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【イベントレポート】役員のためのリスクマネジメントセミナー ~内部統制・リスク管理体制強化のプロセスと実務的ノウハウ~

2023.07.20
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2023年6月8日(木)に開催された本セミナーでは、当社提供の簡易診断サービスの結果からみる傾向と対策について解説しました。

セミナー概要

講師:総合研究部 上級研究員 安藤 未生

1.取り組みにおけるウィークポイントと対策の勘所~当社提供のリスク管理簡易診断結果からみる傾向と対策~

  • ポリシー策定と周知の弱さ
  • 実態に即したルール策定と周知の弱さ
  • 教育・研修の不足
  • 監査の形骸化

2.内部統制・リスク管理を強化するためのポイント

3.まとめ

簡易診断サービスとは

1.取り組みにおけるウィークポイントと対策の勘所
~当社提供のリスク管理簡易診断結果からみる傾向と対策~

各簡易診断の結果から見える傾向、共通点

各簡易診断の結果から見える、ウィークポイントは本質的に同じ傾向でした。

(1)ポリシー策定と周知の弱さ
(2)実態に即したルール策定と周知の弱さ
(3)教育・研修の不足
(4)監査の形骸化

以上を踏まえ、各企業で対策をとる為には、ウィークポイントを解消することで、内部統制とリスク管理の実現を図ることに繋がります。

(1)最新の動向を踏まえたポリシーを策定し、周知すること
(2)会社の実情に合ったルールを策定し、周知すること
(3)従業員の実行力向上のための教育・研修を実施すること
(4)改善につながる監査を定期的に実施すること

また、自社の経営上、対策すべきリスクの洗い出しをしなければ対策を取ることができません。まずは、リスクを洗い出し、優先順位を決める必要があります。次に経営陣にリスク内容の把握と対策を強化する本気度を社内に示すことが重要です。最後に、リスク管理のとりくみを強化した際の「成果」を決めておくことが大切です。

2.内部統制・リスク管理を強化するためのポイント

内部統制・リスク管理・ガバナンスの関係性

ガバナンスは役員や従業員の暴走を監視して正しい行いに導くための仕組みのことです。リスク管理は、会社と利害関係者を守るための仕組みです。そして、これら2つの仕組みを実行するために必要となるのが内部統制です。

役員(取締役)の義務と責任

上記記載の各簡易診断サービスの傾向から見たウィークポイントを放置した場合、下記のような責任に問われる可能性があります。

一例

  • 善管注意義務
  • 忠実義務
  • 監視義務
  • 内部統制システム構築義務
  • 安全配慮義務

また、取締役会による内部統制やリスク管理体制の整備は、コーポレートガバナンス・コードにも定められています。

非財務情報(無形資産)の重要度の高まり

国際的に財務情報の有用性が低下し、非財務情報、無形資産の重要度が高まりました。
「企業価値の時価総額のうち利益と純資産が寄与する割合は、ほぼ約半分に落ち込んだ」という文献も出ています。

企業価値の時価総額のうち利益と純資産が寄与する割合は1950年代の90%以上から(中略)現在では約50%に一貫して低下しており―ほぼ約半分に落ち込んだ

中央経済社「会計の再生―21世紀の投資家・経営者のための対話革命」
バルーク・レブ(著)、フェン・グー(著)、伊藤 邦雄(監訳)

企業価値の源泉が工場、棚卸資産などの有形資産から、ブランド、知的財産、技術力・ノウハウ、環境や社会の問題への取組み姿勢などの無形資産にシフトしてきています。

人的資本経営

人的資本経営とは

人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方

国際的な流れとして、「人」を「人件費」というコストで捉える考え方から、「人的資本」というアセットで捉える考え方にシフトしてきています。企業にはダイバーシティ(多様性)のある組織作りとその公表が求められています。

全ての上場企業では、金融商品取引法によって、人的資本と多様性について、有価主尾見報告書に記載することが義務になっています。上場しているかに関わらず、事業規模に応じて情報開示が義務付けられている事項もあります。

リスク管理や企業価値創造の基本は「人」です。まずは「人」を知った上で必要な投資をしていくことが重要です。

アフターコロナは「VUCA」の時代

「VUCA」とは

Volatility変動性
Uncertainty不確実性
Complexity複雑性
Ambiguity曖昧性

英語の頭文字をとった造語で、社会やビジネスにおいて将来の予測が困難になっている状態を示しています。

社会の要請の変化に、ルールの整備が追いつかず、社会の要請自体が「抽象的」で「曖昧な」ものになっています。ルールだけで機械的に品質やリスクを管理する時代は終わったことを前提に、全ての役員・従業員が局面に応じて、正しい決断を下すための軸・判断力・相談体制が必要になります。

3.まとめ

リスク対策の第一歩は自社のウィークポイントを把握するところからです。リスク管理の基本が「人」であることを踏まえて、本質的な解決を目指すことです。VUCAの時代、内部統制・リスク管理をめぐる国際的な動向を踏まえ、変化していく社会の求めに応える姿勢が重要です。

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