SPNの眼

コンプライアンスやリスク管理に関するその時々のホットなテーマを、現場を知る
危機管理専門会社ならではの時流を先取りする鋭い視点から切り込み、提言するコラムです。

「現場で働く店舗従業員へのサポート強化を!」~危機管理おやじのつぶやき(コロナ対応1)[執筆:代表取締役社長 熊谷信孝」

生活必需品を取り扱う企業にあっては、緊急事態宣言が発出されて以降も営業を継続しているところ、店舗従業員らが、新型コロナウイルスへの感染リスクや顧客からのカスタマーハラスメント(カスハラ)行為に晒され、大変疲弊している状況にあります。

そればかりか、買い物客の「3密」(密閉・密集・密接)を避けるため、通常とは異なるオペレーションを求められており、その疲弊をさらに激しいものとしています。それは、例えば、入店制限(人数、時間帯など)への対応やマスクの着用、「ソーシャルディスタンス」(最近では世界保健機関(WHO)がフィジカルディスタンスと呼ぶよう要請しています)対応、検温および高熱のお客さまのお断り対応、カート(レジかご含む)の消毒、一度手にした商品の取り扱い等への対応などです。

一方の買い物客も、コロナ禍が見通しの立たない状況にあっての不安やいらだちからでしょうか、不当な要求を行う、心ない言葉を従業員や家族連れに対して浴びせるなどのトラブルになっている状況を、実際に私も多く見かけました。

「エッセンシャルワーカー」(生活を維持するために欠くことができない労働者とその方たちへの尊敬の念)として、医療従事者等を筆頭に、市民らが感謝を表明する動きが世界中に拡がっていますが、やはりエッセンシャルワーカーに位置づけられる「店舗従業員」に対しても、社会全体のサポートや尊敬の念の表明がもっと行われるべきではないかと思います。

そこで、ささやかですが、店舗従業員等に対するサポートとなるべく、必要なリスク対策について、私の経験をふまえながら何点かお話ししたいと思います。

今までとは視点を変えた看板、ポップ等を利用した来店客へのお願いメッセージの掲示

すでに、入店制限やマスク着用への協力依頼、ソーシャルディスタンス等を来店客に促す看板やポップはよく見かけますが、従業員への配慮のお願い等についてまで言及されているところはまだまだ少ないようです。例えば、「当店スタッフもお客様へ商品をご提供するという使命感でサービスを行っております。通常のような対応が出来ず、ご不便等をおかけいたしますが、何卒ご理解賜りますようお願いいたします」など来店客に対してお願いすることは、働いている従業員を守るという会社の姿勢を示すことにもなります(さらには、会社としての「安全配慮義務」を尽くすという観点からも望ましい取り組みだと言えるのではないでしょうか)。

また、レジや入口等にスタッフのお子さん等から心のこもった絵や文字の「応援メッセージ」を掲載するなどして、来店客に対して、少しでも働いているスタッフへの思いやりを持ってもらうよう促す取り組みもまた有効かもしれません。

なお、店舗への掲示ではありませんが、このような状況でもお客様からの感謝の声が寄せられることもあるかと思います。このような声が寄せられたときは、ぜひ、事務所内や引継ぎ用のcontentsなどに、その声を掲載し、共有してくてださい。このような状況では、感謝の声はスタッフの励みになります。

本来の業務以外を担当する専門スタッフの配置と対応研修

入店制限やマスク着用、ソーシャルディスタンス対策等に対応するスタッフは、通常は別の仕事をしていることから、急遽慣れない業務に従事することとなり、それだけでも大変な負荷がかかっていますが、それに加えて来店客から質問攻めや苦情、不当要求等(本来は、苦情・不当要求・クレームは別ものですが、ここではあえて一括りに「クレーム」と総称します)の対応の経験が少ないといったこともあり、対応の拙さがさらなるクレームを招くなどハードなカスハラとなる悪循環も見られます。その悪循環に陥った従業員のストレスは想像以上のものがあると推察されます。本来、クレームの二次対応となると店舗責任者等が対応にあたると思われますが、そもそも平時以上に業務が増えている店舗責任者が、個別の顧客対応にかなりの時間を費やしてしまったのでは、店舗業務全体に悪影響が出てしまうことになります(それがさらなるクレームを生み・・・とこちらも悪循環に陥りかねません)。また、来店客だけでなく、入店制限で路上等に長い列が発生してしまうことによる近隣からのクレームへの対応なども考えられるところであり、これまで対応したことのない従業員が対応するのは大変難しく、こちらもさらなるクレームを招く可能性を高めてしまうことになります。このような、通常とは異なる状況下にあって、慣れない対応がクレームを幾重にも招く悪循環の構図を避けること、そして何よりも、それに対応せざるを得ない従業員の心身の負担を可能な限り軽減する必要があります。

時間的余裕があれば、クレーム対応の研修等が出来ますが、そのような時間を今確保することは難しいかもしれませんので、対応できる社内外の専門スタッフとともに従業員と対応にあたるなどして、現場で実践対応を通じた育成も考えられるところです。

そして、このようなリスクへの対応が出来る従業員(人財)を育成することは、ポスト・コロナ(通常時に戻った際)にきっと大きな力、財産となります。

次回は、入店制限時の対応ポイントについてつぶやきます。

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