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【イベントレポート】企業危機管理オープンセミナー「予期せぬ企業不祥事!『基本と原則』を踏み外さないマネジメント」を開催しました

2021.12.16
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2021年11月25日に開催された本セミナーでは、企業不祥事について「なぜ発生するのか」「なぜ対応に失敗するのか」「なぜ拡大するのか」など「なぜ」に焦点を当て、様々な観点から企業不祥事のメカニズムについて解説し、根本的解決としての組織風土是正の大切についても解説しました。

セミナー概要

講師:総合研究部 専門研究員 石原 則幸

1.不祥事発生の背景
2.不祥事発生と拡大プロセス要因
3.健全な「社内文化」形成阻害要因
4.社風・社内文化は是正・改善できるか
5.緊急時対応の実際

講演

1. 不祥事発生の背景

「企業不祥事は『なぜ』発生するのか」について、企業においては「制度・ルール上の問題」、「社風・価値観・統制環境上の問題」、「経営方針・リーダーシップ上の問題」、「ビジネスモデル・商慣習上の問題」が互いに相関関係、因果関係にあることが、企業不祥事発生の背景にある問題として挙げられます。

また、「不祥事対応は『なぜ』失敗するのか」については「情報収集上の問題」、「組織態勢上の問題」、「心構えの問題」、「対応実施上の問題」、「開示・説明・会見上の問題」などがその背景にあります。具体的には、経営陣が事態を軽くとらえてしまったり、社内で報告が十分になされなかったり、すぐに公開すればダメージが少なくなるにも関わらずすぐに公開しなかったりすることなどにより、不祥事対応はより深刻化し難航してしまいます。

2. 不祥事発生と拡大プロセス要因

本来、リスクマネジメントとは発見されたリスクが見過ごされないようにするためのものです。しかし不祥事発生プロセスにおいてはマニュアルや内部監査、内部通報などが機能しないケースが多々あります。結果的に、何段階もの不正の端緒・予兆が見過ごされることで不祥事が発生し、さらには対応が遅れるなどして事態収束に失敗します。

では、なぜ不正の端緒が見過ごされるかというと、各種リスク抑止・未然防止策が届かない「リスクが着実に進行・拡大する真空状態」が存在するためです。この領域は企業内のタブー領域と化し、社内でPDCAサイクルを回してもその領域外での活動となってしまいます。その結果、何か意見をする人に対しては「うちは昔からそうだったんだよ」「そこには口を出さなくてよい」などという社内常識が跋扈し、結果的に内部告発圧力が高まり、不祥事発生の土壌が醸成・温存されてしまうのです。

3. 健全な「社内文化」形成阻害要因

では、なぜ健全な社内文化を形成できないのでしょうか。なぜ、経営陣の顔ぶれが変わっても悪習慣が引き継がれてしまうのでしょうか。ここに、企業不祥事発生の問題があります。

現場で発覚した不正の端緒は、「それが露呈したらうちはどうなるんだ」などの保身と言い訳により、本来のしかるべき措置と調査・報告が行われません。本当に必要なのは、不正の端緒や改善要望などの素朴な疑問が自由に表明され、健全な社内文化が形成されることです。

不祥事要因と組織風土について、土と植物の種子に例えて解説すると、不祥事の発生しやすい組織風土(社内文化)においては、旧来からの悪習慣や新たな悪いルールなどの「不祥事/不正の種子」が吸収されやすく、正当な危機管理諸施策のような「改善の種子」ははじかれてしまいます。反対に、組織風土が良いものであれば不祥事/不正の種子ははじかれやすく、改善の種子は受け入れられ、風土と文化の強化・改善につながります。

4. 社風・社内文化は是正・改善できるか

では、社風・社内文化は改善できるのでしょうか。社内風土形成の健全化のポイントついては、植物の成長に例えて以下のように説明することができます。

広報機能の重視

広報とは会社と社会をつなぐ「窓」です。「窓」である以上、外気(外部の眼)を取り込み、社内の空気の淀みを防ぐ役割を負います。

企業文化や社内風土は「土壌」である

豊かに改良された「土壌」には有能な「種子」(=ガバナンス・内部統制・コンプライアンス)が蒔かれ、健全な組織文化が醸成されます。「種子」自体は万能ではありませんが、豊穣な「土壌」で蒔かれた「種子」は健全に成長します。優良な土壌は悪い種子を弾くため、組織風土は常に自浄作用が作動します。自浄作用の前提となるのは、組織のDNAです。このDNAを明文化したものが企業理念に他なりません。

種子の成長には「水」と「空気」と「(太陽)光」が必要

種子の成長には、水と空気と(太陽)光が必要です。「水」とは社内のコミュニケーション(の流れ)のことであり、「空気」は広報の「窓」によって取り込まれる外気(社会の常識・良識・倫理観)のことです。そしてこれらが一体となりプラスアルファ「光」として、トップのリーダーシップがないと健全な組織風土は育ちません。

上記すべてのプロセスにおける「手入れ」が「マネジメント」であり、組織風土は「マネジメントの対象領域」であることを認識することが重要です。

5. 緊急時対応の実際

実際の緊急事態対応においては、初動として様々な側面から情報収集することが重要です。その後必要に応じ対策本部が設置されますが、この段階で初動の失敗や対策本部の機能不全が起きれば、事態はさらに悪化・長期化してしまいます。この段階においては、リスクの本質を見逃さず、クライシスの焦点を外さないことが重要です。

また、近年の他社事例を振り返ると「うちの業界は特殊だから」「うちのトップは特殊だから」などという考えが背景にあるケースがあります。この特殊性や独自性が競争力となっていることもありますが、特殊性や独自性が企業不祥事発生のリスクになっているのであれば、その企業風土を改革しなければなりません。社風や組織風土の改革と、各種マニュアルや体制整備の両方を相互にフィードバックしながら、良好な社内文化が形成しなければ、企業不祥事の発生につながってしまうのです。

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