暴排トピックス

コンプライアンスやリスク管理に関するその時々のホットなテーマを、現場を知る
危機管理専門会社ならではの時流を先取りする鋭い視点から切り込み、提言するコラムです。

特殊詐欺を巡る最近の動向(2017.2)

1.特殊詐欺を巡る最近の動向

 特殊詐欺は、準暴力団のような組織が特殊詐欺グループを組成して実行しているが、その背後に暴力団が存在していること、したがって、特殊詐欺による被害金が暴力団の重要な資金源となっていることがすでに明らかとなっています。さらには、特殊詐欺の実行を可能にする様々な「犯罪インフラ事業者」が、その関係者として特殊詐欺グループ周辺を取り巻いており、事業者としては、それらについても反社会的勢力のひとつの態様として、「関係をもつべきでない」反社会的勢力として関係遮断に努めるのはもちろんのこと、犯行拠点(アジト)の提供や携帯電話や顧客名簿といった犯行ツールの提供など、自らのビジネス・商流が、彼らの犯罪活動に利用され、あるいは活動を助長するようなことがあってはなりません。特殊詐欺対策は、今や、事業者にとって、暴排・反社リスク対策の文脈からも、自らのリスク管理事項として厳しく取り組んでいくことが求められているといえます。

 さて、一向に衰えることを知らない特殊詐欺犯罪ですが、平成28年の特殊詐欺認知・検挙状況等が警察庁から公表されています。昨年1年間の特殊詐欺の発生状況は、認知件数(既遂)13,237件(前年同期比+468件、増減率+3.7%)、被害額406.3億円(前年同期比▲75.7億円、増減率▲15.7%)となりました。

警察庁 成28年の特殊詐欺認知・検挙状況等について

 全体的な概況としては、認知件数は前年から微増となったほか、被害額は、2年連続で減少したとはいえ、4年連続で400億円を上回る結果となり、依然として高水準であることが分かりました。また、1件あたりの被害額は、306.9万円(同▲70.5万円、同▲18.7%)と大きく減少したほか、8道県において被害額が半減した一方で、神奈川、愛知、大阪など一部の大都市圏では、認知件数・被害額のいずれも増加した点が大きな特徴といえます。

 手口別では、約4割を占めるオレオレ詐欺が、認知件数は5,737件(▲91件、▲1.6%)で4年ぶりに減少、被害額も166.0億円(▲9.1億円、▲5.2%)で7年ぶりに減少したことが特筆されるものの、還付金等詐欺が、認知件数3,682件(+1,306件、+55.0%)、被害額42.6億円(+17.1億円、+67.4%)と増加し、全体の認知件数を押し上げたほか、大阪、千葉、愛知、神奈川で多発したことも大きな特徴だと指摘できます。
 被害金交付形態別では、「現金手交型」及び「現金送付型」は、認知件数・被害額がいずれも減少し、空き家対策などこれまでの様々な対策の効果が見られた一方で、還付金等詐欺の増加により「振込型」の認知件数が再び増加、有料サイト利用料金等名目の架空請求詐欺に代表される「電子マネー型」も増加する状況となっています。この振込型と電子マネー型の増加においては、被害額の比較的小さい犯行が多数回行われる傾向が見られ、それが1件あたりの被害額の減少の背景要因となっているものと考えられます。

 また、対策面でいえば、本コラムでもこれまで紹介してきた通り、金融機関や宅配事業者、コンビニエンスストア等に協力を要請し、声掛けや通報を推進した結果、13,140件(+808件)、191.8億円(▲75.2億円)の被害を阻止でき、阻止率も49.8%にのぼり、ともに過去最高レベルとなっており、官民の連携が功を奏した形となっています。また、犯行グループの壊滅に向けた取り締りの強化の結果、検挙件数は4,449件(+337件、+8.2%)、検挙人員も2,412人(▲94人、▲3.8%)と高い水準で実現したほか、アジトの摘発も推進し、57箇所(▲3箇所)と前年並みの成果をあげています。
 さらに、本コラムでも重点的に注目している「犯罪インフラ」対策としては、犯行使用電話について、レンタル携帯電話に加え、MVNO(仮想移動体通信事業者)の格安スマホ携帯に関しても、携帯電話不正利用防止法に基づく役務提供拒否に関する情報を当局から通信事業者に提供しており、昨年の情報提供は22,684件で過去最多となるなど、その取り組みを徹底しています(なお、直近の報道によれば、総務省が、格安スマホの契約時に偽造された本人確認資料などが使われているなど犯罪を助長しているとして、本人確認の徹底などを業界団体に要請したほか、不正防止を怠っている悪質な事業者に対し、行政処分を行うなど対策を強化する方向だということです)。また、貯金口座や携帯電話の不正な売買等、特殊詐欺を助長する犯罪の検挙についても、4,087件(+60件)、2,913人(+156人)にのぼるなど、取り組みが定着している状況がうかがえます。

 それ以外の対策についても、本コラムでも紹介してきた各種取り組みが取り上げられていますので、以下、いくつかご紹介しておきたいと思います。

  • 特殊詐欺等の捜査過程で押収した高齢者の名簿を活用し、民間委託による電話連絡等によって注意喚起を行うコールセンター事業につき、実施府県が増加(平成28年度は22都府県で実施されたということです)。さらに、高齢者に対してだけでなく、予兆電話多発地域の金融機関等にも、コールセンターからの注意喚起を推進しているなど、対策の質の向上も図られています。
  • 犯行電話を直接受けないようにするため、警告メッセージが流れる自動通話録音機につき、自治体等と連携し、高齢者宅への無償貸与等の普及活動を推進(平成28年末現在、38都道府県で約59,000台を確保しているということです)。
  • 宅配便等を悪用した現金送付型の被害防止のため、宅配事業者、コンビニエンスストア等と連携し、「現金送付防止シール」(荷主にシールへの署名を求め、署名された同シールを荷物に貼付するもの)を活用するなどして、受付時の声掛け・確認による対策を推進。
  • 犯行拠点の多い東京都内において、犯行グループに犯行拠点を提供する業者を摘発(本コラムでも、暴排トピックス2016年2月号で、「今後の課題としては、やはりアジトの摘発の強化があげられますが、事業者の関与という意味では、アジトを提供している悪質な不動産会社対策もそのポイントのひとつとなりそうです」と指摘しましたが、まさにその取り組みが、昨年加速したと評価できます)。また、あわせて、不動産関係団体に対する情報提供・注意喚起を実施し、拠点供給の遮断も推進されています。

 なお、警察庁の報道発表資料以外でも、最近の動向から注目すべきものを紹介しておきます。

  • 警視庁が、身元確認をせずに携帯電話のSIMカードを貸し出していたとして、携帯電話不正利用防止法違反で、携帯レンタル会社社長の男(32)を逮捕しています。このような「犯罪インフラ業者」のトップの逮捕は極めて異例だと思われます。報道によれば、同社の携帯電話が使われた詐欺事件の被害額は1都20県で7億6000万円以上にのぼるということです。ただ、詐欺事件の共犯としてレンタル業者を罪に問うには、詐欺の認識の証明が難しくハードルが高いとされるほか、携帯電話不正利用防止法違反容疑での摘発では、同法の罰則が最高でも2年以下の懲役にとどまることから、大きな抑止効果は得られず、新規参入が相次ぐ「いたちごっこ」が続いている点が大きな課題となっています。
  • 上記と同様の事例で、福井県警も、携帯電話を本人確認せずに貸したとして、携帯電話不正利用防止法違反の疑いで、東京都渋谷区の携帯電話レンタル会社役員を逮捕しています。秩父市の70代女性から現金300万円をだまし取ったとして、同県警が昨年5月に逮捕した詐欺グループが、容疑者が貸した携帯電話を使っていたから摘発につながったということです。
  • 前述の警察庁の発表資料によれば、昨年のアジトの摘発件数57件のうち、賃貸マンション27カ所、賃貸オフィス24件など賃貸事業が昨年に続き「犯罪インフラ」化している状況が確認できたほか、昨年にはなかった「車両」2カ所、「ペンション」1カ所、「カラオケボックス」1カ所などが確認されている点は注意が必要です。とりわけ、ラブホテルや駐車場に停めてある車両の中からの犯行は、場所を転々と移動することから摘発が難しいものと推測され、まさに「通信傍受」や「GPS捜査」などの犯罪手法の高度化を取り入れながら対応をすすめていくことも必要な状況となっています。

 また、先の警察庁の資料でも、高齢者(65歳以上)被害の特殊詐欺の件数が11,041件(+400件、+3.8%)と、その割合(高齢者率)が78.0%(+1.0)にも上っており、さらに、類型別では、オレオレ詐欺(95.8%)、還付金等詐欺(93.0%)での高齢者率が9割以上に上る危機的状況になっていることから、当然ながら、「高齢者のATM利用の制限」が最も高い効果が得られるのではないか思われます。その点、全国の金融機関で、70歳以上の顧客のATM振り込みを制限する(一定年数以上にわたってATMでの振込実績のない高齢者のATMによる振込限度額をゼロ円又は極めて少額に制限する)ことで、詐欺被害を防止しようとする取り組みが急速に拡がっています。愛知県岡崎市の岡崎信用金庫が昨年11月に全国に先駆けて実施しましたが、先の警察庁の資料でも、平成29年1月現在で、9都県34の金融機関で実施されていると紹介されています(2月にはいっても、北九州市の福岡ひびき信用金庫が九州で初めて導入すると発表しています)。

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2.最近のトピックス

(1) 暴力団情勢

 山口組の分裂から1年半が経過しますが、現状、表立って激しい抗争に至っていない状況が続いています。双方がすでに一定の勢力を保っている中、中立的な対場から双方にモノ申す人間がいないことが、この奇妙な膠着状態を作り出している要因の一つだともいわれています。しかしながら、先月、指定暴力団山口組、指定暴力団神戸山口組の双方が、京都市の指定暴力団会津小鉄会本部でにらみ合う事態が発生しました。背景には会津小鉄会内部の路線対立があり、同会は山口組分裂前から六代目山口組と近い関係にあったところ、トップの会長が神戸山口組に接近したことで、どちらとの関係を重視するかで組織が割れ、そこへ六代目山口組、神戸山口組が影響力維持を狙って押し掛けたということのようです。つまり、両山口組の「代理戦争」の様相を呈している状態ともいえます。直近では、現会長側と袂をわかち新組織を発足するための会合が開かれたとみられ、新たな「会津小鉄会」を立ち上げる動きがありました。今後、分裂した組織がいずれも「会津小鉄会」を名乗り、正統性をめぐる対立が強まる可能性があり、緊張が高まっています。それに対し、京都市も、市民の安全を確保するため、同市内にある指定暴力団会津小鉄会の本部事務所の使用禁止を求める仮処分を京都地裁に申し立てています(自治体が直接暴力団事務所の使用禁止を裁判所に申請するのは全国2例目だということです)。

 さて、福岡県警が、平成28年12月末現在の同県内の暴力団構成員数等の資料を公表しています(なお、平成28年末の全国の暴力団情勢については、例年、3月頃に公表されています)。

福岡県警察 平成28年12月末における福岡県の暴力団勢力

 本資料によれば、平成28年12月末現在の組織数は約150組織であり、暴力団構成員総数は、2,240人(前年同期▲160人、前年同期比▲6.7%)、うち、暴力団構成員は1,380人(同▲100人、同▲6.8%)、準構成員等は860人(同▲70人、同▲7.5%)となり、平成19年の3,750人をピークに9年連続で減少したという結果になっています。平成27年末は前年比▲5.1%の減少幅でしたので、数の上では急速に減少している状況がうかがえるほか、全国的には準構成員等の方が多くなっている中、福岡県内については、構成員がいまだに圧倒的に多いという特徴が引き続きみられます。

 組織別にみると、特定危険指定暴力団五代目工藤会の総数は、660人(▲60人)で、うち、暴力団構成員は410人(▲40人)、準構成員等は260人(▲20人)となっており、一昨年から顕著となっている組員の離脱が進んでいる状況がうかがえます。一方、指定暴力団道仁会の総数は、460人(±0人)で、暴力団構成員は300人(▲30人)、準構成員等は160人(+30人)、指定暴力団浪川会についても、その総数は、220人(▲20人)、暴力団構成員は140人(±0人)、準構成員等は80人(▲20人)など、工藤会とは異なり、その勢力を維持または微減にとどめるなど対照的な状況となっています。さらに、分裂した山口組については、指定暴力団六代目山口組の総数が、360人(▲20人)、うち、暴力団構成員は210人(±0人)、準構成員等は150人(▲20人)であるのに対し、指定暴力団神戸山口組の総数は、100人、暴力団構成員は70人、準構成員等は40人という状況となっています。

 また、報道(平成29年1月24日付毎日新聞)によれば、昨年1年間に福岡県警が支援して離脱した暴力団員数が前年比4人増の131人に上り、3年連続で過去最多を更新したということです。このうち特定危険指定暴力団工藤会の暴力団員が約3割の43人と最多となっており、同会最高幹部らを逮捕した「頂上作戦」などの取り締まり強化や暴力団員の離脱・就労支援策が成果をもたらしているものと一定程度評価できると思います。一方で、同県警の支援による就労者数は前年比6人増の16人で、離脱者の県外就労を支援する19都府県の広域連携で就労したのは3人という結果になっています。さらに、福岡県暴排条例の改正施行等により始まった離脱者を雇用した企業への給付金制度は13人に適用され、受け入れ可能な協賛企業は前年比138社増の236社になったということです。

 これらの離脱・就労支援の状況については、まずは一定の評価をしたいと思いますが、一方で、社会や企業を巻き込んだ離脱者支援の「真の定着」という意味ではまだ道半ばの状況だというのが率直な感想です。本人に更生の強い意志があったとしても、周囲の目は厳しく、社会や企業(就職先)に適合できず再犯を繰り返すという負の連鎖から抜け出すことは容易ではありません。離脱の成否は、精神的なつながりや居場所をいかに確保するか、職場や近隣住民など周囲の理解が得られるかにかかっているといえ、福岡県警に限らず、全国の自治体や一部の理解ある事業者の取り組みだけでは、これ以上の大きな社会全体のうねりを生み出すことはまだまだ難しいと言わざるを得ません。そもそも受け容れる側である「社会の意識」自体の変革を促す取り組みもまた必要な状況だといえます。

 一方、北九州市小倉北区で2011年11月、業界のとりまとめ役として暴排に取り組んでいた建設会社会長が射殺された事件で、福岡県警は、特定危険指定暴力団工藤会幹部ら12人を殺人と銃刀法違反の容疑で逮捕しています。今後、工藤会トップの野村被告ら最高幹部も含めた組織的関与が明らかになることを期待したいと思いますが、すでに、逮捕された複数の組員が、事件への関与を認める供述を始めているといいます。工藤会の壊滅を目指す「頂上作戦」の一つの成果として、本件を含む一連の裁判によって工藤会の組織的な犯罪であることが認められることによって、組織に壊滅的なダメージを与えることを期待したいと思います。

 なお、この暴力団員の離脱者支援をはじめ、再犯防止の取り組みを推進していくうえで欠かせない、仮出所者や保護観察中の少年らの立ち直りを支援する役割を果たしているのが「保護司」ですが、その約3割が、今後7年以内に定年で退任する現状にあるといいます。さらに団塊の世代の定年などで10年以内に約半数が辞めるとみられ、保護司制度自体の存続が危ぶまれている状況です。暴力団離脱者支援の文脈だけでなく、昨年6月に「刑の一部執行猶予制度」が導入されたことで、保護司の需要が高まっている中、法務省が新たな担い手育成に取り組んでいるものの、人材確保の見通しは立っていないという報道もありました。相当な精神的ストレスと闘いながら、無給のボランティアに依存した制度であり、その社会的役割の大きさや今後その重要性がますます増すであろうことを鑑みれば、その構図自体から見直す必要があるのではないかと考えます。

(2) 組織犯罪処罰法改正を巡る動向

 今国会で、「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が審議される見通しです(既に衆院予算員会の基本的質疑において、論戦は始まっています)。本コラムでもたびたび指摘している通り、本改正が必要な背景に、「パレルモ条約(国際組織犯罪防止条約)」の批准を急ぐ必要があることがあげられます。本条約は、すでに北朝鮮を含む187の国・地域が締結しており、各国が協力しながら、犯罪収益のマネー・ローンダリングやテロなどの組織犯罪への対応態勢(包囲網)を整備するものですが、日本は先進7カ国で唯一、条約を締結していない状況にあります。条約に加盟すれば、捜査共助や犯罪人引き渡しの条約を結んでいない国に対しても捜査協力を依頼できるようになり、例えば、容疑者の人定や犯罪に利用された金融機関の口座照会、関係者の所在確認を依頼することも可能になり、国際的な犯罪への対処能力が飛躍的に向上することが期待できます。犯罪のグローバル化(日本の暴力団と海外の犯罪組織の連携など)が進む中、オリンピック等の大規模イベントが目白押しの日本においては、犯罪対策分野においても国際的な連携は急務であり、現状のままでは、テロリストの出入国情報やテロ情報等のやり取りにも支障をきたす可能性、すなわち国際的なテロ包囲網のセキュリティホールになりかねない可能性があります。そればかりか、テロ(テロリズム)が、「広く恐怖または不安を抱かせることにより、その目的を達成することを意図して行われる政治上、その他の主義主張に基づく暴力主義的破壊活動」(愛知県警察のWebサイト「国際テロ対策」ページから)である以上、テロリストがその目的を果たすために、日本をターゲットとする理由があろうがなかろうが、現実には、世界的に注目を集めつつ、テロの実行可能性が高い場所が選定されるであろうことをふまえれば、国際的なイベントが続くうえ、国際的なテロ包囲網の抜け穴的な日本がターゲットとなる可能性は否定できない状況にあります。

 そのような状況を回避すべく、政府は、これまで何度も廃案となった「共謀罪」から、適用対象をテロ組織や暴力団、薬物密売組織、振り込め詐欺集団などを想定した「組織的犯罪集団」に限定する方向での改正を見込んでいます。さらに、今回、盛り込まれている「テロ等準備罪」は、「重大な犯罪の実行を目的とした組織的犯罪集団によるものであること」、「具体的・限定的な計画(合意)が存在すること」、「重大な犯罪を実行するための準備行為」という3つの厳格な要件が課されていることがポイントであり、重大犯罪の計画だけでなく、凶器の購入資金や化学物質の調達など具体的な「準備行為」を行った場合に厳しく限定されています。具体的には、「暴力団組員らが、対立する暴力団の構成員を襲って監禁した上、拳銃で射殺することを計画、資金を調達して準備」、「テロ組織の構成員らが、空港の管制塔を占拠した上で、政府に対し、刑務所に収容中の仲間の釈放等を要求することを計画、必要な銃器を購入」、「詐欺集団の構成員らが、不特定・多数の者に電話を掛け、近親者の起こした交通事故の示談金の名目で金を銀行預金口座に振込送金させて騙し取ることを計画、車を手配して準備」などのケースが想定されます。

法務省 組織的な犯罪の共謀罪

 上記法務省のページは「共謀罪」の説明となっていますが、従来の共謀罪であっても、一般の市民団体等はそもそも対象にならず、「上司を殴る相談をしただけで…」といったケースが該当するはずもなく、今回のテロ等準備罪においては、さらに厳格な構成要件となっている点をあらためて認識する必要があります。さらに、通信傍受法との関係でいえば、昨年6月に公布された犯罪捜査のための通信傍受に関する法律の改正(改正通信傍受法)が昨年12月1日に施行されています。従来の「組織的殺人」「薬物犯罪」「銃器犯罪」「集団密航」の4つの罪種に加え、組織性のある「放火」「殺人」「傷害」「逮捕監禁」「人身売買」「窃盗」「詐欺」「爆発物使用」「児童ポルノ」の9つの罪種が新たに対象に追加され、とりわけ被害が深刻な特殊詐欺グループの摘発や、暴力団による抗争(殺傷事件)などの組織犯罪について効果的な捜査が行われることが期待されているほか、これまで通信傍受に必要だった通信事業者の立ち会いも不要になり、警察施設など捜査機関内で傍受することも可能になっています(ただし、あくまで裁判所の令状が必要な司法傍受である点に変わりはありません)。この通信傍受の対象範囲において、法相は、現段階で、テロ等準備罪を含めない考えを示しているものの、将来的には「検討すべき課題」としています。

 ただ、一方で、不法逮捕や人権侵害など権力の濫用につながるとして、野党をはじめ、、日本弁護士連合会(日弁連)や世論などの反対はいまだ根強いものがあります。例えば、日弁連は、今回の「テロ等準備罪」の新設についても、従来の「共謀罪」反対の路線を継承した声明を公表しています。

法務省 組織的な犯罪の共謀罪

日本弁護士連合会 日弁連は共謀罪に反対します(共謀罪法案対策本部)

 声明の中で、「共謀罪法案は、行為を処罰し、原則として結果犯を処罰するという我が国の刑事法の基本原則や法体系に反し、人権保障機能を危うくするもの」であると厳しく指摘しており、その根拠として、「その成立要件がきわめて曖昧なため、共謀罪法案は、捜査機関の恣意的な解釈・運用を許すもので、結社の自由、表現の自由はもとより、思想信条の自由という内心の自由をも侵害されるおそれがある」ことをあげています。さらに、条約批准については従来と同様の主張がなされており、「国連越境組織犯罪防止条約は、麻薬密売組織など経済的利益の獲得を直接又は間接に目的とするマフィアや暴力団などの組織犯罪を対象にするものであり、本来テロ対策を理由として作られた条約ではない。我が国は、国連のテロ関連条約の全てに加盟し、既にテロ対策に必要な国内法整備を終えている」としたうえで、今回新たな枠組みとして検討される「組織的犯罪集団」についても、「『組織的犯罪集団』ではない団体も、共謀又は計画があったとされる時点でその団体の共同目的やその実態が犯罪遂行にあったと捜査機関が認定すれば、『組織的犯罪集団』として共謀罪の対象となる…。したがって、『組織的犯罪集団』という要件は、共謀罪の適用範囲や対象を絞り、あるいはその濫用を防止するための要件足りえない」としています。

 そのうえで、今回の組織犯罪処罰法改正にあたり、政府は、対象犯罪を半減させる方向で進めていますが、前述の本質的な要請をふまえれば、過度の限定は、そもそもの目的である条約の批准を困難にしかねませんし、このような形でテロリストや犯罪組織らに「隙」を見せることはあってはならないと考えます。テロリスクのみならず、国内では特殊詐欺や反社リスクを低減させる可能性を秘めつつ、国際的な犯罪対策の連携に貢献するという意味でも、これ以上政争の具にしてはならず、冷静かつ思慮深い議論をお願いしたいところです。

(3) テロリスク/テロ資金供与対策(CTF)の動向

 テロリスク対策の法的環境の整備という面では、前述の組織犯罪処罰法改正を巡る動向を注視していく必要がありますが、最近では、事業者における具体的なテロリスク対策の動向にも動きがみられます。前回の本コラムで指摘した通り、今年は、事業者にとっても、従業員の安全確保や内通者対策、インフラ等重要施設や工場、多数の人を集める施設等を中心とした安全確保(内外からの脅威への対策)、事業継続などの観点から、テロリスク対策に本腰を入れていく必要があります。「日本ではテロは起こらない」といった甘い認識・幻想を打破すること、厳しい現実から目を背けることなく、近い将来起こり得るテロの脅威に正面から向き合うことが、死に直結するリスクへの対応として不可欠です。そのような中、直近では、例えば以下のような官民連携のテロリスク対策の取り組みが報道されています。

  • 警視庁と足立区が連携して、企業のテロ対策支援に乗り出しています。報道(平成29年1月29日付日本経済新聞)によれば、元警察官を「危機管理アドバイザー」に指定し、足立区内の4警察署に1人ずつ配置し、中小企業などを訪問して警備の状況を点検、防犯カメラを置く位置や不審物を発見した際の対処方法なども助言すること、足立区が主要駅などに設置している「災害用定点カメラ」100台のライブ映像を、非常時に同庁が閲覧できるようにし、迅速な救助活動に役立てるといった連携の覚書が締結されたということです。
  • 警視庁は、東京五輪・パラリンピックに向け、テロに使われる道具が購入される恐れのあるホームセンターや薬局など民間業者との連携強化を進めているということです。報道(平成29年2月3日付産経新聞)によれば、仏ニースでのトラックテロでレンタカーのトラックが利用されたことから、レンタカー事業者における不審者対応訓練が実施されています。レンタカー事業であれば、本人確認拒否や身分証との不一致、利用状況に不審な点があるといった不審な兆候を見抜くこと、ホームセンターや薬局であれば市販の化学物質から爆発物が製造される端緒をつかむこと、あるいは、インターネット通販を通じて同様の不審が購買行動を監視すること、さらにはそれらの情報を速やかに警察に通報するという一連の行動がまさに事業者に求められるものであり、実際の専門的な研修や訓練を通じて、通常の業務の一環として確実に実行できるようにしておくことが重要となります。
  • さて、テロリスク対策という視点からは、米トランプ大統領によるシリア難民受け入れ停止の大統領令が世界中に大きな影響を及ぼしています。テロリストの米国への入国を防ぐことを念頭に置きながら、その実行策として、シリア難民の無期限受け入れ停止やイラクなど最大7カ国出身者の一時的な入国禁止を行い、その「行き過ぎ」が問題となっています。
     本件は、メキシコ国境への壁建設やこれまでのトランプ氏の発言等とあわせ、排外主義的な動きとして一体のものとして受け止められていますが、大統領令の内容については、迫害から逃れてくる難民については、シリア国民の受け入れ停止に加え、他の国の出身者に関しても少なくとも120日間、受け入れを全面的に中断するものの、この間にテロリストが難民に紛れ込まないよう審査手続きを見直すことや、難民以外の外国人に関しても、特定の国から訪れる場合は少なくとも90日間、入国を禁止する一方で、この間にビザ(査証)発給などの基準を厳格化し、それを満たせない国の国民についてはその後も入国を禁じるといった措置がセットになっており、混乱は一時的に生じるものの、テロリスク対策という大義を達成するために不可避な、テロリストや不法難民を排除するための(かなり強硬かつ乱暴な手段による)取り組みといった側面もあります(厳密にいえば、今回の措置は同時多発テロ以降の審査の厳格化の流れの上にありますし、そもそも米国は難民の受け入れについて消極的であり続けています)。
     これに対し、直近では、「人種や宗教による差別を助長し違憲」「憲法で保障されている平等保護に違反する」といった差し止めを求める訴えが全米各地で提起され、ワシントン州シアトルの連邦地裁が一時差し止めの仮処分を命じる決定を行ったことで、(政権は即日控訴しましたが退けられています)米国務省は一転して、約6万人に上る7カ国出身者のビザ取り消しを撤回し、有効なビザを所持していれば入国を認める方向に転じました。
     テロリストや不法難民の排除という狙い(目的)は(真にそれを目的としているならば)正しいとはいえ、残念ながら、その手法が多様性に対する配慮を欠いて強硬すぎるものであり、丁寧かつ十分な説明責任が果たせていないという、まさに「行き過ぎ」との世間の心証を形成してしまったことが、今回の混乱を招いたものと指摘できると思います。この「行き過ぎ」という面では、例えば、米国ではさらに、外国人のテロリストが米国に入国するのを防ぐため、外国人訪問客にインターネットの閲覧履歴や携帯電話の連絡先を開示させ、応じなければ入国を拒否する案が検討されているとのことであり、この措置が実行されれば、再び世界中で混乱が予想されるところであり、政権側が国内外の世論にどう説明責任を果たすのかその手腕が問われることになります。一方で、秋に連邦議会(下院)選挙を控えるドイツでは、ベルリンテロ事件を受け、これまでのリスク管理の甘さを国民から糾弾されていることから、テロ対策の強化に躍起になっており、国外退去義務のある外国人が「治安を脅かすか、テロを起こす恐れがある」場合、足輪で行動を監視することや、こうした危険人物の拘束も容易にする方向で対策が検討されています。ただ、これもまたかなり強硬な手段であるにもかかわらず、今のところ、ドイツ国内の「行き過ぎ」との批判はほとんど聞こえてきません。結局、その対策が「行き過ぎ」かどうかを決めるのは、その時期の社会の「ムード」に極端に振れることも多く、加えて、国際世論の圧力(国内外の世論のバランス)も極めて重要な要素となりますが、その心証の形成については、冷静な議論、十分な説明責任が求められることは言うまでもありません。

 なお、本件は、アマゾンやマイクロソフトなど世界中から人材を集めている企業の活動にも重大な影響が及んでおり、企業実務にとっても無視できない状況となっていますが、「人材の多様性に潜むリスク」である、「従業員からのテロリストの排除」、「テロリストの活動助長リスク」の視点が、日本だけでなくこれらグローバル企業にも欠落しているように感じられます。その多様性に隠れる形でテロリストを内側に抱える可能性(人材の多様性が進展すればするほど、テロリストや犯罪者がその身分を隠して活動していくことが容易になるであろうこと)とその結果の重大性について、事業者は、その社会的責任をどう果たしてくべきか、もまたテロリスク対策の新たな課題として検討していく必要があるといえます。

(4) アンチ・マネー・ローンダリング(AML)の動向

 不正入手したクレジットカード情報で、仮想通貨ビッドコイン取引所からコインをだましとったとして電子計算機使用詐欺罪などで逮捕、起訴された男2人が、詐取したコインを現金に換金し、マネー・ローンダリングする目的で他人名義の口座に振り込んだとして、組織犯罪処罰法(犯罪収益隠匿)容疑で書類送検されています(そもそも、容疑者は、米国のコイン交換サイトに架空名義の複数のアカウントを開設、それらの間でコインを移動させるなどして購入元を分かりにくくしていたということであり、まさに、マネロンの典型的な手口であるといえます)。なお、ビットコインのマネロンを立件するのは全国で始めてだということです。

 マウントゴックス事件に代表されるように、ビットコインなど仮想通貨を巡る詐取事案はいまだになくなりません(本ケースでも、取引所のシステムの脆弱性というより、その前段階において、カード情報を不正に悪用されてコインを盗取したもので、スキーム自体に潜む脆弱性が突かれた形といえます)。犯罪収益移転防止法の施行令の改正などで、今春にも、仮想通貨利用者の本人確認の強化や不正な取引の監視が、仮想通貨取引所に義務付けられる見通しとなっているものの、現時点で、悪意から完全に防御できる態勢が整備できるかといえば、それはかなり困難であり、そもそもネット通販等で好ましくない物品の売買の決済に使われるケースもまだまだ見られるなど、犯罪との親和性が高く、完全に透明性が保たれることは難しいと考えられます。そうであるがゆえに、透明性や防御態勢に対しては混とんとした今このタイミングで、犯罪組織がその技術に着目し、様々な犯罪を仕掛けてくることが容易に想像できる状況でもあります。本コラムではたびたび指摘していますが、急速に拡がる新しい技術や飛躍的に高まる利便性の裏腹に潜む、犯罪への悪用リスクに対しては十分すぎるほど慎重に対応していくことが必要だと思われます。

(5) 忘れられる権利を巡る動向

 いわゆる「忘れられる権利」について、最高裁が初の判断を示しました(厳密にいえば、忘れられる権利に直接的に言及したわけではなく、従来の「表現の自由」や「知る権利」の枠組みからの判断したものです)。

最高裁判例 投稿記事削除仮処分決定認可決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件

全文

 自分の過去に関するネット情報を削除したい場合は、従来、情報発信者に直接削除を求めるケースが主流で、日本においては欧州等と比較して特にそれが機能しているとされます(前回の本コラムでご紹介したように、ヤフーがある期間で削除した1,096件のうち1,012件までもが同社が確認した段階でリンク先ページに既に対象となるデータが存在しなかったことが分かっています。同社では、「発信者やプロバイダへの削除要請が相応に機能している」結果と捉えています)。ただ、それでもなお、近年は、情報にアクセスするルートを絶つために、検索事業者に検索結果の削除を求める手法へと変化しつつあり、そのようなタイミングでの今回の最高裁の判断が出たということになります。

 さて、今回の判決では、まずは、「情報の収集、整理及び提供はプログラムにより自動的に行われるものの、同プログラムは検索結果の提供に関する検索事業者の方針に沿った結果を得ることができるように作成されたものであるから、検索結果の提供は検索事業者自身による表現行為という側面を有する」とし、削除請求の対象となるとの初判断が示されたうえで、その削除については、「当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当」と指摘しています。
 言い換えれば、検索結果を広く提供する必要性に対して、プライバシーが明らかに優越することが明らかな場合に限り、削除を求めることができるとするもので、事実上、忘れられる権利を認めるケースを限定的に捉え、情報の公共性を重視したものといえます。
 そして、削除を認めるかどうかの検討においては、「当該事実の性質及び内容」、「当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度」、「その者の社会的地位や影響力」、「上記記事等の目的や意義」、「上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化」、「上記記事等において当該事実を記載する必要性」の6項目を考慮要素として判断すべきという点が示されました。
 そのうえで、個別事情について、「児童買春が児童に対する性的搾取及び性的虐待と位置付けられており、社会的に強い非難の対象とされ、罰則をもって禁止されていることに照らし、今なお公共の利害に関する事項である」こと、「本件事実が伝達される範囲はある程度限られたもの」であること、「抗告人が妻子と共に生活し、罰金刑に処せられた後は一定期間犯罪を犯すことなく民間企業で稼働していることがうかがわれることなどの事情を考慮」しても、本件事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえない」として、削除は認められないと判断されました。現時点の実務では、グーグルやヤフーは独自基準を設けて削除要請に対応していますが、今後、今回の最高裁の判断を踏まえた国内のルール整備が喫緊の課題となるといえます。

 ただ、今回の判断が、「表現の自由」や「知る権利」を重んじたのは評価できるとしても、「公共性」と「時間の経過」の比較衡量の観点(何年たてば犯罪報道の公共性がなくなるのか)からの判断が「明確に」示されなかった点(考慮要素の中に「社会的状況のその後の変化」との文言はありますが)は残念で、このあたりは、さまざまな個別の事情についての今後の裁判実務に委ねられることになり、実務上の課題としては残ることになります。犯罪歴は、慎重な配慮を必要とする個人情報(改正個人情報保護法における要配慮個人情報)であり、過失などの軽微な犯罪歴まで、誰でも検索可能な形でネット上に掲載し続けることは、人権上、まったく問題がないとは言えず、そのバランスが判例の積み重ねにより妥当なところで収斂していくことを期待したいと思います。
 ただし、暴排トピックス2017年1月号でも指摘した通り、こと暴排実務との関係でいえば、今後、重要と思われるリスク情報(つまり、今、削除されるべきでない個人情報)について、前述の6項目の判断考慮要素が明確になったにもかかわらず、一方で、「報道されない」「匿名報道される」「削除される」傾向が一層強まり(つまり、端的に言えば、「忘れられる権利」が、結果的に「表現の自由」や「知る権利」を凌駕する状況)、事業者が取引可否判断に必要な真実にアプローチしにくくなることが、現実的に大きな懸念事項として顕在化してきています。今後の個人情報保護法改正やEUデータ保護指令などの影響も見極める必要がありますが、(特殊詐欺事案や性犯罪なども含めるべきところ)少なくとも暴排実務に関する情報については、反社会的勢力を排除するという社会的要請が強く存在する以上、これらの動きとは関係なく、「地域性」を超えて、きちんと「実名」で報道され、「時間の経過に伴う公共性の減少」の概念の適用外として運用されることが望ましいといえると思います。

 一方で、あまり大きく報道されていませんが、青森地裁で、同県青少年健全育成条例違反と強姦、強制わいせつの罪に問われた男の初公判があり、被害者の特定を避けるため、被害者だけでなく、被告も匿名で審理されたというものがありました(平成29年1月11日付読売新聞)。一見すると、被告も匿名とするのは珍しく、被害者が加害者の情報を通して裁判で特定されることを不安に感じていることをふまえた判決という評価ができそうですが、かなり深刻な問題を内包しているように思われます。つまり、前述の「報道されない」「匿名報道される」「削除される」傾向どころか、そもそも報道の前提となる加害者の名前が一切公表されず、また、今回の最高裁の判断で、「児童買春は社会的に強い非難の対象だ」との指摘がその判断の根幹を成していることとあわせて考えれば、同じような状況下にあっても、一方はリスク情報にすらならなかったという点については、一般化されるべきものではないと考えます。

(6) 捜査手法の高度化を巡る動向

 裁判所の令状のないGPS捜査の適法性を巡っては下級審で判断が分かれているところ、昨年10月に最高裁第二小法廷が審理を大法廷に回付、上告審弁論をこの2月中に開くことが決まっており、間もなく統一判断が示される見通しとなっています。

 そのような中、GPS捜査について、警察庁が2006年に通達した運用要領で秘密保持の徹底を指示していたことが分かり、波紋を呼んでいます。当時の運用要領で示されたのは、「捜査書類には存在を推知させるような記載をしない」、「容疑者の取り調べで、用いたことを明らかにしない」、「事件広報の際には公にしない」の3項目で、これに対して、昨年9月の文書で、警察庁は、令状取得を「これまでの裁判例の推移に鑑みると、立証の万全を期するための一つの適切な方法と考えられる」とし、令状を得て捜査する場合は、事前報告するよう求める文書を出して、令状を必要としない任意捜査とのスタンスは変えていないものの、「違法」とする司法判断をふまえて微修正していたことも分かりました。

 このような状況にあって、日弁連は、GPS捜査について警察庁に意見書を提出しています。

日弁連 GPS移動追跡装置を用いた位置情報探索捜査に関する意見書

 意見書では、「張り込みや尾行と違い、GPS捜査では私的空間における位置情報も取得できる。プライバシー侵害の程度が大きい」と指摘しているほか、収集された記録が目的外利用されるおそれがあり、捜査対象者に不服を申し立てる機会もない、などと非難しています。一方で、「極めて例外的にGPS捜査が必要になる場合がある」として、令状発布の要件や手続きを法律で制定する必要性も指摘しています。

 また、直近の捜査では、自動車盗事件の捜査で千葉県警が昨年、裁判所の令状を取った上で、捜査対象者の車両にGPSの発信器を取り付けたということです。警察庁がGPS捜査について、令状が不要な「任意捜査」と位置づける中、裁判所の令状取得は全国で初めてとなります。本件においては、裁判所に令状を申請する際に、「捜査の見通しが立った段階で本人に発信器を使用したことを告げる」などの条件を付け、令状を取得したということです。

 その一方で、過去のGPS捜査において、GPSの機能のうち、あらかじめ登録した地域に出入りするとメールで通知が届く「見守り設定」と、設定時間ごとに位置情報を自動検索する「スケジュール機能」を活用していたと公判で捜査員が説明しています。この点については、「常時監視」にあたり、まさにプライバシー侵害の程度が大きいとの批判が出ています。これまでの判決でも、例えば、昨年12月の東京地裁立川支部の判決では、「プライバシー侵害の恐れがあり違法」と認定しつつ、得られた情報を証拠として採用することを認める判断を示しています。GPS捜査が事件の解決に向けて有効であることは否定できないものの、令状もなく常時監視に近い状態で利用されるのは、やはり、「行き過ぎ」ではないかという疑念が生じるのはやむを得ない側面もあると考えます。今後の最高裁の判断で、このあたりのバランスをどのように整理されるのか、注目したいと思います。

 さて、本コラムでも以前紹介しましたが、京都府警が「予測型犯罪防御システム」を導入し成果があがりつつあるといいます。これは、過去の膨大なデータや犯罪心理学等の理論等から導かれるアルゴリズムを用いて、犯罪が起きやすい地域や時間帯などを予測し、捜査や犯罪防止に生かす画期的な新システムですが、関連して、警視庁も、犯罪捜査にスーパーコンピュータ(スパコン)を全国ではじめて導入することを決定、サーバのログ解析やウイルス情報の収集に活用するということです。また、報道(平成29年1月7日付日本経済新聞)によれば、警視庁は、子供や女性を狙う犯罪のデータを使って対策を立てる手法の研究を始め、被害に遭った事件の発生場所や時間、事件前の被害者や加害者の行動の分析に取り組んでいるほか、福岡県警もコンビニ強盗や性犯罪などの犯罪の発生状況や容疑者の供述などのデータを外部の専門家に提供、過去の事件の情報を防犯に生かす事業を進めるとのことです。

 このように、ビッグデータやAI(人工知能)、スパコンなどを犯罪捜査に役立てる試みが本格化しているのは、大変興味深い動きだと評価できます。その中でも重要なのは、優秀とされる日本の捜査員の「勘」を科学的に裏付け、現場の「勘」を予測に活かすことを通じて、より精緻なものとすることです。あくまで技術の進歩と人間の能力が「融合」「併存」することが重要であり、実際の捜査が人間によって行われ、犯罪の実行者が人間である以上、予測と現実の差異は不可避的に生じるもの(また、犯罪を完全に抑止することも不可能)であり、そうである以上、そのギャップやデータのバグを埋め、摘発に至るのは最終的に人間の能力(人間の分野)となることを忘れてはならないと思います。

(7) 犯罪インフラを巡る動向

公的支援制度の悪用

 本コラムでは、たびたび、公的制度の脆弱性(本人確認の不備やモニタリングの不足、審査の甘さ等)が、犯罪を助長している点を指摘しています。今回、経営難の企業が雇用を維持するため、国が休業手当の一部を助成する「雇用調整助成金」制度で、2013~15年度に約54億3,000万円の不正な受給が発覚し、このうち4割を超える約23億8,000万円が返還されていない実態が初めて明らかになりました。休業させたと偽ったり、社員の訓練をしたと申告しながら社員を働かせていたりする手口が後を絶たないうえ、厚労省は不正受給した企業に返還を求めるものの、元々資金繰りに困っており、滞ることが多いとのことです。ここでも、行政側の審査の甘さや、制度自体の構造的な脆弱性が不正を助長していることが分かります。さらに、一部の整骨院や接骨院で不透明な保険請求が相次いだ柔道整復師の療養費の不正受給の事例や医療費の不正受給の事例など類似の状況においては、反社会的勢力との関係が見いだされるケースも多いことから、この雇用調整助成金の不正受給についても、同様に、反社会的勢力の資金源となっている可能性は低くないものと推測されます。

 なお、このうち、柔道整復師制度については、不正請求の疑いがある場合にはカルテの提示を求めるなど審査を厳格化することや、養成課程に職業倫理を必修化する新しいカリキュラムも導入するなど、抜本的な規制強化に初めて取り組むことになりました。なお、報道によれば、はり師やきゅう師、あん摩マッサージ指圧師の養成課程も同様の見直しを行うということです。制度と倫理の両面からの質の向上を目指すアプローチは正しいものと評価できますし、不正の排除とともに、反社会的勢力の活動を助長することのないよう、真摯かつ着実な取り組みを期待したいと思います。

 また、技能実習制度を隠れ蓑にした人身売買の実態については、本コラム(暴排トピックス2016年12月号)でも指摘していますが、報道(平成29年1月10日付産経新聞)などによれば、ブローカーの存在だけでなく、それを「雇う側」の問題も大きいことが実感されます。端的にいえば、本記事中の捜査幹部のコメント「コンビニや飲食店は慢性的な人手不足に悩まされている。そのため採用時の身分照会が甘くなりがちだ。不法滞在者が混じる余地は十分ある」に代表されますが、人材不足に起因する本人確認・チェック手続きの脆弱性が突かれ、コンビニや飲食店が「犯罪インフラ」となっているという極めて由々しき問題です。その背後に、海外の犯罪組織と日本の暴力団の連携があり、最終的には犯罪組織の資金源となっていることを考えれば、このような構図を断ち切ることが、飲食・小売業界にとって喫緊の課題であるといえるでしょう。

高額な医薬品/医療保険制度

 1錠が約5万5,000円もする高額な医薬品であるC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品が奈良県などで見つかった問題で、報道(平成29年1月30日付毎日新聞)によれば、偽造品を仕入れた東京都の卸売業者の社長が、「偽造品と思わず、昨年秋以降、複数の個人からハーボニー(のボトル)を10本前後買った」、「相手の身元確認をせずに購入した」と証言したということですが、その証言からも、取引上の本人確認(一見の相手でも十分なチェックを行わず取引をするということ)の脆弱性が指摘できるほか、偽造品は外箱のないボトルだけの状態で流通しており、卸売業者を何重にも介在させて出回り、最終的に薬剤師のチェックもすり抜けて患者に渡った事実から、プロとはいえ何人もの関係者が、(おそらく偽造品が自分の手元にあることなどまったく想定しておらず)安易に信用してしまう「リスクセンスの麻痺」の状況が顕著であったと指摘できると思います(それを裏付けるものとして、薬局で偽造品が出回ったのは初めてではないかといった報道もありました)。現時点で、本件の背後関係等は明らかになっていませんが、暴力団等の犯罪組織等が組織的に実行してきたとすれば、やはり見破られることなくその資金源となってしまう可能性がありますし、今後も類似の問題が発生する可能性すらあります。

 さて、この医薬品「ハーボニー」については、日本の公的医療保険制度が外国人に悪用されている問題でも取り沙汰されています。外国人が先進医療を安価で受けられるとして、医療機関を紹介するブローカーも存在し、さらには、医療保険の審査においても、海外にいる外国人も条件を満たせば扶養親族として健康保険に入れることができるため、広く利用されてしまっている実態(保険設計からみて想定外の利用)や、扶養関係の証明の偽造など「本人確認の甘さ」が悪用されている事例も多いようです。

 これらを総合的に考えてみれば、高額な医薬品や高額な医療費を悪用した犯罪とでもいえる状況がすでに存在しており、その背後には、国際的な犯罪組織の存在(海外のブローカーと日本の反社会的勢力との連携など)が見え隠れしている点など、十分注意が必要な状況だと指摘しておきたいと思います。

外国人企業家在留資格

 外国人が数多く来日する中、技能実習制度や医療保険制度の悪用事例も増えていることはお話しましたが、報道(平成29年1月29日付産経新聞)によれば、「外国人起業家在留資格」を悪用し、日本で起業する外国人を装って、不正に日本に滞在するケースも増えているということです。その背景には、本資格が、平成27年4月1日の出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正により、従来の「投資・経営」から「経営・管理」へ在留資格の名称と要件が変更(緩和)されたことがあげられます。「経営・管理」の在留資格では、「500万円以上の資本金(出資者が日本人でも大丈夫)」、「2人以上の従業員」、「事業の経営・管理の経験」、「まだ会社設立していない場合でも、定款など事業開始が明らかになる資料を提出して、申請できる」、「定款を提出して会社設立前に、在留資格の申請をした申請者には在留期間4ヶ月の『経営・管理』の在留資格を与えることで、入国後に会社設立登記を行う機会が得られる」となどの要件で、国内で新規事業を立ち上げる外国人に3カ月~5年の在留許可が与えられるようになりました。これにより、従来以上に外国人が日本で事業を行いやすくなり、実際に、本資格で日本に滞在する外国人は2万人を超え、前年から2,000人以上増加した一方で、それを隠れ蓑にした不正滞在が増加、外国人の犯罪を助長する「犯罪インフラ化」している実態が顕著になっています。当然ながら、架空会社の設立を支援する闇業者も現れているほか、審査も書面さえ整えれば比較的容易に審査は通ることなどもあって、その傾向に拍車がかかっている状況です。

難民申請

 「難民」とは、難民条約及び難民議定書の規定により定義されているもので、「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者」とされています。

 米国の混乱をはじめ、とりわけEUにおける「難民問題」はいまだに大きな課題ですが、日本にとっても対岸の火事ではなく、既に「偽装難民」が押し寄せて審査業務がパンクしている状況にあり、テロリストや犯罪者の入国チェック体制に対する不安が解消されない状況が続いています(すなわち、審査待ちを理由とする滞在とそれによる犯罪の発生を助長する「犯罪インフラ化」しつつあります)。直近の報道によれば、昨年1年間の難民認定申請数が、1982年に統計を取り始めて以降、初めて1万人を超えるのが確実な情勢となっているということです。参考までに、平成27年の状況については、「難民認定申請者数は7,586人で、前年に比べ2,586増加(約1.5倍)し過去最多」、「難民認定申請の処理数は3,898人で、前年に比べ729人増加(約1.2倍)」、「難民認定者数は27人で,前年に比べ16人増加。このほか、人道上の配慮を理由に我が国での在留を認めた者が79人で、これらを合わせると106人に対して難民認定申請の結果、我が国での在留が認められた」ということです。

平成27年における難民認定者数等について(速報値)

 現在の申請の大半は就労目的の「偽装申請」とみられていますが、法務省が平成27年9月に始めた「難民認定制度の運用の見直し」の運用が、偽装申請対策として十分な効果をあげていない実態が改めて浮き彫りになっており、申請数の増加が真の難民の審査に遅れを生じさせている可能性も指摘されています。そして、いたずらに在留が認められることで、テロリストや犯罪者に活動の場(機会)を提供することになっている点が危惧されます。

法務省 難民認定制度の運用の見直しの概要について

 見直しにおいては、「難民認定制度の濫用・誤用的な申請に対する適切な対応」として、以下のようなスタンスが明記されています。

1) 難民認定制度の濫用・誤用的な申請の迅速処理

難民条約上の迫害理由に明らかに該当しない事情を主張する事案(例えば、「本国の借金取りから逃げてきた」、「日本で稼働したい」など)や正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返す再申請については、本格的な調査に入る前の段階で振り分け、難民調査官による事情聴取等申請人が十分主張を行う機会を確保しつつ、迅速に処理を行う。

2) 難民認定申請中の就労許可の在り方の適正化

現在、正規在留中に難民認定申請を行った場合、一定期間経過後一律に就労を許可していることが、難民認定制度の濫用・誤用的な申請を誘発している面があることから、就労しなくても生計維持が可能と判断される者及び正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返す再申請者については、申請に対する判断が示されるまでの間、在留は許可するが就労は許可しない。

3) 特に悪質な濫用事案に対する対応

現行法上、難民認定申請は、内容の如何を問わず何度でも行うことができ、最多で6回目11年前から申請を行っている者もいるという状況にあることから、難民条約上の迫害理由に明らかに該当しない事情を繰り返し主張する再申請者や、正当な理由なく前回と同様の主張を三回以上繰り返す多数回申請者については、難民認定手続きは続行するものの、在留は許可しない。

技術の進化と犯罪インフラ対策

 2020年東京五輪・パラリンピックで、観客のチケットレス化を検討しているとの報道がありました。インターネット上で本人確認の手段として利用されている電子証明書の技術とマイナンバーを活用することで、観客がスマホやICカードなどをかざすだけで簡単に競技会場に入れるほか、本人確認を徹底することで不正転売やテロの防止につなげる狙いがあるということです。大規模なイベントでは、チケット類を買い占め、入手できなかった人に高額で売りさばく、いわゆる「ダフ屋」と呼ばれる転売組織が横行し、反社会的勢力の資金源になっていることから、IT(情報技術)やICT(情報通信技術)を活用したダフ屋の排除、テロリスク対策、犯罪インフラ対策として注目されます。また、楽天は、ネット通販「楽天市場」の不正注文対策で、購買情報をもとに犯罪との関連が疑われる取引の情報を毎月、警察に提供する取り組みを始めるということです。具体的には、犯罪との関与が疑われる注文の配送先の住所を共有するもので、例えば、大量の買い物が同一所在地に配送されるケースでは、不正購入した商品をまとめて転売する業者がいる恐れがあるとみて警戒するといった仕組みです。さらには、過去に被害にあった商品の種類や顧客情報から、不正注文と思われる購買かどうかを同社のデータベース(DB)を使って推測する取り組みも進めるということです。

 新たな技術やビジネススキームは、その脆弱性を突かれて犯罪インフラ化する危険性を常に孕んでいますが、一方で、その技術を犯罪インフラ対策に積極的に活用することも極めて重要です。DBの構築はもちろん、取引履歴や不正取引履歴等をビッグデータ化し、AIを駆使して犯罪の抑止や未然防止等に役立てることや、ブロックチェーン技術のセキュアな仕組みを活用した認証ビジネスなども考えられます。詐欺的ビジネスに自社のビジネスが悪用されることはあってはならず、企業の社会的責任(CSR)の観点やブランド戦略の一環として、(悪用リスクを極限まで低減させることを前提に)リスク管理に先端技術を活用していく取り組みを加速させる必要があるといえるでしょう。

(8) その他のトピックス

小学校職員と暴力団員の共謀

 以前の本コラム(暴排トピックス2016年11月号)で、三重県紀北町の町会議員が、拳銃と実弾を所持していたとして逮捕された事例や、京都府京田辺市議会議員(3期目)が暴力団と共謀したうえ傷害の疑いで暴力団員らとともに逮捕された事例を取り上げました。特に後者については、同市議が、無許可でマンションの解体工事を請け負ったとして、建設業法違反容疑で京都府警に逮捕され、罰金50万円の略式命令を受けたこと、京都府警が、同市議に対して、暴力団組員が現金を要求する現場に立ち会い、手助けしたとして、今後同様の行為をしないよう暴力団対策法に基づく中止命令を発出したといったかなり悪質なものでした。

 今回は、無登録でヤミ金を営んだとして、貸金業法違反(無登録)の疑いで、六代目山口組直系弘道会の傘下団体組員とともに、兵庫県西宮市立小学校の給食調理員が逮捕されています(その他、出資法違反の容疑もあるようです)。当該職員については、公務員としての資質や資格もないうえ、一人の社会人としての常識も疑わざるを得ませんが、一方で、市の職員が暴力団と共謀したという事態であり、採用した西宮市の責任も大きいといえます。採用時の反社チェックの有無や勤務時のモニタリングなど、自治体としての取り組みには限界があるにせよ、生徒への影響等を考えれば、ある程度、清廉潔白性を要求・担保するのはむしろ当然であり、そのために、自治体においても、採用時のチェックの強化や、勤務状況やある程度プライベートの状況にまで関心を持つこと、幅広く市民や他の職員から情報を収集するといった「主体的な取り組み」が求められるのではないかと考えます。

山梨県警の取り組み

 山梨県警は、犯罪抑止や暴排のため、この2月1日から街頭に防犯メラを設置、運用しています。この街頭防犯カメラシステムは、犯罪の予防と被害の未然防止を図るため、公共空間に防犯カメラを設置し、撮影した画像を管轄する警察署にデータ送信し、これを記録するものということです。

山梨県警 山梨県警察街頭防犯カメラシステム

 なお、今回、甲府市中心街に9台、石和温泉街に8台の計17台が設置されましたが、これらの地域は、山梨県暴排条例第29条(暴力団排除特別強化地域)に定められた「暴力団排除特別強化地域」とリンクしており、犯罪抑止の観点だけでなく、暴力団対策・暴排の観点も極めて大きいといえます。

山梨県警 平成28年8月1日「改正山梨県暴力団排除条例」が施行

 山梨県では、山口組分裂以外の文脈で暴力団の対立抗争が続き、2011年5月の山梨一家から離脱して「山梨俠友会」が結成(現在では解散届を提出)されて以降、同県内で50件以上の抗争事件が発生しており、うち30件以上が発砲事件という状況が続きました。これらを受けて、昨年8月に、同県暴排条例が改正され、甲府市中心街、石和温泉街を暴力団排除特別強化地域に設定して取締りや暴力団の排除が強力に推進されることとなった経緯があります。

平成28年の犯罪統計資料

 昨年の刑法犯認知件数の総数は、996,204件(前年同期 1,098,969件 前年同期比 ▲9.4%)となり、終戦直後の1946年からの記録が残っている中、初めて100万件を下回りました。また、検挙件数は、337,096件(同 357,484件 同 ▲5.7%)、刑法犯全体の検挙率は33.8%で前年(2016年)より1.3ポイント上がりました。

警察庁 平成28年1~12月犯罪統計【暫定値】

 項目別では、窃盗犯の認知件数は、723,189件(807,560件 ▲10.4%)と、統計のある1954年以降、初めて10万件を下回りました。また、侵入盗は、76,481件(86,373件 ▲11.5%)、非侵入盗は、374,523件(411,350件 ▲9.0%)、万引きの認知件数は、112,707件(117,33件 ▲3.9%)、自転車盗は、236,222件(260,530件 ▲9.3%)などと軒並み大幅な減少となった一方で、知能犯の認知件数は、45,788件(43,622件 +5.0%)、詐欺は、40,999件(39,432件 +4.0%)、偽造は、3,176件(2,550件 +24.5%)、特に支払用カード偽造は、683件(181件 +277.3%)と顕著な増加を示している点が注目されます。

 また、注目すべき数値としては、詐欺の被害者の年代別内訳で、70~79歳が6,766件、40~49歳が4,243件、80歳以上が4,085件、30~39歳が3,663件、50~59歳が3,387件の順となっており、意外に40代が多いことがあげられます。さらに、報道によれば、昨年、警察が摘発した刑法犯220,318人のうち、防犯カメラなどの画像が容疑者特定の決め手になったのは5.9%に上り、特に強盗では10.8%、強制わいせつでは10.3%で防犯カメラが事件解決の端緒となったということです。

 なお、防犯カメラと検挙率の関係については、以前の本コラム(暴排トピックス2016年2月号)でも、自転車盗の大幅な減少傾向が続いていることについて、全国的に街頭防犯カメラの設置が増えていることと一定の相関関係があることを指摘しており、以下の警察庁の資料でも、「(街頭防犯カメラの設置により)全体的には減少傾向にあるものの、罪種によってその傾向は若干異なっていた。もともと刑法犯認知件数に占める構成比が大きい自転車盗でその減少幅が最も大きかった。・・・自転車盗の認知件数に統計的に有意な差があったことが示された。」といった分析結果は示されていることを紹介しました。総合的に考えれば、防犯カメラの効用については、その「抑止効果」は自転車盗など一部に限定される一方で、「検挙効果(事件解決の端緒)」は幅広い罪種で一定程度認められるといえます。

警察が設置する街頭防犯カメラシステムに関する研究会『警察が設置する街頭防犯カメラシステムに関する研究会最終とりまとめ(案)』警察庁(平成23年3月)

 また、昨年から刑法犯全体の認知件数が7.8%減少した大阪の状況についての報道(平成29年1月19日付産経新聞)では、大阪府警の見立てとして、「防犯カメラの設置や地域ボランティアの活性化などが進み、刑法犯の減少につながったのではないか」という点が紹介されています。この点については、大阪府警が昨年から推進している、府民が著しく不安を感じる犯罪対策に重点をおいた「地域の犯罪情勢に即した犯罪抑止総合対策」で、大阪重点犯罪(子どもや女性を狙った性犯罪、ひったくり・路上強盗、自動車関連犯罪)に対する独自の対策が効果を上げ始めているのではないかと推測されます(なお、特に高齢者を中心に特殊詐欺被害が大阪で急増していることをふまえ、新たに特殊詐欺が加えられています)。

大阪府警察 地域の犯罪情勢に即した犯罪抑止総合対策の推進項目(平成29年)

 参考までに、「自治体、事業者、地域住民等と連携・協働した安全なまちづくりの推進」項目として、以下が掲げられてます。

  • 防犯カメラ、防犯灯等の設置による防犯環境整備の促進
  • 被害防止に有効な防犯器具の普及等、自治体による防犯関連事業の促進
  • 事業者による防犯に関する社会貢献活動の促進
  • 地域安全センターを活用した防犯ボランティア活動の支援や活性化に向けた取組の推進

 さて、刑法犯の認知・検挙状況について話を戻します。属性別でみると、来日外国人による重要犯罪・重要窃盗犯について、総数228件のうち、国籍別の検挙人員数では、アジア163人(中国55人、ベトナム33人など)、南北米州42人(ブラジル27人など)に偏っていることや、暴力団の刑法犯の検挙件数は、25,478件(26,231件 ▲2.9%)となっており、そのうち、窃盗は、14,349件(15,017件、▲4.4%)、詐欺は、2,938件(▲6.6%)、賭博は、283件(+132.0%)、さらに、暴力団の特別法犯の検挙件数は、11,075件(12,251件 ▲9.6%)であり、そのうち、暴力団排除条例違反は、14件(+55.5%)、大麻取締法は、1,001件(+16.4%)、覚せい剤取締法は、7,473件(▲10.8%)などとなっています。昨年は、暴力団員数(構成員+準構成員)がその前年と比べて12.3%も減少していたことと併せて考えると、実質的には、暴力団の検挙される割合は高くなっており、とりわけ、暴力団の世界では「ご法度」とされている「詐欺」「窃盗」「薬物」、伝統的資金獲得活動である「賭博」「薬物」などでの伸びが大きいことが指摘できます。そして、この傾向の背景には、社会や事業者の暴排活動(暴力団の資金源の枯渇化)が進展したことにより、「収益源が絞られてきている」ことの証左ではないかと推測されます。

暴力団関係企業からの退職を妨害

 滋賀県警などが、労働基準法違反(強制労働の禁止)の疑いで、暴力団組員を逮捕していますが、報道(平成29年1月11日付京都新聞)によれば、その逮捕容疑は、男が実質経営する運送会社の従業員男性が退職を申し出たのに対し、「辞めるなら、経費約300万円を払え」などと脅して椅子で頭を殴り、およそ2か月間、強制的に働かせた疑いだということです。当該従業員が、暴力団員が実質経営する会社であることを知っていて勤務していたかどうか不明ですが、退職を妨害され強制的に働かされた状況からは、暴力団の威力を示して行う不当な行為であるともいえます。なお、暴力団対策法では、指定暴力団員がその所属する指定暴力団等の威力を示して行う不当な行為が禁止され、27の類型がしめされていますが、このような事例については、(当然ながら)類型に含まれておりません。

全国暴力追放運動推進センター 暴力団対策法で禁止されている27の行為

 なお、参考までに、前述の「平成28年1~12月犯罪統計」によれば、暴力団犯罪(特別法犯)における検挙件数11,075件、検挙人員7,857件のうち、「労働基準法」違反によるものが、11件、12名(ちなみに平成27年は、19件、25名)あったことが分かります。また、関連して、「職業安定法」違反によるものも、10件、10名ありました。

専門家リスク

 以前、本コラム(暴排トピックス2016年12月号)では、「専門家リスク」として、「専門家」が自らの専門性を犯罪に悪用・転用する行為が犯罪の手口の高度化・巧妙化を助長しているリスクを指摘しました。その流れの中で、「日本パグウォッシュ会議」が、「軍事研究に寛容な傾向のある若い研究者への働きかけが重要」と科学の軍事転用への危機感を露わにしている点は、正に専門家リスクに警鐘を鳴らすものと紹介しました。さらに、関西大学が、防衛省が大学などでの研究に補助金を出す「安全保障技術研究推進制度」について、教員の応募申請を認めないとの方針を決定、国内外の公的機関や民間企業からの軍事目的を前提とした研究費も受け入れないルールを明確にしたことも取り上げました。

 これに関連して、直近では、法政大学も、同様に軍事研究を行わないとする指針を制定、防衛省の研究費への応募は「当分の間認めない」スタンスを明確にしています。

法政大学 軍事研究・デュアルユース(軍民両用)研究等に関する本学の対応について

 ここでは同大学の5つの指針が公表されていますが、そのうち、「2.真理の探究に努め、国際平和と持続可能な地球社会の構築に寄与する活動を行うものとし、軍事研究や人権抑圧等人類の福祉に反する活動は、これを行わない。」との部分が本件に関連してます。さらに、田中優子総長の「人命の収奪と人権の抑圧をもたらす道具やその稼働システム、および、人命の収奪と人権抑圧の最たるかたちである戦争を目的とした武器等の研究・開発は、本学が使命とする持続可能な地球社会の構築の対極にあり、これに関与するのは、本学の存立基盤をゆるがすことになります」というコメントも掲載されていますが、専門性の悪用リスクを回避するための専門家としての「矜持」を示すものとして注目、紹介したいと思います(一方で、民生技術と軍事技術の相乗効果が科学の発展をもたらしている側面があることも、よく知られています)。

ビジネスチェーンの視点からのリスク管理の重要性

 資生堂は、化粧品子会社イプサの通販サイトがサイバー攻撃を受けていた問題で、調査報告書を公表しています。

株式会社イプサ 個人情報不正アクセスに関する調査報告書

 その中で、以下の記述の通り、当該子会社を含むグループ各社で情報セキュリティ対策の水準にばらつきがあり、親会社として管理が不十分だったと結論づけている点は、今後のリスク管理を考えるうえでも重要なポイントだと思われます。

  • イプサ公式サイトの構築時は、開発計画(スケジュール、開発規模など)のみ共有しており、システムの詳細についての確認が行われていませんでした。またシステム稼働後に監査を毎年実施していましたが、口頭・紙面による報告ベースで、詳細な内容確認はできていませんでした。また、グループ各社がEC サイトを構築する時に遵守すべきガイドラインや、資生堂グループ全体を通したシステム基準、それぞれのサイトにおける実態を監査する体制が十分ではありませんでした
  • グループ全体の情報セキュリティ維持体制を継続的に強化すべく情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)等の外部標準をベースとしたグループ全体の情報セキュリティに関するフレームワークを新たに策定し、この標準に基づき、システムだけでなく文書管理や社内管理プロセス整備等マネジメント面についても強化します

 本件に限らず、事業者は、今後、商流の中に位置づけられる関係者のリスク管理に対して、より一層注意を払っていくことが求められるようになると考えられます。反社リスク対策、AML/CTFなどにおける商流の管理の視点については、本コラムで以前から指摘しています。例えば、不動産事業者が貸している部屋が振り込め詐欺のアジトとなる、反社会的勢力との関係が見え隠れする会社との取引によって、自社のサービスや資金が結果的に反社会的勢力の活動を助長するような形で悪用される、自社の送金サービスがマネロンに悪用されるなど、そのビジネスチェーンの中で、犯罪組織との不適切な関係や犯罪への関与が発覚すれば、それは直ちに自社に直接・間接のダメージをもたらすことになります。また、これらのリスク以外でも、例えば、情報セキュリティ分野については、IoT(モノのインターネット)がサイバー攻撃の踏み台になる危険性が顕在化している状況にあっては、自らの子会社等の緊密な関係者だけでなく、IoTによってつながる「取引先」や「顧客」等とのセキュリティ・チェーンマネジメントをどのように構築していくかが極めて重要になります。また、金融機関とIT事業者等との間の「オープンAPI」の普及が今後のビジネスにとって重要となる一方で、銀行が保有する秘匿性の高い顧客情報がFinTech企業等の他の事業者等(API接続先)に提供され当該API接続先において蓄積・保存されるほか、銀行が決済指図等を利用者ではなくAPI接続先を経由して受け取ることになるため、オープンAPIに取り組むにあたっては、関係者において十分なセキュリティ対策、利用者保護が図られることが極めて重要となります(ただし、あまりに高いセキュリティ対策をAPI接続先に課すことになれば、その連携の阻害要因にもなりかねません)。

全国銀行協会  「オープンAPIにおけるセキュリティ対策及び利用者保護に関する基本的な考え方」

 さらに、最近の消費者動向や取引先選定基準の動向において、同様の視点から注目しておくべきは、「倫理的(エシカル)消費」です。「倫理的消費」とは、「地域の活性化や雇用なども含む、人や社会・環境に配慮した消費行動」、「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援したりしながら消費活動を行うこと」や、「個人が自己の倫理観・道徳観に基づいて行う消費」といった捉え方がなされています。

消費者庁「倫理的消費」調査研究会 中間取りまとめ~あなたの消費が世界の未来を変える~

 世界的コーヒーチェーン店の「フェアトレード」や、日本の資生堂や花王など化粧品メーカーによる「動物実験の廃止」などの動きは、まさにこの「倫理的消費」の世界的な潮流の中で取り組まれているものです。その意味では、今後は、「反社会的勢力排除」「AML/CTF」なども、「倫理的消費」のひとつとして定着していくことになるのではないでしょうか。言い換えれば、今後のリスク管理は、自社の目線だけでなく、他社(他者/第三者)の目線を意識しつつ、商流全体に目を配るところまで要請されることになるとの認識が必要な時代となっています。このように、今後のリスク管理を考えるうえでは、「つながる」「つながり」がキーワードになるといえます。そのチェーンマネジメントのあり方が問われるようになり、そのつながる先も多様化・つながり方も多様化する中で、自らのビジネスの健全性を担保すべく創意工夫が求められることになります。

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3.最近の暴排条例による勧告事例ほか

(1) 暴力団事務所新設に関する暴排条例違反事例

福岡県の事例

 福岡県警などは、福岡県暴排条例が禁止する福岡市内の小学校から200メートル以内に暴力団事務所を開設・運営したとして、指定暴力団山口組系一道会の会長ら15人を同県暴排条例違反容疑で逮捕しています。一道会の元の事務所では、山口組の分裂騒動の流れで昨年1月に火炎びんを投げ込まれる事件が発生、周辺住民から立ち退きを求める声が高まり、昨年8月に本件で問題となった新たな事務所を買い取っていました。報道によれば、この事務所はかつて別の山口組系の組が開設、移転した後は使用されていなかったものですが、本来、同県暴排条例の2010年4月の施行前に開設された事務所には適用されないところ、「他の暴力団」が新たに事務所として使用した場合は開設とみなして適用する規定があり、今回、同じ六代目山口組系でも別の組織に当たるとして適用されたものだということです。なお、同じ指定暴力団系の事務所への移転を開設とみなして立件したのは全国初となります。

福岡県暴力団排除条例(福岡県条例サイトより)

 本条例の第13条(暴力団事務所の開設及び運営の禁止)に、「暴力団事務所は、次に掲げる施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲二百メートルの区域内においては、これを開設し、又は運営してはならない」との規定があり、小学校は「学校教育法」に掲げる施設として規制の対象となっています。さらに、本条第2項では、「この条例の施行の際現に運営されている暴力団事務所及びこの条例の施行後に開設された暴力団事務所であってその開設後に同項各号に掲げるいずれかの施設が設置され、又は土地がこれらの施設の用に供するものと決定したことにより同項に規定する区域内において運営されることとなったものについては、適用しない。ただし、ある暴力団のものとして運営されていたこれらの暴力団事務所が、他の暴力団のものとして開設され、又は運営された場合は、この限りでない」との規定があり、今回はこれが適用されたことになります。なお、本規定は、本条例が全国に先駆けて施行された平成22年4月1日の時点で既にあり、当初から、このような状況が想定されていたという意味で、あらためて、福岡県暴排条例の革新性・先進性に驚かされます。

山口県の事例

 山口県警は、山口県暴排条例が禁止している下関市内の小学校から200メートル以内に暴力団事務所を開設、運用したとして、同県暴排条例違反の疑いで、指定暴力団七代目合田一家総長ら3人を逮捕しています。同県暴排条例においても、第18条(暴力団事務所の開設及び運営の禁止)において、上記福岡県暴排条例同様の規制があります。

山口県暴力団排除条例

群馬県の事例

 群馬県警は、群馬県暴排条例が禁止している桐生市内の小学校から200メートル以内(報道によれば、50メートル以内の自宅の隣)に暴力団事務所を開設、運用したとして、同県暴排条例違反の疑いで、指定暴力団住吉会系の組長を逮捕しています。なお、同県暴排条例による逮捕は初めてだということです。同県暴排条例においても、第15条(暴力団事務所の開設及び運営の禁止)において、上記福岡県暴排条例同様の規制があります。

群馬県暴力団排除条例

(2) 暴排条例勧告事例(東京都)

 東京都公安委員会は、指定暴力団松葉会系組長に正月飾り購入名目で現金5万円を提供したとして、東京都暴排条例に基づき、足立区のタクシー会社に利益供与をやめるよう勧告、組長にも利益供与を受けないよう勧告しています。報道によれば、タクシー会社は営業車両に飾っていたということで、代表は、組長と30年来の知人であり、「交通事故や客とのトラブル処理をお願いするために買っていた。もうやりません」などと話しているということです。

警視庁 東京都暴力団排除条例 Q&A

 そもそも、東京都暴排条例における「利益供与」とは、金品その他財産上の利益を与えることであり、事業者が商品を販売し、相手方がそれに見合った適正な料金を支払うような場合であっても該当するものとされています。ただし、本条例で規制される「利益供与」については、「暴力団の威力を利用することの対償として行われる場合」(第24条第1項)と、「暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなることを知って行われる場合」(第24条第3項)とに限られる点はおさえておく必要があります。なお、当該Q&Aにおいては、暴力団の威力を利用する目的で利益供与をする場合(第24条第1項)には、「事業者が、事業に関するトラブルを解消するため、『相手方との話し合いの場に立ち会って、揉めるようなことがあれば、脅しをかけてほしい』などと暴力団に依頼し、金銭を支払った場合」などが紹介されています。一方、「暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなることを知って」(第24条第3項)には、第24条第1項違反以外の、「飲食店が、暴力団員から、組の運営資金になることを知りながら、進んで物品を購入したり、サービスを受けて、その者に料金を支払う行為」などが紹介されています。

 そのうえで、今回の事例の利益供与については、30年来の知人であるということから、「暴力団員から、組の運営資金になることを知りながら、進んで物品を購入」した側面もありますが、「暴力団の威力を利用することの対償として行われる場合」に該当するものと考えられます(あくまで、本条例上の整理です)。

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