては、インターネット等を通じて流通する自殺に関連する情報が及ぼす影響に関する適切な配慮のための取組の促進に特に留意する旨を明記
      • こどもが自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利利益の擁護が図られ、将来にわたって健康で心豊かな生活を送ることができる社会の実現を目指し、こどもに係る自殺対策を社会全体で取り組むことを明記
    • こどもの自殺の防止等に係る国の責務の改正及び学校の責務の追加
      • こどもに係る自殺対策について、内閣総理大臣、文部科学大臣及び厚生労働大臣は、その自殺の実態等を踏まえて適切かつ効果的に策定され、及び実施されるよう、相互に又は関係行政機関の長との間において緊密な連携協力を図りつつ、それぞれの所掌に係る施策を推進することを明記(第3条第2項)
      • 学校について、基本理念にのっとり、関係者との連携を図りつつ、こどもの自殺の防止等に取り組むよう努めることを明記(第5条)
    • 基本的施策の拡充
      • 自殺防止等の観点から、学校における心の健康の保持のための健康診断等の措置や、精神保健に関する知識の向上について規定(第17条第3項)
      • 精神科医等の医療従事者に対する自殺の防止等に関する研修の機会の確保について規定(第18条)
      • 自殺発生回避のための適切な対処に必要な情報が関係機関及び関係団体に迅速かつ適切に提供されるための措置について規定(第19条第2項)
      • 自殺の助長につながるような情報、物品、設備等について適切な管理、配慮等に関して注意を促すための措置について規定(第19条第3項)
      • 自殺未遂者等への継続的な支援を明記(第20条)、自殺者の親族等の支援について、その生活上の不安の緩和とともに、総合的な支援を規定(第21条)
    • 協議会(第4章)
      • 地方公共団体は、第19条(自殺発生回避のための体制の整備等)及び第20条(自殺未遂者等の支援)の施策でこどもに係るものを実施するに当たっては、学校、教育委員会、児童相談所、精神保健福祉センター、医療機関、警察署等の関係機関、自殺対策に係る活動を行う民間団体等をもって構成する協議会を置くことができることとし、協議会はこどもの自殺の防止等について情報交換及び必要な対処等の措置の協議を行うこととする旨を規定
    • 状況の変化等を踏まえた検討(附則第2条)
      • 自殺に関する状況の変化、自殺対策に係る諸施策の実施の状況等を踏まえ、必要な見直し等の措置が講ぜられるものとする旨を規定
    • こども家庭庁の所掌事務の追加(改正法附則第3項)
      • こども家庭庁の所掌事務として、こどもに係る自殺対策を規定
    • 施行日 : 公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日(ただし、3(第17条第3項部分)、4、6は、令和8年4月1日)

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厚生労働省 「労災保険制度の在り方に関する研究会」の中間報告書を公表します
▼ 別添 労災保険制度の在り方に関する研究会 中間報告書(本体)
  • フリーランスや個人事業主をめぐる動きや労働基準法における「労働者」に関する議論が行われている中で、労災保険法を労働基準法が適用される労働者以外の就業者に適用することについて検討した。労働基準法が適用される労働者以外の就業者に労災保険法を強制適用することについては、将来的に検討課題とし得るとの意見と慎重に検討するべきとの意見に分かれた。具体的には、
    • 労災保険の社会保障的性格を強調するのであれば、報酬を得て働く人は強制加入とすることもあり得る。
    • 労働基準法と労災保険法の適用対象者を切り離し、労災保険の強制適用を労働基準法の労働者より広げることは現行法の解釈としては難しいが、法改正により労災保険法の趣旨に何らかの変更を加え、適用対象者の拡大を図ることは理論的には排除されない。
    • 現在の強制適用の対象である労働者は使用従属性や時間的場所的拘束があり、事業主は補償責任・保険料の支払い責任を負う点に労災保険の中核がある。労災保険法は労働基準法と別制度であるところ、労災保険の原則を崩さなければ、特別加入のような形で労災保険法の適用対象を労働基準法の適用対象よりも拡張することは認められる考える。具体的には、保険料負担の根拠と技術的可能性から、第2種特別加入の対象になる者について強制適用が検討され得る。
  • 強制適用の対象を労働基準法が適用される労働者以外の就業者へ拡大するならば、保険料の負担の在り方も検討する必要があるとの意見があったことから、この点についても検討を行った。労働者以外の就業者に労災保険を強制適用する場合の保険料負担について、発注者やプラットフォーマーに拠出させることも検討し得るとの意見と、当事者間の契約の自由に委ねるべきことや報酬への転嫁リスクがあること等を理由に適当でないとする意見に分かれた。具体的には、
    • 発注者は就業者に対し指揮命令も拘束もしないが、災害発生のリスクを自ら負わずに利益を得られることが保険料を負担させる根拠になり得る。一方で労働者以外等の就業者は労働者と異なり働き方の自由度が高く自ら災害を避けることもできるという面がある。そうすると、発注者に保険料全額の負担を求めるのではなく、折半での負担方法もあり得る。中長期的には、任意加入を原則としつつ、就労者が保険加入を望んだ場合には、発注者にも保険料を強制的に拠出させることも検討されてよいのではないか。
  • 家事使用人に労働基準法が適用される場合に、同法第8章に規定する災害補償責任や労災保険法の適用をどのように考えるべきかを議論した。この点、家事使用人に労働基準法が適用される場合には、災害補償責任及び労災保険法も適用することが適当とすることについては概ね意見は一致した。
  • 暫定任意適用事業とされてきた農林水産業への適用の在り方について議論を行った。現行の暫定任意適用事業については、強制適用すべきとの方向性については意見が一致したが、適用の課題とされてきた適用事業の把握や事業主の事務負担等の課題が解決される可能性がどの程度あるのかは検証することが必要との意見があった。
  • 個人事業主等の特別加入に関与する特別加入団体が、個人事業主等の災害防止に関する役割を果たし得るのかという点について検討を行った。特別加入団体に災害防止の取組を期待できるかとの点について、特別加入団体に一定の取組を期待し得るとの意見と特別加入団体の取組には限界があるとの意見に分かれた。具体的には、
    • 特別加入団体の役割は特別加入の有無にかかわらず、特定の業種・職域で接点をもっている自営業者に、職業上のリスクの理解を深めてもらい、その上で保険加入への対処を促し、その際の選択肢として特別加入を示すような周知広報への貢献は求められるのではないか。
  • 現行では、労災保険法第35条第1項は、一人親方等の特別加入団体が、その構成員の業務災害等に関して労災保険法の適用について申請をし、政府の承認があったときは、特別加入団体を事業主と、その構成員である一人親方等を労働者とみなして、労災保険法及び徴収法の特定の条文の適用をする旨を定めている。しかし、政府の承認の要件については通知で定められており、法令上、特別加入団体の位置付け、役割が必ずしも規定されていない。この点については、特別加入団体の承認要件について法令上に明記することについて積極的な意見があった。具体的には、
    • 労災保険法第35条第4項では、団体に法令違反があった場合には、政府の職権で保険関係の消滅ができる。一方で承認の要件は法令上の規定がなく、団体が承認要件を充足しなくなっただけでは、法令違反を問えず、保険関係の消滅ができない可能性がある。このため、承認要件に法令の根拠を与えるとともに、当該要件を満たさなくなった場合には政府から保険関係の消滅ができるようにしておく必要がある。
    • 適正手続の保障や団体側に予測可能性を与えるという観点からも、承認取消の要件を法律上整備することが適切。
    • なお、現行法では政府による保険関係の消滅は詳細な手続が予定されていないが、保険関係の消滅は特別加入者に甚大な影響があるので、保険関係の消滅をさせるに先立って、特別加入団体に問題の改善を要求するなど段階的な手続も併せて設けてもよいのではないか。
    • 特別加入団体に対して一定の役割や義務を負わせるのであれば、法令上の根拠が必要。災害防止の特別の役割を設けるのであれば、申請・承認と切り離した一定の安全確保の取組を求めるなどし、不適切な団体についての承認の取消しについても整理が必要。
  • 遺族(補償)等年金の趣旨・目的について、
    • 本研究会において改めて議論を行った。議論においては、「被扶養利益の喪失の填補」という概念が今日でも妥当するという意見があった一方、「被扶養利益の喪失の填補」は妥当しない、あるいは「被扶養利益の喪失の填補」以外の趣旨を見いだせるとの見解もあり、意見が分かれた。具体的には、「被扶養利益の喪失の填補」の考え方は現代においても妥当するという以下のような意見があった。
      • 目的としては今なお被扶養利益の喪失の補填という概念は有用。
      • 遺族補償年金を、被災労働者に生じた損害を遺族に補償していく制度とすると、補償の範囲が労働基準法や労災保険制度が目的とした被災労働者や遺族の生活の安定等の範囲を超える広範なものとなり得る。「被扶養利益の喪失」の概念は損害の一部を構成するものであり、「損害の填補」と整合性のある概念を用いて、特に遺族の中でも補償の必要が高い人達に充実した年金の給付を行っているというのが今の考え方という理解ができるのではないか。
  • 現行の生計維持要件の取扱いについては、労災保険における「被扶養利益の喪失の填補」との趣旨の関係で不合理ではないとの意見、生計同一の意味を含む独自のものとして運用されているとの意見、また現行の取扱いが妥当なのか検討が必要ではないかとの見解もあり、意見は分かれた。
  • 遺族(補償)等年金と労働基準法の遺族補償との関係について、本研究会においては、労働基準法の遺族補償では配偶者は生計維持要件を問われずに第一順位者になることと比較して、労災保険法の遺族(補償)等年金の支給対象者は労働基準法の遺族補償の対象者よりも限定されており見直すべきではないかとの意見があったほか、労働基準法より労災保険法の補償の方が下回るべきではなく、両法の整合性を確保するべきとの意見があった。
  • 現行の支給要件の差異については、本研究会の議論においては、遺族補償年金の創設当時から半世紀以上が経過し、男女の就労状況や家族の在り方が変化していることも踏まえ、解消すべきとの点で意見は一致した。
  • 遺族(補償)等年金の制度趣旨を議論する過程において、現在の、遺族(補償)等年金の給付の期間の在り方についても議論があった。この点については現行の長期給付を維持することが現時点では適当とする意見で一致したが、中長期的には有期給付化を検討することが望ましいとの少数意見もあった。
  • 特別加算については、創設当時の考え方は現在では妥当せず、妻のみに加算を設ける合理性はないとの意見で一致した。一方で、特別加算の具体的な在り方については、以下に挙げるように、「配偶者と未成熟子に対して補償を充実することはあり得る」、「障害者への加算と合わせて考える必要がある」又は「遺族(補償)等年金の給付水準や加算が必要となる者の範囲についての議論が必要」といった様々な見解が示され、意見が分かれた。
  • 労災保険の社会保障的性格や生活保障の観点から、発症時賃金を原則とすることが適当であるとの意見で概ね一致した。
  • なお、労災保険法が労働基準法における使用者の災害補償責任を担保し、事業主の補償負担の緩和を図るために設けられたことを踏まえれば、疾病の発症原因となった有害業務への従事が行われた最終事業場に対するメリット制の適用においては、被災労働者のばく露時賃金を基礎とした給付のみを加味することが適当と考える。
  • 退職後や離職中に発症した場合にばく露時賃金をもとに給付基礎日額を算定することについて適当又は許容し得るとの意見とともに、労災保険法が想定していない場面とも考えられることから、今後の議論が必要との意見があった。
  • 災害補償請求権及び労災保険給付請求権に係る消滅時効期間の見直しについては、請求手続自体が疾病の増悪を生じ得る場合には一定の配慮が必要であるとする意見があった一方、被害者の早期の権利実現を目指すべきであり、相談援助や周知等の運用改善で対応すべきとして見直しを前提としない意見もある等、その要否に関して意見が分かれた。
  • 災害補償請求権及び労災保険給付請求権の消滅時効の見直しを検討するに当たっては、令和元年12月27日の労働政策審議会での建議も踏まえ、他の労働保険・社会保険との関係も踏まえた一体的な検討が必要である。具体的には、労災保険制度と他の保険制度とを比較した場合、前者に特有の事情が認められるのか、という点が問題になると言える。この点、労災保険に特有の事情を見出し得るという意見があった一方で、労災保険に特有の事情を見出し得ないとの見解もあり、意見が分かれた。
  • 本研究会としては、社復事業として実施される労働者やその家族に対する給付については、従来は処分性が認められなかった特別支給金も含めて処分性を認め、審査請求や取消訴訟の対象とすることが適当と考える。
  • 特別支給金については、その果たしている機能や保険給付と一体として支給されている実態等を踏まえれば、これを保険給付として位置づけることにより補償の安定性を確保することに資すると考えられるが、これを保険給付として位置づけることで民事上の損害賠償の調整対象となり労働者側に不利となり得ることや、ボーナス特別支給金の算定が難しい等、保険給付化を行う際の具体的な課題も多いことから、専門的な見地から引き続き議論を行う必要がある。
  • 本研究会としては、メリット制の効果については、様々な留保を前提とするとの意見はあるものの、一定の災害防止効果があり、また、事業主の負担の公平性の観点からもメリット制には一定の意義が認められるものと考える。また、労災かくしを助長するとの懸念についても、メリット制の意義を損なうほどの影響があるとは確認されなかった。このため、メリット制を存続させ適切に運用することが適当と考える。その際、今回の検証は初めての試みであり、今後も今回の検証において指摘のあった点も踏まえて、継続的に効果等を検証し、より効果的な制度となるよう必要な見直しを行うことが望まれる。
  • 脳・心臓疾患及び精神障害をメリット収支率の算定対象外とすることについて議論が及んだため、この点についてどのように考えるか検討を行った。これらの疾病にかかる保険給付をメリット収支率の算定対象から除外する理由はないとする意見がある一方で、事業主が予防努力をしても業務上と認定される疾病に係る保険給付については、これをメリット収支率の算定対象とすることは公平性の観点や災害予防の観点から適当でないとの見解もあり、意見は分かれた。
  • 高齢者や障害者等の労働者への給付をメリット収支率の算定対象から除外することについては、除外すれば、災害予防行動が取られなくなる懸念等の理由から算定対象から除外するべきではないとの意見があった一方で、脆弱性のある労働者を雇用した使用者に結果的に重い保険料負担をさせることは公平性を欠く等の見解もあり、意見は分かれた。
  • 災害復旧の事業に係るメリット制の取扱いについても議論があった。このような事業についてもメリット収支率の算定対象から除外する特例を設けることに否定的な意見があった一方、このような事業をそのままメリット収支率の算定対象とすることの適否については検討の余地があるとの見解もあり意見は分かれた。
  • 早期の災害防止を図る観点やメリット制適用事業主が保険料の認定処分の取消訴訟等において、労災保険率の決定の基礎とされた労災保険給付の支給要件非該当性を主張するという手続保障の観点から、保険料を負担する事業主に対して、支給・不支給の事実を知らせることは重要との点で意見は一致した。
  • メリット制の適用を受ける事業主が、労災保険率の決定の基礎とされた労災保険給付の支給要件非該当性を主張するという手続保障の観点から、事業主に対して保険料の前提となる事実を知らせることは重要との意見で一致した。ただし、労働者にとって機微な一定の情報については、慎重に取り扱うべきとの意見があった。

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国土交通省 令和6年度 建設業構造実態調査の調査結果について
▼ 報道発表資料
  • 5年ごとに実施している本調査は、建設業の基本的な産業構造及びその中長期的変化を把握するものであり、営業活動や取引関係、従業者について調査をしています。令和6年度調査では、(1)経常損失(赤字)会社の割合の増加、(2)1社あたりの平均従業者数の減少・女性比率の上昇や、(3)工事代金受取のための手形期間の減少、(4)現場労働者への賃金の月払い一定額の増加、といった傾向が見られました。
  • 調査の目的
    • 建設業の基本的な産業構造及びその中長期的変化を的確に把握することにより、建設業の構造改善に向けた施策の企画・立案に当たっての基礎資料を得ること
  • 調査結果の概要
    1. 営業活動
      • 経常損失(赤字)会社の割合 21.8% 参考:令和元年度10.2%
      • 総資本経常利益率(経常利益額/総資本額) 5.6% (▲ 1.4pt)
      • 売上高経常利益率(経常利益額/総売上高注1) 5.8% (▲ 0.6pt)
      • 1社あたり現金預金額 1億1,200万円 参考:令和元年度1億3,740万円
      • 1社あたりの完成工事高(国内) 3億4,400万円 (▲36.2%)
    2. 取引関係
      1. 工事代金の受取時期及び受取条件
        • 工事施工後の現金 73.5% (+ 8.2pt)
        • 工事施工中の現金 15.6% (▲ 2.2pt)
        • 工事施工後の手形 5.2% (▲ 1.9pt)
      2. 手形期間
        • 90日以下 54.8% (+13.8pt)
        • 91日~120日 38.1% (▲11.1pt)
      3. 下請工事での契約締結方法
        • 基本契約書があり注文書と請書を交換 24.8% (▲ 1.0pt)
        • 注文書と請書の交換のみ 21.8% (▲ 0.9pt)
        • 工事ごとの契約書 20.3% (▲ 2.7pt)
    3. 従業者
      1. 1社あたりの平均従業者数 11.3人 参考:令和元年度13.8人
      2. 常雇等の雇用者数 1~10人 74.0% (+ 5.0pt)/11~30人 20.6% (▲ 3.3pt)
      3. 従業員数に占める女性比率 19.2% 参考:令和元年度16.9%
      4. 現場労働者への賃金支払い形態 月払い一定額/月払い日給月給
        • 職長 64.9%(+3.4pt)/ 19.3%(▲2.0pt)
        • 現場労働者 50.3%(+8.2pt)/ 30.9%(▲6.4pt)
        • 臨時・日雇 18.5%(+2.9pt) /51.8%(▲2.9pt)

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国土交通省 三大都市圏の平均混雑率が増加~都市鉄道の混雑率調査結果を公表(令和6年度実績)~
  • 令和6年度の三大都市圏における平均混雑率注は、東京圏:139%、大阪圏:116%、名古屋圏:126%となり、東京圏は3ポイント、大阪圏は1ポイント、名古屋圏は3ポイントの増加となりました。
  • 本調査は、通勤通学時間帯における鉄道の混雑状況を把握するため、毎年度実施しているものです。
  • 三大都市圏主要区間の平均混雑率(令和6年度実績)】※カッコ内は昨年度調査の混雑率
    • 東京圏 139%(136%)
    • 大阪圏 116%(115%)
    • 名古屋圏 126%(123%)
      • (注)混雑率:最混雑時間帯1時間の平均(主に令和6年10月~11月の1日又は複数日の乗車人員データを基に計算したもの)

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国土交通省 我が国のバーティポートの機能や分類について整理しました~空飛ぶクルマの離着陸場(バーティポート)のあり方-機能と分類-中間とりまとめ~
▼ 空飛ぶクルマの離着陸場(バーティポート)のあり方-機能と分類-中間とりまとめ 概要資料
  1. 現状に対する基本認識
    • 空飛ぶクルマの社会実装・普及が期待される中、離着陸場となるバーティポートのあり方について考えていく必要。ヘリコプターに比べ、騒音レベルの低下により街中での発着も考えられ、次の前提条件をもとにあり方を議論。なお、今後も機体性能やコストの動向に応じて、あり方を見直していく。
    • 前提条件: 『空飛ぶクルマがある程度普及し、料金はタクシーよりも高いが、一般の人も「必要な場合には利用を考えられるレベル」になっており、かつ悪天候時においても安定した運航が行われている状況』
  2. 空飛ぶクルマ・バーティポートの社会的役割
    • 空飛ぶクルマの主なユースケースとして、「空港等からの二次交通」「都市内輸送・都市間輸送」「エンターテインメント」「緊急医療用輸送」などを整理。
    • 空飛ぶクルマがこれらのユースケースで活用されることにより、7つの社会的役割が期待される。
      • 社会経済活動の生産性向上
      • 都市の国際競争力強化
      • 地方都市間のネットワーク形成
      • 地域公共交通対策
      • 富裕層の誘致促進
      • 地域医療対策
      • 災害応急対策
  3. バーティポート施設のあり方
    • バーティポートの分類としては、ポート側の提供サービスの観点から4つに分類され、規模等に応じて更に細分化。
      • 運航上の拠点となる「拠点型」((1)整備・駐機基地型/(2)運航拠点型)
      • 整備機能を持たない「スポット型」((3)充電スポット型/(4)発着専用型)
    • バーティポートの配置を考える場合、大都市圏と地方部では事情が異なる。設置可能な用地が限られる大都市圏では、小規模なバーティポートの複数配置や、郊外での拠点型バーティポートの確保など、エリア的な視点も考えていく必要がある。
    • 空飛ぶクルマ・バーティポートの普及にあたっての課題を整理。
      • 機体価格や運航コストの低減、交通手段として安定的に利用可能になるよう就航率の向上、既存航空との飛行ルールの整理、安全性・騒音等も含めた周辺住民等の理解醸成など社会受容性の向上等が必要になる。

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国土交通省 公益社団法人無人機研究開発機構に対する厳重注意について
  • 今般、無人航空機検査事務を行う登録検査機関(※)である公益社団法人無人機研究開発機構において、当該事務の実施に関して不適切な事項が認められました。
  • このため、国土交通省航空局は、本日付けで同機構に対して厳重注意を行い、再発防止策を検討の上、令和7年9月1日までに再発防止策を報告するよう指示しましたのでお知らせします。
  • 無人航空機検査事務(機体認証及び型式認証等に関する国土交通大臣の事務のうち、無人航空機が安全基準に適合するかどうか等の検査の実施に関する事務)については、国土交通大臣の登録を受けた者(登録検査機関)にその全部又は一部を行わせることができることとされている。
  • 登録検査機関概要
    • 機関名:公益社団法人無人機研究開発機構
    • 登録日:令和6年1月9日
    • 所在地:福岡県北九州市若松区ひびきの2-1
    • 業務の範囲:飛行機、回転翼航空機(ヘリコプター、マルチローター)
    • 業務の種類:第2種型式認証、第2種機体認証(型式認証機に限る)に関する検査
  • 確認された不適切事項の概要
    • 正当な理由がなく、無人航空機検査を遅滞させた。
  • 国土交通省航空局は、同機構において適切な措置が確実に実施されるよう、引き続き指導監督を行ってまいります。

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