危機管理トピックス
危機管理トピックス金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」議事次第/外国による偽情報等に関するポータルサイト/カスハラとは?法改正により義務化される内容・カスハラ加害者とならないためのポイント
更新日:2025年10月20日 新着18記事

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――
- 警察庁 犯罪統計資料(令和7年1~9月)
- 内閣官房 外国による偽情報等に関するポータルサイト
- 厚生労働省 賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要
- 経済産業省 第18回日ASEANサイバーセキュリティ政策会議を開催しました
- 総務省 利用者情報に関するワーキンググループ(第33回)
金融庁
- 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第2回)議事次第
- 金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall 2025)について
- 投資詐欺等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等
消費者庁
- 「カスタマーハラスメント防止のための消費者向け普及・啓発活動」ページに政府広報オンラインのリンク情報を追加しました。
- 株式会社テレビ新広島に対する景品表示法に基づく措置命令について
- 株式会社NOVAランゲージカンパニーに対する景品表示法に基づく措置命令について
- 消費者向け食べ残し持ち帰り促進ガイドラインに関する研修会 資料掲載のお知らせ
国民生活センター
- 2025年10月号【No.158】(2025年10月15日発行)
- お試しや1回だけだと思ったら、定期購入だった
国土交通省
- 「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和6年度)」の結果を公表~建設企業の休日の取得状況等について集計~
- 「港湾法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定~伊勢湾に係る緊急確保航路の区域等が変更されます~
- 「マンション標準管理規約」を改正します~皆様のマンションの管理規約も見直しが必要です~
- 施工体制の点検を実施します!~公共工事の施工体制に関する全国一斉点検~
~NEW~
警察庁 犯罪統計資料(令和7年1~9月)
- 令和7年1~9月の刑法犯総数について、認知件数は575216件(前年同期544921件、前年同期比+5.6%)、検挙件数は215436件(202979件、+6.1%)、検挙率は37.5%(37.2%、+0.3P)
- 凶悪犯の認知件数は5381件(5168件、+4.1%)、検挙件数は4622件(4339件、+6.5%)、検挙率は85.9%(84.0%、+1.9P)、粗暴犯の認知件数は46084件(42961件、+7.3%)、検挙件数は35855件(34581件、+3.7%)、検挙率は77.8%(80.5%、▲2.7P)、窃盗犯の認知件数は384478件(371054件、+3.6%)、検挙件数は124278件(117746件、+5.5%)、検挙率は32.3%(31.7%、+0.6P)、知能犯の認知件数は54854件(44881件、+22.2%)、検挙件数は14644件(13153件、+11.3%)、検挙率は26.7%(29.3%、▲2.6P)、風俗犯の認知件数は14853件(13337件、+11.4%)、検挙件数は12052件(10258件、17.5%)、検挙率は81.1%(76.9%、+4.2P)
- 詐欺の認知件数は51264件(41468件、+23.6%)、検挙件数は12229件(10893件、+12.3%)、検挙率は23.9%(26.3%、▲2.4P)
- 万引きの認知件数は78706件(72903件、+8.0%)、検挙件数は52624件(48903件、+7.6%)、検挙率は66.9%(67.1%、▲0.2P)
- 特別法犯総数について、検挙件数は46195件(46136件、+0.1%)、検挙人員は35788人(36723人、▲2.5%)
- 入管法違反の検挙件数は3843件(4352件、▲11.7%)、検挙人員は2563人(2942人、▲12.9%)、軽犯罪法違反の検挙件数は4504件(4789件、▲6.0%)、検挙人員は4432人(4841人、▲8.4%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は3500件(4157件、▲15.8%)、検挙人員は2496人(3003人、▲16.9%)、児童買春・児童ポルノ法違反の検挙件数は2164件(2387件、▲9.3%)、検挙人員は1080人(1316人、▲17.9%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は3262件(3082件、+5.8%)、検挙人員は2469人(2352人、+5.0%)、銃刀法違反の検挙件数は3273件(3344件、▲2.1%)、検挙人員は2742人(2854人、▲3.9%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は7795件(1380件、+464.9%)、検挙人員は5246人(812人、+546.1%)、大麻草規正法違反の検挙件数は108件(5058件、▲97.9%)、検挙人員は96人(3987人、▲97.6%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は6403件(5910件、+8.3%)、検挙人員は4266人(3986人、+7.0%)
- 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数409人(330人、+23.9%)、ベトナム85人(51人、66.7%)、中国54人(57人、▲0.5%)、フィリピン27人(21人、+28.6%)、スリランカ22人(16人、+37.5%)、ブラジル22人(23人、▲4.3%)、インド21人(14人、+50.0%)、インドネシア19人(4人、+375.0%)、韓国・朝鮮15人(17人、▲11.8%)、バングラデシュ13人(6人、+116.7%)、パキスタン11人(13人、▲15.4%)
- 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は6113件(7059件、▲13.4%)、検挙人員総数は3119人(3724人、▲16.2%)
- 強盗の検挙件数は55件(60件、▲8.3%)、検挙人員は112人(117人、▲4.3%)、暴行の検挙件数は275件(321件、▲14.3%)、検挙人員は235人(286人、▲17.8%)、傷害の検挙件数は501件(622件、▲19.5%)、検挙人員は615人(755人、▲18.5%)、脅迫の検挙件数は190件(213件、▲10.8%)、検挙人員は177人(212人、▲16.5%)、恐喝の検挙件数は216件(248件、▲12.9%)、検挙人員は245人(270人、▲9.3%)、窃盗の検挙件数は2821件(3509件、▲19.6%)、検挙人員は444人(520人、▲14.6%)、詐欺の検挙件数は1192件(1174件、+1.5%)、検挙人員は620人(758人、▲18.2%)、賭博の検挙件数は47件(57件、▲17.5%)、検挙人員は109人(93人、+17.2%)
- 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は2922件(3263件、▲10.5%)、検挙人員総数は1785人(2162人、▲17.4%)
- 入管法違反の検挙件数は12件(22件、▲45.5%)、検挙人員は9人(22人、▲59.1%)、軽犯罪法違反の検挙件数は27件(39件、▲30.8%)、検挙人員は19人(36人、▲47.2%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は26件(65件、▲60.0%)、検挙人員は21人(66人、▲68.2%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は25件(37件、▲32.4%)、検挙人員は42人(50人、▲16.0%)、銃刀法違反の検挙件数は48件(53件、▲9.4%)、検挙人員は34人(35人、▲2.9%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は726件(192件、+278.1%)、検挙人員は354人(75人、+371.0%)、大麻草栽培規制法違反の検挙件数は15件(582件、▲97.4%)、検挙人員は10人(347人、▲97.1%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1633件(1827件、▲10.6%)、検挙人員は985人(1193人、▲17.4%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は132件(75件、+76.0%)、検挙人員は70人(30人、+133.3%)
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内閣官房 外国による偽情報等に関するポータルサイト
- 国際社会では、他国の世論や意思決定に影響を及ぼし、自国にとって好ましい情報環境を生み出すため、偽情報の拡散を含む影響工作が様々な形で展開されています。
- 我が国でも、一人ひとりが外国による偽情報のリスクを認識し、これに備えることが重要です。
- 本ポータルサイトは、外国による偽情報に関する実際の事例や対処法、関係省庁や外国政府等の取組を紹介しています。
- コンテンツ一覧
- 国家安全保障戦略に基づく体制の紹介
- 令和4年(2022年)12月に策定された国家安全保障戦略は「外国による偽情報等に関する情報の集約・分析、対外発信の強化、政府外の機関との連携の強化等のための新たな体制を政府内に整備する」と記載しています。これを踏まえ、外国による偽情報等の拡散への対処能力を強化するための体制を内閣官房に整備しています。
- 生成AI技術の進展等に伴い、これを悪用した外国による偽情報拡散を含む影響工作の脅威が増大していくことが懸念されるなど、対策の強化が必要であると認識し、令和7年(2025年)9月、政府における対応体制を強化することとしました。新しい体制では、内閣官房副長官の調整の下、内閣情報調査室、国家安全保障局、内閣官房副長官補室、内閣広報室、国家サイバー統括室、総務省、外務省、防衛省をはじめとする関係省庁が緊密に連携し、一体的に取組を推進していきます。
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厚生労働省 賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要
▼ 概況版
- 賃金の改定の実施状況
- 令和7(2025)年中における賃金の改定の実施状況(9~12月予定を含む。)をみると、「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業の割合は91.5%(前年91.2%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」は1.1%、「1人平均賃金は変わらなかった・変わらない」は1.0%、「賃金の改定を実施しない」は2.4%(同2.3%)、「未定」は3.9%(同6.4%)となっている。
- 労働組合の有無別にみると、労働組合ありでは「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」の割合は95.5%(同97.9%)、労働組合なしでは90.4%(同89.0%)となっている。
- 賃金の改定額及び改定率
- 令和7(2025)年中に賃金の改定を実施した又は予定していて額も決定している企業及び賃金の改定を実施しない企業について、賃金の改定状況(9~12月予定を含む。)をみると、「1人平均賃金の改定額」は13,601円(前年11,961円)、「1人平均賃金の改定率」は4.4%(同4.1%)となっている。
- 労働組合の有無別にみると、労働組合ありでは「1人平均賃金の改定額」は15,229円(同13,668円)、「1人平均賃金の改定率」は4.8%(同4.5%)、労働組合なしでは「1人平均賃金の改定額」は11,980円(同10,170円)、「1人平均賃金の改定率」は4.0%(同3.6%)となっている。
- 年次推移をみると、「1人平均賃金の改定額」、「1人平均賃金の改定率」ともに、平成23(2011)年調査以降増加傾向で推移し、令和2(2020)年、3(2021)年調査では減少したが、令和4(2022)年調査以降は増加している
- 定期昇給制度、ベースアップ等の実施状況
- 定期昇給制度の有無及び定期昇給制度の内容
- 令和7(2025)年中に賃金の改定を実施した又は予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業において、「定昇制度あり」の割合は81.2%、「定昇制度なし」の割合は17.7%となっている。
- 労働組合の有無別にみると、労働組合ありでは「定昇制度あり」の割合は92.3%、「定昇制度なし」の割合は7.3%、労働組合なしでは「定昇制度あり」の割合は77.9%、「定昇制度なし」の割合は20.7%となっている。
- また、定期昇給制度の内容をみると、「自動昇給」の割合が27.5%、「その他(業績評価など)」が72.4%となっている。
- 定期昇給の実施状況
- 令和7(2025)年中に賃金の改定を実施した又は予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業における定期昇給制度のある企業の定期昇給の実施状況をみると、「定昇を行った・行う」企業の割合は76.8%、「定昇を行わなかった・行わない」は2.6%、「定昇を延期した」が0.1%となっている。
- 労働組合の有無別にみると、労働組合ありでは「定昇を行った・行う」の割合は90.0%、「定昇を行わなかった・行わない」は1.3%、労働組合なしでは「定昇を行った・行う」の割合は72.9%、「定昇を行わなかった・行わない」は3.0%、「定昇を延期した」が0.2%となっている。
- ベースアップ等の実施状況
- 令和7(2025)年中に賃金の改定を実施した又は予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業のうち定期昇給制度がある企業について、ベースアップ(以下「ベア」という。)等の実施状況をみると、「ベアを行った・行う」企業の割合は57.8%、「ベアを行わなかった・行わない」は15.1%となっている。
- 労働組合の有無別にみると、労働組合ありでは「ベアを行った・行う」の割合は82.1%、「ベアを行わなかった・行わない」は9.9%、労働組合なしでは「ベアを行った・行う」の割合は49.4%、「ベアを行わなかった・行わない」は17.0%となっている。
- 定期昇給制度の有無及び定期昇給制度の内容
- 賃金の改定事情
- 企業活動の状況
- 令和7(2025)年8月1日現在の企業活動についてみると、「業況」が「良い」と回答した企業は35.3%、「さほど良くない」と回答した企業は51.2%、「悪い」と回答した企業は13.1%となっている。企業規模別にみると、企業規模が大きくなるほど「業況」が「良い」とする企業が多く、規模が小さくなるほど「業況」が「悪い」とする企業が多い。また、「原材料費・経費」については、すべての企業規模で「増加」と回答した企業の割合が7割を超えている。
- 賃金の改定に当たり最も重視した要素
- 令和7(2025)年中に賃金の改定を実施した又は予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素をみると、「企業の業績」の割合が41.7%(前年35.2%)と最も多くなっている。次いで「労働力の確保・定着」が17.0%(同14.3%)、「雇用の維持」が11.9%(同12.8%)となっている。
- 企業規模別にみると、すべての規模で「企業の業績」が最も多くなっている。
- 企業活動の状況
- 夏の賞与の支給状況
- 令和7(2025)年における夏の賞与の支給状況をみると、「支給した又は支給する(額決定)」企業の割合は88.4%(前年88.1%)、「支給するが額は未定」は4.6%(同3.9%)、「支給しない」は4.9%(同6.5%)となっている。
- 労働組合からの賃上げ要求状況
- 令和7(2025)年における労働組合がある企業の割合は22.0%(前年24.5%)となっている。労働組合がある企業について、労働組合からの賃上げ要求交渉の有無をみると、「賃上げ要求交渉があった」企業の割合は78.3%(同80.2%)、「賃上げ要求交渉がなかった」は18.1%(同15.6%)となっている。
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経済産業省 第18回日ASEANサイバーセキュリティ政策会議を開催しました
- 2025年10月8日(水曜日)、9日(木曜日)の2日間の日程で「日ASEANサイバーセキュリティ政策会議」(以下「政策会議」という。)を東京都内で開催しました。
- 政策会議は、サイバーセキュリティ分野における我が国とASEAN諸国との国際的な連携・取組を強化することを目的として、2009年以降、およそ一年に一度開催しているものです。
- 18回目の開催となる本年の政策会議では、各国のサイバーセキュリティ政策に関する取組の方向性について情報交換したほか、日ASEANで取組を進めている協力活動の成果を確認し、今後の更なる協力活動の在り方について議論しました。
- 日時等
- 日時・場所
- 2025年10月8日(水曜日)、9日(木曜日)於:東京
- 議長国
- 日本(髙見澤將林 笹川平和財団上席フェロー・東京大学客員教授)及びラオス人民民主共和国(カムラ・ソーナラット 技術通信省サイバーセキュリティ局サイバーセキュリティ庁長官)
- 出席者
- ASEAN加盟国のサイバーセキュリティ関係省庁及び情報通信関係省庁、ASEAN事務局、日本の国家サイバー統括室・総務省・外務省・経済産業省
- 日時・場所
- 主な成果
- ASEAN加盟国、ASEAN事務局及び日本のサイバーセキュリティ政策推進省庁の今後の取組方針を共有しました。また、昨年の政策会議において合意された以下の協力活動の活動成果を共有し、今後の協力活動の更なる推進を確認するとともに、官民含めて今後の日ASEAN間の連携を一層強化することについて合意しました。
- 日ASEANサイバーセキュリティ政策便覧の策定
- 重要インフラ防護ワークショップ
- 産官学連携
- 共同相互通知
- 日ASEANサイバー演習
- 共同意識啓発
- 能力構築
- ワーキンググループ運営
- ASEAN加盟国、ASEAN事務局及び日本のサイバーセキュリティ政策推進省庁の今後の取組方針を共有しました。また、昨年の政策会議において合意された以下の協力活動の活動成果を共有し、今後の協力活動の更なる推進を確認するとともに、官民含めて今後の日ASEAN間の連携を一層強化することについて合意しました。
- 今後の予定
- 第19回政策会議は、2026年10月頃にタイ王国にて開催予定です。
- 日時等
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総務省 利用者情報に関するワーキンググループ(第33回)
▼ 資料33-1 利用者情報の取扱いに関するモニタリング結果(案)
- 「利用者情報に関するワーキンググループ」は、今年度のモニタリングの実施及び結果を踏まえて、総務省による今後の利用者情報の取扱いに関するモニタリングについて、以下のとおり提言する。
- 「電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン」第52条第2項等に基づき、デジタル広告分野に限らず利用者情報の取扱いについて、継続的にモニタリングを行うべきである。
- 上記のモニタリングを行うにあたり、総務省において安定的な枠組みを作ることが必要である。
- 上記のモニタリングを行うにあたり、事業者からの情報提供が十分に得られるように、総務省においては、ヒアリング項目や方法の工夫を行うとともに、必要に応じ制度的な対応も検討すべきである。
- 上記のモニタリングを行うにあたっては、特に利用者保護の観点に立ち、AIの活用、サードパーティクッキーの代替技術といった新たなターゲティング手法の登場等の業界の動向を踏まえながら、利用者のプライバシーに与える影響に十分留意しつつ、プラットフォーム事業者における情報取得の方法等、利用者情報の取扱いについて確認していく必要がある。
- 上記のモニタリングを行うにあたり、利用者保護を確保する観点から、プライバシーポリシーをはじめとする利用者への情報提供について、(1)特にアカウントを保有していない利用者に対してどの程度実施されているか、(2)利用者の理解がどの程度進んでいるか、提供されているオプションなどの認知や利用がどの程度進んでいるか引き続き確認していく必要がある。
- 上記のモニタリングを行うにあたり、同意やオプトアウトの方法について、利用者目線でダークパターンになっていないかどうかの検証を具体的に行っていく必要がある。
- 上記のモニタリングを行うにあたり、プラットフォーム事業者のサービスの直接の利用者のみならず、それ以外のインターネット利用者の情報も幅広く収集され得るというデジタル広告の特性も踏まえ、プラットフォーム事業者による透明性の確保や本人へのオプションの提供等の取組が実効性のある形で行われているか更に確認していく必要がある。
- 2025年度モニタリング結果(案)(構成員からのご意見)
- ダークパターン
- ダークパターンについて、自社のサービスに関してかなり対応していると感じているが、その一方で、広告主や広告事業者への確認や働きかけはまだまだ非常に甘いと感じた。広告品質の向上にも関わることでもあり、ダークパターンとされる広告を掲載することは、自社の信頼にも悪影響を及ぼすことになると思う。広告事業者へのダークパターン取締りに関する質問といったものも追加するのがよい。【寺田構成員】
- デジタル広告については、本当に嫌になるほど頻繁に出て、本文を見たいのに表示されたり、閉じ方が分かりにくい、クリックする場所がおかしい、利用者が誤認してクリックしまうなど、いわゆるダークパターンと言われるものが本当に多く、個人的にはどんどん増えているような感がある。注視が必要。【木村構成員】
- ダークパターンについて、各社とも内部で検討していることはよく分かったが、ダークパターンは外延がはっきりしない概念なので、内部で検討してもある意味限界があると思う。むしろ利用者サイドがどう感じたかということが重要なので、そういう意味で、利用者目線でどうなっているかということを検証する仕組みが要るのではないかと思っており、お願いしたい。特にオプトアウトをしたい利用者は積極的に何か行動したいと思っているはずで、オプトアウトがうまくいかないというのは、利用者の意思が反映されていないことになる。【上沼構成員】
- 各社ともSPSIに書かれているダークパターンの例に、実際に抵触しているのではないか。上沼構成員指摘のとおり、利用者がどう思うかを検証する仕組みが必要だと思う。社内で、ダークパターンについて、ルールがあると言っても、事業者側が都合よくつくっているものがあっても仕方がないので、利用者がどう思うかというのをちゃんと検証する仕組みが必要で、SPSIの話は、今日は対象外なのかもしれないが、どこかで、SPSIに例示されているものはダークパターンに該当するのでやめてくださいと発信していく必要がある。【太田構成員】
- ダークパターンについて、先ほど御指摘あったとおり、各社で理解はまちまちかなという印象を受けた。事務局資料20頁で利用者目線という文言を入れたのはとてもよかった。もちろんダークパターンはその定義に不可視的に利用者目線というのは取り込まれていたはずだが、どうしても事業者目線が主観になってしまい、先ほど木村構成員が出していただいた例のようなものからも顕著に表われていたように思う。我々としては、SPSIなのか、ヒアリングに際してなのかはともかく、利用者の視点から、もう少しダークパターンについて丁寧に定義する必要があると思っている。【江藤構成員】
- AI
- 今回、AIを質問に追加し、非常に貴重なご知見を事業者の方からも多くいただいた。この分野もやはり広くAIと呼ばれるものを含めて、継続的に技術発展しているが、LINEヤフーから、LLMの利用に関する回答もあったが、お書きいただいているとおり、これはプラスの部分も、そして、もしかするとリスクになる部分、あるいはさらに外部からの把握が難しくなっている部分が、データの解析もそうであるし、また少し議論にもなったセンシティブな情報をいかにターゲティングに使わないのかということ、これもやはり様々なテクノロジーによって、そうした安全対策というものが取られる部分があろうところ、こうしたテクニカルな部分に関する粒度の高い理解の継続をしっかり力を入れてやっていけるとよい。【生貝主査代理】
- AI活用の方向性についても、各社の回答ではなお不透明な点がある。すなわち、これが利用者保護に資するものなのか、それともターゲティングをより精緻に、また、巧妙にする手段なのか。あるいはその双方なのかということが、これも事業者によってまちまちだったので、AI活用については、正直、1時間、2時間のヒアリングをしたところで、私たちのほうで全て把握できるほど簡単なスキームではないと考えるし、また、事業者のほうでも、今後どういうふうにAIモデルが動いていくかというのは、完全には把握し切れていないところがあると思うので、引き続き注視していく必要がある。【江藤構成員】
- 年齢確認
- こどものターゲティング広告は各社とも取組をしていたが、年齢確認の導入については、プラットフォーム側での限界も既に見えてきている。EUでは公的な年齢確認アプリが、既に今年テスト段階に入っていて、早ければ来年にも必須化されることになっている。日本でも行政主導でこのような取組を進めるべきではないか。【寺田構成員】
- 国際的な知見の活用
- 寺田構成員から、子供のターゲティングに関する欧州における取組を紹介いただいたが、やはりこの分野は様々な形で、国際的な制度が引き続き変化し続けている。例えばWGの中で少し申し上げた、データ・ポータビリティも、国際的にはデジタル市場法や、日本でもスマホ法を含めて、様々内外の制度環境が変化しており、国際的にどのような制度の動きがあり、それに対して事業者の取組の変化がどのようにあるのか。そういう意味で、デジタルサービス法がヨーロッパで適用が開始され、やはりターゲティングも非常に大きなイシューになっているところ、リスクの評価や軽減をその枠組みの中で様々取り組まれて、情報の公開も進んでいるので、そういった国際的な制度及びそれに基づいて生まれてくる知見を生かしながらモニタリングを続けていけるとよい。【生貝主査代理】
- ダークパターン
~NEW~
金融庁 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第2回)議事次第
▼ 資料3 事務局説明資料
- インサイダー取引規制の対象者の範囲拡大
- 第1回市場制度ワーキング・グループでは、会社関係者・公開買付者等関係者から内部情報の伝達を受けた者(第一次情報受領者)にとどまらず、第二次以降の情報受領者も規制対象とすることを検討すべきとの意見があった一方、規制内容が明確であることが重要である、第二次情報受領者を規制対象とすることについては慎重な検討が必要になる等の意見があった。
- 現行法では、第一次情報受領者については、会社関係者・公開買付者等関係者と特別の関係があると考えられることや潜脱行為の防止のため、規制対象とされている一方、第二次以降の情報受領者は、処罰の範囲が不明確とならないようにするべく、規制対象とされていない。
- この点、第二次以降の情報受領者まで対象者を拡大しなければ情報源に近い立場にある者による取引が規制対象から漏れてしまうおそれをどう考えるかが論点となる。
- 情報伝達・拡散の手段が変化していく中で規制対象を随時拡大することは規制が後追いになりかねないことや複数者を介在させることで規制を潜脱するおそれがあることも懸念されるものの、
- 会社関係者・公開買付者等関係者が内部情報を伝達する意思をもって当該情報の伝達を行った相手方については、他者を介在させた伝達であっても第一次情報受領者として捉える解釈をしていること、
- 米国・EUにおいても無限定に第二次以降の情報受領者を規制対象としておらず、関係者からの内部情報であることを知っていることを要するため、実質的に規制の広がりは限定的であると考えられること、
- 情報源と直接の関係がない場合も規制対象とすれば噂や推測による情報との峻別が難しくなり、情報受領者が不安定な立場に置かれることになり得るほか、噂や推測であると認識していたとの抗弁も容易にされ得るため、立証も困難となり得ること
- 等を踏まえると、第二次以降の情報受領者を規制対象とすることは、現時点では慎重に考える必要があるのではないか
- 公開買付者等関係者の範囲拡大
- インサイダー取引規制の趣旨は、上場会社・公開買付者等の内部情報を知り得る特別の立場にある者が当該情報を知り得ない一般の投資家と比べて著しく有利な立場で取引を行うことを規制することで、市場の公正性・健全性に対する投資家の信頼を確保することにある。
- 現行の公開買付者等関係者によるインサイダー取引規制においては、公開買付者等の内部情報(公開買付け等事実)を知り得る特別の立場にある者(公開買付者等関係者)として、公開買付け等事実への近接性を踏まえ、以下の者が規定されている。
- 公開買付者等の一定の関係者(公開買付者等の役員等、会計帳簿閲覧請求権者、法令に基づく権限を有する者、契約締結者・交渉者)
- 発行者・その役員等
- 公開買付け等においては、公開買付者等及び発行者を中心として、専門的知識や膨大な作業の必要性等により、これらの者の関係者が多く関与することになるところ、発行者の一定の関係者もその役員等に限らず未公表の公開買付け等事実を把握する蓋然性がある。
- そのため、発行者の役員等以外の一定の関係者についても、当該役員等と同程度に、公開買付け等事実への近接性があると考えられることから、公開買付け等事実を知り得る特別の立場にある者(公開買付者等関係者)として規制の対象とすることが適当ではないか(注)これにより、発行者の役員等以外の一定の関係者は、情報伝達・取引推奨規制の対象にもなる。
- 具体的には、公開買付者等の一定の関係者と同様に、発行者の役員等以外の一定の関係者を公開買付者等関係者に追加してはどうか
- その他、近年、投資証券(投資信託及び投資法人に関する法律に基づく投資法人の発行する証券)に係る公開買付け等の事例も見られるところ、公開買付者等・発行者が投資法人である場合の資産運用会社やその親会社は、当該投資法人の実質的な運営主体であり、公開買付者等・発行者である投資法人と同視できることを踏まえ、資産運用会社・親会社の一定の関係者も公開買付者等関係者に含めることとしてはどうか
- インサイダー取引規制における「親会社」の定義の見直し
- インサイダー取引規制上、上場会社・公開買付者等の「親会社」の関係者は会社関係者・公開買付者等関係者として規制の対象とされているところ、この「親会社」は直近の有報等に「親会社」として記載された会社と定義されており、有報等に記載されるべき「親会社」は「他の会社の意思決定機関を支配している会社」(議決権50%超所有の場合や議決権40%以上所有かつ一定の支配関係のある場合等)とされている。
- しかしながら、有報等の記載に依拠して「親会社」を定義することにより以下の問題が生じている。このため、インサイダー取引規制上の「親会社」を(有報等の記載に依拠せず)「他の会社の意思決定機関を支配している会社」とすることが適当ではないか。
- 有報等の提出後の支配の獲得が反映されないため、直近に上場会社・公開買付者等の支配を獲得した会社の関係者が次回の有報等の提出まで会社関係者・公開買付者等関係者(規制の対象)とならない。
- 公開買付け等事実の公表方法は法定されており、その一つとして、公開買付者等がその「親会社」である上場会社に要請して取引所での適時開示を行わせる方法が規定されている。しかし、公開買付者等が有報等の提出会社でなければ(注1)、有報等に記載された「親会社」は基本的にないこととなる(注2)。この場合、当該公開買付者等を支配する会社が上場会社であったとしても「親会社」ではないため、当該公開買付者等がその支配する会社に要請して取引所での適時開示を行わせたとしても「公表」したことにはならない。
- 公開買付け等において株券等の買付け等を行うことを目的とした新会社(SPC)を設立する場合等が想定される。
- この場合、当該公開買付者等を支配する会社の関係者が、当該公開買付者等の「親会社」の関係者とならず、公開買付者等関係者(規制の対象)とならないおそれもある。
- 課徴金における経済的利得相当額基準について
- 第1回市場制度ワーキング・グループでは、現行の課徴金の水準について、違反行為により得た経済的利得相当額を基準として規定していることについて、課徴金の基準額の引上げを検討すべき、経済的利得相当額に必ずしもこだわる必要はない等の意見があった一方、課徴金だけではなく制裁全体として見ていくべき、違反全般について課徴金額を引き上げることについては慎重かつ十分な検討を要するとの意見があった。
- 金融商品取引法における課徴金制度は、金融・資本市場における違反行為を的確に抑止し、規制の実効性を確保する観点から、金銭的な負担を課す行政上の措置として導入されたものであり(平成16年証券取引法改正)、行政上の制裁としての性質を有するものである。
- 現行法では、課徴金制度の目的が違反行為の抑止であることを踏まえて、予測可能性を踏まえつつ、現実の利得額から切り離された、一般的・抽象的に想定し得る経済的利得相当額を基準としている。
- 現実の利得額の測定が理論上可能である違反行為(相場操縦等・インサイダー取引等)につき、違反者の違反行為後の行動の巧拙等の影響を受けないよう、理論上の最大値を用いた仮定計算により経済的利得相当額と擬制される額を算定。
- 現実の利得額の測定が困難な違反行為(大量保有・変更報告書の不提出・虚偽記載等)につき、過去の実績値やデータ等を踏まえて、経済的利得相当額と擬制される額を算定。
- 課徴金の水準については、違反行為に対する抑止効果との兼ね合いで決定されるべきであり、違反者の手元に違反行為により得た経済的利得が残れば違反行為の抑止につながらないことになる。また、比例原則の観点から水準を設けるべきとの指摘もある。
- この点、直近の課徴金事案のデータを分析すると、相場操縦等・会社関係者によるインサイダー取引の課徴金額は、平均的に現実の利得額の5倍~2倍程度となっている。一方、公開買付者等関係者によるインサイダー取引の課徴金の水準は現実の利得額を僅かに上回る水準にすぎない状況にある。
- また、違反者については、違反行為が重大・悪質であれば刑事告発される可能性や、勤務先における懲戒解雇等の処分、退職金消失等の将来的な経済的損失、家庭崩壊その他の社会的不利益を受ける可能性がある等、課徴金以外の違反行為に対する抑止力が存在するため、課徴金の水準の抑止効果については、単に課徴金による期待損失だけではなく、上記の様々な社会的不利益の可能性も総合的に勘案されるべきものと考えられる。
- 近年導入された他法令における課徴金制度でも経済的利得相当額を基準に課徴金の水準が算定されていることを踏まえれば、課徴金の水準の抜本的な見直しも将来的な課題としつつ、まずは、現状において違反行為の抑止力を高めることが必要と考えられる以下の項目について、経済的利得相当額に関する算定方法を見直すことで課徴金の水準の実質的な引上げを図るべきではないか。
- 公開買付者等関係者によるインサイダー取引等の課徴金
- 大量保有・変更報告書の不提出・虚偽記載の課徴金
- 併せて、投資家が課徴金の水準だけで期待損失を判断することのないよう、不公正取引を行うことによる様々な社会的不利益の可能性について周知していくことが重要ではないか
- 公開買付者等関係者によるインサイダー取引等の課徴金の算定方法の見直し
- 会社関係者・公開買付者等関係者によるインサイダー取引規制においては、実際の譲渡益等(現実の利得額)ではなく、重要事実・公開買付け等事実の公表前に行われた取引の価格と、公表後の価格の差額を(自己の計算での)違反行為により得た経済的利得相当額と擬制して課徴金の額としている。
- 重要事実・公開買付け等事実の公表後の価格は、導入当初は当該事実の公表日翌日の終値であったが、平成20年金融商品取引法改正により、当該事実の公表後2週間における最大の価格とされ、課徴金の水準が実質的に引き上げられた。その際の考え方は以下のとおり。
- 違反者は、違反行為時点では、違反行為後の最大の価格で反対取引を行うことで利得の最大化を企図しており、その時点において違反者が観念する経済的利得相当額はこの理論上の最大値であること。
- 違反行為後の最大の価格については、主に会社関係者によるインサイダー取引規制における重要事実を念頭に、公表による市場価格への影響が2週間程度で収束すること
- 平成20年金融商品取引法改正による課徴金の水準の実質的な引上げ後も公開買付者等関係者によるインサイダー取引の事案は多く発生している状況である。
- 特に公開買付け等の実施の事実はその公表後から市場価格が急騰し、当該事実を未公表の段階で知った者は対象となる株券等の取引を行うことで利益を容易に得られることとなり、インサイダー取引を行うことへの誘因が強く働くことから、違反行為の抑止力を高める必要がある。
- この点、公開買付け等の実施の事実の公表による市場価格への影響は2週間程度で収束するとは限らず、その後の発行者との交渉による公開買付価格の引上げや対抗する別の公開買付け等の発生に伴って市場価格が更に上昇する可能性があり、また、このような事象は公開買付け等ではよく見られるため、当該事象を課徴金の算定方法に織り込むことで課徴金の水準を引き上げる余地があるのではないか
- 公開買付け等の実施に関する事実を知って株券等の買付けを行った公開買付者等関係者が違反行為の時点で期待し得る(最大の)経済的利得相当額は、公開買付け等の実施の事実の公表後の発行者との交渉による公開買付価格の引上げや対抗する別の公開買付け等の発生に伴う上昇後の市場価格で反対取引を行うことによる経済的利得相当額と考えられる。
- この点、公開買付け等の実施の事実の公表後の最大の価格について、公表後2週間ではなく公開買付け等の終了日までとすることが考えられるが、その場合、公開買付け等が終了しない限り課徴金の額が算定できず、迅速な執行を阻害することとなる(公開買付け等の実施に関する事実の公表から公開買付け等の終了まで1年半以上となる事例も存在)。
- そこで、公開買付け等の実施の事実の公表による市場価格への影響を標準化した割合(注1)を当該公表前の価格に乗じた額を基に算出することとしてはどうか。
- (注1)例えば、近年の公開買付けにおける公開買付価格の市場価格の上乗せ率の平均値の調査等により算出することが想定される(例えば、2024年7月から2025年6月までに全部の買付け等が成立した公開買付け(95件)における市場価格の上乗せ率は、平均約50%)。
- この場合、既存の課徴金の算定方法による課徴金の額の方が高い場合があり得るところ、違反行為の抑止の観点から、既存の課徴金の算定方法による課徴金の額はフロア(下限)とすることが適当か。
- (注2)なお、情報伝達・取引推奨の課徴金の算定方法(情報受領者等の利得相当額(インサイダー取引規制の課徴金と同様の算定方法)の半額)についても上記と同様の改正を行う想定
- 大量保有・変更報告書の不提出・虚偽記載の課徴金の算定方法の見直し
- 大量保有報告制度においては、株券等の大量保有者(株券等保有割合5%超)となった場合には大量保有報告書を提出し、その後、株券等保有割合が1%以上増減するなど一定の記載事項の変更(注)があった場合には変更報告書を提出しなければならないこととされている。
- 大量保有報告制度における課徴金の対象となる違反行為は以下のとおりであり、課徴金は時価総額(提出期限(日)の翌日の株券等の最終の価格(終値)に発行済株式総数を乗じて得た額)の10万分の1により算定される。
- 大量保有・変更報告書の不提出
- 重要な事項につき虚偽記載のある大量保有・変更報告書の提出
- 上記の水準は、大量保有・変更報告書の提出により株券等の取引に追随者が生じて市場価格が変動することを前提に、その不提出・虚偽記載により市場価格の変動を抑制して取引することによる取引コストの節減額を経済的利得相当額と擬制して規定したものであり、具体的には(1)に(2)を乗じた額としたものである。
- 市場価格の変動の抑制額:導入当時の事例分析における大量保有・変更報告書(東証一部上場会社株式に係るもの)の提出直後の市場価格への影響が平均約1%であったため、1株当たりの市場価格の変動の抑制額は提出期限(日)の株券等の最終の価格(終値)の1,000分の1と仮定。
- 取引可能数量:株券等保有割合の1%以上の増減ごとに新たな変更報告書の提出義務が発生することを踏まえ、一の大量保有・変更報告書の不提出により市場価格の変動を抑制して取引可能となる数量を発行済株式総数×100分の1と仮定
- 現行の大量保有・変更報告書の不提出・虚偽記載の課徴金の水準は、提出遅延等を意図的に行う悪質な事案に対する十分な抑止力が働かない一方、提出を失念した場合に、その重要性の如何を問わず、前記の算定方法による課徴金が一律課されることとなり、過剰な規制となっている面も見られるため、
- 大量保有・変更報告書の不提出(注1)については、より抑止力を高めるべき違反行為に課徴金の対象を限定した上で、
- 大量保有・変更報告書の不提出・虚偽記載の課徴金について、抑止力を高めることが適当ではないか。
- (注1)大量保有・変更報告書の虚偽記載については、既に課徴金の対象が重要な事項の虚偽記載に限定されている。
- 高速取引行為による相場操縦等の課徴金の算定方法の見直し
- 高速取引行為(有価証券の売買等であって、電子的かつ自動的な判断に基づいて行われ、かつ、取引所等に対する電子的伝達が短縮されるもの)は、その性質上、高速・高頻度で大量の発注・取消しを伴うものであるが、これを用いた相場操縦等については、例えば、以下の既存の規制の違反となり得る。
- 偽計の禁止:有価証券の売買等のため、又は相場の変動を図る目的をもって、偽計を用いてはならない。
- 仮装取引・馴合取引による相場操縦の禁止:上場有価証券の売買等の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的をもって、仮装取引・馴合取引又はその委託等若しくは受託等をしてはならない。
- 現実取引による相場操縦の禁止:上場有価証券の売買等を誘引する目的をもって、上場有価証券の売買等が繁盛であると誤解させ、又は取引所市場における相場を変動させるべき一連の上場有価証券の売買等又はその申込み、委託等若しくは受託等をしてはならない。
- これらの(自己の計算による)相場操縦等に対する課徴金は、他の相場操縦等と同様、以下の(1)及び(2)の合計額(偽計及び仮装取引・馴合取引による相場操縦は㋑のみ)により算定され、1万円未満の端数は切捨処理となる。
- 違反行為中(違反行為開始時から終了時まで)に確定した利益
- 違反行為終了時点のポジションの評価額(違反行為終了後1カ月間の最大値で反対取引すると仮定して算出した差益)
- 【高速取引行為の取引の傾向】
- 高速取引行為を行う者は、マイクロ秒単位で競い合い、高速・高頻度に注文を繰り返して薄利の取引を大量に行う傾向にあり、また、超短期的なリスクと向き合うため、ポジションの偏りを日中で解消し、翌日まで持ち越さないという傾向にある。
- 2019年6月~2023年3月までの高速取引行為者の利益を銘柄ごと/日ごとに集計したところ、左図のとおり、1銘柄・1日あたりの利益額は1万円未満が大半(約80%)を占めている。
- 他人名義口座の提供を受けるなどして不公正取引を行う者に対する課徴金の水準の引上げ
- 不公正取引における課徴金の算定方法においては自己名義口座を利用した場合と他人名義口座を利用した場合を特段区別せず、いずれも不公正取引によって得られる経済的利得相当額を課徴金の額としている。
- しかし、不公正取引を行う者は、自身の特定を困難とし、自らの違反行為の発覚を免れることを目的として他人名義口座を利用するものと考えられ、これにより、違反行為への心理的障壁が通常よりも低くなるため、このような事案に対しては、通常の事案よりも高い抑止力が必要となる。
- この点、課徴金の水準については、制度の目的が違反行為の抑止であり、違反行為により得た経済的利得相当額を基準としつつも抑止効果との兼ね合いで決定されるべきところ、他人の名義をもって不公正取引を行った者については、違反行為への心理的障壁・抑止力を通常よりも高めるべく、違反行為を繰り返した場合は課徴金の額を5倍としていること等も参考にしつつ、課徴金の水準を引き上げることとしてはどうか。
- 口座の提供等の協力行為を行った者への課徴金の新設
- 不公正取引を行う者に対して口座を提供する者は、刑事罰においては不公正取引の幇助犯が成立し得る一方で、このような協力行為は現行制度上は課徴金の対象となっていない。
- しかし、口座の提供等(資金の提供も想定)の協力行為は事案を複雑化し、違反行為の発見逃れを容易にし、又は違反行為を助長するものであり、また、口座の開設時に厳正な本人確認手続が求められている等の昨今の状況下にあっては、口座の提供等の協力行為を要請する者が何らかの不正行為を行うことは容易に認識し得ると考えられる
- そのため、不公正取引を抑止する上では、不公正取引を行おうとすることを知りながら口座の提供等の協力行為を行うことに対する抑止を図るため、例えば、情報伝達規制の違反者に対して情報受領者の利得相当額の半額を課徴金として課していること等も参考にしつつ、そうした協力行為を行う者に対する課徴金を新設することが適当ではないか。
- その際には、上記の新設する課徴金については、正犯行為である不公正取引の早期発見につながるよう、課徴金減算制度の対象とすることとしてはどうか
- 出頭を求める権限の追加
- 現行制度上、不公正取引規制違反等の課徴金に関する調査権限や緊急差止命令の申立て等に関する調査権限においては、報告徴取等の権限とともに出頭を求める権限が規定されているが、開示検査・証券検査や外国金融商品取引規制当局に対する調査協力の権限においては、報告徴取等の権限は規定されている一方、出頭を求める権限は規定されていない。
- 金融庁は、MMoU(各国証券監督当局間の協議・協力及び情報交換に関する多国間覚書)には署名しているが、出頭強制の権限等が追加されて強化(Enhanced)されたEMMoUについては、上記のとおり当該権限を有しておらず、署名のための要件を満たしていないところ、外国規制当局との法執行協力においては相互主義が原則であるため、外国規制当局と対等な情報交換が可能な態勢を整備する必要がある。
- また、開示検査・証券検査においても、以下のような事案に対する調査権限の強化が必要となっている。
- 関係者への面談要請に対し、面談約束日時の直前にリスケやキャンセルを繰り返し応じないケースや当局からの連絡に対し不通になる事案。
- 検査対象会社の役員に任意的な出頭を要請したところ、拒否されるとともに、捜査令状のような強制力を持つ文書を求められた事案。
- 代表取締役に面談を要請したところ、海外滞在中を理由に長期にわたり面談を断られた事案。
- そこで、開示検査・証券検査や外国金融商品取引規制当局に対する調査協力の権限に出頭を求める権限を追加することとしてはどうか
- 金融商品取引業の無登録業等に対する犯則調査権限の追加
- 金融商品取引法における犯則調査権限は平成4年証券取引法改正により証券取引等監視委員会の設置とともに創設されたものであり、この犯則調査権限により、証券取引等監視委員会の職員は、犯則事件を調査するため必要があるときは、犯則嫌疑者等に対して出頭を求め、質問をし、その物件を検査・領置でき、また、裁判官の発する許可状により、臨検・捜索・差押えをすることが可能となる。
- 上記の趣旨は、取引の公正の確保という行政目的の実現や証券取引等監視委員会の職員が事件の解明に必要な専門的知識・能力を有すること等にあるところ、不公正取引等の罪に係る事件が有価証券の売買等の公正を害するものとして犯則事件とされているが、金融商品取引業の無登録業等の罪に係る事件は犯則事件とされていない。
- この点、平成4年当時は、証券業の無免許営業(現在の金融商品取引業の無登録業等に相当するもの)は有価証券の売買等の公正を害するものや調査に専門的知識・能力を要するものとまでは考えられていなかったが、
- その後、金融商品取引業の無登録業等の実態に応じて順次罰則の強化及び民事効規定等を導入してきた経緯を踏まえれば、現在においては、金融商品取引業の無登録業等は有価証券の売買等の公正を害する蓋然性があるものと考えられること、
- 複雑化する金融商品取引業の無登録等の事案の解明には専門的知識・能力が必要となっており(注)、近年の事案においては、金融商品取引業の無登録業と複雑化・巧妙化する不公正取引(偽計・相場操縦等)が同時に行われており、より一層の専門的知識・能力を活用することが要請されていることを踏まえ、金融商品取引業の無登録業等の罪に係る事件を犯則事件に追加することとしてはどうか。
- (注)その対応として、例えば、平成20年金融商品取引法改正においては、裁判所への緊急差止命令の申立て及びそのために必要な調査の権限が金融庁から証券取引等監視委員会へ委任された
- 他方、犯則事件とされていない金融商品取引法のその他の罪に係る事件については、現時点で違反事案が多く発生するなどの事象は顕在化しておらず、今後もそうした事案は限定的と考えられるため、証券取引等監視委員会の職員の専門的知識・能力を活用することに対する社会的要請が強いとまではいえないか。
~NEW~
金融庁 金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall 2025)について
- 金融分野のサイバーセキュリティを巡る状況
- 世界各国において大規模なサイバー攻撃が発生しており、我が国においても、サイバー攻撃による業務妨害、情報の窃取、金銭被害等が発生
- こうしたサイバー攻撃の脅威は、金融システムの安定に影響を及ぼしかねない大きなリスクとなっており、金融業界全体のインシデント対応能力の更なる向上が不可欠
- 金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall 2025)
- 2025年10月、金融庁主催による10回目の「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習」(Delta Wall 2025(注))を実施
- (注)Delta Wall:サイバーセキュリティ対策のカギとなる「自助」、「共助」、「公助」の3つの視点(Delta)+防御(Wall)
- インシデント対応能力の底上げを目的として、演習未実施の中小金融機関の参加を促した結果、過去最多の177先が参加
- シナリオについては境界型防御の限界を踏まえた内部対策やゼロトラスト(※)の意識の向上を図ることが目的の一つ
- 昨年度に引き続き、テレワーク環境下での対応も含めたインシデント対応能力の向上を図るため、参加金融機関は自職場やテレワーク環境下で演習に参加
- 2025年10月、金融庁主催による10回目の「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習」(Delta Wall 2025(注))を実施
- 演習の特徴
- インシデント発生時における初動対応、攻撃内容の調査・分析、顧客対応、復旧対応等の業務継続を確認
- 参加金融機関がPDCAサイクルを回しつつ、対応能力の向上を図れるよう、具体的な改善策や優良事例を示すなど、事後評価に力点
- 本演習の結果は、参加金融機関以外にも業界全体にフィードバック
- 演習スキーム【演習シナリオの概要】
- 銀行、信金・信組・労金(ブラインド方式のため非開示)
- 証券:サイバー攻撃により顧客情報漏えいが発生
- 資金移動業者・前払式支払手段発行者:サイバー攻撃により顧客資産の流出が発生
- 暗号資産交換業者:サイバー攻撃により暗号資産の流出が発生
~NEW~
金融庁 投資詐欺等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等
- SNSを通じて知り合った人からの勧誘
- 相談事例
- SNSを通じて知り合った人から誘われ投資をしたが、儲けを引き出せない。引き出すには手数料等(保証金、税金、認証料)を払えと言われている。
- 同様に、マッチングアプリで知り合った者や著名人を騙る者、実在する金融機関を詐称する者等を通じて投資勧誘を受けて、金融商品取引業や暗号資産交換業の登録等を受けていない業者とFXや暗号資産などの投資商品に係る取引を行った結果、損害を被った等という相談が多く寄せられています。
- 主な手口
- SNS(Facebook、Instagram等)上の偽広告やURLをクリックすると、LINEのグループへの参加や詐欺サイトへのアクセスを誘導されます。また、個人のLINEアカウントやSMSに突然連絡が来るケースも確認されています。多くの場合に犯人グループと個人間のやり取りに持ち込もうとしてきます。
- LINEのグループに参加した場合には、グループ内で特定の銘柄の投資勧誘が行われたり、口座開設や入金を要求されたりします。LINEのグループ内では、犯人たちがいわゆるサクラとして複数のアカウントを使って投資が成功しているかのように装い、参加者が投資を行いたくなるように仕向けるケースもあります。このとき、個人名義の口座に入金を指示されたり、暗号資産を送らせたりするケースもあります。
- その後、しばらくは利益が出たように装い、少額の出金ができることもありますが、安心、信用して高額な入金をしたり、高額な出金要請をすると、突然、連絡が取れなくなったり、口座凍結を解除するためと称して、手数料、保証金や税金の支払いといった名目で、さらに高額な入金(被害者が認識させられている財産額の2~3割程度であることが多い。)を要求されるケースが多くみられます。こうしたケースでは、追加入金しても、投資した金銭や追加で支払った金銭を回収することは難しく、その後は、連絡が取れなくなったという事例が金融庁にも多く寄せられています。
- 相談事例
- 主に若者向けのマルチ商法的な勧誘
- 相談事例
- 友人や先輩から「投資の知識が得られる」と誘われ、講習に参加したら投資(FX、バイナリーオプション、暗号資産等)を勧められて、海外無登録業者を紹介された。
- 友人から誘われたセミナーで投資話を断れず借金した!これってマルチ商法?(消費者トラブル解説集)(国民生活センター)
- 相談事例
- 身近な人からのマルチ商法的な勧誘
- 相談事例
- 同僚や家族や親戚から、NFT、バーチャルゲームなどの新規事業の投資に誘われて、未公開暗号資産などに投資した。
- 相談事例
- ロマンス詐欺
- 相談事例
- マッチングアプリ等で知り合った人から暗号資産や等の投資を勧められ、送金したところ、相手と連絡が取れなくなった。
- 「愛してるから投資して」っておかしくない!?-マッチングアプリ等で知り合った人に騙されないためのチェックリスト-(発表情報)(国民生活センター)
- 相談事例
- タスク副業詐欺
- 相談事例
- 副業でSNS投稿や動画をみるだけの副業のつもりが、タスクに参加して、海外の無登録業者へ暗号資産を送っていた。
- 「タスク副業」で報酬が支払われるとうたい、実際には高額を送金させる事業者に関する注意喚起(消費者庁)
- 相談事例
- 上記1~5に対するアドバイス
- まず、金融商品取引業や暗号資産交換業等の登録を受けている業者かどうかを確認してください。
- ※登録を受けている業者を確認したい方は、「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」をご覧ください。
- 詐欺等に巻き込まれる可能性が高いことから、金融庁では、無登録業者とは、一切関わりにならないよう注意喚起している。
- ただし、登録があることだけでは、その業者が安心して投資できる業者であることの保証にはなりません。投資の内容について、不審な点(高利回りを約束したり、におわせたりするなど)がないか、ご自身で冷静に判断いただきたいと思います。
- また、登録業者を騙った、なりすまし詐欺の事例も、多く寄せられていますので、ご注意ください。
- 一般的には、こうした詐欺によって一旦送金してしまうと、被害の回復はかなり難しいといわれていますので、少しでも不審な点が見受けられた場合には、投資を見合わせる(送金しない)ことをお勧めします。
- 少しでも、おかしい、不審だと感じたときには、送金する前に金融庁相談室や消費生活センターに、まず、ご相談ください。
- 投資をした後に騙されたとお考えになるのであれば、警察に相談してください。また、返金等を求めるのであれば、消費生活センターや各地の弁護士会に相談してください。
- 被害回復をうたい、接近してくる者の中に、詐欺グループの一員がいて、さらなる被害(二次被害)に遭ったとの事例も寄せられていますので、十分、ご注意ください。
- 関係機関注意喚起サイト
- 投資詐欺にあっていませんか?(チェックリスト)
- SNSで勧誘する「もうけ話」は詐欺です!(政府広報、警察庁)
- 詐欺にあった(あっている)と感じたら
- 相手が指定した個人名義等の銀行口座に振り込んだ方は、「振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ」
- 運転免許証の情報を渡してしまったら、警察相談専用電話「#9110」
- 口座情報等を渡してしまったら、お取引の金融機関へ
- クレジットカード情報を渡してしまったら、お取引のクレジットカード会社へ
- マイナンバーカードを渡してしまったら、マイナンバー総合フリーダイヤル 0120-95-0178
- ※平日9時30分から20時00分まで 土日祝日(12月29日から1月3日までを除く) 9時30分から17時30分まで
- 一部IP電話等でつながらない場合は、050-3818-1250
~NEW~
消費者庁 「カスタマーハラスメント防止のための消費者向け普及・啓発活動」ページに政府広報オンラインのリンク情報を追加しました。
- POINT
- 近年、顧客などからの暴行やひどい暴言、不当な要求など「カスタマーハラスメント(いわゆるカスハラ。以下、「カスハラ」という。)」が社会問題化しています。これを受け、令和7年(2025年)6月には法改正が行われ、企業等にはカスハラ防止のため、雇用管理上、必要な措置を講じることが義務付けられることになりました。企業等が講ずべき措置の具体的な内容については今後法律に基づく指針で定められますが、ここではカスハラに該当しうる例や、改正法の内容、企業等・従業員・顧客それぞれが留意すべきことや対応の例などをご紹介します。
- カスハラとは
- 一般に、顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為を「カスハラ」といいます。
- 本来、顧客などからのクレームは、商品・サービスや接客態度などに対し不満などを訴えるもので、それ自体が問題とはいえず、業務改善や新たな商品開発などにつながるものでもあります。しかし、クレームの中には、過剰な要求を行ったり、商品・サービスに不当な言いがかりをつけたりするものもあります。そのような不当・悪質なクレームはカスハラに該当する可能性があり、従業員本人に過度なストレスをかけるほか、企業等にも多大な損失を招くことが想定されるため、企業等はこれらから従業員を守る対応をとることが求められます。
- カスハラに該当しうる例
- 業種や業態により態様は異なりますが、一般にカスハラに該当しうるものとして、以下のような場合や言動が想定されます。(厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」より)
- 顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合
- 企業等の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合要求内容が、企業等の提供する商品・サービスとは関係がない場合
- 要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な言動
- 要求内容の妥当性にかかわらず不相当とされる可能性が高いもの
- 身体的・物理的な攻撃(暴行・傷害)
- 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)
- 威圧的な言動
- 継続的な、執拗な言動
- 拘束的な言動(不退去、居座り、監禁)
- 差別的な言動
- 性的な言動
- 従業員個人への攻撃・要求
- 土下座の要求
- 要求内容の妥当性に照らし不相当とされる場合があるもの
- 商品交換の要求
- 金銭補償の要求
- 謝罪の要求(注)土下座の要求は要求内容の妥当性にかかわらず不相当とされる可能性が高いものと想定されています。
- なお、カスハラに類する行為は、暴行罪、器物損壊罪などの犯罪行為にも該当する可能性があります。
- 要求内容の妥当性にかかわらず不相当とされる可能性が高いもの
- 顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合
- 業種や業態により態様は異なりますが、一般にカスハラに該当しうるものとして、以下のような場合や言動が想定されます。(厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」より)
- 企業が悩む顧客等からの行為
- 厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」より、実際に企業が受けたカスハラに類する行為として、次のような行為が確認されました。
- 長時間の電話
- 頻繁に来店し、その度にクレームを行う
- 大声での恫喝、罵声、暴言を繰り返す
- 当初の話からのすり替え、揚げ足取り、執拗な攻め立て
- 物を壊す、殺すといった発言による脅し
- インターネット上の投稿(従業員の氏名公開)など
- 従業員からの相談の増加
- 厚生労働省の「職場のハラスメントに関する実態調査(令和5年度(2023年度))」によると、過去3年間に従業員から「顧客等からの著しい迷惑行為」(カスハラ)の相談があったと回答した企業の割合が27.9%と前回(令和2年度(2020年度))調査に比べ、8.4ポイント増加しています。
- また、顧客等からのカスハラがあったと判断した企業において、具体的な事例として「継続的、執拗な言動」、「威圧的な言動」、「精神的な攻撃」などを挙げています。
- 改正法のポイント
- こうした中で、カスハラ対策の強化が改正労働施策総合推進法別ウインドウで開きますに盛り込まれ、法律の公布日(令和7年(2025年)6月11日)から1年6か月以内に施行予定です。
- 改正法では、カスハラ対策がハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務別ウインドウで開きますとされ、今後、企業等が措置を講ずるに当たっての指針を国が示し、具体的な対策を進めていくこととされています。
- また、カスハラに係る国・事業主の責務に加えて、労働者や顧客等の責務も定められています。
- なお、改正法においてカスハラとは、以下の3点を全て満たすものであるとされています。
- 職場において行われる、顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者の言動であって、
- その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、
- 当該労働者の就業環境を害すること
- 企業等におけるカスハラ対策の基本的な枠組み
- カスハラを想定した事前の準備
- 従業員を守るという企業等の基本方針・姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
- カスハラを受けた従業員の相談対応体制の整備
- 対応方法、手順の策定
- 従業員への社内対応ルールの教育・研修
- 実際にカスハラが起きた際の対応
- 事実関係の正確な確認と対応
- カスハラを受けた従業員への配慮措置
- 再発防止の取組
- 以上の(1)から(7)と併せ、相談した従業員のプライバシー保護措置を講じ、相談者である従業員に対し不利益な取扱いをしないことを定め、従業員に周知
- カスハラを想定した事前の準備
- 業界共通の対応方針作り
- また、業種・業態によりハラスメントの態様も異なる中で、各業界での足並みを揃えた取組も重要です。厚生労働省ではカスハラ対策に関心を持つ業界団体等による対策を支援するためのモデル事業の中で、業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアルを作成しています。令和6年度(2024年度)はスーパーマーケット業編を作成し、令和7年度(2025年度)は宅配業編を作成予定です。マニュアルには、業界におけるカスハラの実態、カスハラに対する業界共通の方針等が掲載されています。
- また、各業界が自ら対策マニュアルを作成する上で役立つ「業種別カスタマーハラスメント対策マニュアルの策定手順例」も提供しています。
- 「業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(スーパーマーケット業編)」及び「業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアルの策定手順例」は、ポータルサイト「あかるい職場応援団別ウインドウで開きます」に掲載されています。
- 顧客対応の改善も課題
- 一方で、顧客などからの商品・サービスの問題点や欠陥の指摘に対し、従業員の対応のまずさがきっかけとなり、カスハラに至るケースも少なくありません。厚生労働省が令和6年(2024年)に行ったスーパーマーケット業界におけるカスタマーハラスメントの実態把握調査(企業調査)によると、「カスハラに発展した原因」の上位は「顧客対応・サービス等の遅延」(71.2%)、「対応者の説明・コミュニケーションの不足」(63.6%)の順で、対応・サービス提供側の不備がきっかけになっている場合も多いという結果でした。カスハラを予防するためには、従業員研修などを通じた顧客対応力強化、苦情・クレームがあった場合の対応マニュアルの整備などとともに、対応者を一人にさせないことや組織として対応することも効果的であると考えられます。
- なお、カスハラ対策を講じるにあたっては、消費者の権利を阻害してはならないことや、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」に基づく合理的配慮の提供義務を遵守する必要があることにも注意が必要です。
- コラム:名札の変更
- 従業員が身に付ける名札から個人が特定されてカスハラの攻撃対象にされないよう、名札の表示方法を変更する企業や地方自治体が増えています。
- このうち、厚生労働省の「あかるい職場応援団」で紹介する飲食業の事例では、「店舗スタッフが名札の情報を基にSNSで検索され、付きまとわれる」というトラブルをきっかけに対策が検討され、以前は氏名のうち、名を漢字やひらがな等で表記していましたが、トラブル後はイニシャル表記に変更されました。名札自体をなくす案もありましたが、スタッフ間の円滑なコミュニケーションのため、名札の記載内容を変更しました。
- 顧客がカスハラ加害者とならないためのコミュニケーションとは
- 本来、顧客である消費者が企業等に正当な意見を伝えることは、商品・サービスの改善を促すことなどにつながり、特に、企業等が提供する商品・サービスに対する申入れは、消費者としての正当な権利に当たります。しかしながら、顧客からの従業員等に対する暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求といった著しい迷惑行為は、従業員等に過度な精神的・肉体的ストレスをかけ、さらに時間や金銭等多大な損害を招き、その就業環境を害するものです。
- 顧客が企業等に対して正当な意見を伝える適切な方法を理解することで、顧客の声は企業等に受け止められ、顧客と企業双方の信頼関係が構築されます。消費者庁では、顧客と従業員などとの間で「勘違い」「すれ違い」を招かない上手なコミュニケーションがカスハラ問題の解決の糸口になるとした考えを盛り込んだ啓発冊子「ぼのぼのと考えよう カスハラってなんのこと?」を公表しています。その中で、「上手な意見の伝え方チェックリスト」として、次の5つのポイントを紹介しています。
- ひと呼吸、おこう
- 感情的な言動にならないように、まずはひと呼吸おいて冷静に。気持ちを落ち着けましょう。
- 具体的に伝えよう
- 何を、どのようにしてほしいのか、また、その理由について、相手に分かるように具体的に伝えましょう。暴力や暴言は論外です。
- 相手の話を最後まで聞こう
- 一方的に話をしていませんか。相手の言い分や理由を最後までしっかり聞いて、理解するようにしましょう。
- 相手(従業員など)の立場を理解しよう
- 担当者によってはすぐに対応ができない場合もあるかもしれません。
- 相手に敬意を持って接しよう
- 顧客も従業員も同じ「人間」です。行き過ぎた言動によって傷ついてしまいます。お互いに敬意をもって、相手を思いやり、尊重し合うことが大切です。
- もし、ヒートアップしそうになった場合には、このチェックリストを思い出してください。従業員と顧客の間では、それぞれの立場で言いたいことも様々ありますが、どちらか一方を間違いと決めつけることは困難です。相手とは問題解決を目指す「お互いさま」の関係です。「勘違い」「すれ違い」を招かない上手なコミュニケーションを図ることで、トラブルを減らしましょう。
- ひと呼吸、おこう
- まとめ
- 企業等の従業員が職場において、顧客との対応で過度なストレスなく働けるよう、カスハラ対策が急務になっています。カスハラを防止するためには、改正労働施策総合推進法に規定されたように、企業等だけではなく、従業員や顧客も、相手の立場も理解しようという姿勢を持ち、自分の言動に注意を払うという心掛けが欠かせません。また、社会通念上相当な範囲での正当なクレームはカスハラに当たらず、企業等の商品・サービス改善につながれば社会にメリットをもたらします。商品・サービスをめぐって意見が合わないことがあっても、ヒートアップしないようお互いさまの気持ちを持ち、理解しながら、カスハラ防止に取り組みましょう。
~NEW~
消費者庁 株式会社テレビ新広島に対する景品表示法に基づく措置命令について
- 措置命令の概要
- 対象役務
- 令和6年11月15日から同月17日までの間及び同月22日から同月24日までの間に「ひろしまゲートパークプラザ」と称するイベント会場で実施した「ひろしまラーメンスタジアム2024」と称するラーメン等を提供するイベント(以下「本件役務」という。)
- 対象表示
- 表示の概要
- 表示媒体
- 別表「表示媒体」欄記載の表示媒体
- 表示期間
- 別表「表示期間」欄記載の期間
- 表示内容(表示例:別紙)
- 例えば、令和6年11月10日に配布された日刊新聞紙に折り込んだチラシにおいて、「麺部屋 綱取物語 横綱チャーシューと炙り角煮の濃厚札幌味噌」、「北海道【札幌】 味噌 広島初」等と表示するなど、別表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務において出店していた同表「店舗名」欄記載の店舗が広島県内に初出店であるかのように示す表示をしていた。
- 表示媒体
- 実際
- 実際には、別表「店舗名」欄記載の店舗は、過去に広島県内で開催された本件役務と同種又は類似のイベントに出店した経歴があり、広島県内に初出店ではなかった。
- 命令の概要
- 前記の表示は、前記⑵イのとおりであって、本件役務の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
- 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
- 今後、同様の表示を行わないこと。
- 表示の概要
- 対象役務
~NEW~
消費者庁 株式会社NOVAランゲージカンパニーに対する景品表示法に基づく措置命令について
- 措置命令の概要
- 対象役務
- 別表1記載のコース(以下「本件役務」という。)
- 対象表示
- 表示の概要
- 表示媒体
- 「NOVA駅前留学。」と称する自社ウェブサイト(以下「自社ウェブサイト」という。)
- 表示期間
- 別表2「表示期間」欄記載の期間
- 表示内容(表示例:別紙1及び別紙2)
- a 自社ウェブサイトにおいて、例えば、「おためし留学」と称するコース(以下「おためし留学」という。)について、令和6年9月1日から同月30日までの間、「入会金 一般 20,000円(税込22,000円)→ 0円」と表示するなど、別表2「表示期間」欄記載の期間に、同表「対象コース」欄記載のコースについて、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、「税込22,000円」と称する価額は、同表「対象コース」欄記載のコースを受講するために「NOVA」と称する英会話教室(以下「英会話教室NOVA」という。)へ入会する者が通常支払うべき費用であり、実際に支払うべき費用が当該通常支払うべき費用に比して安いかのよう示していた。
- b 自社ウェブサイトにおいて、例えば、「NOVAバイリンガルKIDS」と称するコース(以下「NOVAバイリンガルKIDS」という。)について、令和6年9月1日から同月30日までの間、「入会金 KIDS 10,000円(税込11,000円)→ 0円」と表示するなど、別表3「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示内容」欄載のとおり表示することにより、あたかも、「税込11,000円」と称する価額(以下「税込22,000円」と称する価額と併せて「本件通常入会金」という。)は、NOVAバイリンガルKIDSを受講するために英会話教室NOVAへ入会する者が通常支払うべき費用であり、実際に支払うべき費用が当該通常支払うべき費用に比して安いかのように表示していた。
- 表示媒体
- 実際
- 本件通常入会金は、本件役務を受講するために英会話教室NOVAへ入会する者に対し、最近相当期間にわたって支払わせた実績のないものであった。
- 表示の概要
- 命令の概要
- 前記の表示は、前記のとおりであって、本件役務の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
- 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
- 今後、同様の表示を行わないこと。
- 対象役務
~NEW~
消費者庁 消費者向け食べ残し持ち帰り促進ガイドラインに関する研修会 資料掲載のお知らせ
▼ 資料_消費者向け説明用_食べ残し持ち帰り促進ガイドライン説明資料
- 基本的な考え方
- 前提
- 食品ロス削減の観点からは、その場で食べきることが最も重要。
- 消費者:食べきれる量を注文するなどの行動が求められる。
- 飲食店:小盛や小分け商品の提供などの工夫が求められる。
- 食べきりの取組を実践してもなお、食べきれなかったものについては、持ち帰って食べることが、食品ロス削減の観点からは一つの有効な方法。
- 双方の協力と理解
- 飲食店:従業員及び消費者に食べ残し持ち帰りについての基本的な考え方及び目的の周知を行う。
- 消費者:食中毒に対する正しい理解と自己責任の下に食べ残し持ち帰りを行う。
- 事業者及び消費者が、双方の協力と理解の下、本ガイドラインにおける留意すべき事項も参考にし、食べ残し持ち帰りの取組を行うことで、双方の食べ残し持ち帰りに対する意識の変化や行動変容を期待。
- 前提
- 事業者が民事上及び行政法規上留意すべき事項
- 飲食物提供時及び食べ残し持ち帰り時の法的関係
- 民事法関係
- 飲食物を顧客に提供する行為の法的性質
- 飲食店と顧客との間では、食品の供給、給仕及び飲食の場を提供するといった複数の債務を飲食店が負い、顧客はそれらに対し、対価を支払うことを内容とする複合的な契約が締結されていると考えられる。
- 提供された飲食物の持ち出しに関する考え方
- 飲食店は店内等の特定の場所で調理後短時間で食べることを前提として、飲食物を提供。
- 食品の提供は、当該特定の場所の雰囲気や給仕サービスと一体。
- 飲食店はその場で食べることを前提とした飲食物の安全性確保義務を負っている。
- 顧客には当該特定の場所の外に持ち出さないという債権的制約が課されており、顧客が食べ残したものを 自由に持ち帰ることができるわけではない。
- 食べ残し持ち帰りについての合意の内容
- 顧客が食べ残したものを持ち帰ることは、通常、当初の複合的な契約には含まれておらず、飲食店は、顧客が持ち帰ることを申し出た段階において、持ち帰ることについて新たに顧客との間で合意をしているというのが実態。
- 新たな合意:飲食店は、顧客が安全に消費するための注意事項の説明を行うなどの一定の義務を負う。
- 合意内容
- 持ち帰る飲食物を特定して提供(この際、飲食店は、生ものなど類型的に食中毒の可能性が高い飲食物については食べ残し持ち帰りについて合意しないなどの義務を負う場合があると考えられる。)
- 当該飲食物の種類、状況等を踏まえ、持ち帰って食べる際の安全性に関する注意事項の説明。
- 合意内容
- 飲食物を顧客に提供する行為の法的性質
- 民事法関係
- 飲食物提供時及び食べ残し持ち帰り時の法的関係
- 消費者及び事業者に向けた食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン(概要版)
- 背景及び基本的な考え方
- 食べ残しの持ち帰りが消費者の自己責任であることを前提。
- 消費者及び事業者に対し食品衛生上の一定の配慮事項を示すもの。
- 食べ残しの持ち帰りに対する消費者及び事業者双方の意識の変化や行動変容につなげる。
- 対象 客に飲食させる施設(レストラン、居酒屋、ホテル等)※テイクアウト用の食事を提供する施設/学校、病院等の集団給食施設は対象外
- ガイドラインの使い方
- 消費者は、本ガイドラインを参考に食べ残しの持ち帰りを判断。
- 事業者は、本ガイドラインを参考に消費者に移し替え時の配慮や持ち帰る際の注意事項等を伝達。
- 持ち帰りに適する食品は事業者が判断、消費者は事業者の指示に従う。
- 地域・文化的な背景も踏まえ、柔軟な取組にも配慮。
- 消費者への留意事項
- 温度が高いところに放置しない、速やかに喫食する。
- 一度手を付けた食品の食べ残しは、その本人が喫食。
- 食物アレルギーがある者へ譲渡しない。
- 異味、異臭等を感じた場合は喫食しない。
- 事業者への留意事項
- 持ち帰りに適する食品の判断は十分に加熱されていること等により検討。
- 生ものや半生など加熱が不十分な料理は慎重に検討。
- 清潔な容器と移し替え用の清潔な器具を消費者に提供。
- 留意事項はチラシ等で消費者へ伝達。
- 消費者及び事業者への共通留意事項
- 消費者及び事業者は保健所の行う調査に対して協力する。
- 背景及び基本的な考え方
- Q&A
- 自分で容器を持参して食べ残し持ち帰りをしたいのですが、ガイドラインでは認められないのでしょうか。
- ガイドラインの基本的な考え方として、食べ残しありきではなく、食べきることを前提としております。ですので、最初から容器を持ち歩くことはガイドラインでは想定しておりません。また、万が一食中毒等の事故が起きた場合に検証を行う際、原因究明の観点からも、基本的には飲食店が用意した容器に食べ残したもの詰めて持ち帰ることをガイドラインでは定めています。
- 顧客が、店が知らないところで生ものを勝手に持ち帰ってしまった場合に、それが原因で事故が生じたら店側としては責任を負うのですか。
- 「生ものは持ち帰らないでください」ということを伝えた上で、従業員が見ていないところで顧客が生ものを持ち帰った場合には、当該物については食べ残し持ち帰りについての合意がなされていないと考えられ、これについての店側の義務も生じないため、これが原因で事故が発生した場合には責任が生じないといえます。
- 店と顧客の責任について、どこが境目なのか、よくわかりません。どこまでやれば店は食中毒等の事故が起きたときに責任を負わなくなるのですか。
- 何をどれだけすれば100%法的リスクがなくなるかというのを示すのは難しく、何をすればきちんと説明したことになり、法的責任が生じないかについては、最終的に裁判所において事案毎に個別具体的に判断されることになります(ガイドライン第4の1)。本ガイドラインでは参考チラシをお示ししつつ、顧客の年齢、飲酒状況等の個別具体的な状況に応じて対応いただくことを示しています(ガイドライン第2,6)。基本的に参考チラシを御活用いただきながら、個別具体的な状況に応じて取り組んでいただければ幸いです。
- お客様が理解されたという証拠として何が必要なのでしょうか。食べ残し持ち帰りに際しての合意にあたり、店が注意事項の説明をしてお客様に理解いただいたというサイン等求める必要があるのでしょうか。
- 本ガイドラインでは、店が顧客に説明した内容について理解したことについてサインまでは求めていません。ただ、事故が起きたときなどの事後的なトラブルに備えて、顧客の状況等も含めて記録管理しておくことは有効です(ガイドライン第6の4)し、状況を踏まえて顧客に理解してもらったか、チェック欄を設けるなどしてチェックを入れておくなどの方法も考えられます。
- ビュッフェや宴会の場合にはこのガイドラインは適用されるのでしょうか。
- 本ガイドラインでは対象外とはしていないので、ガイドラインを参考に取り組んでいただくことになります。ただ、基本的な考え方として、食品ロス削減の観点からは、顧客が食べきることが最も重要なので、事業者としては、自分で食べられる量を盛るなど(ガイドライン第5の2(1)参照)、顧客へアナウンスするなどする工夫が求められ、その上で盛ったものについて残った場合、顧客から持ち帰りの申し出があれば、このガイドラインに従って説明すべき事をするなど必要なことをしていただくことになります。他方、店が知らないところで、顧客が食べきれない程の量を盛った上(ビュッフェの場合)、勝手に持ち帰った場合には、それが原因で事故が生じたとしても、食べ残し持ち帰りについて合意がないといえ、飲食店における責任は生じないと考えられます
- 自分で容器を持参して食べ残し持ち帰りをしたいのですが、ガイドラインでは認められないのでしょうか。
~NEW~
国民生活センター 2025年10月号【No.158】(2025年10月15日発行)
▼ 第84回 フェイクニュース(2)-対処法-
- 動画を作るのは大変
- フェイクニュースを急増させることとなったX(旧Twitter)の報酬プログラムですが、実はそのずっと前から、同じように「閲覧数で稼げる仕組み」がYouTubeで実施されています。動画で広告収入を得る、皆さんよくご存知のユーチューバーと呼ばれる人たちです。
- 仕組みは同じですから、YouTubeでもこれまで多くのフェイクが投稿され、拡散されてきました。ですが、今のXほど状況は酷くなかった
- なぜなら動画を撮影・編集するのはすごく大変だからです。
- よく「10分の動画を作るには100分以上の時間がかかる」と言われますが、実際ちゃんと観てもらえるレベルの動画を作るには、もっともっと時間がかかります。とにかく大変な作業なんです。
- 一方で、Xなら文字と写真だけでフェイクを作れる。断然効率がよい。フェイクで手っ取り早く稼ぎたい人たちがXを選ぶのも当然でしょう。今やXがフェイクニュースの主戦場といえます。
- ところが未だに、あえて手間のかかる動画でフェイクを作っている人たちがいます。ここ最近増えている「選挙動画インフルエンサー」たちです。
- 文字は読みたくない
- 近年、選挙をネタにした動画を作り、その閲覧数で報酬を得るビジネスが活発化しています。
- 投稿される動画の大半は「意外な真実」「逆張り」「陰謀論」……ろくな根拠も示さず、ただ感情をあおるだけ。拡散さえすればOKという動画がほとんどです(もちろん一部にはまともな動画もあります)。
- 例えば、「世間からバッシングされているあの候補、実は○○業界の利権を暴いてしまい、報復されているのだ」とか「あの候補は裏で○○国とつながっている」とか、もう説明するのもバカらしい、根拠もない、実にくだらない内容なんですが、今やネットは、選挙の度にそんな動画があふれ返り、何十万回と再生されるようになりました。なぜ彼らはわざわざ手間のかかる動画でフェイクを作るのか。
- 実は、ニュース記事程度の文章でも「文字が多い、読みたくない」という層が、一定数いらっしゃるんですね。ただ、そういった方々もなぜか動画なら見てくれる。だから動画で作るんです。なるべく幅広く拡散させたいですからね。
- 前回の記事では「フェイクには『誰かに教えたい』『許せない』『意外だ』と思わせ、拡散させる仕組みが組み込まれている」とお伝えしましたが、選挙中に拡散したデマ動画を見ると、いずれも見事にこれらの条件を満たしており、どれもすごい勢いで拡散していました。
- 深刻な問題に
- 選挙デマの問題は、それがフェイクだと明らかになったときには、すでに選挙が終わっているという点。後から「実はウソでした」と判明しても、フェイクをもとに判断、投票した1票は変えられません。これは民主主義の根幹を揺るがす深刻な問題です。
- 同時に、この問題は「海外から日本の選挙に介入できる」ことも意味します。「どこかの国」が日本の選挙を混乱させることもできるということ。特に国政選挙への介入は安全保障に関わる重大なリスクと言えるでしょう。
- 実際、直近の選挙でも、AIで自動化された大量の海外アカウントが日本人になりすまし、社会を分断しそうな投稿をバズらせたり、自らフェイクを作成してバラ撒いた形跡が確認されています。「なぜこんなくだらないネタが拡散しているんだ?」という疑問の背景には、そんな動きが見え隠れしていたのです。
- エコーチェンバー
- 前回の記事では、フェイク情報が強化されてしまう「フィルターバブル」という現象を紹介しましたが、実はSNSにはもう1つ、情報の偏りを引き起こす「エコーチェンバー」と呼ばれる現象があります。
- SNSなどで同じような考え、感性、意見を持つ人達が引き寄せあい、集まってしまう現象を指すのですが、そもそも人間は自分と同じ考え、同じ主張をする人を好みますからね、ネット検索で得る情報も、フォローする相手も、自然と自分の考えに近いモノ、近い人になります。
- そんな似たような思考集団の中では、たとえ偏った情報であっても「これが主流」「これが標準」と思い込んでしまい、そこから抜け出せなくなってしまうのです。これがエコーチェンバー。
- 恐ろしいことに、フェイクを製造・拡散させる連中は、日頃からそういった集団を把握、フォローしており、ここぞという時に、その集団にハマりそうなフェイクを放り込んできます。
- 「保留力」を身に付けよう
- ここまで読んでいただければ、フェイクニュースを見破ろうとする試みがいかに困難なことかお分かりいただけたと思います。
- そもそも人間はウソに弱く、ネットやSNSにはフェイクを加速させる仕組みがあり、また生成AIの普及でフェイクを見破るコツも使えなくなった。もはや、私たちがフェイクニュースと戦う術はないのでしょうか……いえ、大丈夫です。
- よく講演先で「フェイクニュースの見破り方を教えてほしい」と聞かれるのですが、まずその発想を捨てましょう。フェイクニュースは、日々あらゆる分野で生み出されます。それらを見破ろうとしたら、理屈上、地球のあらゆる分野の専門家になる必要があります。無論そんな超人はいません。つまり、すべてのフェイクを見破るなんて不可能なのです。
- まずは「自分は騙されるかもしれない」という覚悟を持ってください。これは決してフェイクとの戦いを放棄するという意味ではありません。ファクトチェックをやめましょうという意味でもありません。ただ単に「急いで判断しないで」というだけの話。
- 目の前の情報に対し、なぜ急いでシロクロつけようとするのか。そんな義務はありませんよね。そんなこと誰も求めていません。慌てて判断するから騙される。フェイクを作る連中はそのへんをよく分かっているから、フェイクに「急いで判断、拡散したくなる要素」を必ず組み込んできます。
- 2~3日で構いません。「いったん判断を保留しよう」と手を止めてください。拡散させたい気持ちをぐっとこらえ、いったん保留。私はこれを「保留力」と呼んでいますが、2~3日もすれば、その分野に詳しい人たちが議論して、もしそれがフェイクならちゃんと指摘してくれます。
- フェイクニュースを作る連中のねらいは「拡散」です。逆に言えば拡散しないフェイクは無力なのです。私たち皆が「保留力」で対抗すればフェイクを無効化できます。誰もが堂々と「判断できないのでちょっと待ちます」と言ってよいのです。ぜひお試しを!
- まとめると……「騙されるかも」の覚悟を決めて「人に教えたい!これは許せない」と感じた情報には警戒、ぐっとこらえて2~3日待つ。これは私たちが今日から始められる、フェイクニュースとの戦い方です。
~NEW~
国民生活センター お試しや1回だけだと思ったら、定期購入だった
- 事例
- SNSの広告を見て、1回だけだと思って約2千円の基礎化粧品を注文した。商品が届き、コンビニ後払い請求書兼明細書に次回発送予定日が記載されていて、定期購入だったことが分かった。2回目は約1万円もするため小遣いでは支払えない。解約したい。(当事者:高校生)
- ひとことアドバイス
- SNSの広告などを見て、お試しや1回だけのつもりで低価格の商品を注文したところ、2回目以降は高価格になる定期購入だった、という相談が依然として寄せられています。
- 必ず最終確認画面で、定期購入が条件となっていないかなどを確認しましょう。
- 特定商取引法では、最終確認画面で販売価格、提供期間などの重要事項を簡単に確認できる表示を義務付けています。誤認させる表示の場合、契約を取り消せる可能性があります。最終確認画面はスクリーンショットで保存しておきましょう。
- 未成年者が保護者など法定代理人の承諾なく契約した場合、原則として、民法の「未成年者取消権」で契約を取り消すことができますが、未成年者が成人と偽った場合や金額などによっては、未成年者取消が認められないケースもあります。
- 少しでも不安に思ったら、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
~NEW~
国土交通省 「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和6年度)」の結果を公表~建設企業の休日の取得状況等について集計~
- 建設業の働き方改革を推進するにあたって、工期設定等の実態について調査を行う「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和6年度)」を実施しました。今般、その結果をとりまとめましたので、公表します。
- 調査の概要
- 調査対象
- 建設企業 建設業法第27条の37の規定に基づく届出団体(116団体)の各団体会員企業
- 発注者 動産、運輸・交通、住宅業界等の民間企業
- 調査時点
- 令和7年1月1日現在(令和5年12月以降に請け負った工事)
- 調査項目
- 主に民間工事について、工期設定にあたっての受発注者間の協議の有無/工期の適正性/工期変更の理由/工期変更に伴い増加した工事費の負担/休日の取得状況/働き方改革・生産性向上に向けた取組 など
- 回答企業数
- 建設企業 1,602社
- 発注者 66社
- 主な調査結果
- 建設企業の休日の取得状況に関し「4週8休」とする割合は、技術者は前年度比7.4ポイントの増加(28.6%)、技能者は前年度比3.6ポイントの増加(29.4%)など、改善傾向がみられた。一方で両者とも最も多い回答は「4週6休程度」だった。
- 月平均の残業時間が「45時間未満」の企業は、技術者は86.6%、技能者は88.9%であった。
- 民間発注者について、物価変動に対応する契約変更条項がある発注工事は前年度比10.9ポイントの増加(66.1%)となった。また、実際に受注者に対し契約変更協議を行った発注者は、前年度比9.2ポイント増加し75.5%にのぼった。
- 調査対象
~NEW~
国土交通省 「港湾法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定~伊勢湾に係る緊急確保航路の区域等が変更されます~
- 非常災害が発生したとき、港湾に至る船舶の交通を確保することを目的として設けられている緊急確保航路について、伊勢湾における区域等を変更するための「港湾法施行令の一部を改正する政令」が、本日、閣議決定されましたのでお知らせします。
- 背景
- 港湾法第55条の3の5第1項に基づく緊急確保航路※について、その具体の区域は港湾法施行令別表第四において定められています。
- 今般、「伊勢湾に係る緊急確保航路」の区域等に関する下記[1]及び[2]の事項に対応するため港湾法施行令の一部を改正します。
- 衣浦港内の中央航路の拡幅工事に伴い、緊急確保航路の区域の標点を示す際の基点となる不動標として用いている灯台を移設することから、現在の区域を維持するため、当該灯台の緯度・経度の変更及びこれを基点としている標点の角度・距離の変更を行います。
- 中部国際空港西側における名古屋港土砂処分場の建設に伴い、航路標識を移設することとなりました。これにより、平時において船舶が航行する海域が変更されることから、緊急確保航路の区域も同様に変更します。
- ※非常災害時に、港湾等への緊急輸送の用に供する船舶の交通を確保できるよう、平時における水域占用の許可制度や非常災害時における国土交通大臣による漂流物等の障害物の処分権限等が設けられる区域。
- 概要
- 伊勢湾に係る緊急確保航路のうち、中部国際空港沖における緊急確保航路の区域変更及び衣浦港沖における不動標の緯度・経度の変更を行います(詳細は別紙参照)。
- スケジュール
- 閣議:令和7年10月14日(火)
- 公布:令和7年10月17日(金)
- 施行:(1)令和7年11月1日(土) (2)令和7年11月11日(火)
~NEW~
国土交通省 「マンション標準管理規約」を改正します~皆様のマンションの管理規約も見直しが必要です~
- 本年改正されたマンション関係法(区分所有法等)の施行に向け、マンションの管理規約を作成・改正する際のひな型となる「マンション標準管理規約」を改正します。
- 今般の改正では、総会の開催手続きや決議要件等の管理組合の運営上重要な内容が含まれているため、各マンションの管理規約も見直しが必要になります。
- 改正の背景
- マンションを巡っては、建物の高経年化と居住者の高齢化の「2つの老い」が進行し、これに伴い様々な課題が顕在化しつつあります。こうした状況に対応するため、本年5月、マンション関係法が改正され、その中核となる改正区分所有法は令和8年4月から施行されます。
- 区分所有法ではマンションの管理に関する基本的な事項が定められているところ、より具体的なルールについては、マンションごとに「管理規約」を定めることが必要です。今般の区分所有法の改正等に合わせて、管理規約の策定・見直しに当たって参考となる「マンション標準管理規約」についても改正します。
- 改正の概要
- 令和7年マンション関係法(区分所有法)改正関係
- 総会決議における多数決要件の見直し
- 総会招集時の通知事項等の見直し
- 所在等不明区分所有者の総会決議等からの除外手続き
- 国内管理人制度の活用に係る手続き
- 共用部分の管理に伴って必要となる専有部分の保存行為等
- 修繕積立金の使途
- マンションに特化した財産管理制度の活用に係る手続き
- 共用部分等に係る損害賠償請求権等の代理行使
- 社会情勢等を踏まえた見直し 等
- その他、各マンションの管理規約を見直しする際の手続き方法の留意事項をお示しします。
- 詳細は別紙をご覧ください。
- 令和7年マンション関係法(区分所有法)改正関係
- 改正後のマンション標準管理規約について
- 改正後のマンション標準管理規約等は、次のホームページで公表します。https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mansionkiyaku.html
~NEW~
国土交通省 施工体制の点検を実施します!~公共工事の施工体制に関する全国一斉点検~
- 公共工事を適切に実施するためには、受注者による適正な施工体制の確保が重要です。
- 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(以下、「適正化法」という。)」や「公共工事の品質確保の促進に関する法律(以下、「品確法」という。)」においては、施工体制の適正化や安全衛生、その他の労働環境の改善の配慮が謳われており、より一層の適正な施工体制の確保と徹底が求められています。
- 国土交通省では、施工体制の点検要領等を定め、各工事を担当する監督職員によって日頃から施工体制の点検を行っているところですが、適正化法や品確法の趣旨の徹底をより一層図るため、平成14年度より稼働中の国土交通省直轄工事を対象に「施工体制に関する全国一斉点検」を実施しています。
- 今年度も10月から12月までを全国一斉点検期間として24回目となる本点検を実施します。
▼ (別紙)公共工事の施工体制に関する全国一斉点検実施方法
- 点検対象工事
- 以下の条件に合致する請負工事から抽出する。
- 請負金額が4,500万円(建築一式工事においては9,000万円)以上の工事から抽出する。
- 令和5年1月1日から令和7年1月31日に契約した工事では、請負金額が4,000万円(建築一式工事においては8,000万円)以上の工事から抽出する。
- 平成28年6月1日から令和4年12月31日に契約した工事では、請負金額が3,500万円(建築一式工事においては7,000万円)以上の工事から抽出する。
- 平成28年5月31日以前に契約した工事では、請負金額が2,500万円(建築一式工事においては5,000万円)以上の工事から抽出する。
- なお、対象工事のうち、低入札価格調査対象工事については、請負金額に関わらず全ての工事を点検対象とする。
- 以下の条件に合致する請負工事から抽出する。
- 点検内容
- 監理技術者等の配置に関する点検
- 下請負契約に関する点検
- 施工体制台帳の備え付けに関する点検
- 下請負人の点